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§■Apostolo〜堕天使の末裔〜■§

115世紀ルネサンス・ファンタジー:2014/03/30(日) 09:10:04 ID:2t681DM20


 ――――ルネサンスの時代。

 イツァーナ国にルネサンスの黄金時代を築いた都市があった。文化の中心地、≪フィレンツィア共和国≫である。

 だが、そんな平和な街で事件は起こった。それは、一年前、フィレンツィア共和国の中流貴族令嬢アレッサンドラが居なくなったというもの。人々は懸命に彼女を捜し出そうとしたが結局見つからぬまま。だがあれから半月後、アレッサンドラの無惨な遺体が路地裏で発見された。死後数時間は経過している状態で、内臓の一部が取られていた。

 そして同様の事件は続いた。また被害者が名門メディシア家の傍系の家柄であるという事実から政敵の仕業ではと事態を重く見たメディシア家当主ピエディ・メディシアは、事件解決のため極秘に組織を結成。組織の名は≪アポストロ―聖使徒―≫。

 組織アポストロはあらゆる身分、職業の者から構成された組織で、捜査員は一般人に紛れつつ怪奇事件の謎を解決していく。だが、その事件の裏に隠されていたのは、恐るべき事実、陰謀であった。

 謎のカルト教団と上流貴族ボルジェアーノ家との繋がり。この地に古より言い伝えられるネフィリム封印伝説との関連。事件に関わる鍵が一次元的に明らかになっていく。だが陰謀の魔の手は着実に平和な街に忍び寄ろうとしていた。しかも街の中にとどまらず、それはヴェニー チェやロマーナにまで及ぶことに。果たして、事件解決にはなるのか――――?


サブ記事はこちら→ http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/16646/1396099628/l50

10ロレンツァ・デ・メディシア ◆u56OX14V9U:2014/04/06(日) 22:40:46 ID:qCtOFXTY0
【フィレンツィア共和国/中央区/メディシア宮殿】


 ジョヴァンニと湖へ出掛ける約束をしていたのだが、遅れてしまいそうだ。準備は完了している。問題はそこではない。父上が大事な話があると、呼び出したのだ。大事な話とは何であろうか――私は疑問に思いながら、恐る恐る父の書斎へと足を運ぶ。

「失礼します」

 ノックのあとに返ってきた返事で私は扉を開けると、そこにいる父に視線を移した。表情を見ただけで真剣さが伝わってくる。怖いくらいだ。

「どういった御用件ですか。大事な話とは……?」

 緊張していたこともあり身体に力が入り、眉間にしわを寄せていることに気付かないまま私は父に問い掛けた。
 だが父はそんな私の様子を見て、少し楽にしたらどうだと提案して来る。一応それに従おうと小さく深呼吸するも、相手が何を言おうとしているのかわからない状態でそうするのは難しくはないだろうか。

『お前もそろそろメディシア家の後継者としての自覚をもってほしいと思っている』
「……?」
『――メディシア銀行の運営をいづれお前が継ぐことになるだろう。そこで、お前には、託しても安心できるほどに銀行業に関して学んで貰う必要がある』

 メディシア銀行を継ぐ。いつか言われると予想はしていたが、それが今日であったとは想定外で、驚くばかりだ。私は「はい」と生返事をするだけで、なにも言えなかった。

『ロレンツァ。これから私の信頼している者が支店長をつとめている銀行で働いてもらう。親切に教えてくれるはずだ……ためになるぞ?』
「私が……銀行で――」

 ということは、普段のように自由気ままな時間はなくなるということか。アポストロの協力者として働くことも少なくなるのか。私は、何処か寂しい気持ちになったが、これもメディシア家の後継者の義務だ。異論を唱える余地など何処にもないではないか。

「……かしこまりました。私のために感謝します……」
『明日の朝、再び部屋へこい。お前が世話になる者に会わせよう』
「はい」


>ALL様

12ヴェネティ伯爵夫人:2014/04/09(水) 04:30:06 ID:MqF/iyJE0
【トスカーヌ地方/森林地帯/湖】

わたくしはホッとして、ジョヴァンニに頷いて見せる「ええ、そうしていただくと嬉しいわ」。
ドレスの中にまで泥が入ってしまい、流石に脱がなければ身体を綺麗にできないし、そんなところに誰かが来てしまったら・・・

「では、しっかり見ていてよ?」

まさかジョヴァンニは覗いたりしないわよね? いえ、彼に限ってそれはないわ。
わたくしは周囲を見回して、思い切ってドレスを脱いだ・・・はあ、こんなに泥だらけになって!

そっと、水に足先を浸ける・・・冷たいけど大丈夫そうね。さっさと泥を流してしまいましょう。
手で水を掬って胸や腿に散った泥を落とす。こんな場所で水浴びとは!
ひと通り水に浸かったはいいけれど、他に汚れているところはないかしら?
背中から臀部にかけてとか・・・自分では見えないわ。わたくしの身体が泥で汚されるなんて我慢できない!

「ねえ、ジョヴァンニ! わたくしの背中を見てもらえませんこと?」

わたくしは水から上がると、ジョヴァンニが貸してくれた外套で身体を隠しつつそう尋ねた。

>ジョヴァンニ

13ジョヴァンニ ◆u56OX14V9U:2014/04/09(水) 08:30:05 ID:oGxjyLEA0
【トスカーヌ地方/森林地帯/湖】


 背後から水の音がぱしゃぱしゃと聴こえる。私の後ろでは、チェチーリア様が無防備な姿で水浴びをしているのだ。見ていないだけに気になったが、見るわけにはいくまい。見たらどうなるだろう――。
 好奇心旺盛な心を抑制しながら、私は彼女に声を掛けられるまで耐え続けていた。

「背中……ですか……?」

 緊張する。隠しているであろうとはいえ、女性の普段隠れている肌を見ることになるのだから……。
 私は一旦唾を呑み込み、後ろを振り返った。

「構いませんよ……」

 私の頬は紅潮していただろうか。少しあついのだ。そんな顔はチェチーリア様には見せたくはなかったが仕方がない、どうしようもないのである。
 彼女の背中を覗いたとき、驚くほどの白く決め細やかな肌に驚いた。まるで弟の描く女性が今現実に肉体をもって目の前にいるようであったから。簡単に言うとすれば、綺麗、であろうか。
 そして恐る恐る臀部へと視線を滑らせてゆく。滑らかな曲線が目にはいる……水浴びによる水滴が幾つかついているが、汚れは見当たらない。まるで実ったばかりの果実のようだ。

「大丈夫ですよ?」

 それだけ相手に言うと、まるで逃げるかのように彼女から顔を背けた。


>チェチーリア様

14アドリアーノ ◆u56OX14V9U:2014/04/12(土) 13:21:57 ID:.55P6J5g0
【フィレンツィア共和国/アロノ地区/ボルジェアーノ邸付近】


 気がつけば私はまたこの場所へと足をのばしていた。ボルジェアーノ邸――思い人の住んでいる場所である。
 指折りの名家の邸宅だけあり、立派でそれでいて芸術的なほどに美しい建物。けれども私にはそれが、高く聳える要塞の様に思えて仕方がない。私が侵入することを拒み、私を睨み付けている、そんな気がした。あの枢機卿や、当主の様に――。

「ルクレツィア……」

 私は邸宅を見上げながら小さく呟いた。愛しい彼女の名前を。
 正直、私がここまで恋で苦しんだことは一度もなかった。ずっと頭の中で、一人の女性を思うことなどはじめてであったのだ。

「ルクレツィアがあの玄関から出てきたら……」

 そんな期待を抱きながら、私は邸のそばから離れず見つめていた。


>ALL様

15ルクレツィア・ボルジェアーノ:2014/04/16(水) 05:11:31 ID:aTw5jEqM0
【フィレンツィア共和国/アロノ地区/ボルジェアーノ邸】

早く、この家から出て行きたい・・・貴族階級なんて面倒なことばかり!
アドリアーノ・・・彼は私に今まで知らなかった庶民の楽しさを教えてくれた。もう、会うことは叶わないの?
でも、この家は私の外出を許してくれない。以前はアロノ公園に散策にでかけたりしたものだが、恐ろしい事件が会ってからというもの、外出禁止令が出てしまったのだ。

「少しなら・・・大丈夫よね?」

今はお母様もお兄さまも居ない。ラウレッタ叔母様に頼み事をされた、と適当な理由をつけて外に出よう!

「いいかしら? お母様のお言いつけでラウレッタ叔母様に届け物があるの。馬車を呼んでください」

使用人達はお母様と叔母様の仲が良くないことを知っているので、あっさりと了承してくれた。
さあ、あの人を探さなくては!

>ALL様

16ヴェネティ伯爵夫人:2014/04/16(水) 05:23:33 ID:WJRo26Uw0
【トスカーヌ地方/森林地帯/湖】

どうしたのかしら? いつものジョヴァンニとは違うわ・・・なんだか声が上擦っているようで。
わたくしの背中にまだ泥がついているかどうか、それだけのことなのに。

そこで、わたくしは悪戯心を起こした。

「どうしたの? ジョヴァンニ・・・そんなにわたくしのこと、見るのも厭なのかしら?」

気がついた・・・ジョヴァンニの挙動不審さ。思わず笑いたくなってしまったが、そんな彼が愛おしいと思っているのも事実だった。
わたくしは腕を伸ばして彼の手を捉える。

「女には慣れていらっしゃらないのね・・・教えて差し上げましょうか? mio bene(愛しい人)」

そのままジョヴァンニの首に両腕を回し、その唇を吸う。随分と身体が固まっているのねえ・・・

「ねえ、ジョヴァンニ。女に恥をかかせるのは殿方としてどうかしら? 冷たい身体でも良ければ、だけど」

わたくしは囁くような声でジョヴァンニの耳元で、そう誘惑した―

>ジョヴァンニ

17アドリアーノ ◆u56OX14V9U:2014/04/16(水) 23:33:47 ID:COHj5HG60
【フィレンツィア共和国/アロノ地区/ボルジェアーノ邸付近】


 ボルジェアーノ邸のそばで、ルクレツィアが現れることを期待して待っていると、使用人たちが馬車の準備をしているところが目に入った。誰かが出掛けるのであろうが誰であろう。ルクレツィアであったらすぐに声をかけたいものだ。偉い聖職者が私を睨んだとしても、そんなことは気にしない。彼女を絶対私のものにしてみせる。彼女のことを考えない日は一度もなかったのだ。

 すると私の期待通りの人が目の前に現れる。金色の美しい髪の若い貴婦人が邸の玄関から出てきたのだ。私は嬉しくなり心が弾み、彼女に気づいてもらおうと相手の名――ルクレツィアを呼びながら手を振った。

「ルクレツィア!」


>ルクレツィア

18ジョヴァンニ ◆u56OX14V9U:2014/04/16(水) 23:57:41 ID:O8A2HS9c0
【トスカーヌ地方/森林地帯/湖】


「いえ! 貴方を見るのが嫌だなんて……とんでもございません!」

 彼女に失礼な態度をとってしまったであろうか。けれど生の女性の身体に慣れていない私には無理もないことだと自分を慰める。そんなことを思いながら、私の視線は地面に向けられたままだ。チェチーリア様の体は、芸術的なほどに滑らかできめ細かくて、人の目がなければ思わずうっとりと見つめてしまうくらいだ。なのに素直になれない私は彼女の言葉に対して強く否定することは不可能であった。
 すると、唐突に彼女は私の手を取ると"女には慣れていないのね"と図星なことを言われてしまい正直益々顔をあげられない状態になってしまった。それに、教えて差し上げるだなんて――

「……!?」

 瞬間、私の頭は真っ白になった。混乱して何も考えられなくなったと言うべきであろうか。細く長い腕は私の首回りにかかり、柔らかな彼女の唇は私のそれを塞いでいたのだ。初めての接吻に戸惑う私はしばらく呆然とその場に固まっていた。

「いったい……どういう意味なのでしょうか……?」

 呆然とする私の口から紡がれる言葉。チェチーリア様は私に何かしてほしいというのだろうか。してほしい……まさかそんな。弟と違って、私はどうすればいいかなんて分からない。此処から逃げてしまいたい。それなのに身体が動けないのだ。心の奥底でこうなることを私は望んでいたのだろうか。彼女の誘惑の言葉は、神経毒のごときもののような気がした。

19ルクレツィア・ボルジェアーノ:2014/04/17(木) 18:32:18 ID:aTw5jEqM0
【フィレンツィア共和国/アロノ地区/ボルジェアーノ邸】

『ルクレツィア様、馬車の支度が出来ました』

使用人の言葉に私はホッとした。扨何処へ行こうかしら・・・? 以前はアロノ川で出会えたことだし、また行ってみることにしましょう。
そう考え、私は玄関を出て馬車に乗り込もうとしたが『ルクレツィア!』と呼ぶ声が聞こえたのだ。この声・・・?

そちらを見ると、アドリアーノがいた! まさかこんな場所で? ・・・いけない、此処ではまた私は外出を禁止されてしまう。

「忘れ物をしたので少し待っていてください」

私はすぐに邸内に戻ると、ペンと紙に走り書きをした・・・「アロノ川の橋でお待ちしております。ルクレツィアより」
これを誰かに頼んでアドリアーノに渡してもらおう。誰が適任かしら・・・お母様に忠実な人では駄目だわ。

少し考えて私は裏庭に出た。其処に居た下働きの洗濯係に、身につけていた耳飾りの片方を握らせアドリアーノに手紙を渡してくれるように頼む。
幸いなことにすぐに承諾してくれたので、うまくいくことを祈りつつ私は敢えてアドリアーノを無視して、馬車に乗り込むと「アロノ川まで」と行き先を告げたのだった・・・

>ALL様

20アドリアーノ ◆u56OX14V9U:2014/04/17(木) 22:59:18 ID:8OV78LY20
【フィレンツィア共和国/アロノ地区/ボルジェアーノ邸付近】


 ルクレツィアを見つけ私は嬉しくなり手を振ったのだが、彼女は再び邸の中に戻ってしまった。忘れ物でもしたのかもしれない。彼女に声が届かなかったことを残念に思うもまた出てきたときに呼べばいいのだ。
 そう軽く考えていた私は、ルクレツィアの次の態度で一瞬呆気にとられることとなる。ルクレツィアは用事を済ませて外へ出てきたはいいものの、まるで私など見えていないかのような態度を見せ、そのまま馬車でいってしまったのだ。

「……」

 心が疼き、見捨てられたような心地が一層そうさせてくる。ルクレツィアに嫌われてしまったのか。その場に佇む私は、走り去っていく馬車の姿を見送るだけである。そんなときだ――

『すみませんがシニョーレ。お嬢様があなた様にと……』

 若い下働きが何やら紙をもってこちらに近づき差し出してきた。私はそれをそっと受け取り、ゆっくりと開くと、そこにかかれてある文字に目を通す。

「アロノ川か……」

 やはりルクレツィアは私のことを思ってくれていたのか。先程まで落ち込んでいた私の心は舞い上がり喜びに包まれた。そして私は急いでアロノ川へと向かったのである。


>ルクレツィア

21ヴェネティ伯爵夫人:2014/04/18(金) 15:19:40 ID:WJRo26Uw0
【トスカーヌ地方/森林地帯/湖】

ジョヴァンニは相変わらず戸惑ったように『いったい・・・どういう意味なのでしょうか・・・?』とわたくしに尋ねる。ここまで鈍感な殿方も珍しいわ。
それはそれで、また好感が持てるけど。

「女からこういうことを言わせるなんて、ひどい人ね。そんなにわたくしに恥をかかせたいの?」

わたくしは彼を引き寄せ、耳朶を柔らかく噛む。ちょっとした悪戯だったはずが、気分が高潮してくる。

「触ってみて。あなたを想ってわたくしの身体はこうなっているのよ」

ジョヴァンニの手を取り、熱く鼓動を打つ左の乳房に触れさせる―すると不覚にもわたくしの下肢が反応した。
触れられただけでこんなになってしまうだなんて。

わたくしは艶かしい息をついたが、後でロレンツァが来るはずだということに気付く。流石にロレンツァには見られたくはない。彼がピエディの息子だから、ではなく弟として・・・

「でも、此処では場所が悪いわね。また今度にしましょう・・・mio bene」

扨、自分が焚き付けたとはいえジョヴァンニは素直に手を引いてくれるかしら? 押し倒されてしまっても・・・構わないわ。

>ジョヴァンニ
>ALL様

22ジョヴァンニ ◆u56OX14V9U:2014/04/18(金) 22:09:00 ID:.55P6J5g0
【トスカーヌ地方/森林地帯/湖】


「恥をかかせるだなんてそんな……!」

 自分の性格ゆえにチェチーリア様に悪意があったと思われたことを定しようと、上擦った声で言うのだが、その時、耳朶から体の髄にまで切ないような疼くような感覚が走った。チェチーリア様が私の耳を甘くかみ、それで私は得も知れぬ一種の快楽に触れる。

「ぁ……」

 思わず漏れてしまった声。私は恥ずかしくなって懸命に理性を保とうとするも、まるで熱におかされた氷が溶けていくかの如く、私の身体は更なる快楽に期待し始める。
 今までの私はこんな人間ではなかったし、まるで修道士のようであったのに、何故なのだろう。新たな世界に踏み出してしまいそうな自分に恐怖を感じ抑えようとするのだが、それを邪魔するように、チェチーリア様が私の手を取ると、彼女の乳房にその私の手を当てたのだ。柔らかくさわり心地のいい感触と、そして熱と一緒に鼓動も伝ってくる。それは私も同じだ。それに、もう……

「ご、ごめんなさい! お手洗いを!」

 身体が火照って、下半身の部分が慰められることを求めているのを感じつつ、チェチーリア様にはその様な姿を見せたくなかったので、お手洗いと誤魔化してその場を急いで去った。早く落ち着かせなければどうにかなってしまいそうだ。
 私は逃げるように木々や茂みに身を潜めて、そっと手を熱くなった自身の陰部へと忍ばせた。


>チェチーリア様

23ルクレツィア・ボルジェアーノ:2014/04/19(土) 21:10:40 ID:aTw5jEqM0
【フィレンツィア共和国/フィレンツィア東聖アドリアーノ地区/アロノ川付近】

『ルクレツィア様、到着いたしました』

馬車が音を立てて停まり、私はそっと地面を踏む・・・アロノ川のせせらぎはこの賑わいの中で殆ど聞こえない。
あの人は来てくれるかしら? 些か不安になりながらも橋の袂で私は待つことにする。
目の前を忙しそうに人々が行き交う・・・アドリアーノが来てくれたら、もっといろいろな場所に連れて行ってくださるように頼んでみよう!
何処に行こうかしら? 2人で楽しめる場所がいいわよね・・・私は外の世界のことは詳しくないから、それはアドリアーノにお任せするのがいい。

「あら?」

見覚えのある人が目の前を横切った。あれは、ホルツァー大司教様?
声をおかけしようか迷ったが、ラウレッタ叔母様に知られるかもしれないし一瞬目に入っただけなので別人かもしれない。

「別におかしいことないわよね」

大司教様もお忙しいのだろう。私はそう頭を切り替えて、大人しくアドリアーノの到着を待った―

>ALL様

24ラウレッタ・ボルジェアーノ枢機卿:2014/04/19(土) 21:25:00 ID:WJRo26Uw0
【フィレンツィア共和国/東区/ロマーナ教皇庁直轄区画/ロマーナ教皇庁別邸】

一向に執務が捗らない・・・

私は諦めて深く息を吐いた。原因はわかっているが、とても認めることは出来ない。
これでは、聖職者失格だ・・・ホルツァー大司教様に邪な感情を抱いたなんて!

「下らん」

下らぬ感情だ。だが、以前に見かけたルクレツィアの姿―思い出すと胸が妬心で塞がれる。
私は聖職者。婚姻の秘蹟の代わりとして叙階の秘蹟を受けたのだ。両方を望むなど、神がお赦しにならない。

婚姻とまではいかずとも、自分も―

そこで危険な感情にまたしても囚われたことに気付く。私はなにを考えているのだ?
少し、気分転換に外に出よう・・・こんな状態では駄目だ。
私は教皇庁の職員に「少し出かけてくる」と言い残して、街中へ出て行った。

>ALL様

25ヴェネティ伯爵夫人:2014/04/19(土) 21:41:45 ID:aTw5jEqM0
【トスカーヌ地方/森林地帯/湖】

斯くしてわたくしの腕から飛ばない蝶は逃げ去った―

『ご、ごめんなさい! お手洗いを!』

そう残して、逃げ出したジョヴァンニの後ろ姿を見送りわたくしは思わず笑みをこぼす。
 ―お手洗いねえ。其処でなにをするつもりなのかしら?
考えると可笑しくて堪らない。然し、決して彼を馬鹿にしているわけではなく・・・むしろ愛らしく思える。
あんな殿方、お目にかかったことがないわ。珍しいこと! 扨、続きはじっくりと後日愉しむことにしましょう。

とはいえ、わたくし自身も身体の疼きを覚えていることは慥かで・・・どうやって鎮めたものかと思案した。

「そうだわ、殿方なら後でもうひとり来るじゃない」

姉の無聊を慰めるのも、弟の役目じゃなくて? ・・・そうよねロレンツァ?
ロレンツァもジョヴァンニと同類のような気がするけど・・・ふふ、いいわ。面白そう。

「・・・くしゅん!」

水に浸かって、早く衣類を身につけなかった所為かわたくしは派手なくしゃみをした。
はあ、ジョヴァンニには替えの服も持ってきてもらわなくては。逃げ出してなにをなさっているのか、わたくしはあずかり知らぬけどね? ふふっ・・・

>ALL様

26アドリアーノ ◆u56OX14V9U:2014/04/19(土) 22:14:51 ID:6FnEQ/Oo0
【フィレンツィア共和国/フィレンツィア東聖アドリアーノ地区/アロノ川付近】


 ルクレツィアから使用人を介してもらったメモの通りに、私はアロノ川付近へと急いだ。今日も市場が近くにある聖アドリアーノ地区は人々で賑わいを見せていたが、私はすぐにルクレツィアを見つけることができた。たとえ雑踏の中にあったとしても、美しいご婦人は目をひくものだ。

「ルクレツィア。待ったか?」

 私のために待ってくれたルクレツィアをいじらしいと思いながら、彼女の顔を覗きこむようにして声をかけた。

「また君にこうして逢うことができて嬉しいよ。けれど長らくあっていないような気がするから、もっと顔を見せてくれ……」

 すっと相手の顎に手を添えると、彼女の青い瞳を真っ直ぐ見つめ「君の絵が描きたくなった……工房へ行かないか」と訊ねた。以前、彼女を工房へ連れていこうとしたのだが枢機卿の邪魔が入り已む無く失敗してしまったのを覚えている。今度こそはその様な失態はおかすまい!


>ルクレツィア
>ALL様

27シモーネ・ホルツァー大司教 ◆u56OX14V9U:2014/04/19(土) 22:57:05 ID:qoYLjMhg0
【フィレンツィア共和国/アロノ地区/聖アドリアーノ修道院】


 特に用事は無かったのだが、私はアロノ地区にある修道院に足を運んだ。一般人は原則中に入ることのできない修道院で、周りには修道士しかいない。立ち入り禁止となった理由は、かつてある修道士が女性を中に入れて遊んでいたという出来事があったからである。
 それに関して私は責めるわけではなく、多くの人間は自らの思いを性欲と繋ぎあわせて教えているような気がするのだ。性欲などは私には分からないが、彼らにとってみればこの世の天国なのだろう。

「聖アドリアーノの剣……」

 修道院の中庭へ入ると、そこにたっている聖アドリアーノの彫刻に目をやった。ローマ風の衣装に身を包んだ姿で手には聖剣を携えている。あの聖剣こそ、私達にとっての脅威なのだ。早くありかを見つけ出し破壊しなければ後々大変なことになるだろう。
 私は今度は、絵画の方に目をやった。絵画は全て聖アドリアーノ関連のもので、順をおっていくとストーリーがなんと無く掴めてくる。その中の一部にはネフィリムと彼らを率いた堕天使の姿が描かれていた。彼等は人間が思うイメージに影響され酷く醜い姿で表されている。実際は人間と変わらない容姿をしていたに関わらずだ。
 聖アドリアーノもネフィリムも、私の子孫(子供)たち。聖アドリアーノの系譜が神に従ったことは今でも残念なことだと感じている。


>ALL様

28ロレンツァ・デ・メディシア ◆u56OX14V9U:2014/04/19(土) 23:09:10 ID:r3.ItYKY0
【トスカーヌ地方/森林地帯/湖】


 ――私が銀行の仕事をする……

 今の私にはこればかりが頭にあった。やはり不安なのだ。父上には逆らえず、メディシア家の後継者として自覚を持とうと一歩を踏み出す決意をしたが、いつか銀行を担うようになると思うと気が重い。

「ハア……」

 一つため息をつきつつも、私は約束の場所まで急いでいったのである。ジョヴァンニや伯爵夫人は既にいるであろうから、遅れてきたことは謝罪するべきだろう。

 林や木々を縫って、湖が広がる開けた場所に出たときである。私は息をのんだ。伯爵夫人が水浴びでもしていたのか凄い格好をしており、何がなんだか状況が掴めなかったのである。しかもジョヴァンニの姿が見当たらない。私は今の伯爵夫人に声を掛けられそうに無かったので、懸命にジョヴァンニの姿を探していた。


>姉上
>ALL様

29ルクレツィア・ボルジェアーノ:2014/04/20(日) 15:13:55 ID:WJRo26Uw0
【フィレンツィア共和国/フィレンツィア東聖アドリアーノ地区/アロノ川付近】

アドリアーノは絶対に来てくれるわ!

祈るような思いで私は待ったが、やがて焦がれていた人の声が聞こえた。

「アドリアーノ! 会えて嬉しい・・・」

私は嬉しさで泣き出しそうになるのを堪えつつ、彼に微笑みかける。
そうだわ、何処か楽しい場所に連れて行ってもらうんだった・・・いえ、アドリアーノと一緒なら何処だって楽しいに決まってるわ!

「え? 私の絵を・・・?」

アドリアーノが提案したことに、私は頬を赤らめさせる。それに、じっと目を見つめられ私の心臓が早鐘を打つ。
どうしようかしら? ふたりきりなんて恥ずかしいし・・・でも、アドリアーノはおかしな真似をする人じゃない。

「は、はい。私で良ければ」

そう答えて私は羞恥で俯く。ちょうどその時―

『ルクレツィア?』

え・・・? この声は?

「ラウレッタ叔母様・・・」

そこには、叔母のラウレッタが居た。ああ、なんてこと! また叱られてしまう!

「叔母様、違うのです。私はただ絵を観に来ただけで・・・アドリアーノとは本当になんでもありません!」

必死でラウレッタ叔母様に訴えかける。今度こそ、お母様はお怒りになって私は二度と外へは出られないようになってしまう。

『そうですか。あまりロベリアを心配させてはいけませんよ・・・それと』

何故か力ない口調。そして叔母様がアドリアーノを見る。以前、彼のことを叱りつけたことがあったわ―またかしら?
だけど、叔母様はアドリアーノを驚いたような表情でじっと見つめている・・・どうしたのだろう? いつもの謹厳実直な叔母様らしくない。

『姪のルクレツィアが世話になる―今度は私も絵を拝見したいものだ。では』

そう言って、叔母様はその場を去った―良かった、叱られずに済んだわ。
私はホッと胸を撫で下ろしたのだった。

>ALL様

30ラウレッタ・ボルジェアーノ枢機卿:2014/04/20(日) 15:37:39 ID:NMixLj0A0
【フィレンツィア共和国/アロノ地区/聖アドリアーノ修道院】

どうかしている! この私としたことが!!

アロノ川で姪のルクレツィアに出会い、連れの青年・・・アドリアーノと言ったか・・・を認めた時、私は彼に見惚れたのだ。
馬鹿らしい。聖職者であることを抜きにしても、私の年齢で若い男に欲情するとは!
ただ街中を散策する程度のつもりで出てきたが、これでは駄目だと思い私は修道院へと足を運ぶ。此処には研究対象である蔵書が多くあるのだ。それで、自分の淫らがましい気持ちを一掃しようと考えた。

『これは猊下。どうぞごゆっくり』

勝手知ったる修道士が私を出迎えてくれる。その後は自分の持ち場に戻ってしまい、修道院は静寂に包まれる。

「ネフィリムか」

ただの伝説。そう片付けたくとも、これほど伝承が多いとなると無視できない。
この修道院も聖アドリアーノがネフィリムを封印した絵画が飾られている。呪われた種族・・・

 ―ボルジェアーノ家も呪われているのやもしれぬ。

私は暗澹たる気持ちになった。然しお陰で先ほどの淫の気が消えたのでよしとしよう―

>ALL様

31ヴェネティ伯爵夫人:2014/04/20(日) 15:48:39 ID:WJRo26Uw0
【トスカーヌ地方/森林地帯/湖】

ジョヴァンニったらいつまで「お手洗い」に行ってるのかしらね? 殿方の「お手洗い」ってそんなに長引くものでもないのに。
わたくしは再び「くしゅん!」とくしゃみをして、周囲を見回した・・・ロレンツァでも来てくれればいいんだけど。

中途半端なところで逃げられたから、身体が熱いわ。

それに応えるように、わたくしの下肢から蜜が腿を伝うのが感じられる。女に恥をかかせたということで、ちゃんと責任をとっていただかないと。
その時、見覚えのある殿方が姿を現すのに気づいた・・・あれはロレンツァだわ。いいところに来たわね。

「ロレンツァ! なにをキョロキョロしてるの? 此方へいらっしゃい!」

別に最後までは要求しないわよ? わたくしを満足させてくれればそれでいいの。

>ALL様

32アドリアーノ ◆u56OX14V9U:2014/04/20(日) 21:33:35 ID:COHj5HG60
【フィレンツィア共和国/フィレンツィア東聖アドリアーノ地区/アロノ川付近】


 私の顔を見て、純粋に喜ぶ少女の顔はまるで優しい春の陽射しのようだ。詩人であれば、何か素敵な言葉を彼女にかけてあげられただろうが、生憎その様な才能は私にはない。
 嗚呼、その桃色の唇に口付けしたらどんな夢を見られるのだろうか。金色の髪に触れたら? 白い絹のごとき肌に指先を這わせたら? ルクレツィアの恥じらう顔を見ながら、あらぬ妄想に耽る。

『ルクレツィア?』

 聞き覚えのある声がしたかと思えば、なんとそこには枢機卿がいるではないか。恐れていた事態がまたもや到来してしまったのか。ルクレツィアは必死にいいわけをしてくれていたが、私は怖さで呆然としたままだ。だが何処か様子がおかしかった。
 枢機卿は私を責めるどころか、驚いた表情で私を見つめたあと『姪のルクレツィアが世話になる―今度は私も絵を拝見したいものだ。では』と言っただけで、立ち去ったのだ。再び呆然となるのは言うまでもない。いったい枢機卿に何があったのだ……?

「さあ、行こうか。ルクレツィア?」

 枢機卿のことが気掛かりであったが、気を取り直してルクレツィアにそう声をかけて工房へと向かうことにした。


>ルクレツィア
>枢機卿
>ALL様

33シモーネ・ホルツァー大司教 ◆u56OX14V9U:2014/04/20(日) 22:02:21 ID:2t681DM20
【フィレンツィア共和国/アロノ地区/聖アドリアーノ修道院】


 修道院の中庭のベンチで腰をおろしながら昔のことに思いを馳せていると、誰かが他にもやって来たことに気が付いた。

『これは猊下。どうぞごゆっくり』

 修道院の者の声が聞こえてきたが、猊下ということは枢機卿が来ているのだろうか。私は静かになった中庭に確かに修道士とラウレッタ枢機卿の姿をとらえた。
 枢機卿を協力者にするため、何度か試みをしたがあと一歩というところで失敗をしてしまう。だが枢機卿も一人の人間……聖職者とはいえ人間ならば性欲に溺れるものだ。ならば試してみるべきか――。

「猊下……。奇遇ですね?」

 修道士がいなくなるのを見計らい、私は一人になった枢機卿の前に現れた。いつもと変わらない雰囲気で相手に微笑みかければそっと歩み寄る。

「修道院で調べものでしょうか。私もです……聖アドリアーノやネフィリムのことも興味があったので。猊下もそうなのですか?」

 枢機卿は私にいつもしている研究内容については教えてくれなかったが、なんと無く予想して訊ねてみた。そして真っ直ぐ相手の瞳を見つめ、相手の心の状態を探り始める。なんだかいつもの猊下とは違う。まあいい。今は試そうと思っていることをすればいい。

「……それと猊下……」

 私は修道院の敷地内に関わらず、そっと相手の頬に手を添えると、以前路上で見かけた男女がやっていたことを頭で描きながら、まるで実験でもするかのように、己の唇で彼女の口を塞いだのである。
 この様なことをしても、私は何も感じられない。それで動揺したり何かしらの反応を示す人間とは面白い生き物だ……。


>猊下
>ALL様

34ロレンツァ・デ・メディシア ◆u56OX14V9U:2014/04/20(日) 22:46:53 ID:Z6TJ5cX20
【トスカーヌ地方/森林地帯/湖】


 ジョヴァンニを探して周囲を見回していると、伯爵夫人がこっちへ来いと声を掛けてきた。大胆な格好の女性に近付くのには躊躇いがあったが、相手が来いというのだから仕方がない。
 それに相手は私に見られたところで何とも思わないのだろうし、多分服をとってきてほしいとかそういった要求だろう。

「どうなさったのです……姉上。ジョヴァンニは?」

 伯爵夫人のほうに近づくと、私は眉をひそめて訊ねる。もしまだ来ていなかったら、どうしたというのだろう。


>姉上
>ALL様

35ルクレツィア・ボルジェアーノ:2014/04/21(月) 00:47:56 ID:NMixLj0A0
【フィレンツィア共和国/フィレンツィア東聖アドリアーノ地区/アロノ川付近】

ラウレッタ叔母様、お体の具合でも悪いのだろうか。私の知っている叔母様と違う・・・
暫し、ラウレッタ叔母様の白い聖衣の後ろ姿を見送っていたがアドリアーノの言葉で我に返った。

「はい。是非!」

私は笑顔を取り戻し、アドリアーノに諾と答える。でも工房にお邪魔するというのに、私ったら手土産のひとつも持ってこなかったわ。
仕方がない。急なことだったもの・・・

「では、連れて行ってください。あなたと2人なら、きっと楽しい時間を過ごせると思います」

私はアドリアーノに向かって、手を取ってくれるように純白のレースの手袋に包まれた右手を差し出したのだ―

>アドリアーノ

36ラウレッタ・ボルジェアーノ枢機卿:2014/04/21(月) 01:12:08 ID:MqF/iyJE0
【フィレンツィア共和国/アロノ地区/聖アドリアーノ修道院】

だが、私の目論見は外れた。自分を律しようという目論見だ。

修道院にホルツァー大司教がいたのだ! 何故こんな時に彼の顔を見ないといけないのだろう?
私は出ていこうかと迷ったが、話しかけられてしまってはそうは行くまい。

「ああ、此処は蔵書が充実している。特別、聖アドリアーノやネフィリム伝説については何も・・・単なる気晴らしだ」

出来るだけ大司教の方を見ないように私は答える。呆れるくらいの不自然さ―そして、先ほど私を支配していた悍ましい情欲に再び駆られるのを感じた。
これでは此処に来た意味が無い。早く戻ってしまおう。

戻ろうとしたがそれは許されなかった―ホルツァー大司教の顔が迫ってきたかと思うと、彼の唇を私のそれに押し当てたのだ。
(なに・・・?)
私は修道院内であるのにこんな行為をされたことで、すぐさま彼を引き剥がし怒るべきだ・・・違う。その理論では『修道院以外なら』構わないということになってしまい・・・
その接吻は想像していたよりも優しくはなかったが、私の理性を蕩けさせるには充分だった。

「う・・・ん・・・」

自分でも驚くような喘ぎ。私は立場も場所もすっかり忘れ、そのまま目を閉じた。

>ALL様

37ヴェネティ伯爵夫人:2014/04/21(月) 01:28:56 ID:aTw5jEqM0
【トスカーヌ地方/森林地帯/湖】

父親があんなにお上手なんですもの。息子のロレンツァだって見込みがあるのではないかしら?
わたくしはそう考えて僅かに笑みを洩らす。ロレンツァには決まった恋人が居ないことだし『姉として』可愛がってあげましょう。

「ああ、ジョヴァンニならいるわよ?・・・でもお手洗いに行ったまま戻ってこないのよ。随分長いお手洗いだこと」

此方へやって来たロレンツァに、わたくしは笑いを噛み殺しつつ教えてあげた。『お手洗い』ねえ・・・
然しロレンツァの視線が定まらない。わたくしがこんな格好だから、目のやり場に困っているのでしょうけど。

「ロレンツァ・・・あなたってジョヴァンニとは仲が良いわよね? では、私の身体を慰めてくれるかしら? ジョヴァンニがこんな風にしたのよ・・・ほらね、此処が濡れてるのは水のせいじゃないわ」

わたくしはロレンツァの手を取り、下肢へと導く―相変わらずそこは熱く、蜜が滴り落ちている。

「可哀そうな姉を生殺しにする気?」

そう淫らにロレンツァの耳元で囁きながら。

>ロレンツァ
>ALL様

38アドリアーノ ◆u56OX14V9U:2014/04/21(月) 21:43:55 ID:nAyduphc0
【フィレンツィア共和国/北区/フィレンツィア広場/工房】


 ルクレツィアの白い手袋をはめた右手を取り、私は彼女と共に自分の工房にたどり着いた。そこかしこに描きかけの絵画や道具などが置いてあり、とてもではないが褒められたものではない。

「散らかっていてごめん……二階の生活スペースへ行こうか」

 申し訳なさそうに相手を見ると、二階へ案内するため階段を上がっていった。そうして、テーブルとベッドだけの殺風景な部屋にはいると「好きなところに座って」と指示した。
 服装こそ貴族の様に華やかにしているが、実情はこれである。本当は貧しくてルクレツィアと関わっていい人間ではない。あの時枢機卿がいった言葉が浮かんでくる。

「……さて、どんな風に描こう。美しい君なら、どう描いても素敵だろうけど。何か希望があれば言ってほしい」


>ルクレツィア

39シモーネ・ホルツァー大司教 ◆u56OX14V9U:2014/04/21(月) 22:06:06 ID:JlWLJsqk0
【フィレンツィア共和国/アロノ地区/聖アドリアーノ修道院】


 枢機卿の唇に触れたとき、彼女はまるで魔法にでもかけられたかのように何時ものきつい雰囲気は消えて、代わりに恍惚とした表情を私に見せる。艶やかな声が微かに漏れるのを感じると、枢機卿はいいなりになったことをさとった。
 これを続けていけば、枢機卿は私の虜になって協力者となってくれるであろうか。しかし厳格な聖職者がいとも簡単に溶けてしまうとは予想外であったため、何処か夢を見ているような感覚だ。

 私はそのまま手を相手にかけて脇腹や背中の辺りを撫でながら、舌を彼女の口腔へと押し込み絡ませる。そしてしばらくそうしたのち、今度は指先を胸部の膨らみの方へと移していく。そっと指でなぞるように持っていくと、彼女の先端の固い部分を優しく転がすように触れた。


>猊下

40ロレンツァ・デ・メディシア ◆u56OX14V9U:2014/04/21(月) 22:34:26 ID:Qb6i8OCo0
【トスカーヌ地方/森林地帯/湖】


 伯爵夫人がいうには、ジョヴァンニは手洗いにいっておりこの場にはいないらしい。私はそれで納得するのだが、彼女の次の言葉で耳を疑った。あまりの驚きで声がでなかったが、なんとか頭の中を整理しようと努める。しかしそんな私の行為も虚しく、私の手は気がつくと伯爵夫人の脚の間へと導かれていた。

「あ、姉上……何故、そんな……」

 ろくに声も出ず、私の指先はぬるぬるとしたその小さな泉に溺れさせられたままだ。頬を紅潮させ、私の身体がうずいていくのをただ見守っておくことしかできない。
 ジョヴァンニが伯爵夫人をそうさせたというが、まさかあの彼ができるわけない。彼は女性を全く知らないのだから……欲望を掻き立てられたということだろうか。

「お願いします……許してください……」

 伯爵夫人に妖艶に囁かれ、湧き出る欲望に苛まれていくと恥ずかしそうにそう訴えた。自分でもこんな切ない声が漏れるなんて思っても見なかったほどだ。自分で慰めている時には得られない感覚に戸惑った私はただ彼女に許しを乞うことしかできない。

「私にはなにもできません……」


>姉上

41ルクレツィア・ボルジェアーノ:2014/04/22(火) 00:10:13 ID:NMixLj0A0
【フィレンツィア共和国/北区/フィレンツィア広場/工房】

此処がアドリアーノの・・・こういう場所で過ごしているのね。
私は連れてきてもらった工房に足を踏み入れると、物珍しさでついつい周囲を見てしまう。いけないわ、失礼よね。
『散らかっているから』と2階へ案内されたが、アドリアーノはあまり装飾の類は好きではないのかしら? お花を活けたり、それこそ絵画を飾ったり。なんだか、寂しい気がする・・・
アドリアーノは孤独なのだろうか? ふとそんなことを考えた。愛する人はいないの? もし・・・もし私が彼にとってそんな存在でいられたら、どんなに嬉しいだろう!

「はい・・・そうですね。何処に座ろうかしら?」

改めて決して広くはない部屋の中を見たが、どうやらベッドぐらいしかないようだ。私はベッドに座るなんていいのかしら、と思いつつその端に腰を下ろす。
固いベッドの感触が伝わる。私の部屋のものとは全然違う―
以前にラウレッタ叔母様に会った時『庶民風情が貴族の子女を拐かすなんて!』ということを仰っていたが、私は違うわ。私は―庶民だろうが彼が好き。

「どんな風に、ですか? そう言われても・・・」

私はアドリアーノの問いかけに暫く思案する。絵のモデルってどうすればいいの? こんなことなら、もっといいドレスを着てくるんだった。

「それでは・・・私をそのままの姿で描いてください。私は女神ではありません、人間の女ですから・・・アドリアーノとなんら変わることのない」

そうよ、貴族だとか庶民だとかそんなこと関係ないわ―

>アドリアーノ

42ラウレッタ・ボルジェアーノ枢機卿:2014/04/22(火) 00:23:58 ID:MqF/iyJE0
【フィレンツィア共和国/アロノ地区/聖アドリアーノ修道院】

いけない。私は何をしている? この聖なる場所でこのような真似をするなんて!
頭の隅でぼんやりと幽かに残った理性が主張する。先ほどと同じだ・・・此処ではなければいいというのか?
そんな理性など家畜の餌にしてしまえ、とばかりに自分の女の部分が勝手に反応した。

「ん・・・いや・・・」

弱々しい声が洩れる。だが同時に熱い息を吐きだし、私は大司教が自分の身体を弄るのに任せていた。
膝に力が入らない。まるで下半身が蕩けてしまったかのような感覚。こんなこと、今まで知らなかったのに私は更なる行為を求めてしまう。
『貞潔の誓願』・・・叙階の際に生涯純潔でいることを誓ったのだが、私はそれを反故にしてしまったのだ。
私はその場に腰を落としてしまい、悍ましい嬌声を上げる・・・勿論、他の者には聞こえないようにだが。

「あ・・・このまま・・・」

淫らがましくホルツァー大司教に強請り、こうして私も『背教者』になった―

>ALL様

43ヴェネティ伯爵夫人:2014/04/22(火) 00:43:36 ID:MqF/iyJE0
【トスカーヌ地方/森林地帯/湖】

似たもの同士ね。ロレンツァもジョヴァンニも。

わたくしの唐突な行動に、ロレンツァは手を振りほどくわけでもわたくしを怒鳴りつけるのでもなく・・・ただ、口の中でもごもごと言い訳をし許しを請うだけだった。
それにしてもすっかり赤くなって! ふふっ、新鮮だわ。

「あっ・・・」

図らずも甘い喘ぎが出た。ロレンツァが指を外そうとし、わたくしの秘められた小さな突起に偶然にも触れたのだ。
ここ暫く殿方との夜を過ごしていない身なので、すっかりわたくしも触れられるのを心待ちにしていたのね・・・

「ああ・・・ロレンツァ。いいわ・・・もっと其処に触れて・・・」

陶然として弟に向かって強請り始める。わたくしの頬も上気し、水を浴びたばかりだというのに身体が熱くて堪らない。
更にロレンツァの手をしっかり掴むと、先ほどの刺激で益々溢れ出る泉の奥へと押し付ける。
 ―立っているのが辛いわね
そう考えつつ、わたくしはロレンツァの身体にしがみついた。素敵、やっぱりピエディの息子だけのことはあるわ・・・

「はあ・・・っ・・・いいわ、上手よ・・・わたくしが終わったら、あなたにもしてあげるからね?」

激しく喘ぎつつ、弟の耳元でそう囁く―

>ALL様

44アドリアーノ ◆u56OX14V9U:2014/04/22(火) 19:51:03 ID:Qexx0sgI0
【フィレンツィア共和国/北区/フィレンツィア広場/工房】


 ルクレツィアがベッドに腰をおろすのを見ると、自分もその近くに座った。ルクレツィアが私のそばにいる、手の届く距離にいる。それだけで幸せな心地がした。こんな風に一緒に過ごせたら、私も幾らか寂しくなくなるに違いない。

 私が彼女にどういう風にかいてほしいか希望を訊ねてみると、彼女はしばらく悩んだような素振りを見せるとこう答えたのである。

『それでは……私をそのままの姿で描いてください。私は女神ではありません、人間の女ですから……アドリアーノとなんら変わることのない』

 一瞬私の悩みを知られたかと思ってしまった。なぜならルクレツィアの言葉がまるで、私に階級など関係なく、皆平等だと説いているように思えたからである。
 私はそれをきき目を丸くしたが、すぐに顔を綻ばせて「分かった……」と答えた。そして準備をしにいこうと立ち上がり際に、彼女の柔らかな頬に口付けた。


>ルクレツィア

45シモーネ・ホルツァー大司教 ◆u56OX14V9U:2014/04/22(火) 22:37:29 ID:V9/3w6ow0
【フィレンツィア共和国/アロノ地区/聖アドリアーノ修道院】


 私の手の中で枢機卿は生々しく身体を此方に委ね、愛撫の度に切ない声が漏れるかと思うと、嬌声をあげた。一方で私はその間ずっと平静で彼女の体温が熱くなっていくばかりで、その反応を見ているだけである。人間の――まるで我を失うほどの快楽とはどれ程のものか気になりはしたが、私の身体はそれを許してはくれなかった。
 いや、それでいい。私の目的は快楽に耽ることではないのだから。

「どうですか猊下。……このまま……どうすればいいのでしょう?」

 私に何か訴えかける彼女をいたって冷静な口調で訊ねれば、今度は指先を服の上から彼女の下肢の茂みのある部分へと伸ばしていく。
 聖職者から一人の女になっていく彼女を感じながら、私は微笑みを浮かべた――。


>ALL様

46ロレンツァ・デ・メディシア ◆u56OX14V9U:2014/04/22(火) 23:07:23 ID:nAyduphc0
【トスカーヌ地方/森林地帯/湖】


 私はまるで、伯爵夫人の操り人形だ。私の捕まれた手は、彼女の溢れ出る密と絡まされ、ぴちゃぴちゃと音を響かせている。
 そして固くなった部分に触れたかと思えば伯爵夫人は恍惚とした表情を向けて、もっと触れるように言ってきた。私の指先は、自分の熱くなった部分を触れられない代わりに、彼女の泉を次第に激しくかき混ぜていく。
 気づけば二本の指は彼女の奥へ入っており、既に準備ができているようであった。その時、指ではなくて私の部分を其処へ挿入したらという妄想が過る。

 ――駄目だ。私はそんなこと……

 残る理性で自分を律しようとするも、彼女が私にしがみついてきたことで失敗に終わった。私の固くなった部分がしがみつかれた瞬間に相手に押し付けられるように触れて、不思議な快感が走ったのである。
 私にもしてくれるという彼女の言葉をきいたときは、小さく頷いた。


>姉上

47ルクレツィア・ボルジェアーノ:2014/04/23(水) 09:38:51 ID:MqF/iyJE0
【フィレンツィア共和国/北区/フィレンツィア広場/工房】

「・・・!」

アドリアーノに頬に接吻され、私は真っ赤になった。だって家族以外の人とはしたことないもの・・・いえ、お父様やお母様にする接吻ともまた違う。上手く表現できないけど。
でも、彼が嬉しそうな顔をしたことで私も擽ったいような気持ちになる―家には帰りたくないわ。貴族という柵なく、自由に生きてみたい。

「アドリアーノ・・・私、家には帰りたくありません」

思い切ってそう声をかける。

「我侭だとはわかってます。でも、窮屈な生活を強いられるのはもう嫌なの」

言ってしまった。世間知らずの私のことだ。庶民の生活がどれほどのものかは想像もできないのだろう・・・とは言えこのまま肖像画と家格だけで結婚相手を決められ、結婚式当日まで顔を合わせない殿方と一緒になるのは絶対に嫌。
 ―私はアドリアーノが好き。彼と一緒にいたい。

「駄目ですか?」

私は目を伏せてアドリアーノの返事を待った。

>アドリアーノ

48ラウレッタ・ボルジェアーノ枢機卿:2014/04/23(水) 09:51:08 ID:WJRo26Uw0
【フィレンツィア共和国/アロノ地区/聖アドリアーノ修道院】

今まで知らなかった肉欲を目の前に突きつけられ、私は陥落した。
更に大司教の手が私の下半身に伸びる―背筋がぞくりとして、思わず声を上げてしまう。

「やめて・・・其処、は・・・」

切れ切れの言葉とは裏腹に、私は求めていた。ルクレツィアに嫉妬したのも彼女が楽しそうに遊んでいたからではなく・・・『こういうこと』をルクレツィアはいずれ経験するだろうに、私は聖職者であるが故ありえないから。
そうだ、あの時はホルツァー大司教に告解を聞いてもらおうとし・・・

その時―

『誰かいるのですか?』

と修道士の声がして、私ははっと我に返る。自分は・・・いったいなんてことを!
慌てて大司教の手を払いのけ聖衣の乱れを直すと、急いでその場から立ち去った・・・だが、身体の火照りはなかなか消えてはくれず。

次があったら、抵抗することは出来ないだろう―私は頭を抱えた。

>ALL様

49ヴェネティ伯爵夫人:2014/04/23(水) 10:14:25 ID:NMixLj0A0
【トスカーヌ地方/森林地帯/湖】

ロレンツァったら、すっかりあの部分が硬くなって。
わたくしは服の布地越しに感じられる、弟の下腹部の膨らみに更なる欲情をかき立てられる。
 ―本当はジョヴァンニにして欲しいところだけど。戻ってきたら彼のことも慰めてあげましょう。
だけど、次第に指だけでは満足できなくなってしまった。すっかりわたくしの女の部分は殿方のものを迎え入れるのに充分な状態。

「ロレンツァ・・・可愛いわね。本当は此処が辛くて仕方がないんでしょう? 我慢するのは良くないわよ・・・ああ・・・っ」

奥まで指を差し入れられ、わたくしは喘いだ。ロレンツァの身体を抱いたまま、わたくしはその場に横たわる。その途端、両方の乳房も露わになってしまう。

「ねえ、欲しいわ・・・欲しくて堪らないの。恨むならジョヴァンニを恨みなさい・・・彼がわたくしの相手をしてくれたらこんなことにはならなかったのよ?」

自分の耳にまではっきり聞こえる淫猥な水音。こんな場所でするのもいいのではなくて?
わたくしは弟のその部分に手を伸ばし、すっかり大きくなったそれを引き出す。そして手で優しく擦り始める。
ロレンツァのそれを見た途端、わたくしのそこが期待でまたしても蜜をとろりと溢れさせ・・・思わず甘い溜息をつく。

「どう? 気持ちいいでしょう?」

わたくしは手を休めることなく、弟に艶然と微笑みかける。

>ロレンツァ
>ALL様

50アドリアーノ ◆u56OX14V9U:2014/04/24(木) 21:52:13 ID:Hvp2gg.k0
【フィレンツィア共和国/北区/フィレンツィア広場/工房】


 感謝の挨拶のつもりで頬に口付けたのだが、ルクレツィアは忽ち頬を赤く染め上げた。きっと口などにすれば気絶してしまうのではと思ってしまうくらいだ。
 彼女の初さといじらしさが、私の母性本能に働き掛けてくるようで、守りたいという気持ちにかられる。そして一階へ降りようとしたときだ。

『アドリアーノ……私、家には帰りたくありません』

 突然そう言われて戸惑ったが、彼女の表情は本物であった。けれど、そんなことボルジェアーノ家が許してくれるわけあるまい。彼女の親を心配させてしまう。
 そう思って断ろうと口を開こうとしたのだが、それは単に自分が攻められたくないからという逃避のような気がして口をつぐんだ。そして今度は微笑みかけた。

「ルクレツィア……。分かったよ……君が家が嫌なら好きなだけここにいるといい。それに君を描くまで時間が掛かるだろうし」

 ルクレツィアを泊まらせることをボルジェアーノ家に伝えても、きっと許してはくれない。騒ぎを起こさせるかもしれないが、ルクレツィアはもう大人で、自由を許されてもいいのではないだろうか。

「いざとなったときは、二人で何処か別の場所へいけばいい……。海が見える綺麗な場所がいいが……例えば、ヴェニーチェ共和国とか」

 ヴェニーチェ共和国――いつかいってみたいと思っていた場所だ。美しい海の上にある賑やかな都市。フィレンツィア共和国にはない感動が待っているだろう。


>ルクレツィア

51シモーネ・ホルツァー大司教 ◆u56OX14V9U:2014/04/24(木) 22:50:11 ID:U.XyC9Bg0
【フィレンツィア共和国/アロノ地区/聖アドリアーノ修道院】


 私の指先だけの愛撫で溺れていく枢機卿――このまま聖職者としてのプライドを捨ててもらおうと思ったのだが、修道士の声がして半ばに終わってしまった。
 枢機卿は我にかえり私から離れ、衣服をただすと、なにも言うことなくその場から立ち去ったのだ。またの機会を探すしかあるまい。

 私はもう一度聖アドリアーノの絵画の方に視線をやると、聖人が握る剣が目に入った。神から授けられたという聖剣だが、あれがあることによって不安をぬぐい去ることが出来ないのだ。
 自分達教団の目的が遂行できなくなってしまうからである。近頃かぎまわっている人間がいるようだが、彼らに見つけ出されれば厄介なことになるため、我々が先に発見し処分しなければならないだろう。


>ALL様

52ロレンツァ・デ・メディシア ◆u56OX14V9U:2014/04/24(木) 23:20:49 ID:7o0ohSX60
【トスカーヌ地方/森林地帯/湖】


 固くなった熱い部分が伯爵夫人に触れているのだ。きっと相手は気づいてしまっているにちがいない。私は恥ずかしさで顔を背けたい衝動にかられた。それなら離れてしまえばいいことなのだが、私の身体は言うことを聞いてくれない。おまけに、伯爵夫人の言葉で、更に感じてしまっている。私はこんなに……淫らだったのか。何処か寂しいような感覚も覚える。
 漏れてしまう甘い息とは裏腹にそんなことを思うも、伯爵夫人に抱かれたまま私は倒れた。彼女はその状態で淫らに乞うと、私の敏感になった陰部をさわり始めた。

「姉上……い、いや……やめて……ぁあ」

 快楽に溺れそれを許してしまう自分――そういった自分を受け入れられずに、私は言葉では抗おうと必死であった。だが、彼女に優しく慰められていくうちに、その口からは喘ぎしか漏れなくなる。そして気がつけば身体を彼女に委ねていた。

「もう……駄目だ――」

 あまりの心地に、私の部分は限界となり、彼女に触れられたまま、一気に溜まったものを噴き出す。それと同時に、恍惚がしみわたり、嬌声があがった。
 その快感の余韻は、私の思考を麻痺させると共に、解放をもたらし、伯爵夫人よりも早く果ててしまった私はぐったりと彼女にしがみついていた。


>姉上

53ジョヴァンニ ◆u56OX14V9U:2014/04/27(日) 14:23:38 ID:rQMo4eB20
【トスカーヌ地方/森林地帯/湖】


 自身を慰め終わり、ちょっとした疲れからしばらく茂みでじっとしていると、向こうからロレンツァ様の声が聞こえてきた。
 やっと来てくれた。チェチーリア様と二人きりになることを警戒していた私にとって此処から出ていく良い機会だ。私はまだ違和感のある下腹部を意識してゆっくりと立ち上がり、行こうとした。

「……!?」

 だが茂みから出たとたん、信じられないような光景がそこにはあったのだ。私は言葉を失い、そこに立ち竦む。
 ロレンツァ様とチェチーリア様が、抱き合っているところを目撃してしまったのである。乳房や陰部を露にして横たわるチェチーリア様の妖艶な眼差しの先で、彼女の腕のなかでロレンツァ様は恍惚とした表情を浮かべていた。

「こんなところにそれ以上いられない!」

 私はそう吐き捨てて、その場からとにかく離れようと森の奥へと走った。


>ALL様

54ルクレツィア・ボルジェアーノ:2014/04/28(月) 03:02:44 ID:NMixLj0A0
【フィレンツィア共和国/北区/フィレンツィア広場/工房】

良かった、彼は諾と言ってくれたわ。
私は「ありがとう、アドリアーノ」と彼に向かって微笑みかける。お母様やフランチェスコお兄様のことは愛しているけど、私に異性として好きな人が居てもいいじゃない・・・
そうだわ、もしかしたらラウレッタ叔母様が味方になってくれるかも。以前の叔母様とは様子が違っていたし、きっと話せばわかってくださる。

「ヴェニーチェへですか? 行きたいです! アドーレ海って美しいんでしょうね・・・」

私は声を弾ませた。まだ見ぬ海。数多の物語や詩に登場する海―想像するだけで楽しくなる。
そんな場所で彼と暮らすことができたら、と物思いに耽ってしまう。いけない、今は絵のモデルを務めるんだったわ。
そして髪飾りや装飾品を外す・・・そう、私はただの女なのだからこんなものは絵に描いてもらうのに不要だわ。

>アドリアーノ

55ラウレッタ・ボルジェアーノ枢機卿:2014/04/28(月) 03:13:46 ID:NMixLj0A0
【フィレンツィア共和国/東区/ロマーナ教皇庁直轄区画/ロマーナ教皇庁別邸】

やっとのことで教皇庁の私室に転がり込むと、私は己の罪に震えた。
―告解はできない。いっそのこと還俗してしまうか。
誰であろうと、先ほどのことを話すわけにはいかない・・・とは言えこのまま沈黙を守って平然と「聖職者」でいろと?
・・・私にはできない。情慾にとらわれてあんな真似をし剰え強請った。
辞職・・・しかないのか。せっかく女でありながらこの地位まで登ったというのに!

いや・・・今日はもう疲れたから休むとしよう。そうすれば落ち着き、頭の整理もできるだろうし。
またあのような誘惑に耐えられるかは自信がなかったが。

>ALL様

【誤って設定所の方に書き込んでしましました。同文ですので削除をお願いします】

56ヴェネティ伯爵夫人:2014/04/28(月) 03:36:33 ID:NMixLj0A0
【トスカーヌ地方/森林地帯/湖】

「そうよ、素直ね・・・ふふっ、そんなに激しく掻き回さないの」

ロレンツァのそれを優しく愛撫しながら、わたくし自身も興奮がいや増しに募る。
彼は女にこういうことをされたことないのかしらね? いいわ、存分に可愛がってあげましょう。

「ロレンツァったら、もう我慢の限界なの? いいわ、わたくしも・・・もう・・・あぁ・・・」

勿論、ロレンツァのわたくしに対する愛撫は、慣れているとは到底言えなかったがずっと奥に指を差し込まれてわたくしも十分すぎる快楽を与えられていた。
はじめは拒絶していた彼も、行為を続ける内に従順になって・・・可愛らしいこと!
やがて、わたくしの手の中に弟のものが放たれる。彼の上気した表情を見た途端、わたくしの奥がぎゅうと締まる。

「ああっ!」

思わず、淫らな高い声が出てしまう。わたくしはぐったりとした弟のそれを綺麗にしようと舌で丁寧に舐めとる・・・まだわたくしの中は淫靡で快い痙攣を繰り返しているのだけれど、最後の始末ぐらいはね?

その時―がさりと葉擦れの音がした。誰か来たのかしら? と視線をそちらに向けるとジョヴァンニだった。やっと「お手洗い」から帰ってきたのね。
ジョヴァンニはわたくしが自分を見ていることに気づいていないようだわ。彼にはちょっと刺激が強すぎたかしら?

「ジョヴァンニ、待っていたわよ! 随分長い『お手洗い』でしたこと・・・此方へいらっしゃい・・・」

背中を向ける彼に向かって、そう叫んでおいたけど・・・やっぱりジョヴァンニにはまだ早かったかしら?

>ALL様

57アドリアーノ ◆u56OX14V9U:2014/04/29(火) 10:49:14 ID:v9Xdior.0
【フィレンツィア共和国/北区/フィレンツィア広場/工房】


 ヴェニーチェのことを話すと、ルクレツィアは目を輝かせて弾むような声で『行きたい』と答えた。
 そうだ。ルクレツィアはいつだって自由を許されていない。貴族の家に産まれたのに、自由が無いなんて皮肉な話である。壮麗なボルジェアーノ家の邸が今では牢獄に思えて仕方がない。

「このまま……ヴェニーチェに逃げないか、ルクレツィア? ヴェニーチェで君の絵を描いても構わないだろ?」

 準備をしながら、私はルクレツィアにそう提案してみた。ボルジェアーノ家に見つかったらどんな目に遭うかは分からないが、逃げてしまえばこちらのものだ。
 私は装飾品をとった彼女を見たとき、にこりと笑みを浮かべ「飾りのない君の方が神々しく見えるよ」と然り気無く述べ、ペンをとって白地の下書き用紙に先端をおいた。


>ルクレツィア

58ロレンツァ・デ・メディシア ◆u56OX14V9U:2014/04/29(火) 19:22:17 ID:Z6TJ5cX20
【トスカーヌ地方/森林地帯/湖】


 生暖かい場所に収まる指を、彼女は締め付けて、溢れんばかりの蜜を滴続けていた。痙攣が指先に伝わる度に滴り落ちているようだ。その柔らかくきつい部分を、伯爵夫人のいう通りに、なるべくゆっくりと動かし始める。
 その間、愛撫する手の中で私は昇天を迎えたが、彼女もまた、私の指先で淫らな声をあげていた。
 少なくとも私は既に解放感は得ることができたが、まだ敏感なその場所に暖かい彼女の舌が触れたとき、思わず切ない声を漏らした。そして再び沸き上がろうとする欲望。更なる快感を欲する感情を懸命に抑えようと、目をそらした。

 その時、ジョヴァンニの姿が映ったのだ。此方を呆然と見つめてきていると思いきや、すぐに向きを変え、伯爵夫人の言葉も聞かずに、背を向けて森の奥へと走り去ってしまった。
 そして正気に戻ったとき、自分はなんということをしたのだろうかと、羞恥心と罪悪感で胸がいっぱいとなった。伯爵夫人は父の愛人なのに、私は――。

「ジョヴァンニを……追いましょう、姉上。それにこんなこと……」

 頬を赤らめた私は、まともに彼女の顔を見られなくなっていた。


>姉上

59ジョヴァンニ ◆u56OX14V9U:2014/04/30(水) 07:53:16 ID:nAyduphc0
【トスカーヌ地方/森林地帯】


 私に気づいたチェチーリア様の声が私を呼ぼうとしていたが、聞こえていない振りをしてただ奥へと走った。足元に草花が繁っている獣道を進んでいけば、昼間だというのに薄暗く、それでいて静かな空間にいつのまにか抱かれている。

「……異教の神殿」

 そしてふと向こうをみやったとき、木々の影に隠れるようにひっそりと佇む遺跡に目が止まる。

「こんなところに遺跡が……」

 古代の文明の遺産だと思うのだが、不気味な雰囲気が漂い、普通なら近寄りがたい場所として見られてもおかしくはないだろう。
 私も、何だかすくんでしまいそれ以上進む勇気はなかった。だが神殿の中で何かが動いたのを見たとき、更にその恐怖は膨らんでくる。あんな場所に人がいるなんて思わないからだ。
 そして呆然と立っていると、僅かな陽光に照らされて、その影の姿を垣間見ることになった。光をまとった金髪に白く透き通るような肌の男性――その神々しさに私は一瞬古代の神々の一柱を見たのではと魅入ってしまったが、まるで気のせいでもあったかのように、彼は今どこにもいない。

「奥へ入っていったのか……?」


>ALL様


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