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黒月
1
:
小説好きな名無し
:2011/01/04(火) 00:04:27 HOST:p938e75.tokynt01.ap.so-net.ne.jp
初めまして、小説好きな名無しと申します!
この作品はアクション物です
若干グロは入ると思っています
エロは入れる気はありません(……多分)
どうか宜しくお願い致します!
2
:
小説好きな名無し
:2011/01/04(火) 00:32:26 HOST:p938e75.tokynt01.ap.so-net.ne.jp
第1話
ごく普通の高校生、黒月歩。彼は普通過ぎて面白みのない自分の人生に飽き飽きしていた。
次第に失われていく人生の充実感。下がり続ける成績。そして今、彼は学校長の前に立たされている。
永遠のように続く説教。何度も何度も同じことの繰り返し。
前期の期間テスト。後期の中間、期末テスト。テストを受けるたびに呼び出されては同じ話を聞かされる。
だが今回は一つだけ違う台詞を聞くことができた。
退学
そのニ文字。
***
十六時頃、家へ帰ったが扉は堅く閉ざされていた。誰もいないのだろうか、そう思い、家の鍵を差し、ロックを解除する。
しかしそれでも、扉は完全には開かなかった。チェーンロックがかかっており、扉がきちんと開かない。
携帯を開け、親の携帯に電話をする。
出ない。
メールをしてみる。すると返事は一分もせず返ってきた。
「外で反省しなさい」
それだけ書いてあった。これもいつものお決まりのパターン。説教を受けると必ず外で反省させられる。
仕方なく歩は自宅を後にし、コンビニで雑誌を手に取る。ペラペラと流し読み、すぐ棚に戻す。また他の雑誌を手に取る。
それをただ繰り返し、飽きたらまた外へ出る。
まだ十七時だ。とりあえず気の向くまま歩いてみることにした。
***
十九時。結構歩いた。そろそろ良いだろうと、歩は自宅への道を歩き始める。
もう冬にもなり、空は黒一色に塗り潰されていた。手に息を吹きかけ、早足で自宅に向かう。
そんな時だった、たまたま通り過ぎたゴミ置き場に置いてあったある物に歩の心は引かれた。
刀だ。
当然鞘に収まってはいるが、歩はそれを手に取った。流石におもちゃなのだろう、鞘から刀を抜くことはできない。
ただ、もう一つ気になる所があった。
鞘に巻きつけられた猫のキーホルダー。猫と刀と言う意味不明な組み合わせがまた歩の心を引いている。
とりあえず気に入ったため、そのキーホルダーごと刀を拾い、再び自宅へと歩は歩き出した。
3
:
小説好きな名無し
:2011/01/05(水) 01:24:12 HOST:p02a4f3.tokynt01.ap.so-net.ne.jp
第2話
もう鍵はかけられていなかった。家の中は外と変わらない程の黒一色。
歩は手さぐりに二階へ上がれる階段を探し、部屋へと入った。
何となく歩はホッとした気分になった。もしこんな汚れたおもちゃの刀を持っている所を母親か父親にでも見られたらすぐ捨てて来いなどと言われたに違いない。
それにしてもこの刀についていた猫のキーホルダー。黒々とした毛並み、パッチリと開いた眼。まるで本物の猫のようだ。
刀はとりあえず見つからないようにベッドの下に。猫のキーホルダーは携帯につけてみることにした。
今日は疲れているのだろう。瞼が重い気がする。歩はベッドの上に倒れ込むと数秒程で深い眠りについてしまった。
***
翌日、眠い目をこすりながら枕元の目覚まし時計を見ると、長針が10、短針が25を指していた。
十時二十五分。
一瞬再び目を閉じた。だがすぐにサッと起き上る。
(遅刻だ!!)
焦りに焦りながらカバンに教材を詰め込む。
「バカかお前は。 つい昨日退学させられたばかりだろうが」
その声で歩はハッとして手を止めた。
そうだ、自分は学校を退学させられたんだ。
だが次の瞬間、次なる疑問が歩の頭の中をめぐる。
(今……誰が喋った!?)
歩の両親は今仕事に出ているはずだった。なら今彼に話しかけたのは誰なのか?
辺りを見回しても誰もいない。
空耳?
まだ起きたばかりだから幻聴を耳にしたのかもしれない。そうだ、それしか考えられない。そうであることを願いたい。
だがそんな歩の願いは届かず、再び謎の声は何処からとなく聞こえてくる。
「こっちだよこっち。 お前の携帯の近く」
携帯。
布団に埋もれていた携帯を取り上げ、確認するが、特に異常は見当たらなかった。
携帯の方は。
異常があったのはそのストラップの方だった。黒猫のキーホルダーが動いている。
「え? ……え?」
「まあこんな代物を見るのも初めてだろう。 驚くのも無理はない」
頭の中がどんどん混乱して行く。昨日拾った刀と一緒についてきた黒猫のキーホルダーが今ここで突然喋り始めた。
自分の頬を思い切りつねってみる。痛みは確かに感じる。どうやら夢ではないようだ。
「ワシは八咫(やた)。 儀式具の一つだ」
「儀式具?」
「お教えしよう。 儀式具と言うのは人と魂の宿った儀式具とが契約をすることでその人間の潜在能力を極限まで引き出し、特別な能力を手に入れることのできる、いわば魔法の道具。
どうだ? これもなんかの縁。 契約を交わしておかんか?」
べらべらと喋るその儀式具とか呼ばれる黒猫を見ているとだんだんと気味の悪さが退いていった。
特別な能力が貰えると言われると興味を示さない者は多分いないだろう。当然歩もその話に対してかなりの興味を持った。
「お前と契約するとどんな能力が手に入るんだ?」
「そいつはワシと契約してからのお楽しみだ。 さあ、どうする? 人生を変える転機にもなるかも知れんぞ?」
人生を変える……。丁度つまらないと思っていたこの人生。これはまさに自分にピッタリな設定じゃないだろうか?
歩の口は自然と動いていた。
「契約……しよう。 それでオレ、また新しい生き方を探してみるよ!」
「新しい生き方か。 いいだろう。 それでは契約のため、まずワシとお前の間に誓いを立てさせてもらう」
「誓い?」
「1つ。 ワシの名前……八咫と言う名前は絶対に人に教えるな」
歩は思わず「え?」と聞き返してしまった。誓いなどと言うほどだからもっと恐ろしい言葉を想像していた。
「儀式具と契約しているのはお前だけではない。 他の能力者にワシの名前を呼ばれた時、ワシは消滅してしまう」
「なるほど、それは重要だな」
「もう一つ。 ワシを常にお前の身近に置くこと。 これは能力者とか関係なくホントに頼む。 一人では寂しいんだ……」
これもまたつい「え?」と聞き返してしまった。八咫は恥ずかしそうに歩から目をそらしている。
道具でも寂しくなることがあるのか、と歩はそれでとりあえず納得した。
4
:
小説好きな名無し
:2011/01/05(水) 01:26:25 HOST:p02a4f3.tokynt01.ap.so-net.ne.jp
「ま、まあこの二つを守っている限りは能力は消えたりしないから安心しろ。 多分」
「多分!?」
「あ、いや、すまん……。 最近物忘れが多くてな……。 どうしたものか、何であんな所に捨てられていたのかも覚えていないんだ」
「まあ、また思い出したら言ってよ」
「うむ。 それでは、これからよろしく頼むぞ、歩よ」
「何で名前知ってんの?」
「ハハハ、契約をした相手のことは全て知ることができるのが儀式具だ。 お前の初恋の人も―――」
「それ以上言うな!!」
この謎の猫と出会った事によって黒月歩の人生はガラリと変わることになるのだった。
長くなっちゃったので2回に分けちゃいました。ごめんなさい
5
:
名無しさん
:2011/01/05(水) 03:05:09 HOST:p02a4f3.tokynt01.ap.so-net.ne.jp
「ま、まあこの二つを守っている限りは能力は消えたりしないから安心しろ。 多分」
「多分!?」
「あ、いや、すまん……。 最近物忘れが多くてな……。 どうしたものか、何であんな所に捨てられていたのかも覚えていないんだ」
「まあ、また思い出したら言ってよ」
「うむ。 それでは、これからよろしく頼むぞ、歩よ」
「何で名前知ってんの?」
「ハハハ、契約をした相手のことは全て知ることができるのが儀式具だ。 お前の初恋の人も―――」
「それ以上言うな!!」
この謎の猫と出会った事によって黒月歩の人生はガラリと変わることになるのだった。
文章間開けるの忘れていました、読みにくくなり、大変申し訳ございません
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