したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

利水・治水スレ

1とはずがたり:2007/11/05(月) 00:45:52
ダム・堰堤・運河・暗渠etc
公共事業に占めるダムなどの費用は非常にでかいものがある。専用スレで研究・観察。

行革スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1038805069/?KEYWORD=%A5%C0%A5%E0
土建スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1105074193/?KEYWORD=%A5%C0%A5%E0
ダムサイト
http://damsite.m78.com/top.html
ダム便覧
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jdf/Dambinran/binran/TopIndex.html
ダムマップ
http://www.dammaps.jp/

1263とはずがたり:2016/12/26(月) 19:37:15
土砂を浚渫(しゅんせつ)したり、ダム湖の底の土砂にパイプを突っ込んで水圧を使って外へ出したり、あるいは土砂吐けのゲートやトンネルを新しく造ったりと、さまざまなやり方がある。どれも、新しくダムを作るのに比べると、簡単な工事だし、費用もケタ違いに安い。このように、多目的ダムは土砂でダム湖が埋まる心配はないし、電力ダムの場合でも、土砂の堆積は解決できる。だから、ダム湖に流れ込む土砂が、ダムの寿命を縮めることはない。

水を貯めたままダムに穴を開ける

日本全国の川に、すでにダムが存在している。一級河川には国が作ったダム、二級河川には都道府県の作ったダムがある。そして、これまで述べてきたように、半永久的に使うことができる。

ところが、その潜在的な電力はあまり開発されていないのが現実だ。多目的ダムの場合、法律などの問題があることは前回>>1258-1260述べたが、現実には、潜在的な発電能力の半分も使われていない。それどころか、発電設備のないダムも多い。非常にもったいない話だ。発電をしないダムには、水を水路に導く穴が開いていない。つまり、発電していないダムで新たに発電しようとすれば、ダムに穴を開ける必要がある。ほとんどの方が、こう考えてしまうだろう。

「ダムのコンクリートに穴を開けるなんてできない。できたとしても大工事だろう。コストもかかるに違いない」

ところが、実際には違う。私たちダム専門技術者にしてみれば、ダムに穴を開けるのは可能なのだ。事実、九州にある鶴田ダムでは、この工事を行っている最中だ。発電設備のないダムを発電用に改修する工事は可能だ。そして、これにより新たな水力発電ができる。

前回>>1258-1260、多目的ダムは運用を変えて、ダム湖の水量を増やせば発電力が格段に増すという話をしたが、もうひとつ、ダムを活用できる方法がある。ダムの「カサ上げ」と呼ばれる方法だ。このカサ上げも、水力発電の潜在的な力を引き出す重要な手段である。

では、カサ上げとは何か。

簡単に言ってしまえば、ダムを高くすることである。たとえば、高さが100mのダムがあるとする。もし、このダムをあと10m高くすれば、それだけ多くの水が貯められるし、水位も10m上がる。ダムが高くなれば、ダム湖の容量を大きくするし、湖水の水位も高くなる。これが発電力の増加につながる。水力発電では、ダム湖の水は量が多いほど効率がよくなるし、ダム湖の水位も高いほうがよいのが原則だ。それは、水の位置エネルギーが、その水量と高さに比例するからだ。

ダムの高さを上げれば、ダム湖の水をたくさん貯められ、高さも稼げる。水力発電力を増加させることができるわけだ。100mから110mに上げるのだから、高さ的にはたった10%の違いである。ところが、この10%がバカにならない。実は、電力で考えると、単純計算でも発電量は約70%も増えるからだ。

たった10%のカサ上げで電力が倍になるわけ

意外かもしれないが、簡単な理屈だ。ダム湖というのは大きな容器に水が入っているのと同じだ。仮に、この器がシャンパングラスと同じ形だとしよう。あのグラスは円すい形であるが、円すい形の容器の場合、高さが10%増えると、容積は約33%増える。

次に、水の高さを考えると、新しく貯まる水の高さの平均は、今まで貯まっていた水の高さの平均の約2倍になる。そして、高さが上がった分だけ、発電量は増えるのだから、発電量も2倍という計算だ。以上で、電力の増加量を計算すると、次の式になる。

0.33×2=0.66

つまり、発電量は66%増えることになる。こうした結果になるのは、シャンパングラスの場合、容器の底のほうほど狭くなっていて、上に行くほど広い形をしているからだ。

実際のダム湖は、シャンパングラスのような単純な形をしてはいないが、底のほうほど面積が狭く、上のほうほど面積が広いという意味では同じであり、原則的にこの計算と同様の結果になる。さらに、実際のダムの場合、いちばん下の部分はまったく発電には使えない。土砂を貯める部分となっているからだ。それで、現実的には、100mのダムの高さを10mカサ上げすると、発電能力はほぼ倍増することになる。

つまり、たった10%のカサ上げは、発電量でいえば、ダムをもう1つ造るのと同じことになるのだ。このように、たった10%でも、ダムのカサ上げの効果は思ったよりも大きい。

1264とはずがたり:2016/12/26(月) 19:37:46

実際のカサ上げの例として、北海道の夕張シューパロダムをご紹介する。このダムはもともとダムの高さが67.5mだった。それを43.1mカサ上げして、高さを110.6mにする工事を進めている。これによって貯水容量は、8700万立方メートルから4億2700万立方メートルに増える。つまり、ダムの高さを約1.5倍にすることで、貯められる水が、なんと5倍近くにまで増えるのである。このように、ダムをカサ上げすることで、意外なほどに貯められる水は増えるし、発電能力も激増するのだ。

現在、日本の総電力供給量に対する水力発電の割合は8%ほどだ。私は日本のダムの潜在的な発電能力を引き出せば、30%まで可能だと試算をしている。これまで述べてきたように、方策は3つある。

第1に、多目的ダムの運用を変更すること。河川法や多目的ダム法を改正して、古い運用法を変えれば、ダムの空き容量を発電に活用できる。

第2に、既存のダムをカサ上げすること。これによって、新規ダム建設の3分の1以下のコストで、既存の発電ダムの能力を倍近くに増大できる。

第3に、現在は発電に使われていないダムに発電させること。このうち中小規模のダムについては後で述べる。

一般には、水力発電はもはや拡大の余地がない、あるいは、水力発電の拡大には巨大ダムの新規建設が必要で環境破壊を避けられない、というイメージのようだが、事実は違うことを説明してきた。巨大ダムの新設はもう必要ない。莫大な公共投資も必要ない。環境破壊も巨額の税金の投入もなしで、水力発電は何倍にも増やせるのだ。

中小水力発電の具体的なイメージ

すでに述べたように、日本には非常に多くのダムがある。大きなものでは、国が直轄している多目的ダムから、都道府県が管轄している小さな砂防ダムまでさまざまだ。そのどのダムについても、水力発電に利用できる。

ダムが大きければ発電量が大きくなるし効率も良くなるが、小さいダムでも発電は可能である。ダムの高さが10mクラスの小さな砂防ダムでも発電は可能で、100k〜300kWほどの電力は簡単に得られる。

たとえば200kwというと小さすぎると思われるだろうが、実際にはバカにならない。なぜなら、砂防ダムの場合、ひとつの渓流でいくつも存在しているからだ。仮にひとつの渓流に5つの砂防ダムがあれば、そのすべてで発電できる。200kwだとすると5つで1000kwになる。

さらに、ひとつの川には、いくつもの渓流が支流として存在する。支流すべての砂防ダムの数を合計すれば数十になることも珍しくなく、そのすべてのダムを発電に利用すれば、何千kwにもなる。この発電を、過疎に悩む水源地域の活性化に生かすこともできる。

こうした状況が日本中の川で存在しているわけで、一つひとつの川のダムの発電量が数千kwでも、日本全国で見れば膨大な電力となる。日本には多数のダムがあり、全国で新たに中小水力発電に利用できる箇所は、調査によってさまざまな数字を挙げているが、どれも数千のケタに上る。たとえば、2011年に環境省が行った調査では、出力3万kW未満の水力発電を新たに開発可能な場所は2万カ所以上あり、そのすべてを開発すると、総電力は1400万kWに上ると試算されている。

中小水力発電の潜在力は非常に大きいのだ。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板