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献血の問題点と将来像

1シモヤマリュウシ:2009/02/24(火) 09:26:53
献血事業は献血者の減少によって転機にたっています。「今日の輸血」に書ききれなかった色々な問題点を論議したいと思います。

951コップ屋:2011/01/16(日) 20:37:48
ドナーはコップの中、赤十字はコップの外
一緒にするな、ボケ

952提言:2011/01/18(火) 08:48:42
若者の生き血で天下りを養う制度は
やめるべきではないか

953ハムラビ:2011/02/06(日) 16:16:41
目には目を
歯には歯を
200には200を

954ハムニダ:2011/02/08(火) 20:03:00
セクハラにはセクハラを
裁判には裁判を

955虫博士:2011/02/09(水) 09:18:34
アミ虫にはゴキブリを
ゴキブリにはアミ虫を

956正論:2011/04/11(月) 11:30:31
福島原発1号機は再臨界したようですね。
装蒸気爆発がおきれば東京も汚染範囲ですな。

957優良求人紹介委員会:2011/04/11(月) 19:29:36
カスレベルの期間工!
偽名献血手帳で血小板回数稼ぎした自己犠牲精神あふれる変態ドナー、
逝ってこい!

http://youpouch.com/2011/04/11/105700/
水上興業有限会社の求人情報 【清掃作業員、作業補助】

短期でガッチリ稼げる仕事です。
東北地方のかたのお手伝いをしに行こう!!

福島の原子力発電所での仕事です。
この言葉を聞いてイメージするものはいろいろあると思います。

ですので今回は、〜のためと割り切れる方の募集をお待ちしております。
締め切りは4月30日までです。
宜しくお願いします。

職種
清掃作業員、作業補助
雇用形態
派遣社員
求人広告内容
福島県の原子力発電所構内での、清掃作業、作業補助などをお願いします。
防護服など保護具は支給します。
支給した保護具を身につけた上で、現場の指示に従って動いていただきます。
現場作業員のことを考えた上で一日の作業時間を3時間前後とさしていただきます。
給与
日給3万円:一日作業3時間で30000円〜です。
採用資格条件
特になし
年齢制限
年齢不問
勤務時間
8:00〜17:00のうち3時間が実務
休日
現場カレンダーによる
雇用期間
3ヶ月の予定
勤務待遇
寮あり、飯つき、制服支給、現場のへの旅費一部支給

958いらっしゃいませさん:2011/05/01(日) 14:48:20
ドイツやオーストリアでは成分献血すれば現金がもらえる。
日本でもう20回以上してきたが、バカバカしくなったので日本ではもうしない。

959十右衛門:2011/05/01(日) 22:09:14
おつかれさまでした
さようなら

960どうぞ:2011/05/02(月) 00:57:00
>>958
ドイツやオーストリアでやってください

961いらっしゃいませさん:2011/06/20(月) 07:09:39
問題点:ルームナースが中年ばっかり

ベテランで、針刺等が巧ければまだ許せるが
ババァでなお下手ときたら最悪

962事情通:2011/07/31(日) 10:52:30
血液過剰時代到来か?

963いらっしゃいませさん:2011/08/29(月) 15:32:25
集約はまじで失敗だな
産科じゃ血液遅延で死亡例10例とか

964いらっしゃいませさん:2011/09/26(月) 06:10:28
ageha

965グランドステージ:2011/09/28(水) 01:31:30
aneha

966いらっしゃいませさん:2011/11/14(月) 12:42:26
集約は失敗でした

967いらっしゃいませさん:2011/11/14(月) 21:18:01
残念でした

既得権死守に成功しますた
職場の安定のために戦おう!

968いらっしゃいませさん:2011/11/14(月) 21:22:10
まだ泥船にしがみついてるのか
ドラキューら奴

969いらっしゃいませさん:2011/12/04(日) 02:00:37
b1997年に北大図書刊行会から、恩師関口定美先生とともに「今日の輸血」を上梓し、その後ほどなく関口先生が病に斃れられたので、2006年に単独で改訂新版を上梓しましたが、その後の5年間の変化はその前の10年の変化と同じくらい大きく、大幅に手直しすべきところが出てきました。
以前の2著のはしがきをみると、私自身の若さからくる使命感がみなぎっており、少し気恥ずかしくなるくらいですが、その後臨床に復帰したところから、観点を新たにして旧著を見直しました。出来上がってみると、旧著が一般向けの啓蒙書であったのに比して、実務家(輸血をする医師、血液センターの関係者、血液行政立案者)向けの資料的な色彩が強いものに仕上がっています。
大幅な改訂点は、輸血では製剤規格の変更、輸血ガイドラインの改訂、感染症遡及調査の確立、献血分野では問診票の改訂、初流血除去、白血球除去ですが、「新版今日の輸血」で表としてあげた「輸血の未来」がそのまま実現しつつあり、まだ実現していないのは人工血液だけということに驚かされます。
一方山中伸弥博士が世界で最初に開発したiPS細胞が輸血学の分野にも変化をもたらし、学会の名称さえもが日本輸血・細胞治療学会に変更されました。
本書は輸血医療の現状を叙述するだけでなく、その課題と将来展望についても大胆に踏み込んでいますが、本書を読んで読者諸氏が輸血に関心を持ち、その効用と副作用について正しいリテラシーを持っていただければ幸いです。
 本書の内容についての責任は専ら著者にありますが、輸血学界の敬愛する大先輩である小島健一先生にご閲読いただいたことをここに記して感謝します。 
 
2011年12月1日                 著  者

970いらっしゃいませさん:2011/12/04(日) 12:28:17
1献血と輸血の歴史                 1                    
2献血制度                     9
3血液型                     25
4血液検査                    30
5血液製剤                    37
6血漿分画製剤                  46
7輸血療法の実際                 50
8輸血生理学と赤血球輸血             55
9血漿輸血と血小板輸血              58
10輸血の副作用                 61
11自己血輸血                  68
12造血幹細胞移植                70
13細胞治療                   74
14アフェレシス療法               76
15人工血液                   78

971いらっしゃいませさん:2011/12/04(日) 16:59:55
今日、行ってきた

最低でした

あまりにも態度が悪く、最悪な気分です

972いらっしゃいませさん:2011/12/05(月) 05:05:33
健康な人の血液を採取して病気の人に与えるという治療はその方法において原始的であるといえる。その輸血医療の前提となる供血は今日の世界では基本的に献血によってまかなわれている。国際赤十字連盟は献血の定義として以下の6点を示している。すなわち自発的な行為で、献血基準が明示され、当事者の教育がなされており、輸血患者以外に利益を得るものがいなくて、また血液は最大限に活用され、検査成績その他について秘密が守られることである。これによれば献血は無償のボランティア行為であり、その血液は最大限に活用されなければならないことがわかる。

しかし厳密に考察するとこれらが十分に守られているとはいいがたい。そこに献血の方法論的困難があるといえよう。つまり第1点について言うなら、日本では職場献血や学校献血が奨励されているので、実は半強制的に献血する人もいるのである。第2点について言うなら、確かに献血基準は明示されているが、検診医師によってその運用にばらつきがあり、前回は献血できたが今回はできなかったという苦情が結構ある。第3点の教育研修も必ずしも十分ではない。第4点についても、血漿製造会社が献血から利益を受けていることを完全に否定はできないであろう。第5点の最大限利用については最も問題であり、特に遡及調査による必要以上(例えば英国滞在1日の献血者)の製剤減損はこの原則に背馳するものであったし、白血球除去フィルター事件での日赤の対応もそうであった。最後の献血者の秘密についは守られているだろうが、一部警察からの照会が血液型についてなされている。

973いらっしゃいませさん:2011/12/06(火) 06:10:49
今日先進国における輸血が献血でまかなわれているのは、健康な人からの供血が輸血の安全性を守る第一歩だからである。しかし血液スクリーニングの進歩によってこのことを科学的に証明することは困難になってきた。このあと述べるような問診などの献血者の負担が大きくなってきたことから、売血復帰の可能性も云々される(Vox Sang99:202,2011)。しかしながら、一旦到達した献血を、逆説的ながら費用的な問題から売血に戻すことは適切ではないというのが著者の見解である。

輸血は交通事故などでいつ必要になるかわからない医療である。したがってそれを支えるのも国民全体であるべきで、一部の職業的供血者に任せることは危機管理の面からも問題であるからだ。献血は健康な国民すべてが参加できる国民運動であると考えられる。また血液はいわば生ものであるから、集中的に採血して長期に保存しておくことができないものである。したがって血液事業に休日はないといえる。

献血はわが国では今なお日本赤十字社が独占的におこなっている。1964年の閣議決定により、そもそも日赤が献血の唯一の受け入れ機関であったが、2003年の新血液法によって採血業の許可を受ければだれでも献血事業に参入することが可能な建前になった。しかし現実的には長年のノウハウを持つ日赤が唯一の献血受け入れ機関である。ところが米国などのアジアを除く先進国で赤十字が献血を受け入れているところは少なく、仮に受け入れていても、病院の輸血部なども同時に献血を受けいれていることが多く、わが国と大きく異なる。

974いらっしゃいませさん:2011/12/07(水) 02:25:17
赤十字はもともとイタリア統一戦争でのソルフェリーノにおけるアンリ・デュナンの誓いによって始まった戦争時における救護組織である。1883年のジュネーブ条約によって国際的に認証された。日本赤十字社は1877年の西南戦争時の博愛社に始まり、1896年から国際赤十字の一員として人道公平中立独立奉仕単一世界性の7つをモットーとし、1,000万人余の社員(年間500円の社費納入者)の社費をもとに運営されている非営利法人である。日本赤十字社法に規定される特別公益法人である。したがって無償の献血を受けいれるのにふさわしい組織といえるが、その業務の独占性ゆえ高い倫理性と経営努力が求められる。しかし、大企業の常として自己防衛的発想から抜けきれない点が問題である。血液事業は独立採算になっており、営利私企業の属性を持っているからだ。

血液事業の目的は一言でいえば、有効で安全な血液を患者が必要なだけ供給するということにつきる。同時に善意で集められた血液を無駄なく利用しなければならない。そのため、需要に見合った献血というスローガンが掲げられている。組織的には血液センターは採血業、製造業、販売業を担っており、血液事業本部は製造販売業と安全管理(販売後の副作用調査)を担っている、

 血液センターは各県に1つずつあり、さらに県によっては付属センターがあるところもある。7つが基幹センターであったが、2005年以来の集約化に伴い、採血、検査、製造の3拍子がそろった血液センターは全国で7か所になり、ブロックセンターという名称となった。後述するように、これは当時の財政悪化とGMP偏重からきたプランであり世界的な趨勢に伴うものであったが、その欠点を考慮すると賢明な決断であったとはいいにくい。一言で言うと特殊製剤の供給遅延とレファランスラボとしての役割の低下をもたらした(紀野ら2009)からである。この集約化は2012年には完成し、検査が7か所、製剤が11か所に統合される。

975立ち読み:2011/12/07(水) 08:23:27
全文載せてくれ
買う必要がなくなるから

976いらっしゃいませさん:2011/12/07(水) 08:26:30
そりゃ無理だ 1000レス超えちゃうから
2章と8章だけな

977野次馬:2011/12/08(木) 09:01:02
>その業務の独占性ゆえ高い倫理性と経営努力が求められる。
あいつらに求めてもな

978いらっしゃいませさん:2011/12/08(木) 09:04:13
まあそういうなよ
厚生省の小役人に顎で使われてストレス溜まってるんだから

979池田くみへの感謝:2011/12/08(木) 23:12:46
感謝するべきである

980いらっしゃいませさん:2011/12/09(金) 01:53:42
だれそれ?

981いらっしゃいませさん:2011/12/11(日) 04:01:59
 血液センターは医療法上の診療所であり、同時に薬事法上の製造所であることからその法的位置づけがあいまいになっており、従事する職員も医師法、看護師法、薬剤師法、臨床検査技師法の監督を受けている。GMPにおける職制と医療法上の管理者義務との錯綜など問題点も多い。現在は薬事法が優位にあるが、その 医療としての本質と再生医療への貢献に鑑みると、今後統一的な輸血医療法によってその法的存在を明確化すべきであろう。
 献血には全血献血、すなわち通常の血液を採血する献血と、成分献血、つまり必要な成分だけ採取して残りを血管に返還するので時間がかかるものとがあり、前者には量によって200mLと400mL、後者には成分によって血漿と血小板がある。わが国ではまだ認められていないが、米国などでは赤血球の成分献血もある。
 献血の手順について簡単に記そう。初めて献血をするときには、献血バス、献血ルームなどに出向き、身分証明書で本人確認を受けてから、問診票に記載し、看護師による試験採血で血液Hb検査、医師による血圧測定、問診票の確認、採血適否の判定を経て、本採血に進む。成分採血では血液細胞数検査も事前に行う。

982ドナー:2011/12/11(日) 09:12:59
>医師による血圧測定

そこの機械で自分で測れって言われたけど?

983いらっしゃいませさん:2011/12/11(日) 09:50:36
それは邪道ですが許容されてます

984何様:2011/12/11(日) 19:51:18
高いカネとってるんだから、血圧くらい測れよ

985いらっしゃいませさん:2011/12/12(月) 05:45:51
献血は表に示すように種類によっては69歳まで可能である。そのほか、循環血液量の12%以上が失われないように体重の基準が定められている、体重が50kg以上(200mLと成分採血の最低基準は女子40kg、男子45kg)が基準だが、本来は循環血液量を身長と体重から計算した上での基準のほうが適切である。低体重者にしばしば血管迷走神経反応(VVR)が見られることからもそのことが首肯される。献血間隔は成分献血で2−4週間と短い。アメリカでは血漿採血は1週おきに年間50回もできる。これは血漿成分の回復が早いことに起因している。さらに年間回数制限があり、1年間に全血で男1,200mL女800mL、成分では血小板を2回と数えて血漿とあわせて24回をこえてはならない。ヘモグロビン(Hb)の基準は特に全血献血では重要で、採血により貧血がおきることを防ぐためもあるし、貧血者に献血を許して、貧血の原因となった重篤な病気の発見を遅らせてはならないからでもある。よって男女でその基準値が異なるのは当然である、以前は血液比重という曖昧な検査でおこなっていたが、現在はHemoQという簡易測定装置の導入により科学的な検証ができるようになった(Vox Sang 82:72,2002)。最高血圧90mmHg以上が必要で、脈拍も基準にはないが、50−110/分が限界であろう。病歴や貧血など健康上の理由で献血できない人が男性で2%、女性で15%くらい存

986いらっしゃいませさん:2011/12/12(月) 13:13:36
献血者数の年次推移は表3に示すが、1964年の閣議決定直後には年間20万人であった献血者数は1986年に700万人とピークを示し、400mL献血の普及によって現在は500万人前後となった。500万人を献血可能人口のおよそ8,000万人で割ると献血率として約6%という数字が出てくる。もっとも献血可能人口の中には体重やHb不足、服薬病気等でそもそも献血できない人も分母に入っているので、実際の献血率は10%前後と思われ、実に一般的な国民運動であることが理解される。なお1991年の急増は原料血漿国内自給のために血漿成分献血が増加したためである。
献血種別による割合は、表4に示すように全血がほとんどなくなって(年間1,000本未満)、2010年ではほぼ200mL献血10%、400mL献血60%、血漿献血15%、血小板献血15%の割合となっており、200mL献血は近い将来なくなるかもしれない。
表5に示すように、問診や検査があるので、最終的には献血希望者の8割弱の血液が供給されることになる。献血希望者の採血率は年々減少している(1995年84.2%→2010年82.6%)
 今日の献血事業の最大の問題点は、少子高齢化とそれに輪をかけた若年献血の減少である。そもそも70%以上の輸血を受ける高齢者に若年者が支えているという、年金問題と同じ図式ができているが、若年者献血は年々減少しているという悲観的な状況に陥っている。10,20代の献血は1995年には45.6%も占めたが、2010年には27.3%に激減した。献血を増やすためには献血という行為を魅力あるものにする以外にない。薬価改定と集約による余剰資金を利用したタレント宣伝だけでは若者が献血に回帰することはありえないと考える。現在でも献血には検査サービスのような報償があるが、これこそ関口先生の言っていた3つのモットーの1つ、よりよい献血者サービスにほかならず、また元ISBT会長ホランド博士の言うロイヤルティ(忠実さ)を持った献血者を育てることにつながるであろう。

987わさび:2011/12/12(月) 21:24:43
>>986
>献血種別による割合は、表4に示すように全血がほとんどなくなって(年間1,000本未満)、
>2010年ではほぼ200mL献血10%、400mL献血60%、血漿献血15%、血小板献血15%の割合となっており、
>200mL献血は近い将来なくなるかもしれない。

全血が殆どなくなってるという話は、献血種別ではなく輸血製剤の話でしょうか?

988いらっしゃいませさん:2011/12/12(月) 21:41:54
その通りです
ご指摘ありがとう

989いらっしゃいませさん:2011/12/12(月) 21:48:40
読んで字の如し。
全血採血したものを分離させずに、
そのまんま輸血には使わなくなった。

990野次馬:2011/12/12(月) 23:12:53
>ISBT会長ホランド博士の言うロイヤルティ(忠実さ)を持った献血者を育てることにつながるであろう。

赤十字がドナーに忠実を求めるとは、お笑いか?

991いらっしゃいませさん:2011/12/12(月) 23:16:31
採血は全血では単純なものであるが、凝固を防止するために血液が抗凝固剤と混ざるように攪拌しながら塩化ビニル製のバッグに採血する。その際、皮膚常在菌の混入をふせぐため2007年より始めの10mLほどの血液をバッグに入れず(初流血除去)、検査用に使う。
成分献血は複雑な機械とキットを使うもので、訓練された看護師しか行ってはいけない種類のものである。いわば今後導入される特定看護師ないし学会認定看護師の対象となるべきである。片腕の血管から採血と返血をくりかえす片腕法と、両腕からそれぞれ採血、返血する方法、また採血と返血を同時に行う連続法と採血返血を交互にくりかえす間歇法がある。両腕法は献血者の負担が大きいが安全性が高い。日本ではCS3000+に引き続いたAmicusという機種が大変よい機械であったが、わが国特有のGMP上の問題から日本より撤退した。現在は片腕間歇法としてTerusis(国産)とCCS、片腕連続法としてTrima、両腕連続法としてSpectraが使われている。ちなみにSpectraは白血球除去採血キット導入以前から白血球除去能が高かった。
献血はわが国では延べ1億人を超える経験のある安全性の高いものである。といっても米国では年間数人の死亡例があり、日本でそれがないのは僥倖ともいえる。表6に示すように副作用として一番多いのはVVRという血管迷走神経反応で、緊張や痛み、長時間の針刺しなどで迷走神経が刺激されて、血圧低下、徐脈をおこすものである。重症の場合には意識消失、失禁あるいは脱糞をおこすことさえある(表7)。処置は頭をさげて、ひどい場合には電解質の点滴をするとよい。循環血液量減少も引き金となるからである。問題なのは遅延性のVVRで、これが駅のホームなどでおきると死亡事故につながりかねず、実際2例の報告がある。また2005年には東京都で、排尿失神で頭をうっての事故死がおきており、これ以後、献血直後の排尿は男子でも座位でおこなうことが要求されるようになった。

992いらっしゃいませさん:2011/12/12(月) 23:23:05
著者は1995年の初版の全国統一問診票導入当初から問診票の改訂やマニュアル化に携わったので、以下に表8の最新版問診票に沿って問診の趣旨と要点を記載する。問診は献血者の健康を守るのが第一で、血液の安全性を担保するには限定的効果しかないことを認識すべきである。新血液法施行規則は献血者の健康診断の方法として、問診だけでなく、視診、触診、聴診、打診、体温測定、体重測定、血圧測定、血色素検査、血小板数検査をあげているが、この条文同様、医師の役割は形骸化していると言わざるをえない。
問診は検査を行う経済力のない国ではきわめて重要なプロセスだが、先進国においては問診によって、検査で残された危険性をすべて払拭することなど不可能である。たとえば、最近ピーナツをたくさん食べた献血者の血液によって受血者にアナフィラキシーが起きた例が報告されているが(NEJM org 364:20,2011)、こうした可能性まで排除すればほとんど献血は成り立たないといわざるをえない。問診とその判断は「中庸をもって尊しとなす」べきであろう。

993いらっしゃいませさん:2011/12/12(月) 23:25:18
1番は体調を聞く質問で、体調の悪いときに献血する必要もないし、有害である。有熱者(>37℃)は無条件に不可とすべきである。睡眠不足、空腹や満腹時はVVRをおこしやすい。もっとも睡眠時間や食事時間で機械的に判断することはできない。
2番は菌血症を起こす可能性のある歯科治療について聞くものであるが、超音波による歯石除去は可である。
3番は服薬注射であるが、薬によっては少量で患者血中で有害な効果をひきおこすものもある。しかし、一般的には献血者血液中の薬物は患者血中で希釈され、また代謝崩壊するので、通常有効血中濃度に達しない。故に抗癌剤等特殊な薬を除けばこの点に拘泥する必要はない。より重要なことは病気で薬をのんでいるような人から献血することの献血者の健康上の是非の問題である。
4番は催奇形性のある前立腺肥大治療薬、おもに男性ホルモン類似物については献血不可である。5番は同じく催奇形性のあるビタミンA誘導体も献血不可である。
6番はインフルエンザワクチン(不活化ワクチン)の注射後24時間は避ける。7番は不活化ワクチンでは1日、生ワクチンでは4週間間をおくということである。
8番の1はいずれもよく見られる小児感染症であり、治癒後相当の期間は血液中にウイルス残存の可能性もあるので避ける。2の1か月以内の下痢はエルシニア菌食中毒を想定している。
9番はA・E型肝炎、リンゴ病などの家族感染での潜伏期献血者の取り出しである。
10番では主に肝炎ウイルス感染のウインドウ期を見ている
11番では採血が健康に有害な病気について聞いている。もっともその重症度が問題であろう。単なる外傷を感染による菌血症の可能性ありとして排除するのは如何なものか。
12番では、B型肝炎は抗体ができてもHBVが肝細胞のDNAに潜在していることから、生涯献血不可とすべきであろう。事実、最近免疫抑制剤で、潜伏していた肝炎ウイルスが再活性化した例が多数報告されている。一方、この項目はHBV以外は永久不可とされているが、治癒した早期がんについては合理的でない。
13番ではC型肝炎や原虫感染症が生涯献血不可となる、
14番では移入感染症防止のため4週間の潜伏期をみて、WNVやデング熱などの感染を防止しようとしている。
15番はマラリア対策であるが、旅行地や期間で区分けするというのもやや原始的な感じがする。マラリア原虫が仮に赤血球に存在していても血漿分画製剤には使えるわけであり、豪州では実際そうなっている、献血不足をいうならそういう細かな配慮も必要であろう。
16−18番はvCJD対策でヨーロッパの滞在歴で規則がある。特に1980−1996年の英国滞在は当初1日でも不可だったが、2010年より1か月で不可に緩和された。ただ、菜食主義者で牛肉由来のソースさえ摂取しない人でも不可とするのは非科学的ではないだろうか。
19番はエイズ検査目的の献血を防止するためだが、正直に答える人がいるとは思えない。
20番ではエイズのウインドウ期間(感染から検査で検出されるまでの空白期間)を見つけるものだが、「不特定」のあとに「又は多数の」と入れたほうがよかった。また、エイズ感染者に聞いてみると青天の霹靂が5割おり、感染機会の自覚が乏しいことからこの設問の有効性にも疑問符がともる。
21番は輸血や臓器移植で未知の感染症とくにBSEなどの感染を防ごうという趣旨か
22番はプリオンの感染を防ぐものだが、成長ホルモンはリコンビナントのもの(1995年以降)なら構わない。ヒト由来のドイツ製硬膜(2001年以前)で古典的CJDが多発した事は記憶に新しい。
23番は妊婦、授乳期の献血を断るための質問である。鉄の潜在的欠乏状態にある献血者の保護である。
なお米国FDAの再来献血者用の簡易問診表も30項目からなるが、うち9項目がHIV防止のための性交渉に関する設問である点が特徴的である。

994いらっしゃいませさん:2011/12/13(火) 04:01:00
 問診後、エイズ関連の質問に正直に答えられなかった場合を想定して、自己申告の説明用紙が配布され、24時間以内に匿名電話で(血液番号だけを通知する)連絡することが求められている。この制度はもともと米国にあったが、現在は有効性の乏しいとしてFDAは推奨していない。実際わが国でも自己申告者からのHIV陽性者の検出率は公表されていないがきわめて低い。
また献血後に寄せられる献血者からの情報としてはマラリア地域への旅行とBSE関連国への旅行が多い。これらの献血後情報は遡及的な製剤の廃棄につながるので、本来はウイルス肝炎発症などの臨床的に有意義な情報がほしいところだ。
2004年から献血作業は全国統一のコンピュータシステムによっておこなわれるようになった。膨大なデータを扱うことから当然ではあるが、採血現場でのリアルタイム入力にこだわったために、看護師の仕事を増やして過誤増加の原因となり、また採血部門と、検査、製剤、供給の各部門のつながりが十分でないため、手作業が混入するという欠点がある。
 Rh陰性や稀な血液については献血者登録制度があるとともに、世界的ネットワークになっており、大阪センターに本部がある。
献血リクルートに協力している組織としてライオンズクラブが有名だが、学生献血連盟、赤十字奉仕団などもリクルートに協力している。
2003年に献血ICカードが導入されて、本人確認が厳しくなった。感染症遡及調査を担保する以外に具体的な効能はなかったが、頻回献血者は多数回献血者クラブに加入できるようになって、自分のデータをパソコン上から知ることができる。また10回、30回、50回、100回、以後50回ごとに表彰があり、色の異なる杯が渡される。表彰回数については、1993年までは成分献血促進のため200mL1回、400mL2回、成分3回で換算されていたが、2003年からすべて1回となった。

995いらっしゃいませさん:2011/12/13(火) 06:30:36
 血液は心臓の左心室から大動脈に押し出され、いくつかの動脈に分岐して、末梢では毛細血管になり、組織間隙で酸素と二酸化炭素を交換して細静脈から2つの大静脈となって心臓の右心房に戻り、右心室を経て肺動脈をめぐり、肺胞で酸素を取り入れて動脈血となって肺静脈を通って左心房に戻り左心室から動脈に押し出される。循環血液量は体重のおよそ7%であって、そのほか組織間隙に血漿に近い組成の細胞外液がある。血管浸透圧を維持しているアルブミンが濃度が減少すると、血管から組織間隙に血漿がもれて循環血漿量は減少する。
 さて、出血すると循環血液量が減少し、右心房に帰る血液が減少するためスターリングの法則により心拍出量も減少する。循環血液量の15%が急激に失われると血圧が保たれなくなり、酸素供給ができなくなる、30%以上が急激に失われればおそらく死に至るであろう。それゆえ急性出血では全血あるいは赤血球と電解質液の輸液が必要となる。これが輸血生理学の基本である。
 出血すれば循環血液量が減少し血圧が下がり、反射的に脈拍があがって、冠状動脈血流が減少し、心筋虚血の悪循環に陥る。
献血現場では200mL献血は必要とされていないと刷り込まれているが、老人の低体重者における慢性貧血においては、急速な補正は心不全をきたすことから、200mL輸血を数日続けるという選択肢が適切であり、老齢化が進むにつれてむしろ200mLの需要が増えるのが本当かもしれない。
慢性の貧血では原因を精査して原因治療をすべきで、たとえば鉄欠乏性貧血なら鉄剤の補給、腎性貧血にはEPO,悪性貧血ならVB12の注射、溶血性貧血ならステロイド剤など。血液疾患、たとえば再生不良性貧血や白血病、骨髄異形成症候群による高度な貧血では赤血球輸血が必要となるが、その量は1日1−2単位である。なぜなら、循環血液量は減少しておらず、循環負荷になりやすい状況にあるからである。胃潰瘍、痔疾、子宮筋腫などで高度の貧血があり、根治治療までに症状を改善する必要がある場合は2単位程度の赤血球輸血をしておく。
出血における輸血の基本を図2に示す。急性の出血では脈拍が増加し、血圧は低下する。脈拍/最高血圧を出血量の目安とすることができる。手術中の出血が代表的なものだが、赤血球輸血のトリガーは一応6g/dLが最低レベルとなる。低体重出生児ではトリガーは高めになる。呼吸困難がなくてもHb8g/dL、あれば10g/dLである。血液が到着するまでにリンゲル液を2−4L輸液する。循環血液量の20%以下の出血ならリンゲル液だけで十分である、循環血液量の20−50%の出血では人工膠質液を使用してもよいが、赤血球と電解質液の併用が基本である。循環血液の50%以上の出血では赤血球にアルブミンを併用する。100%以上の出血ではさらに新鮮凍結血漿や血小板を併用する。こうした場合ドナー・エクスポージャを増やさないためには新鮮全血の適応が考慮される。

996いらっしゃいませさん:2011/12/13(火) 18:27:44
血液型とは血液細胞の細胞膜に発現する血液型物質で区別される群である。赤血球の血液型はABO、Lewis、P、Iiの4つの糖鎖抗原とRhを代表とする18の蛋白抗原の2種類のシステムに分類される。これらの血液型物質の生産は遺伝子によっており、たとえばABOは第9、RhDとRhCEは第1、HLA−A,B,C,DRは第6染色体上にある。A,B,Oは複対立関係にある遺伝子である。
ABO式血液型の発見によって初めて輸血は科学的治療として成立した。ABO型血液型の物質的本質は赤血球の細胞膜に表現された血液型物質である。H抗原が原型であり、これが表現型のO型になる。これにN−アセチルガラクトサミンかガラクトースが付くとそれぞれA型、B型となる。AB型は両者が混合したものである(図1)。
血漿中にはABO型物質に対する抗体が存在する。この抗体は動植物などの擬似物質への抗体として生産されたものと思われるが、自然抗体とよばれる。ちなみにA型の血清には抗Bしか存在せず、B型には抗Aしかない、またO型には両方存在し、AB型にはどちらも存在しないという関係をランドシュタイナーの法則という
Bombay型という稀血ではH抗原が存在せず、血漿中には抗A、抗Bのほか抗Hが存在してO型の輸血も受け付けない。微量のH抗原を持つ稀血はparaBombay型といわれる。
A型にはサブタイプがあり、日本人を含むアジア人にはA1が多い。日本人ではA1が99.8%。一方アメリカ人ではA1が80%
でA2が20%である(表10a)。A型の亜型としてほかにA3、Am、Axもあり、血清中に抗A1抗体を生じて血液型のオモテ試験とウラ試験の不一致の原因となるが、比較的まれである。B型にも亜型があり、B3、Bm、Bxなどがある。
cisAB型というのは一見メンデルの法則に沿わない遺伝形式をとる。A2B型とO型の父母からAB型の子が生まれたとの報告以来14例ほどの報告がある。日本人におけるcisAB型の頻度はAB型の0.012%とされる。cisAB型の遺伝子では、A遺伝子とB遺伝子が同一の染色体上に存在していることがわかった。
ABO型の型物質は乳児期には発現が少なく、この時期の血液型判定はしばしば誤る。また後天的変化として、白血病による型物質の変化や、大腸での細菌繁殖による獲得Bなどがある。

997いらっしゃいませさん:2011/12/13(火) 19:47:46
輸血検査とりわけ感染症スクリーニングの発達が輸血副作用の防止に画期的に役立ってきた。スクリーニングとは篩にかけるということで、病原体を含有している恐れのある血液を輸血から除外するということである。献血は多人数であり、結果を供給可否に反映させることから、検査は簡易でかつ迅速でなければならない。そのため伝統的に血液センターでは凝集法検査が行われてきたが(表11参照)、感度を改善するため2008年より化学蛍光酵素免疫法(CLEIA)に置きかわっている。そのほか3種類のウイルスについてプール検体に対するコンビネーションNATスクリーニングと、(陽性の場合)個別確認NATが行われている。
検査は理想的には病原体の存在するものを陽性と判断し、存在しないものを陰性と判断すべきであるが、実際には感度や特異性の問題がある。つまり、ある濃度以下のものは陽性と判定できず、また似たものを実際はそうでないのに陽性と判定してしまう。前者を偽陰性、後者を偽陽性という。血液スクリーニングではその目的から偽陽性はある程度許されるが偽陰性は許されない。なぜなら陰性と判定されながら病原体を含んでいるために患者を感染させる危険があるからである。
この検査法には変遷があり、B型肝炎ウイルス(HBV)についてはHBs抗原では最初RPHAであったが、EIAを経て現在CLEIA法になっている。さらにHBs抗原では捕捉できない持続感染についてHBc抗体でカットオフ・インデックス(COI) 12以上のものを陽性として除外している。そのさいHBs抗体が強陽性の場合はウイルスは血液中に存在しない可能性が高いという前提で輸血可とされているが、本来はHBc抗体が少しでも陽性のものをすべて排除できれば完璧な予防対策となる。最近厚生労働省の審議会でその方向性が決まった。
HCV(C型肝炎ウイルス)抗体検査は最初EIA,ついでPAないしPHA,現在はCLEIA法となっている。
ヒトTリンパ球向性ウイルス1型(HTLV-1)はPA法からCLEIA法に変わった。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)についてもEIA法そしてPA法からCLEIA法に変わっているが、いずれもHIV-1のみならずHIV-2とも反応する。というのもアフリカからの渡航者に1例HIV-2陽性者がいたからである。確認試験はウエスタンブロット(WB)法である。梅毒検査については、以前はRPR法で行っていたが、現在はTPPA法、そしてCLEIA法を併用している。
HIVの最近の傾向は表13に示すように大阪地方での陽性率の突出である。
ヒトパルボウイルス(HPV)B19はRHA法という特殊な検査だったが、感度が低いのでCLEIA法に変更された。分画製剤では製品のHPV-B19NATを行い、陰性を確認している。
検査不合格率は、後述の献血者への通知により年々減少している(1995年8.3%→2010年4.1%)
そのほかE型肝炎ウイルス(HEV)については表14に示すように明らかに一定の割合で感染しており、しかも血液中にウイルスが存在する時期があるので、スクリーニングが必要だが、残念ながら北海道等でローカルに調べられているにすぎない。

998いらっしゃいませさん:2011/12/13(火) 19:49:10
輸血副作用の王様は古典的には不適合輸血であり、現在も年間数名が死亡している可能性がある。ABO不適合輸血は検査の誤りよりも事務的なミスでおきている。輸血学会の調査によると、1995−1999年には166件、2000-2004年では60件もおきている。一旦おきた場合は輸血の中止と、ステロイド剤の投与、血圧、酸素濃度維持のための治療、DIC対策である。
その後輸血感染症が焦点となったが、スクリーニング検査と確認試験が整備されて現今の輸血感染症についてはほぼ防止されている。
 1990年代には、欧米では免疫不全患者にしか報告されていなかった輸血後GVHDという致死的副作用が日本で外科手術例660例に1回の割合で報告されていた。そのメカニズムはHLA型がaaの患者にHLA型がabの血液が輸血されて、ドナーT細胞のb抗原が患者細胞のa抗原を異物と認識して攻撃することによることがわかった。それゆえHLAの多様性の少ないわが国で多発したのである。症状は輸血後1週間で現われ、発疹、出血、下痢、肝障害など多臓器不全をおこし死に至る。しかしこれも十字らの努力で血球製剤の放射線照射(15−50Gy)によるリンパ球不活化で撲滅された。
今日では、輸血の最大の脅威は輸血関連急性肺傷害(TRALI)である。TRALIとはおそらく抗白血球抗体に対す免疫反応により肺血管床をステージとしてサイトカインストームがおこり、急性呼吸障害を呈するものである。日本では年間10例程度報告されており、米国でも同程度の報告がある。
白血球除去製剤導入の効果については今のところ統計的に有意な大規模スタディの結果は出ていない。というのも、頻回輸血患者では以前からベッドサイドフィルターで事実上白血球除去がなされていたためと思われる。いずれにしても長期的な観察が必要である。
白血球が原因と考えられているものに、免疫修飾(TRIM)がある。これは十分定義されていないが、免疫能が低下して発ガンなどの傾向が高まったり、感染症が増加するというものである。
輸血後紫斑病はわが国では比較的珍しい副作用で輸血1週間以内に急激な血小板減少、粘膜出血、血尿がおきる、血小板特異抗原の不適合が原因である。欧米ではHPA-3で多く報告されている。

999いらっしゃいませさん:2011/12/13(火) 19:50:11
遡及調査は、HBVの輸血感染報告などを契機として2003年厚生大臣命令で表42を基準として始められた。血液検査では感染初期のウインドウ期(図4参照)は陰性となるので、感染が確認された献血時期からウインドウ期に相当する日数遡った間に過去の献血があればそれを廃棄するか、使われている場合は患者を追跡するというものである。また前回献血の保管検体陽性の場合は、それよりさらにウインドウ期に相当する日数を遡った時点まで感染の理論的可能性がある。FFPと原料血漿は貯留保管されているので、廃棄になることが多い。
本来は小規模調査から初めてその効果や問題点を検討したうえで実行すべきであった、実際には表43に示すようにその効果は調査自体のコストや労力と比べると小さなものといわざるをえない。また献血後情報と称して英国滞在歴の判明で製剤を減損するのは賛成できない。
遡及調査のために患者の輸血前採血と採血バッグを一定期間保存するのはいいことだが、細菌調査のために使い残りのバッグまで保存させるのは現実的でない。
細菌汚染はとくに血小板製剤で問題となり(表44)、米国のように期限が長いところでは、死亡例が報告されている。2003年のBacon studyでは赤血球で0.00015%、血小板で0.001%の頻度だった。菌種としてはブドウ球菌、クレブシエラ菌、連鎖球菌、セラチア菌などの常在菌が多い。またまれに歯磨き後の菌血症も報告されている。

1000いらっしゃいませさん:2011/12/13(火) 19:51:13
18 献血と輸血の課題と将来
少子高齢化時代に献血を量的にも質的にも維持するためには、個々の採血血液がどのように使われたかを献血者にフィードバックし、献血者にインセンティブを与えて、輸血患者に対するロイヤルティを持たせるようなシステムが必要であろう。
採血を医業、採血所を診療所と規定するこじ付けをやめて、特定看護師に独立して採血させてもよいであろう。但し採血事故が起きた場合、採血業者に無過失責任を課すべきである。
輸血の安全性については、新たな感染症はつねに襲ってくるであろうから、危機管理の準備をしておくべきである。その意味でHEV対策はモデルとなりうるものであったが、残念ながら今に至るまで適切な対策が決まっていない。
また輸血副作用ではTRALIの克服が最重要課題だが、これも具体的な対策がたてられていない。少なくとも経産婦の血漿を使用しないことから始めるべきであろう。
製造供給体制については、集約が完成する以上手直しを考えるしか道はない。ロットを構成しない製剤のGMPも真剣に検討すべきである。
販売後体制については遡及調査でなく、各医療機関の前向き調査が必要である。また血小板製剤の細菌汚染対策として供給前細菌検査が必要である。
血液製剤中のウイルス等の不活化については副作用を十分検討すべきだが、導入の際はNATを廃止するようなメリットがなければ費用効果が得られない。
造血幹細胞移植については患者ごとにどの方法を選択するか適応ガイドラインを作るべきではないか。
最後に、究極的な目標は他人からの輸血をなくし、自己血と人工血液でまかなえるようにすることであろう。つまり、相対的無輸血をさらに進めて絶対的無輸血とすることではないだろうか。




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