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ロシア・韃靼・ユーラシアスレ

336とはずがたり:2015/04/28(火) 16:12:14
新しいウクライナ」がEUの命運を左右する 一歩間違えればEUは地に落ちる
http://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/world/toyokeizai-67112.html
東洋経済オンライン2015年4月26日(日)06:00

EU(欧州連合)は岐路に立っている。向こう数カ月で過去5年間の成果がはっきりするだろう。EUはギリシャとウクライナという2つの危機に対処しなければならない。

ロシアのプーチン大統領はウクライナに確実な地歩を得ようとしているが、欧州はギリシャに気を取られている。

ウクライナは瀕死状態

プーチンにとって望ましいのは、ウクライナの金融や政治を崩壊させ、不安定にすることだ。軍事的勝利を目指す方針から停戦へ、方針を転換したことからも彼の姿勢がわかる。

ウクライナの立場を悪化させた2国間停戦協定によるプーチンの成功は一時的なものであり、EUにとってウクライナは切り捨てるには惜しい同盟国だ。

問題は、欧州がギリシャと同じようにウクライナにも点滴を打っていることだ。ウクライナはかろうじて息をしている状態で、プーチンには迅速に動けるアドバンテージがある。

私が数カ月前から警告し、2月に実際に起きた金融崩壊で、ウクライナ通貨グリブナの価値は数日で半分に下がり、ウクライナ国立銀行は銀行システムを救済するために大量の資金を投入せざるをえなかった。2月25日に事態は最悪になり、ウクライナ国立銀行は輸出を制限し、金利を30%まで上げた。

ポロシェンコ大統領の説得で、ウクライナの為替レートは2015年予算で基準とされた水準近くにまで戻った。しかし、ウクライナ国内の銀行と企業のバランスシートは危険域に達している。承認されていたIMF(国際通貨基金)の拡大信用供与も不十分になってしまった。

EUの構成国はそれぞれに経済的な制約があり、追加で2国間援助を検討する意欲はない。ゆえにウクライナは地獄へと続く穴の縁でぐらつき続けている。国内では急進的な改革プログラムを推進する動きが強くなっている。

欧州には避難民が押し寄せ、その数は現実的に推定すれば2000万人と考えられる。多くの人々は、2度目の冷戦の始まりだと予想している。プーチンが欧州で多くの友人を作ることで、ロシアに対する制裁を解除できるかもしれない。

EUは新しいウクライナに敗北する

これは欧州にとって最悪の結果だ。実現すれば域内がバラバラになり、ロシアと米国がその影響力を互いに広め合う戦場となる。EUは世界における政治力を失うだろう。

実現する可能性のより高そうなシナリオを挙げるなら、欧州はウクライナに点滴を打つことで何とか切り抜けようとし、ウクライナは崩壊こそしないものの、寡頭政治における支配者の主張が再開され、新しいウクライナは以前のウクライナに似てくる、というものだ。

プーチンはこの状況を完全崩壊と見なしてほぼ満足するだろう。しかし彼の勝利が確定しているとはいえない。なぜならこのシナリオだと第2の冷戦が起き、旧ソビエト連邦が敗北を喫したときと同様、ロシアが負ける可能性もあるからだ。石油1バレルを100ドルで買わなければならないため、ロシアの外貨準備金は2〜3年のうちに底を突くだろう。

私が近著『欧州連合の悲劇』で述べたシナリオでは、EUは新しいウクライナに敗北する。ウクライナを防衛するというEUの基準方針は放棄され、EUは自らを守るため大量の資金を使わなければならなくなるだろう。その金額は、新しいウクライナの成功を援助するために必要な資金よりも多くなる。

ただし、もっと希望的なシナリオもある。新しいウクライナが生き残り、自己防衛を決定する。1国ではロシアの軍事力にかなわないから、同盟国が「いくら使ってでも」支援することを決断し、ロシアとの軍事衝突を起こすか、ミンスク停戦協定を反故にする、というものだ。

これはウクライナを助けるだけでなく、EUが失った価値観と主義を取り戻すことも促すだろう。そして私はこのシナリオを支持している。

(週刊東洋経済2015年4月25日号)


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