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女探偵 柊 尚美

1名無しさん:2006/08/07(月) 00:12:27
*注意点
このスレは基本的に『女探偵 柊 尚美』を書き込むだけの
スレです。
感想等は感想スレにお願いします。

2女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:13:29

夜の国立博物館。
大展示室に1つの黒い人影が見える。
人影の先にはケースがひとつ。
その中に収められた青い輝き。
そう、“碧き天星”。
魅惑の輝きを放つ巨大なブルーダイヤ。
その神秘の青い輝きは、見るもの全てを魅了する。
多くの怪盗たちをもまた・・・。

今夜もまた1人・・・。

「へっへっへ、この“碧き天星”。怪盗王でさえ盗めなかったこいつも、俺様の、爆弾男爵様の手にかかりゃちょろいもんよ。」
つぶやく人影。
その瞬間、
パッ
展示室の照明が点いた。
「そこまでよ! 爆弾男爵。」
少女の声が大展示室に響き渡った。

「おのれ、後一歩というところで・・・」
爆弾男爵と呼ばれた男がうめく。

「おあいにく様ね、この『碧き天星』、私たち少女探偵団があるかぎり、決してあなたたちファントムの残党なんかに盗ませはしないわ」
「碧き天星」が収められたガラスケース。
そのケースの傍らに立つ美少女、すなわち少女探偵団のリーダー柊由美子(ひいらぎ ゆみこ)は決然と言い放った。
「さあ、観念なさい。」 由美子は歩み出る。
彼女の左右に少女探偵団の団員、浅井美和と大西久美子が立つ。さらに入り口から、ばらばらと警官隊が入ってくる。

「ふっふっふっふっふ、それはどうかな。小娘ども、俺を、爆弾男爵様をなめるな!」
爆弾男爵は叫ぶと、懐から何かを取り出した。

ドスーン

「!」
由美子が後ろを振り向くと展示室入り口が煙をたてて崩れ落ちている。警官隊の先頭の何人かが、頭や腕から血を流してうずくまっている。慌てて美和と久美子がかけよる。幸い、瓦礫の下敷きになった警官はいないが、後続の警官隊も入れそうにない。

「俺様が、何の準備もなしに、ここに来たとでも思ったか。ほれっ、ほれっ。」
爆弾男爵が再びスイッチを入れると展示室のあちこちで爆発が起こった。他の展示品にも被害が出る。
「なんてことを・・・・・」
絶句する由美子を、爆弾男爵がせせら笑う。
「『蒼き天星』を俺のものにできないのは残念だがな、だったらこの世から消えてもらうまでだ。お前らと一緒にな、くっくっく。」
爆発の1つで壁にあいた穴にむかいながら、爆弾男爵は最後のスイッチに手をかけた。

3女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:15:28

「!?」
なにも起こらない。
爆弾男爵は、慌ててカチカチとスイッチをいじくった。

壁の穴の向こうに、スーツ姿の美女と中年の小男が現れた。
「なんとか間に合った様ですね、尚美先生」
中年男が美女に言った。
「警部、あなたがもっと早く連絡してくだされば、こんなぎりぎりの展開にはならなかったはずですよ。」
「いや〜、それはおっしゃらないでくださいよ、尚美先生。」
男爵に向かって、尚美先生と呼ばれた女は言った。
「男爵、あなたの仕掛は無力化させてもらったわ。」
形のよい指で、妨害電波の発信機を操りながら、女は展示室に入ってくる。

「おまえは・・・、柊・・・尚美・・・」
「お母様・・・」
「尚美先生・・・」
爆弾男爵の呻きと由美子たちのつぶやきが重なった。

そう、彼女こそ柊尚美(ひいらぎ なおみ)。
かつて猛威を振るい各国の警察すら手玉に取った怪盗集団に戦いを挑み、ついにはその総帥たる怪盗王ファントムを自決に追いやった女探偵。
そして少女探偵団のリーダー柊由美子の母である。

彼女は由美子に言った。
「まだまだね、由美子。詰めが甘いわよ。」
そして、男爵の方をむいてため息をつく。
「目的のお宝を盗めなかったからといって、爆破しようとするなんて・・・。しかも、他の展示品ともども。しかも周囲の人間も一緒に・・・。貴方の乱暴さにはファントム、今は亡き怪盗王もあの世でさぞお嘆きでしょうね。」

「あんな奴のことなんか知るか!」
爆弾男爵が尚美に飛びかかった。
突然、彼の体は反転し、背中から勢いよく、爆破された壁の破片が散らばる床にたたきつけられる。
「・・・・・ううっ」
「私が、柊流格闘術本家の当主であることをお忘れ?」
苦しげな爆弾男爵の呻きを見下ろしながら、蔑むように尚美は言った。

****************************************

4女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:16:09

36歳という年齢にふさわしい艶やかさと、年齢を感じさせないみずみずしさを保った白い肌。
その白い肌を、シャワーの飛沫がたたく。
肌にはじかれた湯滴たちは、たわわに実った乳房の作る谷間に集まり、1つの流れとなる。
高校生の娘がいるとは思えない可憐な乳頭に降りそそいだ湯の粒も、重々しくはった乳房を走り、谷間の仲間たちの作る流れに加わる。
胸の谷間を抜けた水流はくびれた腹部を流れ、形のよい臍をかすめながら、整えられた漆黒の繁みへと流れていった。

「あの子ったら、以前とは違うのだから気をつけなさい、とあれほど言っているのに・・・」
シャワーに身をゆだねながら、尚美はつぶやいた。
娘の由美子たちのことである。

柊由美子。
今年で16歳になる、亡き夫、柊慎司との間の娘。
中高一貫のお嬢様校に通っている。
母譲りの美貌とリーダーシップ、推理力、行動力に恵まれ、幼いときから母親に仕込まれた格闘術の腕は、時に尚美も目を見張るほどだ。
3年前、由美子は昔から仲のよかった先輩の久美子や後輩の美和と共に、少女探偵団なるものをつくり、世の怪盗たちと戦うようになった。
父の敵を討ちたいとの願いからか。
それとも母を助けたいという気持ちからだったのだろうか。
大西久美子。17歳。
長身でありながら、透き通るように儚げな雰囲気をまとう、眼鏡の女子高生。
浅井美和。14歳。
ショートカットがかわいい、元気いっぱいといった印象の中学生。
彼女たちもまた、そのみかけとは裏腹に、長年由美子と共に尚美に格闘術を授けられた、優秀な教え子たちだ。
彼女たち少女探偵団は、怪盗たちを幾人も捕らえ、今では警察からも尚美に次ぐ信頼を勝ち得ている。最近では、学校もその活動を認めているらしい。
実際、彼女らの助けがなければ、尚美も怪盗王ファントムを打ち倒すことは出来なかったに違いない。
尚美の思いは、いつしかファントムへと向かう。

ファントム。
美術品や宝石を、事前の予告のもとに奪っていく謎の怪盗集団。
そして彼らを率いる仮面の怪盗。
怪盗でありながら手口は華麗にして紳士的。
決して人に危害は加えることはなかった。たとえ相手が警察や探偵たちであってもだ。
世間は彼を怪盗王ともてはやし、翻弄される警察を嘲笑った。
警視正、柊慎司。
尚美の夫にして由美子の父。
そして警視庁怪盗対策室の責任者
彼は、怪盗団ファントムに対し警察を率いて戦うも、敗北を重ね、その責をおって自殺
した。彼の死こそが、尚美が怪盗たちとの戦いに身を投じるきっかけとなったのだ。
熾烈を極めるファントムとの戦いへ。
警察や他の探偵たちが無残な敗北を重ねていく中、唯一、ファントム率いる怪盗団と互角に戦う尚美。そして少女探偵団。
やがて、怪盗王に立ち向かう正義の勢力は、一つにまとまる。
美しき女探偵、柊尚美のもとに。
そして1年前のあの夜・・・。

5女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:16:57


夜空を埋め尽くすような、警察ヘリの爆音。
見下ろす地表は、パトカーのランプの光に溢れている。
ダイヤ「碧き天星」をめぐる尚美たちとの戦いに敗れた怪盗王ファントムは、博物館タワーの屋上へと追い詰められていた。

「ついに追い詰めたわよ、ファントム!」
少女探偵団を引き連れた尚美の言葉に、ファントムの口元が悔しげに歪む。
だが次の瞬間、顔の上半分を隠した黄金の仮面、その下のまなざしがゆるむ。
「なるほど、見事だ・・・。だがな!」
急に、屋上を照らしていたランプの明かりが消えた。 はっと身構える尚美。
その目前にすくっと立つファントムの長身。
「?!」
半瞬後、ファントムと尚美の唇が重なった。
一瞬、唖然とする女探偵と少女探偵団。
ファントムは、尚美を抱きすくめ、その唇を貪る。
バリッ
「な、何をするの!」
我に返った尚美の手がファントムの顔にかかり、突き放す。
「フフフ、最も聡く、気高く、美しい女探偵。正義のヒロイン柊尚美の唇。怪盗王最後の獲物としてこれ以上のものはあるまい。」
片手で顔を隠しながら、ファントムは言った。
「待って!」
「フハハハハハ、さらばだ」
笑い声が空中に舞った。
次の瞬間、タワー横の空中に花火の花が咲いた。
後に残されたのは、尚美の手の中の、ファントムの顔から剥いだ黄金の仮面だけ・・・。

6女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:18:38

「ファントム・・・」
尚美は感慨深げにその名をくちずさんだ。

怪盗王ファントムは死んだ。
だが、それで終わりではなかった。
尚美たちの戦いは続いている。
いや、状況は悪化していた。

怪盗王亡き後、残された怪盗たちの手口は変わった。
束ねる者を失った彼らは、手段を選ばなくなった。
今度の爆弾男爵のように、無差別テロまがいの手段をとるものも多い。
陰惨なだけの戦いが続く。
そんな日々に、尚美は疲れていた。

「ああっ、慎司・・・・」
自殺した夫の名を呼ぶ。
「どうして、私をおいていってしまったの。」
壁の鏡に映る自分に目が行く。
何一つ隠すもののない、柊尚美の真の姿。
格闘術で鍛え抜かれながら、女性的なたおやかさを失わない、白い裸身。
大きく、重く実りながら、まったくといっていいほど形の崩れない乳房。
程よく引き締まった腹部。
上品でありながら大きく盛り上がった尻肉。
シャワーのお湯にさらされたそれらは、かすかに朱く上気し、えもいえぬ艶めかしさをかもしだす。
(最も聡く、気高く、美しい正義のヒロイン・・・)
何故か、ファントムの言葉が脳裏に浮かんだ。
仮面の下の怪盗王の鋭いまなざしも。
それは、スーツの下に隠された尚美の全てをも見透かしていたのだろうか。
抱きすくめられたときの感触を思い出すと、体を心地よい戦慄が走る。
知らぬ間に、乳首はかたく尖っている。

「馬鹿ね。何を考えているの、私は。」
髪をまとめていたタオルを解くと、尚美はシャワーの勢いを増した。
腰まで伸びた黒髪の上を、湯の滴たちが駆け下りていく。

****************************************

「あの仮面が盗まれた?どういうことです、小島警部」
「ええ、ファントム関係の証拠品は、とくに念入りに保管されていたはずなのですが・・・」
電話の向こうの尚美の問いに、中年の小男が汗を拭き拭き答えた。
「それがですね、不思議なことに一緒に保管されていた他の怪盗の証拠品は全く手付かずなんですよ。」
話しているのは、警視庁怪盗対策室の小島警部である。
柊警視正のもとで怪盗たちと戦っていた小島警部たちは、かつての上司の未亡人である尚美には協力を惜しまなかった。
ファントムを倒した今ではなおのことだ。
ファントムに限らず、怪盗たちの遺留品は、重要な証拠品として、怪盗対策室の大金庫の中に厳重に保管されている。周囲の警備も厳しい。
その警備が破られた。
そして怪盗王ファントムの唯一の遺留品、あの尚美が剥ぎ取った黄金の仮面が盗まれたのだという。他の証拠には指一本触れずに・・・。
「まあ、尚美先生の御足労を願うほどのことかは・・・」
「とりあえず、そちらにうかがいます、警部。」
通話機の向こうで、電話の切れる音がした。

***************************************

7女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:19:16

警視庁の廊下を歩きながら、尚美に小島警部が言った。
「ところで、爆弾男爵のやつがですね。妙なことを言いやがったんです。」
「妙なこと?」
「あのファントムに息子がいるんだとか。」
「ファントムの息子!」
やや上ずった声で、尚美が言った。
「やつもあんまり詳しいことは知らないようなんですが、何でもファントムには秘密の息子がいてですね、最近親父の跡目を継ぐための活動を開始するとか。」
「ファントムの・・・、息子」
エレベーターに乗りながら、尚美がつぶやく。
「今度のこととも、何か関係があるんですかね?」
「それはありえますね。後継者たらんとするなら、敵に奪われた亡き父親の形見を取り返そうとするのは、十分考えられることです。」
「一応、このことはお嬢さんたちにも知らせておきましたから・・・。」
「警部、こんな重大なことは、娘よりまず私に伝えてもらわないと。」
尚美はやや語気を荒げる。
「あ、いえね、先ほどまで由美子さんたちは、本部にいらしたもんですから・・・」
(この人は・・・)
尚美は、胸の中で嘆息した。
「あのですね、警部、だいたい・・・・!」
尚美は言葉を止めた。

おかしい。
地下の金庫室に向かうはずのエレベーターが上昇している。
スピードも尋常ではない。
慌てて、緊急停止ボタンを押す。
変わらない。エレベーターは速度を増しながら上昇していく。
「先生、これは・・・」
うろたえる小島警部。
ズシーン。
頭上のほうで鈍い爆発音が響く。
同時に、グウィーンとエレベーターも急加速する。
加速度にたまらずひざを突く尚美。
警部は無様にひっくり返っている。
尚美は、すさまじい加速度に耐えながら、ドアににじり寄り渾身の力でこじ開けた。
ドアはすぐに閉まった。
(な、まさか!)
一瞬だけ見えた目前の光景に唖然とする尚美。
高層ビル群が、真下に見えた。
(空を飛んでる?)

どこからか、白いガスがエレベーターの中にあふれ出す。
尚美たちは意識を失った。

****************************************

8女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:20:02

ピアノの旋律が聞こえる。
その調べに誘われるように尚美は目を覚ました。
周囲を見回す。
どこかの宮殿のような、豪華な造りの一室。
その中央に据えられたキングサイズのベッドの上に、尚美は寝かされていた。
すぐに身の回りを調べる。
別に、着衣その他に乱れはない。
(どういうこと?)
改めて周囲を観察する。
部屋の造りは豪華だが、威圧感を与えるものではない。
置かれている調度品も、品のよさも感じさせるものばかりだ。
壁に無造作に掛けられている1枚の絵に目が行く。
(あれは!確かファントムに奪われた・・・。)
あわててほかの絵に目をやる。
いずれも、かつてファントムに奪われた、巨匠の名画ばかりだ。
「ここは一体・・・」
ポケットから携帯を取り出す。
表示される日時に驚く。
(まるまる3日眠らされていたことになるのね・・・)
交信を試みるが、つながらない。
何故か、ニュースの画面が出る。
「空へ消えたエレベーター!名探偵失踪す!!」
警視庁のエレベーター暴走と、尚美の失踪を伝える記事だ。
誰が撮ったのか、ロケット噴射で空中を飛行するエレベーターの写真が載っている。
なんと、小島警部のインタビューが載っている。
彼は、あの後すぐ、近くの公園で発見されたそうだ。
あきれたことに、そのときの写真まで掲載されている。
地面の上に大の字で気絶する小島警部の姿・・・。
(どんなつもりかはわからないけど・・・、外部への連絡はさせない、だが置かれている状況は教えてやる・・・、というわけね)

尚美の耳に、再びピアノの調べが入る。
聞いたことの無い旋律だ。
隣の部屋から聞こえてくる。
ドアを調べる。
とくに仕掛けなどは見当たらない。
不思議と、迷いは感じなかった。
凛とした、力強く美しい調べ。
それに引かれる様に、扉を開いた。
調べは、広い部屋の真ん中に置かれたグランドピアノから発せられていた。
演奏者は・・・。
尚美の体を、戦慄が走る。

美少年だった。
年のころは、14、5歳だろうか。
煌く黒髪と、整った目鼻立ち、絹のような白い肌。
細く、形のよい指が鍵盤の上を軽快に踊る。
何という美しさだろう。
天使が地上に降り立つときには、このような姿をとるに違いない。そう感じさせるほどだ。
思わず見とれる尚美の前で、演奏は終わった。

少年は立ち上がる。
その口から、流れるように言葉が放たれる。
「目が覚めたんだね」
「この曲は?」
なぜか、この質問が口に出た。
「ファントム作、ピアノソナタ第13番“美しき女探偵に捧ぐ”。そう、貴方のために父が作った曲だよ。ただ、第一楽章しか出来上がらなかったんだけどね。」
(父・・・?)
尚美の脳裏に、小島警部の言葉が蘇る。
『あのファントムに息子がいるんだとか。』
尚美の視界に、そばのテ−ブルの上に置かれた金色の物体が入った。
黄金色に輝く、ファントムの仮面。
「まさか、あなたは・・・」
少年のまなざしに、尚美の記憶の中の面影が重なった。
「挨拶が遅れたね。僕の名はファントムⅡ世。『怪盗王子』あるいは『Jr』って呼ばれることもある。怪盗王ファントムの息子だよ。」
次の瞬間、少年は尚美の直前に立っていた。
「!」
跪き、尚美の手をとって口づける。
「僕の王国にようこそ」

9女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:21:08

(あのファントムの息子・・・、それにこれだけの間合いを、この私に何の反応もさせずに詰めるなんて)
その言葉と行動によって、少年は二重の衝撃を尚美に与えた。
内心の動揺を必死に隠しながら、女探偵は言った。
「お招きに預かり光栄ですけど、ずいぶん乱暴なやり方ですのね。」
少年は答える。
「憧れの貴方をお招きするのに、つまらない手段は使えないからね。なかなか面白かったでしょう。もちろん、他の人間は誰も傷つけたりしちゃいないよ。僕は怪盗王ファントムの息子。自社製品の安全管理も出来ないようなどこかの企業とは違うからね。ま、余計なおまけも一人ついてきちゃったけどたけど、知っての通り彼はちゃんと帰しといたから。」
少年は、尚美の手を取り歩き出す。
「おいでよ。僕の王国を案内してあげる。」

****************************************


あたり一面、影ひとつない青い海。
その真ん中にポツンと浮かぶ島のうえに、少年の王国はあった。
きりたつ高い崖にかこまれた島。
その上に広がる森の中に建つ宮殿。
手入れが行き届いた宮殿の庭園。
要所に並べられた彫刻は、誰もがその名を知る名作ばかりだ。
その中を、天使のような美少年に手を引かれ、案内される美しき熟女。
夢幻的にさえ見える光景だ。
だが、彼女は女探偵柊尚美。
少年の天使のような笑顔に案内されながら、秘かに周囲を探り、少年の様子を窺っている。
(すぐに脱出の役に立つ、というものはなさそうね・・・、それにしてもこの子、ただ者ではないわ)
少年、ファントムJr、動きに無駄がなく、尚美をもってしてわずかな隙も見出せない。
それでいて、一挙手一投足にいたるまで、優雅さに溢れ華麗さに満ちている。
まるで、一流の舞踏を見ているようだ。
(ひょっとしたら、私はとんでもない相手に捕らわれてしまったのでは・・・、だめよ!尚美。くじけては)
あらためて自分に言い聞かせる。

工房風の建物の前に出た
少年に続いてはいる。
製作作業の途中のようだ。装身具の様な物を作るのだろうか。
ふと、机の上に散らばる紙に目が行った。
何枚かのデッサン。
そのうちの1枚に目が行ったとき、尚美の表情がこわばる。
他とは異なり、描かれていたのは少女の裸体画。
(よく似ている、でもまさか)
その背に、かかる声。
「かわいいでしょう。最近手に入れた新しい奴隷だよ。もっとみせてあげるよ。」
壁のモニターに映像が映る。

女探偵は、その身を凍らせた。

穢れなき咲きかけの純白のつぼみ。
そんな表現がよくにあう、浅井美和の裸身。
彼女は、白い胸に顔を埋めて、声をふるわせる。両の眼(まなこ)から、涙が溢れる。
「うぐっ、うぐぅ・・・、お姉さま・・・、美和、怖い。」
「美和ちゃん、しっかりするのよ」
服の上からは想像できないほどふくよかな胸に、そのすすり泣きとともに抱きしめた美和を、大西久美子は励ます。
だが、その声にも震えが混じっている。
眼鏡の下の瞳にも、おびえの色がみえる。
二人とも、身にまとうのは白いソックスだけ。
着衣を奪われた二人の美少女。
そしてカメラは、彼女らの裸身を守るように立つ、もう一人の美少女の姿へと向かう。

10女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:22:26

硬い表情の、柊由美子。
彼女もまた、ソックス以外の着衣を奪われていた。
「これで完全に勝ったなんておもわないでね!少女探偵団は決して負けないわ!」

由美子の言葉に、少年の声が重なる。
「ねっ、なかなかかわいいだろう。この勇ましいところなんか特に。さすがは貴女の娘だ。」
尚美の身体は凍りつき、指一本動かせない。
少年は、場面を次々と切り替える。
調教される少女探偵団の映像に、少年の楽しげな解説の声が重なる。
(なんとかしないと・・・、でも・・・、どうすれば・・・)
尚美の咽喉は渇ききり、一言も発せられない。
「そうそう、次のやつがまた傑作なんだよ」
また画面が替わる。

「にゃおう♡」

浅井美和の四つんばいの裸身が映る。
その身には相変わらず・・・、いや、手足にはなにやら毛皮のようなものが・・・、首には鈴の付いた首輪も・・・、キュートなお尻からも、くねくね動く細長い毛皮のようなものが生えている。
そして頭には、・・・ネコミミ!?

「ちゅうちゅう」
目の前の、桃色の乳首にわざと音を立てながら吸い付く。
「もう、くすぐったいじゃないの」
眼鏡の下の瞳が、笑いながら言った。
久美子もまた、裸身に首輪、ネコ手足、ネコシッポ、そしてネコミミだけをつけた姿だ。何故か、眼鏡もかけたままだが・・・。
「久美子お姉ータン♡」
美和は、久美子に顔を寄せる。
2匹のネコは、互いに舌を出し、絡めあう・・・。

じゃれあう2匹の美猫。
唖然とする尚美の耳に、少年の声が届く。
「仲がいいんだよ、あの二人。僕はあてられっぱなしだよ。あっ、ほら、今度は由美子だよ。」

「そーれ、とって来い。」
「わんっ!」
画面の中の少年が棒を投げる。
それを、犬が追う。
美しい犬だ。
もちろん本物の犬ではない。
少女探偵団団長、柊由美子だ。
彼女は、犬の手足を付け、犬のシッポを生やし、頭に犬のミミを着けている。
首には、太い首輪が・・・。
身に着けているのはそれだけだ。
ゆれる、双の乳房。
棒を咥えると、美少女犬は主人の下にもどる。
「よしよし、よくやったね」
「キャウーン♡」
少年に頭を撫でられ、うれしげにシッポの生えた尻をふる。
自発的に「チンチン」の姿勢をとる。
鍛え抜かれながらも、少女らしいみずみずしさを失わない裸身。
その全てを、主たる少年にさらして・・・。

「やめて・・・。」
少年は背後の声に驚いて振り返る。
「やめて・・・、お願い・・・、もうやめて・・・。」
「ご、ごめん、そんなつもりじゃなかったんだ。」
尚美の涙交じりの訴えに、少年は慌てて映像を切り、彼女をなだめる。
「すまなかった、謝るよ。今のは悪ノリのしすぎだったね。もうしない。いや、自分でもうすうす思ってはいたんだ。さすがにこれは悪趣味かなーってね。これからはもっとちゃんとした調教をするから・・・」
「そんな事をいったのではないわ!」
涙を拭いながら、尚美は言葉を荒げる。

「じゃあ、どんな事をいったんだい。」
突然、少年の声色が変わった。
今まで聞いたことがない低い声。
込められた強い意志に、尚美は思わず気圧された。
「今のについては謝る。もうしない。我ながら悪趣味だと思うからね。
だけど、彼女らへの調教自体は続けるよ。
彼女らは、3人ともすばらしい存在だよ。
由美子なんか、特にね。
さすがは、貴方の娘なだけはあるね。
さが、僕に躾けられることで、彼女らはもっと美しくなる。
宝石が、磨かれることでその輝きを増すように、彼女らもより美しく輝くんだよ。
母親なら、むしろ喜ばないと・・・。
そもそも、この僕の奴隷として調教されるということ自体が・・・」
 
あまりな少年の論理。
しかし、尚美は不思議と反論できない。
だが、少女探偵団を救わねば・・・。
これ以上の、彼女らへの調教は防がねばならない。
でも、どうやって・・・。
尚美にはわかる。
目の前で自論をまくし立てている少年が、その天使のような風貌に秘める恐るべき力が。
正面から戦ったのでは、おそらく勝てない。
なんとか、隙を見出さないと。
どうすれば・・・。

11女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:23:16

彼女の耳に、少年の言葉が入った。
「・・・僕の奴隷たるものは、聡く、気高く、美しくなくては・・・」
「じゃあ、私を調教して。」
「えっ?」
尚美の言葉に、少年は驚愕の表情を浮かべる。
「貴方の奴隷たるものは、聡く、気高く、美しくなくてはならないのでしょう。なら、最もふさわしいのは、この私のはずよ。」
(何を言ってるのよ、私は・・・)
自分の口をついて出る言葉に、自分自身で驚く。
(でも・・・)
ふと、思いなおす。
これが、今とりうる最良の策かも・・・。
とりあえず、少年の注意を由美子たちから逸らすことにはなる。
うまくすれば、隙を見出して逆襲することも出来るだろう。
手段を選んでいる余裕は、今の彼女にはないのだ。
「それとも、娘たちならいざ知らず、私の調教は荷が重過ぎますか?お若いご主人様には。」
あえて挑発してみる。
「いい・・・」
少年の瞳が輝く。
「いいよ、それ。憧れの貴方を調教できるなんて、最高だよ!」
(かかった!)
心の中で、ほくそ笑む。
「じゃあ、さっそく服を脱いで見せてよ。」
「えっ!」
「主人として、まず奴隷の全てを知らなくちゃならないからね。」
(そんな・・・、急には心の準備が・・・、でも、いまさら引けない)
意を決した女探偵は、着衣を脱ぎ始めた。

上着を脱ぎ、ブラウスのボタンを外してゆく。
全身に、少年のわくわくした視線を感じる。
こころに、さざなみが立つ。
(なによ、あんな子供に)
あえて自分にそう言い聞かせ、心を鎮める。
ブラウスの袖から腕を抜くと、スカートのホックに手をかける。
「?」
スカートが足元に落ちると、少年が、やや怪訝そうな表情をみせた。
スリップの肩紐に手がかかり、足元へと落とされるのと同時にと、それは賞賛を含んだ驚愕の顔へと変わる。
「すごいや!ガーターなんかしてたんだ!」
美しき女探偵は、ガーターベルトを着用していたのだ。
亡き夫との思い出のひとつとして・・・。
黒いブラジャーとショーツ、そしてガーターベルトとストッキング、ハイヒールだけを身に着けた直美の体。
白い肌が、黒い下着と見事なコントラストをなす。
そこにまとわりつく、少年の視線。
特に腰から太ももにかけて・・・。
無視して、尚美はブラジャーのホックに手をかける。
乳房がさらされる。
重々しく豊かでありながら艶やかに張り詰め、まったく形の崩れない美乳。
白くしっとりと輝く肌におおわれたその頂点には、高校生の娘がいる身とは思えないほど可憐な乳首が・・・。
「すばらしいよ。想像してたよりずっといい。何から何まで最高だよ、貴方は!」
ふと、少年と視線が合う。
そこは、彼女への賞賛の色に満ちていた。
「いやっ」
急にこみあがってきた羞恥に耐えられず、思わずしゃがみこむ女探偵。
「ふふっ、僕が手伝ってあげるよ。」
少年が近づいた。尚美の肩に手をかける。
(今よ!)
女探偵の意思に、半裸の身体が反応した。

12女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:24:52

「・・・なんのまねだい。」
女探偵の腕で首をきめられながら、少年が訊いた。
「さあ、由美子たちのところに案内して!」
背後の尚美は答える。
「・・・ふっ、だめだね。奴隷たるもの、主人に対してもっと従順じゃないとね。」
やれやれといった感の少年の言葉。
首をきめる腕に力が入り、少年の背中に密着した剥き出しの乳房がひしゃげる。
「手荒なことをしたくはないの、大人しく言うことをきいて!」
手加減の出来る相手ではない。それがわかっていながら、何故か少年を傷つけたくない尚美である。
「その言葉、そのまま返すよ。」
少年の声色が、冷たく変わった。
次の瞬間、女探偵の全身に激痛が走り、彼女は気を失った。

****************************************


背中を走る掌。
そのやさしい感触に誘われるように尚美は目を覚ました。
(ここは・・・)
古代ローマ風の大浴場。尚美はそこにうつぶせに横たわっている。
一糸まとわぬ全裸で・・・。
白大理石の床は十分暖められており、冷たさは感じない。
「あっ、気が付いた?」
見上げると、黒いバスローブを纏い、彼女の傍らにうずくまる少年の心配そうな表情。
「よかった。ごめんね、あの時はついカッとなっちゃって。でも、貴方も悪いんだよ。主人たる僕にあんなことをして。」
しゃべりながら、少年はその掌を尚美の背に走らせる。
それは、あたかも極上のマッサージのように、尚美の心身を癒していく。
いつのまにか、その身をゆだねている尚美。
少年は立ち上がる。
「今日はここまでにしよう。手荒な調教は趣味じゃないんだ。これからは大人しくしてよ」
(そう、思えばあの子達への調教も、決して手荒なものでは・・・、あの子達!)
そう思った刹那、少年へ尚美は足払いをかけていた。
少年はひらりとかわすと、立ち上がった女探偵に肩をすくめた。
「やれやれ・・・。まっ、さすがといえばさすがなんだろうけど・・・。僕の力はわかっているはずだよね、さっきので。」
「たとえ貴方の力がどれほどであろうとも、私は負けないわ!。」
彼女の裸身に闘志がみなぎった。

浴場に嵐が吹いた。
裸身が白き疾風となって駆け、手刀が稲妻となって放たれる。
ハシッ!
少年に軽く受け止められると、すかさず膝蹴りを放つ。
ふっと少年の姿が消える。
瞬間、体勢を崩すが、すぐ持ち直すと、左後方へ肘打ちを放った。
「すごいね〜、さすが、あの父が勝てなかっただけのことはあるな〜。」
指先で彼女の肘を受け止めた少年が、感慨深げに述べた。
(なんてこと・・・)
不意打ちが粉砕された以上、否応なく正面から戦うしかない。
だが・・・。
全霊を込めた、必殺の攻撃もかわされた。
いや、軽くあしらわれたのだ。
絶望的な気分になる。
ここまで力の差があるなんて・・・。
そういえば、自分は今、どんな格好をしていたのだろう。
一糸まとわぬ全裸。
双の乳房や尻の割れ目はもちろん、股間の繁みや、その奥の秘所まで剥き出しにして戦う姿・・・。
(だめよ!私は負けるわけにはいかないの。あの子達のために!なりふりかまってなんていられない。)
自分にそう言い聞かせ、湧き上がる羞恥を押さえ込む。
衰える闘志を奮い立たせる女探偵。

13女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:25:39

少年の方を向く。
既に、いない。
「どこ!」
周囲を捜す。
白く豊満な乳房が激しく揺れ、乳頭が桃色の残像を描く。
その乳房をつかむ手。
形の良い指が下から掬(すく)う様に揉みしだき、親指が乳首をピンと弾く。
「!」
女探偵の全身を言いようのない快感が走る。
かろうじて声を出すのを防いだ彼女は、振り向きざま正拳突きを放つ。
顔面直撃、の直前に、再び少年の姿が消える。
豊かに盛り上がった尻が触られる。
中指は、尻の割れ目を割って侵入し、中心たる菊座に軽く触れた。
「あ・・・」
思わず、声が漏れる。
少年の手は、そのまま尚美の背筋を優しく撫で上げる。
感触に、思わずへたり込みそうになる尚美。
「しっとりとして、滑らかなこの手触り。やっぱり最高だね。」
(・・・だめ!だめよ!感じてなんかいられない!戦うのよ、あの子達のために!)
かろうじて、踏みとどまると、声の主に向かって突進する。
再び白い疾風となって。
だが、それに黒い影がまとわりつく・・・。

荒い息づかいが、浴場内に静かに響く。
倒れ伏す女探偵、柊尚美。
白い裸身は朱く染まり、全身に玉の汗を噴いている。
(結局、私はもてあそばれただけ・・・)
彼女の全身全霊をかけた攻撃は、少年、ファントムJrによって、全て軽くいなされてしまった。
それだけではない。
少年は、攻撃をかわすだけではなく、逆に彼女の肉体を弄んだのだ。
あるときには激しくもみしだき、またあるときには優しく撫でまわす。
その愛撫によって彼女の性感は高められ、ついには絶頂にまで追い込まれてしまった。
完膚なきまでの敗北。
尚美の目に、絶望の涙が浮かぶ。

そんな彼女を見下ろすバスローブ姿の少年。
「これ以上のお仕置きは必要ない気もするけど・・・、ま、形式としてね」
少年はしゃがみこむと、尚美の尻を抱える。
「な、何?」
尚美は振り返る。
パシーン。
尻をたたく音が、浴場内に響きわたる。
「あ、だめ・・・」
パシーン。パシーン。
尻から、全身に痛みが走る。
だが、それに混じりだす、まったく別の感覚。
「あ、だめ、・・・ああっ、だめ〜。」
尻をたたく音に、女探偵の艶を含んだ声が重なりだした。

****************************************

14女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:26:21

ボーン、ボーン、ボーン、・・・。
壁に取り付けられた古時計が、クラシックな音色で時刻を告げた。
(今夜もまた、この時間が・・・)
尚美は、ベッドの前でバスローブを脱ぎ、一糸纏わぬ全裸となる。
ふと、傍らに置いてある姿見に目が行く。
先ほどまでの入浴によって清められた裸身。
もともと、人間の女として望みうる最高のものであった彼女の肉体。
ここ連日の調教によって艶やかさをさらに加えられ、その美しさはもはや神々しさすら感じさせる域に達している。
(・・・これが、私・・・)
一瞬、鏡の中の自分自身に見とれる。
(何を考えているのよ、私は・・・)
首を振り、ベッドに入る。
少年に命じられた、「祈り」の時間の始まりだ。

「祈り」
それは、主人たる少年が、奴隷たる尚美に義務づけた習慣である。
毎夜、全裸となってベッドに入り、目を閉じて主人たる自分のことを想え、と・・・。
怠ることは許さない、と。
(そう、そうするだけの事なのよ。ただそれだけの・・・)
必死に自分に言い聞かせる。
(由美子たちのために、今はあの少年に従って見せるしかないの・・・。だから、だから・・・)
そう自分に言い聞かせながら、ベッドに横たわり、目を閉じる。
だが、ここ数日の調教で肉体を嬲られ、性感を開発されている尚美である。
それだけですむはずがない。
少年の顔を思い浮かべる。
それだけでおのずと、手が自らの胸を揉み、秘所をまさぐる。
自瀆(じとく)が始まる。
もはや、自分でも止められない。
(あなた、助けて・・・)
亡夫の顔を思い浮かべる。
そうすることで、少しでも少年の支配から逃れようとするかのように・・・。
だが、脳裏に浮かぶ夫の顔は、すぐに少年のそれに取って代わられる。
調教の記憶が蘇える。
そう、今日などは・・・。


ピアノの調べが聴こえる。
淫靡さに満ちた官能の調べだ。
部屋に満ちる、淫らな空気。
だがそれは、少年の奏でるピアノの音色だけでもたらされているのではない。

「知ってる?」
少年は、自分のむき出しの股間にうずくまる女に言った。
双乳の間に、少年の肉棒を挟み愛撫する女探偵、柊尚美。
その身は、一糸まとわぬ全裸だ。
彼女が顔を上げる。
「昔、フランスにルイ15世っていう王様がいてね。彼は愛人のポンパドゥール侯爵夫人に、こうやって愛されることを好んだんだそうだよ。だから、フランスじゃこのやり方をア・ラ・ポンパドゥール、つまりポンパドゥール方式って呼んでるんだそうだよ。日本じゃパイズリって言うんだけど、表現が直截的に過ぎて僕の好みじゃないな。」
喋りながらも、その指は鍵盤の上で踊り、美しきメロディーを紡ぎだす。
なんと同時に女探偵の肉体への愛撫を行いながらだ。
そのたわわに実った乳房を、
そのむっちりと張った太ももを、
その豊かな尻肉の盛り上がりを、
そのなめらかな背中を、
情熱的な荒々しさで揉みしだき、繊細なタッチで撫で回す。
だが、美しい旋律には、すこしの滞りもない。
むしろ、演奏と愛撫は、互いに共鳴しあい、その勢いを増幅しあうかのようだ。
何てテクニック・・・。
聴覚と触覚の双方から、その身の官能を煽られながら、尚美は思った。
「すごいよ、今日は。絶好調だ。」
少年の、ピアノの調べが勢いを増す。
クライマックスは近い。だがそれは、彼の股の間で、その身を嬲られる女探偵も同じだ。
かき立てられた彼女の官能。
彼女の手が、自らの股間に伸びた。
(だめ、だめよ。そこまでは命じられては・・・)
だが、燃え盛る官能の炎に炙られる彼女の理性に、すでに制止する力はない。

15女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:27:10

指がひだを掻き分け、肉粒を捉える。
「あ・・・、あっ」
ピアノの音色に合わせるように、口からあえぎ声が漏れる。
(私もまた、この子よって奏でられている・・・)
そんな思いが、脳裏をよぎる。
目の前の肉棒に目が行く。
豊かな乳房と、吸い付くような肌によって手厚くもてなされ、大きく堅く勃起した肉棒。
それは尚美を圧倒する。
記憶の中の亡夫のものなど比較にならない。
軽く先端にくちづける。
唇に、少年の生命の炎を感じた。
演奏がクライマックスを迎える。
フィニッシュ!
同時に、少年の掌が尚美の背中を撫で上げた。
瞬間、彼女の中の官能の炎が爆発した。
爆発した炎は全身を駆け巡る。
「あぁ〜」
ピアノの音色に、尚美の艶やかな悲鳴が重なった・・・。

「すごい。本当にすごい。」
興奮気味に少年がつぶやく。
乱れた息を整えながら、尚美は見上げる。
白紙の譜面に、一心不乱に曲を書き込んでいる少年の姿。
「ずっと出来なかったのに、どうしても出来なかったのに・・・。“美しき女探偵に捧ぐ”第二楽章、ついに完成だ。ありがとう、貴方のおかげだよ。」
女探偵の頭を撫でながら、少年、ファントムJrは言った。


「あぁ、あぁ〜」
夜、静かな部屋の中に自らのあえぎ声だけが聞こえる。
彼女が主人に捧げる祈りの声。聖なる自瀆の声。
それはまもなく絶頂のときを迎えようとしている。
(ど、どうして・・・・)
極彩色に燃え上がる彼女の脳裏に、疑問が浮かぶ。
(どうしてあの子は、私を抱こうとしないの?)
少年の調教によって弄ばれる彼女の肉体。
かき立てられる官能は、いつしか魂までも侵していく。
少年の色に染め上げられていく尚美。
だが、彼は決して最後の一線だけは越えようとしない。
いや、それどころかくちづけすら行ってはいないのだ。
(どうして、何故・・・)
やがて極彩色の官能は、ひとつの純白の閃光となって彼女の全てを灼きつくしていく。
「あぁ〜!」
彼女の絶頂の声が、部屋中に響く。
白い輝きの中に沈んでいく意識の中、彼女は思った。
(どうして・・・、何故抱いてくださらないのですか?ご主人様!このままでは、このままでは、私・・・)
いつのまにか少年への呼び名が変わっていることに、彼女は気づいていない・・・。

16女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:27:57

(私・・・)
尚美は目を覚ました。
ふと見ると、よこたわる彼女の傍らにひざまずく少年の姿。
そのまなざしは、慈しみで溢れ、優しく彼女の頭を撫でている。
「ちゃんと僕の言いつけを守ってるんだね。奴隷としての自覚が出来てきたんだね。」
(違う!私は娘たちを護るために仕方なく・・・・)
そんな思いも、少年の笑顔の前に、陽の光に照らされた春の残雪のように脆くも溶けていく。
(ご主人様・・・)
心の中で、そう言ってみる。
彼女の心に幸せな気分が湧き上がる。
「今夜もこれから、・・・ん?」
建物の外から聞こえるかすかな音。
これは・・・、ヘリの爆音。
「もう済ませたっていうのか、さすがだね・・・。」
少年は立ち上がりドアに向かいながら、尚美に言った。
「追いておいで。」
「ご主人様?」
尚美は慌ててナイトガウンをはおり、後を追った。

****************************************


少年の宮殿。その庭に設けられたヘリポートにヘリが着陸しようとしている。
漆黒に塗られた、大型のヘリだ。
「さすが、彼女らは仕事が速いね。」
「彼女ら?」
傍らに立つ少年の嬉しげな言葉に、尚美は怪訝な表情をする。
脳裏を不安がよぎった。
(彼女らって・・・、まさか!)
口に出そうとするのを、少年の言葉がさえぎる。
「ほら、迎えに行こう!」
ヘリの扉が開き、三つの人影が現れる。
(やはり・・・)
全身の力が抜ける。
その場にへたり込んだ。
黒いボンデージファッションに身を包んだその姿。
現れたのは、柊由美子たち少女探偵団。その変わり果てた姿であった。

「ただいま戻りました。ご主人様」
少年の前に跪く由美子たち。
小箱が差し出される。
中から溢れ出す青い輝き。
(あ、あれは・・・)
尚美の心に、再び衝撃が走った。
現れたのは、「碧き天星」。彼女らが怪盗たちから守ってきた青い宝石であった。

「ご苦労。さすがに仕事が速いね!」
奴隷たちを労う少年。
「そんな、もったいないお言葉。ご主人様の奴隷たる者、このくらい当然ですわ。」
「いいつけはきちんと守れたかな。」
「もちろんです。ご主人様のお名前を汚すようなことは一切ありません。誰一人として殺傷してはおりません。それどころか警備の連中は、未だこれが盗まれたことすら気づいてはいないでしょう。」
誇らしげな由美子の声。
彼女の表情は、主の期待に完璧に応えることが出来た喜びにみちている。
少年も、満足気な笑みを浮かべる。
「ひどい・・・」
背後の、うめくような声に少年が振り向く。
「ひどい、これでは約束が・・・」
「あ、いや、これはね・・・」
尚美へ答えようとする少年を、由美子の声が遮った。
「勘違いしないで。お母様!」
「ゆ、由美子?」
娘の、断固たる意思を込めた声に圧倒される女探偵。
「このことは、私たち自身が望んだこと。ご主人様を責めるのは筋違いというものよ。」
立ち上がり、主の首に甘えるように腕を絡めながら、娘は母を睨む。
「そんな、私は・・・」
「だいたい、お母様一人でご主人様を独占するなんてひどいわ。」
「そうですよ〜、尚美先生の独り占めなんてずるすぎますよ〜。」
由美子の言葉に、美和の声が続き、久美子は白い頬を染めて恥ずかしげにうなずく。
(この子は、この子たちは・・・)
あまりのことに、声も出ない尚美。
「ま、こういう訳なんだ。」
少年は頭を掻く。

17女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:29:29

「ところで、さっそくで悪いんだけど、明日もう一働きしてくれないかい?」
「お望みのままに・・・。でも、ご主人様。出来れば今夜は・・・」
頬を染める由美子に、少年は答える。
「もちろんさ。よく働いてくれたからね!今夜はたっぷり可愛がってあげるよ」
「うれしい!」
由美子は少年の首に回した腕に力を込め、顔を寄せる。
唇を重ねる二人。
(そんな、私だってまだ・・・)
改めて衝撃を受ける尚美。
「あ〜、由美子お姉ー様だけずる〜い。」
美和の非難の声に、少年が優しく答える。
「こらこら、けんかしちゃいけないよ!今夜は3人一緒に可愛がってあげるんだから。久美子もそれでいいね?」
恥ずかしげにうなずく久美子。
「と、いう訳なんだ。今晩の相手はしてあげられなくなっちゃった。ごめんね。」
少年はそういい残すと、少女たちをつれて歩き出す。
くずおれた尚美を残して。
(この子達は、もう・・・)
女の直感が尚美に告げる。由美子たちと少年は、既に深い契りを結んだ仲だと。
いつの間にか眼に涙があふれ、頬へと流れ出していた。
由美子が振り向いた。
その顔に浮かぶ微笑。
一瞬、母と娘の目線が合う。
優越感に満ちた娘の眼差しが、母をより深い哀しみへと突き落とす。
母の中で、何かが崩れる音がした。

****************************************

管弦楽の静かな調べが流れる宮殿。
輝きに満ちた大広間が、大勢の人影で溢れている。
よく見ると、見たことのある顔ばかりだ。
そう、かつて怪盗王に率いられた怪盗団の幹部たち。
女探偵柊尚美と、少女探偵団によって捕らえられたはずの怪盗たち。
爆弾男爵の顔も見える。
皆、正装している。
彼らの頭上に、声が響いた。
「わが祝宴へようこそ!」
全員の視線が声のほうを向く。

その姿は、赤いじゅうたんを敷かれた階段の上にあった。
タキシードを身に纏い、黄金の仮面を身につけた少年、ファントムJr。
「このファントムⅡ世の2代目怪盗王即位式典の宴。それへのご来場、このファントムⅡ世、あつく御礼申し上る。」
少年が頭を下げる。
「ちょっと待てよ、Jr。お前を2代目と認めた憶えはないぞ!」
爆弾男爵の声が響いた。
そうだ、そうだ、と賛同する声があちこちで上がる。
ややむっとする少年。
「確かに・・・。脱獄させていただいた恩は認めるが、それだけでは偉大な怪盗王たるお父上の跡目を継ぐに足る実績とはいえませんぞ、怪盗王子よ。」
男爵の隣に立つ、初老の紳士が静か言った。
少年の口元がゆるんだ。
「わかってますよ、公爵。おいで!」
振り返り、手招きする。
招きよせられた人影に、怪盗たちはどよめく。
「!」
「ひ、柊・・・」
「・・・尚美!」
現れたのは、柊尚美。彼ら全員が恐れてやまぬ女探偵である。

美貌の女探偵は招き寄せられるまま、少年の傍らに立つ。
つやのある美しい黒髪をまとめた頭上に、白銀に輝くティアラを戴き、その身を黒いマントですっぽりと覆って・・・。
世の全ての探偵の頂点に立つ女探偵。
世の全ての怪盗にとっての天敵。
この場にいるほとんどの者が彼女によって監獄へと送られていたのだ。
その彼女を従えてたつ少年の姿に、一同は圧倒される。
彼らの姿を、少年は満足げに見回す。
そして、少年は尚美のマントに手をかける。
女探偵は微かに羞恥の表情を浮かべるが、抵抗はしない。
マントが床に落ちる。
一同、息を呑む。
管弦楽の演奏が止んだ。

18女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:30:09

「碧き天星」。
世の怪盗たちを魅了してやまぬ青いダイヤモンド。
銀のネックレスにはめ込まれたそれは、白い胸元で魅惑の青い光を放っていた。
形のよい手首にはめられたブレスレット、細い足首を飾るアンクレットにも、それぞれ大粒のエメラルドとルビーがはめ込まれ、緑と赤の幻惑の輝きを放っている。
だが、真に怪盗たちが圧倒されたのは、それら宝石の輝きにではない。
真に彼らを圧倒するもの。
それは魅惑の輝きを身に纏った、いや、魅惑の輝きだけを身に纏った女探偵の姿であった。

柊尚美の裸身。
豊かに張った美しい乳房。
その頂点にたたずむ可憐な乳頭。
細くくびれた腹部と、その中心に佇む形のよい臍。
むっちりとした太ももの合わせ目には、漆黒の繁みが恥ずかしげに息づく。
それらの全てが、怪盗たちの目に晒されている。
白く滑らかな肌の輝き。
頭にティアラを戴き、黒のハイヒールを履いたその身を飾るのは、ブレスレットの緑とアンクレットの赤い輝き、そして胸にきらめく青き輝きのみ。
それらの輝きは、互いに競い合い、増幅しあうかのように見るもの全てを圧倒した。
「おいで。」
少年の呼びかけに、尚美が歩みだす。
再び、音楽が流れ出した。

幻想的な光景だった。
正装した男たちの見守る中で、舞い踊る少年と美しい熟女。
少年のリードに合わせ、熟女の肉体が揺れる。
彼女の身を飾るのは、いくつかの装身具のみ。
尻が弾み、繁みがそよぐ。
首飾りがゆれ、はめ込まれた宝石が青い軌跡を描く。
負けじと揺れる乳房。そして乳頭が描く桃色の軌跡が二条。
かすかに汗ばんだ白い肌が、シャンデリアの光を受け、まぶしく輝く。
淫らでありながら、崇高ささえ感じさせるその姿。
本来相容れないはずの要素を、平然と兼ね備えるこの世の奇跡。
神々しいまでの美の躍動。
その赴くところ、全ては圧倒され、道を開ける。

尚美は思った。
私は踊っている・・・。
こんな格好で・・・。
こいつらの目の前で・・・。
少年の操るまま、男たちのほうへと近づく裸身。
男たちは気圧されたように後ずさる。
だが、その視線は彼女に釘付けになったまま、逸らされることはない。
突き刺さる視線を全身で感じる。
彼女に視線を送る男たち。
皆、世に名だたる怪盗たちだ。
かつて尚美が捕らえ、監獄へと送った怪盗たち。
尚美のみが捕らえることが出来、監獄へと送りえた怪盗たち。
彼らの顔に浮かぶ表情。
自分たちが手も足も出なかった美しき女探偵、柊尚美。
その女探偵が、自分たちの目の前で踊っている。
少年の導くまま、一糸纏わぬ裸身を晒して踊っている・・・。
自分たちが想像も出来なかった完璧な女体美を晒して・・・。
信じられない現実に圧倒された怪盗たちの表情・・・。

19女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:31:06

(ああっ、私・・・)
身体の芯に疼きを感じる。
屹立する乳首。
秘所は熱く濡れているはずだ。
ふと、共に踊る少年と目線が合う。
少年の目が語っている。
ごらん、彼らの顔を。
彼らの、賛美の表情を。
真の貴方への賛美の表情を・・・。
今、こうして踊っているこの姿こそ、貴方の真の姿。
僕だけが引き出すことの出来る、貴方の真の姿。
さあ、踊るんだ。僕の導くままに。
そして、全身で受けるがいい、賞賛のまなざしを。
究極の美への賞賛のまなざしを。
さあ・・・。
(ああっ、ご主人様・・・)
尚美の中に湧き上がる、主への想い。
(出来ることなら、いつまでも貴方とこうして踊っていたい・・・)
想いを込めて、彼女は踊り続ける・・・。


即位式典の立食パーティが始まっている。
メイド服姿の少女探偵団員たちが給仕する中、女探偵はホステスとして怪盗たちをもてなしている。

「公爵様、今宵は、わが主の宴にご出席いただき、まことにありがとうございます。」
「あ、ああ。」
公爵と呼ばれた初老の紳士が、気もそぞろに答える。
その視線は、目の前の女の胸に輝く青い宝石と、その下の白い肌に釘付けになったままだ。
目の前に立つ女、柊尚美。
その身は、黒いパーティドレスに包まれている。
下着を着けることなく身に付けられた、胸と背中を大きく開き、側面のスリットを深く取ったデザインのパーティドレス。
それは、身につけたままの装身具とあいまって、彼女の艶めかしさを引き立てる。
白い肌を舐めまわす男たちの目線は、その黒い衣装によって阻まれる。
そのことがかえって妄想をかきたてる。
(この布地の下に、さっきのあの肉体が・・・)
公爵の脳裏に、先ほどの光景が蘇える。
少年に導かれるまま、舞い踊る圧倒的裸体・・・。
見るもの全てをひれ伏させんがばかりの神々しいまでの女体美・・・。
「それでは、ごゆっくりお楽しみくださいませ。」
「ああ、ありがとう」
尚美は艶然とした微笑みとともに、その場を後にする。
(馬鹿な、このわしが・・・)
内心の動揺を、必死で押さえ込む公爵。
だが、その視線を彼女から逸らすことは出来ない。
公爵だけではない、その場にいる男たち全員がだ。
「ごくっ」
誰かが、生唾を飲む音が聞こえた。

20女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:32:16

尚美の目に、数人の怪盗たちと談笑する少年の姿がうつる。
(ご主人様・・・)
おもわず愛しげに微笑む尚美。
(ところで、由美子はどこ?)
娘のことが気になったのは、かすかに残っていた母としての本能だろうか。
視線を走らせる。
メイド服姿の美和と久美子が、怪盗たちへとかいがいしく酌をして回っている。
では、由美子は?
いた。
爆弾男爵に手をひかれ、別室へ入っていく。
嫌な予感がした。
尚美は、後を追った。

「やっ、やめ、おやめ下さい。」
由美子に迫る、下卑な笑い。
「へっへっへ、そういうなよ。俺たちを逃がしてくれたのは、お前さんたちなんだってな。礼がしたくてたまらねーよ。な、いっしょに楽しもうぜ。」
爆弾男爵の指が、由美子の胸を揉む。酒臭いその息。
「お前の母親のせいで、俺はシンボーたまらんわけよ。だから、な、お前相手してくれよ」
「いけません。私はご主人様の」
抵抗する由美子。

「だいじょうぶだって。さっきの見てりゃわかるだろう、あいつはお前の母親に夢中なんだ。お前がちょっとばかり火遊びしたって、べつに気にしやしないよ。」
「そんな・・・」
由美子の脳裏に、先ほどまでの光景が浮かび上がる。
衆人の視線の中、踊る二人の姿。
彼女の主ファントムJrと、母、柊尚美。
主に全てをゆだね導かれるままに、時に激しく、時にゆるやかに舞う母の裸体。
限りなく扇情的でありながら、神々しささえ感じさせるその姿。
娘である自分すら魅了してやまぬその姿。
美しいと思った。
だが、同時にこうも思った。
何故、母なのだ。
何故、自分ではないのだ。
何故、あそこでご主人様と踊っているのは自分ではないのかと。
(あの時、私はいったいどんな顔でお母さまを見ていたの・・・)
「へっへっへ。愉しもうじゃないか、お互いによ。」
由美子の抵抗が弱まるのを見た男爵は、メイド服の胸もとに手を滑り込ませる。

「あらあら、おいたはいけませんね、男爵様。」
突然の声に、爆弾男爵は慌てて由美子から離れる。
すかさず二人の間に割って入る尚美。
「この子はまだまだ子供。男爵様のお相手にはふさわしくありませんわ。」
「お母様・・・」
「貴方様のお相手は、私がつとめさせていただきますわ。ですから・・・。」
娘のつぶやきを背に受けながら、尚美は男爵に妖艶なまなざしを送る。
目の前の熟女に釘付けになる男爵の眼差し。
その眼中に、すでに少女の姿など無い。
彼の目の前に立つ、黒いドレスの女。
今まで、自分をはじめとする多くの怪盗たちが、散々煮え湯を飲ませられてきた美貌の女探偵、柊尚美。
その彼女が・・・、自分に・・・。
心臓の高鳴りが、自分でも聞こえる。
男爵の頭に、先ほどまで目の当たりにしていた彼女の姿が浮かび上がる。
舞い踊る、圧倒的裸身・・・。
「ぐわ〜」
雄叫びとともに、尚美に跳びかかる爆弾男爵。
「ちょ、そんな、乱暴にしないで!」
「うるせえ!」
びりびりとドレスを引き裂き、乳房にむしゃぶりつく。
這い回る、男爵の舌。
その感触に耐えながら、尚美は娘の方へ振り向いた。
(大丈夫。お母様に任せておきなさい・・・、!)
娘の眼に浮かぶ感情に愕然となる。
今まで、娘が一度も見せたことの無い感情。

21女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:32:53

ふと、我に返る。
彼女の肌を這い回る、男爵の舌。
肉体をまさぐる、男爵の手。
主たる少年のものとは、まったく異なるその感触。
男爵の手が、ドレスのスリットを割って入り、下着をはいていない尻の割れ目に侵入する。
(お、おぞましい!)
全身に悪寒が走り、鳥肌が立った。
男爵の顔が迫った。
唇が重なろうとした瞬間、
「い、いや!」
爆弾男爵の身体は反転し、床にたたきつけられていた。
「て、てめ〜!」
起き上がる男爵。
怒りに燃えるまなざし。
「もう以前とは違うんだぞ。身のほどをわきまえやがれ。奴隷のくせに!」
その言葉は、直美の身を凍らせた。
(そう、私は、私たちはもう・・・)
奴隷なんだ・・・、この怪盗たちの・・・。
「そう、奴隷たるもの、従順じゃなきゃあな。」
男爵が、立ちすくむ尚美に手をかけようとしたその瞬間、
「身のほどをわきまえなくちゃならないのは、君のほうだよ!」
男爵の体が、宙を舞い窓に叩きつけられた。


バリーン。
ガラスを砕き、ベランダに落下する。
「僕のかわいい奴隷に、なんてことをするんだい、君は。」
冷たい響きの言葉とともに、男爵に歩み寄る少年。
「確かに彼女は奴隷さ。僕の、僕だけのね。君のじゃない。そこを勘違いしないでほしいね。」
静かな怒りの言葉とともに、少年は男爵のうつ伏せの頭に足をかけた。
「この罪は、償ってもらうよ。男爵。」
ゆっくりと、足に力をこめる。
飛び散ったガラス片が、皮膚を切り裂き、男爵の顔の肉に食い込んでいく。
「ぐ、ぐが・・・」
男爵は苦しげに呻くが、指一本動かせない。
ミシッ、ミシッ。
頭蓋骨が軋みだす音。
男爵の視界が、赤く歪みだす。

「いけません!」
制止の声に、振り返る少年。
涙目で制止する女探偵の姿があった。
ドレスは胸もとから大きく破られ、白い双乳を剥き出しにした無残な姿。
ふと、周囲をみわたす少年。
いつの間にか、遠巻きにする怪盗達の顔、顔、顔。
注がれる、彼らの視線。
「何を見ている!」
怒気を含んだ言葉が、それらを蹴散らす。
「ファントムⅡ世よ・・・。」
初老の紳士が、遠慮がちに言った。
「公爵、後はお願いします。来い!」
乱暴に女の手を引いて、少年はその場を去った。

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22女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:33:40

「お、お許しください。」
広い浴室に、女の言葉が響く。
全裸のその身は、うつ伏せに寝かしつけられている。
主人たる少年は、その言葉が聞こえないかのようにスポンジを手に取り、泡立てる。
「あの時は、娘を守るためやむを得ずに・・・」
「うるさい!」
スポンジが、彼女の肌の上を走り出す。
いつになく乱暴な手つきに、尚美は驚く。
これまでも、共に入浴し体を洗われたことは幾度となくある。
だが、これほど乱暴ではなかった。
そもそも、少年は普段、スポンジなど使わない。
彼女の肌の上に、泡と共にその掌を走らせるだけである。
けっこう力を込めているにもかかわらず繊細さすら漂わせるその手つきで、尚美の肌を磨き上げていったものだ。
しかし、今回は違う。
穢された肌を、無理やり清めようとするがごとき乱暴さだ。
女体をひっくり返し仰向けにする。
「ここも、ここも、あんなやつに・・・」
そんなつぶやきとともに、彼女の乳房を、太ももを、秘所を清めていく。
まるで、大事な宝物を穢された子供のような表情。
その目に、うっすらと涙さえ浮かべている。
驚く尚美。
(ご主人様がこんな顔を・・・、私のために・・・)
主の手から、自分への執着が伝わってくる。
彼女の胸中に、ある種の感情が湧き上がる、・・・。

「・・・とにかく、貴方に触れてもいい男は、僕だけなんだからね!」
少年は立ち上がった。
「今夜はご苦労だった。ゆっくり休むといいよ。」
背を向け、立ち去ろうとする。
「お待ちください。」
引き止める声とともに、片手をとられた。
(そんな!この僕が、こんなにあっさり・・・)
少年の心を、驚愕がさざなみとなって走る。
「なんだ!」
内心の動揺を隠しながら、振り返る少年。

その唇に、女の口唇が重なった。
驚きに大きく見開かれる少年の眼(まなこ)。
少年と女探偵の、初めての口づけ・・・。
「な、何を!」
「・・・貴方のものに・・・」
うろたえ、あとづさる少年に、尚美ははにかむような、しかし固い決意を込めた表情で言った。
「今夜、私を完全に貴方のものに、ご主人様だけのものにしてください。」
二人の間に沈黙が流れる。
見つめ合う瞳と瞳。
永遠にすら感じさせる一瞬の後・・・。

少年は女を抱き上げ、その場を後にした。

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23女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:34:19

豪奢な寝室。
多くの絵が壁にかかり、床にも多くの彫刻が置かれている。
いずれも、巨匠の傑作ばかりだ。
それらは皆、怪盗王のコレクション。
美を極めんとした、天才たちの才能の結晶。
だが、部屋の中央に置かれたベッドの、シワひとつないシーツの上にもまた、ひとつの美の究極が横たわっている。
仰向けになってもまったく形の崩れない豊かな乳房が、静かに上下している。
先ほどまでの手荒な扱いにもかかわらず、艶やかさを損なわない白い肌。
その、しっとりとした輝きに、かすかに朱の色が混じるのは、湯上りだというだけではあるまい。

その裸身の全てを晒して横たわりながら、尚美は思った。
全身に、天才の作品たちの視線を感じるわ・・・。
怪盗王のコレクション、すなわち美の頂点を極めしもののみが許される集い。
そこに、今、新たに加わろうとする仲間を祝福するかのごとき、彼らの視線。
私も、ご主人様に全てを捧げ、彼らの仲間入りをするのね・・・。
これから行われるのは、そのための聖なる儀式。

(いやだ、これじゃあまるで恋する乙女じゃない)
己の妄想におもわずはにかむ。
だが、その心は、まさに乙女のようなときめきで満ちていた。
亡き夫に処女を捧げたときも、これほどではなかったような気がする。
(出来ることなら、“初めて”もご主人様に捧げたかった・・・)
詮無きことを、と自分でも思いながら、かたわらに立つ主を見上げる。
(ご主人様!?)
少年の顔に浮かぶ表情に驚く尚美。

少年にとって、初めて覚える感情だった。
(なんだよ、これ・・・)
口の中が渇き、手の震えを押さえるのに苦労する。
(ほんとに、何なんだよ・・・)
原因はわかっている。
目の前に横たわる女のせいだ。
だが、何故・・・。
女を抱くのは初めてではない。
今まで抱いた女の数なんて、いちいち覚えていない。
その数が、もう一人増えるだけじゃないか。たいしたことじゃない。
そう、自分に言い聞かせる。
だが、目の前に横たわっているこの女は・・・。
そう、柊尚美。
聡く、気高く、美しい女探偵。
父、すなわち初代怪盗王ファントムでさえ勝てなかった、世の探偵たちの頂点に立つ女探偵。
その名前だけで、世の怪盗たちを震え上がらせる最強の女探偵。
(そして、僕が長いこと憧れてきた女・・・。)
その彼女が、自分に、ファントムⅡ世に全てを捧げようと横たわっている。
その肉体と魂の全てを捧げようと・・・。

(だから、どうした!)
今まで、さんざん調教してきた女じゃないか。
調教によって、その肉体を磨き上げ、心を染め上げてきた女だ。
だからこそ、今こうして横たわっているんじゃないか。
これからやるのは、調教の総仕上げ。それだけのことだ。
彼女の肉体と魂を完全に自分のものにする、そのための儀式。
(そう、この女の肉体と魂を、完全に僕のものに・・・。ちょっと待て、こう考えるのは、さっきから何回目だ?)
考えがここまで至るたびに、少年の心は常にたじろぐのだ。
そして自分を奮い立たせるために、一からまた考え直すのである。
さっきから、幾度と無く・・・。
空転する思考に、戸惑う少年。
(いかん、この僕が、この僕ともあろう者が・・・)
必死に心を落ち着かせる。
ふと、頭に浮かぶ考え。
自分は今まで、この女の肉体をさんざん弄びながら、最後の一線だけは決して越えなかった。何故だ!機会は幾らでもあったのに・・・。まさか、ひょっとして、こうなることを無意識に予想し、畏れていたからなのか。
つまり、一線を越えなかったのではなく、越えられなかった・・・。
(馬鹿な!僕に限ってそんな・・・)
自分の頭をよぎった考えを必死に否定する少年。
気がつくと、手がブルブルと震えている。
(今、自分はどんな顔をしているのだろう・・・)
少年は思った。

24女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:35:00

(この子は・・・)
尚美の初めて見る表情。
いとしさがこみ上げてくる。
慈愛に満ちた微笑みとともに、少年に、ファントムJrに向かってうなずく。
ガバッ
乱暴に女にのしかかり、抱きしめる少年。
女の両手が、少年の背中にまわる。
二人の唇が重なる。
少年の舌が侵入する。
もちろん女は拒まない。
二人の舌が、情熱的に絡み合う。
屹立した肉棒が、既に十分に濡れている女唇にあてがわれる。
その瞬間、尚美の脳裏に、亡き夫の顔が浮かんだ。
怪盗王に敗れ、自ら命を絶った夫、柊慎司。
妻や娘に、いつも変わらぬ愛情を注いでくれた優しい夫・・・。
彼との思い出こそ、怪盗たちとの戦いに明け暮れる日々、尚美の心の支えだったものだ。
だが、自分は今こうして、怪盗王の後継者たる少年のものになろうとしている。
少年に、その肉体と魂の全てを捧げようとしている。
不思議に、罪悪感は感じない。
心の中で、夫に別れを告げる。
(あなた、今までありがとう・・・。そして、さようなら・・・


少年の肉棒が、彼女の中に侵入する。
女唇を割り進み、一気に奥まで達する。
「あ、」
尚美は、思わず声を漏らす。
肉棒は、そのまま動きを止める。
締め付ける、女の膣肉。
それに応えるかのように、ピクリとふくらみを増す少年の肉棒。
まるで一つになろうとするかのように、強く密着しあう二人の肉。
(ああ、ついに・・・)
少年に満たされ、感無量の尚美。
彼女の心もまた、満たされている。
少年と一つになれた喜びに・・・。
少年のものになれた喜びに・・・。
涙が一粒、頬を伝って落ちる。
両足は、いつの間にか主の背中で交差している。

少年の右手が、尚美の背中を滑り、尻の割れ目に至る。
そして、菊座をまさぐる指・・・。
「そんな、そこは・・・、いけません。」
「ここももらうよ!」
「え?」
「ここは初めてなんだろ!ここの処女は僕がもらうよ。」
強い語気。だが、少年の表情は語っている。
(お願いだから、拒まないで・・・。お願いだから・・・)
哀願するような、そのまなざし。
(ご主人様・・・)
恥じらいながら、頷く尚美。
(ご主人様に、お尻の“はじめて”を捧げる・・・)
心の中で、そうつぶやいてみる。
瞬間、彼女の中で官能の炎がはじけた。
時を同じくして、少年がピストン運動を開始する。
官能の頂へと追い上げられる尚美。
「尚美!」
「ああ!ご主人様!ああ!」
二人の唇が、再び重なる。
尚美の右手が、少年の左手をとる。
固く指を絡めあう、二人の手。
二人の肉体が、これ以上ないくらいに密着する。
二人の魂もまた、この瞬間にひとつにとけあう。
ひとつになった二人の魂は、官能の頂を越えて、天の高みへ昇っていく。
炎の竜巻となって・・・。

****************************************

25女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:35:43

入浴を終えた尚美は、姿見の前にその身を立たせた。
鏡に映る、彼女の裸身・・・。
「昨夜、ついに・・・」
この全てを、主たるファントムⅡ世に捧げたのだ。
そう、お尻の処女も含めて・・・。
その時の事を思い出し、思わず頬を染める。
尻肉の中心に肉の杭を打ち込まれたときの、あの感覚。
その身をとろ火でじわじわと焼かれていくような、あの感覚。
全身に脂汗がにじんだ。
だが、うれしかった。
心は、主に全てを捧げることが出来た喜びでいっぱいだった。
その後も、明け方近くまで続いた二人の愛の交歓。
目を覚ました時には、もう昼近くになっていた。
そして、傍らで眠る主の寝顔。
それを目の当たりにした時の、あの喜び。
胸に湧き上がってきた、無限の幸福感・・・。
ボーン、ボーン、ボーン、・・・。
壁に取り付けられた古時計が、クラシックな音色で時刻を告げた。
(もう、こんな時間・・・)
そう、彼女ら、怪盗王の奴隷たちの聖なる義務、主のための“祈り”の時間だ。
無論、今の彼女にためらいの気持ちはない。
むしろ、主を想って自瀆の声を上げることは、彼女自身の悦びだ。
そう考えながら、ベッドに向かう尚美。


その時、乱暴な音をたててドアが開いた。
「由美子?」
そう、そこに立っていたのは、娘の由美子であった。
「ご主人様はどこ・・・」
由美子は足早に部屋の中に入り、周囲を見回す。
「ご主人様は来ていらっしゃるんでしょ、お母様!どこにいらっしゃるの?答えて!」
「ちょ、ちょっと待って」
「私からご主人様を奪って、いい気になってるんじゃないわよ、お母様!」
「由美子・・・」
「そうよ、ご主人様は私のもの。お母様にだって渡しはしないわ。必ず取り返してみせる。そして・・・」
由美子はまくし立てる。
まくし立てる由美子を見るうちに、尚美の脳裏に、ここ数日、彼女に娘が見せてきた表情が浮かんだ。
(この子は・・・)
そう思ったせつな、
パシーン
由美子の頬が鳴った。
「お母様・・・」
頬を押さえ、呆然と立ち尽くす由美子。
「由美子、あなたにとってのご主人様は、私を見返すための道具なの?」
「そんな・・・、違う・・・」
「何が違うの!あなたが純粋にご主人様に愛されたいと願うのなら、その願いを私は否定しなわ。でも、今のあなたは違う。『自分はお母様より愛されている』って思いこみたいだけ。つまり、私に対する優越感にひたりたいだけじゃないの!」
「そんな、そんな・・・」
くずおれる由美子。
その目から、大粒の涙がこぼれ出す。
「だって、だって・・・」

「由美子・・・」
娘の姿に驚く尚美。
ふと、思った。
(そういえば、この子の泣く姿を見るのは何年ぶりだろう・・・)
気の強い子だった。
父親の死に際しても、涙ひとつ見せることなく、むしろ母親の自分を励まそうとすらしたものだった。
その子が、目の前で泣きじゃくっている。
「だって、お母様が・・・」
涙ながらに、由美子は語る。
幼い時から、胸に秘めてきた思いを・・・。
聡く、気高く、美しい母。
彼女の誇りだった母。
自分も母のようになりたい。ずっとそう思ってきたこと。
少女探偵団を結成して怪盗たちと戦うようになったのも、その願いのためだったこと・・・。
しかし、共に戦ううちに、事あるごとに母との格の違いを思い知らされるようになった事。
「わ、私は、お母様みたいにはなれない・・・。お母様みたいに、強くも、美しくもなれない・・・。」
涙声は語る。
どう頑張ったところで自分は母には及ばない。
ファントムⅡ世に捕らわれたのは、彼女の中でそんな絶望が育ち始めた、ちょうどその頃だった。
そして、彼に抱かれたとき、思った。
ご主人様は、母より自分を愛してくださる。
初めて母に勝てた!と。
「それなのに・・・、それなのに、ご主人様は・・・」

26女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:36:41

娘がずっと胸に秘めてきた思いに、母はしばし立ちつくす。
だが、ゆっくり娘に歩み寄ると、うつむいた顔を優しく上向かせた。
「由美子・・・」
「お母様・・・」
娘の手をとり、立ち上がらせる母。
服を脱がせると、二人で鏡の前に立つ。
鏡に映る、二つの裸身。
娘の、若くみずみずしい美しさにあふれた裸身。
だが母親の裸身の放つ爛熟した美のオーラ。
その、圧倒的な輝き。
「いや。」
由美子が目をそむける。
自分はやはり、お母様には及ばない・・・。
「だめよ、由美子。しっかり御覧なさい。ほら、あなただってこんなにきれいじゃないの。」
母は優しく諭す。
御覧なさい、由美子。あなた自身の本当の姿を。
若々しい美しさに満ちた、この姿を。
そして、ご主人様はね、あなたをさらに磨き上げて下さるの。
そう、ご主人様の手で、あなたはもっともっと美しくなるのよ。
そう、この私よりも・・・。
だからね、由美子、あせることはないのよ・・・。

娘に向けられた、母の慈愛に満ちた微笑。
「お母様・・・。」
娘の中に長い間わだかまっていた思いが、急激に溶けていく。
幼い頃の、母への想いが甦る。
聡く、気高く、美しい母。
あの頃の自分は、この母の娘として生まれ、その微笑を向けられる身であることを純粋に喜べたものだ。
いつごろからだろう・・・。
この微笑を重荷に感じ始めたのは・・・。
だが、今は違う。
(お母様・・・、きれい)
素直に、そう感じることが出来る。
素直に、喜ぶことが出来る。
「お母様・・・。」
「由美子・・・。」
どちらからともなく近づく二人の顔。
母娘の唇が重なる。

27女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:37:19

「すまなかった・・・。」
母娘の目が、声のほうを向く。
彼女らの主、ファントムⅡ世が申し訳なさそうな表情で立っている。
「由美子お姉さま・・・。」
「由美子ちゃん・・・。」
両脇には、美和と久美子が、身に涙を浮かべ立ちつくす。
「ご主人様!」
主に飛びつく由美子。
胸に顔を埋めて泣きじゃくる。
彼女の頭を撫でながら、ファントムⅡ世は言った。
「君がそんな想いを抱えていたなんて・・・。そのことに気づかなかったなんて・・・。主人としての、僕の至らなさだ。許してくれ・・・。」
そんな主の姿に、尚美は今まで感じたことの無い頼もしさを感じた。

「よし、今夜は皆で楽しもう。みんな平等にかわいがってあげるよ。」
「やったー!」
美和が、喜びの声をあげる。
「あの、でしたらご主人様、お願いが・・・」
主の胸に顔を埋めたまま、恥ずかしげに由美子が言った。


ベッドの上に、仰向けに横たわる母親の裸身。
その上にうつぶせに重なり、尻を掲げる娘の白い裸。
由美子の背後で、彼女らの主が口を開く。
「本当にいいんだね、由美子。」
「はい」
恥ずかしげだが、確固たる決意を込めた由美子の返事。
ファントムⅡ世の肉棒が、掲げられた尻を割り、ローションにぬめる菊座にあてがわれる。
そう、由美子はこれから、主に彼女のお尻の処女を捧げるのだ。
(由美子・・・)
自分の胸乳の上で、決意の表情を浮かべている娘を見ながら尚美は思う。
少年は、以前にも由美子のアナルバージンを奪おうとしたのだという。
だが、娘は苦痛のあまり受け入れることが出来なかった。
少年も、無理強いはしなかった。
それは、彼の優しさだったのかもしれない。
だけど、あなたはその優しさが辛かったのね。“ご主人様に捧げることが出来なかった”という悔しさだけがのこったのね・・・。
だから、今夜捧げるのね。
主たるファントムⅡ世に。
美和ちゃんや久美子さん、そして何より母親の私の見守る中で・・・。


左右から、彼女の手をとる美和と久美子。
「由美子、力を抜いて」
主の声とともに、肉棒が侵入を開始する。
「ううっ」
由美子が苦しげに呻く。
「由美子お姉さま!」
「由美子ちゃん!」
美和と久美子の心配そうな表情。
「だいじょうぶか?」
主の声にもためらいが混じる。
「だいじょうぶです。さあ、お続けください。」
苦しげだが、固い決意を込めた由美子の返事。
顔を上げ、母の顔を見る。
母の目が語っている。
(がんばるのよ、由美子)
由美子も、無言でうなずく。
そう、ご主人様のためなら、どんな苦痛でも受け入れられる・・・。
まして、お母様の胸に抱かれながらなら・・・。

肉棒が根本まで埋め込まれた。
全身を切り裂かれるような痛みが、由美子の中を駆け巡る。
だが、同時に彼女は喜びに満たされている。
(ついに、私は・・・)
「おめでとう、由美子。」
母の顔を見る。
優しい祝福の笑みを見る。
「お母様・・・。」
娘の目から涙が溢れ、頬を伝う。
「由美子お姉さま・・・。」
心配そうな美和の声。由美子の手を握る両手にも力が入る。
「違うの。美和ちゃん・・・。違うのよ。」
由美子は答え、美和の手を握り返す。
痛みの中に、少しずつ混じりだした別の感覚を感じながら・・・。

****************************************

28女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:38:20

かすかなピアノの旋律が聞こえる。
その調べに誘われるようにして、尚美は目を覚ました。
(いつの間にか、眠っていたのね・・・)
壁の時計を見る。
もうすぐ明け方だ。
傍らに眠る娘たちの方へ目をやる。
重なるようにして眠る、美和、久美子、そして由美子。
いずれも満ち足りた表情。
尚美は思い出す。
さきほどまで彼女らとともに過ごした、至福の時を。
主によって、4人一緒に奏でられ、悦びの四重奏を歌った時のことを。
彼女の心もまた、満たされている。

ガウンを羽織ると、尚美は部屋を出る。
そして、ある部屋の前に立った。
ピアノの調べに導かれるようにして。
そして、扉を開く。


演奏者を目の当たりにして、尚美の心に幸せが溢れる。
(ああ、ご主人様・・・)
彼女の主、怪盗王ファントムⅡ世。
鍵盤の上で軽快に踊る白い指。
(そういえば、あの時も・・・)
初めて出会った時の事を思い出す尚美。
あの時も、ご主人様はこうしてピアノを演奏されていた。
その美しき姿に、自分は思わず見とれたものだ。
だが、今のご主人様から感じるのは、美しさだけではない。
内に秘めたる確固たる自信と逞しさ。
そして、それらが醸し出す頼もしげな雰囲気。
全身から滲み出る、王者の風格。
(そう、それが私の、私たちの主、怪盗王ファントムⅡ世・・・)

「起こしちゃったみたいだね・・・。おいで。」
呼ばれるまま、隣に座る尚美。
その間も、途切れることなく続く演奏。
強い決意と、ゆるぎない自信を秘めた静かな調べ・・・。
「この曲は・・・。」
「ピアノソナタ“美しき女探偵に捧ぐ”第3楽章。そう、貴方のための曲だよ。」
「・・・」
「父の遺産の中から、未完成だったこの曲を見つけて以来、何とか完成させたいと思っていた。この曲が未完のまま終わるなんて、僕には許せなかったんだ・・・。だけど、どうしても出来なかった。何度作曲しようとしても、必ず行き詰まってしまうんだ。それがどうだい。この間の第二楽章といい、この第三楽章といい、こうしてピアノに指を走らせているだけで、曲想が次から次へと湧き上がってくるんだ・・・。」
主の言葉を聞きながら、尚美は思った。
(ご主人様、それは貴方が真の“怪盗王”となられたからですわ。)

ファントムⅡ世。
世の怪盗たちの頂点に立ち、支配する怪盗王。
そして彼が支配するのは、怪盗たちだけではない。
正義の使徒たる少女探偵団もまた・・・。
そして、何より、女探偵柊尚美。
世の正義の探偵たちの頂点に立つ女探偵。
彼女もまた、怪盗王の足もとにひれ伏す奴隷だ。
女探偵は、ひれ伏し捧げるのだ。
彼女の肉体と魂の全てを。
主への、無限の愛と共に・・・。
正義の女探偵の全身全霊での隷属を、怪盗王もまた、その全身でもって受け止める。
そして、いつくしむのだ。
奴隷への、無限の愛と共に・・・。
全てをなげうって主に忠誠を捧げる奴隷。
奴隷の忠誠を全身で受け止め、いつくしむ主。
奴隷と主人、支配される者と支配する者、両者の間に結ばれた最高の関係。
何よりも固い絆で結ばれた、二人の魂。

尚美は思う。
(ご主人様、貴方は私を手に入れることで変わられたのです。)
怪盗“王子”から脱皮し、父である先代をも超越した真の怪盗“王”へと・・・。
そして、貴方を変えたのは、この私・・・。
彼女は確信する。
その確信こそ、彼女の密やかな誇り。
自らの身で、愛する主を真に偉大な存在へと成長させる。
奴隷としてこれ以上誇らしいことは無い・・・。

尚美は、目を閉じて主の肩にもたれかかる。
肩に感じる、主の体温。
これもまた、至福のひととき・・・。

29女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:38:57

突然、ピアノの演奏が止んだ。
ズシーン。
低く響く音。
尚美とファントムⅡ世は立ち上がり、顔を見合わせる。
突然、扉が開かれる。
初老の紳士が入ってきた。
その身は、既に血まみれだ。
「公爵!」
「怪盗王よ・・・」
床に倒れ伏す公爵。
「公爵様!」
駆け寄る尚美。
既にこと切れている。
「・・・ゆくぞ!」
怪盗王が女探偵の手をとった。

由美子たちと合流し、司令室へ入る。
壁のモニターに映る光景に絶句する。
王国が燃えている。
あちこちで起こる爆発。
ファントムⅡ世が父から引き継いだ王国が焼け落ちていく。
その中を、多くの人影が走る。
怪盗たちだ。
一人が叫ぶ。
「捜せ!ガキと女共をだ!絶対に逃がすな、必ず殺せ!」
顔一面に包帯を巻いたその姿。
「爆弾男爵、あいつが・・・。」
呻くファントムⅡ世。
その瞳は怒りに燃えている。
しばし絶句した後、彼の手がコントロールパネルを操作する。
王国の中に異変が起こった。
壁にかけられた絵画や床に置かれた彫刻などの、さまざまな美術・工芸品。
それらが、突然背後に開いた穴の中に吸い込まれ、消えていく。
その様子をモニターで確認するや、怪盗王は背後の奴隷たちに言った。
「追いて来い!」


地下深くへと続く長いトンネル。
駆け下りる怪盗王と、その奴隷たち。
その前に男たちが立ちはだかり、ナイフがきらめく。
母娘の白い太ももが舞う。
ズガッ
顔面を流血で染めて倒れる男たち。
彼らを顧みることなく、一団は駆け続ける。

「こんなところが・・・」
尚美たちは、地下の船着場にいた。
目の前の大型高速艇に、自動的に積み込まれていく美術品たち。
その光景を前に、彼女らの主は言った。
「君たちは、これで脱出しろ!」
「・・・ご主人様?」
「・・・君たちって、まさか!」
「そう、僕は残る。怪盗王として、出来の悪い部下を始末せねばならないからね。」
「そんな・・・」
「いけません!」
由美子が、主の腕にすがりつく。目に涙を浮かべながら・・・。
そんな彼女に、主人はやさしく微笑み、口づける。
「大丈夫。僕を信じるんだ。」
「ご主人様・・・。」
美和に、久美子に口づけを与えていく怪盗王。

30女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:39:43

尚美の前に立つ。
「後のことは頼むよ。」
彼の目は語っている。
連中を片付けたら、僕はしばらく旅に出る。
貴方たちの主人として、真にふさわしい存在になるために。
そして、僕の、僕自身の、僕ら自身の王国を築くんだ。
そして、必ず貴方たちを迎えにいく。
だから、それまで・・・。
「ご主人様・・・。」
主にうなずく尚美の表情も語っている。
お待ちします。
そして、必ず守り抜いて見せます。
悪しき乱暴者たちの手から。
ご主人様の君臨すべきこの世界を・・・。
ご主人様のものたる、この世界の“美”のすべてを・・・。
ご主人様のお帰りになられる、その日まで・・・。

二つの影が重なり、唇を重ねた・・・。

****************************************


「あ、あれは!」
怪盗の一人が、沖を指差す。
白い波を蹴立てて走る快速艇の姿。
「ちっ、逃げられたか!」
爆弾男爵が毒づく。
「ふっ、逃げた?誰がだい?」
「!」
全員の視線が集まる先に、その姿はあった。
黄金の仮面を着けたその姿。
怪盗王、ファントムⅡ世。
「ずいぶん派手にやってくれたね。」
穏やかでありながら、威厳に溢れたその言葉。
仮面の下の眼差しに威圧される怪盗たち。
(こ、こいつ、いつのまにこんな・・・)
怪盗王から発せられるオーラに圧倒され、あとづさる男爵たち。
「この罪、償ってもらうよ。」
「奴は一人だ。やっちまえ!」
怪盗王に、男爵たちが飛び掛る。

「お母様!」
由美子の声に、島の方を見る尚美たち。
「ああっ!」
炎に包まれる島。
その中に消えていく“王国”。
朝焼けの中、尚美たちの視線は、その光景に釘付けになったままだった。



脱出した尚美たちに案内され、警察が島に向かう。
彼らが目の当たりにしたのは、完全に焼け落ち廃墟となった光景だった。
黒焦げになった多くの死体。
DNA鑑定が行われ、それらは全員、爆弾男爵以下の脱獄した怪盗たちであることが判明した。
そして、焼け落ちた廃墟で尚美が見つけ、密かに持ち帰った物。
全てが焼け落ちた中にたったひとつ、無傷のまま残されていた黄金の仮面・・・。

****************************************

31女探偵 柊 尚美:2006/08/07(月) 00:40:35

エピローグ

夜の国立博物館。
大展示室に1つの黒い人影が見える。
人影の先にはケースがひとつ。
その中に収められた青い輝き。
そう、“碧き天星”。
魅惑の輝きを放つ巨大なブルーダイヤ。
その神秘の青い輝きは、見るもの全てを魅了する。
多くの怪盗たちをもまた・・・。

今日もまた1人・・・。

「ほっほっほ。この“碧き天星”。あの怪盗王でさえ結局ものにできなかったこの宝石。やはりこの公家怪盗、朱小路紅麻呂(あけのこうじ くれないまろ)こそ、その所有者として相応しいでおじゃるな。」
つぶやく人影。
その瞬間、
パッ
展示室の証明が点いた。
「そこまでよ! 公家怪盗」
少女の声が大展示室に響き渡った。

「おのれ、後一歩というところで・・・」
公家怪盗がうめく。

「おあいにく様ね、この『碧き天星』、私たち少女探偵団があるかぎり、決してあなたなんかに盗ませはしないわ」
「碧き天星」が納められたガラスケース。
そのケースの傍らに立つ美少女、すなわち少女探偵団のリーダー柊由美子は決然と言い放った。
「さあ、観念なさい。」 由美子は歩み出る。
彼女の左右に少女探偵団の団員、浅井美和と大西久美子が立つ。さらに入り口から、ばらばらと警官隊が入ってくる。

「ふっふっふっふっふ、それはどうかの。小娘ども、麻呂(まろ)を、公家怪盗をなめるでないでおじゃる!」
公家怪盗は叫ぶと、懐から何かを取り出した。


「あり?」
何も起こらない。
公家怪盗は、慌ててカチカチとスイッチをいじくった。

パラパラと、数人の少女が現れた。
「由美子団長。仕掛けは全てはずし終わりました。」
一人の少女が、由美子に報告する。
「よくやったわ。さすがね、友美。」
少女に由美子は答えると、公家怪盗へ歩み寄る。
「そ、そんな!ありえないでおじゃる〜。この麿が、公家怪盗朱小路紅麻呂が〜」

「いや〜、さすが由美子さんたちですね〜、なんて手際のいい・・・。」
少女探偵団と警官隊に取り押さえられる公家怪盗の姿を見ながら、小島警部が尚美に言った。
「これなら、近頃の凶悪怪盗たちも恐れるに足らずですな、ハハハハハ・・・。ところで、ひとつ伺いたいんですがね、尚美先生。以前は反対なさっていた、少女探偵団の増員をお認めになったのは、一体どんな風の吹き回しなんです?」
「ふふふ。もちろん、怪盗たちと戦うのに彼女らの力が必要だからですわ、警部。」
微笑を浮かべて答える尚美。
そして、心の中で続ける。
怪盗王の物である、この世のさまざまな“美”。
悪しき乱暴者たちの手からそれらを守るには、彼女らの力が必要なのです。
彼女たち、少女探偵団の新入団員の力が。
聡く、気高く、美しく、行動力に秀で、そして何より正義を愛する汚れ無き魂を持った乙女たちの力が・・・。
そう、怪盗王ファントムⅡ世が奴隷とするにふさわしい乙女たちの力が・・・。
ねえ、そうでしょう、ご主人様・・・。
内ポケットの中に入れた黄金の仮面。
それを密かに撫でながら、女探偵は心の中でつぶやく。


「いやね。うちの娘も入れてもらったのはいいんですがね・・・。いや〜、親の目から見るとまだまだ子供ですからね〜。足手まといになってやしないかと心配で。」
「足手まといなんてとんでもない。既に、私たちには不可欠な存在ですのよ、友美ちゃんは。」
そう、全てにわたって彼女は優秀ですわ。あなたの娘だなんてとても信じられない・・・。
少し意地悪な気分になる女探偵。
私の腕の中で、その身をくねらせる彼女の姿。
その時に見せる“女”の顔。
ふふふ、ぜひお見せしたいものです・・・。
尚美の微笑みに混じる淫らな色に、小島警部は気づかない。
「いや〜、これからもぜひ、娘をよろしく。」

「お母様〜。」
由美子、そして少女探偵団員たちがやってくる。
笑顔で迎える尚美。
彼女は思った。
(本当、今夜は早く片付いたわ。これなら、久しぶりに、みんなで“祈る”ことが出来るわね・・・)
淫靡な微笑とともに、母は娘たちを迎える。

<完>

32女探偵 柊 尚美  外伝 聖なる夜:2006/08/20(日) 23:52:23

少女は疾風となって、黒いレザーの脇を駆け抜けた。
「待ちなさい!」
制止の声を背中で受けながら、ドアのノブに手をかける。
そして、廊下を駆け抜け、玄関へと向かう。
その、玄関の扉が開いた。
入ってきた人影に、少女の顔に安堵の表情が浮かぶ。
「尚美先生・・・」

入ってきたコート姿の女が、少女に微笑んだ。
「どうしたの、友美ちゃん?」
少女は、後ろを振り返りながら叫んだ。
「尚美先生、大変です!由美子団長が・・・!」
彼女の視線の先、廊下に立つ人影。
黒いレザー地のボンデージファッションに身を包んだ美少女の姿・・・。

カチャ
「?」
扉の鍵がかかる音に、怪訝そうな顔をする友美。
そんな彼女に微笑みかける女。
「だめよ、友美ちゃん。」
「尚美先生?」
「言ってあるはずですよ。今日から3日間、あなたが本当の“少女探偵団員”になるための“研修”を行うって・・・。だから、団長の言うことをよく聞かないと。」
「尚美・・・、先生・・・?」
女の浮かべる微笑みに、少女は後ずさる。
バサッ
コートが床に落ちる。
現れる黒いレザー地のボンデージに包まれた、豊満な肉体。
「そんな・・・、うそ・・・」
立ちすくむ少女の肩が、後ろからハッシと摑まれた。
「ふふっ。つかまえたわよ、友美。」
「い、いや!」
振り払おうとするが、出来ない。
「友美ちゃん・・・」
黒い皮革に包まれた白い肉体が迫る。
「い、いや・・・、いやー!!」
少女の叫び声が響いた。

***************************************

12月24日、クリスマスイブ。
朝から降っていた雪も昼過ぎには止み、あたり一面の雪景色である。

「これまでよ!怪盗王ファントム。少女探偵団がある限り、あなたの好きな様にはさせないわ!えい!」
びたっ
雪の上に倒れる男の子。頭を押さえて抗議する。
「ちょっとー、ひどいよー、お姉ちゃん。力いれすぎだよー。」
「ごめん、ごめん。」
弟に謝る女の子。

夕方の公園で繰り広げられる、幼い子供たちの他愛のない遊び。
それを微笑ましく眺めながら、柊尚美は近所の教会へと向かっていた。
娘の由美子を迎えにである。

カトリック系のお嬢様校に通っているとはいえ、由美子は今迄さほど信心深かったわけではない。
たまに友人に誘われて、一般向けの礼拝に顔を出すくらいだった。

だが、「あの事件」から変わった。
校内の教会で行なわれる礼拝に欠かさず出席するようになった。
自室の机の上には、いつの間にか聖母マリアの肖像画が掲げられている。
学校がクリスマス休みの今日も、近所の教会で行われるミサとクリスマスパーティの手伝いのため、朝から出かけている。
近々、正式に洗礼も受けるのだという。

教会に着いた。
礼拝堂で行われていたミサも終わり、近所の住人も交えたクリスマスパーティが始まっているようだ。
だが、神父の話によると、ミサ終了後も、由美子は一人礼拝堂にこもって何か祈っているらしい。
パーティへの出席の誘いを丁重に断ると、尚美は礼拝堂へ向かった。

****************************************

33女探偵 柊 尚美  外伝 聖なる夜:2006/08/20(日) 23:53:44

「どうか、お救いください・・・」
慈悲と愛情に満ちた、おだやかな微笑に向けられる祈りの声。
聖母マリアの像に、一心不乱に祈る由美子。

彼女は、怖いのだ・・・。

「あの事件」の後、怪盗たちとの戦いを再会した女探偵柊尚美と、由美子たち少女探偵団。
多くの怪盗たちが、彼女らに捕らえられた。
世間は、美貌の女探偵と、美少女たちを讃える。
曰く、「美しき正義のヒロインたち」、「地上に降り立った正義の女神と天使たち」・・・。

しかし、彼らは知らないのだ。
「正義のヒロイン」たちの真実の姿を。
怪盗王の忠実な奴隷としての姿を。
肉体と魂の全てを主(あるじ)に捧げた、淫らな奴隷としての姿を・・・。
その戦いが、本当は「正義のため」などではなく、「主人への忠誠のため」だということを・・・。

そして、少女探偵団の新入団員たち。
厳選された、聡く、気高く、美しく、行動力に秀で、そして何より、正義を愛する汚れなき魂を持った乙女たち。
「正義のヒロイン」、女探偵柊尚美を尊敬し、彼女に強い憧れを抱く乙女たち。
彼女とともに、悪と戦える身になれることを大いなる喜びとして入団してきた乙女たち。

だが、乙女たちはすぐに知ることになる・・・。
女探偵と少女探偵団の真実の姿を・・・。

由美子は思い出す。

****************************************

ベッドの上に、仰向けで大の字にくくりつけられた美少女。
そのみずみずしい肉体を覆うものは何もない。
裸身のうえに、黒い稲妻が舞う。
ピシッ
「はうっ!」
細い皮の鞭で打たれ、思わず呻き声を上げる少女、小島友美。
ピシッ。ピシッ。
乾いた音が響き、少女の目には涙が浮かぶ。
だが、その涙は、鞭打たれる痛みによるものだけでは無い。

「どうして・・・、尚美先生・・・」
そう、友美を鞭打っているのは、柊尚美。
友美が尊敬してやまない女探偵である。
微笑みとともに、尚美は答える。
「もちろん、あなたが、本当の“少女探偵団員”になるためですよ。」
「そんな・・・」
尊敬する女探偵の信じられない言葉に、理知的な美貌を歪める友美。
その瞳には、恐怖の色が混じる。
「さあ、由美子、あなたも・・・」
黒い皮革を白い肉体にまとった女探偵は、傍らに立つ娘に命じた。
歩み出る由美子。
「由美子・・・、団長・・・」
友美の涙目の前に一瞬たじろぐ由美子。
だが、再び母親にうながされ、意を決したように鞭を振るいだす。
少女の裸身の上に、母娘の鞭が乱舞する。
絶妙の技でもって繰り出される2本の鞭は、みずみずしく輝く肌に傷一つつけることなく、痛みだけを少女に与え、乾いた音を奏でていく。
ピシッ。ピシッ。ピシッ・・・。
「はうっ、いや・・・、やめて・・・、はうっ・・・」
呻く少女。だが・・・、
「はうっ、あ、はうっ・・・、あ、あ・・・」
声と表情に、苦痛の色以外の何かが混じりだした・・・。

34女探偵 柊 尚美  外伝 聖なる夜:2006/08/20(日) 23:54:59

鞭打たれ、上気した肌の上を舐める2本の舌と、這い回る4本の手。
尚美と由美子、2人がかりで全身を愛撫され、悶える友美。
既に手足の拘束は外されているが、彼女に抵抗の様子はない。
まるで、抵抗の意思自体を2人に舐め取られてしまったかのように、愛撫に身を任せている。
「あ・・・、うそ・・・、こんな、あ・・・、あぁ・・・」
身をくねらせる友美の口から、喘ぎ声がこぼれる。
その声を聞きながら、由美子の舌は太ももの付け根へと移動する。
薄い飾り毛に守られて、ひっそりと咲く友美の肉花。
いずれ、怪盗王の肉棒によって摘まれるべき、可憐な肉の花。
色素のほとんど沈着していない花びらをかきわけ、由美子は雌しべを探り出す。
小島友美の雌しべ。
自身の手すらほとんど触れたことがないであろうそれに、由美子はそっと口づける。
「あぁ!」
ひときわ高く発せられた友美の声に、嗜虐心を刺激される。
やや乱暴に責める由美子。
「あぁ・・・、あ、やめて、お願い・・・、あ、あぁ・・・」
友美の嬌声が響く。
「友美ちゃん・・・」
そんな彼女に呼びかける尚美。
いつの間にか胸の紐が解かれ、乳房が取り出されている。
上気し、張りを増した豊かな美乳が・・・。
屹立した乳頭に、思わずむしゃぶりつく友美。
まるで赤子に戻ったかのように、音を立てて吸う。
そんな彼女の頭を、まるで実の母親のように優しく撫でる尚美。
「あ・・・」
その口から、艶めいた声が漏れた。

ふと、由美子は顔を上げる。
目の前で見つめあう、母と後輩団員。
「尚美・・・、先生・・・」
理知的な顔を、半ば惚けさせて友美がつぶやく。
「ふふっ。かわいいわよ、友美ちゃん・・・」
尚美の微笑。
慈愛と嗜虐、淫猥と高貴。
矛盾する要素を平然と兼ね備えた神秘の微笑み。
「先生・・・」
引かれるように、顔を近づけていく友美。
重なる2人の唇・・・。
由美子の耳に、ぴちゃぴちゃと2本の舌が絡む音が聞こえる・・・。

友美への調教は、翌日も続けられる・・・。

少女探偵団員小島友美が怪盗王ファントムⅡ世への忠誠を誓ったのは、さらにその翌日のことである。
尚美や、由美子たち先輩団員らの見守る前で、肉体と魂の全てを怪盗王に捧げ、彼の敵と戦う身となることを誓ったのは・・・。

****************************************

35女探偵 柊 尚美  外伝 聖なる夜:2006/08/20(日) 23:55:42

尚美や由美子らによって調教され、怪盗王の奴隷となっていく少女探偵団の新入団員たち・・・。
もちろん、世間はこの事を知る由もない。
秘密は完全に守られている。
世には、尚美らを讃える声だけが溢れている。
全ては順調だ。
順調すぎると言っていいかもしれない。

だが、その順調さが由美子には怖い。

いつか、突然全てがひっくり返るのではないか・・・。
そんな気がしてたまらないのだ・・・。

考えてみる。

怪盗王ファントムⅡ世の淫らで忠実な奴隷である自分たち。
そんな自分たちが、「正義のヒロイン」として賞賛を浴びている。
何も知らない世間から・・・。
そして、自分たちを慕って入団してきた正義感溢れる乙女たちに、
真の「正義のヒロイン」として育つべき純真無垢な乙女たちに、
淫靡な調教を施し、その魂を怪盗王への隷属の色でもって染め上げていくのだ。

許されるはずが無い。
人知を超えた何か大いなる力に、ある日突然罰せられるのではないか?
そんな思いが、心の中で日増しに大きくなっていく。

由美子は恐れる。
下される罰を。
もちろん、自分が罰せられることを恐れているのではない。
覚悟は出来ている。
自分や母、美和や久美子はおそらく地獄へ墜ちる。
だが、地獄など恐ろしくは無い。
いかなる責め苦も、主への愛でもって耐えてみせる。
だが、その「主」。
最愛の主人、怪盗王ファントム2世。
彼にもまた、罰は下されるのではないか?
そのことが、由美子には恐ろしい。
彼もまた、地獄の責め苦にさらされることになるのではないか?
そのことだけが、由美子には恐ろしい。

救いを求め、すがりつく対象を求めて、信仰に走る由美子・・・。

「マリア様。私たちはどうなってもかまいません。自らの罪深さは重々承知しております。どんな厳しい罰でも甘んじてお受けいたします。ですから、どうか、ご主人様だけは・・・」
どうか・・・。
どうか・・・。
・・・
聖母への祈りは続く・・・。

微笑は答えない・・・。

キィ〜

背後で、扉の開く音がした。

****************************************

36女探偵 柊 尚美  外伝 聖なる夜:2006/08/25(金) 18:45:05

日の暮れた道を歩く人影が2つ。
柊尚美と、娘の由美子。
娘の口が開き、ぽつりぽつりと言葉が漏れる。
背中で聞く母・・・。
由美子は母に打ち明ける。
胸に秘めた恐れを。
もちろん、打ち明けたからどうなるものでもないことは、自分でもわかっている。
実のところ、何故ここでこんな話をしているのか、自分でもわからない。
だが、母にだけは知っておいて欲しかった。
母にだけは、ぜひとも話しておきたかった。
ひょっとしたら、母の口から断言の言葉を聞きたいだけなのかもしれない・・・。
“大丈夫。心配ない”と。
この場限りでもいいから、断言して欲しい。
そんな気持ちなのかもしれない・・・。
由美子自身、そんな気がしている。

語り終わったときには、既に家の前まで来ていた。
門の扉を開きながら、それまで黙って娘の話を聞いていた母が口を開いた。
「由美子。あなたはそんなことを・・・」
「ええ、お母様・・・」
だが、次に母の口から出た言葉は、娘の予想外の物だった。
「由美子。ご主人様がそんなことを望まれる方だと思っているの?」
「え?」
「私たちだけに地獄の苦しみを味わわせて、自分だけは許される。私たちのご主人様、怪盗王ファントムⅡ世は、そんなことを望まれるような方ではないわ。」
ハッとする由美子。
言葉を続ける尚美。
あなたの言う通り、私たちの行いは決して許される事じゃない。
いずれ地獄に墜ちる事になるの知れない。
でも、それが私たちの選んだ道・・・。
それが、怪盗王ファントムⅡ世に全てを捧げる事を選んだ私たちの道・・・。
ご主人様はその事をよくわかっていらっしゃるの。
そして、そんな私たちの主人となる事がどういうことなのか・・・。
そんな私たちを奴隷として受け入れるという事がどういうことなのか・・・。
ご主人様は全てご承知なの。
全てご承知になった上で、私たちの隷属を受け入れてくださったの。
全てご承知になった上で、私たちを愛してくださったの。
ともに地獄に墜ちるかも知れないということも覚悟の上で・・・。
あの方は、私たちを犠牲にして自分だけが助かろうなどとお考えになるお方ではないわ。
自分のために苦しむ奴隷は何としても救い出そうとし、そしてそれがかなわぬのなら・・・。
自分も共に苦しみを分かち合おうとする。
そう、それが私たちの主(あるじ)、怪盗王ファントムⅡ世・・・。
私たちの最愛のご主人様・・・。

「お母様・・・」
静かに、しかし強い確信を込めて語られる母の言葉に、由美子は衝撃を受ける。
そして思った。
自分はまだまだ主のことを何もわかってはいなかった、と。
さすがは母だ、と。
そして感じた。
母と主との魂の結びつきを。
何よりも強く深い絆で結ばれた、2人の魂の結びつきを・・・。

さらに、母の目は語っている。
そんなご主人様だからこそ、私はどこまでも追いていくの。
たとえ行く先に、地獄が待ち受けているとしても・・・。
そして、由美子。あなたもそうでしょう・・・。
(もちろんよ・・・、お母様・・・)
無言で肯く娘。

玄関に入り、扉を閉めながら母は言う。
「今夜の“お祈り”は2人でしましょう。」
返事の代わりに、顔を寄せていく娘。
2人の影が一つとなり、唇が重なる・・・。

****************************************

37女探偵 柊 尚美  外伝 聖なる夜:2006/08/25(金) 18:46:05

由美子の部屋。
照明が消され、蝋燭の灯(あか)りだけがともる中に、清らかな微笑が浮かび上がる。
普段の“祈り”に際しては、机の上に伏せ置かれる聖母の肖像。
だが、今夜それはベッドの枕元の壁に掲げられている。
そして、聖母の視線の先、蝋燭の灯に照らし出される2つの人影。
母と娘。
柊尚美と、柊由美子。
2人ともその身には、何もまとってはいない。
爛熟した艶めかしさにあふれた、母親の裸身。
若くみずみずしさに満ちた、娘の裸身。
蝋燭の灯の中に浮かび上がる様は、幻想的でさえある。

「お母様・・・」
由美子の呼びかけに、無言で微笑む尚美。
入浴によって清められ、しっとりと上気した肌が重なる。
抱き合う母と娘。
血を分けた乳房同士が押し合い、ひしゃげる。
唇が重なる。
最初は軽くついばみあい・・・、
そして強く密着し、舌を絡めあう。
2人の耳に、互いの舌の絡み合う音だけが聞こえる。
ベッドの上に、娘は母を押し倒す。
しばしの間、母の胸に顔を埋める由美子。
耳に、心臓の鼓動が聞こえる。
母親の心臓の鼓動。
全ての子供たちにとっての、至上のやすらぎの音楽。
しばし、耳を傾ける由美子。
そして、まるで赤子にもどったかのように、母の乳首に吸い付く。
既に固くとがっていた乳首を、ちゅうちゅうと音をたてて吸う。
舌でもってなぶり、軽く歯をたてる。
「あ・・・」
尚美の口から、声が漏れた。

しばらく乳首を吸った後、由美子の唇は移動する。
腹部へと下り、形のよい臍を弄る。
そして、さらに下方へと・・・。

むっちりと張った母の太ももに、娘は手をかけ、一気に押し広げる。
「あ・・・んっ。」
母の口から漏れる、恥ずかしげな声。
だが、抵抗するそぶりは無い。
されるがままに、娘の目の前で股を広げている。
娘、由美子は凝視する。
目の前にさらされた母、尚美の秘所。そこで咲く肉の花を。

母、尚美の肉花。
娘、由美子にとっては、かつて自分がそこから産まれてきた“ふるさと”。
そして、今は、怪盗王の肉棒に捧げられし悦びの神殿。
絢爛でありながら清楚であり、淫猥を極めながら神聖さすら感じさせる。
それら矛盾する要素が、平然と同居する奇跡の場所。
肉の花は、その花びらの一枚一枚に、しっとりと蜜をたたえている。

38女探偵 柊 尚美  外伝 聖なる夜:2006/08/25(金) 18:47:00
だが、娘は知っている。

そこが濡れているのは、自分の愛撫のせいだけではないことを。
そう、母のそこは常に濡れているのだ・・・。
主(あるじ)の帰還を待って・・・。
いつ何時になるかわからない主の帰還を待って、そこを濡らし続ける母。
いつ何時にも主たる肉棒をもてなせる様に、いつ何時にも蜜を滲ませ続ける肉の花びら。
それは、けなげさの極北。
由美子は、そっと雌しべに口づける。
「あ・・・」
思わず、声を上げる尚美。
娘になぶられるまま、嬌声を上げる母。
ベッドの上に淫靡な歌声が流れる。

だが、娘は知っている。

母の歌う、本当の「歌声」を。
母にそれを歌わせることが出来るのは、この世でただ一人。
そう、怪盗王ファントムⅡ世。
母がそれを歌う場所もまた、この世でただひとつ。
そう、怪盗王ファントムⅡ世の腕の中。
娘は思い出す。
あの夜のことを。
ともに主に抱かれたあの夜のことを。

****************************************

月明かりの下で、白い肉体が躍動する。
娘たちの目の前で、躍動する母親の裸身。
愛する主人の腕の中で、躍動する熟女の肉体。
怪盗王の腕の中で、躍動する女探偵の裸身。
愛する主人の腕の中で、導かれるままに躍動する奴隷の肉体。
月明かりに、白い肌が輝く。
そして、口から漏れる声。
それは、悦びの歌。
愛する主人になぶられ、その愛を全身で感じることの出来た奴隷のみが歌いうる、悦楽の歌声。
柊尚美が、ファントムⅡ世の腕の中でのみ歌いうる究極の歌声。
ファントムⅡ世が、柊尚美にのみ歌わせうる究極の歌声。

そして、そこに奇跡の“美”が生まれる。
この一瞬一瞬のみに存在する、究極の“美”が・・・。

女探偵の顔は、歓喜にあふれている。
愛する主人、怪盗王ファントムⅡ世の手によって導かれ、究極の“美”へと達せられた喜びに。
怪盗王の表情もまた、喜びで満ちている。
愛する奴隷、女探偵柊尚美を、自分自身の手で究極の“美”へと導くことが出来た喜びに。
それは、一瞬ごとに生まれ、一瞬ごとに消えていく儚い光景。
だが、それらの繰り返しが生み出すこの世の奇跡。
その儚さゆえに、逆に不滅を感じさせる、奇跡の“美”。
最高の主人と最高の奴隷、愛し合う2つの魂のみが作り出しうる、荘厳なる奇跡の“美”。

見守る少女たちは圧倒される。
娘、由美子。そして少女探偵団員、浅井美和と大西久美子。
彼女らの表情は感動に満ちている。
この奇跡の場に立ち会うことの出来た感動に満ちている。
嫉妬、羨望、その他もろもろの負の感情の全てを吹き飛ばす大いなる感動で、彼女らの心は満たされている。
その眼(まなこ)に、感動の涙を浮かべる少女たち・・・。
涙が一粒、由美子の頬を伝って落ちていく。

****************************************

39女探偵 柊 尚美  外伝 聖なる夜:2006/08/25(金) 18:47:55
「あぁ〜。」
部屋中に、母親の絶頂の声が響く。
そして・・・、
脱力した母の体から、娘が離れる。
だが、その肩がつかまれ、ベッドに押し倒される。
「ふふふっ、由美子、あなたもやるようになったわね。でもまだまだ、これからよ。」
息を荒げながらも、いたずらっぽい微笑で話す母、尚美。
娘、由美子は恥かしげな笑みで持って応じる。
娘の上に覆いかぶさり、広げられた股間に顔を埋めていく母。
「あ、あぁ〜。」
たちまち、娘の口から声が漏れ出す。

目を開ける由美子。
目の前に覆いかぶさる様に広げられた、母親の秘所。
そこに咲く、母親の絢爛たる肉花。
再び、そこに口づける娘。
母の口からも、再び淫靡なる歌声が流れ出る。
ふと、視線を感じる。
母の肉花の向うに見える清らかな微笑み。
枕もとの壁に掲げられた、聖母の肖像画。
その視線を感じながら、心の中で祈る由美子。

マリア様、ご覧ください。
これが、私たち母娘の真の姿です。
女探偵柊尚美と、少女探偵団団長柊由美子の真の姿です・・・。
怪盗王ファントムⅡ世の奴隷としての姿です・・・。
この世で、最も淫らで、罪深いその姿です・・・。
もう隠すことはいたしません。
でも、私は幸せです。
これが私たちの幸せなのです。
淫らな奴隷として、怪盗王に尽くすことこそ、私たち母娘の幸せなのです・・・。

どうぞ、ご覧ください。
この世で最も幸せな奴隷たちの姿を・・・。

微笑みは答えない。

母娘の二重唱だけが続いていく。

いつの間にか、窓の外では雪が降り出したようだ。

聖なる夜は更けていく・・・。

<完>


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