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昭和61年・民事訴訟法第1問

1倫敦橋:2003/05/28(水) 21:47
問題文

 甲は、乙からの300万円の借受金債務の残額が130万円であると主張し、乙に対して、右借受金債務は130万円を超えては存在しないことの確認を求める訴えを提起した。
 裁判所が審理の結果、次の判決を言い渡したとして、その判決について論ぜよ。
1 甲の乙に対する債務の残額が200万円であると認め、「原告の請求を棄却する。」との判決。
2 甲の乙に対する債務の残額が100万円であると認め、「借受金債務は100万円を超えては存在しない事を確認する。」との判決。

2倫敦橋:2003/06/06(金) 23:27
実は、なぜ一部認容云々・・・が論点になるのか、今ひとつ整理しきれないのですが(当然のことのように思われてしまうので)そういった整理作業は後日行うことにしてみて、ここでは、現有の知識(と六法)だけで答案例を書いてみます。
事案が、債務不存在確認訴訟だ、というのも、やっかいです。

一 総説・・・裁判所が、訴訟物の一部のみを認容する判決を下すことの可否(一部認容判決の可否)について
1 処分権主義による、裁判所の審判権の制約(246条)
・・・当事者が訴訟物(私法上の権利関係)について有する処分権の尊重(言い換えれば、当事者の意思の尊重)+相手方への不意打ち防止(133条2項2号の「請求の趣旨及び原因」・・・訴状の必要的記載事項、138条・・・訴状の送達)

2 一部認容判決の可否

(1) 処分権主義を強調すれば、訴訟物の存否について形式的に判決すれば足りるとも思える。
 ただ、司法権の機能は当事者間の法律上の紛争の解決にあり、判決は紛争解決の基準となるべきものである以上、その機能を十分に果すためには、訴訟物に示された当事者の合理的意思を踏まえた上で、相手方への不意打ちにならない範囲で判決を下すことが裁判所に要求される。
 
(2) ところで、訴訟物が金銭債権や債務など、可分なものである場合、原告の意思としては、たとえ訴訟物の全部について請求が認められなくとも、一部につき認められるというのであればその部分だけでも認容されるのであれば認めて欲しいというのが通常の合理的意思と思われる。
 また、被告にとっても、訴訟物全部を争うことを通じて、その一部についても争っていると言えるから、不意打ちとはいえない。
 よって、訴訟物が可分なものである場合、その全部が認められなくとも一部については認められる場合、その一部のみの請求を認容する判決を下すことは、処分権主義に違反せず許される、と考える。

二 小問1(次掲)
 

三 小問2(次々掲)

3倫敦橋:2003/06/06(金) 23:41
一 総説(前掲)

二 小問1(次掲)
 「債務が130万円を超えて存在しないことの確認」という請求に対して、債務の残額が200万円
・・・処分権主義を形式的に適用すれば、「請求を棄却する」という判決でもよさそうだが、前述の当事者の合理的意思に照らすと妥当ではない。
また、本問の場合相手方への不意打ちの心配もない。 
 よって、裁判所は、単に請求を棄却するだけでは妥当ではなく、債務が200万円を超えて存在しないことを確認する一部認容判決を下すべきである。 



三 小問2(次々掲)

4倫敦橋:2003/06/06(金) 23:48
三 小問2
 「債務が130万円を超えて存在しないことの確認」という請求に対して、裁判所が認定した債務が100万円
・・・この場合、処分権主義が妥当し、被告人への不意打ち防止になるから、裁判所は、原告の請求通りに130万円を超える限度での債務の不存在しないことを確認できるにとどまる。
 
 本問の場合,裁判所が事実認定通りに、債務が100万円を超えて存在しないことを確認している点で、この判決は違法である。

(なお、問題文の訂正点をまたまた発見。小問2の文中「・・・存在しない事」とありますが、正しくは「・・・存在しないこと」でした。変換ミスのようですね。)

5倫敦橋(管理人):2004/05/13(木) 02:30
再検討のため一応浮上。

6倫敦橋(管理人)★:2006/03/16(木) 01:09:06
定期巡回。


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