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セメント

378荷主研究者:2014/01/12(日) 14:53:26

http://biz-journal.jp/2013/05/post_2107.html
2013.05.15 ビジネスジャーナル
日本板硝子、グローバル化失敗の舞台裏と代償 相次ぐ事業撤退、社内混乱で人材流出も

【この記事のキーワード】グローバル , 人材 , 日本板硝子

日本板硝子大阪本社が所在する住友ビル本館(「Wikipedia」より/Nkns)

 2006年、英ピルキントン社(以下、ピル社)を買収し、「小が大を呑む」と騒がれた日本板硝子の藤本勝司会長が、その失敗の責任を取り、3月31日付で退任した。

 同社は06年のピル社買収以来、外国人社長を2名起用したが、いずれも短期間で辞任し、経営が混乱していた。

 だが、その経緯を振り返ると、同社ではトップが自分の名声欲のために経営を弄び、会社を凋落させた姿が浮かび上がってくる。

 藤本氏は04年の社長就任以来、当時の出原洋三会長と共にグローバル化を推進、06年に売上規模が倍のピル社を6160億円で買収、子会社化した。それにより日本板硝子はいきなり世界29カ国に拠点を持つグローバルメーカーに変身。海外売上比率もそれまでの約20%から一挙に80%近くに拡大した。

 だがこの無謀なグローバル化が、同社凋落の引き金になった。

●「説得セールス」に乗せられた巨額買収

 1826年創業と、187年の社歴があるピル社は、日本板硝子に買収された06年当時、世界3位(シェア10%)のガラスメーカー。25カ国に拠点を持ち、約2万4000人の従業員を擁していた。売上高は約24億ポンド(当時の為替レートで約5000億円)だった。

 一方の日本板硝子は1918年の創業。06年当時の海外拠点は米、英、中国などわずか5カ国。従業員数は約1万2000人(連結)、売上高は2658億円(同)で世界6位(シェア4%)。両社の差は一目瞭然。「小が大を呑む買収」と騒がれたのも当然だった。

 ここで疑問が湧く。まず、なぜこんな不自然な買収ができたのか?

 業界関係者は「要するに国際M&Aに暗い日本板硝子が『説得セールス』に乗せられた」と、次のように説明する。

 当時のピル社を経営していたのは会長のナイジェル・ラッド氏。ラッド氏は不振企業を買収して業績を立て直し、高値で転売して利益を得るターンアラウンド型の投資家として有名。当時はピル社のほか、欧州ドラッグストア大手のブーツ社の会長も兼務していた。ラッド氏は95年からピル社会長を務めており、自動車向けガラスが好調で業績が急回復していた06年当時のピル社を「売り抜け時」と判断したようだった。

 買収交渉で日本板硝子はこのラッド氏に丸め込まれ、合意に達した時のピル社株の買収価格は1株165ペンス(当時のレートで約340円)、総額18億ポンド(約3585億円)。関係者の間では「約30パーセントものプレミアムが上乗せされた」と指摘されていた。結果、ピル社の有利子負債借り換え分を含めた買収額は30億ポンド(約6160億円)に膨れ上がった。

 同関係者は「日本板硝子は綿密に調査し、周到な備えで買収交渉をしたとはとても思えなかった。だからラッド氏の説得セールスに、やすやすと乗せられた」と言う。

379荷主研究者:2014/01/12(日) 14:54:17
>>378 続き

●打倒・旭硝子の安易なシナリオ

 次に、日本板硝子は、なぜこんな不自然な買収にこだわったのか?

 別の業界関係者は「それは国内トップの旭硝子へのライバル心だった」と、次のように説明する。

 日本板硝子はIT業界が「ネットバブル」で沸いていた2000年、光通信向けのレンズ事業拡大を計画。「10年に『情報電子会社』になる」とのビジョンを出原洋三社長(当時)が掲げ、10年間で200?300億円を投資し、相模原工場(神奈川県)、四日市工場(三重県)のほか、米国など海外でも生産拠点を拡充、同事業の売上高を約6倍の1200億円に拡大するとしていた。

 ところが、計画を打ち上げた直後にネットバブルがはじけ、北米などの光ファイバー通信向け投資が一気に冷え込み、光レンズの需要も急減。最終的に累計で100億円を超える損失を出し、5工場を閉鎖。02年3月期に22億円、03年3月期に31億円の最終赤字を計上した。

 トップの希望的観測による、市場見通しの甘さだったと言うほかない。

 同社が「情報電子会社」への脱皮に力を注いでいた頃、ライバルの旭硝子は薄型テレビ用ガラス基板などに大型投資を行い、着々と収益を拡大していた。

 05年12月期連結の旭硝子の売上高は1兆5266億円、最終利益600億円。06年3月期連結の日本板硝子の売上高は2658億円、最終利益は77億円。

 その差は歴然。日本板硝子は、旭硝子をライバルと呼ぶのもおこがましい地位にあった。

 そんな時期に英国から突然迷い込んできたニュースが、ピル社身売り話。05年秋のことだった。しかも当時の日本板硝子は「光レンズ事業失敗の傷がまだ癒えず、リハビリ中」と言われていた時期だった。

 それでも「世界3位のピル社を買えば、宿敵旭硝子との差を一挙に詰められる」と買収にのめり込み、グローバル化の推進で名を挙げようとの野望に目がくらんだのが、藤本氏と出原氏の2トップだったといえる。

●一夜漬けのグローバル経営の末路

 ピル社買収後の同社は、一夜漬けでグローバル経営に対応しようと、08年6月から委員会設置会社へ移行。日本人による企業統治を担保するため、12名の取締役中7名を経営監視役にした。残り5名を取締役兼執行役員に任命、うち4名が外国人だった。

 同社はこれを「日本人が睨みを利かせ、外国人が経営する、ハイブリッド経営体制」と自賛、これで容易にグローバル経営ができると考えたらしい。

 そうして、グローバル経営の海へ船出した「日本板硝子丸」が船頭に起用したのが、買収時のピル社社長、スチュアート・チェンバース氏だった。

 同氏はロイヤルダッチシェルとスナックメーカーの社員を経て96年に当時経営再建中のピル社に入社。02年に同社社長となり、買収後の06年に日本板硝子取締役、07年副社長、08年6月に代表取締役社長に就任した。日本板硝子に買収されるまで、日本企業との接点は何もなかった。

 すると案の定、チェンバース氏は翌年8月、在任1年余りで「仕事より家族との時間を大切にしたい」と、理由にならない理由で突如辞任、帰国してしまった。

 そこで同社はこの時、会長になっていた藤本氏がリリーフで社長に復帰、その間に同社は、米デュポン副社長を務めた後は経営から身を引いていたクレイグ・ネイラー氏をヘッドハンティング、10年6月に同氏を「2代目の外国人社長」に据えた。

 それも束の間、ネイラー氏も12年4月、「他の取締役たちと経営戦略の考え方が合わない」と、1年10カ月で突然辞任してしまった。後任には吉川恵治副社長(当時)が昇格、現在に至っている。

 かくして「グローバル企業を経営できる人材が日本人の中にいない」という理由で安易に始めた愚かな「ハイブリッド経営体制」は、もろくも崩れ去ってしまった。

380荷主研究者:2014/01/12(日) 14:54:55
>>379 続き

●現場の混乱と有能人材の流出

 「日本板硝子流グローバル化」の象徴だった「外国人社長」の相次ぐ辞任は、事業を混乱させただけだったようだ。

 成長の牽引車と位置付けていた太陽電池用ガラスは、主要顧客が大幅減産に向かっているのに加え、中国メーカーの安売り攻勢で世界的な販売価格下落が続いている。

 ブラジルでは自動車ガラスの生産能力を50%以上高めたが、こちらも中国メーカーの低価格品に押され、操業率は低迷している。「グローバル化で宿敵旭硝子に肉薄」の夢に酔い、2トップの名声欲を後押しに、後先を考えずに買収したピル社のツケは大きかったようだ。

 何よりの思惑外れは、08年9月のリーマンショックとその後に続いたギリシャ債務危機で、ピル社の主戦場である欧州が大不況に陥り、ピル社の業績が壊滅的な打撃を受けたことだ。

 事業撤退や希望退職者の募集など、国内外で度重なるリストラも余儀なくされて多額損失を計上。買収によって膨らんだ有利子負債の金利負担も重くのしかかっており、13年3月期は280億円の純損失と2期連続の赤字を見込んでいる。

 現在は昨年4月に就任した吉川社長が中心となって経営再建に取り組んでいるが、今のところ成果はなく、14年3月期も3期連続の赤字が避けられない見通しだ。

 同社の危ない経営に見切りをつけ、10年に独立した技術系の元社員は「事業撤退もあり、有能な人材が200名以上も会社を去った。外国人社長が続き、英語が得意で外国人社長イエスマンばかりが重用される風潮に、みんな嫌気が差した」と振り返る。

 また総務系の元社員は「グローバル化の掛け声で始まった人事評価、物流システムなどの改革は、これ以上はないと思われるぐらいの翻訳もの。現場を混乱させるだけだった。結局、グローバルになったのは役員たちの給料だけ」と顔をしかめている。

 グローバル化失敗により退任した藤本氏のケースは、経営における「生兵法は大怪我のもと」の教訓でもあろう。
(文=福井晋/フリーライター)

381とはずがたり:2014/01/12(日) 17:19:28
>>94>>103>>105-106>>120>>378-380

日本板硝子、英ピルキントンの貢献まだ先
買収から7年、欧州リストラは最終章へ
http://toyokeizai.net/articles/-/14011
古庄 英一 :東洋経済 記者 2013年05月18日

2006年に板ガラスメーカー世界大手だった英ピルキントン社を買収し、「小が大をのむ」と注目を集めた日本板硝子。

それから7年。日本板硝子の連結決算は、リーマン・ショック後の2009年3月期から最終赤字に転落。11年3月期にいったん黒字に浮上したのを除けば、最終赤字が続いている。ピルキントン買収で欧州向けのウエイトが急上昇したため、ここ数年深刻化している欧州経済の不調に、建築用ガラス、自動車用ガラスとも足を引っ張られた面が大きい。

日本板硝子はいつになったら、大型買収の果実を満喫できるのか。

今年度の営業黒字化を狙うが達成は困難

日本板硝子は、4月から始まった今2014年3月期も、欧州で工場の生産縮小を実施することから、本業の収支は改善しても、営業赤字から抜け出せるかどうかが微妙な情勢となっている。 

同社は5月16日、2014年3月期の営業利益が30億円になるとの見通しを発表した。前13年3月期は営業赤字172億円を計上したため、業績が急浮上することになる。しかし、東洋経済では、営業黒字ではなく、30億円の営業赤字となると独自に予想している。

会社側は業績急浮上の根拠として、次の3つのポイントを挙げる。

(1)前期実施したリストラ効果が100億円見込まれること、(2)今期の追加リストラ費用として従来想定よりも20億円少ない90億円を計画していること、(3)円安効果で売上高が約900億円、営業利益では約30億円がかさ上げされること(東洋経済の推計額。会社想定の為替レートは1ドル=100円、1ユーロ=130円)。

だが、実際のところは計画どおりに運ばずに、営業黒字化は難しくなりそうだ。日本板硝子では、買収子会社であるピルキントン社の展開する欧州事業が、全社売り上げの4割を占める。その欧州市況の見通しは、クレメンス・ミラー副社長兼COOによれば、「modest(あまりよくない)」。

ピルキントン社の欧州各国の拠点では、人員削減や余剰生産設備について「すでに2割の削減を行った」(ミラー副社長)。ところが、ライバルのサンゴバン(仏)や旭硝子などを含めた供給体制の過剰感は解消されておらず、価格面での引き締め効果は期待したほどではないもようだ。

つまり、日本板硝子にとって、ピルキントンがカバーする欧州事業の今期収益見通しは、円安効果については期待できるものの、競争激化で売価修正は困難のままであり、粗利益の改善が見込みづらい。

さらに、計画には織り込んでいない追加リストラ策が実施される公算が大きく、その費用計上があると、前期と同じように営業利益にはマイナスに響く。

これは、日本板硝子が、IFRS(国際会計基準)を完全適用しているため。リストラ関連の費用(国内基準ではリストラ特損や減損特損に相当する費用。前期実績は192億円)が、営業利益の段階で「個別開示項目」として織り込まれる。

次年度黒字化へ、欧州リストラは最終章

実際、こうした需給バランスを整えるために、日本板硝子はさらなるリストラを選択肢に入れている。

5月16日の会見席上で、吉川恵治社長兼CEOは、欧州で人員削減を柱とした追加の工場設備の閉鎖や縮小を実施する可能性について、「市場環境次第でやっていく」と示唆している。

なお、今回発表された今期計画では、従来想定で20億円見込んでいた有形固定資産の減損損失計上が見送られた。しかし、設備の稼働状況次第で、新たに有形固定資産の減損損失を計上する可能性は否定できず、その場合は営業利益を押し下げる要因となりうる。

この要因を織り込まない「個別開示項目前営業利益」では、前2013年3月期も20億円の黒字を計上。今14年3月期は円安効果で原・燃料高を吸収することから、個別開示項目前営業利益は、会社計画の140億円はやや強気だとしても、100億円程度までは拡大しそうだ。

吉川社長は、「次年度(2015年3月期)には最終黒字化を果たしたい」と意気込む。それには、この個別開示項目前営業利益の黒字額を200億円程度まで拡大しなければならない。今期は営業黒字浮上を断念してでも、来期のために追加リストラを断行することが、必須となりそうだ。

(撮影:尾形 文繁)

382とはずがたり:2014/01/12(日) 17:20:57

赤字続く日本板硝子、会長退任で再建なるか
英社買収を主導した藤本氏が退く
http://toyokeizai.net/articles/-/13633
古庄 英一 :東洋経済 記者 2013年04月14日

藤本氏(左)が6月に相談役となり、吉川社長(右)の真価が試される
「小が大をのむ」と話題を呼んだ英ピルキントン買収を主導した日本板硝子の藤本勝司氏が3月末に会長を退任した。今年6月の株主総会で取締役からも退く。

藤本氏は2004年の社長就任以来、グローバル化を推し進めてきた。06年に年商規模で2倍のピルキントンを総額6000億円超で完全子会社化。日本板硝子は欧米、アジアや南米など海外30カ国以上に拠点を有する企業に急拡大した。当時は、海外売上比率が2割から一気に8割近くに達し、ガラス最大手でライバルの旭硝子をしのぐほどの海外ネットワークを持った。

ただその後は、当初から懸念されていた経営の舵取りで失敗を繰り返した。

その一つが人事の混乱だ。藤本氏とその後ろ盾だった出原洋三元会長は、買収後の社長を外国人に託す戦略を採った。

最初に選んだのが、買収したピルキントンの社長を務めていた英国人スチュアート・チェンバース氏。だが、チェンバース氏は日本流のビジネス慣習になじめず、「家庭の事情」を理由に1年余りで辞めた。その後釜として、ヘッドハンティングした化学メーカー大手デュポン出身の米国人クレイグ・ネイラー氏を据えたが、同氏も経営方針をめぐる対立から任期途中に辞任した。

385とはずがたり:2014/01/12(日) 17:34:20
>>384-385
 出原氏の後任として04年に社長に就任した藤本勝司氏(現会長)は「市場の要求を読み違えないこと、いきなり大きな見込み投資は避けること」とバブルに乗った反省の弁を後に述べている。ピルキントン買収案件が浮上してきたのは05年秋。日本板硝子は「まだ光レンズ事業への過大投資の傷が癒えず“リハビリ中”」と見る業界関係者が多かった。

 日本板硝子が「情報電子会社」への脱皮に力を注いでいたころ、ライバルの旭硝子は薄型テレビ用ガラス基板などに大型投資をして着々と収益を拡大していた。05年12月期の旭硝子の売上高は1兆5266億円、最終利益600億円。06年3月期の日本板硝子の売上高2658億円、最終利益77億円で、すでにこの時点でケタ違いの開きがあった。

 野球でいえば、大差がついてコールドゲームになりかけていた時に、にわかに外国人の助っ人(ピルキントン)が入団してきてライバル(旭硝子)と互角に闘える可能性が浮上してきた、といった感じだろうか。ただ、当時の日本板硝子首脳陣は自ら監督としてチームを直接指揮する自信がなかった。だから、自分たちはプロ野球でいえばオーナーもしくはゼネラル・マネージャーのようなポジションに一歩引き、外国人監督(チェンバース氏やネイラー氏)を招いてチーム運営を任せることにした。

 しかし、外国人監督(社長)に全権を委ねた訳ではない。日本板硝子はチェンバース氏を副社長から社長に昇格させた08年6月に委員会設置会社に移行。トップ人事を決める指名委員会委員長は取締役会議長の出原氏、監査委員会委員長は副会長の阿部友昭氏、報酬委員会委員長は社外取締役(英ケンブリッジ大学ジャッジ経営大学院シニア・フェロー)のジョージ・オルコット氏と、3人とも出原氏が影響力を行使できる「日本側の役員」に委嘱した。

 また12人の取締役のうち、社長のチェンバース氏が率いる執行役メンバーを5人にとどめ、残り7人(社外取締役4人と出原、藤本、阿部の各氏)がチェンバース氏の経営をチェックする体制を敷いた。執行役はチェンバース氏以下、マイク・パウエル、マーク・ライオンズ、マイク・ファーロン、吉川恵治の各氏。つまり出原氏率いる「日本チーム」対チェンバース氏率いる「外国人チーム」といった構図だ。これが冒頭に引用した「外国人が経営し、日本人が監視する」という出原氏の発言の背景である。

 08年8月にチェンバース氏が「16歳の息子のために」という家族問題を表向きの理由として辞任した後、会長だった藤本氏が社長に復帰。その10カ月後の09年6月に米デュポン出身のネイラー氏が新社長となるが、このときも同社は「外国人」対「日本人」の対立の構図を引き続き採用した。

 取締役は11人。出原氏に代わって会長に戻った藤本氏が「日本人チーム」のトップとなり、副会長の阿部氏、さらに社外取締役4人を加え「日本人」側は計6人。ネイラー氏が率いた「外国人チーム」は5人で、チェンバース時代と同様、吉川氏を除く4人はすべて外国籍だった。ちなみに「外国人チーム」で唯一の日本人である吉川氏がネイラー氏の辞任後、12年4月に社長に就任した。

 グローバル企業の代名詞でもあった外国人社長の相次ぐ辞任によるダメージは日本板硝子のイメージ失墜だけにとどまらない。社員も株主も、取引先も誰を「会社の顔」として認識すべきなのか、戸惑うばかりに違いない。さらに同社のような「ものづくり企業」にとって、リーダーシップの欠落で研究開発や設備投資の方向性が失われ、事業戦略に混乱を伴うことは死活問題になる。

 5月10日の決算発表で同社は最終損益が前期の28億円の赤字に続き、今期(13年3月期)も110億円の赤字になると予想し、加えて35年ぶりの無配とすることも明らかにした。経営刷新の必要性はひっ迫しており、残された時間は少ない。

386とはずがたり:2014/01/12(日) 17:34:59

【日本板硝子】
「小が大をのむ買収」から6年
欧州不況の追い打ちで長引く財務不安
http://diamond.jp/articles/-/16806

自身より規模が大きなピルキントンを買収し、グローバル企業に変貌を遂げた日本板硝子。しかし、期待されたシナジーを出せないまま、その重荷に苦しんでいる。だが出口はまだ見えてこない。

 日本板硝子の業績が急激に悪化している。2期連続で最終赤字を計上した後、一時は回復したものの2012年3月期の見通しは、営業利益を250億円から40億円に、当期損益を150億円の黒字から20億円の赤字に大幅下方修正した。

 日本板硝子といえば、06年、板ガラス世界大手の英ピルキントンを傘下に収め、「小が大をのみ込む」と話題をさらった。当時、買収に投じた費用は、総額約6160億円。日本板硝子の売上高の2倍以上の額だった。

 確かに、買収で一気に世界29ヵ国に生産拠点を持つグローバル企業へと変貌を遂げた。板ガラスのシェアは旭硝子や仏サンゴバンと肩を並べたほどだ。

 ところが、それから6年が経過した今なお期待されたほどのシナジーを出せないばかりか、逆にその重荷に苦しんでいるのが現状だ。

 要因はいくつかある。まずは本業不振。売上高の4割を占める欧州で、不況のあおりをもろに受けている。事業の柱である建築、自動車用ガラス共に需要が低迷、一方で燃料コストは上昇し、利益を圧迫している(図1)

 成長のドライバーと位置付けていた太陽電池用ガラスもさえない。主要顧客が大幅な減産を発表したほか、世界の市況が軟化し、販売価格下落が続いている。

 とはいえ要因は外部環境の悪化だけではない。「リーマンショック後、欧州でのリストラを十分やり切らないまま、新興国へ期待を寄せるあまり、積極的に投資したことが裏目に出ている」と、戦略ミスを指摘する関係者は多い。

 同社は10年に株式数を1.3倍に増やす、約400億円の公募増資を実施。その多くを新興国での工場新設・ライン増強に充てた。

 ブラジルでは自動車ガラスの生産能力を50%以上高めたが、ここにきて中国からの低価格品に押されっ放し。また、ベトナムでも太陽電池ガラスのライン新設が凍結に至るなど、計画が頓挫している。


 その結果、ROAは低水準が続き12年3月期の予想はマイナス(図2)。ライバルの旭硝子は5.6%(11年12月期)だからかなりの差だ。

 ネット有利子負債はピーク時の5141億円から3131億円まで縮小したものの、本業の不調も相まって11年4〜12月には300億円増えた。営業キャッシュフローはマイナスで、まさに負の連鎖に陥っているのだ(図3)。

 背景に、「マネジメント層で日・英の融合がうまくいっていないことがある」との声が社内外から漏れ伝わってくる。

 旧ピルキントン出身のスチュアート・チェンバース社長が「家庭の事情」を理由に1年3ヵ月で退任し、現在は米・化学品大手のデュポンからヘッドハンティングされたクレイグ・ネイラー氏がトップを務めるが、ここ1〜2年で実務を取り仕切ってきた外国人役員の交代が相次いでいる。

「結局、小は大にのみ込まれてしまったのではないか。組織の求心力低下が心配だ」とメインバンク幹部も語る始末だ。

 だが、不安要素はこれにとどまらない。

387とはずがたり:2014/01/12(日) 17:35:33
>>386-387

IFRSで浮かび上がる新たなレガシーコスト

「ベールに包まれていた重荷が浮かび上がった」

 日本板硝子は12年3月期から国際会計基準(IFRS)を早期適用しているが、これが皮肉にも大きな不安要素を認識させるきっかけになったと投資家は指摘する。それは、営業キャッシュフローの項目内にある「引当金及び退職給付引当金の増減」だ。

 12年3月期の第3四半期決算書を見てみると、この金額が約148億円にも上っている。日本基準だった昨年度までとは、1桁違う額だ。これは「IFRSを導入している他社の営業キャッシュフロー計算書では見たことがない金額」(投資家)という。

 これはいわゆる巨額の「レガシーコスト」(負の遺産)という見方が濃厚だ。「旧ピルキントンの手厚い退職金や企業年金制度を引き継いだままなのではないか」とみられている。

 6年間、買収で傷んだ財務と本業の不振、組織の融合に手をこまねいてきた日本板硝子。こうした状況を少しでも打開しようと、2月、緊急リストラ策を打ち出した。

 英国のライン休止を手始めに生産能力の削減と、グループ全体で3500人の人員削減を図る。また、13年3月期、14年3月期の設備投資を、有形資産減価償却費のレベル以下に抑制する。

 これを率いるのは、日本板硝子出身で、新たに代表執行役に選任された吉川恵治副社長。完了後は年間200億円のキャッシュを生み出す効果を見込む。

 ただ、リストラには現金250億円と現金支出を伴わない費用も発生する。欧州の景気低迷が世界に波及し、さらに事業環境が悪化する恐れもあるため、13年3月期以降も厳しい状況は続きそうだ。


 買収後、一時は700円台を付けた株価も現在は130円前後で推移するなど市場の評価はすこぶる低い(図4)。ここにきて格付けもいっせいに下げられており、今後の資金繰りはメインバンクに頼らざるを得ない。

 大枚をはたいて一世一代の大勝負に出た同社だが、現時点でそれが成功したとは言い難い。身動きが取れない間にもライバルは着々と成長の一手を打っている。

 抜本的な戦略の転換が迫られている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)


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