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327最強証明 後編 ◆CC0Zm79P5c:2007/05/07(月) 12:49:19 ID:6AH3Zsjo
「よお」
 そして、既視感。
「……え」
 目前に、死んだはずの人精霊が漂っている。多少焦げてはいたが。
「な、なんであんた生きてんのよ――」
「小娘はあれだな。やはり修行が足らん。飲んだくれの師匠は見つかったか?
 まあ咄嗟に無抵抗飛行路に逃げ込んだんだが、最近は突然体が爆発するらしい。これはメモしとかねっと」
 彼女の疑問を無造作に一蹴しながらスィリーは自分の体を探るが、そんな服装で何かを隠せるわけもない。
 人精霊はこの世界でも変わっていない。スィリーに掛かれば、全てが無意味で馬鹿馬鹿しくなる。
(……ああ、そうか)
 気付いて、フリウは笑った。
「む。小娘。人を嘲る奴は嘲られているのだと気付くべきだ。
 ところで小娘はメモ持ってっか?」
「持ってないよ、そんなの」
「分かってはいた。小娘は所詮、役立たずだと」
「あんたに――」
 言われたくない。という台詞を喉の奥に飲み込む。
「……ううん。ありがとう、スィリー」
「メモは無いぞ。まあ感謝は受け取っておくが」
 憮然としている人精霊。とても懐かしい姿。
 辺りは硝化の森ではない。かつての水溶ける場所ではない。取り戻したのは花ではない。
 それでもフリウ・ハリスコーは取り戻した。
(信じられる……あたしは信じられる。言葉を全部覚えてる)
 ミズー・ビアンカ。ベスポルト・シックルド。リス・オニキス。
 チャッピー。要。潤。アイザック。ミリア。
 彼らの言葉を覚えてる。彼女の人生に携わった者達の、すべての言葉を覚えてる。
 彼らの生命は終わってしまった。自分が終わらしてしまったものもある。
 だけど、それは無くなってなんかいない。
 忘れていた。だけど、取り戻した。
(あたしはもう大丈夫だ。アマワ。お前の用意した絶望を退けられる)
 まだ言葉を聞ける。元の世界に戻り、気の良いハンター達と言葉を交わせる。
 そう信じることが出来る。
 もうひとりではないのだから。
「それで、これからどうすんだ小娘?」
「そうだね、どうしようか」
 彼女の呟きは、もう孤独に満ちてはいなかった。
 腕は動かないが、頬が濡れているのを自覚する。

 時刻は零時丁度。
 放送が、始まる。


【023 パイフウ 死亡 094 シャナ 死亡】
【残り 45人】


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