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仮投下スレ

1 管理人◆777Wt6LHaA★ :2015/04/08(水) 14:21:51 ID:???
作品の仮投下はこちらのスレで。

2 ◆Q47.dLD/uw :2015/04/08(水) 21:33:26 ID:RSyUWU6I
OP案を投下します

3 ◆Q47.dLD/uw :2015/04/08(水) 21:34:37 ID:RSyUWU6I
ざわめきたてる声、怒りを露わにする声、今にも泣き出しそうな声
周囲には様々な人々の声が雑音のように流れてくる。
それが彼の安眠を妨害して、意識が覚醒してゆっくりと目を開けた。

視界には数十人の男女が戸惑いを隠さずに騒いでいた。
全員、首元には首輪が付けられており自分の首にも同様の物が付けられていた。
そこは彼がいた留置場では無い。
パーティーにでも使われるような巨大なホールの中で壁にもたれるように彼は眠っていたのだ。
床には高級感溢れる真っ赤なカーペットが敷かれており、天井には巨大なシャンデリアが吊られている。
全く見覚えの無い場所だった。

彼、空条承太郎は周囲を見渡してから思考を働かせる。
睡眠に入る前、承太郎は自らの意思で留置場にいた。
承太郎の体には悪霊が住み着いている。
知らず知らずのうちに悪霊が他人を傷つけてしまうからだ。
悪霊から他人を守る為に自分を隔離していた。

眠っている隙に、こんな人の多い場所に引っ張り込んだ連中はぶちのめさなければ気が済まない。
我ながら恨みを根に持ちやすいと自覚している承太郎は静かに怒りを滾らせていた。

「諸君!!静粛にしてもらおうか!!」

ホールの上段から全身が黒塗りの男が現れ、マイク越しにその声が響いた。
声を聴くだけで承太郎の怒りは更に込み上げてくる。
特に理由は無いが男の声は承太郎にとって非常に癇に障るのだ。

「不躾なる登場、ひらにご容赦を。さて会場にお集まりの皆様。
 わたくし961プロダクションという芸能事務所を営んでおります、黒井と申します。
 以後お見知りおきを」

「君たちをここに集めた理由を説明させてもらおう……今から君たちには殺し合いをしてもらう。
 言っておくがこれはドッキリでは無いぞ、正真正銘の殺人ゲームさ
 逆らえば……首輪に内臓されている爆弾でBOM!さ」

「ではルールを説明させ「ふざけんじゃねえ黒井!!誰が人殺しなんかするか!!」

周りの参加者を押しのけて前へ出た男が黒井に対して怒りをぶつける。
男の名は天ヶ瀬冬馬、かつて961プロダクションのアイドルグループ『ジュピター』のリーダーである。

「冬馬か……この私が散々目をかけてやった恩を忘れて、よくも私の顔に泥を塗ってくれたな。
 これは私が君に与える罰だよ。まあ安心したまえ、私も鬼ではない。
 他の二人は殺さずに別室で君の姿をモニターで映しながら待機させているよ」

黒井が指をパチンと鳴らすと巨大なスクリーンから画面が映し出され
そこには拘束された伊集院北斗と御手洗翔太の姿があった。

「北斗!?翔太!?……てめえええええ!!」
「心配するな、このバトルロワイアルが終わったら家に帰してあげるよ
 お前の死ぬ姿をその目に焼き付けて一生後悔して生きるがいいさ!
 ハーハッハッハッハッハァ!!」

4 ◆Q47.dLD/uw :2015/04/08(水) 21:35:29 ID:RSyUWU6I
「下郎がァ!!」

黒井の暴虐な振る舞いに激怒した金髪の少女の体は光に包まれ
見に纏っているスーツが青い鎧へと変化した。

「おやぁ?この私に逆らうつもりかね?セイバー君」
「これ以上お前のような外道の好きにはさせない!
 ここで貴様を討つ!!」

セイバーの跳躍で一瞬にして上階にいる黒井の眼前まで接近すると
風王結界によって他者には見えない不可視の剣で黒井目掛けて振り下ろす。
だが、剣が黒井に届く寸前で見えない壁によって弾かれ傷一つ付かなかった。

「何ッ!?」
「無駄無駄ァ!!その程度の対策も考えてない黒井だと思ったかァ?このマヌケがッ!!
 この私に逆らった者はどうなるかよく見ておくがいい!!」

黒井は懐からスイッチを取り出し、押した。
すると首輪からアラームが鳴り点滅を開始した。
狼狽えている群衆の中にいた老人の首輪が。

「ひ、ひぃいいいいいい〜〜〜!!なんでワシがァーーー!!?」
「あ!ごめん、間違えちゃった。こっちこっち」
「あべしっ!!」

パァン!と爆発音と共に老人(グレーフライ)の頭が吹っ飛び
首から血が噴水のように吹き出した。
そしてセイバーの首輪も老人と同じようにアラームが鳴る。

「くっ……このような悪逆非道な行為、決して許される物じゃない!!
 貴様は必ず報いを受けるだろう!そして己が犯した罪を悔いながら
 地獄の業火に焼かれて朽ちるがいい!!」

呪詛の言葉と共にセイバーの首は吹き飛んだ。
死体が光の粒子へと変わり、消滅していった。

「ジャンヌぅううううううううううううううう!!!!
 うぐぐぐ……おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれぇぇぇ!!
 よくも我が愛しの性処女ジャンヌにこんな残酷で惨い仕打ちを!それが人間のやることですかぁ!?」
「いやぁ君のやってきた事の方がよっぽど残酷だと思うよ私は」
「黙りなさい!!このジルドレイめがジャンヌの命を奪った憎き悪鬼を討ち倒して見せましょう!!」

キャスターが怪しげな本を取り出して呪文を唱えると
海洋生物の化け物が二匹出現して、うねうねと動き出した。
キャスターのそばにいた参加者達は悲鳴をあげながら逃げる様に距離を取る。

5 ◆Q47.dLD/uw :2015/04/08(水) 21:36:22 ID:RSyUWU6I
「さあ!やっておしまいなさい!」

キャスターの指示を受けて黒井に向かう二匹の海魔。
その時、二発の轟音が鳴り響き、海魔の体に大きな穴が空いて消し飛んだ。

「ここでの戦闘は禁止されている。直ちに攻撃を中止しろ!!」
「長門さん!?」

おそらく女子中学生ほどの年齢である少女が
海魔を撃退した女性の顔を見て驚きの声をあげた。

「よくも邪魔を!!ジャンヌの敵討ちを妨害するなど神をも恐れぬ愚行を
 貴様たちは分かってqあwせdrftgyふじこlp!!!!」
「あーこいつは話の通じない手合いだわ。
 いつまで経っても説明が進まないからこいつだけさっさと島に送るか」

黒井が合図を送るとキャスターの姿が忽然と消えた。
一足先に殺し合いの舞台となる島へと強制送還されたのだ。

「長門さん!どうして……?」
「これは軍上層部及び提督の意思である!!
 吹雪、金剛、加賀に命ずる!!このバトルロワイアルで勝ち抜き、生き残れ!!
 それが三人に与えられた最重要任務である!!」
「そ、そんな……」

力なく地べたに倒れこむ吹雪。
一般人達を殺して生き残れだなんてあまりにも酷い命令。
そんなの夢であってほしいと現実を直視出来ずにいた。

「分かったかね吹雪?軍部の命令に逆らうってことは上司である提督にも責任が及ぶんだぜ。
 そんな真似はしないよな?大事な大事な提督を裏切るような真似はさぁ……。
 詳しい事は軍事機密で教えられていないが君たち艦娘は兵器としてテストを兼ねているそうだからな。
 お前たち気を付けろよ!!こいつら艦娘は見た目はただの小娘だが戦いの為に生み出された生体兵器だからなァ!!」

「さて、それじゃあこの殺し合いゲーム『バトルロワイアル』の説明をしよう
 とても大事な話だから耳の穴をかっぽじってよぉく聞きたまえ。
 ルールは簡単だ。君たち首輪の嵌められた参加者58人を、おっと先ほど一人飛ばしたから57人か。
 これからある島で君たちは殺し合いをしてもらう、転送で一瞬だから移動の手間はかからないぞ。
 場所はランダムだ。危険人物が近くにいない事を祈るんだな
 それと他に三名が既に島に送っておいてある。あいつらは話を聞ける状態じゃあないからな
 つまりここの57人と島にいる4人、合わせて61人で殺し合うのだ」

「島に着いたらすぐ傍に黒いデイバッグが落ちているから確認するといい。
 中には水や食料、島の詳細が描かれた地図に君たち参加者たちの名前が書かれた名簿
 このバトルロワイアルのルールが書かれた冊子。
 時計、懐中電灯、コンパス、救急箱等々のロワで必要なサバイバル道具。
 そして他の参加者を殺害するための武器が入っている。
 武器は人によって強力な物からハズレまでランダムに配られている。
 ハズレが出ても諦めるなよ、他人を騙して殺して奪い取るのも有りだからな」

「もちろんこのバトルロワイアルで生き残ったらそれ相応の報酬を払おうではないか。
 望みの物があれば出来る限り叶える、将来、何一つ気にすることの無い一生安泰した生活を与えよう。
 我々の持つ技術を最大限に使い生存者の支援に全力を注ぐことをここに誓おう」

「おっと言い忘れていたよ生還者の人数は三人だ。
 三人の生存者が確認された時点でこのバトルロワイアルは終了とする。
 本来はただ一人が生き残るルールにするはずだったが、それでは面白味に欠けると思ってね。
 私自身の提案で三人が生き残るルールに変更させてもらった。
 戦闘能力の高い者だけが生き残れるわけじゃあない。
 チームワークを駆使すれば何の力も無い貧弱なアイドル共も生存確率が上がる。
 非力な者たちの配慮を考えた私の慈悲深さに感謝するがいい。ハハハハハッ!!」

6 ◆Q47.dLD/uw :2015/04/08(水) 21:36:57 ID:RSyUWU6I
「それと大まかな時間の流れだが、六時間に一回放送を行う。
 つまり一日四回放送となるわけだ。かなり重要な内容だから聞き逃さないようにな。
 放送で説明されるのは死亡した参加者に……これは特に重要だぞ〜進入禁止エリアの発表だ。
 進入禁止エリアとは?それは地図を見ればわかるが島は線で複数のエリアに区分けされている。
 その中で一回の放送ごとに私が三つ指定し、進入禁止区域とさせてもらう。
 もしうっかり禁止エリアに入った場合は、首輪が作動して死ぬぞ〜怖いだろ〜?
 そんなマヌケな死にざまはこっちとしても望んで無いんでな。
 1分以内に禁止エリアから脱出すれば首輪のアラームが止まり命が助かるから急ぐことだ」

「この禁止エリアは主に一カ所に引きこもって戦いを避けようとするチキンを炙り出すために提案されたルールだ。
 敵を迎え撃つのが目的の篭城戦ならともかく、ひたすら逃げ隠れするだけならつまらんからなぁ。
 あと最後に一つ、君たちは首輪による強制力で無理やり殺し合いをさせられている訳だが。
 万が一、この首輪を外すことに成功し遠隔操作による爆殺の脅威から逃れたとしても……我々に逆らおうとは思わないことだ。なぜなら〜」

黒井がパチンと指を鳴らした。
その瞬間、参加者の周囲を取り囲むように多数の少女達が武装を突きつけながら現れた。
提督の指揮の下、艦娘達がバトルロワイアル運営の為に大量導入されていたのだった。

「我々と敵対するということは一国の軍隊を敵に回すのと同等だからなぁ〜〜!!
 君たちのような貧弱で下等なモンキー共がいくら足掻こうが全て無駄なんだよぉおお!!」

「説明終わるのおっそ〜い!」「くま〜」「にゃ〜」「なのです」「もっと私を頼ってもいいのよ」「一人前のレディなんだから」「ハラショー」「っぽい!」

見た目は少女でも彼女たちは立派な兵器である。
先ほど二匹の海魔を仕留めた威力からして
その身に装着された武装は決して玩具では無いのだと参加者達は理解できた。

「大井っち〜くっつきすぎだよ〜」
「油断は禁物です北上さん!彼ら参加者の毒牙がいつ北上さんに向けられるか。
 想像しただけで恐ろしい……私が命に代えても守らなければ!!」
「大丈夫だよ。この状況なら誰も手が出せないよ。
 それに大井っちに何かあったらあたしも悲しいから無茶はしないでね」
「……ッ!?北上さんが私の心配を……ああ私はなんて幸せなんでしょう!
 この胸の高鳴り……それはまさに愛!!」

「そこぉ!!参加者でも無いのにお前ら二人でどんだけ尺取ってんだよ!!
 もう予定時間過ぎてるんだぞ!!空気読めよお前らッ!!」

「ちっ……私と北上さんのラブラブタイムを邪魔をする黒井こそ空気読みなさいよ……」
「何か言ったかぁ!?」
「いいえ何も」

7 ◆Q47.dLD/uw :2015/04/08(水) 21:37:34 ID:RSyUWU6I
「これから質問受け付けタイムを始める予定だったがスケジュールが押しているのでな。
 名残惜しいが開会式は終了し今よりバトルロワイアルを開始する。
 君たちが奮闘出来るよう武運を祈っているよ」

「待ちな」

「何かようかね?承太郎君」

壁に寄りかかり、終始無言を続けていた承太郎が体を起こし
黒井を睨みつけながら見上げた。
その瞳は冷静さを失わないまま怒りに満ちていた。

「……この空条承太郎はいわゆる不良のレッテルをはられている。
 ケンカの相手を必要以上にブチのめし、いまだ病院から出てこれねえ奴もいる。
 イバルだけで能なしなんで気合いを入れてやった教師はもう二度と学校へは来ねえ。
 料金以下のマズイめしを食わせるレストランには代金を払わねーってのはしょっちゅうよ」

「だがこんなおれにもはき気のする『悪』はわかる!!
『悪』とはてめーのように人の命を虫けらのようにもて遊ぶやつのことだ!!
 てめーがどんな権力や武力をもっているかなんて俺にはわからねえし関係ねえ。
 たとえ神の力をもっていようが、てめーはこの空条承太郎がじきじきにブチのめすッ!!」

多数の砲塔が承太郎に向けられているのにも関わらず
彼の顔には焦り一つ見られていない。
主催者である黒井たちが逆に追い詰められているかのような威圧感すらあった。
それだけの胆力を前にして黒井は邪悪な笑みを浮かべていた。

「ククク……ハハハ……ハーッハッハッハッハ!!!!
 面白い!!面白いよ君ィ!!この状況の中でこれだけの啖呵を張れるとはなぁ。
 私をブチのめすだとぉ?それは楽しみだ!!できるものならやって見るがいい!!この黒井にたいしてッ!!」

黒井の高笑いと共に全ての参加者がテレポートされバトルロワイアルが始まった。

♢♢♢

参加者が全て転送されたのを確認した黒井は飲料水を口にしながら席についた。
隣には軍服の男が座っている。

「やあ提督、君にも解説役をやってもらえると助かるんだがねえ……。
 ……やれやれ、相変わらず提督は寡黙な人だ」

さきほどから一言も言葉を発しない彼は提督と呼ばれる男である。
艦娘を指揮しているらしいが実際に指揮を執る姿は見たこと無い。
提督の考えはまるで読めない。
我々の思考のの及ばぬ深海よりも深い考えを張り巡らしているようで
もしかしたら何も考えていないのでは?とも思える。
黒井にとって提督は雲以上に掴みどころの無い人物であった。

「北上さんおつかれさま〜♪」
「あ〜お疲れ〜大井っち」
「緊急の時に備えて、これから一緒に換装の整備をしましょう〜♪」
「そうだね〜」

「……ってなんでお前らが最後まで尺を取ってんだッ!!
 主催の頭はこの黒井と提督だぞッ!!」


【Fate/Zero@セイバー 死亡】
【ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース@グレーフライ 死亡】
【残り61人】


『主催』
【THE IDOLM@STER@黒井崇男】
【艦隊これくしょん-艦これ-@提督】

8 名無しさん :2015/04/08(水) 21:38:44 ID:RSyUWU6I
OP案投下終了です

9 名無しさん :2015/04/08(水) 23:14:34 ID:RSyUWU6I
書き忘れがありました

※バーサーカー、シャルロッテ、空母ヲ級の三名は開会式に未参加です。

これを最後に付け足しておきます
投下ミス失礼しました

10 ◆lDV7Hqphtg :2015/04/09(木) 01:14:11 ID:qiu9HJE.
OP案を投下します

11 ◆lDV7Hqphtg :2015/04/09(木) 01:16:04 ID:qiu9HJE.
科学の発展により著しい成長を見せる現代社会。
技術力によって培われた叡智は街並みを合理的に進化させている。

だがその裏では古より受け継がれる『魔術』が蔓延っていた。

事の始まりは宇宙の存命のために地球へ降り立った使者『インキュベーター』の存在である。
白い小動物の姿をした彼らは願いの代償に「魔法少女」システムを地球に齎した。
このシステムにより少女は希望を手に入れやがて絶望を振り撒く存在に「シンカ」していった。
夢を見たかっただけの少女が『魔女』に成り果てる、その力を悪用する者達も現れた。
少女達の生命を利用した邪神と『盗賊王』に裁きの鉄槌を下すべく『ファラオ王』は戦う。
その終焉は己を犠牲にし邪神とエジプトにやって来たインキュベーターを「千年パズル」に封印した。

ファラオ王の生命と引き換えに少女達の憎しみは消えたが新たな魔術が人々の不幸を呼ぶ。

新たに地球へやって来たインキュベーターは封印を恐れ契約システムを『聖杯』へと移していった。
この世に名を轟かせた『英霊』を召喚し覇権を競う『聖杯戦争』を実現させたのた。
少女達に契約を迫り再び魔女が増えてしまえばファラオ王のような人間に目を付けられてしまう。
表立った活動が出来ないインキュベーターは聖杯を創り上げ『アインツベルン』に情報を与えた。
この世界における魔術の血筋は総て魔法少女から始まっている。故に聖杯は彼らによく馴染んでいた。

魔法少女はソウルジェムが砕かれない限り死ぬことはない。つまり永遠の生命である。

インキュベーターが齎した魔法少女システムとは別に新たなシンカを求めていた者も存在する。
不幸を振り撒く魔女の誕生を防ぐため各地では『魔女狩り』と称して少女達を殺す儀式が行われていた。
血で血を洗うその儀式は形を変えて受け継がれ『生贄の儀式』として残っている。
『アステカのとある一族の族長』は一族に語られる魔法少女の不死を体現するため『石仮面』を被る。
魔法少女の血筋を持つ者を殺しその血を浴びることで彼らは『吸血鬼』として永遠の生命を手に入れた。

各地で起こる戦いは歴史に残ることなく、知る者だけが知る一種のお伽話として受け継がれていった。

やがて魔術が影を帯び世界に技術が発展した頃、人類は新たな『兵器』を生み出した。
日本と呼ばれる東洋の島国は幾多無く起きる戦争のために早急な戦力確保が必要だった。
銃弾では多くの者を殺せない。戦車を用意するには金が必要だ。制空権は敵国が有利である。

戦況が不利になり追い込まれていた日本を救ったのは戦力として扱っていた『艦隊』だ。
海の覇者として多大なる戦果を上げていた戦艦達を『人の姿』として転生させることにより『人型兵器』を生み出す禁術。
魔術の血筋は数こそ減ったもののこの世から姿を消さず、『艦娘』を誕生させた。
コストが掛からない兵器である艦むすはその力を大いに発揮し日本を勝利へと導いていた。その力は女神と称される程。

過去に魔法少女が魔女として扱われていた風習はこの世から消えた。そして『少女達の時代』が到来する。

『765プロダクション』の『アイドル』達はその姿と笑顔から絶大なる人気を誇っていた。
彼女達に憧れてアイドルを目指す学生も多く、アイドルの理想像『アイドルマスター』として名を轟かせていた。

舞台で輝く『奇跡』の『シンデレラ』を目指し日本の学生は大いに盛り上がる。
そんな彼女達を目指し世の中は『アイドル戦国時代』へと突入していた。

少女達が輝ける時代の到来、しかし時を同じとして千年パズルの封印が解かれてしまう。

12 オープニング ◆lDV7Hqphtg :2015/04/09(木) 01:16:44 ID:qiu9HJE.
千年パズルの封印解除に伴い、世界には目に見えない『闇の力』が広まってしまった。
再び現れる魔女は人々に不幸をばら撒き新たに希望を絶望へと塗り潰す。

人間の中には『狂気』を求め有り得ない『リスク』を賭けてゲームを樂しむ者も現れた。
闇の力が原因かは不明だが、『ギャンブル』によって生命を落とす者が増加傾向になっている。
一部の世界を知る『観測者』達からは『闇のゲーム』と呼ばれていた。
日本の中でも多くの闇が集まる場所『東京・池袋』では『首なしライダー』の都市伝説が噂になっていた。
この首なしライダーの系譜は石仮面の流れを汲んでいる、と裏の人間では言われているが定かではない。
常人よりも多大なる闇を受けた『情報屋』は『ヴァルハラ』を目指すために暗躍し、人間社会はアイドルの裏側で闇に染まりつつあった。

邪神復活の影響により沈んでいった者達の怨念が具現化した『深海棲艦』を倒すために「艦むす』は再び戦場に駆り出される。
魔法少女の成れの果てである魔女を倒し『宇宙を守る』ためインキュベーターは再び契約を行う。
邪神と契約システムである魔法少女、その影響を受けた『勇者システム』と『バーテックス』。
人知れず世界を守るために『勇者部』である少女達は悪に立ち向かう。
『魔法少女』と『勇者』、そして『艦むす』は境遇こそ違えど時には互いに協力し世界のために戦っていた。

幾度なく繰り返される戦い、学ばない歴史、汚される少女。

終わることのない輪廻は何度も何度も因果を束ね何れ来るであろう終焉に進んでいるのか。
答えは何も出ないが『世界』の時は急激に『加速』した。

インキュベーターはこれまでに無い程の素質を持つ『少女』を発見してしまった。
封印を解かれた『ファラオ王』は『記憶』を失いながら惹かれるように世界の核心に向かっている。
魔女狩りの系譜を持つ『石仮面』の歴史は共鳴による『幽波紋』によって『エジプト』を舞台にした。
『艦むす』は己に走る謎の『ノイズ』に悩まされながらも戦いを続ける。
歴史を辿るように『魔法少女』を始めとする少女は争いに巻き込まれ、一部の少女は『アイドル』として世界に羽ばたき出した。
繰り返される『聖杯戦争』は『魔術師殺し』の男を舞台に呼び込み、今宵も戦争の鐘を鳴らす。
『邪神』の影響は闇を産み『都市伝説』や『闇のゲーム』として人々に『不幸/狂気/快感』を齎していた。

インキュベーター襲来によって始まった古代エジプトの『遺産』は『共鳴』するように動き出す。

過去が存在する故に今が在る。だが過ぎた時代を現代へ押し付けるのは如何なものか。
魔法少女もアイドルもスタンド使いも艦むすも決闘者も今を生きている。

今を生きている『伝説』と言えば『両津勘吉』である。

警察官の男、しかしその生き様はアカシックレコードに刻まれている。

金儲けが好きな彼は『とある外国の老人』にイカサマを仕掛けられ大負けを経験している。
懲りずに裏のゲームに参加した彼は『伝説の男』と麻雀を行った。結果はもちろん……。
同僚には御曹司が居る。その繋がりからか『SPW財団』ともパイプを持っておりその力を貸している。
『とある超常現象が起きた学生』の事を考え牢屋に案内したのも彼だ。

一度は『聖杯』なる物を手に入れようとしたがその時期は『深海棲艦』との決戦が控えていた。
司令官である『提督』と友人であった両津は『特殊刑事』と共に作戦に参加し日本を守っていたことも在る。
『ファラオ王』の記憶を受け継ぐ少年の『カードショップ』にはコレクター故に顔を出した事もあった。
また『アイドル』が好きでありその知識は総てのジャンルに置いて頂点を極めている。

過去から続く因縁の中心に存在している両津勘吉。
彼はこれから行われる殺し合いの中でも――。






「川内さーん……夜戦も程々に……ってここはどこ?」


目を擦り夢ではないかと認識させるがこの時間は現実であろう。
夜中の訓練を行っていたはずだが気付けば暗いホールのような場所に駆逐艦吹雪は立っていた。
記憶には先輩である川内と夜戦と称される特訓をしていたのだが何が起きたのだろう。

「あれって天海春香さん……? なんで?」

辺りを見渡せばテレビに映るアイドルが近くに居た。
那珂と呼ばれる艦娘が憧れるアイドルマスターが何故自分の近くに居るのだろうか。
そもそもここはどこなのか、謎しか生まれない。

13 オープニング ◆lDV7Hqphtg :2015/04/09(木) 01:18:39 ID:qiu9HJE.
身体が軽い事に気が付くと幾らか装備が外されている。
夜戦では主に体作りが中心だったため問題はない、気が抜けているようだ。

「静まれ――秘書官の長門だ」

自分の周りに居る人達もまた突然この場所にいたかのように驚いている。
その騒がしさを一声で黙らせたのが演台に降臨している戦艦長門だ。
その戦闘能力と頭脳は艦娘の中でも図一であり英雄である提督の秘書官を務めている。

「な、長門さん!」

知り合いが居ることに安心した吹雪は大きな声でその名を呼ぶ。
返ってくる言葉は反比例するように冷たい一言。

「これからバトルロワイアルの説明を行う。駆逐艦吹雪、少し黙っていろ」

頼れる秘書官の声ではなく、まるで機械のように冷たくて感情の篭っていない声。
元は戦艦だと言われればそれまでだが話は違うし問題も異なる。
バトルロワイアル。響きから考えれば殺し合いだろう。

「バトルロワイアル……正気ですか!? 長門さん!!」

彼女は説明の一つもせずにこれから行われるらしいバトルロワイアルの話を切り出したのだ。
順序もなければ守るべき道徳も存在せず、例え存在していても殺し合いの強要など神でも許されない。
正義感の強い長門なら尚更そのような発言はしないだろう。

彼女ならばこの状況に正面から対抗し勝利を齎すだろう。
そんな存在が何故殺し合いの音頭を取っているのか。

「黙れと言ったはずだ吹雪。誰に逆らっている?」

「逆らうも何も今の長門さんはおかしいです……っ」

「提督から授かった指令書にも記されている――が?」

その一言で吹雪の時間は止まってしまった。
最も尊敬している存在が殺し合いの首謀者だと脳内に響き渡る。
有り得ないこれはなにかの間違いだ。夢であり悪夢である。
目が覚めれば川内と一緒に夜戦をしている――そう思いたいが故に現実を拒む。

「て、提督がそんなことを!」

「秘書官であるこの私が嘘をついている……か?」

そんな事は一度もない。
提督が死んだと噂されていた時も長門は絶望の中艦娘達の先頭に立った。
そんな彼女が嘘を憑く理由はなく、ならば事実であるというのだろうか。

それこそ信じられないだろう。

14 オープニング ◆lDV7Hqphtg :2015/04/09(木) 01:19:23 ID:qiu9HJE.
吹雪の周りでも戸惑いの声が挙がっている。
戦艦長門と言えば艦娘の中でも大きな知名度を誇っている。
英雄とまで讃えられている彼女の発言に戸惑いを覚えるのも無理もない。

現に同じ艦娘である吹雪もまた混乱の渦中にいるのだ。
何を信じればいいのかわからない。
提督も絡んでくるとなれば出口のない迷路に迷い込んだような。


「うるさーい!! ――ってわしは部屋で寝ていたんじゃ……お、吹雪じゃねーか!
 なんでこんなところに居るんだ? 提督の奴は近くにって長門も! わしにドッキリでも仕掛けるのか?」


長門が一同を黙らせたようにこの男もまた世界を停止させる。
目覚めた両津勘吉はネクタイを緩めながら長門に手を振っていた。
状況が理解出来ていないこの男はパーティが始まるような気分でいるようだ。


「あれって両さん?」
「両津勘吉じゃないか」
「あの男、アイリが言っていた味方ならば頼もしいが敵ならば恐ろしい存在……」
「ばっかもーん!!」
「ククク……」
「あの警察の人は初期の頃からライブに来ていた人と……?」


有名人が故にその一声一動作が多くの人間から注目を集めている。
この会場の中において一番知名度が在ると言っても過言ではないこの男は両津勘吉。
決して挫けない大人、少年の心は忘れない永遠の男だ。


「少し静かにしてくれ両さん」

「お前承太郎! エジプトはどうした、ホリィさんは助かったのか!?」

「この殺し合いは最後の一人が決定される瞬間まで永遠に続く。
 但し七十二時間が経過すれば首輪が爆発しお前たちの生命は糧となる」


大柄な学生が両津勘吉を説得している時。
長門は被せるように殺し合いの概要を発言し総ての関心を己に集中させた。
参加者の多くはこの瞬間、初めて己の首に触り冷たい機械を実感。
この首輪は爆発する、助かるためには最後の一人にまでならないといけない。

「何を言っているんだ長門。今のガキ共はバトルロワイアルなんて知らんぞ」

「重要な事はそれじゃあないぜ両さん。問題はあの女が何を言っているか、だろ?」

「いや殺し合いとかする訳ないだろ。可笑しな事言ってると本当に牢屋にブチ込むぞ! それとジョセフのジジイは金返せ!」

「……やれやれだぜ」

「その学生が言うとおり知っていようが知っていないようが関係ない。
 これから行われるバトルロワイアルに参加するのは提督の残した指令書に記されているからな」

長門が発言を終えると舞台袖から出て来た艦娘睦月は指令書を開示し会場の参加者に見せる。
しかし暗くて遠いため全く見えず馬鹿にしているようにしか見えないのが現実だ。

「睦月ちゃんまで!? こんなの絶対おかしい、なんで!?」

吹雪は叫ぶ。
長門秘書官だけではなく親しい艦娘である睦月までもが向こう側に存在しているのだ。
殺し合いを進めるために艦娘は生まれた訳ではない。
彼女達の力は世界の平和を守るために存在している。これは逆の道を進んでいるだけだ。

「みなさんには支給品として地図や食糧が支給されます。
 また、ランダムアイテムとして一部の道具も支給されますので確認をお願いします」

友の叫びは届かず睦月は殺し合いの説明を行う。
「長門秘書官が言った通りみなさんにはこれから殺し合いを行っていただきます」
再度繰り返される悪夢への誘い。
「殺し合いってなに!? 提督の指令書に書いてあるなんて嘘でしょ!?」
「みなさんがどのように過ごすかは自由ですが生きて帰れるのは一人だけです」
ならば仲間を作っても最終的には殺し合わなければならない。
黙って逃げても七十二時間経過すれば全員が死ぬ、逃げ場は存在しない。
「如月ちゃんがこんなことして喜ぶの!?」
「私達は進行役としてッ……ぅ……一定の時間置きに放送をさせていただきます」

揺らぐ心。
こんな事をして誰が喜ぶのか。睦月の言葉が詰まる。
長門秘書官とは違いまだ彼女には心が残っているらしい。ならば――。

「今ならまだ戻れるよ!? 私も一緒に謝るから殺し合いなんて辞めようよ!!」
私が貴方を正気に戻す。

「……最後の一人には願いを叶える権利が譲渡されます。そのために頑張ってください」
それでも心に届かない。

「願い何て叶えられる訳無いよ! そんな事出来るならとっくに使ってるでしょ!?」
現実を、私だけを見て。

「……」
言葉が無くなる。

吹雪の言っていることは正しく願いが叶うと言われ信じる人間がどれだけ存在するのか。
殺し合いの対価として考えれば有り得なくもないが現実的に実在しないだろう。

「――それではこれからみなさんを会場に案内いたします」

15 オープニング ◆lDV7Hqphtg :2015/04/09(木) 01:20:58 ID:qiu9HJE.
睦月の言葉と共に会場にいる人達の下半身が徐々に消え始めた。
粒子化のような現象は下半身から上半身へと移り進行が速い参加者は既に消えていた。

「待って! 待ってよ睦月ちゃん!!」

もう会えなくなるかもしれない。
言葉が正しいなら吹雪、彼女はこれから殺し合いを行うのだ。
生きて帰れる保証はない。もう鎮守府にも戻れないかもしれない。

「悩み……力になれなくてごめんね」

「ッッ!!」

「睦月ちゃんが何を考えているかは知らないけど……ごめんね。
 相談に乗っていればこんな事にはならなかったかもしれない……本当にごめん」

私が心の闇に気づいていれば。
このような暴挙に出ていなかったかもしれない。
そう思うと涙が止まらない。

如月が死んでから彼女の心には闇が誕生していた。
その事実に気付きながらも力になれなかった。
友達して失格だ。

「違うの!!」

「え?」




「長門秘書官は操られているの! その人の名前はD――」




睦月が最後に何を言おうとしたのか。吹雪は解らない。
この会場に来てから何度時間が止まったのだろう。
目の前に起きている現実が受け入れられなくて彼女は気絶してしまう。

最後に聞こえたのは乾いた破裂音。

最後に見たのは友の首が破裂した瞬間。


「言い過ぎだぞ睦月……お前も■■■様を受け入れれば良かったものの」


右手に握り締めたスイッチのような物を見つめながら長門は呟く。
言葉と動作から察するに彼女が睦月を殺したのだろう。
彼女が最後に何を言おうとしたかは不明だが何か長門にとって都合の悪い事だったのだろうか。

その答えは死んだ睦月と進行役の長門だけが知っている。
吹雪を始めとする他の艦娘が知らない秘密を彼女達は知っているのだ。
提督の残した指令書の内容を含め謎が謎を呼んでいる。


「なぁアンタ。今■■■って言わなかったか――言葉がノイズになっていやがる?」


両津勘吉を止めていた学生が長門に向かい話しかける。
その身体は上半身まで消えかかっているが聞いておきたい事があるらしい。

16 オープニング ◆lDV7Hqphtg :2015/04/09(木) 01:22:01 ID:qiu9HJE.
承太郎はとある単語が音にならない。一つの疑問が生まれる。
人名である■■■が発音出来ない、まるで何かの魔法に封印されいるかのように。
その言葉は彼の一族が対峙する奇妙な螺旋の様に始まってしまった物語の因縁。

何故その言葉が口に出せないのか。
幽波紋の一種とでも思って納得するしか無い。
加えて操られていると言った睦月の言葉から察するに確認するまでもない。
長門を操る男の正体を彼は知っていた。

「ノイズ……さぁなんのことかな?」

承太郎の問に解を示さない長門は不敵な笑みを浮かべた。
その姿から戦艦である誇りは伺えなく腐った道化師のように薄い笑いを保っている。
答えないならば仕方無い。
舞台がエジプトから移ろうが承太郎のやる事は変わらないらしい。

待っていろ、テメェを裁くのは俺のスタンドだ。

己に再度刻んだ承太郎の身体も他の参加者同様に消え会場に移動した。


「これで最後は貴方だ――両さん」


全ての参加者が消えゆく中最後に残ったのは両津勘吉ただ一人。
しかしその身体も八割は粒子のように消えており彼が会場に移動するのも秒読みだ。

彼が最後に残った理由は不明だ。
強いて言うなら彼のタフさ故か神様の気まぐれとでも言っておこうか。

両津勘吉の表情は言葉で表す事は不可能だろう。
怒り、そんな簡単な言葉では処理出来ない。

「お前がやったことは絶対に許されない。わしはお前を連行しなくてはならん。
 ビックセブンが聞いて呆れる……お前は本当にあの戦艦長門なのか?」

「愚問だな両さん。私は提督の秘書官である戦艦長門だ、知っているだろう?」

「わしの知っている長門は艦娘の憧れで提督にも信頼されている立派な艦娘――人間だった」

その言葉に長門の肩は震えた。
心は操られいるが両津勘吉の言葉は彼女に届いているようだ。
本来■■■の支配は人間の言葉一つで崩される事はない。
両津勘吉の人間としての輝きが吸血鬼の闇に打ち勝ったのだろうか。

「提督が指令書に残した事実もわしには信じられん。だがお前が嘘を憑くとも思えない」

「全て事実だよ両さん。私は提督の秘書官だからな」

「なら■■■の命令に従うなッ! ジョセフのジジイから奴の事は聞いているからな」

ジョースター一族因縁の相手。
宿敵、運命とも呼べる男が長門を操っている。
この説は睦月の最後の言葉、承太郎の反応から間違いないだろう。

邪悪の根源が何を考えているかは不明だが殺し合いを見逃す程両津勘吉は腐っていない。
その心、人間として限界まで挑戦し続ける男は人々の笑顔のために動くだろう。

17 オープニング ◆lDV7Hqphtg :2015/04/09(木) 01:22:54 ID:qiu9HJE.
気付けば首の下まで身体は消え掛かっている。
両津勘吉も会場に飛ばされるのだろう。これでバトルロワイアルが幕を開ける。
誰が笑い誰が泣くのか。それは誰にも解らない。
一つ言えるとすれば両津勘吉を始めとする一部の人間は殺し合いを止めるために活動すること。

起きてはならない悲劇を止めるために彼らはその生命を捧げる。
勿論死ぬつもりはない、彼らとて自殺志願者ではない。
運命を打開するために両津勘吉、一世一代の物語が始まろうとしているのだ。

「わしがお前も含めて全員救ってやる。だから待っていろ長門」

「……私はバトルロワイアルを進行するだけだ」

両津勘吉は睦月を殺した長門も見捨てず救うと告げた。
どんな罪を犯そうが死んでいい存在などこの世にはいない。
救える者は全員救う。彼はこれまでそうやって生きてきた、そしてこれからも。



「言ってろ……聞こえるかああああああああああああああああDIOオオオオオオオオオオオ!!」



消える前に渾身の力を込めて彼は叫ぶ。
後ろで笑っているだろう卑劣な愚者に向かって。



「わしが貴様を潰す! 承太郎達だけじゃなくて長門や睦月まで巻き込みやがって……覚えとけえええええええええええええええ!!」



この言葉を最後に両津勘吉の姿は消えてなくなり全ての参加者が会場へと移動した。
始める物語は終焉が闇に覆われ見えない袋小路の行き止まり。


打開するか潰されるか消え去るか。


全ての不安を残しバトルロワイアルは始まりを告げる――。






【睦月@艦隊これくしょん -艦これ- 死亡】



【進行役】
【長門@艦隊これくしょん -艦これ-】

18 オープニング ◆lDV7Hqphtg :2015/04/09(木) 01:24:03 ID:qiu9HJE.
投下を終了します

19 開幕〜いのちの秤〜 ◆Ju94Ls6/3E :2015/04/11(土) 03:27:56 ID:2qHx2M/.
OP案を投下します。

20 開幕〜いのちの秤〜 ◆Ju94Ls6/3E :2015/04/11(土) 03:29:27 ID:2qHx2M/.
両津勘吉が目を覚ました。見慣れない部屋だった。殺風景な部屋。
そしてかなりの数の人が集められている。
座っている者もいれば、立っている者もいる。年代も性別も様々だ。
共通しているのは、皆が悪い夢から覚めたときのように辺りを見回していることだ。

「おい、両津。これはどういうことだ……」

両津の隣にいた大原部長が、不安げな顔で両津に尋ねる。

「知りませんよ、部長。わたしだって起きたらこんなところにいて……」

「せんぱ〜い、何なんですか、これは〜」

「おお、本田か。あっちにはボルボもいるな。海パン刑事まで……。うむ、一体どうなっているんだ」

「両津、今年は夏期オリンピック開催の年ではなかったよな?」

「どういうことです?そうですけど」

「いや、あそこにいるのは日暮じゃないか?」

「ええ、間違いありませんね。どういうことでしょう?わざわざあいつを起こすなんて命知らずな……」

「ところで、両津。わしらにつけられているこの首輪は一体なんだ?」

「ちょっと試してみますか」

両津が思い切り力を込めるが、首輪は外れない。

「くっそー、こんなときにスパークでもいたら……」

両津がそう言い終わったとき、やけに勇壮な音楽が流れ始めた。
そして、その音楽とともに一人の男がせりにのって部屋の前方の床下から現れた。

21 開幕〜いのちの秤〜 ◆Ju94Ls6/3E :2015/04/11(土) 03:30:21 ID:2qHx2M/.
「やあ、スーパー貧乏人諸君、元気かな?」


「げっ!あいつは白鳥!」

悪趣味なスポットライトを浴び、紙幣のようなものをまき散らしながら現れたのは、あの白鳥麗次であった。

「おい、白鳥!どういうことだ、これは!」

「口を慎め。僕は今君たちの命を握っているんだよ」

残酷な笑みを浮かべた白鳥。

「スーパー貧乏人諸君、君たちには今から殺し合いをしてもらう!」

一瞬静まり返った。その言葉の意味を理解した者がどれほどいたのであろうか。

「おい、何を言っているんだ!殺し合いだと?お前、ふざけているのか?」

両津が声を荒げる。

「ふざけてなんかいないさ。貧乏人は馬鹿ばかりだからもう一度言うが、君たちには今から殺し合いをしてもらう。
これは命令だ。君たちスーパー貧乏人はスーパー金持ちである僕に従う義務があるんだよ」

「何を言っているんだ、お前?本当に大丈夫か――」

ボンッ、ボンッ、ボンッ、ボンッ、という音がした。一瞬の静寂

22 開幕〜いのちの秤〜 ◆Ju94Ls6/3E :2015/04/11(土) 03:31:20 ID:2qHx2M/.
「いやああああああああああああ!!!」
「まどか!見ては駄目!」

「両津!本田!ボルボ!頼む!」
「分かりました!部長!」

両津が答える。4人がそれぞれ駆け寄る。手遅れだと分かっていても、彼らは警察官だった。
頭のない4人の遺体が倒れていた。1人は老人。2人はおそらく中学から高校生ぐらいの女性。もう1人は――。

「部長……」
「両津……これは夢じゃないんだな……?お前の悪い悪戯でもないんだな……?」


毎日のように目にしていた黄色いスーツ。欠かすことの出来ない派出所の一員。


「なかがわああああああああああああああああ!!!!」


叫んだのは両津か、大原部長か。

その近くで目を覆う5人の女子高生たち。


「嘘……なんで……?」
「ほ、穂乃果しっかりしてください……」
「嘘、嘘よね……?これは夢よね……」
「なんやこれ……うちらが何をしたというんや……!」
「あ、あいつ……!殺してやる……!!殺してやるうううう……!!」


彼女と5人との付き合いは1年程度にすぎない。学年も違う。
しかし西木野真姫はかけがえのないμ'sのメンバーであった。その命はあまりに理不尽に奪われた。

23 開幕〜いのちの秤〜 ◆Ju94Ls6/3E :2015/04/11(土) 03:32:26 ID:2qHx2M/.
そしてここにも、仲間を失った者たちがいた。

「なんで……?今日はみんなでプロデューサーさんのお誕生日を祝うはずだったのに……」
「なに……これ……冗談はよして……!!」
「プロデューサー……、これ、ドッキリだよね……?自分、今ならまだ許してあげるぞ……」


「貴様……貴様!!絶対、絶対に……!!」


指がちぎれるのではないかと思うほどに強く拳を握り、わなわなと震える眼鏡の男。
天ケ瀬冬馬は彼が怒ったのを見たことがなかった。
冬馬自身、この不条理な事実に強い憤りを感じていた。しかし、彼の怒りはそれとは比べ物にならないであろう。
水瀬伊織。765プロダクションの大切な仲間。彼女もまた、その命をあまりに身勝手に奪われた。

学ランを着た青年もまた、彼と同じ感情を抱いていた。

「てめぇ……」

空条承太郎は下品に高笑いするスーツ姿の男を強く睨みつけた。激しい感情が承太郎を包んでいた。見る者を気怖じさせるほどに。
ジョセフ・ジョースター。共に旅をし、共に戦ったジョセフは、彼にとっては単なる祖父という存在以上のものだったのかもしれない。

24 開幕〜いのちの秤〜 ◆Ju94Ls6/3E :2015/04/11(土) 03:33:27 ID:2qHx2M/.
「わはははははは、分かっただろう?そこの4人は貧乏人というにはいささか無理があったからね。
スーパー貧乏人の集まりにはふさわしくないと判断したわけさ。まあ、中川さんには恩もあったけど、仕方ないね。
他にも気に入らない連中はいるけど、あんまり殺しすぎると進行に影響が出るからこれくらいにしておくことにした。感謝するんだな。
そうそう、海馬くん。君も頭を吹き飛ばしてあげようかと思ったんだが、それじゃあつまらない。
貧乏人の群れで無様にもがき苦しむのも一興かと思ってね。今は殺さないであげるよ」

海馬瀬人は何も言わなかった。ただ、自分に向けられた侮辱に口元を歪ませるだけだった。

「鷲巣さんも自分の立場を弁えた方が良いですよ。昭和の怪物かなんだか知りませんが、今は平成なんでね」

「若造が……!!このわしを舐めおって……!!」

「僕は女の子には甘いから、大道寺ちゃんも生かしておいてあげるよ。僕ってやさしいねえ。ああ、さっきの2人は主に性格が気に入らなかったから」

「……人の命をもて遊ぶなどあってはならないことですわ……!!」

両津が白鳥に向かって突進する。しかし、ゴン、という音と共に阻まれてしまう。硬質ガラスのようなものが白鳥を守っているらしい。
両津は何度か勢いよくタックルをするが、結果は同じであった。

「僕に手出ししようとしても無駄だよ。それともさっきの4人みたいになりたいのかい?」

「くそっ!!」

25 開幕〜いのちの秤〜 ◆Ju94Ls6/3E :2015/04/11(土) 03:34:55 ID:2qHx2M/.
「いやあ、親父から勘当された一文無しの僕を助けてくれたうえに、こんな素晴らしいショーまで主催させてくださるとは、本当に頭が上がらないな。
まあいい。スーパー貧乏人諸君、一回しか言わないからよく聴け。君たちには今から外に出て1人になるまで殺し合ってもらう。
一応言っておくが、それぞれ飛ばされる場所はバラバラだ。貧乏人はすぐ群れるからな。タイムリミットはなしだ。ただし、24時間で1人も死者が出なかった場合は全員の頭が吹き飛ぶことになる。
それと君たちにはデイパックが支給される。ありがたく思え。食料や名簿などの必要なものが入っていると考えてもらえばいい。他に何が入っているかは運次第だ。
まあ、貧乏人らしく、良いものが入っているように神にでも祈るんだな。
次に放送についてだ。6時間毎に放送でその時点までに殺された者を教えてやる。そのとき、君たちが持っている地図にあるエリアから3つを指定して禁止エリアにする。
禁止エリアに踏み込んだ場合は、首輪が爆発するから気をつけるんだな。分かったな?
最後に名簿に関してだが、ここにいる者の全員分の名前は書いていない。自分の名前が書いてないからといって慌てないように。
残りの名前は第一回放送開始時に浮き上がることになる。自分の知り合いがいないように願うことだ」

心底楽しそうに語る白鳥。

「それとだな、勝ち上がった人間に何もないというのはちょっとつまらない。優勝者は元の世界に帰してやると共に何でも願いを叶えてやる。
死人を生き返らせるのも、不老不死も、僕みたいなスーパー金持ちになるのも自由だ。どうだ、スーパー貧乏人にもチャンスがある。夢がある。やる気になっただろう?」

もはや答える者はいなかった。怒りに震える者。恐怖に怯える者。歓喜に胸を躍らせる者。葛藤に揺れ動く者。
それぞれの思惑と共に、バトルロワイアルの火蓋が切って落とされる――。

【こちら葛飾区亀有公園前派出所@中川圭一 死亡】
【ラブライブ!@西木野真姫 死亡】
【THE IDOLM@STER@水瀬伊織 死亡】
【ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース@ジョセフ・ジョースター 死亡】

【残り61人】

『主催・司会進行』
【こちら葛飾区亀有公園前派出所@白鳥麗次】

『デイパックの中身』
 地図、名簿、食料、水、メモ帳、筆記用具、ルールブック、腕時計、方位磁石、懐中電灯、ランダムアイテム1〜3

『名簿』
35名の名前が書いてあります。残りの名前に関しては第一回放送開始時に浮き上がります。
(ただしプロデューサーに関しては「プロデューサー」としか書いてありません。
また、海パン刑事、エンヤ婆に関してもそれぞれ本名の汚野たけし、エンヤ・ガイルではなく「海パン刑事」「エンヤ婆」と記載してあります。
見せしめとして殺された4人の名前は35名の中に入っています)

『ルールブック』
白鳥が語ったこととほぼ同様。

『放送』
00時、06時、12時、18時と1日に4回放送が行われます。
放送では前の放送までの間に死亡した人間の名前と禁止エリアが発表されます。
この禁止エリアに立ち入った場合30秒の警告の後に首輪が爆発します。

26 開幕〜いのちの秤〜 ◆Ju94Ls6/3E :2015/04/11(土) 03:35:34 ID:2qHx2M/.
投下を終了します。

27 ◆7CTbqJqxkE :2015/04/11(土) 15:03:13 ID:1o/8S7rE
OP案を投下します

28 ◆7CTbqJqxkE :2015/04/11(土) 15:04:04 ID:1o/8S7rE



 薄暗い暗闇の中、一人の少女が目を覚ました。

「うぅーん……、なんだか騒がしい。もう、どうしたの睦月ちゃん、夕立ちゃ…………あれっ!?」

 駆逐艦・吹雪が目を覚ました場所はいつもの鎮守府の宿舎ではなく、どこまで続いているのかもわからない、闇に閉ざされた空間であった。
 闇に包まれているにも関わらず遠くの物まではっきりと見えるこの不思議な空間には、吹雪以外にも老若男女を問わず多くの人間がいた。

「ここ……どこ……? 睦月ちゃん、夕立ちゃん! 赤城さん! みんな! 誰か、誰かいませんかー!」

 訳のわからない事態に混乱し、誰か知り合いはいないかと声を上げて周りを見渡していると、吹雪はあることに気付いた。

「首輪……? え、私にも?」

 自分同様に知人の名を呼ぶ者、未だ寝ている者、気を荒立てている者、怯え震えている者、状況を受け止め沈黙している者。
 この場にいる者の立ち振る舞いは三者三様であるが、みな共通して硬質的な首輪を填められていた。
 自身の首に手を伸ばすと、そこにもやはり首輪のような物が備え付けられている。

「こ、これって――」

 そこそこな大きさの首輪だというのに首の動きを阻害することなく、また、触れてみるまで付けられていたことに違和感を覚えることがなかった首輪に吹雪はあるものを連想した。

(この肌触り……まさか艤装……?)

 新装備のテストかと一瞬考えたが、それでは男性にまで首輪がかけられていることが説明できない。
 深くは考えず、まずは艦隊の仲間がいないか探すために吹雪が動き出そうとしたちょうどその時、背後にあったらしい巨大なモニターから光が発せられた。

 
 黒一色でできていた世界に突如現れた光。停滞していた空間を打破したそれは、当然ながらその場にいた全員の視線を集める。
 吹雪も周りにならって後ろを振り向くと、その大画面には思いもよらない人物が映されていた。


「参加者諸君、静粛に。――――司会進行役の長門型1番艦・長門だ」
「長門さん!?」

 空間全域に響き渡る大音量で発せられたあの声、見事な黒の長髪、引き締まった顔立ちは記憶と寸分違わない。
 司会進行役と名乗った彼女は、吹雪の知る秘書艦・長門その人であった。

29 ◆7CTbqJqxkE :2015/04/11(土) 15:04:53 ID:1o/8S7rE


「長門さーん! なーがーとーさーん! これって一体なんなんですか。特殊な訓練かなにかなんでしょうか?」

 ようやく知り合いに出会えた嬉しさから、吹雪はモニターの長門へ向けて手を振って大声で呼びかけた。

 長門はそんな吹雪を一瞥したが、しかし相手にすることなく口早に言葉を紡ぎ出す。

「参加者諸君はなぜこのような場所に集められたのか。そのことが今最も知りたい事柄だろう。

 単刀直入に言う。諸君は殺し合い――バトル・ロワイアルをするために集められた」

 長門の端的な発言は、この場にいる者のほとんどに衝撃を与えるものであった。
 戦艦の魂を背負う少女も、契約により魔法を扱う少女も、練達の魔術師も、神に選ばれし勇者も、アイドルも。おおよそ正常な思考を持つ者のほとんどはその発言に息を呑んだ。
 そして直後にざわめき。どこからかそんな馬鹿なことに誰が従うんだという声。


 ――しかしこの場に集められているのは、正常な思考を持つ者だけでない。


 人の死を見ることが好きな人間もいる。殺し屋もいる。ただ人が苦しむ様を見たいだけの人間もいる。狂気に憑かれ、死など恐れぬ英霊がいる。
 この場所には、確かに長門の発言を肯定する存在もいた。

 困惑、恐怖、混乱、狂気、狂喜。様々な感情に参加者が囚われている間に長門は早口で言葉を続ける。

「参加者諸君にはこの説明が終わり次第、会場に移動しそこで殺し合いをしてもらうこととなる。
 生きて帰ることが可能な者は一名のみだ。最後の一人になるまで殺しあってもらう。
 ――では、この時点で質問のある参加者はいるか?」

 冗談で言っているようには見えず、吹雪は目の前のモニターの人物が本当にあの長門なのかと疑いたくなった。
 そのことを聞こうかと思って声を出そうとした瞬間、吹雪のすぐ傍にいた熊のような大男が先に長門へ質問を投げかけていた。

「質問があるかないかで言えば、あるとしか言えんのではないか?
 お前さん、いきなり殺しあえと言われて従う馬鹿ばかりいるとでも?」

 赤髪のその男は仮装大会から連れてこられたかのような、古めかしい大層な衣装に身を包んでいた。
 しかし、誰一人としてその服装のことを笑う者や指摘する者はいなかった。
 なぜなら男の放つ圧倒的な存在感が、この場の全員の本能に彼が人間以上のなにかであると明確に訴え、警告していたからだ。

30 ◆7CTbqJqxkE :2015/04/11(土) 15:05:47 ID:1o/8S7rE

 そんな男の質問を受けながら、長門は臆することなく返答をする。

「尤もな質問だ征服王。
 なんの対価もなく殺しあえなどと言われても、それこそ人を殺すことや嬲ることを望んでいる下種しか承諾はしまい。
 なのでこのバトル・ロワイアルを勝ち抜いた者には、その者の望むどのような願いも我々が叶えるという約束をしよう」


 優勝者のどのような願いも叶える。 
 長門がそう約束すると言った瞬間、空間内で先ほどとは異なるざわめきが起こる。

 征服王と呼ばれた男は「なるほど」と呟くと、さらに長門へ問いかける。

「どのような願いも叶えるとは大きく出たな小娘。その願いで世界の覇者にしろと言われたならばどうする。死んだものを蘇らせることができるか?
 叶えることが可能な尺度を提示せんでは、誰もその話を信用することはできんぞ」

 征服王はどこまでの願いならば叶えられるか質問する。
 その様に周りの参加者は沈黙し、ただ祈った。
 もし、彼の要求を満たせるだけのことが可能なのだとすれば、すなわち超常の存在である彼が殺し合いに参加するのではないのだろうか。
 そうならないよう、ただの人間は祈るしかできなかった。

「叶えられる願いの尺度か。
 ――少なくともサーヴァント七騎分の魔力相当の奇跡しか起こせない聖杯よりは多くを叶えることができる。
 今貴様が受肉していることからも、魔術の知識がある者が見れば多少は信用できるだろう。
 他の参加者にわかりやすく言えば、おおよそ想像できることの全てが実現可能であると考えてくれていい。
 恒久的な平和を願うもよし、魂と切り離されゾンビとなった体を元の体に戻すこともできる。滅んだ世界を元に戻すことも根源へ到達することも可能だ。
 
 それだけのことができるとだけ言っておこう」

 男の質問に毅然と応える長門の姿は吹雪の記憶通りで、やはり彼女が偽物であるとは思えない。
 そのため吹雪だけ、優勝して叶えられる願いの内容に他の参加者がどよめく中、その報酬に興味など示せずにいた。


 そして長門の話を吟味している男に視線が集まる。
 果たして彼はこの殺し合いに乗るのかどうか、破格の優勝報酬を前に皆がそのことを危惧した。

 考えるように頭を下げていた男は数秒もしない内にその頭を持ち上げ、「最後にいいか?」と前置きし、再び質問を投げかけた。
 その顔は酷く獰猛で、まさに略奪者のソレ。爛々とした目は自信と凄みに溢れていて――――


「――なぜ征服王である余の前にそれだけのモノを用意して、貴様らを叩き潰し強奪するという選択を取らないと思った?」


 瞬間、男は腰の剣を抜き放ち、同時に炸裂音を従わせた雷光が彼の目の前を迸った。

31 ◆7CTbqJqxkE :2015/04/11(土) 15:06:54 ID:1o/8S7rE

「きゃああッ!?」

 突然の落雷により、近くにいた吹雪は衝撃によって体勢を崩して倒れる。
 闇を切り裂いた光と轟音に目と耳が眩み、数秒してようやく白い闇から視界が正常に戻り立ち上がってみると、そこには先ほどの表情が嘘のように、苦虫を噛み潰したような顔で剣を握ったままの男が立っていた。


「貴様……」

 男はモニターを睨みつける。
 その様子から男がなにかをしようとし、そしてそれを長門が阻止したことが窺うことができた。


「ここで争うことは禁じられている。宝具の使用は会場に行くまで制限させてもらった」

 男の行動を阻止したというのにそのことを誇ることなく、長門は坦々となにが起こったかを説明する。

「参加者に取り付けてある首輪には、装着者本来のパフォーマンスを阻害する機能が備わっている。
 我々に叛旗を翻そうと考えるのは無駄なことだと理解しろ」
 
 長門はそう言い放ち、早い口調でルールの説明を再開する。

「繰り返すが、参加者諸君にはこのバトル・ロワイアルで己以外の全ての参加者を屠り、優勝を目指してもらう。
 優勝者は望む願いを叶えることができ、優勝者がでなければ――――――参加者全員の首輪を爆破する」
「えっ!?」

(首輪を爆破する!?)

「バトル・ロワイアルの開催期間は三日間。本日00:00より開始し、その七十二時間後の00:00までに終了していなければ会場内の全ての首輪を起動、爆破する。
 殺し合いを受け入れないことは自由だが、己以外の参加者が存在すればどちらにせよその者と心中することとなる。よく考えて行動することだ」

 どうあってもこの場にいる人間のほとんどが死ぬように作られている巫山戯たデスゲーム。
 そしてそんなものを平然と説明する長門に、吹雪は我慢できずについに声を上げる。


「待ってください長門さん! こんなのおかしいです! どうして殺し合いなんかしなくちゃいけないんですか! どうしてそんなことを平然と言えるんですか!
 こんなこと提督が知ったらきっと――――」
「このバトル・ロワイアルは提督のご意志でもある」


 長門が口にした言葉を、吹雪は理解できなかった。受け入れることができなかった。
 同じ言語を使っているというのに、脳が聞いた単語の意味を成すことを拒絶した。

32 ◆7CTbqJqxkE :2015/04/11(土) 15:07:53 ID:1o/8S7rE

 だが、そのような現実逃避は状況を悪化させることはあっても好転させる力はなく、そのことをわかってはいるから吹雪は言葉そのものを拒絶した。

「嘘……嘘です! 提督がこんな、あり得ませんよだって提督…………提督は………………っ!」


 そう、こんな、秘書艦の言ったことは嘘に決まっている。
 嘘。そう、嘘なのだ。
 本当の提督は――――――――!

「信じる信じないはお前の勝手だが、今も提督はここでお覗きになっている。そのことを肝に銘じておけ」


 嘘だ。
 そう――嘘だと信じたいのに、カメラが動いて秘書艦の背後を映すと、そこには見間違えるはずのない顔がある。
 初めて出会った、あの時の顔のままで。

 
「質問は以上か、駆逐艦・吹雪。

 では最後に定時放送について説明する。バトル・ロワイアル開始から六時間ごとに放送を行う。
 放送内容は死亡した参加者及び侵入禁止エリアの発表だ。まず――」

 長門が重要な説明をしているというのにその話は頭に入ることなく、吹雪は言葉を失ったまま立ち尽くす。
 最も信頼していた提督に裏切られた――その事実が吹雪を絶望で満たしていた。

「――――以上がこのバトル・ロワイアルの説明だ。最終確認を望む者はいるか」

 吹雪は、長門の説明が終わっていることに気付いた。

(そっか……、もう……本当に、始まっちゃうんだ……)

 先ほど長門に食いついていた大男も沈黙を貫き、誰も長門に質問をしようとするものはいない。

(殺し合いなんて嫌だ……。でも、提督がそれを望んでいて……)

 なによりも、提督がそのようなことを望んでいることが認めたくなかった。


「…………誰も質問はないようだな。では参加者諸君――」
「おい。一つ聞かせてもらおうか」

 長門がロワイアルの開始を宣言する直前、学ランを着こなした2m近い背丈の少年が問いかけた。

33 ◆7CTbqJqxkE :2015/04/11(土) 15:08:56 ID:1o/8S7rE

「……なんだ?」
「なぜ俺たちが殺しあわねばならん」

 至極尤もな、誰もが考えた疑問。
 高校生とは思えない雰囲気を纏った彼は、その事を長門へ問い質す。

「俺たちが殺しあったところで貴様らにとって見世物以上の価値はねえ。だがてめーらはその手の殺し合いを見て楽しむ屑のようには見えねえ。
 …………何を企てていやがる」

(…………?)

「……その質問に応える義務はない」

 長門が一瞬言葉に詰まった。今まで通りの事務的な返しであったが、確かにその一瞬、長門は何かを思った。

「ここに来て答えれないとはどういうことだ? なんでも思い通りになるんならこのロワイアルとやらは娯楽でしかねーはずだ。
 それともまさか、何か裏があって、俺たちを殺し合わそうとしてるんじゃああるまいな?」

 彼が示した可能性に、再び参加者はざわめき出す。
 すべてを叶えられるはずの主催者に、自分達を戦わさなければならない理由があるかもしれない。
 それはすなわち、ここに来て長門たちの発言に虚偽があるという可能性が出てきたのだ。

「……話はここまでだ。参加者諸君には会場に移動してもらう」
「これだけは言っておく。俺はてめーらのことを何一つ信じていねえ。そして必ずてめーらをぶん殴る!
 精々フラスコの中のネズミと油断して、俺たちに寝首を掻かれないように気をつけることだな」



 そうして参加者すべてが闇に溶けるように姿が霞み、消えていく。
 吹雪はそのことすらどうでもよく感じ、会場内でどうしようかと考えていると――――






「――――随分酷い言いようじゃないか。承太郎」




 まさに会場へ飛ばされるというその瞬間、吹雪たちはまた暗い空間へ呼び戻されていた。

34 ◆7CTbqJqxkE :2015/04/11(土) 15:10:15 ID:1o/8S7rE


「これは……」

 承太郎と呼ばれた青年も何が起きたか理解できていないようであった。
 ただ一つ確かなのは、彼の名を呼んだ親しげな声には、聞いた誰もが底冷えするほどのナニカがあった、ということだけだ。


「やあ参加者諸君。私が今回のバトル・ロワイアルを企画した者だ」

 モニターに目を戻すと長門たちは脇へ移動しており、長門がいた場所へ謎の男が座っている。
 その男は電灯の光に照らされているはずだというのに、なぜか顔の部分が黒く塗りつぶされており表情を窺うことができない。


「このロワイアルを開催されたことに疑問を抱いた者がいるようだが、なんてことはない。私の暇潰しだ。
 提督は私の友人でね、司会進行に部下を寄こしてくれたんだ。
 なので彼女らがロワイアルを楽しんでいないように見えたのは仕方のないことで、何もおかしなことではない」


 穏やかな口調で、暇潰しとしてこの殺し合いを企画したと謎の男は告げる。
 友人としてあの男に協力している――どちらにせよ殺し合いを開いたことに変わりはないが、提督が好んで殺し合いを望んだわけではないという話に、吹雪は僅かだが希望を見出た。
 モニターの男をどうにかすれば提督も考えを変えてくれる。その可能性が出てきたのだ。


「てめーが暇潰しでこの殺し合いを始めたってのか。なるほど、顔は見えないがそういうことを平然とする野郎だということはなんとなくだが感じ取れる!」

 承太郎はモニターを指差し、そして打ち倒すべき宿敵として謎の男へ向けて啖呵を切った。

「何者かは知らねーが、てめーのような邪悪は必ず、この空条承太郎がぶちのめす!」

 承太郎の宣戦布告に対し、子供の戯言をあしらうかのように、一切取り合うことなく謎の男は喋りたいことだけを話し出す。
 

「このバトル・ロワイアルを優勝した者の願いは必ず叶える。約束しよう。それが死者の蘇生であろうとなんであろうとだ。
 私は嘘を吐かない。君達にはそのことを信じてほしい」

 無視されたことに腹を立てた様子はないが、嘘を吐かないというその部分をどうしても信じることができないという風に、承太郎は男へ噛み付いた。

「ふんっ、一体誰がそんなことを信じられる? てめーは胡散臭すぎるぜ!」

35 ◆7CTbqJqxkE :2015/04/11(土) 15:11:50 ID:1o/8S7rE


 承太郎の意見に男は「そうだろうな」と初めて頷くと、嬉しそうな声でその指摘に応じる。

「では、私の言っていることが真実であると証明しよう。
 先ほど司会進行が首輪には爆破機能があると説明したが、君達がそれを信じずに無理に首輪を外そうとして爆死してしまっては喜劇にすらならんからなぁ」
「――! お前ら、急いで俺から離れろっ!」

 男の言葉の意味を理解したのか、承太郎は周りの人間へ急いで離れるように声を荒げた。
 その様子から吹雪も直後に何が起きるか、直感的に理解する。

(え、まさか――!)


 次の瞬間、ポンッ、とコミカルな発破音が生じた。
 一拍を置いて、水音がその後を追う。

 吹雪は承太郎の頭が吹き飛んだところを連想し、悲鳴とともにしゃがみ込んだ。
 周りからも悲鳴があがり、遅れて言葉にならない絶叫。


「て……、てめー…………! なぜ!」

 しかし、吹き飛んだと思った彼の声が吹雪の耳朶を叱咤する。
 そして吹雪が顔を上げれば、首輪を付けたままの承太郎が、眼力だけで相手を殺さんばかりにモニターを睨んでいた。


「…………樹?」
「――なぜっ! 関係ねー奴の首を吹き飛ばしやがったぁあああああっ!?」

 承太郎の怒りから、無関係の人物の首が飛んだことがわかった。
 絶叫が続いている方向を見てみると、中学生くらいであろうか、学生服を着ている頭のない体が血の海に倒れこんでいた。

「樹? ねぇ、樹!? 樹ってば……っ!」
 同じ制服を着た少女が、呆然とした表情のまま壊れたように名前を呼んでいた。
 だがその足が血の溜まりに濡れた途端、繰り返されていた声が一度止まり――次の瞬間、決壊した。
「や……あっ……ああ、ぁああぁああああ、あああああぁああああぁぁぁぁああああああぁぁああぁあああああぁあああああああああああああああああああああああ!!!?」
 死体に抱き縋る少女が狂ったように泣き叫び、その姿を直視できず吹雪は思わず視線を逸らす。

「――このようにっ! 我々主催に反抗的な者や進入禁止エリアに居座った者! 優勝者が出なかった場合は君達全員の首輪が炸裂するっ!
 そうなりたくなければ、是非っ! 存分に殺し合いを楽しんでくれたまえ!」
「答えろてめぇえええええええええええっ!!!!」

 
 愉悦の滲んだ声に怒りを爆発させた承太郎がモニターに向かって駆け出すが、しかし謎の男はやるべきことを終えたのか、再び司会進行役の長門へその席を譲って奥へと消えていく。

36 ◆7CTbqJqxkE :2015/04/11(土) 15:13:13 ID:1o/8S7rE

 謎の男から放送を引き継いだ長門も予定外の参加者の死に動揺を隠せず困惑しているようであったが、一度息を吐いて落ち着きを取り戻すと己の役割を続けた。

「……以上で、説明を終了する」
「待てっ! さっきの野郎を出しやがれ!」

 承太郎の要求に長門は耳を貸さず、どこか決意を秘めた顔をすると「艦隊に告ぐ!」と力強い声で、吹雪や、この場にいる艦娘全員に向けて言葉を発した。

「駆逐艦・吹雪、空母・加賀、戦艦・金剛! 必ず生き残れ! これは秘書艦である私からの命令だ!」

 長門が吹雪たちに下した命令は、達成不可能な物であった。一人しか生き残れない殺し合いの場で、三人に生き残れという命令など実現できるはずがない。
 だが、長門は三人ともにその命令を下した。

 その意味を考えている間に周囲の参加者は再び闇に溶けていき、いよいよバトル・ロワイアルが始まるのだと吹雪は理解する。



「――――何時如何なる時も水雷魂を忘れるな、吹雪」
(っ!? 長門さんっ!!)

 そして――最後に会場へ飛ばされることとなった吹雪は、闇に飲まれるその寸前、長門から付け足されたもう一つの伝達事項を耳にした。
 吹雪にのみ届いたその言葉は、バトル・ロワイアル司会進行役の物ではなく――艦隊の秘書艦である長門からの激励であった。










    ◆◆◆


「途中で些か面倒なこともあったが、無事に始めることができた。
 ありがとう提督。これも君と君の優秀な部下の働きがあってこそだ」

 古ぼけた屋敷の中、DIOは友人である提督に喜びを示した。
 DIOに称讃されたことに提督は感動し、その様子を見て長門は顔をしかめる。

「しかし君達の実直な性格から、危うく計画が露見しそうになった時は冷や冷やさせられたよ」

 そうして楽しそうに語るDIOであったが、おそらく闇に塗りつぶされた顔は笑っていないだろう。

「どうかしたかい、長門? 私の顔に何かついているのかな?」

 DIOに見ていた事が気付かれ、話しかけられる。紳士のような語り口の甘い声であるはずなのに、どこか気持ち悪さを感じさせることができるのはおよそこの男だけであろう。

「いえ、なぜ見せしめとして、犬吠埼樹を処刑したのかと。
 反抗的な者を罰するのであれば、ライダーや空条承太郎がその対象だったのでは?」


 その言葉にDIOは嗤った。顔は確認できないが、確かにこの男は嗤ったと、そう感じ取ることができた。

「あれは勇者どもに対する警告だよ。精霊に守られた勇者であろうとこの場では死ぬ。そのことを理解させるには同じ勇者を見せしめにするしかないだろう。
 ――――それになにより、兄弟姉妹の絆とは素晴らしいものだ。君にも確か姉妹艦がいたはずだが、そうは思わないかい?」

 DIOは首の裏側にある星型の痣をゆっくりと撫でると、自然な風に陸奥のことを聞いてきた。
 この男との会話で陸奥が出たことに激しい嫌悪感を覚えたが、顔に出さないように厳しく己を律する。

37 ◆7CTbqJqxkE :2015/04/11(土) 15:14:13 ID:1o/8S7rE

「つまり、犬吠埼風から負の感情を得るために行った、と……」

 DIOは楽しそうに、大仰な素振りでこちらの意見を肯定する。
『邪神』の力が滲み出たことによってDIOの顔に出来た影も、実に愉快そうに渦を巻く。

「承太郎を虚仮にする目的もあったが、勇者からは期待以上の負の感情を得ることができた。
 この調子であればバトル・ロワイアルが終了する頃には『ゾーク』の力も完全に我が物とすることができるだろう!」







 エジプトで復活した吸血鬼DIO。
 古の地にて、運命のように異世界から飛来した恐るべき力の残滓と引き合ったこの悪の帝王は、新たに宿したその力を完全な物とし、さらなる高みへ至るための贄を欲した。

 すなわち邪神へと捧げられる供物――生命あるものの心に巣食う、負の情念を。

 このバトル・ロワイアルは、DIOが神へと至るための儀式。

 そのために帝王は手にした神の力の一端で時空を超え、生贄である参加者達や、舞台を整える手足として長門達を呼び寄せたのだ。


(提督も、DIOに植え付けられた肉の芽によって吹雪たちまでこの殺し合いに参加させてしまった……)


 このままでは悪の帝王はバトル・ロワイアルという悪趣味極まりない見世物を堪能し、そして悪の神へと進化する。
 

 それを阻止するためにも――――――――



(頼むぞ吹雪。必ず生き残り、そして仲間たちと共にDIOの野望を打ち砕け――!)















【犬吠埼樹@結城友奈は勇者である 死亡】
【残り60人】



『主催』
【長門@艦隊これくしょん -艦これ-】
【提督@艦隊これくしょん -艦これ-】
【DIO@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】

38 ◆7CTbqJqxkE :2015/04/11(土) 15:14:50 ID:1o/8S7rE
OP案投下終了です

39 ◆fMt28iuvso :2015/04/11(土) 17:01:52 ID:7OFa5dJI
OP案投下します。

40 ◆fMt28iuvso :2015/04/11(土) 17:02:59 ID:7OFa5dJI

―――地面が冷たい。
眠りから半分ほど覚醒した、寝ぼけた頭で最初に思った事がそれであった。
いや、その地面の冷たさと硬さによって起こされたといったほうが正確だろうか。
まだ半分ほどしか覚醒していない、ぼんやりした頭を抑えつつ辺りを見回してみる。
ここは巨大なホールのようで、周囲では数十人の人々が自分と同じように体を起き上がらせているところだった。

ふと体に違和感を覚え、自分の体を見てみると、寝間着に着替えて就寝したはずが服装がスーツに変わっている。
今日のアイドル達との初顔合わせの為に新調したスーツだ、いくらプロデューサーとしての初仕事で疲れたからといって着替えずに寝ることなどありえない。

41 ◆fMt28iuvso :2015/04/11(土) 17:03:49 ID:7OFa5dJI

不思議な事の連続に混乱していると、突然ホールの奥に位置する壇上から声が上がった。
自然と声のする方法に目を向ける。

「諸君、目は覚めたようだな。 私は戦艦長門だ、突然だがこれから諸君に重大な任務を与える。
一言も聞き漏らさんよう、心して聞け」

そこには、妙な格好をした女性がマイクに向かって喋っている姿があった。
肩に白いぬいぐるみを乗せている事が、凛々しい姿とのギャップで緊張感がいくらか緩和される。

「諸君に与えられた任務は、最後の一人になるまで殺しあいをすることだ」

42 ◆fMt28iuvso :2015/04/11(土) 17:04:19 ID:7OFa5dJI

―――今、なんと言ったのだろうか? 緊張感どころの話ではない。
聞き間違いかと思ったが、周りの反応を見る限り俺の耳に間違いはなかったようだ。
周囲がざわつく中、一人の少女が壇上の女性に問いかけた。

「長門秘書官! 殺し合いって……一体どういうことですか!?」

「吹雪、私語を慎め。 他の者もだ、騒いだものはこの場で死んでもらうことになるぞ!
詳しい説明はこれから行う、説明は一度しかしないから聞き漏らさないよう注意して聞け」

その女性が説明を言った言葉に、声は静まった。
得体のしれないこの状況に、死ぬかもしれないとあれば黙っているしかない。

43 ◆fMt28iuvso :2015/04/11(土) 17:05:17 ID:7OFa5dJI

「よし、いいだろう、ではルールの説明を行う。
これから諸君は【箱庭】と呼ばれる隔絶された空間でバトルロワイアルと呼ばれる作戦を行ってもらう。
協力者達によって作られた【箱庭】は、いかなる超常的な力でも抜け出すことはできない。ちなみに配置は完全にランダムだ、自分の幸運を祈れ。
それと、一部の者はすでに気がついているようだが、諸君の首には約一名を除き首輪が付けられている。
これには爆弾が仕組んである、先ほど死ぬといったのはこれが爆発するということだ。
また、6時間毎に放送を行う、内容は死亡者の読み上げと禁止エリアの指定だ。
エリア分け等は、【箱庭】移動後に支給されるバッグに入っている地図を参照してくれ。
禁止エリアに入ったり、24時間を過ぎた時点で1人も死亡者が出ていないと、首輪が爆発する。
同じ場所に隠れていたり、仲良く暮らすことは死につながるということだ。
特に後者は全員が死ぬ、連帯責任という奴だ、よく考えて行動しろ。
最後の1人になった者には、この世の理を無視して一度だけどんな願いでも叶える資格を手に入れることができる。
積極的に任務に励んでくれ、説明は以上だ」

――全く意味がわからない。 いや、頭では理解できたが、心では到底理解できない。
これ以上ないほど異常な説明を、まるでレクリエーションでもするかのように淡々と語っていた。
というか、なぜそんなことをしなければならないのかが全く触れられていない、いきなりルールの説明をされてもこちらは唖然とするしかない。
周りの様子を見てみると、今度は巫女服のような物を着た長髪の女性が、壇上の女性に詰め寄った。

44 ◆fMt28iuvso :2015/04/11(土) 17:05:55 ID:7OFa5dJI

「長門秘書官、いくら提督の命令だからといって、納得がいかないまま命を差し出す真似をすることはできません。
詳細な説明をお願いします」

「赤城……そうだな、少し説明してやろう。 この場には艦娘の他にも、様々な才能を持った者達がいる。

純粋に化け物じみた身体能力を持つ者・魔術や魔法を使う物・超能力を持つ者・知略に優れた者・英雄や勇者と呼ばれた者・人を惹きつける魅力を持った者

――等々様々だ。 この異なる多種多様の才能が入り混じる中で、起こる事象には全てに価値があるそうだ。
というのも、協力者達の目的はそれぞれ異なるようでな、宇宙だ、天国だと言っている奴らもいたが、私にはよく知らされていない。
だが、これは我が鎮守府史上最も崇高な命令だということは言っておこう、提督からではなく天皇陛下から直々に承った命令なのだからな、光栄に思え」

45 ◆fMt28iuvso :2015/04/11(土) 17:08:00 ID:7OFa5dJI

「……嘘……でしょ」

巫女服の女性が絶望に俯く、彼女もまた先ほどの少女のように壇上の女性と知り合いのようだ。
それならなぜ俺はこんなところに連れて来られているのだろうか?
――考えないようにしていたが、この中に2,3人俺が務める予定の事務所のアイドルらしき少女たちが混ざっているように思える。
765プロはなにか恨みでも買っているのだろうか?
自分の就職先にひどく後悔を覚えていると、壇上から去ろうとしていた女性が、突然振り向き――

「そうだ、赤城。 先ほど私は私語を慎めと命令しておいたはずだな。
本来であればこの程度では罰さないのだが……命令だ、仕方ない。
我々の意思にそぐわない者はこうなる、覚えておけ」

と言いうと、どこからかカチッとスイッチを押したような音が聞こえ――

ボンッ!―――ゴトリ

小さな爆発音の後、巫女服の女性の首輪が吹き飛び、頭部が地面に鈍い音を響かせた。
体は何の支えもなく倒れ伏し、辺りには血溜まりが出来上がりつつあった。

「―――えっ?」
「あ、あっ、あああ」
「赤城さぁぁぁぁぁああああああああああん!!!!!」

初めて間近で見る死体に気分が悪くなり、女性に駆け寄る少女達の声を聞きながら―――俺は意識を失った。

46 ◆fMt28iuvso :2015/04/11(土) 17:09:15 ID:7OFa5dJI



【赤城@艦隊これくしょん -艦これ- 死亡】
【残り61人】


『主催』
【長門@艦隊これくしょん -艦これ-】
【キュウべえ@魔法少女まどか☆マギカ】

『協力者』
【DIO@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】


※DIOが天皇を操ったりなど、裏で暗躍している実質主催者は他にもたくさんいます。
同一世界のアニメ未登場キャラを出していいか迷ったので、無難なOPですが、他の書き手の方によって主催者側の人物を増やして貰いたいです。
※参加者には伏せていますが、キュウべえが宇宙のエネルギー回収の効率化を図っていたら、多次元宇宙もしくは平行世界を見つけ、魔力等で宇宙のエネルギーを補う計画を立てているところに主催者達が興味を持って協力し始めたということにしています。

47 ◆fMt28iuvso :2015/04/11(土) 17:09:54 ID:7OFa5dJI
OP案投下終了です。

48 ◆qB2O9LoFeA :2015/04/12(日) 01:10:14 ID:1wocvqsE
ではOPを投下します

49 メーデー ◆qB2O9LoFeA :2015/04/12(日) 01:11:28 ID:1wocvqsE



『■■■■、■■■■、■■■‥‥』


 耳障りな雑音が響く。


『■ー■ー、■ー■ー、■ー■ー‥‥』


 ノイズ混じりの音声通信。それが衛宮切嗣の意識を覚醒させた。


『■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■』


(ここはいったい‥‥)

 まだはっきりしない頭で周囲を見渡そうとする。だが、動かない。首が何かに固定されているのだ。よく神経を張れば、椅子に座らされて両手両足が拘束され、胴体には圧迫感がある。そして妙な浮遊感。

(落ちている、のか‥‥?)

 微かな揺れとシートベルトのような胸部と腹部の感覚からそう判断する。やがて、ごく小さい音と衝撃とともにそれらの感覚と拘束が無くなった。

「うっ‥‥!」

 慎重に立ち上がろうとしたものの、立ちくらみのような頭痛に襲われ再び席に着いた。と、同時に首にだけ違和感があることに気づく。どういうわけか、首の戒めだけ首輪という形で体から離れないようだ。強引に引っ張ると『ミシり』と音がしたのでひとまずそれ以上手を出さないことにした。


『‥‥デー、メーデー、メー‥‥』


 どうやら、自分は球状の小部屋のようなものにいるらしい。切嗣はおそるおそる手を伸ばしてそう判断すると自分の足元になにかあることに気がついた。
 大きさと形からしてデイパックだろうか。手探りでジッパーを開けると僅かに光点が見える。電子的なその光から通信機器の類いのものだと判断すると、その板のようなそれを取り出した。


『メーデー、メーデー、メーデー、こちらは防災試験センター、 防災試験センター、防災試験センター。 メーデー、防災試験センター。位置 は■■島。島全土が放射性物質に汚染されていてセンターから出られない。電子回路も破壊されている。すぐに救助を。センターには現在1名。メーデー、防災試験センター。オーバー。』

50 メーデー ◆qB2O9LoFeA :2015/04/12(日) 01:13:18 ID:1wocvqsE


 デイパックから取り出したことでいくらか音声がクリアになる。どうやら声の主は若い女のようだ。切嗣は、その内容をいぶかしんだ。

 パアッと、突然板が青白い光を発する。驚ろきと眩しさで取り落としかけるのを堪えると、その板、いわゆるタブレットにはワープロのようなものが表示されていた。


『メーデー、メーデー、メーデー、こちらは防災試験センター、 防災試験センター、防災試験センター。 メーデー、防災試験センター。位置 は■■島。島全土が放射性物質に汚染されていてセンターから出られない。電子回路も破壊されている。すぐに救助を。センターには現在1名。メーデー、防災試験センター。オー バー』


「音声を文字として出力するのか‥‥」
 呟きながら、文字に目を通す。まだはっきりしない頭には、早口な通信よりも文字で起こされたほうがありがたかった。もっとも、すぐにその内容に困惑することになるのだが。

(放射性物質に汚染?電子回路が使えない?核でも落ちたのか?)

 そこに書かれた通信内容が、あまりにも切嗣の人生とは無縁のものだったからだ。
 確かに、一部の紛争地帯では劣化ウラン弾などの広義の意味での核兵器が使われることはある。だが、通信はまるで核戦争でも起きたかのようなことを言っている。これらは切嗣の知らない謎の機械と相まって次々と疑問符を生んでいた。

(通信に答えるか‥‥いや、迂闊な行動はよそう。それに、この機械にはマイクらしきものがない。)
『ん?!生存者がいるのか!返事をしてくれ!もっとはっきりゆっくり!』
(!バレたか?)

 切嗣は思わず身を固くする。

『‥‥駄目か‥‥やはり、この放射線では通信は無理か‥‥いや、一応言っておく。もしかしたら、ラジオかなにかで聞いてる者がいるかもしないからな。』

 どうやらバレたわけではないらしい。安堵のため息を吐いた切嗣をよそに、通信は続く。

51 メーデー ◆qB2O9LoFeA :2015/04/12(日) 01:17:15 ID:1wocvqsE

『こちらは、防災試験センター。現在この島は非常に高い放射線の影響下にある。そのため、通信ができるのはアンテナから1kmの範囲内でしかない。』

『この通信が聞こえるということは、首輪が起動している生存者だろう。現在こちらでは、約60の首輪の起動を確認している。その首輪は、生きている者が着けると特殊な力場によりある程度の放射線に耐えられるようになっている。』

『もっとも、その機能はアンテナから1km以内でないと使えないようだ。アンテナから発信されるエネルギーをそれ以上は受信できないようだな。くれぐれもその首輪を外さないでくれ。その首輪が機能しなくなれば、一時間と経たずに放射性障害で死ぬだろう。』

『今その首輪のエネルギーは、全員できっかり24時間分ある。今日の2350から、防災試験センターのゲートを開けるのでその間に入ってくれ。ただ、2350までセンターの周囲1kmに入らないでくれ。センターのアンテナは島の各部のアンテナにエネルギーを供給している。出力が通常のものより強いので、首輪が耐えられずに爆発する可能性があるようだ。気をつけてくれ。』

『それと、島の各所にあるアンテナには核爆弾が仕掛けられているようだ。起爆と同時に中性子を発する。範囲は1kmと狭いが、首輪では防ぎきれないうえに首輪そのものを破壊してしまう。なにかのひょうしに暴発させてしまう可能性もあるので、なるべくアンテナには近づかないようにしてくれ。』

『核爆弾の起爆の順番と時間は■■■■■、また通信が‥‥また六時間後に■■■■■。詳細は、回線から島の電子機器に送っておく。地図なども添付するので参考にしてくれ。それと機器には名前をつけておいてもらえると助かる。■■■■■■■■■■■■いいな、2350に島の中央の防災試験センターに来てくれ。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■』

52 メーデー ◆qB2O9LoFeA :2015/04/12(日) 01:23:20 ID:1wocvqsE


 耳障りなノイズと画面の文字化けを残して通信は途絶えた。その内容を吟味しようとして、切嗣はまた眩しさに目をとられる。ゆっくりと四角い光が拡がっていき、それが飛行機のハッチのようなものだとわかると外を伺う。

(‥‥どうやら、そうとう面倒なことになったみたいだね。)


 それは虫だった。
 一匹や二匹ではない。何匹かの虫がひっくり反っていた。

 離れたところ見る。一羽のカラスが落ちている。少し離れたところだが、外傷はないように見えた。

 後ろを振り返る。自分が入っていたのは無骨な金属製の球体だったようだ。さきほどデイパックのようだと思ったものは予想どうりデイパックだったが、オレンジ色に反射材の持ち手なのを見ると非常用の物なのだろう。中には非常食や水やメタルマッチなどに方位磁針などが入っていた。それと内容物のリストもあったが、なぜかいくつかリストに無いものもある。そのことに違和感を覚えていると。手が振動を感じた。

(バイブレーション機能か。)

 手に持っていた板、タブレットを見る。画面を何気なく触ると、ワープロ画面は消え、いくつかのアイコンのある画面が出てきた。そのうちの『New!』とあるアイコンをタッチすると地図などが記されたpdfファイルが開かれた。

(なるほど、島の端から起爆していくのか。しかし、なぜこんな情報が載ってるんだ。それに、この板じたいも随分と先進的だ。)

 扱い方に困りながらページをなんとかめくっていく。その手が一つのページで止まった。

(この仕様を見ると、複数首輪を着けても一つしか首輪は作動しないのか。まて、作動していない方の首輪は、エネルギーを溜めておける?。これだと、24時間が過ぎたときに生き残るためには‥‥)



 アアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァ‥‥

 どこからかサイレンが鳴り響く。タブレットの隅には『00:00』と表示されていた。

「━━まずは、この球をもう一度確認しよう。」
 切嗣はタブレットをデイパックにしまうと球体の内側をあらためる。

53 メーデー ◆qB2O9LoFeA :2015/04/12(日) 01:29:01 ID:1wocvqsE



 生けるものは約60名。死地と化した孤島で、誰も『殺し合え』などとは言わない。
 それでも、戦いを広めようという悪意は既に動き出した。

 そして、その悪意は。

「‥‥な、なぜ‥‥」

 防災試験センター。核攻撃にも耐えられる巨大なその建物の一室で、一人の少女がコンソールに突っ伏している。
 目や鼻や口から血を吐きながら、必死に手を伸ばし。

「‥‥これも‥‥なにか考えが、あっての‥‥そうか!私がこの役目になったのは‥‥」

 誰に看取られることもなく、悲しみと絶望で凝り固まった鬼の形相で、その少女は息することをやめた。


 コンソールだけが、目に悪い光で彼女を照らしていた。

54 メーデー ◆qB2O9LoFeA :2015/04/12(日) 01:47:35 ID:1wocvqsE



【???@???????? 死亡】

【主催、後援】
不明。



※首輪が外れる、首輪が機能しなくなる、首輪にエネルギーを送るアンテナがなんらかの事情で働かなくなるとあらゆる生物は一時間以内に放射性障害で死亡します。また電子機器も高い放射線により確実に破壊されます。
※2Lの水と三食分の非常食、メタルマッチ、方位磁針、タブレット、ホイッスル、左記の共通支給品が書かれたリスト、デイパック内に入る範囲のランダム支給品1~3が入っています。共通支給品だけで最低でもデイパックは4kgあります。またデイパックの推奨される耐荷重は12kgです。
※タブレットには島の詳細な地図やその他の情報、また核爆弾の起爆時間などがpdfとしてまとめられています。核爆弾は1時間に一発ずつ起爆します。
※会場内のものは防災試験センターなどの地下にあるもの以外全て放射線による汚染を受けています。
※放射線の影響であらゆるものが著しい減衰を受けます。
※放射線の影響で無線は1km以上通じません。
※首輪が放射線の影響を押さえられるのは首輪の半径3m以内です。

55 ◆qB2O9LoFeA :2015/04/12(日) 01:48:05 ID:1wocvqsE
以上で投下終了です。

56 ◆kdN026sJVA :2015/04/12(日) 08:17:28 ID:nEDsb4nI
OP案を投下します

57 ◆kdN026sJVA :2015/04/12(日) 08:18:05 ID:nEDsb4nI
目を覚ますとそこは真っ暗闇だった。
動こうにも微動だに出来ない。
薬などにより身体の自由を奪われたのではない。
物理的にここは狭すぎた。
おあつらえ向きに肩幅いっぱいである。目の前にも壁?いや板のようなものがある。
ふとその目の前の板に光がともる。
否、パネル、モニターであろう。
どうやらどこぞの動画サイトであるらしく、残り分数とシークバーが下部に表示されている。
モニターいっぱいに5秒前4秒前とカウントダウンされ、そして始まった。

画面には男が映っている。
おそらくはアジア系であろう。簡素で機能的な作業服に身を包んでいる。
見る者が見ればそれが囚人服であろうことに見当がつくかもしれない。
頬はこけ、目の下にクマを作り、水もろくに飲んでいないであろう干からびた唇で男は喋りだす。

「ようこそ『参加者』の諸君。これから君たちには殺し合いをしてもらう」

抑揚もなく無感情に。いや顔に浮かぶのは諦観であろうか。
そして時々下に目を移す。なにかを読み上げているようだ。

「この動画が終了したとき…つまり午前0時、24:00が『ゲーム』の始まりだ。以降君たちは最後の一人になるまで殺しあってもらう。
 生き残った者が『優勝者』となる。『優勝者』にはそのままご自宅に至るまでの移動手段ならびに命の保証をしよう。
 途中で棄権することはできない。『優勝者』が出るまで『ゲーム』は続行する」

男は淡々と続ける。

「君たちの居る、その棺の中に背嚢がある事を確認してほしい。
 その中には二日分の食料と水、懐中電灯に筆記用具、『参加者』名簿に『会場』全体を示した地図、他に3つの『ランダム支給品』も入れてある。
 それは武器であったり防具であったり道具であったり、何の役にも立たないものもある。
 各自『ゲーム』開始後に確認しておくことを勧める」

58 ◆kdN026sJVA :2015/04/12(日) 08:18:39 ID:nEDsb4nI
「6時間ごとに放送をかけ、『ゲーム』の『脱落者』を一度だけ読み上げる。
 6時間『脱落者』が出なかった場合、参加者の中から無作為に1名を『脱落者』とする」

そこで男は自らの首にかけられた金属製の物体を指さす。

「放送終了後、即座に『脱落者』の『首輪』が爆発する。どう手段を講じようと回避するすべはない。
 『首輪』の爆発は『首輪』を故意に外そうとした場合、『会場』の範囲外に出てしまった場合も発生する。
 地図に描かれているのが『会場』の範囲となる。
 また、放送では『立ち入り禁止エリア』の発表もする。発表された区域は放送終了後2時間で『会場』の範囲外と同じ扱いになる。
 すなわち、『立ち入り禁止エリア』に一歩踏み入った時点で『首輪』が爆発する、ということだ」

男は顔を上げる。

「以上。質問事項などあるものは『会場』の各所にある郵便箱に質問を書き込んだ紙などを投函すること。
 放送で答える事もあるだろう」

誰かの笑い声が漏れ聞こえる。
銃声が鳴る。
笑い声は消えた。

その間、男は身動き一つ表情一つ変えなかった。
カメラが引き、パイプ椅子に座った男の全身が映る。
膝の上に置かれた書類、そして、その上に置かれた手には何本かの指が無かった。
残った指にも爪はなくなっている。何か細い物体が爪の間に差し込まれた形跡もある。

「これで説明を終える。
 動画の終了をもって『ゲーム』の始まりとする」

動画の残り分数もわずかとなった。
男の肩が震え、書類を握る手も大きく揺れる。

59 ◆kdN026sJVA :2015/04/12(日) 08:19:24 ID:nEDsb4nI
「私はこんなモノの為に君たちを選出したわけではなかった。
 すまない。
 いや、君たちには謝っても謝り切れない事を私はしてしまった。
 君たちは未来を切り開く力がある。運命を変える力がある。
 そう見込んで私は君たちを選出した。
 それがこんなことになるだなんて、思いもしなかった。
 だってそうだろう! わざわざ君たちを集めて、こんな事をするだなんて誰だって考え付かない!
 殺し合いだと?! 馬鹿げてる!」

男からは冷静さが完全に失われた。

「吹雪、吹雪!愛している!!
 そしてすまない! せめて君だけでも生き残ってくれ!
 そして未来を変えてくれ! 頼む!
 こんな馬鹿げたことを、そしてこんなことを考える奴らを許してはならない!
 生き残って、そして必ずや連中を…」

そこで男の首から上が消し飛んだ。
画面に血が飛び散り、首のない身体が前のめりに倒れる。
モニターがブラックアウトし、文字が浮かぶ。

***

 追記
『主催』に反抗する旨が明白となった者は、任意で『脱落者』とする 

***

残り3秒。2秒。1秒。
【バトルロワイヤル開始】

60 ◆kdN026sJVA :2015/04/12(日) 08:20:58 ID:nEDsb4nI
【提督@艦隊これくしょん -艦これ- 死亡】

主催:不明

※参加者が装着している首輪が爆発した場合、どのような特性があろうと、その首輪を装着している参加者は死亡します。
※動画終了まで参加者は自らの棺から出ることは一切出来ません。
※動画終了まで自らの棺の内部から外部に向かって攻撃・通信なども不可能です。
※6時間おきの放送において主催側は参加者からの質問事項に答えたり答えなかったりします。

※背嚢(ディパック)には筆記用具と会場全体を記した地図、参加者の名前を記した名簿、 2日分の食料と水、3つのランダム支給品が入っています。
※会場内で主催側から死亡したと判断された者は『脱落者』と認定されます。

※ゲーム開始から6時間ごとに放送がかかります。
※放送では『脱落者』の読み上げと、立ち入り禁止エリアの発表、稀に質疑応答がなされます。
※放送と放送の間の6時間に一人も『脱落者』が出なかった場合、参加者の中で生存している者の中から主催側が無作為に一人を選出し『脱落者』とします。
※『脱落者』の首輪は放送終了後に爆発します。一度爆発した首輪は跡形もなく消滅し、2度と爆発することはありません。

※首輪は主催側が任意で即座に爆発させることができます。
※首輪は会場の範囲外に出た場合も自動的に爆発します(多少の時間差はあります)。
※立ち入り禁止エリアは放送で発表された2時間後に会場の範囲外になります。

61 ◆kdN026sJVA :2015/04/12(日) 08:21:28 ID:nEDsb4nI
以上です

62 名無しさん :2015/04/14(火) 01:30:31 ID:x7IyoVag
とりあえず地図が完成したので投下するのはここでいいのかな?
ttp://www22.atpages.jp/gcamkg/tizu.png

63 名無しさん :2015/04/14(火) 01:51:55 ID:aIuM6vRA
地図来た!乙です!

64 名無しさん :2015/04/14(火) 06:08:23 ID:QzXTCLZg
折角なので地図をつくってみました
フレーバー的なので見辛いかもしれませんが…
ttp://download1.getuploader.com/g/spark/170/ANI4MAP.jpg
青文字が大体の地形、黒文字が施設名です

65 名無しさん :2015/04/14(火) 06:41:03 ID:QzXTCLZg
すいません、誤字を見つけたので修正しました
ttp://dl1.getuploader.com/g/spark/171/ANI4MAP.jpg

66 ◆nCGiUVaSaU :2015/04/14(火) 23:28:02 ID:DU5opMG2
みなさんOP&地図投下乙です
私もOP案を投下します

67 第一回 バトルロワイヤル実験 ◆nCGiUVaSaU :2015/04/14(火) 23:28:52 ID:DU5opMG2








・『第一回 多世界異能力者の戦闘力実験』
・『第一回 閉鎖空間作成実験』
・『第一回 極限状況における人間の倫理観測定実験』
・『第一回 異能力制御実験』
・『第一回 新技術実用性実験』
・『第一回――――
・『第一回――――
・『第一回――――
・『第一回――――
・『第一回――――
・『第一回――――
・『第一回――――






以降、これらの実験全てを統合し『第一回 バトルロワイヤル実験』と呼称するものとする。

68 第一回 バトルロワイヤル実験 ◆nCGiUVaSaU :2015/04/14(火) 23:29:42 ID:DU5opMG2

『第一回 バトルロワイヤル実験 オープニング 報告』

司会進行 岸谷 森厳
記録 矢霧 波江



『1 テーマ説明』

※司会進行役たっての希望のため、一部台詞を抜粋。
 今後の計画におけるマニュアルになればとのこと。

森厳(以下、Sと呼称)「おはよう諸君!」


S、大部屋に設置されたモニター越しに今実験の参加者とコンタクトをとる。
概ね参加者の意識がモニターに向いたことを確認。説明に移る。


S「早速だが、これから君たちには殺し合いをしてもらう!」


実験のテーマを説明。
様々な実験を同時に行うため、閉鎖空間内における殺し合いを行ってもらう旨を説明する。
また、我がネブラ社が開発に成功した異世界転移装置の説明も同時に行う。


S「私たちはこの装置の発明、そして他世界の技術を取り入れた超技術発展により人知を超えた力を手に入れた。
もはや、この程度の実験を行うことに何の躊躇いも持たぬほどにね!」


ネブラがもはや1企業の枠を超えた力を手に入れたことを説明。
力の差を誇示し、参加者に対して実験の承諾を要求。


『2 見せしめ爆破』


しかし、多数の参加者に否定される。
場の空気も悪く、このままでは満足のいく実験が行えない可能性が浮上した。
よってプランBを発動。
首輪の説明も兼ね、2人の見せしめを以て反抗の意志を削ぐことと相成った。
なお、この時の見せしめは62番ジョセフ・ジョースターと63番秋本・カトリーヌ・麗子。
指定の理由としては、特に反抗的な態度を取ると予想されていた1番空条承太郎と7番両津勘吉への制裁。
また、老人や女性でも容赦しないという意志を見せ、参加者に我々の本気度を提示するためである。


S「……さて、少しは話を聞いてくれる気になってくれたのならば嬉しいのだが……。
私たちとて貴重な実験材料……おっと失礼、参加者をこれ以上減らしたくはないのでね」

69 第一回 バトルロワイヤル実験 ◆nCGiUVaSaU :2015/04/14(火) 23:30:50 ID:DU5opMG2

『3 ルール説明』

改めて参加者へ詳しいルールの説明を行う。

実験終了条件は『参加者が残り一人になること』もしくは『当社の求める実験結果が得られた場合』


S「そう、何も最後の一人になるまで殺し合えというわけではない」


S「私たちが君たちに求めているのは戦闘データや極限状態における行動、心理状態。
満足のいくデータが得られた場合、君たちの解放を約束しよう。
ついでに異能力の制御実験や新技術の実用性実験が成功すれば更に良しだがね」


S「言い忘れていたが、今回の実験においては君たちの持つ力に制限をかけさせてもらった。
いつもよりも力が出ない。本来は見えないはずのものが見える。死なないはずの身体が死滅する。ギャグ補正が通用しない。
私たちにもどこまで制御できているかは定かでないが、この殺し合いをある程度は平等に進められるように実験ごほんごほん努力させてもらった」


S「また、逆に私たちの新技術を生かした面白い支給品もあるぞ!
戦う力のないものでも、それを使えば超人相手に大金星の可能性ありだ!」


S、参加者の反応を窺うが彼の期待していたものは得られなかった模様。
咳払いをしながら他項目の説明に移る。


参加者に配られる共通支給品(地図、筆記用具、名簿、食料と水)、ランダム支給品(1~3)の説明。
6時間ごとに行われる放送内容。並びに禁止エリアについて説明を行う。


最後に褒賞の説明を行う。


三人殺した参加者は、首輪に申告すれば会場内にて褒賞を与える。
追加支給品(ある程度は自由が効く)、他参加者の情報、治癒の三つの中から選択可能。


実験終了まで生き残った参加者は貢献度に合わせて最終褒賞を与えるものとする。
最も貢献した参加者には万能の願望器、聖杯を進呈。
他貢献者にもそれ相応の褒賞を与えることとする。


S「信じられないかね?その気持ちは分かる、大いに分かるぞ諸君!」


S「だが、逆に考えてもみたまえ。ここまで大規模な実験を行える私たちが、その程度の褒美も与えられないと思っているのか?と」


S「安心したまえ、安心して殺し合いたまえ。
力を用いて生き残りたまえ。
頭を使って生き残りたまえ。
強者を利用しろ。
弱者を踏みつぶせ。
……その先にきっと、君たちの求める希望がある※」


S「私から言えることは、それだけだ※」


※は岸谷森厳本人により後日削除済み

70 第一回 バトルロワイヤル実験 ◆nCGiUVaSaU :2015/04/14(火) 23:31:32 ID:DU5opMG2


『4 参加者移動』


異世界転移装置を用いて参加者を会場へ転移。


なお、これまでの各参加者の反応は別紙レポートにて提出する。
D、T、他協力者に対しての報告も順次行うこととする。


以上。




それでは、これより『第一回 バトルロワイヤル実験』を開始する。

71 ◆nCGiUVaSaU :2015/04/14(火) 23:32:16 ID:DU5opMG2
投下終了です

72 ◆EAG5DsvliU :2015/04/16(木) 05:16:22 ID:ihv9CmkY
投下します

73 ◆EAG5DsvliU :2015/04/16(木) 05:17:52 ID:ihv9CmkY
誰一人として、この場が何処か分からなかった。
突如として意識を失い、気づけばこのような何もない場所へと連れてこられた。
それが、この場に居る者たちの共通の認識だった。

「お前達には殺し合いをして貰う」

それは女性の声だった。
声の主を探すと、その主は壇上の上に居る。
その女性が纏う、露出度の高いコスプレ染みた衣装。
だが衣装とは別にそのスタイルは非常に女性らしく整っている。
世の男達から見れば、非常に魅力的に見えることだろう。その台詞に目を瞑るのであれば。

「は、ハラショー」
「そんな長門さん、どうして!?」
「吹雪、静かにしろ。これは提督からの命令だ!」
「嘘……」

金髪の女子高生は堪らず言葉を漏らし、吹雪と呼ばれた黒髪の少女は提督という名を聞いた瞬間、火が消えたかのように黙り込む。
長門はそんな二人を一瞥しながら壇上から淡々と言葉を紡いでいく。

「今から、別の島にお前達を移動させる。その島に着いた瞬間から殺し合いの開始だ。
 殺しは何でも良い。方法は問わない。最後まで生き残った一人が優勝者だ」
「おい、主催者さんよぉ」

長門の説明を遮り、銀髪を逆立てた褐色肌の男が顔面に血管を浮かべながら口を挟む。 

「殺し合う。そいつはいいぜぇ? 血生臭いデスゲームは嫌いじゃねぇ。
 頼まれなくたって、俺が全員闇に葬ってやるよ。
 ……だが、俺の千年ロッドがないのはどういうことだ?」
「それを含め、説明の途中だ。黙って話を聞け」
「チッ」

「この男の言うとおり、お前達の所持品…というより武器は一時的に没収させてもらった。
 これらの武器は、お前達に支給品として配布する。
 殺し合いの島に着いた時、お前達のそばに必ず一つのディバックが落ちている筈だ。
 その中に食料、水、地図、コンパス、殺し合いのルールブックなどの基本支給品とランダムで1つ、多くて3つまで支給品を入れておく。
 運がよければ、その中にお前達の武器が入っているかもしれない。だが外れの支給品もある。こればかりは運だ。
 ただし、性質上どうしても外せない武器はお前達に直接配布という形で没収はしない。
 だがそれらは支給品一つ分としてカウントしディバックに入っている支給品は2つから最低0だ」

男は説明を聞きながら納得しない素振りを見せ、何かまた苦言をもらそうとした時、また別の男が大声を張り上げた。

「ふざけるな! 殺し合えと言われて殺し合う馬鹿が何処に居るー!!」

青い制服――警察官のものだろう――を着た小柄の親父が長門の食い入るように叫ぶ。

「もちろんタダでとは言わん。優勝したものには何でも願いを叶えてやる」
「何ィ!? 口からでまかせ言いやがって、ドラゴンボールでも集めてんのか!? だったら金を寄越せ!」
「そんなものはないが。……そうだな前金として一億ほど出してやろう」

言うが早いか、突如現れた少女がアタッシュケースを運び長門に手渡す。
長門はそのアタッシュケースを開けその親父に中身を見せつけた。

「か、金だ……本物の……」

親父は長門からアタッシュケースを引ったくり札束を数え始めた。
もちろん偽札である可能性も考慮に入れ確認は怠らない。

「このように叶えられない願いはない。何だって叶えてやる」
「な、ならもっと金が欲しいと言えば……」
「叶えてやる」
「よし! やってやるぞ!!」

アタッシュケースを大事そうに抱えながら親父はガッツポーズを決める。
その目は完全に\。
絵に描いたような金の亡者だ。

74 ◆EAG5DsvliU :2015/04/16(木) 05:18:42 ID:ihv9CmkY

「バッカモーーーン!!! 両津!!!」
「げえ!? 部長ォ!!?」

両津と呼んだ男と同じ制服を着たちょび髭親父が、何処からともなくロケットランチャーとマシンガンを持ち出し飛び出してくる。
そのままトリガーを引き、両津へと鉛弾をぶっ放す。だが両津も人間離れした神回避で逃げていく。
こうして、某派出所ではお馴染みの鬼ごっこが始まろうとしたところで、二人の姿が一瞬にして消えた。

「あの二人は説明の邪魔になるので先に島に送らせてもらった」

ざわついていた群集が静まり返る。
誰かしら、少なからず目の前で起きた現象に目を奪われた。

「さて、気づいている者も少なくないだろうが、お前達には首輪をつけさせて貰った。
 これはある一定条件を満たすと爆発する。
 一つは禁止エリアに入ること。禁止エリアは6時間ごとに放送を流しそこで指定する。それまでの死亡者の名前も流すので聞き逃すな。
 二つ、我々に従わない者は問答無用で首輪を爆発させる。このようにな」

軽い爆発音と共に一つの頭が弾け飛んだ。

「こ、ことりちゃん……?」
「う、うそ」
「いやああああああ!!」
「ハラショー……」

ことりと呼ばれた少女の首から上は無くなっていた。
変わりに赤い血と肉片の残骸、その肉片と一緒に悪臭を醸し出しながら、ところどころ焼き焦げた髪の毛が無残に散らばっている。
生前は目を引くような美少女であったであろう顔は、今はただの趣味の悪い見世物にしかならない。

「分かったな。お前達の命は私が握っている。
 下手に逆らおうとは考えないことだ」

長門とことりの死体以外、この場にいる全ての者達の体が透けていく。
この現象は前にも起こった。あの両津と部長を一瞬にして消したものだ。
そのことから、彼らは薄々これから殺し合いが始まるのだろうと理解し、この場から姿を消し去った。




【南ことり@ラブライブ! 死亡】


【主催】

【長門@艦隊これくしょん -艦これ-】
【提督@艦隊これくしょん -艦これ-】


※両津勘吉と大原大次郎は首輪、禁止エリア、放送についてのルール。及び見せしめを見ていません。
※両津勘吉は一億円の入ったアタッシュケースを持ったまま島に送られました。
※大原大次郎のロケットランチャーとマシンガンは島に送られた際に没収されました。

75 ◆EAG5DsvliU :2015/04/16(木) 05:19:19 ID:ihv9CmkY
投下終わりです

76 ◆777Wt6LHaA :2015/04/16(木) 14:11:11 ID:wO4TF4PI
地図投下します
ttp://download4.getuploader.com/g/spark/172/ani4cizu.jpg
青線はモノレールです

77 名無しさん :2015/04/17(金) 02:02:40 ID:IptqtqDI
MAP案を投下します
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org268691.png

78 ◆a1H5ynvB6A :2015/04/17(金) 18:55:42 ID:fRipwHbk
OP案投下します

79 ◆a1H5ynvB6A :2015/04/17(金) 18:57:01 ID:fRipwHbk
「突然だが今から君達にはゲームをしてもらおう」

全体的に薄暗いホールの前方にある壇上。
そこにだけスポットライトが浴びせられていて、白髪頭の初老の男はそう告げた。
そしてホールに集った者達は皆一様に唐突に投げかけられた言葉を理解しようとしていた。

(ついに始まるか、正真正銘のデスゲーム――殺し合いが……)

ただその中の一人、大田宗一郎は今から行われるゲームの内容について知っていた。
なぜ元海馬コーポレーションの重役ビッグ5の一人であるビッグ4の大田がそれを知っているのか。
それは大田がある目的からこのデスゲームを開催した主催者に協力しているからだ。

「君達にはこれから外界から孤絶された会場で最期の一人になるまで殺し合いをしてもらう、つまりはデスゲームだ」

ある種のざわめきを除けば、現在皆の不安で満ちたホールには先程から壇上の男の声しか響いていない。
そもそもここにいる参加者として集められた者達はついさっき多少の時間差はあるものの意識が戻ったばかりだ。
そのため現状を理解できずに戸惑って、現状を飲み込めず迂闊に口を開く事が出来ないのかもしれない。
だがそれにしてもいきなり理不尽なゲームに無理やり参加させられるところなのだ。
罵声や怒号の一つや二つ上がっても不思議ではないが、奇妙な事に誰からもそういった発言は出てこない。
それどころか皆一様にその場に突っ立ったまま壇上の男の話を聞いている。
異常な事に誰も動かず誰も喋りもしない。
だがその理由を知っている大田にとってはこの状況はただ単に想定されたものだった。
もっとも担当外の分野なので詳しくは知らないのだが。

「では詳しくルールの説明をしておこう。
 まずこのデスゲームだが、警視庁はもちろんスピードワゴン財団、聖堂教会、インキュベーター、765プロダクション、月峰神社、ダラーズ、大赦、ラブライブ!運営本部、鎮守府、共生の協力で開催される。
 また警視総監である私自ら説明している事からも、このデスゲームの重大さを実感してもらいたい。
 次に君達をそのまま殺し合わせるのは実力差から不都合があるので、こちらの方で多少手を加えさせてもらった。
 その代わり君達にはこのデイパックが支給される。
 この中には水や食料など様々なものが入っている、それこそデスゲームを有利に進められるような武器などのようなものもだ。
 そして君達に装着されている首輪についてだが――」

その瞬間、場の空気が一瞬緊迫した。
まるで歴戦の騎士の気迫に当てられたかのように。

「――ッ、このような令呪で私がいつまでも縛ら」

だがそれはすぐに霧散した。
今しがた壇上以外で初めて声を上げた高潔な騎士王の首と胴体が分かたれると共に。
そして次いでもう一つ首が飛び、無情にも説明は続けられた。

「では説明を続けよう。
 この首輪の前では誰もが平等に死ぬ事となる。
 今目にした通り、この中でも指折りの実力者であるセイバーでも、不死の吸血鬼であるDIOでも変わらない。
 その事を心に留めておいてほしい。
 この首輪が作動する条件は二つ。
 まずデスゲームを著しく妨害する行為を取った場合。
 次に開始から6時間ごとに行われる定期放送で指定されたエリアに入った場合。
 またその定期放送時にはそれまでの6時間で死んだ者も告げる事になる」
(早合点だったな、セイバー。
 これはお前たちの知っている令呪ではない。
 それにしても効果が弱まってセイバーが動くタイミングは予定通りだった。
 首輪の仕上がりは想定通りといったところか)

これこそデスゲーム開催にあたって大田が協力したもの、つまり首輪だ。
軍需産業時代の海馬コーポレーション兵器製造工場の元工場長として「工場の鬼軍曹」と呼ばれていた彼には様々な兵器に関するノウハウがあった。
それを今回の首輪開発に提供したのだ。
そしてそれはここまでほぼ予定通りの結果をもたらしていた。

80 ◆a1H5ynvB6A :2015/04/17(金) 18:58:06 ID:fRipwHbk
「最後にこのデスゲームで最期の一人となった者にはどんな願いでも叶える事を約束しよう。
 先程述べたように様々な組織が協力している私達ならばそれが可能だ」

このホールに集められた者達はデスゲームに参加するという手段を経て最期の一人という目的を達成しなければならない。
一方の大田もある意味では似たような立場にあると言える。
なにしろ大田が目的を達成するためには、この首輪が正常に作動する事が必要条件だったからだ。
そのためにわざわざ参加者の中に紛れて首輪の最終チェックを見届けているのだ。
他の参加者に手を出されないと知っていたが、それでも不安はあった。
だがそれももう終わりだ。
大田の見たところデスゲームのオープニングセレモニー的なイベントは予定通り滞りなく進められていた。
あとはある程度の経過を見守ったところで目的の報酬は与えられる事になっている。

「ではこれよりデスゲームを開始する。君達の健闘に期待している」

その言葉と共にホールにいた者の姿が一人また一人と消えていった。
大田はそれがデスゲームの会場に参加者が送られているためだと知っている。
そして同時にそれはデスゲームの本格的な開始を意味していた。

(それにしても協力組織に聞き覚えのないものがいくつかあったが……)

大田の知らないところで協力を申し出てきたのか、または参加者を殺し合いに仕向けるためのブラフか。
その真相がどこにあるのか太田は知らない。
だが今は目の前にまで迫った目的達成の瞬間が待ち遠しい。
そのために大田はこれまで苦労を重ねて――。

ボンッ

次の瞬間、壇上の警視総監が見守る中、ホールに響く虚しい爆発音と共に大田の首が宙を舞った。
次いで力を失った身体が床に倒れ込み、程なくして首が鈍い音を鳴らして落下した。
自分の死に関して何故という疑問を抱く暇さえなかった。
ただ死ぬ直前、ふとした拍子に見た光景が頭に残っていた。

(あれは、確かに……笑って……)

それは首輪の力を見せつけるために見せしめとして胴体から離れた生首。
不老不死の吸血鬼である悪のカリスマ、DIO。
その生首に張り付いた表情はまるでまだ生きているかのように笑っていた。
少なくとも大田にはそう見えて仕方なかった。

【バトル・ロワイアル 開始】
【残り61人】

【主催・進行】
【警視総監@こちら葛飾区亀有公園前派出所】

81 ◆a1H5ynvB6A :2015/04/17(金) 18:58:39 ID:fRipwHbk
投下終了です

82 ◆M4XZIlxfsw :2015/04/17(金) 20:56:11 ID:zErdc7jM
投下乙です。
OP案投下します。

83 ◆M4XZIlxfsw :2015/04/17(金) 20:57:05 ID:zErdc7jM
         ア・ア・アニロワ見るときは〜部屋を明るくして離れて見てね♪



闇の中に彼等はいた。

此処は何処なのか、自分は何時からこの場所にいるのか、何故こんな場所にいるのか、何も分からない。
状況を確かめようと周囲を見回してみても、この闇の中では朧げな人影を確認するのが精一杯である。
乏しい光から辛うじて判るのは、少なからぬ数の人間がこの空間に集められている、ということだけだった。

その場の誰もが自分の置かれた状況に困惑し、何らかの行動を起こそうとしていた、その時――

「諸君、目は覚めたかな?」

嘲りを含んだ声とともに、闇の一角が眩く照らされる。
突然出現した光の中では、巨躯を奇妙な衣装で包んだ男が一人、笑みを浮べて立っていた。

「ようこそ、私の『世界』へ」


美しい男だった。黄金の髪、怖ろしいほどに白い肌、その整った貌と隆々たる筋肉を纏いつつも均整の取れた肉体は
まるでイタリア・ルネサンス時代の巨匠が最高級の大理石から彫り出したような、完璧な『美』をこの世に顕現させている。
だがその場にいる者達が男から感じ取ったのは、美しいものが与える感動とは全く異なる『邪悪さ』――
心にドス黒い闇を持った悪人を惹きつけ、逆に正しい者や善良なる者を戦慄させる、禍々しい妖気だった。
その場の誰もが理解する。この男はただの人間ではない、魔人であると。言うなれば『闇の帝王』、あるいは『邪悪の化身』――

「テメェは……」
闇の中から、男のいる光へと近づく者があった。
光に近づくにつれ、闇に学生服と学帽、そして光の中の男に劣らぬ堂々たる体躯が照らし出される。

「テメェはDIO!!」
「そういう君は空条承太郎」

光の中に立つ金色の男・DIOは笑みを崩さぬままに
闇の中に立つ学生服の男・承太郎は怒りを秘めた無表情で
両者は光と闇の狭間で対峙した。

地響きのような轟音が聞こえそうな圧倒的なプレッシャーが、両者の間に流れる。

――しかし、その緊張を爆発させることなく、承太郎は口を開いた。
「何のつもりだ……」
「ほう……流石にこの状況で戦いを挑まないだけの冷静さはあるか」
承太郎の問いに嘲るような調子で返すと、DIOは彼を無視して他の者たちへと向き直る。


「失礼、自己紹介が遅れたね。
 私の名は『DIO』。君達『参加者』をこの世界へ招待した者だ」

闇の中に巻き起こる微かなざわめき、それを手で制し、DIOは言葉を続ける。

「諸君らをこの場に招いたのは他でもない。実は君達にちょっとした『頼み事』をしたいんだ。
 なに、そう難しいことを頼もうってんじゃあない……」

しばし芝居がかった短い間を挟んだ後、悪の帝王はその邪悪に満ちた目的の核心を口にする。


「つまり――これから君達には『殺し合い』をしてもらいたい」


その言葉に、場は静まりかえった。

84 ◆M4XZIlxfsw :2015/04/17(金) 20:57:47 ID:zErdc7jM
沈黙に自分の言葉が沁み込むのを悦しむように、DIOは笑顔で喋り続ける。

「なあ、全然大した事じゃあないだろう?
 世界中で誰もがやっている、『ありふれた行い』さ――それをしてもらいたい。
 私が君達に望むことは、ただそれだけなんだ――」
「DIO様!」

まるで神を拝跪するかのように、DIOの足元にしわくちゃの小さな影が身を投げ出した。

「なんだいエンヤ? 私の話に何か異存があるのかね?」
「めっ、滅相もない!DIO様の御為とあらば、この婆は命も惜しくはありませんですじゃ!
 じゃが……じゃが殺し合えというのは――」

エンヤと呼ばれた老婆はブルブルと震えたまま床に這い、汗みどろになって縋るようにDIOを見上げている。
その老婆に、DIOは不気味なほど優しい声で語りかけた。

「わかっているともエンヤ……深く愛しあっているお前たち母子を殺し合わせるなんて残酷な真似、私がするわけ無いじゃあないか……。
 だからこうしよう。『二名』だ」

そう言うとDIOは足元のエンヤ婆から目を離し、再び参加者全員を見渡す。

「二名……きっかり二名だ。参加者のうち生存者が残り二名になった時点で殺し合いは終了とする。
 つまり今から行う殺し合いより生還できるのは、最後に残った二名だけ――ということだ」

再びざわめきを取り戻した闇に向かって、DIOはいかにも楽しげに『殺し合い』の説明を続ける。

「二人が生還できる――どうだい? 『希望』の持てるルールだろう?
 愛する者を護ってもいい。信頼できるヤツ同士で組んでもいい。
 あるいはコバンザメのように強い奴に張り付いていくってのもいいかもしれないなァ――」

そう言いながら、DIOの目は少年少女を、戦友と共に連れて来られた娘達を、そして嘗て自分に忠誠を誓った男を
その場に集められた参加者達を蛇のように舐め回していく。

「おい!いい加減にしろ!」

だがそんな傲慢な帝王の独演に、割って入る者がいた。



「さっきから聞いてりゃ好き勝手なことばかり言いやがって!何が殺し合いだ!」

そう言いながらズケズケとDIOに近づいたのは、小柄だが厳つい身体に厳つい顔、角刈り頭に繋がり眉毛という
強烈なインパクトのある見た目の男だった。だが一見粗雑なその姿からは、何とも不思議な愛嬌が感じられる。

「……何か問題かね? 両津勘吉巡査長」
「問題しかないだろうが!」

DIOの放つ圧倒的な闇の妖気、プレッシャー――そんなものはどこ吹く風で、両津勘吉はがなり立てる。

「殺し合えといわれて殺し合うバカがどこにいる!こんなアホなことは今すぐやめてワシらをここから開放しろ!
 ついでにこの首輪も外せ!」

そう言う両津の首には、銀色に光る首輪が嵌められていた。いや両津だけではなく、この場にいる『参加者』のほぼ全員に首輪は嵌められている。

「ふむ、気に入ってもらえなかったかな?」
「当たり前だ!ワシに男に首輪つけられて喜ぶ趣味はなぁ〜い!」

85 ◆M4XZIlxfsw :2015/04/17(金) 20:58:22 ID:zErdc7jM
鼓膜を破らんばかりの両津の大声に、DIOは平静なままの声で冷たく応える。

「申し訳ないが両津巡査長、まだ説明が途中でね……静粛にしてもらいたい」
「なにぃ〜〜!?」

両津が一発ぶん殴るためにDIOに詰め寄ろうとしたその時、DIOのすぐ隣に蟠っていた闇の空間が明かりで照らされた。

「なっ……!」

思わず両津の足が止まる。
新たに照らされたその空間には一脚の椅子と、その上に座らされている幼い少女の姿があった。


「桜ッ!?」

闇の中で、顎鬚をたくわえた身なりのいい紳士が少女の名を叫ぶ。

その声に反応するように少女――遠坂桜――今の名は間桐桜――は俯いていた顔を上げる。
紫の髪に紅いリボン、仕立てのいい紫色のワンピースを纏った少女の愛らしい顔にはしかし
その年頃の子供にある溌剌とした表情も、それどころか人間らしい表情の一つも浮かぶことなく
ただ壊れた人形のような空虚がその瞳の中に映し出されているだけだった。

「貴様ぁ!その子供に何をした!!」
「おい誤解するなよ……この娘は連れてきた時からこうだったんだ」

両津の今までとは比べ物にならない怒りに満ちた怒号にも冷笑を崩さぬまま、DIOは少女の座る椅子の背後へと回る。

「全く困ったものだよ。これでは殺し合いにおいて使い物にならない……
 ――だが、君達が黙って話を聞いてくれるための人質程度にはなるんじゃあないか?」

次の瞬間、DIOの背後に人ともロボットともつかない異形の影が出現した。
その姿と突然の出現に、参加者達が大きくざわめく。

「な、何だそいつは!? お前の仲間か!?」
「これは私のスタンド『ザ・ワールド』
 『スタンド』とは生命の作り出すヴィジョン……まあ、超能力が可視化したものだと思ってくれればいい」
「超能力ゥ〜!? お前日暮の同類か!?」

両津の叫びに応えず、『ザ・ワールド』は拳を手刀の形にすると桜の座っている椅子へと振り下ろした。
まるでバターのように椅子の背もたれの上部分が切り飛ばされて床に転がる。
その手刀がもう少しずれていれば、背もたれごと少女の頭を切断していたことは誰の目にも明らかだった。

「では両津巡査長、そして暗がりの中にいる『正義の味方』の諸君も――
 今しばしお静かに傾聴願えるかね?」

倣岸に笑うDIOを睨みつけながら、両津は闇の中へと後退する。それと同時に暗闇の中からも悔しげな声が漏れ聞こえた。
その間、椅子に座らされた壊れた少女――間桐桜は自分の命が危機に瀕したというのに、身動き一つしなかった。

「……さて、今説明した『スタンド』だが――これは本来同じスタンド能力を持つもの同士にしか視認できない。
 だがこの会場においては全ての参加者がスタンドを目視することが可能になっている。見えないものに襲われて全滅――なんてのは味気ないからな。
 スタンドだけじゃあない。特殊な能力を持ったもの、強力すぎる力を持っているものには、ある程度の『制限』をかけさせてもらったよ。
 ――おい、どうやってかなんてのは聞くなよ。そこは重要な部分じゃあないんだから――
 全ては殺し合いの『公正さ』のためだ。『公正さこそルール』であり『ルールこそパワー』を生み出すんだからな……」

「今から君達『参加者』は殺し合いの『会場』へと送られる。
 送られた先には各々に食料等の活動に必要な基本支給品と『特殊支給品』の入ったデイパックが置かれている。
 『特殊支給品』は殺し合いの上で役に立つもの――武器や特別な性能を持った物品などで一人につき最大三つまで支給されている。
 もっとも、どの支給品がどのデイパックに入っているかは完全にランダムだがね……。役に立たない道具も混ざっているかもしれないが
 まあそれを引き当てたとしても腐らずに頑張ってくれ」

「君達が嵌めている『首輪』に内蔵された発信機で、君達の現在地と生死の如何は常にチェックさせてもらう。
 そして殺し合いの中で発生した『死亡者』は、6時間ごとに行う『定時放送』でその名前を読み上げる。
 パックの中には『参加者名簿』が入っているのでその都度チェックするといい……。
 参加者のうち生存者が『残り二名』になった時点で殺し合いは『終了』。生存者は『会場』より『帰還』できる。
 ――――どうだろう。大体のところはわかってもらえただろうか」

86 ◆M4XZIlxfsw :2015/04/17(金) 20:59:27 ID:zErdc7jM

最早反抗する者はいないと確信しての余裕か、DIOは桜の座る椅子の隣に立ち、微笑みながら滔々とおぞましい殺人ゲームの説明を続ける。
希望はないのか――参加者の中で心ある者達がそう絶望しかけた。その時だった。



「――少しいいかな」

「…………何かね」

DIOの説明を遮り、一人の男が闇の中から薄明かりへと姿を現す。

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

彼の姿を見て、その場に集められた誰もが仰天した。

オールバックに整えられた艶やかな黒髪。
大人のシブみを感じさせる、男前と呼んでいいマスク。
DIOや承太郎ほどの上背は無いが、鍛え抜かれた強靭な肉体。

そう強靭な肉体――その強靭な肉体を、彼は人目に惜しげもなく晒していた。
何故なら、彼は赤と黒の縞ネクタイと腕時計、そして股間部を覆う黒い海パン以外の何物をも身に付けていなかったからである。

海水浴の途中で紛れ込んだか――そう考えるにはネクタイが異様すぎる。
故に、その姿を目にした誰もが彼のことをこう考えざるを得ない。

(変態だーーーー!!)

と。


「君の名はDIOでいいのだな……。それなら私も名乗らせてもらおう。
 
        股間のモッコリ伊達じゃない!
          陸に事件が起きた時
         海パン一つで全て解決!
         特殊刑事課三羽烏の一人
          
            海パン刑事
                   只今参上!!」


(刑事かよ!!?)

あまりにも思いがけない彼――海パン刑事の正体に、ほとんどの参加者が再び驚倒する。

しかし当の海パン刑事本人は自分に向けられる奇異の視線など気にもせず、その眼光は一線に桜の傍にいるDIOへと向けられていた。
再び地響きのような轟音が聞こえてきそうな圧倒的プレッシャーが、両者の間に流れる。

「DIO、君と話し合いがしたい」

スッと――あまりにも自然な動きだったので誰も認識できないほど自然に――海パン刑事の両手が動いた。
右手は海パンの右側の縁に、左手は海パンの左側の縁に
そして、そうであることがあたかも当たり前のように
次の瞬間、海パン刑事は一切の躊躇無く海パンを脱ぎ去っていた。

「きゃあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
「うわあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

闇の中の参加者達から絶叫が上がった。
海パンを脱ぎ捨てた海パン刑事は勿論モロダシ。股間のダーティーハリーまで全てを臆すところ無く天上天下に曝け出している。
女性の悲鳴と男性の一部感嘆嫉妬混じりの驚愕、それらを背に受けながら
海パン刑事はフルチンのまま、一歩、また一歩と、ゆっくりDIOに近づいていく。

87 ◆M4XZIlxfsw :2015/04/17(金) 21:00:48 ID:zErdc7jM

「恐れることはない。私は見ての通り、武器の類は一切持っていない丸腰だ」

股間に残っている武器を揺らし、雄雄しい筋肉を何らかのオイルでてらてらと輝かせながら
海パン刑事は静かに少女を人質とした凶悪犯に語りかける。

「裸の心で話し合おう。
 心を裸にして話せば、きっと理解し合えるはずだ」

それは身体まで裸になる必要があるのか。
一歩、また一歩とゆっくり近づく海パン刑事に対して、DIOは倣岸に構えたまま無言でいる。
その姿は、圧倒的優位に立って殺人ゲームのルールを説明していた先程までと全く変わりがない。


(違う……)

だが、百戦錬磨のギャンブラーや決闘者など、あるいは死線を潜り抜けてきた戦士や英雄などの
勝負の『流れ』を読むのに長けた参加者たちは、場の空気が確実に変化したことに気づいていた。
圧倒的だったDIOの邪悪なオーラに、僅かだが、しかし確実に『動揺』が走っている。
DIOの放つ妖気が、ただ静かに歩むだけの変態に切り拓かれているのだ。

(DIOが……DIOが引いている!!)


「さあ、君も服を脱ぎたまえ」

一歩、一歩、一歩
ゆっくりと、だが確実に、海パン刑事はDIOに接近する。

そして

「お互い、生まれたときは何も着ていない素っ裸だったはずだ――」

射程圏内に――

「さあ、裸になって話し合おう。生まれたままの裸の心で――」

――入った!!


「トウッ!」

目にも留まらぬ速度で、海パン刑事は常人を遥かに超えた高度へと跳躍した。
そのまま中空で超高速前転し、その勢いを乗せたまま股間を大開脚し、DIO目掛けて流星の如く落下する。
まるで熟練の波紋使いのような身のこなし!そして開脚された海パン刑事のデンジャラスゾーンの軌道は、確実にDIOの顔面を捉えていた。
これぞ海パン刑事の必殺技の一つ、ゴールデン・クラッシュである。

全ては一瞬の出来事であり、DIOが気づいた時にはもう遅い。
DIOの眼前には海パン刑事のリーサルウェポンが既に迫っていた。
なすすべも無くDIOの顔面にゴールデン・クラッシュが叩きつけられ、意識を刈り取られた悪の帝王は床にぶっ倒れる。


そうなると、誰もが予想していた。


「『世界(ザ・ワールド)』ッ!!」



何が起こったのか誰も理解できなかった。

結論から言おう。海パン刑事のゴールデン・クラッシュは空しく宙を切るに終わった。
そして、その直撃を受けるはずだったDIOは――

「なッ、なぜだッ!?」


┣¨┣¨┣¨┣¨ ┣¨┣¨ ┣¨┣¨……


「一体何が起こったんだァーーーーーーーー!?」

一瞬のうちにッ!海パン刑事の背後へとその居場所を変えていた!

88 ◆M4XZIlxfsw :2015/04/17(金) 21:01:26 ID:zErdc7jM

DIOの顔は無表情で何も読み取ることが出来ない。その背後の中空にはザ・ワールドが衛兵の如く控えている。

誰も、何も認識できなかった。
催眠術だとか超スピードだとか、そんなチャチなものでは断じてない。
もっと恐ろしいDIOの『能力』、その片鱗を目にして、誰もが息を呑む。


そう――――彼等以外は。

「今だ両津!」
「おう!」

DIOがスタンドもろとも椅子の傍から離れたその瞬間、両津勘吉は動いていた。
超能力に驚いてる暇などありはしない。
彼等の目的は最初からただ一つ、人質の少女――間桐桜の救出だった。

ほとんど野生動物的なスピードで椅子に駆け寄ると、両津は桜を抱き上げてしっかりと抱える。
そして矢のような速さでDIOから距離をとり、安全圏へと脱出した。
ごつい見た目からは想像もできないほど俊敏に行われた一連の救出作戦に、他の参加者達はしばし呆気に取られる。
だが一拍後、その場にいる誰もが理解した。悪党は倒せなかったものの、その魔手から人質の少女は助け出せたのだと。


「嬢ちゃん!大丈夫か!おいしっかりしろ!」

両津は腕に抱きかかえた人形のように無反応な少女に、大声で話しかける。
どうしようもなくダミ声で、耳を聾するようにうるさく、そして切実なその声に
今まで無反応だった桜がはじめて顔を上げ、両津を見た。

「おじ――さん――?」
「おう!お嬢ちゃん、もう大丈夫だ!もう心配いらねえぞ!」

そう言ってガハハと笑う、そのあまりに無骨で明け透けな両津の笑顔を見て
曇った硝子玉のようだった少女の瞳に、長らく失われていた輝きの光が再び灯った。




ピ――――――――――――――

耳障りな電子音の後に爆発音が続き、頚部を爆破された桜の頭部が床に転がった。
首の切断面からは血が噴き出し、抱えている両津の腕を赤く染めている。

「な――――――――」

何が起こったのか理解できない両津を光が包んだ。
まるで悲劇役者を、あるいは喜劇役者を映し出すように
呆然とする両津勘吉と、その腕に抱きかかえられた間桐桜の首の無い死体
そして流れ出る血の海に転がった、リボンを結わえた桜の首が、闇の中に照らし出されていた。


一瞬の静寂の後、再び悲鳴が巻き起こる。
だがそれは、先程とは比べ物にならない恐怖と絶望の絶叫だった。

悪魔の手から救い出されたと思った少女が、目の前で無惨に殺された――
照らし出された惨劇にただ叫ぶ者、涙を流す者、堪えきれず嘔吐する者、怒りに震える者、喜悦の声を噛み殺す者、あるいは何も感じない者

「桜――――」

その喧騒の中、眼前で娘の命を奪われた魔術師――遠坂時臣は小さく娘の名を呟いただけだった。
決して取り乱すまいと超人的な精神力で自分を律してはいたが、暗闇の中で彼の姿を観察している者がいたとすれば
彼が奥歯を砕けんばかりに噛み締め、その両手を爪が掌を突き破るほど固く握り締めていることに気がついただろう。

89 ◆M4XZIlxfsw :2015/04/17(金) 21:02:15 ID:zErdc7jM

「ククク…………」

そんな人々の恐慌を鎮めたのは、魔人の哄笑だった。

「アハハハハハハハハハハハハ―――――――――!!!!!!!!!」

DIOは笑う。目の前で起こった出来事が、愉しくて悦しくて仕方がないと言うように。

「クククク……失敬失敬。すっかり言うのを忘れていたが――
 君達の首輪には追跡装置以外に爆破装置も仕掛けてある。
 そして何時だろうと何処だろうと、私の意志一つで自由に爆破できるのさ……ご覧の通りにね」

三度起こった悲鳴を、DIOはまるで心地良い音楽でも聴くかのように楽しむ。

「さて、この首輪が爆破されるのは以下の三つの場合だ。

 ① 主催者に対して反抗的な態度をとった場合。
 ② 脱出しようと、地図に記された『会場』以外の場所に出た場合。
 ③ 我々が定めた禁止エリアに入った場合。

 禁止エリアについては詳しく説明しよう。
 『定時放送』の際、死亡者の名前と一緒に禁止エリアに指定される場所と禁止エリア化する時刻を発表する。
 つまり時間の経過につれて禁止エリアは増えていく――逃げたり隠れたりすることは難しくなっていく、ということだ。
 だから『定時放送』は聞き逃さないほうがいいぞ? 知らぬままウッカリ禁止エリアに入って爆死するなんてマヌケの死に方だからな……」

「それと――自分には首が無いから大丈夫、なんて思うヤツがいるかもしれないが、そういう考え方はしないほうがいい」

DIOの言葉に、ネコミミ型のフルフェイスヘルメットを被った影が微かに反応する。

「首輪を付けられない者にはそれ以外の特殊な処置が施してある。
 また自分達は首を千切られた程度では死なない――と思ってるヤツもいるかもしれないが君達も同じだ。
 諸君ら全員に、必ず死に至るような仕掛けが施されている。ハッタリだと思うなら試してみるかい? お奨めはしないがね……フフフ」

冷酷極まる邪悪な帝王の笑いが、それが嘘やハッタリでないことを何より雄弁に物語っていた。
既に、DIOに歯向かおうとする者はいない。
少なくとも、今、この場では。



「――ただ説明するだけだったはずが、少々長くお付き合いさせてしまったね。
 では最後に――『褒賞』の話をしよう」

そう告げると、DIOは再び参加者達を睥睨する。

「ただ殺し合え、生き残れと言われても気乗りのしない者もいるだろう。
 だからほんのささやかではあるが『生還者』に対しては『褒賞』を出すことにしたよ……。
 『どんな願いでも一つだけ叶えてあげよう』。
 無論、土くれの偽物なんかじゃあない。本当にどんな願いでも叶えてあげるよ、ただし『一つだけ』ね……」

「生還を許されるのは『二人』だが叶えられる願いは『一つだけ』――
 済まないね、こちらとしても願いを叶えるのは一つで精一杯なんだ。
 もしも『二人』の生還者の願いが異なるものだった場合は――『何らかの手段』で一つに決めてもらうしかないな」

まるで玩具を見下ろすかのように、DIOはその冷笑を止めない。

「『一つだけ』――だがその『一つだけ』は必ず叶えよう。
 たとえそれがこの世界の条理に反するものだとしても、だ。
 信じられないかい? だがそれが可能になるのさ。
 この殺し合いが終わる頃にはね――――」

90 ◆M4XZIlxfsw :2015/04/17(金) 21:02:57 ID:zErdc7jM
「この場に集められた者達は皆、特別に選ばれた『強いパワーを持った魂』の持ち主だ。
 全部で62名、そのうち60名の――おっと、さっき娘が一人首輪の爆破で死んだから残り59名か――の魂が捧げられることによって
 どのような願いでも叶えることが可能になるのさ。例えば――」

DIOの声がまるで囁くような、親しげなものへと変わる。

「死んだ人間を、既にない愛する者を甦らせたい――そう願ったことはないか?」
母を亡くした少女に、弟を亡くした少女に、恋人を失った男に、聖なるものを失った狂人に、DIOは優しく語りかける。

「あるいは、変わってしまった自分の身体を元に戻したい――普通の人間に戻りたい、なんてのはどうかな?」
戦うために、祈りによって、呪いによって、過酷な運命を背負わされた少女達に、その声は妖しく響く。

「至高の美を、不老の肉体を、世界の全てが自分に跪く絢爛たる永遠を手にしたいとは思わないかね?」
若く美しいアイドル達の耳を、誘惑の言葉が撫でる。

「もっと大きく出てもいい。『いかなる戦争、いかなる脅威をも根絶された、恒久的に平和な世界』――そんな夢を実現することも不可能ではないのだよ」
くたびれた無精髭の男に、戦うために存在する少女達に、邪悪な視線が向けられる。


「――まぁ、『信じられない』と言うのならそれでもいいさ。
 いずれにせよ君達が生きて還るためには、最後の二人になるまで殺し合わなけりゃならない。その事実は変わりはしないんだからな……
 長々と話してしまったが、これで説明は終わりだ。何か質問は――」

闇の中、一人の男が前に出る。学生服の偉丈夫、空条承太郎だった。

「――何かな? 承太郎」
「俺達の魂が目的なら、何故わざわざ殺し合わせる必要がある。
 テメーが全員の首輪を爆発すれば済む話だ――それなのに何故こんな回りくどい真似をする?」

生殺与奪を握られた――そんな状況においても、承太郎に揺らぎはない。

「それはな承太郎、『殺し合い』の中――命を奪い合う『戦い』の中でこそ、『もっとも強いパワー』が生まれるからだ」

DIOの言葉は相変わらず嘲りを含んでいるが、その中に偽りはない。

「“新しい時代の幕開けには必ず『試練』があり、それは必ず『戦い』と『流血』を伴う。
  『試練』は『供え物』だ。りっぱであるほど良い――”

 確かアメリカ合衆国23代大統領ファニー・ヴァレンタインの言葉だったか……よく言ったものだ。
 諸君らがこれより行う『殺し合い』とは、この『試練』に他ならない」

「しかし『試練』という言葉は少々大時代的過ぎるかな?
 それならばこの『殺し合い』は何と呼ぶべきか――

 命をチップにした『狂気のギャンブル』――
 あるいは『闇のゲーム』のほうがいいかね――

 いや、矢張りこう呼ぶのがもっとも相応しいだろうなぁ……」

今や全ての準備は整った。
邪悪の化身は選ばれし『参加者』達に宣告する。
死ぬよりも恐ろしい悪夢の開始を。

「では諸君、ゲームを始めようじゃないか。
 ようこそ『バトルロワイアル』の世界へ!!」


次の瞬間、空間を照らしていた光は全て掻き消え
世界は、血の匂いのする闇に包まれた。



【間桐桜@Fate/Zero 死亡】

参加者――【残り61名】

主催者【DIO@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】

         
         【バトルロワイアル 開始】

91 ◆M4XZIlxfsw :2015/04/17(金) 21:03:29 ID:zErdc7jM
投下終了です。

92 ◆YMrTHmirjk :2015/04/17(金) 22:12:21 ID:VdP2boIQ
OP案投下します

93 ぼくと契約して、バトルロワイアルをしようよ! ◆YMrTHmirjk :2015/04/17(金) 22:13:32 ID:VdP2boIQ

「あなた」は暗闇の中で目を覚ます。
縛られているのか、身体は動かない。息はできるが、声も出せない。
唐突に訪れた束縛の中、なんとか状況を把握しようとした「あなた」の目の前に小さな猫……のような獣が現れた。

「やあ、目が覚めたね。突然で申し訳ないんだけど、君にはこれからあるところで殺し合いに参加してほしいんだ」

暗闇の中に赤い双眸が輝く。その獣は人の言葉を喋った。

「ぼくはキュウべえ。この殺し合いを円滑に進めるための調整役と思ってくれればいいよ」

キュウべえは小さな口で背後に置いてあったデイバッグをくわえ、引きずってくる。

「この中には数日分の食事と水、地図やライトなんかの基本的な道具が入ってる。
 それと一人ひとりに特別なアイテムも入れてあるよ。武器だったり乗り物だったり、まあ何かと役に立つものさ。
 君にはこれらを活用して、ぜひ最後の一人になるまで頑張ってもらいたいんだ」

キュウべえはデイバッグを「あなた」の足元へと押し付ける。
何かを問い返そうにも、言葉は喉元でせき止められたかのように発することができない。

「ごめんね、質問はできないようにしてあるんだ。
 これは君以外の他の参加者も同様でね、余計な情報を与えないためなんだ
 これから君を会場へ移動させるんだけど、向こうについたらそのバッグの中にルールを書いた本が入ってる。
 詳しいことはそれを確認してほしい」

キュウべえは短い前足で首を掻く…それは何らかの仕草に見えた。

「ここ、首のところにね、首輪があるのがわかるかい? ぼくじゃないよ、きみのね」

キュウべえがそう言うと、「あなた」は自分に首に金属の首輪が嵌められていることに気づく。

「その首輪には爆弾が仕掛けられているんだ。ある程度の緊張感がないと誰も真面目にやってくれないからね」

キュウべえがそう言うと、闇の中にパッと光が灯った。
「あなた」は思わず目を細める。その光の中心には、椅子に座らされ縛られた男性がいた。

「き、貴様ら! 私をロード・エルメロイと知っての狼藉か!? 私にこんなことをして、魔術協会が黙っていると思うなよ!」
「よく見ててね。もし君が首輪を外そうとしたり、後で指定する禁止エリアに入ったりすると……」
「おい、貴様! 聞いているのか! 私は時計塔の」

94 ぼくと契約して、バトルロワイアルをしようよ! ◆YMrTHmirjk :2015/04/17(金) 22:14:05 ID:VdP2boIQ

キュウべえはどこからともなくボタンの付いた小さな機械を取り出して、前足で押した。
ボンッ!
爆竹が弾けるような音がして、縛られていた男がゆっくりと倒れた。
その首から上はなくなっていて、血が噴水のように吹き上がっていた。

「こうなるから、気をつけてね」

キュウべえの言葉が遠く聞こえる。
「あなた」の意識は、転がってきたロード・エルメロイと名乗った男の生首に釘付けになっていたからだ。

「もちろん、ぼくも無茶なことを言ってると思うよ。でもこれは、君にとっても得のある話なんだ。
 もし君が最後の一人になったら、ぼくは君の願いを何でも叶えてあげるよ!」

キュウべえはにこやかに言う。

「ぼくの言ってることが信用できないかい? それも当然だね。じゃあひとつ証拠を見せよう」

キュウべえはまた新たなスイッチを取り出して押す。
すると、転がっていた男の生首がひとりでに転がりだして、胴体に戻っていく。
「あなた」の見ている前で、男のまぶたがゆっくりと開かれる。

「……う、うう? 私は一体……?」
「この通り、死んだ人間だって生き返らせることができる! ぼくらは既に時間と因果を支配しているからね。不可能はないよ」
「お、おい貴様! いま、私に一体何をした!?」
「やれやれ、うるさいなあ。ケイネス、君は先に次の人のところに行っておいてよ。あと60回同じことを繰り返すんだから手間を取らせないでほしいな」

キュウべえが煩わしそうに言うと、男を照らしていた光が消え、男の気配もなくなった。
キュウべえが「あなた」に向き直る。

「これで一通りの説明は終わりかな。さっきも言ったけど、詳しいルールは配布した資料を読んでくれればわかるよ。
 ……さて、そろそろ時間だ。君を会場に送るね。他の参加者とは同時にスタートするから、時間的な有利不利はないよ」

キュウべえはふるふると前足を振った。それは別れのサインであるようだった。

「それじゃあね。君の願いがエントロピーを凌駕することを祈っているよ!」

それを最後に、「あなた」の意識は途絶えた。
こうして、バトルロワイアルの幕が上がった。



【ケイネス・エルメロイ・アーチボルト@Fate/Zero 死亡】
主催者【キュウべえ@魔法少女まどか☆マギカ】
         
【バトルロワイアル 開始】

95 ぼくと契約して、バトルロワイアルをしようよ! ◆YMrTHmirjk :2015/04/17(金) 22:14:52 ID:VdP2boIQ
投下終了です

96 ◆kdN026sJVA :2015/04/17(金) 23:55:42 HOST:KD124211244016.ppp-bb.dion.ne.jp
投下します

97 ◆ur4vKVfv.g :2015/04/17(金) 23:56:38 HOST:ZM012197.ppp.dion.ne.jp
OP案投下します

98 ◆kdN026sJVA :2015/04/17(金) 23:56:46 HOST:KD124211244016.ppp-bb.dion.ne.jp
 「目覚めよ」
黒髪の男が語り掛けると、そこにいた数十名の男女は一斉に目を覚ました。
みな不思議そうに辺りをきょろきょろ見渡し状況の確認を急いでいたが、間髪入れずに続けられた言葉に思考を停止する。
 「これから君たちには殺し合いをしてもらいます」
男はとても愉快そうに、非常識な事を言う。
 「名乗り忘れていました。 私の名はクロウ・リード。 魔術師です。 それでは殺し合いのルールを語らせていただきます」
一同が呆然とする中、クロウは続ける。
 「ルールは単純。 最後の一人になるまで殺しあっていただくだけです。 無論、優勝者には賞品を用意してます。
 三つだけ、願いを叶えて差し上げましょう。 どんな願いでも結構です。 まぁ私を殺したいという願いでもお受けしますよ?」
そして男は首輪を指さす。
 「皆さんが付けている首輪。 それが枷です。 殺し合いの会場から出た時点で爆発します。
 あと六時間ごとに放送を掛けます。 そこで死亡された方を発表させていただきます。
 さらに禁止エリア、というものも発表します。 そこに一歩でも踏み入っても首輪は爆発しますのでご注意を。
 あぁ、放送から30分は無事なようにしますのでご安心を。
 このホールから順番に出て行ってもらいますが、ホールから出た時点で殺し合いのスタートです。
 その際にディパックをお渡しします。 中には筆記用具と水と食料が入ってます。
 あと便利なアイテムが三つ入ってますので、ご利用ください。
 えぇっと、なにかご質問はありますか?」

そこで猶予が与えられて一同がざわつく。
困惑するもの、泣き出すもの、そして…憤慨する者。

 「てめぇ! ふざけんじゃねぇぞ!」
 「待って、城之内くん!」
 「でもよ、遊戯! 殺し合いさせるだなんてトンチキなこと言い出す奴、許せるかよ!」
城之内と呼ばれた少年はまっすぐクロウを指さし言い放つ。
 「おまえを倒して、こんなふざけたこと、辞めさせてやる! 俺のターン、ドロー!」
そういっていつの間にか持っていたカードから一枚を抜き出す。 次の瞬間
 「レッドアイズ・ブラックドラゴン!」
 「ワンターン召喚?!」
 「そうだぜ、海馬! お前との戦いの為に編み出したとっておきだ!」
 「凄いよ、城之内君! 早すぎて全然見えなかった!」
 「おうよ! さぁクロウ・リード! これでもくらって目を覚ましやがれ黒炎弾! プレイヤーにダイレクトアタック!」
突如、何故か出現した巨大な竜が猛烈な炎を浴びせる。 しかし
 「なるほど。 この会場内でカードが使えるように実体化するようにしていることを察知していたとは流石です。 ですが」
巨大な鏡が突如出現し、あっさりと炎は打ち消された。 打ち消された。
 「な、なにぃ?!」
少年に驚愕の暇はあまりなかった。 間抜けな音がして城之内の首から上が消し飛ぶ。

 「城之内くぅぅうぅぅぅぅぅぅん!」
遊戯と呼ばれた少年の声が空しく響く。
 「残念ながらこのホールの中での攻撃行為、ならびに運営に対する攻撃は即座にBANです。
 おや、もう聞こえてないですかね。 注意し忘れていました。 すみません」

99 ◆kdN026sJVA :2015/04/17(金) 23:57:24 HOST:KD124211244016.ppp-bb.dion.ne.jp
反省する様子もなくクロウは続ける。
 「質問などはもうないですね? まぁ私自身への文句や苦情はここでおっしゃられても、はぁそうですかとしか返せません。
 あとこの殺し合いの運営・管理は他の方に委託しております。
 私が直接管理してもいいのですが、それでは紅茶が飲めませんからね。
 ご紹介しましょう。 共生の方々です」

ぞろぞろと現れた黒服サングラスの面々に一同の中で一際異彩を放つ老人が驚愕の表情を浮かべる。
 「おまえたち!? なぜわしを裏切った!」
黒服の一人が申し訳なさそうに口を開く。
 「見せられたのです、鷲巣さま!」
 「見せられただと?!」
鷲巣はなおも驚愕の表情を浮かべる。
黒服の男は恐る恐る、しかし確実に言葉を紡ぐ。
 「そうです! 鷲巣様が息絶え、そしてアカギめがあろうことか鷲巣様の後頭部を踏みつけている姿を!」
 「なんじゃとおお?!」
鷲巣はぐらんと揺れ、そして倒れそうになるも踏みとどまった。
 「鷲巣様は東京大空襲の中、ごく普通に歩かれていても無傷でおられましょう! それほどの強運! それほどの豪運!
 なれど、そのアカギめには勝てないのだと、このクロウ・リードの予言に出てしまったのです!」
老人は怒りの表情を浮かべながらも、しかし恍惚として顔を緩める。
 「そうかそうか。 ここでなら、アカギをアカギの奴を…フフフ…殺れるということ!」
 「その通りでございます、鷲巣様!」
主従の微笑ましい一幕は幕を閉じた。

 「よろしいですか? では彼らにこれから先の運営はお任せしました。 
 参加者の皆さんはこれから名簿をランダムに読み上げますので、呼ばれた方は出口に向かってください。
 扉を抜けた先は各人違う場所になりますので、扉の先で待ち伏せしても効果は薄いと思いますよ?」
クロウの最後の付けたしに、幾人かが当てが外れたようにため息をつく。
 「それではお願いしますね」
クロウは黒服たちにそういうと、舞台から立ち去った。

100 ◆kdN026sJVA :2015/04/17(金) 23:58:33 HOST:KD124211244016.ppp-bb.dion.ne.jp
舞台を降りたクロウは、いや、もはや姿を少年のそれに変えていた。
その黒髪の少年に、白い、なんとも奇妙な動物が人語で語り掛ける。
 「お疲れ様、いや、これからが本番かな?」
赤い瞳で見つめる。
 「えぇ、これからです。 柊沢エリオルとして、参加者としてのバトルロワイヤルはね」
 「それにしても面倒なことをしたものだ。 そのまま主催としてさくらという少女を見守ればいいものを」
 「それが出来ないと判断したから、クロウはこのような場を設けたのですよ」
エリオルはそう答えて、「扉」の前に立つ。
 「影武者の方が扉を通られた後に、僕がここを通る。 それでバトルロワイヤルスタートです」
少年は扉をくぐった。

バトルロワイヤル
スタート


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