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利水・治水スレ

1260とはずがたり:2016/12/26(月) 19:33:07
>>1258-1260
もっと水を貯めても危険はないのに…

大雨による洪水を防ぐために、普段からダムを空けておく。これが現在のダムによる治水のやり方であるが、疑問を持つ方もおられるかもしれない。

「つねに空けておく必要はないだろう。大雨が来るのがわかってから減らせばいいじゃないか」

確かにそのとおり。そう考えるのが普通だ。

たとえば、台風に備えるとしよう。気象予報によって1週間前には台風が来ることはわかる。予報を見て、ダムが台風の進路に入ってからダムの水位を落とせばいい。

洪水の危険に備えてダムの水を減らすことを予備放流と呼ぶが、これはタイミングが重要だ。大雨によって増水中に予備放流などしてはいけない。さらに水かさが増して、洪水の危険を大きくしてしまうからだ。

現実的には、台風が最接近する3日ほど前に予備放流すれば、十分に洪水に対処できる。3日前ならば川の流域に大雨は降っておらず、川はまだ増水していない。ダムの水を放流しても安全だ。

日本の川は急流だし、海までの距離が短い。水源地のダムから予備放流された水は、ほとんどの場合、その日のうちに海に達する。海までの距離の長い利根川でも、放流の翌日には銚子から太平洋に至るし、東京の多摩川などは朝に放流すれば夕方にはもう海へ行ってしまう。

ちなみに、まだ川が増水していない晴天のときにダムの予備放流を行うと、河川敷で人が流される心配があるから、予備放流は危険だという意見がある。だが、これは単に対策の不徹底が原因だ。下流への警報を十分に発することや、避難手段を講じておけば防げる。

このように、台風が接近してからダムの予備放流をすれば、治水のためのダム容量を空けることが可能だし、そうすることで、大雨を受け止めるダムの容量は確保できる。洪水予防のためであっても、普段からダムを大きく空けておく必要はない。台風などの大雨が来る直前にダムを空ければ、十分に洪水は防げる。

つまり、大雨の心配のない時期は、ダム湖の水位を満水近くまで高くしておいても大丈夫なのだ。これなら、大きな水のエネルギーを電力に換え続けることができる。

半世紀前の法律で運用される多目的ダム

では、なぜ、そうしないのか。

理由は、多目的ダム法の古さにある。この法律は昭和39年(1964年)に制定されて以来、根本的には一度も改正されていないから、50年前の社会事情に合わせたルールとなっている。信じ難い話かもしれないが、気象衛星も打ち上げられていなかった50年以上も前の法律が、21世紀の今でもダムの運用を縛っているのだ。

つまり、天気予報の精度が今に比べて格段に低かった時代に合わせたルールを、半世紀たった今でもまだ守っているのである。

昭和30年代なら、治水のためダムの容量を大きく空けておく必要があった。だが、21世紀の現代の技術水準からみれば、ダムの能力を十分に発揮させていない。

かつてのダム運用が、現在では合理的ではない。不合理なところだらけだが、この変化をもたらしたのは半世紀の間に起こった技術革新だ。

ことに、気象予報技術の進歩が大きい。気象衛星や気象レーダーで天候についての情報を集め、スーパーコンピュータで計算して予測する。こうした科学技術が蓄積されたおかげで、高い精度で予報が出せるようになった。

科学技術の進歩により、多目的ダムの2つの目的である治水と利水の矛盾を、限りなく小さくすることが可能になっている。技術の進歩が、ダムの運用を新しく変わらせてくれる時代になったのだ。

しかし、法律とそれに関連するルールは昔のままである。せっかくの技術の進歩を生かすことができていない。半世紀前の法律をそのままにして、時代の進歩を無視しているのだ。

これからは国民も、治水が担当の役人も、日本の未来を見据えて、ダムの潜在的な能力を生かすことの重要性を考えなくてはならない。


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