したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

社会福祉綜合スレ

519とはずがたり:2017/05/07(日) 12:06:12
>>503-504
「オバマケア」が機能不全に陥っている理由(抄)

保険料が高すぎて病院に行けない

話を進める前に、オバマケアについて少し整理しておきたい。オバマケアは国民皆保険などと言っているが、日本のそれとはまったく異なり、民間の保険会社が提供する保険商品を個人がそれぞれ買うシステムだ。国が決めた方針なので、保険会社は既往疾患歴があろうとも、現在病気の人であっても、申し込み希望者に対しては保険加入を認めねばならなくなった。

しかし、世の中はそう甘くはない。保険会社は福祉団体ではないのだから、利益確保やリスクヘッジも当然行う。そのため、当初オバマ大統領が目指した「入手可能な価格で質の高い健康保険にすべての国民を加入させる」ことが実現不可能となり、保険料高騰が止まらなくなってしまった。しかも、基本的に保険が下りるまでの治療費は自己負担での立て替えが原則で免責額が高く(診療治療費が各保険の定める1年間の高額な免責額に到達するまでは、何とその保険からは1ドルも出ない)、保険料を払っているのに「病気になっても病院にも行けない」ということも起こってしまっている。言うまでもないだろうが保険料金は、「掛け捨て」だ。

保険料高騰の理由はほかにもある。オバマ前大統領の公約では、すでに加入済みの保険に満足している人は、オバマケア導入後に保険を変える必要がないことが明言されていた。また導入後、米国民の保険料は、平均年間で2500ドル下がるとも言われていた。しかし、オバマケアには「満たさねばならない条件」が10項目あり、出産・産後ケアや薬物中毒者らへのメンタルカウンセリング、小児医療など人によっては不必要なものが含まれる。

それによって保険の値段は一律に上昇。「加入済みの保険を変える必要はない」としていたはずなのに、結局条件に満たない保険は次々にプラン廃止がなされてしまい、結果的に以前よりずっと高い保険(しかもほぼ使わない不要な医療カバー付き)に入らざるをえなくなってしまったという人が大勢いるのだ。保険会社にしても支払いが膨大になり、「オバマケア事業からは撤退する」という会社も後を絶たない。

オバマケアは、その成立の過程で、最初にオバマ前大統領が語った理想とは、大きくかけ離れてしまったのである。だから、「反対し続けた共和党によって、貧困層救済というオバマ前大統領の崇高な思いは打ち砕かれた」と考えるリベラルはたくさんいる。
(しかし)この政策に盛り込まれた21項目の新しい税制度により、結果的に向こう10年間で、5兆ドルの増税が可能になるという事実は見逃せない。こうしたカラクリが明らかになればなるほど、中間層を中心にオバマケアへの反対は加速していったのだ。
オバマケアに悲鳴をあげた中間層は、これ以上の増税は耐えられない。おそらく保障がしっかりとしている大手グローバル企業や、政府で働いているような人は、中間層であっても切羽詰まった感覚はないのかもしれない。だが、中間層の大多数であろう中小企業で働く人や、個人事業主にとっては、増税は死活問題だ。

米国で経済的困窮がこれほど致命的な打撃となる理由

より有力な要因として、多数の米国人には、とりわけ医療分野でセーフティーネットがないことがある。医療保険制度改革法(オバマケア)によって低所得者向け公的医療保険「メディケイド」が拡充される前は、扶養する子供のいない成人に多少なりとも公的保険を提供する州はほとんどなかった。病気になったときに医療保険がなければ、明らかに死亡率は上昇する。

 米国では広義の社会保険も十分ではない。失業者向けの支援は、彼らが失う生涯所得と比べると微々たるものだ。米国が労働者の教育訓練に充てている資金は、国内総生産(GDP)比で経済協力開発機構(OECD)の加盟国平均の2割にとどまる。失業者への金銭的支援はOECD平均の25%でしかない。ところが、米国人が自前でセーフティーネットを用意している様子もない。国民の46%が予定外の400ドル(約4万4200円)の出費に、何かを売るか借金をして対応すると答えた。経済的に危険な生活と、ほとんど事情を勘案せず、個人の置かれた状況を本人の責任とみる社会的風潮から、精神的に追い詰められる人は多い。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板