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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第二章

155崇月院なゆた ◇uymDMygpKE:2019/01/29(火) 21:41:50
「♪太古の眠りより目覚めし赤鋼(あかがね)の巨人 神の似姿より放たれるは 万象を灼き穿つ憤怒の雷光――
  其を撃ち斃せしは異界よりの使者 その名も猛き五人の『異邦の魔物使い(ブレイブ)』――
  闇の暴威に慄える者よ 今ぞ蒼穹を視よ 紅き光輝放ち翔くる『紅玉の竜騎兵(ルビードラグーン)』の雄姿其処に在り
  御名を讃えよ 彼等の御名を その名も猛き五人の『異邦の魔物使い(ブレイブ)』――」

マルグリットが何やら妙な節をつけ、即興で作った恥ずかしい歌を歌っている。やたら声がいいのが逆にイラっと来る。

>「戻ろう、ガンダラに。そこのイケメンには聞かなきゃならないことが沢山ある。
>三日ぶりにまともな寝床と食事にありつけるぜ。……マスターも、待ってるだろうしな」

そんなマルグリットになゆたと同じくイラッとしたのか定かではないが、明神がそんなことを言う。
マルグリットは歌を中断すると、しっかり頷いた。

「無論。『異邦の魔物使い(ブレイブ)』の申し出とあらば、このマルグリットに否やはない。
 この脳髄に納められし智慧の幾許かでも、御身らのお役に立てるのであれば喜んで。我が賢師もそれをお望みのはず」
 
今後の方針は決まった。
宿に戻り、お風呂に入って汗を流し、美味しいごはんを食べ、ベッドで思うさま寝た後で、マルグリットの話を聞く。
ただ、その前に。やらなければならないことがある。

「さて。大切なことは沢山あるけれど、みんな。その前に――何よりも先にすることがある。でしょ?」

全員を呼び止めると、なゆたは徐に一度咳払いをした。

「試掘洞の地下10階に到達して、レイドボスを倒した。
 マルグリットと合流して、ローウェルの指環も手に入れた。石も魔法列車の燃料に使ってお釣りがくるくらい貰えた。
 その上出てきたタイラントまでやっつけられたし、何より――全員無事で帰ってこられた!
 ってことで……クエスト、クリアー! みんな、お疲れさまーっ!!」

元気よくそう宣言すると、なゆたは両腕を大きく上げてバンザイしてみせた。
と同時、ウィズリィを除く全員のスマホから同時にやたら豪華なファンファーレが鳴り響く。
難易度SS級のクエストをクリアしたときにのみ聴くことができる、専用のファンファーレだ。
これで、本当にガンダラのミッションはおしまいということなのだろう。

「……真ちゃん、お疲れさま。
 ちゃんと、勝てたね。勝てるって信じてた。真ちゃんならやれるって。
 ……かっこよかったよ」

すす、と真一の隣に寄り添うと、なゆたは真一の顔を見てそう告げた。
呟くように言って、真一の着ている竜騎士の鎧の端を軽くつまむ。

「絶対に、一緒に元の世界に戻ろう。
 わたしと真ちゃんなら、絶対帰れる。例え、ニヴルヘイムの魔王が立ち塞がったって。ゲームに登場しないボスが立ち塞がったって。
 必ずやっつけられるって――わたし、信じてる……から」

なゆたは照れ臭そうに、仄かに笑う。
それからぱっと手を離すと、たった三日だけの不在だったのに早くも懐かしく感じる『魔銀の兎娘(ミスリルバニー)亭』へ駆けていった。


【MISSION CLEAR!】


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