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修正SS投下スレ

1名無しさん:2015/08/05(水) 23:25:46 ID:ME8i0ld.0
無かったようなので立てました

2 ◆gsq46R5/OE:2015/08/06(木) 00:32:06 ID:YGK1DL920
スレ立て乙です。本スレで指摘された箇所を微量ですが修正しました

  四方を海に囲まれた島に閉じ込め、一定時間が経過する毎に進入禁止エリアが増えていく。
  ↓
  四方を海に囲まれた島に閉じ込め、主催に刃向かおうすれば殺されるというから参る話だ。

以上のように修正します。

3 ◆7fqukHNUPM:2015/08/07(金) 20:32:36 ID:R0oCJ0Og0
「ネクロウィッチ」での支給品説明を修正しました。

【アスティオン@魔法少女リリカルなのはvivid】
リタに支給。
アインハルト専用の真正ベルカ式のデバイスで、雪原豹のぬいぐるみの形をしている(外装が雪原豹のぬいぐるみなだけで、本体はクリスタル型)。愛称はティオ。
雪原豹とはいっても、実質、ただの猫であり、喋らずに「にゃあ」と鳴いて意思疎通する。表情も豊かで、物凄く喜んだり険しい目をしたりが忙しい。
攻撃補助をしないが、ダメージ緩和と回復補助能力に特化している(ただしそれも限界があるので、ティオ自体の疲労時には使用できない)。
また、本ロワでは仮マスター登録を行う事により、アインハルト以外の参加者でも起動させられるようになっている。ただし制限により本来のマスターが行使した時より性能が低下している可能性がある。

4 ◆eNKD8JkIOw:2015/08/09(日) 10:42:16 ID:4ZXwuHB20
こちらでも一応
本スレでの指摘があったので「あいあいびより おおきなやまをみた」においての杏里の道具に
黒カード:不明支給品0〜2 枚
を追加します

5 ◆KKELIaaFJU:2015/08/10(月) 19:04:06 ID:nBwfPnc20
本スレで指摘された赤と青のカード箇所を以下のように修正します。

「さっきも言った通り俺に武器必要ないし、使い慣れてない武器よりも自分の肉体のほうが信じられるしな。
 ……出来ることなら、もうちょっと食料と水がほしかったかな」
「使わないんだったら、その刃牙君が持ってるその黒カードと私の赤と青のカード交換しない?」
「ん? そういうことならいいぜ!」

 交渉成立。
 にこの持っていた2枚の赤のカードと2枚の青のカードのトレードした。
 そして、その黒カードを見てみる。

 ↓

「さっきも言った通り俺に武器必要ないし、使い慣れてない武器よりも自分の肉体のほうが信じられるしな。
 ……出来ることなら、もうちょっと食料と水がほしかったかな」
「使わないんだったら、その刃牙君が持ってるその黒カードと私の食料と飲み物交換しない?」
「ん? そういうことならいいぜ!」

 交渉成立。
 にこの持っていた赤のカードから刃牙君が食べたいといった炭水化物中心の2回分の食料を。
 青のカードから2回分の水を取り出しての刃牙君の黒カードをトレードした。
 その出てきた食料を刃牙君は勢いよく口にかきこんでいき、水で流し込んでいった。


また、それに伴い刃牙とにこの状態表も以下のように修正します。

【範馬刃牙@グラップラー刃牙】
[状態]:満腹
[服装]:普段着
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
[思考・行動]
基本方針:勇次郎を倒す
   1:地図の真ん中の方を目指す
   2:出会った人が強い奴なら戦う
   3:勇次郎を探す
   4:銀時、神楽、桂、土方、神威に興味
[備考]
※参戦時期は最大トーナメント終了後

【矢澤にこ@ラブライブ!】
[状態]:健康
[服装]:音ノ木坂学院の制服
[装備]:ヘルゲイザー@魔法少女リリカルなのはViVid
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(8/10)、青カード(8/10)
    黒カード:不明支給品0〜2枚、イヤホン
[思考・行動]
基本方針:皆で脱出
   1:新八と、鉄道を使って音ノ木坂学院に向かう 
   2:μ'sのメンバーと合流したい
[備考]
※参戦時期は少なくとも2期1話以降です
※志村新八と情報交換しました

以上のように修正します。

6正義の在処(修正版) ◆WqZH3L6gH6:2015/08/10(月) 23:27:35 ID:ir45ul8A0
修正版投下します

ほの暗い闇に覆われた映画館が証明によって照らされる。
 外部に明かりがもれない構造なのは衛宮切嗣は確認済みだった。
 何も写していないスクリーンを前に煙草を手に彼は席に腰掛ける。

(どうしたものか)

 煙草を一本取り出し口に咥え、溜息のような息を吐きながら思案に暮れ、自らの腕輪を調べた。
 腕輪やカードに何らかの力のようなものは感知できるが、魔術師である彼がよく知る魔力かと断ぜない不可解な力。
 先ほどの白い部屋といい、催眠術に完全に掛かったか、あるいは何らかの方法で異界に落とされたとしか材料不足で
無理やりでも判断しなければ彼にとって動きようのない状況だった。

(……サーヴァントが3体、僕と元マスターの言峰綺礼を含めマスターが確認出来るだけでも3人か)

 名簿確認しながら切嗣は苛立ちを吐き出すかのように煙草を噛む。
 スタートの場に自らのサーヴァント セイバーの姿が確認したのを思い出し、また煙草を噛んだ。
 切嗣は繭に生殺与奪権を握られているだけに、殺し合いに対して取るべき手段は優勝狙いが一番効率がいいと思っていた。
 仮に切嗣が参加者内で随一の力を持つなら、女子供を含め鏖殺するのに支障などないだろう。
 衛宮切嗣は感情と行動を切り離せる男だ。
 だがサーヴァントが参加者であるなら話が変わってくる。

 切嗣は繭にさらわれる前、聖杯戦争というバトルロイヤルに参加していた。
 奇跡を起こし得うる願望機を使用するために、7人のマスターと7体の英霊――サーヴァントと最悪最後の一組以下に
なるまで殺しあう争奪戦、それが聖杯戦争。切嗣も願望機の使用が参加理由だった。
 切嗣の知る限り願いを叶えるだけの力を聖杯が発揮するには6体の英霊の脱落が条件である。
 ここでセイバー、ランサー、キャスターのうち2体以上が脱落してしまえば、聖杯戦争が成たたなくなってしまう懸念が彼にはあった。
 その理由は死んだ参加者の魂はカードに封じられるという事実。

 聖杯戦争においてサーヴァントが倒されると、その魂が元の場所に戻る際に空間に孔が開く。
 その孔を利用して聖杯を起動させるのに、その魂がカードに封じられてはどうしようもない。
 優勝者には願いを叶えると言っていたものの、初対面ということもあり願いがどれだけの範囲まで適用されるか判断できなかった。
 その上、あの時の繭の楽しそうな様子から察するに、敗者の魂の解放の要求は容易に受託されるものではないと思えた。
 手間が掛からない、例えば優勝者のみ元の居場所への帰還などは、よほど機嫌を損なわない限り叶えられそうな感じだが、
切嗣にとってそれは受け入れられるものではない。

 
 衛宮切嗣は人間的には外道と見なされる魔術師である。だが冷血ではない。
 彼はこれまでの人生で、何年かの休止があったもののより多くの人を救う為に独自に鍛錬を重ね、心を砕きながら戦場や裏社会で活動していた。
 だがその手段と思想は、より多くを救うために必要最小限の犠牲を見極め、容赦なくそれを駆逐するというもの。
 それはかつて災厄になりうる幼なじみを前に選択を放棄したがゆえに、惨劇を引き起こしてしまった負い目が原点であった。
 そうした行為の繰り返しは現実の過酷さと合わせ彼の心を痛めつけ、遂には超常の聖杯を求めるまでに至った。
 そんな彼が聖杯を、自らの意思で願いを叶える事を簡単に諦められる筈がない。
 切嗣は思案の前に腕輪から出した黒のカードを取り出して呟いた。

「詳しく調べさせてもらうよ」

 声を受け1枚の黒のカードが微かに動き、何枚ものファンタジックなイラストが描かれたカードが現出した。
 支給品確認はここに飛ばされた直後に既に行っている。目当ての武器はなかった。
 代わりにあったもので目を引くものは有益とは思えない面倒臭そうなアイテム。
 1枚のカードが蠢き、それを指に挟んで正面へ向けた。

 衛宮切嗣は英雄が嫌いだ。人々のヒロイズムを刺激し戦争を助長する存在であるから。
 それは自らのサーヴァントであるセイバーにも向けられ、一度しかこちらから話しかけた事がないくらいだった。
 故にここに置いても彼がサーヴァントに話しかける気はない。
 だから指に挟んだあれも煩そうなのもあったが、サーヴァントの一種の可能性を考え早々に黒カードに収納していた。

 そのカードに写るは1人の女性。
 茶色のツインテールに、ドクロのような帽子、胸元にでかいリボンという格好の十代前半の少女だった。
 それはただのイラストなどではなく。

7正義の在処(仮投下修正版) ◆WqZH3L6gH6:2015/08/10(月) 23:30:34 ID:ir45ul8A0
>>6はなかったことに ここからが修正稿です

 ほの暗い闇に覆われた映画館が証明によって照らされる。
 外部に明かりがもれない構造なのは衛宮切嗣は確認済みだった。
 何も写していないスクリーンを前に無人の売店から失敬した煙草を手に彼は席に腰掛ける。

(どうしたものか)

 煙草を一本取り出し口に咥え、溜息のような息を吐きながら思案に暮れ、自らの腕輪を調べた。
 腕輪やカードに何らかの力のようなものは感知できるが、魔術師である彼がよく知る魔力かと断ぜない不可解な力。
 先ほどの白い部屋といい、催眠術に完全に掛かったか、あるいは何らかの方法で異界に落とされたとしか材料不足で
無理やりでも判断しなければ彼にとって動きようのない状況だった。

(……サーヴァントが3体、僕と元マスターの言峰綺礼を含めマスターが確認出来るだけでも3人か)

 名簿確認しながら切嗣は苛立ちを吐き出すかのように煙草を噛む。
 スタートの場に自らのサーヴァント セイバーの姿が確認したのを思い出し、また煙草を噛んだ。
 切嗣は繭と名乗った少女に生殺与奪権を握られているだけに、殺し合いに対して取るべき手段は優勝狙いが一番効率がいいと思っていた。
 仮に切嗣が参加者内で随一の力を持つなら、女子供を含め鏖殺するのに支障などないだろう。
 衛宮切嗣は感情と行動を切り離せる男だ。
 だがサーヴァントが参加者であるなら話が変わってくる。

 切嗣は繭にさらわれる前、聖杯戦争というバトルロイヤルに参加していた。
 奇跡を起こし得うる願望機を使用するために、7人のマスターと7体の英霊――サーヴァントと最悪最後の一組以下に
なるまで殺しあう争奪戦、それが聖杯戦争。切嗣も願望機の使用が参加理由だった。
 切嗣の知る限り願いを叶えるだけの力を聖杯が発揮するには6体の英霊の脱落が条件である。
 ここでセイバー、ランサー、キャスターのうち2体以上が脱落してしまえば、聖杯戦争が成たたなくなってしまう懸念が彼にはあった。
 その理由は死んだ参加者の魂はカードに封じられるという事実。

 聖杯戦争においてサーヴァントが倒されると、その魂が元の場所に戻る際に空間に孔が開く。
 その孔を利用して聖杯を起動させるのに、その魂がカードに封じられてはどうしようもない。
 優勝者には願いを叶えると言っていたものの、初対面ということもあり願いがどれだけの範囲まで適用されるか判断できなかった。
 その上、あの時の繭の楽しそうな様子から察するに、敗者の魂の解放の要求は容易に受託されるものではないと思えた。
 手間が掛からない、例えば優勝者のみ元の居場所への帰還などは、よほど機嫌を損なわない限り叶えられそうな感じだが、
切嗣にとってそれは受け入れられるものではない。

 
 衛宮切嗣は人間的には外道と見なされる魔術師である。だが冷血ではない。
 彼はこれまでの人生で、何年かの休止があったもののより多くの人を救う為に独自に鍛錬を重ね、心を砕きながら戦場や裏社会で活動していた。
 だがその手段と思想は、より多くを救うために必要最小限の犠牲を見極め、容赦なくそれを駆逐するというもの。
 それはかつて災厄になりうる幼なじみを前に選択を放棄したがゆえに、惨劇を引き起こしてしまった負い目が原点であった。
 そうした行為の繰り返しは現実の過酷さと合わせ彼の心を痛めつけ、遂には超常の聖杯を求めるまでに至った。
 そんな彼が聖杯を、自らの意思で願いを叶える事を簡単に諦められる筈がない。
 切嗣は思案の前に腕輪から出した黒のカードを取り出して呟いた。

「詳しく調べさせてもらうよ」

 声を受け1枚の黒のカードが微かに動き、何枚ものファンタジックなイラストが描かれたカードが現出した。
 支給品確認はここに飛ばされた直後に既に行っている。目当ての武器はなかった。
 代わりにあったもので目を引くものは有益とは思えない面倒臭そうなアイテム。
 1枚のカードが蠢き、それを指に挟んで正面へ向けた。

 衛宮切嗣は英雄が嫌いだ。人々のヒロイズムを刺激し戦争を助長する存在であるから。
 それは自らのサーヴァントであるセイバーにも向けられ、一度しかこちらから話しかけた事がないくらいだった。
 故にここに置いても彼がサーヴァントに話しかける気はない。
 だから指に挟んだあれも煩そうなのもあったが、サーヴァントの一種の可能性を考え早々に黒カードに収納していた。

 そのカードに写るは1人の女性。
 茶色のツインテールに、ドクロのような帽子、胸元にでかいリボンという格好の十代前半の少女だった。
 それはただのイラストなどではなく。

8正義の在処(仮投下修正版) ◆WqZH3L6gH6:2015/08/10(月) 23:31:50 ID:ir45ul8A0
カード内の少女の、老婆のような声色が入り混じった声が切嗣を咎めた。


「……いきなり閉じ込めるなんて酷いんじゃないすか?」
「……失礼。君が参加者に対する見張りの可能性も考えていたのでね」
「ただデッキを手にした人に協力しろって言われただけっすよ。あのもじゃもじゃ頭に」

 支給品 ルリグ――エルドラはカードの中で手をパタパタ動かしながら口を尖らせ渋々質問に答える。

「君はサーヴァント、英霊ではないんだな」
「わたしゃ召使とも英霊とやらとでも呼ばれる謂れはないっすよ」
「そうか」

 風格も戦意も強い悪意もないことから、英霊や繭の忠実な部下の類ではないという点だけは信用することに決めた。
 しかしエルドラは支給品として役には立つのだろうか?見た感じカードから出られない上にサイズは20センチにも満たない。

「魔術は使えるのかい?」
「ん?。お兄さんは魔法使いかなんかなんですか」

切嗣は言葉に詰まった。彼は魔術師ではあっても魔法使いではない。
彼がいた世界では魔術と魔法はまた別のものだ。
だがエルドラのその反応で切嗣はここが異界である認識をますます強くする。

「まあ似たようなものさ。君は何ができるんだい?」
「何ができるって言われましても……そんな態度じゃ、あ今のナシです。
 カードに説明書が付いていたら読んでみたらどうです?」
「……」
「え、怒った?これくらいで目くじら立てないで下さいよ……」

切嗣は怒ってなどいなかった。エルドラが怒ったと勘違いした切嗣の行動は凝視。
掛かるとは思えなかったが、意思操作の術をエルドラに仕掛けたのである。しかし

(馬鹿な)

魔術を行使するのに必要な体内器官、魔術回路に魔力は通っているのにも関わらず術が発動しなかったのだ。

「…………ひょっとして何かしました?」
「……いや、落胆しているだけさ」

 ジト目でこちらを疑うエルドラに対し、切嗣は魔術を発動させられなかった焦りを隠すように淡々と応える。
 実際、ハズレの可能性が見えてきて落胆しているのも事実なのだが。
 とうに読んだ説明書と腕輪からのエルドラのカードデッキに関する記述は、ウィクロスというゲームのカード説明と、
 そのゲームのルールしか書かれていなかった。殺し合えと言われて何でカードゲームで遊ばなきゃいけないんだ?
 軽くめまいがする。
 だが切嗣にとって興味深い、あるいは少々でも希望を抱かせる材料はある。
 ウィクロスはさて置き、エルドラからはサーヴァント程ではないが、そこそこの魔力のようなものを感じられた。
 現時点では有用であるようには見えないが、ここは未知が溢れる場所。
 例え戦力にならなくても、所持しておけばどこかで役に立つかもしれないとそう切嗣は判断した。
 邪魔になれば黒カードにずっと閉じ込めて置けばいい。黒カードに収納している間の外の事は分からないようだし。

 切嗣は姿勢を正し、今後の方針を考えた。
 助手の舞弥はいない、妻であり聖杯戦争の協力者であり歯車であるアイリスフィールもいない。
 愛用してきた武器も没収された今、ブランクが祟って下手すれば参加者内で弱い方になっているかも知れない。

 だが繭はこうも言っていた、黒のカードを差して『これらを上手く使って、』と。
 なら支給品を上手く使えば殺し合いは勝ち抜ける可能性がそれなりにありえるか。切嗣は席を立った。

9正義の在処(仮投下修正版) ◆WqZH3L6gH6:2015/08/10(月) 23:33:58 ID:ir45ul8A0

「どこいくんです?」
「…………」
 
 第一に情報収集。武器を揃えるまで極力敵を作らず立ち回らなければならない。
 殺しを実行するにしても暗殺が最適か。他の参加者と協力関係を結ぶ必要も出てくるだろう。
 早々に見つかればいいんだが。
 最悪、繭に願いを叶えさせるにしても、自らの帰還と聖杯戦争の再開を確約させなければならない。
 そして、あれだけの非道を働くような繭を野放しにする気もない。
 不本意な願いでも叶えざるを得なくらい追い詰め、成就後殺害しなければ行けない。
 どんな手を使ってでも。

「ねえ」
「――」

 切嗣はエルドラの問いに応えた。

168 名前:正義の在処 ◆WqZH3L6gH6[sage] 投稿日:2015/08/10(月) 07:02:20 ID:joh5PNzo0 [4/5]26
【G-6/映画館内/深夜】
 【衛宮切嗣@Fate/Zero】
 [状態]:健康、僅かな焦り
 [服装]:いつもの黒いスーツ
 [装備]:エルドラのデッキ@selector infected WIXOSS
 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:不明支給品0〜2 (確認済み、銃やナイフは無い)
     噛み煙草(現地調達品)
     
 [思考・行動]
基本方針:手段を問わず繭を追い詰め、願いを叶えさせるか力を奪う
   1:エルドラの能力と自らの異変を探る
   2:1の後、情報アイテム収集を優先に行動を開始する
   3:有益な情報や技術を持つ者は確保したい
   4:セイバー、ランサー、言峰とは直接関わりたくない
 [備考]
  ※参戦時期はケイネスを倒し、ランサーと対峙した時です。
  ※能力制限で魅了の魔術が使えなくなってます。
   他にどのような制限がかけられてるかは後続の書き手さんにお任せします

支給品説明
【エルドラのデッキ@selector infected WIXOSS】
ちより(ロワ未参戦の)のルリグ エルドラが収納されたカードゲーム『ウィクロス』のカードデッキ。
外見は茶髪のロングのツインテールの少女。性格は慇懃無礼で軽い調子。
ウィクロスのルールが書かれた説明書付き。エルドラ以外のカードは通常はただの紙切れ。
エルドラ自身、自由意志を持ち会話が可能。繭からロワについての説明は殆どされていない模様。
黒カードに収納されている間は外の事は解らない。
切嗣から見てそこそこの魔力のようなものが感知できるが、セレクターバトルも含めて当ロワにおいて
それがどうエルドラ含めるルリグに影響するかは現在不明。
カードからの脱出ができるかも不明だが、どの道現在の所持者から遠く離れられないように制限が課せられている。
参戦時期は不明。

10 ◆WqZH3L6gH6:2015/08/10(月) 23:34:57 ID:ir45ul8A0
投下終了です
問題がなければ早朝に本投下します

11 ◆DbK4jNFgR6:2015/08/11(火) 22:28:32 ID:90DSyhJA0
「グリザイアの兎」における風見雄二の黒カード覧を「マグロマン人形」から「マグロマンのぬいぐるみ」に修正します
微妙な違いですが本編と支給品説明ではマグロマンのぬいぐるみになっているので

12 ◆DbK4jNFgR6:2015/08/11(火) 22:49:33 ID:90DSyhJA0
本編で指摘された矛盾解消も含めた修正版投下します

13グリザイアの兎(修正版) ◆DbK4jNFgR6:2015/08/11(火) 23:06:19 ID:90DSyhJA0
風見雄二は天々座理世と共に夜道を歩いていた。
目的地はラビットハウス。リゼのバイト先であるという店は、どういうわけか地図に載っていた。
この悪趣味なゲームを開催するにあたって、繭が同じ外観の建物を用意したと考えれば説明はつくが、そこまでする理由は現時点では不明である。
ラビットハウスを目的地として選んだ理由はリゼの仲間であれば、そこを目指す可能性が高いため。
この地図には映画館や公園のような誰でも知っている場所から、音ノ木坂学院や万事屋銀ちゃんのような特定の人間しか知らないような施設が記されている。
後者であれば人探しの手がかりになるわけだが、雄二の知っている特定の施設は地図には存在しなかった。
リゼの知っている場所であるラビットハウスは地図に記載されていたため、そこに向かうことになったのである。
入巣蒔菜の居場所に関する手がかりはなく闇雲に探すしかない現状。とりあえず近場にあった万事屋銀ちゃんなる店は探索したが、雄二が調べた時点では誰もいなかった。
蒔菜がラビットハウスにいる可能性もある以上、この行動は雄二にとっても無駄ではない。
加えて現在地からラビットハウスまでの間にはゲームセンターもある。施設を虱潰しに探していくという意味でも決して非効率ではない行動なのだが、その件でリゼは自分の知り合いを優先してもらって済まない、と申し訳なさそうにしていた。

そんなリゼの手には現在、黒光りする暴力の塊、拳銃が握られている。
ベレッタM92。引き金を引くだけで人を殺傷できる武器。一度は雄二が奪いとり、そして返還したものだ。
人を殺すことの重さを過去の出来事もあって雄二はよく理解している。
手にした銃でリゼが誰かを殺せば、彼女の心は傷つくことになるかもしれないし、場合によってはトラウマを負うことになるかもしれない。
これまで雄二は要人警護をしたこともあったが、間違っても護衛対象に武器を渡すようなことはしなかった。
では何故、今回リゼに銃を渡したのかと言えば、それはここが異常な環境だからである。
既に人が一人死んでいることに加え、ゲームに乗った人を殺す意思のある人間が跋扈している空間。
ここと似たような場所を雄二は知っている。それは戦場。彼はアメリカ海兵隊時代に戦地に足を運んだことがある。
殺人が同然のように行われ、それらが罪に問われず、逆に肯定されているという異常な空間。
戦場で人を殺したくないとか、心が傷つくとか、そんな理由で武器を手放すような真似をすれば、待っているのは死である。

14グリザイアの兎(修正版) ◆DbK4jNFgR6:2015/08/11(火) 23:07:46 ID:90DSyhJA0
その武器が入っているという黒いカードの確認は既にリゼと共に済ませている。
殺し合いの空間で自分の武器を把握しておくというのは基本中の基本だ。
雄二の黒のカードは三枚。リゼの黒のカードは二枚。数字の上では雄二の方が多い。
だが多いことが必ずしも良いとは限らない。雄二の黒のカードの一枚に入っていたのはマグロに腕が生えた不気味な人形。
蒔菜が見ていたテレビ番組にこんなマグロが登場していた記憶があったのだが、説明書を読むと案の定、そこにはマグロマンのぬいぐるみと書かれていた。
特別武器が仕込まれているでもない不気味なマグロの人形である。
これが外れの支給品であることは明白だった。とりあえず蒔菜に渡せば喜ぶだろうと思い、捨てずに黒のカードに収納しておいたが。

一見すれば外れに見えてそうでないものも存在する。
リゼの黒のカードからベレッタM92に続いて出てきたのは洋服だった。
ここにはいない美浜学園に通う少女の一人が普段着ているのと同じ柄のメイド服である。
これも外れかと最初こそ雄二は思ったわけだが、説明書を読むとその認識は覆されることになる。
メイド服【暴徒鎮圧用「アサルト」】。同じデザインが数種類存在する中でも防弾使用になっているメイド服らしい。
防弾使用というのであれば、この場では有用な装備品であるためリゼに着用を促し、最初こそ躊躇していたもののリゼも生存率を上げるためならばと受け入れた。
本人曰く私には似合わないんじゃないかとのことだが、別にそんなことはないと雄二は思った。

そして雄二の最後の支給品は装飾の施された刃物だった。
見た目こそ派手だが玩具というわけではなく、武器としては十分に有用なのだが、雄二の目を引いたのは説明書に書かれていた文書だ。
アゾット剣【魔力を充填することによって魔術礼装としても使用可能】
魔力。普通に考えればそんなものは存在しない、あるとすれば何かしらの化学兵器に使用する燃料の隠語と読み取れるが、人をカードにする腕輪の存在を知っていればその解釈も変わってくる。
すなわち本当に魔法のようなものが存在するという可能性。この説明書によれば魔術か。
普通ならばあり得ない。リゼが言ったような米軍の新兵器の方がまだ納得がいく。

15グリザイアの兎(修正版) ◆DbK4jNFgR6:2015/08/11(火) 23:09:05 ID:90DSyhJA0
最初の白い部屋での光景は、最先端のCG技術による立体映像か、或いは参加者全員に薬物を投薬して幻覚を見せていたとも推測できた。
理解の及ばないものを安易に魔法だの魔術だのと決めつけてかかるのは二流の思考であるが、この腕輪とカードだけはどうしても科学では説明がつかない。
目の前に確たる証拠が存在するにも関わらず、その事実から目を逸らし否定し続けるのは三流以下のすること。
腕輪とカードは紛れもない非科学であり、この説明書にある魔術なるものに近いと考えた。
ならば魔術かそれに類する非科学の知識がある参加者と接触できれば腕輪の解除に近づける可能性が高い。
単に腕輪を外すだけならリゼにも言った通り腕を切断するという手段もあるが、それをやった瞬間にカードに封印されては意味がない。
ここで言う腕輪の解除とは白のカードの封印効果を無効化した上で、腕輪を外すことを指している。

非科学の知識を持つものに合えば腕輪を外す手がかりが見つかるかもしれない一方でリスクも存在する。
当初雄二は殺人者であることを隠すことなく堂々とゲームに乗って殺して回る者たちよりも、無害な参加者を装い集団に潜伏して不意打ちや毒殺を狙う人間の方が危険度が高いと考えていた。
だからこそ雄二はリゼと接触する前に彼女の様子を観察して、行動を共にしても問題ない人物かどうかを見極めている。
銃を構えた時点でタイミング良く飛び出して抑え込めたのも、影から様子を伺っていたからに他ならない。
戦う力を持たない女子供であれば堂々と人を殺してまわる人物も十分に危険であろうが、雄二は元軍人であり戦闘慣れしている。支給品でサブマシンガンを引けたのも大きい。
だからと言って油断するつもりもないが、相手が複数いるか薬物でドーピングでもしていない限りは直接戦闘で不覚をとるつもりはなかった。

しかし魔術という非科学の要素が加われば話も変わってくる。
何せ未知なのだ。箒に乗って空を飛ぶのか、口から火を吐くのか、人間離れした身体能力を有しているのか、魔力なるものを動力源にして破壊光線でも撃ってくるのか、現時点ではどれだけ考えようと憶測の域を出ない。警戒することはできても具体的な対策を練ることができないのである。
小説に出てくるような銃弾が通用しない人間がいるかもしれないわけで、そうなれば雄二の直接戦闘での優位性は消し飛ぶ。
参加者を危険度が高い順に並べると、未知の非科学的な能力を有する優勝狙い、脱出派を装って優勝を狙う者、特殊な力、及び人間離れした身体能力を持たない優勝狙いということになる。

16グリザイアの兎(修正版) ◆DbK4jNFgR6:2015/08/11(火) 23:10:08 ID:90DSyhJA0
――その昔、まだこの国に軍隊があったころ、とある将校がこう言った!

――一人十殺! 多勢に対する無勢に際し、一人で十人の敵を屠るまで玉砕は許さんと!

――だが今は時代が違う! そこで一人十衛! 貴様は国民十人の生命を救うことと引き換えに初めて死を許される。

それはかつて、師匠であった日下部麻子に言われたこと。
半人前だから五人にまけてやると言われ、その言葉に従って雄二は五人の少女を救った。

(なあ、麻子。俺はもう半人前じゃないからな。だからあんたが最初に言った通り十人救ってやる)

天々座理世、桐間紗路、香風智乃、保登心愛、宇治松千夜。
丁度五人いる。美浜学園の少女たちに彼女らを加算すれば合計で十人。
全員救えば最初に麻子が言ったノルマを達成することができる。

もちろん分かっている。それが容易いことではないということぐらい。
リゼ以外の四人はこの場にはおらず今この瞬間にでもゲームに乗った参加者に襲われているかもしれない。
リゼの話では彼女らは至って普通の女学生であり、そんな少女たちが殺人者に襲われれば高確率で死亡するだろう。
そしてそれは蒔菜であっても例外ではない。護身術の心得があるとはいえ彼女も普通の女学生であるということに変わりはなく、高い戦闘技術を持つ参加者に襲われれば死は免れない。
戦場で物事を楽観的に考えることがいかに危険であるかを雄二はよく理解している。常に最悪の状況を想定して行動しなければならない。
今この時、この場にいない人間を守ることは、それこそ神とやらでもなければ不可能だろう。
だからせめて自分の隣を歩いている天々座理世だけは、必ず生きて家に帰そうと雄二は胸に誓った。

17グリザイアの兎(修正版) ◆DbK4jNFgR6:2015/08/11(火) 23:11:17 ID:90DSyhJA0
【F-7/道/一日目・深夜】

 【風見雄二@グリザイアの果実シリーズ】
 [状態]:健康
 [服装]:美浜学園の制服
 [装備]:キャリコM950@Fate/Zero、アゾット剣@Fate/Zero
 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:不明支給品0枚、マグロマンのぬいぐるみ@グリザイアの果実シリーズ
 [思考・行動]
基本方針:ゲームからの脱出
   1:天々座理世を護衛しながら、ゲームセンターを経由しつつ、ラビットハウスに向かう
   2:入巣蒔菜、桐間紗路、香風智乃、保登心愛、宇治松千夜の保護
   3:外部と連絡をとるための通信機器と白のカードの封印効果を無効化した上で腕輪を外す方法を探す
   4:非科学能力(魔術など)保有者が腕輪解除の鍵になる可能性があると判断、同時に警戒
   5:ステルスマーダーを警戒
 [備考]
  ※アニメ版グリザイアの果実終了後からの参戦。

 【天々座理世@ご注文はうさぎですか?】
 [状態]:健康
 [服装]:メイド服・暴徒鎮圧用「アサルト」@グリザイアの果実シリーズ
 [装備]:ベレッタM92@現実
 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:不明支給品0枚
 [思考・行動]
基本方針:ゲームからの脱出
   1:ラビットハウスに向かう
   2:チノたちが心配
   3:風見さんと一緒にチノたちを探す
   4:外部との連絡手段と腕輪を外す方法も見つけたい

支給品説明

【ベレッタM92@現実】
天々座理世に支給。
世界中の警察や軍隊で幅広く使われている銃。

【メイド服・暴徒鎮圧用「アサルト」@グリザイアの果実シリーズ】
天々座理世に支給。
小嶺幸の所有物。入巣家と取引のある軍にもミリタリー用品を納入している会社のオーダーメイド。通常用「インターメディエイト」・運動用「アクティブ」・夏季略装「トロピカル」・冬季寒冷地仕様「ヘビーゾーン」・暴徒鎮圧用「アサルト」・医療従事用「メディック」・冠婚葬祭及び慰霊式典参加用「コンサバティブ」の7種類が存在し、アサルトは防弾仕様となっている。

【キャリコM950@Fate/Zero】
風見雄二に支給。
衛宮切嗣が愛用している銃。原作ではケイネス戦で使用した。

【アゾット剣@Fate/Zero】
風見雄二に支給。
遠坂時臣が言峰綺礼に渡した装飾剣。魔力を充填することによって礼装として使用可能。

【マグロマンのぬいぐるみ@グリザイアの果実シリーズ】
風見雄二に支給。
入巣蒔菜の所有物。マグロに手足が生えたような不気味なぬいぐるみ。

18 ◆DbK4jNFgR6:2015/08/11(火) 23:12:55 ID:90DSyhJA0
修正版投下終了です

19名無しさん:2015/08/12(水) 00:47:00 ID:iRCetxzQ0
修正乙です。特に問題はないと思いますが

〉自己リレーは絶対という訳ではないが、リレー企画の体裁上は予約する場合は自己リレーと予め言っておく事。
序盤はできるだけ避ける事。

次からは気をつけてくださいね

20 ◆DbK4jNFgR6:2015/08/12(水) 02:29:58 ID:6LYfuSPY0
申し訳ありません。書き手をやるのはここが初めてだったのでルールについて見落としている点がありました。
自己リレーの意味は調べました。以後気を付けるようにします。

21 ◆Z9iNYeY9a2:2015/08/12(水) 22:01:36 ID:bumYP3xQ0
今日投下したSSの修正版を投下します

22 ◆Z9iNYeY9a2:2015/08/12(水) 22:03:02 ID:bumYP3xQ0
「なるほどな、穂乃果は学校でアイドル活動をして、その集まりでの優勝を目指している、と」
「はい、えっと、だからその…、私自身さっきみたいなゾンビみたいなのとか変な目のあの人みたいなものなんて、見たことなかったし…、それで驚いちゃって…」
「何、それが普通の反応だ。気にすることはない」
「はぅぅ……」

音ノ木坂学院へと向かうランサーは、どうにか落ち着いた様子の穂乃果と会話をしながら歩を進めていた。
人によっては情報自体に有意義といえるものがないと判断するだろうが、ランサーはその会話の中から穂乃果の人となり、そしてそれまでの人生を推察していた。

高坂穂乃果は魔術や聖杯戦争などというものとは無縁の世界を生きていた一般人であるということはすぐに分かった。
問題は、そんな少女を英霊や魔術師も存在するこの殺し合いに巻き込んでいるこの状況だ。

当然人道的に許せる話でないことはいうまでもなく、もし魔術師の観点で見てもおそらく主であるケイネス・エルメロイ・アーチボルトならば卒倒するのだろうことも容易に考えられる。
聖杯戦争や英霊の存在は魔術師にとっては隠蔽せねばならぬもの。それをこうも公にして一般人の少女と共に集めるなど、正気の沙汰ではない。

(魔術師とはまた別の何者、ということか?)

現状名簿にある知った名はセイバー、キャスター、そして衛宮切嗣。
セイバーであればおそらくあの騎士王のこと、このような下衆な催しに乗ることなく騎士として反抗するだろう。
キャスターは先に顔を会わせた通りだ。どのようなものであっても彼奴が己を曲げることはないだろう。穂乃果のこともありあの時は撤退したが、絶対に倒さねばならぬ相手だ。
衛宮切嗣、セイバーのマスター。主に対してのあの策は決して油断できるものではないが、しかしこのような場ではどのような行動に出るか想像もつかない。

少なくとも最優先で探し、協力を要請する相手としてはセイバーだろう。
彼女と合流することができれば、この上ない味方となってくれるはず。

ふと隣を見ると、安心してお腹が空いたのか穂乃果はカードからパンを取り出して口に加えようとし。

「…あ」

が、何故かランサーがその顔を見るとその手と口の動きを止めて、もじもじしながら手を下げた。

「あ、す、すみませんこんなときに!その、…その、えっと…、ランサーさん、食べます?」
「いや、俺はあまり腹が空かない質なのでな。気にせずに食べるといい。食べられる時間があるうちに蓄えておくというのは重要だ」
「その、別に私も――――」
「…静かに。誰か近づいてくる」

と、何者かの気配を感じ取ったランサーは穂乃果の口の前に指を当てて口を止めさせた。
もしその時ランサーが振り返っていれば、顔を真っ赤に紅潮させ慌てふためく穂乃果の顔が見られただろうが、しかし前を見続けるランサーはそのような様子などいざ知らず。

そうして真っ暗な前方から微かな光を灯しながら歩いてきたのは、学校の制服に身を包んだ少女、そしてそんな彼女を背負って歩くさらに小さな金髪の少女だった。

「あなたは?」
「大丈夫だ、俺たちは殺し合いに乗ってはいない。その子は?」
「名前は分からないんですけど、目の前でいきなり倒れて…。あ、私は高町ヴィヴィオっていいます」
「俺はランサー。こちらは高坂穂乃果だ。
 君のような少女には荷が重いだろう。私が背負おう」
「私は大丈夫です…けどやっぱり少し疲れたかな…。それじゃあお言葉に甘えて」

と、少女、ヴィヴィオはランサーに背負った少女を預け。

「…あっ」
「どうかしたか?」
「あ、いえ、何でも」

ふと穂乃果が声を漏らしたことに反応。
一瞬気にかけるも、なんでもないという穂乃果の言葉を信じて流すランサー。

(…あのお姉さん、どうしたんだろう?)

ランサーの視界外にいた穂乃果をずっと視界に収めていたヴィヴィオは、そのときの穂乃果の何とも言えぬ表情が何か気になっていた。

23 ◆Z9iNYeY9a2:2015/08/12(水) 22:03:33 ID:bumYP3xQ0



「ん…十四郎…さん…?」
「目が覚めたか」

ぼんやりした眼を薄く開いた千夜の視界に、一人の男の顔が映り込み。

「ひ、ひゃっ…?!」
「どうやら怪我はない様子だな。名は言えるか?」
「は、わわわ、う、宇治松千夜です!」

真っ赤になる顔を抑えながら、千夜は質問に答えた。

体に傷がないこと、そして自分の名前を言えることから意識と記憶ははっきりしていることを確かめていたランサー。
その後、ランサーは自分とヴィヴィオ、穂乃果について軽い自己紹介をした後、一体何があったのかを問いかけた。

千夜の体に傷はない。ならばその服の血は一体何なのか。
何から逃げてきたのか。

千夜はこれまでにあったことを、分かる限りで話した。


「…金髪で鎧の少女。その娘は確かに金色の剣を持っていたのだな?」
「はい、その人に襲われて、それで十四郎さんが残って…」
「……そうか」
「私が…今どんなことになってるのか何も分かってなかったから……十四郎さんが……。
 私が死ぬはずだったのに…、私のせいで……!」

自分を責めるように顔を押さえて涙を流す千夜。
服の血はその時守られた際に付着したその男のものであるらしい。
出血の量から察するに、おそらくその男は。

「あまり自分を責めるな。その男は君を守るために戦ったのだろう?」
「だけど…そのせいで十四郎さんは……」
「確かにそうかもしれない。だけど千夜はそれで目が覚めたのだ。
 もし償いをしたいというのなら、悔いることよりも彼の守った命を大切に守っていくことが君のため、彼のためにもなる。分かるか?」
「……あっ」

ポン、とその肩に優しく手を置くランサー。
だが、こちらを見つめる千夜の瞳に妙な熱を感じたランサーはすぐさま手を離し、彼女が来たという方に目を向ける。

「ランサー、さん…」
「君はよく頑張った。その土方という男の想いは俺が汲もう。
 …音ノ木坂学院だったな?」

そうしてランサーは、千夜の語った情報に考え込み。

「穂乃果、すまないが音ノ木坂学院に向かうのは少し待ってもらえないか?
 もしかするとまだあそこにその千夜を襲った者がいるかもしれない。
 俺が様子を見てくるから、安全を確認できるまでは待っていて欲しい」

心配するように見つめる穂乃果に対し、そう返答した。

今のランサーは武器はあるといっても元々持っていた自身の2槍が欠けている状態。
並の相手なら遅れを取るつもりもないが、それでも彼女達がいれば万が一、ということもある。
それに―――

「それに、考えたくないことだが、その千夜を襲った者、少し心当たりがある。
 大丈夫だ。もし君の友人と会うようなことがあれば必ず守る。
 ヴィヴィオ、二人のことは任せても大丈夫か?」
「分かりました。でもランサーさんも気をつけてください。もし何かあったら私も向かいますから」
「いや、君には二人のことを守っていてもらいたい。俺のいない間に万が一ということがあっても大変だからな。
 駅の近くで待って、もし俺が2時間以上戻ってこないようなら君たちの判断で音ノ木坂学院から離れる形で移動して欲しい」
「えっと、……」
「…分かりました」

24 ◆Z9iNYeY9a2:2015/08/12(水) 22:04:13 ID:bumYP3xQ0
言いよどむ千夜に対し、穂乃果は不服そうな表情を浮かべつつもランサーの言葉に頷いていた。

「では、ほんの一時の別れだ。必ず戻ってくる」
「ランサーさん、気をt「ら、ランサーさん…!どうか、お気をつけて…!」

ランサーに言葉を投げかける穂乃果をまるで遮るかのように、千夜がランサーに向けて叫ぶ。

そんな3人の少女に見送られながら、ランサーは静かに、しかし素早く音ノ木坂学院へと向けて走っていった。




(やはり千夜も黒子の呪いにかかってしまったか…)

目が覚めた時のあの少女の反応は穂乃果の時のそれと似通ったもの。
きっと穂乃果と同じように、彼女も呪いにかかってしまったのだろう。

だからこそ、あまり自分が傍に居続けるのは彼女のためにもならない。

しかしあのヴィヴィオという少女は自分の呪いに対しても特にこれといって反応をする様子は見せなかった。
おそらく彼女には何かしら魔力的な素養があるのだろう。
あの華奢な体で千夜を背負っていたことといい、その体運びに見られる訓練された者特有の動きといい。
彼女がただの少女ではないことは確かだろう。

無論、いくら彼女が只者ではないといってもそんな子供に二人を任せることが無責任であることも自覚している。
だが、それでもランサーは引っかかりが抜けなかった。

(セイバー、まさか君が外道に堕ちた、などということはないと信じたいが……)

金髪で鎧を着込んだ少女。
それだけではまだ”彼女”と断定する材料にはならない。
黄金の剣を持っていたという点もそうだ。
自分は破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)と必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)を手元に欠いている状態。
逆に言えばこの会場のどこかに別の誰かに配られた可能性だってある。そしてそれはあの騎士王の聖剣とて例外ではないはず。

心境的には信じたい。
だがもしそれが彼女だったならば、あの二人を守りながら戦うことは難しい。千夜を襲ったことから、その何者かは誰であろうと容赦なく斬るつもりでいることは読み取れる。

(せめて、君であったという可能性は間違いであってくれ。セイバー…!!)

それでも、ディルムッドはその少女がセイバー:アルトリア・ペンドラゴンであることだけは間違いであることを願いながら、音ノ木坂学院へと向けて走った。



「ん?どうしたのクリス?」

ランサーが立ち去ってそう時間の経たぬ頃。
ヴィヴィオの横を浮遊するセイクリッド・ハートがヴィヴィオに呼びかけた。

「え、あのランサーさんから変な魔力が出てたって?」
コクリ

ジェスチャーで伝えるクリスはヴィヴィオの言葉で頷くような仕草をとる。
クリスが言うには、あのランサーという男からは何か常時発動型の魔力反応があったという。

ヴィヴィオにも影響を及ぼすものであったため、クリス自身がそれに対する防壁を形成していたため何の影響もなかったらしいのだが。

「それってもし受けちゃったらどんな影響があるの?
 ……え、相手のことが好きになる効果?」

クリスのジェスチャーでそれを聞き取ったヴィヴィオは、笑いながら答えた。

「なーんだ。だったら別に何の問題もないじゃん。
 だってさ、人が人のことを好きになるってことでしょ?それっていいことじゃない。
 それでみんながみんなのこと好きになってくれれば、喧嘩なんて起きないし」



何かおかしい。
そんな自覚はあった。

それに気付いたのは、千夜さんと会って以降のことだ。

ランサーさんが彼女を抱え上げた時。
千夜さんが目覚めてランサーさんの顔を間際で見つめていた時。

何か、とても嫌な気持ちになった。
初めてあったばかりの人にこんな気持ちを持ったことなんてなかったのに。


ランサーさんが、安全のために先に音ノ木坂学院に向かうって言った時。
もしその途中でμ'sのみんなと会ったらちゃんと助けてくれるって言った時。

そんなのいいから私の傍にいて欲しいって思ってる自分がいた。
だって、それでもしかしたらことりちゃんや絵里ちゃん、希ちゃんやにこちゃんが危ない目に会うかもしれないっていうのに。


(…どうしちゃったの、私?)

初めて自分の中に生まれたその感情に、戸惑うことしかできない。

近くで、ランサーの向かっていった方に熱のこもった視線を向けている千夜を見て。
心の中で渦巻く黒い感情に。

25 ◆Z9iNYeY9a2:2015/08/12(水) 22:04:55 ID:bumYP3xQ0


【B-2/一日目・深夜】

【ランサー@Fate/Zero】
[状態]:健康
[装備]:キュプリオトの剣@Fate/zero
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:不明支給品0〜2枚
[思考・行動]
基本方針:騎士道に則り、戦う力のない者を守る。
0:穂乃果、千夜に「愛の黒子」の呪いがかかったことに罪悪感。
1:音ノ木坂学院に向かい、千夜を襲ったという危険人物の存在を確かめる。
2:セイバーは信用できる。しかしそのマスターは……?
3:キャスターはいずれ討伐する。
4:まさかセイバーが…?
[備考]
※参戦時期はアインツベルン城でセイバーと共にキャスターと戦った後。
※「愛の黒子」は異性を魅了する常時発動型の魔術です。魔術的素養がなければ抵抗できません。



【B-2/駅/一日目・深夜】

【高坂穂乃果@ラブライブ!】
[状態]:健康、ランサーへの好意(中)、千夜に対する疎み
[服装]:音ノ木坂学院の制服
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(10/10)
     黒カード:不明支給品0〜2枚
[思考・行動]
基本方針:誰も殺したくない。生きて帰りたい。
1:μ'sのメンバーを探す。
2:ランサーさんを見てるとドキドキする……。
3:ランサーさんが戻ってくるまで駅にて待つ。
4:何、この感情……?
[備考]
※参戦時期はμ'sが揃って以降のいつか。
※ランサーの「愛の黒子」の効果により、無意識にランサーへ好意を抱いています。時間進行により、徐々に好意は強まっていきます。


【宇治松千夜@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:疲労(大)、ランサーへの好意(軽)
[服装]:高校の制服(腹部が血塗れ、泥などで汚れている)
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:ベレッタ92及び予備弾倉@現実 、不明支給品0〜2枚
[思考・行動]
基本方針:心愛たちに会いたい
1:ランサーが心配
2:十四郎さん…
[備考]
※現状の精神はランサーに対する好意によって自責の念を抑えられ一旦の落ち着きを取り戻しています。
※ランサーの「愛の黒子」の効果により、無意識にランサーへ好意を抱いています。時間進行により、徐々に好意は強まっていきます。



【高町ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはVivid】
[状態]:健康
[服装]:制服
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:セイクリッド・ハート@魔法少女リリカルなのはVivid
[思考・行動]
基本方針:皆で帰るために行動する
1:駅でランサーさんを待つ。それまでの間は私が二人を守る。
2:もし2時間経ってランサーさんが戻ってこなかったら移動する。
3:アインハルトとコロナを探す
[備考]
※参戦時期はアニメ終了後です。
※ランサーの黒子の呪いについて大雑把に把握しましたが特に重要なことだとは思っていません
※黒子の呪いの影響は受けていません

※各々の知り合いについての情報交換は済ませています。

※ランサーが離れたことで黒子による好意が薄れるかどうかは不明です。

26 ◆Z9iNYeY9a2:2015/08/12(水) 22:08:37 ID:bumYP3xQ0
投下終了です

27 ◆KYq8z3jrYA:2015/08/17(月) 21:46:07 ID:d6Dlj6Pw0
修正投下します。

横暴にして上から目線。初めて会う相手にこうも威圧しているのは、ここがバトル・ロワイヤルならば自然なことかもしれない。
カードは参加者にとって生命線と言っても過言ではない物であるのだが、入巣蒔菜にとっては
不要な物でしかなく元々捨ててしまったカードの所有権は誰の物でもなかった。
赤のカードは壊れて、黒のカードは持てやしない傘一つと既に所持済みのヤブイヌポーチ。青のカードに未練はあったが、逆らうと大変な事になりそうなので我慢。
さっきまでいたベンチに置いてあるカードと地面に落ちている赤いカードを指す。
もちろん、顔を上げないまま。

簡単に手放すことに纏流子は首を傾げたが、どうでもいいかとベンチに向かいカードを拾う。
彼女としては別に殺してから奪っても良かったのだが(というか、そうするつもりだった)少女を見て気がそれてしまった。
赤、青、黒。合計6枚のカードを手にして、煮えたぎっていた体の中の熱が冷めていくのを感じる。
それは鮮血を着た纏流子だった頃の戦いの記憶が微かにだが残っているのかもしれない。

「これは傘、か。こんなもんが支給品かよ。ついてねぇな」

カードと同じベンチに置いてある日傘を見て纏流子は同情するような声を出す。

「こんなんで勝てると思ってんのか。あたしを殺すつもりなら、少なくともこの世にある全ての武器でも持ってこなくちゃ話にならねぇ」

日傘を手に取る事はなく入巣蒔菜を見る。

「これはありがたく頂いていく。それと、ここに来てから他の人間と出会ったか」

ふるふる。地面に顔を付けたままであるので、入巣蒔菜は体ごと否定の意味を込めて振る。
彼女はここで目を覚ましてからというもの、纏流子と出会うまではずっとベンチの上にいた。

「そうかよ、じゃあな」

唐突にーーいや、纏流子にとってカードも情報も得るものは得た。ならばもう入巣蒔菜に用はなく生かしておく理由などない。
本来なら流子の顔など見ることもなく命を散らしていた筈なのだ。それが何の気まぐれかここまで生きている。
けどそれももう終わり。時間切れ。ゲームオーバー。短い間だったが鼓動が鳴り自由に体が動かせる期間を伸ばせた。もっとも、最初から最後まで彼女は動かなかったのだが。
体に風穴を開けようと纏流子は入巣蒔菜に足を伸ばしていく。そうなれば、彼女はこのまま自分が死んだと気がつくこともなく生き絶えてしまうことだろう。
迷いなど欠片もなく一息で踏み抜こうとしてーー

後方に無視のできない存在を感じて振り返った。

「ーーああ、もう始まっていたのか。俺も混ぜてほしいな」

そこには、

傭兵三大部族の一つ、夜兎族の一人である男ーー神威がいた。




28 ◆KYq8z3jrYA:2015/08/17(月) 21:47:08 ID:d6Dlj6Pw0
陽の欠片も見当たらない時間帯。
鉄をぶつけたような大きな音が街中に響いていた。発生源は暗闇を照らすように白い服装をして線路の上を走る女。
体のラインを隠そうともしない服を着た女は、踏み抜く足音を気にもせず東へ向かっている。
東へ、東へ。足取りに迷いはなく、かつ尋常ではない速度で闇を駆ける。

前髪に入った赤いメッシュ。髪を切るのが面倒なのか肩にかかるまで伸ばしきった黒髪。端正とも言えるだろう顔はひたすら前を見つめていた。
女を表す全体的な象徴は白。白い生地に青い装飾が入った服。穢れなき純白……とは全く別の、襟の眼の模様が一層異質さを引き立たせている。
下には服と同じ装飾のブーツ。それを目視出来ない程の速さで交互に動かしており、女が去った後の線路には何事もなかったように残らない。
その姿は日常とはかけ離れた異常というべき存在だと誰もが気づいてしまう。
獰猛な表情を隠そうともせず周囲に自分の存在を主張させているのは一体何の為であるのか。
女と同じ道に踏み込んでいる者ならば、殺気をばら撒いている事が分かっていたであろう。
纏流子は力強く足を踏み抜き、目的地である駅へ進む。恐らく、人の集まるであろう駅へ殺戮の手を伸ばすために、純白の服を血に染めようと更に加速する。
そこには神衣鮮血を着ていた彼女は居らず神衣純血を纏った纏流子がいた。

羅業と針目縫の策略によって神衣純血を着させられた纏流子が、繭による主催のゲームに否応なしに巻き込まれてから一時間と少し。人が消えた街を彷徨い彼女はここまで参加者の誰とも会わなかった。
苛立ちが彼女を支配していたがある事を思いつき、こうして電車を使わずに直接線路の上を走っていた。
理由とは“広い舞台を闇雲に探すより移動手段として駅を利用する者は多いだろう” という判断のもとである。
では、進行上に電車が来てしまったらどうするのか。回答は単純で“電車ごと叩き潰す”
どう考えても不可能と思えるが神衣純血の力を持ってすれば、途端に可能となる。
道を遮る者は何であろうと破壊して取り除く。それが纏流子のバトル・コロシアムでの指針。
後、数分もすれば駅が見えてくるであろうか。参加者がいれば、そこで繰り広げるのは一方的な蹂躙に他ならない。
生命繊維を限界まで引き出した纏流子は何者もを凌駕する。体の中から溢れ出る力が彼女を包み込み、神衣鮮血を纏っていた頃より圧倒的な実力を持つ。
故に、敗北などあり得ないことは一寸も考えず、纏流子は行く。

そして、現在地はC-6の駅のホーム近く。近年では珍しい一両編成の鉄道。
ただ真っ直ぐに線路上を進んでいた流子の視界に映ったものは遠くに微かに見える列車後部。
追いかけるか、と加速の姿勢を取ろうとした瞬間に改札口より先から何かを叩くような音が聞こえてきた。
数秒だけどちらを取るか迷ったが、改札口の先の方で女の声が続いた事によってそちらを選択した。
列車の方は移動手段に使う者がいるというだけの情報で満足する。これで纏流子の狩場は広がり、スムーズにこの椅子取りゲームを制する事が可能となったのだ。

さて、方針が決まったのならすぐに行動を起こさねばならない。
薄暗いホームに降りて狭い改札口を抜けると夜の闇が纏流子を迎える。
辺りを見回すとすぐに音の発生源であろうと思われる者を見つけた。

ーーそれはベンチに寝転がっている少女の姿だった。







ゲームの宣言から時計の短針が一つ進んだ頃。バス停前の駅の黄色いベンチに一人の少女がいた。
大きめの真っ赤なリボン。黒色の線が入った白色の襟に襟濃紺のスプライトスカート。クルリとした丸い目。保護欲を生じさせる小さな体躯。
茶色の髪は高く左右に縛ってある。が、癖っ毛は纏まりきれていないのか縛った先先から飛び出ていた。
柄の違うニーソックスとスカートの間から白い肌が覗かれる。だらりと力を抜いて座っている姿は無防備という他はない。
身長と容姿は一般的から外れているやも知れないが、それを除けばなんら特別なことはない学生の少女。

少女の名前は入巣蒔菜という。

29 ◆KYq8z3jrYA:2015/08/17(月) 21:48:27 ID:d6Dlj6Pw0
「いけすかねぇな、その顔」

流子は呟く。返事を期待してのものではない。

「俺の流儀なんだ。これから死んでいく者に対して最後は笑顔でーー」

言葉は最後まで続かなかった。両者は立っていた車をバネにして同時に踏み込む。
乾いた音と共に二人の�茲に拳が叩き込まれる。どちらも口元は三日月に曲がっていた。破壊の衝動を抑えきれないのか、今も相手の顔をミンチにしようと力を入れている。
今この時、この舞台でどこまでも自由である二人は、殺し合いを加速させようと更に力を込める。
仕掛けたのは神威。拳を引き、片手に持つ傘をアスファルトに叩きつけた。トラックが落ちた轟音にも劣らずアスファルトが砕け散り破片が散らばる。
これは避けきれないと判断し流子は後ろに飛び退く。驚きが支配したのはすぐ後。飛び退いた流子を追っての追撃。
弾丸が流子を襲うその前に、転がっていたアスファルトの破片を拾い発射口である傘の先端に投げつける。小気味いい音がした直後、逸れた弾丸はあらぬ場所へと飛び散っていく。
しかし、向かって来たのは弾丸だけではない。弾切れなのか用済みになった傘を手放した神威は、いつの間にか流子の間近にまで踏み込んでいた。
その姿、まるで虎のよう。全身が地面に付いてしまいそうな姿勢から突き上げるように掌底。銃弾に意識を持っていかれていたとはいえ、反応する事が出来ず顎に喰らい仰け反る。
人体の急所を狙ったのであろう。重い脳震盪が流子を襲うが歯を食いしばり強引に抑えた。抑えられるものではないのだが、霞がかろうとしていた視界は戻る。
神衣純潔の力が影響を及ぼしているのだろうか。だが、そんなことはどうでもよく。こうして動ける体があれば問題はない。

「ふんっ!!」

続けて首を刈ろうと目の前にまで迫って来ていた手刀を叩き落として、流子は神威を見据える。
やはり笑っていた。このような状況にも関わらず、日常と変わらないような笑みでもって流子を見ている。
腹立たしい。この男を見ているといつでも余裕をこいてる鬼龍院皐月を思い出す。皐月をぶちのめす前に不幸にも下らない催しに呼ばれてしまったが、しかしそれも時間の問題だ。
幸いにも皐月も同じく巻き込まれている。ならば、モブ共々皆殺しにすれば一石二鳥で苦労も減る。
だからまずは目の前の男を殺してから初めて纏流子のバトル・ロワイヤルは始まる。�茲に一発、顎に一発、拳を食らった恨みも当然忘れていない。
なによりこのままやられて終わるたまではない。やられたらやり返す。それはどんなに頭を弄られて記憶を改ざんされていようとも変わることはなかった。
本気も本気。純潔の最大限の力を出そうとした瞬間、男は後方に引き構えを解いた。
何かしようとしている流子に恐れをなしたのだろうか。否、闘争本能の塊である神威が恐怖することなどあり得ない。
では、どういう意図で自ら退くような真似をしたのか。直前まで殺意は継続していた筈だ。
気にせずブチ殺せばいいと思ったが、あんなにも闘志をむき出しにしていた奴が戦闘の手を止めるのが、どうしてか気になった。
そうして場は固着状態に陥る。服に付いた埃を叩いて神威は口を開いた。

「どうやら、君は俺とは違うようだ」





30 ◆KYq8z3jrYA:2015/08/17(月) 21:49:02 ID:d6Dlj6Pw0
投下終了します

31 ◆KYq8z3jrYA:2015/08/17(月) 22:17:20 ID:d6Dlj6Pw0
修正追加します

【Cー6/市街地 南/一日目 黎明】

32 ◆KYq8z3jrYA:2015/08/18(火) 01:21:22 ID:vpJGZ/2c0
何度も申し訳ありませんが、修正及び状態表の追加です。

【Cー6/市街地 北/一日目 黎明】


浮かれ喜んでいた彼女は、そこでポーチの横にもう一つ何かが出ていたことに気がつく。
傘である。正確に言うならば紅紫色の日傘。地面に突き刺す大型の物ではなく、雨を避ける用途に使う物でもない。なの通り、日を遮るためにある傘。
持ち上げようと手にするがほんの少ししか浮き上がらない。
重たいんじゃ、ぼけぇ。罵る声も力は出ず傘を手放す。握っていた手は赤く染まっていた。
ポーチを腰に巻き、さて、この役立たずの傘はどうしてやろうかと悩む彼女だがそこで限界が来た。


【ヤブイヌポーチ@グリザイアの果実】
小峰幸が作成した手づくりのポーチ。ラインストーンが貼り付けてアレンジしており、十種類の鳴き声の機能がある。
アルゼンチン北東部に生息する後ろ向きに走るという、別名プッシュドッグことヤブイヌをモチーフにしている。
制作時間は20分(フタマルマル)


【日傘@銀魂】
夜兎族が苦手とする日光を防ぐ為、常に持ち歩いている。
銃が仕込まれており、弾丸をも防ぐ頑丈さを持ち、それ自体で相手を殴り飛ばせる頑丈な傘。

33 ◆7fqukHNUPM:2015/08/20(木) 03:16:31 ID:s9EeEbTY0
「殺人事件」について、小鞠の支給品の行方が状態表から抜けていたのでwikiにて修正を行わせていただきました

このたびは雑談スレでのご指摘と無断修正、大変申し訳ありませんでした

34交わらなかった線 (修正) ◆WqZH3L6gH6:2015/08/20(木) 07:00:06 ID:5IlSAFHw0
本スレでご指摘を受けたので該当箇所を修正します
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/14759/1438182076/530は以下に差し替えでお願いします


 森を抜け、彼女は神社の前に立った。
 そこにはタイヤ跡や不自然な土の盛り上がりがあった。参加者の姿はない。
 タイヤ跡をたどり、先の森の荒れた茂みの方へ入ったが、参加者の姿は見当たらなかった。
 確認できたタイヤ跡からバイクで立ち去ったと推測、追跡した所で追いつけそうにない。
 彼女は神社前に戻り思わず嘆息する。
 真っ暗闇に覆われた山の中、またもや彼女の手刀が空を切った。



□ ■ □ ■ □ ■ 
□ ■ □ ■ □ ■ 


――ほんとは会って話をした方が良かったかも知れない。でも……


 やけに低いエンジン音と微妙にサイズの合わないヘルメット。
 それらに少々困惑しつつもるう子はスクーターを走らせる。
 ぶっつけ本番だったが事前に説明書を読んだこともあり、るう子は支給品のスクーターを扱えつつあった。
 咲の死を前にしてもるう子の志は揺るがない。むしろよりやる気を出たといえる。
 セレクターバトルを主にした数々の修羅場を乗り越え、ここに置いては宮永咲の決死の奮闘を心に刻んだるう子はこれで挫けるはずがなかった。
 さっきは車椅子の少女がやったような不意打ちを警戒しあえて接触は避けたが、ずっとそうしている訳にもいかない。
 以前の自分ならできそうにない選択だけど、こちらから他参加者を発見し接触を試みてみよう。
 そう気持ちを引き締めた。

――さっきの人とは会う勇気はなかったけど……

 舗装された道路を頼りに目的地へと向かう。
 舞台の南東の市街地へ。
 殺し合いを阻止する手立てを探るために。


□ ■ □ ■ □ ■ 
□ ■ □ ■ □ ■ 


 盛り上がった土の下にはヴァローナより数歳年下と思わしき少女の遺体があった。
 状態からして直後ではないと推測できる。傷からして下手人は銃を持っている。
 血痕を辿り、不意を打って銃器を強奪できればと彼女は考えた。
 

「……その、あの人をそのままにしておくんですか?」


 手にしたカードから少女の静かなる問いがかけられた、
 カードには緑の長髪を極端に逆立たせた細身の少女の姿があった。
 名は緑子。生きたカードルリグの1人でヴァローナの支給品の1つ。
 ヴァローナの身体能力を若干ながら上昇させているのは緑子の力アーツの『奇々怪々』の力ゆえ。
 本来はルリグの力の大半はウィクロスというカードゲームの中でのみ発現されるもの。
 だがこのゲームに置いてはある意味創造主である繭の力もあり、事情が多少違っているようだった。

35交わらなかった線 (修正) ◆WqZH3L6gH6:2015/08/20(木) 07:03:38 ID:5IlSAFHw0
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/14759/1438182076/531-532の状態表は以下に差し替えでお願いします



【E-3/道路/一日目 深夜】
 【小湊るう子@selector infected WIXOSS】
 [状態]:健康、スクーター運転中
 [服装]:中学校の制服、チタン鉱製の腹巻
 [装備]:黒のヘルメット着用
 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(9/10)
     黒カード:黒のスクーター@現実、チタン鉱製の腹巻@キルラキル        
          不明支給品0〜1枚、宮永咲の不明支給品0〜2枚 (2枚とも確認済)
     宮永咲の魂カード
 
 [思考・行動]
基本方針: 誰かを犠牲にして願いを叶えたくない。繭の思惑が知りたい。
   1: 最低限の警戒を忘れず、南東の市街地へと向かい協力者を探す。
   2: 浦添伊緒奈(ウリス?)、紅林遊月(花代さん?)、晶さんのことが気になる
   3: 魂のカードを見つけたら回収する。出来れば解放もしたい。
 [備考]
※参戦時期は二期の8話から10話にかけての間です


【F-3/森/一日目 深夜】
 【ヴァローナ@デュラララ!!】
 [状態]:健康、『アーツ 奇々怪々』により若干だが身体能力上昇中
 [服装]:白のライダースーツ
 [装備]:手に緑子のカードデッキ
 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(9/10)
     黒カード:グリーンワナ(緑子のカードデッキ)@selector infected WIXOSS
黒カード:不明支給品0〜2枚(武器と判断できるものはない)
 [思考・行動]
基本方針: 武器を集めた後、強者と戦いながら生き残りを目指す。優勝とかは深く考えない。
   1: 緑子から情報を収集した後、武器になりそうなものを探す。
   2: 強そうな参加者がいれば戦って倒したい。特に静雄や黒ヘルメット(セルティ)。
   3: 弱者はなるべく手を掛けたくない。
 [備考]
※参戦時期はデュラララ!!×2 承 12話で静雄をナイフで刺す直前です。

・支給品説明

【黒のスクーター】
小湊るう子に支給。
ヘルメット付きで、照明とエンジン音に多少の改造が施されている原付きバイクの一種。
トゥデイっぽい。照明はかなり細かい調整が効き、エンジン音も無音に近いくらい静か。
若干ステルス使用。最高速度は時速60キロまで。説明書付き。ガソリンはほぼ満タン。


【グリーンワナ(緑子のカードデッキ)@selector infected WIXOSS】
ヴァローナに支給。
植村一衣(ロワ未参戦)のルリグ 緑子が収納されたカードゲーム『ウィクロス』のカードデッキ。
外見は逆立った緑の髪の毛をした露出度の高いボーイッシュな衣装と雰囲気のした少女。物静かな性格。
少年口調で一人称は僕。使用可能なアーツについて説明は受けているが、ロワの説明はどれだけされているかは不明。
本来ならカードゲーム内のみで使用できるアーツ『奇々怪々』が使用可能。
他の能力が使えるかは不明。

※アーツ『奇々怪々』について
本来ならカードゲーム内においてシグ二(将棋で言う王将以外の駒のようなもの)を複数強化するのみだが。
当ロワにおいては黒カードから出してカードデッキを手に所持した場合にのみ、身体能力を若干上昇させる効果がある。
デッキを落としたり、カードを損傷させてしまうと効果は失われる。
元はコスト無しに使用できるアーツだけにエナコスト(魔力消費)はないが、もし別のアーツを使ってエナコストを消費した場合、
消費した分すべてが回復するまで奇々怪々は使用できない。
エナコストの回復は通常1コストにつき1時間。何らかの要因でエナコストが補充されればその限りではない。

36交わらなかった線 (再修正) ◆WqZH3L6gH6:2015/08/20(木) 07:08:27 ID:5IlSAFHw0
すいません>>35は間違いです
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/14759/1438182076/531-532の差し替えはこちらです


【E-3/道路/一日目 深夜】
 【小湊るう子@selector infected WIXOSS】
 [状態]:健康、スクーター運転中
 [服装]:中学校の制服、チタン鉱製の腹巻
 [装備]:黒のヘルメット着用
 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(9/10)
     黒カード:黒のスクーター@現実、チタン鉱製の腹巻@キルラキル        
          不明支給品0〜1枚、宮永咲の不明支給品0〜2枚 (すべて確認済)
     宮永咲の魂カード
 
 [思考・行動]
基本方針: 誰かを犠牲にして願いを叶えたくない。繭の思惑が知りたい。
   1: 最低限の警戒を忘れず、南東の市街地へと向かい協力者を探す。
   2: 浦添伊緒奈(ウリス?)、紅林遊月(花代さん?)、晶さんのことが気になる
   3: 魂のカードを見つけたら回収する。出来れば解放もしたい。
 [備考]
※参戦時期は二期の8話から10話にかけての間です


【F-3/神社前/一日目 深夜】
 【ヴァローナ@デュラララ!!】
 [状態]:健康、『アーツ 奇々怪々』により若干だが身体能力上昇中
 [服装]:白のライダースーツ
 [装備]:手に緑子のカードデッキ
 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(9/10)
     黒カード:グリーンワナ(緑子のカードデッキ)@selector infected WIXOSS
黒カード:不明支給品0〜2枚(武器と判断できるものはない)
 [思考・行動]
基本方針: 武器を集めた後、強者と戦いながら生き残りを目指す。優勝とかは深く考えない。
   1: 緑子から情報を収集した後、武器になりそうなものを探す。
   2: 強そうな参加者がいれば戦って倒したい。特に静雄や黒ヘルメット(セルティ)。
   3: 弱者はなるべく手を掛けたくない。
 [備考]
※参戦時期はデュラララ!!×2 承 12話で静雄をナイフで刺す直前です。

・支給品説明

【黒のスクーター】
小湊るう子に支給。
ヘルメット付きで、照明とエンジン音に多少の改造が施されている原付きバイクの一種。
トゥデイっぽい。照明はかなり細かい調整が効き、エンジン音も無音に近いくらい静か。
若干ステルス使用。最高速度は時速60キロまで。説明書付き。ガソリンはほぼ満タン。


【グリーンワナ(緑子のカードデッキ)@selector infected WIXOSS】
ヴァローナに支給。
植村一衣(ロワ未参戦)のルリグ 緑子が収納されたカードゲーム『ウィクロス』のカードデッキ。
外見は逆立った緑の髪の毛をした露出度の高いボーイッシュな衣装と雰囲気のした少女。物静かな性格。
少年口調で一人称は僕。使用可能なアーツについて説明は受けているが、ロワの説明はどれだけされているかは不明。
本来ならカードゲーム内のみで使用できるアーツ『奇々怪々』が使用可能。
他の能力が使えるかは不明。

※アーツ『奇々怪々』について
本来ならカードゲーム内においてシグ二(将棋で言う王将以外の駒のようなもの)を複数強化するのみだが。
当ロワにおいては黒カードから出してカードデッキを手に所持した場合にのみ、身体能力を若干上昇させる効果がある。
デッキを落としたり、カードを損傷させてしまうと効果は失われる。
元はコスト無しに使用できるアーツだけにエナコスト(魔力消費)はないが、もし別のアーツを使ってエナコストを消費した場合、
消費した分すべてが回復するまで奇々怪々は使用できない。
エナコストの回復は通常1コストにつき1時間。何らかの要因でエナコストが補充されればその限りではない。

37 ◆gsq46R5/OE:2015/08/22(土) 10:26:07 ID:X1XIFuz60
拙作『本能字の変』の、宮内れんげ状態表の修正版を投下します。


【宮内れんげ@のんのんびより】
[状態]:健康、魔力消費(中)
[服装]:普段通り
[装備]:アスクレピオス@魔法少女リリカルなのはVivid
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:満艦飾家のコロッケ(残り五個)@キルラキル、バタフライナイフ@デュラララ!!
[思考・行動]
基本方針:うち、学校いくん!
   1:うちも、みんなを助けるのん。強くなるのん。
   2:こまちゃん、ほたるん、待ってるのん。
   3:あんりん……。
[備考]
※骨が折れない程度に手加減はされました
※杏里と情報交換しましたが、セルティという人物がいるとしか知らされていません。
 また、セルティが首なしだとは知らされていません。
※魔導師としての適性は高いようです。

へ修正させていただきます。

38 ◆gsq46R5/OE:2015/08/22(土) 19:51:14 ID:X1XIFuz60
精霊関連とDIOの日光問題について指摘を受けましたので、該当レスの修正を投下します。

(本スレ>>595


 「で、誰が誰の足元にも及ばないのだったか?」

  DIO目掛け、桂が飛び込む形で袈裟斬りを放つ。
  彼はそれを『世界』の拳でもって迎撃したが、もう一人の侍にまでは対処が追いつかない。
  DIOが殴られている間を縫って背後から接近を果たしていた銀時が、DIOをそのまま聖剣で貫いていた。
  血反吐を吐きながら、DIOは怒りに震える。
  何故だ。
  何故この帝王である自分が、こんなにも追い詰められている……!


 「許さん……許さんぞ! このクズにも劣るゴミ糞どもがッ!!
  貴様らは必ず――必ずこのDIOが殺す! 一人残らず、恐怖に慄かせた上でだッ!!!」


  怒りを爆発させながら、DIOは『世界』の力を使う。
  時止めの疲労は、既に戦闘に支障が出るレベルにまで達していた。
  認めたくはないが、今の自分は連中に押し切られかけている。
  このまま戦いを続けたとして、仮に一人二人を殺せたとしても、残り一人までを仕留めきれるかは怪しいとDIOは冷静に判断した。それに、今でこそ注意が反れているが、神威の存在もある。

 「此処は、退く……」

  だが、決して忘れるな。切断されて転がっていた片腕を拾いながら、彼は呟く。
  突き刺さった聖剣を抜き、DIOは停止した世界の中を駆ける。
  
 「(頭痛がする……吐き気もだ。なんてことだ……このDIOが、気分が悪いだと……)」

  スタンドを酷使した代償の体調不良に見舞われながら、彼は校庭を後にし、そこで時が動き出した。
  これ以上時間停止を使いすぎるのは不味い。
  それに、今はまだ幸い日が射していないが――直に夜が明けるだろう。
  日光は吸血鬼にとっての最大の敵だ。
  如何に人外の体といえど、あれに曝されただけでDIOは呆気なく霧散霧消してしまう。
  早急に此処より離れ、休息の出来る建物を探さなくては――。

 「必ず殺してやるぞ、侍と小娘よ。
  このDIOが再び貴様らの前に現れる時を、精々待っているのだな……!」

  程なくして停車させてあった自動車の車内へ戻ると、腕の切断面に切り落とされた腕を合わせる。
  吸血鬼の再生能力は、みるみるうちにそれを治癒させていき、完璧でこそないが、ひとまず形を保つ程度に繋ぎ合わせた。これで、後は放っておくだけで遠からぬ内に傷が癒えるはずだ。
  屈辱の撤退に憤激しながら、DIOは安息の地を目指す。


【B-6/早朝/本能字学園周辺】

【DIO@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
[状態]:疲労(大)、右腕切断(癒着済、再生中)、胴体へ貫通傷(再生中)、全身にダメージ(大)、運転中
[服装]:なし
[装備]:蟇郡苛の車@キルラキル
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
    黒カード:不明支給品0〜1(本人確認済み)
[思考・行動]
基本方針:主催者を殺す。そのために手っ取り早く他参加者を始末する。
   1:ホテルへ向かい、体を休める。
   2:銀髪の侍(銀時)、長髪の侍(桂)、格闘家の娘(コロナ)、三つ編みの男(神威)は絶対に殺す。
   3:優先順位は銀時=コロナ=桂>神威。
   4:言峰綺礼への興味。
[備考]
※時止めはいつもより疲労が増加しています。一呼吸だけではなく、数呼吸間隔を開けなければ時止め出来ません。
※車の運転を覚えました。
※疲労による運転への支障はとりあえずありませんが、あまり無茶な運転をすると事故を起こすかもしれません。


支給品説明
【サバイバルナイフ@Fate/Zero】
DIOに支給。
元は衛宮切嗣が使用していたもので、通常のナイフに比べて殺傷能力が高い。

39 ◆gsq46R5/OE:2015/08/22(土) 19:52:18 ID:X1XIFuz60
(本スレ>>596



  勇者の拳が真っ向から夜兎を狙い打つ。
  それを正々堂々拳で迎え撃ちながら、神威は破顔した。
  勇者の少女、友奈は思う。
  ――強い。
  今まで戦ったどの敵よりも貪欲に食らいついてきて、その癖身体能力さえ勇者のそれを凌駕している。
  あまりにわかりやすい強敵だ。それだけに、生半可な気持ちで挑めば返り討ちに遭うのは見えていた。

  何より厄介なのが、敵の速度。身体能力。
  勇者を守る精霊の自動防御すら突破して余りある速度と精度を両立しているのだから堪らない。

 「おおおおぉぉぉっ!!」

  夜兎の青年、神威は楽しんでいた。
  技術に粗はあり、まだまだ未熟と言う他ない拳だが――その愚直さは嫌いではない。
  そう言いながら、しかし彼は一切の手加減をしてはいなかった。
  
 「うぐっ……!」

  強烈なボディーブローが、友奈の体を真下から打ち上げる。
  かはっと胃液を吐き出して打ち上げられた勇者を、両手を組み合わせて真上から叩き落とした。
  地面とキスを余儀なくされ、直感的に体を逸らす。
  その判断は正しかった。
  一秒前まで彼女の頭があった場所に、神威の足が振り落とされたのだ。
  もしも急所を逃していなければ、勇者は此処でゲームオーバーとなっていたに違いない。

 「ま、だ、ま……だぁぁぁ!」

  耐える。
  立ち上がり、拳で神威を殴りつけんとする。
  止められた。
  腹を蹴られ、地を転がった。
  あまりにも一方的な戦いに、後方の絵里が時折悲痛な声を漏らしている。

  強い。
  本当に、強すぎる。
  けれど、それでも、不屈の勇者は諦めない。

 「やぁぁぁぁッ!」
 
  体重を乗せた拳が躱される。
  当然、大振りの技は必然的に大きな隙を生じさせるものだ。
  神威は、そんなところを見逃してくれるほど易しい相手ではない。
  蹴り上げで顔を強打し、友奈の前歯が折れる。
   
 「ぶ、がっ、ぐぅ……」

  止む気配のない暴力の雨。
  勇者の顔を、手足を、打ち付けていく。
  危うく意識が飛びかけるが、ここで投げ出すようなら勇者は名乗れないだろう。

  満開ゲージ。
  それへ目をやる。
  あと一枚だ。
  その矢先に飛んできた拳を回避の構えで受け止めると、最後の一枚が点灯した。

  これが齎すデメリットも、友奈は承知している。
  しかしここで出し惜しみをすれば、まず間違いなく自分は倒されるに違いない。
  そうなれば、後ろの二人にも危険が及ぶ。
  何より――せっかく格好つけたのに、真っ先に倒されるなんて……あんまりかっこ悪すぎる。




 「───────満開」

40 ◆eNKD8JkIOw:2015/08/22(土) 22:20:19 ID:O0BGh2kc0
こちらも精霊関連の修正案を投下します

(本スレ>>480)

「あなた、よっわーい!飽きちゃった☆」

そんな絶望に囚われかけていた樹が、突然回転を止めこちらに飛びかかってくる縫のスピードに、対応できるはずもなく。
慌てて正面に集中させたワイヤーが潜り抜けられた、と知覚した瞬間。
目の前に、針目縫の顔があった。

「っく……!」

身を捩るも、身体のあちこちが何度も切り刻まれる。
防御しようとした木霊は、邪魔だといわんばかりに、瞬時に針目の片手で鷲掴みにされていた。
その隙に少しでも距離を開けようとバックステップを踏む、が、無駄だった。速さが違いすぎる。
左脇腹が浅く切り裂かれたかと思えば、右肘が骨ごと抉られていた。
その痛みを我慢しながら死ぬ気で後ろに下がった瞬間、お臍の表面に刃が突き刺さる。
あと数センチ下がっていなければ内臓までズタズタだ、なんて他人事みたいに考えた。
とにかく体勢を立て直さなければ。もう一回、気合で後ろに飛ぼうと足に力を籠め。


「はい、ばんざーい」


両腕が、ひょい、と背後から持ち上げられた。
針目縫の姿は、もう正面にはない。
つまり、樹の気合の全力後退をあざ笑うかのように、回り込まれたのだ。
思わず、振り返る。そんなことをしている暇などないというのに。
振り返ったところで、どうしようもないというのに。
だけど、樹は振り返った。もはや勝ち目がないと悟ってしまったからこそ、振り返り。
わけのわからないスピードで自分の背後に居座った針目縫の笑顔を。

「貴方は、間違っています」

「ぐさぁー☆」

睨み返すことしか、できなかった。



「…………んっ」


「あ、丁度良いや」


そんな悪夢から目を覚ました樹を迎えたのは、またしても悪夢だった。
縫に切り刻まれた身体のあちこちが焼けるような熱を発している。
特に、自分の頭の上でクロスに組まれている両掌の痛みがひどい。

「はい、おはよ〜」

「う、ぐ、ああああああああぁぁ!?」

ぐじゅり、ぐじゅり、ぐじゅり。
掌に突き刺さっている異物が、抜き差しされ、抜き差しされ。
爪が、小指が、掌の一部と思しき部分が、上から降ってくる。
あまりの痛みに視界が赤く染まり、気を失いかけるも、もう一度引き抜き、差し込まれ、痛みで現実に引き戻される。
視界の隅に移った落ちていく『中指』を見て、私の手が欠損していくという現実に、引き戻される。

41 ◆eNKD8JkIOw:2015/08/22(土) 22:23:50 ID:O0BGh2kc0
また、その後の場面でも精霊は防御しようとしていた、ということにはなっていますが、樹の一人称視点なため、精霊の描写を入れると不自然な形になってしまいます
よってこれ以上の描写はしないことにしようと思うのですが、よろしいでしょうか?

42名無しさん:2015/08/22(土) 22:31:04 ID:9Ts/Sofg0
修正乙です

両氏どちらの修正も問題ないと思います

43 ◆X8NDX.mgrA:2015/08/23(日) 13:02:11 ID:rNqkLMx20
(本スレ>>550




 舗装された道は、当然ながら山道と比べて段違いに移動が楽だ。
 他の参加者と遭遇することもなく、温泉に到着した東郷は、玄関の前で停止した。
 より正確に言うならば、そこは温泉旅館だった。
 東郷が外観を見ただけでそれと分かったのは、この旅館に来たことがあったからである。
 大赦が勇者部への褒美として、合宿先を手配してくれたときのことだ。

「これもご褒美とでも言うの……?だとしたら酷い皮肉」

 東郷は吐き捨てるように言うと、旅館を後にしようとした。
 勇者部の、ひと夏の思い出が詰まった温泉旅館。
 殺し合いの場で再び訪れることになるとは予想していなかったし、見たくもなかった。
 仕方ない、どこか木陰で作戦を練ろう、と東郷が考えた矢先。

「はあああああああっ!!」
「っ!?」

 突如、頭上から聞こえた気合に、東郷は体が固まった。
 星空を背に、大剣を振りかぶりながら、勢いよく飛び降りてくる影。
 まごうことなき奇襲、それも、そこまで周囲を警戒していなかったタイミングでの奇襲である。
 それでも、気付くのが早かったために、常人ならどうにか飛び退いて躱すくらいはできたかもしれない。
 だが、急加速のできない車椅子ではその回避が不可能。
 東郷は思わず目を瞑った。
 その直後、東郷の身体を風圧が襲う。
 だが、それだけだった。

「……」

 回避する術は確かになかった。
 しかし、防御する術はあったのだ。
 卵のようなフォルムをした精霊・青坊主が東郷の頭上に出現し、眉間を叩き割らんと迫った大剣を止めていた。
 東郷は粉塵が舞う中でゆっくりと目を開けて、精霊の防御が働いたことに感謝した。
 この島に来てから、精霊の動きが平常より鈍いと感じていたものの、最低限の防御に問題はないらしい。
 それと同時に、襲撃者の顔を見て驚愕する。

「……やっぱり精霊に防がれちゃうか」
「風先輩、ですか……?」

 眼帯をしていない方の目を、少し悲しげに歪ませながら。
 讃州中学勇者部部長、犬吠埼風がそこにいた。




44 ◆X8NDX.mgrA:2015/08/23(日) 13:10:09 ID:rNqkLMx20
また、拙作を読み返していて描写の不十分に感じられる点があったので、
勝手ながらそこも修正させていただきます。




 温泉から脱兎のごとく飛び出してきた風は、しばらく走ってから道端の木にもたれかかった。
 額に浮かぶ汗は、全力疾走したことだけが原因ではない。

(東郷……)

 風が東郷を発見したのは、本当に偶然だった。
 勇者部の仲間に、どうして接触しようと考えたのかは分からない。
 しかも、大剣で襲いかかるという最悪の方法での接触を選んだわけも分からない。
 せめて奇襲に失敗してから、すぐに逃走していればよかったのだ。
 そうすれば東郷との会話を経て、より心が不安定になることはなかっただろう。

(アタシ、どうして……?)

 風はぐらぐらしている脳でどうにか考えようとする。
 自分自身のとった妙な行動、その意味を。
 そうして数分後、あることに気付く。
 自分は勇者部の中でも一際冷静な東郷と交流することで、安定したかったのかもしれない、と。

(そっか、アタシ……不安だったんだ)

 考えるうちに、風は自身の不安定さに気付いた。
 そしてその不安定を埋めるために、誰かと接触したがったのだということにも。
 友奈や夏凜の『勇者』であろうとする姿は、今の自分には眩しすぎる。
 樹のことは心配ではあるが、姉である自分を信頼してくれている少女の前に、今は姿を出したくない。
 ならば、彼女らと比較して東郷はどうか。
 部活動中も、戦闘時にも、沈着冷静な態度で判断を下す。
 そんな東郷美森という後輩は、先輩である風からしても頼れる存在だった。

(もしかしたら、とは思っていたけど)

 そこに「東郷も優勝を目指すかもしれない」という偏見が重なる。
 勇者システム=死ねないシステムだと発見したのは東郷だ。
 友奈や樹、夏凜と違って、最初から大赦に懐疑的だったのは東郷ぐらいだ。
 風の知る限りの東郷の今までの行動が思い起こされ、風は東郷にある期待を抱いた。

 すなわち、「東郷なら自分を理解してくれるんじゃないか」という身勝手な期待。

 勇者部の中で、大赦を潰すという目的を理解してくれるのは東郷だけであろうという期待。
 それがあったからこそ、風は東郷に奇襲をしかけたのだ。
 殺し合いに乗ったことを宣言せずに、けれども確実に相手に伝えるには、襲うのが手っ取り早い、と考えてのことだ。
 もちろん、その後のことを風が深く考えていたのかどうかは定かではない。
 東郷に具体的にどういう対応を求めていたのかも、風自身が分かっていない。
 そして結果は、散々なものだった。

「はぁ……自己嫌悪よ、もう……」

 奇襲、言い逃れ、そして逃走。
 我ながら、支離滅裂な行動にも程がある。
 風はもたれかかっていた木に背中を預けて、力なく座り込んだ。
 つい先程の会話が、テープで再生したかのように脳内に浮かんでくる。

45 ◆X8NDX.mgrA:2015/08/23(日) 13:11:40 ID:rNqkLMx20



 勇者部の五人が泊まった部屋で。
 東郷は星空を見上げながら、あの日の夜を思い出していた。
 友奈と二人で、この窓から空を見上げたこと。
 交し合った言葉も、友奈の温もりも、東郷の胸に深く刻まれている。

(友奈ちゃんを、これ以上、苦しい目に遭わせるわけには――)

 皆の解放を強く願うからこそ、東郷は優勝すると決意した。
 であるならば、求めるものは確実に勝ちに行ける力。
 それは勇者としての力だけでは不十分なのではないか、東郷はそう思い始めていた。

 繭はこの殺し合いをゲームだと言っていた。
 それならば、ゲームにおける常識や定石も当てはまるのではないか。
 例えば、将棋には、強力な駒は存在しても、最強の駒は存在しない。
 戦術や盤面次第では、角や飛車が歩や香車に討ち取られることもある。
 そこから予想できることがある。

(私たち『勇者』より強い存在がいる……?)

 侵略者バーテックスと戦うための存在である勇者は、普通の人間とは比べ物にならない強さを持つ。
 しかし、その勇者を殺せる存在がいなければ、この殺し合いは成立しないのだ。
 その事実に改めて気づき、東郷は方針をやや変更する。

(自分の強さを過信しない。確実に参加者を減らすことを考えないと)

 その為にとるべきは、謀略、暗殺、隠密。
 勇者部随一の思慮深さを持つ東郷は、そうした戦術を次々に考えだす。

 例えば謀略。
 車椅子という足枷を、他の参加者の良心に訴えかける道具として利用する。
 最初に出会った少女達が、東郷を気遣うそぶりを見せたことからも、成功する確率は高いだろう。

 例えば暗殺。
 戦闘方法が射撃である東郷は、ビルの屋上から参加者を狙撃すれば簡単に殺害できる。
 標的が一人なら問題ない、ならば二人以上で行動している場合はどうか。

 例えば隠密。
 建物などで遮蔽物の多い市街地であれば、容易に姿を隠すことができる。
逃げる必要ができたときに、脚の悪さからくる移動の遅さを補うことにも繋がる。

(そうなると、一人逃がしてしまったのが痛い)

これらの作戦の不安要素となるのが、麻雀少女が命を賭して庇った少女だ。
 「るう子ちゃん」と呼ばれていたことから、東郷は名簿の「小湊るう子」だと判断していた。
 小湊るう子には姿を視認されており、それを東郷は重く見ていた。
 他の参加者に「車椅子の少女が銃を撃ってきた」などと伝えられては、行動に支障が出る。
 だが、現状では対策を講じようがないのも事実であった。
 接触から既に一時間近く経っており、また遭遇する見込みは低い。
 小湊るう子に関しては、保留にするより他になかった。

 ここまで考えて、東郷はふと振り返る。
 どれも奇跡とか神秘とか真実とか夢とか、そんな『勇者』のイメージとはかけ離れた戦術だ。
 しかし、非道な戦術でさえ取らなければならない事情が、東郷にはある。
 最終的には自分以外の全員が死亡していなければ、目標が達成できない状況。
 この場にあって、手段を清濁で選り好みすることは不可能。
 そう東郷は判断した。

――風先輩、一緒に協力して、優勝を目指しませんか。

 誰の目から見ても不安定に映るだろう風に、東郷が声をかけたのもまた必然だった。
 自分と同じく殺し合いに乗り、自分と同じ勇者の力を持つ人物。
 戦闘経験はそれなり、互いの武器の愛称も充分。
 二人一組で殺し回るという提案は、相手にとっても悪い話ではないはずだった。
 しかし、返答はノー。
 更に妥協案を述べていたところ、風は走り去ってしまった。

 つまるところ、東郷美森は犬吠埼風を見誤っていたのだ。

 感情に任せて行動するタイプの風は、理性でもって行動する東郷よりも脆い。
 大赦を潰そうとしたときの風は、友奈と夏凜、そして樹の説得で思い止まった。
 しかし、神樹を倒そうと壁を破壊したときの東郷は、他の勇者と対立しても尚、行動を止めなかった。
 そこには明らかな違いがある。
 覚悟――そう言ってしまえば話は早い。
 風は東郷よりも覚悟がなく、東郷は風よりも覚悟があった。
 それだけのことだった。

「風先輩……私は私で、頑張ります」

 思わぬ形での再会に、それほど影響を受けていない自分に驚きつつも。
 東郷は、星空に向けて呟いた。
 一歩を踏み出し、覚悟を決めた東郷の目には、いつかの麻雀少女にも劣らない光が宿っていた。

46 ◆X8NDX.mgrA:2015/08/23(日) 13:17:06 ID:rNqkLMx20
以下の三点について追記修正をさせて頂きました。

・精霊の防御
・風の心理描写
・東郷のるう子への対処

既にwikiに収録されているので、数日間問題が指摘されなければ自分でwikiを編集したいと思います。
指摘して下さった方、ありがとうございました。

47 ◆DbK4jNFgR6:2015/08/24(月) 21:40:20 ID:gKbZfmN60
修正版投下します

48優勝をめざして(修正版) ◆DbK4jNFgR6:2015/08/24(月) 21:42:09 ID:gKbZfmN60
高坂穂乃果にとって現在の状況は到底受け入れられるものではなかった。
小汚い男に意識を奪われ、目を覚ましたら信頼していたはずのランサーが傍にいない。
本部とか名乗った小汚い男の話では、ランサーは穂乃果を彼に任せて去ったらしいが、そんな言葉を信用することはできない。
口では何とでも言えるのだ。元より、この浮浪者のような中年はランサーを害していた男。
そんなホームレスの言葉など一片たりとも信じるに値しない。
しかし、ならばどうしてランサーはこの場にいないのであろうという疑問が穂乃果の胸に沸き起こる。

(ランサーさんが、こんな小汚いおじさんに私を任せるわけがないよ)

まず本部の発言は考えるまでもなく嘘と判断。
このような小汚い中年にランサーともあろうものが、穂乃果を任せるはずがない。

(じゃあ、何で。何でランサーさんは私の傍にいないの?)

ランサーが離れたことによって薄れていた愛という名の感情が再燃し始める。
同じくチャームの影響を受けていた千夜はと言えば、ランサーのことなど忘れたかのように、土方十四郎とかいう男の死について悔やんでいるようだった。
薄情な女だと穂乃果は思った。結局、あの女はランサーをボディーガードとして利用する気しかなかったのだ。
だからいなくなれば、ランサーのことなどどうでもよくなる。

(私は違う。私のランサーさんに対する思いは本物だもん)

穂乃果と千夜。ランサーのチャームによって感情を歪められた二人であるが、両者に違いがあるとすれば、それはランサーと行動を共にした時間、そして出会った際の状況である。
千夜よりも長くランサーと行動していた穂乃果の方がチャームの影響を強く受けていることに加え、襲われていたところを助けられたという、ドラマティックなシチュエーションが穂乃果の偽り恋心を強固なものにした。

49優勝をめざして(修正版) ◆DbK4jNFgR6:2015/08/24(月) 21:43:16 ID:gKbZfmN60
(何で、何でランサーさんはここにいないの?)

ランサーは決してこんな薄汚れた中年男に穂乃果を預けていなくなるような人物ではない。
とすればこの中年男は穂乃果をランサーの手から奪い取った誘拐犯ということになる。
だがそうなると新たな疑問も沸いてきた。どうしてランサーは穂乃果のことを助けにきてくれないのか。
何故、この場に颯爽と姿を現して薄汚れたホームレス中年男、本部を打倒しないのか。

(まさか……!)

最悪の可能性が穂乃果の頭をよぎる。
それはこのホームレスによってランサーが既に殺害されたという可能性。

(違う! 違う! 違う! そんなことあり得ない!)

必至に否定するが、ランサーがこの場に現れない理由が他に思い浮かばないのだ。
穂乃果はランサークラスが最速のサーヴァントであるということは知らないが、その速さについては共に行動していたのでよくわかっている。
この浮浪者が穂乃果を攫ったとしても、彼なら容易に追いつけるはずなのである。

(……あの小汚いおじさんが卑怯な方法でランサーさんを殺したんだ)

最終的に穂乃果はその結論に至らざるを得なかった。
無論、正々堂々戦えばあんな浮浪者にランサーが敗北するなどまずあり得ない。
おそらく前と同様に卑劣極まりない手段を用いて、ランサーを死に至らしめたのだ。

「あ、あああああああああ、ああッ!!!」

両膝をつき拳でドンドンと地面を叩く。両目から涙がボロボロと零れた。

50優勝をめざして(修正版) ◆DbK4jNFgR6:2015/08/24(月) 21:44:45 ID:gKbZfmN60
「ど、どうしたんですか!」

ヴィヴィオとかいう小娘がこちらに寄ってきた。心配しているような素振りを見せているが、こいつは合流後あの浮浪者と親しげに会話をしているのを確認している。信用することはできない。

「何でも、ないよ」

笑顔を作ることがこんなにも難しいことであるということを穂乃果は初めて知った。
大丈夫だから、とヴィヴィオに言いながらも、その心中はとても穏やかとは言えなかった。

(こんな浮浪者にランサーさんが、こんな生きていても意味がないホームレスにランサーさんが、ランサーさんの百万分の一の価値もない薄汚い中年の分際でッ!)

ドス黒い感情とはまさにこのことか。自分でも驚くほどに口汚い暴言が心中に飛び交った。
本来、高坂穂乃果という少女はこのような思考を行う人物ではない。
穏やかで、優しく、真っ直ぐな心根を持ったスクールアイドルのはずだった。

(……殺す。あのホームレスも、ランサーさんを見捨てた奴らも全員殺してやる)

しかし魅了の魔貌が彼女の心を歪めた。それに様々な要因が重なり合った結果、ここに新たな殺人者が誕生することになったのである。
三人の内、女二人は容易に殺害が可能と判断。油断させて後ろから首を絞めれば済む。
しかし、本部はそうはいかないだろう。卑劣な手段を用いたとはいえ、ランサーを倒すということは、認めたくはないが実力者ということになる。
直接的な手段で殺害を試みたところで、返り討ちにされるのは目に見えている。
もたもたしていたら本部がこの場から去ってしまう。キャスターを倒しにいくそうだが、穂乃果からすれば嘘くさいことこの上ない。おそらくまた何か悪事を働くのだろうと推測する。

(そうだ、黒のカード!)

ヴィヴィオにはお手洗いだと言ってその場を離れてから残りの黒のカードを確認する。
出てきたのは小袋と説明書。内容に目を通した穂乃果の口元がぐにゃりと歪んだ。
青酸カリ。刑事ドラマなどで犯人が被害者を殺害する際によく用いられるあれである。
この毒薬を使用すれば力で劣る女であろうとも男を容易に殺害することが可能。
3人を殺すことが第一目的。では、その後はどうするのか。本部を殺したところでランサーが生き返るわけではない。

(生き返る……ああ! そうかッ! 優勝すればいいんだよ!)

あのモジャモジャのカリフラワー頭が言っていたではないか。優勝すれば願いを叶えてやると。
ここに来て魅了の魔貌による歪みは最大限に達する。本来の彼女であれば絶対に行わないであろう決断は歪められた愛情によってなされた。

(待っててね、ランサーさん。優勝してすぐに生き返らせてあげるから!)

穂乃果は知らない。ランサーは死んでなどおらず、自らの意思で穂乃果を本部に託したということを。
そして、穂乃果が抱く感情は魅了の魔貌によって植えつけられた偽りの愛情だということを。

51優勝をめざして(修正版) ◆DbK4jNFgR6:2015/08/24(月) 21:45:46 ID:gKbZfmN60
【B-2/駅構内/一日目・黎明】

【高坂穂乃果@ラブライブ!】
[状態]:額にたんこぶ、本部に対する憎悪
[服装]:音ノ木坂学院の制服
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(10/10)
     黒カード:青酸カリ@現実
[思考・行動]
基本方針:優勝してランサーを生き返らせる
1:青酸カリを用いて本部たちを殺害。優先順位は本部、千夜、ヴィヴィオ
2:参加者全員を皆殺しにする
3:μ'sのメンバーは……
[備考]
※参戦時期はμ'sが揃って以降のいつか(2期1話以降)。
※ランサーが本部に殺されたと思い込んでいます。
※ランサーが離れたことで黒子による好意が少々薄れましたが、上記の理由によって現在では好意が暴走して、それが本部たちへの憎悪に変わっています。

【本部以蔵@グラップラー刃牙】
[状態]:確固たる自信
[服装]:胴着
[装備]:黒カード:王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)@Fate/Zero、原付@銀魂
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
    黒カード:こまぐるみ(お正月ver)@のんのんびより、麻雀牌セット@咲-Saki- 全国編
[思考・行動]
基本方針:全ての参加者を守護(まも)る
1:南下してキャスターを討伐する
2:騎士王及び殺戮者達の魔手から参加者を守護(まも)る
3:騎士王、キャスターを警戒。
[備考]
※参戦時期は最大トーナメント終了後

【宇治松千夜@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:疲労(大)、十四郎を見捨てて逃げたことへの罪悪感
[服装]:高校の制服(腹部が血塗れ、泥などで汚れている)
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:ベレッタ92及び予備弾倉@現実 、不明支給品0〜2枚
[思考・行動]
基本方針:心愛たちに会いたい
1:十四郎さん…

[備考]
※現在は黒子の呪いが消えて土方に対する自責の念に駆られています。

【高町ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはVivid】
[状態]:健康
[服装]:制服
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:セイクリッド・ハート@魔法少女リリカルなのはVivid
[思考・行動]
基本方針:皆で帰るために行動する
1:穂乃果さんの様子がおかしいので心配。千夜さんも落ち込んでいるようなので励ましてあげたい
2:アインハルトとコロナを探す
[備考]
※参戦時期はアニメ終了後です。
※ランサーの黒子の呪いについて大雑把に把握しましたが特に重要なことだとは思っていません。
※黒子の呪いの影響は受けていません。
※各々の知り合いについての情報交換は済ませています。


支給品説明

【青酸カリ@現実】
高坂穂乃果に支給。
刑事ドラマなどでよく用いられるメジャーな毒物。

52 ◆DbK4jNFgR6:2015/08/24(月) 21:46:24 ID:gKbZfmN60
修正版投下終了です

53名無しさん:2015/08/24(月) 22:15:41 ID:p19MN2C20
>>52
μ'sに関する言及が抜けたことで、より穂乃果の思考が短絡的になってしまったように感じます

以前◆DbK4jNFgR6氏は、ロワに参加するのはこの企画が初めてだとおっしゃられてましたが
修正された方がいいと思いますという意見が来ていて、氏もまた修正されたいというご意思があるようでしたら
(この手の企画での修正案の出し方として)「指摘された問題点が解決するような補足、理由づけをした上での修正版を投下する」
というのが、定石とはいかないまでも、無難な解決策としてあります
(これまでの修正スレや議論スレでの会話でもそういったやり取りは何度かありました)

今回の場合だと「穂乃果の豹変が唐突すぎる」という指摘が来ているわけですから
「(可能な限り)穂乃果が仲間を殺してでも優勝しようとするに至った心境の変化を捕捉する」
(なぜ他の参加者を殺しても構わないというほど追いつめられてしまったのか、の描写など)
というような修正の仕方もあったのではないでしょうか

私も氏の作品は雄二リゼのコンビを描いておられた頃から面白いと思っていましたし
今回の作品も、フラグの結果や穂乃果が危険人物化したことによる影響などとても思っておりますので
要らんおせっかいではありますが、「こういう対応もできる」と考えていただけたらと思います

54名無しさん:2015/08/24(月) 22:17:05 ID:p19MN2C20
×とても思っておりますので

○とても面白いと思っておりますので

55 ◆KKELIaaFJU:2015/08/24(月) 22:18:20 ID:VbWZXo5k0
トリ付きで失礼します。
修正版拝見いたしました。
状態表だけで修正するのではなく、
本文で『優勝するにはμ'sのメンバーも殺さなくてはない』
という思考がごっそり抜けているのは修正になっていないです。

修正するなら修正するでもう少し描写不足です。

それと議論スレに意見が出ているのですが、それでも無理に通すのですか?

語彙不足ですんません。

56名無しさん:2015/08/24(月) 22:25:44 ID:jV7TxNWw0
そうなのですか?

57 ◆DbK4jNFgR6:2015/08/24(月) 22:25:58 ID:gKbZfmN60
二度目の修正版出します。加筆するので少々お待ちください。

58 ◆DbK4jNFgR6:2015/08/24(月) 22:52:01 ID:gKbZfmN60
再修正版投下します

59優勝をめざして(修正版) ◆DbK4jNFgR6:2015/08/24(月) 22:53:44 ID:gKbZfmN60
高坂穂乃果にとって現在の状況は到底受け入れられるものではなかった。
小汚い男に意識を奪われ、目を覚ましたら信頼していたはずのランサーが傍にいない。
本部とか名乗った小汚い男の話では、ランサーは穂乃果を彼に任せて去ったらしいが、そんな言葉を信用することはできない。
口では何とでも言えるのだ。元より、この浮浪者のような中年はランサーを害していた男。
そんなホームレスの言葉など一片たりとも信じるに値しない。
しかし、ならばどうしてランサーはこの場にいないのであろうという疑問が穂乃果の胸に沸き起こる。

(ランサーさんが、こんな小汚いおじさんに私を任せるわけがないよ)

まず本部の発言は考えるまでもなく嘘と判断。
このような小汚い中年にランサーともあろうものが、穂乃果を任せるはずがない。

(じゃあ、何で。何でランサーさんは私の傍にいないの?)

ランサーが離れたことによって薄れていた愛という名の感情が再燃し始める。
同じくチャームの影響を受けていた千夜はと言えば、ランサーのことなど忘れたかのように、土方十四郎とかいう男の死について悔やんでいるようだった。
薄情な女だと穂乃果は思った。結局、あの女はランサーをボディーガードとして利用する気しかなかったのだ。
だからいなくなれば、ランサーのことなどどうでもよくなる。

(私は違う。私のランサーさんに対する思いは本物だもん)

穂乃果と千夜。ランサーのチャームによって感情を歪められた二人であるが、両者に違いがあるとすれば、それはランサーと行動を共にした時間、そして出会った際の状況である。
千夜よりも長くランサーと行動していた穂乃果の方がチャームの影響を強く受けていることに加え、襲われていたところを助けられたという、ドラマティックなシチュエーションが穂乃果の偽り恋心を強固なものにした。

60優勝をめざして(修正版) ◆DbK4jNFgR6:2015/08/24(月) 22:56:14 ID:gKbZfmN60
(何で、何でランサーさんはここにいないの?)

ランサーは決してこんな薄汚れた中年男に穂乃果を預けていなくなるような人物ではない。
とすればこの中年男は穂乃果をランサーの手から奪い取った誘拐犯ということになる。
だがそうなると新たな疑問も沸いてきた。どうしてランサーは穂乃果のことを助けにきてくれないのか。
何故、この場に颯爽と姿を現して薄汚れたホームレス中年男、本部を打倒しないのか。

(まさか……!)

最悪の可能性が穂乃果の頭をよぎる。
それはこのホームレスによってランサーが既に殺害されたという可能性。

(違う! 違う! 違う! そんなことあり得ない!)

必至に否定するが、ランサーがこの場に現れない理由が他に思い浮かばないのだ。
穂乃果はランサークラスが最速のサーヴァントであるということは知らないが、その速さについては共に行動していたのでよくわかっている。
この浮浪者が穂乃果を攫ったとしても、彼なら容易に追いつけるはずなのである。

(……あの小汚いおじさんが卑怯な方法でランサーさんを殺したんだ)

最終的に穂乃果はその結論に至らざるを得なかった。
無論、正々堂々戦えばあんな浮浪者にランサーが敗北するなどまずあり得ない。
おそらく前と同様に卑劣極まりない手段を用いて、ランサーを死に至らしめたのだ。

「あ、あああああああああ、ああッ!!!」

両膝をつき拳でドンドンと地面を叩く。両目から涙がボロボロと零れた。

61名無しさん:2015/08/24(月) 22:58:05 ID:u8NnlyNk0
修正お待ちしております。
必要なら明日までかかっても構わないので、じっくりと執筆活動に専念してくれれば幸いです。

62名無しさん:2015/08/24(月) 22:59:27 ID:u8NnlyNk0
……リロ忘れでの割り込み失礼しました。

63優勝をめざして(修正版) ◆DbK4jNFgR6:2015/08/24(月) 23:06:19 ID:gKbZfmN60
「ど、どうしたんですか!」

ヴィヴィオとかいう小娘がこちらに寄ってきた。心配しているような素振りを見せているが、こいつは合流後あの浮浪者と親しげに会話をしているのを確認している。信用することはできない。

「何でも、ないよ」

笑顔を作ることがこんなにも難しいことであるということを穂乃果は初めて知った。
大丈夫だから、とヴィヴィオに言いながらも、その心中はとても穏やかとは言えなかった。

(こんな浮浪者にランサーさんが、こんな生きていても意味がないホームレスにランサーさんが、ランサーさんの百万分の一の価値もない薄汚い中年の分際でッ!)

ドス黒い感情とはまさにこのことか。自分でも驚くほどに口汚い暴言が心中に飛び交った。
本来、高坂穂乃果という少女はこのような思考を行う人物ではない。
穏やかで、優しく、真っ直ぐな心根を持ったスクールアイドルのはずだった。

(……殺す。あのホームレスも、ランサーさんを見捨てた奴らも全員殺してやる)

しかし魅了の魔貌が彼女の心を歪めた。それに様々な要因が重なり合った結果、ここに新たな殺人者が誕生することになったのである。
三人の内、女二人は容易に殺害が可能と判断。油断させて後ろから首を絞めれば済む。
しかし、本部はそうはいかないだろう。卑劣な手段を用いたとはいえ、ランサーを倒すということは、認めたくはないが実力者ということになる。
直接的な手段で殺害を試みたところで、返り討ちにされるのは目に見えている。
もたもたしていたら本部がこの場から去ってしまう。キャスターを倒しにいくそうだが、穂乃果からすれば嘘くさいことこの上ない。おそらくまた何か悪事を働くのだろうと推測する。

(そうだ、黒のカード!)

ヴィヴィオにはお手洗いだと言ってその場を離れてから残りの黒のカードを確認する。
出てきたのは小袋と説明書。内容に目を通した穂乃果の口元がぐにゃりと歪んだ。
青酸カリ。刑事ドラマなどで犯人が被害者を殺害する際によく用いられるあれである。
この毒薬を使用すれば力で劣る女であろうとも男を容易に殺害することが可能。
3人を殺すことが第一目的。では、その後はどうするのか。本部を殺したところでランサーが生き返るわけではない。

(生き返る……ああ! そうかッ! 優勝すればいいんだよ!)

あのモジャモジャのカリフラワー頭が言っていたではないか。優勝すれば願いを叶えてやると。
ここに来て魅了の魔貌による歪みは最大限に達する。本来の彼女であれば絶対に行わないであろう決断は歪められた愛情によってなされた。
頭の片隅にμ'sの仲間たちの顔が浮かんだ気がした。これまで共に歩んできた掛け替えのない友人たち。
けれども駄目なのだ。ランサーと共に過ごした時間の記憶が仲間たちとの思い出を塗り潰してしまう。
それはまるで甘い蜜のよう。ランサーのことを思い出すと幸福感で胸がいっぱいになる。
ランサーを救うためならμ'sを切り捨ててもいいと思わせる程に、彼の存在は穂乃果にとって大きなものとなっていた。

(待っててね、ランサーさん。優勝してすぐに生き返らせてあげるから!)

穂乃果は知らない。ランサーは死んでなどおらず、自らの意思で穂乃果を本部に託したということを。
そして、穂乃果が抱く感情は魅了の魔貌によって植えつけられた偽りの愛情だということを。

64優勝をめざして(修正版) ◆DbK4jNFgR6:2015/08/24(月) 23:07:58 ID:gKbZfmN60
【B-2/駅構内/一日目・黎明】

【高坂穂乃果@ラブライブ!】
[状態]:額にたんこぶ、本部に対する憎悪
[服装]:音ノ木坂学院の制服
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(10/10)
     黒カード:青酸カリ@現実
[思考・行動]
基本方針:優勝してランサーを生き返らせる
1:青酸カリを用いて本部たちを殺害。優先順位は本部、千夜、ヴィヴィオ
2:参加者全員を皆殺しにする
3:μ'sの皆を殺すのは残念だけど、ランサーさんを生き返らせるためなら仕方ないよね
[備考]
※参戦時期はμ'sが揃って以降のいつか(2期1話以降)。
※ランサーが本部に殺されたと思い込んでいます。
※ランサーが離れたことで黒子による好意が少々薄れましたが、上記の理由によって現在では好意が暴走して、それが本部たちへの憎悪に変わっています。

【本部以蔵@グラップラー刃牙】
[状態]:確固たる自信
[服装]:胴着
[装備]:黒カード:王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)@Fate/Zero、原付@銀魂
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
    黒カード:こまぐるみ(お正月ver)@のんのんびより、麻雀牌セット@咲-Saki- 全国編
[思考・行動]
基本方針:全ての参加者を守護(まも)る
1:南下してキャスターを討伐する
2:騎士王及び殺戮者達の魔手から参加者を守護(まも)る
3:騎士王、キャスターを警戒。
[備考]
※参戦時期は最大トーナメント終了後

【宇治松千夜@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:疲労(大)、十四郎を見捨てて逃げたことへの罪悪感
[服装]:高校の制服(腹部が血塗れ、泥などで汚れている)
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:ベレッタ92及び予備弾倉@現実 、不明支給品0〜2枚
[思考・行動]
基本方針:心愛たちに会いたい
1:十四郎さん…

[備考]
※現在は黒子の呪いが消えて土方に対する自責の念に駆られています。

【高町ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはVivid】
[状態]:健康
[服装]:制服
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:セイクリッド・ハート@魔法少女リリカルなのはVivid
[思考・行動]
基本方針:皆で帰るために行動する
1:穂乃果さんの様子がおかしいので心配。千夜さんも落ち込んでいるようなので励ましてあげたい
2:アインハルトとコロナを探す
[備考]
※参戦時期はアニメ終了後です。
※ランサーの黒子の呪いについて大雑把に把握しましたが特に重要なことだとは思っていません。
※黒子の呪いの影響は受けていません。
※各々の知り合いについての情報交換は済ませています。


支給品説明

【青酸カリ@現実】
高坂穂乃果に支給。
刑事ドラマなどでよく用いられるメジャーな毒物。

65 ◆DbK4jNFgR6:2015/08/24(月) 23:09:13 ID:gKbZfmN60
再修正版投下終了します

66名無しさん:2015/08/24(月) 23:19:04 ID:p19MN2C20
>>65
修正たいへん乙です
仲間を思う気持ちを忘れたわけではなく、仲間を思う気持ちを好意が塗りつぶしているという解釈ですね
穂乃果の心境には説得力が増したと思いますし、自分はこれで問題ないと思います
何度も対応をいただきありがとうございました

ちなみに、◆DbK4jNFgR6さんがご存じないようなので老婆心ながら付け加えさせていただきますが、
スレに書き込む際は「sage」を使った方がいいですよ
E-mailの欄にsageと打ち込んで書き込むと、名前が緑ではなく青く表示されます
これをしないと、スレッドの順番が繰り上がって掲示板の一番上に変わってしまうので。

つまり、掲示板に書き込む際の礼儀みたいなものです
詳しくは、「sage」でぐぐってみてください

67 ◆DbK4jNFgR6:2015/08/24(月) 23:34:19 ID:gKbZfmN60
>>66
ご指摘ありがとうございます。今後は気を付けるようにします。

68名無しさん:2015/08/24(月) 23:52:03 ID:7bT2wFoI0
ちょいとすいません
千夜って確か前の回で睡眠(仮眠?)取ってませんでしたっけ
それとももう起きたってことでいいのでしょうか

69名無しさん:2015/08/24(月) 23:54:15 ID:p19MN2C20
>>68
戻って来るまでの間で起きたということでいいのではないでしょうか
別に修正要求というほどのものではないと思います

70名無しさん:2015/08/24(月) 23:56:47 ID:7bT2wFoI0
>>69
了解です

71名無しさん:2015/08/24(月) 23:58:28 ID:MUSvC7ys0
そうなると、別のスレで議題になってたアキラッキー達の行動との食い違いが無視できなくなるような
物凄い短時間で寝て起きるという前話の内容ほぼぶん投げの解釈になるか、ちゃんと寝て起きたのに未だに着かない謎状態になるか

72名無しさん:2015/08/25(火) 00:01:49 ID:/ixUjGgc0
寝付く前に本部と穂乃果が帰ってきたから慌てて目を覚ましたとかで各自補完すればよいのでは

73名無しさん:2015/08/25(火) 00:03:27 ID:o7MLwonc0
本部と穂乃果がランサー別れた直後に黎明(2時)になったなら何も問題はない

74名無しさん:2015/08/25(火) 00:05:04 ID:SuY6E9G60
元から明確に時刻を決めてないんだから時間なんて大雑把でいいでしょうに

75名無しさん:2015/08/25(火) 00:13:01 ID:QQYtRbGo0
>>73
それより前の深夜に、隣のB-3にいるアキラッキー組が駅を目指すことになってるんで逆に問題が
これ以上はスレ違いなんで議論スレの方に書きますが

76名無しさん:2015/08/25(火) 00:16:54 ID:WzwF.tWI0
>>75
1エリア移動するのに時間帯にして1つかかるのは別に不自然でも無いと思います
ただでさえアキラッキー組はラヴァレイと合流したことで情報交換の時間を繰り返しているわけですし

77 ◆X8NDX.mgrA:2015/08/25(火) 15:32:07 ID:O5gzKPj.0
一日以上間が空いてしまいましたが、自作の修正案を投下します。




「いやー、精霊の守りのこと思い出してさ、どの程度まで守ってくれるのかを試したかったワケよ」
「いくらなんでも、やりすぎじゃないですか?」
「はは、ごめんごめん。でも結果的にはよかったよ、防御は固いみたいで」

 勇者部の二人は、成り行きで旅館の中に入って会話をしていた。
 東郷の車椅子を押すのは風。スーパーのカートを押すかのように、ぐいぐいと前進させている。
 土の付いた車輪が回るたびに廊下が汚れるが、この際は気にしてもいられない。

(友奈ちゃんと比べると雑)

そんなことを思っていると、風は先程の奇襲を謝罪し始めた。
 曰く、偶然にも旅館の屋根にいた風が、東郷を発見したのが発端だという。
 精霊によって死なないようになっている筈の勇者が、死ぬことがあるのか試したかったとのだ、と。
 生きるか死ぬかの殺し合いの中では重要なことだ、確かめられてよかった、と。
 明るく言う風だが、東郷の顔には影が差す。
 確かに精霊の防御が確認できたことは、大胆な行動が可能になった点でプラスだ。

「それにしても、驚きました」
「ん?あー、私も驚いたよ、殺し合いなんて信じられないよな。現実味ゼロっていうか」

 しかし、東郷が気にしているのは何もその点だけではない。
 むしろ精霊の防御のことよりも、今後の方針に関わるという意味では重要なことだ。
 東郷は深呼吸をしてから、妙に元気な声を出す風に向けて言った。

「いえ、先輩“も”優勝を目指していることに、です」

 瞬間、東郷は時が凍りついたかのような錯覚を受けた。
 車椅子がぴたりと止まり、それまで明るくしていた、明るくしようと努めていた風が黙り込む。
 風が車椅子から手を離したのが分かった。

「……先輩“も”ってことは、東郷も?」

 十数秒後に返ってきた風の声は、すこし掠れていた。
 いくら片耳が聴こえなくとも、それが図星であったことは理解できた。
 この時点で、東郷が嘘をつく理由はなくなった。

「ええ。勇者部の皆を解放するために、殺し合いに乗りました」

 「勇者部の皆を解放する」というフレーズに、風が反応したことが分かった。
 満開の後遺症、散華。強大な力の代償として、勇者は身体機能を失う。
 それが、風の場合は左目の視力であり、風の大事な妹の場合は、声だった。
 後遺症が治らないものだという考察を東郷が友奈と風に聞かせたとき、風は大きなショックを受けていた。
 故に、風が殺し合いに乗るとしたら、原因はそれだろうと踏んでいた。

「風先輩にお願いしたいことがあります」

 無言なのは図星だからだろうと考えながら、東郷は更に話しかけた。
 車椅子を自分で動かして、風と面と向かって話し合おうという姿勢を見せる。
 そうして、東郷は交渉を開始した。

「一緒に、来てくれませんか」




78 ◆X8NDX.mgrA:2015/08/25(火) 15:33:27 ID:O5gzKPj.0



「いや、止めとくよ」

 東郷に、二人で行動しようと誘われたとき、風は一瞬迷ってからこう答えた。
 その理由は理屈じゃなかった。理屈を重視したなら、断る理由がない。
 千載一遇、とまでは行かずとも、それなりの大きいチャンスだったはずだ。

「勘違いしないでほしい、東郷が嫌いだからってわけじゃない」

 風の武器は大剣。近距離で薙ぎ払うのが主な攻撃方法になる。
 東郷の、狙撃銃をはじめとした遠距離武器と協力すれば、相当に有利だ。
 どんな言い訳をしたところで、その事実は確定的だ。

「ただ、一緒に戦うとなると、勇者部の皆を思い出しちゃう、っていうか」

 それは理解できていたのに、口から出た返事は拒否だった。
 自分と同じ理由で殺し合いに乗っている相手なのにも関わらず、だ。
 自分自身の言葉に、同じ状況で協力を申し込んできた東郷との意志の差を痛感させられた。
 そこには感情に流されてしまう甘さがある、とも言える。

「……分かりました。では停戦協定だけということで。
 私はこれから、地図の南東の市街地に行くつもりです」

 東郷は断られてもすぐに、風に代案を出してきた。
 これはつまり、断ることも想定済みだったということだろうか。
 同じ目的の自分と比べても、随分と作戦を考えていると、風はそう感じた。

「共同戦線は不可能だとしても、別の形で協力はできるはずです。
 私も先輩も、目的はこのバトルロワイアルで優勝して、願いを叶えること」

 淡々と話し続ける東郷が怖くなったのは、この頃だ。
 風の顔を見据えた東郷の目線は、まっすぐ揺るぎない。
 もしかして、と風は考えた。
 もしかして東郷は、既に参加者を殺しているのでは?と。

「ですから、参加者を殺し回る場所を互いに分けて――」

 いろいろなことが渦巻く混沌とした心中。
 そんな中でも東郷は、淡々と話し続けていた。
 それは効率を考えれば、いい作戦であることに違いなくて。
 そんな作戦を立てられる東郷が賢いのは、とうに分かっていたけれど。
 だけど、それが、覚悟の違いを見せつけられているようで、どうにも辛かった。
 だから風は、東郷に背を向けた。




【G-4/道路/一日目・黎明】
【犬吠埼風@結城友奈は勇者である】
[状態]:腹部にダメージ(小)、精神不安定
[服装]:普段通り
[装備]:風のスマートフォン@結城友奈は勇者である
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:なし
[思考・行動]
基本方針:繭の力で、世界を正しい形に変えたい
   1:勇者部の皆には会いたくない。
2:出会った参加者は殺す
3:東郷に言われたように、南東の市街地には行かない?
[備考]
※大赦への反乱を企て、友奈たちに止められるまでの間からの参戦です。
※優勝するためには勇者部の面々を殺さなくてはならない、という現実から目を背けています。
※東郷が自分と同じ理由で殺し合いに乗ったと勘違いしています。

79 ◆X8NDX.mgrA:2015/08/25(火) 15:37:07 ID:O5gzKPj.0

 ここまで考えて、東郷はふと振り返る。
 どれも奇跡とか神秘とか真実とか夢とか、そんな『勇者』のイメージとはかけ離れた戦術だ。
 しかし、非道な戦術でさえ取らなければならない事情が、東郷にはある。
 最終的には自分以外の全員が死亡していなければ、目標が達成できない状況。
 この場にあって、手段を清濁で選り好みすることは不可能。
 そう東郷は判断した。

――風先輩、一緒に協力して、優勝を目指しませんか。

 誰の目から見ても不安定に映るだろう風に、東郷が声をかけたのもまた必然だった。
 自分と同じく殺し合いに乗り、自分と同じ勇者の力を持つ人物。
 戦闘経験はそれなり、互いの武器の愛称も充分。
 二人一組で殺し回るという提案は、相手にとっても悪い話ではないはずだった。
 勿論、今まで共闘していた先輩を利用するような真似は、東郷の本意ではない。
 本意ではないが、取ろうとすれば取れる。
 東郷は風を利用するために、ある事実を言わなかった。

(風先輩はまだ、壁の外の世界のことは知らないはず。だとしたら言う必要はなかった。
いや、むしろ言っていたら、いたずらに絶望させただけだった……私がそうだったように)

 風の目的と東郷の目的は、厳密には少し異なる。
 風は後遺症を治すことを目的としているのだろうが、東郷は神樹を滅ぼすことを目的としている。
 だが、風は東郷がそう考えるに至った理由をまだ知らないし、教えても事態が混乱するだけだと考えた。
 だから、東郷はあえて「勇者部の皆を解放する」という言い回しをしたのだ。
 それならば嘘はついていない。
 その上「東郷も自分と同じ目的だ」と風に勘違いさせて、協力を得られると考えていた。

(でも、そんなに甘くはなかったわね)

 とはいえ、結局のところ、返答はノー。
 更に妥協案を述べていたところ、風は走り去ってしまった。
 つまるところ、東郷美森は犬吠埼風を見誤っていたのだ。

 感情に任せて行動するタイプの風は、理性でもって行動する東郷よりも脆い。
 大赦を潰そうとしたときの風は、友奈と夏凜、そして樹の説得で思い止まった。
 しかし、神樹を倒そうと壁を破壊したときの東郷は、他の勇者と対立しても尚、行動を止めなかった。
 そこには明らかな違いがある。
 覚悟――そう言ってしまえば話は早い。
 風は東郷よりも覚悟がなく、東郷は風よりも覚悟があった。
 それだけのことだった。

「風先輩……私は私で、頑張ります」

 思わぬ形での再会に、それほど影響を受けていない自分に驚きつつ。
 また、親しい先輩を利用しようとした自分に些か嫌悪感を抱きつつ。
 東郷は、星空に向けて呟いた。
 一歩を踏み出し、覚悟を決めた東郷の目には、いつかの麻雀少女にも劣らない光が宿っていた。


――――
以上、修正箇所の周辺を抜粋しました。
ご指摘等あればよろしくお願いします。
数日間何もなければ自分でwikiの方は直しておきます。

80 ◆DGGi/wycYo:2015/09/02(水) 21:58:54 ID:YZvBNIe60
修正版仮投下します

81それはあなたと雀が言った(修正版)  ◆DGGi/wycYo:2015/09/02(水) 22:00:12 ID:YZvBNIe60
――Who killed Cock Robin?

――I, said the Sparrow,

――with my bow and arrow,

――I killed Cock Robin.

  * * *

真っ暗な空間。
何かから逃げるように走っていた。

私はこの光景を、よく覚えている。
あの時だってそうだった。鎧の女の人に襲われて。
私を庇って、十四郎さんは……。

『手前の所為だ』

どこからか、そんな声が聞こえて来る。
少しの間だったが、同行していたから分かる。紛れもない土方十四郎の声。

(え?)

声も出せず、ただひたすら走り続ける。

82それはあなたと雀が言った(修正版)  ◆DGGi/wycYo:2015/09/02(水) 22:00:55 ID:YZvBNIe60
『手前が銃を出さなかったから、俺は死んだ』

(違う。だって、あれは、モデルガンで)


『いいや本物だ。あれを出していれば、結果は変わっていたかも知れねぇ』

(違う。だとしても、襲ってきたのはあの鎧の女の人で)


『手前が現実を認めてさえいれば、違う結果が見えていた』

(違う。やめて。私は何も悪くない。私は、私は……)


『俺を殺したのは……』


「ッ……」

宇治松千夜は、そこで目を覚ました。
荒い息を吐きながら、辺りを見回す。

「あ、起きましたか。随分うなされてましたよ」
「ごめんなさい……夢、だったのかしら」

ヴィヴィオが話しかけてくる。クリスも心なしか心配そうにこちらを見ている。
時計を見る限り、本当に1時間程度しか眠れなかったらしい。
夢は深層心理の表れとも言う。彼はあんなことを言いそうな人ではないと思っていたのだが……。

「十四郎さんを、殺したのは……」

自責、後悔。そんなことを考えているうちに、どうやら本部たちが帰ってきたらしい。
笑顔で出迎えようかとも思ったが、今の自分には出来そうになかった。

  * * *

83それはあなたと雀が言った(修正版)  ◆DGGi/wycYo:2015/09/02(水) 22:01:46 ID:YZvBNIe60
足首が痛い。
カイザルとラヴァレイ。2人の騎士をボディーガードに付けたことによる少しの精神的な余裕が招いた結果。
こういうのを、『慢心』とでも言うのだろうか。

「アキラ嬢、本当に大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよー。問題なく歩けま……痛っ!」

カイザルが馴れ馴れしく駆け寄る。気持ちは分かるが、非常にむさ苦しい。

「(あーあ。確かにあいつら盾にするために弱者のフリをして行こうとは思ったけどさぁ。
流石に派手にすっ転んで足いためるのってどうなの、ホント。
こんな姿、ウリスには見せたくないなあ)」

「どうしますかね。地図を見る限り、駅とやらまでそんなに遠くはないでしょうが。
少し休んで行かれますか、アキラ君」
「出来ればそれでお願いしまーす。はぁ、あきらアンラッキー……」

支給品に湿布や氷などがあれば良かったのだが、そこまで甘くはないらしい。
青いカードから冷凍スポーツドリンクを出し、それでしばらく冷やすことにした。

「(へぇ、こんなのもきちんと出てくれるんだ。感心感心)」


半時間ほど経ち、流石にこれ以上やると霜焼けになってしまうためスポーツドリンクを足から離す。
だが、それでもすぐには歩けそうにはない。
無理をすると余計に酷くなるのが、この手の怪我にはつき物だ。

「ふむ……なら、少し地下闘技場とやらを見て来るか。
何か役に立つ物が置いてあるかも知れない」
「ラヴァレイ殿、1人では危険です。私も一緒に……」

スポーツドリンクを飲む晶の傍らで、騎士2人が何か相談をしている。

「君にはアキラ君の護衛をお任せしたいのだ。何、私1人でも十分だ」
「はぁ……。それでは、お気をつけて!」

「(いちいち敬礼してんじゃないわよ。流石は上司と部下ってか)」

今ここで油断させ、2人を殺すことは可能だ。だが、それでは何ら面白くない。
なるべくいい気にさせたところを、一気にどん底へ突き落とす。
この時の心の折れる音と言ったら――。

「(あの2人はまだまだ泳がせておくに相応しい)」

それにしても。

「(私でさえもこの殺し合いの場に放り込み、私が封印を解こうとしていたバハムートを召喚して見せたあの小娘……)」

一体何者なのか。まさかベルゼヒュート如きにこんな真似が出来るとは思えない。
考えても答えは出そうにない。今は闘技場に向かうしかないようだ。


数十分後。

「……ラヴァさん、遅いですね」
「ええ。やはり、私も付いていくべきだったか……」
「(いや、あんたは私の盾でしょ。今私襲われたらどうするつもりなのよ)」

なかなか帰ってこないラヴァレイの身を案じていると、彼の向かった方から何かを引きずるような音が聞こえてきた。

この音は何だと言うが早いか、カイザルは走り出していた。

「ラヴァレイ殿、御無事でしたか! それは……」

無事に帰ってきたラヴァレイは、猫車を持っていた。

「薬の類などは見当たらなかったが、支給品にあったのでな。
これならアキラ君も移動出来るだろう」
「そう……ですね! アハハ……(マジで言ってんのこいつ……私は荷物じゃないっつーの! いや悔しいけど今はお荷物か)」

こんな2人に肩を持たれるよりはこちらの方が精神的に楽だと考え、晶は何も追及しなかった。非常に不本意ではあったが。

  * * *

84それはあなたと雀が言った(修正版)  ◆DGGi/wycYo:2015/09/02(水) 22:02:43 ID:YZvBNIe60
駅に戻ってきてからというもの、千夜はずっと土方十四郎という男のことを悔やんでおり、ヴィヴィオはそれに付きっ切り。
本部とかいう浮浪者は、少し様子を見てくるとか言って一旦駅の外へ出て行った。
チャンスは今しかない、私はそう判断した。
3人まとめて殺してしまおう。そして、優勝して、ランサーさんを……。

手元にある青酸カリのカプセルは、カプセルを開けると毒の液体が出てくるようだ。
咄嗟に打ち立てた計画はかなり短絡的ではあるが、事態は一刻を争う。
私は、赤いカードを取り出した。


「2人とも、差し入れだよ〜」

駅のホームのベンチで休んでいる千夜とヴィヴィオに、穂乃果が駆け寄る。
2人の横に座った彼女の手には、サンドイッチが3つ。

「いいんですか? 私たちもまだ赤いカードあるのに」
「いいのいいの。好きなの選んで頂戴」
「好きなのって……全部タマゴじゃないですか、具」

そう言いつつもヴィヴィオはそれを2つ受け取り、1つを千夜に渡した。
千夜も短く「ありがとう」と告げると、再び黙りこくってしまった。

「その子は食べるの?」
「クリスは食べなくても大丈夫だよ」
「そっか。じゃあ本部さんにも差し入れして来る」

そう言い残し、穂乃果は本部の居る方へ走り去る。


「……あれ。千夜さん、食べないんですか?」
「御免なさい。今、そんな気分じゃなくて」
「もうすぐ朝ですし、食べないと今後どうなるか分かりませんよ。
とりあえず穂乃果さんにも悪いですし、私が食べましょうか」
「じゃあ……お願いするわね」

ヴィヴィオに手渡し、直後に違和感を覚えた。
無論、かなり早い朝ご飯と言ってしまえばそれまでなのだが。
何故、高坂穂乃果はこのタイミングで差し入れをしたのだろう。
わざわざ自分の赤カードを使ってまでする理由などない筈なのに。

まさかと思った時には。
ヴィヴィオは既に、受け取ったサンドイッチを口に入れた後だった。

85それはあなたと雀が言った(修正版)  ◆DGGi/wycYo:2015/09/02(水) 22:03:32 ID:YZvBNIe60
「美味しい、かしら」

やや引きつった顔で尋ねる。

「普通に美味しいで……あれ、ちょっと味が……ぅぐ……」

ヴィヴィオの顔が徐々に青ざめてゆく。様子が変だ。
まさか本当に、このサンドイッチには。

気づいた時には、ヴィヴィオは痙攣し、口から血を吐いていた。

「ヴィヴィオちゃん!?」
「ぢや……さ…ん……」

喉を掻きむしりながら千夜を睨み、ベンチから転げ落ちる。

「ち、違うの、これは……」

何故ヴィヴィオは、私をここまで恨めしそうな目で見るのだ。
私は何もしていないのに。悪いのは、きっと、穂乃果ちゃんで。

「ぢや、ざん……なん…で…」

違う違うちがう私のせいじゃない私は悪くない私は関係ないきっと彼女のサンドイッチにも毒がしこまれていてけっきょくかのじょはしぬことになるんだやめてちがうわたしのせいじゃないわたしはわるくないおねがいだからそんなめでみないで――



バァン! と大きな音がホームに響き渡る。
我に返った時には、既にヴィヴィオは動かなくなっていた。
そして、手には、ベレッタが握られて。

「あ……れ?」

ヴィヴィオの口元だけでなく、胸元からもじわりと赤い染みが広がってゆく。
引き金は……引かれていた。

「いやあああああああああ!!」

すべてを悟り、千夜は逃げるように走り出した。
後に残されたのは、口にされることはなかったもう1つのサンドイッチと1つの死体、それらの傍でじっとしているクリスだけだった。


【高町ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはVivid  死亡】
【残り56人】

86それはあなたと雀が言った(修正版)  ◆DGGi/wycYo:2015/09/02(水) 22:05:12 ID:YZvBNIe60
単純な割に合理的。穂乃果はそう結論付けた。

水などの飲み物に毒を仕込んだ場合、飲んで貰えない可能性だってある。
だから食べ物なのだ。それも、サンドイッチのように片手が塞がり、かつ手軽に食べられる代物。
そうすることで、捨てるか手早く食べるかの2択を相手に迫る。
ヴィヴィオたちに差し出した3つのうち最後の1つは、自分で食べるものではない。
本部以蔵を殺すために毒が仕込んである3つ目だ。
彼は駅周辺の様子を確認したらすぐに出発するだろうし、タイミングを見てそれを渡せばきっと食べる。


「本部さーん。差し入れで……」
「待たれよ」

穂乃果の言葉を遮ると、本部は顎で少し遠くを指し示す。
見ると、複数の影がこちらに向かって来ている。

邪魔が入ったか。思わず舌打ちしそうになるのを堪え、影を注視する。
本部ほどではないがかなりガタイの良い男が2人、何故か猫車に乗せられている小柄な少女が1人だ。

「(ちょっと……これどうするの? このままじゃコイツを迂闊に殺せないじゃない)」

今の高坂穂乃果は、『好意を抱いていたランサーを奪われた』という思い込みによる殺人衝動によって突き動かされている。
ここまで淡々と計画を実行に移せているのも、第三者の乱入が無かったからというのが非常に大きい。
計画の破綻に苛立っても仕方がない。とにかくこの場を切り抜けるしかないようだ。


「(あのさー。何で私、ゴツいおっさんたちばっかりに遭うの?)」

ラヴァレイに押してもらっている猫車に乗りながら、思わず顔をしかめる。
正直、晶にとってこれ以上の道具(ボディーガード)は不要だ。
何とかして2人に駅の前で仁王立ちしている男を消してもらいたいところだが。

「(ん……? 何だ、女もいるじゃないの)」

こちらの存在に気づいたらしく女は物陰に身を隠し、男はこちらをじっと見ている。

「我々に敵意はない! ここを通してもらおうか!」

カイザルが叫ぶと男がこちらに歩み寄り、じっと晶を睨む。
苛立ちを隠し、察してくれと言わんばかりに腫れている足首を指差した。

「そのお嬢ちゃん、足を怪我しておるのか」
「ええ。そちらはお2人で?」
「いいや、向こうにあと2人――」


突如耳に届いて来た銃声と悲鳴。
数秒ほど互いに顔を見合わせ、彼らは黙ってホームへ向かう。

既にホームは蛻の空。生きた人間は残っていない。
それに彼らが気づいた時、何が起こるのだろうか?

87それはあなたと雀が言った(修正版)  ◆DGGi/wycYo:2015/09/02(水) 22:06:05 ID:YZvBNIe60
【B-2/駅付近/早朝】

【高坂穂乃果@ラブライブ!】
[状態]:本部に対する憎悪、動揺
[服装]:音ノ木坂学院の制服
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(6/10)、青カード(10/10)
     黒カード:青酸カリ@現実
[思考・行動]
基本方針:優勝してランサーを生き返らせる
1:この場を何とかして切り抜け、本部を殺害する
2:参加者全員を皆殺しにする
3:μ'sの皆を殺すのは残念だけど、ランサーさんを生き返らせるためなら仕方ないよね
4:い、今のって!? それにこの人たちは……?
[備考]
※参戦時期はμ'sが揃って以降のいつか(2期1話以降)。
※ランサーが本部に殺されたと思い込んでいます。
※ランサーが離れたことで黒子による好意が少々薄れましたが、上記の理由によって現在では好意が暴走して、それが本部たちへの憎悪、殺人衝動へ変わっています。

【本部以蔵@グラップラー刃牙】
[状態]:確固たる自信
[服装]:胴着
[装備]:黒カード:王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)@Fate/Zero、原付@銀魂
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
    黒カード:こまぐるみ(お正月ver)@のんのんびより、麻雀牌セット@咲-Saki- 全国編
[思考・行動]
基本方針:全ての参加者を守護(まも)る
1:南下してキャスターを討伐する
2:騎士王及び殺戮者達の魔手から参加者を守護(まも)る
3:騎士王、キャスターを警戒
4:急いでホームへ向かう
[備考]
※参戦時期は最大トーナメント終了後


【カイザル・リドファルド@神撃のバハムートGENESIS】
[状態]:健康、動揺
[服装]:普段通り
[装備]:カイザルの剣@神撃のバハムートGENESIS
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
    黒カード:不明支給品1〜2枚(確認済、武器となりそうな物はなし)
[思考・行動]
基本方針:騎士道に則り、繭の存在を挫く
0:この2人(本部と穂乃果)から話が聞きたい。
1:俺と、ファバロが……。
2:アキラ嬢を守りつつ、アナティ城へと向かう。ラヴァレイ殿も居る以上、体制は万全だ。
3:リタ、聖女ジャンヌと合流する(優先順位はリタ>>>ジャンヌ・ダルク)
4:アザゼルは警戒。ファバロについては保留
[備考]
※参戦時期は6話のアナティ城滞在時から。
※蒼井晶から、浦添伊緒奈は善良で聡明な少女。小湊るう子と紅林遊月は人を陥れる悪辣な少女だと教わりました。
※ラヴァレイから、参戦時期以後の自身の動向についてを聞かされました。

【蒼井晶@selector infected WIXOSS】
[状態]:健康、左足首捻挫(軽度)、猫車に乗せられている。
[服装]:中学校の制服
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(9/10)
    黒カード:不明支給品1〜3枚(武器があるらしい?)
[思考・行動]
基本方針:ウリスを勝ち残らせるために動く
0:利用できそうな参加者は他の参加者とつぶし合わせ、利用価値が無いものはさっさと始末する。
1:カイザルとラヴァレイを利用しつつ、機会を見て彼らと他の参加者を潰し合わせるなり盾にするなりする。
2:ウリスを探し出し、指示に従う。ウリスの為なら何でもする
3:紅林遊月、小湊るう子は痛い目に遭ってもらう
4:カイザルたちに男(本部)を始末してもらいたい
5:何よ今の……こいつらから話を聞く?
[備考]
※参戦時期は二期の2話、ウリスに焚き付けられた後からです
※カイザル・リドファルドの知っている範囲で、知り合いの情報、バハムートのことを聞き出しました。

【ラヴァレイ@神撃のバハムートGENESIS】
[状態]:健康
[服装]:普段通り
[装備]:軍刀@現実 、猫車(蒼井晶乗車中)
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
    黒カード:不明支給品0〜1枚
[思考・行動]
基本方針:世界の滅ぶ瞬間を望む
1:蒼井晶の『折れる』音を聞きたい。
2:カイザルは当分利用。だが執着はない。
3:本性は極力隠しつつ立ち回るが、殺すべき対象には適切に対処する
4:さて、どうしたものか……。
[備考]
※参戦時期は11話よりも前です。
※蒼井晶が何かを強く望んでいることを見抜いています。

支給品説明
【猫車@現実】
ラヴァレイに支給。
工事現場などでよく見かける手押し車。


  * * *

88それはあなたと雀が言った(修正版)  ◆DGGi/wycYo:2015/09/02(水) 22:06:42 ID:YZvBNIe60
夢の中も合わせれば、ここに来て3度目の疾走。
目的地はない。誰かに会いたいという気分でもない。
普段なら既に動けなくなるほど走っているのに、体は止まろうとしなかった。

穂乃果たちは追ってくるだろうか、そんなことはどうでも良かった。
ただただ、逃げたかった。
ランサーという一時的な心の支えを失い、目の前で散った命を見て、千夜の精神は既に限界に近かった。

「私が、彼女、を……」

絞り出すように呟く。

毒を仕込んだのは恐らく高坂穂乃果。その上彼女は、私や本部以蔵をも殺そうとしていた。
結果的に、高町ヴィヴィオが死んだ。私がトドメを刺す形になった。
ここにおける『悪』が誰か、なんていうのはどうでもいい。

穂乃果から受け取る前に気づいていれば。
もっと早く「食べちゃいけない」と教えてあげていれば。
彼女が死んだのは、私のせいだ。それは、土方十四郎も同じ。
自分が2人を殺したと言っても、何らおかしくはない。


随分と走り続け、いつの間にか倒れていた。最後の気力を振り絞り、物陰に身を潜める。
当分動けそうにない。何より、しばらく一人になりたかった。


――誰が殺した? クック・ロビン。

――それは……。


【B-2とC-2の境界付近/早朝】

【宇治松千夜@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:疲労(極大)、情緒不安定
[服装]:高校の制服(腹部が血塗れ、泥などで汚れている)
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:ベレッタ92及び予備弾倉@現実 、不明支給品0〜2枚
[思考・行動]
基本方針:心愛たちに会いたい
1:私が、殺した……。
2:しばらく1人で居たい。

[備考]
※現在は黒子の呪いは解けています。

89 ◆DGGi/wycYo:2015/09/02(水) 22:07:59 ID:YZvBNIe60
投下を終了します。
(変更点)
・クリス、穂乃果に関しての描写の追加
・若干の修正

指摘等あればお願いします。

90名無しさん:2015/09/02(水) 22:20:00 ID:WWER8C0E0
投下乙です
クリスの描写追加に関しては問題ないと思いますが
ヴィヴィオが倒れたというのにクリスがただじっとしているというのは違和感があるので、
もっと動転した描写をするなりした方が良かったかもしれません

91 ◆DGGi/wycYo:2015/09/02(水) 22:34:08 ID:YZvBNIe60
>>90
ここに関しては機能停止させるかどうか迷っていました
これ以外に指摘が無ければそのまま動転した描写を加えたものを本投下する予定です

92名無しさん:2015/09/02(水) 22:35:16 ID:WWER8C0E0
>>91
クリスはレイハさんと同じで自分の意思があるので、
マスターが死んでも機能停止することはありませんよ

93 ◆KKELIaaFJU:2015/09/03(木) 00:15:56 ID:qAR8.MjY0
すみません。
拙作を読み返した際に誤字と状態表にミスを発見したので以下のように修正します。

✕綺礼が微差した先には……

○綺礼が指差した先には……

【言峰綺礼@Fate/Zero】
 [状態]:健康
 [服装]:僧衣
 [装備]:なし
 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(10/10)
     黒カード:不明支給品0〜2、神威の車輪@Fate/Zero
 [思考・行動]
基本方針:早急な脱出を。戦闘は避けるが、仕方が無い場合は排除する。
   1:少女(東條希)から事情を聞く。
   2:DIOの言葉への興味&嫌悪。


【ジャン=ピエール・ポルナレフ@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
 [状態]:肋骨、胸骨体、胸骨柄に罅(応急処置済み。行動、スタンド操作に支障はなし)
 [服装]:普段着
 [装備]:なし
 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(9/10)
     黒カード:不明支給品0〜3、縛斬・餓虎@キルラキル(一時預かり)
     不明支給品1枚(希の分)、ヴィマーナ(6時間使用不能)、
     スパウザー@銀魂、不明支給品2枚(ことりの分、確認済み)
 [思考・行動]
基本方針:DIOを倒し、主催者を打倒する。
   1:少女(東條希)から事情を聞く。
   2:DIOを倒す。
   3:キャスターに怒り。

以上が修正点です。推敲不足ですみません。

94『タカラモノズ』(修正版)  ◆KKELIaaFJU:2015/09/03(木) 19:21:43 ID:qAR8.MjY0

 その時である。
 
 二人は東の方から僅かだが光の残滓を目撃した。
 この時間帯、太陽の光にはまだ早すぎる。
 
「なんだ、今の光は?」
「それは……分からぬ」

 いくら博識の本部だろうとなんでもは知らない。
 だが、ここにセイバーがいなかったことを考えると何か関係があるのかもしれない。 
 そこでランサーは一つ、本部に提案する。

「俺が東に向かい、何があったかを見に行く」

 あの光が何を示すか分からない。
 しかし、ランサーがあの光から嫌な予感が感じたのは確かだ。
 それを確かめるべくランサーは一人で東へと歩を進めること選んだ。

「モトベ殿には穂乃果を皆のところに頼みたい……彼女は連れて行けない」
「ああ、任された」
「それと、もしここから南の墓地にいるであろうキャスターが何か事を起こしたとしても……
 モトベ殿の実力であれば……あるいは……」
「……別に倒しちまっても構わんねぇだろ?」

 その自信がどこから出てくるのか、わからないが本部の確固たる自信は崩れない。
 だが、その言葉にランサーは少しばかり安心させられる。
 この男なら……『託せられる』と。

「……互いにご武運を!」

 そしてランサーは穂乃果を本部に託して、自身は東に駆け出した。
 それを確認して本部は気絶した穂乃果を背中に縛り付けて、原付で来た道を戻る。
 
「……嬢ちゃん、ヘルメットっていうのは普通はこういう風に使うもんだぜ」

 本部は穂乃果が持っていたヘルメットを穂乃果の頭部にかぶせた。

 正しいヘルメットの使い方は人を殴るのではない。
 ヘルメットは着用者の頭部を危険から守るものである。
 今、このように本部や穂乃果の使用方法こそが正しい用途なのだ。


【A-3/一日目・黎明】
【ランサー@Fate/Zero】
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:キュプリオトの剣@Fate/zero、村麻紗@銀魂
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:不明支給品0〜2枚
[思考・行動]
基本方針:『ディルムッド・オディナ』としてこの戦いを戦い抜く。
0:東に向かい、何があったかを確かめる
1:穂乃果、千夜に「愛の黒子」の呪いがかかったことに罪悪感。
2:セイバーは信用できない。そのマスターは……?
3:キャスターはいずれ討伐する。
4:俺がセイバーに勝てない……? 否、勝利する!
5:本部を全面的に信頼
[備考]
※参戦時期はアインツベルン城でセイバーと共にキャスターと戦った後。
※「愛の黒子」は異性を魅了する常時発動型の魔術です。魔術的素養がなければ抵抗できません。
※村麻紗の呪いにかかるかどうかは不明です。

95 ◆KKELIaaFJU:2015/09/03(木) 19:22:38 ID:qAR8.MjY0
以上が修正版となりますが、意見等があったらお願いします。

96名無しさん:2015/09/04(金) 01:00:10 ID:oyjmlVOc0
やっぱり、修正前だとセイバーが東にいると半ば確信していたから別行動も納得できましたけど、
確信ができないのにランサーだけ別行動しちゃうのは違和感ありますね……

帰り道にセイバーとばったり遭遇っていう普通にありうる展開が全員の頭からすっぽり抜け落ちてるというか

97名無しさん:2015/09/04(金) 01:29:31 ID:EgBbCvbU0
違和感なんて感じませんけどね
そういう考えもあるかもしれませんが、エクスカリバーの光源地の近くでセイバーが暴れている可能性も十分考慮できます千夜が襲われた場所も含めて考えれば尚更です

それに本部はランサーが保護すべき弱者でもありませんしセイバーとの鉢合わせの事をスルーしてもおかしくないでしょう
キャスターの討伐を任せると言ったように実力は認めてるんですから自力で対処可能と考えてもおかしくありません

もうこれは人それぞれの考え方の違いとしか言いようがないですよ
貴方の言うようにランサーが確信を持てないので東に行かないのも矛盾はないですしその逆もです
だから指摘するような事ではないと思いますよ

98名無しさん:2015/09/04(金) 02:02:51 ID:oyjmlVOc0
千夜が襲われた場所はA-2ですけど、それを含めて考えたらどうしてそう考慮できるんです?
「学院から公園へ東に向かっている途中に正面から鉢合わせた」ことを含めたら、むしろセイバーは東から西へ進んでいたと考えられそうなものですが
修正案では「エクスカリバーの」光源地であることは分からなくなっていますし

気絶した穂乃果を連れ帰っているのに元部なら大丈夫というのも変でしょう
それに宝具特化のサーヴァントで本人には何の戦闘能力もないキャスターを任せられるからといって、
セイバーを任せられるのがおかしくないというのは流石にどうかと
あとランサーはロワにおける風王結界の有無を確信できるほどの情報を得ていないので、
参戦時期直前のキャスター戦で見せた風王鉄槌を使われたらいくら元部が盾になってもMAP兵器状態で穂乃果ごと即肉片になる、というのは想定の範囲内でしょうし

99名無しさん:2015/09/04(金) 02:12:37 ID:sbLAIoo.0
「この場面でこの行動を取るのはおかしい」ってのは大なり小なりどんなSSだろうが出てくるし、それを一々修正しろってのはワガママ過ぎるような…

100名無しさん:2015/09/04(金) 02:19:58 ID:oyjmlVOc0
それともうひとつ、ランサー視点ではなく元部視点で見た場合ですが、
現行版の「騎士道」でランサーがセイバーに勝つために「機関銃(マシンガン)、いやバズーカ砲の用意を」と言うくらいなのに、
ろくな武器もなく気絶した穂乃果を運んでいるハンデ付きで「セイバーは自力で対処可能」と考えるんでしょうか……?

>>99
「小なり」の方ならまだしも「大なり」なら修正対象にしない方が問題かと


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