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【R-18】雇われサマナーキル夫

1 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:33:33 ID:H96YQWOo0
【真・女神転生デビルサマナー】雇われサマナーキル夫

                     真 ・ 女 神   生
          ャ-、    、               転
    __    .ヾゝ`'゙ ャ、,ィ ',\   ,-ァ         ∧   .∧
    ヽニニつ iヽ    > ヽヽノ  ( {  _|ヘ---┘゙-─‐┘゙─ヘ              |`i
ャー────‐.} ゙l_,ィ彡'゙⌒''゙    } .|   ¨弋弋 ̄{ l ̄ ̄.] .i二二 --─'"`L____ノ .i___
.`´ ̄ ̄フ厂¨¨`i ィ'´     ',\  | .|    > > ヽ」   └i .j──一' ̄`! 「 ̄¨¨''┐ r-、_ノ'´   _, -―--、
     } }   | |、_     .,j } | │  //    _, - ',ノ __,ィヘ_,,-'''´ノ     {  )   -==ニ二_, --、_ノ
  , -‐'゙ノ    ` ‐ 二 - _/,ィ j 「  ',__//    ,-‐' , -'"   ̄ヽ ヤ´    __//
  `''"´         ¨ ー ' .レ゙ .`ヽ'"⌒'゛     `'"´       `ヽ)   ヾニ_r‐'′

       /\       /\       /\       /\       /\
      < 悪 >     < 魔 >     < 召 >     < 喚 >     < 師 >
       \/       \/       \/       \/       \/



●この作品は株式会社ATLUSによって平成七年十二月二十五日に発売された、『真・女神転生デビルサマナー』の二次創作作品です

●原作との相違点も多く、作者の知識の至らない点は自己解釈によって補われています。あらかじめご了承ください

●この作品はフィクションであり、実在する人物・地名・団体とは一切関係ありません

2名無し-Red-市民-2:2017/10/22(日) 01:37:54 ID:QOUm0Thk0
3が並んだ時間に始めるなんてすげぇスレだ・・・

3名無し-Red-市民-2:2017/10/22(日) 01:42:15 ID:H96YQWOo0
あ、前作ね。

ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/15257/1392983970/l50

4 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:43:04 ID:H96YQWOo0





┌─────────────────┐
│                         .│
│   第一話『デビルサマナー見参』    │
│                         .│
└─────────────────┘





.

5 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:43:17 ID:H96YQWOo0

                                                ,, -''L.. -__、
              ,, ‐'''"''> ..,,、                      _,,/. l゛ .|. │  l  ./'- 、
         _,,...、,イ           ゙''、                      ,,,ノ゛.ヽ  .l, !  " "  .′.,-ヽ
       ./´ ... '"  ../゙ ̄´  ‐、ヽ 、___                   / .`'、、.゙' ,i-'"゙ ̄″`''''、,   _..|
    _,-イ .,.     '゛        ゙ \ ,゙) 入、             / ゙-、,  .゙,..!゛        ..l .'.゛ ゙l
   .// ゛ /   ./   .,            `゛  l'''''-、   _ / \  `' .,ノ          │.ー''"|
   !│ .i'.′   l   /  ..、  ._..、     'ー';;,゙..._,_.,,,,;;y x-" ''、  .`‐  .|            /.''‐、,_(
  .l !、│   ! !  ! .゙  ,,,/: . ,i.゛ ゛   .. -.゛  │ヽ _∟.┴-- .ヽ   ./           ../ヽ. │
 .、、、 : ゛ .l ‐│  .i " ,,ノ/i.: i   ,, ‐''.""`  `゙´  /、      `'..、 /            ,,へ  ,i'゙
 ,i`'ミ;;-.._::ヽ..l. .! .! ! ." ! |::: ′ '゙ .、    -〜 ,,_゙丶  l     、. ヽ             ,i‐.l `.r'"
. |  ...l\    ヽ .! .゛./ .l゙ !: . / ."    .,r‐. , `''-  .ヽ     \ヽ        _./゛! ._r'"
.ぐ  : |、 `'-,,i .゙、.l .,′ :: l /: ....シ-. : ...‐   .`'’  、 .ヽ      .`ト,     ,iー'|  ,,./
. ヽ   !.ヽ .'冫 - 、/゙,,ノ_...、/../ : / ::.,ー--'"   .,丶 、  __へ   、      ゙、 ...iー|´."._,/゛
  .\, ヽ `-、 'ニ `".'.シ'/:::::.../ ::,/゛     ./ .; .ゝ .´:::::::::::.i,  ゙.、     ゙「゙ `,,,..ー'゛
   -ヘミ\,ゝ ‐i:!.l:::ヘ.:::::::::::,r'" ./    ,, / . !: .l:: l::::::::::::::::::,i"ヽ  .`-.    .l^゛
     -  ,.゙'!'〃 -~"゙、::::::::,i′ /    l゛'.::: ":::゛:::::::::::::::::::::|:´ l、  .ヽ.   .l
      ヽ ゙'-ハ.┬'''''|ノ::::: l  ./    /::::::‐::.::__::::::::::::::::::::::::.!.-''''..l,        .ヽ
       ゙、 ヾ '."、i、:::::::::! ,‐.「   .i"::::::_..∠‐.!:::::::::::::::::::::::.l   .ヽ    、   .`゙ヽ
        ヽ 'ー〃i l:::::::./     ..,シ^'''ン":::,,,、ヽ::::::::::::::::::::::ヽ.   `'-,,,  `‐ '-.  ヽ
        ..l.  ::::.|l゙"::./   .l ::/  ,/::,r'"   \,::::::::::::::::::./;;;;ニニ;;-、`'''― 、 \ .ヽ
         ヽ、:::::::./    i|‐゛   !::::/゛      _,ヽ::::::::./´    ゙'、.l   \、  ヽ
           ヽ /     ./     .l::::.l,,  __.. ー',゙./ ::::::./        ./ノ     .\  : ヽ
           /゛   ,/     `'-..,二..-ー'゙./::::::./     ,,,r=-‐"          ヽ  : ヽ
             /   .、/             , ---‐゙:::::::,i‐゙     ."            l   .!
             /   ,ノ/                                     ..-'メ."´.. .i'゛
         /..// /                                ' .' ." "." ''
          _./ " // ,{
   .i.'.二`-".′ !
  ,i'",/゙ン'.,-..  /
   ゙ ゙ ‘ .' `

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悪魔。主に神話の中で語られるその存在は、人の心の闇に付け入り、
その魂を地獄へと連れ去ってゆくと知られている。

魔がさす、という表現があるように、人間の悪性の象徴ともされる彼らは、
古来より人の影の中で息を潜め、隙を見せるのを待っていると思われてきた。
今となっては神話もお伽噺同様の扱いではあるが、ある時代では、
そのお伽噺の存在が世間を恐怖に貶めたこともある。

そして彼らは、そんなお伽噺の住人達の姿を実際に目にし、対話を試み、
それらを討つ者として世界の陰で静かな戦いを始めた。

誰が呼び始めたのか、誰かが名乗ったか、いつしかそのような人種は、
悪魔召喚師、デビルサマナーと定義されるようになった。
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6 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:43:31 ID:H96YQWOo0

        ,ィ´ ´ ̄ _, /.!, `゙ー、{~゙い .ト、;!.j,`゙!=ミェ',!
      く.,,,- _,´--'゙〉'゙ヽ__,..ゞ}゙fイヽ l、丶_. !  ゙、
       `~´   _,/  /イ゙ヽミ゙l-{ ヽ.、  ゙!.ぃ_ゝ,.イ~゙丶、
        ,.ィ'´  ~` ,ノf,ュェ=∠、ハヤ. ,.ニr.弋トゞ^ 、    ゙!
        "ー--,ェィ"!={{ェr'-i'=='ヘヤ.〈《ぃ   ゙'丶、     ,!
         ,..ィ´゙'" '=-f / j' ~` ヤヤ-t‐'゙    ヾヽ、_,ノ
       /      ,.,ノ  ,ノ     ゙!  ゙ぃ     ,.ムゝ
       ム..、      / ,.イ      ノ    ゙'  ,.イ
        `ヽ、 /. /     /゙!     ,.イ
            /. /     /  l、_,ムイ
.         /. /     /     !
.         /. /     / l !    l
      /. /     / .  ヤヤ.    !
    /  /     /.    ヤヤ   !
.   /  / .ゞ、/        ヤヤ   !
..  /  /   ,r'゙        ヤヤ   ヽ
... /  /   /          ヾ、   ヽ
..../  /   /             ヾ    ヽ
゙/  /   /               ヽ    ヽ

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これはその戦いの記録。
人と魔の狭間で生きる、魔を駆り魔を討つデビルサマナーの物語である。
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7 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:43:45 ID:H96YQWOo0

〜御幡県三津井市すずのもり公園の公衆トイレ〜
   ;ヾ、,.、,、.、rツ ッッシ、:':' r':' _,、-'゙_,
 ,、,、,ミッン、,._        _,、-'゙_,、-'゙. _,、-'゙,
 、ィッ ,:、 ゙''ゞ=ミ、~.: _,、-'゙_,、-'゙ _,、-'゙,,
 }; ヾ ゙' {!li;:,. _,、-'゙_,、-'゙ _,、-'゙,::|_|__l__,|⊥ |__|
 ゞァ''゙ぐ _,、-'゙_,、-'゙ _,、-'゙,、-''" .|__|__| _|_|_
 ,ヘ:'_,、-'゙_,、-'゙..::「┴_,エ ┴  ''"_|_|__l__,|⊥ |__|
  └i'゙-ニ,ニエ,.:|ニ「 _エ ┴  ''"_|__|__| _|_|_
    |エ | ニエ, |ニ「 _エ ┴  __.|_|__l__,|⊥ |__|
    |エ | ニエ, |ニ「 _エ ┴ 「fj.||__|__| _|_|_
    |エ | ニエ, |[8] _エ ┴ └‐_|_|__l__,|⊥ |__|
    |エ | ニエ, |二 _.エ 二.._ |__|__| _|_|_
    |エ | ニエ, |┴ _.エ 二.._ |_|__l__,|⊥ |__|
    |エ | ニエ, |工 _.エ 二.._ |__|__| _|_|_
    |エ | ニエ, |工 _.エ 二.._ |_|__l__,|⊥ |__
  -,-=''┷━━|┬ニエ ┬--  .|__|__| _|_|_
   ''ーニ_''ー::、_ ゙┷ 工_二'‐-、,_|_|__l__,|⊥ |__
  二二二`''ーニ`_''ー-、_¨''━、L|__|__| _|_|_
  二二二二二二二`''ーニ_''ー 、_       |⊥ |__

8 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:44:00 ID:H96YQWOo0

            ___ _
         -‐''"´ ̄ `  `''ヽ=、
     ,.‐''"´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
   r(:::::::::::::::::,、_ィ::::::::::::::::::::::::::::::::::
   ゞ, rr〜ヅ   ミ:::::::::::::::::::::::::::::::::
    フハ       ミ::::::::::::::::::::::::::::::
.    l __,,. -─¬,〈::::::::::::::::::::::::::::::        ……で、なんでそれが、俺がここにいちゃいけない理由になるんだい?
     〉゙゙`'''Tjフ ̄   ヽ::::::,ィ ,、ヽ:::::::
.    /   ,.‐'"      }:::/ /ヽ ハ:::::::        気持ちいいことに男も女も人間も悪魔も関係ないだろう、ん?
    /..             "´ 2ノ/ l:::::
.   ヽ.ニ,`           __/ :l::::         実際俺のイチモツを受け入れりゃノンケだろうが……
.     'ーr_‐;ァ       ィ    l:::
      〈..        /:{      ヽ
        `}     /:: ! i
        丶、,、. イ::::::    !
【魔王マーラ Lv90】




         ____
       /      \
      /         \
    /   (●) (●)  \     いや、ですから、死んでしまうんですよ。人間の方が。
    |   (トェェェェェェェェイ)   |
    \  \ェェェェェ/   /     何人この便所から死体が上がってると思ってるんですか。
     /⌒ヽ   ー‐    ィヽ
    /      ,⊆ニ_ヽ、  |       日に五人っすよ。それもかっぴかぴに干からびて。
   /    / r─--⊃、  |
   | ヽ,.イ   `二ニニうヽ. |
【人間 加賀喜留夫 Lv56】

9 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:44:40 ID:H96YQWOo0

     ''´´´ ̄ ̄ ̄ ̄` ー--、_
    /:;:;:;:;:;:;.;:;:;:;:;::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:.ヾ、
  /;:;:;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ヾ
  .,'.:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ヾヽゞζ)ヾ゚''心,ヾ;:;:、;:,,'゙
  ,':;:;:;:;:;:;::;:;:;:;:;:;;:;:;:'       ハソ  ''!ヾ
 .|;:;:;:;:;:;:;:;:;::;::;:;:;;:.';.      .ノ´)ノ   !           いや、だってな? 仕方ないじゃないか、そこに穴があるんだから。
 .|:;:;:;:;:.,--.、:;:::;/ 〃二二ーーー-t   fー-,,!
 .|;:;:;:;.,'rヽ ',:;:;/    r==f ̄ ´  ∧<''           腹が減ってて、目の前で焼きたてのステーキがあったら食いたくなるだろ?
  l;:;:;:;:|.l r l l;:リ     、迅y. ´   K庁 !
  ';:;:;:;:l l ( .イ           .ヽ` !            大丈夫だ、全員きっちりイかせてやってる。
  /;:;:; ヽヽ_l.              .ヽ .!
 /;:;:;:;:;:/\             __ ノ |             「いや、逝っちゃってるんですって。あと手握るのやめてもらえます?」
. 从从从  l            .´  .l
',       ヽ         ー=二ア  j
..',.   .   ',  ` 、     、____,   /
 ',     .',     .、        /                _.   _
.  '.,    ',        、    ! /-.、             <´.\`r´ヽヽ
.   ',.     ',       `ー,―、´   `゙'ーー ,,,       .  >.、´ ヽ / ' ,
    ' ,   ',     /   ',        `'.、      '、 ,ヽ  ヽ   \ _,,-、
      ' ,  .',    /  |    ',         . '、     .,`-、ヽ、 \_,,-ー''   .\
      \_   / /|    \       ./|      .l 〉 ヽ, >''"´
        \ `ヽ  ′ |     /      / |     入 /  , '   ` ー''""~
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「一応食いすぎないように、一人一時間は持たせてるんだがなあ」

「一時間ぶっ続けですか。そら死にますわ、マーラ様のイチモツなんざ
ぶち込まれた日にゃ三秒で白目剥いて泡吹くでしょうに」

全身に駆け巡る寒気を抑え込みながら、偉丈夫の姿をとった存在と交渉を続ける。
この悪魔、魔王マーラは、一週間ほど前からこの公衆便所に居座っていた。
元々ハッテン場としてネットの隅で噂になっていた場所ではあったが、
そこに煩悩の魔王が住み着くなどとは誰も思わなかっただろう。

しかもこの悪魔、無駄に強力なのである。
正直、自分が立ち向かえる相手ではない。戦いになったところで
銃を抜く前に上半身を吹き飛ばされて終わりだろう。
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10 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:45:20 ID:H96YQWOo0

       ____
     /     \
   /         \      ふぇぇ……ごりっぱすぎて手に負えないよぉ……
  /. u   (●)ili(●)\
  |    (トェェェェェェェェイ) |
  \   \ェェェェェ/ /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
このごりっぱな悪魔は本来、そこまで凶悪な悪魔というわけではない。
強力な魔王というとてつもない脅威には違いないが、積極的に人を喰らうのかと
いえばそうでもない。ただ、性欲が凄まじいのだ。

魔王マーラは不機嫌そうに鼻を鳴らし、「じゃ、あんたが俺を満足させてくれよ。
見たところ、それなりに鍛えてはいるようだからな。大丈夫、痛いのは始めだけだ」
とツナギのチャックを下ろし始めたものだから、喜留夫は恐怖で失禁しそうになり
ながら、チャックを上げるよう懇願した。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

11 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:45:35 ID:H96YQWOo0

                ___
               ,.-'":::::::::::::::::::`"''-、
            /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
             /:::::::::::::::/ ̄ ̄ヽ:::::::::,、:l
              l::::::::::::/≡=-.,,_ }从リ |:l
              |::::/ヽ|   ==   , =≡|ノ
              |::::l |:l        | =/
              |:::::ヽリ        l  /               はあ……わかった、わかったよ。
              |::::::ハ.   、__' /
              |::/ |∧  `ニニ´ /   'ミ_'⌒)           ソーマの一つでも貰おうか。あとトパーズ。
         __/l   | ::::\__/   (´  ⌒)
_,,..-―――''"´ ./∧  !  :::::::::::::::l、     `〜ー'           「うぐっ……ど、どうぞお納めくださいませ」
          ./  ∧         ,|∧
         /   ∧  i    / |. ∧‐-..,,_               ……グレイトチャクラも欲しいな。精をつけたい。
 \     ./     ∧‐-、   ,.-|  \.  \
   ヽ    /___   ∧__  __l    _..>  \            「チャクラポッドで勘弁してもらえませんかっ……!」
.   l       /   ∧   ヽ ∨  \      ∧
___ |       ./     ∧   |  ∨   \    ∧    ,.-――-..,,_
__   `ヽ       \      ∧      l      〉     /  __ /‐‐-、    , ̄`)
、、    l      \    ∧  l  |    /    /| / /     \ ̄  ̄"''-.,,
 ヽ i ´ `ヽ        \   l  |  |   ./     / y'ヽ ヽ      {  ‐‐-、 `ヽ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
敵わない悪魔には立ち向かわず、とにかく交渉に持ち込む。
それが喜留夫の方針であり、これまでのやり方だった。
どれだけ強力な悪魔でも、基本は他の悪魔と同じだ。物欲があり、
好奇心があり、人間に興味を抱いている。それらを上手い具合に満たせて
やれれば、魔王であろうと大人しく帰ってくれることもある。

無理に突っ込んだところで、生まれるのは成果ではなく犠牲だけだ。

と、大義名分を自分に言い聞かせ、いそいそと懐をまさぐり希少な宝石や
神酒を取り出す。正直、手痛い出費だが命には代えられない。ジャケットをめくった
時に目に入った刀と銃が泣いているようにも思えるが、自分はこういった場面で
奇跡的な勝利を収められるほど、神に愛されてはいないのだ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

12 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:46:13 ID:H96YQWOo0

                         ┌──────┐
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                           │::::::::::::::::│
                           │::::::::::::::::│
                           └───┘


                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘


                               ┌┐
                               └┘


                                   □

                               ・

13 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:46:29 ID:H96YQWOo0

           ___
         /     \
       /        \       見た? 俺の交渉術。 こりゃー知力50あるわ、間違いなし。
     /           \
      |   (●)  (●)   |      
     \  fェェェェェェェェy   /
       /          ヽ
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         ヽ,   (     ,/
          ヾ  |   |
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         (.("_`゙_)

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依頼の達成報告を公衆電話から終えた後、足早にその場から立ち去る。
冬であるにもかかわらず未だに冷汗は止まらず、
脇の下で洪水が起こっていたが、それもご愛敬というものだ。
もともとあの魔王は、DDSnetで不特定多数のサマナーに対し依頼を発信されており、
その内容は「討伐、および撃退することを命ずる」とのこと。つまりは、
もうどうにもならないから助けてくれ、手段は問わない、ということだ。

あのサイトの運営に関しては、どうやら公的機関の息もかかっているらしく、
たまにこういった依頼が大々的に掲示されていたりする。

報酬はいいのだが、どうにも無茶が過ぎる内容が多い。
それもそのはずである。なぜなら、そうして依頼に出されるのは、
お抱えの兵士ではどうにもならない事柄であるのだから。

ポケットから手帳を取り出し、予定を確認する。
確か十二時ちょうどから、駅から少し離れた喫茶店で依頼人と待ち合わせする
予定だったのだが、その店名を忘れてしまったのだ。
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14 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:47:04 ID:H96YQWOo0

ニ竝立竝」:':':\::::::::::::::::::...\  __ __ __ _
/ ||立竝|':':':':':':>、;;;;;;;南風,,,\ エェェェェェ _ _
__||竝立|:':':'/叉叉叉叉叉叉}ニ===┬─--
/ ||竝立|/i ̄|| 丁ニTニ!i竝|       |i     :
__||立竝|i |_||__||_| |l竝|    / |i     i
 ̄ ||竝竝|| | ̄|l || ̄| ||立|  // |i     |
/ ||足立|| |/|l ||/| ||竝|//   |i  / !
__||立竝|| |_||__||_| ||立|       |i/  !
E立r┴ー┴┴┐ || ̄| ||竝|  ,,..,,...  |i  ,,..,,.:
E竝||¢  ̄ ̄|::|/||/| ||立{.:;.'":;..'"'.: !.:.;'".:;.:.
E立||│KEY |::| ̄|| ̄| ||立{.;.:;....:;:;.:;..:;.:;.:;..:;.:;..
E竝||coffee |::|_||_| ||竝「工工エエエエエエ
E竝||  南風 |::|¨¨¨¨¨ __||竝|工工エエエエニニ!
E工丁ニニニ|「二二ニニ===--─=== 二¨¨
 ̄ ┴  ̄___」L ̄.. -  ,.. .  ̄    ..

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店名を確認した後、スマートフォンを取り出してそれを打ち込む。
軽く道筋を見て記憶し、足早に歩きだす。アプリを見ながら歩けるほど自分は
器用ではないので、最初から記憶するつもりで見た方が手っ取り早い。

十分もかからず、その喫茶店は見つかった。
黒板を思わせる看板に、安っぽいフォントで店名がでかでかと書かれている。
ビルの一階部分に建てられたその店の部分にだけレンガ模様に塗られており、
上層階は完全に灰色の豆腐のような外観だった。

ドアをくぐり、禁煙席を指定してから奥のテーブルに腰掛ける。
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15 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:47:22 ID:H96YQWOo0

                 __,,.、 -- 、、_
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         | :.:.:| :.:.:.ヘ、          ~ /,ノ:.:.::.∧ \
           | :.:.:| :.:.:.::}へ、    __ '  _ イ : /二二^  \
.         | :.:.:| .:.:.:.:.lト、 >、_  _,. <:.:..:..〈 ー‐-、    ヘ
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袖を捲り時間を見ると、約束の時間まであと十数分といったところだった。
ついている。

正直なところ、自分はこういったことに疎い部分がある。待ち合わせに
数分遅れることもよくあるし、目覚まし時計のベル程度ではそうそう目覚めない。
普通の社会人であれば毎日のように怒鳴られていたであろう。
こういう時だけは、自分がこれを生業にしていることをありがたく思う。

運ばれてきたチーズトーストを齧りながら、入り口の様子を窺う。
店内は休日のランチタイムであるにもかかわらず空いており、
カウンターに大きな声で喋るご老人方四人組がいる程度だ。

青いシャツの中年男性、浮かれた様子の女性二人と入ってきたところで、
依頼人が姿を現した。事前に聞いていたとおり、黒いカーディガンに紺のスカート、
染めた形跡のない黒い長髪の少女。
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16 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:47:34 ID:H96YQWOo0

.         ___
.    /´ ̄      ̄`\
  ./                ヽ
 /               ヽ      お先に失礼しております。私、加賀探偵事務所のオーナーをさせていただいております、
./    ( ● )   ( ● )  l
.|                    |      加賀喜留夫です。
..ヽ     r ェェェェェェy   /
. ヽ、   Lェェェェェェ/  /
  /:::::::::|::\゙_>介 √!;:::::::\
. /:::::::::::::::\:::ヽ };;{ |::/::::::::::::::ヽ
/:::::::::::::::::::::::ヽ::ヾ::}〃:::::::::::i:::::::i

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こちらを見つけるなり、少女は駆け寄るようにして近づいてきた。
喜留夫も立ち上がり、ケースから名刺を取り出す。

年齢までは聞いていなかったが、だいぶ若い。大学生くらいだろうか。

「あ、えと、どうも。桂言葉です」

おずおずと頭を下げ、桂言葉は席に着いた。
受け取った名刺をすぐに財布にしまったあたり、成人してもいなさそうだ。
喜留夫は既に平らげた皿を脇に押しやり、追加のコーヒーを店員に頼んだ。
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17 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:48:00 ID:H96YQWOo0

       ___
      /     \
    /         \
   /   ( ●)  (●)\       ああ、ここのお代は私の方で持ちますので。
   i    (トェェェェェェェェイ) i
   ヽ、   \ェェェェェ//       どうかお気になさらぬよう。
     /     ┌─┐
     i   丶 ヽ{ .珈 }ヽ
     r     ヽ、__)一(_丿
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三十路に差し掛かる男と、二十歳にも満たないような少女の組み合わせは、
中々にいかがわしいものに思えたが、喜留夫は気にしないことにした。
なに、自分とてまだまだ若い。この依頼人の豊満な乳房に心が浮き立つくらいには
若い。いや、しかし、これは中々の上物だ。大きな目と薄い唇には化粧気も見られず、
憂いを帯びた表情はどこか色っぽい。五年もすれば大層な美女となるだろう。

それはともかくとして、今は依頼を聞かねばならない。
事務所ではなく喫茶店を指定してきたあたり、人に聞かれたくないような内容
ではないはずだ。事前に聞いていた限りでは、護身だった、気がする。
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18 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:48:14 ID:H96YQWOo0

                              ....-―-...
                          ,...::‘:::::::::::::::::::::::::::`ヽ、
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                       ,::::::::,i!::::::::::::://芹恣`/'´  !:::::,:!:::::|
                      ,'::::::/:|!::::::::::/イ  夊」     /イ:::/:::|:|
                      /::::/::::i:|:::::::::'´:|       芹 '::::::::,j/
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               /::::/'::::|三三三三 ヽ:!:::i:::::i::::::i-}_/-{::::!‘. |::!
              ,.':::::::/::::::∧三三三三三レ!::::|::::::!、} \ヽ:::::‘ i::!
               /:::::::/:::::::/:::∧ 三三三三ニ!\!:::::|三≧ 、 ヽ、‘i:!
            . ‘::::/:::::,:::::::/:::∧三三三三 |三|:::::!三三三≧≧i!、

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桂言葉は運ばれてきたコーヒーには目もくれず、深刻な面持ちで口を開いた。
彼女から事務所のサイト経由で依頼があったのは二日前だ。
文面は丁寧だがところどころに切実さが滲み出ており、緊急を要するものでは
ないが、相応の厄ネタであることを感じさせるメールだった。

「依頼というのは、その、私の友達のことなのですが。最近、大学に来てなくて、
SNSの返信もかなり遅くなっていたので、一度様子を見に行ったんです。
講義が終わって、彼女の家に尋ねに行くと、その」

そこで言葉に詰まったのか、彼女は一度うつむき、そしてまた顔を上げると、
「家にはいませんでした。ただ、そこで妙な生き物に襲われたんです」

そしてまた口ごもると、桂言葉は意を決したかのように口を開いた。
「多分、あれって悪魔ってやつなんじゃないか、って」
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19 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:48:25 ID:H96YQWOo0

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.         ∩ |:::::::::::::/|/ x云 //   云x|/ ::::::://:::|i        へ、変なこと言ってすみません。でも、こんなこと警察に言うわけにも
          i |i:|:::::::::::::: |rf℃n /   n℃ハ}:::://:::: |i
          i |i:ハ〉::::::::::i| Vツ     Vツ /} /::::::::: |i        いかなくって……すみません、とにかく、あの子のことを頼みたいんです。
        rヘi |i:, |∧::::::::|\ ,,  ,   ,,  //ノ::::/:: |i、
.       i^`ヽ}__,, >、 〉 ::::|\u   __     /::::::/::::::|{ \      「保護、ということでいいでしょうか?」
.      i゙ \_}ー-  }/ハ::|  i\ `¨   .///::::/ /〉....\、\
.      | \)   //i|::::::| (\   ー=≦ //::::/ //.............\ \   それもありますけど、とにかく探していただいて、危ない目に
.      人 ___,, ィi^ i|::::::|i.  \\    //::::/_//................_..}  \
.     /.........................ノ.i|::::::|i-‐==‐-ミ__x‐=ァ::::/......{...............{...`、   }  遭っていたら守ってあげてほしいんです。
..  /........................./} リ:::::八. . .x<. .(__). ./::::/. \.` 、.................`、 {
 /........................./  }/::::/...ハ. . . . . 厂\::::/ ._._._}.....`、.................`、

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つまりは護衛と人探しの両方を兼ねた依頼、ということになる。
悪魔の危険もあるため、貰うならば百万円は超える計算だ。
だが、こんな年端もいかない、それも世間知らずそうなお嬢様がそんな額を用意
できるとも思えないのも現実である。

「いいでしょう、十五万で引き受けます」

「じゅ、十五万ですね。分かりました。言われた通り、手元にありますので……」

「では、指定した口座に前金の振り込みをお願いいたします。
確認でき次第、調査を開始させていただきますので」

また経理担当から愚痴を言われるな、と喜留夫は契約書を差し出しつつ
内心では汗をかいていた。
誰に対しても臆することがないのが喜留夫の取柄の一つだが、彼女だけには
頭が上がらないのである。

桂言葉に、事前に持ってくるよう頼んでいた資料をテーブル上に広げてもらう。
捜索対象の顔写真から住所、その他諸々の情報だ。これらを頼りに、
これからの調査が開始される。

桂言葉の説明を聞いている間、喜留夫は経理担当への言い訳ばかり考えていた。
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20 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:48:37 ID:H96YQWOo0

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21 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:49:21 ID:H96YQWOo0

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〜TIPS〜

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       /         \
      /   (●)  (●) \
      |   (トェェェェェェェェイ)  |
      \  \ェェェェェ/ /
.    ... /⌒/^ヽ、    ,ィヽ、
      /  ,ゞ ,ノ      ,  \
     l /  /       ト   >
       ヾ_,/          |/ /
       |          |/
【名前】
加賀喜留夫
【種族】
人間
【レベル】
56
【属性】
Neutral-Chaos
【相性】
破魔無効
【能力】
力-C 魔-D 体-D 速-C 運-E
【スキル】
地獄突き 猛反撃 暴れまくり 狙い撃ち
【装備】
『改造COMP』
黒いボディのガンタイプCOMP。極めて高性能であり、様々な機能を持っている。
独自の改造が施されているが、喜留夫自身が手がけたものではない。

『粗製の短刀』
白木拵えの短刀。
無銘であり、所々に粗末さが感じられる。払魔の呪文が刻まれているが気休め程度。

『喜留夫の拳銃』
FNX-45。カーキ色の拳銃。装弾数十五。ダットサイト装備。
使用している銃弾は呪術師が加工した特殊なもの。
強力な悪魔を相手取るにはいささか力不足だが、それ以外の悪魔や人間には十二分に威力を発揮する。
かなり奮発して買ったらしい。

『喜留夫の狙撃銃』
モシンナガンM1891/30。
かなり旧式のボルトアクション狙撃銃。実際骨董品レベル。
安価だからという理由で愛用しているが、なんだかんだで手に馴染んでしまったらしい。
ライフル弾を撃ち込まれれば流石の悪魔もそれなりに応えるとのこと。

【備考】
年齢:二十六歳
最終学歴:高校中退
職業:私立探偵
──────────────────────────────────────

22 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:51:01 ID:H96YQWOo0

〜加賀探偵事務所〜
     :| :|  | |        | |        |      | :|  |            | :|  |
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事務所の前まで戻ると、喜留夫は深呼吸をした。

事務所はこの望月ビルの地下一階にある。一回はエレベーターホール、
二階はパブスナック、三階は中国人が多く働くいかがわしいマッサージ店となって
いる。珍妙なラインナップだが、それゆえに格安で借りられ、
立地もよかったので背に腹は代えられなかったのである。

両開きのガラス戸から中に入り、エレベーターに乗る。
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23 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:51:20 ID:H96YQWOo0


                     _____________
            ー 、____, '\                  `ー 、
       , '⌒ ソ―――――・|   ∀――――――――――‐∀  l
    ⌒ヽ‐  /   ┌――┐│  l ////// /           |   |
      `X      l:ニl   | │  l ////// /            |   |
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   / ` 、     ー==○   ヽ  l                        |   |
   l    \ _, ―――ヽ  ◎ ヽ                      , ⌒ l
  /     /ヾ `l l   l lヽ___ヽ__________, ' /  l
 /      ,〉  ヾ ヾ  ノノ    \-------------------  ` ‐ ´
 l ・     l    l l ̄ ̄        \_ ―――――、 、  _メ´
 l      〉    `              ` ―――――'‐' ̄
 l     l
 ヽ‐- 、_ 〉
   l   l
   l  l
   ` ´


╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
短い廊下を抜け、事務所へと入る。
玄関、応接室、事務室と続いていて、そこから先は居住空間として使っている。
つまり、ここが職場でもあり家でもあるわけだ。

懐のホルスターからCOMPを抜き、撃鉄を下ろす。
きゃりきゃりと金属が擦れ合う音をたてながら、銃の形をしていた物が
開き、小さなモニターとキーボードが現れる。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

24 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:51:33 ID:H96YQWOo0

============三二=--                        =============三二=--
εξλ              三二=--                      || ┃┃┃ ┃┃┃┃  ┃┃┃┃ 三二=--
σκοΒΑξενξ     || 三二=                      || ┛  ┗ ┛  ┗┗━┛┛┗┻ || 三二=
κψΚσνΩφκτμψ 三二=--__________________三二=--           三二=--
ρκπδκι        三二=--                             三二=--        二=--
ρδбθσιρ        三二=-                          三二=--ψ           三二=-
ι∩∞∝            三二=--━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 三二=--┃┃┃ ┃    三二=--
===========三二=--                               三二=--====三二=--
 |        |┃ εσκοΒΑξενξ                         三二=--
          |┃ φκψΚσνΩφκτμ                       三二=--
         |┃ ιρκπδκι                            三二=--
         |┃ ┏━┫┳  ┳ ┳┳┓ ┳┳┓┏━┓┳┓┏   ┏━┓┳┏  三二=--
         |┃ ┗━┓┃  ┃ ┃┃┃ ┃┃┃┃  ┃┃┃┃   ┃  ┃┣┻   三二=--
         |┃ ┣━┛┗━┛ ┛  ┗ ┛  ┗┗━┛┛┗┻   ┗━┛┻ ┗   三二=--
         |┃ ξζηοπυω                           三二=--
         |┃ νιεκσοθζε                         三二=--
 ===== ┃ χφΦΥΨΧοκενηψ                      三二=--
 || ┃┃┃ ┃ |┃ ισλοωθ                             三二=--
 || ┛  ┗ ┛ |┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━ =============三二=--

25 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:52:05 ID:H96YQWOo0
 ||ω    .    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||νεξλ             三二=--
 ||θζε              二=--             ||εσκοΒΑξενξ    || 三二=-
 ||οκενηψ           三二=-           ||φκψΚσνΩφκτμψ 三二=--
 ||ΑΕΜΕΝ             三二=--           ||ιρκπδκι       三二=--
 ============三二 ___..--ー'宀コ土コ宀ー--,,_||♀§Å‰£χξνφΘ    三二=--
                   _,,z亡ン-宀>''゙~   ~゙''<゙''¬-- ||ニ辷,,_ΠΜΦ ._____________ 三二=--
      =============三二=-- ̄ ̄~弋ニ~~^======|                       三二=
      ||ξζηοπυω 《 /   lレ'  "二=--     ゙ゝ]「. .lL ゙lL    |                    三二=--
      ||νιεκσοθζεニィ‐"^lL   三二=--      ノ广゙'+,,上.」]}   |┏━━━━━━━━━━━━━ 三二=--
      ||χφΦΥΨΧο 木゙弋ー--,,上 三二=--      _上,,..--夕勹レ   |┃ νεξλ               三二
      ||ισλοωθ    ㌔_ \. .下二=--___,,..-一''^]「  ./ _ノ'´    |┃ εσκοΒΑξενξ    三二=-
      ||υρδбθσιρ  ゙゙ヘa_ \u廴二=--宀ゥy__上 / ,,ィ‐゙゙       |┃ φκψΚσνΩφκτμ  三二=-
      ||∽ι∩∞∝        ~~`ーレ廴ニ=--二二ニニ千ー'~~          |┃ ιρκπδκι       三二=--

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悪魔を使役するための機械、それがこのCOMPである。
喜留夫のCOMPは銃を模した形をしており、ホルスターに収納できるように
なっている。軽量なので取り回しが良いのも利点だ。

つまるところ、悪魔召喚プログラムを内蔵したパソコンである。

青い画面の上で大量のヘブライ文字が踊り、「Summon ok」の一文のみが
英文で表示される。

瞬間、喜留夫の足元に魔法陣が形成され、生体マグネタイトが緑色の燐光となって
部屋を埋め尽くす。大昔の魔術師が儀式に儀式を重ね、日取りに月齢に供物にと
必死になってやっていたことも、現代ではボタン一つでこの通りだ。
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26 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:52:27 ID:H96YQWOo0

                   ..-‐  ¨ ≧ァオ¨_ミ:x.__
             ,ィニjァ='ィ     ⌒´辷彡ス `Y
           r:ヘ.Yツ / /   i l i ヽ  ` ヾ) i |
           トi ,ィ/ ′ i l l l | | l .ハ  ((  | !
                | jヘトN i  | | ィ7从┼l‐-i!  }` !リ
                レ′ l  Vアフ彡ィ/ j」⊥j、! イ  ハ、
           /   八 くヾrjYtリ  ´ヒ:z:ノ;7 /   Y ヽi           それで、契約は取れたの?
             /   /  ヽ卜辷r" :  "" { ! ハ    ト-ミ: ____
           √ァ’ /   トミ Ⅵ(  ‐.‐  人ヾ {  , マ≧ レ==ミ`ヽ     「ああ、取れたよ。十五万でな」
          /〃 /イ ャ‐ミxヾ:`へ、_ ..√てハ>"{  ヽノノ     ヽ\
       人{/ /  }   }rリ)  r' `’ ) _/   `ヽУく       )/   ……十五万? 桁が足りないのではなくて?
  .-一=彡 ハ /r‐ "  ,ィ Yヽ辷彡= _厂Y `う     レ/ \   ー=彡
ィ´   ̄   /ヾく  |  =彡  リ_ / > < 1| {:_  /イ\  丶        「いいや十五万だ。仕方ないだろ? 相手は子供だ」
 /   /  /\-ィ    「ぇ≧z\_/ィミУ { 〃´  /ヽ   \
/    〃   ′  Y      | " ヾ ̄  ̄ /_  }.:′   /   }     ヽ
    .ィ   i {   Lk、   !         ¨_ノ /=ミ    〉/⌒ヾ    ハ
 / {     ヾ:、  r'¨ ` rァヘ:、   ヽ  しぅ〃 : ヾ ∧     }l   /
く  八     ヽ/   /ソi } ` :.、  }  ソイ}    }  i   〃 /
 ハ   ヽ   r='=<r彡八V_ ==≧<ア/ ¨{/    ト、  v/イ 八

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緑の燐光が集束し、やがてそれが徐々に形を成していく。
そうして現れたのは、少女の姿をした悪魔だった。
百六十もない背丈に、白桃色の長い髪、白薔薇を模した眼帯、
ウェディングドレスを縮めたような白い衣装は、
そういった趣味の少女に見えなくもないが、正真正銘悪魔である。

悪魔ではあるが、敵対する危険はない。何しろ彼女は自分が契約した仲魔だからだ。
寝首を掻かれる心配もない。何しろ十年来の仲だ、やるならとっくにやっているだろう。

そんな彼女に今回の報酬金の話をすると、穏やかだった彼女の表情は
途端に険しくなった。臓腑を冷水に浸したような感覚が喜留夫を襲う。
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27 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:53:56 ID:H96YQWOo0

/ / // /|ノ ゝ/ / / / / / // l ト_l_r/  / / ill / . / /  l  /
;/ / / |- └//_/ / /l /l il/ //yγ|/  l /|/ / // | /l /  /
;;/r ̄´ ̄´   ` `l_、 //l //l // / l/ | || / ;/ : l| / /// / \ /l/  /   /
;:rー´,yー´/l⌒lゞノ l/ l /l//lil / /  i |  / // / /il// |/ /  /   /
l  il 〈l〉//ヾ`\ lーl/ll/ / /l/ l  l |  / | / / /l/ / /l  / / //
l   i Y r´ ♂i  ヾl〉ーll / l l / l_/ll/  l // l ト 、/ / /l  / / l/
\τーl  l / yl  l 〉 l/l l l l /ll  //  / // / l / \ノ/ l / / //
` 〉\ ヾ y_て / l ll ll l i ll / / / /  / / / /l/\l // //
;;ー、_\_/l//ヽll l l l   l / /_,--/- /_// //  l\// //
L_ゞーヽーー´ー)l》〉il l i   l / /´ //彡==ー-/  / / // /
   ヽ l\il_/ ̄/ /´     /i/ ´ /  〃 : : ;;;;;;;;;::;;ミ‐_l/ / / /     /         あらあらまあまあ、とってもお優しいのね。
   ) l `´    (/      /  / / ;∥;;;;:..  ::::::::::::::ノ/ l//      /
   !/       ´      ´ /  ´  ̄\::::::::::....℃/\l /     /           で? 今月が赤字だって覚えていらっしゃる?
  /                         ゛゛ゞ;;;;;;;;/:://l/  /  ;/l
         ヽ_           ―       ゛゛// //   /   / l           「ぐっ……ま、魔王マーラ撃退で稼いだろ!
                       ―       // / /   / /l
     、_                  ―     //;/   / l l             あの分はどうしたんだよ」
     \`  ヽ、                    ;/ /    /  l l  /
       ヾ__ >                ///    /  l l  /           それでも赤字よ。あなたが相場通りに額を
、                           /〃     /   i  l /
\                        / /     /   l  l /             提示していれば、話は違ったけれどもね?
;;;;;;;\             _ -、  _  イ  /     /    l  l /
:::::::::::::\       _ _/    l;;;;;;;;;// /      /     / / l              「しょうなのお?」
l  ̄`;;;;;;;`‐‐=-ー ´;;;;;;;;;;;;〈    ヽ/ /       /     /  / li
   「;;;;;;;;;;「  ̄┐;;;;;::::::::::::l   / /       /    /  / /
l  i::::::::::::::)    lーーー´ /  /        /    /   / /

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そう、この事務所の経理担当とは彼女、夜魔クイーンメイヴなのである。
悪魔に経理を任せるなんて! と絶句するサマナーもいるだろうが、
自分には学もなければ細かい計算をする能力もない。勉強は苦手だ。

その点、彼女であれば問題はない。なんせコナハタの女王の神格を宿している
のだ、政治経済はお手の物である。なので、その類は彼女に任せきりなのだ。

「あれだけ霊石をただで渡しておいて黒字も何もないでしょう?
ただでさえ依頼が少ないのに、どうしてそう余裕ぶれるのかしら?
人情家なのは結構だけれど、自分の懐を見てからやっていただけると幸いだわ」

なので、これだけ言われても反論の余地はない。
すまない、本当にすまない、と頭を下げ、許しを請う他ないのだ。
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28 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:55:46 ID:H96YQWOo0

 、   _, .} ,メ    l   ',::   ヽ::::.   ',:  ヽ
   ̄,´/F>`ミi_ i  i    ';::   ' ;:   ';::  ',
  ,⌒Yiー<⌒ハL  i     '::;    ',、   ';::  }
  ,イ冖!/てヾVYjヽ_, l、 ,  ',斗七  '.,ヽ 人,,リ
 从r'弋心ノ',イj从i   l....ヽ/ '; :::\  l ::/イ
.<  ゝ._`フノノハ、 .i  l::::''ゞ从_i⊥、;\j .i
  弋 _、.>√勿/ヽi. ハ   V{ィrャミ <  丶_           ……ああ、勘違いしないでちょうだい。
  )) /´  `.i`...'.,::、 '、 ハ  `.辻,ィ'}      ̄|
    l    :::   ::',::\ iヽ   |下乙     /         別にそういうところが嫌いというわけではないから。
    l    ::     ;;; ::ヽ| ゞ         /
    ,'  ..::    ,:'::, :::|           (          
    ,'   ::    .::  ::: ::|`(  Y ヽ、     /
   ,'  .::  .:: .::..  ::: :| ,ゝ‐イ .ノゝ___,,ノ
  ,'  .:::  ..::: .:::  ::: :::!" `丶、s ̄`)
  ,' .:::/  ::: .::    :: ::/   l  .l ヽ ̄)
 ,' ::; '  .:: :::    ノ,/ ヽ、 ヽ / /、ゝ
.  / ..::: :::   // `丶、`  '彡,廴`;;;;;
  ..,,,_::,,__.:,,,,::://‐-、__   `丶 .ヽ /∧/|
 Y        ̄ -  ,,,, ` ‐ - 、 .Y..∧/|
               `ヽ     ヽ|∧//|

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笑顔の罵倒が数分続いた後、メイヴ、と喜留夫は呼んでいるのだが、
メイヴは事務室へと向かっていった。色々とやることがあるのだろう。

とにもかくにも、これから調査を始めなければならない。

「前金の振り込み、確認できたわ。それで、まずは大学に行くの?」

「いや、自宅の調査が先だ。そっちは悪魔の巣になってる可能性が高い。
その、清浦刹那だったか、その子の安全のためにも、先にそっちに行こう」

「そ。じゃあ、自宅が外れたら大学に向かいましょうか。装備は大丈夫?
弾丸は十分?」

言われて懐を見る。祓魔の呪文が刻まれた短刀に、カーキ色の拳銃と消音器、
そのマガジンが十個にマガジンポーチと一式揃っている。

「おう。そんじゃまあ、いっちょ稼ぎますか」

黒のビジネスバッグに身代わりのヒトガタや、使うことになりそうな
着け髭や帽子などの変装道具などを捻じ込み、メイヴに「出るぞー」と呼びかける。

探偵の仕事はここまでだ。ここからは、デビルサマナーとしての仕事となる。
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29 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:56:27 ID:H96YQWOo0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                         └──────┘


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                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘


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                                   □

                               ・

30 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:56:43 ID:H96YQWOo0

                -,ヘ‐/:丶、
              /:/:/ : : : : \:.\ 、__
           /7 ア/: :/ : : : : : : : 丶:.\ |7           n .,7 /7
         _,〈 / }: : : ,: : : |: : : : : : : :ヽ: :',ヽ          | |,ル'/, フ
        <ア/}/: : : :{.: : :.|: : : :.l\: l: :',: :',.、ヽ      r 、|    /
          ./ : : /: : : : 从匕: : : :.匕⌒: : l : |: :Y       ヽヾ- ` {      やっほ、何の用〜?
        /: : : :|: : l: : {,ィ苳ミ \ | ィ苳ァリ : }: : :.         丶 ` ノ
        /:/ : l\∧: ゞVソ   、 り }: |:./ : }、:.       {ー─}
         {;' {<^¨^〜、`^ゝ、        ノ:./': : : } ',}        'ー─l
         | {く_   r'   7 ヽ ノ /: : : }^ソ- 、l      /- 、 |
         |   `ヽ<    >ー‐'7乂:.イ z‐ミ }     厶=ミ.、 }
         |     \    ミニニ〈: : :ノ    `ー、__/_  ゙v
           〉      ※。 ミ´ ̄〈: : )          /ニニニヽノ
            〈         ノ ゚`''*。(: : )※    /ニニ丶ニニ}
【堕天使パイモン LV52】
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
清浦刹那の住んでいるアパートは、古びた薄紫色をしていた。
木枠は所々朽ち、階段の手すりには赤錆が目立つ。
大学生が一人で住むにはお手頃な家賃なのかもしれない。

喜留夫は清浦刹那が住んでいるとされる一階の三号室の前に立つと、
COMPを抜いてキーボードを叩いた。やがて喜留夫の周りに生体マグネタイトが
撒き散らされ、二体の悪魔がその姿を現した。

メイヴと、喜留夫の仲魔の一体である堕天使パイモンだ。
見た目は女の顔をした男、というかなり奇怪なものとなっているが、
これでも立派な序列九番の地獄の王である。

西洋風の鎧に赤いマントを着込んだその姿は確かに王らしいが、
幼さの残る少女の顔がその全てを打ち消していた。

「おう、いつもの鍵開けだ。静かに頼むぜ」

「うん、まっかせて」

喜留夫にはピッキングの技術がない。かといって大家から鍵を借りるのも
難しいだろう。となれば、ここは悪魔の出番である。
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31 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:57:07 ID:H96YQWOo0

                   __
                ノ: : : __: : : : >一┓
                 /: :-=ミ:.\\:/=Y=ミ
                /:/: : : : : : :\:ヽ 辷リi: :ヽ ヽ
            /:/i: : : : : : \: : :ハ Ⅵ{: : : Vノ
            ノ:イ: |: :{、: :.{ヽ:/斗ミ: : 弋}: : :\ _
              |: :|i八_\ヽ 伐zソ: : : :ゞイ: ハ⌒
              |: :|l: : :x=ミ⌒   }ハ : : |:从: :乂            ちょろいちょろい。
           _  |:八: : : :ゞ' 、 _ ' / }: 从/ ーァ:.、_
         / 7⌒ゝ{  〉: \个=--- '≦:/<    >:i廴_         んじゃ、潜入開始だね。
.        /     vr{ \: {≧=ー{ニノイ<      弌 ⌒〉:}ミ、
       /    |  }八   \  Y/´ >     > /⌒: :人
       ,     |  |\  r'V{/\__彳   <  / Y: : : /
       /     ;  √ ≧=彡く: :rvYr: : :|}へ从{´ /イ }: : ∧
      ,     ;   |:i:i:i:i:i:i:iヘ\≧=--=<大>  ,/ {  ヘソ: :}
     /     ;   |:i:i:i:i:i:i:iYニr=r-‐=rへ \ \  } 〉: : :イ
    ,        |   |:__:ノ:i:i:i:i:iニYYニニyゞ /\ 、_,ノく: :Y: r'
     i   |   |   |ニ \:i:i:i:}ニ}ニニ /ニ {:i:i:i}≧=ミ\: ノ:.ソ
     |   |   |   |ニニ=\ノニ{ニニ {ニ彡、:ir{ニニ/ /''\

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
パイモンは鍵穴を覗き込んだ後、指先をくるくると回し始めると、
そこから小さな氷ができた。魔法で生成された氷はみるみるうちに大きくなり、
鍵の形を成した。

それを鍵穴に差し込み、回す。がちりと音が鳴り、パイモンは得意げに鼻を鳴らした。

「便利なものよね」

隣のメイヴが腕を組みながらそれを見て、呟く。
実際、パイモンは戦闘において劇的な活躍をするような悪魔ではない。
だが、とにもかくにも便利なのだ。こうした工作活動から魔法による支援などを
得意としており、私立探偵の皮を被っている身としてはありがたいことこの上ない
存在なのだ。見た目に関しては、ひとまず置いておくとして、だが。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

32 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:57:24 ID:H96YQWOo0

               ∩
                ( ⌒)      ∩_ _
              /,. ノ、    i .,,E)
       ,、 ,、     / / ゚)゚), -、 / /"、
  _n , - (゚(゚ ))>  ./ /⌒ヽ_''_)  ノ' ゚)゚), -
 ( l ( '_,r'⌒゙i  / /ヽ_,,__ \/ /⌒ヽ_''_)
  \ \ ∠_ ,,ノ  (       / ヽ_,,__ \    n
   ヽ___ ̄ ̄ ノ ヽ      |  ̄     \    ( E)
     /    /   \    ヽ フ    / ヽ ヽ_//

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
COMPを懐に戻し、代わりに銃を抜く。
サプレッサーをはめ込み、マガジンを確認して、スライドを引く。
事前にCOMPのエネミーソナーを確認したが、周囲に悪魔の気配はあるものの、
それほど強いものではないらしく、下級悪魔のものではないかとのことだった。

それでも、用心に越したことはない。
いつでも懐の短刀を抜けるようにジャケットの前を開け、銃を構えながらドアに
手をかけ、開く。

部屋の中は、とても整理されているとはいえない状況だった。
最初は掃除ができないタイプなのかと思ったが、どうもそうではないらしい。
ダイニングキッチンの台所の上では皿やコップが割れ、床に破片が散乱している。
テーブルは真ん中から折れてへの字になっていた。

「パイモンは周囲警戒、メイヴはそのまま待機」

仲間に指示を出し、銃口を部屋の奥へと向ける。
寝室の扉の先で小躍りをしていたのは、黒い小人のような姿をした何かだった。
この小さな悪魔にはよく出くわす。幽鬼ガキだ。数は五匹。
どうやら彼らが部屋荒らしの犯人だったらしい。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

33 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:58:01 ID:H96YQWOo0

                         `ヽ:、 . i:{
                           ヾ:、 {:!:.、
                            ヾ:!. ヾ:.、\
                              ゙::. .゙ヾ:.、ヽ.
              _, .= - イミ、          ゙、:. . `ヽ:.、
            ィ:7 イ壬ソィ=-ミ、_          ヾ:.、: : .、:}、
            /i ! ゙弋辷彡ニ=ミ、`ヽ         `ヽ:、 :i:l:、
            /ο{ 、..:::ヾ.煙乂大ヾ.ヾ:.゙.          ヾ:、. ゙:.、.
       /゚    、:::、::ー-:::7´  ヾ:.ハ:.i:}          j } .}:i:!
      ,'f '!   ..:::"::::::::::::::ァ′    }:.! ゙ヾ:、           (( . ,':/
      !.i ゙、..::::::::::::::::::::::/      リハ  \、_...._      ):、:.i!
      ヽ;、;丶:::::::::::::/       (( 丶:‐、`ヾ::ミ、___..._ノノ.:{:.:
        ` 、::::゙ー/          `ヽ.、`⌒ヾ、`ヽミ_:.:.....:.::::::ノ'
         ` ̄              ` ̄⌒``ヽ入_>―イ
                               ヾ:.、`ヾ=彳
                                ) }

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
両手でしっかりと銃を構え、ダットサイトを覗き込む。
幽鬼ガキは目が良くないので、隣の部屋にいる自分たちには気づかずに
虚空を見つめて唸り声を上げていた。

頭に狙いをつけ、引き金を引く。
次の瞬間にはガキの頭は弾け飛び、その中身を床に撒き散らした。
仲間の死に動揺したのか、ガキたちは騒ぎ始め、ようやくこちらを見た。
間髪入れずに二発、三発と狙いを移しつつ銃弾を撃ち込む。
ぱすっ、という軽い音と共に弾丸が射出され、ガキたちの頭と胸元を抉っていく。

十秒と経たないうちに、寝室はガキたちの臓物と血液で滅茶苦茶になった。

COMPを抜き、エネミーソナーを確認する。
周囲に悪魔の気配はない。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

34 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:58:16 ID:H96YQWOo0

                  ___   __ _))r-、ィ⌒ヽ
                 {薔}      λ廻 }⌒ヽ
               /./       辷ニソ
              / /   l  l l  l (( \
                / / l  l| /i| i| i| | | l \
.               / / l | l | / i|/_|/ | ! ! |  \
              /  | /! | r//  イ示ハ|/! /l l  i
.             /  /レ' l l必})  弋沙/ l l l|  |         妖精は無暗な殺生は好まないわ。
            /  /   l,リゞ彳,      レ! l |
.           /  /   / ノ八  _     / /  i!         多分、命は取られてないと思う。
          /  /   /  l l ゝ、   _ イ /  |
          .′ i  /  / / /_fTフ./ / ヘ. |
           i  / /  / / /r| /ノ i  i! しヘ ヽ
         / / /    / / /ノfi フしヘ!  |ィ⌒´ヘ
       / / /    / / {  { ノ≫≪ |  |ノ⌒てi
       i i ノ   / / ヽ У|≫≪ λ  \ ̄`>
       // (    (  \  i fてzr-z_ノ \  \ ノ
      /ノ  i   \  )  )   ⌒乙  /  /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「清浦刹那って子、こいつらに食われちまったのか」

すかさずパイモンが否定した。

「いんやー、人の血肉の匂いはしないし、多分それはないんじゃなーい?
多分ここで悪魔に連れ去られるなりなんなりして、その後でマグの残り香に
釣られてきたんじゃないかな」

「ん、ガキ以外の気配がするのか?」

「そうそう、見てこれ」

パイモンが指差す先には、フローリングの上に細かい砂のようなものが落ちている
のが見えた。

「妖精の鱗粉ね、これは」

「お、さすが元妖精。分かるもんなんだな」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

35 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:58:50 ID:H96YQWOo0

       ___
     /      \        しゃーねーな、後回しにしてた大学に聞き込み行ってみるか。
    /(● ) (● ) \
  / (トェェェェェェェェイ)   \     なんか分かるかもしれねえし。あとヴィクトルあたりに、
  |  l^l^lnェェェェ/     |
  \ヽ   L        /     妖精の巣がここらへんにないか聞いてみっか。
     ゝ  ノ
   /   /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
とにかく、ここでの収穫はなしということだ。
銃を懐にしまい、そそくさと出口へ向かう。
長居して他の住人に見つかっては面倒だ。警察など呼ばれた日には
たまったものではない。

「人間の大学? ねえねえ、僕も観に行っていい?」

「恰好がなあ……悪いがCOMPで大人しくしててくれや」

頬を膨らましながら、パイモンは渋々承諾した。
子供ならともかく、大学生にもなる人間が妖精に連れ去られるのは稀だ。
何か事情があるのかもしれない。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

36 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:59:35 ID:H96YQWOo0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         └──────┘


                           ┌───┐
                           │::::::::::::::::│
                           │::::::::::::::::│
                           └───┘


                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘


                               ┌┐
                               └┘


                                   □

                               ・

37 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:59:48 ID:H96YQWOo0

〜瑠璃が丘大学〜
; : : ;、: : : : :ミ:、_                                        |: : : : : : : : : : : : : : :
: : : : :ミ: : : : ):゙': :'ミ                            _________|: : : : : : : : : : : : : : :
. ;_-=-, , : ://: :∠ミ                           |:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:|: : : : : : : : : : : : : : :
: :; : : : , :Y: :ノ: : :,ヾ,_          /|  ‐-   _     _|:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:|: : : : : : : : : : : : : : :
: : : : ; : : ミ: :ヾ: : :ハ;⌒ミ       /  |     |       l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|: : : : : : : : : : : : : : :
: :ミ: : : : :ノ: :イ: : : :,:j: : :,ト、_, _   /   |     |       | ┬ ―――――┬ |: : : : : : : : : : : : : : :
;'"; :゙; : : :ゝ: ミ;: ,: :^i, ;:ミ: : : ゛:j /     |     | \    | |_____.. | |: : : : : : : : : : : : :-‐
|  |: : :;./゙/j: :,:. ;ミノ: :r;':, :;.ミ/      |     |   \  | | |__|__|__|__|__|__l | |: : : : : : : : : : : : : : :
: `ヽ: :,/, レ゙/,: :'.:; ;人: :/     /|   |     |\   \| | |__|__|__|__|__|__l | |_: :-‐: : : : : : : : : : :
: : : : :ヾ /; ': ; : : ,:_:,'/    /,:i^|   |     |\\   \!  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | |: : : : : : : : : : : : : : :
|`'↑/゙/-‐=i⌒´ /     /,.:l ||   |     |  \ヽ   l¨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |: : : : : : : : : : : : : : :
|  | /;. || | | /    / . |: | ||   |     |    | |   l―――――‐┤ |: : : : : : : : : : : : : : :
|  | /:゙;^ー=‐/     /,:i::| |: | ||   |     |    | |   |_______」 |: : : : : : : : : : : : : : :
ノ゙⌒:-‐=゛/     /, l |::| |: | ||   |     |    | |   ||__|__|__|__|__|__| | |: : : : : : : : : : : : : : :
: : ': : : :/     /, 1:.:| |::| |: | ||   |     |    | |   ||__|__|__|__|__|__| | |: : : : : : : : : : : : : : :
': : :':/     / , | |: :| |::| |: | ||   |     |    | |   |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄¨| |: : : : : : : : : : :-‐ : :
: ;/     /, |::::| |: :| |::| |: | ||   |     |    | |   |~ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |_: : : :-‐: : : : : : : : :
"     /, イ::||::| |: :| |::| |: | ||   |     |    | |   l―――――‐┤ |: : : : : : : : : : : : : : :
.    //:l l:::||::| |: :| |::| |: | ||   |     |    | |   |_______」 |: : : : : : : : : : : : : : :


╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
捜索対象の通っていたとされる大学は、かなりの偏差値を誇る市でも
有数の大学だった。高校を中退した喜留夫には到底縁のない場所だったが、
一応何度か仕事の関係で来たことはあった。

が、そこで一つ、問題に気が付いた。
正門の脇に立つ小屋の中に座る警備員の存在だ。
私立探偵と名乗ったところで、通してくれるかは正直言って怪しい。
どうしたものか、と悩んだ挙句、物陰に隠れてジャケットの下でCOMPを操作し、
メイヴを呼び出した。
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38 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 02:00:03 ID:H96YQWOo0

        ____
      /     \
     /         \
   /    (●) (●) \
   |   (トェェェェェェェェイ)  |       俺じゃあ、あそこを通るのは少し無理があるからな。
    \  \ェェェェェ/ /
.    ノ    / )ヽ   く         メイヴ、手を貸せ。
   (  \ /__ノi ) , )
.   \  ゙ / ヽ ヽ/ /
     \_/    \_ノ





   |  {    |     ハ   '  乂込りイ、`ヽ
   |   '  |  ミ、 i   |ハ ゞ=彡ノ/z i
   |   ヽ .!   ハ:}|i: ! {  '  i  ゞ=ソ i:!
.i   |   ハ:{.  r=彡|{|ノi  |. | ヽ  八
:|   ! >ー从_}{ i ! |.川 i{ `ヽ |   !  ハ 、  ゙
   |{ / ーヽメ 八ハ!{ !ノj_z_j   |  .'{  ヽ
ハ  人ハr=ミ ハ ハ   ノ从 7Zマ.く_ ' | {八         あら、こういうのならパイモンの方が向いてるのではなくて?
  / }込八irくイ_ノ ノ    i.i゙;;;}j ' ハk , ! i  ヽ
 { :{ゞ=ミ_ノ/    ,  ゞー" / ノ/  |i ゝ          「いや、お前が適任だ。ほれ」
.八 ∧   '' j:i ''     ノ   "″,イ./{  八 `ー
.  ヽ∧   八{_ノ、_       ./rーミ八   `ー -
   \ヽ.      ̄ ´  イハ  }vー 、`ー -
 `ヽ  \>     . ィ´,⌒´     ノ `ヽ
ハ  \  ヽハ≧=彡} `ヽ      `ヽ ハ
  丶.  \   }、 { /           ノ   }
   \   ヽ ノ iト、∨           \

39 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 02:00:21 ID:H96YQWOo0

           ____
         /     \
       /         \       「……これ、女性ものの服じゃない。こんなのどうしたの?」
      / (●) (●)    \
      | (トェェェェェェェェイ)    |      いや、こんなこともあろうかと、鞄の中に忍ばせといたんだよ。
      \ \ェェェェェ/   /
 ⊂ ヽ∩  >          \      そこのコンビニでトイレ借りられるから、そこで着替えろ。
  '、_ \|               |
     \ \      /  /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
そうして取り出したのは、白いキャミソールとショートパンツだった。
同行者や証言者役としてメイヴにいつか着せるかもしれないと思い購入し、
そのまま箪笥に封印されていたものだ。やはり、何が役に立つかは分からない
ものである。

服を手渡すと、メイヴは何とも言えない表情になった後、俯いて
「分かったわよ」と承諾した。何か気に入らないことでもあったのだろうか。
とにかく、今はメイヴに頼らざるを得ないのも事実だ。
金髪とも白髪ともいえない、悪魔特有の不思議な色合いの髪と眼帯が目立つが、
喜留夫が行くよりはいい。自分の場合、捕まれば懐から銃や短刀がごろごろ
出てくるのだ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

40 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 02:00:43 ID:H96YQWOo0

                 ,, _<(必ヾー 、
             ,,r=y'     》ヒソ}   \
            , '´</      ヾヘ      ',
            i  t  》    `i  ハ     ト、
           ゞ/  《/从ハナ父 / !ハ     | ハ
           / 》 !、!ィェ!,リ弋ワノ / !` >、    !  ',
            / 从ソ! 必グ   //./ / /\  |`j  !
         / / /i!ヘ! 》`_  '/イ´/ /  ヽ |/ /
        /  イ ,'   ヘ''> 、 イ´ ,'! .,' !   i i! /         ……寒いわ。
        ', / /   r| !__,,/´ | !>| ヽ    !/
        ハ! .ゝ.  //! 人 r '´/ イ ⌒ヽ,   `、
         >'  / /,'ノノ   //!    ∧   ヽ
         /   》/ (    !'ーくヘ    | \   ' ,
       /   /    '';;''      ! !   |   ' ,   ヘ
      ./   / i'           !|    !  / i、  ハ
      i   |  ヽ  ,,;; ;;,,    / |   ,' /   |     i
      !   !`,  );;''   '';;;;;;;;;;;;{;;;;|   / /  /   /
      ヽ   i 丶 ,!         ハ/、 / /  /   /
        ヘ ヽ ヽ     i    i  ,' / i /   /
         )  /!   /  |    i! V   V   /
        /   / |   /  .!    |;;;ヘ !  ,'  ィ ヽ
       /   ハ |  ./   i!    i!;;;;レ ,7/ ハ   \
      /   / / | /    i!  |   |;;;;;;;!//,   i   ∧
     i   /く / .|_,,, ----L___!、  !;;;;;;i'/ | /     !
     !  .!  Y;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`へ;;;;; !   V     .ノ
     ヽ  ヾ、i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|, /     /
      )ヽ  》、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;イ | i    /
     //´) ! ヽ ー--^i!^ー---'''´   |/ イ  / \
    ( く. ソ  i        !        |' /!|  iヾァ 、!
    ) /  ./        ',        !/ 'ハ  V /
    /   /          !        |  / >  ヘ、
   (  / 、-|        |          i / ,へ、   `i
     `ヽ、 ヽ|       ハ       |;/  ∨´`つ  ノ
     r-ァ  ,' i         i'i       t!     / /
     i  ヾノ |      .i 'i       i`ー'  .| i

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
数分後、コンビニのトイレから戻ってきたメイヴは、立派な人間の女性に
化けていた。血管まで透けて見えそうな白い肌を露出した姿はとても寒そうだ
ったが、それ以上に小柄ながらもすらりと伸びた四肢と胸元で確かに主張して
いる小振りな胸が質素でありながらもどことなく淫靡な雰囲気を醸し出していた。

顔を逸らしそうになりながら、自分のジャケットを脱ぎ、肩からメイヴに羽織らせる。
「それで行け。清浦刹那についての聞き込み、頼んだぞ」

「分かったわ。ところで、その」

「なんだ」

「似合っているかしら? 私も人間の服を着るのは初めてなのだけれど」

「お、おう、似合ってるぞ。綺麗だ。とにかく行ってこい」

その言葉を聞くと、暗かったメイヴの表情は満足げなものになり、
すぐさま大学へと歩き出していった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

41 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 02:00:53 ID:H96YQWOo0


   {   i   ′     {f^   :  !    !  i  i :!.i | i i:  i! !
   {  i :|   :|    _j  乂__  :! :    :!  ! :|: !:| ! !:| i| i
.  八  :!|  :!   {f  i  |:⌒ヾi :l   i  l  i斗‐==ー- ..,_
   ハ !|  :!   {{   :! :|  }} :|i   :!  :l  l !:|/イ从}/Ni{ i
.    } :| :!   :!   乂  ! :| .≠イ  !:  | :! 从斗≠示えメ_,ル
   , } :| :!   :!  {{ :i  :| .イfr「⌒ー=ミル:从ハ! イハィイ.: r=ミ:ハ抃 {        ただいま。成果ありよ。
  /,.:} :|八:  |   :八乂_刈ル,.ノ rfゥ^}  }ハ/ ) }/   ,∨乂り.:ノ 从{
イ ィ  } :|ハ ヽ:!     :\乂_人}气ぇソ__ノ 「       ^冖冖゛   乂
 ノ  , . !{ } リ ! ⌒ヾ ∧ :} 乂r-<⌒Y            f´/ /
.   / , i /イ: , /i  :i   八____廴_彡^    , _       八{  {
  / /: i  // :i  从ハ八(___  -‐=ミ             }乂:{
. / //i | : //  | //:ハ∧ :ト、 ̄   (イ__)   f ヽ       从ハ
 ′ ′:| //.   : /   } ∧ :\         ̄      .ィ"/ ハ {
     八 ′  :|:/    :} : ∧( ≫            イ 乂 ノ 八
:{  i{  ハ:   /     } i ハ}ノ  ⌒ヽf⌒77r-く⌒V「{ {{ (( {

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
正門で待ち続けること数十分、ようやくメイヴが帰ってきた。
上機嫌そうな目つきから察するに、どうやら収穫はあったらしい。

「いじめ? っていうのにあってたらしいわね、その子」

メイヴは人間であれば誰もが聞いたことがあるであろう単語を口にした。

「不愛想で何考えてるか分からないって、女の子たちからは不気味がられてた
みたい。結構な嫌がらせを受けてたみたいね。
あの桂言葉って子だけは、同じ高校の出身ってことで仲が良かったらしいわ。
男連中からは、完全にヤれるヤれないだのしか聞けなかったけど」

それからメイヴは、こう聞いてきた。
「ねえ、なんで人間はいじめなんてやるの?」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

42 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 02:01:07 ID:H96YQWOo0

     ____
   /     \
  /         \
/     (●) (●)\
|    (トェェェェェェェェイ) |
.〉     ∩ノ ⊃  /
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「いや、いじめ自体は、人間が大勢集まると自然に起こるんだよ。
アイデンティティってあるだろ? 俺はこれこれこうだから存在する意義があるんだー
ってやつ。それで一番単純なのが、優れている、って理由だ」

「そのアイデンティティといじめが関係あって?」

「ああ。自分の存在意義を確かめるには二つ方法が合ってな。
一つは努力して結果を残すことだ。もう一つは他人を蹴落として見下すことだな。
結論として、必死こいて努力するより、誰かを見下して安心した方が手っ取り早いし
楽なんだよ。だからみんなやるんだ。誰かをいじめて、尊厳をぶち壊して、服従させて、
俺はこいつよりましなんだって自分を慰めるんだよ。あと、あれだな」

「あれ?」

「暴力性っていうのは誰もが持ってるものだからな。いじめってのは楽しいんだよ。
だからやるんだ。単純だろ?」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

43 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 02:01:28 ID:H96YQWOo0

 \ ハ,__,.、\\  \ x ´ \  ヽ  \
ヽ //´~ ̄`ヽj 丶 \/ヽ\  \  ヽ  \
 Y:/ 丶 \ \\ ヽ/\   ,ィt  ヽ   \  \
  l:lヽ __ \ \\ \ ヽ,ィ勿ト、ヽ ヽ  \  ヽ
  レ'乏二ミミト、\ \ヽ ィ冬z亥ヾ  \ \  \   ヽ         不思議ね、人間って。
::Y //r卅ヾ ヽハ ヽ 丶   `    ト、 丶 ヽ  \  ヽ
`l j l lリl リ リ l lヽ ヾ         | ヽ. \ \   \ ヽ       「そうでもないさ。一週回って単純だよ。
 ! V戈ニ少ン リ           ハ 丶 ヽ \ \  \ ヽ
 ゝ、匁辷k彡''      _      /ト、 \ \ \ \  \ヽ     っと、ヴィクトルから返事が来てる」
V  ヽヽ `Y:!      ___ ノ   ,.'__ン /ヽ \ \ \ \  \
. ヽ   \>l:}、           イ'´  /   \ \ \ \ \
  \  \ゞ= '≧ ─ -- < ̄l   辷=、  \ \ \ \ \
ヽ\ \  \弋,.イ ̄`ー' V'  !_   r'\  \ \ ヽ  ヽ
. \\ \  \7ヾ  ヽ l    丶 |   \  \ \ヽ  ヽ
 \ ヽ ヽ ヾ   { ハ   V      /ー'     ヽ   ヽ  ヽ ヽ

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メイヴが納得したのかしていないのかよく分からない表情で相槌を打つ中、
胸ポケットのスマートフォンが鳴った。

取り出してみると、ヴィクトルに送ったメールの返事が来ていた。
「妖精の巣ならば、以下の地点に妖精が多く見受けられる異界が出現している。
何か面白いものがあれば持ち帰ってきてくれ」といつも一文が添えられていた。

ヴィクトルというのは、阿久戸湾にある完全予約制の高級ホテルの地下に
居座る不気味な男だ。六年ほど前から別の町からやってきたらしいが、
詳しくは知らない。とにかく、明確なのは悪魔の研究をしており、サマナーの
サポートが可能だということだ。

メールに添付されていた地図の画像を開く。
異界化している場所は、ここからそう遠くはなかった。歩いて数分という距離だ。
メイヴを連れ、早速向かうことにした。
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44 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 02:02:02 ID:H96YQWOo0

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!ソ;ハj|W "" Vv,w,.vw,.v"ji,,Iw,,MW w,,Mv,w,.vw,.vW "" V"ji,,Iw,,MW "" w,,Mv,w,.vw ,,,,,.., ,vv
"~'"'"~  ~""~'"'"  ~~""~'"'" '"'"~~""~'"'"      ~ "'''~"''""'''~"''"  "'~"''"''~"''"


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土の匂いと草木の香りが漂う空間で、私は座り込んでいた。

「ね、いいとこでしょう?」
幼い女の子の声が頭の中に木霊する。
「あなた、とても酷い目に遭っていたわね」

「あなた、とてもいい子なのにね」

「ここで一緒に暮らしましょう? そうすれば、いつかあなたも立派な
妖精になれるわ」

「空を飛んで、花の蜜で喉を潤して、木の枝の上で眠るの」

ああ、それはいいかもしれない。
どうせあのまま、あの場所に留まっていたところで、辛いことが待っているだけ
なのだ。小学校が終われば中学校が、中学校が終われば高校が、
高校が終われば大学が、大学が終われば社会が待っている。
言うなれば苦難のエスカレーターだ。そこから抜け出せるのなら、それも
悪くはない選択肢なのかもしれない。

頭の上を飛び交う小さな女の子たちを見上げながら、私は倒れ込んだ。
少し疲れた。ちょっとだけ眠ろう。

「あら、お昼寝? いいわね、わたしも一緒に寝ようかしら」

女の子たちが空から降りてきて、私の胸の上で煌めく羽根を畳む。
妖精というのだろうか、こういう生き物は。とても綺麗だ。

こんなに綺麗になれるのなら、そう思い、私は瞼を閉じた。
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45 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 02:02:18 ID:H96YQWOo0

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                             │ :: │
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                               ┌┐
                               └┘


                                   □

                               ・

46 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 02:02:28 ID:H96YQWOo0

       ____
     /     \
   /         \        ……なあ、こんなところに森なんてあったか?
  /. u   (ー)ili(ー)\
  |    (トェェェェェェェェイ) |       「なかったわね。十中八九、異界化の影響でしょう」
  \   \ェェェェェ/ /

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異界化しているとされる公園は、明らかに異常な空間と化していた。
外観はなんともないのだが、公園の敷地に入った途端、巨大な森の中へと
放り出されたのだ。何も知らない子供が迷い込んだら大変だ。一刻も早く、
この公園から引っ越してもらわねばならない。

COMPからメイヴとパイモンを呼び出し、周囲の警戒に当たらせる。
足元に目を凝らしてみると、スニーカーの足跡が見つかった。
恐らく、これが捜索対象のものとみていいだろう。他に足跡はない。
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47 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 02:03:54 ID:H96YQWOo0

 、   _, .} ,メ    l   ',::   ヽ::::.   ',:  ヽ
   ̄,´/F>`ミi_ i  i    ';::   ' ;:   ';::  ',
  ,⌒Yiー<⌒ハL  i     '::;    ',、   ';::  }
  ,イ冖!/てヾVYjヽ_, l、 ,  ',斗七  '.,ヽ 人,,リ
 从r'弋心ノ',イj从i   l....ヽ/ '; :::\  l ::/イ
.<  ゝ._`フノノハ、 .i  l::::''ゞ从_i⊥、;\j .i
  弋 _、.>√勿/ヽi. ハ   V{ィrャミ <  丶_          ……連れ戻すの?
  )) /´  `.i`...'.,::、 '、 ハ  `.辻,ィ'}      ̄|
    l    :::   ::',::\ iヽ   |下乙     /       「まあな、それが依頼だ」
    l    ::     ;;; ::ヽ| ゞ         /
    ,'  ..::    ,:'::, :::|           (
    ,'   ::    .::  ::: ::|`(  Y ヽ、     /
   ,'  .::  .:: .::..  ::: :| ,ゝ‐イ .ノゝ___,,ノ
  ,'  .:::  ..::: .:::  ::: :::!" `丶、s ̄`)
  ,' .:::/  ::: .::    :: ::/   l  .l ヽ ̄)
 ,' ::; '  .:: :::    ノ,/ ヽ、 ヽ / /、ゝ
.  / ..::: :::   // `丶、`  '彡,廴`;;;;;
  ..,,,_::,,__.:,,,,::://‐-、__   `丶 .ヽ /∧/|
 Y        ̄ -  ,,,, ` ‐ - 、 .Y..∧/|
               `ヽ     ヽ|∧//|


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靄がかかった森を進む。エネミーソナーには空気中のマグネタイト濃度と
周辺の悪魔の探知結果が出ていた。真っ赤に、
つまりは大量のマグネタイトと悪魔の存在がモニターには表示されていた。

パイモンも召喚し、後方に控えさせる。所持マグネタイトの温存のためにも、
ここはこの二人で行くことにした。

様子を窺っているのか、道中で悪魔に出くわすこともなく、三十分ほどが経過
した頃だった。

「止まれ」

凛とした、それでいた逞しい声が森に響く。
現れたのは、腕を露出させた薄めの鎧を着込んだ男だった。
その両手にはを長槍と短槍が一本ずつ握られている。
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48 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 02:04:17 ID:H96YQWOo0

        \: : : \: : : : : : : : : \: : : : : : : : ::::ト、: : : :/: : : :/: : : : : | /|
        `ヾ:::... : : \: : : 「`丶.;.:.\: : : : : ::::::l::l: : :./ : : :./: : : : : : レ':./
        \∨:::::::::......\小    ̄`ヾ: : ::::::::j::l_;.> ´/'": : : : / ::::/
          ヾ::::::::::::::::::::::::「        `ゞ'"/:/   /: : : : / : ::/
            ∨:::::::::::::::/      ';    /:,′  〈:'´ ̄: ::::::::/ィア´
           ∨、:::::/ \     ';    //    .:.:`ヾ::::::::::::::/
            / Y   _うュ、      //    .:.:.:ノ:.∨::::/
             | :.:i   ヽ弋テヾ==' 》  //、__,,..斗匕.:.:.:.:'ハ′          我こそはカーターホフの森の番人、
             '. ヽ{   .  ̄ ''ヾ:.:> ノ'゙ハ:.:.代テ¨フ:./´!/
              ∧ :      ,.ィ⌒ー‐'  /      :.:./.:.:./            タム・リンなり。悪いがここから先へ通すわけ
               /::::ゝi、     //       ,':.      .:.:/:./
           _,.イ:::::::::::|::.   リ     l:.:.:.      .:.イイ               にはいかぬ。お引き取り願おうか。
             //|:::::::|  :.  ゝ   、:.:.:ノ:.:.:.     /':::::|
  、       l/  lハ;;;;|  ::.、  _,,. ---- 、   / /:::::::::,
  ヽ> 、       __リ/:.:\  :.丶   ---   /  ,:::::ハ:::「\
    \: .\__/: .r{ : :.:.:.\ :.:.\     /    j:::/ j;ノ
     \: . : . : . : .:ゞ : . :.:.:.:.≧ュ、:.:  ̄ ̄.:.:  ,,≦ヽ
【幻魔タム・リン Lv55】

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あら、とメイヴが口角を上げる。
男はかなりの美丈夫だった。目鼻立ちがくっきりしており、切れ長の目は
鷹のようでもある。精悍な顔つきの下には敵意が燃えているのが見て取れる。

「サマナーと、ケルトの妖女に堕天使か。我らの森には似合わぬ」

「そう言うなよ。ここに清浦刹那って女の子が来てるな?」

「ならばどうした、連れ帰しに来たか?」

男は否定しない。受け答えの最中で、COMPのアナライズ結果が出た。
男は人間にしか見えない風貌だったが、悪魔だった。
幻魔タム・リン。妖精の騎士として知られる悪魔だ。
その神格通り、妖精の森の番人をしているというわけだろう。

「その子にも家族がいる。友人がいる。そいつらの下に帰してやらにゃならん。
通してもらえないか? 物が望みならある程度は出せるぞ」

「不要。生憎俺は砂糖菓子にも金貨にも興味はなくてな。
清らかなる乙女の一人や二人でも連れてきていれば話は別と言いたいところだが、
そうもいかぬ。通りたければ、この槍を味わっていけ」

どうやら、交渉に応じる気はないらしい。

相手は人型の悪魔だ。小回りの利く仲魔がいる。
結局、COMPの中のもう一体の仲魔の出番はお預けになりそうだ。
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49 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 02:05:07 ID:H96YQWOo0

          ____
         /     \
       /         \
     /     (●) (●)\        そうかよ、じゃあ少し痛い目見てもらおうかね。
      |    (トェェェェェェェェイ) |
     \   \ェェェェェ/ /
      ノ          \
    /´      _i⌒i⌒i⌒i┐ ヽ
    |    l  ( l / / / l
     l    l  ヽ       /

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拳銃を抜く。それに呼応して、仲魔たちが構える。
それを見たタム・リンは口端を小さく歪めると、槍を両手に携えたまま、
姿勢を低くした。狩りを開始する際の豹にも似た姿勢だ。

ダットサイト越しに狙いを定め、引き金を引く。
が、その動作の内に、タム・リンは駆けだしていた。
拳銃では対応しきれない。咄嗟に判断し、懐にしまっていた短刀を抜く。

一秒とせずにタム・リンは間合いを詰め、喜留夫の目と鼻の先へ槍の穂先を
向けていた。

無我夢中で顔を逸らしそれを避けるが、背中に走った痛みに呻く。
タム・リンは体を捩じり、顔に最初の一突きを放った後、回転しながら
もう片方の槍の石突で喜留夫の背中を狙ったのだ。

咳き込み、後ろに転がる。その間を縫うようにパイモンが飛び出し、
タム・リンと刃を交わすが、筋力で上回られているらしく、すぐに吹き飛ばされて
しまった。吹き飛ばされながらも、魔法で作られた氷の刃を飛ばすが、
それすらも回転する槍によって弾き飛ばされてしまう。
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50 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 02:05:32 ID:H96YQWOo0

        ____
      /     \三三三三三三三
     /         \二二二二二二二
   / (○)  (○)    \三三三三三三三
   | (トェェェェェェェェイ)     |二二二二二二二
   \ \ェェェェェ/    /三三三三三三三
    /        ト  _ \二二二二二二二
 <三三三三三三| |(___)三三三三三三三
     |\   ̄ ̄ レ/  二二二二二二二
     |   ̄ ̄ ̄   三三三三三三三

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パイモンの撤退を援護しようと、メイヴが雷撃を放つ。
意思を持った雷撃は銃弾のようにタム・リンの脇腹を穿ち、焼け付かせる。

「ぬうっ」

さしものタム・リンもよろけ、隙を見せる。
それを見逃す手はない。呼吸を整え、短刀を構えて駆けだす。
タム・リンがそれに反応し、槍を振り回しながらこちらに向き合う。
止まるには遅い。離れるには時間がない。ならば突っ込むまでのこと。

突き出される長槍を掴み、無理やり穂先を胴体から逸らす。
続けて振られる短槍の刃を短刀で受け止める。
腕に衝撃がびりびりと伝わり、短刀を落としそうになるのを堪える。

そして互いに両手が塞がれた状態のまま、喜留夫は頭突きを繰り出した。
一発、二発、三発と頭を振り、相手の頭へと打ち付ける。
効いているかは二の次だ、こういうのは勢いなのだ。
よろけたタム・リンの頭に追撃の膝蹴りを入れ、空いた右肘を打ち下ろす。

そこへメイヴの雷撃とパイモンの氷の刃が飛んできて、タム・リンの背中を貫いた。
激痛に動きを止めたタム・リンの頭を羽交い絞めにし、短刀を突き立てる。

「おしまいだ」
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51 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 02:05:47 ID:H96YQWOo0

         ,、    ,、
       _l `゙゛‐-' `ヽ、. 、
   -=≦"´         `ヽl\
  、 ノ                   ト、__
  ゝ                    ト''/
.  ,ゞ            . ,、r、 /
.  ヽ          __  __l.:::::::Yて,       ちいっ……殺せ!
   i         /-、`v"::::\::l  》
  ..ノ         l   l '::::::::::ヾl .ヾ、      「殺しゃしねえよ、こちとら話し合いに来たんだ」
 ζ,         〉、    ::::ミミl  ノ
 ´ソノノ.从川 彡,'"    u  ’.:::::l
 .人ノノノ`ソノノ.       u.    l
/     \\  _,,_____ノ
_       .\\/
  `ヽ、     \\
     ヽ     ./ /
      .`i   ヽゝ',

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無益な殺生は主義に反する。
ここでタム・リンを殺したところでこちらに特はない。
むしろ、妖精たちを怒らせて清浦刹那を殺されでもしたら事だ。

一度タム・リンの頭を放した後、「攫った女の子に会わせてくれ」と物は試しで
頼んでみる。

タム・リンは逡巡した後、「よかろう」と首を振った。
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52 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 02:05:59 ID:H96YQWOo0

            ,、-‐、   ィ‐-、
        ,、 - '".,、.-‐:iヽ‐‐--.、 `゙'‐、、,_
.        V .,.::'´:.:.:.:lヽl:.:.ヽ|:\:.:.:\  /
          〉:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:ヽ:.:.:ヽヽ:.ヽ,:.:ヽ/
.      ,、ィ.i:.:.:.:.:i\:.i:.:',:.:.',:.:.',:.:.ヽ:.:ヽ.:ハ、
        〉' i:.:.:.:.:.i`'゙ヾ'"',:.:.:.:.:.:i:.:i:.:',:..:.:.:.:', ヽ,
.      \i:.:.:.:.:.:i    i:.i:.:.:.:リi:.i、:.',:.:.:.:.:i-'`
          .|:.:.:.:.:.:i___  i:i:.:.:./_i_i__:.:i:.:.:.:.|
        |:.:.:.:.:..i,ィ==、 リ.i:./ ィ==、i:i:.:.:.:.|        ……誰?
        i:.:.:.:.:"fr'::: i  i/  ir'::::}゙' i:.:.: i
          i:.:.:.:.:.:.i弋ソ    弋ソ /i:i〉:i
.        i:.:.:.:.:.:.::i     '     ,'ノ:.:.:.:i
.        i:.:i:.:.:.:.:.:\.   ‐    /:.:.:.:.:.:.:i
         V:'、:.:.:.:.:.:.:.> _. <:.:.:i:.:.:.:.:.i:.:i
         '、:iヽ:.:.:.i-'ノ     i_ 、:.i:.:.:.:.:i:.リ
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       /:|     i--、 ,--i    |\
      /:::::::i     ',   /      i::::::ヽ
       ,':::::::::::i       ',.  /      i:::::::::::',

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数分後、タム・リンが森の奥から清浦刹那を連れてきた。
後ろにはぶんぶんと妖精たちが羽ばたいている。
「人間よ」

「臭いわ、火薬の匂いよ」

「酷い人、わたしたちはいじめられてる子がいたから連れてきただけなのに」

ざわざわと木々のさざめきにも似た声が聞こえてくる。
こいつらが清浦刹那を攫ったらしい。一応は、良心からくるものなのだろう。
妖精はとても気まぐれな種族だ。
砂糖菓子や魔力を提供すれば簡単な手伝い程度はしてくれるが、
たまにこうして人間を妖精のコロニーへと連れ去ってしまうこともある。

「桂言葉って子が、君を探している」

「言葉……」

ぼんやりとした表情で、清浦刹那は喜留夫の言葉を鸚鵡返しに口にした。

「その子、俺に十五万円も払ったんだぜ。大金だ。普通払えるもんじゃない。
そんな友達が、あんたを探してる。どうだ、妖精になっちまう前に、
ちょっくら話してきちゃくれないか? 俺はいじめられたことがないから分からんが、
俺にも友達はいたことがある。話をつけるくらいはするべきだ、そうだろ?」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

53 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 02:06:14 ID:H96YQWOo0

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   ャー '´    ,  ― ―  、      |
.   {   , イ::::!ヽ::::::::::::::;::::::::::::::::ヽ    |
.    i /ヽ;:::::::::!:::::ヽ:::::::!::ヽ:::::::::::::::::\  ノ
  /:::::::::|:::ヽ::::!::::::::::ヽ::!::::::::\::::::::::::::ハ ,}
  l::::::::::::::::i:::::::ヽ!::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::ハ \
  |::::::::::N::::|ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::l ヽ >
  |:::::::::|゙゙゙ヽN;:::::::::::::i::::::i::::::ヽ:::::::::::∧:::::::::::!_ノ
  |:::::::::|    V:!::::::::ト::::ト;::::::ヽ:::::::::::∧ :::::::!
  |:::::::十―‐ 、Ⅵ:::::十;十弋:::Vi::::::::i:∧:::::::!       ……行かなくちゃ。ごめんね、妖精さん。
  |:::::::::! ,ィz=-. V V:::!;ェ===ュ::ト:::::::::i、:!:::::::!
  |::|:::::::! .ぅ;;;;l  i:::| j ぅ;;;;;;:Ⅳ. V::::! i::::::::ハ       でも、嬉しかったよ。
  |::|::::::::} .込リ  |/  込ツ   .Ⅵ./::::::::::ハ
  |::|::::::::ハ            ィーⅣ::::::::::::ハ
  |::|:::::::::|:ト、  ´        イ:::::::::::::::::::::::::::::!
  |::|:::::::::|::| 丶,..   ̄    イ .|::::::::::::::::::::::!::::::!
  |::|:::::::::|::|  |:::::> .. <   _k-;:::::::::::::::::!:::::|
  V:ト:::::::|::|.  ヽ:::::::::::イ , イ    ヽ:;::::::::::::|::::|
.  ヽ|ヽ:::::||.   ヽ:://        `\::::|:/
.   ヽヽ::::!   //            \

54 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 02:06:24 ID:H96YQWOo0

                         ┌──────┐
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                             ┌─┐
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                               └┘


                                   □

                               ・

55 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 02:06:35 ID:H96YQWOo0

                        i´` 、
                        `  )     _ _
                        i:,// - ´  ̄   ̄` - 、     ,_、
                     __;,.〃y/            \   `´ヾ
                   ,__ >/ノi   /            `\ /´´
                   iしe/フ ̄ /  |  |        ;   /イ>i
                _ 〃´ ̄//  /   |  |   |     | ヽ Y>=レ>
              ,-´ /   /イ/ /   |  |    |     |  | |\fノ,、
             / //    //  ;; ,, , |  |    | ;  ; |  |   | iヽ``ヽ
            / / /    //   i  ` |  ; | i  | l i ll |  | | |` _|ノノ
           /   /    //  l/ `ー-、_|l l | ヽ ├-- 、l ; l  l l ´(ヽ         あら、メール? 他の女から?
           |   l    / /  l | |,、/r、ゞハヘ` |=_ノ |/| i|` / イ/,, | |l |
           |   |   / // // |rハヒ妥>y>` `ヘ|イテ〒ノ // /lヽ    |          「ちげえよ、この前の依頼人からだ」
           ヽ  ヽ / / /  il  |トミ=>ソノ    くゝ'シ_| / / /i     |
            \/  /  //  l  i"`(ヾ   .    ̄゜ / // /i ヽ    ヽ
            //  /  /ノ  イ -ヽ r´´ 、_ ___,    / / / i il   ヽ  `、
          /  /  /  イ   /l、 ト \、      //,/´ ̄フ __ノ"i      \
        / /   |   | ; il  ,__) ` ン  ミ 、 _ イ / // /y´_-ノ       ヽ
      / // l   /  ノ i /l -つ、-  ヽヾ  `><   l i/ /   ´〃-´        i`、
     /  // il l  /  / l  / \>_`___   ,-、 <il   ヾ  --- 、i´-フ         i ヽ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
キーボードを叩き、メールを開く。
メールの送信主は桂言葉だった。

あれから二日が経つ。報酬金が全額振り込まれていたということは、
そういうことだったのだろうが、改めて確認してみたというわけだ。

メールの内容はこうだ。
結局、清浦刹那は戻ってきたらしい。多少の原因が自分にあったことを認め、
今では周りにピースサインなどで感情表現をするようになったらしい。

全てを放棄して楽になることよりも、自分の世界に向き合うことを選んだと
いうわけだ。その勇気には、喜留夫も感服させられた。
てっきり、喜留夫は彼女が妖精の国にそのまま行ってしまうと思っていたからだ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

56 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 02:06:52 ID:H96YQWOo0

         ____
       /      \
      /         \         ま、あの子も幸運だったってことだな。
    /   (●) (●)  \
    |   (トェェェェェェェェイ)   |       世の中、探してくれる友達もいずに一人で死んでく奴なんかごまんといるし。
    \  \ェェェェェ/   /
     /⌒ヽ   ー‐    ィヽ         
    /      ,⊆ニ_ヽ、  |
   /    / r─--⊃、  |
   | ヽ,.イ   `二ニニうヽ. |





       / ̄>t=ヘ_/ムイ-    ―- __  _
       /   イ{し}V≠  ̄     == ⌒しイ¬キ―‐、
        / />┬そ__        __,.. {{ 乃ノ i ハ
      / 〃 t(⌒´  ̄          ̄   ヾ一;、/ | ,
     /   {し_)       /  i         ヽ   ノイ  ′ !
    /っ7     /  /  /|   |    |      | rf'' |  |
    //'/´   /  /!  /=|  /   ハ     l | `l.  l  |
   ///    /l /  //  /l l /!  / |   l | | |   |   l
  /// l   //‐l─/‐|l-/,ノl / / |_i-/─!- / /| ! |  l   |        ねえ、私たちはあなたの仲魔だけれど、友達でもあるのかしら?
_/// | ! / ,| ハ. /ニ´|! |'´ヽl/  |l,. -='テ /l/ |l  l  |  ,|
 /  |/ヽl /' /lミニ ' ,ソ / '   'トf_',ソ´ /! |  i |  ハ  |        「なんだよ、急に」
´ i' / |  }   ,ヘ::|l ̄、´ノ       ̄   /' | |  | |  | i  !
  i' / |  }  / `ヽl`(´     !       /´ l !   |l !__,|   |        友達はいたことがある、って言ってたでしょ?
 i'/  | } /'    \ {^ヽ _ _, /^ ノ_  | !  | l | -─‐'
i '/   | }/    /< ', '、    ,.イ .' ̄`フ   |l   | | l`ヽ、       
'/  , -‐く、  _,,.、/   } | ` ´  .{ { /    l|   | l | ` ‐-、\
 /´_  ` ´   \_, { f^ヽーf^くl ,},`ー-、_, -‐-、,i -‐-、  ヽ\
__ヽ´ノ `ヽ       j/⌒ヽ/⌒\|         __ _)    //
   ̄ヽ___,. --、  ,イ/ -ー¬{ }¬ー '.io、_/`ヽ_,く‐' ´ ̄ ̄`ヽ
´ ̄ ` く、    ` ´/j    ー}{一   i| l       \     /|

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「それは別の人間だ。お前たちは……そうだな。俺の人生の相棒だ。
それじゃだめか?」

「いいえ、それでよしとしてあげる」

そう言うとメイヴは喜留夫の肩に手を置き、パソコンのモニターを覗き込んだ。

これはそんな風変わりなサマナーの話。
魔を討ち、魔と共に戦う悪魔召喚師の人生の記録である。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

57 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 02:07:19 ID:H96YQWOo0

       _,  - .
      i ´      `丶、
     r     ))     {廻}`i
    l    {薔} i | | | i l |ノ
    |    7 i | | | |ハ l |
    l!   | l .ハr‐ァi´.┃! |        あ、ちなみに今回ので赤字増えたわよ。
.    l! |.| | Vゞイ   /. |
     | l l fて- _ fヘイ..|i |        「しょうなのお?」
     | | | r) `i  {~~~7|i |
     | | .ノ{ ⌒-i〜lΥノ |iル′
     / | ゝ、_  .} r`i´ |.|
   〃 l   | ` ν.ゝ、. lリ

〜また次回〜

58 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 02:09:48 ID:H96YQWOo0

    /||ミ
   / ::::||
 /:::::::::::||____
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||  、 - ‐‐ -,
 |:::::::::::::::|,´: : : : : : : : :
 |:::::::::::::::|゙i : : : :○ ○゙i      ハロー。初めましての人は初めまして。久しぶりの人は久しぶり。
 |:::::::::::::::|}: : : : : : : _ _ _l
 |:::::::::::::::||: : : :-=´_ _,´      モコイさんだよ。チェケラッチョ。
 |:::::::::::::::||___ : : :丿
 |::::::::::::::(_____ノ´||
 |::::::::::::::(_ノ / . . . ||
 |:::::::::::::::||/    ||
 |:::::::::::::::||      ||
 \:::::::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
   \ ::::||
    \||

59 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 02:13:37 ID:H96YQWOo0

                  ,- ‐‐ - 、
                   イ: : : : : : : : :`,
                      /○ ○: : : : /
          ┌─┐  i_ _ _ : : : : : : :{        今回は不定期でやっていくデビルサマナーの二次創作となるよ。
          ┃茶┃   `,_ _`=-: : : :|
          ├─┤    i: : : : :_: : : :'        ちなみに>>1のメガテン歴は真123マニアクス、アバチュ12、ペルソナ1234、
           ̄ ̄ ̄ー‐'' `-‐´ : : : : : :ヽ
             ゝ __ ,.. イ : : : : : : : : l: : |       デビルサマナー、ソウルハッカーズ、ライドウって感じだ。
                  { : : : : : : : : :|: :.|
                ,、 '" : : : : : : : : :゙、:.ヽ      そこらへんの知識と愛と勇気で頑張るよ。
               ( : : :‐ 、 : : : :__,. : : :Y"
               ` ー‐┘ ̄‐〈_ ,,ノ





        、 - ‐‐ -,
       ,´: : : : : : : : :
      ゙i : : : :○ ○゙i
       }: : : : : : : _ _ _|      基本的にお休みの日に書いて、書きあがったら投下って感じかな。
       |: : : :-=´_ _,´
      y' : : : : :_: : : : :i       ボクってとってもダーティーワーカー、ってなわけでもないけど社会人なのよね。
     / : : : : : : :┌─┐
     i : : : 丶: :ヽ{ .茶 }ヽ      それじゃ、コンゴトモヨロシク。また見てね?
     r : : : : :ヽ、__)一(_丿
     ヽ、___ : : : :ヽ : :ヽ
     と_ : : : : : : ノ : :ノ
       ̄ ̄ ̄  ̄

60 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 02:14:37 ID:H96YQWOo0
あ、質問とかあったら随時受け付けるよ。ファンレターからラブコールまでダイブオンミー。

61名無し-Red-市民-2:2017/10/22(日) 02:20:15 ID:7F8bWwCw0
キル夫LV56で15万の仕事じゃ赤字だわな
マッカとMAGで赤字を補填するんだ

62名無し-Red-市民-2:2017/10/22(日) 05:47:02 ID:WgJhqobc0
正直な話していいですか
一コマ辺りの文字数多過ぎて読むのがめっちゃ疲れる

63名無し-Red-市民-2:2017/10/22(日) 07:08:06 ID:7L.9KGm60

Lv56で15万の仕事なんて、よく受けられたな…
これはエロでMAG補充してないとやってられませんね

64 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 07:11:05 ID:H96YQWOo0
>>62
すまないねえ、私ってAA技術ないから文章で描写するしかないのよ。

本を読むときも一気読みすると疲れるでしょ? それと同じで、間隔を開けて読むといいと思うよ。

65 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 07:24:57 ID:H96YQWOo0
>>63
エロは少し待っててね! それと、なんかおすすめの官能小説ってないかね?

参考にしたいのだけれど。やっぱフランス書院?

66名無し-Red-市民-2:2017/10/22(日) 07:50:12 ID:7L.9KGm60
>>65
その辺りは詳しくないんや、すまんの

67 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 07:54:56 ID:H96YQWOo0
>>66
ええんやで! エロいの楽しみにしててねー

それじゃ仕事行ってくるよ。

68名無し-Red-市民-2:2017/10/22(日) 07:57:45 ID:NzQXzcKc0
いってらー
エロ参考はノクターンとかで書籍化されてるやつで良いのでは?お金かからないし。

69名無し-Red-市民-2:2017/10/22(日) 22:20:11 ID:1dsbZRW20
キルタイムコミニケーションとかかな?

70 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/23(月) 08:47:35 ID:AxY6wFqc0
色々ありがとね。存分に風紀乱してやるから見とけよ見とけよ〜

71 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/24(火) 00:42:39 ID:41y.W4eg0
今第二話書いてるから待っててね。

そうそう、お話の感想とかもドゥンドゥン書いてね、>>1が咽び泣いて大喜びするから。

72名無し-Red-市民-2:2017/10/24(火) 01:15:46 ID:wUvLR4PE0

15万は安すぎよなぁ、それは人探し料金として受け取って危険な目にあっていたら
成功時に追加で報酬をもらいたいところだな、命には代えられないんだし

73 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/24(火) 19:07:24 ID:41y.W4eg0
>>72
人探しだけで三十万、悪魔退治も追加で百三十万が相場ってところだね、作中の設定では。

この後喜留夫はメイヴに正座させられたよ。

74名無し-Red-市民-2:2017/10/24(火) 19:37:19 ID:mw/SiMYk0
10分の1以下まけ過ぎw

75名無し-Red-市民-2:2017/10/24(火) 19:47:04 ID:2SNwXAMU0
残当

76名無し-Red-市民-2:2017/10/24(火) 22:20:11 ID:eU/wCi6s0
全体的にレベル高くてビビるわ
大抵の作品だとレベル50代ってマイナー神話の主神クラスなのに

77 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/25(水) 16:10:59 ID:7jIjbX6.0
>>76
フィネガン=喜留夫>>>>>>葛葉ライドウ、ゲイリン、キョウジその他って感じだね、強さで言えば。

ただ技術の差とかなんだかんだの関係でフィネガンより若干弱いくらいだね、喜留夫は。

78名無し-Red-市民-2:2017/10/25(水) 16:51:15 ID:wM7fWeao0
このスレの独自設定かもしれないけどキョウジってそんなに弱いの?元キョウジか
主人公キョウジかどちらかはわからないがエクスラダンジョンならヴィシュヌ・シヴァを連れてたし
デビルサマナーで仲間になった時も肉体なしでレベル60だったが。

79 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/25(水) 17:14:54 ID:7jIjbX6.0
ごめん、不等号の向きまちがえてら。

逆ね、逆。フィネガン=喜留夫<<<<<<<葛葉四天王、キョウジ だね。

80 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/25(水) 17:17:56 ID:7jIjbX6.0
>>78
独自設定でもなんでもないよ、ただのミスだ。お兄さん許して〜

81 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/25(水) 17:24:53 ID:7jIjbX6.0
ポン刀で戦艦ぶった切る書生より強いサマナーなんているわけないじゃないか!

82名無し-Red-市民-2:2017/10/25(水) 23:48:38 ID:wM7fWeao0
不等号逆でしたか。納得。
今代の四天王は弱いとかそういう感じかと一瞬思いましたw

83 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 00:15:01 ID:MSskQ0760
>>82
いやーないない。少なくともシャッフラーマハラギオン連打するような鬼畜サマナーよりかは弱いよ、喜留夫は。

84 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 01:55:01 ID:MSskQ0760
    /||ミ
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85 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 01:56:07 ID:MSskQ0760

        、 - ‐‐ -,
       ,´: : : : : : : : :
      ゙i : : : :○ ○゙i
       }: : : : : : : _ _ _|      第二話が書きあがったんで投下するよ。
       |: : : :-=´_ _,´
      y' : : : : :_: : : : :i      ところで、もう少し投下の間隔をあけた方がいいかな?
     / : : : : : : :┌─┐
     i : : : 丶: :ヽ{ .茶 }ヽ     それとも今までどおりドバーっと一気に投下しちゃう?
     r : : : : :ヽ、__)一(_丿
     ヽ、___ : : : :ヽ : :ヽ      ま、意見の方待ってるよ。
     と_ : : : : : : ノ : :ノ
       ̄ ̄ ̄  ̄

86 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 01:56:24 ID:MSskQ0760

┌───────────┐
│                │
│   第二話『獣たち』  ....│
│                │
└───────────┘

87 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 01:56:37 ID:MSskQ0760

〜市内のとある廃工場〜
                                |        |  |        |
                                |        |  |        |
                                |        |  |        |
                                |        |  |        |
                                l\.        |  |        |
                                | :|\      |  |        |
                                | :l\:\.   |  |        |
                                | :l\\ \.  !.....|        |
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呻き声が響き渡る。
かつて自動車工場だったこの廃工場で、少年たちはお楽しみの時間を
過ごしていた。

仲間の一人が拾ってきた小さなコンピューターと、それによって召喚される
悪魔によって、少年たちの退廃的な生活はがらりと変わった。

高校にも行かず、半グレ集団にもなれず、鬱憤を晴らすだけの日々は、
突如として刺激に満ちた非日常へと変貌を遂げたのだ。

廃工場に集まった仲間は五人。
今日はエネミーソナーで探し当て、捕まえた低級悪魔を検分していた。

捕まえた悪魔は天使エンジェル。
西洋のシスターのような衣装を着ているが、背中に生えた白い翼が
彼女が人ならざる者であることを主張していた。
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88 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 01:56:53 ID:MSskQ0760

        八::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\-、
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    / ___){ゞ====|::::::::::::::::::::/ ̄::::゚。::| ̄
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     ∨{::ハ::::::::::::V≧=--::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ
      \′}::::::::::::|     \:::::::::::::::::::::::::::::::::-=≠ニ:::::::::::::::::`、
       、::乂:_:_ノ}      ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::-=≠⌒::::::::::::::::∨
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その姿は立派な成人女性のそれだった。
丸みを帯びた臀部に、引き締まった腰つきと、それに相反するかのような乳房。
少年たちの欲望を刺激するには余りある女性らしさを、悪魔は備えていた。

腕と足は鉄パイプで滅多打ちにされ、骨は砕け、肉も潰れて無残な黒色に
なっている。エンジェルは芋虫のように体を揺すりながら、少年たちに嘆願した。

神の子らであるのならば、人の道を外れようと、心の奥底に慈悲の情を
持っているはず。そう思っての行為ですらも、少年たちには獲物の命乞いにしか
聞こえず、また欲望の火に薪をくべるも同等の行為であった。
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89 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 01:57:37 ID:MSskQ0760

            :,:           :(::)
            /⌒''⌒) :,,゜      '         ,,,,,,,
           (:::::::::::::::!'                 (::::::)
           ヽ::::::::';'''                 ''``   。
           τ'::/ .;:
            )/
         。            '  、       ;: 。
                               `'''`~''・    ' `
     f''`⌒(     ,,,,               !:(',,,,、              ::,,,,,、...
     ,!,,,、(     /::τ             ノ:::::::::::::::::)          。  !::::::::::`! 、
 :.、          !:::(     ノ::`!   o   (::::::::::::::::::τ            (:::,,;,;,、; 。
       ゜     (/      ⌒・ .   ・、;::::::::::::;;.;`` ''
     ,,、..   //   ノ'          //'''`'`'` `       ..,,.. _,,,.、 ・         ,, ...:・..
  π /;::::::::(,.,.(;;;::::(   ,,.,  ・っ                    ;,;;( ):::::;.    c::── '`'''::::::::::;''
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 τ !::::::::::::::::::::::::::::)/,,,,, γ               :'`'``:!
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少年たちの夜は続く。
これからこの悪魔は五人分の相手をさせられた後、体が消滅するまで
サンドバッグ代わりにロープで吊るされることとなるだろう。

少年たちは悪魔の恐ろしさを知っていた。既に一人の仲間が大けがをしている。
しかし、それでも悪魔から手を引かないのは、ひとえに幼さから来るものだろう。
少年たちはこの悪魔の体で楽しむだけ楽しんだ後、復讐を警戒して
息の根を止めるつもりでいた。

絹を裂くような悲鳴が響き渡る。
夜はまだ始まったばかり。つまり、地獄もまだ始まったばかりなのだ。
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90 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 01:58:02 ID:MSskQ0760

〜TIPS〜
『悪魔』
人ならざる者。妖怪、神、天使、妖精、悪霊などもこれに含まれる。
本来は神話の世界である魔界にしか存在できない筈なのだが、異界と呼ばれる「魔界化」した場所においては
自由に姿を現し、迷い込んだ人間を食い殺す。

体は生体マグネタイトという高密度のエネルギーで形成されており、これがなくなると消滅する。
生体マグネタイトを集める方法は二つ。一つは、人を食い殺すこと。
生体マグネタイトは悪魔や人間といった強い感情を持った生物が多く体内に保有しているため、
人を食らうことで悪魔は生き長らえ、現実世界に留まることができる。

もう一つは、信仰を集めること。
生体マグネタイトとは、いわば感情がエネルギーと化したものであり、
信仰とは生体マグネタイトを特定の神格に捧げるも同義なのである。
ゆえに、信仰を広く集めている神格を持つ悪魔などは、徒に人を捕食することは少ない。

物質界に来訪する理由は主に生体マグネタイトの収集であるため、人間は格好の餌となっている。

十年前に進んで悪魔退治を行う葛葉一派もいなくなってしまったがために
各地の異界化が深刻化したため、六年前から各国政府が一定以上の力を持つ悪魔に対して懸賞金をかけることになった。





『生体マグネタイト』
感情をエネルギー化したもの。人間や悪魔など、強い感情を持つ者が多く保有している。
異界や魔界には空気中にも含まれているが、そこに存在する人間や悪魔を強化するほどの量は
空気中に留まることはなく、結晶化する。
人間はこの生体マグネタイトを液体にして保存する技術を持っている。
悪魔はこの生体マグネタイトを接種することで存在の維持や強化を可能としている。
人間も同様で、悪魔などを倒して生体マグネタイトを浴びると、体内の生体マグネタイトの保有量が増加し、身体能力が向上する。

91 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 01:58:18 ID:MSskQ0760

         ____
       /      \
      /         \
    /   (●) (●)  \        え、まじで?
    |   (トェェェェェェェェイ)   |
    \  \ェェェェェ/   /
     /⌒ヽ   ー‐    ィヽ
    /      ,⊆ニ_ヽ、  |
   /    / r─--⊃、  |
   | ヽ,.イ   `二ニニうヽ. |

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手渡された千円札をまじまじと見つめ、呟く。
これは今月の自由費の総額ということだった。

家賃や光熱費、ガス代などの計算はメイヴが行っている。
一応食費は喜留夫が預かっているが、自由費だけは別だ。
生活費を熟慮したうえで、メイヴが余剰分を喜留夫に渡す形になっている。

「本来は千円もないわ。これは慈悲よ」

メイヴの視線は氷よりも冷たく鋭かった。
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92 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 01:58:36 ID:MSskQ0760

               ィ⌒ヽ
                   )  __
               iV/r' ´  ̄     ` ' 、     ,-、
             ィv┘./  /         ` 、  .r'´
           r  >イテ   i             \/v
          >フ/  /  l  l        l   {人レ、
        , ィ' ´  /  /  l  l   i     l .i  ゞV/廴
      / /   ./   i _ l  l   :l    ! l  l ハ`´ ヽ
     /  /   ./ィ   r'´ ` il  ト 、 .|  i  l |  | i .| _V )
   / イl/   イ.イ   廴 _ 人 .ハ  ヾ ト +- 、| .|i ./ .l .| rヘ
   {  .i l   / il  il  ≧iVハi .\ _V_ハ /.i V  .∧   ヘ           先月は赤字、つまり生活費を貯金を切り崩して
   V il .  / /   ノ Ⅶt人ァ ヽ \ィ≧テ-L/  /ili .V   ',
    V \/ /  ./ ハミY /ノ  ,  ┴=斗/  ./ 人 V  .',          補ったってことなのよ? 誰かさんのせいでね?
    V./  /   ./  i ゝ  )      """ / イ / l  i   ト
    /i .  /   ./  .イ┌人il  ` ー '   .//././  l      ヽ         「痛い痛い痛い! 的確に乳首を引っ張らないで!」
  ./  .レ  /  i  / lr )、 \、     イ // ̄ス─-┐    i \
イ/   /  i   ∧ 、_// 入  ≧- イ⌒i l  /   /、    l   \
../i  /  イ ./  V>-    ⌒) Y. {  :l | イ   ./ /、 i   l     ト
il V./  / :l ./  < `ー─┐ ィつ i   r弋、─-─≦ イ     |     V\
  y  /   {    \_  `i i<`  ̄>i i  \    >イi    |     i  .\
../  / i  Yゝ    彡 } . l l>><<l.l  r ' ´ ̄    ヘ   i     l    ヽ
.   {   / ゝ      イ.. l l<   >l.l  ∧ヾ       Y       l     ヘ
  / .V  /   >    /i┌ ‐/>><<l.l /          }         l     )

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メイヴに凄まじい力で抓られながら、謝罪する。
確かに、先月の稼ぎはあまり良くなかった。
貯金も多いわけではない。喜留夫がこうして仲魔に頼ることが多い反面、
他のサマナーよりもMAGの消費は多いのだ。

加えて、十年前に葛葉というデビルサマナーの組織が雲隠れして以来、
サマナーの需要が上がると共にMAGの価値も高騰している。
今やMAGのレートは過去とは比べ物にならないものとなっているのだ。
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93 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 01:59:14 ID:MSskQ0760

                   ,.ィィi/⌒i,,ii,_`7/
                  .i.i i //.{往ヨ}i'l‐=''三 ̄`''‐‐--,__
                  .}!' '' 7'.ミl彡’           `ゝ、_   ,_,,__
                .// i-/__-) ) i              .! !''-!..=_ ))_ヾ、ゝ
               iνl  ∥ / .i′/             -=彡) K包ミi''i' i 、
               ..}/ //i ///  i  i  ,    .i            .!ニ=彡i il ii`i
          __  __ / ./ .i i/  ii   /    i         ,.. -、___,))i=〃 .il.|
         i'i'' ̄// /  i /   /i   /   i  i .i  i .i    i l l i`ii / /!-,-/i.|       嫌なら稼ぐことね。
         !!////./i   /il   ii /i   | | | .|  i| il il ) | i | | Y// /|  .|||
      iイ ノ / / ι‐'´/ //  |i l (( /'''``!)) .|i.| | .| ! .i | //  | | .| |,/ il .i| ! | |        DDSに何か依頼は載ってないの?
    ___,_/,/,/ i  |  / .i ! ii ハ | | !^}.Y笹ョ iヽ| |i ! | !,,ハ__//i / il | Y ./ i |∧ .! i
  ./, ‐‐=7 / /  ,ノ / /i |.|i | ゝl{ Y i廻ト/'' < !! l l レl ,_ `''=-/l./ |/ / / i/ }.i ! l       「うーん、サマナー殺しとか
  l ./,-イィ ./  / /,, /i l `ii`''-i !\,ミ=-=彳,,|    灯不気,  il  .|i ..// i l / |\
  l l / / ⌒  /,,ィイ彡 ,!/  }ii| ,} i  i iゞ-'``'"′    弋ニ汐´“/i  | / / ./ / ) iヽ!       魔王退治とかろくなもんがねえぞ」
..i'' i i i   /´´ ,,ィ''"′ // !、ゝ、 i入 ))     '        // ,. .|// / /i i }|
..|  | ! i|  .ii i / ,-'とイ \===-、,ヽヾ、ヽゝ、 . `.ー-      / / /  |Y ,..ィ'iiイ//i .i  },l       ……まあ、命あってのなんとやら、ね。
..|  i ! i|  i ! | ./  /i  >_";,tェ ,___>、 iヽ、ゞヽヽ       ,/ / / / ii i''i  (( ii l .|| !ィ´´
..\ ii |i  \\| i {| ,-' '``'⌒'”'''->=l | i ) )ハ、._  -‐''.フ/// / l l l |i__, - 、.{ { ヽ! !         無理はしちゃだめよ。
  i \ \ \\| .|.{ .フ ,       、ゞi.l  |i | i y^Y ´`l,,l / i  li | \彡=、 .゛l \ Y\

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DDS-netを開き、依頼の欄を見てみるが、どうも今日は物騒なものが多い。
恨みのある同業者の殺害や、政府の息がかかっていると思しき魔王退治の依頼
などばかりが掲載されていた。いつもはピンキリなのだが、今日は危険な依頼が
多い。

サマナーの仕事にも色々とある。悪魔退治から仲魔の斡旋、異界の除去、
危険なものでは特定の個人を害する依頼も多い。
そういったものの相場は一人数百万に及び、サマナー相手ともなれば
数千万はくだらない、が、危険だ。

中にはサマナー殺しを専門とするサマナーもいるらしいが、喜留夫は違う。
喜留夫はあくまでもサマナーなのだ。殺し屋ではない。
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94 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 01:59:29 ID:MSskQ0760

                  __「 ̄  ̄`< ̄\
              | r冖      \  ヽ
              |/   }      ̄ ̄( )\
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                 /     /   ∩ ∩ヾ}
                   /      /    ∪ ∪
                 Y     /  ─‐v─‐v‐ァ|i             ヒーホー!
                    |     i   \     / 八
              _八_O__人     ー─ '∠ ノ
                  ーァ=/  / ̄`ヽ─=≦ / ̄`ヽ ひょいっ
            ___/__ムイ    ヽ ∨ \/しヘ  l  !____
                 ーヘ__ 人_ノ ̄ ̄ ̄ ー' ー'

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そんな時、事務所に闖入者が現れた。
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95 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 01:59:41 ID:MSskQ0760

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                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                           │::::::::::::::::│
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                           └───┘


                             ┌─┐
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                               └┘


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                               ・

96 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 01:59:54 ID:MSskQ0760

                    r─-      r‐-
                     /    `ー<_   \
                  /               ̄( )ヽ
                  __/  /入         -─-\
               _| _/__/ /      /  r   r ヽ
                \|    \/        /      J  J
                      /        /   ──v─v‐ァ i       ヒーホー! ここってさまなーのじむしょなんだホ?
                  /        /     丶      / /
                        ̄{  ○ /      `ー-‐'r‐ 、       オイラの依頼を受けてほしいんだホー。
                        乂___人          / > \
                     /    ≧=─-- <  /、    )
                    ̄/ /|  ヘ     ___\Y  /
                      _// l | / 丶 /ヽ `  /
【妖精ジャックフロスト Lv12】
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メイヴの召喚によって部屋にMAGが存在していたからか、
妖精ジャックフロストは唐突に実体化した。

最初は喜留夫もメイヴも驚き、臨戦態勢を取ったが、どうも敵対する雰囲気では
ない。青いフードを被った雪だるまといった姿のジャックフロストは愛らしく、
ヒーホーヒーホー話しかけてくるところからして攻撃が目的というわけでは
なさそうだった。

「最近、悪魔をとっつかまえて、連れ込んでいじめてる奴がいるんだホ。
オイラの友達のランタン君もそいつらに酷い目に遭わされたんだホ。
こらしめるのを手伝ってほしいんだホ! デビルバスターバスターだホ!」
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97 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:00:13 ID:MSskQ0760

                     _,,、---、  /`ー---、_
           ,   ._,、-― ' ´       `´((,、_ ,ィ-、`!
         ,、((._,ィ'´       ー.'二==テイト、ォハ´`))!ヽ
      /`/ト、`))          ̄__,ィ /乂Yノ少((.  ヽ
      ,イ ./ノ少、'          l  .l    i ((ゞ'´  ` l  ヽ,
     l   弋トン"   /  l     | l!  l!  l! l!  ))  l  l l   l
.    /!    )) ./ / l  l! .l  l l!.l .l!  l l l!l l! ´  l! .l l  .l
   ノ  l.  (( / .′l  l! .l l! i!.l i!  l!.l l!l.l l!    i! l .l!.l  l!
 ./   l   /./  l! l! l.l  l .l l l! l l! i!l.l l! l! l! l  l .l! l l!  /
./    / l .l! l!  l! l! ! ll! .l l!.l l!l.l .l! ll! l.l!l! l l l!  l l .l l / l         あら、かわいいわね。
!  / / ./ i! i!-=ミ.、 l! l l.l((.l!i!.l! l!.l-十十‐!-i! l! l!   l l! l l!/./ l!
 / /  / .l l.l l!  .))l_l! l l ))l l! l!l l从==ュ. l! l .l! / l.l /././  `ー        報酬はちゃんとあるのかしら?
/ /  /  l! l ll! .ィーイ_,`ヽ.'イ l!l!l .l!イん::ハ.ヽ l l! / ./ //!   __
./.|  /.|  l!  .i! .,イ´`'Z`メ! ヽ     乂z:ソ. './ ./ ./// /.l           「俺の仲魔ながらちゃっかりしてやがる」
./ヽ. l l  l!、  i! フ 〈、Yノ ノ .l          ̄ /  ,′/ / ./ l
  ヽ! .l! i!ヘ  i! >`、´ 、,ノ  '       l   .l   /  /l
 l  i! ヽ l ヘ .|  i!ヽヽ-イ))      _      ヽ,  ヽ .l!  .l l!
 l  .l!  l!   ト、 l l ヘ ((    ̄    ,ィ‐、ィ‐、  ヽl!  、l l
 l l l ヽ     l. ヽ l!l i> ,        ゝ,. `´ |  リ__  `ー
./ .l l  ヽ i  l  ヽ.i! l!   >__ , _ , ィ`l´  / / .`ー-
  .l l  ヽ .l! l  l l /l .,ィ、_ノ  ̄ゝイ   / /
  .l!l   l!.l! .l  ./ / l/l .,、- `i   | / /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「ヒホ、オイラに用意できるのはこんなもんだホ。
あとは……かき氷くらいならできるホ?」

そう言ってジャックフロストが取り出したのは、メロンに似た何かだった。

「あら? まんだらメロンじゃないの。どうやって手に入れたの?」

「ヒーホー。友達フロストからお中元で貰ったんだホー。
今はこれくらいしかあげられないホ。勘弁するホー」


まんだらメロンとやらを受け取ったメイヴが、喜留夫の耳元で囁く。
吐息がかかりどきりとするが、何とか話題の方に意識を集中させる。

「これ、魔界の相当な珍味よ。ネットで出品すれば二百万は行くわ」

「よし、引き受けよう」

即断だった。ネットに転がっている依頼は危険なものばかり、
かといって事務所で寝転がっているわけにはいかない。

低級悪魔を乱獲して暴力を振るうような人間などたかが知れている。
それくらいの危険性で二百万であれば破格の報酬だ。
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98 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:00:30 ID:MSskQ0760

                  __「 ̄  ̄`< ̄\
              | r冖      \  ヽ
              |/   }      ̄ ̄( )\
                     /         -─‐- \
                 /     /   ∩ ∩ヾ}         受けてくれてありがとだホ。
                   /      /    ∪ ∪
                 Y     /  ─‐v─‐v‐ァ|i         あいつらは夜になるとこの辺でうろちょろしだすホ。
                    |     i   \     / 八
              _八_O__人     ー─ '∠ ノ         見つけ出してとっちめるホー。
                  ーァ=/  / ̄`ヽ─=≦ / ̄`ヽ
            ___/__ムイ    ヽ ∨ \/しヘ  l  !____
                 ーヘ__ 人_ノ ̄ ̄ ̄ ー' ー'

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
しかし、悪魔からの依頼とは珍しいこともあるものだ。
ヒーホーヒーホー言いながらひょこひょこ撥ねるジャックフロストを見ながら、
喜留夫は一人呟いた。

とにかく、仕事は仕事だ。受けた以上は完遂するのが喜留夫の主義だった。
早速支度を始める。夜になったら、早速行動開始だ。
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99 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:00:45 ID:MSskQ0760

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         └──────┘


                           ┌───┐
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                           └───┘


                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘


                               ┌┐
                               └┘


                                   □

                               ・

100 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:01:13 ID:MSskQ0760

                   | i|                     |i |
                   | i|                     |i |
                   | i|                     |i |
                   | i|                     |i |
                   | i|      _______       |i |
                   | i|      〈: : : : `ーi      .|i |
                   | rー- .. .._   jー-r- ._.{       :|i |
                   | .\/////≧=≧ー-=ミ}     |i |
                   | i| ` <ノ.:弌__j:f⌒iー-≧.. __j___|       業魔殿へヨーソロー。
                   | i|   乂:.:.ハ .〈抃::刈イ(二ニ=-― "
                   | i|    从{∧ー弍イハ     .|i |       おお、お前か召喚師。待っていたぞ。
                  r=孑=≦:/ //辷セrく}: :ヽ    |i |
                 .イ: : :: :: :: ::/ // }fメ{^´ {{: : :{`ー- .主_:!       ほれ、頼まれていたソフトだ。
               /. i : : : : ::/.//_ノ : 〈 .〃. : :j: : : : : : , : ハ
.              /. : l: : : :/. ://. : : : : :∨. : : : {: : : : : :/. : : }
.            /. : : : :./. : ://}. : :才.:::人: : : : }} . :: ::/. : : : {
            }: : : : : : :\ : ///7f个ーイ}} : : :: ::}}. : ::イ. : : : : ハ
             八rー-ミ: : : : >i/ }/ }才:i{.}}: :厶斗:/. : : : : : : ::{
             ノ: : : :  ̄ : : /ニハハニニリ} : : ` .<. : : : : : :i: : : :{
       __     ./. :_: : : : : : : />}ニ=ミv/. : : : : : : /. : : /⌒辷气乂
    Y´三二ニミ.く: : :  ̄: ̄>j 才ニ=气}.∨_:: :: :: ::/⌒ヾ: : : :7!..|
     }三二ニ==-_`_<: : : {{ { rーメ   }}ハ: : ̄三二ニ≡=∧|
     }三二ニ===ニ二三>乂rー-气=-イイiリ: : : : : : : : : : : : : : :}!
     }三f´///`ヽr<_三三三≧=====イ: : : : : : : : :_:三二ニイ|
     }三∨/////∨三三二二ニニ≡===-≧=≡ニ{      〉〉
【???ヴィクトル Lv??】
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四階のフロントへは向かわず、一階のエレベーターホールから直接
地下の倉庫、つまりはヴィクトルの工房へと向かう。

工房のシャッターの前でCOMPを抜くと、自動的にシャッターが上がる。
その先に進めば、ヴィクトルの工房だ。

工房の中には大量の機械と巨大なビーカーのような硝子の容器、
それからそこらじゅうを這うように置かれたコードに、その中に鎮座する主人がいた。

この男こそがヴィクトルだ。この工房で悪魔の研究をしており、その成果、
つまりは悪魔の合体を行ってくれる他に、こうしてCOMPの調整もしてくれる。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

101 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:01:29 ID:MSskQ0760

         ____
        /     \
       /         \
     /     (●) (●)\     おっ、サンキューヴィクトル。
      |    (トェェェェェェェェイ) |
      \   \ェェェェェ/ /     「しかし、お前くらいのものだぞ? そのような代物を要求する輩は」
     /       __|___
    |   l..   /l       `l
    ヽ  丶-.,/  |__      _|
    /`ー、_ノ / ̄ ̄ ̄ ̄/

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千年の時を生きる吸血鬼だとか、体を乗り換え続けている錬金術師だとか
色々と噂はあるが、真偽のほどは定かではない。

「いわばセーブモードの追加だな。そのソフトを入れればCOMPに戦闘モードと
セーブモードが追加される。戦闘モードでは通常通りの出力で、セーブモードでは
通常の十分の一の出力で悪魔が召喚される。つまり、消費されるMAGも十分の一
というわけだ。活用するがいい」

活用、というのは皮肉だ。
知っての通り、喜留夫はサマナーとして悪魔を必要以上に召喚し、使役している。
本来ならば人間がやるべきことですらも悪魔に頼らざるを得ないため、
消費するMAGは他のサマナーの比ではない。メイヴの経理役がそうだ。
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102 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:01:46 ID:MSskQ0760

   |  {    |     ハ   '  乂込りイ、`ヽ
   |   '  |  ミ、 i   |ハ ゞ=彡ノ/z i
   |   ヽ .!   ハ:}|i: ! {  '  i  ゞ=ソ i:!
.i   |   ハ:{.  r=彡|{|ノi  |. | ヽ  八
:|   ! >ー从_}{ i ! |.川 i{ `ヽ |   !  ハ 、  ゙
   |{ / ーヽメ 八ハ!{ !ノj_z_j   |  .'{  ヽ
ハ  人ハr=ミ ハ ハ   ノ从 7Zマ.く_ ' | {八        これで、家の中が賑やかになるわね。
  / }込八irくイ_ノ ノ    i.i゙;;;}j ' ハk , ! i  ヽ
 { :{ゞ=ミ_ノ/    ,  ゞー" / ノ/  |i ゝ         「ああ、そうだな」
.八 ∧   '' j:i ''     ノ   "″,イ./{  八 `ー
.  ヽ∧   八{_ノ、_       ./rーミ八   `ー -
   \ヽ.      ̄ ´  イハ  }vー 、`ー -
 `ヽ  \>     . ィ´,⌒´     ノ `ヽ
ハ  \  ヽハ≧=彡} `ヽ      `ヽ ハ
  丶.  \   }、 { /           ノ   }
   \   ヽ ノ iト、∨           \  '

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
早速メイヴを召喚し、試してみる。
確かにレベルは十分の一程度になっているが、消費MAGも十分の一だ。

メイヴが嬉しそうに手を握ってくる。
無意識に、その手を握り返していた。人と変わらない温もりが伝わってきて、
喜留夫は安堵のため息を吐きそうになる。

「ところで、合体はしていかないのか?」

「いや、いい。じゃあな、ヴィクトル」

この男は合体大好きだが、自分はそうでもない。今までに何度か合体を利用したが、
仲魔集めから、集めた仲魔から承諾を得たりなんだりと大変なのだ。
パイモンともう一体の悪魔は合体で作ったが、メイヴだけは一度も合体には
かけずに十年付き合ってきた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

103 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:02:18 ID:MSskQ0760


           ヾ       _ _ _          /ゝ
           ノ } , - ' ´      ̄`ヽ      <'´r‐'    ,
        /入y'´              ` ー 、_≧彡>┐、/ V}
       /≧/     /               ヾ廴{i}.」ヾil´"
       V /     ./i  i               ト=イ´  ト
       /./      / .l  l     i        i { r‐'´   i i
       Ⅵ     /  l  l     l        l ゞ、      il l
      /  i _  .i  l  l  i   ハ  .|   :i    | i      ハヘ
        i   { ゝ、_ |   l  l  l  _ヘ. l  .l    | l      i l ヘ
.      {   l   ./ ハ  l  l 升´  i ヽi  /    / il      V.ハ
       |  .l  /.// >┐_ハ i .lハ  il  \/     Y/      i ハ       それじゃ、行きましょうか。
      K  l  .K<イ- 、 } ゝハヾハ_ ilヾ 人   //       i . |   .ヘ
      /V ハ  ト/ <=_ノ/K   -===、i / / ./イil .      l ∧    }      夜の支度はしてあるから、夕飯の材料だけ
.     / i ハ  Ⅶミ_,ィ┘ ,    ""  ././i イi i.      |   V  ノ
    /  .l   ゝ ミ  ノ/        /ィ // |.l |.       l   レ'´       買ってから帰りましょう?
.   /   i  Kハハ \{<  ー -   -=彡 .//  Ⅶ.      i   i
   i     //  V /.\.         イ.┤/.ハ  i       l.    |        「お、おう」
   l/    //    /__.≧、_  < ヽ il\─ 、 l       |.    |
   /    // i ̄ ̄\  i}=v| ̄ ̄  /_ ─<       ヾ    ハ
  ./.     レ/'´\    > V / /  Ⅶ⌒/ .ハ           i
  i.    //人_ \-<_ ∧./ \_/  /  /  ` ヽ     i .、 _  l
  |    //  ヽ  ̄ >//    // .   /  /   <´⌒ヽ   |    |
  |  ノ.ハ  /   ゝ升、___升≦ ̄ ̄/∧__ >   \ .l .    ',

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
悪魔にも色々な個体がおり、中には成長することで神格が変化するものもいる。
そういうのは大抵神話上の繋がりがあり、力を増すことで小さな悪魔から
巨大な悪魔へと姿を変貌させることもあるのだ。

こうして白い服の少女の姿をしているメイヴも、最初に出会った時は掌ほどの
大きさの妖精だった。

クイーンメイヴへと変化したのは、クイーンメイヴが妖精の女王ティターニアと
同一視されているためらしい。力を増した故に、妖精の枠をはみ出したのだとか。

メイヴに促され、業魔殿を後にする。
夜には調査を開始する。その前に腹ごしらえをするとしよう。
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104 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:02:33 ID:MSskQ0760

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                               ・

105 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:03:38 ID:MSskQ0760

__ /\                                                      __
.ヽ.  / / \                       .⌒>---. 、                       _/  -
.  \ /'   \__               __/:イ:i:i:i:i:i\:i:\, ヘ                    \
.   \      ヽ=ミ          {ニ/:i/:i|:i:|:i:i:i:i:i:i:Ⅵ:i:i寸ミ7       ___   ´  \\ ノー
      \   / /{......ヽ         </:i:i:i:i:i:i|Ⅵ:i:i:i:i:i:ヽハ:i:i:i:i:iV\     /..........{\\     ´
         __,ノ.............. ゝ--=ミ>- /:iイ:i:i:i:i:i十ヽ从才´ i:i:iⅥ::i:ミシ     ノ......... 人   /
        /:|.....................}  < ヽ〃/:i:i:i:i:i:i:ix= 、ヾ=x|:i:i:iV:i:∧   / |、................\)
        , :人.................∧  <  { /:i:/:i:i:i:i:从   - v  |:i:i:i:i:i:i:i∧ /  |: \............./
        : : : : : ̄ ̄:\:i|  /  /:i/ {:i:i:ii {∧ 乂:::::::/ 从:i:i/:i:i:|ヾ-''   ∨/\ ̄
          i: : : : : : : : : : : i|   ̄\ ,:i:i' |:i:从 V_ ≧ - イィ }/:i:i从ハ :i /   V: /: :.\
         : : : :|: : : :/: : : i|     'i:/(八:i  ヽ}洲洲洲洲{ ノ:i:i:/:i:i}:i:i:|,/'    V: : : : :.:\
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       |: : : :|: :/: : : : : i|     ----- >\/≧=--=≦、// ヽ:i:i:Y:i:i} -=彡, : : : : : : : : : i
       |: : :.:.し': : : : :.:.:i|        ><: : : : : 人)/ ': :\八:i:i:i:ハ  /: : : : : : : : : :.:|
       |: : : :/: : : : :.:.:i|       :≦i }\: : ̄(rァ ): : /:/ }ヽ:i:i:i:i}/: : : : : : : : : : : : ,
       |: : , : : : : : : : :.八_ , 斗≦: : : : :| / ヘ ≧: : _: ≦ヘ: :{  ,八:i:i:i:}: : : : : : : : : : : : : :/

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「え、今日から僕も一緒にごはん食べていいの? やったー! 人間のごはん!」

パイモンが飛び跳ねる。早速セーブモードで召喚してみたが、体調が悪くなる
でもなく、いつも通りのパイモンだった。

もう一体の仲魔も召喚してやりたいところだが、いかんせんサイズが大きい。
この事務所の天井など優に突き破ってしまうだろう。ゆえに、COMPでお留守番だ。

ぶら下げていた買い物袋をメイヴが預かる。
あの後、スーパーで普通に買い物をし、普通に帰ってきた。

今日の夕飯はチキンピラフだ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

106 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:03:54 ID:MSskQ0760
〜喜留夫の簡単クッキング〜

     __
   /     `rー- 、
  _f           ヽ
 f´             ノ
 ヽ           T´          _             ●材料(三人前)
  ` ̄} ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄'{        , ,::。¨'' 、,。         ・鶏もも肉一つ
    f ------------i      .・ 、゚;;,,;゚゙ ¨゙゚         ・キューブコンソメ一つ
    i    (●) (●l     ,。 .;,; =- ’''  ;        ・タマネギ1/2
    八    トェェェェイ ノ  _ i 、。.:.:。;:'゚  r;;;- . 。       ・マーガリン適量
      ≧==--=≦f了 ̄二_ う ,, :;;{____゚。_ ゚       ・塩コショウ適量
     (   rケ了   ̄ r===='≦三三三三三三三ミ、      ・米二合
      `┐ ! ト_ r--、_了 ̄ヽ三三三三三三三三ソ      ・ケチャップ適量
       /  ヾニ'' \      `<三三三三三>´
  _ィ、 _/\        >      ノハ、 ノハ、 ノハ、
/ /_{{    >t――ァ'´      ((火))((火))((火))
{__/  `ヽー"  }二i´       {二二}二二二二二}
          /`-,,,,>、      i__i______/
          `゙''ー‐‐"

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
まずは炊飯器に米と水、それからキューブコンソメを投入し、そのまま焚く。
炊き上がったら十分ほど蒸らし、その間に熱したフライパンにマーガリンを
伸ばしてから微塵切りにした玉ねぎを炒める。

107 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:04:14 ID:MSskQ0760

玉ねぎが茶色く焼け上がってきたら肉を投入し、更に焼く。
鶏肉に焦げ目がついたら米を投入し、ケチャップをかけながらフライパンの上を
すばやく三往復ほどさせる。白い部分がなくなり薄赤色になったら大丈夫だ。
あまりかけすぎるとケチャップ煮込みのようになってしまうので気をつけなければ
ならない。

それから適度に焦げ目がつくようにかき混ぜつつ、塩コショウで味を調える。

ケチャップの水気がなくなれば完成だ。
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108 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:04:31 ID:MSskQ0760

              ,ィ                   /uiu、
          / |       ____     |   |
            | |    /      \   ヽ /
            | |  /( ●)  (●) \.  | |
            ヽ.| /  (トェェェェェェェェイ) \ | |
          |.|_|.   \ェェェェェ/    |⌒)
            〈_ィ.\           / /
              \             /
               i             /
               |           i

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「おら、できたぞ。皿もってけ」

できたチキンピラフをダイニングキッチンのカウンターに乗せ、
メイヴとパイモンに取らせる。

「ねえ、食べていい? 食べていい?」

「待ちなさい、パイモン。この国ではね、食べる時にいただきますというのよ。
食べる前のお祈りと言えば分かりやすいかしら」

「お祈りするの? 僕堕天使なのに?」

「なんでもいいから言いなさい」

「はいはい、いただきます」

喜留夫も三人分のスプーンと自分の分のチキンピラフを持ち、食卓に着く。
何気ない会話を交わしながら、初めての三人の食事は進んでいった。
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109 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:04:52 ID:MSskQ0760

               __
.───┐      / ...::::::..\
 ̄ ̄ ̄| |     /   ...::::::::::.\
      | |    ( ●)   ...::::::::::.\       あー、確かに二百万超えてるな、まんだらメロンの相場。
      | |   ェェェェイ)   ...:::::::::::::: |
      | |.   \ェ/ .....::::::::::::::::::/       なんだ、そんなに美味いのか?
二二二 」 _ _ ゞ    ...:::::::丶
─┴┐ ⊆フ_)__./     ┌ヽ ヽ┐      「悪魔には、ね。あと一部の人間」
二二二二二二l  /      |  |   | |
_l_____| /      |_|   |_|       ……食うんじゃねえぞ、パイモン。
  |       /  __,    ノ  |─l
  |───/  /lニ/   /二ニ luul.        「食べないよ!」
  |    ___|  |  |   |_|.
 └─(    )(ニ|   |./二ニ)
      ̄ ̄  /   )
            `ー ´

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
食事を終え、皿洗いを済ませた後で、軽くパソコンを起動する。
夜までまだ時間はあった。

まんだらメロンの市場価格を調べてみると、確かに二百万を超える値がつけられて
いた。パイモンが物欲しそうに見つめていたのも頷ける。
とはいえ、今すぐネットに出品するわけにもいかない。依頼が失敗した場合は、
メロンは返さねばならないからだ。

あのジャックフロストは、終わったらお礼に来ると言っていた。
ちゃんとお礼を言ってもらえる展開になればいいのだが。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

110 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:05:17 ID:MSskQ0760

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         └──────┘


                           ┌───┐
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                           └───┘


                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘


                               ┌┐
                               └┘


                                   □

                               ・

111 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:05:32 ID:MSskQ0760

  |┃            ____
  |┃ 三       /      \
  |┃        /         \
  |┃ .      /   (●) (●)  \
  |┃ 三    |   (トェェェェェェェェイ)   |        でっぱつよ!
  |┃       \  \ェェェェェ/   /
  |┃        /ゝ    "`   ィ `ヽ.
  |┃ 三   /              \
,⊆ニ´⌒ ̄ ̄"  y           r、  ヽ
⊂二、 ,ノ──-‐'´|              | l"  |
  |┠ '       |              l/'⌒ヾ
  |┃三        |              |ヾ___ソ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
身支度を整え、装備の確認をしたのち、事務所を出る。
時刻は既に午後九時を回っていた。冬の空には月が出ており、白い息がもくもくと
上がっていった。

「寒くないか? メイヴ」

「ええ」

「ちょっと、僕の心配はなし?」

「お前はマントがあるだろうが」

今回は最初からメイヴとパイモンを召喚しての探索だった。
悪魔の気配を探るのであれば、エネミーソナーもそうだが、同じ悪魔に任せる
というのも一つの手だ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

112 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:05:45 ID:MSskQ0760

                          ___
                       ,斗≦:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i≧.x
                   /:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:>=ミ、
                  イ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:/ニイ_{:iヾ\
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                    /:i:i:i|:i:i:Ⅵ:i:i:i:iⅥ:斗=≦:iⅥ:}ニ{Ⅵ:iノ∧
                / {:i:i:i{:i:i,斗:i:i:i:∧\:i:iⅥ:i:iⅥニl. Ⅵ:i:i:∧
                  / /{:i:i:i爪:i:i{\:i:i:i∧ _斗示ミ:l,弐 Ⅵ:i:i:∧
              / / .|:i:i:i:i:i:Ⅳ竺_\:i∧ / r 刋ソ:i:i:i:} {:i:i:i:i:∧
               / /  !:i:i:i:i:i爪V心 \:i:. ゞ-' }:i:i:i:| {:i:i:i:i:i:iヽ       へへーん、似合ってるでしょ?
             , ,   .{:i:i:i:i:i:i:i:ヽゞ''    ヾ    .}:i:i:i:| {:i:i:iⅥ∧
                l{ .l{  {:i:i:i:i:i:i:圦    `_   ┐  八:i:i}ノ从:i:i}:i:i∧      「そういう店のボーイみてえだ」
    r 、  r 、    l{ .l{. 八:i:i:i:i:i:i:i:i\   、 ノ /}:i:i:/:i:}:i:i}:i:i}:i:i/:ハ
      ヽ‘, :.      .{{ .{{.   \:i:i:iⅥ:i:i:i≧s  _//}:i:i:{:i:/}:i/リ7:i:/}i;ハ     あ、ひっどーい。
      ',   } .}  - 乂乂    `¨Y≧Ⅵ:i从:ハr彡 .|:i:iハ={'{_,彡' }∧
     へ ゝ { / /         }:i:i} Ⅵ从ヽ {  /.|:i:i:ニニニ}.      ',
.      {--、}  ノ' {          }:Ⅳ Xニ /r'     .}:/ニニニ;         ',
     八 ヽノ-v  ノ          }://ニニ/ ,j   ./}'ニニニ; :{      ',
      \_  -=≦ヽ          /ニニニニ.{ f _r≦ニニニニニニ:{八     \ ',
     _ ≦     {       /ニニニニ/ニニニニニニニニニニニ_ \    /7
     { 。/      へ     / }ニニ/ニニニニニニニニニニニニニ=_ ∧ =彡  {
     {      ≦ノ   r≦    }ニニニ} oニニニ oニニニニニニニニ=_/:i:i\     }
     ゝ- ' \       }  )   .}ニニ=jニニニニニニニニニニニニニニニリ-=ヘ. \
          \    ノ /   ,ニニ /ニニニニニニニニニニニニニニ /:i:i彡'   \
            、   /  _ .jニニ,ニoニニニoニニニニニニニニ /=彡)       \
             乂__  r≦{:i:{ニニ}ニニニニニニニニニニニニニ ./:i:

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メイヴには普段のドレスに、上から喜留夫のコートを着せている。
パイモンに関しては、前回メイヴだけに服を用意していたのが気に入らなかった
らしく、強くごねてきたので仕方なく服を買い与えていた。
よくあるシャツとスラックスにベストという組み合わせだったが、
元が美少年だからかよく似合っていた。執事のような高貴さがある。

それはともかくとして、探索はそれほど順調とはいえなかった。
二時間ほど町を回った後で、やはり情報が少なすぎたかと肩をすくめていた
その時、小規模な異界の存在をパイモンが感知した。
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113 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:06:11 ID:MSskQ0760

           ___
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       /          ヽ
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   /   ィ          r   \
    |   `||           |ヽ  ヽ
    /⌒ヾ|          | |,  |
   ヾ___,ソl          │(、__,ノ
       |          |
         l    Y´     /
         ヽ,   (     ,/
          ヾ  |   |
         ≒;|   |
         (.("_`゙_)

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蛇の道は蛇、というやつだ。
喜留夫達は異界へと迷いなく踏み込み、そこで悪魔たちに話しかけることにした。
悪魔への被害が広まっているならば、悪魔同士で噂も広まっていることだろう。

異界特有の淀んだ空気の中を歩いていると、一体の悪魔が喜留夫達の前に
躍り出た。凶鳥グルルだ。灰色の翼に人の体、髑髏の面のような頭部をした
この悪魔は、交渉には応じない類だった。

悪魔にも様々な種類がいる。その中でも、凶鳥や妖獣、外道や幽鬼、魔王などは
人間を餌としか見ていない節があり、交渉に持ち込むのは至難の業とされる。

喜留夫は無言で銃を抜き、近づいてくるグルルの翼に五発ほど銃弾を撃ち込んだ。
血をまき散らし、大きく怯むグルルに対し、メイヴとパイモンの魔法の追撃が
撃ち込まれる。

やがてグルルは動かなくなり、その体を緑の光に変えて消滅した。
散乱したMAGはCOMPが自動で取り込んでくれる。
これもまた、貴重な収入源であると同時に、サマナーの生命線でもある。
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114 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:06:26 ID:MSskQ0760

          ____
        /      \
      /         \        へい、そこの嬢ちゃん。ちょっと話してかねえか。
     /   (●) (●)  \
     |   (トェェェェェェェェイ)   |      「いいよー、チャクラドロップある?」
     \  \ェェェェェ/   /
     (ヽ、      / ̄)  |      ぐっ……魔石で勘弁してくれ。
      | ``ー――‐''|  ヽ、. |
      ゝ ノ      ヽ  ノ  |

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
ようやく話の通じる悪魔が見つかった。夜魔リリムだ。
同じ夜魔のメイヴがいるおかげか、同族のよしみで会話もスムーズに行った。

「人間が悪魔を襲う? そんなの日常茶飯事じゃない。私たちは人間を食べるし、
人間は悪魔を殺す、いつものことでしょ」

「それとは違うんだ。悪魔をとっ捕まえて、酷いことをしてる奴らがいるらしいんだよ。
そいつらの情報が知りたいんだよ」

「ふうん。そういうことなら、この近くにある廃工場に人間が集まって
悪魔を殺してるわよ。案内したげよっか?」
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115 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:06:41 ID:MSskQ0760

               xァ               ヽ;:::;;,:::::::\
              /:/         _.......__    ',::;;;;,::::::::::\
             /::::/     _,..:.:<.:.:.:.:.:.:.:.:.:`:ヽ,  }::::rハ::::::::::;;;;::,
           //::::;::{     ,.:´.:.:.:.:.:.}.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ハ ノ::::i/ハ:::::::{マム::,
           //{:::ハ::'、   /.:.:.:.:.:.:,;.:.:.:.:.ト;.:.:.:.:.:.:マ:::::;;;;ノ ヾ:}::::::i `、:::,
          ,'::ハ::|ハ:::::ヽ_ノi.:.:.:.:.:.:.:.}{.:.:.:.:| ヽ.:.:、.:.:.マ´.:.ハ   }∧:i   ';:i
          ,'::;//{::l/ム;::r,、;::i.:.:.:.:.:.:.:}iハ.:.:.:| , -<K.:.'v=、:',   l::i l:|   l:|
          ;:{//ハ マ/ハマ{ `i.:i.:.:i.:.斗ニ';:.:.| 彳ハテハ.:i<}}.:.i   リ ||   リ
          ';:'/ハム’トム'::i  ';:、.:|;,:.:ケ心;.:i   ¨´ ';:i.:|,/:/    {
          ∧{{ ヾ}::'、 ヽ{  ヽ}:|:ヾ{`~ リハ _    l:i:|:.:/              はい、じゃあわたしはここまで。
           ヾ,   ヽ::、 `  }ハト;:ヽ ´ `_.. :フ ,クハ:{
                `'    _ ヾミ.:> ,,` ニ´/ ',ハiリ               頑張ってね、正義の味方……でもないか。
              ,. -ァ    / `ヽヾ从.:}`T´,   i ',
         _,..-z-''´/    /    ::..... ‐-ミ、__`_  ` ヽ,              悪魔の味方さん?
     ,,...:-::';-:::て-'´     i     :::    ::... `;, '´  ̄`'ヽ,
   ,.;;':::_::-::'':::::;;/        '、    ',i     `''':::::..    ,  ',
 /::<;:/::::/::{           ',    ||   _....._  :::..   i  ', ト、
.:':::////':::::::/:::::{         _ -}_ィ-‐―''フ;;;;; ; ; ; ; ; ; ''; ;=-、',   ' i ',_
////::/}:::/::::::::',       ≦    ,ィ/ィ; ;;;;;;;; ; ; ; ; ;,ハ; ; ; ; ; ; t、/  ト''´:,
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///::///|::{:://ハ::::::'、   ´7イク/}rヽ-、:.:;; ;,ヽ;;;;;;;;;;;;i!  /;;; ; ; ;/ t` ,}:::::::.';:',
//i:::i///i::{:::{//ム::::::ヽ,     ,に二''ニ ヾ}; ;;,; `.;,;';';';'';, /;;;;; ; ;/,ヘハ{ ,':::;i:::::.';.',
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マ/i:::i///i:::マ////ハ::::::::::::z:.,、 ___>‐ ̄ヽ:/; ; ; ;;;;;;;;;;;;;;, ;/'; ; ; ; ;:j  _ /:://;::;}:::::';:',
 マ}::i/ハム:::マ/////ム::::::::::::::::::::`了.:フ´⌒.:};;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,, ; ; ; ;/:::'::::::::;///::/}::::::}i::',
  ∨{i  ヾム::マ/////ア⌒`''-t、::::::>'.:.:.:.:.:.:.:i;':';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;, ; ;/:::::::::::;ノ//::://i:::::;ii|:::',
  .∨,   ヾ;:::マ/ム´      ∠,ノ`ヽ;.:.:.:i.:.:';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,/'⌒<////:::///:::://:::::',
         ヾ:マ/{      ん-、,ィヽ';.:.:.:}.:.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/.:{    }//::///;::://'}::::::',
          \ム     ,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i.:.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;{.:.:i    i/:::/⌒'i::::i//}::::::::',

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しかし、夜魔だけあって人を惑わす体つきをしているものだ。
リリムは少女の姿でありながら、それでいて蠱惑的な体格をしていた。
胸は小振りだが形がいい。すらりと伸びた足は健康的な白さだ。
と、じろじろ見ていると隣からメイヴに足を踏んづけられた。

とにかく、これで目的地に辿り着いた。
今一度装備を確認し、件の廃工場へと向かう。
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116 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:07:02 ID:MSskQ0760

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                               ・

117 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:07:20 ID:MSskQ0760

〜TIPS〜

『デビルサマナー』
悪魔召喚師。かつては悪魔を召喚する術を持つ魔術師や陰陽師のことを指したが、
現在では単にCOMPを所持している者のことを言う。
十年前までは葛葉という由緒正しき平安から存在する、日本を悪魔の脅威から守るデビルサマナーと、
利益や私欲のために動くダークサマナーの二種類があったが、現在では正式なデビルサマナーは絶滅しており、
ほとんどがダークサマナーである。本作の主人公である喜留夫も、一応はダークサマナーである。
最近ではフリーサマナーとメシアサマナーの二つに分かれている。
レベル10くらいで駆け出し、レベル20でそれなり、レベル30〜40で中堅、レベル50代でベテラン級。
たまにそれ以上の凄腕のサマナーもいるが、冗談抜きで世界に数人程度しかいない。

仕事の報酬の相場は、簡単なもので十万程度、悪魔退治などはピンキリ、
サマナーの殺害や要人暗殺などの危険なものは数百万から数千万近くに上る。

118 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:08:05 ID:MSskQ0760

                  __
              > ´       ` <     ,. --- 、
            > ´             `<> ´       ',
          /                  ` く   i  .}
         ./                      ヽ  J ノ
         ′                       \イ
          j                          \
         ム                            、
       /`    ,..                          ` <
      /     ',:.*.:.                            ` <
      .′     `   マー-=}ヽ                       ` <
      i             `r - ', .メ..、                        ヽ
      {           ー≧=´i`¨~⌒ ー- .              >--- <.  ',
                    } /^.J    /  `゙''ー- ..__      /        ',
        ':            { {     ./         / ̄ ̄ У            }
      八           し   __ノ          /      {          .′
       ヽ             .>'= --..、      .イ     八         /
         \           /      `''ー―´-- 、_     ヽ       ./
           ≧z.. _ ,,..ィ',                `ヽ    ',       {
                   ヽ            ノニー '     }      V
                    > ..        / ーy-’     ′      ヽ
                      ≧ ⌒ 、  イ  ニy´     /.. -― -- ..  ` <
                           ` ̄ ̄ ー'     /               ` <
                                     {                \

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
廃工場へと足を踏み入れた途端、喜留夫は悪臭に顔をしかめた。

「酷い匂いね」

メイヴが溜息を吐く。どこかで嗅いだことのあるような異臭は、工場の奥から
漂ってきていた。

奥へ進む。工場はだいぶ前に廃棄されたのか、手入れなどはされておらず、
機械の類もほとんど撤去されずに放置されていた。
かつて人で溢れていたであろう作業場は機械だけが静かに鎮座するだけであり、
ゴーストタウンのような寂しさがあった。

そして、喜留夫はその風景に直面した。
匂いの大本は、血と汗、そして人の精液だった。
作業場の奥には電池ランタンを囲むようにして五人の少年が座り込んでおり、
その傍では、裸の女が横たわっていた。腕と足は無残に潰され、黒ずんでいる。
エネミーソナーが反応しているところからして、低級の女性悪魔だろう。

そこまで判別できたところで、喜留夫は自分の中の琴線が切れる音を聞いた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

119 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:08:25 ID:MSskQ0760

       ____
     /      \
   /         \       ……よお、ガキ共。
  /   (●) (●)  \
  |   (トェェェェェェェェイ)   |
  \  \ェェェェェ/   /





             ,  -―― 、
          /         \
          /             ヽ
         /               ヽ
        /   ,  --‐__二 ̄二二ニヽ、.l
        l ,r' , -l 7^/ /'!ll ̄\、 、 ミヽ、〉 _
        .|/' / /, ',r'/- 、ゝl, , ,r'''_ ヽ>--'" _ ` r,、 _         な……なんだてめえ! 何入ってきてやがんだよ!
  ノ、rv'ー' ''/_ / / f'l____=・= '、,. r-’''^^゙l>-、'"`= <'_ ヽ
       ,フ 彡イ.,l'"''l、   ノ ^'!__  ,ノ! ト、l フ、' l___  ,ヽ        ああ!?
   ミ  ,::::::::' l/ | |、  `---' -、_,r' ̄_ ! ヽ-、 ,〉'"l    ヽ
      \::::ィ   l、゙  ,____,_ , -r--ァ /.lミゝ|l, ,└ '"  l、゙ヽ
       ヽリ _rll  f_  `'' '-ー'' ^´ / l、l  l | 、_、 r   ' .|
           ハヽヾ- 、    ̄   l'リ::::::ヽ  〉、_ r |    ノ
            "\' l、 `ヽ____、 /:::::::::::::::-' '::::::::::::`- -'

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
声をかけると、少年たちのリーダー格と思しき男が真っ先に立ちあがった。
誰か、ときたか。きっとこの単語すら、この少年たちは知らないだろう。
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120 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:08:40 ID:MSskQ0760

            ____
          / ::::::::::::::::\
        /  :::::::::::::::::::::::\
       /   ::::::::::::::::::::::::::::::\
       |    (〇)::::(〇):::::::::::|         デビルサマナーだ。覚えておけ。
       \  (トェェェェェェェェイ)::/
       /   ..:::::::::::::::::::::::::ヽ
.      / /|  ..::::::::::::::::::::::i::::::i
____/ /__| ..:::::::::::::::::::::/|::::::|
___,廴j__ヽ   r::::::::/ ハ::::,)     ‐┐  _
         ヽ  |/           ‐┴   ―┐  . . .
          >__ノ;:::......

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
COMPを抜き、キーボードを叩く。
召喚するのは自分が持つ中でも最大の火力と耐久力を持つ悪魔だ。
多人数を相手にする上ではこれ以上頼もしい存在はいない。

緑の光が舞い上がり、その悪魔の足を、爪を、牙を形作っていく。
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121 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:08:50 ID:MSskQ0760

    ヾ.ー'\、
      \   \                                  ,
    >ー マ    ヘ                              , -´ 'ー─--──ァ
    `ヽ/l  ヾ   ヘ                           , - ´        /´
    Σl: :l   ヽ   ヽ            、             /         /
     くl: : l    ,   ヘ           / 〉          /    :::::::::::::::/
     l : : l.  / |     ヘ          / /        /l/   ..::::::::::::;;;;;/_,
      l: : : l,-┴┴=ニ二ー-、  , - ‐'  ./         /∨  ..:::::/'ー‐´       ̄` ー─ -、
      l, r´ : : : : : l: : : : :_|_: : :l´l  l , - ´         /    ..::, -´ ,、    ,,-'''-、          ̄>
     l: : : : : : : : : :l: : lニo::): : ゝ-‐、' /, -=‐- 、 / , - ‐´  ノ 〉     ̄`"    _,,,,,, -´
.      l: : : : : : : : : :l: : : : :|: : : : : : _ノ´_ ニ  <ニ_/, <     ` ̄  _ , ─、´  ̄ ̄
     l: : :rニ二二ニ∨二ヽ,/、`ヾー= ̄`ー、, <     _,,,-─一 ´、_
      ヽ/`, , , , ,:::::::::::::::::::::l   ヾ、  二‐ /  ̄`',  /::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ̄二ー - 、
            ヽ/::::::::〉´   /  `ー、〈´l     l/:::::::`ヽ=ニ二>    、ー、     `ー、
         ム/l,ヘ_ノヽィ _ , -´  ,ィ´/ .l     l l`ー、l`ー─--=、       , -─ ´
         ヽ二_  , -´ 〉ニニニ-‐´   ヽ    / .l           ̄ ̄ ̄ ̄
             ̄ "l ヾ: : : : : : : ',: : : _,ィl    lゝ、    ___
             , - ´ :::lー----─'ヘ,ィ /`ー一'ヘ 、  ̄ ̄     ヽ
             _/   , - '´l`ー----‐─一': : : : Ξ: :l ヽ          l
      , r‐ニ ̄ ,r ´ヽ、|  ',:_:_:_:_:_:_:_:_:_:/: : : : : : : : :l::::::ヽ  /l     /
    ,r´ /ヽ_   /ヽ、    .::', : : : : : : : /: : : : : : : : :/:::/::::\ l    /
    l _l ∨:::::::/`ー-`   .:::::ヽ: : : : : ∧: ,、: : : : : :/::/-, / ヘ ̄ ̄
    l/  /`> l      .:::::::::,r´ヽ、:/ : 〉 : ∨ヽ: / ∠ -'  ノ l
       l/  マ      ..::-く   / : /: : : /: : :/     ≡  l
           ゝ、    .:::::::ヘ  / : /: : : /: : :/ヽ        /
       , -=l ̄    ..:::::::::::l / : /: : : /: : :/  ゝ─ --─´ヽ
     r´_,r´ ̄ヘ   ___/ l:/l: : :/ |: :/   ノヽ ,-、::::::,r ヽ
      ̄  ̄ ̄ ̄ ̄         l : l ∨   /  l´ ::::l:::l ::::l
                      \l      ´ ̄ ヽ、/  ヽ/
【邪龍ファフニール Lv56】
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「我を呼んだか、人間」

そうして現れたのは、巨大な竜だった。
ただの竜ではない。黄色の腕や腹、頭部に鉄を纏った翼竜だ。
身の丈は大人三人分以上はくだらない。
四肢は丸太のように太く長く、尻尾は大蛇のように荒れ狂っていた。

ファフニールは大げさに咆哮するでもなく、ただ静かに獲物を見据えた。
竜の眼光に射竦められ、少年たちが小さな悲鳴を漏らす。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

122 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:09:05 ID:MSskQ0760

  iヽ
  i)::ヽ
  i)::ヽ
   r⌒ヽ、    / ̄ ̄ ̄ ̄\
   \  \ /         \
    ヽ   /   ( ● )三( ●)ヽ
     ヽ |   (トェェェェェェェェェェェイ)
      ヽ,\   \ェェェェェェ/ /
        )           ,-'
       /          i、 \
      ヽ   ⌒ヽ   / ヽ  ヽ
      /      ) ノ   \_ノ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「ん、んだよ、てめえも悪魔使えるってのかよ、上等だくそったれ!」

啖呵を切った少年が、がさがさとリュックサックを漁り、一つのノートパソコンを
取り出した。どうやら、あの中に悪魔召喚プログラムがインストールされている
らしい。

つまり、まずはあれを破壊するところからだ。

喜留夫は拳銃を抜き、少年の手元に狙いを定めて撃った。
弾丸は少年の腕辺りを射抜き、血肉をその場に撒き散らした。
悲鳴が廃工場に響き渡り、ノートパソコンが地面へと叩き付けられる。

「この野郎っ」

残った四人がほぼ同時に飛びかかってくる。
それらを掻い潜るようにして躱し、すれ違いざまに手を斬りつける。
仲間の手傷に激昂した少年たちは勢いを増すが、喜留夫にとっては
御しやすくなっただけだった。

掴みかかってきた腕を掴み返して投げ飛ばし、殴りかかってきた腕を避けて
掴み、突き刺す。

気づいたころには、五人は揃って床に伏せていた。
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123 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:09:36 ID:MSskQ0760

       、                      _       _
        iヽ                 ,.ィ:::/  ,.r::´:::ィ    __
      i::ヘ: :.\                  /:::/,.r、_i::::::,ィ´  __r::´:::,:r'´
      ゞ::ヘ!::::::ヾ、!、  r.、   ,、   /::::://::::::::::/ ,..r::´:::::,.r ´
       ソ::::::_:.:.:.:.|.ヘ  .! ヘ  / ! .,r/::::::::./::::::::::::イ /:::::::r=イ
  ヾー=、  ヾ:.:ヘ`ヾリ ヘ .|  i,./ |/ .|::::::::::::;:::::::::イ::::i´,rッ:::::::ゝ     __
   .`ー、::ヽ=、ヾ:ヘ ヾ、 ヘ|  i ./ /  /:!/::::::/:::::/_ノ:::/  ,,..r:::::'´::::::,::r=イ
  .ヾ;,、 .ゝ;::rヾ ̄`ヾ_i._._i  /,イ,ィ.,/_,イ:/::ゝイ:::,:::::::::::::く,..r:::r´ニソ:::::r=イ
    !ヘ`ー`ニ》,イ /     `r==iッ'´i_i_,:ィ,イ=、:::::::::;:::'´:::::::_;_;_;_;_r=イ
    ヾヽーッ::// ̄/    .ヘ_ _,.ィ´_< i. : . : トく:::::::_:_:_,:r´
     ヘ:.\. i´! / ̄`ヽ rッ'∨ヽ、`≧ソ!ゝ=イ! .(`Y  .,r=.、イ
    _ヾ: : ゞ、yイ.   ,沙リ乍! ',ヘリ , |   ヘ ヘ__i,ィッ、/
    ´.ヾ_∧: : : :l` ヽ、 iイソ__|ii  iヾ´ ,ィ====||ゝ=イ/ィi
      /_イ\:/: ./ヾく_/ソ∨!_/ r /二二二||ノ_|::::i三i
           .トイ  .,ィ´.,ツ /!:::r',,ィ.|_|:::::::::::::::!i: : :`ヾ、:ヘ、
.         ,〈 ̄`ー==乍、ツ /:::::::/:::::::::|_;_;_;_;_;_|:::::: ::::::::;ヘ_>、
      /イゝ=イ  ,r`ー ´>=/:ri::: : : : ∧: : :.:.:.: :|ヘ:: :::ヘ二ヘ
          〉,ゝ=イ  ,ィ´ ヘ.|/: : :|::: : : /:i:ヘ: : ::.:.: :!: ヘ:: :::! : _ヘ
        ´    ,ィノ _ _/: : : :|::: :../:::i:..:ヘ: ::::. :.|:: : ヘノ Y .ヘ
               |    /: : : :.:.|:.:. :.|:::::!: : ヘ: ::: ::!:: : :.ヘ   ./\
              >=-/: : : :.:.:.:|、_;_:|::: !: : : :ヘ,r.〈; : : : :ヘ= イ_ ./`ヽ、
         ,.r'´ヽr='./: : : :.:.:.:/__/`|::::.|: : : :/  \: : : :ヘ / `ヽ_ ヽ
        `∠_,.r' ヽ.i: : : :::.: /     !:::::i: : : |    ヾ; : : トイ、::、 ヘ . ̄
           ´ー´ | :.:.:.:. /     i:::::!: : :.|      ヾ: .リ  `ゝイ
                 | : :./     ヘ:::i : : :!       ヾ
                 |/        ヘ:: : : i
                        \;/

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すると、一番奥で倒れ込んでいる少年の周囲でMAGの光が巻き起こった。
どうやら、ノートパソコンが生きていたらしい。

少年の周囲に次々と低級悪魔が召喚される。
幽鬼ガキ、外道ブロブ、悪霊クイックシルバーといった面子がぞろりと並ぶ。
まさに魑魅魍魎といったところだが、この程度の悪魔はファフニールにとっては
塵芥にも等しい。

ファフニールはその巨大な鋼鉄の腕を振りかぶると、
悪魔たちがいた地面へと叩き付けた。
轟音と共に地面が揺れ、悪魔たちは悲鳴を上げる間もなく霧散する。
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124 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:09:51 ID:MSskQ0760

                     ___
.                 ,   ´     `丶
                 /          丶
                /      _... - ._ヽ
                ,' , -‐_ ̄/{ ゝ丶丶 ヽ
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          ,-,.ーー>   ,∠_ ┸-、 r‐゚―ヽー<,-、        ひっ……
         >  m  / /i  ',_   ノ~~ゝ.__ ∠`y´
        7    r´ヾ 7 l i    ̄ `ー´   lヽ`〉
        〉     `ー、〉  l  `=王王ソ /
        ミ        ヾ ヾ`ー、     /
         `ー、、.,,      ヾヽ  `ー― ,,´
         /   ''''ーーー----ヽ     iヽ
        /   / ̄ ゙̄ ー-、  丶   i i
        ヽ /         丶  ヾ=i/
         〉             丶 ヽ
         i





       ____
     /      \
   /         \    よお、おめえら。どうも随分と楽しんでたみてえだな。
  /   (●) (●)  \
  |   (トェェェェェェェェイ)   |  気持ちよかったかよ? 気持ちよかったついでによ。
  \  \ェェェェェ/   /

125 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:10:06 ID:MSskQ0760

         ____
        /     \
      /         \
    /  (●) (●)  \      お前らも同じ目に遭っていけ。
    |   (ト----イ)   |
    \  \___/  /

   パ   カ ー ー - ン

126 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:10:19 ID:MSskQ0760

   ┌──────────────────────────────── ── ─
   └────────────────────────── ── ─
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     ___ノ /  /  __, ̄|   ___ノ /       ___ノ /  /  __, ̄|   ___ノ /
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     \\           ____
    / / \\.         /     \        .\、ノし/
    / /' / r⌒ヽ、     /         \      | .Σ:. て         えろいむえっさいむえろいむえっさいむ!
     ,// / L  <  /     (●) (●)\  \、_ノし /^Y\
    /'      ヽ  \|    (トェェェェェェェェイ) |   `)(´      A         あぐらえいめん!あぐらえいめん!
           ヽ  \    \ェェェェェ/ /  .//^´ _ノて. ̄\__
            ヽ                      <Y^\..======>
                                         ̄\__/ ̄
                                      ||
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127 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:10:35 ID:MSskQ0760

            ニ==―- -- _
          〃         //
           {(           .//
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                    __ヾ X! .i/ /,,=‐,    ヾ
               'ー//   ,=‐''´     ) }
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               /≠--- -―=ニ-- ‐ ― ´
                 `'   i     !   ___
                    !    ..!/´    `ヽ
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                      }    .{トェェェェェェェェイ) ヽ          ギャルのパンティおくれーーーーっ!
                      i     !\ェェェェェ/   |
                      {    .ヾ        /
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128 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:10:49 ID:MSskQ0760

    /  / l | i
  l /   イ /|
   l  ヽ> > l
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   l \ \ ヽ |
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      | \ \ヽ |
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     !  || ヽ \ |
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  \ 、`(;´⌒;'从; /
   \,. ノ、!i;(;゙⌒);/´⌒)//
   \(⌒;;从⌒)   ;:、), )//
    ;.i,.,/ 'y';`ヾ/ 从)人/





            _  -───-   _
            ,  '´           `ヽ
          /                 \       ウ
        /                    ヽ      ホ
      / __, ィ_,-ァ__,, ,,、  , 、,,__ -ァ-=彡ヘ  ヽ     ッ
       ' 「      ´ {ハi′          }  l     !
      |  |                    |  |     い
       |  !                        |  |      い
      | │                   〈   !    男
      | |/ノ二__‐──ァ   ヽニニ二二二ヾ } ,'⌒ヽ    ・
     /⌒!|  =彳o。ト ̄ヽ     '´ !o_シ`ヾ | i/ ヽ !   ・
     ! ハ!|  ー─ '  i  !    `'   '' "   ||ヽ l |   ・
    | | /ヽ!        |            |ヽ i !
    ヽ {  |           !           |ノ  /
     ヽ  |        _   ,、            ! , ′
      \ !         '-゙ ‐ ゙        レ'
        `!                    /
        ヽ     ゙  ̄   ̄ `     / |
            |\      ー ─‐       , ′ !
           |  \             /   |
      _ -‐┤ ゙、 \           /  ! l  |`ーr─-  _
 _ -‐ '"   / |  ゙、   ヽ ____  '´   '│  !  |     ゙''‐- 、,_

129 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:11:04 ID:MSskQ0760

             ,  -―― 、
          /         \
          /             ヽ
         /               ヽ
        /   ,  --‐__二 ̄二二ニヽ、.l
        l ,r' , -l 7^/ /'!ll ̄\、 、 ミヽ、〉 _
        .|/' / /, ',r'/- 、ゝl, , ,r'''_ ヽ>--'" _ ` r,、 _
  ノ、rv'ー' ''/_ / / f'l____=・= '、,. r-’''^^゙l>-、'"`= <'_ ヽ        ひっ、いやだ、死にたくない、死にたくな…………
       ,フ 彡イ.,l'"''l、   ノ ^'!__  ,ノ! ト、l フ、' l___  ,ヽ
   ミ  ,::::::::' l/ | |、  `---' -、_,r' ̄_ ! ヽ-、 ,〉'"l    ヽ
      \::::ィ   l、゙u, ,____,_ , -r--ァ /.lミゝ|l, ,└ '"  l、゙ヽ
       ヽリ _rll  f_  `'' '-ー'' ^´ / l、l  l | 、_、 r   ' .|
           ハヽヾ- 、    ̄   l'リ::::::ヽ  〉、_ r |    ノ
            "\' l、 `ヽ____、 /:::::::::::::::-' '::::::::::::`- -'





               _,,-i、
              _,,―''"`  ゙l,                        __
        _,,-‐'″      ゙l、                         /| `゙'''ー-〟
    ,,,,-‐"`         _   |、                     ,i´l゙     .l゙
 .,,-''"`       _,/"|   ,li、                       丿 .l゙     ,l゙
..〔       _,,,-'"゛  .|   ,"|、                     ,/  │    │
 `ヽ   .,,-'"` ,,,-, ,l゙   │ ゙l、                 ,/   ,|    ,i´
   ヽ ,/  ./′ ゙ッ′  丿  .゙l                 ,/   ,l゜   │
    ゙'ヽ、   ヽ      .,/_,,,,,,,,-←i、  ,,-‐i、         丿    l゙    ,l゙
     `'-,、  ゙i、   .,,/` ゙l  |  .゙l  ゙l  ゙l .,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,ィニ,,,,,,,、 .|   ./
       `'-、 ゙l   ゙レ、 ゙l  .゙l  .゙l  |  .| .l゙゙l             |  .|   │
         `''-|    | \ │ .゙l  ゙l .|  .l .| ,←―――――-r",,-“',,,Z″
          /    |  `'i、l,--←'''''゙l /  .l│l゙        ,,-ンシ广゛ l゙
         丿    .|   ゙'ミヽ.__,,,,-'"  .,iト|│      ,,/ンシ'゛ .l゙   .|
           ,i´    /     `!|、    ,l゙l゙|.l゙     ,,r'/シ'".,,/゙~゙゙二''"
         `'ヽ,、 .,/       ゙゙l,_,,,,-''"` ||,l゙    .,,/゙lソ'゙,,-'"_,,,-‐'″
           `'ヘ-,,,、      `'i、   ,lリ   .,,,ji!'彡‐,ン‐'"
               `゙''ー-_   `ヽ  .l|" ,,,il|リニン''″
                   `゙'''ー-,,,,\ ,リ,,,終゙‐'

130 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:11:21 ID:MSskQ0760

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘


                               ┌┐
                               └┘


                                   □

                               ・

131 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:11:39 ID:MSskQ0760

                  __「 ̄  ̄`< ̄\
              | r冖      \  ヽ
              |/   }      ̄ ̄( )\
                     /         -─‐- \
                 /     /   ∩ ∩ヾ}
                   /      /    ∪ ∪           一つ思ったんだけど、なんでそこまでしてくれるんだホ?
                 Y     /  ─‐v─‐v‐ァ|i
                    |     i   \     / 八         君は人間なんだホー? いや、悪魔っぽい顔はしてるホね。
              _八_O__人     ー─ '∠ ノ
                  ーァ=/  / ̄`ヽ─=≦ / ̄`ヽ       「うるせえ」
            ___/__ムイ    ヽ ∨ \/しヘ  l  !____
                 ーヘ__ 人_ノ ̄ ̄ ̄ ー' ー'

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
調査のいきさつを話すと、ジャックフロストは満足げに頷いてくれた。
これで依頼完遂、ということになる。

無事完了ということで、報酬であるまんだらメロンのネットへの出品手続きを
メイヴに頼んでいる間、ジャックフロストにこんな質問をされていた。

「なぜ悪魔のためにそこまでするのか、お前は人間なのに」

といった内容の質問だった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

132 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:12:22 ID:MSskQ0760

         ____
       /       \
      /         ヽ         人間も悪魔もねえよ。
    /     ( ー)  (ー)'
    |     (トェェェェェェェx ,--、       ムカつく奴はぶん殴る。助けたい奴は助ける。
    \    \ェェェ<  ヾ zヽ
____/          \/| |       そこは俺の自由だ、そうだろ?
| |  /  /            __ノ
| |  /  /          |
| | (    ̄ ̄ ̄⌒ヽ.   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|

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「なんだかとってもカオスな答えなんだホー。もしかして、悪魔が好きなのかホ?」

コーヒーを吹きだしそうになり、慌てて口を押える。

「馬鹿野郎、どうしてそうなる。メイヴとはそんなんじゃねえからな」

「ヒホー」

とにかく、これで依頼達成だ。この調子で依頼をこなしていけば、
今月の財布事情も少しは楽になるだろう。

喜留夫はメイヴが淹れてくれたコーヒーを飲みながら、
ジャックフロストが満足して帰るまで相手をした。

尚、この後でパイモンがまんだらメロンをつまみ食いしていたことが発覚し、
結局もう一つまんだらメロンを貰い受けるのはまた別の話である。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

133 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/26(木) 02:13:33 ID:MSskQ0760

        -   =  -
     / /  , -    __ ヽ
   _./ ∠  /        `ヽヽィx
  /ニミx/ニ} / _ -i     | 、', ∨i
  {ニニニリ /ィ  ノi   l  iヽ ヽ', ∨ /
   {ニァマニ} i,zzzzzz.l  ,' ノzzx_i_l ∨/
   .}¨/___¨ i i:.:.i:.:l i_.ノi_ イ:.:i:.:l  | .|__ヽ
   ; } _ i , ;. ゞ:_ノ    ゞ:_ノ  l .l
 _ノ / _ヽ i ',⊃   ___`  ⊂⊃i !`ヽ
.ゝー{  ゝ 八 ',   \/    ノ.ノ'._ノ
    ¨ヽ  ヽ_ヽ≧x。____。xィ-イ/ノ
    ノ:ヽ..._  ¨´ `¨¨ iー::T´
   /:::::::::::::/        l:::::::::ヽ
 /:::::::::::::::::i     ,  .l:::::::::::::::>-
´ ̄`ヽ::::::::::┝=..、_     ノ::::_:::∠ --───ァ
     ` ̄ .ゝ、 `゙゚ァ=- ¨¨_ --  ¨¨_ - ´
    _ ,。_ム `{_ノ¨⊃¨  _  -  ´
彡彳 { (ニニゝ   {´_ - ¨
彡彳 `´    \__{
彡´
    .T 田 小 牛 _l_ヽ¨.ナ ヽ .l  ヽ
    土 .土 i 土 / )   d-  し  }
〜また次回〜

134名無し-Red-市民-2:2017/10/26(木) 06:05:18 ID:zbvowN120

葛葉いなくなってんのか、敵でも味方でもないけどいないと世界が危ないんだよな

135名無し-Red-市民-2:2017/10/26(木) 07:52:20 ID:wKQrTVqc0
乙でした。

136名無し-Red-市民-2:2017/10/26(木) 22:13:20 ID:MgN9dDBo0


137名無し-Red-市民-2:2017/10/27(金) 15:04:43 ID:rbMsGvXs0
乙、異形の知識神が理性がない訳あるかwww

138 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/27(金) 22:28:04 ID:v4P4iwFU0
うーん、来月からまたちょっと忙しくなりそう。

休みが取れ次第ちょこちょこ書いてくから、時々覗いてみてね。

139名無し-Red-市民-2:2017/10/28(土) 19:59:48 ID:bdcSAcnM0

了解、楽しみに待ってます

140 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/29(日) 16:36:37 ID:72.mVvY60
そうそう、再度確認なのだけれど、投下の時はもう少しゆっくりやった方がいいかな?

あと、予告っている? できあがったら即投下か、予告してから投下か、どっちがいいかな。

意見プリーズ。

141名無し-Red-市民-2:2017/10/29(日) 17:42:26 ID:gmy5BYXk0
合いの手欲しいなら予告して投下した方が良いんじゃないですかね?

142名無し-Red-市民-2:2017/10/29(日) 17:56:28 ID:oZoFSzY60
予告ほしいかなー
一応マメにチェックはしてるけどリアルタイム遭遇はちと難しい

でもどっちでもいいホよ

143 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/29(日) 21:32:47 ID:72.mVvY60
おっけい、んじゃ次から予告するよん。

144名無し-Red-市民-2:2017/10/31(火) 15:24:52 ID:ZJhkY5cA0
皮肉な事に葛葉が雲隠れしたせいでダークサマナーも真面目に働かないと世の中回らなくなってしまった世界かここはwww
誰に雇われてるのかなここのキル夫は。今の様子だとほぼ自由業主だが

145 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/31(火) 19:06:26 ID:kXZeHdH60
次は11/2の午後九時から投下開始ね。

146名無し-Red-市民-2:2017/11/01(水) 12:29:34 ID:cZHG3usY0
わぁい

147 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:01:06 ID:jCa64sVY0

    /||ミ
   / ::::||
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 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||  、 - ‐‐ -,
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 |:::::::::::::::|゙i : : : :○ ○゙i
 |:::::::::::::::|}: : : : : : : _ _ _l       ハロー。
 |:::::::::::::::||: : : :-=´_ _,´
 |:::::::::::::::||___ : : :丿        はじめるよーん。
 |::::::::::::::(_____ノ´||
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   \ ::::||
    \||

148 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:03:29 ID:jCa64sVY0

┌───────────────┐
│                     ...│
│   第三話『壊れた機械の歌』    │
│                     ...│
└───────────────┘

149名無し-Red-市民-2:2017/11/02(木) 21:03:42 ID:1ZnDBS360
hello

150 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:03:44 ID:jCa64sVY0

     /:::::::::::::::::::::::::::::::::: :::l::ll::::::::::::::l|!::::::::::::::::::!|::::::::::::::::::::::ヽ
.     !:: :::::::::::::::::::::::::::::::::::|:|::l|:::::::::::::ll|::::::::::::::::::|||:::::::::::::::::::::::::l
     |:: ::::::::::::::::: :::::::::::::::::|:|!:ll:::::::::::::||l: :::::::::::::::l||::::::|::::::::::::::::::.!
     |:: ::::::::: ::_l||::::::::::::::::::|ll.l||::_:::_| ll :::::::::::::||.!:::::|l:::::!::::::::::::|
     |: ::::::::: /、ll|::::::::::::::::::|>|ァ-、、''ミ  ̄ ̄ ̄〃ニ‐く∠!::::::::::::|
     |:::::::::::::! /l!|: :::::::::::::::||/;|、::、 !\'    ''ィ'L'i:.! ∨::: :.!::::::|
     !::::::::::::::!.l.|!|:::::::::::::::::|ヽ:l-‐',ノ  '     .!-'丿 /:::.!:::l:::::f|        お元気?
     |:: :::::::: :ヽ.!||: :::::::::: ::|l| l`.´         ´  .!:: :|::l||::::ll|
     |:: :::::::::::: ::||:!: ::::::::: ::||| │        !    /:::::l!:.!||:::|l|        「たった今元気じゃなくなった」
    ,l:: ::::::::::::::::::::::::::::::_::_l:!|| │     ´     /.::::::.!|:|.!|:::|l!
    l|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!ト、 |    ─‐‐   /.:::::::::i| ̄  ̄         あら、それはよかったわ。
     l|::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::||  丶、      / :::::::::::::::||
    !|:: :::::::::: :::/|::::::::::::::::::|.| 、  .` ー┬ '´::::::::::::::::::::::::l|            「何がだ……」
   l:!::::::::::::::::/ :l|::::::::::::::::::l |、 丶、  /丶、:::::::::::::::::::::::|.!
   l:!|::::::::::/::::: !|:::::::::::::::::.! !、ヽ  \ l i  !ヽ:::::: :::::: ::::ll|
  !:|:!:::/'"`ノ ー!|: ::::::::::::::::|:.!:::ヽ丶、 ヽ!   ! |:、!::::: :ヽ:::|.||
  !::!'´ノ>∠: :: :||!::::::::::::::::::.!:|:::::::\ヽ .!   | .!:(ヽ:::: ::ヽ|、!|
/:: ̄ソ '´   \::|:l|::::::: ::::::: :|:.!:::::::::::ヽ ヽl   | !::::ヽ:::::::::ヽ:\
【人間 閻魔哀 Lv68】
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
平日の朝、サラリーマンたちが忙しなく出勤する中、喜留夫は
事務所を訪ねてきた女を追い返そうとして、失敗していたところだった。

この女は閻魔哀という。艶のある長い黒髪と黒い着物の組み合わせは
日本人形のようにも見える。目は猫のように大きく、鼻筋も通っている。
有体に言えば美人なのだが、どうも喜留夫はこの女をそういう目で見れない。

一応、十年の付き合いになるだろうか。
高校で一緒になってからというもの、この女とは腐れ縁が続いている。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

151 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:04:43 ID:jCa64sVY0

  |:::::::::::::::::::::':, L::::l \l:」  |::::::::::::::| |:::| |::i::::::::::::l!::::::| l::| |:::::::|::::::::::::::::::
  |:::::::::::::::::::::: vz ェ 、 ヽ  L::::::::::: l L:j ‐!::l::::::::::::l:::::::H:::| |:::::::|::::::::::::::::::
  |::::::::::::::::::::::: iVテ圷ミ 、           └L::::::::⊥:: 」 l:」 |:::::::|:::::::::::::::::
  |:::::::::::::::::::::::小{ r,,,. ハ                        └ :┤:::::::::::::::
  |:::::::::::::::::::::::::|. ', ー' 小          .ィ弌テ云三气ミ、  |::::::::l:::::::::
  | :::::::::::::::::::::: | マ辷 .ン, '        / { ! r,,,,,   `.V ㍉イ:::::::::|:::::::::
  |::::::::::::l::::::::::: |              ' 、 V、  ー'′  / , イ:::::::::/:::::::::       これで三度目になるけど、どう?
  |::::::::::::|:::: l::::::|                  `<辷z 少 '  /::::::::/:::::::::::
  |::::l:::l:::l:::斗::::ヘ     ,:                      /:::::::/:::::::::/::        気は変わった?
  l:斗┴'´ |:::::: ヘ.     〈                   /:::::::/:::::::::/:::::
        |:::::::l::::ヽ.                     /:::::::ム - 7:::::::        「どこかに所属できるような柄じゃねえんだ」
       /:::::: ト、:::::\     、__               ̄  //:::::/:
       /::::/l::| ヽ::::::\.  ` ー ‐- ,               /  |:::::/:::        あなたなら上手くやれると思うけれど。
        /::::/ .l::|\_,>::::::: ヽ     ̄           .. イ    .|:::/:::::
.      /::::/ .|::|::::::::::::::::::::::::\          ..  <       .|:/:::::::        結構上の方までいけるんじゃないかしら?

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そして、この女もサマナーなのだ。
しかも厄介なのが、それもファントムソサエティ最高位のサマナーだということである。
ファントムソサエティというのは、平たく言えばサマナーを束ねる組織だ。
それも葛葉と同等の歴史を持っている。違いと言えば、性質が真逆なところだ。

葛葉は人間の世界を守ることとした組織であり、時として世界の危機を悪魔から
救ってきたとされる。ファントムソサエティは別だ。彼らは何か別の目的で動いて
おり、そのためならば人命など塵芥同様に扱う。

この女は、そんな組織で最強のサマナーの一人だった。
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152名無し-Red-市民-2:2017/11/02(木) 21:06:38 ID:.2WaEH9s0
笑うと瓜二つなんだろ?

153 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:07:23 ID:jCa64sVY0

       ____
     /     \
   /         \      悪いな。俺は今の身分がちょうどいいんだ。
  /     (ー) (ー)\
  |  u. (トェェェェェェェェイ) |    「……そう」
  \    \ェェェェェ//

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どうも閻魔哀は、自分と同級生だった間柄か、組織への勧誘を任されている
ようだった。こうして訪ねてくるのは三回目になる。

正直、勘弁してほしいところである。無理やり連れていかれれば敵わない、
というのもあるが、この女の相手は苦手なのだ。表情には人間味がないし、
話していても常に刃を向けられているかのような緊張感を感じる。

それに、ファントムへ入るということは、組織に忠誠を誓うということである。
それはつまり、裏切り者には死を、と同義なのだ。
実際、抜けようとして家族を殺された上で抹殺された者なども大勢いるらしい。

喜留夫はそんな組織に入るのはごめんだった。
いくら今より安定した稼ぎと地位が手に入るとしても、命だけは捨てたくない。
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154名無し-Red-市民-2:2017/11/02(木) 21:08:36 ID:PVtSfbj20
メチャクチャ強いゾ

155 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:08:58 ID:jCa64sVY0

         /.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
.          /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
          ′:::::::: ,'l::::::::::i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
.       '.::::::::::::i:| |:::i::::::|:::::::|:::i:|:::::::::::::::::::::::::::::::|
        i:::::::::::::|l」 |:::l::::::|:::::::|:::|:|:::::::::i:::::::::::::::::::::l ,
        l:::::::::::::l_ミ、└_└‐-L:l」:::::::::|::::::::::::::::::::; !       それじゃあ、もう一つの題目に映るわね。
        |:::::::::::::|i沁,   豺ゃァェャ:::::::::| 、:::::::::::::::: ;
.         `ヽ;:::::」`¨′  ゞ孑'' /::::::::l i:::::::::::::::i ¦       「まだあるのか」
.         /::::::::.   ,.       '7:::::: ' .:::::::::::::::: | ト、
.         ;:::::::::.丶. ー-     /:::::::,゙´:::::::::::::::::::l ! ヽ      ええ。今回は依頼の話よ。
.         i::::::::::::i:::〕:.`_ .... <:::::::/|::::::::::::::::::::::::. ノ   ;
.        l::::::::::::Ⅳ ::::::::::::∨::::::/_,'::::::::::::::::::::::::::.   /
          |::::::::::::|∨::::::::::://´ ̄:::::::::::::::::::::::::::::::.  ′
         |::::::::::::|. V:_。<    .::::::::::::::::::::::::::::::::::.!
        |::::::::::::| 〃 ̄`    i::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
.          |:::::::::::,´  ̄   ヽ,   |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.

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閻魔哀は懐から一枚の写真を取り出した。

「裏切り者の始末。この男の死体を上げてちょうだい」

なんとも無慈悲な声で、当たり前のことのように、殺しの依頼をしてきた。
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156 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:09:17 ID:jCa64sVY0

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                               ・

157名無し-Red-市民-2:2017/11/02(木) 21:09:35 ID:PVtSfbj20
外のに殺らせるとは、何があったんだ?

158 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:09:39 ID:jCa64sVY0

〜TIPS〜


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                /////////|////| |///|///ィ///7_7/>/////|///l
                  //////////|/z//─////// ̄/づt;;;::〉ム/////|///l
              ///////////|≦云ヘ、 ̄ ̄   ヘごz斗///////!///!
                ///////////ぐ、);;;;;ソ ´       ///////// |///l
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             〈∧////////∧        ‐ ´     ̄ ├7///|///|
             ///////////∧        _,.. _      ///l///|///|
              / 〈//////|///l//\     ´°     イ///|///|///|
               ̄ ̄/777777///> 、        / |///|///|//ハ|
                //////////////∧ `   -‐ ´   l|///|///|//l/|
                  ////////////////∧           |//////l|//|∧
                /////////// ̄∨ ヽ        |/////////l//|
                /////////    \zz\      //////∧//|//||
.             ////∠∠<        \z     ///////  \|//||
          ////∠∠ ̄ ̄\         \   ///////     ̄ ̄ ̄l|`ヽ
          /////三ニ\     \          \////|__        /  |l
 ________//////|三三三ニ\     \      //// ̄ ̄ ̄〉     /   /|
 ___///////|三三三三ニ\     \   ////三三三三l|    /   /ニ|
【名前】
閻魔哀
【種族】
人間
【レベル】
68
【属性】
Neutral-Chaos
【相性】
神経・精神・破魔・呪殺無効
【能力】
力-D 魔-B 体-E 速-C 運-E
【スキル】
召し寄せ 隠し身 デスタッチ マリンカリン マハムドオン マハラギオン マカジャマオン
【装備】
『無銘の妖刀』
透き通るような銀色をした美しい脇差。由来不明の古い逸品。
触れる物体を全て両断するが、持ち主自身にも被害が及ぶことがある。

『封魔管』
悪魔を封じ込めるための金属製の細い管。
赤黒い字で呪文が書かれている。
内部は哀自身の生体マグネタイトで満たされている。

【備考】
二十六歳独身。使役している仲魔は堕天使フラロウス、外道シャドウ、魔王ヘカーテ。

159 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:10:35 ID:jCa64sVY0

        r-、  ., 七'´ ̄ `` ミ=__,,/^ヘ
       /ツキ/´        ((⌒(刻> ヽ
      |  Σン三ノ         -フノヽ  |l
      |  /ーっ     |  |     -"ヘ  入
     /|   l   | | || |  | | ||  |    | ヽ
     / | |  | |  |  | r> |  | ||  ||  |  ノ | `、
    / | || | |  |=、ソノ| | ソー十斗ノ / /  ヘ      ……で、どうして受けたの、そんな依頼。
   /  i ||  | | ン<楼ミヽハノi =ニニ=,ノ /  | ヽ ヽ
   |    |  ヾ>、<トソノ   弋ツノ/ /      |  |     相手は腕利きのファントムの殺し屋なんでしょう?
   |    ノ  ヽ ((ヘ ::::::  .   ゚゛゚ |i /      |  |
   |   /   | ノ ト   rっ   /ik   |    | i |    「仕方ねえだろ。逆らったら俺が殺される」
   ヽ  // -、ノ_>´ ̄i_- -- ´`しへソ   l|   |  |
    | | |  | ヽi  `) / ´= `ン <_/ | \  |  /
   / i li / | ゛´<=>彡ニ`ヽ_ ⌒_ノil  ヽ \ l /
   / il l >´   ´`) l <‐ー  ヽ r- ´   \ li ハ
  / il y  /   /`  ´´`ヽ   ヽ    )  ヘ  \

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実際、ここで依頼を蹴るのは簡単だが、そうした場合はファントムソサエティから
どんな制裁が加えられるか分かったものではない。
これはファントムソサエティからの試金石のようなものなのだ。
喜留夫がファントムソサエティにとって有益なサマナーなのか、従順なサマナー
なのかどうか。

とにもかくにも、依頼をこなさなければ、明日は我が身というわけだ。

「衛宮切嗣。ファントムでも高位のサマナー。銃火器や爆薬などの扱いに長け、
これまでに様々な戦果を挙げてきた実績の持ち主。これまで殺害したサマナーは
三十人以上にのぼる。現在は任務を途中放棄し、逃亡。三津井市のどこかに
潜伏中と思われる……だ、そうよ」

メイヴが淡々と渡された資料を読み上げる。
サマナー殺しは初めてではない。これまでに何度かサマナー同士の戦いは
経験したが、これほどまでに腕の立つ相手は久しぶりだった。
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160名無し-Red-市民-2:2017/11/02(木) 21:10:45 ID:PVtSfbj20
キル夫さんより12もレベルが高いんですが…

161 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:13:44 ID:jCa64sVY0

                     、、 ノ)ノj______
                 `ヾ三≧ゞムム彡三≦、、
               __..,,、<≧ミヾ彡ミ彡ミ彡ミ彡イ
                >彡彡彡ミミミミミミミミミミミイソ
              ∠彡彳爪爪从从ミ彡ミ彡ミ彡′
              _,ノハ从ノ爪!ヘ川i|i|i|i|トミミミミミえ
               ノノ爪从ハ Ⅵリ川i|/^ヾノノノノ)、、
                 ``<≦ノ从メくア リノハ ,ノノ巛巛《く
                ∠≦ルハヾ      ノ从巛《ヾ、
                    `" ノ__  __   .:′ノハⅣハ!
                          `´、 ..,:// ...,,,ノハヘト,、
                            ー'゙´/,///////∧/≧;,、_
                        _.,、イ/ム/////////∧////≧;,、
                     ////////\////////|/////!/∧
                        l//////////∨//////|/////i///
                        l///////////l//////イ///////{
                         ,イ///////////!//////!////////7
                  ,.イ;イl///////////l//////l///i!/////!
                   ,.ィ≦彡",イl///////////〉,/////l///l!/////l
              ,.ィ≦彡"´ ノイl///////////∧/////l///l!/////l
            ∠彡イ才   {{  }l//////////〈//////////il./////l
          ∠彡イ才       }} ////////////∧/////l////i./////l
        |彡イ才      {{///////////////〉////!////!/////:!
        |才´        Ⅵ//////////////////////イ//////:!
                  _Ⅵ////////////j///////∧!///////!
                  j//////////////イ//////く  Ⅵ!/////j
                 ///////////////j!////////>〈///////l

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
写真には、スーツ姿の男が映っていた。かなりの老け顔で、二十九歳というのが
嘘のように思える。この男こそが、件の衛宮切嗣という話だ。

かなりの冷血漢だという話で、たった一人を抹殺するためにホテルを爆破して
その場にいた人間を皆殺しにしたり、数百人の乗った船を救うために
数人の乗った小型ボートを撃沈したという。まさしくファントムに相応しいサマナー
ではないかと思えた。

果たして、こんな男と渡り合えるのか。
自信はないが、やるしかないのもまた事実だ。

パイモンとメイヴを従え、喜留夫は調査を開始した。
まずは潜伏場所を掴まなければならない。
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162 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:14:28 ID:jCa64sVY0


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                             ┌─┐
                             │ :: │
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                               ┌┐
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                               ・

163 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:15:59 ID:jCa64sVY0

                   __
                ノ: : : __: : : : >一┓
                 /: :-=ミ:.\\:/=Y=ミ
                /:/: : : : : : :\:ヽ 辷リi: :ヽ ヽ
            /:/i: : : : : : \: : :ハ Ⅵ{: : : Vノ
            ノ:イ: |: :{、: :.{ヽ:/斗ミ: : 弋}: : :\ _         強力な龍王の気配ね。
              |: :|i八_\ヽ 伐zソ: : : :ゞイ: ハ⌒
              |: :|l: : :x=ミ⌒   }ハ : : |:从: :乂         よし、探してみよっか。
           _  |:八: : : :ゞ' 、 _ ' / }: 从/ ーァ:.、_
         / 7⌒ゝ{  〉: \个=--- '≦:/<    >:i廴_
.        /     vr{ \: {≧=ー{ニノイ<      弌 ⌒〉:}ミ、
       /    |  }八   \  Y/´ >     > /⌒: :人
       ,     |  |\  r'V{/\__彳   <  / Y: : : /
       /     ;  √ ≧=彡く: :rvYr: : :|}へ从{´ /イ }: : ∧

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
外に出て、パイモンに指示を出す。
闇雲に辺りを探すだけでは見つからないだろう。
相手もプロなのだ。

話しよると、衛宮切嗣は強力な龍王を仲魔として連れているとのことだった。
それほどの悪魔なら、どこかで痕跡を残していてもおかしくない。

パイモンは風の精に語り掛けているらしく、手を虚空に添えて何か呟いていた。

さて、自分たちは最後に衛宮切嗣とファントムのサマナーの戦闘があった
場所へと向かうとしよう。
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164名無し-Red-市民-2:2017/11/02(木) 21:16:15 ID:1SIvuMto0
切嗣は算数の出来るサマナーだからね

165 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:16:39 ID:jCa64sVY0

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7、ィ;;;;;/-i|..:.:.:|    ;|ノ{    |    ̄/ |   |   |              r──‐ァ.i  、イ 丶   | |i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|
─‐イ /lil|.:.:.:.|: .: .:. 乂二)  |   // |   |   |               乂__.:.:/::::レ≪ ̄ ̄\ | |i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|
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_〕ll| _/ii|.:;;;''|.:.: : :..:イニニニニニニ」 /-_-|   |   |         〈.:.:.:.:ヽ_ /^ヘ=-{::::::|         | |───────
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i!i!ii|ll| 、ィ7i|__|/_:_:_ ヘ三三二/ _‐_-_-|_:_:_:.}   }_:_:_:_:__,/^^^}! /.:./:/.: .:.:.: |         | |───────
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i!ii!i|ll|i!i!i!|l!|_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_ ̄ゝイ  ̄{.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:. :.:.:.ヽ:.}:.:.:. :..ヽ|         | |───────
i!ii!i|ll|i!i!i!ア-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-八.:. :.:.:.,/:.:.:.:.:.:./: :.:.:.:. /^ ̄ ̄ |,_____,| |
i!ii!i|ll、ィl「-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_\.:.:.:.:.:.:.:.:/:. 〉.:./_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-| |───────
¨ ̄-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_->ー───'^_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_| |i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|
_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_ | |i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|
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オフィス街の路地裏にやってきた。

ファントムとの戦闘があったとされる場所はここだ。
路地裏には、血の跡がいくつか、それと空薬莢が転がっていた。
血の跡は既に乾いている。戦闘があってから大分時間が経っているらしい。

特に手がかりらしい手がかりもない。
COMPから指示を出し、パイモンを呼び戻す。
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166名無し-Red-市民-2:2017/11/02(木) 21:17:26 ID:PVtSfbj20
空薬莢落ちてる日常

167 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:17:48 ID:jCa64sVY0

                -,ヘ‐/:丶、
              /:/:/ : : : : \:.\ 、__
           /7 ア/: :/ : : : : : : : 丶:.\ |7           n .,7 /7
         _,〈 / }: : : ,: : : |: : : : : : : :ヽ: :',ヽ          | |,ル'/, フ
        <ア/}/: : : :{.: : :.|: : : :.l\: l: :',: :',.、ヽ      r 、|    /
          ./ : : /: : : : 从匕: : : :.匕⌒: : l : |: :Y       ヽヾ- ` {
        /: : : :|: : l: : {,ィ苳ミ \ | ィ苳ァリ : }: : :.         丶 ` ノ       やっほー。
        /:/ : l\∧: ゞVソ   、 り }: |:./ : }、:.       {ー─}
         {;' {<^¨^〜、`^ゝ、        ノ:./': : : } ',}        'ー─l        「どうだった」
         | {く_   r'   7 ヽ ノ /: : : }^ソ- 、l      /- 、 |
         |   `ヽ<    >ー‐'7乂:.イ z‐ミ }     厶=ミ.、 }        ここだね、最後に気配を断ったのは。
         |     \    ミニニ〈: : :ノ    `ー、__/_  ゙v
           〉      ※。 ミ´ ̄〈: : )          /ニニニヽノ          それ以降は気配はないってさ。
            〈         ノ ゚`''*。(: : )※    /ニニ丶ニニ}

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
パイモンは朗らかにこれ以上の手がかりはないと言ってのけた。
流石に腕利きのサマナーなだけある。足取りが追えそうなものは一切残されて
いなかった。

一旦状況を整理しよう。自分が衛宮切嗣ならどうするか考えるのだ。
相談役にメイヴも召喚し、三人で顔を突き合わせる。

そうだ、異界だ。人ごみに紛れたところで限界がある。
それならば、いっそのこと悪魔が徘徊する異界に身を隠した方が、
ファントムの追手に追い続けられるよりかは安全なのではなかろうか。
衛宮切嗣の腕ならば、ファントムの追手よりそこらの悪魔の相手の方が
格段に楽にこなせるはずだ。

「とりあえず行ってみたら? 他に当てもないんだし、それが外れたら
あなたの昔馴染みにでも何か情報がないか聞いてみましょう」

メイヴもそう言っている。とにかく、近場に異界化している場所がないか、
パイモンに捜索の指示を出した。
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168 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:20:12 ID:jCa64sVY0

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パイモンによるとオフィス街南東の一部が異界化しているとのことだったので、
早速そこへ向かうことにした。

小規模ではあるが、悪魔が出現する立派な異界だ。
喜留夫は遭遇した悪魔との戦闘をなるべく避けながら、隠れられそうな場所を
捜した。

十分もせずに、衛宮切嗣は見つかった。
というよりも、こちらが見つかったといった方がいい。

突然の銃声が響いたと思うと、心臓から少し逸れたところに風穴が空いた。
最初は熱を感じ、見下ろすと血がだくだくと服越しに溢れてきた。
倒れ込みながら、舌打ちを聞いた。間違いない、衛宮切嗣だ。
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169名無し-Red-市民-2:2017/11/02(木) 21:21:17 ID:PVtSfbj20
わぁお

170 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:21:48 ID:jCa64sVY0

                __
       .-――z^^7 ̄`((⌒ ._
    /    /   }(勾},ト、   `ー ._
   /    /     ((乂ミ=       ヾミ .   _
 /             _)}   .-‐        λ--__))
´     /7 /      /   -〜 __     ゞ勾ハ
   / //  /     /    ((⌒' /    Ⅵ i
_ノ  '       イ /   //`).l /! / ,  Ⅶ !
.  /        /    //l\ レ'/ / } / //  :. !
 ̄´            {./ // r==>ミ / // 〃ル  i l        喜留夫っ!
    /     /ス//{,// 7rッそ》}  八、/ } l  } |
   /     ∠ゝ、ン    _《 ゞト=ン γ=ミ / リ ./ ノ!
 /     /__.У::.     ((⌒ーv_ソ"  辷ソⅣ/ノ  l|
      / ト、_ ハ::.            、   ハ /|    l|
_   /   {   ̄ト、::.    , r‐=z 、 ′/ /i l|    l!
7} `ー- ._ノ   ム 丶:.    l  ヽ:/   イ:.   | l|    l!
/          {__ヽ、ヽ:.   `ゝ=ァ’ イ !:.  | l|r―-lト、
i           /}  ≧x.._ ィ〜zリ √ ̄ ̄〃    ⌒ヽ‐z

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
メイヴが即座に喜留夫を庇うように移動し、回復魔法の詠唱を始める。
パイモンも慌てふためきながらも剣を抜き、臨戦態勢へと入った。

衛宮切嗣は相変わらずビルの影から出てこない。
代わりに、巨大な悪魔が道を塞ぐように召喚されていた。
白銀の大蛇といった風貌の悪魔には翼が生えていた。竜だ
失った血は戻らないため、完全復活とはいかないのが玉に瑕だが、
今はそんな贅沢は言ってられない。

COMPを抜き、ファフニールを召喚する。
あの図体の悪魔をパイモンが抑えるのは不可能だ。
正面衝突はファフニールに任せよう。
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171 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:23:08 ID:jCa64sVY0
ミスった。再投下するね。

172 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:23:23 ID:jCa64sVY0

                __
       .-――z^^7 ̄`((⌒ ._
    /    /   }(勾},ト、   `ー ._
   /    /     ((乂ミ=       ヾミ .   _
 /             _)}   .-‐        λ--__))
´     /7 /      /   -〜 __     ゞ勾ハ
   / //  /     /    ((⌒' /    Ⅵ i
_ノ  '       イ /   //`).l /! / ,  Ⅶ !
.  /        /    //l\ レ'/ / } / //  :. !
 ̄´            {./ // r==>ミ / // 〃ル  i l        喜留夫っ!
    /     /ス//{,// 7rッそ》}  八、/ } l  } |
   /     ∠ゝ、ン    _《 ゞト=ン γ=ミ / リ ./ ノ!
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      / ト、_ ハ::.            、   ハ /|    l|
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7} `ー- ._ノ   ム 丶:.    l  ヽ:/   イ:.   | l|    l!
/          {__ヽ、ヽ:.   `ゝ=ァ’ イ !:.  | l|r―-lト、
i           /}  ≧x.._ ィ〜zリ √ ̄ ̄〃    ⌒ヽ‐z

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
メイヴが即座に喜留夫を庇うように移動し、回復魔法の詠唱を始める。
パイモンも慌てふためきながらも剣を抜き、臨戦態勢へと入った。

衛宮切嗣は相変わらずビルの影から出てこない。
代わりに、巨大な悪魔が道を塞ぐように召喚されていた。
白銀の大蛇といった風貌の悪魔には翼が生えていた。竜だ。

メイヴの回復魔法によって胸の穴が塞がる。
失った血は戻らないため、完全復活とはいかないのが玉に瑕だが、
今はそんな贅沢は言ってられない。

COMPを抜き、ファフニールを召喚する。
あの図体の悪魔をパイモンが抑えるのは不可能だ。
正面衝突はファフニールに任せよう。
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173 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:23:40 ID:jCa64sVY0

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  }::.         {: : / /{
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    } .v:{: }r、/: :7: :/
    、 ノ:{_/ }__/ /:::、
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   }:{、廴ノ,{.tッノ-=--ヲ、
   ゞ'  }_〃イ /__ハ::::::、
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     ゞ._/ ゞ=彡イ )ゝ::::::::、         ノY /: : :<
         、 -=≦_)__,:::::::ミ.       /{ ノ _/⌒
          }_ -===ミム::::::::ミ    __/  //≦> 、
          {-===ミ< }::::::::.、  /)彡7ミ'./>: : 彡'
          {-=====ミ }、::::: ミ, ノ'  ./  / / 、´
          {-======ミ}. V::/ / -=彡 〈 /: : へ
.           ,_ -===ミ } ∧{彡へ    ノ、 ⌒´
          ,     , Yノ⌒≧Y彡'⌒´
           、-==≦≧:, { /    ヽ
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           ,  .、__,彡'.{ミx{ {_/ / ,  /(
【龍王ウロボロス Lv64】
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アナライズ結果が出た。龍王ウロボロスだ。それもかなり強力な龍王。

「メイヴ、電撃は効かねえぞ!」

「もう試したわ!」

言うが早いが、メイヴは魔力によって生み出された紫色の炎を掌に生み出す。
耐性の壁を尽く打ち破る魔法、メギドだ。本来クイーンメイヴは持ち合わせていない
魔法だが、変化の影響かなぜか覚えた産物だった。

魔弾がウロボロスの体へと命中し、炸裂する。
それを機と見たのか、ファフニールがウロボロスへと掴みかかった。
図体はウロボロスの方が大きいが、腕力は同等のようだった。
ファフニールが足踏みをするたび、地響きが鳴り、内臓が揺らされる。

そこへもう一発、衛宮切嗣の銃弾が撃ち込まれた。
メイヴが喜留夫を庇い、銃弾を受ける。

「メイヴっ!」
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174 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:25:18 ID:jCa64sVY0

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:.:.:.|:::::::.:.:::i:::.‐::::::|'¨|:.:| ̄ヾニi::l三Ⅳ::|圭iゝ':, l:! j '':.:.:.,,,,,, ∨´: : ∧ノjヽ:i:i>---..、
:.:.:.':::::::::..::::::ト::::::::| V:|,.斗ャぅ!:jア`ヽリ, 'リ   リ      ノvハィ⌒>:i:7:i>--:.、i:ハ
:.:/:::「`v::::::::| ∨ | <リ.,_弋>リ´ ,,.:'        :,    /i:i/:/⌒´:i:i:i:/i7;;;;;;;;;;;;;;;;Yiハ
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/ ̄\ 、 リ {__    \                 }:.:. 〔ヾ¨¨! ', : ` <:i:i:i:i:i:/ハ
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【人間 衛宮切嗣 Lv64】
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血が飛び散り、喜留夫の頬へとかかる。
ぬるりとした感触と温もりは、人のものと寸分違わなかった。

心臓が熱を帯びる。メイヴの負傷という薪が怒りの炉にくべられる。
拳銃を構え、衛宮切嗣が隠れている物陰へと銃口を向ける。
衛宮切嗣は銃撃をやめ、代わりに何かをこちらへ投げてきた。

直感的に判断する。手榴弾だ。

「メイヴ、パイモン! 俺の後ろに回れ!」
ポーチから変わった風貌の鏡を取り出し、それを前に掲げる。

手榴弾が起爆し、爆炎が喜留夫たちを飲み込む。
それを手に持った鏡を中心とした結界が全て弾いた。
物反鏡という、使用者を攻撃から守る結界を張る鏡だ。
ただし、効果は一度きりで、しかも短い。

今回はそれを持ってきていたことが幸いした。
貼られたガラスの膜のような結界のおかげで、喜留夫達は全員無事だった。
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175 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:28:45 ID:jCa64sVY0

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                  \、ノし/                       ,へ
                  `)r'⌒ヽて                /´   \_ >
      \、         、                     レ                /辷ヘ__      .:
        ゞ、_从_      )、_             _____ f --=ニ二¨¨ ̄ ̄ ̄ ̄:::::::::///∧     ’   ,
       ア,:=''" ̄ `ヽ   /^Y´        / ̄ ̄:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |||||||||||||||l:::::::::|////,|    /   ′
 ___て::/        i    |   Y´ ̄ ̄/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|||||||||||||||l:::::::::|////,|   ノし/
     ̄) {         |.     乂__{ー― 、 ::::::::::::: ___________||||||||||||||||_|\j//// !   }  て__ ,
  -=''''^ヽ'、       ’ |li           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄⊆ニニ才⊆二二⊇  ∨//∧    `¨¨¨´  _ノ  √ ̄
     /⌒`''=┬ \、 ,il |し           \ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ}{ ((/´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ\  ,.。-一…´¨ (⌒ヾ
            ‘ ` '' r.   ヾ.          ̄ ̄ ̄|γ´ ̄`Y:}{ /            `ヽ
           ‐―=ニ l                     | |{    } }/               \、、____
             。. l k_    メ             乂`ー=彡イ     /,ー┐          /: : : : : : : : : : :  ̄ ̄ ̄
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                 |  、                {    |メメメメメメ乂_           /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
              “.  |                       ヽ/⌒ヽメメメメメメメト.        /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
                                     {     从メメメメメ|:::\     /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
                                         ‘,  /メメメメメメメl:::::::::ヽ   ′: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
                                       y⌒Yメメメメメメメメ!::::::::::::|  |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
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反撃しなければまたやられる。
とにかく、当たるかどうかはともかくとして撃たなければ。
拳銃を構えなおし、衛宮切嗣が潜む物陰を撃つ。
パイモンも氷の刃を生成し、飛ばしていた。

ファフニールとウロボロスの戦いは拮抗しているらしく、
ファフニールが吐いた炎の波に飲み込まれながらも、
ウロボロスの尾がファフニールの脇腹を突いて吹き飛ばしていた。

リロードの間を縫うようにして、衛宮切嗣が顔を出し、その銃弾が
喜留夫の脇腹の肉を抉り取っていった。どうやら単発銃のようで、
連射が効かない代わりに威力が頗る高いらしい。

そうして膠着した戦いが何分、何十分、何時間続いただろうか。
殺し合いの間は時間が遅く感じる。一秒が生死を分けるからか、
脳が認識の間隔を遅らせているのかもしれない。

先に沈黙したのは、衛宮切嗣だった。
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176 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:30:42 ID:jCa64sVY0

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                  /      /  / }}::::::::::>
                     └:、_         _/::::::::「
                       L `    / |:::::::::::::{
                       l_ ,. '´   И/ハ厂
                      _ / |   __/     〉
.            __,.  ´//  :|  {ハ      / \__
.         ´/     /  | /〉厂 |     / \     / ̄ ̄`丶
         /  ′   /    :|/ // /|  ./    '.  /        、
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    /        |  .///     / /      /     |         │

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ウロボロスの体が消えていく。一体何が起きたというのか。
警戒しながら、銃を構えたままビルの陰へと近づいていく。
そこには、壁に寄りかかりながら両手を上げる衛宮切嗣がいた。
弾切れのようだった。手に握られていたCOMPの画面を見ると、MAGの残量も
ほとんどなくなっている。衛宮切嗣自身も負傷しているらしく、
腹や足には銃弾を撃ち込まれたと思しき穴が開いていた。

無理もない。ここらのサマナーを支援する施設はファントムの監視下に置かれ、
補充もままならなかったのだろう。

自分が対峙したのは、既に死にかけの獲物だったというわけだ。

銃口を頭に向ける。衛宮切嗣は酷く消耗しており、すでに戦意も喪失していたが、
何があるか分からない。やれる時にやるのが、サマナー同士の戦いの鉄則だった。

だが、それでも喜留夫は気になることがあった。
それを聞くまでは、殺すつもりはなかった。

「やる前に聞かせてくれ。なんで裏切りなんかしたんだ?
こうなることは想像できたんじゃねえのか?」
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177名無し-Red-市民-2:2017/11/02(木) 21:31:11 ID:PVtSfbj20
アイテム重点

178 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:32:20 ID:jCa64sVY0

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ニニニニΛ::::::::::::|ニ|::::}Λ 厂/ニ/:::::∨::/二二二二二二二二二二二二二二二
ニニニニニΛ:::::::::|ニ|/:::/ //ニ/:::::/∨二二二二二二二二二二二二二二二

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衛宮切嗣は卑屈そうに笑うと、渋る様子もなく承諾した。
「任務でね。ファントムに敵対するサマナーを殺せ、それも一族郎党全員って
命令が下ってさ。僕はそれを遂行した。サマナーから、その父と母、妻まで殺した。
でもさ、その娘の……小さな子だったんだ。その子だけは、どうしても殺せなかった。
自分の娘と重なってしまって、引き金が引けなかったんだ」

「だから逃がして、それが裏切り扱いになった、と」

「そういうことさ。馬鹿馬鹿しいだろ? 今まで何十人と殺してきたくせに、
自分の娘一人の命だけは惜しいんだ。今になって、そうなったんだ。
大勢殺して、千のために百を切り捨てて、そうやって生きてきたのに、
今になって娘だけは失いたくないと思ったんだ」

衛宮切嗣は笑いながらも、その眼には涙が浮かんでいた。

「一つ聞きたいんだ。あんたは、僕を殺せと命令されたのか?
それとも、僕の家族も?」

首を振る。すると、衛宮切嗣は安堵した顔で、「そこの物陰に娘が隠れている。
その子を頼む。僕は生きてちゃいけない人間だが、その子は別だ。
僕の死を以って、終わりにしてくれ」と頼み込んできた。
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179名無し-Red-市民-2:2017/11/02(木) 21:34:16 ID:PVtSfbj20
これは組織では頼めない依頼だな…

180 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:34:59 ID:jCa64sVY0

!   |l | |,.>',ニ_ヽム'~l!'´|i!| !/,/ // /,ハl  /  |    ノ  | ''
|   ハ ヽ/ | Vrォゝl!ヽi| 'l!|/‐/-/ 、//! , / !  | / /   |/
|   | |!∨ ハ ゞしjイ! ヾリ!//'_/_//, \/ /!/ / !/ / /   l
|    ハ| { lヘゝ二ノ      〃,. ‐/メノ\ , ,イ/ / /     !
|   / ハ ゝニ、、           ヽ弋テノj|ノイ / ' / / /    !       どうするの?
| |  ! / . ヘ `冖''             ー   レ'  / / / /    l
| |  ! /  ハ      _          イ/  / / / //    |       「…………」
-人 |! γフ\    `      // /  /|/ / /     |
  \ノヽ!ヽ 「ヽ!\       __ イ! /    .イ / /  ,イ|     |
  ノ L___ `ーj V ノ ̄ノ、j ̄!._ ノ レ'   / | ノ´| / |     |
  V´ 〆 , イ / `ーγ" / , '  ,. イ|γ´  _|   |       |

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
メイヴが顔を覗き込んでくる。正直、どうしたらいいか分からなかった。
ただ、これだけは分かる。

「確かに、あんたの言う通りかもしれねえよ。命には価値があって、
生きてていい奴悪い奴ってのはいるんだと俺も思う。俺もあんたも生きてちゃいけ
ないのかもしれない。けれど、それを決められるのは誰でもねえだろ」

衛宮切嗣の手を取り、助け起こす。

「パイモン、魔界への門って開けるか?」

自分に思いつく手段と言えば、これくらいだった。
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181名無し-Red-市民-2:2017/11/02(木) 21:35:42 ID:PVtSfbj20
追放してしまうのか?

182 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:35:57 ID:jCa64sVY0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                             ┌─┐
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                               └┘


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                               ・

183 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:36:20 ID:jCa64sVY0

         __ ____
         __ ____
      //   ̄  \\
      //   ̄  \\
     //         \\
     //         \\
   //  (○ ○) ((○(○) \
   //  (○ ○) ((○(○) \
 .| |.|    (トェトェェェェェェェイ)ェイ)  | _ _== =
 .| |.|    (トェトェェェェェェェイ)ェイ)  | _ _== =
     \\.\\ェェェェェ/ェ/,/| |    ̄ ̄ ̄  ̄| ||
     \\ \\ェェェェェ/ェ/| | |    ̄ ̄ ̄  ̄| ||
    ノ         \\| | | |           ||
    ノ         \\| | | |           ||
  /´                 | |          | |
  /´                 | |          | |
 |    l                | |          |||
 ヽ    -一ー_~、⌒)^),-、   | |_________| |
 ヽ    -一ー_~、⌒)^),-、   | |_________| |
  ヽ ____,ノγ⌒ヽ)ニニ- ̄   | |  | = =
  ヽ ____,ノγ⌒ヽ)ニニ- ̄   | |  | = =

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
依頼達成後、閻魔哀からお礼のメールが来た。
口座に報酬四千万の振り込みがなされた旨と、「あなたが衛宮切嗣を逃がしたことは
上には黙っておいてあげる。この貸しはいつか返してちょうだい」という文面を
見た時には、年甲斐もなく膀胱が緩んでしまった。

「あれで良かったの? 喜留夫」

メイヴが聞いてくる。正直なところ、喜留夫にも分からなかった。
だが、この世界でファントムから逃げきれるとは思えない。
それならば、この世界ではない別の世界に逃げるしかないだろう。

衛宮切嗣とその娘は魔界の門への先へと消えていった。
存外、魔界にも町やら国やらと文明はあるらしいし、生きていけるかもしれないし、
そうでもないかもしれない。だが、この世界に留まって殺されるよりかはいいだろう
と思っての行動だった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

184名無し-Red-市民-2:2017/11/02(木) 21:37:17 ID:PVtSfbj20
娘さんも強くなればええだけやね
しっかしバレてますなw

185 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:38:11 ID:jCa64sVY0

   |  {    |     ハ   '  乂込りイ、`ヽ
   |   '  |  ミ、 i   |ハ ゞ=彡ノ/z i
   |   ヽ .!   ハ:}|i: ! {  '  i  ゞ=ソ i:!
.i   |   ハ:{.  r=彡|{|ノi  |. | ヽ  八
:|   ! >ー从_}{ i ! |.川 i{ `ヽ |   !  ハ 、  ゙
   |{ / ーヽメ 八ハ!{ !ノj_z_j   |  .'{  ヽ
ハ  人ハr=ミ ハ ハ   ノ从 7Zマ.く_ ' | {八
  / }込八irくイ_ノ ノ    i.i゙;;;}j ' ハk , ! i  ヽ
 { :{ゞ=ミ_ノ/    ,  ゞー" / ノ/  |i ゝ          きっと無事よ、そう信じましょう?
.八 ∧   '' j:i ''     ノ   "″,イ./{  八 `ー
.  ヽ∧   八{_ノ、_       ./rーミ八   `ー -
   \ヽ.      ̄ ´  イハ  }vー 、`ー -
 `ヽ  \>     . ィ´,⌒´     ノ `ヽ
ハ  \  ヽハ≧=彡} `ヽ      `ヽ ハ
  丶.  \   }、 { /           ノ   }
   \   ヽ ノ iト、∨           \  '

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もしも、自分が同じ状況に置かれたなら。
脳裏に、自分と同じような男を殺せと言われたなら、と過ぎる。
そして、メイヴのことが思い浮かんだ。

誰かの大切な人を殺せと言われて、自分にできるとは思えない。
衛宮切嗣もまた、自分と同じ結論を出したのだろう。

衛宮切嗣とその娘の無事を祈りながら、喜留夫はパソコンの電源を落とした。
そこから先は、自分の知るところではなく、彼の物語だ。
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186 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:38:31 ID:jCa64sVY0

  / : : : : : : : : 〉′: : : ::::::|:/ |: :/│:{: : : |:..:/     1ハ: : :..:.:::::::| |: ::: : : : : : : : \
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 ̄ `ヾ:::::::::::::::::|∧: : ´ ̄/二ヾ{==--!: :/ |: |===彡--リ-|: : : ::::::::| |::::::::::::::::::::/
     \:::::::::}::::}: : ::::ィ:iγ⌒ヽ\ヽ!:/  :::!  /γ⌒ヽ!:ヽ::::::/:j/:::::::::::::::/
.      /::::::/:::rヘ:.:.:::::::l.乂:::::ノ ,.  j'  } リ {:. 、.乂:::::ノ|: イ::://{|::::::::::::::::\
   /::::::::::/:::::| ∨:! ::|ミ===彡ィ    !.:.. \/..ミ==彡: : /.′j::::::::::::::::::::::ヽ
  イ--――=ァ:::| 冫リ∨..{:::::::::}..{   ,ノ}:.、:.   }..{   }.....|: / ′リ}:::::}  ̄ ̄ ̄
       /:::::ハ..い{  }..{   }..{  --―-- 、...{  ......|/ .′ イト、:::,
       ノ:≦iニヽ :、}..{   }  /」´ ̄ ̄`i」:, }{  }...′' /::::|_ ヾ{
__,,イ二ニニ|ニニ\:.}..{   }{ .′: : : : : : : :..:.,}.{   }.{ /¨´:/ヽ:!ニ=-
ニニニニニニニ|ニア:、::::\:..   }{,′r――― 、:.:}.{   }.{/:::: /ニニi|ニニニニニニ=-
ニニニニニニニ|=/ニ \:::::: 、 ..{{/ }     {ハ}.{   }イ:::::/二ニ|ニニニニニニニニ
ニニニニニニニ|/二二 }八{ \{∨       j./..{ /|/}:イニ\ニi|ニニニニニニニニ
ニニニニニニニ|ニニニニム   \\ー――/ / /ニニニ=ヾlニニ/ニニニニニ
ニニニニニニニ|二ニニニニム    \ 二二. /  ハ二二二二i|二 /ニニニニニニ
ニニニニニニニ|二二二ニニム     ー―‐ ′  {ニニニニニ|ニ.′ニニニニニ

〜また次回〜

187名無し-Red-市民-2:2017/11/02(木) 21:40:05 ID:PVtSfbj20
切嗣「妻はどうでもいいが、娘だけは!」
って訳じゃないよな?

188名無し-Red-市民-2:2017/11/02(木) 21:41:32 ID:EAp1f5X.0


189名無し-Red-市民-2:2017/11/02(木) 21:43:40 ID:PVtSfbj20


190 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/02(木) 21:43:44 ID:jCa64sVY0
どうだろう、今回はコンパクトにまとめて読みやすいようにしてみたよ。

次からもこんな感じで行こうと思うから、よろしくね。

>>187
作中で書くの忘れてたね……既に死去済みだよ。

191名無し-Red-市民-2:2017/11/02(木) 21:44:05 ID:1SIvuMto0
おつおつ
仲魔はペンドラゴンさんじゃなかったから情が残ってたんやろな

192名無し-Red-市民-2:2017/11/02(木) 23:55:44 ID:uz5FPq9.0
乙でした。

193名無し-Red-市民-2:2017/11/03(金) 21:46:47 ID:i9Px4RNE0
乙 
キル夫さん渋いね

194 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/04(土) 02:11:01 ID:gQDKeTiU0
次回は11/6の午後九時からね。

195名無し-Red-市民-2:2017/11/04(土) 04:42:18 ID:cXgXJPfc0
わぁい
投下間隔を1〜2分くらいにすると合いの手入れやすいゾ

196 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/04(土) 22:16:34 ID:gQDKeTiU0
>>195
おっそうだな。助言ありがとナス!

197 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 20:59:58 ID:lL0Te3P20
    /||ミ
   / ::::||
 /:::::::::::||____
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||  、 - ‐‐ -,
 |:::::::::::::::|,´: : : : : : : : :
 |:::::::::::::::|゙i : : : :○ ○゙i
 |:::::::::::::::|}: : : : : : : _ _ _l       ハロー。
 |:::::::::::::::||: : : :-=´_ _,´
 |:::::::::::::::||___ : : :丿        はじめるよーん。
 |::::::::::::::(_____ノ´||
 |::::::::::::::(_ノ / . . . ||
 |:::::::::::::::||/    ||
 |:::::::::::::::||      ||
 \:::::::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
   \ ::::||
    \||

198 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:01:10 ID:lL0Te3P20

┌──────────────┐
│                   .....│
│   第四話『女王の休日』    .│
│                   .....│
└──────────────┘

199 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:01:40 ID:lL0Te3P20

..      ____
     /     \  テレッテッテッテー
.  . /  (●)  (●)
  /  (トェェェェェェェェイ)\      おっ?
  |    \ェェェェェ/  |
.  \           /
.   ノ          \
 /´             ヽ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
朝起きて、いつものようにCOMPを操作してメイヴを召喚しようとすると、
自身のステータス分析画面に変化が生じているのが分かった。

体内のMAG保有量が増えている。つまりはレベルが上がったのである。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

200 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:03:18 ID:lL0Te3P20

         ____
       /      \
      /         \
    /   (●) (●)  \      申し訳ないが運縛りはNG。
    |   (トェェェェェェェェイ)   |
    \  \ェェェェェ/   /
     /⌒ヽ   ー‐    ィヽ
    /      ,⊆ニ_ヽ、  |
   /    / r─--⊃、  |
   | ヽ,.イ   `二ニニうヽ. |

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人間でもMAGを大量に浴びればその分体内のMAGの保有量が増え、
霊的に力を増す。その指標がレベルである。

ちなみに喜留夫のレベルが上がるのは五年ぶりだった。

レベルが一つでも上がれば、悪魔合体で作れる仲魔も増える。
実際、以前から目をつけていた悪魔がいたのだ。
今日はそれを作りに業魔殿へ行くことにした。
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201 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:05:24 ID:lL0Te3P20

                   ..-‐  ¨ ≧ァオ¨_ミ:x.__
             ,ィニjァ='ィ     ⌒´辷彡ス `Y
           r:ヘ.Yツ / /   i l i ヽ  ` ヾ) i |
           トi ,ィ/ ′ i l l l | | l .ハ  ((  | !
                | jヘトN i  | | ィ7从┼l‐-i!  }` !リ
                レ′ l  Vアフ彡ィ/ j」⊥j、! イ  ハ、
           /   八 くヾrjYtリ  ´ヒ:z:ノ;7 /   Y ヽi
             /   /  ヽ卜辷r" :  "" { ! ハ    ト-ミ: ____          お出かけ? ついていく?
           √ァ’ /   トミ Ⅵ(  ‐.‐  人ヾ {  , マ≧ レ==ミ`ヽ
          /〃 /イ ャ‐ミxヾ:`へ、_ ..√てハ>"{  ヽノノ     ヽ\      「いや、たまには家でゆっくりしててくれ」
       人{/ /  }   }rリ)  r' `’ ) _/   `ヽУく       )/
  .-一=彡 ハ /r‐ "  ,ィ Yヽ辷彡= _厂Y `う     レ/ \   ー=彡
ィ´   ̄   /ヾく  |  =彡  リ_ / > < 1| {:_  /イ\  丶
 /   /  /\-ィ    「ぇ≧z\_/ィミУ { 〃´  /ヽ   \
/    〃   ′  Y      | " ヾ ̄  ̄ /_  }.:′   /   }     ヽ
    .ィ   i {   Lk、   !         ¨_ノ /=ミ    〉/⌒ヾ    ハ
 / {     ヾ:、  r'¨ ` rァヘ:、   ヽ  しぅ〃 : ヾ ∧     }l   /
く  八     ヽ/   /ソi } ` :.、  }  ソイ}    }  i   〃 /
 ハ   ヽ   r='=<r彡八V_ ==≧<ア/ ¨{/    ト、  v/イ 八

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メイヴについては、家でゆっくりしてもらうことにした。
いつも経理に戦闘にと働かせてばかりなのだ、たまにはこうして休んでほしい
というのが本音だった。

帰りには何か甘いものでも買っていくとしよう。
ホテル業魔殿のお土産は値は張るが味は一級品だ。
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202 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:05:52 ID:lL0Te3P20

             __ ,..-- 、
            「/ ,.-_へV⌒丶_── -- 、 __ __
           /  「fトォ ゞ!|´⌒ヽノ             `ヽ
              /   ,朴_二_ノ   / / /         ̄ 'ヽ \
.            //  〃`--、ヽ , / / /   l/    ー-- イ ヽノヽ__,..‐ 、
          //  //  γ_j l/l/ / /  /         ゝニニノ Vー 、  !
           //  // / /`^.ィ / / /l  ,' !/! | !   | ! ヽ      { (ftト} l'^ヽ
        //  '/   ,ノ_j / / '/  | | l! ! ! // l! |  !   ゞーイ| |  |
         //   !|!| /イ// /l  |!  ' | l! | | // / ノ  |     乂ノ !  !
       イ!    |l |!((  |!'' /! | __ _)) | l ' l! l// /, イ   ,.  |  ( ヾ !  !
      / !   |l | |,.>',ニ_ヽム'~l!'´|i!| !/,/ // /,ハl  /  |    ノ  | ''
      '   |   ハ ヽ/ | Vrォゝl!ヽi| 'l!|/‐/-/ 、//! , / !  | / /   |/
     '    |   | |!∨ ハ ゞしjイ! ヾリ!//'_/_//, \/ /!/ / !/ / /   l
  / ,    |    ハ| { lヘゝ二ノ      〃,. ‐/メノ\ , ,イ/ / /     !        そう、行ってらっしゃい。
, '  /     |   / ハ ゝニ、、           l:::し::j j|ノイ / ' / / /    !
      / | |  ! / . ヘ `冖''           `ー ' '' レ'  / / / /    l
/  / /   | |  ! /  ハ    ヽ  __        イ/  / / / //    |
     ,. -人 |!  γフ\           // /  /|/ / /     |
    /      \ノヽ!ヽ 「ヽ!\       __ イ! /    .イ / /  ,イ|     |
   '      ノ L___ `ーj V ノ ̄ノ、j ̄!._ ノ レ'   / | ノ´| / |      |
 /          V´ 〆 , イ / `ーγ" / , '  ,. イ|γ´  _|   |      |
./            \/⌒j  r-ノヽ,イ  '´   '  イ /ーハ    ´ ヽl!|      |
        , -- 、 ) ( _ノーv / /  \ ,|   !' ノ ヽ'      \_     |
ゝ \ ̄ ̄ |   ノ / / \\`ーへ_l__ノ!|   |           ヽ   ヽ
 \_ \  |   ゝ'ー 、.-─\\── ''  |   | ___       |    \
/ `ー──`!    ノ  ̄ ̄ \\ ̄ ̄ ̄||!  |            ノ        \

203 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:06:08 ID:lL0Te3P20

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                               └┘


                                   □

                               ・

204 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:06:28 ID:lL0Te3P20

〜TIPS〜
『分霊』
わけみたま。魔界に存在する本体から物質界に送り込まれてくる分身であり、
本体と同じ神格を持った状態で生体マグネタイトの収集に当たる。
役割は基本的に本体の力の強化。
そのため、人間や他の悪魔の捕食や、信仰を集めるための活動を目的とする。
分霊を倒しても魔界に存在する本体にはダメージはない。
低級悪魔は魔界からそのまま本体が来ている。

分霊といっても持っている神格そのままの姿を持っているとも限らず、
異形の姿であったり未熟な姿をしていることもある。

ちなみに、日本はかつて神自身が国に住んでいたという信仰から、
天津神や国津神などの本体は魔界ではなく神社や遺跡などに存在していることが多い。

205 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:08:47 ID:lL0Te3P20


   {   i   ′     {f^   :  !    !  i  i :!.i | i i:  i! !
   {  i :|   :|    _j  乂__  :! :    :!  ! :|: !:| ! !:| i| i
.  八  :!|  :!   {f  i  |:⌒ヾi :l   i  l  i斗‐==ー- ..,_
   ハ !|  :!   {{   :! :|  }} :|i   :!  :l  l !:|/イ从}/Ni{ i
.    } :| :!   :!   乂  ! :| .≠イ  !:  | :! 从斗≠示えメ_,ル
   , } :| :!   :!  {{ :i  :| .イfr「⌒ー=ミル:从ハ! イハィイ.: r=ミ:ハ抃 {
  /,.:} :|八:  |   :八乂_刈ル,.ノ rfゥ^}  }ハ/ ) }/   ,∨乂り.:ノ 从{         さて、と。
イ ィ  } :|ハ ヽ:!     :\乂_人}气ぇソ__ノ 「       ^冖冖゛   乂
 ノ  , . !{ } リ ! ⌒ヾ ∧ :} 乂r-<⌒Y            f´/ /
.   / , i /イ: , /i  :i   八____廴_彡^    , _       八{  {
  / /: i  // :i  从ハ八(___  -‐=ミ             }乂:{
. / //i | : //  | //:ハ∧ :ト、 ̄   (イ__)   f ヽ       从ハ
 ′ ′:| //.   : /   } ∧ :\         ̄      .ィ"/ ハ {
     八 ′  :|:/    :} : ∧( ≫            イ 乂 ノ 八
:{  i{  ハ:   /     } i ハ}ノ  ⌒ヽf⌒77r-く⌒V「{ {{ (( {

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ドレスに汚れがつくのもいただけないので、喜留夫がたまに着ているエプロンを
借りる。

折角留守を任されたのだから、今日は喜留夫の代わりに家事をするつもりだった。
喜留夫はいつも、経理を任せているのだから、といって家事全てをやっていた。
炊事洗濯、掃除に至るまで全てだ。料理も難しいものは作れないが味は
悪くないし、掃除も結構まめにやっている。

そんな彼の負担を少しでも減らそうと、こうしてエプロンなどを着けてみた次第だ。
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206 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:10:05 ID:lL0Te3P20

 、   _, .} ,メ    l   ',::   ヽ::::.   ',:  ヽ
   ̄,´/F>`ミi_ i  i    ';::   ' ;:   ';::  ',
  ,⌒Yiー<⌒ハL  i     '::;    ',、   ';::  }
  ,イ冖!/てヾVYjヽ_, l、 ,  ',斗七  '.,ヽ 人,,リ
 从r'弋心ノ',イj从i   l....ヽ/ '; :::\  l ::/イ
.<  ゝ._`フノノハ、 .i  l::::''ゞ从_i⊥、;\j .i
  弋 _、.>√勿/ヽi. ハ   V{ィrャミ <  丶_
  )) /´  `.i`...'.,::、 '、 ハ  `.辻,ィ'}      ̄|
    l    :::   ::',::\ iヽ   |下乙     /        お昼には戻ってくるって言ってたわね。
    l    ::     ;;; ::ヽ| ゞ         /
    ,'  ..::    ,:'::, :::|           (          諸々片づけておきましょう。
    ,'   ::    .::  ::: ::|`(  Y ヽ、     /
   ,'  .::  .:: .::..  ::: :| ,ゝ‐イ .ノゝ___,,ノ
  ,'  .:::  ..::: .:::  ::: :::!" `丶、s ̄`)
  ,' .:::/  ::: .::    :: ::/   l  .l ヽ ̄)
 ,' ::; '  .:: :::    ノ,/ ヽ、 ヽ / /、ゝ
.  / ..::: :::   // `丶、`  '彡,廴`;;;;;
  ..,,,_::,,__.:,,,,::://‐-、__   `丶 .ヽ /∧/|
 Y        ̄ -  ,,,, ` ‐ - 、 .Y..∧/|
               `ヽ     ヽ|∧//|

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まずは台所の洗い場に溜まっている食器を洗う。
冬の水は冷たく、たまらずお湯も出して洗うことにした。
洗い終わったら拭き、食器棚へと戻していく。

次は掃除だ。

机を拭き、埃が溜まっていそうな場所を綿のついた棒でふき取り、
落ちた埃と元々あったごみが溜まった床を掃除機がけする。

我ながらスムーズにできているのではないだろうか。
女王の神格を持っているとはいえ、これしきのことは造作もないということだ。
メイヴは得意げに、誰もいないことを確認してから胸を張った。
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207名無し-Red-市民-2:2017/11/06(月) 21:12:25 ID:rz0sRlkc0
松居棒かな

208 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:12:42 ID:lL0Te3P20

:: : : :l:: : . |!    l    l |   l i      |  l |  l}
`丶、:!:: : .l|    l|   :l |!   l| l      |  |.| l|
| l: l:: : .l|    !l   i li  l| l     |  | ! ∥
」!  l: i:: . l:!   i |  ,: l!  l! l |   .i  |  | /  |!
   i:: i::_:_l廴丿l| -- l 、l_l! l l .  |. i |  /   .リ
i  l, ィl: : |:l   l !  l l| l li T ト、 .|  |.|. /!  /
  {」:: .i: l:l.  i l  l i ! ! l|| ! l .| ! .|.|/ |  / /
| |::.`ト、:l:|:i l l /イ工三厶./ // j |.|! |   /
| l:z: ',: ヽl l:!   ′, イ:::;::-::; iヽy イ | .|  |  ./
: ! 」_:」ソ:: /        l:::i::ー':j::ツ  / l |  | /.|      あら……。
/ /彡':j/:: .         ̄ `` ¨  .イ | l  j / |
! {:: ィ:´: :: : :. _            /l | /     j/  l|
 !:: :: : : . :: .          ハj |   l /   i
./:: :: : : __ _ _        // /   l /'   /
l|:: :: :: : .` ー ´       イ { /    j/   /
li:: :: : : : ..         , ' - 、  / i' l   i
!l>-::、:: : .       ,<⌒`''‐"フ// l /     ヽ
 !:: ::/>::::.._.....::, /ノ    / ' /   l     |
l !:: :ト、/⌒:.x:'´/´ ̄   イ"   i|    li     l
ヽ |:: :: : . 「_}       |    li    lヽ     l
 i l:: : : : :i′ '       '\   i     i|   丶
、ヽ!:: . .  `゙}         `''‐-=、,,,,,,_! i
 ヽ|:: : .  }
   ';:. . . ノヽ

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といっても、メイヴは神話上のクイーンメイヴその人ではない。
正確にはその分霊、分け御霊というやつなのだ。

クイーンメイヴの見た目、能力、記憶を持ってはいるが、
別段本人というわけでもない。クローンという言葉が近いだろうか。
何もかもが同じだが、全くの別人というわけである。

掃除を進めていくうちに、喜留夫の自室へとたどり着いた。
当然、ここも掃除の対象だ。なに、入るのは初めてではない。
親しき中にも礼儀あり、だ。触っていいものとそうでないものの区別はつく。

そうして喜留夫の部屋も大体掃除し終えたとき、ふとあるもののが視界の隅に
映った。本棚の一番下に、表紙が抜かれたDVDケースが並んでいるのだ。
何かと思い、開けてみると、そこには卑猥なタイトルがでかでかと書かれていた。
アダルトビデオである。
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209名無し-Red-市民-2:2017/11/06(月) 21:16:02 ID:82S5.B9I0
Lv57で性欲を持て余してる・・仲魔になるのはパールヴァティ、ティターニアだな!

210 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:16:16 ID:lL0Te3P20

        <  r=-、  > ' ´            / /  rァ/ }v'´`i > ゝ
        >イ{r-j}ソ                     トv´ ゝイ.人K i
        廴Y/ ┘      /              ヒ=-ゞ イノ小 |
        ノiヾイ'´        /            i i   ≧三≦ .| ハ
    、 _/ィ //        i              il .il   i  升 ハ .ヘ
      ̄  ノ i .i           il     i.      i  il .il   il  |.i  ii  .ヘ
      / /       i    i  i   il       ハ .il .il   il   Ⅶ   ハ
     /            il i__ ハ.  il     .升 iⅦ   i   i.lハ  ノ ハ
      i     i    ナTl   il    il    -ハナilー -.i  il   ト ソ   i   i       『突撃!あなたが晩御飯』
      |       il    il il     il i  il i  /  il .il ilハ/ .イl   il     il {ハ
     人.     il    il ilゥ≦ミ=、 il il il / 行芯及ァイ//  小、 i  .il   ヽ      『美人婦警に密着二十四時』
     ハ.    il     il ノ/<t 」ノ ゝハi .il ハ   {辷t jrリ./イ  / il  il.   il ( ミ;,、
       V>‐  il  i  il人ゞ- 、 _ハノ ハ' ´   弋z_ソ.//  / .il  il  / ハ  ヽ     『美尻これくしょんvol3』
       } i ハ .il  ハ ト≧_>イ           イ.  /  il  il ./    i   ヽ
      ノ  .|/ Ⅶハ i i i ノ人(    _       -=彡イ   il   // i  人   ',    エトセトラエトセトラ……
     , '´ /   /  ヾハ 人 (  `ヽ           /.< ̄ ̄ ̄ ̄ヽ_il / il    ノ
   /   /        }人≧、    ー =-    イ} })    /  (  .il   (
  /ハ   /         il  ゞ >        イ∧_∧ /    /    ∧  il    ヽ
  iハ ゞ. i        ≧}人 K  /> ─ ´i   || | | .| i    .i    / ゝ i ヾ _ ヽ\
   i   .|        彡イ人ゞ  / /∧∨/ /  / / ハ     //  /ソ   \      ヽ

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そういえば、自分は喜留夫の性癖についての理解はあまり深くはなかった。
美女がいれば目で追う程度のことは知っていたが、それ以上のことは知らない。
どんな女性が好みなのか、どんな嗜好の持ち主なのか。
知っておいて損はないだろう。

ということで、アダルトビデオを容赦なくDVDプレイヤーに挿入した。
慈悲はない。
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211 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:19:18 ID:lL0Te3P20

         r─┬vイ彡'´     ̄`  ̄ ≧、_イ ミi
         |{ 人/            レイ彡Yユ ヾフ
       , ィイ >              ト、- フ /ノ  ハ
     /  ) レ       i  / ハ    ト≦ニ''` i   ハ
     i  廴/  /  i   il  / .ハ   i   )ノ  il  / ヘ
    /  / イ /i   il  il  il  i ハ  il  i   / ./   ∧
    i  ./ /i i i .il.  il   il  il  il/ V il  il .:/ ./    ハ
    l  / イ il il il.  il  il  il  il  .V il  il .イ イ i   i i
    |  i .|ィ il ilハ   il  il  il  il_ _i il ソ i  .i il  .il |
    |  | ハ .il il  -ナ ハ il ハil ノ _.l 升 il  l  .l /   . il |      ……下品な喘ぎ声。
    |  レ人 .il ilr─v彡ミV.i ハ/  ゞ7行≦、./|  .|    il .|
    |  i i  il iト- 、ニヾ Y     Y:::....::タ.イ il  .|    il .ヘ      それとも、こういう風に大げさなのがいいのかしら?
    |    ヽ  { rK炉y } ノ     ゞ=ij / 人 .|    i  iム
    |  ハ  ハ ゞッミ≧/イ 、        / /il il .|  i      ',
   人    i  \ ゝテ' ´         イ イ .il il .|  il   ハ ヽ
  /    /     ハ    ー -   ,_| | .il il ト ゝ il  イ i   )
  {   / / イ   ./  >、       | イ/イ 人升フ⌒ヽ ,'  | 、 _',
  /  ./ /  il   /  人   > _ ィ }// il  Ⅶ  /  il     ハ
. /  ./ /  イi   イ /   ̄||  | ̄ゝイ  /  r=-''ハ   人 | 、 _ ヽ
'´ / ノ / ilイ  /   { ̄_.ノ  ./   /  イ   |   il .     \
   / / / il /      ̄\ i  /   ハ  ( ⌒ヽ フ入 i  |  ヽ _ _ヽ
. /  / / ./ /         )|  {   { }  |   |-─Y  . ヽ _ _   \

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アダルトビデオの内容は、特に変わったところもない、どこにでもあるような
ものだった。男が女に跨り、腰を振っている。それだけだ。

中には不思議な服装をしていたりはするが、喜留夫が特殊な性癖の持ち主で
ないことが分かっただけでも収穫だろう。強いていうならば、尻が好きということ
くらいだろうか。

頬杖を突きつつ、メイヴは喜留夫との初夜を思い出していた。
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212 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:22:14 ID:lL0Te3P20

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   ┌──────────────────── ── ─
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                       / ;              ヽ.
                       l  U                l
                       |             ;    |⌒´⌒`ヽ、
                       !、  (○)ililili(○)  ∪         \
                           ヽ (トェェェェェェェェイ)   /⌒゛`       l:
                           / \ェェェェェ/ __ ,ノ|     ,      |
                        /   /` ⌒ ´     |.    |    ,   !
                        /    /    |  `-,,,.|"   |___,ノ   |
                       /.   /     |    |    |     ,lー─- 、
                    , --‐-ー、_/      l     ,|    |   ,/ )    )
                   く / / ァ- ,ノ      \ノ^ノ^/⌒ヽj\   /^ー-‐'
                    `ー' ー´ ̄      (_(_イ_,イ、_,ィ'´__/  ̄

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あれは、そう、三年前のできごとだった。
子供を好んで捕食する悪魔の討伐を依頼された時、
捜査が後手に回って更なる犠牲者が出てしまったのだった。

あの時の喜留夫は深い罪悪感を抱いていたようで、相当なショックを受けていた。

その夜、喜留夫はメイヴを寝床に召喚し、「傍にいてくれないか」とだけ言って
黙り込んでしまったのだった。
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213 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:24:56 ID:lL0Te3P20

!   |l | |,.>',ニ_ヽム'~l!'´|i!| !/,/ // /,ハl  /  |    ノ  | ''
|   ハ ヽ/ | Vrォゝl!ヽi| 'l!|/‐/-/ 、//! , / !  | / /   |/
|   | |!∨ ハ ゞしjイ! ヾリ!//'_/_//, \/ /!/ / !/ / /   l
|    ハ| { lヘゝ二ノ      〃,. ‐/メノ\ , ,イ/ / /     !
|   / ハ ゝニ、、           ヽ弋テノj|ノイ / ' / / /    !
| |  ! / . ヘ `冖''             ー   レ'  / / / /    l
| |  ! /  ハ      _          イ/  / / / //    |
-人 |! γフ\    `      // /  /|/ / /     |
  \ノヽ!ヽ 「ヽ!\       __ イ! /    .イ / /  ,イ|     |
  ノ L___ `ーj V ノ ̄ノ、j ̄!._ ノ レ'   / | ノ´| / |     |
  V´ 〆 , イ / `ーγ" / , '  ,. イ|γ´  _|   |       |

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メイヴには喜留夫にかける言葉が見つからなかった。
こんな状況では、どんな言葉も無粋に聞こえてしまうだろう。
かといって、このままではどんどん塞ぎこんでしまうのは火を見るよりも明らかだ。

そこでメイヴは、少しでも悲しみを忘れさせようと、肌を重ねることを思いついた。
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214 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:26:13 ID:lL0Te3P20

              / ̄rv-ーく,.  -‐…‐-  .
           / ..=くУ''"´,ノ          `
             / ( /   (             ゙Y^ヽ^Y⌒ヽ
          ' //                 (く笏Y   :,
            {/ //    /                 `アフ爪   '
            〃 //    /             ヽ     ハ]ハ  i
            ;  i;      '           }   ハ  / ノ′i  |
.          i  i|  !    i    |,」| _ !   } }    i|  (_;_) |  |
           i| ii|  || ,i|  i| l「丁 T  /|    i|.  //| |  |
         八 八,i人|ミ刈  i| ナナニ八///|    i|: .//, | |  |
          ヽく((笏Y)Y从从 行テミメ、/ ノ    リ:/,   | |  |
            }人`Y´ブ     lr'..::::ノリ刈′  ////,  | |  |
              从 ィ~ ,     ^゚ ー=/    //イイ,  | |  |
            / /八         ::://,  // // | |{  | |  |
.           / /(  i\/)ー    // // 厶=ミ| |{   | |  |
          / //. :i i/ .く ____ // //´     `ヽ   | |  |
.         / // ; / x=、 i((⌒刈//  l/         ':. | |  |
       / ,. / .:/   /`ヽ)) ノノ'   /         ' 八 .|  |
.    / / / .:{    /`Y(((i  ;′          V /\:. |
.   /  ,  /   i|ヽ.    ク ))| l i;゙               \  \人
  ,'   /  ;   i| . ハ     ∨((__| l {           _ ..ヽ  ヽ. \
  !   ;   i  :八,.〜}    }〜ヘ从     ,..    '"~´     |    ヽ \
  人  {   | 〃  \`⌒し〜)   ノ《,.  '"           ∧    ヽ  \
   \ ヽ | i{   /   、/ / /  \ \       , / / }       ヽ.  \

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頬に両手を添え、ゆっくりと口づけをした。
唇で唇を啄むようにすると、喜留夫はびくりと体を震わせた。

「どうした、急に」

「いいから」

動揺する喜留夫をよそに、メイヴは体を寄せて抱き着いた。
心臓の鼓動が伝わってくる。喜留夫のそれは明らかに高鳴っていた。
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215 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:28:11 ID:lL0Te3P20

/ / // /|ノ ゝ/ / / / / / // l ト_l_r/  / / ill / . / /  l  /
;/ / / |- └//_/ / /l /l il/ //yγ|/  l /|/ / // | /l /  /
;;/r ̄´ ̄´   ` `l_、 //l //l // / l/ | || / ;/ : l| / /// / \ /l/  /   /
;:rー´,yー´/l⌒lゞノ l/ l /l//lil / /  i |  / // / /il// |/ /  /   /
l  il 〈l〉//ヾ`\ lーl/ll/ / /l/ l  l |  / | / / /l/ / /l  / / //
l   i Y r´ ♂i  ヾl〉ーll / l l / l_/ll/  l // l ト 、/ / /l  / / l/
\τーl  l / yl  l 〉 l/l l l l /ll  //  / // / l / \ノ/ l / / //
` 〉\ ヾ y_て / l ll ll l i ll / / / /  / / / /l/\l // //
;;ー、_\_/l//ヽll l l l   l / /_,--/- /_// //  l\// //
L_ゞーヽーー´ー)l》〉il l i   l / /´ //彡==ー-/  / / // /
   ヽ l\il_/ ̄/ /´     /i/ ´ /  〃 : : ;;;;;;;;;::;;ミ‐_l/ / / /     /
   ) l `´    (/      /  / / ;∥;;;;:..  ::::::::::::::ノ/ l//      /
   !/       ´      ´ /  ´  ̄\::::::::::....℃/\l /     /
  /                         ゛゛ゞ;;;;;;;;/:://l/  /  ;/l
         ヽ_           ―       ゛゛// //   /   / l
                       ―       // / /   / /l
     、_                  ―     //;/   / l l
     \`  ヽ、                    ;/ /    /  l l  /
       ヾ__ >                ///    /  l l  /
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l  ̄`;;;;;;;`‐‐=-ー ´;;;;;;;;;;;;〈    ヽ/ /       /     /  / li
   「;;;;;;;;;;「  ̄┐;;;;;::::::::::::l   / /       /    /  / /
l  i::::::::::::::)    lーーー´ /  /        /    /   / /

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ここで嫌がるようであれば手を引こうかと思ったが、喜留夫は拒まず、
抱き着いてきたメイヴの背中に手を回して、応えるように抱きしめた。

一旦離れて、服をはだけさせる。
鏡を見なくても分かるくらいに、顔が綻んでいた。
嬉しいのと同時に、安堵していたからだろう。

メイヴが肌を晒したことに反応したのか、喜留夫の股間のあたりが盛り上がっていた。
ベルトを外し、ズボンを脱がせ、誘うように寝転ぶ。
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216 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:31:17 ID:lL0Te3P20

                           _/           ))\    {
                        ((r'ヘ      /./ :! ! !...i \  |:   ヽ
           // ̄}}\        廻}〕^    :i |::| : | | |:i:|   ヽ:|:    :.
          /}}/ ̄¨∨ヽ\     〈(( :/ ::i | | | |::| : | | |:|:|  /..::|:!\.   \
        _/ }}´ |: /.   \ヽ     〉))|  | | | | 、」_才个|:|:|: / :| :| \     \
\        /}} ̄  l/Y      :.    |  | l :| | | | | |l 笊芯刈/}/ ! :!  \     \
  \   r┴   / .ノ      |     ∨:| l :l:;r((‐、  ’之タ.}}o∧ |ヽ\           \
 ̄ ̄ ><}l_   / /-―-、    |     |八:.ヽ|〔{廻}〕   〃   |/彡―― -、 .     ヽ
:  /   ∠}_/  {    `ー― 乂     | /\i:ミ=彡<     し丿!      ∨        ::.
/   /        |        |>}   /::| : `⌒)人  <フ  く /         ∨ .       |
:    /        ノ        |´  /  :|  /: / rノヘ> ._//!         ∨       |
ヽ  /    _. イ          |  |   / // /そ└へヘr∧//          ∨    |
::|  />、                |  |:  / /   | (ノ∨><| :|〈             〉   ./
/\__/ >‐--‐/          |// /./  _ノ)⌒Yヽ<ニ! :|rУ          /    :|
|  i  /     ./        し | / イ   ノ i     i⌒Y 八 ヽ.  二>     { ヽ :   :.
|  |/     /              !    |    〕丿厂(_ノ)ノ./つ /i`┐ ―--  _ 〉 :〉.  ヽ
|  ∧.     /              ,ヘ_,へ、__ノ<ノ乂  ///(__ノ⌒´: ̄〉/  ̄\〈 |\  \
 /  :.       u           |厂}}_}}  } }   }|:.`⌒Y /!:{       \     ヽ:| : \
 |:  }   :|      ___ノ  __l_/⌒iヽ.ヽ\ }乂乂人( 乂彡     /ヽ     | :| |   i\
 |:  /     |     し⌒Y ノ_/¨|{ ̄ヽ__\〉〉 /: `) ヽミ彡'     / \ヽ     ∨ |   |
   |\    |八 __    /  |{ ̄ヽl{_/|{\}} \ \(        /|  | | |:     ∨ !   !
/   / :}  八 )(⌒ハ/┌― |{、  :|{/ヽ{: .:}__/⌒ヽv⌒)     イ  /  | | |:     ∨ /  |
    ∧ ̄ ̄ ̄ ̄/__|{   |{ \_|{   / /  rt_ノ  (___/  | /  .// :〉\    ∨  |
    / :. :: : : : :/ |{ ̄ |{\__|{/ ̄  / :〈\ .乂ノ⌒) \ノヽ /    //  \ \\.  \ : |
:   /  }:: : :/ l{ ̄|{\ l{/ ̄   /   _|\\ (_   人∧ |  //   / | \       〉/
  /  _/ ̄´l{ ̄|{\|{/ヽ!    <_// ハ  〉 \   ̄)〉 〉.乂 〈〈   / :|  ヽ     〈/
へ/ ̄ ./\_|{  |{/ \    '´     ///| l/   .)  ( \ \ `) 〉 /  |:  ∧     ∨ /
_/ ̄/\   :|{\|{    イ  u    イ ./ :| |   ( ノ⌒i\乂 | ∧./    | / .∧     ∨

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下着を脱ぎ、女陰を晒す。自分でも気づかないうちに、濡れていた。
薄桃色の割れ目はぬらりと艶を帯び、小陰唇がひくついていた。

「あっ」

喜留夫のそれもまた、メイヴ同様に昂っていた。
血管が浮き出て、亀頭は赤黒くなっている。
それを、膣の入口へと突き立てていた。

ゆっくりと喜留夫が腰を沈める。
ずぶずぶと肉をかき分け侵入してくるそれを、メイヴは愛おしげに見つめた。

「あうっ、あ、あっ」

陰茎と膣壁が擦れ合い、その摩擦がメイヴの脳髄を痺れさせた。
無意識に喜留夫の手を握る。

優しい挿入だった。
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217 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:33:51 ID:lL0Te3P20


        \ー'       ! r'"  /,' / |i `  ,      ~´ !:|ヽ:.  :. :. ト、
  J       \      !/   /,' / 八 ""  _  ""  | i-゙、  :.  :iヽ
              ヽ.    | ノ,' //⌒ \   、.)  /i :.:.:_、    :i、ヽ
  ,.イ         ヽ、  l/,:' ノ/     r{、>、__... ィ"´,クi :!´ ヽ:.  、 :.i.ヾ:、
'´~`ー-、.         ヽ.ノ__..∠=-─一;/ .:.`'`_...二ニ='~´ i. ゙!  ヾ、 :.゙:.:.、ヾ:.}
     ``ヽ、.     ヽソ.:     / .:.:./´ .:c:::.   、 ヾミ:、 u  `ヽ: ゙、リ リ
          `` ー-─-゙--、 ,.イ" .:.:,:'          ! 、`ヾヽ、   ヾ:.゙、
                  ̄`¨`ー、.:.:i            i  ヽ `ヾ:、  ゙i:、゙、
             、      ̄`¨゙ヽ!゙、          ,!   ハ  }:ヽ  !:ヾ:゙、
  ̄_フT''''   ー─-- 、:`       ` 、;| ゙:、 、   J /   /:.:i ヽリ)i  /,: Kミ:、
  .:.:.:.:.:i.         \     ヽ.:;;〉:、゙:、` ー-‐"´   /:.:,_iノ"'yノ ノ〃 .:!ヽリ
   " ィi.           `ヽ、.____.:;;:{  ヽ         / ((´ ̄川メ、ノノ.:ノ  ヽ:、
 " . "/ i.                  ツ   、      〃´"'ゝ、 ノ彡=='" `ヽ .〉ミ:、
   〃   i.                ゙        /"   ,. (:.:((       ,.:≦ミ、リ
  ,イ'、______ i.               u        . /     ,.-'"´  ヾミミヽ. -<三ミ:、彡
  |:j `````゙iハ.                       : /    /    ,: -‐ ''")))  `ヾ)))
   .}     !i                 ._ 〃´    !/      /  ー=''" r'"三彡'
   j  ,.,.,:;:;:シ:;                   ,イ`ヾ    | i ,  / `ヽ    〃(´
    、"~ ̄  :;               /:l  リ    ':l !/ r' :!  ヽ   ゞ、ゝ
     \ー- 、.._,.:        :    ,.イ : l /    `ヽ、∨/ :     ヽ
 ヽ,    \    `ヽ.._    J_,,...イ :/  : ゞ、.__   _」 V       ヽ
 ` :..、    \       ̄ ̄     /  :.  :!   ̄´,!  /____:.   /
     `:...   \              /   :.  i   /  ´   ゙〜'´

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やがて喜留夫のリズムが早くなりだした。
射精が近いのだろう。太ももをがっしりと掴み、獣のように息を荒げ、
打ち付けるように腰を振っていた。

「ひあ、あ、ああっ」

その速いペースにつられるようにして、メイヴも腹の奥から何かが沸き上がる
感覚を覚えた。

先に絶頂したのはメイヴの方だった。
体全体を震わせ、びりびりと伝わる快感の波を受け入れる。
絶頂の影響で膣が収縮し、喜留夫を呻かせた。
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218 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:34:06 ID:lL0Te3P20

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                       //////////;/
                  っ/:::::::::::::::::::::://///;//
            ゙ヽ、   ゙  "  _l.(::::テ==≪:::////;///
        l    \   _、i_   /〃::::::::::::::::::::::::///;////
        ノ!      ‘, >(´ / ((::::::::::::::::::::)):::://;/////
       (ノ        ‘、  ゙./:::::::ヾ:::::::::::::::((::::::/;//////
                ι/::ノ)::::::::::o:::::::::::lj;;;;;;//////
                 Y:::(/::::::/):::::::::::;;;;'''::::::://///
              ん)::)):::〃:::::;;;;'':::::::::::::::////
             /゜ '::::;_:/::::::;;'::::::::::::::::::::::///
             /′  .i:(ノ::::;;'::::::::::::::/:::::::::::::::::/っ
          ι'      l(ヘ;:::::::::::::::::/:::::::::::::::/    __
                  ,' ヽヽ、;::::::/:://,-‐ヘ二二二__)
                 ,'  Y  ``ヽ<_二―-、}___   。
                  /   .li   ii  ヾ)   ̄ん〜、つ o
               '  ゙ヾ、l(.   ij   ゛  /
                 ノト、っ     , '
                 U ‘,.    /
                        ‘,.u   /
                      ‘, ノ

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「ふあ、あ、はあっ……」

熱を感じた。生命の熱だ。
喜留夫はメイヴを抱きしめたまま、膣内に精を放っていた。
男根が跳ね、脈打っていた。
だくだくと熱い液体が腹の奥へと流し込まれていくのが分かる。

それからどれほどの時間が経過しただろう。
メイヴと喜留夫は結合したまま、抱きしめ合って時を過ごした。
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219 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:34:23 ID:lL0Te3P20

   ┌──────────────────────────────── ── ─
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                   , -┐_rュ     ,-v- 、 _, -z__,
                   _ / ,ィ´ ..斗-z―r-l f:! __r'_ィ7、 __ト、
                  {!」_/ / _ ノ  、_ヾ=' l !`ヽi__ノ } ヽ
               ,ィレi  ´ /   、_  ̄ ヽ:!_ー<-'´ヽ i!
                  (/ レ′ ,     i    ヽ ̄、_ノ´i`iLィ´  l
                /  〃    |     l  ヽ r' (」_    |
                   ′ /    , = 、_ノ  |  }  「`iノ    !
                  l i l _{_>-、{{ ! -――!‐i !  l ´   |
                  Lハ,イ_r'_ヘ.! 'r'└'ィチ孑z ル'l  l      l        なによ、この女、私より胸が大きいじゃないの。
                {iY ゞ'_ノ_ノ   辷シ /  l  l     |
                  7ト仟'´ '       ;  r'  、      ト、
                /  iT>、  ^   ,. イ  l:    i      l ヽ
                  /   く  t>-r__7-l l   !、   l     ヽ
                    /  /`:、_) ヽ (_   〈ヽ._ 、j   !
              / __,ゝヘ  _ノ 「 、 r< :! ノ、 }  ′ ;'
              / く‐-L.. _ 7 !>ニ<`l 厂__ ; / ,イ
.           /  , --'_ ート rヽ」>ニ<ノ_」'´ ( ル′ / l
       _ . ´ r‐' ィ- { z'Y´ト、ヽ.辷'⌒Lz'´ _r‐y┴z,  {  、   :、
  ―- '´    , ヘム 、ノヽr'__}_},ィ ヽ.厂`Yヾ. /r'⌒Y_ーュ  ヽ  ヽ
            レ ´  ! } _.「 rくiL../´フv'´f'ヽ Yi/ ,r' ノ `Yヾ!  〉  \
         /    レ´!ノ_ノfレハi L.L、ト、v'_j`ヽ._リイK`Vリハ {
  ,      〈    ' ハ _.ノ L.ム-v !l ヽト、`Y ! レ'_r‐ ' r )ヽ `ヽ.
         ∧r- 、  〈 !r-「(_  >リ ` ̄`ヽ=≧、>、__rに`!_.ノ    \

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それからというもの、喜留夫とは機会があれば肌を重ねている。
辛いことを忘れたい時、人肌恋しい時、二人で過ごしていてそういう雰囲気に
なった時、と、まあ色々だ。

アダルトビデオ鑑賞を終え、いそいそと片づけを始める。
さすがに可哀想なので、アダルトビデオの山は元に戻しておくことにした。
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220 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:37:27 ID:lL0Te3P20

、         ..イ- フi‐-/ィ γァ_へ____
  l.ゝ 、_    .イ    --- {川r-、Yi  ̄`ヘ`i
.  />r‐-i ヘ´   i    '´ |_i <ユヽノ_   リ
. 《.f .C > ト、.|イ  l!  i l ヾ  ゝイイヾ へ ∥
 f i κシイ/ノ   l  l lヘ ヘ. |!   ヾ i∥
 ゞーiト-彳i | __ l ))i! .l ヘi マ|! l  l il .{i|
.  ヘ l  l i |rイニⅤヘヾ.i  _z--、! .l  l l y.l!
  \.ヘl リ マi/fニ r\}   弋:少i! l  l. l ll...ヘ         ま、いいけれど。
   ヾl /i 人、 ニノ .}ノ         l! l  l.7∥!、.ヘ
   /.// /i lーイ(イ          ト7r、//ノ .| \ヽ
 / /i./ / i .ヘ     `.´    .イ r f´ 7`|   ヽヘ
.   / i /  iノ`ー` - 、 _   イ l />⌒ ゝ-、   i i}
 /  l i イ´  r }ヽ_ノ  ii  トイl(__     i!   i.∥
. i!  l`'} {i    >-f i_ノ⌒い⌒ rイ   i> i}   i l
 i  l! !ll マ   .) .-.||≫≪、ノ  i     l /  //
 l  li   ヘ ノ、 /ゝ′'′ゝ′とノ/     /-|.   //
 l  li    ヘ ∨         ./  r---イ   |   i l

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次は洗濯だ。
洗濯籠に溜まった洗濯物を、洗剤と一緒に洗濯機に放り込んでスイッチを押す。
次々と放り込んでいく中で、喜留夫のズボンが出てきた。

深い理由はないが、匂いを嗅いでみる。
汗の匂いはほとんどしなかったが、代わりに不思議な匂いがした。
生き物の匂いとしか言いようのない匂いだ。まあ、臭くはないのでよしとしよう。

すると、ズボンのポケットの中に重みを感じた。
何かと思い取り出してみると、スマートフォンが入っていた。
なんとも危ないことをするものだ。
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221 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:39:28 ID:lL0Te3P20

         !´Y⌒ー一'((⌒' , - ´ ̄    __  VR 〕
        ! ! ノ   fノ/二 ̄  -一ニ-‐   !ヾニ
        j  /  fヲ^レ'´ ̄             !
      . / r'===(./    /         !  l   l
      / { }_  //    /      /   !!  !ヽ   l
        ノ!‐ニ/ /!    /   l  /! .  ll   ! `、 !
      . / l / //  //!    l !!l  l ll  l ! ! ヽ !
      / l l  ! ! _._ l ll !    ! ll l  ! lll ! !  ! !
        l !  !! l'^,))l l! l 〃´ l !! l  ! f l /  !/
        ! ! l ! l// ! !! { ,f,==、ヽ、 l/ l/   /!
         |ヽ: :.ハェア┐  jf 込イ 〉>  / //
           ヽハヾ=)>   弋_.ン '´  / //!
            〉 弋/ノ}   "¨´  .// /{l i
      .     |: : }ン     xxx /´/ / .{l
            !l:.f          /  / l ll ト
            lト、ゝ  /^ヽi⌒l .i /  l ll ト、
  _y⌒ヽ-一ッ     ヽ{ r‐ |   !  ヽ! ヽ  ヾ l ! 丶
 ´      <´ .f ̄二 ヽl  }   ヽ   \`ー、ヽ、ヾ
(        }ヽ l {  イハ  !    \   ヽ   >、! \,
 ヽ   _,,ノ   | |  l } l          Y"´ !lリ.   \
  ゝ一''     { ′ ヘl !          ノ,  /
          `丶、 ',        , ィ ´ \ l  i
           ヽ `´ゝ、  , - f ´  i   ∨`丶

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これまた深い理由はないのだが、スマートフォンを起動してみた。
プライバシーを侵害しようというわけではない。ちょっと、待ち受け画面が
何なのかな、くらいに思っただけなのだ。メイヴの名誉のために言っておくと、
そのあたりの分別はつく女性である。

起動してみると、スリープ状態だったのかすぐに画面が明るくなった。
次の瞬間、メイヴは自分の顔が赤くなるのを感じた。

いつか喜留夫が、いいからいいからと無理やり撮影した、自分の顔写真だった。
正面を向いて、柔らかい微笑みを浮かべている。
あの時は意味が分からなかったが、こういうことだったのか。

メイヴは喜留夫の帰りが待ち遠しくなった。
一人で過ごすには、この事務所は少々広すぎる。
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222 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:39:49 ID:lL0Te3P20

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                         └──────┘


                           ┌───┐
                           │::::::::::::::::│
                           │::::::::::::::::│
                           └───┘


                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘


                               ┌┐
                               └┘


                                   □

                               ・

223 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:42:46 ID:lL0Te3P20

         ____
        /ノ   ヽ、_\
      /( ○)}liil{(○)\     ちげーんだよ!メディアなんかいらねえの! デスカウンターと食いしばりのセットが
     /u (トェェェェェェェェイ)  \
     |   ヽ!!il|!|!l|!!ii|i/. u |    欲しいんだって! あー今出てた!
     \u  ヽェェェェェ/   /
     /            ヽ





               /.::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::.`ヽ
                .::::::::::::::::;i_i::::l‐i-i::ハ::::::::::::i
              /.:::::::::::::/[l::|::::|,rッく::::::::::::::::l        _
        . -、ー=彡'.::::::::::ィゞ从:::ゝ ̄ }i:::::::::::::l       { \
ヽ    / /`Y´.:::イ::::::::::(\〈{`ヽ. 从:::::::::::|     { \  \{
 }.  / / /人 i{ |::::::::::::.ヽ_,_-‐=-' ノ}::::::::::::..      ∧  \
 }/ / / , く  ヽ:|::::i::::::::::ト´ -‐'  ハ::::::::::::::..    { ' .  ヽ       素晴らしく運がないな君は。
〃  ' / / ノ  ノ::l::::i::::::::::}ト.、   //::::::::::::::::.\  |、 ヽ
 、    ' /ー=彡::l::::|:::::::::「\>-='/.:::::::∧:::::::::::::`ヽ| \ _ヽノ       また来たまえ。
 : .ヽ  _/      |::l::::|:::::::::lニ厶=‐<イi::::;′:ヽ._:::::::::::人  . : : : :
 : : : : : /     |:::::i:|:::::::::ト^Y^ヽ/ ノリ:::l   ::::::::ト=ニ. __`ヽ : : : :
ー-=r '    ____」::::八:::::::.∨∧.:/彡:::::;リ .::::::::::i , , , , , /∧二ニ
ー-ァ′,.-< , , , , ,〃イ:::::ハ:::::::ハi「:.:.\l::::::i:! .::::::::::::. .:::::::/∧::{7 ノ
:∨  /∧::::::::::::/{ {八:' /}::::::|∧:.:.:.:.:从{八‐- ... _::::::. .::://.::::.Vくo
::::\, /.::::ヽ::/.:::::乂:/ //}::|リ{:.:.\:.:.:.:.)ヽ:.:.:.:.:.:.:/.:::::::∨ ::::::::::|  >'
o::/,'.:::::::/.::::::::::::/ //八l  》、:.:.:.\:.:.:.:.:.:.:.:.:./.::::::::::::V.::::::::::l/o::
:/ /.:::/.:::::::::::::::   .::::{ {:::{  || \:.:.:.\:.:.:.:.:く::::::::::::::::::ヽ::::::〈::::::::::
' .::/.::::::::::::::::::  .:::::::Vl:人 /,=   ).:.:.:.:.)ー-、:.:ヽ-=ニ二_:::::::::.\:::::
:::::::`二ニ=-、::::   ::::::::::(  //  /ー‐‐く    )'⌒::::::::::::/.::::::::::::∧::

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一方その頃、喜留夫は地獄の○×ゲームを強いられていた。
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224 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/06(月) 21:45:34 ID:lL0Te3P20

                ィ≦  ` ´ > 、
            yて必}≦      三K必}ー、
            i /           >シ》  l
            | i              !< l
            | |  :l   lハ   /   !ヽ l  ヾ!
            | l   !   ! |ヽ / ハ l  ! !  l
            | ,!  | 《/!ハ Y从イニ! 、j !   ',
            レ    {必})∨ ´廴ヌ!. l l  ∧
            l  ∧ ハ!ヽ" 、  //フノ. ノ ヽ、  !、
            / / )レ'ヽ、  、 /iイ、 ハ \ ヽ!
.            / //  r'フ i> - '´  l、 tヽ、∨ \V、
           / ( /  !/.ノ      ! ハ ヽ ヽ   !ヽヽ
         〈   /ヽ!/ ̄ヽv'ヽ   /{`ヽ∨!  ハ  l ! |
          〉 ハ ノ/ ノ  !〉      ,' / /    ! i/ /
         l  ( .V '´   |     / ,' /     ',./ /
         ∨  /      {、     r匕! !      ! /
          ヽ/  ブ`ーY: :ヾ、i: r'ニ`ヽ、 /    弋ヽ

〜また次回〜

225名無し-Red-市民-2:2017/11/06(月) 21:47:21 ID:rz0sRlkc0
乙おつ!
超2828した(*´ω`*)

226名無し-Red-市民-2:2017/11/06(月) 21:49:19 ID:82S5.B9I0
乙でした。

227名無し-Red-市民-2:2017/11/07(火) 07:02:37 ID:mWDbWuZY0

良妻してんなぁ

228 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/13(月) 01:05:12 ID:qnJxmHZI0
ああ^〜最近書けてないんじゃ〜

頑張って今月中には投下するから待っててほしいんじゃ〜

229名無し-Red-市民-2:2017/11/13(月) 13:12:42 ID:Pz/m03zA0
ゆっくり待つゾ

230名無し-Red-市民-2:2017/11/29(水) 12:46:57 ID:LK/zTekk0
今追いついた。専ブラアップデートで環境復旧中に迷子になってたぜ
またゆっくりと追いかけるからねー今作も楽しみにしてるよー

231 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/29(水) 21:28:03 ID:62n2Axs.0
なんか月が替わりそうだねえ。

単純に繁忙期なだけだからね、しょうがないね。エターはないからね。

>>230
前作からの人か、今作もすこっていってね。

232 ◆x0SRSoJXe.:2017/11/29(水) 21:28:28 ID:62n2Axs.0
とりあえず、目途が立ち次第連絡するよー

233名無し-Red-市民-2:2017/11/30(木) 04:18:16 ID:WrbfXNK20
今年度中に連絡があればうれしいね

234 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/03(日) 23:37:15 ID:vT6WJBl20
>>233
流石に一年はかからな・・・と思ったけど、今年もあと僅かか。

だいじょーぶ、待ってて。

235 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:36:38 ID:O8oZ4mbo0
メリークリスマス! というわけでクリスマスプレゼントだ、受け取り給え。

236 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:37:02 ID:O8oZ4mbo0

┌───────────────────────┐
│                                  │
│   第五話『マッドセックス〜怒りのメスロード〜』    │
│                                  │
└───────────────────────┘

237 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:37:15 ID:O8oZ4mbo0

.       / _   /.,' ., i | ;' .}  l .l .|  ';    ∧∨
     〈/ フ  .l .l ,' .| .!; /.'; l∧'; l .l、.ヽ
    ー=彡  .|  l /||l.l  ';.:Ⅳハ |N \ヽ.l_
     ト-'   ∨l|l;' ̄l¨、|ニ=ミ lト、 '∧<二、.ト、ト、
      >≠., ;!∨l|! -―tッ‐ ヽ〉.\∧‐tッ―- ヽ
      ⌒フ_,ィ.Ⅳ.|`′            \〉    /
         〈ハⅥ                〈ィ
          ヽハ        、 r‐、      从       どーも、源九郎半官義経、ここに推参いたしましたよっと。
             .};`:;.         |  ',     /-
           〈ハハ、         ';  ∨¨ヽイ⌒        おたくの仲魔ってこれで全部?
           _|.l |:.、    〜 ┤
          イ.;:|ハ .';. `:..、     ';               「いや、もう一匹デカブツがいるぞ」
        .//..::::::从l    >... _..;
     ..//..:::::::::::::::::;}        l
     `ヽ.\:::::::::::::::/|         .';
..     _Ⅹ.ヽ::::::::::| l         .
.  _x<三三ヽ 丶:::::l          ヽ
≦三三三三三ニヽ ∨:;.             \
三三三三三三三∧.∨;::. ̄ ¨>、  , < ̄.∧
三三三三三三三三ヽ∨.           .∧
【猛将ヨシツネ Lv57】
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事務所で新しい仲魔を呼び出し、メイヴとパイモンに顔合わせをさせる。
今回悪魔合体で生み出したのは、猛将ヨシツネだった。

ヨシツネ、といっても、歴史上の人物その人ではない。
英霊として召し上げられたヨシツネ本体からその霊格を借り受け、造魔へ宿す
ことで同じような能力と容姿を持った悪魔を作り出す特殊な合体によって
生み出された悪魔だ。

素材となる悪魔を集めるのには相当苦労させられたが、相応の戦力には
違いない。今後、喜留夫とファフニールと共に前衛を務めてもらうことにしよう。
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238 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:37:28 ID:O8oZ4mbo0

                     イ _ィ
                  _,--j / 厂`二ク    ,
                _,トン"       `―=イ
                シ`                ∠、
                /     __        丶ヽ
              _|〃  √ニ/三ァ'/     マ
              7/ .////,yイテ,ィ      、ヽ
              _∨// ,イ,毛/イ レ ̄メZ,ノノ| ,レ |
                 二ノ /l/ イl '    `ヽ,ノイ/lメ         なんで髪が白いかって?
       _. ―.、   イ: :´、l/l/| l    -‐=T レ |
―‐^ ‐' ̄: : : : : :  ̄ヽy: : : :⌒〉〉 、     ,,丶ヘ`、           あー、大体兄上のせいだよ。
 ̄: : \\: : : : : : : : : : \: : : // /\ ./ /7ヽ \
`丶 l : | |: : : : : : : : : : : : : : // /: : : : >,ヽl ゝヽ_ト '、
   `` : : : : : : : : : : : : : : :丶-、 l //,丶`   l  ヽ
       ` 、: : : : : : : : : : :ヽヽ  ̄lイ l ヽ\ _ ゝ _ ヽ
―― _  ,   丶: : : : : : : : : ヽヽ ll l  ヽ  ̄l   \
      ̄`l    | : : : : : : : : : :ヽヽ ll l  l _ヽ- ヽ   ヽ
.        |     l : : : : : : : : : : : ヽヽll  l  l   \ヽ   \
          ゝ   ヽ : : : : : : : : : : :ヽヾ  l  l  ///|    ヽ
        | ノl i イl : : : : : : : : : : : :ヽ|  l  |/ .// .||、    ヽ

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これが本当に、あの有名な源義経なのか。
疑念はあるが、実物がこれなのだからしょうがない。

ぼさぼさに伸びた白髪、精悍な顔つきに不釣り合いな死んだ魚のような目。
極め付きには人前で鼻糞をほじくるこの態度である。
服装は伝承通り女物の着物を着崩していたが、気色悪かったので
持っていたジャージを一着押し付けた。

そして顔合わせの際、ヨシツネがパイモンに熱い視線を送っていることに
喜留夫は気づいた。そういえば、源義経は女好きでも知られていたな。
喜留夫は一人で納得しながら、パイモンを差し出した。
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239 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:37:45 ID:O8oZ4mbo0

                       _
                  ,.  '"ヘ ` :、 ”ミ 、
               / ̄ィ'ヽ " 、 ヽ. \ _.ィis、
                 /  ,   i   ヽ. ゚:, イ:::゚:,::::ヽ.
.                /  i ,' l  ト:、 Ⅵム l::::::ム::::<
                  ,    l ,   !   ! ゚:, Ⅵム`'''i:::i::::ノ',
                イi l   l i   ト、 ト、 }ヽⅥ} ''""  ,
             `'''i l   l l   l ヽ }ィi佗了i  ',  ', 、
               イ l   l ヽ. !  V _v:iツl   l  }  ト、           ええー? しょうがないなあ……
                ! i;   :ト:、 ヽ,,,   /// リ/  .! V} }、 ゚:,
                V ',.  ト、゚:,"// 'ャ'''v} 〃:リ l  / 》ュ.___        今回だけだよ?
                  ',  l ゚:,}マ''`  `''"/ !}/ ,' ./ ヽ,. '"    )
               ≫、゚:, ゚:,゚: 'vッ ̄i:i:i:i:( l , '’   ノ   / ,'
                 /   vヽ},.-、' }   /l /、  /゚:, }   '’ , '’
               \   {-、ヽ} ゚:,ー‐'",i!  'y'  ノ    ト、
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                 / ./    !i:i:isャュ:i:i`i:、 .イi:i:i:i:i:i:i:.xi'"“'ャ''7ユ:ュ、
                   / ./ュ    li:i:i:i:`''’i:i:i>'"/:i:i:i:i:i:i:/ ,. --{ i! l ! }`i;
                     / .〈 `''*。,._!i:i:i:i:i:i:i!i:i:i>‐-!i:iト、i:i:i:iト、 ゚:,. λ}リ // /}、
                 / / ゚:,/   i!゚:,:i:i:i:i:i!:i:iノ、-}_i:i:i; \i:i:i≫''’.イ'}ノ*": : : ゚:,

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パイモンも何だかんだで好みの範疇ではあるらしく、
そのままヨシツネと一緒に寝室へと消えていった。
ちなみにパイモンはバイセクシャルである。
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240 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:38:22 ID:O8oZ4mbo0


アッー!?

       ____
     /     \
   /         \
  /     (ー) (ー)\
  |    (トェェェェェェェェイ) |
  \   \ェェェェェ/ /
  /           |

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結果は言わずもがな、である。
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241 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:38:34 ID:O8oZ4mbo0

                     . . -‐…―: : : : : :''゛~\__
            _  /:_:_: : : : : : : :''゛ : : : /ヘ : :>、
             {i:i:i:ヽ_:/i:i:i:) : :''゛ : : : : : :/⌒ :∨ : : :\
           >i:i:iJi:i:i:i:/: : : : : : : : /: :/: : : : : : : ',.:|
          //: : {i:i:⌒/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : i '. 、
            {i:/: : : |i:i:i:/: : : : : : : : /: .,:__,: : : : : :/ : : :|: :', 、
            {/: : : : |i:i/..: : : : :/: : ,,:.,;_:/|/ | :/: : :/ト、 : | : :', \
         /: : : : : l/: : : : : :/: :.^兀ぅ㍉ミ:/ : : / |/: :| : : '   \
           / : | : : :.//: : : :/: :/ ゝ八ツ   |/笊示ミ: : : : :', 「 ⌒
.   __  /..: :.|: : : : : : |/:// : :| xxxxx     じ几: : : : : : ', |
.     \   // |: /: i : :/ |: : : : : : :|.      ` xxx..Λ: /: :/Λ',|  ___       ふぅ……
.     \/   .|/  |.:/ .|: : : : :../|   ャ… ,ァ   ノ: ∨.|/ : :.「 ̄ /
   ―- 、\     l/   |Λ :/ / \  ― ,. <: /: : : : :|Λ| /く
          /   /|   /   /..:_:.:> <   |/ |: /| : |  |  <⌒
         / /        /イ「ニニ]>      |/ .|: /      >
        ⌒   _        /|'''"´ ̄ ̄ ̄ }    .|/     <
             > ⌒\       ノ|/{_   }        \``〜、、
              ⌒\             <⌒___}_       \ ⌒\
                          \/////Λ /\(⌒ヽ
                     | \ {⌒ ///////VΛ
                     |0)〉\//////////〈 i 〉/
                         \C/^"''*+ + + + *゙∨/





l// ./{  .|  |     /   ノ     {{l//\ //\ 从  !    |/⌒ヽ\////////
i/ / 八  !  !   ∧ /    从\ _\ //\{ハ |  | .!/⌒V  \//////
{/| ,〃  \{  |  //lⅩ      |///// ⌒\/l}/l∨ ∧ l|7  }}  <//////
l//|// |       !  :|///\      .| //V  ●  〉}}//| //l}从L  {{  ///////
///  从 、   V |./⌒ \ 、  八 //ミ __彡´ l/∨//l:/(⌒ || \//////
<_ イ ∧ \  V/{{ ●  _フ \  \≦ニ二斗’      /// \ 7  ム//////
l/////|///\ \ ∨ミニ二彡///| \  ‘,         \ヾ/∧  ,ノ〃  .|///////      けっ、ケツが……
jl/////////人 }\}    // /l|   \ |         ///∧  /  从{///////
////////////∨/{\      ///|     ∨ }    ヾ    /////∧/L 八////////      ケツ穴が若干裂けた……
l//////////////八  //  .///ム_, _ -= }}\      ./////////ハ | \//////
l///////////////∧      .///   _ __   \  .///////////{/{\{ム/////
/////////////////ハ////  .{{  ./二二二 、  .  |//////⌒\ル//////////
jl//////////////////\/////{ /二二二二> V {////    ‘,/////////
/////////////////////\////.´⌒ ̄ ̄ ̄   {{  /      /}\////////
i;//////////////////////∨/// ー==彡¨⌒   .//    //  ∧///////

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しかもパイモンがタチときた。
知りたくもない事実であった。
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242 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:39:14 ID:O8oZ4mbo0

       ____
     /     \
   /         \
  /     (⌒) (⌒)\      どうだった?
  |    (トェェェェェェェェイ) |
  \    \ェェェェェ//
  /          |





    フ´
  <
.  /    ,/     / // /   .
 / /  ./ /./ /}/}/! ′  ./ /
..从/ ./ / /}}/⌒\ |l/    ′ ' ./ ///|
. ∧/  /∧/  〈  ● }}/   /}/}/ / ////
   | (⌒{ ′   ミ三ニ彡   ,ィ⌒ヽ!/ ////
   |  \|//!    ,/ // ミ ● }////       たまらぬ大根であった……。
.   从 /j|/∧  ./{{ - _,/j/`≧彡イ}/′
   /{ {/|//∧ /   _ ,}}/  ,/
    八リ∧///! ∠二¨¨マ |///
  /⌒\/\/  、 _ ̄`.//
厂}      \/\    ̄〆
  |::.       \ ≧==彡
//|::::.   {⌒\`ー=≦{__
//|:::::::::. 八 \}=七{⌒¨ \

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「馬鹿なことしてないで、そろそろ今回の依頼について話して」

メイヴに脇腹を肘で突かれる。
まあ、パイモンは満足げなのでよしとしようではないか。

「おう、お前ら聞け。今回はとあるサキュバスの捜索だ」

「サキュバス? 久々に悪魔退治ってこと?」

「いや、違う」
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243 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:39:44 ID:O8oZ4mbo0

         ____
       /      \
      /         \
    /   (●) (●)  \      そのサキュバスに惚れた男からの依頼だ。
    |   (トェェェェェェェェイ)   |
    \  \ェェェェェ/   /      探し出して、告白の手伝いをしろとよ。
     /⌒ヽ   ー‐    ィヽ
    /      ,⊆ニ_ヽ、  |
   /    / r─--⊃、  |
   | ヽ,.イ   `二ニニうヽ. |

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
そう、謂わば愛のキューピッドである。
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244 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:39:56 ID:O8oZ4mbo0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         └──────┘


                           ┌───┐
                           │::::::::::::::::│
                           │::::::::::::::::│
                           └───┘


                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘


                               ┌┐
                               └┘


                                   □

                               ・

245 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:40:16 ID:O8oZ4mbo0

             <_ _,-‐/
/!   ,-‐, __         / ノ!
〃l./ ' ´ /, -‐'フ      ̄' ´/
      l/  '-‐' ´ ̄>  ‐'一'/
  /./ / ノ , '´    \ 、 、ヽ´
-'_,=彡/l__/! /!/ /\、 !l/ ‐'、
:::::: -‐y::::〃! l:/::〃:ィ:::::::::!/l 、ト、ヽ
:::/(⌒l//::/::/:::l::/l:〃、'1:,::'::ヽ__ヽ ヽl      じゃーんけーんぽい!
:::ヽ ( l:/∧:l/ヾ!l/ド, l':/::ノ、ヽ ヽl
::ハ ´ リ::/ `l_.ノ(.   ソ// ヽl/         あーいこーでしょ!
イ/ 7 ヾ!   '⌒  '一'<
.l'.  '.  `     .ヘ-ノ             あーいこーでしょ!
.         /  ̄
         /
, -‐'´<ヽ、   _ゝ
::::::::::::::ヽヽ 、_/
:::::::::::::::::::ヽヽ
-―一---┘ヽ
┬' ´ ̄ ̄  ̄
.ヽ
 ヽ
  ヽ





          ____
         /     \
       /         \         あ、今後だししただろおめー。
     /     (●) (●)\
      |    (トェェェェェェェェイ) |        もっかいな、もっかい。
     \   \ェェェェェ/ /
      ノ          \
    /´      _i⌒i⌒i⌒i┐ ヽ
    |    l  ( l / / / l
     l    l  ヽ       /

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夜の三津井市は混沌としていた。
都会の、たとえば歌舞伎町などには敵わないが、それにしても相応の夜の楽しみと
危険が混在しているのは確かだった。

駅前の商店街の裏通りではホストクラブやキャバクラが看板を光らせ、
アジア系のお世辞にも美女とはいえない女性たちがぼったくりマッサージの客引きを
している。

今回は、そんな夜の闇にヨシツネが潜入することとなった。
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246 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:40:42 ID:O8oZ4mbo0

   |  {    |     ハ   '  乂込りイ、`ヽ
   |   '  |  ミ、 i   |ハ ゞ=彡ノ/z i
   |   ヽ .!   ハ:}|i: ! {  '  i  ゞ=ソ i:!
.i   |   ハ:{.  r=彡|{|ノi  |. | ヽ  八
:|   ! >ー从_}{ i ! |.川 i{ `ヽ |   !  ハ 、  ゙
   |{ / ーヽメ 八ハ!{ !ノj_z_j   |  .'{  ヽ       いいえ、今回はヨシツネ、あなたが行きなさい。
ハ  人ハr=ミ ハ ハ   ノ从 7Zマ.く_ ' | {八
  / }込八irくイ_ノ ノ    i.i゙;;;}j ' ハk , ! i  ヽ       「あー! ヒールで足踏むのは困りますお客様あー!」
 { :{ゞ=ミ_ノ/    ,  ゞー" / ノ/  |i ゝ
.八 ∧   '' j:i ''     ノ   "″,イ./{  八 `ー
.  ヽ∧   八{_ノ、_       ./rーミ八   `ー -
   \ヽ.      ̄ ´  イハ  }vー 、`ー -
 `ヽ  \>     . ィ´,⌒´     ノ `ヽ
ハ  \  ヽハ≧=彡} `ヽ      `ヽ ハ  グリグリグリ
  丶.  \   }、 { /           ノ   }
   \   ヽ ノ iト、∨           \  '

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今回の捜索対象は、依頼人から聞いた話によれば、どうやら普段は
人間に化けて夜の繁華街で立ちんぼ、つまりは個人で客を取っているらしく、
依頼人一人の力ではどうにも探し当てられないとのことだった。

確かに、この町にはそのような女性が少なからず存在する。
もう少し都心寄りの方には小さな売春宿が立ち並ぶソープ街も存在するが、
この近辺にもそういった店はそれなりの数が存在する。

要は、夜の街に出向き、人間に化けて客を取っているサキュバスを見破らなければ
ならないのだ。
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247 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:41:41 ID:O8oZ4mbo0

                   __   >-<  。,,  ./∨
              })h、__/ __>'´_\ヽ∧:i\i{:i:i: ∨
              }:i:i<:i://  ̄ ̄    ' ∧ヽ<〉__:i:i∨_
             .<>''//  /   ∧    ' ∧ ∨\:i:i:i:i:iノ'
              <:i:i:i://  /'     '    ' ∧ ∨:i:i〕iト=イ
            ヽ/' .//   / |      .|,     !. ∧ .\>=‐'
             /' '∥ ./ { i      .| \  .! .∧  .\、
           ./ ノ '  .{ Ⅵ  !   | ィzz、、|   ∧。,,_ \≧=‐
            / {   ∧ィ≠∨  iノ.示笂ア>  .}i 、 ̄`ヽ)〕h、          ん、僕じゃダメなの?
          /  ノヽ  ∧ら斧\ ∧、乂ツ /  / i \~~~''<
         / /ィi〔 / \ 弋ツ  ' ヽ{  ノイ / /{ !   \   ≧=‐       「あなたでは、まず男性と信じてもらうまでに
        ./ ./ /: : :.//: : :.〕iト=-        /./ /:.:.ヽゝ、~''ヽ)    ヽ
        i./i/ {>''7/: : :/: : : )h。  `  ィ(:i,イ ノ!从/∧ Υ      ∨      手間がかかるでしょう? 今回は新人に活躍して
       ./i      i(Ⅵ/(イ´ {/_}!_`_´_∨ノ'Ⅵ{ノ:.:.:.:.} リ          乂
      /ノ         Ⅵ  、彡、ニニニニニゝァ ゝ‐-┤./ヽ       弋      もらうとしましょう」
      7        ヾ   ミ〈ニニニニニニフ  /:.:.У  }         }
        ノ            }==宀宀==ニニニ7  乂 /  ノ         }ヽ!
     /イ {       }   }         7 /:.:.:.)! /!     / ノリ
       Уi        丿  、リ       _,,。ゝ_.: : : :リ  |     ノ、{  ア Υ
      ノ{ 乂}        { |〕iト====≦´  }':.:.{,/  リ     ノ、{: : :}
     / 乂_リ     ヽ, .Иリノ: : : : : : : : >=i} 7__,。イ  /─≦__ノ
    /     イ~\( r┘〔__ノ'7: : : : : : : : :i{  ノイ´  }!/{/    ``〜、、 .\
  /          ` 7_ィ┘≧s。。。。s≦イ /ニ==ー┘             \
/               /、/ニニ}: : : / }ノ__/                   \

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
そのためには、男性客として自分かヨシツネのどちらかが夜の街に潜入しなければ
ならないわけなのだが、どうもメイブは自分が行くことが嫌らしい。

二人がかりで行けば妙な噂が立って警戒されかねない。
そのためにも、人間と悪魔を見分けるのには悪魔、
ということでヨシツネが行くことになった。
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248 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:41:55 ID:O8oZ4mbo0

         !´Y⌒ー一'((⌒' , - ´ ̄    __  VR 〕
        ! ! ノ   fノ/二 ̄  -一ニ-‐   !ヾニ
        j  /  fヲ^レ'´ ̄             !
      . / r'===(./    /         !  l   l
      / { }_  //    /      /   !!  !ヽ   l
        ノ!‐ニ/ /!    /   l  /! .  ll   ! `、 !
      . / l / //  //!    l !!l  l ll  l ! ! ヽ !
      / l l  ! ! _._ l ll !    ! ll l  ! lll ! !  ! !
        l !  !! l'^,))l l! l 〃´ l !! l  ! f l /  !/
        ! ! l ! l// ! !! { ,f,==、ヽ、 l/ l/   /!
         |ヽ: :.ハェア┐  jf 込イ 〉>  / //
           ヽハヾ=)>   弋_.ン '´  / //!
            〉 弋/ノ}   "¨´  .// /{l i
      .     |: : }ン     xxx /´/ / .{l
            !l:.f          /  / l ll ト
            lト、ゝ  /^ヽi⌒l .i /  l ll ト、
  _y⌒ヽ-一ッ     ヽ{ r‐ |   !  ヽ! ヽ  ヾ l ! 丶
 ´      <´ .f ̄二 ヽl  }   ヽ   \`ー、ヽ、ヾ
(        }ヽ l {  イハ  !    \   ヽ   >、! \,
 ヽ   _,,ノ   | |  l } l          Y"´ !lリ.   \
  ゝ一''     { ′ ヘl !          ノ,  /
          `丶、 ',        , ィ ´ \ l  i
           ヽ `´ゝ、  , - f ´  i   ∨`丶

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「私じゃ不足?」

作戦会議が終わり、仲魔たちをCOMPに戻した後で、メイヴにそう囁かれた。

「そんなことあるもんか」

思わず、メイヴの両肩を掴んで引き寄せていた。
単純にこれは、近頃の風俗はどうなっているのかな、という知的好奇心からであり、
メイヴを抱いている時に不満を覚えたわけでは決してないのだ。

「あら、そう」

一言いうと、メイヴは俯いてそれ以上は何も言わなかった。
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249 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:42:08 ID:O8oZ4mbo0

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                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                             │ :: │
                             └─┘


                               ┌┐
                               └┘


                                   □

                               ・

250 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:42:24 ID:O8oZ4mbo0

                  _
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             /:/,r':::::::::::/'´:::::::::::::::;:r.'´
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      .\:::::l./.i'";l// ,ゥ  \/ `/____l::::::::::::`、ヽ::i
       /::::/ .〉i;' . i {,'     l_/  .|ヽ!::::::l:::::::l ヽi        みんなに集まってもらったのは他でもない。
      i:::::::l !'.l     ー―    i'..fl   .//:::_;:ノl::::/
      リ.l::.ヽ ヽ'          ゝ゛、. '.'/i´  .l::/
       .',::::i:`:'、           '   ` // .   レ
        `、!、::/`、_   ``ヽ   /'
       ,. -‐==‐r/、      , ィ.'
    .r '´    / i//  ` 、_,., _ ´_,,. -
_ _ _l _ _ ー' _,'_,,.. - ,  ,' ̄ ,rヽ ./
-----、、― '' '' ''.,.r‐ ''"i.l ,r┴、 、_.ノ./
      、、     //   .//,'l  l==ー'-‐,
      ii   / .i.i    i.i l .l  .l   ././ヽ`ヽ、
     ii  /  i.i   .i.i  .!、 l.i  /./  .ヘ``ヽ`-=ヽ
   / ii /   i.i    i.i   ヽ! l  / i  \     `、
【人間 横島忠夫 Lv26 デビルサマナー】
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駅前広場で依頼人と落ち合う。今回は依頼人であるサマナーの男、横島忠夫と
共同で捜索に当たることになっていた。
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251 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:42:36 ID:O8oZ4mbo0

                 . イ
                    /::/>――ァ
              /. : イ. : : : ::/イ
             /. : : : : : : : : : : : : :ア
            ト{: : : : :ィ: ::///∨: : :`ヽ
            {: : : :/爪ハ/イー.∨: : トハ
            ゞヘ'   ・ マソレ-∨ :{
            八rうu≧=- ゝ_ ・_j八:!           俺の夢に出てきてウッフンアッハンした挙句、
          >ー-ミ {ゝ- `ー-ァ /
      > ´ ̄`ヽ  \/{≧::::/.ノ              名前を告げて『会う気があったら探してね(はぁと)』と去っていった
    /ー-  _      / ̄{> '⌒ヽ
    {_      /`ヽ_ / ̄`ヽ  /ー :、          サキュバスたんの捜索であーる! ちち! しり! ふともも!
     \   ./ /     ニけ マ / i \
        ̄ `ヽ/ー―-イ_ノり   ∨ |  \
          }        {     ∨.|   /{
          ∨       }     ∨{    ー.、
              ∨__.ノ   ;  ⌒ー=:∨\     ヽ
            }`ヽ     ,´ ̄     .∨ \    \
             /⌒ー-  /_  _ ー= {   \    \
          /       /{{::::::::{{:::[三三]ハ /⌒ヽ   /く





         ____
        /      \
      /         \        ちち! しり! ふとももーっ!
    /   (●) (●)  \l⌒l
    |   (トェェェェェェェェイ)   | .|     (主に尻が好き)
    \  \ェェェェェ/   //

252 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:42:47 ID:O8oZ4mbo0

              _ , - - ― ´  ̄  ` - 、_
       _ _ γて_,、//       ― 、―yミXヽ_=r= 、
      //| Kr-、|ヾ、           >ロ><ァトミヽ
       / Xヾ彡 //     |    ヽ ヾ|\テソノヘヽ`、
       | | |ト`´ノ/  |..|   .|   |  |  ゛ て‐<ゝ` |
       | | |`、/ | / | |  .ハ|  ヾ  |   ヽ |ヽ ||(`  |
        | | /ヘ/ | /  .| |  | |ヽ  `、_._|_  | li `、\|| |
       / | .ハ .| |  |大-.| | .|、  .|ハ | |  | | |  || |
      ,/ ///  || | ノレハ,、|、\\ハi_, =-、 | | .| |  | |      ……今だけは他人の振りをしていたいわ。
     / / /イ  | | .| Kr/マア冫 ` `´イ::..::ハ | | |  | .|
    / // / | | | ヘ Y`.ヾ斗ソ     弋;;ソ / .| .|  ヽ .|
  / / / /  | | |  ヾ|ト, ゛´゜       ノイ |  |   | .|
 / / //イ .| | |  ヽ) >    _ _ U ノ彡/  /    `、ヽ
../  / /  |  | | | |  |ノ i |>、   ` ´  /イ / ./ /     `、\
/  / イ  / |  | | | |l  y | | r-ノ> - <  |/ / /        ヾ`
|  |  |l ..  || |  | | /| .| | \>_)(⌒)(\ノ/ / /`、,_ /`´ |_ ヾ \
|  |  || |  |ヾ   X .| .| |_ , )、ソ (  ) ( / /テアノ ̄r/./ ヽノ   `、

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時刻は午後十時。既に日は落ち、空には藍色の幕が引かれていた。
もちろん、星は見えない。もしかしたら、喜留夫は本物の星空を見たことが
ないかもしれない。が、それは今はどうでもいいのだ。

今回は星探しではなく、女探しなのだから。

若干引いているメイヴをよそに、横島忠夫の語るサキュバス像に耳を傾ける。

「髪は膝まで伸びたスーパーロング! 色は青みがかった黒!
欧米人じみた顔立ち! ゴスロリ! 名前はストッキングちゃんだ!」

なるほど、これだけ聞けば簡単に思える。
だが、相手はサキュバスだ。姿を変えるのは夢魔の得意技である。
故に、直接本性を現してもらうほかない。どうするかといえば、体を重ねるのだ。
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253 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:43:06 ID:O8oZ4mbo0

                   ヾ:.、!::::::::::::::::::::::l!:::ヽ
             lヽ `ミ:ー─‐‐':::::::::::::::::::::::::::::::::::::Yl!
            ',:::`ー─':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j!:l
            ヽ:::::::::::::::::::::::::_::::::::::_::::::::::::::::::::::::::リ
            /::::::::::::::::::/´-\::::!ヾ:::::::、::::_:::::/
             ,ィ:::::::::::::::/l/、=≡=.、,レ´ヽ::!\ }::ヽ
           l/!:::::::::::l!===ヾ}l!{/ ⑪ lノ l`':::::ゝ
             l::::::::::::l! ⑪  Yl!ゝ-=== 、 レ´`iノ
            ',:l!::::::::!_,ィ==<{ .:: _,, イ`゙リヘ !         今回は俺のおごりじゃー! ヤッてヤッてヤりまくれーっ!
             .l∨!:ハll!!''"__ ,, - ´,, v-! /イ /
              ゝ !ヾ ̄,, -.:.i´!:!:!:!:!:l /ー‐'           ただし限度は十万円までな! それ以上は無理っ!
               ヽハ ∨!:!:!:!:!:!:!:!:l:l://:::;リ
                  、',!:!:!:!:!:!:!:!:!://::ノ'             俺の財力と精力的な意味で!
                   、辷_!_!_!_l// |
                     /`ー--‐¨   |  _ ィ 7
          __        /::::::::|      | ̄  ./
       ,ィ´:::::::::>..   {::::::::::: |_____.   |ヽ  /
      j:⌒ヽ::::::::::::::::>-'ー─‐ :::::::::::::}l  /l | |
     /:::::::::::i::::;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::θ:/ !∨ .! ! ー‐‐ァ
    /:::::::::::::::::l:::i!::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{ ! |!ノレ'.l   ./ゝ----- 、
  /::::::::::::::::::::: l:::l!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::八 ゝ- 、ヽヾ ./:::::::::::::::::::::::::
/::::::::::::::::::::::::::::l:::l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\   ヽ l!/l::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::: !: !:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ :l l':リ::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ ノ/::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::/ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::( ):::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::: /   ∨:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::/      .∨::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::: : /         ∨::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

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費用は依頼人持ちなので、下手な相手は選べない。
そのあたりの目利きは、ヨシツネの目に頼るしかないのが現状だ。

当のヨシツネは準備万端、勝算万全といった様子で、不敵な笑みを浮かべながら
腕組をしている。煩悩が見えざる炎となってめらめらと揺らいでいるかのようだ。
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254 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:43:27 ID:O8oZ4mbo0

         ____
       /     \
.    /       \
.  / /) ノ '  ヽ、 \     このあたりの相場だと、立ちんぼなら一時間一万五千ってところだな。
  | / .イ '(ー) (ー) u.|
.   /,'才.ミ)トェェェェェェェイ)/     ああ、ホテル別で、だ。デイユースで利用するにしても、総額二万は飛ぶと見ていい。
.   | ≧シ'ヽェェェェェ/ \
 /\ ヽ          ヽ    となると、ホテルだけ取ってとっかえひっかえするとなりゃ……





   |  {    |     ハ   '  乂込りイ、`ヽ
   |   '  |  ミ、 i   |ハ ゞ=彡ノ/z i
   |   ヽ .!   ハ:}|i: ! {  '  i  ゞ=ソ i:!
.i   |   ハ:{.  r=彡|{|ノi  |. | ヽ  八
:|   ! >ー从_}{ i ! |.川 i{ `ヽ |   !  ハ 、  ゙
   |{ / ーヽメ 八ハ!{ !ノj_z_j   |  .'{  ヽ
ハ  人ハr=ミ ハ ハ   ノ从 7Zマ.く_ ' | {八         あら、どうしてそんなに詳しいのかしら?
  / }込八irくイ_ノ ノ    i.i゙;;;}j ' ハk , ! i  ヽ
 { :{ゞ=ミ_ノ/    ,  ゞー" / ノ/  |i ゝ          まさか利用歴でも?
.八 ∧   '' j:i ''     ノ   "″,イ./{  八 `ー
.  ヽ∧   八{_ノ、_       ./rーミ八   `ー -       「ねえって! 客引きで一時間一万五千よーって声かけられたことあんだよ!」
   \ヽ.      ̄ ´  イハ  }vー 、`ー -
 `ヽ  \>     . ィ´,⌒´     ノ `ヽ        ふうん……嘘だったら、後で覚えてなさいよ?
ハ  \  ヽハ≧=彡} `ヽ      `ヽ ハ
  丶.  \   }、 { /           ノ   }
   \   ヽ ノ iト、∨           \  '

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
メイブの目が笑っていない微笑みが腹の奥に刺さる。
無論、利用したことなどない。この十年、自分が抱いた女はメイヴただ一人だ。
それ以外の女に手を出す気など毛頭ない。自分にはメイヴだけいれば十分なのだ。

と、口に出すわけにもいかず、どうどうとメイヴをなだめる。
流石にこんな小恥ずかしい台詞を面と向かって言う度胸は自分にはない。

その時、ふと、喜留夫は思った。
自分もメイヴも、一度でも相手のことを好きだと言ったことがあるだろうか?
いや、ない。苦楽を共にし、体まで重ねたが、それだけは口にしていなかった。

喜留夫はメイヴに惚れていた。
何年も前から、メイヴが心の支えであり、彼女といる時間以上の安らぎなどなかった。
まあ、確かにメイヴは少し恐ろしい女だ。強かで、怒らせると敵わない。
今でも若干尻に敷かれている節すらある。

それでも、メイヴのことは強く愛しているつもりだ。
だが、それを一度でも口にしたことはなかった。

メイヴも同様に、自分の愛情表現に応えてくれてはいるものの、
はっきりと言葉にしてきたことは一度もなかった。
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255 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:43:45 ID:O8oZ4mbo0

              >-                  `'´ムィ
             '⌒>                   ´ ノ
             _/ ィ イ  l l、 、   .ト  、     ‐'、
            `y' / l/ .l イ/! l ソ丶 ト、ヽ\ヽ 、 .ト、  「 ヽ
              V  l/∨ l リ ヽ `\ \メ \癶l ヽ,斗‐,
            ト ┘ ,/ !    `、l l`  、 ヽ、` ヽ r-'ヽ 彡'
             ̄7,、::::l∧/l/从 ',ヽ::ヽ\ヽ:::ヽ   l^ヽ::\_
             l' ヽ::::::::N'三从  ! ≦三__ハ /∨リ ソ::::厂
               ムl::::ト `´ \ト`、 `´   .癶ィ/ノ:::::::::ヽ           まあまあ、その辺にしときなさいって。
                /∨ハ.   l         /イ'::::::ヽ ̄
.                   ヽ  ' 、 -  ,、   / !::/`‐- 、__           行こうぜ、横島の旦那。男たちの極楽浄土へとよォ!
                 ___.>、‐ === '   / .l:::l 厂`‐-/
                 l rー- '´レ,、  ̄   イ   ∨ノ:::::::::/
.                 l l::::::::::::::::l `  ´      //:::::::::/
                 l l:::::::::::::::l         //:::::::::::::>⌒  、
                  l l:::::::::::/'        .//::::::::::/     .>‐、_
            _ -‐'::::´:::::l l::::::::::l_   __.//::::::::/     /  ,   `
        , -‐'´::::::::::::::::::::::::ヾ :::::::::l  `  '    //::::::/     /  /
        /:::l::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ ::::::l      ノノ:::/     / /./ /
.       /::::::!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ :::!    //:/     / ./   ./
       l::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ !    /./::/     /  /   /

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少し、ほんの少しだけ、不安になる。
メイヴは自分をどう思っているのか、言葉にされたことはない。
それが何を意味するのか。

不安の種を抱えたまま、喜留夫はヨシツネたちを夜の街へと送り出した。
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256 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:43:59 ID:O8oZ4mbo0

〜二時間後〜
         ,.ィ,.イ ̄::::::`ヽ、
       /::::::::::::::::::::::::::≦..、
ヽ,、   ,ィ ⌒ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
: :';:',_,:'> ´  ̄ >ヽ::::::::::::::::::::::::::\
: : i:} ./   ミil  il 〉::::::::::::::::::::::ヽ
: : l:レ     .ミil ・ il/::ァ::::::::::::::::::::::',
: : i:l      ミil   ilイ7::::::::::::::::;:::::::',
: : `{   /i 、   二レ:::::::::::::::::::',ヽ:::',
ハ: : l,  \| ミil  iトノ::::::::::::::::::::,::', `ヾ、
: :l: :」\    ミil ・ il ̄テ::::::::::::::::',ヾ、
: :l!: ::} . \  ミil  」/:::::::::::::::::::::::'、
 ̄ ̄.     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄





i////lフ´                     /////
i//l<                       ////
//j/     ,/     / // /   .       /////
/l/ /  ./ /./ /}/}/! ′  ./ /    /////
:l从/ ./ / /}}/⌒\ |l/    ′ ' ./ ///|/////
ムl∧/  /∧/  〈  ● }}/   /}/}/ / //////////
///l| (⌒{ ′   ミ三ニ彡   ,ィ⌒ヽ!/ ///////////
///l|  \|//!    ,/ // ミ ● }////////////
///从 /j|/∧  ./{{ - _,/j/`≧彡イ}//////////
///l/{ {/|//∧ /   _ ,}}/  ,//////////////
////八リ∧///! ∠二¨¨マ |//////////////////
///⌒\/\/  、 _ ̄`.///////////////////
厂}      \/\    ̄〆///////////////////
  |::.       \ ≧==彡/////////////////////
//|::::.   {⌒\`ー=≦{__ ///////////////////
//|:::::::::. 八 \}=七{⌒¨ \//////////////////

257 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:44:16 ID:O8oZ4mbo0

                   ..-‐  ¨ ≧ァオ¨_ミ:x.__
             ,ィニjァ='ィ     ⌒´辷彡ス `Y
           r:ヘ.Yツ / /   i l i ヽ  ` ヾ) i |
           トi ,ィ/ ′ i l l l | | l .ハ  ((  | !
                | jヘトN i  | | ィ7从┼l‐-i!  }` !リ
                レ′ l  Vアフ彡ィ/ j」⊥j、! イ  ハ、
           /   八 くヾrjYtリ  ´ヒ:z:ノ;7 /   Y ヽi              死んでるわね。
             /   /  ヽ卜辷r" :   u. { ! ハ    ト-ミ: ____
           √ァ’ /   トミ Ⅵ(   cっ   人ヾ {  , マ≧ レ==ミ`ヽ
          /〃 /イ ャ‐ミxヾ:`へ、_ ..√てハ>"{  ヽノノ     ヽ\
       人{/ /  }   }rリ)  r' `’ ) _/   `ヽУく       )/
  .-一=彡 ハ /r‐ "  ,ィ Yヽ辷彡= _厂Y `う     レ/ \   ー=彡
ィ´   ̄   /ヾく  |  =彡  リ_ / > < 1| {:_  /イ\  丶
 /   /  /\-ィ    「ぇ≧z\_/ィミУ { 〃´  /ヽ   \
/    〃   ′  Y      | " ヾ ̄  ̄ /_  }.:′   /   }     ヽ
    .ィ   i {   Lk、   !         ¨_ノ /=ミ    〉/⌒ヾ    ハ
 / {     ヾ:、  r'¨ ` rァヘ:、   ヽ  しぅ〃 : ヾ ∧     }l   /
く  八     ヽ/   /ソi } ` :.、  }  ソイ}    }  i   〃 /
 ハ   ヽ   r='=<r彡八V_ ==≧<ア/ ¨{/    ト、  v/イ 八





           / ̄ ̄ ̄ \
       ./  u.       \         何があった! 返事をしろ!
      ./    (○)ililil(○)i
      | u.  .(トェェェェェェェェイ)|         ヨシツネェーーーーーッ!
      \   \ェェェェ//
     /  ⌒ヽ      (
    / ,_ \ \ /\ \  て
     と___)_ヽ_つ   ヾ_つ. そ
                 ガバッ!

258 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:44:32 ID:O8oZ4mbo0

         ,.ィ,.イ ̄::::::`ヽ、
       /::::::::::::::::::::::::::≦..、
ヽ,、   ,ィ ⌒ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
: :';:',_,:'> ´  ̄ >ヽ::::::::::::::::::::::::::\
: : i:} ./   ミil  il 〉::::::::::::::::::::::ヽ
: : l:レ     .ミil ・ il/::ァ::::::::::::::::::::::',
: : i:l      ミil   ilイ7::::::::::::::::;:::::::',        えがった……もう出ねえ……
: : `{   /i 、   二レ:::::::::::::::::::',ヽ:::',
ハ: : l,  \| ミil  iトノ::::::::::::::::::::,::', `ヾ、
: :l: :」\    ミil ・ il ̄テ::::::::::::::::',ヾ、
: :l!: ::} . \  ミil  」/:::::::::::::::::::::::'、
 ̄ ̄.     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄





i////lフ´                     /////
i//l<                       ////
//j/     ,/     / // /   .       /////
/l/ /  ./ /./ /}/}/! ′  ./ /    /////
:l从/ ./ / /}}/⌒\ |l/    ′ ' ./ ///|/////
ムl∧/  /∧/  〈  ● }}/   /}/}/ / //////////
///l| (⌒{ ′   ミ三ニ彡   ,ィ⌒ヽ!/ ///////////
///l|  \|//!    ,/ // ミ ● }////////////       地雷引いた……
///从 /j|/∧  ./{{ - _,/j/`≧彡イ}//////////
///l/{ {/|//∧ /   _ ,}}/  ,//////////////       顔だけはよかったんだが……
////八リ∧///! ∠二¨¨マ |//////////////////
///⌒\/\/  、 _ ̄`.///////////////////       アソコがめっちゃ臭かった……
厂}      \/\    ̄〆///////////////////
  |::.       \ ≧==彡/////////////////////
//|::::.   {⌒\`ー=≦{__ ///////////////////
//|:::::::::. 八 \}=七{⌒¨ \//////////////////

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そこには馬鹿どもの死体が転がっていた。
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259 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:44:48 ID:O8oZ4mbo0

     ____
   /     \
  /         \        しかし、二人とも外れか……
/     (●) (●)\
|    (トェェェェェェェェイ) |      横島はともかく、ヨシツネも外すとはな。
.〉     ∩ノ ⊃  /
(  \ / _ノ |  |        それっぽいのを選んだんだろ?
.\ “  /__|  |
  \ /___ /





 / ./{  .|  |     /   ノ     {{l//\ //\ 从  !    |/⌒ヽ\
./ / 八  !  !   ∧ /    从\ _\ //\{ハ |  | .!/⌒V  \
{/| ,〃  \{  |  //lⅩ      |///// ⌒\/l}/l∨ ∧ l|7  }}  <
.  |// |       !  :|///\      .| //V  ●  〉}}//| //l}从L  {{
  /  从 、   V |./⌒ \ 、  八 //ミ __彡´ l/∨//l:/(⌒ || \
<_ イ ∧ \  V/{{ ●  _フ \  \≦ニ二斗’      /// \ 7  ム
     |/  \ \ ∨ミニ二彡///| \  ‘,         \ヾ/∧  ,ノ〃  .|        いや……それっぽいのがいなかったから
       /人 }\}    // /l|   \ |         ///∧  /  从{
         ∨ {\      ///|     ∨ }    ヾ    /////∧/L 八         とりあえず好みの娘を……
           八  //  .///ム_, _ -= }}\      ./////////ハ | \
               ∧      .///   _ __   \  .///////////{/{\{ム       「もっぺんパイモンにケツ掘らせっぞ」
.              、////  .{{  ./二二二 、  .  |//////⌒\ル
                 \/////{ /二二二二> V {////    ‘,
.               \////.´⌒ ̄ ̄ ̄   {{  /      /}\
                      ∨/// ー==彡¨⌒   .//    //  ∧

260 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:45:05 ID:O8oZ4mbo0

            ____
          /     \
         /         \
       /     (●) (●)\
       |    (トェェェェェェェェイ) |        しっかしどうしたもんかね。
       \    \ェェェェェ//
        /⌒ヽ   ー‐    ィヽ_        予算的にも次がラストだ。
        /  、     、  〆ヾ ̄ `i
      /  /      ゙  lヾ_ ,|ヽ─ヘ     それで引き当てられるかどうか……
      /  /l         `、´/     ヽ
     /  / ヽ  ,____   `  ,ヽ  ヽ
   -─ヽ イ_ ヽ /     ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ Y   ゝ‐-、
  ( _i _i_ト、__)  ヽ、___⊥____ノ 「___ノ





        _ .....  、
    \ -=:::::::::::::::::::::ヽ)\
     >⌒:::::::::::::::::::::::::::::ヽrν
  ,.-=ニz:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}
   ,/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i,..、
 /i/;'::::;:::::::;'三レ'三二ニコ::::iミヽ\
/   」::::|{::::;'<=二iiiiiiiii⌒;::::::::ト、  >     ……それなんだけどさ。
   / ヾ;{ .>'iiiiiiiiiiiiiiiiiii;' ’j::::::::ト、 ̄
      `ァi_,ji!ii;'ii; 〈:::!`'`
       i! ヽii_ii!i!  ツ.>、
       ji    ) //  ',
          ///, 、  ', ムクリ
           ヒ/. / .ヽ  ',
          }  ./   .ヽ、.',

261名無し-Red-市民-2:2017/12/25(月) 19:45:37 ID:5R/d4qaM0
ハズレをひいたのか…

262 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:46:08 ID:O8oZ4mbo0

/::::::::::::::::::.              :::::::::::::::::::::::::::::::::l/::!
::::::::::::::::::::::/.....::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...:::::::::::::::::´::::!
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/l:::::::::::::lヽ::::::::::::::::::::::、:::::::::::::::::::::::::!
::::::::/::::::::::::::::::::::::::/:.:!:::::::::::::!:.:.\::::::::::::::::::ヽ;:::::::::::::::::::/
../:::::::::::::::::::::::::::::/:.:.:.l:::::::::::::|==-ヽ;::::::::::::::ハ::::::::::::::::ヽ
/::;::::::::::::::::::::/:::::/二ニヽ;::::::::::!二二ニハ:::::::::::l:=i!:::::::::::::::::ハ
::/::::::::::::::::::/l::::/二 - 、\:::::l___.l::::::::/__i!::::::::::::::::ヾ
/:::::::::::::::::::l .l:/ ̄ ̄ ̄ij`  ヽl   ij  |:::::/   |:::::::::::::::::::」
::/l::::::::::::::::|             u      .!::/  ,ノ::;:::::r-xて
 从:::::::::::::!           、   ´   レイ::/ / l       今日はもう、これくらいにしねえ?
   \r 、| 、     ,ィ : : : : : :ヽ ___,  レ',イ ./
     l .ト   ー  ''"   l       l l l l  ソ ./
     ヽ i                     l l l l  //
     ` ァ-,、           _        , ´
    _/  八      r   ´  /    /
   /   /  .>  _    ー  - '  , イ
  ./   /        l   ー  一     .l
  /   ー- 、   .|             |
 f     -亠xr、―'            ーエ= 、_
 i!       l              /: : : /:.:.:.:`ヽ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「どうしたんだよ、急に」

「いや、なんか、俺が追っかけてるのって悪魔なんだなって、人間の女抱いてて
実感してさ。気持ちよさとか段違いだったし。それでそのサキュバスを見っけて、
OKもらえたとしてさ、幸せになれんのかなって思っちってよ。
親とかにも紹介できねえし、一緒に歳も取れねえし、価値観とか全然違うだろうし」

どうやら、横島は賢者タイムに突入してしまったらしい。
性欲を発散して冷静になったということだろうか。

喜留夫は少し考え込んでから、横島に語り掛けた。

「あのさ、人を好きになるのに必要なものってなんだと思うよ?」

「そんなもんあんの?」

「ねえよ。必要ないんだ。けれど、好きになった後はどうするって話だ。
相手を幸せにするために、自分が何をできるか、何を犠牲にできるか、ってな。
時間を犠牲にするのはもちろん、財力や権力も求められてくる。
人を愛するには、勇気と覚悟がいるんだ」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

263 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:46:29 ID:O8oZ4mbo0

            /|  ,-
           /.:.:.:|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ、
          /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..\
        .ハ l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:\
        |.:.ヽ|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\、.:..ヽ、
        ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:___/.:.:.:_/7.:.:.:.:.:.:.:.:.}.:.:.:ハ.:.:.:.:.:.:.\\l
        ,,>.:.:.:.:.:.:/三/.:.:.:/三/.:.:_,,メ、/|.:.:.:.:l.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
     ,,=-ァ'´.:.:.:.:.:.:.:/-‐:|.:.:/  ̄フ, '=--く`ヽ,/.:.:__/.:.:ハ.:.:.:.:.:.:|
  _ノ;;;;;;;| /|.:.:.:.:.:.://^l i /  r'/l   /  /.:.:,,イ.:.:..::.:|.:.:.:.:.:/
  ヽー-ァ;;;;;;;j|.:.:.:.:.| i´j i/   ! トj     /,,イ |,〉.:.:.::ス.::.:.:./       勇気と覚悟……
     /;;;;/;;ヽ.:.:.:ヽ、ヽ    ヽレ_   ./i/ / .|.:.:/ l.:.:/
    /;;;;;;;;;;;;;/.:.:.:.:.:.:`T   ""      ヽ_/  .レ   |/
    `ー-=..l /i、.:.:.:.:...>、         ./j
        y  ソ|.:.:.:.:/ \      ⊂ァ ノ
          /`ヽ=/、_  ヽ、    ./
         /      `''7 `7-<7
     r=--=''´  ヽ、   ∥ ./  /
  ,,=-'⌒`''ヽ、_=ニ=<、 ∥_ \./_
../        \   ヽ  \ヽ | >ハ





         ____
         /     \
.     / (ー)  (ー)\       で、どうなんだ? お前は勇気も覚悟も持ち合わせていないってか?
    l^l^ln (トェェェェェェェェイ)\
    ヽ   L \ェェェェェ/  |      このままやめんのか?
     ゝ  ノ         /
   /   /         \
  /   /            \
. /    /         -一'''''''ー-、.
人__ノ        (⌒_(⌒)⌒)⌒))

264 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:46:41 ID:O8oZ4mbo0

         >:::::::::::::::::MN::::::::::}
       >:::::::::::::::::::::::::::::::::::i
       {/!:::::::::::::::::::::::::::::::i ̄`=、_
        ノi!ヾ:o:::-'´hフリ: : : : : : :.ヽ、
        i:.:、、iヾ__η,.イ: : : /: : : : : :} i
        i: :.ヾ`  .{ /: : : :{: : : : : : i l
        l: : :`ヽ、 i、\: : :.>/:⌒ヽ.i i          喜留夫さんよお……
        l: : : : : :ヽ ノヽ_ 〕: :.l: : : : : l ヽ
       i i   i: :.f´: : : :.`.、/: : : : : :l  `、
       i !: : : : i: : :`、: : : : :.l: : : : : : :l: : : :〉
       i i: : : :./: :::::::...、: : : : l: : : : : :i l:::::/
       / i: : : i : :::::::/ヽ、: :l: : : : : :i l::イ
       i i: : : i ,:./: : : : : :`ーl: : : : : :i .l:.i
       i i: : : :i´: : : : : : :ヽ、i i: : : : : :i .i:.i
     /l i: : : i: : : : : : : : : :.` -!: : : : : i .i:.:!
   //├-‐-i┘: : : : ;.。-'´ ̄i l: : : : :i i┘
  //: : : :i_;_i _,.。-'´: : : : : : : :i i: : : : :i l
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 ヽ ',: : : : : :i  ヽ: : : :_,.。-'"´ 〕__{ ミ彡ヾ’
__ゝ、ヽ: : : i i i rゝ、'"   r'"´ ミ  >ミミ彡 }_________
 ̄ ̄ ̄t==`ー'-'’z ̄ ̄`ー─=≠___ノ//////////〉 ̄ ̄ ̄ ̄
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___________ ̄`∠//////////////////////////////
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::::::::::::::ヽ/ニi:::::::::::::i!三ニ\::::::::::::::::i/、、::::::::::::〉:::::
:::::::::::::::/.\-ヽ、::::::i!―‐ァ-\:::::::::::i'  ヽV:::::::/::::::::
::::::::::::/~  \ \:::', ./   .>、:::i  ~i!V::/:::::::::::
::::::::::::{    ~\ iヾ{/  /  ヽ:!   il .V::::::::::::::
:::ハ:::::ハ   (:)  V{ (ト ,イ~  (:) '   ~} .}:/⌒ヽ
::i ',::|ii'~,     ’    '        /ii.j/ /⌒ .リ      んなこと言われて引き下がる男がいるかよ……!
`! { `} l|||iiiii≡=-  〉}   -==≡=-iiii~il|!|! {´) /
. ', { ! ||||ii|   //         ii|||ii||| / ) /:!
 ヽ、',      \',       __ 、     .ィ:::::|
   `.ゝ、 '´t‐- ――――=〜/ ' /ー::':::::}iハ/
     \  ー――――‐一≦  //:::∧/ヽ:|

265名無し-Red-市民-2:2017/12/25(月) 19:47:20 ID:5R/d4qaM0
引かないのか

266 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:48:19 ID:O8oZ4mbo0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                               └┘


                                   □

                               ・

267 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:48:33 ID:O8oZ4mbo0

                       ト lヽ ヽ、 、
                  ,  \ー-ゝ`’ `ーゝヽl lノ,
                 __ゞイ´ `        ´⌒ー彡
                 _> ,           、 _ソ
                  ̄,ゝフ´ ̄l/l/l ∧lヽl\ヽヽ \
                 /ィ´  l l /l∨ \l\ヽ 、ヽミリ`
                 /1, i. lW 、ヽ_ 、 ,`\ヽlリ≦
                   彡 l リj、ミ、|.≦..ヾl/l , ト、<-‐-、__
                   从レ.tテ`ヾ. `′  リl〃:)).>‐.7  ヽヽ、
                    コw 〈 ,      ' .)ノy'/:/   / l ` 、        ……いたぜ。
                   /::::::::、 _ _     .厂y/:/  /      ` 、
                  l::::::::::::::::、 ニ`   , ' / :::/  / /        ヽ    人間に化けてる悪魔だ。
                  」:::::::::::l:::/ヘ__,. '、 <<::::::/  /:/
                 l:::::::::::::ヽ`=、::::::::::::lヽ. ゞ::/  /::/               捜してるサキュバスかどうかは知らねえが。
                 /::::::::::ー-ミ、::: ̄`==ヾ '´〈:l  l:::l
.                /::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::ヾ::、l ll  l:::!
                / ̄´:゚ 、^ヽ:::::::/ヽ:::::::::::::::ヾ,ll:!  l:l      /
               y' ̄` ‐-、ミ∨  \::::::::::::::ヽl  リ    /
               /      /'     `‐-、:::::::::l  l_, -'´     /
              /  -‐…‐、/        `ー,:::l/       /
               l       \_        ヽ       /
             /ト        `  ̄_`‐-、,-- 、  l     /
            /:::::::\          `  、::::>:::::`l_ __
           /::::::::::::::`::.....、          ヽ::::::/\

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
そのサキュバスは、一時間しないうちに見つかった。
ホテル街の端で、寂しそうに夜空を見上げる若い女性が一人で立っていた。
ヨシツネに言わせれば、悪魔が人間に化けているらしい。

横島が近づいていくと、女性はそれに気づくなり、変身を解除した。
生体マグネタイトの光が体を包み、気づけば横島が言っていたロリータドレスの
女性へと姿を変えていた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

268 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:48:50 ID:O8oZ4mbo0

                /¨` <
                 /     \     __
             _,.ム.:::::::: ̄ ̄:::`::<       7
           ,.::'".::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\    /
          /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ  /
         /.::::::::::::::/:::::::/::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::マ /
        /.::::::/::::::/::::::::::/:::::::::l::::::l::::::::::::::::::::::::::Y
         /.:::::/:::::::/:::::::::::;.:::::::::::|:::::l:::::::::::::::::::::::::::::l
        ∥:::∥:::::∥:::::::::::l:::::::::::::|::::l::::::::::::::::::::::::::::::l
      j:::::::j:::::__jL;:::::::::::|:::::::::::::|:::l::::::::::::::::::::::::::::::::l
      |:::::::jハ斧うミ`¨ ''''ミー-、|:::|:::::::::::::::::::::::::::::::::l         あら、あの時の。
      |:::::7i:i:lヘ,j;;;;)゙    ア゙う心ミj:::::l::::::::|:::::::::::::::::::l
      j:::/i:i:i:i!   ,:    弋ノ イ::: |::::::::!:::::::::::::::::::::.        本当に会いに来てくれたのね。
        |fi:i:i:i从  丶       |:::::|::::::::|:::::::::::::::::::::::.
       |!i:i:i:iji心, 丶 __ ,   j::::::|::::::::|::::::::::::::::::::::::.
      ji:i:i:i:/|i:i:i:i:>、`__   ,.ィf}::::::l:::::::::l:::::::::::::::::::::::::.
      |i:i:i,. '' 二二二>-、 マ゙_''_ノ|::::::l:::::::::ト、::::::::::::::::::::::.
      |/7'"     r、 \ Yj|_ ノ!::::::l:::::::::| `>:::::::::::::::.
       |{ { ーァ´二ヽヽ\ ゙; Vー‐'''|:::::::ト::::::ヽ∠ノ::::::::::::::::::.
        | }, yf'/  \ )}ヽ )ノ Y  l:::::::| \;;;ィ´::::,. -‐‐、:::::::.

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
遠目にメイヴとヨシツネと固まって見ていると、しばらくして、横島忠夫が
後ろ手にサムズアップしてきた。

依頼達成だ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

269 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:49:02 ID:O8oZ4mbo0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         └──────┘


                           ┌───┐
                           │::::::::::::::::│
                           │::::::::::::::::│
                           └───┘


                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘


                               ┌┐
                               └┘


                                   □

                               ・

270 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:49:16 ID:O8oZ4mbo0

        ____
      /     \
     /         \
   /    (●) (●) \
   |   (トェェェェェェェェイ)  |      さて、帰るか。
    \  \ェェェェェ/ /
.    ノ    / )ヽ   く
   (  \ /__ノi ) , )
.   \  ゙ / ヽ ヽ/ /
     \_/    \_ノ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
横島忠夫とサキュバスが夜の街へと消えていくのを見届けた後、
ヨシツネをCOMPに戻し、帰宅しようと足を向けたその時だった。

メイヴにくいくいと袖を引かれた。

「どうした?」

「どうしたも何も、やることが残っているでしょう? 早くしないと、今日が終わって
しまうわ」

「なんだよ、やることって」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

271名無し-Red-市民-2:2017/12/25(月) 19:49:19 ID:5R/d4qaM0
やったぜ!

272 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:49:33 ID:O8oZ4mbo0

/ / // /|ノ ゝ/ / / / / / // l ト_l_r/  / / ill / . / /  l  /
;/ / / |- └//_/ / /l /l il/ //yγ|/  l /|/ / // | /l /  /
;;/r ̄´ ̄´   ` `l_、 //l //l // / l/ | || / ;/ : l| / /// / \ /l/  /   /
;:rー´,yー´/l⌒lゞノ l/ l /l//lil / /  i |  / // / /il// |/ /  /   /
l  il 〈l〉//ヾ`\ lーl/ll/ / /l/ l  l |  / | / / /l/ / /l  / / //
l   i Y r´ ♂i  ヾl〉ーll / l l / l_/ll/  l // l ト 、/ / /l  / / l/
\τーl  l / yl  l 〉 l/l l l l /ll  //  / // / l / \ノ/ l / / //
` 〉\ ヾ y_て / l ll ll l i ll / / / /  / / / /l/\l // //
;;ー、_\_/l//ヽll l l l   l / /_,--/- /_// //  l\// //
L_ゞーヽーー´ー)l》〉il l i   l / /´ //彡==ー-/  / / // /
   ヽ l\il_/ ̄/ /´     /i/ ´ /  〃 : : ;;;;;;;;;::;;ミ‐_l/ / / /     /
   ) l `´    (/      /  / / ;∥;;;;:..  ::::::::::::::ノ/ l//      /         馬鹿ね。
   !/       ´      ´ /  ´  ̄\::::::::::....℃/\l /     /
  /                         ゛゛ゞ;;;;;;;;/:://l/  /  ;/l           クリスマスに男と女がすることなんて、
         ヽ_           ―       ゛゛// //   /   / l
                       ―       // / /   / /l           一つに決まってるでしょう?
     、_                  ―     //;/   / l l
     \`  ヽ、                    ;/ /    /  l l  /
       ヾ__ >                ///    /  l l  /
、                           /〃     /   i  l /
\                        / /     /   l  l /
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l  ̄`;;;;;;;`‐‐=-ー ´;;;;;;;;;;;;〈    ヽ/ /       /     /  / li
   「;;;;;;;;;;「  ̄┐;;;;;::::::::::::l   / /       /    /  / /
l  i::::::::::::::)    lーーー´ /  /        /    /   / /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
そう言うと、メイヴは歓楽街の方へと喜留夫を引っ張り始めた。

「色々なお店を見て回って、美味しいものでも食べましょう?」

すっかり忘れていた。そういえば、今日はクリスマスだった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

273名無し-Red-市民-2:2017/12/25(月) 19:50:02 ID:5R/d4qaM0
イブじゃなくクリスマスにやるトコロが粋である

274 ◆x0SRSoJXe.:2017/12/25(月) 19:56:26 ID:O8oZ4mbo0
              / ̄rv-ーく,.  -‐…‐-  .
           / ..=くУ''"´,ノ          `
             / ( /   (             ゙Y^ヽ^Y⌒ヽ
          ' //                 (く笏Y   :,
            {/ //    /                 `アフ爪   '
            〃 //    /             ヽ     ハ]ハ  i
            ;  i;      '           }   ハ  / ノ′i  |
.          i  i|  !    i    |,」| _ !   } }    i|  (_;_) |  |
           i| ii|  || ,i|  i| l「丁 T  /|    i|.  //| |  |
         八 八,i人|ミ刈  i| ナナニ八///|    i|: .//, | |  |
          ヽく((笏Y)Y从从 行テミメ、/ ノ    リ:/,   | |  |
            }人`Y´ブ     lr'..::::ノリ刈′  ////,  | |  |
              从 ィ~ ,     ^゚ ー=/    //イイ,  | |  |
            / /八         ::://,  // // | |{  | |  |
.           / /(  i\/)ー    // // 厶=ミ| |{   | |  |
          / //. :i i/ .く ____ // //´     `ヽ   | |  |
.         / // ; / x=、 i((⌒刈//  l/         ':. | |  |
       / ,. / .:/   /`ヽ)) ノノ'   /         ' 八 .|  |
.    / / / .:{    /`Y(((i  ;′          V /\:. |
.   /  ,  /   i|ヽ.    ク ))| l i;゙               \  \人
  ,'   /  ;   i| . ハ     ∨((__| l {           _ ..ヽ  ヽ. \
  !   ;   i  :八,.〜}    }〜ヘ从     ,..    '"~´     |    ヽ \
  人  {   | 〃  \`⌒し〜)   ノ《,.  '"           ∧    ヽ  \
   \ ヽ | i{   /   、/ / /  \ \       , / / }       ヽ.  \
〜また次回〜

275名無し-Red-市民-2:2017/12/25(月) 19:59:39 ID:5R/d4qaM0

忠夫君は幸せになって欲しいネ

276名無し-Red-市民-2:2018/01/01(月) 13:04:29 ID:5l0n2PFo0
あけめ

277名無し-Red-市民-2:2018/01/01(月) 14:58:06 ID:Ue2k4Xtc0
ましでと

278名無し-Red-市民-2:2018/01/02(火) 02:38:30 ID:tZPA.Ofw0
ておう

279 ◆x0SRSoJXe.:2018/01/19(金) 00:34:17 ID:RMXb1o8U0
繁忙期故離れ気味だが、一応次話も製作中だ。

こんな話が見たい、であるとか、マーラ様が見たい、とか、その他もろもろの要望も随時受け付けてるからね。

ドゥンドゥン書いておくれよ。

280名無し-Red-市民-2:2018/01/19(金) 07:43:35 ID:qKttHWxI0
R-18シーン(精子脳

281 ◆x0SRSoJXe.:2018/01/22(月) 22:49:36 ID:8E1PJwoI0
下半身に正直なのね! 嫌いじゃないわ!

282 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/05(月) 19:16:54 ID:wP1jyE920
次回は2/16に投下しようと思う。ところで、一話一話を見てどう思う? 短いかな?

もし短いと感じる人が多いのであれば、もう少し描写を細かくできないか試してみるよ。

まあ>>1の文章力もあまり高くないから、期待はしないでおいてね。

さて、アウラゲートやらなきゃ……

283 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/05(月) 19:18:48 ID:wP1jyE920
ああ、時間を忘れていた。

午後八時ね。

284 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/05(月) 19:19:12 ID:wP1jyE920
間違えた、九時だ九時。

九時だからね。

285名無し-Red-市民-2:2018/02/05(月) 19:45:53 ID:xRaz0ec.0
2/16 21:00了解

286名無し-Red-市民-2:2018/02/05(月) 19:47:01 ID:xRaz0ec.0
一話読み切りで綺麗にまとまってていいと思うよ
長編にも期待してるゾ!

287 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/15(木) 17:33:51 ID:N8fKNbv.0
すまないチミたち。会社の送別会の日にちが急に明日に変更になってしまったのだ。

というわけで、とりあえず投下は明後日の午後九時からに延期させていただきたい。

288名無し-Red-市民-2:2018/02/15(木) 18:40:09 ID:ser0Dab.0
アイサー!
了解だゾ

289 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:00:04 ID:Ubww7uhA0

    /||ミ
   / ::::||
 /:::::::::::||____
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||  、 - ‐‐ -,
 |:::::::::::::::|,´: : : : : : : : :
 |:::::::::::::::|゙i : : : :○ ○゙i
 |:::::::::::::::|}: : : : : : : _ _ _l        ハロー。
 |:::::::::::::::||: : : :-=´_ _,´
 |:::::::::::::::||___ : : :丿
 |::::::::::::::(_____ノ´||
 |::::::::::::::(_ノ / . . . ||
 |:::::::::::::::||/    ||
 |:::::::::::::::||      ||
 \:::::::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
   \ ::::||
    \||

290 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:00:28 ID:Ubww7uhA0

         ,- ‐‐ - 、
       r‐イ: : : : : : : : :`,
      i /○ ○: : : : /   /` 、
       i_ _ _ : : : : : : :{    / : : /       チミたち、バレンタインのチョコはもらえたかい?
       `,_ _`=-: : : :|   ノ : : /
       i: : : : :_: : : : :'y´ : : : /         >>1は義理一個貰えたよ。ゼロ個じゃないのは久々だね。
       `-‐、´: : : : : : : : : /
            ノ : : : : : : : : i´           ま、相手は友達の妹の小学生なんだけどね。女子にカウントしていいのやら。
          / : : : : : : : : : :|
           i: : : : : : : : : : : !            それじゃあ初めていこうか。
.          (`ー‐-  -‐ _}

291名無し-Red-市民-2:2018/02/17(土) 21:04:03 ID:gEV3cVR60
久々ァ!

292 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:05:46 ID:Ubww7uhA0
>>291
ご立派ァ!

293 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:06:23 ID:Ubww7uhA0

┌──────────────┐
│                   .....│
│   第六話『阿修羅の嘆き』   │
│                   .....│
└──────────────┘

294 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:06:42 ID:Ubww7uhA0

            :,:           :(::)
            /⌒''⌒) :,,゜      '         ,,,,,,,
           (:::::::::::::::!'                 (::::::)
           ヽ::::::::';'''                 ''``   。
           τ'::/ .;:
            )/
         。            '  、       ;: 。
                               `'''`~''・    ' `
     f''`⌒(     ,,,,               !:(',,,,、              ::,,,,,、...
     ,!,,,、(     /::τ             ノ:::::::::::::::::)          。  !::::::::::`! 、
 :.、          !:::(     ノ::`!   o   (::::::::::::::::::τ            (:::,,;,;,、; 。
       ゜     (/      ⌒・ .   ・、;::::::::::::;;.;`` ''
     ,,、..   //   ノ'          //'''`'`'` `       ..,,.. _,,,.、 ・         ,, ...:・..
  π /;::::::::(,.,.(;;;::::(   ,,.,  ・っ                    ;,;;( ):::::;.    c::── '`'''::::::::::;''
   ):::::::::::::::::::::::::::/  '''''`   `        '`                     ⌒ ` !.:::τ'' ``
 τ !::::::::::::::::::::::::::::)/,,,,, γ               :'`'``:!
   (::::::::::::::::::::::::::::冫 `'`'    、,:'::::::`:::,,,,        !:::::ノ         ・
 :::':'::::::::::::::::::::::::::::;(,,,,,,,、:::::::-ー''''`'`''''''''"


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薄暗い路地裏に湿った音が響く。
娼婦のふりをして路地裏に誘い込んだ男は、既に息絶えていた。
最初に首筋に齧り付き、そのまま引きちぎった。
男は悲鳴を上げることもなく痙攣し、しばらくのたうち回った後で動かなくなった。

自分は、動かなくなった男の服を手で破り、その肉を貪り喰らっていた。
普段なら鉄の味としか表現できないような血の味が、なぜかたまらなく甘く感じる。
ぐにぐにとした肉を食いちぎり、口の中で咀嚼するして飲み込む度、
根拠のない多幸感が脳を這いまわる。

なぜ、こんなことをしているのか。
それは四日前のことだった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

295 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:08:55 ID:Ubww7uhA0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                           ┌───┐
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                           │::::::::::::::::│
                           └───┘


                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘


                               ┌┐
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                                   □

                               ・

296 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:09:16 ID:Ubww7uhA0

         ____
        /     \
      /         \
    /    (●) (●)\
    |    (トェェェェェェェェイ) |     ___________
    \   \ェェェェェ/ / .  | |             |
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| | /   ,.            i      | |             |
| | /   /         i | .     | |             |
| | | ⌒ ーnnn        | |    |_|___________|
 ̄ \__、("二) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l二二l二二  _|_|__|_

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パソコンにこのメールが届いてから、早一日が経っていた。
メールの内容はこうだ。
四日前、東京にあるガイア教団の研究施設で、実験体の脱走事故が発生。
脱走した実験体が撒き散らしたウイルスが近隣住民に感染し、大騒動に発展。
一応の収束は経たものの、感染の容疑がかかっている者のうち十五人が三津井市
方面に逃亡したとのことだ。

近隣のサマナーはこれに対し、事態の収束に当たってほしいというお達しが
DDSNET経由で出されていた。

もちろん、近隣のサマナーには喜留夫も含まれる。
だが、喜留夫は「はいそうですか」と刀と銃を持って出かける気にもなれなかった。
この流出したウイルスというのが問題なのだ。
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297 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:09:37 ID:Ubww7uhA0

        ____
      /     \
     /         \
   /            \
    |     .(ー)  (ー)  |
   \     r───-、 ,/
   ノ            \
. /´                 ヽ
 |    l             \
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、.
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))
   ┌ ┌┬┬┐┌┬┬┬┐┌┬┬┬┐┌┬┬┬┐
  ,. - ''"| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ρ ̄`l
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ノ ̄ ̄

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その名はアートマ。詳しい原理は明かされていないが、体内の生体マグネタイト
を活性化、変質させ、人を悪魔へと変貌させる悪魔化ウイルスである。

メールには逃亡したとされる十五人の顔写真と氏名、特徴が載せられていた。

つまるところ、巻き込まれた一般人十五人を皆殺しにしてこいということである。
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298 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:09:50 ID:Ubww7uhA0

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                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                           └───┘


                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘


                               ┌┐
                               └┘


                                   □

                               ・

299 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:12:03 ID:Ubww7uhA0

         ____
         /     \
.     / (ー)  (ー)\        ……だそうだ。既に他の一般人への被害も出ているらしい。
    l^l^ln (トェェェェェェェェイ)\
    ヽ   L \ェェェェェ/  |      なにせ悪魔の実体化には生体マグネタイトが必要だからな。
     ゝ  ノ         /
   /   /         \      そうなれば必然的に、悪魔か人間を襲うことになる。
  /   /            \
. /    /         -一'''''''ー-、.  いくら人間の意識が残っているとはいえ、飢えには勝てん。
人__ノ        (⌒_(⌒)⌒)⌒))





            _\                         ヽ _,,,ィ
          -ニ,,__>`    ィ   _,.,  , / .,         ̄ . /
           /ァフ _,-ァ // _,-彡イ/! /イ/ , .ト、 ヽ   ー≦‐ァ
           ./ レ´ /イ .//' ./ /イ ! l .ハ ト、.| ヾ,ハ`<,ィ <_
         __,,, イ   ! i./ .|// ,ィ   ', |./ ',代. 、 !ハ\ _ヱ,,ミ:、`
        \ー--:::::-:ハ.リ  レーァ /;ィ ./ Ⅵ  !' ヽ、',| ⊥,_ヽ彡≧ヽ
          `フ7_ノ:.イ| /:〃!// .| i i/:ヾ .、  ,、ヾヽ.、-イハイ__
          レ1:::;:::::_i::lⅥ:./`|メ.、|ハ/!::ト;:l 代:、トヾ::`ー`::ハ ヽイ
           |;ヘ:::バ::ト、レ ーモテミ`l::!::| Ⅵ_,ゝ:|-Ⅵ::::::::ト、|  .ドヽ         となりゃ、人間を襲うだろうな。
               ∨ ,ト;|    ̄´   ';:!:「´ヾ,,__ヾ .jイ:;:::ハ、  | `
              戈;ヘ!        `ヾ.    ̄ .ノ:イーァ゙  .|           悪魔相手じゃ返り討ちに遭う危険性もある。
              个ミ、                  /イリ   |
              /::::ハ.        、 _        ./イノ    |           力が強い奴なら別だろうが、個体差があるんだろ?
                 厶イ;∧             /イ{     !
           _>ニ二|:!:::|\   ̄ ニ ‐-    ,イ;:/ `       `、          で、被害は。
         /..:´::::::::/イ:::|  \        ,イ/イ\  、:      ヽ
          /イ:::::::::::::::::::l;ヘ|  ミ\  _,..:< : : ハ|::::::ヽ `:      \       「見つかってるだけで六人食い散らかされてる」
         .`>ミ 、::::::::::::::::.|   ミミ`¨´ : : : : : : i ::::::::::::::ゝ,       \=ミ;.、
           ヽ 、::::::::/    : : : : : : : : : : l::::i:::::::::://ヘ        \|:.:\
        _,,..-‐'"´:ヽ '::;::ハ         : : : : : /: : :ヽj::::::://: : ヘ         .!:.:.:./\
  _,,,..-‐''"´:::::::::::::::::::::ハ ';:::::ハ   ,       /: : : : /:::::://: : : : ヽ        |:.イ.  \
"´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |::::::::l:.   ',    :/: : : : /:::/イ: : : : : : ヽ      |     ヽ

300 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:15:48 ID:Ubww7uhA0

       , へrァォ7フx- ´  ̄ - 、
       /  イゞン7ハ__         ヽrァ7、__
     /   i ゞアン'ー,          vシ}  、
    i    ト、   //  , /      ド'   i
    |     |  、 /./ /, //, /|//  .|  ドミ、  |
    |,ノ ,  .|  V /////r'/ //| | | | \ .|
   //   |   } .. |rァォメヾ/ノ//-ト|、| /ト、ヽ ` 、
  //   , '  /... . トK乃ッリ)  . ,r=ォx'ノイ |  ハ   )       思ったより少ないわね。
//   /,'/ゝi  ... トゞアンツ    弋リ/.| |/ 人メ、
/   / ,','   .,|   \...))  .   ,    / .| |, イ/\  、      人の意識と悪魔の飢えが拮抗してるってことかしら。
///ヽ.//  ,ヘゝ 、   \  ‐-   イ/| |  |   \ \
. (/  // 、ノ ̄ へ⌒ヽ、 )_. 、_ .ィヘ ノノ |,  ゝ、   ) .)     でも、飢えに負けた者がもう出始めているのも事実よね。
ヘ \   | |  )\    \_ソ/ミ,',ニニシ ゝ、 l    \/ /
 \ \ノノ/ く´ _ ., …´/  y>ul--‐‐''¨.ヘ\.  / /
   ) Y  , イニ____,ノ  !乂ゝ__ゞ__! ヽ i ヽ,/ /  \
  ,/  / /  |  しー    io .l > i ,.l ( l  (  (      )
/ , イ  i    、 `ヽ⌒ 、,, .′′'^^_"_^i..  \ \  /
 /  \ ` 、 ゝ ノ  イ  ` ~   ′     )  )'

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
喜留夫は行動を開始する前に、仲魔たちを召喚して話し合いをしていた。
ヨシツネなどは元を辿れば人間だった身だ。もしかしなくとも反対する可能性はある。

しかし、ヨシツネは意外にもすんなりと承諾した。
「確かに、そいつらは哀れだよ。あまりにもな。だからといって、周りの人間を
食っていい理由にはなりゃしねえ。どうしようもない理由があれば、何したって
許されるってのはクソ野郎の言い分だ。そいつらは哀れだが、同時に許されない。
俺は乗るぜ、旦那」

メイヴとパイモンも同様の意見だった。
一応、後でファフニールを人気のない所で召喚して意見を聞いてみたが、
「悪魔が人を喰らうことの何がおかしい? そして、デビルサマナーが悪魔を
討つことの何がおかしい。我は肯定も否定もせぬ」と悪魔然とした答えだった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

301 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:17:17 ID:Ubww7uhA0

       ___
     /      \         既にメシアサマナーも動いている。
    /(● ) (● ) \
  / (トェェェェェェェェイ)   \      今回はそいつの指揮下に入ろうと思う。
  |  l^l^lnェェェェ/     |
  \ヽ   L        /      そんじゃ、準備済ませて合流すんぞ。
     ゝ  ノ
   /   /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
元一般人十五人の皆殺し。
自分が彼らの立場であったなら、と思わずにはいられないが、
それは綺麗事というものだ。

人の命は尊いと言うのは簡単だが、それを理由に、目の前で行われる人食いを
阻止しないわけにはいかない。

自分はデビルサマナーなのだ。人を守り、悪魔を討つ役目がある。
そう、自分に言い聞かせるように、喜留夫は懐の刀を撫でた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

302 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:17:32 ID:Ubww7uhA0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         └──────┘


                           ┌───┐
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                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘


                               ┌┐
                               └┘


                                   □

                               ・

303 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:17:44 ID:Ubww7uhA0

〜Tips〜
『メシア教会』
メシア教。ユダヤ教から派生した宗教団体。
表社会での影響力も強く、悪魔の存在を認知し、専属のデビルサマナーを戦力として保有している。
救世主(メシア)の出現を信じており、その力によって世界が救われることを信じている宗教。「信じるものは皆救われる」と謳う。
秩序を重んじ、すべては法の下に管理されるべきであるとしている。
完全なヒエラルキー階級の下に成り立っており、秩序と平和はあるが個人の主張はないに等しい。

『メシアサマナー』
メシア教会に帰属する悪魔召喚師。
メシア教会からの依頼のみを受託するサマナーたちで、内部ではテンプルナイトとも呼ばれている。
同じメシア教の人間からは英雄視される一方で、他のサマナーたちからは疎ましく思われている。
主要なメシアサマナーは主に天使を使役するが、そうでない裏の仕事を遂行する者はそうとも限らない。
何事も建前と本音があるということである。

『ガイア教団』
ガイア教。土着宗教から派生した宗教団体。
秩序や階級に囚われず、自然と一体化することを重要視している宗教。
「生きる者はいつか死ぬ。形あるものはいつか壊れる」と謳う。
差別も区別もなく、管理を否定し全てのものと共存しようとしている。
そのため現実的かつ実利的で、力のない者に価値を見出さず救いの手を差し伸べない。
基本的に実力至上主義の団体で、自由はあるが秩序は存在していない。
悪魔の存在を許容し共生していくことを考えているため、メシア教とは真っ向から対立している。
教徒の中には暗殺を生業とする者もいる。

現代ではガイア教団に帰属しているヤクザや半グレ集団も多く、しばしばメシア教会との抗争が起こっている。
メシア教の戦力にはデビルサマナーが多く含まれているが、ガイア教はサマナーの戦力が少なく、フリーのサマナーを雇用することが多い。

304 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:27:27 ID:Ubww7uhA0

           \                     l                 , 、,.
             \               i ̄   ´       ,. ヽ       / ./  }
             , -,.∧         、-<_          /  '        / ./ ,. 'ヽ
.、          /::::/ ,ヽ       ,.ノ `' ―.、ヽ.    ./   /     /`, ' '  ./
ニ\       /::::::/./.  ヽ.     /        \\ , ´    , '    ,. ′,.'  /   !
ニニ\    /:::::::::/::..        、   /ヽ        \.>ヽ   ゙/  _... ´  /  .'´ヽ./
二二ニヽ/::::::::::::::;.:::::::::.      ` //         / .;  ;.  ゝ '"__ 丶./  ,./  .'/
ニニニニニヽ:::::::::i::::::::::::   ,.. '"::::/         ;  ; .:. ;.  / //  ̄\ ./ .'   ;
二ニニニニニヽ::::/:::::::::::: /::::::::::::::/        _ ,  i .:::. i  ;  //     !  ,.'   /
ニニニニニニニヽヽ:::::::::/、:::::::::::::;:'ニヽ    「.! ヽ,.= "l ̄ ̄l.! //    ,'  ′ /
ニニニニニニニi >゙}ヽニニ\::::::/ニニニl    ,.-'  .}、ヽ.l l  l liヽ/     /   . '
ニニニニニ! ̄ ̄   ハ: \ニニ\{二ニニl  /    l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l‐-=.._/   '
二二二ニニl     l l:::. \二ニニニl、./    /.l       _ l--、 ,. '´
二二二ニニニl     l !::   \二二ニニV    l.l l ,. -― ´    : \
二二ニニニニl     l .l:   ./二ニニニ/    .. - '",         ,.   }
二二ニニニニl   } ,!  ./ニニニニ,.'   ´    ´   _,.   _,.. ー、 ノ
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
時刻は午後八時を回っていた。
既に日は落ち、町にはネオンサインが灯りはじめる頃だ。

そんな中で、一人の背の高い男が駅前広場の喫煙所に立っていた。
黒髪にサングラス、スーツ姿。そして何よりも、とにかく目立つ包帯尽くめの
巨大な十字架。恐らくこの男がメールに記載されていた人間に間違いないだろう。

今回は、メシアサマナーであるこの男の指揮下に入ることになる。
なるのだが、その顔を見て、喜留夫は踵を返しそうになった。
店の扉を開けたらいかにもといった風貌のヤクザたちがたむろしていた時と
似た感覚だった。いや、それ以上かもしれない。

端的に言えば、死の予感だ。
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305 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:27:47 ID:Ubww7uhA0

        ,.'/___
      _ .{i'"州州州州≧ ー 、
     ,:州州州州州州州州州州≧、
.    ,州州州州州州州州州州州州i≧、
.    .i州州州州州州州州州州州州州ili≧、
    ,州州州州州州州州州州州州州州州il
.   i州州州州州州州州州州州州州州州il!
   V州州州州州州州州州州'州i'州'州!i!l}
    l州州州州州/ヾi州州州リ,/レ' l/¬,┐リ.
.    州州州州州/ヽ V州州lil==il//l/,l.'ヽ __
    V州州州州、ヽゝ!州l l!!'   !|//ヾl.l i,' /       よお。話は聞いとるで。
     V州州州州ヽ 〈 V l!       `´ ゙、!/ /
.     V州州州州! ー            , ' / .,イ        あんたが加賀で間違いないな?
    ,-、彡州州州i! ヽ     ,.- 、  =/ ./==
   ,   ̄ ―-lリ._l!.   、   丶. 丶. i./  .{   !        「ああ」
. ,.‐-'__       ‐ .._ > .  ヽ  丶.   、 .}
. !三三三三ニニ=- .._   `  _>_i      ;  ,'.!       さよか。ほんなら話は早いさかい。
/三三三三三三二二二ニ=‐- ._  ` ‐ 、  ゙   ,' !
二二二二二三三三三三二二二=- .._ \    /        早速仕事の説明といこか。
二二二二二二二二二二二二二二二ニ=-ヽ_  {
二二二二二二二二二二二二二二二二二ニニヽ、
【超人ニコラス・D・ウルフウッド Lv74】

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
処刑人ニコラス。ニコラス・ザ・パニッシャーと呼ばれるこの男は、
数いるメシアサマナーでもトップクラスの悪名を持っていた。

たった一人でガイア教団の支部一つを壊滅させたという話もあれば、
連れている悪魔は辺り一帯を焼け野原にする熾天使だという話もある。

まさか日本に来ていたとは。

ウルフウッドは煙草を吹かしながら、淡々と説明を始めた。
なぜ関西弁なのは理解に苦しむが、それは一旦置いておくとしよう。
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306 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:30:51 ID:Ubww7uhA0

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.  l'/!//////'ヽ////l'/////-////_///'゙ /'   /"/////  ,"// '//////  '//
.  l! l/i////' ヽ \//!'////-////-//'‐-/'_   ,'゙/////   !// !' !////   '//
.  ! !! ゙,//   ,\ ヾl////_////,,.l'/_ ̄"''==ェ///./    l// !.l'///   /'/
   _.l!-Ⅵ_― ''''"" ̄ー ' !//ヽ l/   マ了,示ァl///=z、.__l'/  .!l///  //,.-z=
_.-ニ/        ̄""'''''''' ¬== ヽ ` 、 __゙ー‐'" !'//` 、 ̄l'! ̄ '.!// ヽ/'゙´         顔写真は?
ニ/  _  _         ,..∠______i//__  |!- - !'/_,.  '   __
´  /      ̄ "''''' i―‐/二二二二ニニニニl'/ニニニ‐ 、 _!'___ , '"ニニ      「プリントして持ってきてある」
.,/            ̄ |ニニニニニニニニニニニニニニ二二二二二ニニニ
    _./丁 Ⅵ7T ''''' "´ l二二二二二ニニニニニニニニニニ/ ̄ ̄ヽニニニニ      こいつとこいつ、あとこいつは処理済みや。
  /   ー- _V/,!    .! .l二二二ニニニニニニニニニニニニ! i  ::::!ニニニニ
/       ( _.)   i l二二二ニニニニニニニニニニニニl  |  :::::!ニニニニ      残りは他のサマナーが探しとる。
    , ー- ..,, __ .ノ  ' 、 .!二二二ニニニニニニニニニニニl  l  ::::::!二二二
  /     .:     .{/,ヽ!二ニニニニニニニニニニニニニl   !   :::::::!ニニニ       んで、要注意なんがこいつや。
 ´      ::.     V//lヽニニニニニニニニニニニ=‐"   l  ::::::::ヾニニニ
. '  ヽ      :.      lヾ'∧  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄        l  ::::::::::::: ̄ ̄
/   、           l l'/∧
      ヽ        l  l//∧

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
ウルフウッドが写真の上でバツ印を指で描く。
処理済み、ということは、既に殺害済みということなのだろう。
そして、残る中で要注意だとされたのが、年端もいかぬ少女だった。
歳は中学生くらいだろうか。大きな目と幼い表情が可愛らしかった。

「がさい? ちうんか。我妻由乃。アートマに感染した容疑で確保に向かった
メシアサマナー五人全員が食い殺されとる。ちょっとした魔王くらいには
構えとったほうがええ」

個体差があるとは聞いていたが、まさかこんな少女が。
喜留夫は驚きを隠せなかった。それを見抜いたらしく、ウルフウッドは
こんな質問を投げかけてきた。

「可哀想やと思うか」

「ああ。でも、人食いを許すわけにはいかねえよ。大丈夫だ、そこらへんの
分別はついてる」

「さよか。実はな、ワイもごっつ胸糞悪いねん。せやかて、このまま野放しにする
わけにもいかへん。誰かがやらにゃあかんのや」
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307 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:31:04 ID:Ubww7uhA0

                       /:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :、_
                   /:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::、ヘ
                       ; :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: : :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: トミ 、
                   ':: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ∧ `ヽ
                 /:: :: :: :: :: :,ィて、 ) :: :: :: > ´ :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :.
                ,:':: :: :: :: :: :: | r >/;:<ミx、:: :: /:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :〉
              ,ヘ  /:: :: :: :: :: :: ::_} l )'/:: / `ヾミx、_:: /. イ:: :: :: :: :: :: /
               / ∨:: ::_::∠::-‐   、 ` ; : /  ´ ヾミィ77ヽイ:: :: .ィ:: ,:: /
          _/   V´           Y |: /      ////,イ> ´/'イ:; '          ……あんたとは馬が合いそうやな。
      _.. ´     、         / !/      ` </|  / 〃   ....,:.:´, .
       >..         \         {  ′             !      ....:.:,,  ..     どや、終わったら一杯やらへんか。
   ..</////`ヽ       \       i、             /     , ):.:.:ノ .
  / ///////////\        \     i,i,ヘ        _ノ ̄`′   (:.:.:ソ: .        「いいぜ。あまり旨い酒にはならなさそうだが」
/////////////////ヽ      \   へ-.、   , ´`ヽゝ     ,ふ´..
///////////////////∧       \/  ヽ\_ /     、 _..ノ:.ノ             飲んで忘れんさいちうことや。
////////////////////∧       ヽ  /|          ` 〜´
/////////////////////∧        ∨  !                          こんな仕事、飲まずやってられるかいな。
//////////////////////∧       /〉.、 |
,///////////////////////ハ       / 〈 ∧}

308 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:31:18 ID:Ubww7uhA0

                         ┌──────┐
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                               ・

309 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:31:30 ID:Ubww7uhA0

〜TIPS〜
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      _ .{i'"州州州州≧ ー 、
     ,:州州州州州州州州州州≧、
.    ,州州州州州州州州州州州州i≧、
.    .i州州州州州州州州州州州州州ili≧、
    ,州州州州州州州州州州州州州州州il
.   i州州州州州州州州州州州州州州州il!
   V州州州州州州州州州州'州i'州'州!i!l}
    l州州州州州/ヾi州州州リ,/レ' l/¬,┐リ.
.    州州州州州/ヽ V州州lil==il//l/,l.'ヽ __
    V州州州州、ヽゝ!州l l!!'   !|//ヾl.l i,' /
     V州州州州ヽ 〈 V l!       `´ ゙、!/ /
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    ,-、彡州州州i! ヽ     ,.- 、  =/ ./==
   ,   ̄ ―-lリ._l!.   、   丶. 丶. i./  .{   !
. ,.‐-'__       ‐ .._ > .  ヽ  丶.   、 .}
. !三三三三ニニ=- .._   `  _>_i      ;  ,'.!
/三三三三三三二二二ニ=‐- ._  ` ‐ 、  ゙   ,' !
二二二二二三三三三三二二二=- .._ \    /
二二二二二二二二二二二二二二二ニ=-ヽ_  {
二二二二二二二二二二二二二二二二二ニニヽ、
【名前】
ニコラス・D・ウルフウッド
【種族】
超人
【レベル】
74
【属性】
Neutral-Law
【相性】
精神・神経・魔力・破魔・呪殺無効
【能力】
力-B 魔-E 体-A 速-B 運-E
【スキル】
狙い撃ち 刹那五月雨撃ち ミサイル弾 暴れまくり デスカウンター 大治癒促進 食いしばり
【装備】
『パニッシャー』
十字架型の巨大な鉄塊。地上最強の個人兵装として名高い。
COMPとしての機能も持っているが、武器としての機能に圧迫されているため、使役できる悪魔は一体までとなっている。
ミサイルランチャーと機関砲を内蔵しており、戦車に用いられるような装甲に覆われているため耐久性にも優れ、
凄まじい重量から鈍器としても使用できる。

『白い拳銃』
大口径の改造拳銃。装弾数は十五発。

【備考】
三津井市にて活動するメシアサマナー。海外ではニコラス・ザ・パニッシャー、処刑人ニコラスと呼ばれていた。
普段は牧師を名乗っており、携帯懺悔室といった珍妙なものを持っている。
パニッシャーと呼ばれる十字架型の巨大なミサイルランチャー及び機関砲内蔵のCOMPを所持している。
使役する仲魔は大天使ミカエル。
年齢不明、人種不明、生年月日不明、血液型不明、出身地不明。

310 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:33:19 ID:Ubww7uhA0

              _ , - - ― ´  ̄  ` - 、_
       _ _ γて_,、//       ― 、―yミXヽ_=r= 、
      //| Kr-、|ヾ、           >ロ><ァトミヽ
       / Xヾ彡 //     |    ヽ ヾ|\テソノヘヽ`、
       | | |ト`´ノ/  |..|   .|   |  |  ゛ て‐<ゝ` |
       | | |`、/ | / | |  .ハ|  ヾ  |   ヽ |ヽ ||(`  |
        | | /ヘ/ | /  .| |  | |ヽ  `、_._|_  | li `、\|| |       よくあんなの担いでて職務質問されないわね。
       / | .ハ .| |  |大-.| | .|、  .|ハ | |  | | |  || |
      ,/ ///  || | ノレハ,、|、\\ハi_, =-、 | | .| |  | |       「日本政府はメシア教会にべったりだからな。警察にも手が
     / / /イ  | | .| Kr/マア冫 ` `´イ::..::ハ | | |  | .|
    / // / | | | ヘ Y`.ヾ斗ソ     弋;;ソ / .| .|  ヽ .|       回ってるんだろ。ほら、救世党ってあんだろ? あれのバックも
  / / / /  | | |  ヾ|ト, ゛´゜       ノイ |  |   | .|
 / / //イ .| | |  ヽ) >    _ _ U ノ彡/  /    `、ヽ     メシア教会だ。他にも色々金出してるらしいぜ」
../  / /  |  | | | |  |ノ i |>、   ` ´  /イ / ./ /     `、\
/  / イ  / |  | | | |l  y | | r-ノ> - <  |/ / /        ヾ`   この国、大丈夫?
|  |  |l ..  || |  | | /| .| | \>_)(⌒)(\ノ/ / /`、,_ /`´ |_ ヾ \
|  |  || |  |ヾ   X .| .| |_ , )、ソ (  ) ( / /テアノ ̄r/./ ヽノ   `、

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メイヴ、ヨシツネ、パイモンを召喚し、周囲を警戒しながら駅前のモールを探索する。
この方向はまだ探していないと、ウルフウッドに指示されたからだ。
当のウルフウッドは「隠れられそうな場所を探してみる」といって姿を消した。

元は東京に住んでいたとなれば、住宅街の家の中とは考えづらい。
となれば、そのあたりをふらふらと彷徨っているか、もしくはどこか物陰にでも
隠れているかのどちらかだろう。

「ねえねえ、それってなあに?」

パイモンが肩に手を置いて、ひょっこりと顔を出してきた。
喜留夫は手元に目を落とす。今回のために作成された、特殊なエネミーソナー
が入ったUSBメモリだった。あの後でウルフウッドに渡されたのだ。

早速スロットに差し込み、エネミーソナーをインストールする。
アプリケーションを起動すると、COMPの画面に表示されているエネミーソナーと
入れ替わる形で表示された。
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311 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:35:07 ID:Ubww7uhA0


   .:.:.:.:.    |.:./  |ノ|.:.:.:.: .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |   |   |
_ :; :...... _|/   | |.:.:.:.:.:.: ____:;:; |   |   |
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......./^\____| ,   | |イ   イ _   |..:;|   |   |                          // ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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;;; ' 、 -';;/ : |.;.;...... |ノ|    |〕|ィiト、| |..:;|   |   |                        /| r、 │ |
__/ヽ;;;;;;L.:   |  :.:, . | |    |从 |i^リ |..:;|   |   |                  /  |┤ \| |───────
7、ィ;;;;;/-i|..:.:.:|    ;|ノ{    |    ̄/ |   |   |              r──‐ァ.i  、イ 丶   | |i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|
─‐イ /lil|.:.:.:.|: .: .:. 乂二)  |   // |   |   |               乂__.:.:/::::レ≪ ̄ ̄\ | |i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|
 ̄]lll|/  lil| , . |: .: .: ..:...」___L// / |   |   |       /ハ、   y^.:..く.......|        〈二二二二二二二二二
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i!ii!i|ll|i!i!i!i| | : : | .: /:_:〕 ニニニニニ イ _-_-_|,,__|   |_____,」‐‐「^7.:.:.:/ .:.: \|         | |
i!i!ii|ll| 、ィ7i|__|/_:_:_ ヘ三三二/ _‐_-_-|_:_:_:.}   }_:_:_:_:__,/^^^}! /.:./:/.: .:.:.: |         | |───────
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ニ〕ll|.   |ll|_:_:_|_:_/:_-_-_-_-_-_-_-_-_-_''|:_:∨ ∧_:_:ノ:.:./:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.∨.:/: :.:.:.|         | |i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|
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モールを抜け、住宅街へと入る。
そこで、エネミーソナーに反応があった。

「いたぞ」

ジャケットの裏側で拳銃を抜き、サプレッサーを装着する。
流石に夜の住宅街で、異界化もしていないのに銃声を轟かせるわけにはいかない。

いつでも銃を抜けるように懐に手を突っ込んだまま、反応のある場所へと向かう。

途中で住宅と住宅の隙間というべき細道に入った。
そこに、それはいた。
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312 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:35:31 ID:Ubww7uhA0

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                       ノ、─=≧、
                      /  `ヽ/`ヽ
                    イゝ     i!   ',
                   / く ヽー-、 ヽ i!   ,ヘ
                  r⌒Y}!  \ ゝ、ヽj  // ヘヽ
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                   レ    i!{i!ji!ji!ji!ji!jリ:}| ∧
                  く    \ゝjiリi!リi!リi!リノリ  リ
                   ',≧==---、 \≦¨¨ラ レ/
                   ',   >x、\j__j 彡'            〃フノ|
                    ',      `¨¨¨¨/          //   ノ
                    ゝー==ニニ≠彡' /           /ゝ'   (
                   / 、 ≧=ニニ≠ /\        / /| /
                  , '   、  r'´  // ̄ ̄ヽ===/ /  レ'
       ,、          r、_  \/ 彡'/|  ノ、   // /    \
   r─彡' ー==z__   x< E三≧\/三三少'!__L .レ/ j { /      ヽ.
 -=ノ        >xイ // ヒ三三| |三三 少' レク | /  | L!イ         \
  つ       ≦} レ'  レ'ノ\\三ヨ |三 少'   ノ/   ゝ j/          ヘ
   丶、    |\∨ 厂-'   ≧、   少'    イ          /       ハ

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人の形をしたものがうずくまっていた。

魚人、とでも言うべきだろうか。
体格自体は筋肉質な人間なのだが、ところどころに鰭がついており、
手にはぬらぬらと光る鋭い爪がある。
鋸のような歯を剥き出しにした口に、異様に細い目は、今まで見てきた悪魔の
中でもかなり凶暴な部類だった。

唸り声を上げながら、悪魔がこちらを見やる。
喜留夫たちに気づいた悪魔は、身構えることなどせず、うずくまった姿勢のまま
跳躍し、飛びかかってきた。

狙いは喜留夫だった。躱そうと後ろへ飛び退くが、間に合わない。
腕を前に出し、防御しようとする。が、その防御のための腕に、
悪魔は口を開き齧り付いてきた。

牙が服を引き裂き、肉に突き刺さる。
歯を食いしばり、懐から抜いた銃を悪魔の腹の辺りに突き立て、
引き金を引いた。弾倉が空になるまで撃った。

そこまでしてようやく、悪魔は少しよろめき、喜留夫の腕から口を放した。
悪魔の胸部に蹴りを入れ、その勢いで後ろへと跳ねる。
倒れ込みながら弾倉を交換し、再度構えなおす。

「ヨシツネっ!」
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313 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:35:48 ID:Ubww7uhA0

                        ,ィ /!,/
.                       /l ソ`/ l/彡イ__ _ _
                      トl  /レ / ̄/:::l:::::::::::`、
                      ト-  / ̄:::::::::::l::::::::::::::::ヽ
                      ゝ  //:::::::::::::::::::〈:::::::::::::::='ヽ                あいよ!
                     ' y,ヘ.\:::::::::::::::::::::::\::〃:, '´、
                      .ハヽ.、 `-:、:::\::::::::::::ヽ:/   ヽ
                  __」   ヽ \ ` -、\:::::::::::ヽ  、丶
                <〃ヾ彡:::::l      ` 、  ` 、ヾ::::::::ヾ `  ヽ  _ --─┬─ 、
                 ヾ〃::/´ヽ        `  、.ヽ::::ト、ゝ__,'ユ/:::::::::::l l〃//二 ヽ
                   ` 、.‐-\ヽ   =- 、  \ ヽ.\、\   ̄ 〉:::〃///_三彡
               __    ` 、 `.l    _ コ、 丶.ヽ_ ` ヽl  /:::///´
               /     ̄ ̄` ‐-=!  /三三三ヽ \ `二彡/::::::/
             l            イ`モ三三三ニゝ `    ̄ /;/三ゝ-、
             ヽ 、 、       /  リ ̄`----─'´ ̄`‐---‐'´  `モ/ γ ヽ_
              ヽゝ \     /  l l            !ヽ    ゝ_l__/〃、
               ヽ:〃:癶__       !         / l:::::ヽ        ` ` 、
                ヽ〃/U`ヽ_            // ノ:::::::::ヽ         ` ` 、
                  ヽー彡::/ ̄`‐------_--癶──ニニヽ::!           ` ` 、
                   \:::::/::::::::::::::::丶::::/llll  ̄!lllll|::::リ::::::::::::lソ:/              ` ` 、
                     ` ヽ//:::::::::彡/lllll'   ヽllll|::::::::::::::::::ノ/                 ` ` 、
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                          >::::/lll/    ヽllll|:::::::ヽ                        ` ` 、
                         `=─'      `=─'                           ` ` 、

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悪魔の右足に狙いを定め、撃つ。
弾丸が悪魔の脚を抉り、再度飛びかかろうとしていた悪魔の動作を中断させる。
そこへすかさず、ヨシツネが跳んだ。

すれ違いざまに悪魔の顔面に一太刀入れると、宙を蹴るようにして反転し、
さらに横薙ぎに一撃を入れ、そしてまた反転した。
繰り返されること八回。

見えない足場を跳び回り、繰り出されたヨシツネの刀は、正確無比に
悪魔の体を切り刻んでいた。

顔、首、左胸、両腕と両足、それら全てがぶつ切りになっていた。
遅れて血が噴出し、辺り一面を血の海にした。
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314 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:38:08 ID:Ubww7uhA0

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      /'´/-‐'´_-‐' ´./ .ィ              ヽ、   .ト、  ',
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       lイ/l / /   /レ::/:::l  ィ  l::',     ',\  、 ', ヽヽ \l_....-‐/
         ル' l '    /l ./:/::::::l /::', l:::::',  ト、 ', ヽ ',\!、 .l !  ヽ_::: イ
      /./>┤//:::l//::::::::::`:::l:ヽ!:::::l::\l:::\. 、 ヽ  、\リ、   ',
     <ニ//':::::::l/:::::∧/:l::::::::::l:::::ヽ::::l:::l、::l:::::::::::::ヾ\ト、 l  l:\:、ヽ !
      /〃:::::::::::リ::l:::l  l:::l、::::l:λ::::::\',::l::',:ヽ:::::::',:::::::\:、 ! l::::、::ヘl /
      l〃/リ::l::::::::l:l l:::l ',:::l、l.ヽ:::ト、:::::::::::ヽ:\:::ヽ::::::::ヾ l、ト、::',‐-'...、
      l/'   .yヽト::リ:', l::ト-', ト≦ム',ヽ!::/:,、:',:::::\:ヽ、:::::∨::\ ト 、::::::\
         /'´``ト、:ゝ ',  ` ‐-`´イ// リ /', !l / 、)',::::::::::::/ヽ厂:::::::::::::ヽ        これで何人目だ?
               ', / \!      /'  レ   リ/ヽ //::l:从!l:::::〉::::::::::::::::::::',
              v、 _             仁'イl::::/:://::::::l:::::::::::::::::::::::       「五人目だが、もっと減るな。他のサマナーも
                ヽ  _            /  l::⊥ィ'´/:::::::::::l::::::::::::::::::::::::
               ヽ ー `   _ _ -‐' ´ 二 _ イ:::::::::::::::::l::::::::::::::::::::::::       仕事しているらしい。エネミーソナーの反応が
                ヽ_ -‐'´ _  -‐'::::´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
            _ -‐' ´_ -‐'::´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::       消えていってる」
         <´ 、...-‐:´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::
           \\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: イ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::
             ヽ ヽ::::::::::::::::-─'  ´  ̄ ̄  ̄` `  ‐-<::::::::::::::::::::::::::
              ヽ ヽ/                      ‐-::::::::::::

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
エネミーソナーにあった十五の反応は、五個ほどになっていた。
ウルフウッドたちメシアサマナーが感染者を見つけ、殺害したのだろう。

ヨシツネによってばらばらになった悪魔の死体を見下ろすと、
そこには人の死体があった。

若い男だった。髪を茶髪に染めている。大学生くらいだろうか。
これから将来を考える時期だったろうに、と思いを巡らし、頭を振る。
今からこんなことを考えていては、仕事が続行できなくなる。

「喜留夫、大丈夫?」

メイヴがそっと手を握ってくる。
その体温が、喜留夫の胸の内の波紋を鎮めてくれる。

「ああ。次に行くぞ」

ウルフウッドに連絡を入れると、死体の処理役を寄越すと言われた。
一応、今回の犠牲者は事故死として処理され、きちんと葬儀も行われるらしい。
喜留夫は心の中で手を合わせ、その場を後にした。
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315 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:38:43 ID:Ubww7uhA0

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316 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:40:51 ID:Ubww7uhA0

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.      :.:.::.:.:`二三`7;=─‘:. :.:.:.:.\:.:.\ ゙ ゞ= '_, '         ` | ´        ひっ……
       :.:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:i  / ´ Ⅵヽ.: .ヽ:.≦、  ̄         / !
       \.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:! 、{ ィ |:.:.i`¨¨i¨¨´               ,'
.         \.: .:.‘,:.:.\ ヽ   |:.:.l:.:.:.:.|                 ,  ,イ
         >、.:‘,.:.:.:.:.ヽ:. __|:.:.l:.:.:.:.|  u       ,ィニ¨ / :|
.        /.:./ヾミ、:.:.:.:.:.:.:.:.:´|:.:.l:.:.:.:.|、            /i: .:|
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我妻由乃は程なくして見つかった。
公園の隅の暗闇で座り込んでいるところを発見し、
拳銃を抜いて歩み寄っていくと、怯えた表情でこちらを睨んできた。

「あ、あなたたちも、由乃を殺しに来たの?」

どうやら、先ほどの個体とは違って、理性が残っているらしい。
我妻由乃は「来ないで!」と叫ぶと、右腕に左手をかざした。
そこには、Y字のような形をした痣が浮かび上がっていた。

ウルフウッドから聞いていた。感染者には、それぞれ悪魔の性質を表した
痣が体のどこかに浮かび上がると。

喜留夫は何も口にせず、唇を噛みながら、ただ銃口を向けた。
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317 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:43:14 ID:Ubww7uhA0

         (( ____ ))
       _√ィ´    ` ヽ\
      ,イ / ,' l  |   } ト、
      j / ,  |  !  / | !
      / ,' /   |  ハ   { 〈 /
      | { /ト、 ノ、/  ,イ   ,ヘ      …………。
      ', ∨ l }丶 l|   {'  ∧ヽ、
     ハ i! ∨ _ノ   ヽ  j! \丶
    ./ l|  |  ヘ    l|ノ   jl }
   / 彳  ゝ  i   /ト、  ハソ
    { 〃 !   《 ヽ ム  j i| ヽ/  \
   \ヽ/   l|    } / リ   l|    }
     ヽ\  //  l! /  '   ハ    ノ
    /}_」ハ/ ヽ  {ト、    }∧  jヽ、


╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「お、お願いがあるの」

我妻由乃は悪魔へと変貌することはなかった。
跪き、頭を下げてくる。喜留夫はそこに弾丸を撃ち込むことはできなかった。
仲魔たちも、それを咎めることはなかった。

「好きな人が、会いに来てくれるの。最後に顔が見たくて、連絡して。
もうすぐこの公園に来る筈だから、待っててほしいの。
彼に会えたら、後は大人しく、死ぬから」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

318名無し-Red-市民-2:2018/02/17(土) 21:48:09 ID:vyw4BWkQ0
ほんとぉ?

319 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:50:53 ID:Ubww7uhA0

                    _
                 ,  ⌒ 、/⌒ 、`  、
                /  /ミ‐,‐/`ヽ  、\ \,r≦ミ、
.             ,≦/    /  /      、 、\《三三ノ
              (/     /  /!   l    、 、 \` 、(
.          //    /  ,' !   l  l  、 \ \ ヾ)
        /イ /    / // l |  |ヽ l、   、 \ \≦)ノl
       lヽ// /    / //__,!   l l -ヽ| ヽ  、 . \ ヾ' \ー‐,__
      ヾ/イ//l    /,/l/  l|∨ l||,, ヽ| ヽ  、   \〈\― <
    ヾ  /   |  /, ,ィ笊示 ∨ !l/ ィ 示`ヽ∨  ヽ  l|  ヽ ノ   >
.    ヾノ、/ ,   ! /∧  ヒリ  ヽ|  ヒリ ヽ|  |ヽ |   ヽ    >       ねえ、喜留夫……
   ヾ / イ    |/l/l|∧     、      / l  | ヽ|  ヾ ∨  >
   ヾ  /イ  ∧  | |∧          / ´!   l ! lヽ lヽ|\∨ <        僕、それくらいはいいと思うんだけど。
    /‐‐―ノ /l∧ | l.  、   ー―    イ/ノ.l  /l/l/ lヽ!    __   ヽ
.   /_  //l, ┐,∧ !ヾ  >   _  r≦ ノノ、! / r、/    /   `ヽ}
.   ヽノ ―― 、 /、ヾ|     {≧zzzzzr ィ〈< |/  )   斗≦=―   .l
  , ' /    \ `ー,      ノ三三≧ >'´l l= 、  > '  _        ヽ
  l, ', ≦≧z ./〉&;,‐,―――   '       | | ヾ,,,(, ‐,≦_ `  、____ l
 ,r≦三三三//  / /                 | |イ / / /三三三≧、\>   ヽ
/三三三三 //  / /            / ,/ / / /三三三三三 、  、  > 、
三三三三ニ{ {  { .{            /  / / / / 三三三三三 ノ 、  、    、
、三三三三ヽヽ  ヽヽ       ,  ''   { .{ { .{ 三三三三 イ   、  、    、
   ̄| ̄ ̄ ̄|\\ ヽヽ  _  ≦ .     ヽヽ ヽヽ三三 イ |    、  、   、
    |      |   ̄ ̄ ̄         `  ― ヽ_>‐ヽ_ノ|    |    、  、   、

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ここですぐさま逃亡するならともかく、一応は確保されてくれるというのであれば、
選択の余地はあるかもしれない。それは甘えかもしれないが、喜留夫はそこまで
機械的に物事を判断することができるほど冷め切ってはいなかった。

「……いいだろう。ただし、俺たちがここで見張らせてもらう。
彼氏にはどれくらい説明してあるんだ?」

「全部は説明してないよ。でも、ある程度は知ってもらってる。
私が人を食べたくてしょうがないのも」

「そうか、ならいい」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

320 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:53:19 ID:Ubww7uhA0

   |  {    |     ハ   '  乂込りイ、`ヽ
   |   '  |  ミ、 i   |ハ ゞ=彡ノ/z i
   |   ヽ .!   ハ:}|i: ! {  '  i  ゞ=ソ i:!
.i   |   ハ:{.  r=彡|{|ノi  |. | ヽ  八
:|   ! >ー从_}{ i ! |.川 i{ `ヽ |   !  ハ 、  ゙
   |{ / ーヽメ 八ハ!{ !ノj_z_j   |  .'{  ヽ
ハ  人ハr=ミ ハ ハ   ノ从 7Zマ.く_ ' | {八         いつから付き合ってるの?
  / }込八irくイ_ノ ノ    i.i゙;;;}j ' ハk , ! i  ヽ
 { :{ゞ=ミ_ノ/    ,  ゞー" / ノ/  |i ゝ         「つ、つい最近……」
.八 ∧   '' j:i ''     ノ   "″,イ./{  八 `ー
.  ヽ∧   八{_ノ、_       ./rーミ八   `ー -       へえ……告白はあなたからでしょう?
   \ヽ.      ̄ ´  イハ  }vー 、`ー -
 `ヽ  \>     . ィ´,⌒´     ノ `ヽ        「なんで分かるの?」
ハ  \  ヽハ≧=彡} `ヽ      `ヽ ハ
  丶.  \   }、 { /           ノ   }       あなた、そういう女の子に見えたから。
   \   ヽ ノ iト、∨           \  '





               . . : :  ̄: : : :>――‐ァ
            __/: : : : : :ハヽ:.\ニニ=/
            /}: : : : : : : : : : :‘,‘,: ゞY≧=ー
         ノ=,': : : : : : : : : : : : :. V: 八: : :.>
           `フ: : : : : : :| : : : 从ハ:. Y: : : : : :\
.            `|: : : : : :从: : :/x坏!::. l: : :ハ: : : :\
             |: : : : : :{斗Vハ ゞリ: 1ノ:ィイ≦ィミノ:.)          どこまでしたのー? チューは?
             |: : : : ::爪沙〈   八イ 爻 爻 爻 弐
          八:.:.:.:从.入  ‐ ':./爻イ ̄´ー‐=ミ{           「……手、繋いだだけ」
           /イハ: :}: }  ≧=/:/'_,,,,. ̄ ̄    \
.          / /: :ハ:j:ノゝ=彡ィ(:(<:\= \=-      ハ         人間の女の子って慎重なんだねー。
         (:.:人 ノ'ミ}\ニ r彡'\\:Yニ.} \ヽ\  \j
        r'(: ノ:}Yべシ\:)イ=/ニニ ): :jニ=.Y 、.    \        
       f V⌒ソ-<__}/メ Yニ)ニ/ゞ(ニニ |:iハ    \
     /人:{:_ィ彡: :(: : v-ィ'' V:i:iY/ニニ≧ニニ:i:i:∧    1 ≧=-  ミ
.   / ,.:i:i:i: /ニニ≧=彡へノ´:i:iハ=Y⌒Yニニ.!-、:i∧   |       ヽ
 /  /:i:i:i:ir{ニニ{ニ/V: :}lニ><「{ニV/八ニニ7:/〉_:i∧  人
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
結局、喜留夫たちは確保という名目で、我妻由乃と一緒にその恋人を待つことに
なった。

ウルフウッドには連絡していない。連絡すれば、処理しにこちらへ来るだろう。
それは避けたかった。その時点で、確保というのは間違いになってしまうのだが。

待っている間、女子であるメイヴと、女子のようなものであるパイモンが
我妻由乃の話し相手をしていた。男どもは蚊帳の外である。

そして、我妻由乃の恋人は、一時間もせずに公園へやってきた。
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321名無し-Red-市民-2:2018/02/17(土) 21:54:14 ID:vyw4BWkQ0
すげぇ
すっぽかすとばかり…

322 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:56:02 ID:Ubww7uhA0

               --- .
           _. -く:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`:...、
.          ..:´:.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.ヽ:.:.:.:.:、:.:\=-
       /:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.i:.:.:.:.ハ:.:.:.:.:.\:.:.
       //:.:.:.{:.:.ヘ:.:.:..ーl‐j/‐ ∨:.:.:ノ:.:>i
       :'l:.:.:.:l_l_:.}ハ:.:./ ,ィ==ミ1 仆‐':.:リ
.      ノ个:.´トトx=ミレ'   心っ i:.:.:.l|′         ユッキー……!
       |:.:从 { c心     """ |:.l:.:リ 、
        jハトヘ """ `___    .|:.l:.:ト:.:.\
            |:.:.:...    {  V  /|:.i:.:l__ヽ:.:.ヽ
            |:.:. 1>. `... ---彡,|:.:.:.|:く V:.:∧
            l:.:/:| ,.ィ77///////::|:.:.:.|//ト.:.:.∧
            |/:.リ{///////::::///オ:.:.!|///ィ::::`℡ュ.
          /:.:/ 〉////:::イ// ':.:.:.:リ///::::::::::::}//℡ュ、
          .':.:厶イ///ヘ ::::::///:.:.:.:///////////////ハ
        ,i:.:.|/::∨////::::厶/:.:.:.:///////////////:::/i
        l|:.:.|::∧::ヽ::::::/:::::i:.:.:.///∧:::::///:::::V//::://|
        l|:.:.|:///////::::::::::l:. //////〉:::::::://///:::///|
       ノ:|:.:.ハ.V////::::::::::/|:.:{厶/:::::::////////:::////{
        }/r天7:///厶:::::::::[天frイ//////////////////ヽ
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      /イ:.:.:l::::∨//:::::::::::: |:.:.:l:|:://////::::://////∧::::::/:{

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痩せ形で、身長も低い男の子だった。同級生だという話だから、
我妻由乃と同じ中学生程度だろう。

その表情はとても険しいものだったが、我妻由乃を視認した途端、
明るいものへと一変した。

我妻由乃も涙ながらに駆け出し、恋人に抱き着いた。
公園の街灯に照らし出された抱きしめ合う二人の姿に、喜留夫は
目を背けたくなった。これから、この二人を永遠に引き裂くことになるのだ。
それも、この手で直接。
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323 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:56:57 ID:Ubww7uhA0

               / : : : : : : : /.: .: .: .:|.:. .: .: .:i:|.: .: .:.|i.: .:. .:.|.: .: : : ヽヽ _
             i: : : : : : :</.: .: .: .:.|.:. .: .: .:i:|:i.: .: :|i.: .:. .:.|.:. .:. .: .:|: i⌒ヽ
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             〉、/ : : / ⌒}‐┬.: .: :И \汽苹ミ八/∨| : | : |: : |: |
            /Vハ:.:.:.∧ { 〈  |.: .: : : :|  i{  ん:犲  ノイ : /.: .:|: ト、      っ……。
            /.: .: .:>': : : ∧ ー  |.: .:i.:. .:| i `ヽ 辷ノ    __厶イ:|.:.i.:|: |
          /.: : : : /| ∨.: .:,:ー┐ |: :Λ.: :| し   ヾ   芯i犲リ.:.i.:|: |
       /.: : : : : : l   }´´   l |/.:.Λ :|         {ソ/\.: .:i.:|: |
         |: : : : : : : l  /    ‘. ∨ : ∧|          >{   |/|/ノ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
様子を見守っていると、我妻由乃に変化があった。
恋人から離れ、立ちすくみ、ぶるぶると震えている。
何があったというのか。

拳銃を抜き、声をかけた時には、もう遅かった。
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324 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 21:57:10 ID:Ubww7uhA0

            :,:           :(::)
            /⌒''⌒) :,,゜      '         ,,,,,,,
           (:::::::::::::::!'                 (::::::)
           ヽ::::::::';'''                 ''``   。
           τ'::/ .;:
            )/
         。            '  、       ;: 。
                               `'''`~''・    ' `
     f''`⌒(     ,,,,               !:(',,,,、              ::,,,,,、...
     ,!,,,、(     /::τ             ノ:::::::::::::::::)          。  !::::::::::`! 、
 :.、          !:::(     ノ::`!   o   (::::::::::::::::::τ            (:::,,;,;,、; 。
       ゜     (/      ⌒・ .   ・、;::::::::::::;;.;`` ''
     ,,、..   //   ノ'          //'''`'`'` `       ..,,.. _,,,.、 ・         ,, ...:・..
  π /;::::::::(,.,.(;;;::::(   ,,.,  ・っ                    ;,;;( ):::::;.    c::── '`'''::::::::::;''
   ):::::::::::::::::::::::::::/  '''''`   `        '`                     ⌒ ` !.:::τ'' ``
 τ !::::::::::::::::::::::::::::)/,,,,, γ               :'`'``:!
   (::::::::::::::::::::::::::::冫 `'`'    、,:'::::::`:::,,,,        !:::::ノ         ・
 :::':'::::::::::::::::::::::::::::;(,,,,,,,、:::::::-ー''''`'`''''''''"

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
我妻由乃の体が緑色の、生体マグネタイト特有の光に包まれた後、
腕が、足が、みるみるうちに人間の物ではなくなっていった。

理性をなくしたというのか。それも、このタイミングで。

驚くのもつかの間、次の瞬間には血飛沫が上がっていた。
恋人の腹を、我妻由乃だったものの腕が貫いていた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

325名無し-Red-市民-2:2018/02/17(土) 21:57:47 ID:vyw4BWkQ0
oh...

326名無し-Red-市民-2:2018/02/17(土) 21:59:04 ID:3nlpEhns0
分かってた
ハッピーエンドなどありえないと…

327 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 22:01:30 ID:Ubww7uhA0

         ___
       _,. '´      ̄`、
      /   u.      \

     |  (●)ililili (●) u, |        おい、よせ! やめろ!
     、   トェェェェェェェイ    /
      ,"ヽ、 ヽェェェェェ/  '´ `、       恋人なんだぞ! おいっ!
     /               ゙ヽ、
     |   `-、、            ヽ
     \    ヽ        ハ
       ヽ    l       l

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
そしてあろうことか、我妻由乃だったものは抉り取った恋人の臓物を口に運び、
喰らい始めたのだ。

駆け寄り、肩に手をかけるが、凄まじい腕力で跳ね飛ばされる。
最早人の意識は残ってはいないようだった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

328 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 22:02:41 ID:Ubww7uhA0

              / |  _  ___
           { \_{  V´{ ´ <_   ィ
         _{`              `- '/}
        - 7              く
        _ノ ,              ーイ
        > ,: {  /     | /   、    _ノ
        {/{ \{   从{   、  }l  / r '
        / , { 八 {     | 八}/  ー/
          ̄/ イ、∨\     }/ /  r- ´
          { ∧ \    l { |  | 从         …………。
          V_人 ヽV }/ 八 | /从\
            、}∧ } / イ┴―-く
           _个<ニニニニニニ\
          \\>----<ニニニニ/
           /----- 、  \ニニニ〈
         ,  ´       \   \ニニ}
       /             、    ∧ニニ\
       ,            ∨   / ∧ニニニヽ
        /               }   / ∧ニニニ∧
      ,            | l   / ∧ニニニ∧
       {               |   / ∧ニニニ|
       |               /     / ∧二二|
       |                ∨      / |二二|
       |               ,           |ニニj
      ∨           {           |ニニ{
      }            、       |ニニ|

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起き上がり、拳銃を我妻由乃へと向ける。
そこには、人間の姿に戻った我妻由乃が、血まみれになった自分の手と、
恋人の死体を見下ろしていた。

困惑した表情が、一気に絶望に染まっていく。
口許に滴るその血こそが、我妻由乃自身がしたことを如実に語っていた。

ヨシツネが肩に手を置いてくる。

「やるぜ、旦那」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

329 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 22:03:33 ID:Ubww7uhA0

:.:.:|.:.:.:.:.|゙、_レ-‐ト:::|.:.:i.:.:.:.:.i.:十‐‐トl=|,;_/l|.:.:.:.:.:.:.|.:.:.:.|
:.:.:.゙、,;,;,;|::゙、从.:.:|::::ヽ.:l、.:.:.:|ヽ|:::::;;|ノ;;|.:/リ|.:.:;イ.:./.:.:.:.:|
.:.:.|.:゙、.:.:゙、ィ="テュ、ヾ リ ゙、.:.|  彳ラ‐"'ヾ、lノ:/:.:.:/.:.:ヽ、_
.:|.:|.:.:ヘ.:|゙f liU::::.il    ヽl   liu::::i| ゙l| 7.:.::/.:.人‐‐''´
、|.:|ヽi.:|゙ヾ 从':::ソ        从゙::ソ ソゞ//ゝ、.:.:.:ヽ、
. ヾ|.:.:リヘ ゚ー ニ。      ゙ >=`‐cつ. /.:.:.:.:.:|` ̄~      ……ねえ、わたし、生きてちゃいけなかったのかな。
  |.:.:.:.:ヘ       <i    j    i! /.:.:.:.:.:.:|
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  |.:.:.:.:.:.:.:.:/|.:> 、       x.<l.:.:.:|.:.|.:.:.:.:.:.:.:|
  |.:.:.:.:.:. / |.:.:.:|  > 、_,, <´彡 |.:.:.:|゙、|.:.:.:.:.:.:.|
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  |.:.:.:.:./_=‐''"´          ゞ‐= _|.:.:.:.:.:.:.|





       ____
     /     \
   /         \
  /. u   (ー)ili(ー)\      ッ……。
  |    (トェェェェェェェェイ) |
  \   \ェェェェェ/ /

330 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 22:03:43 ID:Ubww7uhA0

       ____
     /     \
   /         \      ……こうなったのは、俺の責任だ。
  /           \
  |     (●) (●)   |    俺が、お前の彼氏を殺したようなもんだ。
  \  (トェェェェェェェェイ)/





            ____
          / ::::::::::::::::\
        /  :::::::::::::::::::::::\
       /   ::::::::::::::::::::::::::::::\
       |    (〇)::::(〇):::::::::::|      だから……俺が送ってやる。
       \  (トェェェェェェェェイ)::/
       /   ..:::::::::::::::::::::::::ヽ
.      / /|  ..::::::::::::::::::::::i::::::i
____/ /__| ..:::::::::::::::::::::/|::::::|
___,廴j__ヽ   r::::::::/ ハ::::,) 
         ヽ  |/  
          >__ノ;:::......

331 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 22:03:58 ID:Ubww7uhA0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                             │ :: │
                             └─┘


                               ┌┐
                               └┘


                                   □

                               ・

332 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 22:05:16 ID:Ubww7uhA0

                     ///////////////////////////////////////////////
                    ,.'/  /////////////////////////////////////////////
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                        .////////////////////////////////i'/////////////
                       .//l'///////////////////////////// !'/////////////
                       l/ !l///////l.!///////////// ////// !'/////////////
                       !   l!V/////l-l!_l,!///l.!//,'‐、-、l/ l///  l'|////! ヽ'//////
                          !|ヾ///l. ヽゞ'// ll/    ̄  l//   .l'|.!///l ; !//////      日本酒ってのは不思議な味が
                            ゙、∨∧  .! |/ |!       l/   l'! l///! } !//////
              ,..-―、           ヾ! 、 .!         ,.'    .l! l//l ソ.l'//////      すんのやな。
          ,. -‐ ,.-  _./     _      ヽ!            ,、- _   リV! .ノ///////
        _ ‐     ./ `  、` ヽ   l 、  ̄ ―- └ 、          ! !    ̄ ‐ _  !/////       嫌いじゃあらへんで。
   _  -     - _/ _   _ .〉   ! .!            、_       .!   !          ̄  ‐' V_
  /            ̄`  ̄  ./  .l  .l                  ̄  l   l             _
. /      -‐ 、 _      ` く    !   !              ヽ   !     .l          _ ‐ニ二二
/      _       ‐-  _    ヽ !   l           ` l      l      _-ニニニニニニ


╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
全ての感染者の処理が終了した後、喜留夫は約束通り、ウルフウッドと
屋台で熱燗をちびちびと飲んでいた。

「なんや、そんな渋面しおってからに」

「ちょっとな。……相手の一人に、理性が残っていた奴がいてな。
処理はしたが、しばらく忘れられそうにないんだ」

「さよか」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

333 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 22:12:31 ID:Ubww7uhA0

                ,.イ´_
               //////77‐-、
           _,..-=ヽ!'////////////>、
             ////////////////////ヽ
            /'//////////////////////∧
             ,'/////////////////////////,!
          ;//////////////////////////,!
           i/!////////////////////////!il
          l! l'////////////////// i///〃}!         今回の仕事は、そういうもんや。
              ゙ ∨////////////////.i !//,'′′
            ヽ'/////////////∧: l/!             可哀想には違いあらへん。けど、放っておくわけにもいかへん。
             ∨///////////,' ゛'lリ
              }'////////// : /リ              「だから、俺たちが手を汚す。そうだろ」
              _,.!'"-――-"'、_ i /
            /          ` 、               そういうこっちゃ。
          /__--―――--___丶
     _ -=ニ二二二二二二二二二二二ニニ=-_
  _ -=二二二二二二二二二二二二二二二二二二二=-_
‐二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニ=_
二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニ-_
二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニニヽ





         ____
       /       \
      /         ヽ
    /     ( ー)  (ー)'       なあ、やっぱり俺たちってさ、ただの薄汚れた人殺しなんだな。
    |     (トェェェェェェェx ,--、
    \    \ェェェ<  ヾ zヽ      「せやな。しっかし、何を今更」
____/          \/| |
| |  /  /            __ノ      
| |  /  /          |
| | (    ̄ ̄ ̄⌒ヽ.   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
人の生きる権利の有り無しなど、誰が決められるわけでもない。
そう考えていた。けれど、今回ばかりは別だったかもしれない。

彼女は生きていてはいけなかったのだろうか?
自分はあの時、有無を言わさずに引き金を引くべきだったのだろうか。
答えは出ない。その答えを出せるのは、神様くらいのものだろう。

喜留夫は記憶のボトルの中身を酒で薄めるように、御猪口を呷った。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

334 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 22:14:07 ID:Ubww7uhA0

                      ,.-‐、
                  __i'///;、
                     i';;;;;;;;;;;;;;!
                 /;;;;;;;;;;;;;;;;!
                <;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i
                    {;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',
                     l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙、
                 l;;;;;ト .;;;;;;;;;;;;;;;;;;\
                   l;;;;;l   ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
             ,.._ i;;;;;;l   〈;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!
           /ニニニ!ー、'   l;;;;;;;;ハ;;;;;;;;l
      ,._     /ニニニ/l.!i.i'   !;;;;;;' l;;;;;;;!
    ,ニニ=- _/二ニニ/      .l;;;;;;゙  l;;;;;i
   ,二二二ニニニニニ'_       i;;;;;'   };;;;;l
       ̄'‐=二ニニニニニ=- ._,';;;;;'   .!;;;;;l
            /二二ニニニニ,';;;;;;'=- ._!;;;;;|
           /ニニニ/  ̄''-ニ;;;;;;;;'二ニl;;;;;;|=-._
          /ニニニ/       i;;;;;;;l‐=二l;;;;;;;!二ニニカ
〜また次回〜

335名無し-Red-市民-2:2018/02/17(土) 22:14:30 ID:vyw4BWkQ0
ハイレベルな話やね
低レベルだともっと悩むトコロやで

336名無し-Red-市民-2:2018/02/17(土) 22:15:32 ID:vyw4BWkQ0

人間状態で死ねれば輪廻に戻れるんかねぇ…

337名無し-Red-市民-2:2018/02/17(土) 22:15:54 ID:3nlpEhns0

ビターな話であった

338 ◆x0SRSoJXe.:2018/02/17(土) 22:17:37 ID:Ubww7uhA0
今回の話は「バレンタインになんて話書いてるんだ私」って思いながら書いてたよ。ちなみにこれの前にアマゾンズ見てた。後は分かるね。

あと、ウルフウッドの関西弁なんだが、これはネットで調べただけのにわか関西弁だ。

本場の人は気になるだろうが、まあスルーしてくれると嬉しい。

それじゃ、またね。

339名無し-Red-市民-2:2018/02/28(水) 17:34:52 ID:PBiAKa6k0
おつおつ
まいど楽しみね

340 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/06(火) 03:37:00 ID:YsvYf2aI0
夜分遅くにすまないね、投下の予告だ。

3/8の午後九時からだよ。ん? なんで最近投下のペースが落ちてるのかって?

そりゃもちろん仕事が忙しいのとペルソナ5で怪盗やって(ry

341名無し-Red-市民-2:2018/03/06(火) 13:19:46 ID:pVgyjjGw0
リアル大事だからね、多少はね?

342 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:00:36 ID:fgrERJQI0

    /||ミ
   / ::::||
 /:::::::::::||____
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||  、 - ‐‐ -,
 |:::::::::::::::|,´: : : : : : : : :
 |:::::::::::::::|゙i : : : :○ ○゙i        ハロー。今日はちょっと短めだよ。
 |:::::::::::::::|}: : : : : : : _ _ _l
 |:::::::::::::::||: : : :-=´_ _,´        スレでも話題に出てたから、早めにあるキャラを顔出しさせたくてね。
 |:::::::::::::::||___ : : :丿
 |::::::::::::::(_____ノ´||          それじゃ、短めだけど見てってプリーズ。
 |::::::::::::::(_ノ / . . . ||
 |:::::::::::::::||/    ||
 |:::::::::::::::||      ||
 \:::::::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
   \ ::::||
    \||

343 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:04:02 ID:fgrERJQI0
┌─────────────────┐
│                         .│
│   第七話『レジェンド・リターンズ』  ....│
│                         .│
└─────────────────┘

344 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:06:53 ID:fgrERJQI0

                __
            ,  <      ≧ミ
       /≧=/ _  、 \  \ _ rャ=┐\
        {ニУ /   ヽ  rャ≦Ⅵ}ニニニ}\ ヽ
        7  ./     `、 .マニニニ/}「ニく   \∧
        /  /! r 7i`ヽ! i .\ /ニ{∨ニ ヽ  \!
      ,  / .| |/_ i  i  !  | |ニ | .∨ニニ〉  ∧
       i ./| .| |f:}\、}  }  } |三!   ̄     ∧      この写真のおじさん、誰?
       |/ .!.r ∨ !j  j   ,′       | |ヽ ∧
        V.ハ       ,′ /     /、   | | ∨ i
         | ∧っ   /  /    /i /  Vi  .} }  .Ⅵ
         | /| ヘ __/  /|   / .}/'´ _にv ∧ !‐- 、}
         i′! /  / ./} ,  /    /   }/ i/ /
          .i/Z / }7} //}イ   _}i        >
            7}}  i i/ くV 斗rヤ   r―   _〉
         r'´/ ̄ `y' / 7 〉―― くノ\ ̄}´
         /| {   .{ /\__xく       \}
         ,′V ヽ__/! \ / /            i
        ,  i!   .| { / >
        /   ∧ ___」 く  ィ′          \
        /   |/7//| | / 7 }                \
        /   |{///.L} 71!ヽ}_                }
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
パイモンが護衛対象の写真を指差し、首を捻る。
今回受けた依頼は、ガイア教団への資金援助をしている、それなりの規模を誇る
建築会社の社長の護衛である。
というのも、最近になってガイア教団の支援者が暗殺される騒ぎが起きている
らしく、次の標的になりそうな人物を護衛してほしいとガイア教団直々に依頼が
きたのだ。
以前起きたアートマの件からガイア教団にいい印象はないが、報酬はいい。
背に腹は代えられないのだ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

345 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:07:10 ID:fgrERJQI0

       ____
     /     \
   /         \
  /     (ー) (ー)\    今回はお偉いさんの護衛だ。
  |    (トェェェェェェェェイ) |
  \   \ェェェェェ/ /    失礼なこと言うなよ?
  /           |
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
しかし、ガイア教団から指名が入るということは、自分の名前も売れてきたという
ことだろうか。
今のところ、自分の評判を他所から聞くことはほとんどなかった。
実際、自分くらいの実力のサマナーであれば、捜せばいる。
だが、十年前の事件からサマナー全体の平均レベルが落ちているのも事実だ。
その生き残りの中で、自分は最古参ともいえる。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

346 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:09:30 ID:fgrERJQI0

       ____
     /     \
   /         \
  /           \
  |     (●) (●)   |
  \  (トェェェェェェェェイ)/
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
そう、十年前のことである。
あの時、各地で同時多発的に悪魔が出現し、当時のサマナーたちが
対処に追われた。無論、その頃にはまだ存在していた葛葉たちもだ。
病院や学校、多くの人が集まる施設が悪魔に襲撃される形となった。
喜留夫が通っていた高校もそうだった。
あの時、喜留夫はちょうどCOMPを偶然手に入れ、それによってピクシーであった
メイヴと契約し、当時の災厄を生き延びたのだ。
それ以降、葛葉は壊滅。他の高位のサマナーも軒並み死ぬか、戦闘不能の体に
されてしまったらしい。もっとも、閻魔哀のような例外はいるが。
必然的に、息の長い喜留夫は現在のサマナーの中でもそれなりの実力を
持つに至ったというわけである。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

347 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:12:41 ID:fgrERJQI0

                   ..-‐  ¨ ≧ァオ¨_ミ:x.__
             ,ィニjァ='ィ     ⌒´辷彡ス `Y
           r:ヘ.Yツ / /   i l i ヽ  ` ヾ) i |
           トi ,ィ/ ′ i l l l | | l .ハ  ((  | !
                | jヘトN i  | | ィ7从┼l‐-i!  }` !リ
                レ′ l  Vアフ彡ィ/ j」⊥j、! イ  ハ、
           /   八 くヾrjYtリ  ´ヒ:z:ノ;7 /   Y ヽi
             /   /  ヽ卜辷r" :  "" { ! ハ    ト-ミ: ____       今回の依頼は、何もなければそれでよし、らしいわ。
           √ァ’ /   トミ Ⅵ(  ‐.‐  人ヾ {  , マ≧ レ==ミ`ヽ
          /〃 /イ ャ‐ミxヾ:`へ、_ ..√てハ>"{  ヽノノ     ヽ\   何も起きないことを祈りつつ、最大限の注意を払いましょう。
       人{/ /  }   }rリ)  r' `’ ) _/   `ヽУく       )/
  .-一=彡 ハ /r‐ "  ,ィ Yヽ辷彡= _厂Y `う     レ/ \   ー=彡
ィ´   ̄   /ヾく  |  =彡  リ_ / > < 1| {:_  /イ\  丶
 /   /  /\-ィ    「ぇ≧z\_/ィミУ { 〃´  /ヽ   \
/    〃   ′  Y      | " ヾ ̄  ̄ /_  }.:′   /   }     ヽ
    .ィ   i {   Lk、   !         ¨_ノ /=ミ    〉/⌒ヾ    ハ
 / {     ヾ:、  r'¨ ` rァヘ:、   ヽ  しぅ〃 : ヾ ∧     }l   /
く  八     ヽ/   /ソi } ` :.、  }  ソイ}    }  i   〃 /
 ハ   ヽ   r='=<r彡八V_ ==≧<ア/ ¨{/    ト、  v/イ 八
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
今回の暗殺騒ぎの犯人に挙げられているのはメシア教だ。
ガイア教が被害を受けて一番得をするのが、抗争相手のメシア教だからだ。
恐らく、暗殺の首謀者がメシア教なのであれば、実行者はメシアサマナーだろう。
もしもウルフウッドであれば喜留夫に勝ち目はないが、その情報はない。
あれだけの派手な武装と仲魔だ。ウルフウッドであれば、たちどころに噂が
広まるだろう。つまり、ウルフウッドである可能性は低いということだ。
護衛の開始日時は今日の正午から。時刻は十時を切っていた。
喜留夫は装備を確認した後、護衛対象に会うべく事務所を出た。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

348 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:14:14 ID:fgrERJQI0

                         ┌──────┐
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                               ・

349 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:21:19 ID:fgrERJQI0
〜TIPS〜

        <  r=-、  > ' ´            / /  rァ/ }v'´`i > ゝ
        >イ{r-j}ソ                     トv´ ゝイ.人K i
        廴Y/ ┘      /              ヒ=-ゞ イノ小 |
        ノiヾイ'´        /            i i   ≧三≦ .| ハ
    、 _/ィ //        i              il .il   i  升 ハ .ヘ
      ̄  ノ i .i           il     i.      i  il .il   il  |.i  ii  .ヘ
      / /       i    i  i   il       ハ .il .il   il   Ⅶ   ハ
     /            il i__ ハ.  il     .升 iⅦ   i   i.lハ  ノ ハ
      i     i    ナTl   il    il    -ハナilー -.i  il   ト ソ   i   i
      |       il    il il     il i  il i  /  il .il ilハ/ .イl   il     il {ハ
     人.     il    il ilゥ≦ミ=、 il il il / 行芯及ァイ//  小、 i  .il   ヽ
     ハ.    il     il ノ/<t 」ノ ゝハi .il ハ   {辷t jrリ./イ  / il  il.   il ( ミ;,、
       V>‐  il  i  il人ゞ- 、 _ハノ ハ' ´   弋z_ソ.//  / .il  il  / ハ  ヽ
       } i ハ .il  ハ ト≧_>イ           イ.  /  il  il ./    i   ヽ
      ノ  .|/ Ⅶハ i i i ノ人(    _       -=彡イ   il   // i  人   ',
     , '´ /   /  ヾハ 人 (  `ヽ           /.< ̄ ̄ ̄ ̄ヽ_il / il    ノ
   /   /        }人≧、    ー =-    イ} })    /  (  .il   (
  /ハ   /         il  ゞ >        イ∧_∧ /    /    ∧  il    ヽ
  iハ ゞ. i        ≧}人 K  /> ─ ´i   || | | .| i    .i    / ゝ i ヾ _ ヽ\
   i   .|        彡イ人ゞ  / /∧∨/ /  / / ハ     //  /ソ   \      ヽ
【名前】
クイーンメイブ
【種族】
夜魔
【レベル】
56
【属性】
Neutral-Chaos
【相性】
魔法全般に強い
【能力】
力-D 魔-B 体-D 速-C 運-C
【スキル】
メディアラハン マカラカーン テトラジャ マハジオダイン メギド テンタラフー マリンカリン
【備考】
喜留夫の十年来の仲魔。
ウェーブのかかったプラチナブロンドの髪を腰まで伸ばした、異様な雰囲気の少女。
黄金色の瞳をしているが、右目はアイパッチで覆い隠されている。
雪のような純白のミニドレスを着用しており、西洋人形のような風情すら漂わせている。

大きなチーズの塊を見ると半泣きになる。

350 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:22:31 ID:fgrERJQI0

.〃ィ/|  ./.!ト,   .,イ / /イ |  /  |∧ | ハ ト, ト、 }ヽ  ト、! ハ、<⌒ヾ
/ ./ | / リ ',  / |/ ´  l  /  リ レ′ ' | .| ` .ハ |.  、ヾト.、Y
    ∨   ヽ/      //         レ′  ハ. !  ヽ.\レ′
--,                '´         ,/,  ,  レ′ .ハ、 ∨
`/  ,ィ, ,    ,,,、_i ,   /   ,、  i _,ィ,/ ,イ//!    .ト、 .ハヽハ
. {// . |/{ / /γヾ !  V .∧i / ヽ .l'´_フイ_7イ¨7./,  / / ヽ..| ヾ
_厶イ  i.|/{ ,/{ ゞ:叭 ! i ハ|/. ヾ{  \、 ヾ、==ャ、/// ,イ ,イ  .ハ !
--―ァ  l |. |′∨'´λ、Ⅵ             `¨ ,イ/イ/イ    リ
  /,,..ミヾ、  , ヽ `ーヾ'、           /イ´.ヘ
≦イ:`ー-ミ_</ / \__   `              ∨
 .{:::::::::::::::::::`ー-ミ</ `                   r‐、、ィ
γ`:::::::::::::::::::::::::::::`ーミ丶、            __,∨ ヽ
_ゝ:::ニ二ニ ー-:::::::、:::::`ミ、ー 、        ´ー; ヽ ヽ
'´:::::::::::::::::: ̄`::ー-::::`::::::::::::> 、'<.      /´ /ヽ ヽ
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`::::、::::::::::::::::>:、ー 、   / /!  l  ヽ
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`::::、:::::::::::/イミ,‐-:'.,〈  ,l      \
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::才/::::::>>/ ', ′      \
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\:/イ _,ハ  ' 、        ヽ
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ (_ ヽ   丶       ハ
::::::::::::::::::;/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ  >ヽ、            }
:::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ハ.    `丶、           ',
:::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ハ      > 、      .i
【名前】
ヨシツネ
【種族】
猛将
【レベル】
57
【属性】
Light-Chaos
【相性】
破魔・呪殺・精神・神経無効
【能力】
力-C 魔-E 体-C 速-A 運-D
【スキル】
タルカジャ スクカジャ ブレイブザッパー 八艘跳び デスカウンター 食いしばり
【備考】
喜留夫の仲魔。物語中盤で仲魔になる。白髪頭が特徴的な、死んだ魚のような一重瞼の男性の姿をしている。
白髪頭は「大体兄上のせい」とのこと。
最初は女物の着物を着崩していたが、喜留夫が「気色悪いから」と黒いジャージを押し付けた。
三年ぶりにレベルが上がった喜留夫が色々苦労して合体により作成した悪魔。
造魔に源義経の分霊をそのまま宿した形であるため、性格や容姿がそっくり。
乱暴な性格だが、邪悪を嫌い、弱者を甚振るような真似は絶対にしない。
女好きの美男子だが、平安時代であればともかく、現代では「イケメンだが、探せばいるレベル」とのこと。
そのため女性の食いつきが昔に比べて悪く、よく悪態をついている。

351 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:23:34 ID:fgrERJQI0

           /、::::::::::イイ  /:::::::'イ:::::::::弋,ィ´ヾ_
         . イ 〈:::::::::::::了 ./::::::::::::::::::::::::::::::ムゝ:::/
          /:::::::::,、::::::,-'  /::::::⊿:::::::::::::::::::::::_,ィ::|
          |:::::::/ /::::::ーイ/::::::::::::::::::::::ハ:::::::::::≦彡
          |;;;;/ /;;;;;;;;;;;l/:::o::::::::::::::::::`´::::::∠
          |;;;;レ';;;;;;;;i|;;/:::,-、:::::::::::::::::::::::::::::::7
          |;゚;;/|;;;;;メ |7::l_ノ:::::::::::::::::::::::::::::lニ、  .lヽ
  ハ       ヾムイ ソ:::::::,イ__:::::::::ノコ::::マ   |:.:',
  マム   , ≦ ̄(⊥/彡シ:/7ヤヾ、::::`´::√   /:.:.:|
  マ `ム、 〈:◎ソイメ少ミ:.::l≠゚ / _≧マ´¨´    /:.:.:.:l
.   Y´_∟二ニ、 ./%ミ:.:.:.:l__l ゚ ヘ ̄ソメ、__    /ム7:.:.l
   ∨WレwW )〉Уl":.:.:.:ハ彡ヽシ´寸´:.:.:ト-イ、彡':./
     ,ィイMシヾTイ´;;;;;;」, ―イロヾ>,=、l:.:.:.:.:.人:.:.:.:.:./
     >、_,イ´;-;;,イ´へ、>―-、ムノ:.:.:.:.:.:l゚.pl:::;;/
    /`ー;イ:.:.:.;-',イ7 /|  Y_ l) ノl´:.:.:.:.:.メ、 l/
    レ´レ彡' /..:;/7..::/ ,、ン--'´∨:.:.:.:.:.:.i:.:.:Y´
.         /.;/〉..;//::/;;;;;;;;;;l 〉:.:.:.:.:ノ:;;;〈
        //ー./..:;/7;:../-- -≧/ヽヽム;;;ハ
        ´ ./..:;//;../     ムノ;;l  〉、 |
          .ヽイ lメ          `´ `´
【名前】
ファフニール
【種族】
邪龍
【レベル】
56
【属性】
Dark-Chaos
【相性】
物理攻撃に強い 電撃・氷結に弱い 破魔・呪殺無効
【能力】
力-B 魔-C 体-B 速-C 運-E
【スキル】
地獄の業火 アイアンクロウ メガトンプレス 雄叫び 猛反撃
【備考】
喜留夫の仲魔。機械でできた装甲を全身に纏ったドラゴンの姿をしている。
元は妖獣チンだったが、度重なる合体でここまで強化された。
偉そうな態度で喋るが、単純な性格をしており、食べ物に釣られやすい。
属性が凶悪なのだが、クイーンメイブに散々躾けられているためにそこまではっちゃけられていない。
光物が大好き。金箔を乗せた肉をあげると大変喜ぶ。

352 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:24:35 ID:fgrERJQI0


         ___
       (_ノ  (__) `ヽ
     〃   ’′    ノ
    人ー{‐+-- +‐宀'′
       ≧=┐ /´
        └ァ ア
           //       -=  ¨~ ̄
      --=ミ    r<゛   ト   _
    /,,__  \  }     :, V´:.:.:Yi⌒ヽ _
    〃 、 `ヽ  〉 |{   i   } }:.:.:.:.f{:\:.:∠
    '=-  \ ㌻゙ |ヽ ト、 | l|| └=ァ:| 'ー=ミ:.:.\
   {__  \У    |l { ⊥斗 || ∧}〈:.:{     ̄
  rx「 ̄`ヽ {    ハ ,ハ|f==ミj/  ‘,:.\
.  V} f'Y =r┴ュ,__ x:「´  "xxx|    }`丁⌒
    VU-|  `乙/{圦     |   ハ |l
    Vr┴={_L二ニ=ヘ {    |  / ,'r===
    ヽ  }l  } \`'<丶_,, 斗 /}/ _〕  ニ=-
      Y  ニ{  `¨¨込,ノ  |/Y´ ___
     〔/⌒゙'ヘ     \  |{ }/ ̄
      V     ヽ        /

【名前】
パイモン
【種族】
堕天使
【レベル】
52
【属性】
Neutral-Chaos
【相性】
氷結反射 呪殺無効 火炎に弱い
【能力】
力-D 魔-C 体-D 速-C 運-D
【スキル】
マハブフーラ ディアラマ タルカジャ ラクカジャ スクカジャ アムリタドロップ トラフーリ
【備考】
喜留夫の仲魔。
見た目こそ後ろ髪を三つ編みにした異国の美少女といった出で立ちだが、男性。
序列九番の地獄の王だが、下位分霊のためそれほど強い力は持ち合わせていない。

バイセクシャルではあるが、喜留夫は好みではないらしい。

353 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:27:46 ID:fgrERJQI0
今気づいた

>>1、日付間違えてるやんけ

354 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:28:23 ID:fgrERJQI0
まあいいや

このままイクゾー!デーデーデーデデデッカーンデデデッ

355 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:28:53 ID:fgrERJQI0

.       / _   /.,' ., i | ;' .}  l .l .|  ';    ∧∨
     〈/ フ  .l .l ,' .| .!; /.'; l∧'; l .l、.ヽ
    ー=彡  .|  l /||l.l  ';.:Ⅳハ |N \ヽ.l_
     ト-'   ∨l|l;' ̄l¨、|ニ=ミ lト、 '∧<二、.ト、ト、
      >≠., ;!∨l|! -―tッ‐ ヽ〉.\∧‐tッ―- ヽ
      ⌒フ_,ィ.Ⅳ.|`′            \〉    /       なあ、旦那。
         〈ハⅥ                〈ィ
          ヽハ        、 r‐、      从      「なんだ」
             .};`:;.         |  ',     /-
           〈ハハ、         ';  ∨¨ヽイ⌒       あそこのたい焼き食いてえ。金くれ。
           _|.l |:.、    〜 ┤
          イ.;:|ハ .';. `:..、     ';              「メイヴ、鞭ってあったか?」
        .//..::::::从l    >... _..;
     ..//..:::::::::::::::::;}        l              冗談だっての。
     `ヽ.\:::::::::::::::/|         .';
..     _Ⅹ.ヽ::::::::::| l         .
.  _x<三三ヽ 丶:::::l          ヽ
≦三三三三三ニヽ ∨:;.             \
三三三三三三三∧.∨;::. ̄ ¨>、  , < ̄.∧
三三三三三三三三ヽ∨.           .∧
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空は淀み、灰色に覆われていた。今にも振り出しそうな気配さえある。
護衛対象は眼鏡をかけた中肉中背の男性だった。
ダブルのスーツを着込み、髪を固めたその姿は紳士的で、実際人相も
よかった。悪魔の存在も認知しているらしく、喜留夫のことをサマナーだと分かっていた。

こんな見た目をしておいて、反社会的勢力であるガイア教に
肩入れしているとは、人は見た目に寄らないな、と喜留夫は感じた。

いつでも危険に対応できるように、仲魔たちを召喚しておき、
COMP画面もファフニールをいつでも呼び出せるように操作しておいた。

咄嗟の対応のためというのもあるが、喜留夫は仲魔に頼ることが多いスタンスだ。
何かと意見を出してくれるメイヴたちは、基本的にCOMPの中で待機させておくより
も、こうして召喚しておいた方が助けになってくれる。
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356 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:29:05 ID:fgrERJQI0

 :..   . :.  .. .                        . ... . . .::..  :.   .. . .:.:.. . .   .....  .. .      ....  ::.. . .
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曇天の中で落ち合った一行は、三津井市にあるガイア教団の支部へと
向かった。

今回の依頼は、彼を無事にガイア教の支部まで送り届けることだ。
流石に支部一つに殴り込みをかけるような暗殺者はいないだろう。

ウルフウッドであれば、話は別だが。奴ならやりかねない。

駅前の大通りを抜け、住宅街に入る。
支部はもうすぐ、あと十分もかからないといったところで、異変が起きた。
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357 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:29:26 ID:fgrERJQI0

                   _
                 , . : : : : : : : :>‐…‐-
                 ,. -く: : : : /: /\: : : : : : : : : :\
               /: : : ニ=‐-: : : : : : : :\: : : : : : : : : :\_/:i:i:i:}
           /: : : /: : : : : : ⌒`、\゙\: : : : <i:i:i:i:i[i;〕:i:‐<_
         /: : : : / : : |: : : : : : : : `、 \ \: : : \i:i小:i:i:)、:i:i:i:i:i:丶、
       _/:i/ : : : /: : : :|: : : : : : : : : :`、 \ \: : : : : |:i:i:(: :\¨⌒\(
      ⌒\/ : : : /: : : : : : : : : :\: : : : `、   \ \: : 八:i:i:\: :.\
           /: : : : : : : :..|: Λ : : : : :|\.: .:/、  \ \: : \i:i:i\ : :\
.         /: : : : : : : : : |/丶 : : : : :| _Χ、斗 、    \ \: : : : : : : : :. :.\_        ……ちょっと待った。
.   ___ /: :/: : : : : :芥うぅミ\: : vィ灯Jハ^\{\l\(\⌒ : : : : \"⌒ ̄
   \   //: |: : : : : Λ:| 乂ツ  \: \ゝツ   |\: : : : : : : : :\: : : :.\_          喜留夫。ここ、空気が変だよ。
    \/ |: :|: /Λ/: :Λ     ,::. `⌒     从: : : : : : : : : : : :\⌒ ̄   /
      \ |/:|/: : : :.∨ Λ    _,.  .,   ,:i|: : : : : : : : :|/"'<⌒\ / /(        異界ともちょっと違うけど。
   _ノ⌒ | |: : : : : : : : : :゙:..、 V   ^) / |Λ : : :..|\|: : : :..`、  //
  ⌒\      |: : : : : : |\: : : 〕iト .,  イ _,、rニニ}Λ : |: : : : : : : :.} /
   /       |: : Λ: : |\ ト、/   {ニ=ニ二\ ̄ ̄ 〈: | ̄ ̄´"''</
            |: /  〈: |  )|   ∨ニニ二二二\   〈|
            |/    〈|  ∨/   ̄´"''<ニ<
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
最初に異変に気付いたのはパイモンだった。
喜留夫はといえば、流石に平日の昼は人がほとんどいないな、程度に思っていた
のだが、仲魔たちは敏感に周囲の変化を感じ取っていた。

パイモンが周囲を探っている間、怯える護衛対象を諫めつつ、
懐にある短刀に手をかけた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

358 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:29:38 ID:fgrERJQI0

                ヽ
                 ヾ::、  ト、
           `ー==ニミ、 }::::ヽj::::}
          ,..=::=≧=-::::::ヾ::::V/__
       ,.:":::::::::::::::::::::>::":ソ:::/ハ::::::::::>、
    ー=彡,..イ::::::::,::.:<::::/:::::::/:::I!:::::::::::::`>、
      /::::::::/:::::::::::: /::::::::::/::::/::::}!::::::\:::::\
.      /:::::: /:::::::::::: /:::〃:::::/::::/::::川::::::::::::ヾー`ー
    /:::::イ:::::::::::::/:://:::::〃::::::::,':/小::::::::::ヾハ
     }::/::::/:::::::::/::::イ::::/:::::/::::::::::://Vハ:i:::i::::ヽ:ハ
    Ⅵ /:::::::::/::≧≠=x:/::::::::≠=≦ニ!:::l::::i:::}::ハ
.      八:: r7///{弋zツ./:::::/ 弋zソ,} 川::::l!::!
.       介// / ` ̄ /::/!   ` ̄  从{::/リ        …………。
       川ト }   ″ :|      レ.イV
         }::ハ      `       /:::/
       ,.-=>、  , - ― 、  メイハ:{
      イ{=-  .ト \   ̄  ./,ノ= >、
 ___|::> _.     \__ /三彡 /|ト..._
イ三三三三≧、::::: ̄::`:::ー───==テリ:: ||:::::::::>.、
 ̄ ̄ ̄ ̄\:::::\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:/::::: |::::::::::::::i::::}
 ̄ ̄\イ:::: ∧::::::}}:::::::::::::::::::\::::::::::::: /::::::::从:::::::::::|::::|ヽ
 ̄ ̄\\::::::::}:::: }ト::、::::::::::::::::::\::::::/::::::::::/::::ヾ:::::/::/:/ヾ}、
:::/::::::::\\/::/ノ::::::\:::::::::::::::::::}/::::::::::: /::::::::::`ー=::::ヽ:/:::ト、
:::\:::::::::::://イ彡::::::::: ハ:::::::::::::::i!::::::::::/::::::::::::::\::::::\\::::i
:::::::: Y //V::/:::::::::::::::::::::::\::::::: i!:::::::/:::::::::::::::::: : | ::::::::} }ニ|
:::\::||{ .|:イハ{::::::::::::::::::::::::::::::::≧::=≦彡::::::::::::::::: |::::::: :} }イ!
\:::::||| .|彡彡}::::::::::::::::::::::::::::::::::ミ三彡=:::::::::::::::::::::|:::::::/ ./:::人
::::::>/::::::/彡彡}}:::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 丁:::::::::::::::::::::::::: |::::::{ ヾ::{:::::}
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
目の前に現れたのは、学生服のシャツとスラックスを着た少年だった。
歳は十五程度だろうか、精悍な顔つきをしており、美少年といえなくもなかった。
頬には十字状の傷跡があった。恐らくは切ったものだろう。

追い払おうとしたところで、少年が手にしているものに気が付いた。
右手に短刀を、左手には二本の銀色の管らしきものを握っていた。
その管に、喜留夫は見覚えがあった。
閻魔哀も使用している、封魔管だ。
古来から伝わる悪魔の使役法であり、古くは陰陽師が使用したとされる。
自身の生体マグネタイトで満たした管に悪魔を封印し、必要に応じて召喚するのだ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

359 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:29:56 ID:fgrERJQI0

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     /     \
   /         \
  /   (●) (●)  \
  |   (トェェェェェェェェイ)   |       随分と乾いた目つきをしたガキだな。
  \  \ェェェェェ/   /
  |          |         命が惜しければ退け。
  ||        / |
  ||       ./ ||
  (_|   r  /  (_)=|三三ラ
    ヽ  |/
     >__ノ;:::......





                    /| ,//
                 |ヽ、/:::::::::   ̄ ̄フ 、_
               \-ゝ /::::::::::^~|::::::::::::::::<、
              ∠ ̄::/       7::::::::::::::::<
             /::/:::::::::::::::::::::::::::::/,      ヽ、
             フ::::::::::::::::::::::::::::::::::::| ヽD_:::::::......::ヽ
            〃/::::::::::::::::::/l〃::::/|斗< |::,、::::::::::::ミ
             / /::::::::::::::-テ=t| /  (:;::)/l/ヽへ、::|         …………。
            〃|::::::::::/、(::ツ レl    〃  ||> } |r
            / /|:「|「l〃  ヽ         / !|
              l∧ ヽ、   _ _     メr==-、
                 ,- 、ヽ ´ ー `    冫::::/ /i
                /:::ヽ ̄ヽ、   , イ |:::<  \
                /:::::/:::::::::::|`─ ´/ ソ:::::::ヽ /────
                /:::::::ヽ::::, へ──<^\_∨ ̄ ̄/    ヽ、
           ,──//_ ̄イ     /__  ヽ ヽ 、 l       ヽ
          /─、   イ          r.....:::/   ><       |
         ┌┘:: イ           ::::|::::::::|ヽ、/.......
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
少年は答えず、代わりに呪文らしき言葉を口走った。
封魔管の蓋が浮き上がり、中から生体マグネタイトの光があふれ出す。

緑色の燐光を纏って出現したのは、二体の悪魔だった。
一体は白い外套に身を包んだ女性の悪魔。
もう一体は青白い巨大な狼の姿をした悪魔だった。
すかさずデビルアナライズを起動する。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

360 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:30:17 ID:fgrERJQI0

                       _ノlノ(_ _ノ(
                      _)V /:. /⌒^く__
                  /l  /:. /:.:.:.:.:}∨:.:.:.:.:.:.: __>、
                   | | /:.:.:.:.:.:.:.:.:./ /l:.:.:.:.: _「´:. _彡1
                   ||∨:.:.:.:.:.:. : _/ //:. : :_「´:. _「´:. ⌒し1
      .            /|| `、:.:.:.:.:/´ノ/:. : :_「´:. _「´:. : :_「´( _
                 / ,リ : :_}:: : :{:: {::{:: : :_「´ _「´:: : :_「´ : :`X{          _ノl/L_
              lV:.:.:.:/^´:.:.:.:.:\{_」L彡':: _>:: : :_「´:.:.:.:.:.:.:.:.{          )V::::::::::く
              || : :/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.〉:.:.:.:.:.:.: /⌒:: _「´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.乂__     )V:::::::::::::::::::\_
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              リ∧:. \ l / : ://:.:.:.:.:.:.: _」´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:{:. ∧   〈::::::/⌒ー‐'´
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               八:. / ⌒ト--'7彡:. _xく⌒´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : :_l^ : :_「:.:.:.:`、   }::::|
              ∨:.:.:.:.:|-_-//⌒ : :)ノ:. /:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.: l^ : :_」´:.:.:.:.:.:`、 |::::|
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(い ,r‐  ヽ         `X^トvvvv'7l!⌒´)ハ从(:.:.:.:.:.: |:.:.:.:.:.:. : 「:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ∨/
 ゞ ,j! (⌒ヾ}! 〃⌒,ー 、    _ _.トイ/|/⌒:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.: |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`,
 〉 ヾゞぇ_, ′_ノ'^Y⌒ヾj!   〃⌒`._/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. //:.:.:.:.:.:.: l:. : :/:.:.:.:.:.:.:.:.:.{
.( i{  `ー一'⌒ヾ 人_, vァ' jt/ しv}.V´从(:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l//:.:.:.:.:.:. : 从,/:.:.:.:.:.:.:.:. : :{
 `ヾゞー _,ィ^'~`ソj!ン ヾー'`   ノ′  ,r==一:.:.:.:.:.:.:|/:.:.:.:.:.:. : / /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ,/
  '、 ノノ ,r´ 〃⌒ヾ)}j! ー= 彡`ぃ,_ノ~ `て, .从从ノl /:.:.:.:.:.:. : /  {:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,(
   ヾぃ_ジ⌒ヾじベノ ,.r 、{ j!),ゝく、f⌒ヾ{´..ハハハハ/:.:.:.:.:.:. : / 、 {:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./〕
          `ー≠" ゞ'′   _}r' ∨ : :`^l^^^^/:.:.:.:.:.:. : / : :〉 \:.:.:.:.:.: / |
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                          ` |_:/ )__∧:::/:::∧      ´l/l/lノ
                          / / l l^l⌒l |
                            l/   lノ l/レ'
【妖獣フェンリル Lv71】

361 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:30:34 ID:fgrERJQI0

                    /               丶_
                   /     . . . . . . . . . .       ヽ_
                  /  . : : : : : : : : :_:_:_:_:_:_:_:_: : . . .       ヽ
               / . . : : : : : 。s≦ニニニニニ≧s。: : : . .    ヽ
.              / : : : : : rニニニニニニニニニニ≧s。: : : .   ヽ.
            / : : : : : /ニニニr-─────<ニニニ≧: : : : : .   - _
              〈  : : : :./ニ/:i!     {!:.:.:.:.:.:.:|ヽ:.:.:.:.>。ニニ]: : : : : : :. /
           \ : : :.|/i}:.:.|    .|:.:.!:._i|__.ヽ;|:.:.i!:.:.:>ニi!: : : : : : /
             \ : : 〉:.:i!:._i!-‐‐  ∨!:.:.:.:_!_  ヽ`:|:.:.:.:i}ヽ|: : : : :. /
              \i!:.:.:!ハ:|   ‐- .∨:.:.:.:| ,..zz_V:|:.:.:.|!:.:.:ヽ: : : /
                    |ハ:.:.!.i!、yz==x ヽ|:.イら゚v テゞ:.:.:/.:.:.:.:.:.ゝ,´
                /i!∧:.,.く乂゚v_j 、_{N `¨ ´ .ii:.:./!エ}、:.:.:.:.:.:.≧=-イ_
            、__ /:.:.〉:∧:.,!!    _ノ⌒乂_ _ .´|:/:.|:.:.:.:.:|≧=-―― ´       さて、お仕事お仕事。
.          ≧s。:.:.:.>.イi!}ゝ`:. ー ´  ′     /:.:.:|:.:.:.:.:|
             ̄  ./:.:.:|!:.:.:|:.:ゝ    ー-  ´   .イ{:.:.:.|:.:.:.:.:.,               今回は護衛もいるようですね。
           /⌒ー==-:}:!:.:.!-/´≧s。_   </}:.:!:.:..i!.:.:.:.:.:.,
     /⌒> ´. : ::|     /:.:!:.:|/ /:i:/i:i:‐-┐Y¨二iト、:.:.:.ト、:.:.:.:.:.,               どう捌きます?
  _>´      丶. :!    ./:.:.:|:./ /|:i:i:i:i:i:i:ゝ !.//_ノ∧|:.:./、:.:.:.:.:.:.:.,
/     \ \ ∨i!   /:.:.:.:i/ |..|:i:i:i:i:i:ir‐‐‐‐‐┐:i:,i!:.:| ≧s。_:.,              「……正面から行く。それだけだ」
 ‐- ..._     \.ヽ∨  ./:.:.:/|  |..ト:i:i:i:i:i:}|三三] !:i:i:}:.:.!       .〉.,
     ¨ー ..._   ー丶 /:.:./ ∧ !..∨-‐´ ̄ ̄ ̄´ヽ:iハ:.:i      /:.:.:.,             あなたらしくて結構。……あら?
: : : : : :__,   ≧‐- ∨:.:/   ヽ|....>⌒>|   | ヽ  >}:.:.,    イ:.:.:.:.:.:.,
、, ≦     /:.:.:.:.:.:.|/:.:/       |<  ./ーs_ノ⌒y´ ヽ:.:.:,/ /:.:.:.:.:.:.:.:.,
、.      /:.:.:.:.:./:.i.:.:/ / .    |...ヽ//⌒)|/  厂)_ノヽ:.:.,  iト、:.:.:.:.:.:.:.:.,
/    .__/:.:.:.:.:./:.:/:{:.:r i!     !.............ヽ`ー―´⌒´∧ ゝ:.:.:.,イ:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.,
ヽ _/.:.:.:.:.:.::/:.:.:.イ:人:.{ |       ∨............丶i:|||:i:i:i:i:i:/.....}☆.、:.:.丶:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,
 ∨:.:.:.:.:.:.:.イ:.:.:.:.:.:.|:{:|个ヽ:.      ∨.............|i:川:i:i:/........<_ノ个、:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.,
../:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.≧i! ./:}: : : .     .∨...........ト-.<................|  i|:.:.:\:.:,:.:.:.:.:.:.:.:.:.,
イト、=‐ ___,  ィ⌒¬ノ | ´ ヽ: : : : : : : : :∨................................./  |:.:.:.:.:.):.,:.:.:.:.:.:.:.:.:.,
【女神スカアハ Lv73】
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呼び出された悪魔たちは、異様な強さを誇っていた。
ウルフウッドと同格、もしくはそれ以上だ。

こんな高位のサマナーがまだ生き残っていたとは。
つくづく自分の運のなさに涙が出そうになる。
世界に数人と残っていないであろう最高位のサマナーたちが、ほいほいと
自分の目の前に現れるのだ。泣きたくもなる。

召喚された悪魔たちが自分たちを見据える。
女神スカアハに関しては、なぜかメイヴをじっと見つめていた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

362 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:31:13 ID:fgrERJQI0

   |  {    |     ハ   '  乂込りイ、`ヽ
   |   '  |  ミ、 i   |ハ ゞ=彡ノ/z i
   |   ヽ .!   ハ:}|i: ! {  '  i  ゞ=ソ i:!
.i   |   ハ:{.  r=彡|{|ノi  |. | ヽ  八
:|   ! >ー从_}{ i ! |.川 i{ `ヽ |   !  ハ 、  ゙
   |{ / ーヽメ 八ハ!{ !ノj_z_j   |  .'{  ヽ
ハ  人ハr=ミ ハ ハ   ノ从 7Zマく_, ' | {八
  / }込八irくイ_ノ ノ     i.i゙;;;}j ハk   ! i  ヽ       御機嫌よう、影の国の女王。今度の弟子は随分と不愛想ね。
 { :{ゞ=ミ_ノ/    ,  ゞ彡<././ .|i ゝ
.八 ∧    j:i     ノ    'イ./{  八 `ー       一体どういう教育をなさったのかしら?
.  ヽ∧   八{_ノ , -.、    /rーミ八   `ー -
   \ヽ.      ゝ:::ノ   .イハ  }vー 、`ー -
 `ヽ  \>     /⌒´      ノ `ヽ
ハ  \  ヽハ≧=彡} `ヽ      `ヽ ハ
  丶.  \   }、 { /           ノ   }
   \   ヽ ノ iト、∨           \  '





                     <   ̄ ̄ ̄  >
              /               \
             /     r‐< ̄ ̄>...       ヽ
            /     ,ィ:.|:.:.:.:.ヽ:.:.:.\:.:.:.>、     ヘ
               '     ./:./`ハ:.:.:.:.:.:\:.:.:.\:.:.:.:ヘ     \
              {     /:.::|ミx'ヘ;.:.:.ヽ、:.:ヽ、:.:\:. }ヽ.,、     ヽ
            ヽ  ,.イ:.:.:レ   ト;.:.:ト、\}_\:.:ヽ:ト、:l. γ,    /
            \ j:.|:.:.:.:|, -―;ヽ:ハ` 'ン云x\:}レ、:}ヘ|. ト、/      御機嫌よう、コナハタの女王。
             У:.j:.i:.ハ.   _ 、ヽ} , 辷リ_r┴'ニヽヘ |ー
               /イイ{ l:.:、トz=‐' ヽ,-{   ,,,,,, } ̄|ス_|ヽヘ        そういうあなたの男妾は随分と貧相で醜いこと。
            ー '  ハjヘハ{ヾ'''''_ノ 、` ー‐くヽ:.:|ノ、ヽ{  j
                  /:.:.:.|:.:.:.iヽ __  r   フ r仆`´ `ン ,イ         趣味、変わりました?
               /:.:.:.:.:|:.:.:.l< ト `_ ´イ.|/:.ヘ    /:.:ヘ
               /:./:.:.:|:.:.:.|   |⌒i⌒i⌒/:.:.r┴-x、ム__:.ヘ
          /:.:/:.:.:.:.:.j:.:.:.l-‐‐、ヽ;.|;.;.:|;./:.:rx|;|;.;.i;.;.「〉.  ヽヘ
          /:.;イ:.:.:./ ̄,:.:.:.:j_,.Y/ ̄ ̄7:.:.:| ヽ!;.;.l;.;.|{`ーx .}:ヘ

363 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:31:50 ID:fgrERJQI0

   {   i   ′     {f^   :  !    !  i  i :!.i | i i:  i! !
   {  i :|   :|    _j  乂__  :! :    :!  ! :|: !:| ! !:| i| i
.  八  :!|  :!   {f  i  |:⌒ヾi :l   i  l  i斗‐==ー- ..,_
   ハ !|  :!   {{   :! :|  }} :|i   :!  :l  l !:|/イ从}/Ni{ i
.    } :| :!   :!   乂  ! :| .≠イ  !:  | :! 从斗≠示えメ_,ル
   , } :| :!   :!  {{ :i  :| .イfr「⌒ー=ミル:从ハ! イハィイ.: r=ミ:ハ抃 {
  /,.:} :|八:  |   :八乂_刈ル,.ノ rfゥ^}  }ハ/ ) }/   ,∨乂り.:ノ 从{      ……私のサマナーを、侮辱したわね。
イ ィ  } :|ハ ヽ:!     :\乂_人}气ぇソ__ノ 「       ^冖冖゛   乂
 ノ  , . !{ } リ ! ⌒ヾ ∧ :} 乂r-<⌒Y            f´/ /
.   / , i /イ: , /i  :i   八____廴_彡^    , _       八{  {
  / /: i  // :i  从ハ八(___  -‐=ミ             }乂:{
. / //i | : //  | //:ハ∧ :ト、 ̄   (イ__)   f ヽ       从ハ
 ′ ′:| //.   : /   } ∧ :\         ̄      .ィ"/ ハ {
     八 ′  :|:/    :} : ∧( ≫            イ 乂 ノ 八
:{  i{  ハ:   /     } i ハ}ノ  ⌒ヽf⌒77r-く⌒V「{ {{ (( {

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メイヴ手から閃光が放たれる。それが開戦の合図となった。
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364 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:32:24 ID:fgrERJQI0

       、                      _       _
        iヽ                 ,.ィ:::/  ,.r::´:::ィ    __
      i::ヘ: :.\                  /:::/,.r、_i::::::,ィ´  __r::´:::,:r'´
      ゞ::ヘ!::::::ヾ、!、  r.、   ,、   /::::://::::::::::/ ,..r::´:::::,.r ´
       ソ::::::_:.:.:.:.|.ヘ  .! ヘ  / ! .,r/::::::::./::::::::::::イ /:::::::r=イ
  ヾー=、  ヾ:.:ヘ`ヾリ ヘ .|  i,./ |/ .|::::::::::::;:::::::::イ::::i´,rッ:::::::ゝ     __
   .`ー、::ヽ=、ヾ:ヘ ヾ、 ヘ|  i ./ /  /:!/::::::/:::::/_ノ:::/  ,,..r:::::'´::::::,::r=イ
  .ヾ;,、 .ゝ;::rヾ ̄`ヾ_i._._i  /,イ,ィ.,/_,イ:/::ゝイ:::,:::::::::::::く,..r:::r´ニソ:::::r=イ
    !ヘ`ー`ニ》,イ /     `r==iッ'´i_i_,:ィ,イ=、:::::::::;:::'´:::::::_;_;_;_;_r=イ
    ヾヽーッ::// ̄/    .ヘ_ _,.ィ´_< i. : . : トく:::::::_:_:_,:r´
     ヘ:.\. i´! / ̄`ヽ rッ'∨ヽ、`≧ソ!ゝ=イ! .(`Y  .,r=.、イ
    _ヾ: : ゞ、yイ.   ,沙リ乍! ',ヘリ , |   ヘ ヘ__i,ィッ、/
    ´.ヾ_∧: : : :l` ヽ、 iイソ__|ii  iヾ´ ,ィ====||ゝ=イ/ィi
      /_イ\:/: ./ヾく_/ソ∨!_/ r /二二二||ノ_|::::i三i
           .トイ  .,ィ´.,ツ /!:::r',,ィ.|_|:::::::::::::::!i: : :`ヾ、:ヘ、
.         ,〈 ̄`ー==乍、ツ /:::::::/:::::::::|_;_;_;_;_;_|:::::: ::::::::;ヘ_>、
      /イゝ=イ  ,r`ー ´>=/:ri::: : : : ∧: : :.:.:.: :|ヘ:: :::ヘ二ヘ
          〉,ゝ=イ  ,ィ´ ヘ.|/: : :|::: : : /:i:ヘ: : ::.:.: :!: ヘ:: :::! : _ヘ
        ´    ,ィノ _ _/: : : :|::: :../:::i:..:ヘ: ::::. :.|:: : ヘノ Y .ヘ
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         ,.r'´ヽr='./: : : :.:.:.:/__/`|::::.|: : : :/  \: : : :ヘ / `ヽ_ ヽ
        `∠_,.r' ヽ.i: : : :::.: /     !:::::i: : : |    ヾ; : : トイ、::、 ヘ . ̄
           ´ー´ | :.:.:.:. /     i:::::!: : :.|      ヾ: .リ  `ゝイ
                 | : :./     ヘ:::i : : :!       ヾ
                 |/        ヘ:: : : i
                        \;/

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「ファフニール! あのデカブツを食い止めろ! 残りはスカアハに集中!
サマナーは俺がやる!」

護衛対象に逃げるよう促し、短刀を抜く。護衛をつける余裕はない。
一人でも抜ければ、待っているのは死だ。

ファフニールが召喚され、地面が胎動するかのように揺れる。
フェンリルもファフニールを視認すると同時に飛びかかり、青い炎を浴びせた。
だが、ファフニールも頑丈さでは自分の仲魔の中でも一番だ。
怯むことなく、鋼鉄の鉤爪を飛びかかってきたフェンリルの腹へと叩き込むのが見える。

一方、スカアハは落ち着いた様子で、どこからか取り出した剣を構えていた。
視線の先にはメイヴがいる。
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365 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:32:55 ID:fgrERJQI0

               //    _      / /   |irf}三=ニニ二二二ニニ=-≧x >、三三三ハ \三ニ==一
               }/ /  :/   i     {   {{ハi{\\   \ 三ニニ=-≧xト、 \三三三≧=-ニ二彡'
                { /           {   Ⅵ :V { \≧=一>、≧==-≧xミx ハ三三三ハ ー<
             ー‐=ニ二x'        i   iト、 ヘ Vハ\\\\ :\二ニ=-==\三三三三≧=-'
                // ィ /      | i  {ハ  、ヽ}\ \\>、 :\≧===x\ヽ三三三三\__,
                   i | 〃} i ,  |ij  { Ⅴハ, :{ ト\ Ⅵ\ \_ \≧==--一ヘ\i )Ⅴ三三三八__
                 レ | Ⅵ/   }i| iハ Ⅴハi { Ⅴ\ハ{:\.V≧xハー=-三三三三/ ヽ三三三三{二´
                     { /  ノii| |い Ⅴハ∧iV三≧三ヘ\迅ミ三三ニr='¨¨    :}三三三三ヒミx
                     ーニ __xf ハ {i::ハ Ⅴヘハ }r  ̄ ̄≧x三}三八三三≧    }三三三三三ヘィt_
                   ,--r‐} iハ:Ⅳ }\ 八{ ≧x, :f_) /三ニ/  V三≧x___/三三三三三三三二二ニ=-
                  ,__{  :ハーヘ{ V\ヾ \ \i≧=== '/三/   ヽ三三三三三三三三三三三三三三三
                r-{  \  ヽ_ハ ヾハxヘ\ー=、 ー= ¨¨   }i   }三三三三三三三三三三三三三三三
                 {__ \r‐ヘェr'  Vニ} :\≧ヘ          ノ三ニ='三三三三三三三三三三三三三三三
        __  __   /:::::::Y:::::::/ヽ  、ノ::>x≦ヲ三≧、      /三三三三三三>'  ̄ ̄ー=三三三三三三三
      _/ ` '  ヽく:::::::::::::::::ィ    }   \     ヽハ三≧==='三三三三三>'゚         ー=ァ三三三三三
     __/  ヽ  {   {::::::::::/ ヽ=ニ一     `     Ⅵ三三三三三三三>'゚              \三三三三
    {  }i  }  |i  V::ハ      \ー        }rx三三三三三>'゚                  }三三三三
    i}  }           {i'         \     ーニニニ彡'三三三/                    ノ三三二=-
     }           j{             \     \ヽ三三三/                  ,  ャ<:::7/::::::::::::
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ヨシツネが地面を駆け、スカアハへと斬りかかる。
振り上げられた渾身の一太刀は、吸い込まれるように剣の腹で受け止められた。
続けてもう一撃、更に一撃とヨシツネが追撃を加えるが、その尽くがいなされる。

パイモンが補助魔法を詠唱し、仲魔たちの素早さと筋力が爆発的に強化されるが、
加速したヨシツネの斬撃でも、スカアハの守りは抜けなかった。

鉄と鉄がぶつかり合う音が閑静な住宅街に響き渡るが、騒がれる様子もない。
パイモンが感じていたのは人払いの結界の類か。

メイヴの電撃がスカアハの側面を捉えるが、スカアハの衝撃魔法による
竜巻に阻まれる。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

366 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:35:13 ID:fgrERJQI0

               ‐     ̄ ̄       、
             '            __
          /        -==ニニニ==-        \
         ,:        /: : : : :、 : : : : : : : : _: :\      丶
           i    、-‐=' : : : : : : : \: : : : : : : : : ‐:f、     \
          、  厶: : : : : : 、:: : : : ::\`‐====:_:_:_:_:≧=--   :)
          \ i: i}\ : : : : \\: :`ー≠、: : : : i: : : :l    /
             i: i}: :个、 : : : : :.、ヽ/__ィfi: : : :}_ : ::.i_彡'
             i: i}: : i.__才㍉:: : :.、 弋zリi: : : : i l: : : ::.
             i: i}: ::ム __ \ rf´ ̄ i: : : : {丿 : : : :.
             i: i}: ::圦_弋ッ`ー'、 __ ィi: : : : |: : : : : : ::.
           ノイ: : : : :`ー ' i:.   , |: :_:_::l : : : : : : : :.          あら、欠伸が出るような電撃ですね。
            /: : : : i: : : 、  ‐   i: :厂 ̄ ̄ ̄フ: : ::.
              /: : : : : i: : : : :≧=-   イ: :i    _ヽ: : : :::.         その程度では私には届きませんよ。
           ': : ::.ィ: : | : : :人  マ_「i|/:::_ノ ''"´     、 : ::.
          ,': :/个才''" 、 ヽ 寸}: : i            ` : : ::.
             '.:,   i《/  、 ヽ 、`¨_,: :/             : : : :
          l:'   ム:.i ー 、   、ツ='/i/::/           }: : : :
          il   ,: :}:.i:.:.i:.:`ー'.:-、/i/::/               i: : : :
          l   ' : i.:{:.:.i:.:/ _iY: :/              : : ,'
          ::、 ,': :ハ}: 少'_,ィ劣才: :'              ∨
          ヾア: : `ー'  `=≦i: : |                圦
           ,: : : : \ /:.:./:./:i: : }                ヽ
             ': : : : : :/`i:.:.:.i:.:.i:.:i: ::{                __ヽ
          ,: : : : : :'  i:.:.:i:.:.l.:.i: ::|              _  ‐''"´ ̄`ヽ}

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
次はこちらの番と言わんばかりに、スカアハが構えを変える。
右手の剣でヨシツネと打ち合いつつ、左手を翳して真空の刃を飛ばしてきた。

「危ない!」

パイモンがメイヴを抱え跳躍する。が、それでも間に合わす、パイモンの右足が
ずたずたに引き裂かれていく。悲鳴を上げながらパイモンが転げ落ち、
一緒にメイヴも地面に叩き付けられた。

強い。
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367 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:36:15 ID:fgrERJQI0

                             \、ト、
                          ヽ乂_ノ::}:::〉、__ノ{
                        __ ノ:::::::::::::::/::::::::⌒ヽ
                     ー‐ァチ:::::::::::::::::::::::::::::::::⌒≧x
                      /::/::::/::::::::::::::::::::::::::::く⌒
                          /:::::/:::::::/:::::: /:::::::::/:::::::::::::::\
                   _「_\ /:::::::/:::/::/:::::::::/::::|:::::::::::::l「`
                 ┌¬,’ '尓::/:::イ::/::::::/}八トヘ::::::::|
                ┌ _⌒    犲l  /:: イ 弋zソ :|:从ァ〟, _
              _ =ニ气      {ム.    |:  ` ̄ ,リ_ノ    / "'' ァ〟,
              , 气ョ_㍉从_   /≧- _  i:.   メ /l         ノ   i
           , l| l  ,lx '′x个=ゥ'/    丁T ┬ ∠ノ /    // ≦、  |
        , l| l  , r'′ ,x仝く 〈 l   ,x<二>    丁T =≦仝=≦、⌒ l|
     , l| l  , r'′  ,x仝ェ__   从r≦──‐く           ̄ミ 、 \  ll
    /l  , r'′  ,xく    __  /  r' ̄「 ̄´              〕   ll
     |, '′  ,xく __    __≧rf   ノ/´{⌒}__                 〃
       ,xく( ___≧=干 ̄  从 /  / ̄  ]〕lト ,,           イ
      / x=干 ̄         {  \イ厂       「       〕lト--=====彡ll
        ||                \ 少'll      \\           ll
        ll                \ |l          冫 丶         ll
      从_         ○ ○__,八           〉li|            ll
          ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    人\          li|:           ll
                     /  \         ,/i|         ||

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喜留夫も仲魔たちのサポートに回っている場合ではなかった。
短刀を構えた少年と対峙し、こちらも短刀を構える。
短い獲物同士の戦いは初めてだった。

最初にこちらから踏み込み、牽制の上段蹴りを入れるが、上体を逸らして避けられる。
それどころか、避ける間際に足を斬りつけられた。
ズボンが裂け、脛に赤い線が走る。

怯むわけにはいかない。怯んだら攻守が逆転する。そうなれば、
勝ちの目はどんどん薄くなる。

そのまま踏み込み、短刀を逆手に持ったまま右手で少年の目を狙うが、
肘で弾かれる。すかさず頭突きを繰り出すが、それも首を逸らされて避けられる。
上半身に意識を集中させたところで、下段蹴りで相手の足元を狙うが、
少年もそれに合わせて蹴りを入れてきた。足が交差し、鈍い痛みが走る。

踏ん張り、短刀を振り回す。一度は短刀で弾かれ、二度目は躱される。
三度目は腕自体を跳ねのけられ、踏み込んできた少年に腹を刺された。
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368 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:38:11 ID:fgrERJQI0

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_,,..-‐‐'`. ゝ:::::ヾ:::::::::::::iメ,---‐‐'":::::::ヾ::::::::::::::::::::::::二=-
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  /:::,y::::::/:::::::::::://,く´`. `jl ,-'"    _,,..丿:::::::::::::
  ///::::/:://::::!lレ'ヘソ _,; .┌'┐       )::::::::::::::::        おおおおっ!
./´ /, '/!/i./::::/!!ヾ "~   l! .!   ^ヽ ;-'^k
   ."|/ .l! |l:/ .リ!  ,.._   l!_,,j  /"~~   `;;ヘ.
     .ヽ|`=7 /  ヽ.  〈   l::::::::::.....     ´\
       リ\`ヘ    .Y  ,`-Y´:::::::::::::::.....    .ミ
    _     .`.、 .ヽ/ユ_,;l .、/ ./ヽ:::::::::::::::::::::::....    \
  /.:::`ヽ/´`\\ `='" /`/ ,;'ゝ,::::::::::::::::::::::::::.....
  \:::::::::\   ;`、`-‐,-ヘ" ._-'";;;;;ヾ::::::::::::::::::::::::::::::::...
=‐-=:.,-‐=-'"`k-、  y-'.......::|_'";;;;;;;;;;;;;;;}\  |:::::::::::::::::::::::::...
    / , '  ,   {_  |::::.....:::...``‐--┐/::::::ヾ!:::::::::::::::::::::::::::::::....
7=-/ /  ,イ  /   〉 l!`:::::..............::::: l .|;::::::::丿::::::::::::::::::::::::::::::::::::...
  `=フ // ./   ./:::::..............:::....:::::: l .>::::::::\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...
    し, '" 、7  ../...,_;;;;;;;;;........,,,,;;;::::::l  |:::::::::::::::く::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...
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      (___,/ l` -:',,,,,,,;;;;;;;.....::,_|ヨ  |;':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::....
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続けざまに二度、三度と腹を刺される。
自分の喉から、自分のものではないようなくぐもった声が漏れる。

短刀を引き抜くと、少年はまた呪文を口にし、構えを変えた。
左手を虚空に添え、右手に持った短刀の刃先を斜めに構える。

「喜留夫っ!」

後ろからメイヴの声がする。メイヴのことだ、すでに回復魔法の準備に
入っているだろう。指示は必要ない。あったとしても、する余裕もないが。

少年の持った短刀が翡翠色の淡い光を帯び、それが棒状に伸びていく。
生体マグネタイトの槍、とでもいうべきか。

少年は槍を構えたまま一度飛び退き、そして突っ込んできた。
狙いは首か。そう直感し、伏せる。無様だが、一番効果的だ。

予想通り、槍の穂先が喜留夫の首があったところを一閃した。
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369 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:39:36 ID:fgrERJQI0

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  π /;::::::::(,.,.(;;;::::(   ,,.,  ・っ                    ;,;;( ):::::;.    c::── '`'''::::::::::;''
   ):::::::::::::::::::::::::::/  '''''`   `        '`                     ⌒ ` !.:::τ'' ``
 τ !::::::::::::::::::::::::::::)/,,,,, γ               :'`'``:!
   (::::::::::::::::::::::::::::冫 `'`'    、,:'::::::`:::,,,,        !:::::ノ         ・
 :::':'::::::::::::::::::::::::::::;(,,,,,,,、:::::::-ー''''`'`''''''''"

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そのまま槍を回しつつ、回転に巻き込むような形で殴打が加えられる。
柄が顔を捉え、惨たらしい音を立てながら喜留夫を吹き飛ばした。
空中に飛ぶ自分の血飛沫を視界の端に移しながら、地面に叩き付けられる。

しめた。この距離は銃の距離だ。
痛みに思考を持っていかれそうになりながらも、必死に冷静さを保ち、
喜留夫は拳銃を抜いた。

ダットサイトを覗き込むこともせず、出鱈目に少年に向けて銃弾を撃ち込む。
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370 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:41:38 ID:fgrERJQI0

         ____
        /ノ   ヽ、_\
      /( ○)}liil{(○)\
     /u (トェェェェェェェェイ)  \
     |   ヽ!!il|!|!l|!!ii|i/. u |
     \u  ヽェェェェェ/   /
     /            ヽ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
発射された銃弾は十五発。弾倉が空になるまで引き金を引いたのだから
間違いはない。

その撃ち出された銃弾のうち、数発は少年の胴体を捉えていた。

筈だった。

なんと少年は槍を前方に構えると、目にもとまらぬ速さでそれを振り回し、
自分に命中する弾丸を弾き落としたのだ。
人間業ではない。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

371 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:42:15 ID:fgrERJQI0

         ___
       _,. '´      ̄`、
      /   u.      \

     |  (●)ililili (●) u, |       メイヴっ! パイモン! ヨシツネ!
     、   トェェェェェェェイ    /
      ,"ヽ、 ヽェェェェェ/  '´ `、
     /               ゙ヽ、
     |   `-、、            ヽ
     \    ヽ        ハ
       ヽ    l       l

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後ろでメイヴの悲鳴が聞こえる。
振り返ると、ヨシツネは膝を突き、パイモンは地に伏せていた。
メイヴは肩を剣で突き刺され、そのまま民家の壁に縫い付けられている。

フェンリルとファフニールの戦いは拮抗しているようだったが、
押し負けるのは時間の問題に思えた。

「畜生! 畜生っ!」

銃を構え、スカアハを撃とうとするが、腕を突き刺されて止められた。
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372 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:42:46 ID:fgrERJQI0

                          \丶、
                 _. -‐::::::: ̄:::\:::\ }ヽ
            --==ニ::-‐::::::::::::::::::::::::::::::_:::ヾ::::}
            ..:::´:::::::::::::::::::::::::::::_:::::::::´::::レ1::ノ――‐-
          /::::::::::::::::::::::_.:.-‐::::´:::::::::::::::::::::|´:::\::::\ー-ヽ
         /:::::::::::::::::::::::/:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::: ノ::::::::::;}\:::ヽ
         /:::/:::::::::::::/:.:.::::::::/:.:::::::::::::::::/:::::::::::〃::::ヽソ
          //:::/::::/:::ノ::::::/:::::::/:::::::/::/:::.:.:::://:ヽ::::::.
         //::::/:::::::::/::/::::/::/::::::/::::::/:.:.:.:.:/:/ヽ:::::;:::i::,       「く……そ……てめえ、何者なんだよ……」
        /::::/::::::/:://:::::/:::::/:://__.ィ/..:..:..:/:/ハ::::';:::i::ト:::、
        l:::/:::::イ/::/ /:::::/::::/´/ャテミ lッ:/:,イ:/jソ l ;::i:::|リ `      …………。
        |∧::::::ヽ/ /:/::/:::::l:::/ 込ソ |::// レ{´  | リソ
     _. -┐ rハ:::::/:\!/:::イ::::/レ'      l〃   ヽ  l
     !   VL Vヽ::::::ヽヘl::/              _.ン/
     ヽゝ `7}   ';:::::i::ハ ヾ            ´_. /
     ヾ:、ヽ {、ヽ ___ハ/ソ }  \      '" 二 /
      _ ̄ \  /    \   丶       /l
   /   ヽ   }∧       丶.__ ` ーr---‐ } |
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          | ハ::ハ::{ ` ̄,::://'   ` ̄ ´  .|/ /⌒ 八j'        ……雷堂。
            '  v!   /´ :/          / r‐' ,.イ!::/
                八    〈            r‐彡/.j/
                、   `          / /:!ハ{、
                ヽ   '  ̄ ヽ    メ .イ :|' } i
               / \  ~´    //  |ノ  |
              /_    iヽ    ,。s≦   /   \
              /⌒v   |   ̄        /ヽ、    v-、
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373 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:43:10 ID:fgrERJQI0

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        |:.:./:.::/V∧ゞzンィ:.:.〃  /ゝ弋zンノ .}:.i:.:.:ハリ }ハ: |
        | /|:./ i    ̄ //.}:       ̄  j:∧/  / ハ!     十六代目、葛葉雷堂。
        |{ !' .ゝ.',   /   :!         i' / ィ1
.              ,      {:.. _        rvイ/
              从               /:.:/
              {}ト.    ´ ̄ ̄`   i/ ..イ://
               |ヽ     ̄   // ,'/
             / ̄リ  \     ., ィ   ハ>.
            /  {!    `ー‐ ''      {::i .∧
         ,.<     \          У.  ∧
【人間 十六代目葛葉雷堂 Lv73】
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「……目的は達した。お前たちにもう用はない」

少年の槍が光を失い、短刀へと戻っていく。
手には無線機が握られていた。護衛対象が別の人間にやられたのか。

「仕留めないのですか?」

「この程度の相手なら問題ない。復讐に来ても退けられる」

「あらあら、案外優しいのね。奪わなくて済む命なら奪いたくない、と。
でも、私は好きですよ?」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

374 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:43:23 ID:fgrERJQI0

           / ̄ ̄ ̄ \
       ./  u.       \
      ./    (○)ililil(○)i
      | u.  .(トェェェェェェェェイ)|      クソッ……
      \   \ェェェェ//
     /  ⌒ヽ      (
    / ,_ \ \ /\ \  て
     と___)_ヽ_つ   ヾ_つ. そ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
情けをかけるというのか。

葛葉雷堂と名乗った少年は悪魔を管へと封印した後、喜留夫に背中を向けた。
撃ってみろ、ということだろう。撃とうとした瞬間、こいつはとどめを刺しに来る。

人間とはいえこの強さだ。銃弾一発程度で倒れるとは思えない。
そもそも弾丸は撃ち尽くしたところだ。再装填をするそぶりを見せた時点で
振り返って殺しに来るだろう。

こうして、喜留夫は一人、血まみれになりながら取り残された。
護衛対象の死体が上がったのは、その一時間後だった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

375 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:43:46 ID:fgrERJQI0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                           └───┘

                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘

                               ┌┐
                               └┘

                                   □

                               ・

376 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:45:27 ID:fgrERJQI0
〜TIPS〜

『葛葉』
平安の世に宮廷に仕えた陰陽師集団の末裔たちによるデビルサマナーの組織。
かつては日本の霊的守護を担い、陰の秩序として機能していたが、十年前の災厄により全滅している。
葛葉の里は焼き払われ、葛葉四天王の四家も全滅、直系の葛葉の召喚師の生存は現在は確認されていない、
と思われている。
今作ではテンプルナイトの前身として扱われる。


『ヤタガラス』
日本の秩序を霊的な側面から守護するための天津神の系譜に連なる機関。
過去に葛葉を傘下に従えていたことがあり、かつては葛葉のサマナーと協力して世界を崩壊の危機から守った。
天使たちの干渉により、十年前の事件よりもっと前にメシア教会に吸収される。

377 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/09(金) 21:46:23 ID:fgrERJQI0

            /                     ` 、
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           |/二二二二二ニ≧ト、\                  ,
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        ∠|: : : |∨: : : ':,: : : : : `<二二ニ\
          /: : |: : : | \: : : ':,: : : : : : ::`<二二\                '
       /: ,: :.|: : : |   ∨: : :':,: : : : : : : : ',`.<二 \              '
     .,ィ/,.イニヽ.i! :.:|芹ぅミ∨: : :':,: : : : : : : :',: : : \二 \:....            |
   .,ィニ /'ニニノ |ト、:.,_.f::心 ∨: : :ト、: : : : :. : ',: : : : ヽ二7\:::::::::::.....       |
,ィニニ二二ニ∧ L__ノ:.乂ノー‐|∨:.「: \: : : : : \: : : :.|/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
二二二二ニ/ }   \|     .l: ∨|: : :ト、: : : : : : :\:.:.|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
二二ニ≧ ̄ (          i: : :\: :| ト、     \ヽ_________.. ----‐‐‐.´
二ニ/     l r フ      ∨: : : :.:l.ノ: : :`: :.、   ` 、
ニ/      {          ∨: : : : : : : : : : : :`ヽ、   ` 、
/ |       |         .イi!: : : : |\: : : : : : : : : `ー‐ 、 `ー---
.∨l       `7‐---、 イ________i!: : :.:.|: :.:\: : : : : : : : : : \ `  、\
./        /:ハ: : :〈l「r------∨: : :\: : :\: : : : : : : : : : :\  \l
         l: | \: :|.|@二二ニ∨: : : :\: : :\: : : : : : : : : : :`>- ___
          ヾ_---/ |二二二ニニ\: : : : :\: : :`ー‐‐‐--: : : `ー―----- ̄ ̄ ̄: ̄≧
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≧` ̄/    〈ニ/⌒7二二二二ン"/ / ` 、: \: : : : : : : :\: : : : : :\    \ト、\: : :
  /  ィ=--イ7ハイ二二二ン":/イ   ̄ >、: : : : : : :ト、\: : : : :.∧     \ .\:
   ,--イ ノ  /__ノ二ニ>": : /         .∧: : : : : ∧ ヽ: : : : : : :i!        \
   )--->-=‐)ノ、〉<: : : : イ    /.,ィ       |⌒∨: : :.| l:/: : : : :.|
  ,イ:": : : : : : : : : : : : ,イ☆))S  /イ       ノ  |: : : ノ: /  ∨/ : :|
                                                  〜また次回〜

378名無し-Red-市民-2:2018/03/09(金) 21:48:48 ID:gH4GLV.U0


379名無し-Red-市民-2:2018/03/10(土) 00:55:25 ID:z/bYZRJE0
乙ーライドウかー

380名無し-Red-市民-2:2018/03/10(土) 20:13:15 ID:pT3kYmzo0
ライドウに狙われるレベルの後援者だと背後を洗った方がいいな

381名無し-Red-市民-2:2018/03/10(土) 23:18:04 ID:QMdaXqE20

ライドウこわいなーとづまりすとこ

382名無し-Red-市民-2:2018/03/10(土) 23:54:42 ID:U1Cx7CDc0
ライドウってか、クズノハの逆襲の狼煙みたいな感じか

383 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/11(日) 00:10:39 ID:Tp1iPOv20
>>381
アバドン!(絶望)

>>382
TIPSとしても語った通り、組織としての葛葉はもうないよ。

384 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/11(日) 00:30:01 ID:Tp1iPOv20
そっか、超力やってないとよく分からないよね。

まあ、そこらへんは自分でプレイしてみよう。戦闘システムはアバドン王に比べると快適とは言い難いけどね。

一応、話の中で語ることができないからここで言うとね、

葛葉ライドウ対超力兵団&アバドン王┳(ICBM落ちない・葛葉存続)真女神転生デビルサマナー━ソウルハッカーズ
                       .┣(世界は核の炎に包まれた!)真女神転生1・2
                       .┗今作(ICBM落ちてない&葛葉壊滅&日本政府はメシア教とズブズブ)

っていうのが今作の中での世界線設定だよ。

まあ、ライドウじゃなくて雷堂って名乗らせてるのと、頬の傷で察していただけると思うけれど。

385 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/13(火) 12:41:04 ID:/g4UstSU0
今日は病院で休みなんだよジョニー。というわけでまことに勝手ながら俺的ミニコーナータイムに入ろうと思う。

リアルタイム投下なので途中で質問やら茶々やら入れてもらえたら答えるよ。

それじゃレディーゴー。

386 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/13(火) 12:42:35 ID:/g4UstSU0
┌───────────────────┐
│                          ......│
│   『第一回なぜなにデビルサマナー』     │
│                          ......│
└───────────────────┘

387 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/13(火) 12:45:32 ID:/g4UstSU0
┌──────────┐
│              ..│
│   『種族と属性』    .│
│              ..│
└──────────┘

388 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/13(火) 12:51:01 ID:/g4UstSU0

   |  {    |     ハ   '  乂込りイ、`ヽ
   |   '  |  ミ、 i   |ハ ゞ=彡ノ/z i
   |   ヽ .!   ハ:}|i: ! {  '  i  ゞ=ソ i:!
.i   |   ハ:{.  r=彡|{|ノi  |. | ヽ  八
:|   ! >ー从_}{ i ! |.川 i{ `ヽ |   !  ハ 、  ゙
   |{ / ーヽメ 八ハ!{ !ノj_z_j   |  .'{  ヽ
ハ  人ハr=ミ ハ ハ   ノ从 7Zマ.く_ ' | {八          ハァイ、喜留夫の仲魔、兼加賀探偵事務所経理係のメイヴよ。
  / }込八irくイ_ノ ノ    i.i゙;;;}j ' ハk , ! i  ヽ
 { :{ゞ=ミ_ノ/    ,  ゞー" / ノ/  |i ゝ          好きな四文字熟語は生殺与奪。
.八 ∧   '' j:i ''     ノ   "″,イ./{  八 `ー
.  ヽ∧   八{_ノ、_       ./rーミ八   `ー -
   \ヽ.      ̄ ´  イハ  }vー 、`ー -
 `ヽ  \>     . ィ´,⌒´     ノ `ヽ
ハ  \  ヽハ≧=彡} `ヽ      `ヽ ハ
  丶.  \   }、 { /           ノ   }
   \   ヽ ノ iト、∨           \  '





                -,ヘ‐/:丶、
              /:/:/ : : : : \:.\ 、__
           /7 ア/: :/ : : : : : : : 丶:.\ |7           n .,7 /7
         _,〈 / }: : : ,: : : |: : : : : : : :ヽ: :',ヽ          | |,ル'/, フ
        <ア/}/: : : :{.: : :.|: : : :.l\: l: :',: :',.、ヽ      r 、|    /
          ./ : : /: : : : 从匕: : : :.匕⌒: : l : |: :Y       ヽヾ- ` {     やっほ、パイモンだよ。好きな四文字熟語は酒池肉林。
        /: : : :|: : l: : {,ィ苳ミ \ | ィ苳ァリ : }: : :.         丶 ` ノ
        /:/ : l\∧: ゞVソ   、 り }: |:./ : }、:.       {ー─}      よろしくね。
         {;' {<^¨^〜、`^ゝ、        ノ:./': : : } ',}        'ー─l
         | {く_   r'   7 ヽ ノ /: : : }^ソ- 、l      /- 、 |
         |   `ヽ<    >ー‐'7乂:.イ z‐ミ }     厶=ミ.、 }
         |     \    ミニニ〈: : :ノ    `ー、__/_  ゙v
           〉      ※。 ミ´ ̄〈: : )          /ニニニヽノ
            〈         ノ ゚`''*。(: : )※    /ニニ丶ニニ}

389 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/13(火) 12:59:01 ID:/g4UstSU0

 \ ハ,__,.、\\  \ x ´ \  ヽ  \
ヽ //´~ ̄`ヽj 丶 \/ヽ\  \  ヽ  \
 Y:/ 丶 \ \\ ヽ/\   ,ィt  ヽ   \  \
  l:lヽ __ \ \\ \ ヽ,ィ勿ト、ヽ ヽ  \  ヽ
  レ'乏二ミミト、\ \ヽ ィ冬z亥ヾ  \ \  \   ヽ
::Y //r卅ヾ ヽハ ヽ 丶   `    ト、 丶 ヽ  \  ヽ         今回説明するのは悪魔の種族と属性よ。
`l j l lリl リ リ l lヽ ヾ         | ヽ. \ \   \ ヽ
 ! V戈ニ少ン リ           ハ 丶 ヽ \ \  \ ヽ       分かりやすいように、喜留夫を例にするわね。
 ゝ、匁辷k彡''      _      /ト、 \ \ \ \  \ヽ
V  ヽヽ `Y:!      ___ ノ   ,.'__ン /ヽ \ \ \ \  \     以前TIPSで語られた喜留夫のステータス、皆覚えているかしら?
. ヽ   \>l:}、           イ'´  /   \ \ \ \ \
  \  \ゞ= '≧ ─ -- < ̄l   辷=、  \ \ \ \ \      彼の属性はNEUTRAL-CHAOSだったわね。
ヽ\ \  \弋,.イ ̄`ー' V'  !_   r'\  \ \ ヽ  ヽ
. \\ \  \7ヾ  ヽ l    丶 |   \  \ \ヽ  ヽ
 \ ヽ ヽ ヾ   { ハ   V      /ー'     ヽ   ヽ  ヽ ヽ





                   ..-‐  ¨ ≧ァオ¨_ミ:x.__
             ,ィニjァ='ィ     ⌒´辷彡ス `Y
           r:ヘ.Yツ / /   i l i ヽ  ` ヾ) i |
           トi ,ィ/ ′ i l l l | | l .ハ  ((  | !
                | jヘトN i  | | ィ7从┼l‐-i!  }` !リ
                レ′ l  Vアフ彡ィ/ j」⊥j、! イ  ハ、
           /   八 くヾrjYtリ  ´ヒ:z:ノ;7 /   Y ヽi            右のNEUTRALは種族としての性質。
             /   /  ヽ卜辷r" :  "" { ! ハ    ト-ミ: ____
           √ァ’ /   トミ Ⅵ(  ‐.‐  人ヾ {  , マ≧ レ==ミ`ヽ      左のCHAOSは考え方、思想を意味するわ。
          /〃 /イ ャ‐ミxヾ:`へ、_ ..√てハ>"{  ヽノノ     ヽ\
       人{/ /  }   }rリ)  r' `’ ) _/   `ヽУく       )/     性質はLIGHT/NEUTRAL/DARK、
  .-一=彡 ハ /r‐ "  ,ィ Yヽ辷彡= _厂Y `う     レ/ \   ー=彡
ィ´   ̄   /ヾく  |  =彡  リ_ / > < 1| {:_  /イ\  丶         思想はLAW/NEUTRAL/CHAOSに分類されるわ。
 /   /  /\-ィ    「ぇ≧z\_/ィミУ { 〃´  /ヽ   \
/    〃   ′  Y      | " ヾ ̄  ̄ /_  }.:′   /   }     ヽ      それじゃあ、順に説明していきましょうか。
    .ィ   i {   Lk、   !         ¨_ノ /=ミ    〉/⌒ヾ    ハ
 / {     ヾ:、  r'¨ ` rァヘ:、   ヽ  しぅ〃 : ヾ ∧     }l   /       まずは性質からね。
く  八     ヽ/   /ソi } ` :.、  }  ソイ}    }  i   〃 /
 ハ   ヽ   r='=<r彡八V_ ==≧<ア/ ¨{/    ト、  v/イ 八

390 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/13(火) 12:59:30 ID:/g4UstSU0
右と左が逆だったね。許してクレメンス勘弁してヒヤシンス。

391 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/13(火) 13:11:12 ID:/g4UstSU0

                !     /!         ,
                 '',    /j       ,ィ/
               ',ヘ   .j .l    ,イ ,イ
                ヤヽ .j-―-< /
              ハ  ヘ X:::   ィヽ__
             j::∧ ヘ .ヘ /^'_ / ./__   ,___
          マ'' 、_,j-‐''ヽ-ハj, ィゞィ / ./イ |ゝ--{:::r ''"´ ̄`ヽ
          ヘ::::::ヽ ./::::r'ヽ{彡Vヽ,ィ  ,ィ   V!::!   , ィ''''"ヽ ̄ `ヽ、__
           /`'''´/:::::r'<::::{lヽ'´{.f´ .j.l  f!イr !::! ヽ/ r'二ヽ∧三三三三三` 、
          r‐‐'-,  /:::::/ヽ!:::::Y::::::j ,ィ:ムヽ/ /::::::!::!  ! { ゝ-' !ハ三三三三三三\
           `ヽ,ノ,ィ' ::l/ヽ:::ヽ{´.j::ィ´:::::::; ィヽ! ::::l:::! ,ィ!ヽ `ー ´_,ィ!三三三三三三三ヽ
           ヽ!  :::j-‐;;ィ ゞY´ィフ´⌒_ }ハ ::!:::!   rァ ̄ 、ァ .!三三三三三三三三ヽ
            \ ::ハ:イ,ィ ノ!   、..`ヽ:::::::j::::V `ヽ::ヽ、____ノ:!三三三三三三三三`ー、
              ヽ:::ヽイ/l-`ヽ ヽ::ヽイ:;イン V`ー `ー r---‐‐'三三三三三三三三三三三ヽ
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       /:::ハイ:::;ィ::::ヽ! /:::::::Y::::::::::l::ィヽ__:::;イ三三三三l///::!三ニ;ィ三三三三三三三三三三三三:::!:::::::::::ヽ
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      f::::j::::;ィ^ヽ::::::j::::j/ハ :::::!   , ィハ-/ ヽ三三!:::::/   /::::/  .}三三三三三三三三三三三三V::::::::::::∧
     }:::j`ヽ:::::::::::::Y::::j!ヽ::!:::::.!  j///イ    〉三三フ:::`::イ::::/    l三三三三三三三三三三三三ヘ:::::::::::::::::!
   , ィ'イ   ∨:::::/:::::ハ! ::::!::::::!  ,j//イ:::   ∨三三/::::イヽ'''"   ::::::ト-''/三三三三三三三三三三三!::::::::::::::∧
  ,イ::/__/ _.,ィヽ/:::;ィ ! :::V::::! ,'/イ:::::   ∨三三j::イ::;イ7_  j--:::、/''三三三三三三三三三三三三 ヘ::::::::::::::::ヘ
  V::/o 「ヽ! ヽ::::;イ三三!  :::ヽ:! /!:::::::::::   ∨三三 {::::::l// .`¨メ   /三イフ三三三三三三三三三三三∨::::::::::::::∧

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LIGHT
神聖なる存在。善なる者。光属性。ワクチン種。
浄化や癒しの力を持つ場合が多く、基本的に人の前には現れることのない悪魔。
多くは信仰によるマグネタイトの収集を行っているため、人を襲うことがないのも
特徴。

大天使や魔神、死神や聖獣、龍神や破壊神などが分類される。
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392 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/13(火) 13:20:44 ID:/g4UstSU0

                 V',              /〉
                 V',                //
                      ∨',     ||      〈ア}
                    ∨',  ___ ||     //´
                        ',ハ \  {_} `ヽ ./^}
                  /∧  廴n 八__n/ .′
                    /  ∧_   {!  _/、
                  /\.〃: : : : :ヽ o 〃 : : マハ
           x=ミ、 { ー‐{: : : : : : : ', {!,': : : : : l! |
.            {(  )}::}  Ⅵ八: : : : : : : }:‐{: : : : : :} :|
         __  }エ´}}、 ',\_ゝ、: : : :ノ}_八: : : ノc「
      . <//´|Y⌒Yl:::{ ̄}.\┴ノ厂|ー─‐‐7´厂
.   / .xヘ ̄{! |{::C:::}|:八_ノ .「`マ八 :lニニニニ/ /      __
   //./>\\l::>‐<::|:::::7 {三三\ └─‐ ' ∧ \─<    \
   \</ //|:廴..}::l厂Y \\}\ `¨¨マ¨´  } /ハヽ\`マ¨¨¨⌒\
.    {\/./{⌒`}_{´二{⊃_.}  ', ̄\\ \  |//∧| {⌒} |`¨¨¨¨⌒ヽ
.     | :|::: ∧ V{二二{二{⊃  r=ミ. ∨厂}──/三}三ア>─ト{コ.lニ^l 〈∨}
.    Ⅵ:::,} { V}二{二{⊃、\乂ノ 丿r " ̄ ̄ ̄\//⌒\}┐r‐:| ロ 〉 :|
      ∨ |八\  ノ}:::::::ノ:::}:::::`T¨´ | {{         }} {{ rf⌒マ}!」 コ」 〈//
      {廴}  `マ匸:::/:::/::::/:::i|   | .||        || || `乂ノ:|!    //
      \{\  \}::::/::::/ ::::i|   | {{        .|| ||     :|! ̄ ̄ /
       \_ア¨¨´`ヽ:::::::::::::::/  / \、     }} .{{    ./ ̄厂
         {八\::::::::::::\::::::/ / \  \、___/ ∧\、__/_/
        ',  \ `¨¨¨¨¨´/:::\  /}ト.     /  \__/ ̄} }
         ',  } `¨¨¨¨¨´|   / /コ/} ̄ ̄       | \//、
        l⌒l二>=┬──く // /         |__/\\

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NEUTRAL
中立。種族として神聖な要素もなければ邪悪な要素も持たない。
故に神聖なものにも邪悪なものにも変質することがある。
変質しやすい種族としては人間が例に挙げられる。
有名どころだと、エノク書において人間が天使になったとされている。

人間、魔獣や地霊、妖精や鬼女などが分類される。
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393 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/13(火) 13:25:25 ID:/g4UstSU0

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マ///////|        7/i::::::::::∨////:::::::::::::イ//////∨ リ/////////
. \/////リ__       ノ.ノ//ト 、:∨//::::::イ//////////.| ノ////////./
  .\/////|       イ////.≧∨::イ////////////.ノ.ノ////////

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DARK
邪悪なる者。邪な存在。ウイルス種。
他者を呪い殺したりなど、負の力を宿す悪魔が多い。
他の悪魔や人を積極的に喰らい、その糧とするのが特徴。
基本的に話は通じず、交渉に応じることはない。
大抵のDARK属性の悪魔は人を餌としか見ていないからだ。

邪神や妖獣、外道や幽鬼、魔王などが分類される。
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394 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/13(火) 13:31:18 ID:/g4UstSU0

                __
            ,  <      ≧ミ
       /≧=/ _  、 \  \ _ rャ=┐\
        {ニУ /   ヽ  rャ≦Ⅵ}ニニニ}\ ヽ
        7  ./     `、 .マニニニ/}「ニく   \∧
        /  /! r 7i`ヽ! i .\ /ニ{∨ニ ヽ  \!
      ,  / .| |/_ i  i  !  | |ニ | .∨ニニ〉  ∧
       i ./| .| |f:}\、}  }  } |三!   ̄     ∧        LIGHT⇔NEUTRAL⇔DARKってわけだね。
       |/ .!.r ∨ !j  j   ,′       | |ヽ ∧
        V.ハ       ,′ /     /、   | | ∨ i       LIGHTの悪魔は人界には来ること自体ほとんどなくて、
         | ∧っ   /  /    /i /  Vi  .} }  .Ⅵ
         | /| ヘ __/  /|   / .}/'´ _にv ∧ !‐- 、}       DARKの悪魔は人間を餌としか見てないから、
         i′! /  / ./} ,  /    /   }/ i/ /
          .i/Z / }7} //}イ   _}i        >        この両者と人間が相容れることは難しい、と。
            7}}  i i/ くV 斗rヤ   r―   _〉
         r'´/ ̄ `y' / 7 〉―― くノ\ ̄}´
         /| {   .{ /\__xく       \}
         ,′V ヽ__/! \ / /            i
        ,  i!   .| { / >
        /   ∧ ___」 く  ィ′          \
        /   |/7//| | / 7 }                \
        /   |{///.L} 71!ヽ}_                }





         , へrァォ7フx- ´  ̄ - 、
       /  イゞン7ハ__         ヽrァ7、__
     /   i ゞアン'ー,          vシ}  、
    i    ト、   //  , /      ド'   i
    |     |  、 /./ /, //, /|//  .|  ドミ、  |
    |,ノ ,  .|  V /////r'/ //| | | | \ .|         そういうことね。逆に、NEUTRALは人間と共存しやすいわ。
   //   |   }|rァォメヾ/ノ //-ト|、| /ト、ヽ ` 、
  //   , '  / トK乃ッリ)   ,r=ォx'ノイ |  ハ   )        人間自体もNEUTRALなわけだし。
//   /,'/ゝi トゞアンツ    J | ノ/.| |/ 人メ、
/   / ,','   .,|  \wx.   , じ' / .| |, イ/\  、       かくいう私たち、夜魔と堕天使もNEUTRALよ。
///ヽ.//  ,ヘゝ 、  \ 、_ , w イ/| |  |   \ \
. (/  // 、ノ ̄ へ⌒ヽ、 )_r 、_ ィヘ ノノ |,  ゝ、   ) .)      口説くならNEUTRAL悪魔にしておきなさい?
ヘ \   | |  )\    \_ソ/ミ,| i / / (/ノ   \/ /
 \ \ノノ/ く´ _ ., …´/  .} !/ /,/ , ヘ\.  / /
   ) Y  , イニ____,ノ   ノ ,'  ' _,∠_ヽ,/ /  \
  ,/  / /  |  しー   /     ,ー-='(  (      )
/ , イ  i    、 `ヽ⌒ 、r^丶    ノ /  / ,\ \  /
 /  \ ` 、 ゝ ノ  イ    ゝ'^y  //  )  )'

395 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/13(火) 13:35:45 ID:/g4UstSU0

               . . : :  ̄: : : :>――‐ァ
            __/: : : : : :ハヽ:.\ニニ=/
            /}: : : : : : : : : : :‘,‘,: ゞY≧=ー
         ノ=,': : : : : : : : : : : : :. V: 八: : :.>
           `フ: : : : : : :| : : : 从ハ:. Y: : : : : :\
.            `|: : : : : :从: : :/x坏!::. l: : :ハ: : : :\
             |: : : : : :{斗Vハ ゞリ: 1ノ:ィイ≦ィミノ:.)               といっても、僕らはDARK寄りのNEUTRALだけどね。
             |: : : : ::爪沙〈   八イ 爻 爻 爻 弐
          八:.:.:.:从.入  ‐ ':./爻イ ̄´ー‐=ミ{                こういった感じに、NEUTRAL寄りのLIGHTやDARK、
           /イハ: :}: }  ≧=/:/'_,,,,. ̄ ̄    \
.          / /: :ハ:j:ノゝ=彡ィ(:(<:\= \=-      ハ              LIGHT寄りのNEUTRALとかもいるよ。
         (:.:人 ノ'ミ}\ニ r彡'\\:Yニ.} \ヽ\  \j
        r'(: ノ:}Yべシ\:)イ=/ニニ ): :jニ=.Y 、.    \             その場合は、寄ってる性質の側面も若干ある、
       f V⌒ソ-<__}/メ Yニ)ニ/ゞ(ニニ |:iハ    \
     /人:{:_ィ彡: :(: : v-ィ'' V:i:iY/ニニ≧ニニ:i:i:∧    1 ≧=-  ミ      って感じだね。夜魔は人の精を食べ物にするし、
.   / ,.:i:i:i: /ニニ≧=彡へノ´:i:iハ=Y⌒Yニニ.!-、:i∧   |       ヽ
 /  /:i:i:i:ir{ニニ{ニ/V: :}lニ><「{ニV/八ニニ7:/〉_:i∧  人            僕ら堕天使は人を惑わし道を外させる。
'    /:i:i:ir〈ヾVニ人(:/: :.八ニニ}{={`<V_.ソ彡'_// } }∧/   \      }
   人:i:iハ }.}ノミニニ}_{: :/ニニ=.<> ヽイ{_ィ´__ ミ〈_ ハ}.     \  /   .|    でも、魔王とか大天使とかよりは友好的かな。
. /:/ ̄/r≦¨ ̄ ̄ ̄V\ニ/    <>.爻{____ >∧ |       Y    .|
:i:/  从ニニニニニニハ' ヾ{        ヾ{爻≧=-}/  |.       |    |
    / ∧ニニニVニニ i  ‘,        }爻---イ)  .|   ;;    .|    |
.   / / }ニニニ=Vニニ.}.    、      入爻≧≦)7.:|   ;;    .|    |i
  / / .∧ニニニ=}`¨ ' _   \      \爻爻爻=|   ;;    .|    .八
 イヾ/   { ,Vニ辷彡)     ≧ - ヽ   __ `¨ .イ=八        l       \
'  ̄ Y }  Y¨¨¨¨{ {                  /         |       \

396 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/13(火) 13:38:44 ID:/g4UstSU0

 、   _, .} ,メ    l   ',::   ヽ::::.   ',:  ヽ
   ̄,´/F>`ミi_ i  i    ';::   ' ;:   ';::  ',
  ,⌒Yiー<⌒ハL  i     '::;    ',、   ';::  }
  ,イ冖!/てヾVYjヽ_, l、 ,  ',斗七  '.,ヽ 人,,リ
 从r'弋心ノ',イj从i   l....ヽ/ '; :::\  l ::/イ
.<  ゝ._`フノノハ、 .i  l::::''ゞ从_i⊥、;\j .i
  弋 _、.>√勿/ヽi. ハ   V{ィrャミ <  丶_
  )) /´  `.i`...'.,::、 '、 ハ  `.辻,ィ'}      ̄|       それじゃあ、次は思想について語ってみましょうか。
    l    :::   ::',::\ iヽ   |下乙     /
    l    ::     ;;; ::ヽ| ゞ         /        LAW、NEUTRAL、CHAOSの順に説明するわね。
    ,'  ..::    ,:'::, :::|           (
    ,'   ::    .::  ::: ::|`(  Y ヽ、     /
   ,'  .::  .:: .::..  ::: :| ,ゝ‐イ .ノゝ___,,ノ
  ,'  .:::  ..::: .:::  ::: :::!" `丶、s ̄`)
  ,' .:::/  ::: .::    :: ::/   l  .l ヽ ̄)
 ,' ::; '  .:: :::    ノ,/ ヽ、 ヽ / /、ゝ
.  / ..::: :::   // `丶、`  '彡,廴`;;;;;
  ..,,,_::,,__.:,,,,::://‐-、__   `丶 .ヽ /∧/|
 Y        ̄ -  ,,,, ` ‐ - 、 .Y..∧/|
               `ヽ     ヽ|∧//|

397 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/13(火) 13:56:50 ID:/g4UstSU0

                   , -――- 、
                /l -―- . 、 /ハ
                j/ , -―-ヽ\|;ヘ
               〈 / ー_、 ∠≧:ト、l
                 jリ ´゚ ソ `゚ ` 川K
               〈il  ` '__` ┐ jリリ
                   N  ' ニニ`ヽ  lイ             俺は正しい……ツイテキナサーイ
                l|卜 /フ寸) ノ川
             _ 」jr―≠v勹  レリー- 、
           _/― 、  | 二 l」Y  l|      \
         /_     / 〈7ー'//   /       い、
           /´  \   /  //ー一'    ヽ\l  ヽ
          /    丶 /  /イ            | l  〉
         /      /  /            , -、/: | ∧
          | _  //  / ___ __  /_,. ト、 v ハ
         l〈: l/ /  / [__ |l  _] ┌' ハ ヽ.ノ'  ヽ
        レ'´  /  /    ☆' / !__ `Y☆/  \     \
       /   ,   /     / /  r‐☆' ∧_/    \    ヽ
       |       / 丶   |_|  丶 --'  /      丶    \
       丶. __/〕    \          |        \    `丶

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
LAW
秩序を重んじる者たち。ルールを守り、規範の枠の中で生きることを幸福とする。
禁欲的であり、保守的。法を守るものには庇護を、破るものには罰を与える。
また、排他的でもあり、自分たちと違う性質や主義主張を受け入れない側面もある。

LIGHT-LAW
大天使などが分類される。
法に基づいた善行を良しとし、そうでないものを排除する。
自らが認めた善性の存在には寛大だが、そうでなければ、たとえ何の罪も
なかろうが排除しにかかる冷徹な一面も併せ持つ。

NEUTRAL-LAW
妖魔や妖鳥などが分類される。
ルールを遵守するが、これといって善行や悪行に勤しむわけでもない。
それゆえに他者に対して、他のLAW属性よりも寛容。

DARK-LAW
邪神などが分類される。
ルールさえ守っていれば何をやっても許されるという考え方。
バレなければ犯罪じゃない主義。早い話が悪代官。
表立って罪を問われることも少ないため、ある意味一番性質の悪い属性。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

398 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/13(火) 14:16:08 ID:/g4UstSU0

           /  .:.:.:.:.:.:/:.:..:. : : : : : : . . . . .`. 、
        /.:/..:.:/./ .:./ .l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:. : : : :ヽ
        / 7 .:./.:.l . :/l .:.|:.: :l:.:.:、:.:.:.: :|:.:. .:. : : : ',
        / ..:.:| .:.l :/ !.:∧: :ト、:.:|\:.:.|.:.:. l.:.:. : : :ハ
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        |/|.:.:|ハ ´__`   `l ´ __ ` |:.:.:.:.:.|:.l:|          俺は普通の男子高校生。
        l !ハ:.:.:l´ゝzソ` :   ´ゝzソ`  |:.:./l/:.ハ!
            l l!: l     |           | / }l:/           ある日突然空から美少女が降ってきて(ry
           l!:.l     .:        |'ノ/:/
            |ハ    `           r‐' /
              ヘ            /:.:/l'
              ヽ   ´ ̄`     /|:ハ
                \      イ. : :|'
                   r┤ ー七   > ´ ヽ
                 /| ゝ..、  /ヽ.     / : 、    ヘイヘイボンボーン
              /.: .:| / 〉 !   /:、 /: : .: .:l` : .
            . . :´/: : : |.∧0| │//〉: : : : : : .:| : : : ` : . .
   _ . . . : :´ : : : /: : : : |  ゝ⌒ヽく /: : : : : : : .:|: : : : : : : : :` : . 、


╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
NEUTRAL
中立。法や秩序の大切さも理解している一方で、自由と混沌の魅力も知っている。
もしくはどちらも知らない。
他者に寛容的で、それぞれの良さを肯定し、共存することができる。

NEUTRAL-NEUTRAL
ど真ん中。ある程度ルールは守るが破りもする。
良心も持ってはいるがそこまで強くはなく、残忍さもあるがそれほどでもない。
八方美人、日和見主義ともいう。ある意味一番平和な属性。
意思がなければただのキョロ充というやつだが、強靭な信念などがある場合は
清濁併せ呑む達観した人、酸いも甘いも知る人となる。

ちなみに、女神転生におけるNEUTRALルートは皆殺しルートとも呼ばれている。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

399 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/13(火) 14:26:58 ID:/g4UstSU0

 | | |   |   | |  | ,-´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: `-、 .|  | |   |   | |  | |
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 | | |  | |    i゙:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゙i    .| |  <  言    俺     >
 | | |  | |   .|:|{::::::|{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}|::::::}|:|    | |  <           >
 | | |  | |   |::| {::::| {:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::} |::::;} |::|   | |  <   っ    の   >
 | | |  | |  i:::| .{:::| {:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::} |:::}. |:::i  .| |  <           >
 | | |  |  | { |::::| {;;| \::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ |;;} |::::| }...|  |  <  て   名    >
 | | |  |  | {::::::|    \;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,---、;;;;;;;;;;;;;;;;;;/     |::::::}. |  |  <           >
 | | |  |   |\;;l    ________________ l   l ________________    l;;/|    |  <  み   を     >
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 | |  |  |`ー、 ニ    \   ̄ ̄_____}─-{____ ̄ ̄  /    ニ,,―´ |  <            >
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╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
LIGHT-CHAOS
破壊神や地母神が分類される。
自由意思による善行を良しとする。
早い話が心優しい不良。アウトローの中でも強きをくじき弱きを助け、
邪悪を憎む正義の無頼漢。ただしルールは守れないため、
あまりいい目では見られない。

NEUTRAL-CHAOS
妖鬼や堕天使が分類される。
盗んだバイクで走りだす。自由を重んじる快楽主義的な人たち。
その時の気分によって他者を助けたり蹴落としたりする。

DARK-CHAOS
魔王などが分類される。
なんだかとっても世紀末な方々。金! 暴力! SEX!
殺しに略奪なんでもあり。暴力はいいぞ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

400 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/13(火) 14:41:15 ID:/g4UstSU0

          ,ィ''´_二----`' - 、__
      /, イ_, _, - '´     ```'‐、_
     /7'´// ,   / i|   |     `ヽ、
    // ./7/ / / / l     `、   ,__rfミヽ
    {i'.l // /../ / ./.i |      ゝ、 ト{ ,r‐i 、
     Vr-i ./ / イノ/ ll l  i i  i i  < f 、ニノ_        ちなみに、行動は属性には縛られないわ。
     {薔!i′/ //i'li il  //  / .i    \\彡ン
      __ーi Ⅳ / ノc!l、 l/ /∥ / /      i .l i        善人が犯罪を起こすこともあれば、悪人が気まぐれで
    i'     i'.i' 汐 / イ.ノ ノ /     / /i ! !
    }    ゝ`ー- ナイノ./ .ノ / / i'  l l ! l         誰かを助けることもあるようにね。
     'i、       /イ -彡イ /イ l  l  l l ヽ
    i ′    _,,イ'´_ ィ/  /イ i l  .l  i l l、
   r、!     { i // /イ/l  l l  l  !l ヽヽ 、_
   `i i`ー- 、_ ヾ {./  ィ   l l   l l  l  ヾi  \\ヽ、
     ! 'i i'´ l:::::ノlヽ ヽ< |    ll   l  !  ゝ、  \   \
    | i>_.、_  / i、`i |l    ll   l,     ゝ、__ \   \
    l -'´__r_'f´i i-} l !l    l   lii    、 、 `-i、`-、
     i  ___ノ,.!にニイ lヽ   l    illi    ヽ, i   i ヽ \





                   __
                ノ: : : __: : : : >一┓
                 /: :-=ミ:.\\:/=Y=ミ
                /:/: : : : : : :\:ヽ 辷リi: :ヽ ヽ
            /:/i: : : : : : \: : :ハ Ⅵ{: : : Vノ
            ノ:イ: |: :{、: :.{ヽ:/斗ミ: : 弋}: : :\ _
              |: :|i八_\ヽ 伐zソ: : : :ゞイ: ハ⌒         LIGHT-LAWにも嫌な奴はいるし、DARK-CHAOSにも
              |: :|l: : :x=ミ⌒   }ハ : : |:从: :乂
           _  |:八: : : :ゞ' 、 _ ' / }: 从/ ーァ:.、_        性格のいい奴はいるってこどだね。
         / 7⌒ゝ{  〉: \个=--- '≦:/<    >:i廴_
.        /     vr{ \: {≧=ー{ニノイ<      弌 ⌒〉:}ミ、    まあ、属性に行動が左右されるのも事実だけど、
       /    |  }八   \  Y/´ >     > /⌒: :人
       ,     |  |\  r'V{/\__彳   <  / Y: : : /    必ずしも、「この属性はこういう行為しかしない」ってのは
       /     ;  √ ≧=彡く: :rvYr: : :|}へ从{´ /イ }: : ∧
      ,     ;   |:i:i:i:i:i:i:iヘ\≧=--=<大>  ,/ {  ヘソ: :}    ないってこと。
     /     ;   |:i:i:i:i:i:i:iYニr=r-‐=rへ \ \  } 〉: : :イ
    ,        |   |:__:ノ:i:i:i:i:iニYYニニyゞ /\ 、_,ノく: :Y: r'
     i   |   |   |ニ \:i:i:i:}ニ}ニニ /ニ {:i:i:i}≧=ミ\: ノ:.ソ
     |   |   |   |ニニ=\ノニ{ニニ {ニ彡、:ir{ニニ/ /''\

401 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/13(火) 15:01:07 ID:/g4UstSU0

   {   i   ′     {f^   :  !    !  i  i :!.i | i i:  i! !
   {  i :|   :|    _j  乂__  :! :    :!  ! :|: !:| ! !:| i| i
.  八  :!|  :!   {f  i  |:⌒ヾi :l   i  l  i斗‐==ー- ..,_
   ハ !|  :!   {{   :! :|  }} :|i   :!  :l  l !:|/イ从}/Ni{ i
.    } :| :!   :!   乂  ! :| .≠イ  !:  | :! 从斗≠示えメ_,ル
   , } :| :!   :!  {{ :i  :| .イfr「⌒ー=ミル:从ハ! イハィイ.: r=ミ:ハ抃 {
  /,.:} :|八:  |   :八乂_刈ル,.ノ rfゥ^}  }ハ/ ) }/   ,∨乂り.:ノ 从{      ちなみに、LAWの代表的な勢力がメシア教。
イ ィ  } :|ハ ヽ:!     :\乂_人}气ぇソ__ノ 「       ^冖冖゛   乂
 ノ  , . !{ } リ ! ⌒ヾ ∧ :} 乂r-<⌒Y            f´/ /     CHAOSの代表的な勢力がガイア教ね。
.   / , i /イ: , /i  :i   八____廴_彡^    , _       八{  {
  / /: i  // :i  从ハ八(___  -‐=ミ             }乂:{      NEUTRALは……特にないわね。
. / //i | : //  | //:ハ∧ :ト、 ̄   (イ__)   f ヽ       从ハ
 ′ ′:| //.   : /   } ∧ :\         ̄      .ィ"/ ハ {
     八 ′  :|:/    :} : ∧( ≫            イ 乂 ノ 八
:{  i{  ハ:   /     } i ハ}ノ  ⌒ヽf⌒77r-く⌒V「{ {{ (( {





                    _
                 ,  ⌒ 、/⌒ 、`  、
                /  /ミ‐,‐/`ヽ  、\ \,r≦ミ、
.             ,≦/    /  /      、 、\《三三ノ
              (/     /  /!   l    、 、 \` 、(
.          //    /  ,' !   l  l  、 \ \ ヾ)
        /イ /    / // l |  |ヽ l、   、 \ \≦)ノl
       lヽ// /    / //__,!   l l -ヽ| ヽ  、 . \ ヾ' \ー‐,__
      ヾ/イ//l    /,/l/  l|∨ l||,, ヽ| ヽ  、   \〈\― <        メシア教とガイア教が潰し合ってるように、
    ヾ  /   |  /, ,ィ笊示 ∨ !l/ ィ 示`ヽ∨  ヽ  l|  ヽ ノ   >
.    ヾノ、/ ,   ! /∧  ヒリ  ヽ|  ヒリ ヽ|  |ヽ |   ヽ    >      基本的にLAWとCHAOS、LIGHTとDARKは仲が悪いよ。
   ヾ / イ    |/l/l|∧     、      / l  | ヽ|  ヾ ∨  >
   ヾ  /イ  ∧  | |∧          / ´!   l ! lヽ lヽ|\∨ <       契約した仲魔同士でさえ、属性が極端に違うと
    /‐‐―ノ /l∧ | l.  、   ー―    イ/ノ.l  /l/l/ lヽ!    __   ヽ
.   /_  //l, ┐,∧ !ヾ  >   _  r≦ ノノ、! / r、/    /   `ヽ}       召喚されたその場で喧嘩になったりね。
.   ヽノ ―― 、 /、ヾ|     {≧zzzzzr ィ〈< |/  )   斗≦=―- .l
  , ' /    \ `ー,      ノ三三≧ >'´l l= 、  > '  _        ヽ       召喚師への忠誠度が凄く高いと、属性の遺恨を
  l, ', ≦≧z ./〉-,‐,―――   '       | | ヾ,,,(, ‐,≦_ `  、____ l
 ,r≦三三三//  / /                 | |イ / / /三三三≧、\>   ヽ      捨てて協力してくれたりすることもあるらしいけど。
/三三三三 //  / /            / ,/ / / /三三三三三 、  、  > 、
三三三三ニ{ {  { .{            /  / / / / 三三三三三 ノ 、  、    、     基本は無理だと思ってくれていいよ。
、三三三三ヽヽ  ヽヽ       ,  ''   { .{ { .{ 三三三三 イ   、  、    、
   ̄| ̄ ̄ ̄|\\ ヽヽ  _  ≦ .     ヽヽ ヽヽ三三 イ |    、  、   、
    |      |   ̄ ̄ ̄         `  ― ヽ_>‐ヽ_ノ|    |    、  、   、

402 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/13(火) 15:05:09 ID:/g4UstSU0

                        i´` 、
                        `  )     _ _
                        i:,// - ´  ̄   ̄` - 、     ,_、
                     __;,.〃y/            \   `´ヾ
                   ,__ >/ノi   /            `\ /´´
                   iしe/フ ̄ /  |  |        ;   /イ>i
                _ 〃´ ̄//  /   |  |   |     | ヽ Y>=レ>
              ,-´ /   /イ/ /   |  |    |     |  | |\fノ,、
             / //    //  ;; ,, , |  |    | ;  ; |  |   | iヽ``ヽ
            / / /    //   i  ` |  ; | i  | l i ll |  | | |` _|ノノ        こんなところかしらね。
           /   /    //  l/ `ー-、_|l l | ヽ ├-- 、l ; l  l l ´(ヽ
           |   l    / /  l | |,、/r、ゞハヘ` |=_ノ |/| i|` / イ/,, | |l |         それじゃ、また次回。
           |   |   / // // |rハヒ妥>y>` `ヘ|イテ〒ノ // /lヽ    |
           ヽ  ヽ / / /  il  |トミ=>ソノ    くゝ'シ_| / / /i     |          質問があれば随時受け付けるわ。
            \/  /  //  l  i"`(ヾ   .    ̄゜ / // /i ヽ    ヽ
            //  /  /ノ  イ -ヽ r´´ 、_ ___,    / / / i il   ヽ  `、
          /  /  /  イ   /l、 ト \、      //,/´ ̄フ __ノ"i      \
        / /   |   | ; il  ,__) ` ン  ミ 、 _ イ / // /y´_-ノ       ヽ
      / // l   /  ノ i /l -つ、-  ヽヾ  `><   l i/ /   ´〃-´        i`、
     /  // il l  /  / l  / \>_`___   ,-、 <il   ヾ  --- 、i´-フ         i ヽ






                               -‐…‐ミ
                          rf/ ./  \  \㍉
                  rマV{   く/  /     刈  ',_>   }V77
                  E__   >、 :′ ト{∧ /{/斗i|: '  ,xく ___ヨ       女神転生好きな君も、知らない君も、
                        `'く  >{、 i{ .≫  ≪. }l }xく__,/
                        `'く__/i:}八' ' r‐‐ヘ ' 八 |iト/           この機会に知識を深めてお話をより楽しもう!
                          八i:i∧{≧= -r:'≦ }/i:iノ  _,.rノ,ノ
                      /: i{〉 ,{ニニニ} _,}i'"\フフフ^’         それじゃ、まったねー!
                      /: : :.八^7:::::::::::::7^八: : :.\
                      / : : : : : : :~|≧zz≦{~: : : : : : : \
                 <:_:_: : : : : : _rfニニI Iニニi_: : : : : : : : : >
                    ): : : : : :{〈..|^〉X〈^|..〉}: : : : :r '"
                     ‐--- /八|\__/|八V--‐'’

403名無し-Red-市民-2:2018/03/13(火) 18:21:12 ID:ai1CYzhY0


404名無し-Red-市民-2:2018/03/15(木) 13:32:47 ID:a4dF9AdQ0
葛葉やライドウの知名度はだいぶ下がってるのかな。
古参位しか知らない?

405 ◆x0SRSoJXe.:2018/03/15(木) 18:52:55 ID:O4mtvR6s0
>>404
十年前に壊滅してそれっきりだからね。

認識としては「葛葉とかいうやべー奴らが昔いた」程度だね。

十四代目葛葉雷堂は「ポン刀で戦艦ぶった切った奴がいた」「昔東京を襲ったでかいイナゴの悪魔を一人で片づけた奴がいた」
「銭湯だろうが温泉だろうが帽子を取るのを拒否した奴がいた」「モミアゲのやべーやつがいた」
くらいの認識だね。

406 ◆x0SRSoJXe.:2018/04/10(火) 13:12:23 ID:IvLTY08Y0
ハロー。生存報告だよ。

病院が早めに終わって執筆中の>>1だよ。

多分来月には投下できるから気長に待っててね。

407名無し-Red-市民-2:2018/04/10(火) 13:27:09 ID:LXrQTZbw0
まってる!

408名無し-Red-市民-2:2018/04/10(火) 18:51:21 ID:GSRekw4Y0
GWあたりかな?

409 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 21:43:33 ID:PRimjMIw0
ハロー。GW全出勤だった>>1だよ。

そろそろ書き上がるけど、ゲリラ投下、するかい?

410名無し-Red-市民-2:2018/05/08(火) 21:44:34 ID:G6ivraZ60
やろうぜ

411 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 21:51:32 ID:PRimjMIw0

┌─────────────────┐
│                         .│
│   第八話『Nobody knows hero』   ....│
│                         .│
└─────────────────┘

412 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 21:54:58 ID:PRimjMIw0

         、、,......,_.,.,,,...                   ,,,.;-;;¨`'ー‐-.,..
        (、 ;;.,.;: ";: ,-'                    .:;,, :::.,,-'゙゚~^´
         "`~`'ー~


                          ( ;;;;(
          .                 ) ;;;;)    ( ;;;;(
 "`''''''ー――---------- ,..................,,,,,,,,,,,,/;;/   __,.,,,,,,,) ;;;;)....................,---------‐―'''''''`"
   . : ..: .:. ::. :..:.. ::.:..: .:.: : .::.:. :....日l;;,´EロェΠュ:: /;;/ .  .: . : . :. . :.  : .  .  .:  .. .. .
  . . .  :. . . .. .  .: . : . :. . :. . :. : . . :. r呂::ロロ::ロュllΠュェ品l;;,´:ロ::Π.: .:  : :: . :. :. .: :.:.  :. :..:  :. . ;:
  :: .: : : :: : : ::  : :: : . ... : :: . :. :. .: :.:.  :. 呂:Π目ェロE| ̄|::Π  ::. :: : :: . :. :. . : :.:. :. :..: :. . ;:. .;: .
  : :  : :: : :: : : :: . :. :. . : :.:. :. :.. .:. :. :..: :. . ;: .| | ::;;: ;:;: ;:;  : :; :;; ::; :;:  ;;: ::;;: ;:;: ;:;  :
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  .','.',.'',.''.,',','.','.',.'',.''.,',','.','.',.'',.''.,',','.','.',','..',','.   ,l   .l, . ... .,;: ;:. .... .,:,.,..... . ..,,,,, .、
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  ... .,;: ;:. .... .,:,.,..... . ..,,,,, .、 ,. ... ... .,;: ;  /     `i、  ,, ;.;" " `:;; :;:" ".'';;;"
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 ,, ;.;" .;. ".'';;;" ~, .;"’ .:.:".'';;;"  ,;'´          `';, ;;: : ; "' ; ~ ;;: ; ; "' ; ~ ;;: ; ; ~


╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
十年前、俺の住んでいた町が毒ガスの散布による大混乱に陥った。
ガイア教団とかいう宗教団体のテロだったと聞いたことがあるが、
真偽は分からない。

その時のことはよく覚えていない。
ただ、ぼんやりと覚えているのは、炎の熱さと焦げた匂い、
そして聞き慣れた誰かの悲鳴だけ。

生き残った俺は、ふと思った。
なぜ俺は生きているのか。
なぜ俺の命だけが生きることを許されたのか。

それはきっと、使うためだ。

誰かのために、この命を使う。そうすれば、いつか、きっと――――
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

413 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 21:55:09 ID:PRimjMIw0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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414 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 21:56:51 ID:PRimjMIw0

         ,ノ : : : : : : : : : : `ー: : : ::..:::. ::::`、
           レ : : : : : : : : : : : : : ::. ::..::..::::..:::、;!
         l ;i: :.: :i; :ヾ,;,_ヾ-、ヾ`、::..:. ::::::::::i,
         レヾ!::ト、!`ー,r‐'''´   ヾ::;r'´ヾ::i
           `、! _,r' ,ri´ ̄ !   V,ノ ,'.,!:!
              ` 、  ヾi_,ノ     ,,,ノ`、!             ……なんだ、これ。
               .i       u ,/'.,  `、
                  .ノ__  _,.    /  ;   `
                   `ヽ、  ,,/   ;    `.、
                    ̄ _,ゝ  ;    __,,,y'`ヾ
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手紙と共に送られてきた荷物の中身は、おかしな機械だった。
ベルトがついていることから、どうやら腕か足に巻き付けて使用するものらしい。

手紙の内容はこうだ。

「君は僕を覚えていないだろうが、僕は君を覚えている。
僕はとある組織を裏切った。その組織は、僕と接点のある君を狙いに行くかもしれない。
その時は、これを使うといい。これが君の身を守ってくれるはずだ」

全く持って身に覚えのない、不気味な手紙だった。
新手の宗教かと疑いもしたが、その鈍色の機械を見ていると、不思議な気分に
させられた。妙に懐かしいような、そんな気分だ。

そのせいか、捨てるに捨てられず、気が付けばその機械を通学用の鞄に
放り込んでいた。
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415 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 21:57:08 ID:PRimjMIw0

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416 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 21:57:54 ID:PRimjMIw0

                       _____
                ,. '" ̄: . : . : . : . `ヽ、
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               i:.:.:.:.:i: . : i. iハ:ハ .ト、ハ:ヾ::.. : .;}.:i . i: .:i:} i
                | : .:.:.|: . : i. |,.X弋!弋 ヽト、:.:.ムリ:イ:.:.ノハ:}
                !:i:.:./.|:.: . :i. lィ弍朴、 ` リ V左ルイ:/:ノ 'リ
            |:i.:.:{.{ !: . : i.圦''k=i_,.    ´|;'r} }从イ        おはようございます、先輩。
             |:i:.: \!:. .::i: l ` ̄    、┴''‐ハリ |
              |:!.:.:.:.:.:i:.: . : i. l       /  ノ:.リ .}
              リ .:.:.:.:.:!:.:: .:.:i .l    ー ‐   .イ :.リ /
             ,':.:.:.:.:.:/i.:i.:: :.:i.个 、     /: :i: :},/
              /:.:.:.:.:./.:.i.:i: .:.:.i:.:l  ` ーァイ:: i. : .:V
          /:.:.:.:.:./.:;,rl :!.:.:.:.i:.:ト、.  /、:.i:.:.:i. : : .|
            /:.:.:_;;ノ-'" !:.i!.:.:.:ト::l >ヒ}:.:!:.:.:!:.:.: :ヽ
     rー--、ム<ヽ.    !:.!i::.:.:| !!./:ノ }:}\::.i.:.:.:.: .:.\
    /  .::  ヽ:.ヾヽ.  ヽ!ヽ:.:| リ /  .|:|   ̄TTー、: :ヽ
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       マ:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:≧=‐
      -=孑ァ:./:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
        {/-彳:.;′:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\{`
      //レ.Ⅳ:.:./}:./}:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.:.ヽ
       ´ |:/|,亥',:/ /イ |ハ:.:.:}:.:.、:.:.:.:.:、:.:.:.:.:.:.:.V:.:.:.:.、
       ′| 劣  丈≧zz}:.:.ハ:.:.}:.:.:.:.:.}:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.       おはよう、桜。
           '. 必    二,,_⌒゙}ヾ从.:/:.:.ノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}
         |..:丿   ''" ん心、   }イ:.:./:.::.:.ノ:.:.:.:.:.i:.:. }       藤ねえは?
           「       、乂_ソ 〉  }:.:./⌒Y:.:N:.:.:.:从リ
.       ∧        ̄      }/)::: . }:.:.:.:.: /         「昨日やり忘れた仕事があるそうなので、早めに学校に行ってる、
         ∧ヽ、           _.::: /:.:.}从{
                       ,.r一'´:.:.:.:/            だそうですよ」
         人    __,.。 *''":::  }从从ト、
            _  ̄ |:::::::::::::::/       ..ノ:|、__        そっか。じゃ、朝飯作るか。
         |:i:~"''〜、、__ /__,. -‐'' "´:i:i:i}:i:i:i:i:i:i:i
            }:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iノ:i:i:i:i:i:i:i:
          ):i"''〜、、:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:
       ,.。*'"i:i:i:i:i:i:i:i:i:iうぅo。i:i:i:i:i:i:i‐=≦i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i
  _,.。 *''"i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i
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417 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 21:58:07 ID:PRimjMIw0

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合鍵で入ってきた、後輩の遠坂桜を出迎える。
去年怪我をしたときに、家事の手伝いということで我が家を訪れて以来、
彼女は後見人役の藤村大河という教師と共に、この家の住人と化していた。

自分には両親がいない。正確には、いた、というべきか。
十年前のテロで、二人とも亡くなった。その時、自分はある人に助けられ、
衛宮の姓とこの家、そして少なくない財産をもらった。

その人のことはほとんど覚えていない。最初に出会ったきり、彼はありったけの
生きていくうえで必要になりそうなものを自分に残し、「仕事があるから」と
行方をくらましてしまったのだ。

だが、自分はその人を父と思っている。
あの人がいたからこそ、今の自分があるのだから。
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418 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 21:58:22 ID:PRimjMIw0

                 ̄` _
             /          ̄`ヽ
                /
         /   / /            :..
.        '   /               i
         |  i|:| |         } ⌒\ {
         |  l|:| {     /  / / /}  __≧K〕
         |  l|从{八   /} /} /j/∧ // Y‘,
         |  ||r示示\{ ィ抖示ミ 彡' Y} i | 〉       ……さて、それじゃいただきましょう。
         |  || 上り    上:::り  fニ }L{_|,/
         |:  八//      //   r:::ノ ノ | | |        あら、先輩。自分の分の箸、忘れてますよ?
         |:   へ  ′_,     r―イ :| | |
         |:   |:i         / |   | | | |        「おっと、サンキュ、桜」
         |:   |:|  |>ー ´    |_  | L{T´
         |:.   从  〔冖}__.....-‐=  ̄ }_:|   |
       __|:. // {ー' 「| }::}     //\ |
      /:⌒|:. //  |  r':::| |::|          /`ーァー
.     /   |/}/  |/:::{/{く:::ヽ.  /   /   /    |
    /   (   /:::::/个:::::::::\/   / /     |
    /     /::::::// :|::::::\:::::\ / /       |

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自分には何のとりえもない。特別な力など何もない。
だけど、何もないならないなりに、精一杯やっていくつもりだった。

理想の自分に、少しでも近づくために。
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419 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 21:58:41 ID:PRimjMIw0

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                               ・

420 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 21:58:56 ID:PRimjMIw0

                      ノ} _
                ヽー.....、r',; :::.ヽ- 、`ヽ
              ,.  -┴-  、l/__ :::ノ : . \:ハ
.          _ / : : : : : : : : : : : : : : `丶フ: V
         //{ : : : : : : : : : : :l:r 、 : ヽ:へ \ '.
.         _/,.イi!;;;;;V : :/ l: : :l: : :lハ^^ヽ: : .Vハ::.ヽ'.
    ,. - /. : ヽi!;;;;;/. : :l: :l: : :l: :l: lハ   Yト、Vトi\:::.'.\
.    ヾミ/. : : : : Y^ ー ァl: :l: : :l : lヽトlハ  ,.N l:V:!ヽ:` ー \
.     l : : : : : : Yi,;;;;l;;〉: lヽ: :!ヽl::l\ ヽィj「i.l: 〉l ::ト、:::. : : : .丶
.      l:. : : : : : : Yi,/,;}ハ l ,.ヽト'´N  ヽ.以 lイlリ\:::.\::. :: : : : . . . .
.      l::::.. : : : : : |, -ミ{ Ν,.ィf乏丶、  、  l∧  \:::.\::::.... : : : : : : : : ̄       おはよう、桜。
.     l:::/,:... : : : |{ i >、,ヘri乂ソ     ′/.:::::\:.、 `_ー ニ=---z-ァ=ニ二
      V /,:::::::. : |lヘーミハ ゞ'∧.ハ_   t7 /ヽ:::::l:...` ー 、:. :.`ヽ`¨¨´           今日も通い妻ごくろうさま。
        V /,::::::::..:|l::::K⌒ヽ 「 「 yiヘ,_" イ::::/:):::!::::::::.. : Yト、: lハ
.       V /,:::::::::..l::::l::l >、 ヽト、ヽ〉l \スノく::::::l::::::::::::. jノ :}/ !             「ね、姉さんっ」
.         V /,: : ::::.∨l/.: :.丶、`ヽ  ! ノ.: ゚.:。:Y^ ー-=ニ∠ ノ_
         |ヽl : : .\:Vl、 .: .: .: __ー<´:. :. :. :. :. :l :. :. :. :. :. :. :. :. :. :.ヽ
         |:::l \ : : .\ヽ :. :. : :. :. :. : ̄\>_、_ :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. .
         |:::l::八\: : : ` ミニ=‐-==ニ>'´ ̄`ヽ:`ヽ:. :. :.__ :. :. :. :. :. '.
         |://. : \\::... : : : : : : : : : ̄二¬=-ァ=ニ二 : :-. 、: .ヽ、:. :. : l
        j//. : : : : :ヽ >t‐----------‐ ''" ̄ ̄  丶- 、\:. \、.ノ
     /://. : : : : ::::::::::ゝー-  __ :. :. ̄ ""'' - 、:. :. .\ : : :\:: 〉
    / :/. : : /. : : : ::::::// >、:. :. :. :. :. :`  、:. \:. :. :. :. :. :.ヽYi:. :Vlミ=-
   . : /. : : : :/ . :.:::/.://.:::::::::>、:. :. :. :. :. :. :. :.丶、:. :. :. :. :. :. :}ハヽVl:〉
  :/. : : : :/..:::::イ.::::://.:::::::::::::::::.ヽ:. :. :. :. :. :. :. :.'゙:丶:. :. :. :. ri丿:r}V{
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  .:::::::::::::::::/ l::::::l:::::::ヽ!::〈 : : : : : ,Vl '}i, :. :. :. :. :. :. :. :. :. l\:. :.ヾミ=- ` ー‐

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桜と一緒に登校すると、正門で桜の姉である遠坂凛と遭遇した。
この姉妹は学校では有名な美人姉妹で、仲も良かった。

「また、桜の朝練見に来たのか、遠坂」

「妹の頑張ってる姿が気になるだけよ。悪い?」

「いや、いいことだと思うよ」

美しい姉妹愛に、つい頬を綻ばす。
すると、なぜか遠坂凛はそっぽを向いてしまった。

「桜、そろそろ行かないと朝練遅れるわよ」

「はい、姉さん。それじゃ、またお昼に」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

421 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 21:59:10 ID:PRimjMIw0

           ___ _ゝ==ヘ、  ___
           >.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`´.:.:<.
         < ̄:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.
        / ̄.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ゝ
       /:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾゝ
        ̄/:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|′
         !/!:.:!:.:/ハ:.|:.ト、:.ト、:.|ヾ|ヘ!ヽ!:.:.:.:ヾ!
         ∨レヘL_」ヘ!ヾ}、,りrt≦二リr‐:.!
            rラにテ!     ヒ少 レゝ }
            !ヘ ゞ=′    ` ̄´ ソノ            さて、と。
           ヾヘ  ′      /リ
               \ ´  ̄  /  |
               \__ / /  |
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     rー..'':::"´:::::::::\::::|| 、 _|:|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`::ーr、
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その後は、いつも通りの日常だ。
授業を受け、昼食を遠坂凛と桜と一緒に屋上で済ませ、授業が終われば
自分の仕事をこなす。

仕事といっても、生徒会などに所属しているわけではない。
ただ、自分にできることを引き受けているだけだ。
昔から機械いじりは得意だったので、壊れたストーブの修理などを請け負っていた。
業者ほど本格的な修理はできないが、簡単な修理ならいくらでもできる。

他にも、学園祭のビラ配りや、通学路の清掃など、色々だ。

塵も積もればなんとやら、こうした地道な努力が、いつか結果に結び付くと信じて。
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422 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 21:59:42 ID:PRimjMIw0

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下校する頃には、既に時刻は午後の七時を回っていた。

帰宅し、制服から私服へと着替えた時、ふと思い出した。
食材を買ってくるのを忘れていた。

財布やら何やらをポケットに詰め込み、ついでにあの機械も袖の下に忍ばせる。
試しに左腕に装着してみると、ぴったりのサイズだった。

まるでヒーローの変身道具だな、と思った時、不思議な高揚感があった。

そうだ。自分は正義の味方に憧れていた。それは子供の頃から変わらない。

十年前、テロに巻き込まれて入院していた日、自分と養子縁組を組むための
了承を得に来た父は、こんなことを漏らした。

「僕はね、正義の味方になりたかったんだ」

だからこそ、彼は自分を助けたのかもしれない。瓦礫の山から救い出して
くれたのかもしれない。

自分も、と思った。自分も、正義の味方になれたなら。
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423 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:00:33 ID:PRimjMIw0

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買い物に行く途中、鞄の中から振動を感じた。
何かと思い、鞄の中を覗いてみると、あの機械の画面が発光していた。

取り出し、画面を見てみる。
エネミーソナーという文字と、赤い信号のようなものが映っていた。
いくら英語に疎い自分にも、エネミーの意味くらい分かる。

敵? 一体何の敵だというのだ。
馬鹿馬鹿しくなりつつも、特定の方角を向くと信号が赤くなることに気づき、
その方向へと歩を進める自分を嗤った。

辿り着いた先は薄暗い路地裏だった。
なんとなく空気が変わった気がし、身構える。
樹海や、暗い谷の底に放り込まれたような心地がした。

周囲を警戒しつつ、路地裏の奥へと進んでいく。
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424 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:00:57 ID:PRimjMIw0

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暗がりに目を凝らす。
黒に近い赤色の空間が、そこにあった。

そこら中に転がった手足。
粘質の咀嚼音。
およそこの世のものとは思えない生物が、人を喰らっていた。

息を呑み、その場に座り込む。
現実とは思えなかった。それと同時に、自分は懐かしくも忌まわしい感覚を
思い出していた。十年前のテロの日。その時の、死の予感だ。

怪物が赤く光る眼をこちらへと向ける。
瞳孔はなく、血の塊のような目をしていたが、確かにこちらを
捉えているのが分かった。

自分もあそこの死体のようになるというのか。
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425 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:01:22 ID:PRimjMIw0

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   〃  .,ノ~;/  .,/./ .,ノ/ / ;;;;;;;;;;;;l  .,.. |″    ,i'ン"   ,ii'" .,..-'";;;;;;;;;;;,/゛  _,,,,,__ ,ir!'"       `'''″
  .il″ / ;;;;;/ ,ノ゙''゙,i彡'゙i/'";;;;;;;;;;;;;;;;;゙‐''"./     ,-/'" ,.. ;;/!"._./ ";;;;;;;;;;;.,./ _..-、., />'"゛
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嫌だ。まだ死ねない。
まだ何もしていない。

声にならない叫びを上げながら、後ずさりする。

まだ、この身は何も成してはいないのに。

視界が赤く染まる。自分の血飛沫かと思ったが、違った。
気づくと、そこには人外の存在ではなく、極めて人間に近い女性が立っていた。
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426 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:01:33 ID:PRimjMIw0

          _____.|┃┃
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    /          .|┃┃        先に片づけちまったのか?
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   { ミi      (.二⊃┃
   l ミii         ト、二)┃
   | ミソ      :..`ト-'. ┃

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そして、その様子をとにかく人相の悪い男が覗いていた。
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427 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:01:51 ID:PRimjMIw0

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428 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:02:22 ID:PRimjMIw0

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          ,: : : : : : / てゞっ  ,: : : : :l: ,
             .: : !: : : :,  <斗ヘ ',: : : : l: : ,
            . : : |: : : ,ニニ.=.ニニi : : : :!: : ,
         ' : : :|: : : !ニニ===ニニl : : : l : : ,        …………。
            ': : .:.:!: : ::トー'´ ̄i`ゝー彳 : ,;: : : ,
          ,: : .:.:.|: : :l.ヽ  _ _  イ:.!: : ,::,: : : ,
        ,: : .:.:.:.l: : l:.:r{≧、 _ イ-、:.i: : i::::,: : : ,
        , : :.:.:.:.:.l: : l>ミ三三≧シ、l: : !::::,: : : ,
         />― ´i: : !   、       !: :!≧‐- 。
      〃       l: :lー‐- ∨ /,  -‐!: !     `ヽ
      i   、   l: l    `  ′  l: l       i
      ,.!   ヽ/  !:l   ヽ  〃   ',:! ヽ /   l
    /: !     /> t:i ̄ ` ヽ∨-=≦ ̄li`ヽム.     l',
   ./: : l___./ >‐.!l‐= <_   _>≦三!≧、 i__i: ,
   /: : .:{_o_i/ニニ,'二二二三ニニニニ',ニニヽo  }: ,
  ': : .:.:.:{_o_lニニ.'!ニニニニニニニニニi:,ニニi ̄ ̄j: : :,
  , : :.:.:.:.:{ニニム.二/:;ニニニニニニニニニl:',ニ,「o ̄}: : : ,
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【鬼女メデューサ Lv39】

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先程の人相の悪い男は、加賀喜留夫と名乗った。
私立探偵を営んでいるらしく、丁寧に名刺まで渡された。

その隣にいるのは、白いドレスに身を包んだ異国の少女だった。
右目は薔薇を模した眼帯で隠れており、白金色の髪を腰まで伸ばしていた。

対する自分の隣には、先ほど現れた謎の女性が直立不動の姿勢で立っていた。
メデューサ、と名乗った彼女は、一見すると長身のモデルのような女性だった。
だが、明らかに何かが違う。目の前の少女もそうだ。

彼女たちからは人間とは違う何かを感じる。

「生体マグネタイトは吸収されてないみたいだし、大丈夫そうだな」

加賀喜留夫は、一通り事情を自分から聞き出した後、検査器具のようなものを
自分の腕に巻いて様子を見ていた。

「大丈夫って、何が」

「お前はまだ、後戻りできるってこった。見たんだろ? あの化け物……悪魔を。
こいつも、お前の隣のそいつも、悪魔だ。俺は悪魔を使って悪魔を討つ仕事を
している。見たところ、既にその悪魔とは契約が済んじまってるみてえだけどな、
俺なら、というより、俺の仲魔なら打ち消せる」
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429 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:05:14 ID:PRimjMIw0

     ____
   /     \
  /         \
/     (●) (●)\       全部忘れろ。それで明日からいつも通りに過ごせ。
|    (トェェェェェェェェイ) |
.〉     ∩ノ ⊃  /        俺が責任もって、お前を日常に帰してやる。
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
加賀喜留夫が言うには、自分はまだ引き返せるらしい。
人を喰らう異形たちが潜む世界から、今までどおりの世界に。
桜の顔が脳裏を過ぎる。答えは決まっていた。

「俺は――」
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430 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:05:52 ID:PRimjMIw0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                         └──────┘

                           ┌───┐
                           │::::::::::::::::│
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                           └───┘

                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘

                               ┌┐
                               └┘

                                   □

                               ・

431 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:06:16 ID:PRimjMIw0

  /              \    \ゝ
  ア´         ヽ \ ヽ   i     ヽ\
 〃           ヽゝ‐-ヽ}>v} {  |  \}
 {       ヽ   ハ}  〃 __ ヽ f⌒∨ }
 レ   l   {ヽ  }\{ }' //ィ乏心〉 }/{ ノ} |
  |/{ .|   ト ∨    '‐´ 乂_ツ    〉 / N
.   ∨{ N⌒゛¬ヽ       ¨´     } {          ……というわけで、これからよろしくな。
    }ハヽヽ   , =               爪 リ
        {ヽ'´     i            ハ/           俺は衛宮士郎だ。
       \'     ` _,  -┐     / } ∨
         ヽ    ヽ  /    / .|_ヽ-―
              >      ̄     <      \__
                >  _ イ               ヽ
                /    _  ´ ̄      \
                | |_/-‐
                >イ ̄    ´ ̄`

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家に連れ帰ってきたメデューサを居間へと案内する。

「よかったのですか」

「ああ。これでいいんだ。俺は、サマナーになる」

「まあ、私もあのまま放り出されるよりかは助かりますが」

そう言うと、メデューサは軽く口角を上げた。

結局、自分はメデューサを手放さない選択肢を選んだ。
このCOMPを使って、悪魔を使役し、悪魔と対峙する道を選んだのだ。

第一、人知れず人間を喰らう怪物の存在を知って、はいそうですかで済ませられない。
自分にできることがあるのなら、やらせてほしい。
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432 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:07:08 ID:PRimjMIw0

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                        /:.:.:.:|   !:.:.:.:.:.:.:ilン‐''''''''''''''''''― 、儿,,,,.. -―'''¬―‐'
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メデューサいわく、「あるサマナーと衛宮士郎を守護する約束の下、
契約を交わした」とのことで、彼女自身に目的意識などはなく、
強いていうなら自分を守ることが目的らしい。
ちなみに、そのサマナーの名前は「聞くのを忘れた」そうだ。

「時に士郎? そろそろ、対価の話にいきたいのですが」

「ああ……そうだよな。悪魔だもんな。命とか魂とか……」

「そういったものを要求していた時代もありましたが、今はそうでもありません。
主流といえばマッカ……魔界の通貨ですね。他にも生体マグネタイトや宝石
を要求するのが一般的ですが……私が欲しいのは、血です」

「血?」

「はい、新鮮な」
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433名無し-Red-市民-2:2018/05/08(火) 22:07:17 ID:G6ivraZ60
大丈夫かねえ

434 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:07:55 ID:PRimjMIw0

:V:.:.:.:/:.:./ レ′  ∨ |/   ij   \;}      \;,}  \:.:}:.:.:.:r-キ
:.:V:./:.:.:/   彡´ ̄ ̄ミh。.,__ _    }:. _jI斗''"´⌒`ミ  }:j!:.:.:.ム
:.:.:`:.:.:.:.}      ,. ―-ミ_`ー一'"   .ノ``-彡-―ミ、   ハ:.:.:.} ``
:.:.:.:.:.:.:.:.}    〃γ芹ミ ゞ        彳γ芹ミ ヾ}  }:.:.ト:.:|
:.:.:.:.:.:.:.:{    〈{  {::::rぅ::}           に )::::}  / .}:ハ:|``
:.:.:.:.:.:.:.ハ     ` 乂:::::ノ    U   {:.  ゝ乂::ノ_    !ハ;!
:.:/⌒ヾ:.:}     `冖'^  \\\\\}:.\\  ̄ \\\}        なっ、ちょっ、おまっ……!
:.| ::::ハヾ;!  \\\\\\\\\\j::\\\\\\| |
寸 :::::}  \\\\\\\\\\\/:::\\\\\\j |
.八 ::::ゝ   U                          从
  .\ ー- 、         ,. ---―- 、        .|/
   }:.≧ト- 、        /-====ー /        J
   从:.:.:.:.:.|.\      〈:::::::::::::::::::::: V      ./
    从:.: !.  \.     ゞ----一''"    ./
      };,;|    \              /
        .|      个s。.          /
        .|      :::::::≧s。..    / |

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「血、というのは正確ではありませんね。血を飲むというのは手段であって、
目的はそれに含まれる精気です。だから、まあ、こちらでも構わないのですが」

メデューサの視線が自分の股間に注がれているのに気づき、はっとなる。

「嫌ですか」

「嫌というか、お前、男女がそういうことになるのは、こう、順序ってもんが」

「ヤマトナデシコというやつですね、分かりますとも。
大丈夫です、ちゃんと血で済ませますので」

言うが早いか、メデューサはぐいと背中に腕を回すと、顔を寄せてきた。
半分以上アイマスクのようなもので隠れているとはいえ、これほどの美女に
近寄られて狼狽えない男はいない。

そうこうしているうちに、メデューサが首筋に歯を突き立ててきた。
痛みに呻くが、すぐに別の間隔に意識を持っていかれる。
歯と一緒に首に触れている唇の感触に、全神経が反応していた。
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435 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:08:33 ID:PRimjMIw0

:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:/:.:.{:.:.:.:.:.:/!:.:, ヘ:.:.:.:.:.:.:./乂} \:.:.:.|   ,メ:.:.:}、:.:.:.、:.:.:.:.:.\
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:{:.:.:.:,{:.:./\:.:./ ∨  \:.:.Ⅳ    ヾソ  ,/ Ⅵ \:ム:.:.トミ:.:ム
:.:.:.:.:.:.{:.:.} |:.:/ |√~"''〜、、_   ヾソ        ,ィi{,.ィizzzzx  }ソ.:.:ハ ⌒ヾ
:.:.:.:.:.:.:V ∨ し  ,.ィizzzzz≧=‐--一     ゞ彳     ヾt、.|:.:.:}:.:|
:.:.:.:.:.:. |     ィi㌢     ヾt、          {i{        }i} |:.:.ハ!
:.:.:.:.、:.:|  U .   {i{           }i}  三ニニ三  {h、     ji} |:./
:.:.:.:.:{:.:|     {i{           }i}           `ゞtzzzzz彳|l|l|          「ふう……ごちそうさまです」
:.Ⅵ:.Ⅵ     ゞt、      ,ィf'′             |l|l  |l| ∨
:.:.Ⅵ:.:.|    |l|l| `ゞtzzzzz㌢´            ヽ
:.:.:.Ⅵ从       |l|l|                 j!     u   ∨
'⌒ヾ:.{                                    |
⌒:... ヾ       J      u                    |
 :::::::}                               _       从
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  :::::ヽ             _、+''"~::::::::::::::::::::::::::..。。 *''゚   /
、  :::::::|            {::::::::::::::_,,.. -‐ '' "´         /

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メデューサの食事が終わると、全身を気怠さが覆った。
精気を吸われるというのは、こういうことらしい。

こんな調子でやっていけるのかは不安だったが、とにかく、自分はサマナーとなった。

これで少しは、正義の味方らしくなれるだろうか。
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436 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:08:47 ID:PRimjMIw0

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                               ・

437 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:11:45 ID:PRimjMIw0

     ./
     / ',
     ,'  ',
    ,'   ' 、     ,-~'i
   i'     i'    i /ヽ,
   i     i'     `ヽ;;;;;;'、
.    ',    ',      ヽ;;;;;'i
    ',    ',         Y;;;;'、__.,
     ',     ',         i::::;,-、/ i
      ',     ',       ノ ( '''',;) X'i
      ',     ',     ヽX\ | X',
       ',    ',      ヽX.丶!X ,',
       ',   ,   ',       .丶 X' XX',
        ',  ';;,,  ',      ヽ.XXXX',
         ',  ';;',  ',       '、XXXX',
          ',  ';;;;', 丶、     '、XXXX',
        ',  ';, _ヽ::::/      '、XXXX',
          i ,_ヾソ/:::i        .'、XXXX',
.         ' ‐ - 、;;;;;;;',       iXXXXX',
           ヾ;;;;;;',         lXXXXX',
            ヾ;;;;';,        lXXXXX,
             ヽ;;''`y    ,l XXXX,'
                  Y:::ソ    ヽXXX ,'
                  '''       ∨XX,'
                      ∨∨
                            ∨

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
翌朝、加賀喜留夫がアタッシュケースを下げて家にやってきた。
住所は伝えてあったから、来ること自体には驚きはなかったが、
その荷物に驚かされることになった。

「干将と莫邪。夫婦剣ってやつだ。本物じゃねえが、名のある刀工に打たせ、
由緒正しい家系の巫女の爪と髪も使用されてる。つまりは魔力を持っている。
こいつを握って戦えば、加護である程度筋力や耐久力も上昇する」

加賀喜留夫が差し出してきたのは、白と黒の双剣だった。
素人目から見ても分かる、見事な一対の剣だった。
螺鈿のような煌めきを放っており、刃は美しい銀色をしていた。

「それからこれ、魔眼殺しの眼鏡。非戦闘時にメデューサにかけさせてやってくれ。
こいつをつけていれば、メデューサの石化の魔眼も封じられる。
その布きれじゃ不便だろう」

渡された眼鏡は、どうも普通のものにしか見えなかったが、加賀喜留夫いわく
特別製らしい。隣のメイヴと名乗る女性が刺々しい目で加賀喜留夫を見ている
ところからして、貴重なものなのだろう。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

438 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:13:41 ID:PRimjMIw0

                  __、/イ≦ ̄ ̄<≪、、
               __.... イ⌒: : : : : : : : : : : : :⌒ミ=ー
                 ⌒>: : : : : : : : : : : }: : : : : : : : : : :`ヾ
              ノ: : : : /: :/:从: :ノイ: :.i : : : :.j: : : ヽ、
              /: : : :.从/!/ハ/__  ヽ八ヘ: /: : : :Y
                イ: : : : :j ヽ´ ̄ ̄¨`ヾ、、 jハイ:/リ
             У⌒Ⅵ    x===ュ、 `" =≠j/リ
             ヽ{て リ    , , , ,     xrv′       ありがとう、加賀さん。
                   iヘ、j               、, , j
                从У!       ___   "  ;         俺、今日から頑張るよ。
               Ⅵ 、    ヽ  _`ソ /
                ′ \       /           「頑張るって、何をだよ」
                /  :      、_     /
                  /   :      / ̄              まずは町内のパトロールでもしようと思うんだ。
    ____  -<`ヽ     :       ;
   .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',   :     /                 エネミーソナーで悪魔を探知できるんだろ?
  .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',   ヽ.   j\、、
  .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:_ .... .へ\ー 、:\ ノ   Y.> ..            それで人を襲ってる悪魔を見つけたら、戦う。
  .:.:.:.:.:.:.:.:..<´        ヽ\    へ j:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ.
                   ` 、ヽ     / ;ヘ:.:.:.:.:.:.:.:.:∧

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「ちょっと待て。俺は自衛用にそいつを持ってきたんだぞ?
それに、何もお前がそこまでする必要ねえだろうが。何の得もないだろ」

「損得の問題じゃない。誰かが殺されるかもしれなくて、俺が防げるなら、
防ぎたいんだ」

「要するに、市民を守りたいってのか?」

「まあ、そうだけど」

加賀喜留夫は怪訝そうな目をして、メイヴを見やった。
メイヴが首を振る。すると、加賀喜留夫も納得したように頷いた。
アイコンタクト一つでここまでコミュニケーションがとれるとは、
相当長い付き合いなのだろう。

「分かった。ただし、簡単な稽古をつけさせてもらう。
悪魔と対峙する際の心構え、予備知識、その他諸々だ」

「頼むよ」
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439 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:14:27 ID:PRimjMIw0

   |  {    |     ハ   '  乂込りイ、`ヽ
   |   '  |  ミ、 i   |ハ ゞ=彡ノ/z i
   |   ヽ .!   ハ:}|i: ! {  '  i  ゞ=ソ i:!
.i   |   ハ:{.  r=彡|{|ノi  |. | ヽ  八
:|   ! >ー从_}{ i ! |.川 i{ `ヽ |   !  ハ 、  ゙
   |{ / ーヽメ 八ハ!{ !ノj_z_j   |  .'{  ヽ
ハ  人ハr=ミ ハ ハ   ノ从 7Zマ.く_ ' | {八
  / }込八irくイ_ノ ノ    i.i゙;;;}j ' ハk , ! i  ヽ
 { :{ゞ=ミ_ノ/    ,  ゞー" / ノ/  |i ゝ          お互い、サマナーで苦労しそうね?
.八 ∧   '' j:i ''     ノ   "″,イ./{  八 `ー
.  ヽ∧   八{_ノ、_       ./rーミ八   `ー -
   \ヽ.      ̄ ´  イハ  }vー 、`ー -
 `ヽ  \>     . ィ´,⌒´     ノ `ヽ
ハ  \  ヽハ≧=彡} `ヽ      `ヽ ハ
  丶.  \   }、 { /           ノ   }
   \   ヽ ノ iト、∨           \  '





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             /:/:.:.:.:.:.:.:.:.ヽヽゝ /:.:.:.:.:::::::::::::::::/:::::{==ノ ::::::/       ええ、正直先が思いやられます。
               //::.:.:.:.:.:.:.:.::::::ヽ_,7:.:.:.:.:::::::::::::::/::::,、>‐、/ ::::::/
                /:′:.:.:.:.:.:.:.:::::::::://:.:.:::::::::::::::/ヽ''"     ∨:::,′
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             /:::::::.:.:.:.:.:.:.::::::;;;,く/:.:::::::::::::::::/    /´ ̄`)::::::;
            ./:::::::.:.:.:.:.:.::::::::/:.:.:.:j:.:.::::::::::::::/`ヽ、..._V  `ー ユ::l
           /::::.:.:.:.:.::::::::>く:.:.:.:.;':.::::::::::::::/r=ュー‐|     ユ::l
        />'"´ ̄ ̄   ヾ、i:::::::::::::::/{{::::::}}  |     l ハ'

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それから、加賀喜留夫に色々なことを教わった。
悪魔の性質や種類、交渉の仕方など、加賀喜留夫は丁寧に解説してくれた。

最後に一つ、念押しされたことがあった。
「悪魔も人間と同じだ。いい奴もいれば悪い奴もいる。だから、悪魔ってだけで
刃を向けることだけは絶対にするな」

それは分かっていた。少なくとも、メデューサに関しては、悪い悪魔とは
思えなかったからだ。

こうして、自分の学生とデビルサマナーの二重生活が始まった。
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440 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:14:42 ID:PRimjMIw0

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                               ・

441 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:17:56 ID:PRimjMIw0

                   .._
                  ,.-‐ ゝヽ'´- .._
               、.. -‐''   ,.‐-´`丶 "、
               >,.   (.,-'`-     丶、
              ヽー,.'   / / ̄_      ` .
              〉,/,    ゙'! i'´,..>___,.    丶.
               {,;'j ;.{ヾ,: `/´ ̄////,`ーi   丶.
               ` ゙'l;i`,////,..--' "" '‐ヽ...__ 丶          人に何かを教えるのは苦手なもんでな……
                   </,'/ ̄\////∧///////,ヾヽ丶
              ,.-‐''"´   ヽ. \'///∧////////゙/ヽ ヽ        実戦形式でいいなら教えるぜ。
             /         ゙ . ヽ////////////i//,'i ;
               / ゙.           ゙   ∨//,'i///////l//,'レ
          _/.   ゙.   ::      ゙  ∨/,'|//////,'!//,_!
           { ̄     ゙.   :       ゙.   V/,l//////,'!‐'"
         / \       ゙.  :       ゙   V,!//////,'
       / 、   ヽ.     ゙   !     、  ゙   V//////
     / .  丶、 丶   ゙  l     ヽ.   ゙   V///,/
    ,'l i      \  \  ゙ l      ゙   ゙   V///
.     i l !  i    、丶  ヽ : ゙ !       ゙   ゙.   V,/
    ! l.!  i!     ヽ \. 、! ;!  ヽ      ヽ  ゙.   Y
.   l l.!  !     ゙. ヽ`ヾ:' ゙_ ヾ     、.ヽ ゙.  }`ヽ
.    i.l.!. '⌒゙. ..._-‐'',゙- ゙r  ト..._  \     `丶 ゙  ;'.\|
   l.;' _! ゙.  _..Y´_ヽ. (ノ;. !.._`.._`ー――‐--__-‐/ ヽ i
    |;.r'  ヽィ´,......._ ヽ、 l l..._ー -―――-_..}.、 ヽ l
   !、゙ー ._゙/ '゙, - ) }゙ .|. !ー-------------―一{ヾ、 ゙ l;
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           i l ` "´,. .!| |l ゙.ヽ    ,..'  //   .l,'i. .ヽ.  、
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昼間はいつも通り学校で授業を受け、夕方になると加賀喜留夫に稽古を
つけてもらっていた。

加賀喜留夫の召喚した悪魔、ヨシツネの稽古が一番実りがあった。
源平合戦の源義経と同じ名前のこの悪魔は、「宮本武蔵は俺よりだいぶ後の
時代の人間なんだがな」といいつつ、竹刀で二刀流をやってくれた。
本来、剣道での二刀流というのは、左に短めの竹刀を、右に普通の竹刀を
持つものだが、今回は置いておくとしよう。

ヨシツネがやってみせたのは、右の太刀を後ろに、左の小太刀を
前に構える形だった。

打ち合いにおいては、左の小太刀で受け、流し、払い、右の太刀で
胴や面を狙ってくるスタイルだった。

いわば左はジャブのようなもので、左の太刀で隙を作りつつ、右の太刀で
一本を取りに来る形だった。一本、と言いはしたものの、実際は脇腹やら
目やら脳天やらへの打突や薙ぎが多く、何度か冷汗をかかされた。

「二刀の利点っていうのは、現代の戯画みたいな連続した打ち込みじゃなく、
二刀あるからこその防御の仕方にあると俺は思ってる。でも、お前には
向いてなさそうだな」

ヨシツネはしばらく打ち合いを続けたあと、こう言った。

「まあ、好きにやってみろ。所詮俺も我流だしな。そこの旦那の格闘術やら
短刀やらだって我流だ。結局、自分に合ったやり方が一番ってこった。
無理に俺のやり方に合わせる必要なんざどこにもねえよ」
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442 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:18:16 ID:PRimjMIw0

                                  ___ト ., ト、
                                   __,.>::::::::::::::::::::::⌒ア
                                    >:::::::::::::::::::::::::::::::::::≧
      ト、                           <::::::::::::::ハ:::::::\:::::::::::::::\
      | \                        厶ィ:::|:::\:|> ^ ∨:::::::::从
      l.   \                       |:::::|\l_/仗ア  V⌒Y {ヽ          思ってたより軽いな……
      |    ∧                          }'^仍       (ノ/リ`
      l  i|   l                           ∧` __   ,'´ マ{           「ちげえよ、お前の筋力が強化されてんだ」
.       i  ∧ ∧                         ヽ`ー ´  イ :! ∨   _,. - ミ
.      ∨ ∧ ∧                       ハ_,. <:::/ |  〉7¨ !////ム
       ∨ ∧ ∧             ト、           ∧/  ,:  //  .|//////\
.        ∨ ∧ ∧             マ:iト .,       ,.イ./ハ / .//   |////////,> 、
         ∨ ∧ ∧            マXX≧s。.,_ r ´ 〈〈-、 /´ /     |////////////iト .,
.          ∨ ∧\ヘ、               マXXXXXXム   \__,/        マ////////\////` 、
             寸 ヘ \ヽ              寸XXXXXX,\           ` ̄` <////マ/////,> .,_
                寸 V⌒ム             寸XXXXXX \             |  ` </v/> ´///
              寸乂ン{<_          , \XXXXXXX` 、              |      .〈////////
              V_彡'く へ マ≧=-  _   ////` マXXXXXXXiト         l      .l////////
               ゝ L/ヽ  }///////////\///////` <XXXXXX> .,_     |       l////////

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実際にあの双剣を握って、ヨシツネと真剣で打ち合いもした。
ヨシツネの剣術は、はっきり言って滅茶苦茶だった。
柄で突く、服を掴む、刀を投げるなどやりたい放題だった。

対して、自分はとにかくがむしゃらに両腕を振り回すだけだった。
剣道の経験はないわけではないので、そこそこは扱えると思っていたのだが、
甘かった。

加賀喜留夫にも相手してもらったのだが、ヨシツネと同じくらい滅茶苦茶だった。
「普段だと砂蹴り上げたり唾吐いたり石投げたりするけれどね。
石は石でもメギドの石だけど」
メイヴがぽつりと漏らす。自分が想像していたより、ずっとサマナーというのは
ダーティーなものらしい。自分にはとても真似できそうにない。

それからというもの、加賀喜留夫は度々夜中に我が家を訪れた。
「昼間に来たら、ほら、色々と迷惑だろ?」加賀喜留夫は申し訳なさそうに、
そう言った。確かに、桜に見られたら色々と怪しまれるだろう。

加賀喜留夫は家に来るたび、武器や道具、他にも何かと役に立つであろう
と見繕ってきたものを持ってきてくれた。

掌に収まるほどの小さな拳銃や、払魔の札などを、全部ただで貰ってしまった。
もちろん、ありがたくいただいた。これから自分がやることは命がけの行為なのだ。
貰い物だろうと、使えるものは全て使うつもりでいかねば。
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443 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:19:22 ID:PRimjMIw0

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444 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:21:18 ID:PRimjMIw0

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ゞ´ハ{r'ヤ気ミヘ, ,r炒 ニニニ≧=-======- _
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\  > ( __ _ソ ,ィニニニニニニニニニニニニ<ニニニニニニニニニヘ
ニ∧    > --´ ゞ、ニニニニニニニニニニ=ニニニニニニニ/ニニミ=、_ _r'ZZ7
ニニニヽ`ー  ´ ,// `Y´ ̄ ̄ ̄ ̄´ Ⅵニニニニニ | /` Y :: :. ヽ////
ニ/"ヽニ\_ _  /ニ/  ノ             //丶ニレ   ::. : :. |''"´
/   丶ニニ`ニニ/  /           xf√レ (:::ヽ ヘ   i | _j,,ィ
       ̄`¨´   /        _ィ>''"´弋,, )_ノ//} __j-´"
             ∠___ -‐≦二マ_ _-=≦////>、__ノ
_____ -=≦二ニ////////////////////> ''"´
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それからは、戦いが続く日々を過ごした。
夜の街を歩き、エネミーソナーを頼りに悪魔を見つけ、人を襲っていれば
これを斃す。これを何度も、何度も、何度も、何度も繰り返した。
気が遠くなりそうな戦いだったが、それでも付き合ってくれたメデューサには
感謝しかなかった。

だが、その日々も長くは続かなかった。

毎日、夜に出歩いていることが桜に気づかれたのだ。
それ以来、桜は必死に自分に夜出歩くことをやめるよう何度も懇願してきた。
自分の目から、ただならぬことをしていると気取ったのかもしれない。
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445 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:21:40 ID:PRimjMIw0


      |i!i!i!:;:;:!i!i!:;:;:;.: i!i!::圭::::::/
       |::::::::::::;!i!i!i!::::::圭圭_/
      └┌――#彳 ̄ ゝ
       /  ̄ };;;i!i!i!{ ̄ ̄,
        /i!i!    | }i!{    |
      { .:i!i!;':  ト }i!{     |
      人 i!    | `ヽ}i!{   |
     }i!i!ヽi    |  ',/ i!  |
     /}i!!{   >,,.ハ  i }i! | |
    i i!i! /  ヽ  レ !i! / !
    /´´i!i/   { /  i!i!/ )
   i  iノ    /i´゙   /   /
  丶ー′,: ''"゙´}i!{ /  / ,'
        (...,,,_...-'"i!i!!  / ,′
       _...- '"´ i!i!_....ノ ,'
    l´  }i!{...-イ}i!{    /
   ∨''"゙/  / }i!{ /
      !/"~  }i!!{/
      (_...,,'-"ν  
               
          λ
          (i!!)

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ある日、手傷を負って帰ってくると、門扉のところで桜が待っていた。
メデューサは回復手段を持たないため、仕方なく血を垂らしながら
家まで戻ってくると、涙ながらに桜が抱き着いてきた。

「どうして……どうしてそんなにぼろぼろになって……一体何をしているんですか?
何が先輩をそこまでさせるんですか?」

何も返せなかった。
ただ、自分は、こうしなければならないのだとしか言葉が思いつかなかった。

あの日生き残った時から、衛宮士郎の心は未だに、あの炎の海の中にあった。
衛宮士郎は過去に生きており、現在を生きていなかった。
その心の中にあるのはただ一つの言葉。

許してくれ。
皆を差し置いて生き残った自分を許してくれ。
皆を助けられなかった自分を許してくれ。
せめて、贖いの道を往くことを許してくれ。
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446 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:25:18 ID:PRimjMIw0

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              /: : : : `´: : : `ヽ
             /: : : : : : : : : : : : : : : ,
            ': : : : : : : ヽ〃: : : : : : :',
           ,: : : : : : r- 、: :>、: : : : : i:,
          ,: : : : : : / てゞっ  ,: : : : :l: ,
             .: : !: : : :,  <斗ヘ ',: : : : l: : ,
            . : : |: : : ,ニニ.=.ニニi : : : :!: : ,
         ' : : :|: : : !ニニ===ニニl : : : l : : ,        …………。
            ': : .:.:!: : ::トー'´ ̄i`ゝー彳 : ,;: : : ,
          ,: : .:.:.|: : :l.ヽ  _ _  イ:.!: : ,::,: : : ,
        ,: : .:.:.:.l: : l:.:r{≧、 _ イ-、:.i: : i::::,: : : ,
        , : :.:.:.:.:.l: : l>ミ三三≧シ、l: : !::::,: : : ,
         />― ´i: : !   、       !: :!≧‐- 。
      〃       l: :lー‐- ∨ /,  -‐!: !     `ヽ
      i   、   l: l    `  ′  l: l       i
      ,.!   ヽ/  !:l   ヽ  〃   ',:! ヽ /   l
    /: !     /> t:i ̄ ` ヽ∨-=≦ ̄li`ヽム.     l',
   ./: : l___./ >‐.!l‐= <_   _>≦三!≧、 i__i: ,
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そのためなら何でもしよう。
自分に払える対価なら如何なる犠牲も厭わない。

そう思っていた。
そう思って、生きてきた。

その日が、来るまでは。
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447 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:25:44 ID:PRimjMIw0

'''-、゙゙ア'"             {,゙二、,,-、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;r‐┘ : :lニ;;.    
  ...l′   :l";二゙''''┐       ,l´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ-'''''-、           ['l、
._...   _.  ´ ,〉;;;;;;゙'ー、,  . _,._..ミ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;7            `゙"
;;;l゙   .ヽ;; ̄ ̄;;;;;;;;;;;;;;;;;.!  .l、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.!                     _,,
.、!、   .,i┘;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ^'''"   ,|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,..;>ー'゙゙゙゙゙ヽ             ゙‐' |.l
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それから二日経った日、いつものように悪魔を斃し、家に戻ってくると、
家の戸が開き放たれていた。

桜が閉め忘れたのかと思ったが、すぐにそうではないと分かった。
廊下に点々と続く血の跡。それが何が起きたかを如実に表していた。

急いで血の跡を辿り居間まで行くと、倒れ伏す桜と、見知らぬ男がいた。
男は拳銃を握りしめ、こちらを振り返るや否や銃口を向けてきた。

「てめえか! 人の獲物を食い荒らしてる新人っていうのは!
てめえのせいで商売あがったりだ!」

怒鳴り散らす男の声など耳に入ってこなかった。
血の池の中で倒れている桜の姿だけが、目を通して脳に焼き付いていた。
瞬間、自分の腹の奥に熱いものを感じた。

剣を抜き、男に斬りかかる。
だが、刃が届く寸前に、男の仲魔と思しき悪魔が自分を吹き飛ばした。
燃えるような橙色をした、双頭の獣だった。
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448 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:30:48 ID:PRimjMIw0

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すかさずメデューサが自分の背後から躍り出て、魔獣に回し蹴りを入れる。
魔獣が吹き飛び、壁に叩き付けられるが、すぐさま起き上がり、
口から炎を漏らしながらメデューサへと飛びかかった。

メデューサが相手の仲魔を抑えている今が好機だと、頭で理解する前に
体が動いていた。

男が引き金を引き、銃弾が自分の脇腹を抉る。
だが、溢れ出る怒りと興奮によるおかげか、大して痛みは感じなかった。
焼き鏝を押し付けられているような感覚に襲われるが、怯まず、剣を振り下ろす。
自分の袈裟斬りは敵の肩口を捉え、そのまま真っ二つにした。
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449 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:31:55 ID:PRimjMIw0

  /-..,_       `'ヽ;;|'\;;;;;;|`''-,!''\_\::::`':....    \.:       `--'"             /   /          ,.-'/
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 '.,! /''" ,,.レ''''"     'L_:'_.'....           \       :::',    .!           |         /     /|
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「桜!」

剣を投げ捨て、桜へと駆け寄る。
抱き寄せると、桜は息も絶え絶えに、自分の顔を見つめてきた。
「先輩……」

自分を認識すると、桜は小さく微笑み、「よかった、怪我、ないですね」と零した。

「馬鹿、自分のことを心配しろ! 待ってろ、今、止血を……」

正直、桜は血まみれで服もずたずたになっており、どこが負傷しているのか
分からなかった。

恥ずかしがっている場合でもなく、乱暴に服をめくると、自分の血の気が引いて
いくのが分かった。

左胸の辺りに、ぽっかりと穴が開いていた。

「桜……嘘だろ……?」

桜が。桜が死ぬ。そう考えた時、世界が色を失った。
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450 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:35:37 ID:PRimjMIw0

三三三三三 _____.|┃┃
三三三三 /.  ::::::::::::|┃┃
三三三../     :::::::::::|┃┃
三三 /   (●) ::(●)|┃┃
.三三|.  (トェェェェェェェェイ|┃┃
三三 \ . \ェェェェェ/|┃┃       おい、戸が開いてたぞ……
三三 /       :::::::::::::.|┃┃
三三 / i    :::::::(.二つ┃       っと、非常事態みてえだな。
三三{ ミi    ::::::::::.二⊃┃
三三l ミii   ::::::::::::ト、二)┃
三三| ミソ     . :::::::.`ト-'. ┃

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気が付くと、加賀喜留夫が後ろに立っていた。

加賀喜留夫は桜を見ると、「ちょっと待ってろ」と桜の前で屈み、
鞄からお香らしきものを取り出した。

「おい、あんた! ふざけんなよ! 桜がもうだめだって言いたいのか!」

「落ち着け、黙って見てろ」

呑気にお香を焚きながら、呪文を唱える加賀喜留夫の後ろで、
自分は怒りと絶望感に打ち震えていた。

桜が死んでしまった。
自分の責任だ。自分が夜中に出歩きなどしていなければ、桜もこうして
夜に家に来ることもなかっただろう。
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451 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:37:35 ID:PRimjMIw0

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             /: : : : フ''‐-;,;,__;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;`;,;,;,;,;.:.:,;,;,;,;,;,;,;,:.:.:.:.:,;,;,;,;,;,;,;,;ri;,;,;!
              / : : /     ;  ̄¨'''フ--;,;,;,__;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;/ !;,;l       桜っ……!
          ,r‐'´: /      ; ,r''''´    _,,/  ̄¨¨;'''‐--;,;,__;,;,/   !,;;!
     ___,, -‐'''''’;, ;,;,/         /     /        ',     ' ,     レ′
-‐'''¨¨:.:`、: : : : : : : : l         ,r''′   /     ;          ' , /
_;,;.:-:.:'':.¨:`、: : : : : : :l      ./     /      ;            /
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顎が濡れている。指で触れると、血がついていた。唇を噛み切ったらしい。
脇腹を撃たれたこともすっかり忘れていた。最早自分の痛みなどどうでもよかった。

桜、桜が、自分のせいで。

その事実だけが重くのしかかり、心に罅を入れていく。
瞼を閉じ、ひざを折り、意識を手放そうとする。

そこに、誰かが抱き着いてきた。
「先輩っ」

耳元で囁かれ、目を見開く。
そこには血まみれではあるものの、生気を取り戻した桜がいた。
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452 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:37:50 ID:PRimjMIw0

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                                   □

                               ・

453 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:38:04 ID:PRimjMIw0

           ____
         /     \
       /         \       ……あのよ、お前、何がしたかったんだ?
      / (●) (●)    \
      | (トェェェェェェェェイ)    |     「俺は……正義の味方に……」
      \ \ェェェェェ/   /
 ⊂ ヽ∩  >          \      たった一人守れないで、何が正義だよ。
  '、_ \|               |
     \ \      /  /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
桜を客間で寝かしつけた後で、庭で加賀喜留夫と二人で話した。

「あのな、正義っていうのは主張するもんじゃなくて行動に宿るもんだ。
今までのお前の行動を正しいと思ってくれる人が何人いると思う?」

「……それでも、俺は。俺は正義の味方になりたかった。
誰かを助けられた時だけ、少しだけ楽になれた。
誰かの役に立てている時だけ、生きることを許されている気がした」

「そうか。お前は、救われたかったんだな」

救われたかった。そうかもしれない。
結局、自分は偽善者だったわけだ。誰かのためと言い張り、自分の存在を
肯定するためだけに動いていた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

454 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:48:02 ID:PRimjMIw0

             ____
           /      \
          /         \
        /   (●) (●)  \      でも、それはこれまでの話だろ?
        |   (トェェェェェェェェイ)   |
        \  \ェェェェェ/   /      今はどうなんだ? 今のお前は、どうしたい?
 r、     r、/          ヘ
 ヽヾ 三 |:l1             ヽ
  \>ヽ/ |` }            | |
   ヘ lノ `'ソ             | |
    /´  /             |. |
    \. ィ                |  |

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「あのな、お前は人間を買い被りすぎなんだよ。人が一生の内に守れる人間の
数なんて、精々数人程度だ。家族だったり、恋人だったりな。
でもな、それでいいんだよ。たった数人でいいんだ。人の生涯なんてそんなもんだ。
市民を、人類を、世界を、なんてのはな、人間のやることじゃねえ。
神様のやることなんだよ」

「俺は……」

「俺にも守るべきものがある。生きる意味がある。お前はどうだ?
お前はこれからも、顔も知らない誰かの赦しを得るために生きるのか?」
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455 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:52:48 ID:PRimjMIw0

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456 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:58:33 ID:PRimjMIw0

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             八:.:.:、人:.:.:.、,斗=ミ:.:.:.\   `~゙´    _/_     `、/
           (  \:.:\\《 う )`¨¨⌒       / ⌒¨\\  ,.イ          先輩、学校、行きましょう?
             |:.`¨⌒:.八 `´  、        /  i{   \Υ:.:|
             |:.:.:|:.:.:.:.|:.:.:ヽ           /     i{     | |.:.:.|
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             八:.:ト、:.:.从人:〈==/         /_彡′ `~"''〜、..,,,_        ,′
                  Ⅴ 冫 //=`/         /...__            ゙゙̄''   /
                   〈//=//         /    ̄ ‐-   ̄ ̄``ヽ、  /
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あれから、COMPを持って夜の街を練り歩くことはしていなかった。
積極的に人を襲う悪魔がいれば、政府からサマナーに討伐依頼が出される。
基本的にそのサマナーたちに任せておけばいいと、加賀喜留夫は言っていた。

自分に何ができるのか、何がしたいのか、今一度よく考えてみた結果、
自分はCOMPを手放すことにした。

今は、これまでどおりの日常を過ごしている。
桜と一緒にいること。それが、桜を守ることに繋がると信じて。
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457 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:58:47 ID:PRimjMIw0

           ___ _ゝ==ヘ、  ___
           >.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`´.:.:<.
         < ̄:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.
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        ̄/:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|′
         !/!:.:!:.:/ハ:.|:.ト、:.ト、:.|ヾ|ヘ!ヽ!:.:.:.:ヾ!
         ∨レヘL_」ヘ!ヾ}、,りrt≦二リr‐:.!          ……ああ、行こう、桜。
            rラ __     r==、 レゝ }}
            !ヘ'" ̄`          ソノ
           ヾヘ  ′___    /リ
               \ ` ー ´  /  |
               \__ / /  |
             「::::||::|  「| ̄ ̄ ̄ ̄|
           __,,、r┤:::||┘ |:|_:_:::::::::::::¬ ̄`ー...、,,_
     rー..'':::"´:::::::::\::::|| 、 _|:|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`::ーr、
      i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::||   |:|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::i
    i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::||ヘノ;;|:|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::ト、
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誰かを守ることができたのなら、その誰かが、桜であってほしい。
そうだ。

自分は、桜だけの正義の味方になるのだ。
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458 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 22:59:54 ID:PRimjMIw0

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  /      , '´:`.、-‐'
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 f":::::::::::::: ̄`ヾ、:,;/,!
 i::::::::::::::::::::::::::::::::i ̄
 ヽ,;__'、;;;;;;;;;;;____;イ
.  `ー'    `ー'
                〜また次回〜

459名無し-Red-市民-2:2018/05/08(火) 23:01:46 ID:DlhT38360

破綻度が原作より低い士郎がちゃんと諭してくれる人に出会ったらこうなる的な話やね

460 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/08(火) 23:03:11 ID:PRimjMIw0
>>459
そら(魔術もこの世界にはなけりゃ切嗣と過ごした時間も短く影響も少なけりゃ)そうよ

461名無し-Red-市民-2:2018/05/09(水) 09:30:52 ID:k7UoDJyk0


462名無し-Red-市民-2:2018/05/09(水) 14:32:38 ID:JoV7eCk.0
おつおつ
くろまくはさく(ry

463<ZAP!!>:<ZAP!!>
<ZAP!!>

464 ◆x0SRSoJXe.:2018/05/20(日) 00:53:11 ID:H2vBAMwI0
初夏の日差しの中いかがお過ごしかな、次のお話を執筆中の>>1だよ。

最近シリアスめの話が多かったからね、次は少し甘めの話にしようと思う。

前作では甘酸っぱい話をやったから今作では内縁の妻みたいになってるが、チミたちはどちらがお好みかな?

465名無し-Red-市民-2:2018/05/20(日) 09:56:03 ID:5C3G4jp60
今回はミルクチョコレート並に甘々になるのかな?

466名無し-Red-市民-2:2018/05/20(日) 15:34:16 ID:z0fKX0UA0
ぼくは内縁の妻!でも正妻枠に入りそうではいらないゲストヒロインとかも好き

467 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/05(火) 21:44:23 ID:VenB35AM0
ハロー。書き上がったよ。五月八日の午後九時から投下だ。

468 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/05(火) 21:44:50 ID:VenB35AM0
過去にタイムリープしてどうするんだ。六月八日ね。

469名無し-Red-市民-2:2018/06/05(火) 22:04:02 ID:m6ZieVIc0
わーい

470名無し-Red-市民-2:2018/06/06(水) 12:45:17 ID:70lb68wo0
やったぜ!

471 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:01:49 ID:nf8qDyXc0

    /||ミ
   / ::::||
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 |:::::::::::::::||  、 - ‐‐ -,
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 |:::::::::::::::|゙i : : : :○ ○゙i
 |:::::::::::::::|}: : : : : : : _ _ _l      ハロー。
 |:::::::::::::::||: : : :-=´_ _,´
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 |::::::::::::::(_____ノ´||
 |::::::::::::::(_ノ / . . . ||
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 \:::::::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
   \ ::::||
    \||

472 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:08:22 ID:nf8qDyXc0


         ,- ‐‐ - 、
       r‐イ: : : : : : : : :`,
      i /○ ○: : : : /   /` 、
       i_ _ _ : : : : : : :{    / : : /
       `,_ _`=-: : : :|   ノ : : /       久しぶりだねチミたち、元気だったかい?
       i: : : : :_: : : : :'y´ : : : /
       `-‐、´: : : : : : : : : /        >>1はね……なんだかとってもデッドリイ。要するに死にそう。
            ノ : : : : : : : : i´ 
          / : : : : : : : : : :|          でもまあ、人生はネバーギブアップだよね。
           i: : : : : : : : : : : !
.          (`ー‐-  -‐ _}





                  . . .-─‐-. ミ
                     |: : : : : : : : : : `: ..
                     |: : : : : : : : : : : : /
                    }Ο : : : ◯: : : :,′
                   : : : : : : : : : : : :i
                      { -===- 、: : :. :.|       というわけで始めていこうか。
                    〉: : : : : : : : : :ノ
                  i: :`ニニニ´: : : : ‘,       今回は日常回だね。
                 __/ : : : : : : : : : : : : i
      ___        /.: : : : : : : : : : :‘,.:.三|
     / :::: ヽ: : : :‐--∧_: : : : : : : : : : :./:|: : : |
     .′ :::::::‘: : : : : : }/∧ア´二二ヽ:/ | : : ‘,
.    ‘::::::::::::::ノ: : : : : :ハ \{/: : : :/⌒゙ヽ : : :‘
.       ゝ-=彡-──<¨¨゚‘; .: : :./:::::::::::::::} : :. :.|
                 \: :′:::::::::::/______」
                     弋:::::: /
                       `¨´

473 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:11:46 ID:nf8qDyXc0

┌──────────────┐
│                   .....│
│   第九話『女王の休日2』   ..│
│                   .....│
└──────────────┘

474 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:12:09 ID:nf8qDyXc0

        ____
      /    \
     /       \
   /          \
    |  (●)  (●)     |      ハァ〜ア、覇権が遠のくわ……
   \ (トェェェェェェェェイ) /
      >      <
    /      /  /、
   / ー-、 , -―‐´ ./ ヘ
   { __ ノ.乂_ _  /   ハ
    /  /    ヽ、   i
.   /  /   /、     ノ
   ゞ_/、__./ ー―‐ '

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
ある平日の午後。
喜留夫は気落ちしていた。これ以上なく気落ちしていた。
というより、拗ねていた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

475 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:14:05 ID:nf8qDyXc0

              _ , - - ― ´  ̄  ` - 、_
       _ _ γて_,、//       ― 、―yミXヽ_=r= 、
      //| Kr-、|ヾ、           >ロ><ァトミヽ
       / Xヾ彡 //     |    ヽ ヾ|\テソノヘヽ`、
       | | |ト`´ノ/  |..|   .|   |  |  ゛ て‐<ゝ` |
       | | |`、/ | / | |  .ハ|  ヾ  |   ヽ |ヽ ||(`  |
        | | /ヘ/ | /  .| |  | |ヽ  `、_._|_  | li `、\|| |
       / | .ハ .| |  |大-.| | .|、  .|ハ | |  | | |  || |       ねえ、いい加減機嫌治したら?
      ,/ ///  || | ノレハ,、|、\\ハi_, =-、 | | .| |  | |
     / / /イ  | | .| Kr/マア冫 ` `´イ::..::ハ | | |  | .|       そんなに気に入らなかったの?
    / // / | | | ヘ Y`.ヾ斗ソ     弋;;ソ / .| .|  ヽ .|
  / / / /  | | |  ヾ|ト, ゛´゜       ノイ |  |   | .|
 / / //イ .| | |  ヽ) >    _ _ U ノ彡/  /    `、ヽ
../  / /  |  | | | |  |ノ i |>、   ` ´  /イ / ./ /     `、\
/  / イ  / |  | | | |l  y | | r-ノ> - <  |/ / /        ヾ`
|  |  |l ..  || |  | | /| .| | \>_)(⌒)(\ノ/ / /`、,_ /`´ |_ ヾ \
|  |  || |  |ヾ   X .| .| |_ , )、ソ (  ) ( / /テアノ ̄r/./ ヽノ   `、

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遡ること五時間前。
喜留夫はメシア教の依頼を受け、人間界に顕現した魔王とその配下を
討伐しに向かっていた。もちろん、単独ではない。そこには宿敵とも呼べる男がいた。
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476 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:14:20 ID:nf8qDyXc0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘

                               ┌┐
                               └┘

                                   □

                               ・

477 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:15:00 ID:nf8qDyXc0

                    /| ,//
                 |ヽ、/:::::::::   ̄ ̄フ 、_
               \-ゝ /::::::::::^~|::::::::::::::::<、
              ∠ ̄::/       7::::::::::::::::<
             /::/:::::::::::::::::::::::::::::/,      ヽ、
             フ::::::::::::::::::::::::::::::::::::| ヽD_:::::::......::ヽ
            〃/::::::::::::::::::/l〃::::/|斗< |::,、::::::::::::ミ
             / /::::::::::::::-テ=t| /  (:;::)/l/ヽへ、::|
            〃|::::::::::/、(::ツ レl    〃  ||> } |r        今回、我々に課された任務は魔王ベリアルとその配下の討伐だ。
            / /|:「|「l〃  ヽ         / !|
              l∧ ヽ、   _ _     メr==-、         現在、標的は三津井歴史美術館に陣取っている。
                 ,- 、ヽ ´ ー `    冫::::/ /i
                /:::ヽ ̄ヽ、   , イ |:::<  \         市民は既に避難済みだ。何か質問は?
                /:::::/:::::::::::|`─ ´/ ソ:::::::ヽ /────
                /:::::::ヽ::::, へ──<^\_∨ ̄ ̄/    ヽ、
           ,──//_ ̄イ     /__  ヽ ヽ 、 l       ヽ
          /─、   イ          r.....:::/   ><       |
         ┌┘:: イ           ::::|::::::::|ヽ、/.......





         ____
        /      \
      /         \       なんで葛葉がメシア教なんかの使い走りやってんだ?
    /   (●) (●)  \l⌒l
    |   (トェェェェェェェェイ)   | .|   「作戦に関係ない質問は控えろ」
    \  \ェェェェェ/   //

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指定された駐車場のトラックの荷台に乗り込むと、
既に数人のサマナーが集まっていた。見知らぬ顔が二人と、見知った顔が二人。
一人はメシア教最強のサマナーと名高いニコラス・D・ウルフウッド。
そしてもう一人は、いつか完膚なきまでに打ちのめされた葛葉雷堂がいた。

葛葉の名前を持つサマナーは皆、葛葉宗家の下に集った由緒正しき
市民を守り国家に仇成す者を討つサマナー集団として知られていた。

過去形なのは、既にそれらが全滅していたはずだからだ。
十年前のガイア教のテロ以降、葛葉一族は一切の活動を停止していた。
実際、当時名のあるサマナーであった十九代目葛葉猊林の死体も確認されている。

その際、十五代目葛葉雷堂も一般人を庇って重傷を負ったという話もあった。
この男は、その十五代目から襲名したということになるのだが、それにしても
不可解な点が多い。まず、この男の強さからして、これまで多くの悪魔を討って
きたことは明らかだろう。なのに、それらは葛葉の仕業とは語られていない。

そして何よりも、葛葉のサマナーがメシアサマナーのように振る舞っているのか、
これが分からなかった。
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478 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:15:24 ID:nf8qDyXc0

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.  /:.;.7イ:.:.: /:.:.:.:.:.:.:,.':.:.: /:.:.:.:.:;':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.|:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ハ:.:.ハ `ー'
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      .V从::!:./>∧ '' ''     i:::',           从{
.          |;'.   ∧       ヽ:i  _        //  
             ∧        `        .v' /|ュ、
               >、      ィニ==    /У ! ヽ
             /{::::: >.    ー-    ., ' , イ /∧
             /  \   >.       /イ   /  ',





        ,.'/___
      _ .{i'"州州州州≧ ー 、
     ,:州州州州州州州州州州≧、
.    ,州州州州州州州州州州州州i≧、
.    .i州州州州州州州州州州州州州ili≧、
    ,州州州州州州州州州州州州州州州il
.   i州州州州州州州州州州州州州州州il!
   V州州州州州州州州州州'州i'州'州!i!l}
    l州州州州州/ヾi州州州リ,/レ' l/¬,┐リ.         まあ落ち着けや、喜留夫。
.    州州州州州/ヽ V州州lil==il//l/,l.'ヽ __
    V州州州州、ヽゝ!州l l!!'   !|//ヾl.l i,' /       こいつにも色々事情があんねん。
     V州州州州ヽ 〈 V l!       `´ ゙、!/ /
.     V州州州州! ー            , ' / .,イ        そろそろ行くで? これ以上美術館を火の海にしても
    ,-、彡州州州i! ヽ     ,.- 、  =/ ./==
   ,   ̄ ―-lリ._l!.   、   丶. 丶. i./  .{   !       おられんしな。
. ,.‐-'__       ‐ .._ > .  ヽ  丶.   、 .}
. !三三三三ニニ=- .._   `  _>_i      ;  ,'.!
/三三三三三三二二二ニ=‐- ._  ` ‐ 、  ゙   ,' !
二二二二二三三三三三二二二=- .._ \    /
二二二二二二二二二二二二二二二ニ=-ヽ_  {
二二二二二二二二二二二二二二二二二ニニヽ、

479 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:17:22 ID:nf8qDyXc0

               ‐     ̄ ̄       、
             '            __
          /        -==ニニニ==-        \
         ,:        /: : : : :、 : : : : : : : : _: :\      丶
           i    、-‐=' : : : : : : : \: : : : : : : : : ‐:f、     \
          、  厶: : : : : : 、:: : : : ::\`‐====:_:_:_:_:≧=--   :)
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             i: i}: :个、 : : : : :.、ヽ/__ィfi: : : :}_ : ::.i_彡'
             i: i}: : i.__才㍉:: : :.、 弋zリi: : : : i l: : : ::.
             i: i}: ::ム __ \ rf´ ̄ i: : : : {丿 : : : :.
             i: i}: ::圦_弋ッ`ー'、 __ ィi: : : : |: : : : : : ::.           …………。
           ノイ: : : : :`ー ' i:.   , |: :_:_::l : : : : : : : :.
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              /: : : : : i: : : : :≧=-   イ: :i    _ヽ: : : :::.
           ': : ::.ィ: : | : : :人  マ_「i|/:::_ノ ''"´     、 : ::.
          ,': :/个才''" 、 ヽ 寸}: : i            ` : : ::.
             '.:,   i《/  、 ヽ 、`¨_,: :/             : : : :
          l:'   ム:.i ー 、   、ツ='/i/::/           }: : : :
          il   ,: :}:.i:.:.i:.:`ー'.:-、/i/::/               i: : : :
          l   ' : i.:{:.:.i:.:/ _iY: :/              : : ,'
          ::、 ,': :ハ}: 少'_,ィ劣才: :'              ∨





:: : : :l:: : . |!    l    l |   l i      |  l |  l}
`丶、:!:: : .l|    l|   :l |!   l| l      |  |.| l|
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」!  l: i:: . l:!   i |  ,: l!  l! l |   .i  |  | /  |!
   i:: i::_:_l廴丿l| -- l 、l_l! l l .  |. i |  /   .リ
i  l, ィl: : |:l   l !  l l| l li T ト、 .|  |.|. /!  /
  {」:: .i: l:l.  i l  l i ! ! l|| ! l .| ! .|.|/ |  / /
| |::.`ト、:l:|:i l l /イ工三厶./ // j |.|! |   /
| l:z: ',: ヽl l:!   ′, イ:::;::-::; iヽy イ | .|  |  ./
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/ /彡':j/:: .         ̄ `` ¨  .イ | l  j / |
! {:: ィ:´: :: : :. _            /l | /     j/  l|
 !:: :: : : . :: .          ハj |   l /   i
./:: :: : : __ _ _        // /   l /'   /
l|:: :: :: : .` ー ´       イ { /    j/   /
li:: :: : : : ..         , ' - 、  / i' l   i
!l>-::、:: : .       ,<⌒`''‐"フ// l /     ヽ
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l !:: :ト、/⌒:.x:'´/´ ̄   イ"   i|    li     l
ヽ |:: :: : . 「_}       |    li    lヽ     l
 i l:: : : : :i′ '       '\   i     i|   丶
、ヽ!:: . .  `゙}         `''‐-=、,,,,,,_! i
 ヽ|:: : .  }
   ';:. . . ノヽ

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この二人はというと、前回以上に険悪な雰囲気だった。
確か、スカアハは影の国の女王であり、半神の英雄クーフーリンの師匠だ。
対するメイヴはクーフーリンに自軍を長年苦しめられ、彼を憎むようになり、
最終的にはクーフーリンを死に至らしめた。

つまり、メイヴにとってスカアハは自分の名誉を傷つけた男の師匠であるわけである。

対するスカアハにとっても、メイヴは愛弟子にして愛した男の仇というわけだ。

険悪にならないはずもなし、喜留夫は胃を絞られる思いだった。
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480 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:17:41 ID:nf8qDyXc0

                             ___
                             ‐=ォ}::ヾ从
                         _.-==、.::::::::::::::::ヘ__
                             ////////ヽ__:::::::::/         _
                        ∧'//////////\  `ヽ        /∨ ∧
                         ∧'/////////////丶 /        /  ∨ ∧
                          {゙////////////////,ア、        '    ∨ ∧
                           ,圦/////////////////∧      /     ∨ ∧
                      ヾハ//////////////////, 、    /    /  ―
                          〉ム'////////////////////`V    /    /
                       /  i/////////////////////,/ // /    /      来い……ミカエル。
                      ヽ、 i///////////////////゙/__// /    /
                          /\}///////////////// f' /:::/ /    /
                      ー 、 ノ'///////////////,',イi/:::::i /    /
                         )///////////////,'トイi:::::/ /    /
                        /゙////////////////,ハイi::/ /     ,イ
                         ,.'//////////////////iニイリ /    /,',i
                      /゙///////////////////}ニイリi     /i}'/, 、
                      //////////////////////lニiイア7777イ}// ム
                  ,.  ´/////////////////////// |示=====イノ'///,'ム
               ,.  ´//////////////////_'//////,'ソ/三三V'//////,'ム
            ,.  ´゙////////////////,,x ≦´   `ヽ'///,iニ三三}_//////,ア′
          イ゙////////////////////  ___  ≧ュ、'刈‐‐― Y/,≧ ′
       イ゙///////////////////////,x ≦       `ヽ ',',i ̄ ̄ヾ }イ
        \/////////////////////,ゝ/          ヾ 从    |
         ア//////////////////__/ /           i/.} l
          ////////////////////  }' /   ,           }_/ |    |
       ////////////////////  _ノ /  /    i  l  刈  |    |
      .,//////////////////// ヽ  }i }  ,イ  .,'  |   i   i}.  |    |
      イ///////////////// ノ⌒ヽム / '  ゙゙ .ハ 〈  ,イ  } メ:|.  i    |
      ∧/////////////////     `{    ./イ   ア / ,ィ'}:l   |.   |
    ''///////////////, ′       l   /   / /_/'| ソ   ト―‐イ
   /'///////////////,'/           ト_ニ ソ_/ー ′'///,'|.    /   /
  ./////////////////          ` ‐'`¨¨/  ,'ヽ/// / |   /   /,'\

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討伐作戦自体はあっけなく終わった。
目標の魔王は美術館の三階に陣取っており、一階と二階には配下の
悪魔たちが蔓延っていたのだが、それらはウルフウッドが一掃してしまった。
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481 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:18:00 ID:nf8qDyXc0

‐_    -===-_   /  / /--- ¨     / -=ニニニニニニニ=- _
  ‐ _   -===-      /_/- ¨         /   -=ニニニニニニニ=- _
\  ‐ _  -=/        ̄´          ,      -=ニニニニニニニ=- _
=-  _/ニ=V        /{         ′     / -=ニニニニニニニ=- _              _ -=
\ ̄¨\  i}    /∨/  イ      /      /    -=ニニニニニニニ=- __     -=ニニニニニ
  \     }     //∨/ /}              ′     -=ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ
    丶   //   }/  ∧ }_}     /    /       -=ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ
      、//   / ,/rク //   /__//       / {-=ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ
      Y  /   ,/¨_/ ′ /__/        /   { -=ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ
      {i /     /   _i}_ / }\ i}/ /      ,      {  -=ニニニニニニニニニニ=-   ¨丁¨
        ー‐‐-イ   /⌒〉'´ ̄/ 〈_/        /         -=-   ¨¨   ,′    /:.:.
          /i{_/-‐‐〈__ /  } 、       ,′     ∧                {    i{:.:.:.
            /-==-////}⌒7 /¨}  \    /        ヽ               {    i{:.:.:.
-==========イ^}==-/////}  /V--}   /⌒〕h、      イ〉               i{:.:.:.
ニニニニニニニニニi} }=- '/////}/∧ V-i}  /       ̄¨¨  //: : 、           {      .:.:.
ニニニニニニニニニi} }-//////////∧ ∨} /                _//:: : : :\            ∨
-=ニニニニニニニ/ i}-{/////////{{ } 」i{ ̄¨¨¨≧=‐-   _  イ: : : : : : : \       、       `
¨ -=ニニニニ / /=-}//////// i{//^}      _ 。z≦: : : : : : : : : : : : : :个s。      \
    ¨ -</==-}/////// //  i}  _ 。z≦: : : : : : : : : : : : : : : : : : : /   〕h、
【大天使ミカエル Lv90】
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呼び出された悪魔は大天使ミカエル。
純白の鎧に身を包み、右腕には大砲を、左腕には大剣を携えていた。

天使、というよりも聖騎士といったイメージの方がしっくりくるかもしれない。
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482 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:18:13 ID:nf8qDyXc0

___________ \ \________! l_l !
|                  \ \            ! l .l !
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|____.!三三三三三三三!{\.   \  .\       ! l ! .!
|ZZZl |    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \ \   \.  \     .l l ! l
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|ZZZl |  _______        \ \   \_〉
| ̄ ̄ ̄ .!三三三三三三三!           \_〉     |
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l___________________ ∧.__.|
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|    l  ‐ _      /=二ニ=‐-_ニニ/ニ/    .!.|   l.|
|.    !      ‐ /ニニ/´ `` ‐二ニ=-/     !|   `!
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l.     !        |.li' ,':.:.::;;;;;ヽ ヽ  ./            / !
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|   .! .!                       ‐ _  l./    .!
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|     .l l   l  !///>'"         `゙<//\ ̄ ̄ ̄|| .|
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|   '、 ,! .!.//,! !                  V,∧   .|| .|
|   l ! .! .li//,!、,!.            _―=ニ二V/,!   .|| .|
|   !.,.! ゙、|'//{.           <二二二ニニニ//}   .|| .|
|   l.!    ゙/,∧             ̄―=ニ二'//l   || .|
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|    ,  l. lヽ'l .lゝ|゙i             /'/,/   .|| .|
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|        ヽ.!、ヽ} .l  !                |    .|| .|
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483 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:18:31 ID:nf8qDyXc0

                                   ______
                                   │           |        .ヘ≧λヽ
                                   │           |      〆::::::::::::::::::ゝ
                                   │   | |   │     //:::从久ゞl|θ::|
                                   │   | |   │      l|∧ ,一ォノヘ l|
                                   │   | |   │ゞ─⌒`ゝ ̄`/ゝ:: ノl |ヘ/´/| ̄ ̄ ̄/
                                   │  |   |  │ヘ. //////\/:: |_:: ヽ  // !./////
                                   │  |   |  │ /V////////´\ `|:: │ ヘ'/////,!
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                                      │   | |   │  /     ///////           へ'////
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                                      │      /  ////////

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
それを従えるウルフウッドも、背負った十字架を脇に挟む形で構える。
ベルトが弾かれ、十字架を覆い隠していた布が飛び散り、
白い無骨な鉄塊が露わとなる。

鉄塊は乾いた音を鳴らしながら変形し、瞬く間に機関銃の体を成していた。

「……まとめて逝きさらせ」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

484 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:18:46 ID:nf8qDyXc0

           ト-‐'`'ー 、      ____      __,.,.、                    ,./   /
              ,′     ヽ ___亅__   li   ,._-=7////,ヽ                   ハ_//   /
           ノ       `ー-、    ll. |!   '//////////,\             |^ヽ   |:.: .:7  / ;}
        _ノ`             {     ll.l .ll   ////////////,ヽ           .|:. ;レ1  |: .;|  /: {
     、 /`                ゙、  ll .!.l!,.__∨////////}//!           .|:  .;/   !; .} :/: ./
    ,.)                  ` ' ゞ lil!ニニヾ!'´‘' '/ ァ /'゙'′           .|  :{   |: ./ |:. .;′
  ,. '゛                       : 、 li!二ニニ゙、 _ _l /              |;  |   レ′ :| :/
-'                          :  }i!二-,_ニ゙i.ー-'/             |: ,{      レ′
                              (.:'"´   ゙̄'ー´-‐゙ ̄`ゝ,          |:. |
                           :       : .  : :.   ' ‐- 、        .|; :{_____
                                    : : .   :   ゛‐_   _   l:. .:_....    .::ノ
                                      :    :    ヾ、 └┘ ...|; 「    ̄ ̄
                                         :    _- ̄       .|: ,|
                           :         , ' ‐- ,-‐ '^          .|:..|
                           : ;`i‐'゙ー-、-'ー´^ニニニ,'              | :{   .〈〉
                           : { l!二二二二二二ニ;              レ′
、     ,.._                       :  ;l!ニニニニニニニ{
 " ´ ̄  ヽ                   : ,゙l!二ニニニニニニl
        }      ,. ヽ              ;. ゙ ;!二二ニニニニニヽ
        〈   _, '  `;     /ヽ     ,.'  .;!二二二二ニニニニヽ
               `    '′ ` ー ――┘ニニニニニニ/゙ヽニニヽ
                          /二二ニニニニニニ/_二ヽニニ丶
                         {二二二二ニニニニ/_ニニニヽニニ\
                         /≧‐ _ニニニニニニ/_二二ニニヽ-‐≦丶
                      /ニニニ≧ー==ニニ/‐<ニニニニニニニニ\

485 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:19:10 ID:nf8qDyXc0

            .                /: : 〈_______  / ./
            /<: : ̄: : : i; : : : : : :.7V:7/                    /
          _r:チ:.;ィ=ニア: : : N|.W:_:.<i7: :∨                  /
        /.:!:.;ィ徃少゙: : : : : ;_i| i ヽ、ィL__/       ,   /l      /
  ィz=¬¬¬":.气‐ヘ、. . . . ィi仁i| .!: : ノ: : /     ィ/  7 {     /    ,   '"
  :i: 。: : : : : : : : : : : : : ヘ\仁ニニi| .l イ¨¨¨ ヽ. イ /   .7 i{   /,  '"
  :{: :。: ; 、; : :、: : _ : : ;ヘ ヽ、. . .:jイ     / ./ '' ¬ 7 ゙i{___'"
 ヘ>_〈 ノム; : :ム二二ニハヽ   ~"''i   ∠ -イ .〉 ,.ィ "7 . i{二ニ\
. ニ寸二ニムムニニニア \  ` }  ィ,.. __, ,.イ.:/  7 ..i{<二ヘ ヾ\
 マ二マニニニニムニニア    > ,./ _,.戈ジ′,ヽ.:.:.:ヽ7   i{、 ー--┘},、ヘ
 ニマニマ二二ニニ}=イ   / ̄ ̄  'T└r:¬ヽ, '  .\.:7  .i{ ト ̄<! ̄ ハ____
 ニニマiニWニニ/´    _j        | /. ィif7    .7}} .ィi{ヽ____、:.l       ̄ ̄
. ニニWi}ニ/ 、__> ´         .ⅵ .マタ{     _.7 ll .〃{.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.N
 ニニ=}Wイ          /′     ⅴ. i .乂 ィil7 .V/ i{.厂 ̄/ ̄ ̄ ̄
 ニ=Nイ        ./ .′      .ヽ,_j、  ,>7    .i{__/
   | ∨       / . .′        \ /___7     . i{ . . . `Y       、
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   |    ',ヘ    . . . \.  ,.ィ".......................ヘ     j.........ヽイ . ,ィ      l. .',
.    ',   ゞヘ   . . . . ,×..._ィfニi......................\,..イ.................ヘ/    ∧ | . .',
.    ',  ,′ .ヘ  . . .,:'.._ィi行z圭| ..................... ,'.......................... ヘ\  / _Vl . .',
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.     ',     ヽ /..iニマ圭圭圭リ.....................,'........................,ィihム..ヘ . . . . . . .∨
      ヘ        〉....iWlI圭圭ア゙... ̄ ̄\...,'..._...、........,ィ徃圭ム. ヘ . . . . . . , ィ
       ヘ    /.....└气气'゙...........................Υ............ヘ/W圭圭iム....〉 . . . , イ
.       }   /.......................................,、.........,'........................ W圭圭Ii》.i . . , イ   ∨
       ,   . /..................................../__\.. ,'........_.. 、.............マ圭圭7..l. イ
       /  /......> iチ',........r、./_->_,,。ヽ_< 、ーム...............゙マ7イ...「!
.       /   ¨´  |   ',......|> '"_,,。<ニニ二\ \ ̄ ̄|_.................| ',
.     イィ 、     .| > ',....lニニニニニニ二二\ \  /............... !. ',
     /   ヘ  > '"_,,。<_',..!ニニニニニニニニニ二\ '/...../ヘ......|. i
   /   <´   マニニニ'iニニニニニニニニニ二二/../ヽ  ヘ...|. |
  イ/ィi  И \.    ゙マニニニニニニニニニニニニ/ィ行\ \..ヘl. |
  /.. .! /. . } ,.ィ\    ゙ヌニニニニ斗-ミニニニニニ二二二\ \  l
 . . . .ム.′. /´    .ヽ  ,ィ行ニニニニ刄ニ北ニニニニ二二ニ=- ''"  \!     ,ィァ
  イ  l. . ./    / ,ィ行ニニニニ二7Yニニニニニ二 ̄    _,,. ≦´ ',   ,ィ/′
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     И  / ,ィ行zニニア゙ ,ィタ ,ィュ  _''‐ミニニ二二二   ∨.      | /i7
.       / ,ィ行ニ二ア゙  ィく、 `'''′ ム=≧ !=ニニニ二  .∨.       l i"7. , ヘ
     / ,ィ行ニニア゙     `''<ニ7  ュ。,,`''' .|ニニ二二二   . ∨     ` {./. . .ヘ
.   / ,ィ行ニニニニニ≧s。,,_   `   ''<ミ二ニニ二二二   ∨       l'. . . . .

486 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:19:28 ID:nf8qDyXc0

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凄まじい、の一言に尽きた。
ウルフウッドが機関銃で掃討し、それに怯んだ悪魔の集団にミカエルが切り込み、
体を捻ると周囲の悪魔の胴体を二分割した。

これが処刑人ニコラス。ニコラス・ザ・パニッシャー。

喜留夫もメイヴも呆然としていると、事は既に終わっていた。
魑魅魍魎の悪魔が跋扈する空間は、悪魔の臓物に彩られた地獄へと様変わりした。
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487 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:19:52 ID:nf8qDyXc0

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                /        \     \__/   |  Yーイl |
                  /           > 、   /   /  |   |イ
                   /         _ -‐"   \/  ./ヽ /|   /
              /      _ - " 二ミ     \    Y /_./
               /  _ - "   /:::::::::::::::`ヽ、   \  / / T |
                /  ̄     /::::::::::r――- 、`ヽ、  \_/  ヽ|
             /      /:::::」:::::::: `ヽ、_ノ:::::::::`ヽ、___ |
           /      /_::_::_::::::::::::::::::::::::::;-:、::r‐、:::::::/;;;||       アリスは私の母になってくれたかもしれない女性だ!
          / _,,,;;-イーt" ̄|:.:.:「    ̄ ̄ ̄`ー " | l:ヽ__)::: |;;;;;||
       /'";;;;;;;;;;;;;;;;/:.:.:.ヽ  ヽ '               ヽL::::::::::/;;;;; ||       
         l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|:.:.:.w/           __   '  ノ ./L/;;;;;;;;;;||
       `ヽ、;;;;;;;;;;_;;;フー"          /- ミヽ、   /;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヾ
          `ー;>"\     l       |    |:/   ./;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヾ
            /: : : : \   i `、      ` ー- "  /;;;;;;;;;;;;;__;;;;;;ヾ、
__,,,,,____/: : : : : : : : \. |   ヽ、     "    /ー'" ̄ ̄    ̄ ̄
     >;;;;;;;;;;;l: : : : : : : : : : : \|    ` 、__ /
【魔王ベリアル Lv82】

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血の海を奔って三階に辿り着くと、赤い装束に身を纏った魔王がそこにいた。
デビルアナライズを起動するまでもなく、強力な魔王であることが気迫だけで
分かった。
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488 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:20:03 ID:nf8qDyXc0

                           \
                           \、、
               \、、   _     \\
                     \\´  \ ー‐く |
                  / \\ー‐へ\__ \
                   ,  / \____ヽ|_八ヽ
                ′ :′    ,/_____彡へ
                  {     //////////////>。.
                , :    / '|///////////////////>、
               ′:   /  |//////////////////////
                   ′: /   八///////////////// /
                     ∨   ///////////////////
                      /  ////////////////>
                   '  /////////////> ´
                 ′ //////////> ´
                  |__///////> ´
                 `¨¨¨¨¨¨´


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その魔王ですらも、葛葉雷堂が葬り去ってみせた。
スカアハと共に切り込むと、二方向から息の合った斬撃の雨を浴びせ、
みるみるうちに魔王の体を鮮血に染めていった。

それでも、魔王ベリアルも相応の抵抗は見せた。
炎をまき散らし、幾度か葛葉雷堂とスカアハを飛び退かせたが、
それでも敵わず、最後には管に封印されていった。
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489 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:20:18 ID:nf8qDyXc0

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                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                           │::::::::::::::::│
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                           └───┘

                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘

                               ┌┐
                               └┘

                                   □

                               ・

490 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:20:31 ID:nf8qDyXc0

!   |l | |,.>',ニ_ヽム'~l!'´|i!| !/,/ // /,ハl  /  |    ノ  | ''
|   ハ ヽ/ | Vrォゝl!ヽi| 'l!|/‐/-/ 、//! , / !  | / /   |/
|   | |!∨ ハ ゞしjイ! ヾリ!//'_/_//, \/ /!/ / !/ / /   l
|    ハ| { lヘゝ二ノ      〃,. ‐/メノ\ , ,イ/ / /     !
|   / ハ ゝニ、、           ヽ弋テノj|ノイ / ' / / /    !
| |  ! / . ヘ `冖''             ー   レ'  / / / /    l        どうしたものかしら。
| |  ! /  ハ      _          イ/  / / / //    |
-人 |! γフ\    `      // /  /|/ / /     |
  \ノヽ!ヽ 「ヽ!\       __ イ! /    .イ / /  ,イ|     |
  ノ L___ `ーj V ノ ̄ノ、j ̄!._ ノ レ'   / | ノ´| / |     |
  V´ 〆 , イ / `ーγ" / , '  ,. イ|γ´  _|   |       |

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正直な話、喜留夫はあの場において傍観者以外の何物でもなかった。
実際、一体も倒していない。ほとんど、あの二人が片づけてしまったのだ。

一度打ち負かされ、あまつさえ見逃された相手に、今回は手柄を全て
奪われたのだ。ついでに言うと、報酬は歩合制だったため、今回は収支ゼロだ。
これでは拗ねても仕方がない。
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491 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:20:49 ID:nf8qDyXc0

                     _,,、---、  /`ー---、_
           ,   ._,、-― ' ´       `´((,、_ ,ィ-、`!
         ,、((._,ィ'´       ー.'二==テイト、ォハ´`))!ヽ
      /`/ト、`))          ̄__,ィ /乂Yノ少((.  ヽ
      ,イ ./ノ少、'          l  .l    i ((ゞ'´  ` l  ヽ,
     l   弋トン"   /  l     | l!  l!  l! l!  ))  l  l l   l
.    /!    )) ./ / l  l! .l  l l!.l .l!  l l l!l l! ´  l! .l l  .l
   ノ  l.  (( / .′l  l! .l l! i!.l i!  l!.l l!l.l l!    i! l .l!.l  l!
 ./   l   /./  l! l! l.l  l .l l l! l l! i!l.l l! l! l! l  l .l! l l!  /
./    / l .l! l!  l! l! ! ll! .l l!.l l!l.l .l! ll! l.l!l! l l l!  l l .l l / l        ……これから仕事もないし、少し外に出ない?
!  / / ./ i! i!-=ミ.、 l! l l.l((.l!i!.l! l!.l-十十‐!-i! l! l!   l l! l l!/./ l!
 / /  / .l l.l l!  .))l_l! l l ))l l! l!l l从==ュ. l! l .l! / l.l /././  `ー      私、久々に色々見て回りたいわ。
/ /  /  l! l ll! .ィーイ_,`ヽ.'イ l!l!l .l!イん::ハ.ヽ l l! / ./ //!   __
./.|  /.|  l!  .i! .,イ´`'Z`メ! ヽ     乂z:ソ. './ ./ ./// /.l         「ああ、構わねえけど……」
./ヽ. l l  l!、  i! フ 〈、Yノ ノ .l          ̄ /  ,′/ / ./ l
  ヽ! .l! i!ヘ  i! >`、´ 、,ノ  '       l   .l   /  /l           決まりね。さ、行きましょう?
 l  i! ヽ l ヘ .|  i!ヽヽ-イ))      _      ヽ,  ヽ .l!  .l l!
 l  .l!  l!   ト、 l l ヘ ((    ̄    ,ィ‐、ィ‐、  ヽl!  、l l
 l l l ヽ     l. ヽ l!l i> ,        ゝ,. `´ |  リ__  `ー
./ .l l  ヽ i  l  ヽ.i! l!   >__ , _ , ィ`l´  / / .`ー-
  .l l  ヽ .l! l  l l /l .,ィ、_ノ  ̄ゝイ   / /
  .l!l   l!.l! .l  ./ / l/l .,、- `i   | / /

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その時、メイヴの思考の水面に一つ泡が浮いてきた。
ぱちんと弾け、気づいた時には口にしていた。

デートだ。

思えば、最近は仕事詰めで、ろくに遊びにも出かけていなかった。
これでは息が詰まるというもの、喜留夫にも休息が必要だろう。
それに、仕事ばかりで喜留夫と話すことも仕事の話ばかりで、メイヴとしても
少し寂しかったのだ。

丁度いい。今日は気持ちのいい快晴でもあるわけだし、街に出よう。
メイヴは上機嫌で、クローゼットへと向かった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

492 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:21:21 ID:nf8qDyXc0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘

                               ┌┐
                               └┘

                                   □

                               ・

493 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:21:43 ID:nf8qDyXc0

                            -===‐- _
                     __... -‐<K《予ぇ、    ヽ
               _-=ラ¨´         ヾ フ刈
              , 公チ          <〈 シ´      ヘ
               /              V∧         ',
           /          ヘ \  V ゝ、        ト、
           〈  ,'   /! ,.ヘ ト、ゝ、\ V   \      .i. \
           ト j ! イ/.  V ≦¨二ヾ i ノ   Yi!\    i!  ヽ
               } Y.i il  fエヽ ハ lィ仡示ぇ !   !  j川 iヘ    l
              ノ .l i! l`Yチrfル' j/┴一''¨ /j  ノ  リソi/     iト     ',
           ./ . ト .ゝ{夂/       ,' / , イ  ムイj  :}   j! ヘ
        /    八.Y ド ゝ       _ノ/  .,'  ////     ,f   ',   }        流石に初夏だけあって暑いわね……。
       /   /  .ハj 个 -  丶=- -=彳    //// i    ({   ハ  /
         ./  , '   j! >        人  ゞハ{ { { l     i  /У  /
      .{ ,. ィ  /   八 リ 少x.._ .匕   ヽ  l 込ヘ      k <   /
      V f∧ ./  ,'    Y  .Y:i:i:i:_り     } レ==ゝ、     ヘ.  _ノ
       V//!〉      _i  ム≦、 , -‐フ /     ヾ     Y´
       VУ ノ   , ' ´./! /:::...  ..:::/  イ       丶    ゝ、
       /      /  // .,'     / / ll        ト
            λ ム. {     {∠_,.ノ{ ...、        !!ハ      \
     ./ i/     ,行У  ゝ マ≧==ラ厂   ヾ::}       j/八       \
    / /   ィ彡'"     ..ク'¨         .N      ////へ      .ヘ
    /     i〃      ::            j }      ハ/////:ハ
   ,'      八:..                 ,行.     i////////ト,
   i {    {(,个 、::....  ..:::...      ...::::::::/ルイ     .i////////ハ
   l  :.    l V//ハ::... ...::,'  ヾ:::.........:::::::ヘ ///:ij     ルi////// i
     i    .i V//}::: : : :     : : ::::::::: ::〈///ノ     ////////
    ゝ、      V/!:: : :      ゙     :V//    .,'/////// ,イ    /
     \   ',  Vl              ゙〈  、  ハ//////         /
       \    ゙i!         i      ヘ     }/////      /
             i                ヘ   ,'////      /
         ハ   j!       ..: i!       V∧ /////    , へ
        / ノ  ./:i      ..:          ゝ,V{////    ./   \
      /    /  l     ..:::   !!        Yハ//ム    {ト、.   \
   _. <     /   l   ...:::     l         V∧/ハ   ハリ

494 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:21:55 ID:nf8qDyXc0
  ./       ,イ    l ...:::::     i l         V∧i.リ  /ノ !      ',
 ,'      / //   il        i l          V∧'  /'  .ノ
 {     ん 〈/    i l  _ -―==xl          jV∧  {  /       }
 .V    {: : V    f´三三ミx三,佐三三三≧=- .__  i//∧ i /       ノ
  V    ゞ `ヽ  __,`フミ≧ュ x仁三三三三三三三ュ、,x≦j .レ       /
   .V     l三ミv仁二二三三ハ杉三三三三三三三三≧}/ y      ./
    ト、   ヘ三三三三三三三ij三三三三三三三三三そ k      ん
  _ノ ハ    トミ-=≡三彡=='¨ヾミ三三三三三.≡=У  !ト     {k `ヽ
 / ィ彡' .}    i  ` ̄¨ ̄ ´ ...::',::  ` ̄¨  ¨ ̄´   ::i 彡´ }!    リミ.  ヘ
 ヾ ` ミ.シ    .l         ..:::::i:::.              ::レ'  イ    / ≧ュ }
   V./     l         ..::::::i:::.            :::i  ,《 i    {Kf¨´ ノ
  //      l          .::::i:::..           .::i  /ハi    tx  <
/__/       ,イ!          .::::i:::.           .:i .//  〉、    \  `ヽ
{      __,///l           .::i::::.          .:i// ./  \ミぇ  ゝ、__}
ヒ _,,  ∠彡´⌒`l          ..:::i!::.           .:i/  /  ,ィ彡へ_   込
 `¨\   `ヽ  l           .::i !::          i  /   ( (__    ヾj  /
    \ミョ .}  l          ...:i i:.          i ,'    `Y´   , r≦シ
   _ シ .ノ   l          .::i  i:.           i {       /杉'
  ((⌒ヽ /    l          ::i  i::.         ト ミ=-‐'   (  (
   `        l            :i   i::.        i         ヾ \

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以前喜留夫に渡された服を着て、事務所を出る。
あんな形であったとはいえ、喜留夫に貰った服なのだ。
それだけで、女には勝負服になりえるというものである。

正直、有象無象の男に肌を晒すのはあまり好きではない。

女王メイヴは本来、あまり日本の貞操観念にはそぐわない、淫蕩な女だった。
好みの男がいれば言い寄り、自分のものにする。それに抵抗はなかった。
正確には、自分が宿している神格が、の話だが。

今は、喜留夫がいるから自重している。
喜留夫を悲しませることはしたくない。それに、たった一人を愛するというのも
中々良いものだということも知った。この充足感や幸福感は、
神話に語られる女王メイヴにはなかったものだろう。

とにかく、自分はあまり貞操観念が堅くない神格を宿しているのだが、
それでも闇雲に肌を晒すのは嫌だった。

なら、なぜこのような肩の出たキャミソールに、足のほとんどを露出した
ホットパンツなどを履いているのか? 簡単だ。喜留夫が選んでくれたからである。

喜留夫が喜んでくれるのならば、羞恥心など飲み込んで見せよう。
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495 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:22:11 ID:nf8qDyXc0

  |┃            ____
  |┃ 三       /      \
  |┃        /         \
  |┃ .      /   (●) (●)  \
  |┃ 三    |   (トェェェェェェェェイ)   |       おーう、準備できたぞー。
  |┃       \  \ェェェェェ/   /
  |┃        /ゝ    "`   ィ `ヽ.
  |┃ 三   /              \
,⊆ニ´⌒ ̄ ̄"  y           r、  ヽ
⊂二、 ,ノ──-‐'´|              | l"  |
  |┠ '       |              l/'⌒ヾ
  |┃三        |              |ヾ___ソ






         , へrァォ7フx- ´  ̄ - 、
       /  イゞン7ハ__         ヽrァ7、__
     /   i ゞアン'ー,          vシ}  、
    i    ト、   //  , /      ド'   i
    |     |  、 /./ /, //, /|//  .|  ドミ、  |
    |,ノ ,  .|  V /////r'/ //| | | | \ .|
   //   |   }|rァォメヾ/ノ //-ト|、| /ト、ヽ ` 、
  //   , '  / トK乃ッリ)   ,r=ォx'ノイ |  ハ   ) 
//   /,'/ゝi トゞアンツ    J | ノ/.| |/ 人メ、       そう。それじゃあ、早速だけど行きたいところがあるの。
/   / ,','   .,|  \wx.   , じ' / .| |, イ/\  、
///ヽ.//  ,ヘゝ 、  \ 、_ , w イ/| |  |   \ \     付き合って。
. (/  // 、ノ ̄ へ⌒ヽ、 )_r 、_ ィヘ ノノ |,  ゝ、   ) .)
ヘ \   | |  )\    \_ソ/ミ,| i / / (/ノ   \/ /
 \ \ノノ/ く´ _ ., …´/  .} !/ /,/ , ヘ\.  / /
   ) Y  , イニ____,ノ   ノ ,'  ' _,∠_ヽ,/ /  \
  ,/  / /  |  しー   /     ,ー-='(  (      )
/ , イ  i    、 `ヽ⌒ 、r^丶    ノ /  / ,\ \  /
 /  \ ` 、 ゝ ノ  イ    ゝ'^y  //  )  )'

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デートコースは既に考えていた。
まずは昼も近いので、シネマコンプレックス、要は映画館を要する大きな娯楽施設
のことなのだが、そこで色々な店を見て回り、それから上映している映画を鑑賞し、
そしてディナー、ディナーが終われば、夜景を見ながら帰宅というプランだ。

久々のデートなのだ。今回は財布に糸目は着けないことにした。
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496 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:22:28 ID:nf8qDyXc0

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                               ・

497 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:23:06 ID:nf8qDyXc0

     ,  -―ー- 、
   /        ヽ
  '       ⌒    ーヽ
  l     (●)  (●) 、
  {     トェェェェェェィ   }       ほーん、色々あるもんだな。
  、.     ヽェェェェェノ ノ
   >        <、
  / ー―- .、    r、 ヽ
  `ー―- 、_ノ   l/  /
  ,'          l ,/
  l          |´
  弋          ノ
  | /ー ―一、 |
  し       、_,!

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メイヴに連れてこられたシネマコンプレックスは、ローマの街並みを再現した
いうだけあって、町の中で一際異彩を放っていた。

レンガ造りの道に、乳白色の建物。大きな噴水に、建ち並ぶ店。
そして、連れてこられて初めて、ここがデートスポットであることに気が付いた。

客のほとんどがカップルか子供連れだったのだ。

最初は何か見たい物でもあるのかと、メイヴについてきたのだが、
どうやらメイヴの目的はそうではなかったらしい。

思えば、最近仕事詰めで、こうして二人で遊びに行くことなんてなかった。
ましてやデートなどもってのほかだ。普段隣に立っているだけで割と満足していた
ということもあるが、二人とも声にしてデートしたい、などと言うことなどなかったからだ。

もう少し、相手の感情を読む努力をした方がいいかもしれない、
と喜留夫は反省した。
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498 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:23:25 ID:nf8qDyXc0

   |  {    |     ハ   '  乂込りイ、`ヽ
   |   '  |  ミ、 i   |ハ ゞ=彡ノ/z i
   |   ヽ .!   ハ:}|i: ! {  '  i  ゞ=ソ i:!
.i   |   ハ:{.  r=彡|{|ノi  |. | ヽ  八
:|   ! >ー从_}{ i ! |.川 i{ `ヽ |   !  ハ 、  ゙
   |{ / ーヽメ 八ハ!{ !ノj_z_j   |  .'{  ヽ
ハ  人ハr=ミ ハ ハ   ノ从 7Zマ.く_ ' | {八
  / }込八irくイ_ノ ノ    i.i゙;;;}j ' ハk , ! i  ヽ        ねえ、この帽子、喜留夫に似合うんじゃない?
 { :{ゞ=ミ_ノ/    ,  ゞー" / ノ/  |i ゝ
.八 ∧   '' j:i ''     ノ   "″,イ./{  八 `ー
.  ヽ∧   八{_ノ、_       ./rーミ八   `ー -
   \ヽ.      ̄ ´  イハ  }vー 、`ー -
 `ヽ  \>     . ィ´,⌒´     ノ `ヽ
ハ  \  ヽハ≧=彡} `ヽ      `ヽ ハ
  丶.  \   }、 { /           ノ   }
   \   ヽ ノ iト、∨           \  '

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当てもなく歩き、気になった店に適当に入っては商品を見ていった。
中でもメイヴが入りたそうにしていたのは、アンティークショップだった。
こんなドレスを着ているにもかかわらず、メイヴは意外とこういうものが好きだった。

渋い色のレザージャケットやブーツ、帽子などを次々と喜留夫に着せては、
「うん、いい感じね」と満足そうに微笑んでいた。
こういう服装の男がメイヴは好みなのか。覚えておくとしよう。

その店では、メイヴに頼み込んで一つだけ、ダークブラウンのストローハットを
購入した。変装に使えそうだ、とメイヴを何とか丸め込んで買ったが、
実際はこれを被った喜留夫をメイヴがにこやかに見ていたからだ。

その後にはアクセサリーショップに入った。これは喜留夫の希望だ。
たまにはメイヴにプレゼントの一つや二つしてやりたいという男心である。

髪飾りやネックレス、色々と試着させてみたが、やはり素材がいいからか、
どれを着けさせてもかなり見栄えがよかった。

悩んだ末に、指輪を贈った。
茨の意匠が彫られた、優美なデザインの指輪だった。

「どの指に着けるか、あなたが決めて」

試すような微笑みを浮かべ、メイヴが左手を差し出してくる。
少し戸惑ったが、勇気を出して薬指に指輪を嵌めると、メイヴはくすりと笑い、
「ありがとう、喜留夫。この指輪がある限り、今日のことは忘れないわ」
などと小恥ずかしくなる台詞を吐いてくるのだから、困ったものである。
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499 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:23:41 ID:nf8qDyXc0

       ___
     /      \
    /(● ) (● ) \       何か見たいものはあるか?
  / (トェェェェェェェェイ)   \
  |  l^l^lnェェェェ/     |     「せっかくだもの、ロマンティックなのがいいわ」
  \ヽ   L        /
     ゝ  ノ
   /   /

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一通り店を周り終え、映画館へと向かった。
スケジュールを見てみると、特撮にアクション、それから恋愛ものがそろそろ
始まる時間だった。

アクションはハリウッドの大物俳優が主演を務めるスパイもの、
特撮は大人向けのグロテスク表現が多めな特殊なもの、
恋愛ものは大人しい女子高生と不良男子のラブストーリーとなっていた。

「ねえ、この男の子、喜留夫に少し似ていなくて?」

「いやあ、俺はこんなにイケメンじゃねえって」

メイヴが指差したポスターは、恋愛ものだった。
確かに、デートといば恋愛ものの映画がつきものだ。
特に深くは考えずに、その映画のチケットを購入した。
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500 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:23:59 ID:nf8qDyXc0

        ____
      / ,r―ゞ  \
     /  !〈-・;);!    \
   /    ''| |^''  r―、 \     おおお……よかったなあ! 二人とも幸せそうでよかったわ!
   トェェェェェェェェェェイ |>;・;):〉 |
   ヽェェェェェ, ,ェ/'ヶ=| | /      「凄いことになってるわよ、顔」
   /   | |     | | |
  (_⌒)        ||
    l⌒ヽ     _ノ |
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   (_ノ  ̄ / /;
         (__^)

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その映画を見終えた後、喜留夫の顔面は涙と鼻水でぐしゃぐしゃになっていた。
実は自分はとても涙脆いのだ。若い頃はそうでもなかったのだが、
歳をとってくると涙腺が緩くなっていき、こんなベタなラブストーリーですら
顔面崩壊ものの号泣を見せるようになっていた。

そんな喜留夫を見て、メイヴは困ったように笑い、「でも、確かに良かったわね」と
映画のシーンを辿るように虚空を視線でなぞった。
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501 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:24:20 ID:nf8qDyXc0

      / !   |l | |,.>',ニ_ヽム'~l!'´|i!| !/,/ // /,ハl  /  |    ノ  | ''
      '   |   ハ ヽ/ | Vrォゝl!ヽi| 'l!|/‐/-/ 、//! , / !  | / /   |/
     '    |   | |!∨ ハ ゞしjイ! ヾリ!//'_/_//, \/ /!/ / !/ / /   l
  / ,    |    ハ| { lヘゝ二ノ      〃,. ‐/メノ\ , ,イ/ / /     !
, '  /     |   / ハ ゝニ、、           ==、j|ノイ / ' / / /    !      あまり格式ばったところは苦手でしょう?
      / | |  ! / . ヘ `冖''                レ'  / / / /    l
/  / /   | |  ! /  ハ    ヽ  __        イ/  / / / //    |      あそこのピッツァなんてどうかしら。
     ,. -人 |!  γフ\           // /  /|/ / /     |
    /      \ノヽ!ヽ 「ヽ!\       __ イ! /    .イ / /  ,イ|     |
   '      ノ L___ `ーj V ノ ̄ノ、j ̄!._ ノ レ'   / | ノ´| / |      |
 /          V´ 〆 , イ / `ーγ" / , '  ,. イ|γ´  _|   |      |

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
時刻は午後八時を回っていた。
ポップコーンでごまかしていたが、流石に腹が減ってきた。

洒落たレストランにでも、と思ったが、メイヴの気遣いで落ち着いた雰囲気の
イタリアンレストランに入ることになった。
木製の椅子と机が並び、カウンターの奥ではボトルが壁を埋め尽くしていた。

席に着き、注文を店員に伝えると、十五分ほどして料理が届いた。
ボルチーニ茸の乗ったマルゲリータと、トマトとモッツァレラのサラダだったが、
それを見たメイヴは少しだけ顔をこわばらせ、「と、溶けてるもの、平気よ」と
何やら自分を鼓舞していた。
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502 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:25:13 ID:nf8qDyXc0

..      ____
     /     \
.  . /  (●)  (●)       しかし、綺麗なもんだなー
  /  (トェェェェェェェェイ)\
  |    \ェェェェェ/  |
.  \           /
.   ノ          \
 /´             ヽ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
食事を終え、レストランから出る。
太陽が沈むと共に気温も下がり、柔らかい風が頬を撫でてきた。
通りすがる人たちの顔が視界の端に映る。
そのどれもが、微笑みを浮かべていた。

自分の仕事のことが頭に思い浮かぶ。
デビルサマナーとして、人の営みを守る。そして何よりも、一人の男として、
大切な人を決して泣かせない。かつての誓いを思い出しながら、
喜留夫はネオンに彩られた建物を見渡した。

十年前、自分は多くのものを失った。家族、大切な友人、居場所。
そして一人の悪魔と出会った。

その悪魔は今も隣にいる。あの時よりは大分大きくなったが、綺麗に成長したの
だから、これはこれでよかったと思う。

「ね、喜留夫」

「なんだよ」

呼びかけられ、振り向くと、メイヴが抱き着いてきた。
細い腕が首に回され、引き寄せられる。
唇が軽く触れる程度のキスをした。

「どうしたんだよ、急に」

「だって、そういう雰囲気じゃない。女心が分からない人ね」

そう言うと、メイヴは悪戯っぽい笑みを作り、離れた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

503 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:25:29 ID:nf8qDyXc0

               ィ⌒ヽ
                   )  __
               iV/r' ´  ̄     ` ' 、     ,-、
             ィv┘./  /         ` 、  .r'´
           r  >イテ   i             \/v
          >フ/  /  l  l        l   {人レ、
        , ィ' ´  /  /  l  l   i     l .i  ゞV/廴
      / /   ./   i _ l  l   :l    ! l  l ハ`´ ヽ
     /  /   ./ィ   r'´ ` il  ト 、 .|  i  l |  | i .| _V )
   / イl/   イ.イ   廴 _ 人 .ハ  ヾ ト +- 、| .|i ./ .l .| rヘ
   {  .i l   / il  il  ≧iVハi .\ _V_ハ /.i V  .∧   ヘ
   V il .  / /   ノ Ⅶt人ァ ヽ \ィ≧テ-L/  /ili .V   ',         帰りましょうか、
    V \/ /  ./ ハミY /ノ  ,  ┴=斗/  ./ 人 V  .',
    V./  /   ./  i ゝ  )      """ / イ / l  i   ト         私たちの家に。
    /i .  /   ./  .イ┌人il  ` ー '   .//././  l      ヽ
  ./  .レ  /  i  / lr )、 \、     イ // ̄ス─-┐    i \
イ/   /  i   ∧ 、_// 入  ≧- イ⌒i l  /   /、    l   \
../i  /  イ ./  V>-    ⌒) Y. {  :l | イ   ./ /、 i   l     ト
il V./  / :l ./  < `ー─┐ ィつ i   r弋、─-─≦ イ     |     V\
  y  /   {    \_  `i i<`  ̄>i i  \    >イi    |     i  .\
../  / i  Yゝ    彡 } . l l>><<l.l  r ' ´ ̄    ヘ   i     l    ヽ
.   {   / ゝ      イ.. l l<   >l.l  ∧ヾ       Y       l     ヘ
  / .V  /   >    /i┌ ‐/>><<l.l /          }         l     )





       ____
     /     \
   /         \
  /     (⌒) (⌒)\    ……おう。
  |    (トェェェェェェェェイ) |
  \    \ェェェェェ//
  /          |

504 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:28:24 ID:nf8qDyXc0

              / ̄rv-ーく,.  -‐…‐-  .
           / ..=くУ''"´,ノ          `
             / ( /   (             ゙Y^ヽ^Y⌒ヽ
          ' //                 (く笏Y   :,
            {/ //    /                 `アフ爪   '
            〃 //    /             ヽ     ハ]ハ  i
            ;  i;      '           }   ハ  / ノ′i  |
.          i  i|  !    i    |,」| _ !   } }    i|  (_;_) |  |
           i| ii|  || ,i|  i| l「丁 T  /|    i|.  //| |  |
         八 八,i人|ミ刈  i| ナナニ八///|    i|: .//, | |  |
          ヽく((笏Y)Y从从 行テミメ、/ ノ    リ:/,   | |  |
            }人`Y´ブ     lr'..::::ノリ刈′  ////,  | |  |
              从 ィ~ ,     ^゚ ー=/    //イイ,  | |  |
            / /八         ::://,  // // | |{  | |  |
.           / /(  i\/)ー    // // 厶=ミ| |{   | |  |
          / //. :i i/ .く ____ // //´     `ヽ   | |  |
.         / // ; / x=、 i((⌒刈//  l/         ':. | |  |
       / ,. / .:/   /`ヽ)) ノノ'   /         ' 八 .|  |
.    / / / .:{    /`Y(((i  ;′          V /\:. |
.   /  ,  /   i|ヽ.    ク ))| l i;゙               \  \人
  ,'   /  ;   i| . ハ     ∨((__| l {           _ ..ヽ  ヽ. \
  !   ;   i  :八,.〜}    }〜ヘ从     ,..    '"~´     |    ヽ \
  人  {   | 〃  \`⌒し〜)   ノ《,.  '"           ∧    ヽ  \
   \ ヽ | i{   /   、/ / /  \ \       , / / }       ヽ.  \

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なお、この後滅茶苦茶搾り取られた。
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505 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:29:53 ID:nf8qDyXc0

                      ,.イ//.\           __
                     ,イ//////∧       ,ィ=≦/////ヾ、
                    ////////,.イ|        ,イ///\//////\
                    ///////,.イ//l     //////:,.へ./////∧
                   ,'////,.イ////:l     /////:/  \////∧
                  ,'///   Ⅶ///l     ///./       \///∧
                  {/,イ ,  -Ⅵ//├` ´ ≧ミⅣ_,.       \//.}
                    yて必}≦三     三K必}ー、         \j
                    i /l! .l l l! .l l l! .l l  >シ》  li
                     | il! .ll! .l l !l! .l l !l l! lll! l l !< l
                     | |!l l!!l l! ll !l l ! l l l! i!l l! l l ! llヾ!
                    | l l l! l l! i ! |l l! i/ ハ l l! il! .l l l
                    | ,! ! ! l 《/!ハ Y从イィ=ァ! 、!l l! ll '!
                      iレl ! l |!l {廻})∨ ´弋ソ i ll l! i ∧、         (⌒:..
          /⌒'ヽ        l /∧.ハ!`ζ´ 、 ////フノ. ノ ヽ、ゝ!、_       (⌒:. `)_
  / ̄ ̄` 、 ゝ ノ、       //,/ )レ'ヽ、  。   , - 、、ハ ヽ \ ヽ!ヾ、      `ー〜′:::::`ヽ、
../::::::::::::::::::::::::ヽ(_  .,-'      i! ,/,=、l r'フ i> - '´ キヲ ヽゝ'_ ∧ハ V、ヘ\、    ,.':::::::::::::::::::::::∧
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                                                                〜また次回〜

506 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/08(金) 21:32:06 ID:nf8qDyXc0

        、 - ‐‐ -,
       ,´: : : : : : : : :
      ゙i : : : :○ ○゙i
       }: : : : : : : _ _ _|        ふう。こんなところかね。
       |: : : :-=´_ _,´
      y' : : : : :_: : : : :i         ちなみにメイヴのエロシーンpart2も入れる予定だったが、省略した。
     / : : : : : : :┌─┐
     i : : : 丶: :ヽ{ .茶 }ヽ        だって……>>1のエロ、抜ける? >>1自身は無理だった。
     r : : : : :ヽ、__)一(_丿
     ヽ、___ : : : :ヽ : :ヽ
     と_ : : : : : : ノ : :ノ
       ̄ ̄ ̄  ̄





                  ,- ‐‐ - 、
                   イ: : : : : : : : :`,
                      /○ ○: : : : /
          ┌─┐  i_ _ _ : : : : : : :{        じゃ、また書きあがったら言うよ。
          ┃茶┃   `,_ _`=-: : : :|
          ├─┤    i: : : : :_: : : :'        お互いこの嵐のような時代を頑張って生き抜こう、シーユー。
           ̄ ̄ ̄ー‐'' `-‐´ : : : : : :ヽ
             ゝ __ ,.. イ : : : : : : : : l: : |
                  { : : : : : : : : :|: :.|
                ,、 '" : : : : : : : : :゙、:.ヽ
               ( : : :‐ 、 : : : :__,. : : :Y"
               ` ー‐┘ ̄‐〈_ ,,ノ

507名無し-Red-市民-2:2018/06/08(金) 21:39:13 ID:ZD86OiOA0
乙でしたー

508名無し-Red-市民-2:2018/06/09(土) 08:08:56 ID:8MJZPIXI0

歩合制なのに何故呼ばれたのか…イジメかな?

509名無し-Red-市民-2:2018/06/09(土) 20:46:19 ID:ApYWhAPo0


510名無し-Red-市民-2:2018/06/10(日) 14:56:03 ID:EJPgWQdI0
乙です

511名無し-Red-市民-2:2018/06/10(日) 16:10:57 ID:ui8oqNZo0

良い嫁だ

512 ◆x0SRSoJXe.:2018/06/26(火) 21:56:08 ID:/DTcGWa60
ハロー。六月も終わりだけど、皆はいかがお過ごしかな。>>1はまあ、生きてるよ。still aliveだよ。

さて、次回からは少しシリアスめな話が続くよ。こんな話が見たい、というリクエストも受け付けてるからドゥンドゥン書いてね。

513名無し-Red-市民-2:2018/06/29(金) 10:19:42 ID:TfyNz1u60
リクエスト
七夕イベント

514名無し-Red-市民-2:2018/07/12(木) 18:19:39 ID:sDVMS7y.0
海水浴!

515 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/13(金) 20:41:55 ID:9xdplPSI0
ハロー。今書き上がったんだけど、ゲリラ投下、する?

それとも、ちゃんと予告してからにする?

516 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/13(金) 20:51:07 ID:9xdplPSI0
誰もいないようなので、明日にしよう。

明日の午後九時から投下だ。見ないと八艘ビートだからネ!

517名無し-Red-市民-2:2018/07/13(金) 21:13:34 ID:U69k/jeQ0
うお席を外している間に…はーい

518 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 11:36:43 ID:mz9JAuVI0
ハロー。今日は休日な>>1だよ。

休みなので、予定通り投下できそうだ。で、だね。ちょっと暇すぎてね……

短いけどもう一話書いてしまった。今日は二本立てだ。

あ、投下時間の変更希望があれば受け付けるよ。暇なんでね。今からやれと言われれば今からやるし。

519名無し-Red-市民-2:2018/07/14(土) 11:46:09 ID:XcIWNprU0
今から出かけないといけないというのに…orz
2本立て、楽しみっ。

520 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:00:10 ID:mz9JAuVI0

    /||ミ
   / ::::||
 /:::::::::::||____
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||  、 - ‐‐ -,
 |:::::::::::::::|,´: : : : : : : : :
 |:::::::::::::::|゙i : : : :○ ○゙i
 |:::::::::::::::|}: : : : : : : _ _ _l        ハロー。
 |:::::::::::::::||: : : :-=´_ _,´
 |:::::::::::::::||___ : : :丿
 |::::::::::::::(_____ノ´||
 |::::::::::::::(_ノ / . . . ||
 |:::::::::::::::||/    ||
 |:::::::::::::::||      ||
 \:::::::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
   \ ::::||
    \||





                  ,- ‐‐ - 、
                   イ: : : : : : : : :`,
                      /○ ○: : : : /
          ┌─┐  i_ _ _ : : : : : : :{        今日は二本立てだ。
          ┃茶┃   `,_ _`=-: : : :|
          ├─┤    i: : : : :_: : : :'        第十話、「連鎖する罪」
           ̄ ̄ ̄ー‐'' `-‐´ : : : : : :ヽ
             ゝ __ ,.. イ : : : : : : : : l: : |      第十一話「破壊の天使」
                  { : : : : : : : : :|: :.|
                ,、 '" : : : : : : : : :゙、:.ヽ     どうぞゆっくり見て行ってね。
               ( : : :‐ 、 : : : :__,. : : :Y"
               ` ー‐┘ ̄‐〈_ ,,ノ

521 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:00:27 ID:mz9JAuVI0

┌─────────────┐
│                    │
│   第十話『連鎖する罪』  ....│
│                    │
└─────────────┘

522 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:00:55 ID:mz9JAuVI0

       ____
     /     \
   /         \
  /   (●) (●)  \      ふう、これで終わりか。
  |   (トェェェェェェェェイ)   |
  \  \ェェェェェ/   /
  |          |
  ||        / |
  ||       ./ ||
  (_|   r  /  (_)=|三三ラ
    ヽ  |/
     >__ノ;:::......

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
ある昼下がりの午後。管理者も放置気味の廃ビルの中。
いつものように悪魔退治を終え、事後処理を行ってもらおうと掃除屋に
連絡を取ろうとしていた。
悪魔とて血は出る。死体もほとんどは霧散するがある程度は残る。
そういった痕跡を消去する掃除屋も存在するのだ。

短刀に付着した血液を払う。
びちゃりと柱に血が着き、その後ろから息を呑む音が聞こえた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

523 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:03:16 ID:mz9JAuVI0

     ____
   /     \
  /         \
/     (●) (●)\     ……こいつは面倒なことになった。
|    (トェェェェェェェェイ) |
.〉     ∩ノ ⊃  /
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
中学生にもならないであろう少年の姿が、そこにはあった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

524 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:03:44 ID:mz9JAuVI0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                         └──────┘

                           ┌───┐
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525 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:04:10 ID:mz9JAuVI0

          /   \ヽ. ____ ノ .:.:.:.ハ
            /      ヽ、________.:.:.ハ
            /      ム {ヽ         `:.、:\
         |      |弋ハ__\           :.:.:.:.:.
         | /∨     | イvハ-x 丶         :.:.:.:.:.
          'V ∨ ハハ│ヽ{  ヽ \ j    :.:.:.:.:.
               \{ }ヽ ',0    ',  ヽ{ヽ ハ:.:./        あ、あのっ……僕、そのっ
             _lノ   ヽ     }    ∨ j/:.:.:.
                く .:.:.:.:.:.. ` ー―彡     .:.:.:.:.:.        「落ち着いて。何も口封じに殺そう、というわけではないわ。
             ヽ              ,  '  ̄ ̄ 
                  {__           u /              むしろその逆よ」
                  (`こ⌒)    /     /.:
             ∧( ) ' ⌒ヽ ´  /     .:./.:.:.:.:
          { ( )  .:.:.:',  /       .:.:./:.:./:
            ヽ_____ .:.xー┴'ー‐     .:.:.イ,.:.'.:.:.:.
【人間 利田史門 Lv5】

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少年は利田史門と名乗った。
メイヴが宥めているが、未だに恐慌状態が続いている。
無理もない。なぜあんな廃ビルに入り浸っていたかは知らないが、
そこに追い込まれた悪魔と鉢合わせになったのだ。

衛宮士郎の時よろしく、記憶を消して家に帰そうと思い、念のためCOMPを起動して
体内のマグネタイト濃度を測ってみると、常人の1.3倍を記録した。
どうも、霧散した悪魔の生体マグネタイトを吸収してしまったらしい。

生体マグネタイトを取り込むことで、人間にはメリットとデメリットが生じる。
一つは、肉体の強化。単純に筋力や魔力が上昇するのだ。

そしてもう一つは、悪魔に狙われやすくなるということ。
事実、サマナーの肉は悪魔たちの中でも美味だと広まっている。

つまり、この少年は悪魔の格好の餌に他ならないというわけだ。
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526 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:06:24 ID:mz9JAuVI0

                     _,,、---、  /`ー---、_
           ,   ._,、-― ' ´       `´((,、_ ,ィ-、`!
         ,、((._,ィ'´       ー.'二==テイト、ォハ´`))!ヽ
      /`/ト、`))          ̄__,ィ /乂Yノ少((.  ヽ
      ,イ ./ノ少、'          l  .l    i ((ゞ'´  ` l  ヽ,
     l   弋トン"   /  l     | l!  l!  l! l!  ))  l  l l   l
.    /!    )) ./ / l  l! .l  l l!.l .l!  l l l!l l! ´  l! .l l  .l
   ノ  l.  (( / .′l  l! .l l! i!.l i!  l!.l l!l.l l!    i! l .l!.l  l!
 ./   l   /./  l! l! l.l  l .l l l! l l! i!l.l l! l! l! l  l .l! l l!  /
./    / l .l! l!  l! l! ! ll! .l l!.l l!l.l .l! ll! l.l!l! l l l!  l l .l l / l        よしよし、大丈夫だから。
!  / / ./ i! i!-=ミ.、 l! l l.l((.l!i!.l! l!.l-十十‐!-i! l! l!   l l! l l!/./ l!
 / /  / .l l.l l!  .))l_l! l l ))l l! l!l l从==ュ. l! l .l! / l.l /././  `ー       歳はいくつなの?
/ /  /  l! l ll! .ィーイ_,`ヽ.'イ l!l!l .l!イん::ハ.ヽ l l! / ./ //!   __
./.|  /.|  l!  .i! .,イ´`'Z`メ! ヽ     乂z:ソ. './ ./ ./// /.l          「じゅ、十二歳です」
./ヽ. l l  l!、  i! フ 〈、Yノ ノ .l          ̄ /  ,′/ / ./ l
  ヽ! .l! i!ヘ  i! >`、´ 、,ノ  '       l   .l   /  /l            
 l  i! ヽ l ヘ .|  i!ヽヽ-イ))      _      ヽ,  ヽ .l!  .l l!
 l  .l!  l!   ト、 l l ヘ ((    ̄    ,ィ‐、ィ‐、  ヽl!  、l l
 l l l ヽ     l. ヽ l!l i> ,        ゝ,. `´ |  リ__  `ー
./ .l l  ヽ i  l  ヽ.i! l!   >__ , _ , ィ`l´  / / .`ー-
  .l l  ヽ .l! l  l l /l .,ィ、_ノ  ̄ゝイ   / /
  .l!l   l!.l! .l  ./ / l/l .,、- `i   | / /

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舌打ちをする。
ある程度は適性がないと人間の生体マグネタイトの吸収は起きない。
今回のケースは相当稀だ。

たまたまサマナーとして適性のある少年が悪魔の消える場面に立ち会い、
その生体マグネタイトを吸収してしまうなどという事態は。

しかし、年齢が年齢だ。
何とかして一般人としての暮らしに戻してやれないかと頭を悩ませていると、
史門の口からこんな言葉が飛び出した。
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527 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:07:00 ID:mz9JAuVI0

          /:::::/{_ ,. イ  ,.イ:::::::::::::::::::::\ `ヽ、   }、:::::∧
        /::::::::/   _,.x<:::::::::::::::::::::::::::::::::::>x_    ̄ ∨::ヘ:ヽ
       ./::::::::7 /::::::::::::/ |::::::∧::::::::::::::∧::::::|',:::::::::ー:、 V::∧ヾ
      7:::::::::::| /:::::::::::::::/  i:::7 ∨:::::: / ∨::! V:::::::::::ハ i::::::::',
      i:::::::::::::'´::::::::::::::/ -─:7= ∨:::/==- V{ __V::::::::::::::ヾ|:::::::::',
        ;::::::::::::{:::::::::::::::7 , -─=、  V,′,. --- 、 V:::::::::::::::::::::::::ハ
     イ::::::::::::::V:::::,'!::7 /   9 !     7 9  ヽ∨::::::::::::::::::::::::::}
   /ー‐ |::::::::,.}::::,' |:| .{     i      {      } V ∨,、:::::::::::::::!      その、喜留夫さん……あの化け物、
       |::::::{ Ⅵ, ヾ  、___. '      ` ___ノ  〃- {::::::::::::7
       |::::::| ( ハ            i        '〃  ' 丁 }::ハ::::,'       やっつけてましたよね。
       レハ:、`ヽ ',                u.     , - ' ,ィ/ V
             V>--',         ___          ,'__,.イ/           僕にもできるんですか?
             /V:::::::ヽ     ´──`     ,ィ:::::::/、
       x<: : : :Ⅵヽ::::> 、          , イ:::/Ⅳ: : :∧
     /: : : : : : : : }!: : \::::|: :>     <::::|:/}:,': : : : : : :∧
     厶-----z__: : : : : : : :ヾ{: : : : :  ̄: : : : : : :.|: : : : : : : : : : :∧

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メイヴが眉を上げる。
喜留夫は即座に首を振った。

「だめだ」

「できないってことではないんですね」

「ヒーローにでもなりたいのか? 悪いことは言わねえ、やめろ。
普通が一番だ。普通に生きられることほどありがたいことはない。
お前みたいな子供が、普通に生きることを取り上げられるのを、
俺は見過ごすことはできない。大人としてな」

「お願いします」

史門は頭を下げてきた。
困惑し、メイヴに助けを求めるが、自分で決めなさいとそっぽを向かれる。

「どうしても、化け物を倒せるようになりたいんです」
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528 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:07:21 ID:mz9JAuVI0

         ____
       /     \
.    /       \
.  / /) ノ '  ヽ、 \      ……分かった、理由を聞かせてくれ。
  | / .イ '(ー) (ー) u.|
.   /,'才.ミ)トェェェェェェェイ)/      それから考える。
.   | ≧シ'ヽェェェェェ/ \
 /\ ヽ          ヽ





        /:::::::::::::::::\:::::::::::::::::::::::::::>:.....
          /:::|:::::::::::::::::::::\´ ̄ ̄¨弋::::::::::::::::::::::>::.....
       {:::八::::弋:::::::::::::::ハ      ヽ::::::::::::::::::::::::::::::
         V{:::::ヽハ rミ ̄ ̄`/´ ̄ `ヽ  ∨::::::::::::::::::::::::
         弋::代:::.| '.          '.  )イヽ:::::::::::::::
             `ヾハ| .|   |       }    |::::>'⌒
             | 0j    O    ノ    レ'./>      ……五年前のことです。
            ノ`¨  ,;,  ー─=ニ  〃  〈⌒ヽ
             弋 ,,,    ミ  ''′゙'      )__ノ__
             从       r─‐-  -一≦三三三ミ
         ト、  丶  r‐-、 ├气ミ三三三三三三ニニ
         | ヽ   \`¨´   |     ̄ ̄  |三|
         |   `ー彡\   ',           j三j
          j        `¨¨¨´V       {三{
         {                V      l三ミ辷
        人              人     / `ヾミ

529 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:08:02 ID:mz9JAuVI0


      / !   |l | |,.>',ニ_ヽム'~l!'´|i!| !/,/ // /,ハl  /  |    ノ  | ''
      '   |   ハ ヽ/ | Vrォゝl!ヽi| 'l!|/‐/-/ 、//! , / !  | / /   |/
     '    |   | |!∨ ハ ゞしjイ! ヾリ!//'_/_//, \/ /!/ / !/ / /   l
  / ,    |    ハ| { lヘゝ二ノ      〃,. ‐/メノ\ , ,イ/ / /     !
, '  /     |   / ハ ゝニ、、           ヽ弋テノj|ノイ / ' / / /    !
      / | |  ! / . ヘ `冖''             ー   レ'  / / / /    l
/  / /   | |  ! /  ハ      _          イ/  / / / //    |
     ,. --人 |! γフ\    `      // /  /|/ / /     |
    /      \ノヽ!ヽ 「ヽ!\       __ イ! /    .イ / /  ,イ|     |
   '       ノ L___ `ーj V ノ ̄ノ、j ̄!._ ノ レ'   / | ノ´| / |     |
 /         V´ 〆 , イ / `ーγ" / , '  ,. イ|γ´  _|   |       |

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「僕は小学校でいじめられていて、居場所がありませんでした。
親がいないからです。授業参観に来たのが叔父さんと叔母さんで、
それがきっかけでいじめられるようになりました。
街の中で殴られていると、高校生の人が助けてくれたんです。
不良だったけど、とても優しくて。高校生のグループに僕も入れてくれて、
いつも一緒に遊んでいました」

メイヴが悲しそうに目を細める。
親がいない、という単語に反応したのだろう。
その後で自分を見たのは、十年前に母を亡くした自分と史門を
重ね合わせたからだろうか。

「その人と仲良くなって一年も経たない時でした。
その人が喧嘩で打ち負かしたっていう男の人が、迷彩柄の変な機械を持って
殴り込みに来て……さっきみたいな化け物を呼んで、その人を食い殺させました」

不良がCOMPを拾ったということか。
あまりよろしいことではない。子供の手にCOMPが渡るということ自体、
最近では少なくはない。そういった子供は大抵、悪魔を使った犯罪に手を染める。
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530 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:08:13 ID:mz9JAuVI0

      ,イ , イ     , イ ,イ         ヽ、     }  ヽ、
     ,イ ∧   , イ , イ ,、      ,、    ,  ̄ ゙̄ヽ    ヽ
    .,イ   / ゙ニニ - '"   / !     ,' .',   !',      ゙,ヽ、 ゙,
   /   ,' ,イ        / !     ,'  ',   ! ',   ,   !  ヾ
   /   !'        ,イ  !    /   ', ., t- ',   !    !
  ./           ,イ    !   , /     ,イ !  ',  !   !
 イ ,,        / / 、   .! /,'/     /, ', !、 ', , - 、  !
 ,イ i!   /    / /ー,->、/ / /  ゙ーイ!・i .', ! ゙,  〉イヽ i  !            許せないんです。そいつがまだ生きてるのが。
   i!   ,' i   ,' /イ.    !・!/!     i ゙"   i! / 、/ /、 !
   ,'   ,イ ,!  ./!' !     ゙ .!          " ,' イ ,イ、ヽ!ヽ           でも、僕には到底仇討ちなんてできなかった。
   .,' ./,' ,イ.! ,',.   ゙      ,      ゙ ー '''  i, イ  ヽ、 ヽ 、
  /イ /イ  i .,' ゙、    ー‐ ''".    i}        ! ./ ヽ、  ヽ、  > 、     あいつが化け物を使う限り、僕に勝ち目なんて
  ,イ,,,!   ゙ヽ、 ー ',                 , イ ,    ゙ヽ、  ゙ヽ、    ゙',
 "       /゙ ー-'、        ,ー---_-,    , イ  ./      ヾ,ヽ、 ゙'、   !   ありっこない。警察も動いてくれやしなかった。
          ,'     ゙ヽ、    "  ̄ ̄  , イ /  /         ゙ヽ,ヽ '、  !
        ,'       ヾ> 、  _ イ./ /    /           ヾ、',  !  けど、喜留夫さんが助けてくれるなら……
        i        i ヽ、     i ./   "             〉' ゙ゞヽ
        i        ,!  ヽ、   , -! !  ,              ,イー, i

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復讐か。

サマナーになる動機は様々だ。
人を守りたい、悪魔を殺したい、大金が欲しい、血が見たい。
その中でも、復讐のためにサマナーになる人間も少なくなかった。

「あの人は僕の人生を変えてくれた。色んな事を教えてくれた。
そんな人を殺して、今ものうのうと暮らしているあいつが許せない。
どうか、僕も化け物を倒せるようにしてくれませんか」

このまま突っぱねて放り出したところで、悪魔の餌になるのは
火を見るよりも明らかだ。

それならばいっそ、自分の下で自衛手段を身に着けてもらったほうがいい。

「いいだろう。ただし、条件がある。俺もその復讐に加担させろ。
チャンスがあればお前じゃなくて俺が相手を仕留める。それでいいな」
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531 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:08:26 ID:mz9JAuVI0

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532 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:08:43 ID:mz9JAuVI0

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           /::::::::::´¨:::::::::::::y::::::::::::::::::/:::::>-、.i::::::::',
        ,.=':::::::::::::::::::::/::/Z::::::::::::://::::::::::::i:::::::::::::iヘ,
            i:://::::::::::::/ニ、|::::/〃 //',::::/i::::::::::::::i
          〃 i::::::::::::,' .i.  9ヾ   -t''9´i/ヽ:::::;;;::::::i
           ノ:::::::i.=ハ ヽ--- '    ヽ-- '_/ ア/ヾi,
           /:::::i:\__',     , 、   ', __>、__
            ̄7/',:::ヘヽ   , -- 、 ヽ    7: : 7
            , --ヘi---> .      .ノ   .-': : :-.、
          `' <,      ヘ>- イ_,/     ヘ: : :ヘ
             \     ::|   .|        ',: : :.',-'" ̄ ̄ 7___
               \  /-'y-'".i         ヘ: : :ヘ    _  ヘ
                -) /-、    ',         ヘ: : :ヘ /: : :ヽ、 .\
             ,.イ,ノ./       ヘ       , --': -、: : : : : :ノ    >、_
               7   /        ヘ    , イ: : :/: : : : ----':、__
            i   /             ',   /: : : : ≠: ',: : : : : : : : :7--、ヘ
【名前】
利田史門
【種族】
人間
【レベル】
5
【属性】
Neutral-Chaos
【相性】
破魔無効
【能力】
力-E 魔-E 体-E 速-E 運-E

【スキル】
なし

【装備】
『ケブラーベスト』
ケブラー素材の分厚いベスト。
オーダーメイドの子供サイズ。

『小型の拳銃』
ハイスタンダード・デリンジャー。
中折れ式で相談数は二発。
簡易的な呪文が彫られており、従来より引き金を引くために必要な力が少なくなっている。
霊感の無い者にはおもちゃの拳銃に見える。

『お古の小刀』
喜留夫から貰った小刀。
簡易的な呪文が彫られている。
霊感の無い者にはおもちゃの刀に見える。

『小型COMP』
喜留夫が予備として持っていた小型のハンドヘルド式COMP。腕に装着して使用する。
メモリ容量も少なく、一度に召喚できる悪魔は三体までとなっている。

533 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:09:39 ID:mz9JAuVI0

                       ,  - ‐ .
l` 、                  , '   ,..---_ 、` 、
|   l 、             /l, '  ,.'"´  '´  `ヽ `、    ,ィl
|   l  l 、           l  ,ィ'⌒ヽ  ,-‐ヽ、___ノヽ ',∧//l|
|__, '  l  |` 、    /  /    l /   、   `ヽl l | / |___ _
|    ,'  l  l` 、 ∠,_  l     , /     l: /   VV/__ノ ヽ  ヽ  ヽ
|_ , '   ,,'   l  |l 、l  人   ノ/  、    トl/‐、ヽ |/'ヽ ヽ  l  l ⌒)
|     , '    l  |l  |ヽ  二_,ノ ト_、ヽ  | lu l |>.リ  ヽ ヽ l  lー‐'
|__., '     ,.'   ,','  | `、 ,' l  トlu ヽl\| ー' : ̄`<´  ̄ノゝー'
|         , '   , ','  ,.'ヽ  ',ヽ ヽ人_ ノ   、   ;   , '´、/           ああああっ!
ヽ''ー― ‐'   ', ' , <  } l|. ヽー――ァ r フ  ,:' ,   /
 ヽ _____,..-'''ヽ、ノ ノ..ノ.| |',`ヽ . ̄l- 二 -''`ヽ {,  /_,.<'''フヽ
  {、_ノ ,rヽ  ヽ、_,/‐':::::l |',ヽ,ヽ |   ヽ::::::::::ヽヽ       ` 、  ヽ
   .l \__ノ`ァ‐フ.//:::::::  l | ', `ヽ,l、_,   ''"`;::::::| |       `、  ヽ
.   l...   ~´ー'´:::::::ヽ::::::::::/| |  ',   ヽヽ     ;::: | | ヽ      `、  l
.  人     ::::::::::::::::::::::::::::::: ノ,,'  ,'   lヽ::},,,.. ''"';::::| |  ヽ     ,,,.--'
    `.、   :::::::::::::::::::::::/,,'  , '   /:::::;    , ';::::l/    ヽ   ,:'
.      `'''‐...,,___,.. ',,/ /  /、 ,'ー- '_,..'::::人      ヽ /
             ̄ ̄ ̄ヽ___/   i__,,r'´,..-<   )ー―,―''
              /,::'´ ̄      l-'',,r''ヽ ノ'''"   ヽ
                 l /        /ー‐‐''´三        ヽ
                l         /  /,rニ二''''ー――- ._ ヽ、
                l     ,.-‐'" //           `ヽ::::ヽ`ヾ 、
                人.     /:::::::::::::::::l l        、   l:::::::l:::::::ヽヽ


╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
翌日の午後三時。三津井市立阿垣小学校という名前の廃校に、
喜留夫は史門を訪れてやってきていた。

この廃校は常時異界と化している。
というのも、ガイア教団が購入した廃校をわざと異界化させ、悪魔を放流し、
鍛練の場として利用しているというのが実態だ。
とはいえ、出入りは割と自由だった。メシア教徒でなければサマナーは
誰でも入れる。

その一階の廊下で、喜留夫は史門を連れて下級の悪魔と対峙していた。
喜留夫はメイヴ一人だけを召喚し、後ろに控えさせている。
後方の警戒と、史門の護衛だ。

史門は小刀を手に、果敢に幽鬼ガキへと斬りかかっていった。
右肩から腹にかけて両断された紫色の体が霧散していく。

簡単な払魔の呪文を刻んでいるため、この程度の悪魔であれば問題なく葬れる。

「はあっ……はあっ……」

「大丈夫か?」

「すみません……ただ、ちょっと……肉を裂く感触が、慣れなくて」

「吐かないだけマシってもんだ。次に行くぞ」
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534 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:12:29 ID:mz9JAuVI0

         ____
        /     \
       /         \
     /     (●) (●)\      次は交渉だ。ほれ、とりあえず手土産にこれを……
      |    (トェェェェェェェェイ) |
      \   \ェェェェェ/ /      「は? なんで化け物と話なんてしなきゃいけないんですか」
     /       __|___
    |   l..   /l チャクラ `l     悪魔、だ。
    ヽ  丶-.,/  |__ドロップ _|
    /`ー、_ノ / ̄ ̄ ̄ ̄/





                  \
          、___,..-‐'''" ̄ ̄``ヽ、
      ー・、  >            .ヽ、_____丿
        `>´            ヽ /ヽ '-'
       / /     ,'          `ヽ |___
        ̄/     ,'           ヽ<‐‐‐`
        /     |    |、       "'''・ ._       悪魔を使わなきゃサマナーとしてやっていけないってことは
        |     从 、  |>・'´ ̄ |、 ヽ。「 ̄
      ・ ̄|  ∧.土弍|ヽ ´|ー‐ヾ  .| ヽ、 |`          分かりますけど、そのために悪魔にへーこらするんですか?
        //| .|、 .|、 i:j \ |.ij_,ヾ .|  》ヽ|
       .'´  `、ヽ_| .ー'' 、ヽl   uヽ| ,、|            「へーこらはしねえよ。ただ、サマナーは悪魔を討つと同時に、
           .|/| |、        ,.‐'´|`l
            ..ヽ| `ゝ._―- _,..'.|||  .〉、            悪魔と持ちつ持たれつの関係でもあるんだ」
             |~``ヽ   ̄|二彡.||ヽ /./‐ヽ、
              ヽ|.| |  , '.ー‐'''丿ヽ_/``ヽ、~ヽ、
             /<ソ| `-'    .).|      `ヽ .~.|

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運動が得意なのか、戦闘の方は然程問題はなかった。
敵の攻撃をしっかりと読み、避けることに重きを置いた戦い方を叩き込んでいった。

戦闘の方は問題はなかったが、交渉の方は全く持ってだめだった。

意識の底で悪魔に対する嫌悪があるせいか、交渉を持ちかけた悪魔にも
それを読まれ、ほとんどが取る物だけ取って帰ってしまった。

「仕方ない、今日は戦い方を重点的に教えていくか。
接し方はその後だ」
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535 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:12:54 ID:mz9JAuVI0

     __  _
     fi} ∨,ハ.∨
     _,::::ア__ヾ'_ ∨  ,ィ ァ        アオーン……オレサマボロボロ、ニンゲンツヨイ。
   f-;::::<タ_〕::/ ヽ_/  'ー- 、
   ヾ-ニv:::::::::ノ      、--'       オレサマナカマ。ソレデカンベンシロ。
      `ー、:::::ゝ  ^ー'ヽ}、 \
       ∧シ'.、  、:..、  ヽ ゝ
      ノ、 >ーヽ__ }¨ヽ:::::::|¨´
      └‐'  f"::::ノ  'ー.′
              ̄
【妖獣ガルム Lv5】

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わらわらと湧いてくる有象無象を蹴散らしながら校内を回っていると、
一匹の悪魔が命乞いをしてきた。

妖獣ガルム。冥府の番犬にして、最高の猟犬と名高い悪魔だ。
これなら初めての相棒に相応しいのではなかろうか。

史門を見やると、渋々といった様子で契約を結んでいた。

「初めての仲魔だ。大事にしろよ」

「……はい」

複雑そうな表情の史門をつれ、学校を脱出する。
ある程度の戦い方と、初めての仲魔を得られたのだ。成果は上々といった
ところだろう。
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536 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:13:52 ID:mz9JAuVI0

                   ..-‐  ¨ ≧ァオ¨_ミ:x.__
             ,ィニjァ='ィ     ⌒´辷彡ス `Y
           r:ヘ.Yツ / /   i l i ヽ  ` ヾ) i |
           トi ,ィ/ ′ i l l l | | l .ハ  ((  | !
                | jヘトN i  | | ィ7从┼l‐-i!  }` !リ
                レ′ l  Vアフ彡ィ/ j」⊥j、! イ  ハ、
           /   八 くヾrjYtリ  ´ヒ:z:ノ;7 /   Y ヽi
             /   /  ヽ卜辷r" :  "" { ! ハ    ト-ミ: ____             どうしてあんなこと言ったの?
           √ァ’ /   トミ Ⅵ(  ‐.‐  人ヾ {  , マ≧ レ==ミ`ヽ
          /〃 /イ ャ‐ミxヾ:`へ、_ ..√てハ>"{  ヽノノ     ヽ\         「あんな、って?」
       人{/ /  }   }rリ)  r' `’ ) _/   `ヽУく       )/
  .-一=彡 ハ /r‐ "  ,ィ Yヽ辷彡= _厂Y `う     レ/ \   ー=彡          復讐に加担させろってやつ。
ィ´   ̄   /ヾく  |  =彡  リ_ / > < 1| {:_  /イ\  丶
 /   /  /\-ィ    「ぇ≧z\_/ィミУ { 〃´  /ヽ   \
/    〃   ′  Y      | " ヾ ̄  ̄ /_  }.:′   /   }     ヽ





         ____
       /      \
      /         \       ……どんなに薄汚れていても、命は命だ。
    /   (●) (●)  \
    |   (トェェェェェェェェイ)   |     命は尊いなんて言うつもりはねえが、重みは相応だ。
    \  \ェェェェェ/   /
     /⌒ヽ   ー‐    ィヽ       なんせ人一人の人生を潰して、その重みを背負うわけだからな。
    /      ,⊆ニ_ヽ、  |
   /    / r─--⊃、  |      ガキのやることじゃねえ。
   | ヽ,.イ   `二ニニうヽ. |

537 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:14:10 ID:mz9JAuVI0

                  ,  -ィ''  ̄ '' -ヲrtjュ<´\
           / ヽr= /         \ヾイト}、  \
          / _ノヒj/               \{{_ヾ、  ヽ
           /  {{ /                  \ ハ\  ヘ
.          /  ∧{/   ィ   i    |   i  ,   ハ i ヽ  ヽ
        /  / {i   il  i l    ハ  ミ;,  i   i |   ';, ハ
.        /  /  i   ハ  i! i ヾ  i>-升ト i   l |   ヽ \
       /  /   l    il:  |ハハ.  .l _ヽi,Lハil    | |    ';,  ヽ       あなた、自分が仇を討つつもりでしょう。
     ,,;;'  /   ヽ   Vヽ ト))=、ヾ リ .ィ行芯;|   .| |    ヽ  ';,
   //  /     ';,  ミ;,ゞトュi}イ}    武::::リ.i   ハ ',     }  ヽ     「なんで分かるんだよ」
  /  /       ゞ、ミ人LУソ}}    " ̄ /イ  ;i, ハ     V /
/   ,'          川>=- ̄((  '_ _  / /  /il  i ',     i /i     分かるわよ。何年一緒にいると思っているの?
/   ,'           ,' i } >  )) `ー'   イ/ ,;/i il  l ヽ    ||}/}
.  _ノ            ノ/  i il,、 i>-  -イr、ノ/ /トイ  ト、 ';,    i ./
/          / / `l  込>  ̄i /!. . / / / ir〜─ 、\  / !
          / /  / il r-、/ /   .:/ / /} ) /   ヽ V∧ \
         / /  ./  ノ } / /!⌒´`i/ / / _,        ',//ハ   \





         ____
         /     \
.     / (ー)  (ー)\
    l^l^ln (トェェェェェェェェイ)\       ま、判断はあいつに任せるがな。
    ヽ   L \ェェェェェ/  |
     ゝ  ノ         /        殺すなら俺が殺すし、殺さないなら俺も手を下さない。
   /   /         \
  /   /            \      
. /    /         -一'''''''ー-、.
人__ノ        (⌒_(⌒)⌒)⌒))

538 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:14:20 ID:mz9JAuVI0

                     _,,、---、  /`ー---、_
           ,   ._,、-― ' ´       `´((,、_ ,ィ-、`!
         ,、((._,ィ'´       ー.'二==テイト、ォハ´`))!ヽ
      /`/ト、`))          ̄__,ィ /乂Yノ少((.  ヽ
      ,イ ./ノ少、'          l  .l    i ((ゞ'´  ` l  ヽ,
     l   弋トン"   /  l     | l!  l!  l! l!  ))  l  l l   l
.    /!    )) ./ / l  l! .l  l l!.l .l!  l l l!l l! ´  l! .l l  .l
   ノ  l.  (( / .′l  l! .l l! i!.l i!  l!.l l!l.l l!    i! l .l!.l  l!        件の人物、まだこの近くに住んでるですってね。
 ./   l   /./  l! l! l.l  l .l l l! l l! i!l.l l! l! l! l  l .l! l l!  /
./    / l .l! l!  l! l! ! ll! .l l!.l l!l.l .l! ll! l.l!l! l l l!  l l .l l / l         伝えるの?
!  / / ./ i! i!-=ミ.、 l! l l.l((.l!i!.l! l!.l-十十‐!-i! l! l!   l l! l l!/./ l! 
 / /  / .l l.l l!  .))l_l! l l ))l l! l!l l从==ュ. l! l .l! / l.l /././  `ー        「ああ。今日も夕飯にあいつを呼んだ。
/ /  /  l! l ll! .ィーイ_,`ヽ.'イ l!l!l .l!イん::ハ.ヽ l l! / ./ //!   __
./.|  /.|  l!  .i! .,イ´`'Z`メ! ヽ     乂z:ソ. './ ./ ./// /.l           飯食わせたら、話すつもりだ」
./ヽ. l l  l!、  i! フ 〈、Yノ ノ .l          ̄ /  ,′/ / ./ l
  ヽ! .l! i!ヘ  i! >`、´ 、,ノ  '       l   .l   /  /l
 l  i! ヽ l ヘ .|  i!ヽヽ-イ))      _      ヽ,  ヽ .l!  .l l!
 l  .l!  l!   ト、 l l ヘ ((    ̄    ,ィ‐、ィ‐、  ヽl!  、l l
 l l l ヽ     l. ヽ l!l i> ,        ゝ,. `´ |  リ__  `ー
./ .l l  ヽ i  l  ヽ.i! l!   >__ , _ , ィ`l´  / / .`ー-
  .l l  ヽ .l! l  l l /l .,ィ、_ノ  ̄ゝイ   / /
  .l!l   l!.l! .l  ./ / l/l .,、- `i   | / /

539 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:14:49 ID:mz9JAuVI0

                         ┌──────┐
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                                   □

                               ・

540 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:15:24 ID:mz9JAuVI0

__ /\                                                      __
.ヽ.  / / \                       .⌒>---. 、                       _/  -
.  \ /'   \__               __/:イ:i:i:i:i:i\:i:\, ヘ                    \
.   \      ヽ=ミ          {ニ/:i/:i|:i:|:i:i:i:i:i:i:Ⅵ:i:i寸ミ7       ___   ´  \\ ノー
      \   / /{......ヽ         </:i:i:i:i:i:i|Ⅵ:i:i:i:i:i:ヽハ:i:i:i:i:iV\     /..........{\\     ´
         __,ノ.............. ゝ--=ミ>- /:iイ:i:i:i:i:i十ヽ从才´ i:i:iⅥ::i:ミシ     ノ......... 人   /
        /:|.....................}  < ヽ〃/:i:i:i:i:i:i:ix= 、ヾ=x|:i:i:iV:i:∧   / |、................\)        今日はあれ?
        , :人.................∧  <  { /:i:/:i:i:i:i:从   - v  |:i:i:i:i:i:i:i∧ /  |: \............./
        : : : : : ̄ ̄:\:i|  /  /:i/ {:i:i:ii {∧ 乂:::::::/ 从:i:i/:i:i:|ヾ-''   ∨/\ ̄          チキンとエッグのソイソースかけ?
          i: : : : : : : : : : : i|   ̄\ ,:i:i' |:i:从 V_ ≧ - イィ }/:i:i从ハ :i /   V: /: :.\
         : : : :|: : : :/: : : i|     'i:/(八:i  ヽ}洲洲洲洲{ ノ:i:i:/:i:i}:i:i:|,/'    V: : : : :.:\         「親子丼な」
       |: : : :|: : :/: : : : i|      、 >ヾ   }   |   {´ /:i/:i:iヾ:i:/、    /! : : : : : : :.ヽ
       |: : : :|: :/: : : : : i|     ----- >\/≧=--=≦、// ヽ:i:i:Y:i:i} -=彡, : : : : : : : : : i       僕あれ好きー!
       |: : :.:.し': : : : :.:.:i|        ><: : : : : 人)/ ': :\八:i:i:i:ハ  /: : : : : : : : : :.:|





   〃    /  /  /   l  l 、          ヽ
   {i{イ   | | | /  | ∥l∥l l ヽ{   ミ、 ヽ、 ri }、|
   _ツ   /|| || || /|、| || l | lト、 `ヽ 、、ミ、 l| { }八!
  ≧‐_,  lハl| lNl/ lト、l|| ヾ! l| ヾト、 }|ト、 ミ、ノ  メ,_ノ
    / ィi l l ト三≧x、il_ヽ ヽ l_,,リ≦三 ヽ|l  `=彳
    l/ lい、l ト、lゝ `ニ’`ヽ(\ ヾ `ニ’_,`  }! 、トー '       黒蜜ぶっかけていい?
      ヽハ{、         ` ヽ    〃7リ
        ト、_j                  厶イ           「殺すぞ?」
       ノイ lハ       _ _     / トゝ
        j/| |l 、     __     /!l l ト、           おっす、サーセン。
           jノ|| \   ´ 二 `   /|从ハ{、
           ト、ヽ  \     /  |!  ヽ\
          _| \\  ` ー─ '    | l / /
    _,. -‐くヽ!   | |          ∨ / / \

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
史門が自分の下でサマナーとして鍛練を積むようになってから、
我が家の食卓は一層賑やかになった。

パイモンは料理の名前を憶えないし、ヨシツネは何にでも黒蜜をぶっかけようと
するが、それでも楽しい食卓であることには変わりなかった。
そこに史門を招待したところ、最初は縮こまりながらちびちび食べていたが、
途中から馴染んできたらしく、パイモンと苦手な野菜の交換などをするように
なっていた。

「ねえ、君の大事な友達ってどんな人だったの?
僕、そこんところ全然聞いてなかったからさ」

パイモンが無邪気な声でデリケートな話題に触れるものだから、
慌てて止めようとする。が、史門は然程気にしていないらしく、
「暴れん坊でした」と懐かしそうに笑った。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

541 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:16:03 ID:mz9JAuVI0

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  .l:.:.:.:.:./r、 ヽ:.:.:/ V 彡三三三ミ        . ,':.:.:.ヽ:.:.:.:.:.i       不良で、能天気で、スケベで。
  l:.:.:.:.:ノ ,ヒ ヽ V                  ィ≡ョ、.,':.:.:,ヘ:i:.:ハ:.:.l
 .l:.:.:.:〈 ( `(      _   ```      i   ,',':.:.:/:.:.:l/ ヽ:|       でも、どこまでも優しくて、意思が強くて、凄い人でした。
 l∧:.:.:.ヽ、`ー  ,, - '' ¨: : |             〉` '.ハ:.∧:.:/
   ∨_:. -`ー '': : : : : : : : :l           ```! V |/           僕のこと、「お前は俺の兄弟だ」って言ってくれて。
  , ィ´: : : : : :_.. -‐ ''' ¨ ̄l      「 ̄7     ノ
. f: : :_ ィ: : : :l         ./.      ー '′    /                喧嘩の仕方とかも教わりました。
. l/  l: : : :l        i          ,  '
 !    l: : : l         l    、...__..、-
 ゝ   ';.:.:.:',      l      /  `ー―――‐‐―ァ
ノ, --‐二:.:.:__ヽ     l       /           /





     ____
   /     \
  /         \
/     (●) (●)\      だから年の割には動けるのか……
|    (トェェェェェェェェイ) |
.〉     ∩ノ ⊃  /       (こりゃ結構な逸材かもしれねえな。十年もすれば化けそうだ)
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

542 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:16:53 ID:mz9JAuVI0

   |  {    |     ハ   '  乂込りイ、`ヽ
   |   '  |  ミ、 i   |ハ ゞ=彡ノ/z i
   |   ヽ .!   ハ:}|i: ! {  '  i  ゞ=ソ i:!
.i   |   ハ:{.  r=彡|{|ノi  |. | ヽ  八
:|   ! >ー从_}{ i ! |.川 i{ `ヽ |   !  ハ 、  ゙
   |{ / ーヽメ 八ハ!{ !ノj_z_j   |  .'{  ヽ
ハ  人ハr=ミ ハ ハ   ノ从 7Zマ.く_ ' | {八          素敵な人ね。ちょっと喜留夫に似てるかしら。
  / }込八irくイ_ノ ノ    i.i゙;;;}j ' ハk , ! i  ヽ
 { :{ゞ=ミ_ノ/    ,  ゞー" / ノ/  |i ゝ           「かもしれませんね」
.八 ∧   '' j:i ''     ノ   "″,イ./{  八 `ー
.  ヽ∧   八{_ノ、_       ./rーミ八   `ー -        主に能天気でスケベってところが。
   \ヽ.      ̄ ´  イハ  }vー 、`ー -
 `ヽ  \>     . ィ´,⌒´     ノ `ヽ         私も、喜留夫があんまり触るせいで胸がBからCに……
ハ  \  ヽハ≧=彡} `ヽ      `ヽ ハ
  丶.  \   }、 { /           ノ   }        「おっと、そこまでだ」
   \   ヽ ノ iト、∨           \  '

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
メイヴの胸の話はともかく、史門の兄貴分だった男は、史門にとって相当
大きな存在だったことが伝わってきた。

「史門、後で話がある。食器洗い手伝え」

声色から何のことか察したのか、史門が神妙な表情で頷く。
その眼には、いつか見た暗い火が揺らめいていた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

543 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:17:27 ID:mz9JAuVI0

         ____
       /       \
      /         ヽ
    /     ( ー)  (ー)'         お前の捜している男はこの町に住んでいる。
    |     (トェェェェェェェx ,--、
    \    \ェェェ<  ヾ zヽ        現在二十二歳。工場勤務だ。
____/          \/| |
| |  /  /            __ノ        帰宅ルートから、襲撃に適した場所も割り出してある。
| |  /  /          |
| | (    ̄ ̄ ̄⌒ヽ.   |            決行は明日の夜だ。……できるか?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|





      ,イ , イ     , イ ,イ         ヽ、     }  ヽ、
     ,イ ∧   , イ , イ ,、      ,、    ,  ̄ ゙̄ヽ    ヽ
    .,イ   / ゙ニニ - '"   / !     ,' .',   !',      ゙,ヽ、 ゙,
   /   ,' ,イ        / !     ,'  ',   ! ',   ,   !  ヾ
   /   !'        ,イ  !    /   ', ., t- ',   !    !
  ./           ,イ    !   , /     ,イ !  ',  !   !
 イ ,,        / / 、   .! /,'/     /, ', !、 ', , - 、  !            やります。僕があの時生き残ったのは、
 ,イ i!   /    / /ー,->、/ / /  ゙ーイ!・i .', ! ゙,  〉イヽ i  !
   i!   ,' i   ,' /イ.    !・!/!     i ゙"   i! / 、/ /、 !             この時のためだから。
   ,'   ,イ ,!  ./!' !     ゙ .!          " ,' イ ,イ、ヽ!ヽ
   .,' ./,' ,イ.! ,',.   ゙      ,      ゙ ー '''  i, イ  ヽ、 ヽ 、           あいつを殺せるのなら、何だっていい。
  /イ /イ  i .,' ゙、    ー‐ ''".    i}        ! ./ ヽ、  ヽ、  > 、
  ,イ,,,!   ゙ヽ、 ー ',                 , イ ,    ゙ヽ、  ゙ヽ、    ゙',
 "       /゙ ー-'、        ,ー---_-,    , イ  ./      ヾ,ヽ、 ゙'、   !
          ,'     ゙ヽ、    "  ̄ ̄  , イ /  /         ゙ヽ,ヽ '、  !
        ,'       ヾ> 、  _ イ./ /    /           ヾ、',  !
        i        i ヽ、     i ./   "             〉' ゙ゞヽ
        i        ,!  ヽ、   , -! !  ,              ,イー, i

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悲しい光景だった。
中学生にならない子供が、刃物と銃を携えて、握り拳を作っている。
こんなこと、史門が望んでも、史門の兄貴分は望まない筈だ。

だが、復讐を止める気にはならない。

史門は大事な人の人生を踏み躙られた。
自分の大切なものを蹂躙され、その屈辱と悲しみを飲み込んで生きていけ、
相手を許せ、聖人になれなどと言える人間は、世の中を欠片も知らない
聖人気取りのクズだ。

復讐は必要なことだ。過去に決着をつけなければ、史門はこれからを生きていけない。
この子供は過去の鎖に囚われたまま生きていかなければならなくなってしまう。

だが、その鎖を引きちぎるには対価がいる。
罪という名の対価が。
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544 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:17:41 ID:mz9JAuVI0

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545 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:18:03 ID:mz9JAuVI0

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                '  ,              , '゙
                    ゙   、 ,,,,,,_____,,,,... ''"

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
その日は満月だった。
まるで一つの大きな目が、これから殺人を成そうとしている自分たちを
見張っているかのように、藍色の空に浮かんでいた。

「行くぞ」

史門を連れ、事務所を出る。

標的はもうすぐ退社し、帰路に着くところだ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

546 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:18:24 ID:mz9JAuVI0

                         / i
               /^ ,     / /^{
               , ∧‘,   ,  /:::::|
                 i i:::‘,,____/__ /_::::::|
                 | |::::::‘,  ト、  `ヽ、
                 i }_::/   |::::\   ,>
               i!         i::::::::::\/:::::}
              | 、――――....:::::::::::rイ「i:|                 アオーン、サマナーノテキ、オレサマノテキ。
              | \::「¨ヒ廴}}::::::::::::::V_ノ::!
              |   >. 、_ーノ'::::::::::r‐ ┐:,′                 チカラヲカスゾ、サマナー。
              i /:::::::::::::ト、:::__::::` ー'_/\    /レ1
              八  ̄ >:::`.ー'´::::::`::フ′  \,ク  ∠ _
                    i  フ::::::::::≧=ァ''´           <    _」__
                    |    ̄ }:::::::/}/       {     /   // ハ
                    |   ト、 }:/∨    / ̄∨}    \ー‐''     }
               , !   V:::::::::::/    /     }    「       ,
          __   ./ .|   ∨::::::,     .{     ∨ハ i !       /
         r.f::::::::>.、! |__   \::}_ ∧  八       ハ/      /
         し`ー- 、::::く`ヽ}:∨ハ_/ }:::::::V^/:::: >-z___ /        ,
        乂::>=<:「  ノ:::::::::::::}‐ ノ:::::::::::::}f'´:r::::::::::::::::} \        /
              `Y::r:::r::::::/ f::r:::r::::::/  ̄`ー―''”     ̄ ̄
               ー―‐'  ー―'''

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
史門の仲魔のガルムは、史門の冷たい態度にもかかわらず、
忠実な様子だった。

「チュウジツデアルコト、スナワチリョウケンノホコリ。
オレサマハサマナーノキバダ」

「ガルム……」

流石に史門も思うところもあったのか、そっと灰色の毛並みを撫でた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

547 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:18:39 ID:mz9JAuVI0

       ____
     /      \
   /         \
  /        (●) \      奴はいつも近道をしようとして、この細道を通るんだ。
  |       (トェェェェェェェェ
  \      \ェェェェ ,       お前はそこで待っていろ。俺が後ろから挟む。
  /           <

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
喜留夫はヨシツネを召喚し、史門をビルの隙間に待機させた。
反対側で標的がやってくるのを待つ。

男は工場の制服のまま、リュックを背負って歩いてきた。
武器の類は見えない。

細道に入ったのを確認し、後を追う。
そこで、史門と男が対峙していた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

548 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:19:01 ID:mz9JAuVI0

.             /.... /..    >ー- ._`. 、     ヽ
          /.... /-、    / /./..../   ヽ`.、.      ヽ
          /  /  /.     V /..../...   ヽ`、..    ヽ
.         /   //.... /.     V...../.       l..`、     ヽ
       /   //  / ,..-‐‐- 、ヽ/       ノ.  `、.    `、
       /... ,'. ヽ_.ノ/      \ ー―     _.. l    l`ヾ
        /.,イ l   /         `ー----‐''´.. ヽ|    |〉、
.      |/..| . |.../              /|   ,,  __  l、|./ `ヽ
        | . ー'                ,イ.....|  / | /ヽ|/、|. /  / ヽ
        |.       |ヽ.. |....  /|.. ,イ |/|∧|. ,イ |. /.. /  /  `、
        |  ,ィ   |ヽ|`.', |、...../. |. /' |/..ツ.  |V |/  ,ィ..l  /.    `、
        |/ |. ,......ヽ.ヽ. ヽ|ッ、/.....|/、     ノ|/... / /.| / /...  `、
       /  |/|. ,イ lヽ..`ー―'..      ̄ /... /   |イ . /..     `、
        /. //...|/ ヽ|  l          /   /    | |/         ',
.      ,'/ /_..    ヽ   ヽ     /... /.       |/ヽ          ',
.     ,'       ̄.'''.―...> 、 ‐―-....><         /ヽ....|           ',
.     ,'     _,..-'''" ヽ ヽヽ . ̄ ´   `ヽ     /  l....|            ',
.    ,'   ,.'"    / ヽ ', ヽ ` ヽ.     ヽ  l.... |....|              ,
.    ,'  /       /    ヽ ',  ヽ.  ヽ       ヽ l.... | . l..  ////  ,
   ,' . /      /      ヾ...  ヽ  ヽ     l |  |  ヽ////.     ,
   ,'./      /.          ヽ...  ヽ.... ヽ.    | ヽ ヽ ////       ,

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「なんだ、このガキ……」

男は言うが早いか、ガルムを見た途端リュックから迷彩柄のCOMPを取り出した。
生体マグネタイトの燐光が舞い上がり、三体の悪魔が呼び出される。

魔獣ジャージーデビル、地霊ノッカー、凶鳥オンモラキの三体だ。
どれも下級の悪魔だが、今の史門には荷が勝ちすぎる。

が、史門は怯むことなく、ガルムと共に三体の悪魔に立ち向かっていった。

自分も銃を構え、アイコンタクトでヨシツネを先に行かせる。
跳躍したヨシツネは史門の目の前に音もなく着地すると、
地面に伏せるような形で一回転し、刀を振るった。

ずるり、と鮮血をしたたらせながら悪魔たちの上半身と下半身が横にずれる。

呼び出した仲魔を両断され、狼狽する男の背中に、喜留夫は銃を突きつけた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

549 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:22:11 ID:mz9JAuVI0

.            l     /ミV.      ,イ. |       /|   |ヽ             ',.
             V..   /ミミ.V      / |.. |.      /. | ∧..| ヽ            ',
     |       V.  /` ヽ、.V....  /. |. /|     /  |../ l..|   ヽ          ',
     |.      ∧... |    .V.  /  |/. |.      l.  |/......| | / ヽ.           ',
     |.      / .V l.     V. /ヽ.   |     l     .| |'   /        ∧..... l
     |     /...... V |.     V....> ヽ  ヽ.   l     ./| |.  ./       /. V......|
     |. ,イ  /.     ヽ|        |lll.ヽヽ.  ヽ   |     / ,|/-‐ァ'.       /...... V |
     |/ | . ,'l               `' .lヽヽ.. ヽ....|. ノ. ,イlj´.. ,イ.       /    ヽ|
、...   | . |. ,'ミヽ                ,'ミミzー''´.ヽ|/彡ノ゙'''´. ノ;|   /|...../
..\   | . |/ . ミヽ________ノ''ヾ三.<三ミ,r''´三三彡ノ;;l /......|. /          死ねっ……!
.\..ヽ....|.      ヾヾヾヾヾヾヾヾヾ,..-'''"ミミミミミミミミ(ヽミニニニ彡'ノ;;|'´    |/
.......\ヽ|.          .-‐ '''""~               ヽ.       ,'
    \                            ',.     ,'
....    \                        ‐,  ノ      ,'
.        \.       ,. '´ー-、_           .ノ   , '
.         \     イ  l    }'´ ~""''' ‐---―ァ''´   /
            \.  ヾー'ヽ、_r'´ヽ、 ノ、_ノト--ノ   / \
            \..  `゙゙ー--‐ '''""~ ̄ ̄ ̄ _,.../"    \
             \     __,,.. .-‐ ''' ./            \
         ミx-ー<                /..    ,..-‐ '''""~


╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
史門が駆けながら短刀を振りかぶる。
男がひいひい言いながらこちらと史門を交互に見やり、
命乞いをするような視線を送ってきた。

戦い慣れしていない。少なくとも、死線をくぐってきた様子はない。
これが久しぶりの戦闘なのだろう。恐らく、五年前のその日からCOMPを
抜いてこなかったのだ。

両者の距離が一メートルほどに差し迫った時、男の懐から音楽が流れた。

「頼む、出させてくれ」

史門は立ち止まり、そのまま黙り込む。

「せめて、一つ言い残させてくれ」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

550 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:22:40 ID:mz9JAuVI0

             _____
             `ヽ____~"'''‐-..
          _,..-'''"    `ヽ ̄l´`ヽ `ヽ、
      _,..-'''" /        \.\  \  \
         ̄ ̄/  ,、         .\ \  \ .\  ,'l
          /  .l/ |    ,ィ      .\ ヽ___.lヽ  .ヽ'..|
       /,イ __...人  ./`|       .`、   `、   .|
      .l/ ./    `、 /  |   l     `、   l   ノ、
         /      .ヽ'  .|  .人l     `、  . |    .\
       ./ __        .| ../  |      l   .|      ,>        兄貴には、遺言すら残させなかったくせにっ……!
      / '  ̄`ヽ      | ./ ....| .∧   .|  /       .|
       /           |/    |/~ヽ、   | ./        |
       l                  j´-`、 .|/         .|
      l              __ ,、 ー- ノヽ.|ヽ, .     .|
      `ヽ、     ____ /  `ヽー‐'´   /-、     .|
        .|`ヽ、        /~"'''‐..`ヽ、_    .|    lヽ|
  ___  |/l/l/ヽ       |    `丶、  ̄`ヽ、l   .ノ
  ヽ     ̄ ̄ ̄~.|      .|      /  /ヽ,_ヽ__/
   `、        |      .|       /_,..-'''"‐‐、   ヽ
    `、      /.|     .|  ./ /       \  \
      `、    /...|     ./  .//           .\  \
      `、   l .|    /  ./              \   \
       >、 .|/    /  ./                   \   \


╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
史門が男の懇願を無視し、再び小刀を振り上げる。
それを手で制止した。

なんで、と目で訴えかけられるが、それでも制止する。
喜留夫は男に電話をかけてきた相手の見当がついていた。

男は沈黙を肯定と受け取ったのか、スマートフォンを取り出し、耳に当てた。
静まり返った細道に、電子音声が小さく響く。
微かに聞き取れるその言葉は、史門の目を絶望へと塗り替えていった。

「ねえ、まだ帰ってこないの? 妊婦一人で家にいるのって大変なのよ?
今どこにいるの?」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

551 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:22:58 ID:mz9JAuVI0

          /: : : : : :/        |     ',        ヽ: : : : : : : : ::ヽ
         /: : : : : : ィ           /      ヽ          }\: : : : : : : : \
         /: : : : : ://       ノ  __   \____ノ   ',: : : : : : : :ト、\
       /: : : : : ::/ ヽ、___ ,/ /: : : : : :`ヽ、     __.  ',: : : : : : : ',
      /: : : : : : : /  ____,イ: : : : : : : : : : : :`ヽー―く: : : : :\ ',: : : : : : : ',
      ̄ ̄|: : : : / /: : : : : : /  ',: : : : : : : : : : : :ト、::ヽ    ヽ : : : ::\l:: : : : : : : ',
        |: : : ::|/: : : : : : : /、   ',: : : : : : : : : : ::| \V´ ̄ ',: : |: : : :ト、 : : : :/V
        |: : : : |: : : : : : : : ::| \  ',:: :: :| \: : : : |  ∠--、   ',: :|: : : j } : : /
        |: ハ: : ∧: : : : :∧ |'  ̄ \ ヽ::::|   \: : |/O   ヽ l::∧: : j /::/V
        V |::/{ rヽ: : : | {ヽl     0ヽV-} \r'\|        } リ /ノVノ:∧
        / /V ヽ{ \:::| '、      ',       ヽ、   ノ"  // /:::ノ ヽ、
        /  /   ヽ  ',   ヽ、 __ ノ...:::::::::::::::::........ ̄ ̄   /__ノV   l ̄ `ヽ
    /   /     l::\__',     ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::   /V      ',    \
   /    /      V^ヽ: ',           〈            /         ト、_   ヽ
   l  //         `ヽ、    ___ -―二二>   イ           ノ \`ヽ. ヽ
   | /  \            ヽ、  `ー―‐  ̄     / j    ,-― ̄ ̄    l  \ ',
   | |    `ー--- ___  | `  、        /  /   /           }   |  |
  __| |          \  ヽ  l\   ` ー----‐ ´   / //          j   .!  !
 r' __|\          \  \ヽ `ー-、     r―'´ j / ,/          /   }/\
 | |  ヽ \           \  ヽl     ヽ    /     l   /           /   / \  ヽ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
男はただ一言、「なんでもないよ、すぐ帰る」と言って、電話を切った。

「こういう日が来るんじゃないかって、そう思ってた。
人を殺して、警察からは逃げきれても、もっと他のものからは逃げきれない気が
していた。お前、カミナの家族か何かなんだろ? 俺、文句言えねえもんな」

男はCOMPを投げ捨て、両手を上げた。

「なんだよ……なんだってんだよ」

史門は肩をわなわなと震わせながら、唇を噛んでいた。
赤黒い筋が顎を伝っている。

「なんで、お前みたいなやつが幸せになってんだよ!
なんで悪党が悪党らしく生きてないんだよ!」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

552 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:25:15 ID:mz9JAuVI0


       ____
     /     \
   /         \
  /     (ー) (ー)\     …………。
  |    (トェェェェェェェェイ) |
  \   \ェェェェェ/ /
  /           |

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
喜留夫は引き金にかけた指に力を入れようとした。
史門がこのままこの男を殺そうとするなら、それでいい。

だが、史門はそうしなかった。

小刀を取り落し、膝を突いて、涙を流していた。

「うっ……あああ……なんでだよ……なんでお前みたいなやつが……」

喜留夫は銃を男の背中から離した。
結局、史門は過去に決着をつけられなかった。
男を殺すことで生まれる悲しみを背負えなかったのだ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

553 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:25:28 ID:mz9JAuVI0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                             │ :: │
                             └─┘

                               ┌┐
                               └┘

                                   □

                               ・

554 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:25:45 ID:mz9JAuVI0

.          /: : : :/    ノ     ヽ    \: : : : ヽ
          /: : : :/    / ,-―‐-、 \   \: : : :',
       /: : : /(   / ,イ : : : : : : ヽ、`ヽ、_ハ: : : ::',
      /: : : :/ 二二_ィ´/: ;ィ : : : : : : /`ー┬---、ゝ: : :',
    ∠: : : :/レ: : : ::/ ̄l//: : /j::/ ̄ ̄|: : : : ::ヽ: : ::',
     /::/: :/: : : : :/ ,--- /::/  ,リ ,--- j∧: : : : :l: : : ',       今までありがとうございました、喜留夫さん。
     " |: : /: : : : :/ ,/   /イ     /    ヽ ',:: :: ::|: : トヽ
.       |: : l: :/ヽ| {   O j     l 0    } }: /ヽl: ::j ゛
        l: : l: l ´てl ヽ、__ノ      ヽ __ ノ ,!/く }:/
       |: ∧{ ヽ l        {        /ノ ノ/
       レ' V\. ',    、____,    / //
           Vハ\                 ノ<__/7
          /  ヽ \         //V   / /
            ヘ      V `iヽ、__  イヽ |     / /
           ヘ       |         |      / /
           \     ノ         |       / /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「僕、サマナーを続けようと思います。この力で、少しでも僕と同じような思いをする
人が減らせればいいなって、そう思うんです」

復讐を成し遂げられなかった史門は、喜留夫にそう告げた。

「困ったらいつでも来い。力になってやる」

「ありがとうございます」

史門は無理をして笑っているようだった。
これから、史門は一生兄貴分の死を引きずって生きていくのだろう。
だが、それが史門の選択なのだ。

子供が大人になるということは、自分で生き方を決めることだ。

史門も一つ、生き方を決めた。決着を着けず、鎖に巻かれたまま生きていくことを。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

555 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:26:21 ID:mz9JAuVI0

            《薇t〕  ― ミ
            r=彡 ≫"      \
            | ./
          .j / / 〃 /:,       《薔》
        ,./ r≠ミ:li} /_   }l .!     Y
      〃   ;:廾ナ|j}/_/く>〃:./     |       電話が来なかったらどうしたの?
       ハ  ./.:k",   f.::jY≠ /   {  :I
      Y  /   r _  /  〃   :. Ⅵ       「どうもしないさ。あの男の運が良かったんだよ」
     ノ .:Ⅳ(∧ _ /  /∧    :::. \
    /    ハ )  >Y⌒7^(/∧     :::} )
:  Y'   / r(⌒)n..人 /  j//ハ    / ノ
   乂 / / /℃ ./∧_N一^彡//  //∧
     〔  :{ / rソ⌒) / ノr ソ// / (   ヽ





        ____
      /     \
     /         \
   /    (●) (●) \      ま、これでよかったんだよ。
   |   (トェェェェェェェェイ)  |
    \  \ェェェェェ/ /       あいつの人生、これからってことさ。
.    ノ    / )ヽ   く
   (  \ /__ノi ) , )
.   \  ゙ / ヽ ヽ/ /
     \_/    \_ノ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
COMPと装備を取り上げることはしなかった。
自衛手段になりうるというのもあるが、いつか史門にしか守れない人が出てくる
気がしたのだ。

そうした時、自分の無力を後悔してほしくなかった。

史門の背中を見送り、喜留夫は事務所へと引き返した。

「さ、次の仕事だ。あいつは中々の逸材だからな、サボってるとすぐ追い抜かれるぞ」

「贔屓目ねえ」

この先、史門がサマナーとして何を成すのか。
それは自分ではなく、史門の物語だ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

556 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:26:39 ID:mz9JAuVI0

                       ,  - ‐ .
l` 、                  , '   ,..---_ 、` 、
|   l 、             /l, '  ,.'"´  '´  `ヽ `、    ,ィl
|   l  l 、           l  ,ィ'⌒ヽ  ,-‐ヽ、___ノヽ ',∧//l|
|__, '  l  |` 、    /  /    l /   、   `ヽl l | / |___ _
|    ,'  l  l` 、 ∠,_  l     , /     l: /   VV/__ノ ヽ  ヽ  ヽ
|_ , '   ,,'   l  |l 、l  人   ノ/  、    トl/‐、ヽ |/'ヽ ヽ  l  l ⌒)
|     , '    l  |l  |ヽ  二_,ノ ト_、ヽ  | lu l |>.リ  ヽ ヽ l  lー‐'
|__., '     ,.'   ,','  | `、 ,' l  トlu ヽl\| ー' : ̄`<´  ̄ノゝー'
|         , '   , ','  ,.'ヽ  ',ヽ ヽ人_ ノ   、   ;   , '´、/
ヽ''ー― ‐'   ', ' , <  } l|. ヽー――ァ r フ  ,:' ,   /
 ヽ _____,..-'''ヽ、ノ ノ..ノ.| |',`ヽ . ̄l- 二 -''`ヽ {,  /_,.<'''フヽ
  {、_ノ ,rヽ  ヽ、_,/‐':::::l |',ヽ,ヽ |   ヽ::::::::::ヽヽ       ` 、  ヽ
   .l \__ノ`ァ‐フ.//:::::::  l | ', `ヽ,l、_,   ''"`;::::::| |       `、  ヽ
.   l...   ~´ー'´:::::::ヽ::::::::::/| |  ',   ヽヽ     ;::: | | ヽ      `、  l
.  人     ::::::::::::::::::::::::::::::: ノ,,'  ,'   lヽ::},,,.. ''"';::::| |  ヽ     ,,,.--'
    `.、   :::::::::::::::::::::::/,,'  , '   /:::::;    , ';::::l/    ヽ   ,:'
.      `'''‐...,,___,.. ',,/ /  /、 ,'ー- '_,..'::::人      ヽ /
             ̄ ̄ ̄ヽ___/   i__,,r'´,..-<   )ー―,―''
              /,::'´ ̄      l-'',,r''ヽ ノ'''"   ヽ
                 l /        /ー‐‐''´三        ヽ
                l         /  /,rニ二''''ー――- ._ ヽ、
                l     ,.-‐'" //           `ヽ::::ヽ`ヾ 、
                人.     /:::::::::::::::::l l        、   l:::::::l:::::::ヽヽ
                                             〜引き続きお楽しみください〜

557 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:26:57 ID:mz9JAuVI0

┌───────────────┐
│                     ...│
│   第十一話『破壊の天使』    .│
│                     ...│
└───────────────┘

558 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:28:48 ID:mz9JAuVI0

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                      / /
                 _/ /-―――
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             ;′:::/ 乂::::::ノ:::::..::::::::::::
              |::::::;′/ ′:::::::::Y⌒ヽ::::::
              i::::/ _/ 乂::::::::ノ:::::::::「`Y
           (_/ /     ̄ ー―‐t::::ノ
.           / /
          / /
            /  ′
        //


╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
あるメシア教徒の手記。

【一日目】
フランス郊外の村で、一人の少女が確保された。
名前はオデットだったか、オディールだったか。
今では些末なことだ。

肝心なのは、その少女が神の断片の転生体である可能性が高いということだった。
少女は村で聖女として崇められ、様々な予言を神託として口にし、見事に的中させて
いたということで、メシアサマナーが調査に赴いたところ、以前顕現したことのある
神霊エロヒムと同じマグネタイト反応が確認されたとのことだった。

私に任されたのは、その少女の解剖と改造。
これほどのプロジェクトのリーダーに抜擢されたことを誇りに思う。

一日目は記憶の消去と簡単な洗脳施術のみで終わった。
明日が待ち遠しい。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

559 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:32:18 ID:mz9JAuVI0

           ‐t ニ二二= 、
      r‐<. : : : : :\   、 \
    / ̄`:...、 ヽ : : : : \    ヽ
ィ777777,癶ヽ、\ : : : : : : :.   }
////// ノ ノ \::\  } ∧  リ  |
´ ̄「{ー__/  /::::::::〉 У ∧   │
   、ー―一.:::::::::::/./ / |   | ,′
  八 ー――‐ ´/ /  _,|   ;″
_/  .\ ___彡=ニ     /  /
      >  _ 三二 イ___,/

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
【二日目】
解剖手術が終了した。
結果、基本的に普通の人間と変わりはないものの、血液や臓器から検出された
マグネタイト反応が神霊エロヒムのパターンとやはり酷似している。

これらは保存し、失われた臓器は治癒法術で復元させた。

【三日目】
天使に実験体の臓器や血液を与える実験を開始したところ、
天使パワーが著しい適合を見せ、霊格の上昇が見られた。
その後、天使パワーは体が徐々に崩壊。その時神霊エロヒムと同じ
マグネタイト反応が検出されたことから、一時的に神霊への変異が起きたもの
と推測される。このことから、実験体を神霊エロヒムの転生体とまではいかない
ものの、その神性を宿していると断定。実験を進める。

【七日目】
実験体を依代に、神の降霊を試みることが会議で決定される。
これはこのプロジェクトの最終目標でもあったことだ。
順調に事が進んで喜ばしい限りである。

神の降臨が間近で見られる。神をその眼に焼き付けられる教徒など、
私たちプロジェクトメンバーくらいのものだろう。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

560 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:38:44 ID:mz9JAuVI0

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//////////////ハ::::::l} }::::::(/////////////////////////////////////////////////
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////////////// ∧::::} l::::し//////////////////////////////////////////////////
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╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
【実験開始から二か月と三日】
実験は失敗だ。
我々が生み出したのは神ではない。
生ける炎。破壊の権化だ。

神よ。最後に一つだけ、祈りを聞き届けていただきたい。
どうか、私の実験が無駄にならないように。
この災厄がいつか、本物の神の降臨に繋がることを、切に願う。

(ここから先は焦げ付いて読めない)
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

561 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:39:00 ID:mz9JAuVI0

                         ┌──────┐
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                               ・

562 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:39:34 ID:mz9JAuVI0

        ,.'/___
      _ .{i'"州州州州≧ ー 、
     ,:州州州州州州州州州州≧、
.    ,州州州州州州州州州州州州i≧、
.    .i州州州州州州州州州州州州州ili≧、
    ,州州州州州州州州州州州州州州州il
.   i州州州州州州州州州州州州州州州il!
   V州州州州州州州州州州'州i'州'州!i!l}
    l州州州州州/ヾi州州州リ,/レ' l/¬,┐リ.         報酬は五千万。前金で一千万。
.    州州州州州/ヽ V州州lil==il//l/,l.'ヽ __
    V州州州州、ヽゝ!州l l!!'   !|//ヾl.l i,' /       討伐対象は今言った実験体や。
     V州州州州ヽ 〈 V l!       `´ ゙、!/ /
.     V州州州州! ー            , ' / .,イ        便宜上、大天使セラフと呼ばれちょる。
    ,-、彡州州州i! ヽ     ,.- 、  =/ ./==
   ,   ̄ ―-lリ._l!.   、   丶. 丶. i./  .{   !        ガキの姿をしちゃおるが、中身は神の炎や。
. ,.‐-'__       ‐ .._ > .  ヽ  丶.   、 .}
. !三三三三ニニ=- .._   `  _>_i      ;  ,'.!        生きて帰れる可能性の方が低いが、お前にも手伝ってほしい。
/三三三三三三二二二ニ=‐- ._  ` ‐ 、  ゙   ,' !
二二二二二三三三三三二二二=- .._ \    /         やってくれんか。
二二二二二二二二二二二二二二二ニ=-ヽ_  {
二二二二二二二二二二二二二二二二二ニニヽ、





                   ..-‐  ¨ ≧ァオ¨_ミ:x.__
             ,ィニjァ='ィ     ⌒´辷彡ス `Y
           r:ヘ.Yツ / /   i l i ヽ  ` ヾ) i |
           トi ,ィ/ ′ i l l l | | l .ハ  ((  | !
                | jヘトN i  | | ィ7从┼l‐-i!  }` !リ
                レ′ l  Vアフ彡ィ/ j」⊥j、! イ  ハ、
           /   八 くヾrjYtリ  ´ヒ:z:ノ;7 /   Y ヽi              一つ、いいかしら?
             /   /  ヽ卜辷r" :  "" { ! ハ    ト-ミ: ____
           √ァ’ /   トミ Ⅵ(  ‐.‐  人ヾ {  , マ≧ レ==ミ`ヽ        「なんや」
          /〃 /イ ャ‐ミxヾ:`へ、_ ..√てハ>"{  ヽノノ     ヽ\
       人{/ /  }   }rリ)  r' `’ ) _/   `ヽУく       )/      うちの事務所、禁煙よ。
  .-一=彡 ハ /r‐ "  ,ィ Yヽ辷彡= _厂Y `う     レ/ \   ー=彡
ィ´   ̄   /ヾく  |  =彡  リ_ / > < 1| {:_  /イ\  丶
 /   /  /\-ィ    「ぇ≧z\_/ィミУ { 〃´  /ヽ   \
/    〃   ′  Y      | " ヾ ̄  ̄ /_  }.:′   /   }     ヽ
    .ィ   i {   Lk、   !         ¨_ノ /=ミ    〉/⌒ヾ    ハ
 / {     ヾ:、  r'¨ ` rァヘ:、   ヽ  しぅ〃 : ヾ ∧     }l   /
く  八     ヽ/   /ソi } ` :.、  }  ソイ}    }  i   〃 /
 ハ   ヽ   r='=<r彡八V_ ==≧<ア/ ¨{/    ト、  v/イ 八
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ウルフウッドとテーブルを挟んで向かい合う。
最初に入ってきた時は、ついにメシア教に潰されるのか、と死を覚悟したが、
どうも違うようだった。

ウルフウッドは剣呑な表情でアタッシュケースをテーブルに叩き付け、
乱暴に開けた。中には所狭しと一万円の束が詰まっている。

「どうして俺なんだ?」

「お前にはワイのサポートについてほしいんや。信用できる右腕が欲しい。
これは内輪揉めみたいなもんや。お前以外には外部には漏らしてへん」

「だから、なんで俺なんだって」
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563 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:40:04 ID:mz9JAuVI0

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    〈:::::::::|::_|!::::!:::l!-,|| ||::/‐}/――‐、} |:::::|   }::::/
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      、|ヽ:::::!//////  V/////////,l | |ノ...,´:::::|_, ――、       気に入らへんのや。組織の都合で作られて、
      丶i ヽ;ー―‐' |  ゙ー―――‐′`|_ノ|:::::::|
              `、   i             |  |:::::::|ヽ           組織の都合で殺されようとしている。
           `、  |          /    | | |: : : : : :
            丶 `ー _____,、./:::::    |: :: : :: :         大天使セラフちうても、元は十歳のガキや。
                / ` 、`¨       ,/:::::     |
           ノ   ヽ        /::::      |             記憶は消されていても、性根は変わらん。
       ―¨¨¨      ヘ , _ ノ::::::       |
                 |;;;;;;;;;;;;;;;;;;        |





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.  l'/!//////'ヽ////l'/////-////_///'゙ /'   /"/////  ,"// '//////  '//
.  l! l/i////' ヽ \//!'////-////-//'‐-/'_   ,'゙/////   !// !' !////   '//
.  ! !! ゙,//   ,\ ヾl////_////,,.l'/_ ̄"''==ェ///./    l// !.l'///   /'/
   _.l!-Ⅵ_― ''''"" ̄ー ' !//ヽ l/   マ了,示ァl///=z、.__l'/  .!l///  //,.-z=
_.-ニ/        ̄""'''''''' ¬== ヽ ` 、 __゙ー‐'" !'//` 、 ̄l'! ̄ '.!// ヽ/'゙´         ……正直に言うで。
ニ/  _  _         ,..∠______i//__  |!- - !'/_,.  '   __
´  /      ̄ "''''' i―‐/二二二二ニニニニl'/ニニニ‐ 、 _!'___ , '"ニニ       メシア教の裏をかく。
.,/            ̄ |ニニニニニニニニニニニニニニ二二二二二ニニニ
    _./丁 Ⅵ7T ''''' "´ l二二二二二ニニニニニニニニニニ/ ̄ ̄ヽニニニニ       あのガキを救い出すのに
  /   ー- _V/,!    .! .l二二二ニニニニニニニニニニニニ! i  ::::!ニニニニ
/       ( _.)   i l二二二ニニニニニニニニニニニニl  |  :::::!ニニニニ       手を貸せ。
    , ー- ..,, __ .ノ  ' 、 .!二二二ニニニニニニニニニニニl  l  ::::::!二二二
  /     .:     .{/,ヽ!二ニニニニニニニニニニニニニl   !   :::::::!ニニニ
 ´      ::.     V//lヽニニニニニニニニニニニ=‐"   l  ::::::::ヾニニニ
. '  ヽ      :.      lヾ'∧  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄        l  ::::::::::::: ̄ ̄
/   、           l l'/∧
      ヽ        l  l//∧

564 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:40:43 ID:mz9JAuVI0

     ____
   /     \
  /         \
/     (●) (●)\     ……なるほどな。
|    (トェェェェェェェェイ) |
.〉     ∩ノ ⊃  /      そりゃ外部の人間に頼むしかねえわな。
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

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「お前はなんちうか、大人の冷め切った部分と青くて熱い部分があるように
思える。世の中に諦めをつけてる一方で、根っこでは子供みたいに
『そんなのはおかしい』って駄々をこねてる。そんな風に感じられるんや。
だからこそ、お前なら信頼できると思うた」

「大体合ってるわ」

メイヴが肯定する。
それに対してはともかく、なぜそんな風に思うのか。

「アートマの件でな、思うたんよ。お前は命は尊いなんて綺麗事は抜かさんかったが、
それでもあの後しばらく腐ってたやろ」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

565 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:41:07 ID:mz9JAuVI0

       ____
      /      \
     /         \       はあ……意地が悪いな。
   /  (ー) (ー) /^ヽ
  |  (トェェェェェェ( /   〉|      お前、俺が受けるって分かってて来ただろ。
  \  \ェェェェェ 〈 / ⌒^ヽ
―――――――― \ _ _ _ )





                              _, _
                             /::::::´:::::≠ゝ
                       ___l´::(´}::::メ、:::::::ヽ
                   /::::::::: ヾ‐-!メi`゚ヘ从::メ
                 /::::::::::::::::: ∧ `ヽ__rソ        交渉成立やな。
                 / :::::::::::::::::::::::::《| ∠_/
                 /:::::::::::::::::::::/::::::: || ヾ           じゃ、今から一緒に行くで。
                 X:::::::::::::::::::::Y´:::::::::::::::||  >
                 |∧:::::::::::::::ζ::::::::::::::::::|| /           場所は上岐田記念病院や。
                | :∧:::::::::::::∨:::::::::::::::::/
                 |::::::∧:::::::::::::∨::::::::::::/              あそこはメシア教所有の建物でな、研究所も兼ねちょった。
             |:::::::::∧:::::::::::::∨::::::::j
              |::::::::::::∧:::::::::::::∨ζ               今もボーボー燃えちょる。封じ込めで手いっぱいや。
             ∨::::::::::∧:::::ヾ::::∨:`ヽ
                i::::::::::::::::゙テ==ギ:::::::::ト、             さっさと片つけるで。
               |::::::::::::::: ̄ ̄ ̄:::::::::::::∧
              |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧

566 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:41:20 ID:mz9JAuVI0

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                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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567 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:41:50 ID:mz9JAuVI0

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/            イ  7 ,ィ      ´  レ'  ` 、ィ´ ,'イ/´ ァ'.       レ'.  ,Σイ      /,ィ_
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i'              ′ナ/レ      イ' ,イ ,'  z/{,ィ. {, イ´           マ、
...    彡  z_, ィ'´. /'.           ハ  i  /   ',i',                  ,ィ
 , イ     /, Z   ,イ ,ィ       i  弋、i..    ヽ            ,イ   r'(  ,.ィ
/  ,     ′ゝ'   } ゙`´,.      ィ'r゙     `      弋ュ、        ,ィ/   ヾ、`¨´
.  i     ,ィ   ,イ/i /.      /'. i     ,  ト、       ̄~゛'ー-ェ彡'´ , ィァ'  廴.    ,ィ
ィ  ヾ!. , イ/  ,ィ√ i!.    ,,,, ェ'´. ド!.   iハ i `ヽ、 _     r'´`´_,..-‐'.ア  ,ィ',.ィ''ゞ'^´
' イ      廴/i',イ  ,'!_,廴ノ  乙ィ ,!    ` ゞ|k=゙¬'´z_>   ` ー'´   ゞ彡ゞ´
',       (  `レ'  } ,ィ.        マ      マ`ヽ、    `ゞ==Z.       イェェェァ

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人払いの結界を潜ると、そこは火の海だった。
視界の端々に死体が映る。肉の焦げる匂いが鼻腔を突き、吐き気を覚えた。

病院は既に廃墟の体を成しており、原型がほとんど残っていなかった。

「おったで」

その中に一人、佇む少女がいた。
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568 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:44:34 ID:mz9JAuVI0

                                        __,,. -‐…‐-  .,
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                      \ . . . . . . . `丶、   l:::}'′,/l    , _/_ \ 、 \}::::::::::::::::::::::::::′  \ . . . . .
                        \. . . . . . . . . .\   |:/ ,斗+ / /jノ __ ̄Ⅵl  }:::::::::::::::::::::::::|    \ . . .
                         `、. . . . . . . . . . \j'/ /{_j//   ィ芹圷刈 八::::::::::::::::::::::::|       ' . . .
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          _______            `⌒\ . . . . || l { ヒン        |/  i::::::::::::::::::::::::|      }. . .
  _ . .-‐= . . . . . . . . . . . . . . . . . =‐- ミ         `、. . . . ;^l人}  ′       厶 |::::::::::::::::::::::{     , . . .
――――-  ., . . . . . . . . . . . . . . . . . . . `丶、     `、. . { 、 八   ー '′     | ;  |::::::::::::::::::::::::::.,    ′. .
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金髪の、修道服を着込んだ少女だった。
表情は穏やかそのもので、今しがた病院内の人間全員を焼き殺したとは思えない。

「助けに来たぞ」

「助け? わたしを?」

少女は首を傾げる。どうやら敵意はないらしい。
ウルフウッドの作戦ではこうだ。

「大天使セラフと交渉しろ。ワイは悪魔交渉はさっぱりでな、お前に頼みたい。
セラフが戦闘態勢を取るようであれば、ワイが応戦する。
お前はひたすら呼びかけろ。降伏するようにな」
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569 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:45:06 ID:mz9JAuVI0

          /::::::::::::/ ̄     `丶、:::ヽ:::::::::::::ヽ_
.          /:::::/:: /            ヽ::::\:::::::::ュ 、ヽヽ
         /::::://    _  -―-  _     \:ヽ::::::.|    }
.      ┌,へj:::::イ    イ  ./     / 7, ヽ 、  ヽ::::::.|  |
      j /´〉:/  , イ | | _,.ム,     7ュ、'_|  } \  ! .|    |
        /  / (::イ´| 」イ / |i    / |/ 「ヽ ハ    `| .|   |
     /  Y:. i/  ,イ´| ハ.| !i  /≠-_ 」 / `ト、 .| 八.   |
     |  卜:::li ./ | x≦ミ八/  ."¨, ≧ミ、 | ヽ} |::: i  .,'
     |  |:::li   |〃 だヽ         |:::::::ヽ ヾ ./ .|:::::::i  ',       なんで、助けるの?
     |  |:::|   《  b ゚::::}      P ゚ 。} 〃/  |:::/   ',
     |  |:::|!  从  ゝ:ン   i    ゝ=ン .//  }/:{     .Y      「なんでって……このままでいいのか?」
     |    八  |、             ,イ'   ,イ::: ハ    }
     |    /.:「\ .! ヽ     '⊃    イ|   i::::::| `   イ      ……わからないの。なにも。
.      |   }::::ヽ:::ヽゝ  |!>  、 __  <  ノ .!   ,'::::: |  /::::|
      .|   }::::::::::::::|  |{      ヽ==     |  /::::::::| /:::::::: |      ただ、わたしのこと、いじめる人たちがいたから……
      ,へ ..ノ::::::::::::::::|  .八            | ,イ:::::::::::',::::::::::::::ハ
     .i:::::::::,'::::::::::::::::,  /:::::ヽ           | |.|ヽ::::::::::',:::::::::/:::      気づいたら、みんな燃えちゃった。
      i::::::/:::::::::::::::/ /:::::::ィ::::\       イ .|.|::::\:::::::',::::/::::::
     ヽ/:::::::::::::::/ /''7  {::::::::::≧x---x≦::::l |.|::::::::::\:::V:::::::::

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ウルフウッドはパニッシャーを起動し、それを肩に担いでいた。
構えてはいない。今のところ、交渉は順調に進んでいるからだ。

セラフは無垢な瞳で自分を見据える。
喜留夫は確信した。これはただの子供だ。
組織によって悪魔へと変貌させられた、哀れな子供。

こんな子供を殺させるわけにはいかない。
男として、加賀喜留夫として、こんな子供を目の前で死なせる気はない。
許せるはずがあるものか。

「大丈夫だ、とりあえずこっちに来い。お前をいじめる奴らから離れよう」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

570 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:45:27 ID:mz9JAuVI0

 ー==ニ7/////////////////////////////`ヽ//ハ}/L..
     >//////////// |///////////////////////ハ
  -==ミ´/////////////ハ.|////////////////////////∧
    ///////////////,斗//!|!//////////ム、/////////
  /'///////////'|,//x≦=ミ、リ|/////////:´,へ\////////
//////////|/// ! / (・) ノノ|'//∧/// | { ゝヽ\//////
´/////////' |//、`|/ `ー=彡'  !///  V//,|人`ヽ }  V/////
〈////,ハ//ム. |/   ′       l//    Ⅵ/! ーヽ   ノ/////
. ∨//,| |///} ′     ∪  ノイ     八,|  r‐} ///////        このッ……クソボケがッ!
  ∨/,| |///                        ,〈////////
.  ∨,!人/                      ヽノ ∨//////         余計なことしくさりおって!
   Ⅵ  `ヽ、丶    ..  ̄`_、       :     Ⅵト、///
    リ}  八  _  -‐   へ/  ハ       |     リハ V//
         :. \、rー ´ __ -‐'        l          〉´
          、 ヽー ´               ノ       /
              \                     ′
                \           .. ´       /    /
                ヽ      ∠ へ      /     /
                 .     /    ヽ、  /       /
                 ー ´        /       /
                           /_         ′
                        入  `ヽ、   |
                      /  \   丶   |

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セラフが一歩踏み出す。
よし、そのまま来い。そう祈りながら手を広げる。

すると、一発の弾丸が風を切り、彼女の脇腹へと命中した。
発砲音の下は、瓦礫の下だった。死体だと思っていた人間が、
震える手で拳銃を構えていたのだ。

セラフを中心に炎の渦が巻き起こる。

すかさずCOMPを起動し、メイヴとパイモンを召喚する。

「パイモン、防御!」

パイモンがふうっと息を吹くと、それが冷気となり、自分たちを包むように広がると、
瞬間的に周囲が凍結した。氷の壁だ。

魔力でできた氷の壁。普通なら溶けることなどない。
ないのだが、その壁を炎が突き破ってきた。
メイヴとパイモンを両腕で抱きかかえるようにして庇う。

炎で焼かれる前に、熱風で吹き飛ばされた。
それでも、背中が焼かれる感覚が脳髄に走り、悲鳴を上げる。
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571 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:45:57 ID:mz9JAuVI0

                                                       ,.'   ,.'    ,.
                                                        、!   ,-=‐'" ,
                                           ,..,、            ,'-= '" ,. <-‐
                                          //////,ヘ,.-,. ‐,.、― '" ,.ィ ,┐:::::::::::::
                                       ///////, 'ヽ-//////∧l!r;;;;;;;;;;;;;,‐ァ- ̄
                                      /////////,' ,ゝレ V/////,ィ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、-`
                                       /`\'///_ヽヽ {  !/,、/.!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i
 ̄ - _   }ヽ    ト、   ,.  / _. ‐'" '''¬==―-,..,¬_.r,' ,、 /二ニ=ェi. !_ーヽ///,\、{;;;!l;{リ!;;;;ヾ!i\      こっち向けや!
      ゞ  ヾ ゝ' ヽ ,. / w/"_       _ ‐_, -- ∠!」_r‐ -ゝノニニ=‐ ̄     ̄ ̄  ,.アl. /"ソ'゛ l///\
‐- _        `   ゞ/   'イ, イ  ̄ ̄   l_ニニニニニニニ=- ̄___      >''"   !ヽ´/,-‐、.l'////
    ‐=、       "  / ./.,‐-   ,._{::::::::::::_―--i二l二ニ!        ̄ ̄ l     ,>'゙///////////
‐-  __,.ノ 、_、..        ,.'  ,.. '":::;:. '" _. ‐ !:::lニ-―-L--   .....,,,,___l_>'"/////////////
     ̄ "          ,./ '":::;:. '" _. ‐      _.l ̄                〈//////////////// ''"
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           /" __,. ィ77",l.!//////,.''"´
             ,ィ//////////リ/,.''"

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
ウルフウッドがロケット弾を発射する。
花火のような音を立てながらロケットが飛んでいき、セラフの足元で炸裂した。

だが、効いている様子は微塵もない。
あれだけ炎を吹かしている相手に、爆炎が効くはずもない。
むしろ炎の勢いが増している。吸収されているのだ。

「喜留夫! ここは退くで! ワイが注意を引いてる間に先に逃げろ!」

「待ってくれ! もう少し粘らせてくれ!」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

572 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:46:23 ID:mz9JAuVI0

         ___
       _,. '´      ̄`、
      /   u.      \

     |  (●)ililili (●) u, |       聞いてくれ! 俺はさっきまでの奴らまでとは違う!
     、   トェェェェェェェイ    /
      ,"ヽ、 ヽェェェェェ/  '´ `、       俺はっ……
     /               ゙ヽ、
     |   `-、、            ヽ
     \    ヽ        ハ
       ヽ    l       l

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
パイモンが必死に氷結魔法を詠唱し、メイヴが回復魔法で喜留夫の火傷を
治療する。

それでも、パイモンの氷結魔法はセラフの炎を相殺するには至らず、
回復魔法による治癒がかかっているにも関わらず皮膚が焦げていく。

体を炙られ、その場に倒れ込みそうになりながらも、炎の渦の中心に佇む
セラフへと呼びかける。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

573 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:46:43 ID:mz9JAuVI0

         /: : : : : : :/: : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
          /: : : //: : :/: /: : : : : /: : : : : : : : : : : : : :∧: :: :: :: :: :: :: :: ::
        /: ̄:゙i__/: : : :/: : /: : : /: :/: : : : /7: : : : : : : ィ::/ ∨: : : : : : : : : ::
    / ̄二二二二`ヽ、:::/: : : /: : イ: : : : //: : : : : : : ///  .il: : : : : : : : :: ::
    i: ://二二二ミヽ: :i:/: : : イ: / /: : : ://: : : : : : : ///  __ll∨: : i: :: :: :: ::
    l: i::f/r‐──ミミi:i:::l: : : ミ//ミ/://://: : : : : :: ::/ l/-=ニ-ll¨l: : ::l: :: :: :: ::
    l: l::i:::f//////7li :i::l: l: : /7/=tォ≧ミ/: : : : :///彡'≠tォPjヾ l: : イ: : イ::: ::
    l: l::k::∨//////:/l::l::l:::/ ∧ ゞ、ツ__//7: : :///  ´__ゞ_ ツノ l: /l: :/l:: ::/
    l: l::l:ヽヽ、三彡'/: l::l::l/   `  ̄ .///: : ://′       ¨´、. レ'/∠ l:::/
    l: l::l: : `ー─‐'': : l::l::l i // / i  /' /: /i        `ヽヽ /〃 /l::j        ……待たせたな。
    l: l::l: : : :: :: :: :: :: ::l::l::ト,l       /:/ ..l| l          j´,,.イ .l/
    l: l:l: : : :_,.二.,:: :: ::l::l::lト、         l/  i: l| !           l¨l/           調整に手間取ってしまった。
    l: l:l: :f´     ヽ:::l:l::l l! ',      /   ヽl! .,         / .l!
    l: l:l: :{   O  }: l:l::l   ト.      ____       ,.イ
    l: l:l: :ゞ、   ,イ: l:l::l   lヘ\    /二二二二ミ、    /ll:l
 ,.-‐┤::l:ゞ、合ニニ金::ノノ::l_     〉l \    ──‐     ,.ィ|//
´ / l: : ゞ、三三三彡': ::ト,ヽー/ .j  \          / jヽ、
r'" ̄ニゝ、_____ ノ  ̄`ヽ l     \       /   /i ヽ
    `ー‐┤:::: ::├─ 、.     / l        ゝ、_ /    .l l   ト、
        l: : : : :l    i___/  l                 ! l  l `ー、_

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その時だった。
後ろから轟音が響き、何かと思って振り向くと、拳銃を構える葛葉雷堂と
赤黒い炎を纏った弾丸が発射されるのが見えた。

「おい、炎は吸収されるで!」

「承知の上だ」

葛葉雷堂は続けざまに二発、三発と炎の弾丸をセラフへと撃ち込む。
もうだめだ。次の炎の爆発で皆死ぬ。そう思い、セラフの方を見る。

そこには燃え盛る火柱ではなく、弱り切ったセラフの姿があった。

「紅蓮の魔王ベリアルを魔弾にしたものだ。如何に強大な天使とはいえ、
神格そのものを穢されれば弱体化は必須だろう」
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574 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:47:29 ID:mz9JAuVI0

                                                                  _       |    __,__
                                                                    //       |  ヽ| マ   .い
                                                               . < . /      l   /| 用  た
     , --ヘ                                                   , <     /       l
    /      \                、                        ,イ ./|   ,     ./   >‐ '        〈.   l   ヽ
   l    __,__   `ヽ          `ヽ、   \                   // レ ///´ / > ´     _, -ェ=二}.   レ  l
   /  ヽ| マ  い  }       ; ,x<ニ≧: .ヾ\                    レ  //<ニ>< _, . -‐≠ニニニニニ二/     ・
  ノ.    /| 用 . た  |      ‘,` <>‐ミヽ〈ニ\                  /ニ//⌒ヽニニニニニニニニニニ> ´ ノ.     ・
  |              廴__           }ニニニヽ            /ノニニ/     }ニニ´//   ̄ ¨ - ´_x≦-┐      ・
 〈      l  ヽ     /⌒ヽ     __   /ニニ>‐;ゝ  …_・ …, ´⌒ヽニ弋    /ニニ/´  ̄ `ヽ       ´ ̄ > V.     ・
  }.    レ   l    /          /ニ辷≠ニニ/    ,’/: : : : :`ヽ ‘,  ,\ニニ=イニニ/_,. :ェ: . . _ ‘-=ニ> ´     ヽ    ・
  l           {        ; \>ヾニ廴、~, ; /: : : : : : : : : : . ゞ  ,:ヘィニ/`ヾニニニニニニニ≧: .         \   ・
  }  ┌‐┴─    ヽ             〈ニ>ミ\  : l:l: : : :l /: : : : }:  `ーxニゝ-イニ/` <ニ>―ヽニニ二≧x         ヽ _ /
  /  ヽ|   マ   .い  \          `´  .}ニ} ;l:l:i:_ :イ: : : l :|| ; トl   }ニ∠二 --. .、
 l.    /| |三|三|         l      . <¨ -- 丿弋  l:从: : | : : : | : |、l /弌._ ノニニニ ニニニ≧: .
 |     /.ノ  |  |  た   ∧  . <   /  r―ヾニニニニ〉|:V込} : : ;仆':i:}!ニニ辷ニ〈¨⌒ヽソ `ヾニメ:ニ\
 |                  ∧´    ,: ムイ ,ノメ∠r7/ ;{:i〉‐:i:`7´_ ヌ:i:{ハヽ='′¨´,;  \;へ._V  \ヾ〉
 l     |    ヽ          ll   /´ ,;’ ‘・    ,/ / j:i/:i:ヾ´;i:-:i:、l:l:ヘ ‘,   ¨         ,` < ヽ.
 V      |ノ  |       |`¨´ ‘          ノ;ィ' : }:{;v^ヾ:i:|:iィヾ:}:{`ヾ:、;           ‘ ;  }≠ \

575 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:47:39 ID:mz9JAuVI0
  }         _           |          r≠¨´ノノ_j:ト{_,.n{:i:i:i:トn,{:iト廴_ ヽ、                └‐- 、\
 |   ┌―┘└―┐    |         `(  ̄≦:i:i:i:i:リ'´ノ:i:i:i{ Y:i:i:i:i:≧x `                 ーヽ
 |  ,.、| 「 二二二 ´ レ ヽ   l                ̄三圭ゝ佳圭ヨゝ佳ヾl三´ノ
  }  ヽ〉| | _二ヽ∠、       /               ̄三圭圭三三圭圭三 ̄
 {  ノ〉| | ||三||三||  ナ‐  }                     三三三三三三三
  V `´ノノ || ̄ll ̄||    `  }                     三三三三三三三
  V                  /                二三三三三三三二
   l   「 |   r 、    /                  二二二二二二二
   l.   Ⅵ   ヾノ    /                  二二二二二二二
   V    ヾフ      l                  二二二二─
   l      ○      /                   ─二─
   V           /
    l     ○     l
    V         /
     ヽ.    ○  /
      \ __ /

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セラフの漆黒の翼がぼろぼろと崩れ落ち、炎が勢いを失っていく。
震えながら膝を突くセラフの体は、マグネタイトへと帰化しはじめていた。
緑色の燐光が彼女の指先を包む。

「おい、大丈夫か!」

駆け寄り、セラフを抱きかかえる。
そこに、拳銃を構えたままの葛葉雷堂がにじりよってきた。

「そいつを放せ」

「断る!」

「この惨状を見れば分かるだろう。こいつは破壊を撒き散らす殺戮の天使だ。
生かしておいたところで百害あって一利なしだ。こいつはここで始末するべきだ」
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576 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:48:29 ID:mz9JAuVI0

            - ─ ==─ - 、
.       /                \
      ./                   \
     /                   ヽ
    /                    ハ
   .|                       |      始末だと?
   丶 ( ○ )      ( ○  )      |
    . ヽ                      /      「ああ。ここで死ぬべきだ」
     .\トェェェェェェェェェイ    ./
      イ                 \
    ./                    ヽ
   /                        ヽ
    !                      i


╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
自分の中の何かが音を立てて壊れた。
臓物が煮えくり返り、血管の中の血液がマグマに入れ替わる。
ああ、そうか。自分は今、激昂したのだ。

「ふざけるなよてめえ! 生きてていいとか死ぬべきだとか、てめえが決めるのかよ!
誰が決めていいものかよ! こんな、親の顔も自分の名前すら知らないガキを、
その時の都合で殺すのかよ!」

拳銃を抜き、葛葉雷堂へと向ける。

「いいかクソガキ。命には確かに価値がある。生きてていいやつもいれば死ぬべき
やつも確かにいる。けどな、それを決めるのはお前じゃねえし、俺でもねえ。
神にすら、そんなの決める権利はねえんだよ」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

577 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:54:21 ID:mz9JAuVI0

          ____
         /     \
       /         \
     /     (●) (●)\       俺と来い。
      |    (トェェェェェェェェイ) |
     \   \ェェェェェ/ /        俺がお前を守ってやる。
      ノ          \
    /´      _i⌒i⌒i⌒i┐ ヽ       お前が自分が何者か分かるまで、そこから先の生き方が決められるようになるまで、
    |    l  ( l / / / l
     l    l  ヽ       /         俺がお前の命を守る。





       ____
     /     \
   /         \      だから……生きろ!
  /. u   (ー)ili(ー)\
  |    (トェェェェェェェェイ) |     誰がなんと言おうと、お前の命はお前のものだ!
  \   \ェェェェェ/ /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
消滅しようとするセラフを強く抱きしめ、呼びかける。

「無駄だ、そいつにそんな言葉は通用しない……」

葛葉雷堂が冷たく呟く。

それを否定するかのように、COMPの画面に「New contract accept」という
文字が表示されていた。

セラフが微笑む。

「ありがとう、なんだかとっても、温かい」

「こちらこそありがとな。俺の名前は喜留夫だ。お前はこれからセラフだ。
これから何があろうと、俺たちは一緒だ」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

578 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:56:26 ID:mz9JAuVI0

          /ィ::::::::::/::::::::::::/::/::::::::::::::::::::}::::::::::::::\:::::::::::::ム
        /:/::::::::/:::::::::::::::/::/::::::::::::::::::::::':::}::::::::::::::、\:::::::::::ム
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      /  |:::/:::::::::::::/≧x,':::::::::/:/_/孑示ミx }:/::::}::/ ヽ::::::ト:、
           /!/,':::ハ:::::〈乂hタ:::::::/:/ /' 乂hタ丿j' !:::ハ' ノ }|::{:リ      馬鹿な。報告では、交渉の余地はないと……
          | ハ::ハ::{ ` ̄,::://'   ` ̄ ´  .|/ /⌒ 八j'
            '  v!   /´ :/          / r‐' ,.イ!::/
                八    〈        u.   r‐彡/.j/
                、   `          / /:!ハ{、
                ヽ   '  ̄ ヽ    メ .イ :|' } i
               / \  ~´    //  |ノ  |
              /_    iヽ    ,。s≦   /   \
              /⌒v   |   ̄        /ヽ、    v-、
          >'",   ,   /          j   ハ   {ヽ ヽ'<
      >'"´   ,  /,  {            ,  ,:ム   ', ヽ \
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.        '.|ハ::l::::!::l:::!'//////l━l,ヾ!////リ`!:Νリ:j'
           |'::|:::i::|::l//////,!.:|. !//////,l .!':.!:iY:|'         ま、世の中何がどうなるか分からんちうことや、若いの。
.               γi|.!::l ̄ ̄ ̄.:::|  ̄ ̄ ̄ ' l!ソ.j!リ
              ','j' !:|     ':;L,  .;;'     i' //           さ、事後処理始めるで。
.              ヽ ':!.       _ , ,》 ,.  .ノi;:;"
                  仆  ー ' ,二'," ̄   / |l;'
                    \           / |;:._
                   ';\,    /   才 .\.
                     | .丶--‐'’  x<    .〉._
                /',       x<       /ニ二ニ- _
                 /  i     /          /ニニニニニニヽ.
              /     |   /         /ニニニニ二二二\
            /       | /             /ニ二二二二二二二二\
             ∧       / |`ヽ           /ニニニ二二二二二二二二\
             / ',    /   |   ヽ        /ニニニニニニ二二二二二二二\
         /  ', /    l _.-ニ\    /ニニニニニニ二二二二二二二二丶

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こうして、大天使セラフは自分の仲魔となった。
正直、メシア教からの印象はよくないだろう。
だが、これから先、この選択を後悔することは決してしない。

目の前に救える命があって、それを救った。
それを自分は誇る。

十年前の後悔を、もう二度としないために。

「無茶しすぎよ、もう」

「そうそう、かっこつけすぎ」

メイヴとパイモンに肩を貸されながら、喜留夫はその場を後にした。
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579 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:56:36 ID:mz9JAuVI0

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                               ・

580 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 21:56:51 ID:mz9JAuVI0

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    |:::::;' | | :| | |   ハ.| \. \  .| .:!`!:::::::::::::::::::|
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    |::::|  /! :!/ \ |   |! ァテFホォ,! :| |:::::::::::::::::八
    |::::|  | | :|イ于ミx!     ∨ヒソノ ノ 人::::::::::::::::::ヽ
.    八ハ .! ! :!ヘ.V斗'         ノイ!  \::::::::::::::::ヽ
   ' ::::::::从 .| :| ∧    ヽ   _ ,    /| 人  ヽ:::::::::::::::\
   |:::::::::ノ .ハ! :!.  > 、 ー=ニ ´  ィ__八 \ \::::::::::::::ヽ
   人::::// .八|≦=x,,  ≧ - <::{{==}}:{、\ \ ヽ:::::::::::::::\
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  j::::::// ///::\ ::::::::::!ヽ     ` 《》    \  `. .::::::::::::::'
  |:::// // :|:::::::::\::::::|:::\      《》    ノハ  i i:::::::::::::::::|
  |// // .:|:::::::::::|::::::::|:::::::ヽ    x===x  //  i  :| |:::::::::::::::::!

【名前】
セラフ
【種族】
大天使
【レベル】
99→70
【属性】
Light-Law
【相性】
火炎吸収 呪殺・魔力・精神・神経無効 破魔反射

氷結に弱い 火炎吸収 呪殺・魔力・精神・神経無効 破魔反射
【能力】
力-A 魔-EX 体-EX 速-EX 運-EX

力-B 魔-A 体-C 速-C 運-C
【スキル】
メギドラオン ピュリプレゲトン 真空刃 終わる世界 セラフィックロア 漆黒の蛇 天罰 エロヒムの光

メギドラ マハラギダイン マハザンダイン アカシャアーツ マハンマオン 漆黒の蛇 天罰

【備考】
喜留夫の仲魔。物語中盤で仲魔になる。
メシア教団による神の降霊の実験の結果誕生した悪魔。
姿形は生贄となった神霊エロヒムの神性を僅かながらに宿すメシア教信者の少女から形成している。

581名無し-Red-市民-2:2018/07/14(土) 21:58:54 ID:oGcbSs/Y0
大分劣化してるな…それでも強いけど

582 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 22:02:42 ID:mz9JAuVI0

         ____
       /      \
      /         \        というわけで、仲魔になったセラフだ。
    /   (●) (●)  \
    |   (トェェェェェェェェイ)   |      はい、挨拶しな。
    \  \ェェェェェ/   /
     /⌒ヽ   ー‐    ィヽ
    /      ,⊆ニ_ヽ、  |
   /    / r─--⊃、  |
   | ヽ,.イ   `二ニニうヽ. |




           ,. -―――――‐-=、
.         /: : : : : : : : : : 、 : : : : : \
.       /: : : : : : : : : __il:.: : : : : : \
        /: : : : _, -= ̄.-=弌 : : : : : : : : \
.    /,ィ_, -=          \. : : ::. : : : :.゙、
    /..:r=‐       __,i-< ̄ ̄ \ : ::::. : : : :ヽ
    |.:::| ,==-_,=' ̄ i |  \   _|ヽ :::::::. : : : `、
    i::::j,=-イ゙¨| |   .|.| |, -―`< |i ヤ..::::::. : : : ::i
.   |:::::}' i | l .} }、  iハ .ム- ., ィ=ミ、li ヤ ::::::: : : ::::|
.   |:::::| l |_i-Ai-ヽ .i| i/ ' ´∧:゚ d:::}. }、 }、 .::::::. : :::::i
.   |::::i | | .| i .,≠ミ|     ゝ゚"´. i ./ ヤ..::::. : :::::|        せ、セラフ、です。
.   |:::i .| .i゙、`ilV::b ゚j:i:゙         }/i /i.:.:::::. : : ::i
.   |:::| .|、| ヘ . ハ. '"´  丶    u. イ/ /i::..:.:.:.:::.. : ::|        よろしく、ね?
.   |:::| .|i. i  `|... 、     っ  ..イ:i /i:;;;;_:_::::::::. : ::i
.   !:::i 八 ゙、 . | .i  >、  _ , イ_ミil| i  _>、 : :::|
    }:::!':::::トヘ i  |__i_l/  }7ヒソ=彡" / ∥: : : :i..:::::i
    }.:::::::::| |i、|、 i'::::::|i    >ミ'7  /  i /i: : : : : }、::::|
.   j.:::::::::i  | i ヘ|:: : :ミ、   }jニフ /  |'': :|:. .:: : : :}、::::i
.   /.:::::::::|i  |.| .}::. ::,'゙ii ,'i⌒i、 / i  i:. :/: .:::: : : i、:::::ヽ
  /.::::::::::/|  i,'  i: : }': :゙ミ_,'i^'i、7  .|  {:<. ..:::::: : : :{、`i:::
. /.::::::::::::i .l ィi  .|: :/: : : : : ̄:7/  i  |: :゙i. :::::: : :'´.:| .ヾ
X'__::_:,、:{__V:}' , i: :i .:::::::::.y'../A  .{ .i: : :|. :::: : ::: : :i 、、
゙::,. ゙:;.. :.、:::..ノ ,i | : }.:::::::::::i.:::i.(:::i  |i |: : :i. :::' .::' .:| i |
::,. ゙::.,. ゙::, ::./ |i /: 人::::::::::`::| ヽi  |i./: : :.゙、::' .::' .::ヽ i
:.. ゙:., ゙:;::::i ,、 /i .l/ j´゙::::::::::::::ゝ、_  ヾ、: : :人:' .::' :::: ::| |
:::::.:::::.. ゙//.i/::| i rt'゙;_::::`::::::::::::::::.`i  、i: :/ .}'.::  :::: ::_ゝ
゙:::::::::::::...i { /ー.{ |j'::.^ :::::::::::::::::::::::::::.| i l |:/  .{'.::::  :::: .::::i
..゙::::::::::::::`}.' :: : {'|:::: .::::::::::::::::::::.,=彡i | | |'   }.:::::.  ::: .::::|

583 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 22:05:24 ID:mz9JAuVI0

      /  /  .ィ     ヘ ∧ l\ ,、   l\ト、l     ´ -‐'/
     / イ  l   / ! /l /l ./ リ l l  ` \  l         ヽ/
     レ. l.  リ∨ レ リ l/    `  !   \l    ト、l\,、‐-ゝ_
       ∨.     l l /    、  l ト、  、 ト、」    ` ‐--/
    _ ∠    l l l /  ,、   ヽ l. l \ ヽ\       \´
    ` ‐--/   l ∨.l l、/ ヽlヽト、\',」\ `ト    \ ―- _>
         l/ヽ/リヽ l  l' l' /\.  、\`\l`>、\ ヽ, ヘ <_
         l/     l l ! ト‐-ヽ. .lヽ ヽヽ≦-‐rァテ、l l ヽ_フ´
         ヽノ  l  リ、ヽ! -‐tテ、l ̄ヽヽヽTTT T 「 .l//`              え、なに? 今回俺完全に蚊帳の外なんだけど。
        -ニ_/. !l.  ', ヽ! ̄  ̄´   \ヽ      l,/ニニ ニ二二 ̄ 7
           / -‐l ', l ',           `     ' l::::::::::::::::::::::::::::::://      メシア教に喧嘩売って帰ってきたってこと?
             \ト、ゝ          _     /l ゝ::::::::::::::::::::::::://
              l  ̄ト  u.     ´  _ ,  /l从::::::::::::::::::::::::://        え、なに、メシア教とやり合う時俺もやるの?
             ィ彡/ ィ/ \    -‐ ニ ̄´  , ' .l::::::::::::::::::::::::::://-
.            ト、/'l/'    `、 、        ,ィ  ト、:::::::::::::::::://   丶      「うん」
             l\\      \`  、  / l   l \::::::::::::ヽヽ    丶
             l:::::::\\    ヽ \  `´   l l  l   ヽ!::::::::// !     \   うんじゃねーよ歯茎丸出し饅頭頭ァ!
            /l::::::::::::`:...`  、_    ヽ           l::::://  !        、
          /::::::::::::::::::::::::::::ヽ_ 二二 二 ̄ 7   /  l::://  l     !    \
        /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ /`   ´   .l//   .l    l      \
.       /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ /        //l   l.    l.       ヽ
       /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l  !     i  .l l/   !     l        ` 、





       ____
     /      \
   /         \       んだと白髪天パ女装癖ヤロー!
  /  (○)  (○)  \
  |   ┌ェェェェェェェェ┐    |     やんのかおら! あぁん!?
.  \ Lェェェェェェェェ._l  /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
帰ってきて早々、ヨシツネと喧嘩になった。

「組織に追い回されて寺の中で自刃とか俺もう嫌なんだけど!
あーめっちゃデジャヴってきた! この後メシア教に追い回されて
俺が弁慶役やるところまで見えた!」

「しょーがねーだろがバカチンがァ! ここまできたら腹くくれよ!
源平合戦の大英雄なんだろ!」

「大英雄でも心とチンコは一般人と同じですー!」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

584 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 22:08:51 ID:mz9JAuVI0

    . . . . . . . . . . . . . . . .
. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : . .
: :,.: -――  ´ ̄ ̄ ̄`  、: : : : . .
´                ` 、: : : : .
  /,                \ : : : .
 / /    , i              \ : : : .
  /     / !      ヽ           : : : .
  ,   / /                      : : : .
    / /   '.           !           : : : .
      '  ,           、. l     .     '. : : .
    /! i /  ヽ 、    \         '. : : .
  i l j/      \\   j/\   i     i : : :
  | イ   z示ミ、   ` \z示ミハ \.│     ! : : :
  | | 〃_f沁        ' _沁 ヾ ! i  i  l : : :
  | | 《 仡r,/i       仡/i  》.i ,     ' : : :
  | |  とつ.ソ         匁とつ ' /  ,  /: : :
  | |.:::::::::::::::::::::::::.   〉 .:::::::::::::/イ  / /: : :          け、喧嘩しないで……
  | |::::::::::::::::::::::::::       :::::::::::::/  /l. /: : :
  | |                   人 , j/: : :
≧| |> .,_z==ミ⊂ニつ   __/   !: : : : :
三| |ニ////////ヽ、 x≦///≫ 、 !ヽ : : .
三| |/ //////////∧ ////////ハ |三 Y : .
三| |////> ´ ̄`ヾヘ/// ̄ ̄ ヾ!三 j : : .
三| |//r―― 、(\  ヾ'    , 、 lY / i} : :
三| |//i¨¨ヽ、    i   i   / // jヽ /j : :
三| |/{¨\      l   l   / ´   {' ハ: :
三| |/fヽ      }   '.   !、     {三 ! : .
三| |'人_         \ _i/ニi      /三ハ : :
三| |三ニ≫ 、    _ x≦三ニ.!   ィミ三ニ! : :
三| |三三三ニ>≦三三三三 |  /三三三j : : .






                       ト lヽ ヽ、 、
                  ,  \ー-ゝ`’ `ーゝヽl lノ,
                 __ゞイ´ `        ´⌒ー彡
                 _> ,           、 _ソ
                  ̄,ゝフ´ ̄l/l/l ∧lヽl\ヽヽ \
                 /ィ´  l l /l∨ \l\ヽ 、ヽミリ`
                 /1, i. lW 、ヽ_ 、 ,`\ヽlリ≦
                   彡 l リj、ミ、|.≦..ヾl/l , ト、<-‐-、__
                   从レ.tテ`ヾ. `′  リl〃:)).>‐.7  ヽヽ、          ………………。
                    コw 〈 ,      ' .)ノy'/:/   / l ` 、
                   /::::::::、 _ _     .厂y/:/  /      ` 、
                  l::::::::::::::::、 ニ`   , ' / :::/  / /        ヽ
                  」:::::::::::l:::/ヘ__,. '、 <<::::::/  /:/
                 l:::::::::::::ヽ`=、::::::::::::lヽ. ゞ::/  /::/
             キュン  /::::::::::ー-ミ、::: ̄`==ヾ '´〈:l  l:::l
.                /::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::ヾ::、l ll  l:::!
                / ̄´:゚ 、^ヽ:::::::/ヽ:::::::::::::::ヾ,ll:!  l:l      /
               y' ̄` ‐-、ミ∨  \::::::::::::::ヽl  リ    /
               /      /'     `‐-、:::::::::l  l_, -'´     /
              /  -‐…‐、/        `ー,:::l/       /
               l       \_        ヽ       /
             /ト        `  ̄_`‐-、,-- 、  l     /
            /:::::::\          `  、::::>:::::`l_ __
           /::::::::::::::`::.....、          ヽ::::::/\

585 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 22:09:15 ID:mz9JAuVI0

 ./     ./. //  ./ /  ; ./.::;|      |       .、 \
_/.ィ      ///  ././ .,  イ ./ ./:|   .l   |       ハ、ハ
  .|/   /-イ   _ // 〃イ_/.// | / | ./;         l|∨|
../     , ⌒i /  ./|l./´__/¨>x./ /  ;  //       l  | | . Ⅵ
_,..イ .   /   l| ,' ./ ./ .l/ ____`ヽ./.イ  ./ .//    :   | ハ;'
  ;'   l ィニl!.l .ハ ,′.l``ミ、_tッ`ヽ /.イ /.:/¨|    ./ ∨./ .l
 / /.∧  ∧|;' l|.      `¨¨` ./.://イ=ミヽ /  メ、  く_
.〈/|   ∧. ヽ从            ./.-イ.ミゞ'_ノイ /ト、| ̄ ̄´
'´r.:;′  ;∧、                    |    厶イ.} ./ `   _         ……天使か?
 ∨;' / ;/.¨;                 :;   从|〈/⌒i.   / ',
∧.∨.lト、 |   ::;              ‐::>′  /  .,′ |   .,'  l_        「天使だぞ」
/∧ ヽ:! .リ、  人.         __      ,::′  l   |   .l  .{´}
///ヽ. \      .\       、  ̄``   /     /   |  ,!   .| `,       やべえ、俺の中の父性が目覚めた。
/////\ \、.     \      /⌒l. /    .;′  .,'  i   .| .l.__
///////\ `i.      \   ./¨`/|l\     l   l   |  .;  .|l _l      「そういやお前娘いたもんな」
/////////} l|        ,>-./  .::|ハ. ヽ   /    ;!  ノ   .l  ,'  ';
/////////| ;′    .イ///.;′ ..://∧ :.\/   / /  .:;′ l  .|
l////////;' ;     / .|'///;     l////\Ⅳ    {_./   ./   ,′ .;′
|l///////リ .;′ 〃  :ll///リ   .|////_ソ     |   ., .:/  /  ;′
||///////; .,′ /   l|l///    くィニ/    /   |.;′ .,:′ /
|///////; |ヽ     , ‐||//     ̄       /    ./   ./  /
|//////∧ ∨〉   / .:||/|                〈  ;′ /

586 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 22:10:50 ID:mz9JAuVI0

            _ ,
         ∧/ ハ/l_   l
      l ┌>     ィ┐
      l _」> ハl/l /l/ Zl_ _
   l _ -‐  _kハl゙"",""V _  l.jl...l..T‐、       くそがァァァァ!
    -   _ ‐ ^t.ィ/=l /'_ ̄l|.ノ...l...|  l
  〈  _ イ、_≦::::l ニイ::::::/-‐l..lイヘ./ /       やってやんよオラァ! メシア教会がなんだってんだコノヤロー!
  ヽ、 ノ:::::::::::::::::::::lー ‐|::/ ハ l..l/.ノ /
    \:::::::::::::::::::::ヽ /:/ /  l..l../         こちとら八幡の加護があるんだクソッたれ!
      ヽ::::::::::::::::::::::/ /  , /
      l k:::::::::::::::::/ /  /             この子にゃ指一本触れさせねえからなあ!
      l  k:::::::::::::/ /  j  l
     l   , k-、::ノ /_-‐_ 〉  |
     |  //ノー-..-:.:.:.:.:._l
       // /::ニニlI::I!ニニl
       ///::::l l   l|    l
       /ミ/l::::::l l    l|    l





  _ _   ___
 / ) ) )/      \
 {   ⊂)(>)  (<) \       よっしゃその意気だ!
 |   / (トェェェェェェェェイ) \
 !   !  \ェェェェェ/   |      俺らの娘にゃ手は出させねえぞ!
 |   l           ,/
 |   ヽ        ィ
 |          /  |
 |         〆ヽ/
 |          ヾ_ノ

587 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 22:12:13 ID:mz9JAuVI0

                           ___
                     , ::::::::´:::::::::::::::::::::: ̄ ̄:`ヽ
                        /:::::::::::::,::::::::::::::, -‐  ̄ ̄ ̄ \
                 _/::::::::::::::∠ -‐"´              \
.               //::::::::::::/      _ -― <_ ̄ `ヽ   \
               /:::/::::::::::::/    > ´,イ     ` ヽ 、 `   \
.              /:::/::::::::::::/  > ´   / ',    ヽ    \    \
             /::::ハ:::::::::::ム‐'´      /  .',     ヘ     \    ヽ
.            /:::/::::::::::::::ん /    / ′ __',_   ヘ    i  \  〈
.              /:::::'::::::::::::::::{: :/   ./{ //   '.,    ヘ_   |.   \ }
.             //::::::{:::::::::::::::::{: ′  /ィ7´  ―-、 \.\ ベヽ  |     ヽ\
ト、_      _/:::/ :::::/::::::::::::::::::V   / _x=弌f=‐    `-ヽ ヘ ヽ !     i |:ヽ)
::::::::::: ̄ ̄::::::::::/:::::::/::::::::::::::::::::::',   / 《廴二:リ_      x==ミ、  ソ    | |:ノ
ト、_:::::::::::::::::_/:::::::/::::::::::::::::::::::::人: :从 xxxx        斤 ツ 》:./    | !      ……うんっ。
::::::::::: ̄ ̄:::::::::::/::::__  ―ェ´--ゝj: :',             〉`¨"xxレ': :    ,イ ′
:::::::::::::::::::::::::::::/,'"´::/: :./´:::::::::::::::::iヽ: ヽ    ,  ―-、      /: : : :  ./ | |
――、:::::::::::::::j|::::/: :_/ ::::::::::::::::::::::::|:::゙,: :ト.、   (    ソ    ./: : : : :/ //
: : : : :.:.\::::::::}/ //::::::::::::::::::::::::::::::::|::::|、: ', >、 ` -  ' _ イ´/: : , イ  〃
: : : : : : : : : ̄: :_./:::/::::::::::::::::::::::::::::::::::|::::|::}: :ト、 ./` -<´: : :./}/::::/ /´
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:::::::/ ̄:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://:/::::::::::ノ: :.} !: : : :.:/ー!: : : : /:::::::::::|

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この後、メシア教会から刺客が送られることなどはなかった。
が、セラフを引き取ったことにより、今後大問題が喜留夫の下に転がり込む
ことになるのだが、それはまた別の話である。
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588 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 22:12:26 ID:mz9JAuVI0

                   . -―…:::::…‐- .
                 /:i:_:ニ=--=ニ:i:i:i:i:i:i:i:i\       />
             /:/         丶:i:i:i:i:i:i:丶   </
              // , -‐''¨ ̄ ⌒ア丶,Vi:i:i:i:i:i:i:i:.,     ____
        ,rf、     /厶′.:-┤  '^⌒\ Vi:i:i:i:i:i:i:i::,   l____|
     rv   V{  V {/{∨l  /ィ/}/ト、}l:i:i:i:i:i:i:i:i:|   ┌‐┐
      ヽ, / }   |  ヘ x=ミx/ x==ミイ i|:i:i:i:i:i:i:i:i:|     ̄
      X  \ヘ|l\ { fハ   f/ハ 》 i|:i:i:i:i:i:i:i:i:{   <\
      i| i|\il Ⅵ{ トミ, vリ ,   Vソ |: i|:i:i:i:i:i:i:i:i:i丶   \ >
      i| i|  il\}ハl\\  r:::…ァ /| ∧:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:\
      i| i|  il {:i:i:i:i:i:i:ヘ  ≧=- xく 厶′Vi:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:\______
     _i| i|  il Ⅵ:i:i:>i^\ト{`'く⌒7゚/ /ヘ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i}
      f⌒\_ il_」/:i:i:i:i:i:i:i:i:Y{^「[r、 ̄_`ヾヘ,、:i:`⌒>ヘ:i:i:i:i:i:i、::::i:i:i:i:i:i:i:/
     \ ⊂⌒\:i:i:i:i:i:i:i:/⌒¨^¨^⌒´::::`丶:::`⌒^´::八:::i:i:i:i\:::i:i:i:i:i/
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                |::::::::i:i:i:/i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:|i::::i:i:i:i:i:i:i|::::i:i:i:i:i:i:i_i:i:i:i:i>
                |i::::::::∠::i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i|i::::i:i:i:i:i:i∧::i:i:i:i/⌒¨´
              、_八::ノ⌒L_:::i:i:i:i__:i:i:i::i:i辷_::_彡′}::/
              `⌒^¨¨^⌒ーく,_,__>:x厂
                                             また次回

589 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 22:14:56 ID:mz9JAuVI0

                  . . .-─‐-. ミ
                     |: : : : : : : : : : `: ..
                     |: : : : : : : : : : : : /
                    }Ο : : : ◯: : : :,′
                   : : : : : : : : : : : :i
                      { -===- 、: : :. :.|        ふう……二本立てなんて初めてだよ。
                    〉: : : : : : : : : :ノ
                  i: :`ニニニ´: : : : ‘,        僕もうだいぶ満足だね。
                 __/ : : : : : : : : : : : : i
      ___        /.: : : : : : : : : : :‘,.:.三|        チミたちも、このボリュームには満足なんじゃないかな?
     / :::: ヽ: : : :‐--∧_: : : : : : : : : : :./:|: : : |
     .′ :::::::‘: : : : : : }/∧ア´二二ヽ:/ | : : ‘,
.    ‘::::::::::::::ノ: : : : : :ハ \{/: : : :/⌒゙ヽ : : :‘
.       ゝ-=彡-──<¨¨゚‘; .: : :./:::::::::::::::} : :. :.|
                 \: :′:::::::::::/______」
                     弋:::::: /
                       `¨´

590名無し-Red-市民-2:2018/07/14(土) 22:16:02 ID:oGcbSs/Y0
大満足です

591 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 22:23:47 ID:mz9JAuVI0

                           _ ______
                      ´.: : : : : : : : : : :`
                       l: : : : : : : : : : : : :i
                    i: : :○ : : : ○: :.|
                        |: : : : : : : : : : : |     >>514
                     j: : : -===- : :.i      海水浴ねー、やりたいんだけど、水着AAがね、ないんだよね。
               r―--┐     i: : : : : : : : : : : :l
              i: : : : : ',      ゝ : : : : : : : : :t´     一応やることも考えて予定より早めにセラフを出したんだけど、
                ',: : : : : i  , f: : : : : : : : : : : : : :ヽ
                \: : : :y: : : :Υ: : : : : : : : : : :y: : '..,   AAはいつもどおりで、水着は「心の目で見てください」ってのもね。
                ',_: :: :/  i: : : : : : : : : : : :l丶 : : :ヽ
                     ̄   l: : : : : : : : : : : .i  \ : : :丶





        、 - ‐‐ -,
       ,´: : : : : : : : :
      ゙i : : : :○ ○゙i
       }: : : : : : : _ _ _|      あ、でもパイモン、もといアストルフォの水着AAならありそうだね。
       |: : : :-=´_ _,´
      y' : : : : :_: : : : :i       まあ、考えとくよ。
     / : : : : : : :┌─┐
     i : : : 丶: :ヽ{ .茶 }ヽ
     r : : : : :ヽ、__)一(_丿
     ヽ、___ : : : :ヽ : :ヽ
     と_ : : : : : : ノ : :ノ
       ̄ ̄ ̄  ̄

592名無し-Red-市民-2:2018/07/14(土) 22:28:42 ID:YhmJActY0
>まあ、考えとくよ。

よっしゃ
乙でした

593 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 22:31:08 ID:mz9JAuVI0

                  ,- ‐‐ - 、
                   イ: : : : : : : : :`,
                      /○ ○: : : : /      そう、何を隠そう、我がスレでは支援AA、支援絵、シナリオ案、
          ┌─┐  i_ _ _ : : : : : : :{
          ┃茶┃   `,_ _`=-: : : :|       その他諸々を大募集中だ。
          ├─┤    i: : : : :_: : : :'
           ̄ ̄ ̄ー‐'' `-‐´ : : : : : :ヽ      ドゥンドゥン送ってくれたまえベイビーたち。
             ゝ __ ,.. イ : : : : : : : : l: : |
                  { : : : : : : : : :|: :.|     
                ,、 '" : : : : : : : : :゙、:.ヽ
               ( : : :‐ 、 : : : :__,. : : :Y"
               ` ー‐┘ ̄‐〈_ ,,ノ





         ,- ‐‐ - 、
       r‐イ: : : : : : : : :`,
      i /○ ○: : : : /   /` 、
       i_ _ _ : : : : : : :{    / : : /         ま、物乞いも終わったところで、宴もたけなわってやつだ。
       `,_ _`=-: : : :|   ノ : : /
       i: : : : :_: : : : :'y´ : : : /           シーユーアゲイン。
       `-‐、´: : : : : : : : : /
            ノ : : : : : : : : i´
          / : : : : : : : : : :|
           i: : : : : : : : : : : !
.          (`ー‐-  -‐ _}

594 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/14(土) 22:31:46 ID:mz9JAuVI0
あ、そうだ。

何かいい専ブラってないかな? 今Jane style使ってるんだけど、フリーズが酷くてね。

595名無し-Red-市民-2:2018/07/14(土) 22:45:03 ID:XcIWNprU0
乙でした。
そうかぁ、海水浴はAA的に難しいキャラもいるよね、うっかりしてた。
すみませんです。

今回も良い話でした。
すごく主人公しててよかった。

専ブラの件は…同じくJane style使ってるからわからない(汗
個人的には「すべてのタブを消す」とかそういう要らないのがあるのが困ってる……

596名無し-Red-市民-2:2018/07/14(土) 22:47:49 ID:3kgswuck0
乙でした

597名無し-Red-市民-2:2018/07/15(日) 11:40:32 ID:xWvDN02I0
おつおつ
若えやつには面倒見の良いスケベ系兄貴のキル夫すき

598名無し-Red-市民-2:2018/07/15(日) 19:51:30 ID:j.F0vTrM0
乙〜
私もフリーズするけど我慢してる
いったん切ろうとすると、反応するまで待ちますか?と聞かれるけど再起動した方が早い

599名無し-Red-市民-2:2018/07/16(月) 09:32:49 ID:pcbtlUoY0


600 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/16(月) 18:27:19 ID:/jZVVoHE0
>>595
そう気落ちしないでおくれよメーン。是が非でも海水浴やりたくなるじゃないか。

というわけで、次回第十二話『デジタル・デビル・バケーション!』執筆中だ。こうご期待だね。

ところで、まとめサイトへの自スレの売り込みってありなのかな? このまま過去ログ倉庫にぶち込まれるのも寂しい気がしてね。

ちょっと営業の真似事でもしてみようと思っているんだが。というか既にしているんだが。

601 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/18(水) 19:49:15 ID:nQvWEyXs0
第十二話書き上がったよー。異例のスピードだね。夏が>>1の心に火を灯したんだね、きっと。

明日の午後九時から投下しようと思う。

それから、一つお知らせだ。

「やる夫が人生でいいじゃない」管理人のぶっぱ様に掲載のお願いをしたところ、なんとOKがもらえた。

現在五話まで掲載していただいている。読み返す際はぜひ利用してくれたまえ。

ttp://yaruoislife.jp

602名無し-Red-市民-2:2018/07/18(水) 21:19:40 ID:jF6P9aV.0
まとめサイトからきますた
面白いんで更新楽しみにしてます

603名無し-Red-市民-2:2018/07/19(木) 19:30:18 ID:YJugUtw.0
シナリオ考えたとしてここに投下はネタバレになってマズくない? 避難所の類いはありませんか

604 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 20:00:46 ID:vs7rMPQI0
>>603
簡単なテーマだけ投げてくれればいいよ。

復讐劇!だとか、逃走劇!だとか

605 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:07:53 ID:vs7rMPQI0

    /||ミ
   / ::::||
 /:::::::::::||____
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||  、 - ‐‐ -,
 |:::::::::::::::|,´: : : : : : : : :
 |:::::::::::::::|゙i : : : :○ ○゙i
 |:::::::::::::::|}: : : : : : : _ _ _l   ハロー。
 |:::::::::::::::||: : : :-=´_ _,´
 |:::::::::::::::||___ : : :丿
 |::::::::::::::(_____ノ´||
 |::::::::::::::(_ノ / . . . ||
 |:::::::::::::::||/    ||
 |:::::::::::::::||      ||
 \:::::::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
   \ ::::||
    \||

606 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:14:46 ID:vs7rMPQI0

                  ,- ‐‐ - 、
                   イ: : : : : : : : :`,      最近一つ歳を取って22歳になった>>1だよ。
                      /○ ○: : : : /
          ┌─┐  i_ _ _ : : : : : : :{      さて、今回はスレ住民の要望に応えて海水浴だ。
          ┃茶┃   `,_ _`=-: : : :|
          ├─┤    i: : : : :_: : : :'      >>1も今年は海に行けなさそうだからね、
           ̄ ̄ ̄ー‐'' `-‐´ : : : : : :ヽ
             ゝ __ ,.. イ : : : : : : : : l: : |    せめてお話の中で楽しもうと思う。
                  { : : : : : : : : :|: :.|
                ,、 '" : : : : : : : : :゙、:.ヽ    では、初めてこうか。
               ( : : :‐ 、 : : : :__,. : : :Y"
               ` ー‐┘ ̄‐〈_ ,,ノ

607 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:15:13 ID:vs7rMPQI0

┌───────────────────────┐
│                                  │
│   第十二話「デジタル・デビル・バケーション!」  .....│
│                                  │
└───────────────────────┘

608 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:15:27 ID:vs7rMPQI0

         ____
        /ノ   ヽ、_\
      /( ○)}liil{(○)\
     /u (トェェェェェェェェイ)  \      ファッキンホット!
     |   ヽ!!il|!|!l|!!ii|i/. u |
     \u  ヽェェェェェ/   /
     /            ヽ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
猛暑だった。

事務所のクーラーが壊れて以降、加賀家は地獄と化していた。

「暑いわねえ……」

「暑いー……溶けるー……」

「誰だ俺の氷練乳食ったのはオラァ!」

仲魔の面々もソファの上やカーペットの上でぐったりしていた。
神の炎という側面を持つゆえか、セラフだけは比較的元気だったが。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

609名無し-Red-市民-2:2018/07/19(木) 21:17:13 ID:gmNTTv9s0
かき氷のほうが体温下がる気がするから

610 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:18:49 ID:vs7rMPQI0

                 __,,. -‐…‐-  .,
.            . ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`丶、
.          /:::;: -‐…━‐- ミh;:::::::::::::::::::::\
.         /:::/          `、::::::::::::::::::::丶
          j:::/ /⌒¨¬=‐,、- ミ  ';::::::::::::::::::::::::: ,
.         l:::}'′,/l    , _/_ \ 、 \}::::::::::::::::::::::::::′
       |:/ ,斗+ / /jノ __ ̄Ⅵl  }:::::::::::::::::::::::::|
        j'/ /{_j//   ィ芹圷刈 八::::::::::::::::::::::::|
.         i|k犲苅     ビン 1   ;::::::::::::::::::::::::|
.         || l { ヒン        |/  i::::::::::::::::::::::::|         はい、喜留夫!
.         ;^l人}  ′       厶 |::::::::::::::::::::::{ 
.       { 、 八   ー '′     | ;  |::::::::::::::::::::::::::.,        「おお、すまねえなあ」
           `、 个: .    ,.  _」′/|i::::::::::::::::::::::::::|
            }V/ ; `¨fiチz ̄::::::}   八::::::、:::::::::::::::|
            }};′ ;   r{{)=-‐  7 / \_、:\::::::::::::|
            /:} ,.厶イ⌒V   ;′ ; /⌒\::::';::::::::::.,
        /::::; }  { じ }}   ,.|  {::::;::::::::::::ト、 :::::::::::′
          /::::/ 仄 人 人 彡1:.  |;/:::::::::::::|:i`、::::::::::::,
.         /::::/  ′≧=-‐≦ ::::::}i:  |i:::::::::::::::|:i:i:i`、 :::::::′
       ;:::::; i|:::::::::::::::::::::::::::::从  |!::::::::::::::|:i:i:i:i:i`、::::::::,
       {:::{ ∧|::::::::::::::::::::::::::::::{::::\l:::::::::::::::|:i:i:i:i:i:i:i:\::{

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
セラフが台所から冷却ジェルの枕を持ってきて、皆に配っていた。
満面の笑顔で冷たい枕が渡される。

「あまり気を遣わなくてもいいんだぞ」

「ううん、みんなよりは元気だから」

そう言うと、セラフは台所に戻っていった。

「お飲み物持ってくる!熱中症だっけ、それになっちゃうよ!」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

611 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:23:29 ID:vs7rMPQI0

                    _ __
               __,, ィ' ´     ``廻},
              i薔}==彳        ヽ,
            r'´ ィ  ,     、    u  l i
            l l l  i   、  i、     / ノj
           l   l  i l i l\__l マ__rノ!ノ!/ j
            l  l  l  i、 l  __     __  !i l
             l /  l i l  {薔、}   {◎}l ヘj
            /   >! l   ゙゙゙     ゙゙゙゙ノ
           / i  / !lヘ、_ι ニニコ _.ul'        どこか……どこかに行きましょう。
           / /i /   i ir-、'r > ̄フ ! l l
          l / ir, l    i''ク、_フ_ノ⌒i l l l        私たちは悪魔だから死にはしないけど、あなたが心配だわ。
          l l li ll    l 7__i   l l/l l
          l l  l  ノ  lf、'  -ュ-! l リ        「お前らだって苦しそうじゃねえか。とにかく、ここにはいられねえな」
          l l  l  U l_/_/ i_i i-}  l
           ~ l     l〜i-〜fイ'  l
            l     l i l  X l   l
            l     l i__l X l  u l
     __, -‐  ̄/     l  l r ン     l
    {'___ノ          ノ_  ` ′   !
   ---′ ̄ ̄ ``` 、__ i'´   ̄ ̄-==-′

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
スマートフォンを取り出し、当てもなく検索をかける。
やはり、海だろうか。

そう呟くと、「海!」とパイモンが跳び起きた。

「海だよ海! 海行こうよ! 僕人間界の海見てみたい!」

「あー……魔界の海ってどんなんだ?」

「紫色でめっちゃ荒れてる!」

「やだなあ、それ」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

612 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:24:56 ID:vs7rMPQI0

i////lフ´                     /////
i//l<                       ////
//j/     ,/     / // /   .       /////
/l/ /  ./ /./ /}/}/! ′  ./ /    /////
:l从/ ./ / /}}/⌒\ |l/    ′ ' ./ ///|/////
ムl∧/  /∧/  〈  ● }}/   /}/}/ / //////////
///l| (⌒{ ′   ミ三ニ彡   ,ィ⌒ヽ!/ ///////////
///l|  \|//!    ,/ // ミ ● }////////////        水着あんの……?
///从 /j|/∧  ./{{ - _,/j/`≧彡イ}//////////
///l/{ {/|//∧ /   _ ,}}/  ,//////////////        「行き際に買えばいいだろ。とにかく、修理まであと二日ある。
////八リ∧///! ∠二¨¨マ |//////////////////
///⌒\/\/  、 _ ̄`.///////////////////         それまで休業だ」
厂}      \/\    ̄〆///////////////////
  |::.       \ ≧==彡/////////////////////
//|::::.   {⌒\`ー=≦{__ ///////////////////
//|:::::::::. 八 \}=七{⌒¨ \//////////////////





.  ,′.:::::::;;;;!'    i  i l!| ハ_       i__    i  ゚.  ‘,:::;;;;;;;;;;;;; |
  i! .:::::::;;;;;,′  /!i ルィ´! ゚.`       、 l i``ヽ. ! i i  ゚:::;;;;;;;;;;;;;;┃
 ┃::::::;;;;;;;! ,' ,  i jィ´!,'ハ .! ヽ.、     ヾト.、   `ト、! l  .!:;;;;;;;;;;;;;;┃
 ┃:::::;;;;;;;l i ! ,l' !i .!{ ゚. !  ヾ.、     ! ヾ、  l! iヽi i |:;;;;;;;;;;;;;;┃
 ┃:::::;;;;;;;! ! レ i !l l !-‐マ、   ヾ、  -‐l―ヾ、  i! ! lト、l ,!:;;;;;;;;;;;;;┃
 ┃:::::;;;;;;;! ! | ! l!彡==ミ、   ヽ\  ,テ==ミ、ハ! リ ,゙゚/|:;;;;;;;;;;;;;┃        はい、お飲み物。
 ┃::::;;;;;;;;l l i ゙、 !,ィ/ ,イ⌒ヽ     ` `ヽ! f⌒ヽ. ヾ:、! , ,' .|:;;;;;;;;;;;;;┃
 ┃:::;;;;;;;;ハ ! ! 〈;;{  {_:::o。::l!         l!::o:::::゙, };;〉,'i ,l:;;;;;;;;;;;;;|        「ああ、セラフ。これ飲み終わったら海行こうぜ」
 ┃:::;;;;;;;;::゚. 、ヾ ミト` マ:::::゚::c            r'::::゚::c' イ'〃,' /j:;;;;;;;;;;;;;八
  | :::;;;;;;;;::;;;i. .、 ヾトヽ `ー″          `ー ″/イ'i/ 〃|:;;;;;;;;;;;;;;;;ム        海? 私も行っていいの?
 ノ.:::;;;;;;;;::;;;;!ト. i、ヾ\         ,       イ,' 〃 {il!.!:;;;;;;;;;;;;;;;;;ム
イ.::::;;;;;;;;:::;;;;;!jム iヾ、\ミ .       _      .′リ {! lハ !;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ム       「もちろんだ」
:::::::;;;;;;;::::;;;;/∧ヾト、ヽトヽ >. ..    . .イ   |l! l! 〃ヾ};;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ム
::::::;;;;;;;:::;;;;,':::;;;;ヾ|!ヾ. l!i`\  ゙> . エ . <´    |l! |! ll/;;;‘,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ム

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「だって私、あんなに暴れて、喜留夫とかメイヴとかに痛い思い一杯させたよ?
悪い子は楽しい場所には行っちゃいけないんじゃないの?」

「そんなことねえって。全然痛くなかったしな。行こうぜ、海」

「……うんっ」

一瞬曇ったセラフの表情が晴れ、こちらの気持ちまで明るくなるようだった。

こうして、喜留夫一行の旅行が始まった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

613 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:25:33 ID:vs7rMPQI0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                         └──────┘

                           ┌───┐
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                           └───┘

                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘

                               ┌┐
                               └┘

                                   □

                               ・

614 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:28:35 ID:vs7rMPQI0

   {   i   ′     {f^   :  !    !  i  i :!.i | i i:  i! !
   {  i :|   :|    _j  乂__  :! :    :!  ! :|: !:| ! !:| i| i
.  八  :!|  :!   {f  i  |:⌒ヾi :l   i  l斗‐==≡ニ二  ̄
   ハ !|  :!   {{   :! :|  }} :|i   :!  :l  l !:|/イ从}/Ni{ i
.    } :| :!   :!   乂  ! :| .≠イ  !:  | :! 从 -‐笊才え≦_,
   , } :| :!   :!  {{ :i  :| .イfr「⌒ー=ミル:从ハ! イハ ィイfr:.:.:.:.と{ 7/,     私たちも選んでくるから、あなたたちも買ってきなさい?
  /,.:} :|八:  |   :八乂_刈ル,.ノ rfゥ^}  }ハ/ ) }/ ^弋v辷才斗 {/
イ ィ  } :|ハ ヽ:!     :\乂_人}气ぇソ__ノ 「       ´ ̄    乂     「おい待て、パイモンはこっち側だろ」
 ノ  , . !{ } リ ! ⌒ヾ ∧ :} 乂r-<⌒Y            f´/ /
.   / , i /イ: , /i  :i   八____廴_彡^   :           八{  {     細かいことは気にしちゃだめよ。
  / /: i  // :i  从ハ八(___  -‐=ミ    ` ゙        }乂:{
. / //i | : //  | //:ハ∧ :ト、 ̄   (イ__) 、__,,.. ィ       从ハ
 ′ ′:| //.   : /   } ∧ :\         ̄      .ィ"/ ハ {
     八 ′  :|:/    :} : ∧( ≫            イ 乂 ノ 八
:{  i{  ハ:   /     } i ハ}ノ  ⌒ヽf⌒77r-く⌒V「{ {{ (( {

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
レンタカーで駅前のデパートに寄り、男性陣と女性陣で分かれて買い物をした。

「レジには私が持って行くわ。柄や形は海についてのお楽しみよ」

なるほど、我が仲魔ながら粋な計らいをしてくれる。
ヨシツネを肘で小突くと、鼻をほじくりながら「あの雷堂の仲魔のスカアハみてえに
ないすばでぇがいるならまだしもよ、ちんちくりんしかいねえじゃんこの一行。
ちんちくりん大会じゃん」などと漏らすので、危うく旅行の出だしで死人が出る
ところだった。

ヨシツネよ、お前は知らないだろうが、メイヴは着やせするタイプなのだ。
それを教えるつもりもないが。
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615 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:29:26 ID:vs7rMPQI0

                   _, -; ァ=ー-, ,、
                   //////_//////`ヽ
                 ///> ´   ` <//,ヘ
                    j//´ , <⌒> 、 `∨∧
                /i/イ: |: :l :l: : : :,:ィ `ヽ}/∧
                  //| l /l /Ⅵ: : :/ _レv i: l///〉
                  ∨| l! レサミ`ヽ/´テミⅥ l///
                    }Ⅵ:代_:ソ    廴ソ'}: l//,|           わあ、紐が一杯ついてるよ、メイヴ。
                  }/V弋     '     ,イl: l'//|
                  }/∧:ト>, 冖 ィ: l/: l//,ハ           「そういうのはまだ早いわね。こっちはどう?」
                    }//ハ|-‐^ 干 ´ヽl: /:l'//∧
                   ,'///}:r===xレ==x{ ト、l //∧          あ、かわいい……
               /////{三二ミ|三ニミ{:И}:V//∧
                 /////!:ハr‐ヘ,ィ'⌒ヽ八iリ:.:V///ヽ
             /////:/{//ヽ//ト -イ//,}:.:.:.:.V////\
               /////.:;':.:辷//_/メヽ//_/イ:.:.:.:.:.l///////ヽ
           ////イ:.:.l:.:.:.}///////////〈:.:.:.:.:.:.}/////////\
             /////,l:.:.:l:.:.ノ////////////ヽ.:.:.:.;'////////////ヽ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「褌ねーのかよ、褌」

「絶対嫌だわ、並んで歩くのも嫌だわ」

ヨシツネと共に味気ない男の水着選びを済ませた後で、集合場所で待っていると、
上機嫌そうに女性陣が戻ってきた。中に女性と呼んでいいのか分からない奴も
混ざってはいるが、一応女性陣ということにしておこう。

「ふふーん、僕、今回のチョイスには自信あるなー。惚れないでよ?」

パイモンがウィンクしてくるので、目を逸らす。
流石にパイモンに恋愛感情を抱くほど業は深くない。
メイヴがいるいない以前の問題だ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

616 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:33:15 ID:vs7rMPQI0

                          ___
                       ,斗≦:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i≧.x
                   /:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:>=ミ、
                  イ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:/ニイ_{:iヾ\
                 /:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i〈ニ/}ニ{:i:≧=、
                    /:i:i:i|:i:i:Ⅵ:i:i:i:iⅥ:斗=≦:iⅥ:}ニ{Ⅵ:iノ∧
                / {:i:i:i{:i:i,斗:i:i:i:∧\:i:iⅥ:i:iⅥニl. Ⅵ:i:i:∧
                  / /{:i:i:i爪:i:i{\:i:i:i∧ _斗示ミ:l,弐 Ⅵ:i:i:∧
              / / .|:i:i:i:i:i:Ⅳ竺_\:i∧ / r 刋ソ:i:i:i:} {:i:i:i:i:∧            いざ、でっぱつー!
               / /  !:i:i:i:i:i爪V心 \:i:. ゞ-' }:i:i:i:| {:i:i:i:i:i:iヽ
             , ,   .{:i:i:i:i:i:i:i:ヽゞ''    ヾ    .}:i:i:i:| {:i:i:iⅥ∧            「おー」
                l{ .l{  {:i:i:i:i:i:i:圦    `_   ┐  八:i:i}ノ从:i:i}:i:i∧
    r 、  r 、    l{ .l{. 八:i:i:i:i:i:i:i:i\   、 ノ /}:i:i:/:i:}:i:i}:i:i}:i:i/:ハ           
      ヽ‘, :.      .{{ .{{.   \:i:i:iⅥ:i:i:i≧s  _//}:i:i:{:i:/}:i/リ7:i:/}i;ハ
      ',   } .}  - 乂乂    `¨Y≧Ⅵ:i从:ハr彡 .|:i:iハ={'{_,彡' }∧            
     へ ゝ { / /         }:i:i} Ⅵ从ヽ {  /.|:i:i:ニニニ}.      ',
.      {--、}  ノ' {          }:Ⅳ Xニ /r'     .}:/ニニニ;         ',
     八 ヽノ-v  ノ          }://ニニ/ ,j   ./}'ニニニ; :{      ',
      \_  -=≦ヽ          /ニニニニ.{ f _r≦ニニニニニニ:{八     \ ',
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     { 。/      へ     / }ニニ/ニニニニニニニニニニニニニ=_ ∧ =彡  {
     {      ≦ノ   r≦    }ニニニ} oニニニ oニニニニニニニニ=_/:i:i\     }

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車に荷物を載せ、海へと向かって出発する。
選んだ車は大容量のワンボックスカーだったので、五人がすっぽり収まった。
運転席には喜留夫、助手席にはメイヴ、後ろにはパイモンとヨシツネが
セラフを挟む形で座っていた。

高校を中退した後、免許を取っておいて正解だった。
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617 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:33:33 ID:vs7rMPQI0

                -,ヘ‐/:丶、
              /:/:/ : : : : \:.\ 、__
           /7 ア/: :/ : : : : : : : 丶:.\ |7           n .,7 /7
         _,〈 / }: : : ,: : : |: : : : : : : :ヽ: :',ヽ          | |,ル'/, フ        ふふん、こんなこともあろうかと、
        <ア/}/: : : :{.: : :.|: : : :.l\: l: :',: :',.、ヽ      r 、|    /
          ./ : : /: : : : 从匕: : : :.匕⌒: : l : |: :Y       ヽヾ- ` {          トランプとかウノとか色々持ってきたんだー。
        /: : : :|: : l: : {,ィ苳ミ \ | ィ苳ァリ : }: : :.         丶 ` ノ
        /:/ : l\∧: ゞVソ   、 り }: |:./ : }、:.       {ー─}           セラフ、やろっ?
         {;' {<^¨^〜、`^ゝ、        ノ:./': : : } ',}        'ー─l
         | {く_   r'   7 ヽ ノ /: : : }^ソ- 、l      /- 、 |
         |   `ヽ<    >ー‐'7乂:.イ z‐ミ }     厶=ミ.、 }
         |     \    ミニニ〈: : :ノ    `ー、__/_  ゙v
           〉      ※。 ミ´ ̄〈: : )          /ニニニヽノ
            〈         ノ ゚`''*。(: : )※    /ニニ丶ニニ}

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高速道路に移り、御幡市を出る。

社内ではパイモンたちがカードで盛り上がっていた。

パイモンは堕天使なので、大天使であるセラフとは相性が悪いかと思ったが、
そうでもなかった。むしろ仲が良いように思える。

まあ、パイモンなので大丈夫なのだろうが。
これだけ頭が空っぽなら、種族間の敵対など気にもしないのだろう。

賑わう後部座席とは対照的に、運転席と助手席は落ち着いたものだった。

「まるで家族旅行ね」

「そうだな。悪くないだろ?」

メイヴは外の景色を眺めながら、「たまにはいいわね」と呟いた。
自分も、十年前に家族や友人を失って以来、こんな時間が来るなんて思いも
しなかった。まさか、こうして誰かと一緒に旅行に行くとは。
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618 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:33:54 ID:vs7rMPQI0

           ,. -―――――‐-=、
.         /: : : : : : : : : : 、 : : : : : \
.       /: : : : : : : : : __il:.: : : : : : \
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.    /,ィ_, -=          \. : : ::. : : : :.゙、
    /..:r=‐       __,i-< ̄ ̄ \ : ::::. : : : :ヽ
    |.:::| ,==-_,=' ̄ i |  \   _|ヽ :::::::. : : : `、
    i::::j,=-イ゙¨| |   .|.| |, -―`< |i ヤ..::::::. : : : ::i
.   |:::::}' i | l .} }、  iハ .ム- ., ィ=ミ、li ヤ ::::::: : : ::::|
.   |:::::| l |_i-Ai-ヽ .i| i/ ' ´∧:゚ d:::}. }、 }、 .::::::. : :::::i
.   |::::i | | .| i .,≠ミ|     ゝ゚"´. i ./ ヤ..::::. : :::::|
.   |:::i .| .i゙、`ilV::b ゚j:i:゙         }/i /i.:.:::::. : : ::i         わあ……海って、こんなに広くて綺麗なんだね。
.   |:::| .|、| ヘ . ハ. '"´  丶      イ/ /i::..:.:.:.:::.. : ::|
.   |:::| .|i. i  `|... 、     っ  ..イ:i /i:;;;;_:_::::::::. : ::i         「見るの、初めてか?」
.   !:::i 八 ゙、 . | .i  >、  _ , イ_ミil| i  _>、 : :::|
    }:::!':::::トヘ i  |__i_l/  }7ヒソ=彡" / ∥: : : :i..:::::i         うん。知ってはいたけど、見るのは初めてだよ。
    }.:::::::::| |i、|、 i'::::::|i    >ミ'7  /  i /i: : : : : }、::::|
.   j.:::::::::i  | i ヘ|:: : :ミ、   }jニフ /  |'': :|:. .:: : : :}、::::i
.   /.:::::::::|i  |.| .}::. ::,'゙ii ,'i⌒i、 / i  i:. :/: .:::: : : i、:::::ヽ
  /.::::::::::/|  i,'  i: : }': :゙ミ_,'i^'i、7  .|  {:<. ..:::::: : : :{、`i:::
. /.::::::::::::i .l ィi  .|: :/: : : : : ̄:7/  i  |: :゙i. :::::: : :'´.:| .ヾ
X'__::_:,、:{__V:}' , i: :i .:::::::::.y'../A  .{ .i: : :|. :::: : ::: : :i 、、
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車を走らせること二時間。

海が見えてくると、車内で歓喜の声が湧き上がった。
海には不思議な力があるように思える。人の気持ちを明るくしたり、落ち着けたり、
解放的にしたりと、色々だ。

それは悪魔たちも例外ではないらしい。
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619 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:34:31 ID:vs7rMPQI0

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ここら一体は海沿いにホテルなどが乱立しているリゾート地帯となっていた。
既にツインとトリプルの部屋を取ってある。

駐車場に車を止め、外に出ると、照りつける日光に目を焼かれそうになる。

ホテルの部屋に荷物を置いた後、早速海の家に入り、着替えを済ました。
男の着替えは簡単だ。脱いで履くだけなのだから。
だが、女性はそうもいかないらしく、女性陣が更衣室から出てくるのは
男性陣が出てきてから五分ほど経ってからだった。
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620 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:34:51 ID:vs7rMPQI0

                      _i_
                  __  -- `ヽ,、_,_
              ソ, ‐'' ´- ‐   ̄ `ヾ゙〈テ>、
           ,rf>/x'´  l 、   ヽ  \ ヾ`ト、ヽ
          /K〉f"   ,)ゝ、 、ヘ ヾヽ  .ハ ハ〈、__l_,、
          f Xソ-、、 r'´/  l>i、<ハ l l l  l' ̄ヘ )
          | ,,ノ /ヾ f´ l、 ヘ l ノ>テメリl l lヘ l ヘ
         ‐t''" l l |ヘ`x-‐、‐イrテリlリィョリミノ .l l ヘ l .ト、
          | l l li|.| l f rミヾ',)'ノ ヘf::j.liノ|ノ l  l l ト、\
          | l l  l八ト、弋ラ:'ソ    ´"´ ノl  ト、 l l l. \\
        /ノ,ィ'l l .ヘ `゙テソ´  '     ノl  l \l lヽ ヽヽ
       /イ/ノ l ll l. Y //、   ‐ '  /l:::l  l\ \l ノ ∧ ヽ
      | f´'"/ //.|l l  l |ノ:ヘ:l>r. _,イ‐ 、l::l  ト、ヽ  ヽ/ ゙、 〉            お待たせ。
      ト、`<  // //  / | |:::l::rノ   `>ソ7l  .l‐‐-、\ \ / /
      ト、`<  // /,-''  ̄`'''"_._      ,, -'- ''" ̄.. ̄`'''-、 \/             衆目に肌を晒すのは主義に反するのだけど、
      /∧ } | l //,'    /   ゙-、 ,.'_, .フ ニニ; __     '.,ヽ ヽ
      | ∨ノ l // !  レ           .', くr ,.'_Y_-''"i.   ', 丶、 ヽ、           今回は特別よ?
      ゙y゙〈  ノ/ .!  /:::ヘ      Y   ∪-"λ    !   ',`ヽ ヘ ヘ
      /∧゙x"/ /.! ,'::::::::::ヽ.    .;;      .ノ:':,    !.    ', l ヽ ヽ
    // / / / /.! !:::::::::::::::':...,.  ;   _...-::':::::::::!    !    ',l  l ヽヽ
   // / / / /.!. ゞ:::::::::::::::::::::ヽ r''"::::::::::::::::::::,' ',   !    !  l  ト、ヽ
  { f  / / /  / !  !ヽ_:::::::::::::::::::必:::::::::::::::::::::ノ   ' ,  !    !  l  l ヽヽ
   ゙、/ / / /l .!  .!   ̄フ::::,.':/"',へ::::/-''",'     ヘ |    !  l  l  l l
  / /// / / .!  .!   ` 、/:/  ヘ - ..,,,_./      '..!   .!   、 ヽ l l
 /  / / ./  / / !  .!   ./:::/    ヽ::::__::: ̄"''- ,,,_ '..,  ,'il l  .〉  〉 l l
 l.  / /. / / / /   ,'    <::::',      7 "'''- __::::,..::'  ヽ-´l  l /  / //
 |  l l l  l  ,.'  .ノ     ヽ ニニ'''''-,  .!  i  l  l   l l l l /  / //
 |  l l l  l  /  ,'          .ヘ _:', ヽ  l  l l i l  /  /  l  /  /
 ゝ ヘヘ ゙ /. ,'.   ,'               ヘ l  l l , ,' /   | /  /   (
  ヽ ヽ lヽ,'  ./        λ       .__ -'ー''"7/ ./   | /八/ ,′ ヽ
   〉 ノ人/.  ,'         _ ,,,,,,,--''": : : : : {: } >l /    / /  `ヾ,.:-'"
  /  / ノ  ノ!__ ,,,,,,--ー'''''"": : : : : : : : : : : : / '., `ヽ    )ノ   イ
  | ./ l l l/ !ニ ニ ニー"": : : : : : : : : : : : ::/  __/ー -::._/V、j  ーソ
  .//  l l// !: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ∠ー==7::::::!',:::::::/  `'
. /    ソノ   l!: : : : : : : : : : : : : : : :/: :/,.'"  ./::::::i:::! ',:ソ
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           .): : : : : : : : :/: : イ ',:!          \::::::::へ
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         !: : : : :/: /   .,' .   ',          !
         !: : :/: イ    ./.    ',          !

621 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:35:05 ID:vs7rMPQI0

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メイヴは薄桃色のビキニにパレオを着けていた。
健康的な白い肌に、細く長い肢体が露わになり、喜留夫は何度も見ているにも
かかわらず、不覚にも恥ずかしさで目を逸らしそうになってしまった。

主に胸元と腰つきが危ない。
解放された胸が揺れ、くびれた腰が眩しかった。

セラフはシンプルな黒のワンピースだった。
元から端正な顔立ちしているからか、西洋人形のようにも見える精緻さと
愛らしさがあった。

パイモンは、やはりと言うべきか、女物の白いビキニだった。
下がスカートであるだけ、まだ救いがあるというべきだろう。
なにせそこにあるのはアリオクではなくマーラ様なのだから。
それもごりっぱな。
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622名無し-Red-市民-2:2018/07/19(木) 21:36:25 ID:gmNTTv9s0
ふんどしじゃないのか

623 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:37:50 ID:vs7rMPQI0

.           |\    /⌒\ : :/⌒\___      __
          |\|二\ /: : : :/\: :/\ : \: :\   /ニ「
      __|二\二/: : : :/ /: : : :: ̄\:\..:|\: :\/二二|
   __\二|ニニニ/: /: : : : /: : : : : : : : : \|| \二二ニ\
/二二ニニニニ/: / : : : :/: : : : : : :| : : : :| ||   \二二二\_
 ̄ ̄ ̄ ̄./.:/:..: :/ : : : : | : : | : : : :| : : : :| ||    \二\二二|
   _/ :/: : : :/: : : : : :.| : /| : : : :| : : : :| |Λ  |    ト-- ニ\
  ⌒/ :/: : : : :/: : : : :j_|⌒ |: : : : 「::|⌒:|..: : :\|⌒\|\|
  /: : :.⌒| : :|: :| : : : Y⌒)うY |八: : |斗 =ミ : : : | : : : :|: : : :\
/⌒):/: :|/|: :|: : /:| ヒソ   \| ヒン )Y: :| : : : :|:..: : : : :\
  /| : : : : : :|: 八Λ/| ''     ,       ,,  /|: / : ノ|__厂 ̄ ̄\            「二人とも可愛いぞ。乾いた心が潤う」
    |/| :| : :|/: : :|: :人             /: |/|∠           }
.     | :| : : : : :/| : : |:\  r ,   //: :..:└┬< ̄\   \          ねー、僕にはノーコメント?
.     |/| : :/∨/| : : |: / \___ /..:/: :..:/:ノ:| : :|: :..:人\   \
        | :/    トヘ|/: : :|      | : /:../|イ  |/|/    \   \       「よし、野郎で傘だのシートだのやっとくから、お前らは
        |/  ___∨//|      | //: : : :|           \   \
        |/    \//        | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\       |     \    先に入ってきていいぞ! あ、パイモンは手伝え」
.       /      //\     / ̄ | |           ̄ ̄ ̄ ̄ |      \
      |       _//        _| |                    \      |  あ、ひっどーい。
      |  |  /ニニ\    /ニニ\   /                    /
      |  | / ⌒\ニニ\__/ニニ/ ̄\    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      |  ′    /ニニ「ニ|\ /     |  /
      |  |    /二二Λ ノ二 \       \Λ__
      |  |  |二二/  \二二|    _/ : : : : \__
      | / ̄/ |ニニ/ ̄「 ̄「\ニ| ̄| ̄\ \: : : | : : : : \__
      | Τ/__」二/ _」 _|_ ヽ「 ̄\_}―┘: : |_: : : : : : : : : :\_ __
      | |                 / \_:/: : : : : / ̄: : : : : \ \: : :\_

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「じゃ、女衆は先に入ってるわね。行きましょう、セラフ?」

「うんっ」

時刻は午後の三時。夕方の午後六時くらいまでは遊べるだろう。
シートとパラソルの設営を終え、メイヴたちの後を追う。
すると、早速ナンパの手が伸びていた。

パイモンにゴーサインを出す。

「えー、趣味じゃないんだけどなあ。まあいっか」

そう言うと、パイモンは絡まれているメイヴたちのところまで行き、
男たちを連れだしていった。まあ、嫌がっている女よりは誘惑してくる女に
ついていくだろう。

そして地獄を見るのだ。
隣でヨシツネが身震いをしていた。過去のフラッシュバックが起きてるのかも
しれない。

数分後、男たちが真っ青になりながらシャワー室から逃げてきた。
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624 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:39:43 ID:vs7rMPQI0

                       ―― : ヘ _
                /:/⌒\/: : : :\ :\/ニ\
                _ /:/ : /´>^<ニ\} \ {ニニ|/ニ〉
.            _|二/ : : :// : : : : : \:\  \こニ「ニニ/
            〈こ二/ : : : :/: : :/: : : : : : : :\:\  \ニニ/
          Λ/: : : : :/: : :/: : : : : :|: |.: :\:\  >'⌒
.           ⌒∨ : : : : |: : /| || : : : |: Λ.: .: :\:\(
           /.:/ : : : :|⌒7.:ト|.:/: イ|/ ̄ | :八..:\:\__
             /.:/:..:|: : :7テ笊㍉И:. :ノィ笊テK: : :| : |:\r'⌒
         /イ : : |八 : : :乂ツ ノイ  乂ツ |: : Λ :| : : \_
           | | : |/V\{ ''   丶    ''ノイ/ : V : : : :r'⌒         ふふん、僕にかかればこんなもんよ。
             И : : : : : 仝.   ー;;; ´  仝: :.|: : :八{\{
               |/\ : : | : :> . ___. .< /.: : :ノ/               「なにしようとしたんだ?」
            /⌒V\:..:.{: :ノニニニ{:/.:.:/{
              { : : :/: :\厂  (^^) {/ 、_                ナニだけど?
            /\ {: : : : :}  ̄`   ´ ̄   ||  `\
             >―'⌒\/           ||     ヽ            「そら逃げ出すわな。お前タチだし」
        /    ニニつ              ||
        /     ニニつ〉            Λ
.       /   _,  ニ⊃:..:}            //Λ       、
      /    /  /{ :ヽ/ ノ        /  /Λ/    `、
.     /    /  /:Λ: :}/} \           /`、    `、
.   /       / {: :∨..: :}  \ _///  /  `、    `、
         j /  ∨ : :/  ̄ ̄  ⌒ └ L _/    `、    `、
   |     //  厂{.:/ :}             /      `、     `、
   |       /ニ}‐:{ :.:{.:_ノ                   `、/   `、
   |_ / ./こ }: :{∠: :ノ             |.        /     〉

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パイモンがナンパ男を追い払ったところで、泳ぐことにした。
海でやることといえば一つに決まっている。

冷たい水に足を漬け、波に打たれると暑さも吹き飛んだ。

「おい見ろよ! 俺の浮き輪八艘跳びをよォ!」

「あんま目立つ真似すんなって」

浮き輪相手に八艘ビートを決めているヨシツネを叩き落としつつ、
セラフとメイヴのところに行く。

「あそこは格好よく追い払ってくれるものだと思ってたわ」

「悪かったよ。でも、変なことされなくてよかった」

「ねえ喜留夫、そんなことより、泳ぎ方教えて?」

セラフがせがんでくるので、喜んで応える。

「よし、それじゃあ俺の手に捕まりな。俺が引っ張るから、足を動かしてみろ」

「私も付き合おうかしら。パイモンはヨシツネと遊んでいるみたいだし」
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625 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:40:38 ID:vs7rMPQI0

          r‐Ym})  , r-=二 ̄二≧ァ、,.=(、-
          `ゞ綺)/ヾ           fY晶tッj
          イゝ´《  l l l l | l| |l | r外 オツ,- 、
            ! {{.// i l|| , | l | l| l | | ハ|l, i ', ヾ=-、
            /.从 | Ti !/| , | l | 7从┼l-i!|l. 人   )
         ( / { i 〃Vアフ彡ソィ/j」⊥、!、 l }   ヽ'
            )i 从 jV z/笊メ=彡'z≠ミヽ l 八_    \__
            ゞ ,乂 i  j{伐戎ノ  弋歹川.! /`==…‐‐- 、)
            i   };ヽx弋`ζ´      リj i八_彡くォ― 、 ∧         あら、上手ね。もう泳げるようになったの?
            jい i   y人   _ _,   ,イ 八   ニ=…‐V ∧
          ヾ  | i /(  i >、   イ(.:{`=…― -ミ:.=‐-V ∧        「うん。深い所はまだ怖いけど」
             |ヘ 川   ) (ゞ=イ ` ´.  ヽミ=…‐ ミ‐-=ニ∠V ∧
             i! ;i  )ノ「/,):.ヽ     '´ |il|',:ノ ̄`ヽ)ノ     V  '.       よしよし、それじゃあ浅い所で皆で遊びましょう。
           ;i / ( | -=彡ノ     |il|    ________ノ
           / / 〃{il{、   、/    !il   ′ /  /    {
          〃     r'Fテミマz  {   rfテミメ  川 /   {    ,)__
          {;{   {  八++++ Z人r「'++++゙ミ/ l./    `=…── - 、
           `ヽ ヽ/  .ゞ+++≧≦ ++++ィ{ {{     `ミ==- _  )
             )./  ,人  ̄'. /Πヽ  ̄ ̄   V             `ヽ
            // /⌒ヾ、ノ`|:」.L::」      \ `=…‐ -        ,;
       / //    ィ}}  ヽ           ` 、      `    ノ
      ,   /(  , < ノノ    ' ,              ヽ`=…─ -  )/

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セラフが泳ぎ方を覚えたところで、パイモンが水鉄砲でこちらに水をかけてきた。
パイモンが水鉄砲を三つ、こちらに投げ寄越す。
ライフル状の大きな水鉄砲だったので、キャッチするのは結構大変だった。

「売店で売ってたんだー! あげるー!」

「あぁ? 敵に塩を送るたあいい度胸だなこの変態女装ヤロー!」

海水を掬って水鉄砲に装填し、パイモンに向けて発射する。
メイヴとセラフもそれに便乗してパイモンに水をかけていた。

「ちょっと、三人がかりはずるいってー」

「ヨシツネはどうしたんだよ」

「ナンパに行ったー」

「あの野郎……」

その後、ナンパに撃沈したヨシツネを皆で集中砲火した。
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626名無し-Red-市民-2:2018/07/19(木) 21:40:50 ID:gmNTTv9s0
ヨシツネが一番はしゃいでる感あるやんけw

627 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:43:49 ID:vs7rMPQI0

                  ____
   _,rーく´\  , --、   /      \
 ,-く ヽ.\ ヽ Y´ /   /         \
 { -! l _」_ノ‐′/   /  (●) (●)   \       よし、今日は撤収だ。
 ヽ ゙ー'´ ヽ  /   |  (トェェェェェェェェイ)    |
  ゝ、  ノ_ イ    \ \ェェェェェ/    /       荷物持って引き上げっぞー。
    ヽ     |     /             ヽ

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日が暮れてきたので、皆を連れてホテルに引き上げることにした。
海の家のシャワーで海水と砂を洗い落とし、着替えてホテルへ戻る。

部屋割りは喜留夫、パイモン、ヨシツネ。それとメイヴとセラフだ。
ヨシツネはパイモンと一緒の部屋になることに恐怖を覚えていたが、
我慢してもらう他ない。

ホテル内のレストランで皆で夕食を済ませ、それぞれの部屋へと入っていった。
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628 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:44:51 ID:vs7rMPQI0

   ≧s。                                             /
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     ¨ =-  _        ≧s。.,_,,..   --─…宀冖 ''' ¨  ̄         |  |  /   /
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風呂を済ませる頃にはすっかり夜になっていた。
明かりを消し、ベッドライトのみを点け、ベッドに横になる。
それに倣うようにして、パイモンが隣のベッドに飛び込んだ。
ヨシツネは椅子に座って日本酒を呷っている。

「ねえ、喜留夫はメイヴと同じ部屋じゃなくてよかったの?」

などとパイモンが言うので、アメニティの緑茶を吹きだしてしまった。

「な、なんでだよ」

「だって、二人ともお互いのことが好きなんでしょ? バレバレだよ」

「お、お互いかどうかは分からねえけど……」

「えー」

メイヴとは十年来の中だ。確かに自分はメイヴに惚れている。
自分の人生の中で何よりも大切な存在だし、何があっても守りたいと思える。
彼女を失えば、自分は今度こそ、生きる意味を失うだろう。

ただ、彼女も自分に同じ感情を抱いているか、と言われれば、確信は持てなかった。
彼女がハイピクシーからクイーンメイヴになって二年が経った時、体を重ねた。
あれからというもの、彼女は体を許してくれている。

それは慰めなのか、それとも自分への好意ゆえなのか。
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629 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:45:35 ID:vs7rMPQI0

                 ,.  ´  ̄ ̄ ̄  ≧s。
                /         ヽ`ヽ  \
               /             \ \   ヽ
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        .ィi7’                    :,  :, /ムi!}
       .ィ////     !    i! 、   、  ヽ   :,  :,;!//}∧
       {/// ;!      !    i! }ヽ !    i   i   i!//}/∧
       》′    f .ト    l、 i! ゙:,!  _,ィ{ .}.ィ7  i!//}.//》、
.       / .イ      !ゝ.!‘, .l,.ィ'´ i!  弋 ヽ'ノ7 i!//i!/ノマム        喜留夫はさ、メイヴとどうなりたいの?
      / / l   l  l`ヽ. ‘、 ! .ィ忙ミ、<ァ( .)`ア .i!//i!ム  マム
      | ,! ! /  ,! f ヤミ、 `、!  ヒ ::iり ゝ'/ i ゝ'、゙:,`ヾi}//!、ノ´        「どうって……このままでもいいんだが」
      レ’ .レ  /  !. tリ     ¨´ ノ ./`’ ) } ノ  i}//! ゙:,
          |     ∧  、         `7 / i ノ’ /  .i}//!  !        えー、なんかないの? 恋人とか、夫婦とか。
          |  / / .∧     ,,   ;! 'ノ=‐ '     `ー' ト、!
          | ,!  ! i! \  ̄    .ィ’ /      i!  リ          「ふ、ふふふ、ふうっ……!?」
          | λ 「Vi}、 l ヽ _ 。r≦ レ´      イ   .リ .λ
          | i :, .|  _ゝ!´  ̄ `ヽ.  ノ    / l  / ./ i}
          | l r《| ̄       _,zi} ./ _,.Z''’i! /i! / i! i}
          | l,.ノ        》//'ー‐≪ _,.イ 〃'´  .」! i}
        /レ     ζ´  //////ノ'´ { i! .レ’=─ァ─一'’

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メイヴと夫婦に。
それはつまり、子供とかもできたりするのだろうか。

メイヴとの子供。

考えただけで頭の中の歯車が急速回転を始め、凄まじい熱量を持ち始めた。
顔が瞬間湯沸かし器のようになっているのが自分でも分かる。

「……考えてみるよ。でも、今はメシア教とガイア教の争いが活発化してきてるし、
そういうのが落ち着いてからだな」

「うん、それがいいよ」

パイモンはそれだけ言うと、ごろりと反対側に寝転がった。
メイヴとの関係。今のままでも十分幸せだったが、その先のことなど
考えたこともなかった。いつか、前に踏み出せる日が来るのだろうか。
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630 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:46:24 ID:vs7rMPQI0

〜一方女子の部屋〜



          /::::::::::::/ ̄     `丶、:::ヽ:::::::::::::ヽ_
.          /:::::/:: /            ヽ::::\:::::::::ュ 、ヽヽ
         /::::://    _  -―-  _     \:ヽ::::::.|    }
.      ┌,へj:::::イ    イ  ./     / 7, ヽ 、  ヽ::::::.|  |
      j /´〉:/  , イ | | _,.ム,     7ュ、'_|  } \  ! .|    |
        /  / (::イ´| 」イ / |i    / |/ 「ヽ ハ    `| .|   |
     /  Y:. i/  ,イ´| ハ.| !i  /≠-_ 」 / `ト、 .| 八.   |
     |  卜:::li ./ | x≦ミ八/  ."¨, ≧ミ、 | ヽ} |::: i  .,'
     |  |:::li   |〃 だヽ         |:::::::ヽ ヾ ./ .|:::::::i  ',          ねえ、メイヴ。
     |  |:::|   《  b ゚::::}      P ゚ 。} 〃/  |:::/   ',
     |  |:::|!  从  ゝ:ン   i    ゝ=ン .//  }/:{     .Y         メイヴは喜留夫に告白したの?
     |    八  |、             ,イ'   ,イ::: ハ    }
     |    /.:「\ .! ヽ     '⊃    イ|   i::::::| `   イ          「あら、どうしてそう思うの?」
.      |   }::::ヽ:::ヽゝ  |!>  、 __  <  ノ .!   ,'::::: |  /::::|
      .|   }::::::::::::::|  |{      ヽ==     |  /::::::::| /:::::::: |          テレビで見たの。男の子と女の子のどっちかが
      ,へ ..ノ::::::::::::::::|  .八            | ,イ:::::::::::',::::::::::::::ハ
     .i:::::::::,'::::::::::::::::,  /:::::ヽ           | |.|ヽ::::::::::',:::::::::/:::          どっちかを好きになったら、告白するんだって。
      i::::::/:::::::::::::::/ /:::::::ィ::::\       イ .|.|::::\:::::::',::::/::::::
     ヽ/:::::::::::::::/ /''7  {::::::::::≧x---x≦::::l |.|::::::::::\:::V:::::::::

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こんな子供にすら見抜かれるとは。いや、子供だからこそ分かるのか。
メイヴはベッドに横たわりながらじっと見つめてくるセラフを見つめ返し、
そう思った。

「もう、そういうの通りすぎちゃったのよね。お互いタイミングを完全に逃しちゃったの。
もちろん、私は喜留夫が好きよ。あの人が命を終えるその時まで添い遂げたい
と思っているわ」

本心だった。
悪魔も人間も紛れもない命だ。生きている以上、いつかは死ぬ。
悪魔の方が人間の数倍の寿命はあるが、それでもいつか終わりは来る。
本体ともなれば話は別だが、分霊である自分には変えられぬ運命だ。

だが、それでいいと思っている。
枯れぬ花にはない美しさが生きた花にはある。
終わりのない命にはない懸命さが限りある命にはある。
自分たちが生きている今は、永遠より尊い何かがあるはずだから。
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631 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:46:41 ID:vs7rMPQI0

                  ,  -ィ''  ̄ '' -ヲrtjュ<´\
           / ヽr= /         \ヾイト}、  \
          / _ノヒj/               \{{_ヾ、  ヽ
           /  {{ /                  \ ハ\  ヘ
.          /  ∧{/   ィ   i    |   i  ,   ハ i ヽ  ヽ
        /  / {i   il  i l    ハ  ミ;,  i   i |   ';, ハ
.        /  /  i   ハ  i! i ヾ  i>-升ト i   l |   ヽ \        私は喜留夫の望むようにあるだけよ。
       /  /   l    il:  |ハハ.  .l _ヽi,Lハil    | |    ';,  ヽ
     ,,;;'  /   ヽ   Vヽ ト))=、ヾ リ .ィ行芯;|   .| |    ヽ  ';,       彼が望むなら、私はどんな関係でも受け入れるわ。
   //  /     ';,  ミ;,ゞトュi}イ}    武::::リ.i   ハ ',     }  ヽ
  /  /       ゞ、ミ人LУソ}}    " ̄ /イ  ;i, ハ     V /
/   ,'          川>=- ̄((  '_ _  / /  /il  i ',     i /i
/   ,'           ,' i } >  )) `ー'   イ/ ,;/i il  l ヽ    ||}/}
.  _ノ            ノ/  i il,、 i>-  -イr、ノ/ /トイ  ト、 ';,    i ./
/          / / `l  込>  ̄i /!. . / / / ir〜─ 、\  / !
          / /  / il r-、/ /   .:/ / /} ) /   ヽ V∧ \
         / /  ./  ノ } / /!⌒´`i/ / / _,        ',//ハ   \

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「ねえ、メイヴ。なんだか難しいんだね、好きとか嫌いとか」

「あなたにもいつか分かるわよ。さ、もう寝なさい。明日は砂の城を作るんでしょう?」

セラフを寝かしつけながら、喜留夫とのこれからを考える。
自分は今のままでも満足だが、喜留夫はどうだろうか。

たとえば、子供が欲しかったりするのだろうか。

一応、確率は低めだが悪魔と人間の間には子供はできる。
その場合は半人半魔の存在となるが、少々特殊な力を持つだけで、
普通の人間として生きていくことも十分可能なはずだ。

明日にでも聞いてみようか。
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632 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:47:20 ID:vs7rMPQI0


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633 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:47:40 ID:vs7rMPQI0

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                          ;l}{{:必 } . . . . . . . . . . . `く{:必 };`マ⌒
                         /ゞ辷シ : : : : : : : : : : : : :ゞ辷シ   }
                     //i i/ i i i i i i i i i i i i ,i i i i i ∨ ∧
                       〈 'i i ′iii |i i |i i ii i i i i ′i i i 厶,//j 'i
                      〈ii i ii i_i|i |i i |i i ハ_、i 、 i }i i i i「i イ「 ! i ,
                      (|i i | ハi「 トi i!i ii´|ノ}__i∨i i ii、!{__j_j/i i i′
                        ||从|ヘ从>zレi iハ,イ/厶}i i i ハ//∧i i i i!
                        |{∧|ハ Kf必》}  乂ンi i i '/, , {  }   i !       仲間はずれにされちゃったわねえ。
                        |ヘ、;〉仆(ゞ=;'´      7/ / _{_,iイ /i i i i!
                         |∧{∧个ζ v⌒)   ,イ//´/i i /7i i i′i !       「そうだな」
                        |i i 〉 、|∧、__≧=   〉、!__ji i //i i i/ i |
                        ii / \__j〉,| ハ   , /  i|// ∨i  i !
                        |i′ i , /       i|   i i   'i i  ii
                         !i  ノi/          .!!  / !   }i  i |
                      ii|/ {     冫´   ._,j| :′ |   ;i i  i!
                       i/三从   .′   .∠i从 ! i| |  i   i ;
                        {三三∧  {   ∠三三∧| i    i   i ′
                    |〉、三三〉 i ∠三三三≧! i i  ,i   ii
                    | 「 ̄ ̄ {⌒コ'、三三三>' ! | |      i !
                    | |    ` ̄   ̄ ̄  /i | ii   i !

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
翌日、なぜか喜留夫とメイヴは仲魔たちに集団から追い出された。

「僕たち適当にこっちで遊んでるから、君たちあっちで遊んでなよ。
それがいいよ、うん」

「二人とも、ゆっくりしてきてね」

セラフまでもにこりと笑顔を作るものだから拒否できない。
そこでようやく、仲魔たちの意図を理解した。

全く、余計なお世話というやつだ。

とにかく、喜留夫はメイヴと二人きりで、当てもなくビーチを歩いていた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

634 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:48:02 ID:vs7rMPQI0

     ,  -―ー- 、
   /        ヽ
  '       ⌒    ーヽ
  l     (●)  (●) 、
  {     トェェェェェェィ   }    ……腹減ったな。もう十二時か。
  、.     ヽェェェェェノ ノ
   >        <、     昼食いに行こうぜ。
  / ー―- .、    r、 ヽ
  `ー―- 、_ノ   l/  /     「セラフたちは?」
  ,'          l ,/
  l          |´      金はある程度持たせてある。
  弋          ノ
  | /ー ―一、 |
  し       、_,!

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
腕時計を見ると、既に正午を回っていた。
海から離れ、売店の列へと向かう。

昨日はともかく、今日は土曜日だったからか、人の密度が昨日とは段違いだった。

メイヴが手を握ってくる。それも恋人つなぎだ。
柔らかい感触が手のひらから伝わってきて、喜留夫は鼓動が一瞬止まった。
人前で手を繋ぐなどという、まるで恋人のような行為は、あまり経験がなかった。
メイヴも普段は自重していたのだろう。

やはり、海は人を開放的にさせるというのは本当だったのだろうか。

「はぐれないように、と思ったのだけれど。嫌?」

「そ、そんなわけあるかよ、行くぞ」

結局、手を繋いだまま、二人で人ごみをかき分けながら売店へと向かった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

635 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:50:34 ID:vs7rMPQI0

     ____
   /     \
  /         \        カップル……そうか、俺たちカップルなのか。
/     (●) (●)\
|    (トェェェェェェェェイ) |      「カップル以外の何だと言うのよ。はたくわよ?」
.〉     ∩ノ ⊃  /
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /


╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「お、珍しいカップルだな。強面の兄ちゃんに外人の奥さんか。
眼帯か、それ?」

日焼けした、体格のいい中年の男の店員に声をかけられる。
髪は茶髪に染めてあり、肌の色に合わせているかのようだ。

「ええ、まあそんなところよ。焼きそばとコーラを二つずつちょうだい」

メイヴの見た目は目立つ。どこに出しても恥ずかしくない美女であることも
そうだが、金髪ともまた違う不思議な髪色に、黄金色の瞳、
更には右目の薔薇のアイパッチだ。
これで目立つなという方が無理というものである。

「あいよ。お姉さん、何人なんだ?」

「アイルランドよ。日本は良い国ね。食べ物もおいしいし、街も発展してる。
欠点を挙げるとすれば、人の心だけは豊かではないことかしら」

「そりゃあ違うぜ、お姉さん。財布も豊かじゃねえよ」

店員との雑談が終わる頃には、焼きそばも出来上がっていた。

「はい、焼きそば二つとコーラ二つ。日本の海、楽しんでけよ」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

636 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:50:54 ID:vs7rMPQI0

                      _i_
                  __  -- `ヽ,、_,_
              ソ, ‐'' ´- ‐   ̄ `ヾ゙〈テ>、
           ,rf>/x'´  l 、   ヽ  \ ヾ`ト、ヽ
          /K〉f"   ,)ゝ、 、ヘ ヾヽ  .ハ ハ〈、__l_,、
          f Xソ-、、 r'´/  l>i、<ハ l l l  l' ̄ヘ )
          | ,,ノ /ヾ f´ l、 ヘ l ノ>テメリl l lヘ l ヘ
         ‐t''" l l |ヘ`x-‐、‐イrテリlリィョリミノ .l l ヘ l .ト、           やっぱり、ここの夕暮れはいいわね。
          | l l li|.| l f rミヾ',)'ノ ヘf::j.liノ|ノ l  l l ト、\
          | l l  l八ト、弋ラ:'ソ    ´"´ ノl  ト、 l l l. \\        
        /ノ,ィ'l l .ヘ `゙テソ´  '     ノl  l \l lヽ ヽヽ
       /イ/ノ l ll l. Y //、   ‐ '  /l:::l  l\ \l ノ ∧ ヽ
      | f´'"/ //.|l l  l |ノ:ヘ:l>r. _,イ‐ 、l::l  ト、ヽ  ヽ/ ゙、 〉
      ト、`<  // //  / | |:::l::rノ   `>ソ7l  .l‐‐-、\ \ / /
      ト、`<  // /,-''  ̄`'''"_._      ,, -'- ''" ̄.. ̄`'''-、 \/
      /∧ } | l //,'    /   ゙-、 ,.'_, .フ ニニ; __     '.,ヽ ヽ
      | ∨ノ l // !  レ           .', くr ,.'_Y_-''"i.   ', 丶、 ヽ、
      ゙y゙〈  ノ/ .!  /:::ヘ      Y   ∪-"λ    !   ',`ヽ ヘ ヘ
      /∧゙x"/ /.! ,'::::::::::ヽ.    .;;      .ノ:':,    !.    ', l ヽ ヽ
    // / / / /.! !:::::::::::::::':...,.  ;   _...-::':::::::::!    !    ',l  l ヽヽ
   // / / / /.!. ゞ:::::::::::::::::::::ヽ r''"::::::::::::::::::::,' ',   !    !  l  ト、ヽ
  { f  / / /  / !  !ヽ_:::::::::::::::::::必:::::::::::::::::::::ノ   ' ,  !    !  l  l ヽヽ
   ゙、/ / / /l .!  .!   ̄フ::::,.':/"',へ::::/-''",'     ヘ |    !  l  l  l l
  / /// / / .!  .!   ` 、/:/  ヘ - ..,,,_./      '..!   .!   、 ヽ l l
 /  / / ./  / / !  .!   ./:::/    ヽ::::__::: ̄"''- ,,,_ '..,  ,'il l  .〉  〉 l l

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
昼食を済ませた後、二人で売店を見て回ったり、暑くなってきたので海に入って
二人で泳いでみたり、砂浜で貝殻を拾ったりしていた。

夕方になり、夕日が見たいというメイヴと一緒に防波堤の上に座って
二人で夕日を眺めていた。

「なあ、メイヴって俺みたいな男でもいいのか? ほら、俺ってお世辞にも
美男子じゃねえしよ、不器用だしさ」

「何よいきなり。まあ、私だって美男子は好きよ? でも、それとこれは別。
あなたがどんな顔だったとしても、私はあなたと一緒にいたいわ」

メイヴは真顔でそんなセリフを吐くので、喜留夫は恥ずかしさで頬を掻いた。

「ねえ、これ、売店で売ってたの。あなたに似合うと思って」

差し出された掌の上には、デフォルメされたサメのキーホルダーがあった。
似合うではなく、似ているの間違いではないのか。

「似合うじゃなくて、似てるの間違いじゃないか、って?」

表情を読まれ、台詞を先回りされる。こういう時、メイヴには敵わないと
思わされる。

「いいじゃない、可愛いんだから」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

637 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:51:05 ID:vs7rMPQI0

             ___
            /     \
            /(● )  (● )\
           /  (トェェェェェェェェイ) \
         |    \ェェェェェ/    |
.          \               /
     と⌒ヽ  `>        〈´
      ヽ  V´          ヽ
        ヽ   /              、

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
キーホルダーをしばらく眺めた後、そっと水着のポケットにしまう。

「ありがとな、メイヴ」

「どういたしまして。ところで、一つ聞いてみたかったのだけど」

「なんだ」
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638 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:51:16 ID:vs7rMPQI0

          r‐Ym})  , r-=二 ̄二≧ァ、,.=(、-
          `ゞ綺)/ヾ           fY晶tッj
          イゝ´《  l l l l | l| |l | r外 オツ,- 、
            ! {{.// i l|| , | l | l| l | | ハ|l, i ', ヾ=-、
            /.从 | Ti !/| , | l | 7从┼l-i!|l. 人   )
         ( / { i 〃Vアフ彡ソィ/j」⊥、!、 l }   ヽ'
            )i 从 jV z/笊メ=彡'z≠ミヽ l 八_    \__         子供、欲しい?
            ゞ ,乂 i  j{伐戎ノ  弋歹川.! /`==…‐‐- 、)
            i   };ヽx弋`ζ´      リj i八_彡くォ― 、 ∧
            jい i   y人   _ _,   ,イ 八   ニ=…‐V ∧
          ヾ  | i /(  i >、   イ(.:{`=…― -ミ:.=‐-V ∧
             |ヘ 川   ) (ゞ=イ ` ´.  ヽミ=…‐ ミ‐-=ニ∠V ∧
             i! ;i  )ノ「/,):.ヽ     '´ |il|',:ノ ̄`ヽ)ノ     V  '.
           ;i / ( | -=彡ノ     |il|    ________ノ
           / / 〃{il{、   、/    !il   ′ /  /    {
          〃     r'Fテミマz  {   rfテミメ  川 /   {    ,)__
          {;{   {  八++++ Z人r「'++++゙ミ/ l./    `=…── - 、
           `ヽ ヽ/  .ゞ+++≧≦ ++++ィ{ {{     `ミ==- _  )
             )./  ,人  ̄'. /Πヽ  ̄ ̄   V             `ヽ
            // /⌒ヾ、ノ`|:」.L::」      \ `=…‐ -        ,;
       / //    ィ}}  ヽ           ` 、      `    ノ
      ,   /(  , < ノノ    ' ,              ヽ`=…─ -  )/

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
目の前の風景が制止する。
思考の歯車が凍り付き、喜留夫はその場に倒れそうになった。

子供? 子供だと?
それはつまり、二人で結婚式を挙げて、産んでもらって、二人で一緒に育てて、
運動会を見に行ったり授業参観に行ったりするという、あの?
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639 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:55:02 ID:vs7rMPQI0

  ヽ 、 !    ______
ヽ 丶 ヽ_..ィ.: :: :: ::::::::::::;;;;;;;;;`ー、
、`、` /.: :: ::/.;;;;;;;>=― - 、;;;;ヽ_
丶 ,イ:: ::::,';;;;;;;;;>’       `>、,
ニ ,′;::::/;;;;;/   ∠二.... ニ=――ミ、
 j;;;;;;;::::l;/ /,イ´ i:    i ト、:.、.  i゚、
 |;;;;;;;:::ム. // !:i ハ:_   ィ!|-廴i:. i ト゚.
 |;;;;;;;::::ム./: |:. :l.lィ´!:.:.   :ノリ  !:ト、:l } リ
 !;;;;;;;:::;;ム:: i:.!:,iイ!,' !゙、:.:./ ' __. リ ゙!:l i!
丿;;;;;;;::;;;;ム、:.゙、'l:l!イ __!/   'ィ''¨゙ .}イハ
;;;;;;;;;;;;;:;;;;;ムト、:.ヾ:l! ,==-   ,〝 ノイ              喜留夫ー!
;;;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;;|:.ハ:、:.ヾ.〝〝 _. ==ォ .イリ
;;;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;;|〃ム-‐ヽ、  乂::::/イ〃
;;;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;;|イ´;;;;;;;;;;;::::.マフ夭
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::`ヽ=、
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;;;;;、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::.:.>、               ,、 _ _
フフ>―‐';;;;;;;;;;;};;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::.:.:>=━ァ_   /┴',∠,
 ̄´/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::.:.:.:.:/    ̄´    -=っ
;;;;;;;';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::;;;:.:/_____   __‐=く
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;;;;::ヽ:;;;;;;;;;;、;;;;;;;;;;::::/ \;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/
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固まっていると、横からセラフが飛びついてきた。

「二人とも、もう少ししたらチェックアウトの時間だよー。
今日の夕方には帰るって話だったでしょ?」

パイモンがヨシツネを連れて歩いてきた。

「あ、ああ、そうだったな。着替えて荷物取りに行くか」

「そうね」

答えはまた今度、と言わんばかりにメイヴが微笑む。

赤く染まる空の下を、五人で歩く。
来年の夏も、また来よう。メイヴの質問の答えは考えておくとして、
ともかく旅行自体はいいものだった。

メイヴがそっと手を出してくる。
今度は迷いなく、その手を握った。
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640 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/19(木) 21:56:48 ID:vs7rMPQI0

             , _ -. 、, =‐
            _ゝ_)`ヽ ´ア∠ィ
          、__> `       ⌒ゝ
          `≧          、レi
          /ァ l \ヽヽ\\_ヽ ‐≦ ,
          |W ヽl 、ヽトlヽ lV^}`` ニソ
          l' { l\ トタ   lヘ|ソ   ア
             ヽトトl八     「ヽヽ| ト
              `i,r   /   lヘl、           セラフもそうだけど、なんで俺の水着AAがないんだよ。
                ゝ-ヘ.      \
                 /)       \___      俺の水着待ってたスレ住民一杯思うんだけど。
                /__  ,. -一         \
             ,  ´   `/              ヽ   打ち首案件じゃね?
              /                        l
               / ,                   |   「ねーよ」
           l /             , ヽ    ハ
           l{            / |    l
               '.ゝ           __/  ,  '.    、 l
            ||          一 /  |   | |
            ||   ,             ∧   | |
            | ,   ゝ    、        '  ゝ   丶
             j |        )     /   l r   、l
             / . |   (         {   |    ',
           ' __j    `          | 、   ||    |
                                    〜また次回〜

641名無し-Red-市民-2:2018/07/19(木) 22:07:01 ID:gmNTTv9s0
おつおつ
さらし首だゾ

642名無し-Red-市民-2:2018/07/19(木) 22:42:27 ID:YJugUtw.0
乙〜
野郎の水着なんて誰が期待してると思ってんだ(ただしアストルフォきゅんは別)

643名無し-Red-市民-2:2018/07/19(木) 23:07:29 ID:H2HTVwcs0
乙でした。
リクエストに応えていただきありがとうございました。

車内での様子と言い、何だか家族旅行みたいな感じだったw
あと、やろーの水着姿に需要何てないはずw

644名無し-Red-市民-2:2018/07/19(木) 23:08:12 ID:H2HTVwcs0
シリアスも良いけど、こういうほのぼの回も楽しくて良いな

645名無し-Red-市民-2:2018/07/20(金) 09:40:23 ID:ZPUCtTX60
乙乙。

646名無し-Red-市民-2:2018/07/20(金) 20:39:37 ID:kTrs0lLQ0


647名無し-Red-市民-2:2018/07/20(金) 22:20:38 ID:egaLq1MA0
投下、乙
>>604
シナリオ案はテーマだけでいいんですか? では

メシアとガイアの夢の共闘

648名無し-Red-市民-2:2018/07/21(土) 00:36:12 ID:xGKQlZk60
乙です

649名無し-Red-市民-2:2018/07/22(日) 00:07:33 ID:r0WidL1c0
乙でした

650 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 02:28:19 ID:jFx9OXCA0
第十三話書き上がったッスよ。

まとめスレに掲載されたことで>>1のモチベーションがなんだかとってもライジング。イケイケだね、チミ。

というわけで、明日、というか今日の午後九時にでも投下しようと思う。

こうご期待だね、カミングスーン。

651名無し-Red-市民-2:2018/07/22(日) 07:12:54 ID:K0OMreHo0
眼福眼福
乙っした

652 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:00:39 ID:jFx9OXCA0

    /||ミ
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 |:::::::::::::::||  、 - ‐‐ -,
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 |:::::::::::::::|゙i : : : :○ ○゙i
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 |:::::::::::::::||: : : :-=´_ _,´
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 |::::::::::::::(_____ノ´||
 |::::::::::::::(_ノ / . . . ||
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   \ ::::||
    \||

653 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:00:57 ID:jFx9OXCA0

                  . . .-─‐-. ミ
                     |: : : : : : : : : : `: ..
                     |: : : : : : : : : : : : /
                    }Ο : : : ◯: : : :,′
                   : : : : : : : : : : : :i       最近異例の速さで書き上げてる>>1だよ。
                      { -===- 、: : :. :.|
                    〉: : : : : : : : : :ノ       モチベが上がるとやっぱ違うね、筆の冴えが。
                  i: :`ニニニ´: : : : ‘,
                 __/ : : : : : : : : : : : : i       それじゃ、やっていこうか。
      ___        /.: : : : : : : : : : :‘,.:.三|
     / :::: ヽ: : : :‐--∧_: : : : : : : : : : :./:|: : : |       今回は過去編だよ。
     .′ :::::::‘: : : : : : }/∧ア´二二ヽ:/ | : : ‘,
.    ‘::::::::::::::ノ: : : : : :ハ \{/: : : :/⌒゙ヽ : : :‘
.       ゝ-=彡-──<¨¨゚‘; .: : :./:::::::::::::::} : :. :.|
                 \: :′:::::::::::/______」
                     弋:::::: /
                       `¨´

654 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:04:39 ID:jFx9OXCA0

┌──────────────────┐
│                           .│
│   第十三話『加賀喜留夫という男』    .│
│                           .│
└──────────────────┘

655 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:04:54 ID:jFx9OXCA0

.           ‐=ニ二三三三三三三三三三\
              \三三三三三三三三三三三\
            `ミ三三三∧三三三三三三三三}ミ、
             ー=ニ二ハ/∨ ∨ー=ニ三彡'三三三ノ三}
          ミ三_厶‐く三\∠__ |三三彡=--くノニソ
             ̄/⌒} }辷フ〔__`ヽ  ̄|    /`V
                {廴「  }´ 弋ッう \|_/}  /
  「 ̄ ̄\__ ___/ ノ7  /   ^ ̄   __,化__レ'/
..  _____/ / //{丙〈          { 「ドク/´}         今日は来てくれてありがとう…………
  ∧     |  {   ∨∧       弋ト__ノ{ l//`/
    \   |  |     /      r‐_ r―{ l/`/           加賀喜留夫君…………
     }  |  |   ′       `|ヽ  ̄| | |`/
.     /   |  |   i    ト   _ |__〔__ | | │{            こうして話を聞くのは三回目かな?
    {   |  |   l    ,ノ ̄l / ̄  ノノ ,ノ ノ
   ___   ∨∧  l   / __/        /             「二回目っす」
..    ̄\  ∨∧  \  | {         /
... __  {  ∨∧__/\ |ト\_____/} \              まあいい。今回も存分にネタを提供してほしい。
     \)  ∨ ̄ノ    |    「 ̄冂  /
.       {/   /    /\|    l    |ー{
.       |  /__/\____\______廴__ソ ノ
.       l              |  ̄ ̄i ̄|‐r┘
.      |          │    l  |│
        !\_        |       |!
.        l          l     │|
.       |    \_/ /    /  |│         ___
         |     ´ ̄{ / i    l   ∨ ̄ ̄ ̄ ̄\ {ニ二二二ニ}
      /{_ ̄ ̄j___/__/ |        }    ̄ ̄\│ |ー―――‐|
    }  /  )-‐… ¨  ̄{           |   ___,ノー‐ }ノ |        l
.       /         ,l  l      / ̄    {ー|   |     │
.       /         /∧│   l /───‐(_/―‐|       |─
【人間 岸辺露伴 Lv21】

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ソファに座り、背の低いテーブルを挟んで岸辺露伴と対談する。
この男は漫画家なのだが、同時に超能力者なのだ。
ペルソナ能力、というらしい。

なんでも、自身の体内の生体マグネタイトを放出し、
人格に悪魔の殻を被せて召喚するという代物らしい。
悪魔にかぎらず、偉人やその人間に縁深い故人なども召喚されることがあるらしい。

岸辺露伴のペルソナは、他者の記憶を読み解き、そこに命令を書き足したり
することができるらしい。

そして彼は、その能力をなんと漫画のネタ集めに使ってるそうなのだ。

自分は報酬と引き換えに、岸辺露伴にネタ、つまりは記憶を提供していた。
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656 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:06:03 ID:jFx9OXCA0

                   __   __
           ,..<::::::::::::::::::::::::::::::::::::>..、
.          /:::::::::::::::-=ニ三ニニ‐-:::::::::::::\
          /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\__,
         V:::::::::::::::::―--::::::::--―:::::::::::::::::::::\          そうだよ…
          |\::::ー--::::::::::::::::::::::::::::::::::::::__> '⌒     _
         |  ` ー=ニニ二三 ー---‐__| -─、 ̄\ ̄     必要なのは
.           l        /\ /ヽ__/f ! ̄ヽ | \  ヽ
.          l ル、\  /  /__ ノ ヒ! {、|\..:|│ |   |    l | ‐┬ァ l │ ニ,ニ  _∟l l
            l,ハr‐tッV ー代タ´ 、 i、'_ノヽ  l |  l   |     ,ノ  ノ´  ,ノ  ノ イ / こ
           '/',  ̄ '}  `    i | _|L  / l  j  /-──--
.             | ∧  / _l:.、     ' / l丙| /  / /
         __r‐┴丙 ヽ ヽ-'_    ,.'--─<  /::./
   ,∠二´-―-、 |iノ  \こ ´   / / ̄  丶、::|
 /        `ー--- ヽ--./ /ヽ/ ̄ ノ_ \―‐、
 :::::/..:::..  、  .   . .::/   (__/` / / ̄\\\\
 :< :::::::::::::... \\:: :..:::l::.::/   ‘ー'  ̄  __、 \\\)
 -`ー――--- \\___\!  l    __/   丶、)__)ノ
                ̄  ` ̄ ̄` ̄ ̄

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「君の体験は実に興味深い。インスピレーションがどんどん湧いてくるんだ……
ぷつぷつと……泉に浮かぶ泡のようにね……さあ、また面白い体験を貯め込んで
いるんだろう?」

岸辺露伴はそこまで言って、「いやまて」と言葉を区切った。

「折角だ。今回は君の最初の記憶……デビルサマナーとしての最初の記憶を
見せてもらおうか。そういえば、君の最初の戦闘の話とかも聞いていない。
一般人がサマナーになる瞬間。初めて悪魔を殺した感想……面白いッ!
見てみたくなるじゃあないかッ!」

なんか興奮してきたらしく、岸辺露伴はスケッチブックとペンを取り出した。
変態ではあるが、悪い人間ではないのだ。多分。
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657 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:06:35 ID:jFx9OXCA0

                    ___                              、___,ノ`ー----‐一'
               ´ ̄  /ヽ              __   _,,. -‐:::::::::──ォ\      ─┐
.          ,  ´     /  ∧      ,  ´ ̄   /x<::::::::::::::::::::::::::/:/|   ヽ    /\
        /       ,  '     ∧   /      /::::::::::::::::::::::::::::::/::/:/   )    /  \
      , '     ,  '        ∧/       /::::::::::::::::::::::;::::::':::::/::::/  /     ̄ ̄| | |
.     /   ,  '             / 〉       ,.'::::::::::_;::::::<:::::::::/::::/l_ ̄\      __,ノ
     〈ー‐<            /l /∧      , ' \ ̄::::::::;、::::::∧;:ヘ./  {l }   }       ‐-  l
     ∨            /|  l/   〉   ./    | \lV ∨     l∧j_j-区 |     _/
      V            , イ  l/l  ./  /     .|  ',    ,、 ハ,ィ1 /! l\ /     ‐─ァ | |
.         ∨     , イ  l , イ  .l/  ,.イ⌒)    |/ト.ヽ 「トtテァV ¬´l│l  /       _/\
          ∨  x< _│, イ   l./   / V {\   |  l 〉,.へ ̄ヘ、   l// /        ・
.        /V´__,,. ィ l  |,  '    /    ハ Y│ l/ 「 丙 li\. r= ヲ / | /   ⌒   |、| |
     /  ∨ │  |, ´    , イ  _,.イ .l__ノ j_/ー<´ V \ 丶.___/ヽ|\   天    .| ヽ
    /    ヽ--- ‐'"    / / ,.ィり ノ─ l  / \   \    \三二ニl  ヽ. 国   ̄Τフ
                     ∠ __‐┘ ー‐く   |/ l _,ヘ   ヽ      (二ヨヲ i へ   ノ
               ,.r弋ワ´ ノ  ヽ   .\ l   |l    ',   ',\_/   (二ヨヲ | .の    ア
.               _,.へ>─r'   、ノ  /  ソノ   {     V  i        (二ヨヲ、l .扉    |
       _  <     \l │ _ イ l  /l _ l    ',  /      /     / ー'   │
    ̄ ̄       ト、___   >x        /、 l' ̄  |/   /i/      /二コニ,=、 ̄>、   .|
             /    ̄フ「 `> ‐- 'ヽ  l __  |   /∥ニ二 ̄ /___// 》'´ ∧   .|
            〉    ̄/ノ  | 〈   ',  ,!´ ̄ l  ,.イ 八___/┼‐┼‐レ《__/  /_',  ツ
            |    / '7  \ `ヽ  \´l ____ !ノ //  }\__>z'´__/  /    i└─
           l     _L,-─-、ヽ \__|l  l |     |\      /   /    | /⌒ヽ
.            l   / /   ̄ ̄ヽ ` ̄   .|l   | |     ヽ \        /    l/
             l  / .〈  ノ__,ノ      ヽニ´ノ       |         /

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岸辺露伴がペルソナを召喚する。
COMPによる召喚時とは違う、青い光が舞い上がり、シルクハットを被った
少年の姿をしたペルソナが現れた。

直後、意識が遠のく。

眠りに落ちていくのとも違う。
目の前に懐かしい映像が流れ始めた。

これは、自分が高校生の頃のこと。
丁度、十年になる。
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658 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:07:01 ID:jFx9OXCA0

          ____
        /      \
      /         \
     /   (●) (●)  \
     |   (トェェェェェェェェイ)   |
     \  \ェェェェェ/   /
     (ヽ、      / ̄)  |
      | ``ー――‐''|  ヽ、. |
      ゝ ノ      ヽ  ノ  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【人間加賀喜留夫 Lv1 当時十六歳】
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春の日差しの中、睡魔に襲われる。
昼食後の五時限目は満腹感によるものなのか、喜留夫はよく寝ていた。
教師もそれを注意する気がないらしい。諦めているのだろう。

高校生活は漫画や小説で読んで知っていたものとはだいぶ違い、
退屈なものだった。友人もできやしないし、恋人などもってのほかだ。

授業の終わりを告げる鐘が鳴る。
今日は水曜日なので、五時限目が終わったらホームルームだ。
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659 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:09:51 ID:jFx9OXCA0

                   ____
             /      \
            /         \
    ( ( (    /    (●)  (●) \
            |    (トェェェェェェェェイ) |
           /     \∩ノ ⊃/ /
.            (  \  / _ノ |  |
          .\//  ./___|  |
      /\「 ̄~//\/____ /
      [三三三//三三三]
        | i i i i i i i i i i i i i |

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帰り際、母親に頼まれていた食材をスーパーで買い込む。
この後、また成績の悪さで説教されるのだろうな、とぼんやりと思いながら、
メモに書かれた食材をぽいぽいと籠に放り込んでいく。

自分は勉強ができなかった。
中学校まではなんとかついていけたが、高校に進学した後はもうだめだった。
このままでは留年確定だろう。それは自分でも分かっている。
だが、勉強しようとしても、問題を目の前にすると思考停止してしまうのだ。
特に数学がだめだった。現代文と英語は良いのだが、なぜが数学はだめだった。
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660 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:11:08 ID:jFx9OXCA0

                    | |  ______
                    | | /       \
                    | |_  (● ) (● )\
                    | |_) (トェェェェェェェェイ)i| 
‐-、                   | |(⌒ヽ \ェェェェェ//
:::::::ヽ、                | |:::ヽ  、::::`ー ' ::::<
::::::::::,ヽ                 | |:::  ヽ __    ノ
\:::::::)                 | |
  \ノ                  | |

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
重い買い物袋をぶら下げながら、帰路に着く。
途中で、見覚えのある男女が遠くでもめているのを見つけた。

確か、同じクラスの織斑と篠ノ之だったか。
二人とも珍しい苗字だったから覚えていた。

面倒事か? そう思いながらも、近づいてしまったのは、なぜだろうか。
クラスメイトとして、ある程度の親近感のようなものがあったのかもしれない。

「放してくれ! 金なんて持ってないって!」

織斑と篠ノ之は他校の生徒に絡まれていた。制服で分かる。
自分の高校はブレザーだったが、織斑の襟を掴んでいる男は学ランだった。
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661 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:11:30 ID:jFx9OXCA0

──────         - --             |
─── /⌒ヽ、/o ̄\  ─────   .\      |
 ̄ ̄  / ,ヘ   .| トェェェ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \、_ ノし'//.‐
 ̄ ̄ i .i \ .ヽ   ,ノヽ,   _, __ _ ,, .__)    て.,
── ヽ勿  ヽ,__    j  i~""   ...――=二      =――一
______   ヽ,, / / __,,, -- ' " ─ "ー メ、    (_,
───────  ヽ/ /,イ  ─── ― -   ..Y^  \
───────  ./ /.  ヽ,  ──          .|     \
______   / / .ヽ,__,ノ ___ _ _ _   .!
           j  i
_____    巛i~ ____ _

───────

────

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こういうのは勢いだ。
喜留夫は走り出し、容赦なく他校の生徒の背中にローリングソバットを浴びせた。
他校の生徒は蹴飛ばされ、転がり、壁に打ち付けられた。

痛みに顔を歪めながらも、他校の生徒は起き上がり、喜留夫を睨みつけたが、
その顔を見た途端、今度は恐怖で顔が歪んだ。

まあ、いつものことだ。
自分はとにかく人相が悪い。人相だけで喧嘩相手が降参したことがあるくらいだ。

他校の生徒はひいひい言いながら逃げ去り、その場に立ち尽くす喜留夫と、
織斑と篠ノ之だけが残された。
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662 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:11:45 ID:jFx9OXCA0

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                  /:::'::/!:::::V,〃{ ハぃハ!  マ::::::!`V:!エ7___V!V:::、::::::::::Vヽ::::::V
                 ,:::>:/:7、::::{ ヾ、 Vrタ '   マ::i 'ヘ!j'rハ `ヾvV:\:::::::::V:::ヽ:::,
               /´  !ハ::! ヽハ . .`.: :≦:': ´ノ: :ヽヾ、 Vrタ   }:、7::Vヽ:::::::V::::!V
                      ハムヽ ヾ、ー==一 /'ヾ:、: : : ≧z-  ノ'´ソ:::ヽVィ:\::V::!       ひっ! か、加賀……
                   //!ム、j `     `   ` ー-----  /:::;:イj` }:::::ヘ:::V,
                   /´ .!::::八 し               /イ/r'_ノノ::::'  `ヾ、
                     j::/ !:.、  ,__      U  ゚ ,.イ_><::::,'
       __             '´  _j__ヽ_  'ー-- 、ミ 、    /:::::::::::/ ヽ::!
    /  ',   `>         r≦::::__i:、  ==  `゙´ r- <!:::::::/V{   ヾ
   ,    _j__       >     }/´/////,} \     ,..ィ/sミ、: `<  {
  /   /::i:::>ー-:::..、  `v、ヘj///////,j--, ヽ -r≦  //////>x::::ヽ
  ,   ,:::::::/',ヽ>--ミ:::>:..、}/V/!///////, ! !   ハ`>///////////7
 ,   ./:::::/  , !    ` <::::!///!///////! ノ |  / ! _////////////{ヘ-。s≦ア' ̄ ̄

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織斑と篠ノ之はさっきよりも怯えた表情で、喜留夫を見た。

そういえば、話すのはこれが初めてだ。
お互い気まずいのかもしれない。

「あー、なんだ。財布無事か?」
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663 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:12:02 ID:jFx9OXCA0

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...l|. |::::::::::::::::ヽ:,'  ',:|  ヽ::::::::::::::::::::, ヽ::',  _><::!:::::::::::::::::::::::: |::::: /!
 | |:::::::::::::::::::,' ` ヽリ__'\:::::::::::::::,,-‐ヾ二-==、、l::::::::::::/::::::::::::|::::/ .!
 | ',::::::::::::::::::, ./==ァ==ミ、ヘ \:::::::::::',/ハ:ェュ::リ 〉l:::::::::/:::::::::::::::|:/  | /:::
 |  ',::::::::::::::::ハ`〈 マモリ:| `ヽ .\:::::::', ヒ__モリ/.イ/:::::::/:::::::::::::::/:|.. ..|'\::::
 ヽ. ',::::::::::::::::ヽ   `─'      \:::',     /::::∠:::::::::::::::/):!  人___',::
 . \l::::::::::::::::::::, //.    l      \ ///:::イ:::::::::::::::::∧:::|//  ,>       ……えっ?
    .|:::::::::::::::::::::,        /         / ,::::::::::::::::::,' .ヽ:|/  /::::
    . |:::::: ::::::::::::::ヘ               u   ,:::::::::::::::::;//! /:::::::::        「だから、財布。大丈夫だったか。
.   .|:::::::::::::::::::::::::ヽ     ____      ,:::::::::::::::::;./ ./:::::::::::::
    |::::::::::::::::::::::::::::::\   '───--.ミ>  ∠,::::::::::::::::; | /:::::::::::::::::          カツアゲされてたんだろ」
   .|::::::,::::::::::::::::::::::::::::::`..、   " `    ., .´  ,:::::::::::::::/ .∨|:::::::::::::::::
.   //::',:::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、    .<   .ィ,::::::::::::::/   |:::::::::::::
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  /  ,::::::',:::::ハ:',:::::{ ,z==ミヽ:::::::,      ゞ'"   j'  ヽ: : :} ハ:::::::::!、:.、
      ハ::::ハ:::!:::::',::::! 〃ぅr:ムヽ\:,            /: : ノ ハ::::::::::! ヾ:、      ま……まさか、助けてくれたのか?
      ハ::{ ',:i',:::::ヽ:|、゙ヽヾrタ }  ヽ            !ィ  /:::::::!、'
      ハ{ ` ,::::::ハ::ヽ  ´ .:'           u   _,. ィ:|:::::::::::i }:'          あの加賀が? 俺たちを?
       `  }:::,' ヽハ   〈、             /. . . . |ハ::::::::!--ミ
          }/   ム、  `     _       ハ. . . . .i'. ∨:/,イ: 〉        「そんな大したことじゃねえよ」
          '       \    r_"´--'    ,イ. . . . . . .,.ィ:´: : :イハ
                  ヽ.、   --     ,イ. . . . ,.ィ:´: : :,.ィ升ニニム
                   >:.、     / ,。<: : : ,.ィ≦三三三三{__
                 ,ィ´////ヽ、_,.イ'": : : :,..ィ≦三三三三三三三三≧
                く//////f'" .ハ  }≦三三三三三三三三三三三三

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助けた。まあ、形だけで言えばそうなる。

喜留夫はなるべく警戒心を抱かせないように笑顔を作ると、
二人も引きつった笑顔を浮かべ、「あ、ありがとな」と礼を言ってきた。

母親以外に礼など言われるのは久しぶりだ。
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664 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:12:24 ID:jFx9OXCA0

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                    / /::::::::::::从,::::::ト----一 、::::::ヽ::::マ::.,
                    ':/l:::::::::|`"\::::|:,xテ--x ヽl> ::::’::::|Ⅴ
                     / ’::::::::|<戊l \::.,戊ノ '  ' /  >::: Ⅴ
                      Y::::ヽ`¨ l `´      〉/:::Ν         そ、そうだ、何かお礼しないとな。
                 /\  _ |∧::ハ  ヽ       ィ-:::::Ν
                /   ´ |\ヽ< >\  __  / 从V            今度食堂の飯でも奢って……
               /-≦     、 〉 `ヽゝ\   f ̄ ̄ ̄ ̄|
         -=    ̄ |: : : |   Y |   〈: : : :ー | ̄ ̄ ̄ ̄            「あー、そういうのいいから……あ」
     -  | |       |: : : |   .|"⌒ 、 、/"V |: : : : : : : : F 、
   /   ノノ        .|: : : |   .|」    ̄,〈 .六’: : : : : : : :/    =-
   ,   / /        .|: : : |   ,   /: : : Vノ: : : : : : : : : :i =- =- \ ヽ
     / /      ―   ̄ ̄ ̄ |  /: : : : /: : : : : : : : : : |     ヽ ヽ | |
  /  , ,     /         | /: : : : /: : : : : : : : : : : : :       、 、 .|
  、 ____ _____   |\: :./: : : : : : : : : : : : : : : |    /   | |
                    ≧斗  /: : : : : : : : : : : : : : : : :|  ./     |





         ____
        /      \
      /         \       あったわ! お前らに助けてほしいこと!
    /   (●) (●)  \l⌒l
    |   (トェェェェェェェェイ)   | .|   とりあえず、また明日な! 今日はもう帰るわ!
    \  \ェェェェェ/   //

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
織斑たちを尻目に、家へ向かう。
今日は暖かいので、買い物袋の中身が心配だった。
早く冷蔵庫に入れてやらねば。

家へ帰ると、「おかえり、喜留夫。喧嘩してないだろうね?」と母に釘を刺された。
驚きが顔に出ないように、「してねえよ。ほら、飯の材料」と買い物袋を差し出す。
「ありがと。今日はオムライスだよ。喜留夫、好きでしょ」

「ああ、確かに好きだけど」

「お父さんも好きだったのよねえ、オムライス。血筋なのかしら」

母が懐かしそうに父のことを語る。
自分は父のことを写真でしか見たことがない。
母が自分を妊娠している時に、事故で死んでしまったのだ。

それ以来、母は女手一つで自分を育ててくれていた。
そんな母に報いるために、こうしてできることはしているつもりだった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

665 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:12:37 ID:jFx9OXCA0

             ____
           /      \
          /         \
        /   (●) (●)  \      「そんなことより、今日は小テストだったんでしょ? どうだった?」
        |   (トェェェェェェェェイ)   |
        \  \ェェェェェ/   /      赤点だよ。でも、もう心配いらねえよ。
 r、     r、/          ヘ
 ヽヾ 三 |:l1             ヽ      いい方法思いついたんだ!
  \>ヽ/ |` }            | |
   ヘ lノ `'ソ             | |      「カンニング、とか言ったら殺すよ」
    /´  /             |. |
    \. ィ                |  |      ねーよ。息子への信頼ゼロかよ。

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
その日はいつも通り、二人で夕食を終え、皿を洗い、風呂に入って寝た。
いつも通りの日常が、いつまでも続くと思っていた。

自分が家を出たら、母は寂しがるだろう。
さっさと就職して、ペットの一匹でも買ってやろう。
そんなことを思っていた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

666 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:12:56 ID:jFx9OXCA0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                                   □

                               ・

667 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:13:49 ID:jFx9OXCA0


          /   {:.:}:.:.:.:.:.:. / /:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:. |:. |:.:.:.: |:. }
        /     i:. i:.:.:.:.:.:/ /:.:.:. : :/ |:.:.:.:.:.:.:. :/:. :|:.:.:.: |:. i
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       〈    \\ {/:.:.:.:.:.: i:. ≧く_ l:.:.:.:. : /|:.:.:.::|_ノ!:.::
       ⌒\ \7}:.:.:.:.:.:.: ㌢芹笊ミt、:.:.:.:.:./‐=≦:}:.:.: /:. |         ここは係数を二乗して……
           / \/ / |:.:.:.:.:|:.:|ゝV)ツ   } / 、__,:/:. /:.:.: |
.         /:.:.: 〈 /:. :{:.:.:.: |:.:|       /   `^¨^:.:./:.:.:.:.:|         「お? おお?」
       /:.:.:.:.:.: 〉:. /:.:.:.:.:|:/        '   ≦イ:.:.:.:.: :
        /:.:.:.:. : /:/ヽ! : ::| :{ u             人:.:.:.:.:.:./          だから、こうしてだな……
.      /:.:.:.:. : 〈/:. : :∧:.:.:| :i  \  (  )  ..::. /:.:.:.:.:. /
     /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /  ゚.:.|/___   ヘ   イ:.:.:.:.:/:.:.:.:.:/{
      /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /   〉{/  ≧s。 爪〉, : :/ : :/ : ::i
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             ':::/}:::::':,:::::V〃!',ぅメミ:、',{ ヽ::::::::i ィ云',::ミ、ヾ:、:.、::V:::iヾ:、
             ,':/ }:::::::!':,ハヾ  マタ `   ヽ:::::. ffj:} } }ム::ヽ:::::メ:V::!        お前これくらいもできなかったのか!?
             i'  .}::::::i :!ヾ、 ` ̄    .:!  \:. ≧= "/::::;ィ !:::,' ヽ:i
           ,。.r≦"!:/!/i:、ムヽ     :ノ   `   / イ_ノイ::'  ヾ        よく高校入れたな!
      ,。r≦>'"´   j' !ニi:::>,           i  ´ /_ィiヾ!/、
     ,ィ> '"       _,jニニi/ム'ム、    __   し .イニハ `ヾヽ、         「うっせーやい。中学までは何とかなったんだよ」
    '::/  `Y   ,.。r≦:斗iニニニニム:',\  (__ ___)   ,.イニニニ、  ヾヽ、
   '::/   jr≦:>'"´   iニニニニニムヽ, ヽ、 -  ,.イノ /ニニニニ!:ヽ    ヾ:ヽ.、
   '::/    /:!イ       !ニニニニニヽヽ_ ヽ_ .イ>" /ニニニニニ!\\   `メ::メ:.、
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放課後、織斑と篠ノ之と一緒に、ファミレスのテーブル席で勉強会を開いた。

昨日はどうやら二人で帰っているところを当てつけでカツアゲされていたらしく、
そこを助けたお礼として、勉強を教えてもらうことにしたのだ。

他の科目はある程度何とかなっていたが、数学が駄目だったので、
数学を重点的に教えてもらうことにした。

二人とも喜留夫の馬鹿具合に四苦八苦しながらも、必死に問題を噛み砕き、
喜留夫が理解できるようになるまでレベルを落として教えてくれた。

「そういや、二人は付き合ってんのか」

「ん? ええと、まあな。まだ二か月だけど。幼馴染でさ。
中学卒業の時に俺から告ったんだ。へへ」

「ほーん、羨ましくなんかねえからな」
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668 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:14:35 ID:jFx9OXCA0

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          ,:':>'/::://::!::::::::::::斗七7ァ‐ミi:::::::::::::≧ァ=-',:::::ハ:::::::::∧ ``ヽ
          '"´ ,':::/:':::::__!:::::::/::/zz≧、  i:::::::::/:::/_____ }:::,':::::::::::::∧
            /メr":::/ィ:':::::ハ:i!〃 う:Yiヾ! .':::::://ィr'うメ ヾ!ハ:::::::::!、::∧
               !::::::{ 〉',:::i { ヾ マrタ   ':/.!   frzリ ./!:ハ::::::::! `マ∧        うーん、半分正解、半分間違いってとこか。
               !:∧::、(ム:i     ´   '´  {!    `   ハ ハ:::::i    `
              !' ∨\_,{、           〉     ハイ::i ヾ:',            ここらへんは問題を反復して解くしかないなあ。
                 〉::,、::::!、_________ム__ヾ!___
               // j:::::i: ,                       `
                ,------,                       '
                fニニニ,                         '
                 !ニニニ,                      '
               ,fニニニニ,  __                    ,
            ,斗≦ニニニニ' "  ` <                  ,
   斗-------≦斗≧;、ニニ>'´    ___   ` メ,             ,
 / ィ≦三三> '"´   ヽ:i´  ,..ィ'"   ` ー‐'"             !=≧メ、


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二時間が過ぎた後、喜留夫はポケットをまさぐり、そして気づいた。

「やべえ! 携帯、教室に忘れてきた!」

「まじかよ! さっさと取ってこいって!」

織斑たちに食事代を渡し、学校へと走る。

ファミレスを飛び出し、近道をしようとして細道に入る。
それが運命の分かれ目だった。
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669 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:15:30 ID:jFx9OXCA0

   o
    ゝ;:ヽ-‐―r;;,               。
,,_____冫;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:\      ,,,,,,,, o  /
"`ヽ;:;:;;;:::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:从    (;:;:;:;:ヾ-r
   〈;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:) 0  ソ;:;:;:;:;:;:;:}
  ,,__);:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ノ     ゞイ"ヾ,:;:,ソ
  (;:;:ノr-´^~;;r-ー⌒`    ,.、
  "  ,,,,      _;:;:⌒ゝソ;:/
    (;:;:丿    (;:;:;:;:;:;:;:;:;:)
            ヾ;;;;;;;;;;;;/; \
            ´  /;:ノ 。  。
                ()


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「なんだ、これ」

建物と建物の間、ゴミ箱や室外機が置いてある細道の中央に血痕があった。
それも大きな、大量出血の後だ。

恐る恐る近づくと、暗がりに鈍く光る銀色の物体があるのが見えた。
銃だろうか。いや、それにしては銃口がないし、何より銃身が平べったい。
こんな銃は存在しないだろう。もっと別の何かだ。

そこでその物体を捨ててしまってもよかったのだが、後で交番にでも
届けようと思い、喜留夫はそれを鞄にしまった。
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670 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:17:11 ID:jFx9OXCA0

┏─────┓  . . ..::::::::::|  ||  ./
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    (◎)         . ..:::|  ||/     ||  .! :   :
    ヽ|ノ          . .::|  ||       ||   | :   :
__(__)_________|  ||       ||  | :   :
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 ̄|| ̄ ̄|| ̄ ̄|| ̄ ̄|| ̄ ̄||.  \. // ,|i〕  | :    :
==||====||=〔 ̄ ̄ ̄〕||====||    \.    ||  ,| ::   ::
\||__\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\,||.      \  ||  i ::   :::
  \  ||\______\        \,||  | :::   .:::
 ̄||.   ||\||   :=:   || ̄        \ | :::   ::::
 ̄||:   ||  || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| \         ノ .::::   :::::
  ||      ||          ||..  \         ゙^ヽ,  .:::::::
           〔 ̄ ̄ ̄〕.    \         `〜、
 ̄ ̄\    \ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\.. \
     \.    ||\______\ . \
 ̄ ̄ ̄||~     ||\||   :=:   || ̄.   \
 ̄ ̄ ̄||    ||  || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||        \
      ||.       ||          ||


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学校に入り、部活動帰りの生徒たちの間をすり抜け、教室に入る。
夕焼けに照らされた教室は、どこか幻想的だった。

机や黒板が橙色に染まり、とても静かだった。

自分の席に行き、机の中に手を突っ込むと、携帯電話があった。
体育の授業の際に、電源を切って入れておいたのだ。
この高校は携帯電話使用禁止なので、万が一制服に入れた状態で落ちたりしたら
困る。

そこで、喜留夫は妙な生き物が教室の隅で動いているのを見つけた。
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671 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:17:22 ID:jFx9OXCA0

                     , . -:―:‐:-: 、
            ___ ,..-‐:x:'´__: : :-=ミ、`ヽi
      ┌──< _:_:_:_:_;'::.::.::.::.:'´::.:ヽ: : : : :ト、: |
      |        {::.::.::.::.::.::.::.::.:}`ヽ、/  `
.     丿        __ヘ.::.::.::.::.::.::.;イ
    . '′    , < l: : :l: xく::.::.::://
   (__, .ィ.:_:/ l:_:_:l:_:_:l_:_:「 `´〈 : ヽ
     /:/:「   〇     〇   ト、: :i
      レ' ∧          U ハ :ヽ|       こ、困った……
      厶/  ヽ  -――‐-  ,   ヽリ
         _>r‐:---:‐r<            顕現する場所間違えた……
        (_^ -‐个、::.::.:/ト 、`_フ
         _/ `ー'′ !
        く /  ,     `丶、
           `丶、_/__j__〉┘
           /、7ー'ー'‐r弋´
        _m/ /    ∨ ヽm
      <\广::V       V^7⌒>
      `丶、/        ∨_/
【妖精ピクシー Lv1】

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
そこには、小人のような何かがふわふわと浮いていた。
よく見ると、背中に透明な羽根が生えているのが分かる。
大きさは自分の拳程度だろうか。

見つめていると、小人も自分に気づいたらしく、飛び上がった。

「あ、人間だ! 私のこと見えてるの!?」

「お、おう、まあな」

「もしかしてCOMP持ってたり……する?」

COMP? 聞き慣れない単語だった。
もしかして、これのことだろうか? 先程拾った銃型の物体を取り出すと、
小人は喜留夫の周りを跳び回りながら歓喜の奇声を上げた。

「やったやった! 私、妖精ヴィヴィアンとして顕現するはずだったんだけど、
間違えてこんなMAGもない場所に顕現しちゃって、ピクシーになっちゃったの!
このままじゃ消えちゃうよ! お願い! 私をそのCOMPに入れて!」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

672 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:17:34 ID:jFx9OXCA0

         ____
       /     \
.    /       \
.  / /) ノ '  ヽ、 \       こ、小人と話してんのか、俺……
  | / .イ '(ー) (ー) u.|
.   /,'才.ミ)トェェェェェェェイ)/       「小人じゃないよ、妖精ピクシー! コンゴトモヨロシク!」
.   | ≧シ'ヽェェェェェ/ \
 /\ ヽ          ヽ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
思考が追い付かない。
目の前にお伽噺の存在が現れて、それが目の前で跳び回り、話している。

「わ、わかった。入れてやるよ。うん」

そう口にした瞬間、COMPと呼ばれた物体が一人でに動き出した。
がちゃがちゃと音を立て、キーボードとモニターに展開される。
パソコンだったのか、これは。

すると、目の前のピクシーと名乗った存在が緑色の光に包まれ、
COMPへと吸い込まれていった。

「New contract accept」

COMPから電子音声が鳴る。
画面を見ると、「DEVIL」の欄に妖精ピクシーの名前があった。

これがメイヴとの邂逅になる。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

673 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:17:59 ID:jFx9OXCA0

        / ̄ ̄\
      /       \       ___
      |::::::   母    |     /       \
     . |:::::::::::     |  /         \ | |
       |::::::::::::::    |/  (●) (●)   \     ……ってことがあったんだよ!
     .  |::::::::::::::    } |  (トェェェェェェェェイ)   |
     .  ヽ::::::::::::::    } \  \ェェェェェ/   /     「馬鹿じゃないの」
        ヽ::::::::::  ノ  | | |               | | |
.          /:::::::::::: く    | |         | |
-―――――|:::::::::::::::: \-―┴┴―――――┴┴――

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帰って、正直に母に話してみると、冗談だと受け取られた。
まあ、信じてもらえるわけがない。

こんな人相の悪い男が妖精などというファンタジーな存在と出会い、
あまつさえ連れ帰ってきたことなど。

部屋に入り、COMPを起動してみる。
SUMMONのコマンドを選び、エンターキーを押してみると、妖精ピクシーが現れた。
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674 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:18:17 ID:jFx9OXCA0

              厂 ̄`'<´ ̄ ̄`丶
            _/       \.: : :./⌒ヽ,  /:.\
        r<辷___       `Y::.::.::.::.::.::V′.: : : :\
       \__/: :/:/ミァニニ辷__|::.::.::.::. : :⌒':くヽ.: : .:.:\
            }丁 _,_L/: : : :/:/`|::.::.::.::.::.::.::. : :.) \: : : : \
            /: |衍 う  ̄ ̄⌒'y|::.::.::. : :._ .イ    ヽ.:. : : :ハ
        /.:,イ {心ソ   ___  `テ¨.´ : : :Y´      i: :ハ.: :.:|
         /イ八  ,_  ´ ̄`ヾ ./.: :/:/.:.:/      |: |_|: : :|      さっきはありがとー!
            \ |'⌒ ̄|   /.:/ イ/        |: | |: : :|
             ゝ.,__ノ /.:∠<ノ           L」 廴/       ここがあなたのお部屋?
            ___r:._]]宍三∃
          r┴     `マ 〉 ハ                       なんだかとっても……寂しいわね!
        ン^ o   o ∨ (, / ̄¨`マ
        [,イ o   o   ) 、,> o  \                   「叩き落とすぞ」
        Ⅵ」|     _|_」__〉 o o i 〔
        \ 少LrLl人廴从 l   i_」┘
             `ー'′   `ー'′゙'¬┘

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その晩は召喚されたピクシーに、色々な質問を投げかけた。
悪魔とは何か? マグネタイトとは? COMPとは?

その全てにピクシーは答えてくれた。

「うーん、最近葛葉のサマナーがメシア教に狙われてやられてるって噂だし、
喜留夫は偶然やられたサマナーの遺品を拾ったんじゃないかな?
これ、他の仲魔の召喚プログラムは壊れちゃってるじゃん? 傷もあるし。
壊そうとしたけど、頑丈すぎて諦められたんじゃないかな?
で、時間がなくって、そのまま放置して帰ったところを、喜留夫が見つけたとか?」

「疑問形だらけだな」

とにかく、そういうことらしい。
こうして、喜留夫はサマナーとなった。
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675 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:18:34 ID:jFx9OXCA0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                           ┌───┐
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                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘

                               ┌┐
                               └┘

                                   □

                               ・

676 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:18:56 ID:jFx9OXCA0

         ____
        /ノ   ヽ、_\
      /( ○)}liil{(○)\
     /u (トェェェェェェェェイ)  \      わっかんねー!
     |   ヽ!!il|!|!l|!!ii|i/. u |
     \u  ヽェェェェェ/   /      「諦めんな! 俺たちがついてる!」
     /            ヽ

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それからというもの、喜留夫の生活は大した変化はなかった。
サマナーとして積極的に悪魔を倒しに行くこともなく、
たまにマグネタイトの補給として異界を探し、結晶化した生体マグネタイトを拾う
作業をしていた程度だった。

ピクシーもそれに対しては文句はないらしく、ちょくちょく自室で呼び出して
雑談を交わすくらいだった。

そして中間テストに向けて地獄の猛勉強が始まり、心が折れそうになる喜留夫を、
織斑たちは懸命に励まし、諦めずに教えてくれた。
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677 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:19:08 ID:jFx9OXCA0

       ___
      /     \
    /         \
   /   ( ⌒)  (⌒)\        二人ともいつもありがとな。
   i    (トェェェェェェェェイ) i
   ヽ、   \ェェェェェ//        この恩は忘れねえよ。
     /     ┌─┐
     i   丶 ヽ{ .茶 }ヽ
     r     ヽ、__)一(_丿
     ヽ、___   ヽ ヽ
     と_____ノ_ノ





          / :::::::::::::::::/:::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::| \
       / :::::::::::::::::;::::::::::::;:::/::::|:::::::::::::::::::::|:::i:::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::i:::::|   ∧´
.      /  i::::::::::::::::i::::::::::/:/ |::∧:::::::::::::::::::|:::|::::::::|::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::i:::::|   ∧
      ∧  l:::::::::::::::」-‐:チ:「 ]::「 Ⅴ`::::::::::::::/Ⅳ::Т:::::―-:::::::::::|:::::::::::i:::::|   ∧
      \\:::::::::::´:::|:::::/|::| __.|::|  ∨:::::::::;:/:::| `;:::| \::::::::::::::`丶:::::::::::::|    _,∧
         冫|::::::::::::::::|:::/ |::∟⊥L ミ ∨:::::/::::::i ´Ⅵ =- \:::::::::::l:::::\:::::::|  />┘
       /:/|:::::::::::::::::V ,〃 チ牙ハ`  \/:::::::::, 斗チ屶ぅぇ、::::;::::::::::::;:::::|//1
       .::/ .|:::i::、::::::::::| 爪 乢 爿   / \:::::::,  抓 灼 ⅵⅤ:::::::::/::::::|/`;:::|       気にしないでいいぞ。
      .:/  |:::i:::::\::八    `' ´      \:::.、ゞ -ク ノハ |::::::::/:::::::リハ  Vl
      ,:/  |:::i:::::::::::\:::、            \:、      /::::::/::::::::/| l  |:|        友達同士、助け合うのは当たり前だ。
     .::    |:::i::::::::::::::::::ト\        j}     //// /::::/::::::::∧トミ|  |:|
     i:|    |:::iハ:::::::::::::::j込 `                    ∠_イ::::::::::::/ リ |  |:|
      l:|   |:i:|∧::::::::::::i  ∧      、             /´ j::::::::::/ /∧/  |:|
      l:l    ;::i:V∧::::::::::|    \           ´    /|  ./::::::::/ / ' /|   |:|
     \  /::::i::|\::::::::::|   / .\             イ  | /::::::::/ ゙//:::|   |:|
.       ∨:i::::i:l  ∨:::::|  r七刋 `      <   L  ∨:::::///:::::::::|  ,:/
      /::::l::::从::::::∨:::|\,八   |     I爪       | ``/::/_/:::::::::::::::| //
      /::::::|::::::::::::::::::\| /  \ |          | // \ l:::::::::::::::::::::|::/

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そうか、友達か。自分は知らず知らずのうちに友達を作っていたのだ。
二人がカップルというのは若干羨ましい、と同時に妬ましいが、それでも
大切な友人であることには変わりなかった。

その日、喜留夫は小テストで満点を取った。
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678 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:19:28 ID:jFx9OXCA0

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                             │ :: │
                             └─┘

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                               └┘

                                   □

                               ・

679 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:19:42 ID:jFx9OXCA0

              ,..:'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
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         ,':::::::::;イ:::::::::::::i::i::トL」::_!:::::::: ハ::l::::l::::::::l|:|:|::::::l:::::::l:::::l
           i::::::::/ |:::::::::::::ト::l::l:::iヤミ、丶、 リ|::::l::::::::j|:|:|::::::i::::::::トi::l
.          j:::::::ヘ 」:::::::::::::|:::ト:l::::lヘユハヘ  ー┴三」ル!:::::j:::::::::!:l::l       あら…………
        /|::::::::::ヘ!:::::::::::::!:::!::l::::トユツ' '     ,ィィテミ、:/::::::::::|:j:!!
.        / ,'::::::::::::::!::::::::::::::トi、:l、::l.!l.l        じリツ冫::::::::::::! !        こんにちは、加賀君。
      /ノ::::::::::::::::|:::::::::::::::::|ヘ!ヘ:! ! l       `´ /:::::::::::::::::ト,
.     /'/:::::::::::::::::::!:::::::::::::::::l  ヘ.! l    '     /:::::::::::::::i::::l
.     '//::::::::::::::::::トi::::::::::::::::ト、    l  ‐-    .ノ::::::::::::::::::ト:::l
   〃´/:::::::::::::::/ハ:::::::::::::::ヘ. 丶、 j!      , ィ:´:::::::::::、::::::::ヘ:::ト、
.  // /:::::::_; -‐'    l:::::::::::::::ヘ   メ、__, ィi::l:::|ト:::::::::::::::ヽ::::::::ヽヽヽ
  // 厶<丶      ヘ::::::::::::::::ヘ / ∧、:::::||:::!:::ll::i:::::::::::::::::ヽ::::::丶\\
. / /¬-、 丶丶、    l::::::::::::::::::Y ∧  ヾヽ、::ヘ!::トi:::::::::::::::::丶::::::\\\
/r'     \ \\   l::::::::::::::::::ヘ.  ∨  ヽ \ト!::トi::::::::::::::::::ヾ 、:::::\\\
/        \ \\.  l::::::::::::::::::::i  ∨  〉  !ヾ!ヘ::::::::::::::::::::ヽヽ::::::\\\
          ヽ ヽ ヽ !:::::::::::::::::::|二二!      ト、ヘ:::::::::::::::::::::\\::::\\\
【人間 閻魔哀 Lv45】
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いつも通り、異界でMAG拾いをしていると、同級生の閻魔哀に遭遇した。
異界に迷い込んだのかと思いきや、そうでもないらしく、その服は返り血に
塗れていた。手には刀と銀色の管が握られている。

閻魔哀がくすりと笑い、喜留夫にこう告げた。

「そのCOMP、精々大切にすることね。近々、大きいのが来るわよ」
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680 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:20:11 ID:jFx9OXCA0

                     , . -:―:‐:-: 、
            ___ ,..-‐:x:'´__: : :-=ミ、`ヽi
      ┌──< _:_:_:_:_;'::.::.::.::.:'´::.:ヽ: : : : :ト、: |
      |        {::.::.::.::.::.::.::.::.:}`ヽ、/  `
.     丿        __ヘ.::.::.::.::.::.::.;イ
    . '′    , < l: : :l: xく::.::.::://
   (__, .ィ.:_:/ l:_:_:l:_:_:l_:_:「 `´〈 : ヽ
     /:/:「   〇     〇   ト、: :i       喧嘩にならなくてよかったねー。
      レ' ∧          U ハ :ヽ|
      厶/  ヽ  -――‐-  ,   ヽリ       あれ、私たちじゃ瞬殺だよ。
         _>r‐:---:‐r<
        (_^ -‐个、::.::.:/ト 、`_フ        「まじ?」
         _/ `ー'′ !
        く /  ,     `丶、          まじまじ。指先一つでダウンさってやつ。
           `丶、_/__j__〉┘
           /、7ー'ー'‐r弋´
        _m/ /    ∨ ヽm
      <\广::V       V^7⌒>
      `丶、/        ∨_/


╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
どうやら、閻魔哀もサマナーであるらしい。
ピクシーから、サマナーという人種については聞き及んでいた。

魔を駆り魔を討つ、闇の住人。

それが自分の高校にいたとは、驚きだった。

だが、同時に心強くもあった。
悪魔もいれば、それから人間を守るサマナーもいる。
自分が戦う必要などどこにもない。

その時は、そう思っていた。
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681 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:20:34 ID:jFx9OXCA0

          ____
        /      \
      /         \
     /   (●) (●)  \
     |   (トェェェェェェェェイ)   |      お? 地震?
     \  \ェェェェェ/   /
     (ヽ、      / ̄)  |
      | ``ー――‐''|  ヽ、. |
      ゝ ノ      ヽ  ノ  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
それから数日が過ぎた頃。
学校で三時限目の授業を受けていた時、地震が来た。
大きな揺れで、皆慌てて机の下に潜っていた。

揺れが収まり、皆が顔を出すと、空が赤黒く染まっていた。
太陽は隠れ、暗雲が立ち込めている。

尋常ではない。その場にいた誰もがそう直感していた。
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682 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:21:08 ID:jFx9OXCA0

         ___
       _,. '´      ̄`、
      /   u.      \

     |  (●)ililili (●) u, |
     、   トェェェェェェェイ    /
      ,"ヽ、 ヽェェェェェ/  '´ `、
     /               ゙ヽ、
     |   `-、、            ヽ
     \    ヽ        ハ
       ヽ    l       l

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
最初は教師たちが職員室へと集まり、それから帰ってこずに十五分。
皆が異常に気付き始めた頃には、もう遅かった。

一階の方から、凄まじい声量の悲鳴が校内に響き渡った。

生徒たちがざわめく。皆、恐怖の表情を浮かべていた。
誰が言い出したか、「逃げろ!」と叫ぶと共に、生徒たちが蜘蛛の子を散らす勢いで
教室から飛び出していった。

一人残された喜留夫は、異界歩き用に持ち歩いていたサバイバルナイフと
COMPを確認し、念のためピクシーを呼び出しておく。
背に腹は代えられない。万が一にも見られないように、制服のポケットに
隠れさせておく。
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683 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:21:29 ID:jFx9OXCA0

       ____
     /     \
   /         \
  /. u   (●)ili(●)\
  |    (トェェェェェェェェイ) |
  \   \ェェェェェ/ /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
自分たちがいるのは三階。
恐らく、異常が起きたとしたなら一階だろう。そう直感した。
今の悲鳴は生半可なものではなかった。恐らく、相当の恐怖と痛みを引き起こす
何かに遭遇したに違いない。そんなものが入ってくるとしたなら、まず一階の
エントランスだろう。

窓から下を確認する。

すると、先ほどまで無人だったはずのグラウンドに、蠢く影があった。
COMPのエネミーソナーが真っ赤になる。

悪魔だ。
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684 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:21:45 ID:jFx9OXCA0

                     , . -:―:‐:-: 、
            ___ ,..-‐:x:'´__: : :-=ミ、`ヽi
      ┌──< _:_:_:_:_;'::.::.::.::.:'´::.:ヽ: : : : :ト、: |
      |        {::.::.::.::.::.::.::.::.:}`ヽ、/  `
.     丿        __ヘ.::.::.::.::.::.::.;イ
    . '′    , < l: : :l: xく::.::.::://
   (__, .ィ.:_:/ l:_:_:l:_:_:l_:_:「 `´〈 : ヽ
     /:/:「   〇     〇   ト、: :i       や、やばくない!?
      レ' ∧          U ハ :ヽ|
      厶/  ヽ  -――‐-  ,   ヽリ       「相当やべえぞ! 結構な数の悪魔が押し寄せてきてる!」
         _>r‐:---:‐r<
        (_^ -‐个、::.::.:/ト 、`_フ         私たちも逃げようよ! えっと、とりあえず一階を目指そう!
         _/ `ー'′ !
        く /  ,     `丶、           「ああ!」
           `丶、_/__j__〉┘
           /、7ー'ー'‐r弋´
        _m/ /    ∨ ヽm
      <\广::V       V^7⌒>
      `丶、/        ∨_/


╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
自分もサマナーといえど、あんな数の悪魔とは戦える気がしなかった。
何度か幽鬼ガキという力の弱い悪魔を相手取ったことがあるが、その程度だ。

だが、押し寄せてきている悪魔たちはガキより大きい。
恐らく、強さもそれ相応だ。ならば、逃げの一手を取る他あるまい。

織斑と篠ノ之が逃げてくれていることを祈りつつ、喜留夫は教室を飛び出た。
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685 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:22:19 ID:jFx9OXCA0

  ...l′   :l";二゙''''┐       ,l´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ-'''''-、
._...   _.  ´ ,〉;;;;;;゙'ー、,  . _,._..ミ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;7            `゙"
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.、!、   .,i┘;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ^'''"   ,|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,..;>ー'゙゙゙゙゙ヽ             ゙‐' |.l
..l;;;;゙ゝy レ;;;;广'L;;_..コ    l;;;;ン'ッ;;;;;;;;;;.,,.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;./  `''、_;;;;;;;;|        .,,,     . l、;゙¬.
. ゙'''''″ .ミ、;;;;゙''''l:゙'"  ` .、  `''" : l.;;;;;;;;;;l゙ ゙'<;,v、;;;;;;;;;;/'    .`''''"        !;;゙''┐    .゙'ー'"
    ,-シ、;;_ノ   . _, `    .tナ‐' ̄″ ∥ .`'―ー!llt;;. .'          !、;;;丿
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二階は血の海と化していた。逃げ惑う生徒たちが無残に食い殺され、
臓物を撒き散らし、四肢をばら撒かれて死んでいた。

四方八方から悲鳴が聞こえる。

「喜留夫! 階段まで突っ切ろう!」

ピクシーに呼びかけられ、悪魔が生徒たちを貪り食っている間を走り抜ける。
中には知っている顔もあったが、構っていられなかった。
自分のことだけで必死だった。醜いほどに。

階段の近くで、織斑と篠ノ之を見つけた。
二人は重なるように倒れていた。

「おい、織斑! 篠ノ之!」

駆け寄り、呼びかける。

すると、織斑たちはゆらりと起き上がった。
よかった生きていた。安堵のため息を漏らし、慌ててピクシーを隠す。

織斑たちはうつむきながら喜留夫の方を向き、よたよたと歩き出した。

「おい、大丈夫か?」

織斑たちは答えない。

「おい……」

織斑の肩に手をかける。織斑が顔を上げた。
そこには、かつての織斑の面影はなかった。赤黒い肌の、屍鬼がそこにいた。
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686 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:22:44 ID:jFx9OXCA0

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織斑と篠ノ之が噛り付いてくる。制服を歯が突き破り、肉が食い破られる。

悲鳴を上げながら後ろに転がる。

「どうしちまったんだよ、二人とも! おい!」

ぐちゃぐちゃと音を立て、織斑たちは喜留夫から食い破った肉を咀嚼していた。

「なんで……」

絶句する。そんな喜留夫を現実に呼び戻すように、COMPの画面に
デビルアナライズの表示が出ていた。

屍鬼ゾンビが二体、と。

「うっ……うあああああっ!」

走った。その場から逃げるように、いや、逃げたのだ。
喜留夫はわき目もふらずに、ぼたぼたと食い破られた個所から血を流しながら、
階段を駆け下りた。
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687 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:22:56 ID:jFx9OXCA0

       ____
     /     \
   /         \
  /. u   (ー)ili(ー)\
  |    (トェェェェェェェェイ) |
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「なあ、俺もああなるのか?」

「ううん、ゾンビっていうのは、瘴気が溜まった場所に置かれた死体が変化した
悪魔だから、生きている喜留夫は平気なはずだよ」

「そうか、映画とは違うんだな」

織斑たちの顔を思い出す。優しかった織斑。厳しくも丁寧に教えてくれた篠ノ之。
二人は、既に死体になっていた。死体になった上で、悪魔にされたのだ。
怒りと悲しみが綯い交ぜになり、腹の中で煮えくり返った。

「とにかく、今は逃げよう。学校から出れば、きっと……」

だが、その認識は甘かった。

学校から出ても、赤黒い空は続き、街には悪魔が闊歩していた。

「だめ、町全体が異界化してる……どこもかしこも悪魔がいるよ!」

「おい待て、それってつまり、俺の家も?」

「あっ……」

喜留夫は駆けだした。自分の家へと向かって全力疾走した。
命のエネルギーの全てを振り絞る思いで走った。
どうか。頼む、母だけは。祈りながら、息を切らして走った。
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688 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:23:22 ID:jFx9OXCA0

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                             ',

           ,、-‐ー‐- 、‐-、 ノ            ',
        、 /        ヾ、 ',               i
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       __ミ|lヽ、_       l    } i ,-‐ 、    ,'
      : : : ヽ`‐、._ニ==ニ二ニi、 ノ ノノ./    ヽ i
     : : : : :i: : :,-:、: : ,、-‐i /: 〉: : :::::::::';  ゚  l/
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      /,-'´,、-/ !O 丿ノ o        i ,’ }

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遅かった。何もかもが遅すぎた。
家に帰った喜留夫を出迎えたのは、織斑たちと同じような姿と化した母だった。

絶望に膝を折る。
このまま食い殺されるのもいいか。
本気でそう思った。

喜留夫は目を瞑った。母に殺されるのなら、それでいい。構わない。

だが、そうはならなかった。

ピクシーが電撃を放ち、母を焼いたのだ。

「しっかりして! 弱気になっちゃだめ! なんとしても生き残らなくちゃ!
あなたが死んだら、誰がお母さんやお友達を弔うの!
誰が想ってあげるの!? あなたしかいないでしょ!?」
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689 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:23:37 ID:jFx9OXCA0

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           /   u, \
         /  u.      \
        / (○)ililili(○).u  \
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       :)ソ(___i)---|    |.ノ:
              ゝ-i--i´ ;
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それから三時間ほど、喜留夫は家の自室に立てこもり、扉にバリケードを積んだ。
もちろん、破られた。そこから先はよく覚えていない。
気づいた時には、白い生地に青い十字架を描いた服を着た男たちに囲まれていた。

これが、喜留夫から見た十年前の災厄の顛末だ。
日本の各地で起こった後にこの大災害は新興宗教による毒ガステロとして公表され、
死傷者は三百九十万人、行方不明者は五百万人に上った。

生き残った者も記憶を処理され、ぽっかりと穴の開いた日常へと戻された。
喜留夫はサマナーだったおかげで、記憶は処理されずに済んだ。
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690 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:23:55 ID:jFx9OXCA0

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         (__^)

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喜留夫はその後、高校を中退した。
叔父夫婦の援助でなんとか生活はできたが、心の傷は決して癒えなかった。
いや、心の傷は癒えるようにはできていないのだ。
一度抉られれば最後、その穴を抱いたまま生きていかねばならない。

喜留夫は自暴自棄に陥っていた。

何もかもがどうでもよかった。何度も首を吊ろうとしたが、そのたびに
ピクシーに止められた。

「私が傍にいるから! 何があっても、私があなたを一人にはしないから!」

小さな手で、ピクシーはそっと喜留夫の手に触れてきた。

「これからは、私も一緒にご飯食べる! 一緒に寝る! 私、
あなたから離れないから! だから……だから、そんな目をしないで」

少しだけ、胸の奥の痛みが引いた気がした。
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691 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:24:12 ID:jFx9OXCA0

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加賀探偵事務所が設立されたのはその五年後だ。
喜留夫はこつこつと小さな依頼をこなし、サマナーとして活動していくようになった。

仲間も増え、ピクシーもハイピクシーへと変異し、喜留夫自身も強くなった。

ある日、ハイピクシーに更なる変化が起きた。
それまで姿形に大した変化は起きなかったにもかかわらず、
今回は稲光に包まれると共に、その体を大きく変化させた。

気づくと、目の前には見知らぬ少女が立っていた。
けれど、喜留夫には分かった。それが今まで寄り添ってきたピクシーであることに。
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692 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:24:30 ID:jFx9OXCA0

/ / // /|ノ ゝ/ / / / / / // l ト_l_r/  / / ill / . / /  l  /
;/ / / |- └//_/ / /l /l il/ //yγ|/  l /|/ / // | /l /  /
;;/r ̄´ ̄´   ` `l_、 //l //l // / l/ | || / ;/ : l| / /// / \ /l/  /   /
;:rー´,yー´/l⌒lゞノ l/ l /l//lil / /  i |  / // / /il// |/ /  /   /
l  il 〈l〉//ヾ`\ lーl/ll/ / /l/ l  l |  / | / / /l/ / /l  / / //
l   i Y r´ ♂i  ヾl〉ーll / l l / l_/ll/  l // l ト 、/ / /l  / / l/
\τーl  l / yl  l 〉 l/l l l l /ll  //  / // / l / \ノ/ l / / //
` 〉\ ヾ y_て / l ll ll l i ll / / / /  / / / /l/\l // //
;;ー、_\_/l//ヽll l l l   l / /_,--/- /_// //  l\// //
L_ゞーヽーー´ー)l》〉il l i   l / /´ //彡==ー-/  / / // /
   ヽ l\il_/ ̄/ /´     /i/ ´ /  〃 : : ;;;;;;;;;::;;ミ‐_l/ / / /     /
   ) l `´    (/      /  / / ;∥;;;;:..  ::::::::::::::ノ/ l//      /
   !/       ´      ´ /  ´  ̄\::::::::::....℃/\l /     /         ……ずっと、こうしたかった。
  /                         ゛゛ゞ;;;;;;;;/:://l/  /  ;/l
         ヽ_           ―       ゛゛// //   /   / l
                       ―       // / /   / /l
     、_                  ―     //;/   / l l
     \`  ヽ、                    ;/ /    /  l l  /
       ヾ__ >                ///    /  l l  /
、                           /〃     /   i  l /
\                        / /     /   l  l /
;;;;;;;\             _ -、  _  イ  /     /    l  l /
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l  ̄`;;;;;;;`‐‐=-ー ´;;;;;;;;;;;;〈    ヽ/ /       /     /  / li
   「;;;;;;;;;;「  ̄┐;;;;;::::::::::::l   / /       /    /  / /
l  i::::::::::::::)    lーーー´ /  /        /    /   / /

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「私は夜魔。夜魔クイーンメイヴ。今後ともよろしくね、喜留夫。
それから……」

メイヴは喜留夫のことを強く抱きしめた。
体温が、胸の鼓動が伝わってきて、喜留夫はメイヴの命の熱を感じた。

「これからも、ずっと一緒よ」
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693 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:24:41 ID:jFx9OXCA0

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                                   □

                               ・

694 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:24:59 ID:jFx9OXCA0

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___/ニニニ:/\/\ニニニニニニ
___∨⌒V : : : : : : \/\/|ニ
____|: : : : : ::ト、: : : : : : : : : : : |/
____|: , 、: fニ}ト、V:\/\∧: : : :
____|// ∨V  } }ハニニニ∨V
___人 fjフ    レ'  }三三三ノ_       ……そうかそうか、なるほどなるほど。
\     }    |又     /
\\   |__     '    /            それでか、君が仲魔と親しくするのは。
:  \\  └ 、    /}  /   /
`> 、\\r‐、.(__/ /::{  }  /          確かに、こんな経験をすれば、そうもなるだろうな。
ニニニニニ∧-\{___{/ニ/ /
ニニニニニニ}   }\ニニ{ /
ニニニニ「ヽ|    __\_|/
ニニニニニ\.   /   ./{
ニニニニニニ>-{__/⌒{|
ニニニニニニニニ{   l| :\

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目が覚めると、岸辺露伴が凄まじい速さでペンを走らせていた。

「湧き上がってくるぞッ! 次の話のネタがッ! 素晴らしいッ!
……っと、こんな経験を見せられて、喜んではいけないな」

すっと岸辺露伴は真面目な顔になり、スケッチブックを置いた。

隣にはメイヴが座っている。いつの間に出てきたのか。

「君が意識を失っている間、ずっと隣にいたんだよ。
心外にも、僕のことを見張っていたらしい」

「喜留夫を見守っていたのよ。悪い夢を見ていなかったかって」
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695 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:25:28 ID:jFx9OXCA0

       ____
     /     \
   /         \
  /     (⌒) (⌒)\      大丈夫だよ、メイヴ。
  |    (トェェェェェェェェイ) |
  \    \ェェェェェ//      ありがとな。
  /          |





                     _,,、---、  /`ー---、_
           ,   ._,、-― ' ´       `´((,、_ ,ィ-、`!
         ,、((._,ィ'´       ー.'二==テイト、ォハ´`))!ヽ
      /`/ト、`))          ̄__,ィ /乂Yノ少((.  ヽ
      ,イ ./ノ少、'          l  .l    i ((ゞ'´  ` l  ヽ,
     l   弋トン"   /  l     | l!  l!  l! l!  ))  l  l l   l
.    /!    )) ./ / l  l! .l  l l!.l .l!  l l l!l l! ´  l! .l l  .l
   ノ  l.  (( / .′l  l! .l l! i!.l i!  l!.l l!l.l l!    i! l .l!.l  l!
 ./   l   /./  l! l! l.l  l .l l l! l l! i!l.l l! l! l! l  l .l! l l!  /
./    / l .l! l!  l! l! ! ll! .l l!.l l!l.l .l! ll! l.l!l! l l l!  l l .l l / l         そう、ならいいのだけれど。
!  / / ./ i! i!-=ミ.、 l! l l.l((.l!i!.l! l!.l-十十‐!-i! l! l!   l l! l l!/./ l!
 / /  / .l l.l l!  .))l_l! l l ))l l! l!l l从==ュ. l! l .l! / l.l /././  `ー        そろそろ貰うものを貰って帰りましょう。
/ /  /  l! l ll! .ィーイ_,`ヽ.'イ l!l!l .l!イん::ハ.ヽ l l! / ./ //!   __
./.|  /.|  l!  .i! .,イ´`'Z`メ! ヽ     乂z:ソ. './ ./ ./// /.l           今日は何にするの?
./ヽ. l l  l!、  i! フ 〈、Yノ ノ .l          ̄ /  ,′/ / ./ l
  ヽ! .l! i!ヘ  i! >`、´ 、,ノ  '       l   .l   /  /l             「オムライスにしようと思う」
 l  i! ヽ l ヘ .|  i!ヽヽ-イ))      _      ヽ,  ヽ .l!  .l l!
 l  .l!  l!   ト、 l l ヘ ((    ̄    ,ィ‐、ィ‐、  ヽl!  、l l             あら、いいわね。私は好きよ。
 l l l ヽ     l. ヽ l!l i> ,        ゝ,. `´ |  リ__  `ー
./ .l l  ヽ i  l  ヽ.i! l!   >__ , _ , ィ`l´  / / .`ー-
  .l l  ヽ .l! l  l l /l .,ィ、_ノ  ̄ゝイ   / /
  .l!l   l!.l! .l  ./ / l/l .,、- `i   | / /

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もう、失いたくない。あんな思いは二度とごめんだ。
そのためなら、どんな対価でも払おう。

目の前にいるこの女性を守るためなら、何も惜しくはない。
今度は祈るだけではない。たとえどんな巨大な組織が相手でも、戦おう。

何も言わず、メイヴを抱き寄せる。

「あら、どうしたの? 甘えたくなった?」

からかいながらも、メイヴも腕を回してきた。
とくん、とくんと人間と何ら変わらない温もりと律動が伝わってくる。

この熱がある限り、この鼓動が続く限り、自分の心は折れはしない。
もう二度と失わない。そのためなら、何だってしてやる。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

696 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:25:42 ID:jFx9OXCA0

                    ___
                  ,.ァフ::::::::::::::::::`>.、
                    〈:{:/:::::::::::::::::::::::::::::彡      抱きしめ合う
                      lヽ'^ヽ'^ヽ'^ヽ‐tノ        男女を描く時の
                     l ,ハ、ハ ハ,.-、,ハ |─<\      参考になる
                     ヽ.でjフ レ,ィ.N\  ヽ \
                  / /,       トイ  }`!  }  |
            / ̄\  `‐、    l   //  | ハ    スケッチしとこう
               |  \ ヽ.  こ  /____/'   ∨ 〉
       _r‐=ニ´__n ヽ l  `¨´ー┴┬'o    / ヽ|      「帰りましょうか」
.      ノ      ./||\ノ      ヽ| o_,  V   \
  ー───-----  ./  || l へ、  / o \   {   \|     「お、おう」
  \         | | l | }    ̄     /\  ,ハ-、 \ |
    \          `ヽ{ l_ノ  ̄\  o/   \ |'⌒ `|
     \        `┘      \/    / | l ̄   |
                                     〜また次回〜

697名無し-Red-市民-2:2018/07/22(日) 21:55:34 ID:SMR8CCNA0
乙でした

698名無し-Red-市民-2:2018/07/22(日) 22:23:36 ID:/J3kDFuw0
乙でした。
キツイ記憶だなぁ…

699名無し-Red-市民-2:2018/07/22(日) 22:32:15 ID:/J3kDFuw0
けど、何か葛葉壊滅も含めてメシア教の計画通りの様な気がするなぁ(汗

700名無し-Red-市民-2:2018/07/23(月) 02:08:40 ID:ZZoNvQ/.0
乙です

701名無し-Red-市民-2:2018/07/23(月) 10:05:30 ID:RDu9t6iA0

他のサマナーたちの悪魔との距離感はどうなんだろうな

702名無し-Red-市民-2:2018/07/23(月) 12:48:25 ID:dJhgPjzU0
乙でした

703 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/30(月) 21:12:00 ID:Vft6D23E0
書き上がったよー。

とりあえず来月の一日の午後九時から投下だ。

待っててエブリワン。

704名無し-Red-市民-2:2018/07/30(月) 22:18:20 ID:J590wAVo0
超、乙!

705 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:12:31 ID:PiR9Q05g0
ハロー。今帰ってきたところだ。くじに間に合わなくてソーリー申し上げる。

じゃ、ぼちぼちやってこうか。

706名無し-Red-市民-2:2018/08/01(水) 22:27:16 ID:6HBvoNhQ0
わーい

707 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:33:25 ID:PiR9Q05g0


┌────────────┐
│                  │
│   第十四話『狂死』    .│
│                  │
└────────────┘

708 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:33:44 ID:PiR9Q05g0

                       {\  __  -== ≦⌒ヽ
                    ノ 。s≦ノ っ: : : : : :/⌒Y/⌒ヽ
              _γ。s≦i:i:i-=≦> っ: : /: : : : ̄⌒ヽ: ∧_
             _〈 /}i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:>──ァ/: : : : : : : : :.: : .∨:i:i:/
         。s≦ .⌒Y八i:i:i:i:i:i:i:i:> ^´ ̄: : : : : :../: : : : : }: : : ∨ヽ
          〈 \     乂 \i:i:i:i:i:ゝ─ァ./: : : _: : /: : : : : :八: : : ',:.、
     / 、   \    /〈\≧=‐‐ イ/: :../__: ノ`ヽ: : : : __: : : :.::.|i: {i:i\
     く    \   \ ィ(⌒7   〈/〉: : : /fう心、}/: : : ´⌒`::.:../|i: :V⌒
    ィ(ニ\   \./ノ  ⌒7      〉: : : :.| Vソ /: : /f:ぅヽ}:./:::|i〉: .W
 /ニニニ\___/s。{   く      |: : : : |  `  ):/ vソノ/./|.:八: :.:. /
 \ニニニニ ィ(   \ .⌒廴      |: : : : |    _v 、 '    /.〈: ./: : : : ∨ /      お客さん来ないね!
  / }h、。s≦⌒{  V/ `、 ≪⌒   .: : : {ノ\ 乂::::フ   ィ(: : \: : : }\V
    } ≧s。ニ八  ∨/  `、 ≫    v: .|\ .}h、  。s≦ {/: : ./ }: 八 \      「かんこどり?」
./   |: : {乂__ハ  ∨/  \⌒7八  .V八i:i:i:i:i:/´{⌒ヽノ  {: ./: : 八ノ )
    |: .八ニニニ∧ 八     〈⌒Y^7{( \〜、、{  \: /⌒7ノ {: /≫          そうそれ!
    |: : : .\__∧ ⌒≧s。  〉  〈/       }h、(: \: ./、  /\
    |: : : : : : : : : :.:∧     ⌒⌒/``〜、、     〈 \: Y: .} 〈⌒
    |: : : : : : : : : : :⌒≧s。  -=≦=_=_=_=_``〜、、 / (: :\:八 ヽ{∨ /
    |: : : : : : : : : : : : : : ./ニ〈=_=/\=_=_=_=_\\// Y\): .)  ∨./
    |: : : : : : : : : : : : : :./ニニ ̄ニニ \=_=_=_=_\〈ノ^Y乂: \(    V
    |: : : : : : : : : : : :.rノニニニニニニニ〔 〕‐=≦{ 〈ノ〈 Y\ノ: Y  W
    |: : : : : : : : : : /ニニニニニニニ/⌒7ニニ/!     乂: .\ノ⌒Y
    |: : : : : : ィi〔ニニニニニニニニ⌒¨´ニニ/.:       }: : : Y: :ノ
    |: : : : : {⌒ヽ∨ニニニニニニニニニニニ./ {       \: : ):⌒Y
    |/\八::}::ソ \ニニニニニニニニニ‐  !        乂⌒ヽ:八
    |ΞΞ/ィ( ̄} } ≧s。 ニニニニニニ=‐ /ニ         )\: Y: )
    |Ξ/乂=_ ノノ=_=/ }_Y}ニニニニ=‐{ /ニ'.         乂: : Y /

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夏の候、加賀探偵事務所は実に平和だった。

客も来なければ厄介事が舞い込んでくることもなく、仲魔たちはクーラーの効いた
応接間で寛いでいた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

709 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:35:24 ID:PiR9Q05g0

                         __
                     /:::::::::::::::\
                    /::::::::::::::::::::::::::ヽ
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                      >::::::::::::::rェェェ/    …………。
                     /:::::::   ⌒ヽ
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                    |:::::::::/ |   i、
                 ゝ___) ゝ__)

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食材の買い物から帰ってきた喜留夫を出迎える。
だが、喜留夫は買い物袋を下げておらず、代わりにCOMPを抜いて
検分するかのように見つめていた。

「どったの、喜留夫?」

「喜留夫……そうか、この体は喜留夫っていうのか」

何やらおかしなことを呟いている。
加えて、何やら目がおかしい。いつもの喜留夫の目にある、荒々しさと優しさが
仲魔たちには感じられなかった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

710 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:35:44 ID:PiR9Q05g0

     ____
   /     \
  /         \       む……そうか、夜魔がいるのか。
/     (●) (●)\
|    (トェェェェェェェェイ) |      精神干渉されたら一発でバレるだろうし、最初にバラしておくか。
.〉     ∩ノ ⊃  /
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /





                  ____
   _,rーく´\  , --、   /      \
 ,-く ヽ.\ ヽ Y´ /   /         \                 キョウジ
 { -! l _」_ノ‐′/   /  (●) (●)   \      俺の名は葛葉狂死。
 ヽ ゙ー'´ ヽ  /   |  (トェェェェェェェェイ)    |
  ゝ、  ノ_ イ    \ \ェェェェェ/    /      今、こいつの体を間借りさせてもらっている男だ。
    ヽ     |     /             ヽ

711 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:35:54 ID:PiR9Q05g0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         └──────┘

                           ┌───┐
                           │::::::::::::::::│
                           │::::::::::::::::│
                           └───┘

                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘

                               ┌┐
                               └┘

                                   □

                               ・

712 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:36:27 ID:PiR9Q05g0

                -,ヘ‐/:丶、
              /:/:/ : : : : \:.\ 、__
           /7 ア/: :/ : : : : : : : 丶:.\ |7           n .,7 /7
         _,〈 / }: : : ,: : : |: : : : : : : :ヽ: :',ヽ          | |,ル'/, フ
        <ア/}/: : : :{.: : :.|: : : :.l\: l: :',: :',.、ヽ      r 、|    /
          ./ : : /: : : : 从匕: : : :.匕⌒: : l : |: :Y       ヽヾ- ` {
        /: : : :|: : l: : {,ィ苳ミ \ | ィ苳ァリ : }: : :.         丶 ` ノ       まーたまた冗談を……
        /:/ : l\∧: ゞVソ   、 り }: |:./ : }、:.       {ー─}
         {;' {<^¨^〜、`^ゝ、        ノ:./': : : } ',}        'ー─l
         | {く_   r'   7 ヽ ノ /: : : }^ソ- 、l      /- 、 |
         |   `ヽ<    >ー‐'7乂:.イ z‐ミ }     厶=ミ.、 }
         |     \    ミニニ〈: : :ノ    `ー、__/_  ゙v
           〉      ※。 ミ´ ̄〈: : )          /ニニニヽノ
            〈         ノ ゚`''*。(: : )※    /ニニ丶ニニ}





 、   _, .} ,メ    l   ',::   ヽ::::.   ',:  ヽ
   ̄,´/F>`ミi_ i  i    ';::   ' ;:   ';::  ',
  ,⌒Yiー<⌒ハL  i     '::;    ',、   ';::  }
  ,イ冖!/てヾVYjヽ_, l、 ,  ',斗七  '.,ヽ 人,,リ
 从r'弋心ノ',イj从i   l....ヽ/ '; :::\  l ::/イ
.<  ゝ._`フノノハ、 .i  l::::''ゞ从_i⊥、;\j .i
  弋 _、.>√勿/ヽi. ハ   V{ィrャミ <  丶_         いえ、冗談でもなさそうよ。
  )) /´  `.i`...'.,::、 '、 ハ  `.辻,ィ'}      ̄|
    l    :::   ::',::\ iヽ   |下乙     /       葛葉矜持、といったわね?
    l    ::     ;;; ::ヽ| ゞ         /
    ,'  ..::    ,:'::, :::|           (         あなた、何者かしら。
    ,'   ::    .::  ::: ::|`(  Y ヽ、     /
   ,'  .::  .:: .::..  ::: :| ,ゝ‐イ .ノゝ___,,ノ          葛葉に連なる者ってことは分かるけど。
  ,'  .:::  ..::: .:::  ::: :::!" `丶、s ̄`)
  ,' .:::/  ::: .::    :: ::/   l  .l ヽ ̄)
 ,' ::; '  .:: :::    ノ,/ ヽ、 ヽ / /、ゝ
.  / ..::: :::   // `丶、`  '彡,廴`;;;;;
  ..,,,_::,,__.:,,,,::://‐-、__   `丶 .ヽ /∧/|
 Y        ̄ -  ,,,, ` ‐ - 、 .Y..∧/|
               `ヽ     ヽ|∧//|

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「分家の分家だ。四天王の足元にも及ばねえ木っ端よ。
最初に目的を言わせてもらう。この体を使ってメシア教の調査をさせてもらいたい。
お前たち仲魔にはその協力をしてもらう。なに、目的を果たしたら体は返す」

メイヴは葛葉狂死を名乗る喜留夫を睨みつける。
夜魔であるメイヴは精神に干渉する権能を持つ。
そのメイヴの目には、普段の喜留夫とは違うものが取り憑いているように見えた。

喜留夫の魂は、ひどく歪な見た目をしていた。
表面は冷め切った氷の塊と化しているにも関わらず、底の方には燃え盛る炎が
あるのだ。子供の青さと大人の諦観を併せ持っているとも言える。

だが、目の前の男にはそれがなかった。
あるのは、灰色の獣の瞳。優しさなど欠片もない、冷酷な灰色だった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

713 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:37:01 ID:PiR9Q05g0

  ___                     V   ヽ     _  __                            /     /
  ` <≧                 }    ,ゝ≦///////////≧; ,、                   /       /
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          \   `ヽ        /////////////////////////////\             /        /
          ヽ    \       ///-――--= .. _///////ヽ//////////∧          /          /
  ヽ辷‐x       \     \   ///            ` <//∧//////////∧      /            /
\  ヾ(`ヾ廴_      ヽ   ∧. l//___         ` マ}'///////////',   , '       >― ′        _   --―
  ` -'  \:::::`ヽ   V   ∧ レ: :,: : : /: :/: :`: :<        ;////////////,   /        /            「
        \::::::\  V    У; :l |: : l: / /: : : : : : } :` 卜  ,'/////////////}  /     , '             /
、_,_,、      ≧::::::ヽ `ヽ.  ,':/: l: | ;イ:メl、{: : : : : :,イ:ハ: : :l : :`!///////////// l 〈     厶---- 、       , '       ___
 `ヾ:::>x._ ,、  `ヾr、:ヾ、 \!:l : |: l{,r‐ミトv: : : :/_レ__}:/l: : i:l//////////////|  V        _     \     / > ´  ̄
ー:-':ゝ:::::::::`´::>:-'ヽ._〉::::ヽ. |:l!: :l: : 《 {沁`V: :/‐土‐l/`l : :l:|//////////////|  V   / ̄   `ヽ  ヽ-イ ./
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ::::∧|八: l : | 之ソ ヽ| ‘ /≧x.レ:/{//////////////{   }  /        V   /
:::::::::r:-:=:=:-:-:::、:::::::::::::::::::ハ  Vl:圦   r       ら刈 )/:,{//////////////廴_j  {          }   /
-:‐:'. : . : . : . : . : . : . : ヾ:::::::_ト:-xヘ W〉ヘ       ` ”´ノィ {///////////////ヾ/// ̄//,7ー-, , , _ }  }           , へ、
. : . : . : . ノヽ. : . : . : . : . ヾ::≧x. :Ⅵーヾ:厶\ `_ー -   ´.イ:l:{/////////////////\/////////////// ̄//,7ー-, , _ , <   \
`::: ̄:::´::::::ノ. : . : . : . : . : . `⌒ヾ:'::{/////{:>- - <: ://|: ∨//////////////////ヾ///////////////////////////≧‐-, , _  \
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シ:⌒:ー: :'. : . : . : . : . : . : . : . : . : .}:::}////′イ   〈メr〈    V : :ハ>く/////////////////,ヾ////////////////////////////////
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ヽ. : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . l:::::り///{ {/∧´ーl/'Lト、   Χ: : :Ⅳ//////////// ̄/ヾー'-'=≧//_///////////////////////
:::::::ー::-.:、. : . : . : . : . : . : . : . メ:::://////,Ⅵ//ヘ ̄]_ ̄ヽ \//}イ: }l/////////////////≧x: : : : : : : : : : : ̄: : ̄: : ̄: : : :¨: : :-: :-' '
` ーァ::::::廴_. : . : ._. ;..-::―::´:::////////ヽ}//,\Lゝ‐ ''´. <///}ノ,{/////////////////////7,ー,-; ; ; _ : : : : : : : : : _: : ー、-  :_:
    ` ー辷:: ̄::::::::>七彡'_//∠--―へ////`77´///////´//ヾ//////////////////////////////// ̄}: : :/ノィ): : \
  _  -‐ ´    ̄''´  ___/ /:/ : : : /: : ヾ///////////////////,、//////////////////////////////  ̄  '/: : : : : :\

714 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:37:11 ID:PiR9Q05g0
/_ > ´  ̄ ̄ ̄    / /': /: : : : : /: :/ : :∨/////////////////: :`: <///////////////////////イ‐- 、__,..ニ⊃: : : : : : :\
´             / / イ: /: : : : : /: :/: : : :{////////////////,ヽ: : : : : : :`: :<///////////////// : : : : : : : : 廴_: : : : : : : : :
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             レ′ ,': :/ |: : : : : : |: : l///////////////////////////\ : : : : :\ `  <: : : : : :>.、   ヽ   ̄ ¨¨ ‐- >
               l :/ |: : : : : :|: :///////////////////////////////,ヽ< : : : ヽ   ヽ ` < : : \  ∧
                l:{ /{: : : : : : l /////////////////////////////////∧ \ : : :\ }      ヾヾ〉  ∧
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
一番拒否反応を示したのは、セラフだった。

「喜留夫を返して」

ひどく冷たい声色でそう口にすると、セラフの背に黒い翼が発現し、
あたりに突風を巻き起こした。

その手には神の炎が燃え盛っている。
今にもこのあたり一帯を焼き尽くさんという勢いだ。

「まあ待て。別にこの体がどうなろうと構わんが、これはお前たちの主の体だ。
これを消し炭にすれば、俺はまた魂だけの状態に戻るだけだが、
お前たちの主も同じ末路を辿ることになるぜ?」

「待って。なんであなた、魂だけなんて状態になってるの?
それに、葛葉はあの雷堂を残して全滅したはずよ。あなたが残っている道理がない」

「それがあるんだなあ。十年以上前に、俺は一回魂を抜かれてこのザマよ。
それ以降、体をとっかえひっかえして今に至るってわけだ。
安心しろ、サマナーとしての腕は鈍ってねえ。仲魔として食い扶持には困らねえさ」

「そういう問題じゃないのよ」
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715 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:38:50 ID:PiR9Q05g0

                   .._
                  ,.-‐ ゝヽ'´- .._
               、.. -‐''   ,.‐-´`丶 "、
               >,.   (.,-'`-     丶、
              ヽー,.'   / / ̄_      ` .
              〉,/,    ゙'! i'´,..>___,.    丶.
               {,;'j ;.{ヾ,: `/´ ̄////,`ーi   丶.          あー、つまり、文字通りしばらく貸せってことか。
               ` ゙'l;i`,////,..--' "" '‐ヽ...__ 丶
                   </,'/ ̄\////∧///////,ヾヽ丶       返すもん返してくれんなら、俺は構わねえよ。
              ,.-‐''"´   ヽ. \'///∧////////゙/ヽ ヽ
             /         ゙ . ヽ////////////i//,'i ;      だが、約束を違えたなら、魂であろうが斬るぜ。
               / ゙.           ゙   ∨//,'i///////l//,'レ
          _/.   ゙.   ::      ゙  ∨/,'|//////,'!//,_!
           { ̄     ゙.   :       ゙.   V/,l//////,'!‐'"
         / \       ゙.  :       ゙   V,!//////,'
       / 、   ヽ.     ゙   !     、  ゙   V//////
     / .  丶、 丶   ゙  l     ヽ.   ゙   V///,/
    ,'l i      \  \  ゙ l      ゙   ゙   V///
.     i l !  i    、丶  ヽ : ゙ !       ゙   ゙.   V,/
    ! l.!  i!     ヽ \. 、! ;!  ヽ      ヽ  ゙.   Y
.   l l.!  !     ゙. ヽ`ヾ:' ゙_ ヾ     、.ヽ ゙.  }`ヽ
.    i.l.!. '⌒゙. ..._-‐'',゙- ゙r  ト..._  \     `丶 ゙  ;'.\|
   l.;' _! ゙.  _..Y´_ヽ. (ノ;. !.._`.._`ー――‐--__-‐/ ヽ i
    |;.r'  ヽィ´,......._ ヽ、 l l..._ー -―――-_..}.、 ヽ l

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一方、ヨシツネとパイモンは冷静だった。

「無理やり引き離そうとしたって、喜留夫の体を傷つけるだけだしね。
僕らは今喜留夫を人質に取られてるようなもんだよ。今は従おう、ね?」

「ううう……」

パイモンがセラフを宥める。セラフは納得が行っていないようで、
しきりに葛葉狂死を睨みつけて唸っていた。

「しかし、悪魔くせえ体に事務所ときたもんだ。
最初の体と同じ探偵を選んで、それでサマナーだったもんだからラッキーと
思ったんだが」

そこで狂死はメイヴを一瞥し、「くく、お前、こいつの女か。そういう目してるぜ。
男を取られた女の目だ。奇特な奴だぜ。お前もこいつも」と口にした。

メイヴは自分の手に電撃が走るのを感じ、咄嗟に抑える。
今葛葉矜持を傷つければ、それはすなわち喜留夫を傷つけることになる。
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716 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:39:09 ID:PiR9Q05g0

          /::::::::::::/ ̄     `丶、:::ヽ:::::::::::::ヽ_
.          /:::::/:: /            ヽ::::\:::::::::ュ 、ヽヽ
         /::::://    _  -―-  _     \:ヽ::::::.|    }
.      ┌,へj:::::イ    イ  ./     / 7, ヽ 、  ヽ::::::.|  |
      j /´〉:/  , イ | | _,.ム,     7ュ、'_|  } \  ! .|    |
        /  / (::イ´| 」イ / |i    / |/ 「ヽ ハ    `| .|   |
     /  Y:. i/  ,イ´| ハ.| !i  /≠-_ 」 / `ト、 .| 八.   |
     |  卜:::li ./ | x≦ミ八/  ."¨, ≧ミ、 | ヽ} |::: i  .,'
     |  |:::li   |〃 だヽ         |:::::::ヽ ヾ ./ .|:::::::i  ',        ……ところで、ご飯は?
     |  |:::|   《  b ゚::::}      P ゚ 。} 〃/  |:::/   ',
     |  |:::|!  从  ゝ:ン   i    ゝ=ン .//  }/:{     .Y
     |    八  |、             ,イ'   ,イ::: ハ    }
     |    /.:「\ .! ヽ     '⊃    イ|   i::::::| `   イ
.      |   }::::ヽ:::ヽゝ  |!>  、 __  <  ノ .!   ,'::::: |  /::::|
      .|   }::::::::::::::|  |{      ヽ==     |  /::::::::| /:::::::: |
      ,へ ..ノ::::::::::::::::|  .八            | ,イ:::::::::::',::::::::::::::ハ
     .i:::::::::,'::::::::::::::::,  /:::::ヽ           | |.|ヽ::::::::::',:::::::::/:::
      i::::::/:::::::::::::::/ /:::::::ィ::::\       イ .|.|::::\:::::::',::::/::::::
     ヽ/:::::::::::::::/ /''7  {::::::::::≧x---x≦::::l |.|::::::::::\:::V:::::::::





           ____
         /     \
       /         \       あ? そんなもん俺が作れるわけがねえだろうが。
      / (●) (●)    \
      | (トェェェェェェェェイ)    |      
      \ \ェェェェェ/   /
 ⊂ ヽ∩  >          \
  '、_ \|               |
     \ \      /  /

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こうして、仲魔たちと葛葉狂死の奇妙な同居生活とサマナー活動が始まった。
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717 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:39:23 ID:PiR9Q05g0

    z''―――、
   //⌒`´⌒ヽ
  /_/   9  __ 9 ヽ、
/( i   (__人_) j)
|   ´jー―'´   `ー<}
|  /   (●)  (●) | |
i  {     トェェェェェェィ i |     ウッキー!
 、.\   ヽェェェェェノ ノノ
  >`ー――――‐´<、
 / ー―- .、__  r、 ヽ
=、____ノ    ヽ l/  /
〃 ,'    |      i l ,/
{{ l    ヽ    ノ |´
ヾ={       ̄ ̄   |
  |           |
  |  j´  ̄ ̄ ̄`i  ,!
   `‐´        `"´

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その頃、喜留夫はニホンザルに憑依させられていた。
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718 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:41:50 ID:PiR9Q05g0

                         ┌──────┐
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                               ・

719 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:42:00 ID:PiR9Q05g0

                   _ ...‐─‐- .._
                   .ィ´            `ヽ.
              /  /         ヽ、 :.、
            /    ,'-──────-ヘ ハ
            ,'    /__________}  l
              i   l:i: i:/j/_|:/|  /_j人i: :|  |
               |   |:|: |イ{:::r:l`j/'{::r:}`}: :l  |
.             |   |:|i 八´ ̄     ̄`ムィ|  |         決めた。私、喜留夫が戻ってきたらお料理習う。
           |   |:|| 「:.、  ー ‐  .イ |:|  |
            |   l |:ヽ|:::_:>‐- -‐<::j,ノ |  |
            |   | | :l/ ゝ..___小_..ノl: l i |
            |   | l :|  、.        ,: |:ノ l |
             |   | ヽ|   i:..,:'´  ̄ ` ̄ `ヽ. l |
             |   | i :|   |/  〃  :ヽ.  ハl:|
              |   | | :|   |  :,'     ::.   人|
              |   | | :|__|_.:/::    :::..     \
              |  /jノ:ノ_,)ノ.:::.___.::i:::.___ ヽ、..
          .: :: ̄: : : : : :.:/_:ノ´::( _ヽ:::::/ _ )::::`ヽ.〉:: :.
         : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
          : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :

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カップラーメンで腹を膨らました一同は、葛葉狂死が「慣らし」として受けた
依頼をこなしに異界化したマンションの一室へと来ていた。

どうも悪霊が異界に居座り、住人が締め出しに遭っているらしい。
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720 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:42:40 ID:PiR9Q05g0

         ____
        /     \    r ⌒j
      /        \  /   /
     /  (○)  (○) \/   /   /  )
    |   (トェェェェェェェェイ)  /  /  /  /
    \   \ェェェェェ/  /   '` ´  /         あばよ。
     r´   (⌒'ー―- イ′     ´廴
    /     > 、     ヽ      _  ̄ ̄ ̄)
   /         -、      }        (  ̄¨´
  /            ヽ._       __  \
                `   --‐'´ `゙' 、_.)

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葛葉狂死は仲魔たちの力を使うまでもなく、悪霊たちを一掃した。

印を切ったと思えば、悪霊たちの体が紙へと変化していき、そこを一気に
火炎魔法で焼き払ったのだ。

「しかし、便利な時代になったもんだよな。依頼の仲介人なんざ消えて、
今じゃネットで依頼者とサマナーが直にやり取りできる。ピンハネもない。いいことだ」

そんなことをぼやきながら、葛葉狂死はその場に立ち尽くす仲魔たちを尻目に
その場を後にした。
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721 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:44:59 ID:PiR9Q05g0

          /´}
        / /
      .i  〈
    / ̄ ̄\二ニ= ―― ― ―
   /
    { O   O   }--- ___n
   \トェェェイ /       }__}i三三三三三三三三>
      ̄、 ̄     ィ〈 ̄ ̄ l」          !  '
     /⌒ヽ    / 二ニ= ――  ― |    ’
      i  / Τ\    '.              |し/
      ‘--└'    \___, '.             `ヽて
              ` 。 \             }(__
                   _}  〉          ̄ ̄ ̄
                  {__/

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葛葉狂死は葛葉の名に恥じない、優秀なサマナーだった。
それから葛葉狂死はメシア教の調査と称して聞き込みを行ったり、
メシア教からの依頼を受けて依頼者に取り入り、その情報を引き出したりしていた。

戦闘においては喜留夫にはない機転と思考の回転の速さを見せ、
的確な指示を仲魔に出し、自身も「短刀は性に合わん」と太刀を持ち出し、
それを振るって怪力乱神の戦いぶりを見せた。

正直な話をすれば、喜留夫の数倍は強かった。

だが、非道さも喜留夫の数倍はあった。
敵の死体を盾に動揺を誘い、狙いは必ず致命傷、一般人への被害など微塵も
考えない。

彼の性質は、単純だった。
目的のためならば罪もない一般人であろうと殺す。
一般人を守ることが目的であろうと、千を守るためなら百を殺す。
普通の人間が切り捨てることを躊躇うものを、いとも容易く切り捨てる。
それが葛葉狂死という男だった。
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722 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:45:11 ID:PiR9Q05g0

     |\_____/|
    /ヾソ   王 ヽソ
  /ヾ   `(・)、 | ,(・)ヽ 
/ヾ^ ミ(   ヾフ   )彡
|三= ィ―'`y―'´`ーy<}
|  /   (●)  (●) | |       ニャーン!
i≡{     トェェェェェェィ i |
 、.\   ヽェェェェェノ ノノ
  >` 三―――三´<、
 / ー―- .、  -==r、 ヽ
 `_||_||_ノミー、   l/ ミ/
  ,' ̄  シ    ャ, ̄l ,/
  l三=‐z     z-=川´
ZZ{___ z    z __|
  | ̄_≧__.≦  |
  し´       `、_,!

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その頃、喜留夫は猫の肉体に憑依させられていた。
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723 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:45:24 ID:PiR9Q05g0

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                         └──────┘

                           ┌───┐
                           │::::::::::::::::│
                           │::::::::::::::::│
                           └───┘

                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘

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                               ・

724 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:47:27 ID:PiR9Q05g0

               __
.───┐      / ...::::::..\
 ̄ ̄ ̄| |     /   ...::::::::::.\       ったく、天下の雷堂が今じゃメシア教の小間使いか。
      | |    ( ●)   ...::::::::::.\
      | |   ェェェェイ)   ...:::::::::::::: |      世も末だぜ。
      | |.   \ェ/ .....::::::::::::::::::/
二二二 」 _ _ ゞ    ...:::::::丶
─┴┐ ⊆フ_)__./     ┌ヽ ヽ┐
二二二二二二l  /      |  |   | |
_l_____| /      |_|   |_|
  |       /  __,    ノ  |─l
  |───/  /lニ/   /二ニ luul.
  |    ___|  |  |   |_|.
 └─(    )(ニ|   |./二ニ)
      ̄ ̄  /   )
            `ー ´

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「そろそろ満足したかしら? 喜留夫を返してほしいんだけど」

一週間が経過した後、メイヴは仲魔たちを代表して葛葉狂死に直談判した。

「くく、お前ら、前のサマナーより俺の方が強いって分かっただろ?
どうだ、このまま俺の仲魔にならねえか」

「お断りするわ。私たちの主は喜留夫ただ一人。それは決して違わぬ契約よ」
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725 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:47:37 ID:PiR9Q05g0

        ____
      /     \
     /         \
   /    (●) (●) \        いいだろう。ただし一つ、条件がある。
   |   (トェェェェェェェェイ)  |
    \  \ェェェェェ/ /        「なに?」
.    ノ    / )ヽ   く
   (  \ /__ノi ) , )          葛葉雷堂に会わせろ。
.   \  ゙ / ヽ ヽ/ /
     \_/    \_ノ

726 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:47:59 ID:PiR9Q05g0

                /
                  ィ/      _
              /::/  ,...ィ  ̄
                i::::レィ":::::/ニニ::=..-...._
      __,,..ィ::ニ:ミY.}:::::::/:::::::,.x::^Y:ヽ::::::::::=ニ、
       ̄ ̄ >=-:::: ヽ/,..ィ":::::/::::/:ー..、:::::::::::::::`ー- _
      ,.イ:":::::::::::::::,...ィ::´::::: : /:::::: /:::::::::::i!:::::::::::::\ ̄ ̄
       /:::::::::::/:::::::::: : /::::::::: /::::::::::::::|:::::::\:::::::ヽ
      /::::::: : /:::::::::: : /::::::::::::::/:::::::::::::/:|:::::::::::ハ:::::ハ
    ,.イ::::::::::./:::::::::::::::〃::::::::::::::: /:::::::::::::/::::!::::::::::::::ハ::::ハ
  _,イ-=イ::::/:::::::::::::::/:::::::::::::::::: /:::::::::::::/:::/}::::::::::::::::::::V:::::ト、
       /:::/:::::::::::::::/:::::::::::::::::〃:::::::::::::/|: /',ィ!::::::::::::::::::::i:::: | ̄
.     /イ::/::::::::: ̄≧ミ;、::::イ::::::::::::::≠≦_ |::::::::::::::: : |: : |
      /:ィ::::::::::::/ 不示ミ=ー::::::::/ ̄Y:r尓ケ!:::::::::::i::::ハ::::|
.     /ハ!::::::::://ゝ_辷ソ/::::/ / ゞニz斗|:::::::, イ/ iハ|        ……お前は誰だ。
         |::::: // ,,,,,, ̄ ./:.イ.  /    ̄ ,,,,,,,レ/   //
         レイ .{ハ   ./ ./           , /ハ!
           ,     ヽ;,            i::::::/
           ヽ              ,.イ:::/
               \   ´ ̄ ̄`  ヽ/ .<:..|:/
                 \    ̄   / >´  |フ}、
              ハ >、     ,.ィ    /: :∧
             /: : :}  ー-"     /: : : :∧
             //: : : ハ           /: : : : : :/7
            }: :ィ: :|        /: : : : :.::.:://
            | ̄..^|       | ̄}}: : : : :.//
               |}ヽ    ーイ  ヾ: : :.//


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ウルフウッドの計らいで、葛葉雷堂と人払いの結界が張られた神社の境内で
落ち合う。

葛葉雷堂は、一目で喜留夫が葛葉狂死であると看破した。
すぐさまスカアハとフェンリルを召喚し、短刀を構える。

「葛葉狂死。元葛葉のゴミ処理係だ。どうだい雷堂様、メシア教の御膝元の居心地は?
俺は外道だが、葛葉の使命だけは最後まで忘れなかった。
魔を討ち人を生かす。百を生かす為に千を殺す。それが俺たち
デビルサマナー、葛葉の召喚師だったはずだ。お前はどうだ?
日の本の守護者の任から解放された気分はどうだ? え? 十六代目様よ。
その剣に葛葉の矜持はあるのか?」

「……黙れ」
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727 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:48:23 ID:PiR9Q05g0

              ∠二_ヽ
             l´>,へ`lト
            ,/ /:::.::|ラ ',
           /  ./:.::.::.| | ',
         /;   /.::.:::.::| |  ',. ____
        ./::::::':;..  i'::.:...::.::| | /      \
        /'::;:::::::::::'::,l!.:::.:::.:..:l! /.( ●)  (●)\        言葉は不要ってか。じゃ、抜きな。
       ;!  '::;::::::::::::l:.:.:....:...:.l!. :.(トェェェェェェェェイ)....\
       l.   ''::;;/\:.::.:..:.:.i!. \ェェェェェ/   |       葛葉の使命を忘れた男のお手並みを見せてもらおうじゃねえか。
        |:.:..  /   \:::.:.:.:!.           /
       :!::::./      . \::.::゙:、    /   i
        ゙く          \:.:.゙:、 (⌒)   ./
      .   ` 、          \::゙:.、ノ ~.レ-r┐
            `゙ ‐-  .,,__   _,,.>__ | .| ト、
                    ̄〈 ̄   `-Lλ_レ
                       ̄`ー‐---‐





                             \、ト、
                          ヽ乂_ノ::}:::〉、__ノ{
                        __ ノ:::::::::::::::/::::::::⌒ヽ
                     ー‐ァチ:::::::::::::::::::::::::::::::::⌒≧x
                      /::/::::/::::::::::::::::::::::::::::く⌒
                          /:::::/:::::::/:::::: /:::::::::/:::::::::::::::\
                   _「_\ /:::::::/:::/::/:::::::::/::::|:::::::::::::l「`
                 ┌¬,’ '尓::/:::イ::/::::::/}八トヘ::::::::|
                ┌ _⌒    犲l  /:: イ 弋zソ :|:从ァ〟, _           ……確かに俺は歴代でも最悪の
              _ =ニ气      {ム.    |:  ` ̄ ,リ_ノ    / "'' ァ〟,
              , 气ョ_㍉从_   /≧- _  i:.   メ /l         ノ   i     雷堂だろうさ。だが、それでも……
           , l| l  ,lx '′x个=ゥ'/    丁T ┬ ∠ノ /    // ≦、  |
        , l| l  , r'′ ,x仝く 〈 l   ,x<二>    丁T =≦仝=≦、⌒ l|      俺には護るべき人々がいる。
     , l| l  , r'′  ,x仝ェ__   从r≦──‐く           ̄ミ 、 \  ll
    /l  , r'′  ,xく    __  /  r' ̄「 ̄´              〕   ll      場所が変わろうと、上が変わろうと、
     |, '′  ,xく __    __≧rf   ノ/´{⌒}__                 〃
       ,xく( ___≧=干 ̄  从 /  / ̄  ]〕lト ,,           イ        護るべきものは決して変わらん!
      / x=干 ̄         {  \イ厂       「       〕lト--=====彡ll
        ||                \ 少'll      \\           ll         去ね、古き者!
        ll                \ |l          冫 丶         ll
      从_         ○ ○__,八           〉li|            ll
          ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    人\          li|:           ll
                     /  \         ,/i|         ||

728 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:49:07 ID:PiR9Q05g0

                    /               丶_
                   /     . . . . . . . . . .       ヽ_
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                    |ハ:.:.!.i!、yz==x ヽ|:.イら゚v テゞ:.:.:/.:.:.:.:.:.ゝ,´
                /i!∧:.,.く乂゚v_j 、_{N `¨ ´ .ii:.:./!エ}、:.:.:.:.:.:.≧=-イ_        お話は終わりかしら?
            、__ /:.:.〉:∧:.,!!    _ノ⌒乂_ _ .´|:/:.|:.:.:.:.:|≧=-―― ´
.          ≧s。:.:.:.>.イi!}ゝ`:. ー ´  ′     /:.:.:|:.:.:.:.:|                それでは、我が召喚師を侮辱した報い、
             ̄  ./:.:.:|!:.:.:|:.:ゝ    ー-  ´   .イ{:.:.:.|:.:.:.:.:.,
           /⌒ー==-:}:!:.:.!-/´≧s。_   </}:.:!:.:..i!.:.:.:.:.:.,                受けていただくとしましょう。
     /⌒> ´. : ::|     /:.:!:.:|/ /:i:/i:i:‐-┐Y¨二iト、:.:.:.ト、:.:.:.:.:.,
  _>´      丶. :!    ./:.:.:|:./ /|:i:i:i:i:i:i:ゝ !.//_ノ∧|:.:./、:.:.:.:.:.:.:.,
/     \ \ ∨i!   /:.:.:.:i/ |..|:i:i:i:i:i:ir‐‐‐‐‐┐:i:,i!:.:| ≧s。_:.,
 ‐- ..._     \.ヽ∨  ./:.:.:/|  |..ト:i:i:i:i:i:}|三三] !:i:i:}:.:.!       .〉.,
     ¨ー ..._   ー丶 /:.:./ ∧ !..∨-‐´ ̄ ̄ ̄´ヽ:iハ:.:i      /:.:.:.,
: : : : : :__,   ≧‐- ∨:.:/   ヽ|....>⌒>|   | ヽ  >}:.:.,    イ:.:.:.:.:.:.,
、, ≦     /:.:.:.:.:.:.|/:.:/       |<  ./ーs_ノ⌒y´ ヽ:.:.:,/ /:.:.:.:.:.:.:.:.,
、.      /:.:.:.:.:./:.i.:.:/ / .    |...ヽ//⌒)|/  厂)_ノヽ:.:.,  iト、:.:.:.:.:.:.:.:.,
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ヽ _/.:.:.:.:.:.::/:.:.:.イ:人:.{ |       ∨............丶i:|||:i:i:i:i:i:/.....}☆.、:.:.丶:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,
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イト、=‐ ___,  ィ⌒¬ノ | ´ ヽ: : : : : : : : :∨................................./  |:.:.:.:.:.):.,:.:.:.:.:.:.:.:.:.,

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それから、葛葉狂死と葛葉雷堂の戦いは優に五時間を超えた。
二体の強大な悪魔を以ってしても、葛葉狂死倒すには至らず、
またその尋常ならざる強さでも、狂死が雷堂を打ち倒すことはできなかった。

これが葛葉のサマナー。
隣で見ていたメイヴはただただ唖然とするばかりだった。

平安から続く日の本の守護者は伊達ではなかった。
喜留夫が一蹴に伏されたのも納得が行く。
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729 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:52:38 ID:PiR9Q05g0

            ,  '´ ,. 、
            '      ゙!
            /,       j}
        ,. --//     〃 ,、、
    /_      ヽ    //イ  ゝ                ぐっは!
   /ェ  ェr       l/ //  人「   ⌒i;
   /{ェ ェ/     /  / ィ´       !|
   i ヽェ/ ....::.      _,ノ‐-、、 厂了 ,!リ
  !  ..:::::::::::::::.          `く   ノ //,
   `ー-r-、:::::               i/ イ//
    _/ _,.ゞ           `ヾ//
    `ヽ''´   \          // ┐
          \      //"-‐、|
            ` ー≠ィ彡彡"
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::::::::::/!..:..i / Y/../==¨ ̄下三ミメ}iii{_ > .\
:::::::/:::|..:..| ヽ /イ      {i! γ=≠≦_..:..:..:..:.\
::::/::::::|7::j  ij     彡ィ 人 ( ・c)Ⅶ_.<..:..:..:..\
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: : :::;',イ /  u    _     〃  ̄ ̄下ミ ,≧´..:..:._.-=ニ::癶            くっ……
:: :::;'  ,'              ....::::: / /≧テメ≦≧x彡ニ ヲ::\
:::::从 ,'     ..:_ -―、   .:}   /:: / .爪 ( ・c) く ̄ ヾУ:..:..:. \
::∧ }!     <_ーミメ \   ,,ィ<_ノ    ヾ;、ー''  }》 ./..:..:..:..:./..:..\
:::::::} :||       ヽ .\\\   ̄       __ミ=="/..:..:..:..:..:;..'..:..:..:./ \
:::::::| :||       ヽ \ \\\       u 彡ハ /..:_..:..:..:..:,.:'..:..:..:..:/}::.:.::.
:::::::|:从        \ \ \У ノ   u    -=≦イ /..:..:.,ィ..:..:..:..:〃 リ..:..:.
:::: //.∧          ,ヽィ'         , .<イ .ィ..:..://..:..:../  ,'..:..:..
::://./ .ゝ            u    _,.<_ェ.イ/../ ,'..:../   /..:./
: |.| :|    > .      _ , .   <  /   -=彡″ /./.    /./

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両者が膝を突いたのは、ほぼ同時だった。
互いに血まみれになり、最早余力が残っているようには見えなかった。

「雷堂っ!」

スカアハが雷堂に駆け寄るが、スカアハ自身も決して軽くはない傷を負っており、
その足取りは確かではなかった。

「げほっ……今回はここまでにしておいてやる。
だがな、忘れんなよ小僧。お前の誇りは欠けている。いつかそれを砕く奴が
現れる。その日まで、精々研鑽を忘れんことだ」

葛葉狂死はそう吐き捨て、葛葉雷堂に背を向けた。
ぼろぼろになった葛葉狂死に肩を貸す。

「勘違いしないことね」

「はっ、勘違いしようがあるかよ。とにかく、これでこの体で俺のやれることは終わった。
後はお前らの好きにするんだな。あばよ、一時とはいえ誉れある葛葉のサマナー
の仲魔だった女」

息も絶え絶えに言い切ったと思えば、葛葉狂死は脱力し、メイヴに寄り掛かってきた。
既に、葛葉矜持の魂はそこにはいなかった。
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730 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:52:52 ID:PiR9Q05g0

       
        iiiiiiii
     ___]|||{__
   /   ∨  ヽ
  /   ヾフ__ヾフヽ
/     (___)  丶
|    __,-―'´   `ー< .}
|  /   (●)  (●) | |
i  {     トェェェェェェィ i |       コッケー!
 、.\   ヽェェェェェノ ノノ
  >>ー――――‐´<、
 / ー― <      r ヽ
ノ       )     l   /
{ ソソソソソ/''´     l ,/|
≧、ソ/          | ソソj
三¨{            |_/
 ヾ|           |
  ヽ   ____ ノ
    ヾソ ̄ ̄´ヾソ
     kチ    kチ

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その頃、喜留夫は鶏になっていた。
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731 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:53:03 ID:PiR9Q05g0

〜その後〜
            ____   _____
           /      \/        \       ‐-、
     、-‐   / u              u  \   ___,ノ-、
   、- !、,__/(@ )ilil(@ )  彡 u ( @)ilil( @)ヽ    ___,ノ      なんで!? なんで事務所がこんな汚れてんの!?
   !、,___ lu (トェェェェェェェェイ      (トェェェェェェェェイ |
        \ !!il|!|!l|!!ii|i  u彡    !!il|!|!l|!!ii|iu/             それにカップ麺まみれだし! ひっでえ!
         / ヽェェェェェ/          ヽェェェェェ/ ヽ
                                         〜また次回〜

732名無し-Red-市民-2:2018/08/01(水) 22:57:01 ID:4WyglO8w0
乙でした。
キル夫は災難だったなぁw
でもなるほどなぁ、とも思わされる回だった。

733名無し-Red-市民-2:2018/08/01(水) 23:15:10 ID:EL7dXfC.0
おつおつ

734名無し-Red-市民-2:2018/08/02(木) 00:24:40 ID:TtdPKYpU0
おつおつ
葛葉最低ですよ!

735名無し-Red-市民-2:2018/08/02(木) 01:04:10 ID:frjwJ8rQ0
キル夫はけだものフレンズなのか

736名無し-Red-市民-2:2018/08/02(木) 01:43:05 ID:EzWdTu9.0

ライドウと互角!?と思ったが十四代目じゃないライドウだったな

737 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 02:25:00 ID:9VK52rQk0
ハロー。早速だけどまたまた書き上がったよ。

今日の午後九時から投下しようと思う。待っててブラザー。

738 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 22:08:09 ID:9VK52rQk0
すまない、今帰ってきた!

これかr投下よー。

739名無し-Red-市民-2:2018/08/03(金) 22:25:47 ID:j0uD2t2Y0
はーい

740 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:21:51 ID:9VK52rQk0
待たせたね、飯風呂済ませてきてた。

今回は別視点のお話よー。

741 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:22:02 ID:9VK52rQk0

┌──────────────────┐
│                           .│
│   第十五話『少年サマナー奮闘記』    .│
│                           .│
└──────────────────┘

742 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:23:59 ID:9VK52rQk0

                             ,
                ハ、       /'i
                   |: :ヾ.       ,':/: :!  __,
             ト、_i: ;、: ;ヽ   ,':/メィ;!,ィ'  /
              ヽ  厶 ゙' メ:.゙、ー‐,':,ゞ` 'ゝ ,/
                  7 ゞ, ,ィ"´¨⌒´¨`ヾ、メ.  〉_
             ,.―‐ヽ、''/.: :: :: ::  :: :: :: :.ヽ/  `ヽ,
            Y   ノ.:: .:: .: ;:   :: i:. :: :. ∨  i´
          /ヽ、.∠,.: : ::, .:ノ!i:  .::i,.゙、:、:.、.i  ノ:.`ヽ.
         /.: :: ::/ヽ.ヘi.:ィ≠=メ|:.ノ!ノ iノ:.ノリ´ヽ::::. ::.\          いやー、今日は絶好の昼寝日和ですねえ。
        ,:′.: .: ./  >'. 弋:リ '´ '‐='!':.゙ゝ  ヽ::. ::.. ヽ.
         /.: .:: ::/   `ー'!:ハ ¨ __'_ ¨ノ::i'´    ヘ:i:. :.、:.ヽ        天照大神のご機嫌もたいそうよろしゅうと
      /,ィ: ::: /     ノ.::::>_ゝ_.'.ィ´|::ハ      リヘ ::iヽ:i
       /ハ: ;i:,′     i .:::ノメ \/ゝリ:: }    '′ ソ.ノ .リ        存じ上げます。これで参拝客からの
     '´_メ ̄`ヽ、   , ´ヽ:〈_,`ヽ(Oゝー'_ノ-、     '´  '´
  ,ィ==/彡'三ミヽ、\.ト'、 _,_'_,ィ=ェ、 Y ,ィ=、_ヽ. 丶.   、.、ー-、         お揚げのお供えとかあったら最高なんですがねー。
 イ'三彡'三三三三ミヽ.\゙シ'二二、゛У彡==゙キ、.メ=!  ヽ:゙: : :ヽ.
 |三彡'三三三三三三ミヽ∨.:.:.:.:.:.:ヽ' ,ィ彡三ミメ'"¨´ ̄i_  i: : : : : ゙、
 レ彡'三三三三三三三ミヽ!ー‐‐'´三ゞ‐--、ノ.:´ ̄ ̄:.:.:〉 l: : : : : : :ヽ.
 ∨三三三三三三三三ミ∧三三,ゝく三三/.:.:.:.:.:.:.:.:.:./.ノ: : : : : : : : :゙.
.  ∨三三三三三三三三'/.:|ー―ゝ‐'ー―‐!:.:.:.:.:.:.:.:.:.ム'、: : : : : : : : : : : i
  ∧三三三三三三三/;.:.i三三三三三三、:.:.:.:.:.:.:.:.}ミ=\: : : : : : : : : !
  /.:.:ーヽ三三三三 /:.!:.:.:.〉:.:/__`゙v'´`v:.:.:.:.!、:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽヾ;=;、: : : : :ノ
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 |:.:.:.:.:.:.:./ i:.:.:.:.:.:.:.:.:./.ゝ,ー=┐:.:.:L!:.:.L!:.:.:.:i彡i'´ V):.:.:.:.:.:.:.:./三三ミミヽ'
 l:.:.:.:.:/  i:.:.:.:.:.:.:./ メイ `!ー‐―.:.:.ー‐‐'.:./  i:.゙):.:.:.:./三三三三ミノ 〉
 ヘ:.:./   .i:.:.:.:.:/  (.::!  l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/   !:.)_;ィ彡三三三三//
  V    i:.:./   メ.::!   !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,′   !::ヽ三三三三彡' /
       レ'    /.:":i!   !:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.i    i::::.i!三彡',ニニ-'´
【神獣ウカノミタマ Lv55】

743 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:24:19 ID:9VK52rQk0


              __    .ィ≦{
            <.....゙`<三三三{
         _.=-━>、ヾ...\、三三}-‐:ァ
         >=-/.:.:.:.ゞ_\..)\三{:i:i:{
        /...ケ‐-/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.ノ:.V:i:i:iリ
      ∠=-―W,'.i:.:.:.、:.:.:i:.ト.:.、:.、ヽ!ノ:i:/、                 ええそうですよ、私の祠は寂れに寂れておりますとも。
              j:.{:.:.:.ハ:.:.lリ||ト:.:.i:.ゞWy:.:.:.:}
             ノイ:Vリ!|lV, ||||!リイ:.:.>{:.:,:.:.j                 参拝客は今日もゼロ。管理人もおらず、こうして稲荷に化けて
          ´/.:.ノィ:ゝ,._r‐ュィ|:.rヾ、!イ:./、
              ,'.:.:.:.:ハト:.{ 又oノ'′i  レ,' ヽ                待てど暮らせど誰も来ない。来ても不良が煙草を吹かすくらい。
            ,:.:.:.i:.{  `i` Y  y__j___!ニニス,ィ=-、   >=━―<
             {:.:/∨  rー=f三ミ彡{====={ラ仝、ニ‘,/ . : : : : : : : : : :`:>: .、
             レ'   <二弋_::::{ 」二二二{彡'ヘ三\: : : : : : : : : : : : : : : : : : :.、
              〈.::::::::::::/¨ヾ):::::::::::::::::〉彡':::::{il{>=、、: : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ.______ノレ!;
              「.::::::::::::)  {::::::::::::::::‘,::::::::ノ/´(_)ヾ、: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :フ
              /∧::::::::::|  |:∧::::::::::::::,::>'´   | ゙} !≧=―-------------.: : : : : /
                /::∨.::::::::::| /!:∨:::::::::::::::Y´ ̄ `ヽ. j!!リ ノ彡<三`ヽ三 >=-、三三≧=- ._
           /.:/i::::::::::::::::|':i:i/::∧:::::::::::::::‘,:i:i:i:i-‐━‐<_:i:i:i:i:i\ニ><ヽ.ニニニ\三三三三三≧=-._
          /.::::/il|::::::::::::::::゚!:/.::/ili{:::::::::::::::::‘,:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i: ̄ ̄´:i:i:i:i:i:i:`<、_三三ヽ三三三三三三三≧:.
            \:::/ilill|:::::::::::::::::/.::/illili|:::::::::::::::::::‘,:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i〃-、=/  `ヽ三三三三三三>、
          ∠ヽ)Y(|::::::::::::/〈\)Y(|:::::::::::::::::/〉 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`¨¨^¨`ー'´      \>’´ ̄   ̄``
           ーレ!テ¨¨¨´   77┬,-,―――'´
                    ´レレ ´

744 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:24:38 ID:9VK52rQk0

           /::::::::::::::::::::::...            //{
        {:::::::::::::::::::::::::::::ヽ         / ./ l
         ヽ:::::::::::::::::::::::::::::ヽ       / ./  |.    /{
          ヽ:::::::::::::::::::::::::::ト、    / ./  .| ,. // i
              }:::::::::::::::::::::::::}:.:`Y´/ ./マ`ーv' レァ, /  i|
       ,ィ"´ ノ::::::::::::::::::::,.ィ ´  ̄/  /ォ'    く /ィレム
       .>、:.:.:.:.`ヾ;,;,:.:.:/     {,.ィ’-‐ "´ ̄ ̄ ヽ..__く
      ,..ィ ´ ヽ:.:.:.:.:.;/7 ',   ,.ィ´               ヾ'
  ,..ィ ´   ,..' |:.:.:./:.:,:.'  ヽ./     ,.     ヽ.、    }
         !/: : : :!   /      ,.ィ   イ|ト、|| |ヾ  ,' ;
      ,..ィ  / ``y-:、l   ̄フ  //__,.イ | ||  ト、」/  /;
   ./ //   /  .,  ',∠,,.イ´     l -===-/ /;        ギャーッ! 鳥のフン!? ピンポイントでなぜ私の頭に!
  .ヘ       /   ゝ ヽ. /   ,   ヽ._'.、u   '.イ、;
   ヽ      {.ィ  / ヽ.  ノ.ィ'      ノr― ¬  } ;         おたまが何をしたというのですか!
      ヽ       |γ´ `ヽ..二´i|   /`ー ´' |   | /
      ヽ    /    ヽ  i!  ./       |   |ノ           あー、一旦変化解除して……って、なんてタイミングで来客!?
  /`ヽ レ'彡"´  ̄  `゛ヽ   |  ,r ´ `i゛.―|   |
  ::::::::::::::::/   ,.ィヽ.     /   !  .レリ'7`ヽ.└‐‐ ┘            不良なんだろなー! 煙草吹かしてポイ捨てしてくんだろなー!
  :::::::::::::::{  /   ヽ. / `ヽ ', /ノ /  ,ィレ'  _ ;
  ::::::::∠:::::/     ィ彡V .、  } `ヽ ノ ィ彡" ̄  /;
  γ´ {!i|::::{. ,     i:::::ヽ. \   ヾ'⌒ヽ.ィ´ ̄ 7;
   {:::マヾ:::ヲ′    l:::::::::::ヽ \,ィf  /    { ;
   ヽ:::ヽ::/      |:::::::::::::::::ヽ \_,.イ     i|

745 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:25:23 ID:9VK52rQk0

                      _, -ー‐ ー- ._
              _, r= ´          \
              ̄`フ´     i        ヽ
              〃    /  ム  、       ト、__,
              ! i:    |! ! ./_ヽ  }} ! i:    ハ¨
                | . {;   ム l A彡ヘ リ } }: 、    }
                | :小 l/ lAl三  ∨\ヽ` }l!  } |
                レ! ∧j _,ノ三三ュzwx彡、 l! ハli. /`'  、           へえ、こんなところに神社あったんだ。
               jハ lミモツ¨   !|`‐--、 Ⅵj リ|l !  〉 〉
.                  Ⅵ|、  ヽ !|`ー-、.\=彡^ソ●y'´           折角だしお参りしとこっかな。
                  _,≧> .   !|/´/ ̄l、ヽ 三 ●
                  ∠ 三三三≧´ ./  /l l\\  ./
          弋‐-、___`マ彡"_/ ,イ´ 〉\∨`メ
            \ `ゞマ彡" / _/    /   /
           _, -≧‐ 、∀_l¨ /       .!  } |
         ‐=二´____三Y、 ̄ミー、  ィ  /___l
              r-へ `ミ≧_」  /<二/´ _!
             /  人___ヲ┘   / /フ〈.|
              _/  /´ /   〉`ー--=/ ∧\ィ
           /|  / /. _/   リ  { { ヽ. 1
          // . / /  /   _/   ', ヽ、 ヽ!

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
小学校の帰り道、気分を変えて違う道で家へと向かっていると、
小さな祠を見つけた。

本当に小さな祠だった。隣にちょこんと石の稲荷像と手水舎が添えられている。

ふと気づくと、稲荷像の頭の部分にべったりと何かが垂れているのが見えた。

「げ、鳥のフンだ。ばっちい鳥もいたもんだなあ」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

746 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:25:47 ID:9VK52rQk0

                     _
                 __.\ `ヽ、  __
              ,. '´   . ̄   `'´.__/
                ,.'´               ̄ ̄`ヽ、
          ,.'´                     `、
        /    _,..-'''" ̄ ̄"'''- .._        `、
       /   ,.'" -‐‐、        `丶、      `、
      ./  /./    ノ        .r''´ ̄ ヽヽ     .`、
       ./   //    ./         |     ヽ`、      `、
     /   /人___,..'´ _,..-―‐、   ヽ     .ヽヽ       `、
    ./ ,ィ |'    _,..''"      \   `、    `、`、     .l
    .|/ | . | ,r―'''´           .\   ヽ __ノ .`、   ..|       ちょうど傍に水あるし、流しとくか。
        | . |/    .∧          \____     |    |
        |  |     ./ .`、        .lヽ    `ヽ、  l   .|ヽ|       別に僕が掃除する必要はないんだけど。
        |  |   ./‐‐-`、 、     /ヽ . | `、      .`、 |  ..|
        |/|   / r‐‐-.、ヽ|ヽ .   l ̄.ヽ| ̄ `、     r'´ヽ . |
         .|,イ /、 .|.lリ   ヽ  `、 .|.r‐‐-、   ヽl、  //{~)|.∧|
         .//|/ `.ヽ   | .   `、.|.|.lリ  ヽ    \/( .ノ//
       //    l   ̄         ヽ    |     .//
        |.|    ヽ    ,      ――'  ./ ̄ ./`ヽ
        |.`ヽ、    ヽ                 /./   /\ .\
       ヽ ヽヽ、   |>、 ―-、      /l/    |、 .\ .\     ザバー
          .`、 .`、 `ヽ..| 、  ヽ __ ,   '´/     .| \  \ .\
         ヽ lヽ...ヽl ヽ  |     ./  ___.ノ   \  \ .\





            __       ,.へ           っ っ つ
           / : \  _   /: : : :ー‐ 、      _
        r ー': : : : : :\}:::\/: :ハ : : : : : ',  ,.ィ::::::::::/  っ つ
        i: : : : : : } >r:.ヘ::::/: :/  ヽ: : : : :.'r.::::::::::::::::/
          .|: : : : : /> ´  ̄ ̄  `ヽ}\: : :i::::::::::::::::〈
          .| : : : :/             ヽ \:{::::::::::::/、
          .|: : : /   ./    i       ', ',::::::::/: : : :\
        j: : /}   {    .i!      乂 }:::::::',: : : r― `
        }/ ノ / /|    i |_メ ..ィ    >:::::::〉<        ィ
         ∠..ィ__ノ j∧ ト、{ ≦zzー―≦.,-- ''  \     /: {          ちべたっ!
           / ', ==ァ ヽ{   ' ' ' }   ∨  ',    \ ,.ィ: :´ : : :レイ
        、 __ノ  } / /^ヽ   /   乂  ',     \ : : : : : : : /        あ、でも暑いから冷たいの気持ちいいかも?
      _ >ー.ァ八' ' ' .} / jヘ ∠.ィ   i⌒  .',    ', ヽ: : : : : /
       ̄`ヽ/ ./  ヽ  V   }  r.}   { ./: ',    マ⌒ : : : : i
       /  ./   ハ{>  -== ≦//.|  N ./: : : :i      ', : : : : : :|
     ./   ハ { i     // -、  ,  ノ__/ : : : :.}      , : : : : : |
    /    / ヽト. {  .r ≦/乂_ノ..ィ//  `マ : : :!  .iヽ  ',.: : : : :|
    //j/     ヾ / .ィ<//>'___.i     } : : |  .N: : \ ',: : : : |
    /      .rー、 >:::ヘ/,.ィ:::::::::::::::j,.ィfニニニミ、/ : : : : :\{ : : : :
      r≦ミ<}  ム_ \::/::, ⌒ヽィ 二二二≧ 、::::::::::〉: : : : : : : : : : : |
    ////\\  /: :`ヽ/ノ ////////////{ ̄/ヽ : : : : : : : : : :.
    /: : \///\\――‐.}////>.: ´: : : ',:`ヽ-'-、/ : : : : : : : : :/

747 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:26:01 ID:9VK52rQk0

                   ト、
      X       / }     |、\
     ./        ,:'/  |      | |. \  ,.. --─ァ
    ┼       //  |      | |.  ∨::::::::::::/
       「\ .//    |__,.r‐-、」 /    |__:::::/}
       |::::::::Σ}  ,. - ''"´ ̄ ̄ ̄`'' <r':::::::::/
       |:::::::`くア´             \/、
       |:::::::/       /    ,   |  ヽ. ∨::\
       ヽ:/   /  / .|   /ト、__/|     、|::::::::::`':: ー-
       ∠.,  ,'  / イ∧ /、」__,ハ /  \::::::::::::::::::: |
       /:::;|  | /、_,,.= ∨    ̄xxレ' ̄| ̄「ヽ:::::::::::: <           うーん、これは中々のイケメン魂、略してイケ魂……
     |::/::| ,' ハxx         (\| 八 /:::r‐<´ ̄ `
    r::'´:::::/∠.イ /)  lァ ̄ ヽ  〉 ∨ ., \/   `' 、            成長したら立派な大和男児になりそうな予感もします!
    ヽ::::∠... イ|/ ,{.、  、   ノ ,'  | /---> 、    \
     />-‐ァ' {  、|>,、    ,. イ  〈/ヘ、∠_   ヽ.             逆光源氏、アリですねえ……
     ,'    / ,rヘ   )ソ ‐`7´ /\ //:::\`ヽ.   ',    |
      {    { /::、 \ イ\ /|./ ///:::::::::::::::\,ハ 、| ./|/       ト、
     \__/ア::::::\ \ _/.(o/ / /::::::::::::::::::::::::;>‐へ、レ'        ノ ハ
    r//:::::::::::::::::::ヽ }/ ̄   | {::::::::::::::::::::/  /  Y   ,.. -‐ ''"    | ) )
    / /:::::::::::::::::::::::::|/ / _,,.. -ヘ、\::::::::::::/  /   /| /       /
   { /:::::::::::/::::::::/}::`Y´:::::::;::::::::\ }::/\|      { ∨        /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「うわ、そこら中に吸い殻が……誰か掃除する人いないのかな?
いないんだろうな」

毒食らわば皿まで、というわけでもないが、一度始めたことを中途半端にする
のも気持ちが悪かったため、吸い殻拾いもやっておいた。
落ちていたレジ袋に吸い殻を拾い集め、ひとまとめにする。

ついでに十円玉を賽銭箱に入れておいた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

748 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:26:14 ID:9VK52rQk0

       ト、  }:i:i:i:i:i:i:≧x        ィi   >f:i:i:|
       i \/:i:i:i:i:i:i:i、:i:i:i:\   > / |>f:i:i:i:i:i:i:i:i|
       } }   \:i:i> ´ ̄ >   ,イ }:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:{
       xX',  /       `ヽ. / 爻:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i八
      爻 ',./  /         \ 爻:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i/
        爻./   :      i!     V マ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i/
         i   i  .!   i!      ∨ }:i:i:i:i:i:i:i/
              _/|_  |  _.ハ__     \:i:i:i:i:/´\
          / ´/__| `   / __\`   \⌒\:/:、  \
       ∠__ ィマ~沁ノi/" v沁ア 丁 ̄「イ: : : : : : : .< ヽ
         } .ハ::.:. ,   .::.:.: ノ /   V: : : : : : : : : : :` <\
         /ィ从        7  i\∨: : : : : : : : : : : : : \\
           /:.|   .、`  ´   ィ   { }: : : \: : : : :\_: :イ  \   __
        /: : !   |: ><、_彡| / }_ー ⌒\: : :/\        \  ⌒ヽ  <
       .ー⌒|   | |ーイ .}0_ j//´    、     ̄    、    \ \   .|   \
          |  | |__/-''´ / /i      ∨        \     \ ヽ  }    \
        / ',  ト{ー、 ,-{  / !      V           \       ∨      ',
       /   \!     \{  |      '               、       ,      ',
     /   /|   j  ,     i!   _/_}_              \    ,
        __r =ニ| >' ノ   __ 斗=ニ//////             ∧
   ./   マ、\ /  ' ,.ィf>__j_ -―━━ ミ            / ',   }       }
  / /   _寸./  /,ィ.> __{_   -- ―――'┐     -――        ,           }
   /   |≧i≧、.//./:.:|: : : : : : : : : : : : : : :/   ´               |  .'
 |  ′   }`'<ニ/ニ' /: : : :{: : : : : : : : : : : : ://                  | /
 | ', {    八: : :.<{_/: : : : : : У: : : : : : : : :.イ! ,                     } /
 |  ミ=-   ≧=-==---=≦ハ:__: : : : : : :.{彡|/_              /
 ',  |      \: :寸ニニニ //∧: : : : : {彡^: : : : =-- __
  \{       /: : : \ニニ.////∧: : : : V: : : : : : : : : }ニ}`''<=-_
         ∧: : : : : マー{/////∧: : : :∨: : : : : : :.:/ニ,   \ニ=-            /
        .//∧: : : : : V/{//////,}: : : : :∨: : : : : :/ニ/`ヽ    ヽ<=- _        /
        ////∧: : : : :/: |////'/: : : : : :.∨: : :.// \ \   ',: :\=\     /
       〃/////: : : :./: : |'///: : : : : :\: :∨: {/|    ーt ^)   ',: : V、== 、_彡__
      ∧,'////: : : : :i!: : :}/: : : : : :: : : : :\:}/: : |     「 ハ  ',: : ∨\ニニニニ==
     ./: : ∨/: : : : : :|: :.∧: : : : : : : : : : : : : :\: : :|       |  }  }: : :.∨=',ニニニニニ
     /: : : :/∧: : : : : : :!://∧: : : : : : : : : : : : : : : ヽ:|      V ノ  ノ:V: : ∨=',ニニニニニ
    ./: : :///∧: : : : : :|:{'//∧: : : : : : : : : : : : : : : : \     (^)/:i:i:i:|: : :.:}==.',ニニニニニ

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そして帰宅後、狐耳の美女が三つ指を突いていた。
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749 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:26:25 ID:9VK52rQk0

                         ┌──────┐
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                         └──────┘

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                             │ :: │
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                               └┘

                                   □

                               ・

750 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:26:40 ID:9VK52rQk0

                ,ィ,
                .v': i.              .,
               ノ: : ヘ.            /(
               i: : : i:ヽ.          /:.:./´
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  ハ       ト、   -=, ゙ 人: : ゙、  ,ィ'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:)
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  ヘ: :ヽ: `.ー-.、 〈:.:.,.-`‐.v'-―-、i: : :.トく`´ ̄`ー、'′,-――,-
   ヘ:-=ヽ: : : :`>'.:  ,     `ヽ、i:. ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ __./´
     >廴.`ヽy'.:::   /:. 、.    、.  ヽ .゛、:.:.:.:.:.:.:.:(.. .`ヽ、
     ∠, '' ./.::::   :i::::. . :ト、、  ヽ、 `ヽ、.:∨:.:.:.:.:.:.:`7:::... `ヽー=...__ ,
      '´j,_ノ:;:::: .: :;|:::::.:. :}__心_ト、、ー、ノ::∨:.:.:.:.:.:.(:::::::::::.....  `ヽ‐'´
      ー=..イ::: .:: ,'_/'!:::::::i:i´,二、ヾ`iヾ、 ..`ヽ.i:.:.:.:.:.:.:.メ、:::::::::::::::::......  `ヽ.          というわけで! 頼れるあなたの巫女狐!
      /,:.:.i::::.:::://゙ヽi:.:,イノフん゙`}ヽ:i:::.. .. 、::`ヽ、:.:.:.`i ヽ::::::::::::.、:::::....  ∨
     '⌒ト、:ii、::::,'V/灯ノ '′ 込丿j人::::.. ::...ヽー-=-:.:|   `ヽ、::::ト、::::::::....∨        神獣ウカノミタマ、高天原より参り越してございます!
      ノ:;'´i!:、::i:::ヘ.じ,         ,X::...:::::..`ヽ、:.:.:.:|     ヽ::i ヽ:::::::: |
   ,,'´゙ー/ .::::::::/)!:::人 ` v-‐vフ   , ,.ィ=ヽ::、:::ヾ、ゞ´`    丿ノ  i::::::::;         御傍に置いてくださいね?
 ,'⌒ ./..::::::::; ' ./,::::::::.>、`ー'. - ―く'彡" ̄ヾ、、::::i `ヽ  ー=-‐´ _ノ::::::/
 し ./´ ..:::::::ノ ノイ:::::::::::|  `'´     ー、'三ミiヾ:::|      、__..ノ:::::::/
   i .::;イ::::::,' ´  |::::::::::、! {      ヽ. `ー-゙ノ'リ‐-、     ` ̄ ̄´
   |::,' .|:::::,    !::i!:::::|ヽ 人       `、   ハ  、 ヽ
   ヘ! .ヘ:::i    ヘ:!、:::!   ヽ.      _,.゙ヘ,ヘi  |  i    _______          __,、
    ` `ヽ.    ヽ `ヽ   i `ヽ.   //´  ,〉-、i . ノ  ,ゝ'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`:.`:.ヽ.ー‐'´:.:/i!
                 , '´ ,.--ヽl´/´  /:.:.:.:.:.: ̄`'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:/
                ,ィ'"´____ | |   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::./
                 /,.彡三三三| |   ,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
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               乂:.:.:.:.:.:.:.:./彡i_i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/
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デビルアナライズを起動し、レベルの高さに驚愕する。
喜留夫と同じくらいの強さはある。それなりに高位の悪魔だ。

これほどの強さの悪魔には、喜留夫の仲魔たちくらいしか見たことが
なかった。

「サマナー、コレハダメダ。オレサマタチカチメナシ、ムジョウケンコウフク。
ムケツカイジョウ。アオーン」

慌てて召喚したガルムが首を振る。
もはやこれまでか、と思い目を瞑ると、何かが覆いかぶさってきた。
大きく柔らかい何かが顔に押し付けられ、息が苦しくなる。
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751 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:26:57 ID:9VK52rQk0

       メ゙、
       /;: :ヽ.
        //: : iハ               ,ゝー,.イ
.      //: ;、: i:ヘ. _,         /: /: : i
へ.   ,' ': :_i`ヽィ'´ノ        /: /: : : :,'、
:.:.:.:.\ /:ゞ´ `. ,ゞイー、__==.┐/_:; '人: : ; :/.:.:メ
:.:.:.:.:.:.:.゙/'´,  .:.、メ、.く':.:.:.:.:.:./:,: ゞ`´ ゝ/:/:.:./
:.ヾ、ヽ:.i:´,' ,.、==.、<、´,.:.:.:.:/:,ゝ' メヾ,ィ' ,ノ,: /.:.:`ヽ.
:.:.:.:.:.ヽi:ノ'.:   .::ヽー―‐'‐、ゞ_,、廴フゝ:./.:.:.:.:.:.:.i
冫:.:.:.:./.::     ::::;::::::::::::::::::.ヽ:::::`ヽメ´/:.:.:.:.:.:.:/
:.:.:.:.:.:/.::: /    / i  、:::::::::::::ヽ::...∨,'.:.:.:.:.:.:.(
:.:.:.:./.::/  .::.: /i  il  、  i:. 、  ヽ.:.:.:.:.:.:./
:.:.:/.: '   .::::. / .i  i!  :  i::.  、   ヘ:.,./
:.,'.:    ,.イ ‐メ、、i: i!  ゛:. ト、. `ヽ:. 、ヽ.`ヽ
'.:: __,ィイノ,ィメミミ、`ド、   i  | ∨:.  ∨:.ヾ.∨:.゙ヽ.
メ-'i リ'-ィi行:i:::。!ヾゞ:.  .:ハ:-キ=廴 :::i:.  ト、_゙、::... ヽ、
 |ミi::::.. 八! i!: ー' :j`゙ 乂、.! ィ≠ミ、゙、 、 :i:. :!、:::::::::::::...、         おやおやー? 目なんか瞑ってしまってたら食べちゃうゾ?
 ヘi::::::... 、゙、≠='′  `ヽ!/:i::゚j:iゞハヽ. i、. ! ヽ、::::::::::
  ハ::::: 、:.ヾヽ.     ' ゞ、¨.ノ/、ヾ、!メ ヽ!   `ヽ:::         「アオーン、ニゲロサマナー。オレサマジカンカセグ」
 ,'::::::  i`¨¨` (v ̄`ヽ  ``/i、:.ヽーゝ  (⌒⌒) `
 !:::: i!  ゙ト、   ヽ._ .ノ   ノ::i!:::i¨¨´    \/           冗談の通じない子ですねえ、よしよし、同じイヌ科のよしみ、
 ゝ、 i、 、゙iノ、ヽ.       . </:::リ :i       ____
  メ‐-、 ヾ、ミ.、 ` ァ_' ´  ./::; ' ,'     r┤i三三ミ         仲良くしましょう?
  ,'   ヽ:.i、ヾミ、 ゙iliト、 _i:: i .:ノ   、.  と| |三三三
. i   ヽ トゞ、 ヾミ彡イヾil!!: l ,'`ヽ、/ヽ._. ! !三三三
:゙、!    i`ヾミ、 ○)))彡'!: v 、//彡´/´| |三三三
: : !__ i / , `ミ三彡'  ヽ!ヽ辷彡' /.:.:.:.:| i三三三
二´__`ヽ、/     `ヽ.    `ヽ'.:.:.:.:.:.:.:|/\三三
三三三三ミ,'  ____ヽ.  ,ィ彡三三=、'.:.:.:.:.:.:ヽ三
、 ,      ! ,ノ三三三三ミミヽ彡='¨¨¨¨`゙゙i.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
-―――‐-メ'彡三三三三三ミ彡'   ,==‐.ノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.〈彡'´  ____  `ヽ、/.:.:.:.:.:.:,:':.、:.:.:.:.:.:.:.:.:
:.:.:.:.`ヽ、:.:.:.:.\,ィ´;;;;;;;;;;;;;;;;___ヽ-―`―‐‐/.:.:.:.ヽ.:.:.:.:.:.:.
ー―、___:.:.:.:.:.ヘヽ'.:.:.,ィ´;;;;;;;`ヽ;;;;;;;;;;;;ノ;;;;;i:.、:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:


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史門は頭を撫で繰り回してくるこの悪魔について考えた。
一体何がどうなって、自分の家にこんな悪魔がいるのだろうか。

「ちょ、ちょっと待ってよ。どうしてここにいるの? 異界化もしてないのに」

「どうしてもなにも、私、あなた様の行いを見て決心いたしてございます。
あなたは私の冥加を得るに相応しい御方であるとお見受けしました!
この度は素戔嗚尊ならびに伊邪那岐大神の名の下に、あなたの仲魔
にしていただきたく参上した次第でございます」

「仲魔? あんたが、僕の?」

「ええ!」

ウカノミタマが狐耳をぴこぴこさせながら微笑む。
太陽のような優しく明るい笑みに、史門は胸の内が熱くなるのを感じた。

「ツカレタナ、サマナー」

「そうだね、いきなりすぎて疲れた」

「イヤ、ソッチデハナイ。ツキガミダ」

つきがみ、それはつまり、月の神ということだろうか。

「チガウ。ヒトニトリツキ、ノロイコロシタリスルカミノコトダ」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

752 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:27:25 ID:9VK52rQk0

                /|
              ./ /!          ,. ‐ァ
           ., '  /  |       ./ /´|
           /   ,'  .ト、    r/  /  |
      r─- 、 rト、 | _,. -──-< /   /
      |:::::\Σ ,.>'´        `'< ア─ァ
      ヽ;::::::::`ア    /          ヽ;::::/
       '、:::/  /  ./ /__ /        ∨           「ええと、ウカノミタマさん?」
       r‐‐´:7  ,'   |/ ´|/|  /| ハ__/ l |
      |::::::::/ | l  ./ r==、|/ .|/ |/`ノ  ':、          まま、そこはお気軽に、おたまさん、とでもお呼びくださいな。
     /.〉/ /  |  /| "     , ==t/  ノ、>
   /  /: ̄/  // |    _    "/'| イ:::::\          おまえ、とかでも構いませんとも、ええ。
    | .;':::::::/_,,.イ |  |ト,、 l  `ソ  / ト、\:::、_}、
    | レ'"/´ ././|  |/| \    _,.イ|  | ノ ̄:∧ \
    '、  /|   |/ .八 ヽL,rト`て´ァL_/ ,ハ\/ ',  }
     \|ヽ    ,. -‐\__,>(o/ ∠ イ  ̄`ヽ、 .|  /<´ ̄ ̄`' 、
          /  l      ´          \/ヽ,  `ヽ    ヽ,
      _r-/  /‐-、 / ___      T、   ./|:::::::|7ヽ  }       ',
     「、/\_,.rヘ、:::::::Y´:::::::::::::::`>- 、 / ヽ/./:::::/  ∧/      }
   /\\::∨、 ヽ ̄>''"´ ̄ ̄ ̄ヽ_/ r '" /:::/  ./::::}、     /





                  \
          、___,..-‐'''" ̄ ̄``ヽ、
      ー・、  >            .ヽ、_____丿
        `>´            ヽ /ヽ '-'
       / /     ,'          `ヽ |___
        ̄/     ,'           ヽ<‐‐‐`
        /     |    |、       "'''・ ._        ……狐。もしかして、あのお稲荷さんと関係が?
        |     从 、  |>・'´ ̄ |、 ヽ。「 ̄
      ・ ̄|  ∧.土弍|ヽ ´|ー‐ヾ  .| ヽ、 |`           「ええ、私、あのお稲荷さんです」
        //| .|、 .|、 i:j \ |.ij_,ヾ .|  》ヽ|
       .'´  `、ヽ_| .ー'' 、ヽl   uヽ| ,、|             鳥の糞がついてた?
           .|/| |、        ,.‐'´|`l
            ..ヽ| `ゝ._―- _,..'.|||  .〉、            「冷たくて気持ちよかったですー」
             |~``ヽ   ̄|二彡.||ヽ /./‐ヽ、
              ヽ|.| |  , '.ー‐'''丿ヽ_/``ヽ、~ヽ、
             /<ソ| `-'    .).|      `ヽ .~.|

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なんとも奇特な話があったものだ。鶴の恩返しならいざ知らず、
狐の恩返しと来たものだ。

「ささ、COMPとやらをお出しくださいませ。早速契約の儀といたしましょう!
私と契約していただければ無病息災、五穀豊穣、六根清浄でございますよ?」

ずずいとウカノミタマが身を乗り出す。
胸元が露わになり、谷間が視界に入ってきて、史門は狼狽えた。

「分かった、分かったから、離れて」

腕に装着したCOMPを出し、契約画面へと移行する。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

753 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:27:37 ID:9VK52rQk0

                             ./^,{    _
                    }`<  |\       / / .i ,.ィ:i:i:i:/
                ^ 、 \}:i:i:i\     / /  {´:i:i:i:i:i:/
                   i ヽ \:i:i:i:i\_../ {ィィx:i:i:i:i:ir'
                  _{ x \ \> ┴┴ ア  メ:i:i:iリ-―,
                {: : メ   ./       \ メ:イ: : : /
                Y: メ  /   ./       \}: : : :乙
                乂: :y' ./  {    i      _\⌒
                     ゝ/ /   ハ    ハ     \  \
                   ∠∠.ィ  ィzミ、/ ィf=ミ <__ト、!   \
               /  / }/∧vソ ,  v:ソ/ィ   |  \    、  }\         では、これより私はご主人様の守護神なれば!
              /  /  ノ  ゝ 、 ,  ィ  |ヽ!    \    \  ∨i
            /  _/__   ⌒i  }> <ハ.|  |      \    ヽ  レi       天上天下、三千世界の災厄より
             _/___{_ `ミ、\ / ヽト{、./´  / .ノ- 、      \    、 ′
           {: : : : : : : ミ、 マハ} _ノ   `ー ´ {/´   V    /  \   .∨        貴方様をお守りいたしますとも!
             Y: : /: : : : ヽr<_   y ´      、  __V≦彡       \   ∨
           _ノ: /iヽ: : : : r{二`ヽミ、 / ,.ィ=== Yム≦>--┴-、        \ V        
      __/: : : {//∧: :.八: : :`ヽ `ヾイ'"´ _く/  -―― 、/        {\}
    /´: : :>≦: : :.\//}: : : :}≧=--.<,ィf彡. : :.</: : : : : : : : : :ソ      /
 rト、ノ: : 「: : ̄ ̄: : アニニニミ、レリ、ニヘ/ゝ--=≦/: : : : : : : : : :イ       /ィ
 V: : : : : {: : : : : :/ニニ,ィ==ミ、rヘミ{(__)}===ニ/::ゝ-- r彡: : : :.ト,\       /
  i: : : : : :}: : : /ニニニニ〃ソ:.乂/////\//,ム//∧リ: : : : : : :|//ヽ\_ --′
  乂:_:_:.ノ:イ/ニニ./ニニ{/: : : く-,::≧=--- へ  .ノ: : : : : : : {///ヽ:.\: : : : : :\
    乂: :/ニニニ/ニニ/{: : : : : : /:::/!::(: :}::} : : : :/´: { : : : : : : :  ̄彡乂: : : :_:_:_:/
      ./ニニニ{ィ≦rく::\: : : /::::/:.|:::::|: : : : : :/: __:、: : : :彡: : :/ニニニ=-_    _

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こうして、神獣ウカノミタマが仲魔となった。

後で喜留夫に相談してみたところ、「あー、稀にそういうケースもあるんだ。
高位の悪魔が人間を気に入って勝手に仲魔になるってやつ。
ま、そういうのは諦めが肝心だ。機嫌を損ねたら首刎ねられるから気をつけろ。
もし不安なら、俺が今から討伐に向かうが」と言われた。

流石に倒すのは気が引ける。
寂れた祠に一人きり、聞けば数百年は待ちぼうけを喰らっていたそうなのだ。
きっと寂しかったのだろう。一人でいることの寂しさは痛いほど分かる。

とりあえず、マグネタイトの消費を抑えるためのセーブモードプログラムを
送ってもらい、普段は十分の一の出力で一緒に過ごすことになった。
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754 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:27:53 ID:9VK52rQk0

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755 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:28:46 ID:9VK52rQk0

〜TIPS〜
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  ハ       ト、   -=, ゙ 人: : ゙、  ,ィ'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:)
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【名前】
ウカノミタマ
【種族】
神獣
【レベル】
55
【属性】
Light-Neutral
【相性】
魔法全般に強い
【能力】
力-E 魔-A 体-E 速-C 運-A
【スキル】
マカジャマオン メディラマ ラスタキャンディ ランダマイザ デクンダ デカジャ 吸魔

【備考】
史門の仲魔。コミカルな言動が特徴的な狐耳の美女。
真面目な場面では慈愛に満ちた表情を見せる。

寂れた神社の稲荷像に化けていたが、史門が訪れて掃除してくれたことにいたく感激し、
以降史門の仲魔になる。レベルが高すぎて史門には制御できないが、

本人が史門を気に入っているので危害を加えることはない。また、言うこともある程度聞いてくれる。

相当ピーキーな性能を持っており、強力な補助魔法を駆使するが、
紙切れのごとき打たれ弱さであり、ちょっと集中攻撃を受ければ撃沈する。

756 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:29:15 ID:9VK52rQk0

.     /'.:.::: --.´ ̄`r‐.、:::::\
    イ/.:::/: : :ノ   V: :.\:::::ヽ
      /.:::/、__://⌒\\:__ノV:::::.、
    i::::::ir‐‐r':.ィ::|::::::::.ト:::::i:ヽ. |:::::::.ヽ
     !::::::i:::::ハ/-i::ト、:::::|‐ヽト:::::ヽ:::::!`        「時にご主人様、ご両親はどちらに?」
    ハ::::::i::::i (´ リ ) \!'リ  )、:::i:::::i
     ヽ:::トヘ,, ー‐   , ` ー ,, ,'ノハノ         いないよ。二人とも僕が物心つく前に死んだ。
        Vヽ::、         /ー'/
.       ノヽヽ. ´ `  .イイノ、          ここは僕の叔父さん夫婦の家。二人とも仕事で、九時には帰ってくると思う。
.       /   Yi>.-.<{/    \
     ー‐‐、   !ノ    ヽi  ,.-一        
      ...-/ヽ !',_    _,'_i /\` .、
   . - ´ /  .! ', ` ´ ,' i./ ,'. \ : 、
  ,'   /   i | ヽr4ァ'  .!' /    ヽ. ヽ
  !  ./',    ! |  「王_7 .|       i  ',
  |  j ',     i.|  ∨,'/   ! /   /  |   '
  i  i  ',    j.  ∨   ! /   /  |  i

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自分の両親が既に他界していることを告げると、
ウカノミタマは暫し黙りこくり、それからまた史門を抱きしめた。

「な、なんなのさ」

「それは辛いことをお聞きしました。お詫びと言ってはなんですが、
このおたまの腕に抱かれくださいませ」

乳房の感触が頬に伝わり、史門は顔が上気するのを感じた。
それと同時に、何か胸の奥で針で刺されるような痛みを覚えた。

ふと思った。
誰かに抱きしめられるなど、自分は初めてではないか?

「ともあれ、叔父様ご夫婦にご挨拶をせねばなりますまいて。
亡くなられたお父様のご親友の娘、ということでどうです?」

「え、まさか会うつもり?」

「ご心配には及ばず、この耳と尻尾は霊感無き者には見えないようにしてあります故。
一般人の目にはどこにでもいる町娘に映りましょう」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

757 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:29:29 ID:9VK52rQk0

                             ,
                ハ、       /'i
                   |: :ヾ.       ,':/: :!  __,
             ト、_i: ;、: ;ヽ   ,':/メィ;!,ィ'  /
              ヽ  厶 ゙' メ:.゙、ー‐,':,ゞ` 'ゝ ,/
                  7 ゞ, ,ィ"´¨⌒´¨`ヾ、メ.  〉_
             ,.―‐ヽ、''/.: :: :: ::  :: :: :: :.ヽ/  `ヽ,
            Y   ノ.:: .:: .: ;:   :: i:. :: :. ∨  i´
          /ヽ、.∠,.: : ::, .:ノ!i:  .::i,.゙、:、:.、.i  ノ:.`ヽ.
         /.: :: ::/ヽ.ヘi.:ィ≠=メ|:.ノ!ム=リメ:.ノリ´ヽ::::. ::.\
        ,:′.: .: ./  >'. 弋:リ '´ ' 乂リ!':.゙ゝ   ヽ::. ::.. ヽ.
         /.: .:: ::/   `ー'!:ハ ¨ _ ' _ ¨ノ::i'´    ヘ:i:. :.、:.ヽ         私、どこに出しても恥ずかしくない良妻狐です故?
      /,ィ: ::: /     ノ.::::>_ヽ_ '.ィ ´|:ハ     リヘ ::iヽ:i
       /ハ: ;i:,′     i .:::ノメ \/ゝリ:: }    '′ ソ.ノ .リ         こそこそ隠れてご奉仕なんて性に合いません!
     '´_メ ̄`ヽ、   , ´ヽ:〈_,`ヽ(Oゝー'_ノ-、     '´  '´
  ,ィ==/彡'三ミヽ、\.ト'、 _,_'_,ィ=ェ、 Y ,ィ=、_ヽ. 丶.   、.、ー-、         ここはどおんとおたまにお任せあれ!
 イ'三彡'三三三三ミヽ.\゙シ'二二、゛У彡==゙キ、.メ=!  ヽ:゙: : :ヽ.
 |三彡'三三三三三三ミヽ∨.:.:.:.:.:.:ヽ' ,ィ彡三ミメ'"¨´ ̄i_  i: : : : : ゙、
 レ彡'三三三三三三三ミヽ!ー‐‐'´三ゞ‐--、ノ.:´ ̄ ̄:.:.:〉 l: : : : : : :ヽ.
 ∨三三三三三三三三ミ∧三三,ゝく三三/.:.:.:.:.:.:.:.:.:./.ノ: : : : : : : : :゙.
.  ∨三三三三三三三三'/.:|ー―ゝ‐'ー―‐!:.:.:.:.:.:.:.:.:.ム'、: : : : : : : : : : : i
  ∧三三三三三三三/;.:.i三三三三三三、:.:.:.:.:.:.:.:.}ミ=\: : : : : : : : : !
  /.:.:ーヽ三三三三 /:.!:.:.:.〉:.:/__`゙v'´`v:.:.:.:.!、:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽヾ;=;、: : : : :ノ
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 l:.:.:.:.:/  i:.:.:.:.:.:.:./ メイ `!ー‐―.:.:.ー‐‐'.:./  i:.゙):.:.:.:./三三三三ミノ 〉
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  V    i:.:./   メ.::!   !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,′   !::ヽ三三三三彡' /
       レ'    /.:":i!   !:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.i    i::::.i!三彡',ニニ-'´

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そうしてウカノミタマは、帰ってきた叔父夫婦と対面を果たした。
妖艶な着物の美女が待ち受けていて、叔父夫婦は面食らっていたが、
ウカノミタマの慎ましやかで礼儀正しい姿勢と丁寧な嘘八百で、
どうにかこうにか丸め込まれてしまった。

その日、史門達はウカノミタマの振る舞う和食を頂いた。
麦飯に鯛のお作り、海老やさつま芋の天ぷら、茶碗蒸し、豆腐の味噌汁という
ラインナップで、ちょっとした旅館の食事のようだった。

食材は自前とのことだが、出所は不明だ。

叔父夫婦も美味しい食事と嫋やかな態度にすっかりほだされてしまった。
かくいう史門もほだされかかった。

一体この先どうなってしまうのか、史門は先を思いやった。
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758 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:30:10 ID:9VK52rQk0

                     ,.'/_,.. '/.
                   , '      ~"'''‐- ._
             ヽz、_/           <´
               > _,. .-‐― 、       `ヽ
              /..,ィ'´  ヽ   ノ`ヽ      .ア
                /ノ.lノ, '⌒ヽ、二..ノ´ ̄     `ヾ、
              ,イ/.      _ヽ´ヽ、   _   <
                   {  ヽ.ヽlヽlイj`ヽ ヾz、lヽヽー―‐ァ
               ヽl、 泌、l  ヽ__ノ   lソノ    ,'....  /.><ヽヽ、
                _,.-‐'''"<        .<ヽ.    / . /ヽ//ヽ.ヽ.ヽ.|
            ,."  <´ ヽ⌒ヽ  ,   ヽ_ヽ  .人‐=zl lヽ、.   |
          /      >. `ー-<´、    ノヽ_ノ~T.Y⌒ヽl~ヽ   l
          ,',,     /   lヽr‐z ヽー、 '   ヽ.. l...|   }、/.}   /
           .)   /  `ヽ.ヽ  .⌒ヽ`、     .ヽ ヽl ./l>l...l  /_
         ,r‐、ソz.... /     .ヽヽ    ヽl      zヽ. ヽ〈/l/ /  l ヽ
  __,,..-―-`ー‐<三ノ_,..-'''"  ヾ}    ./ッ     _ ヽ ヽ/`ヽ.. |ーヽ.
   ̄.>.      ,.'''"  _,..-'''" |   /         /ヽ . l..r.',rァ..|..  .`ヽ
  <      ノ       ノ..../|  /    /   /`丶ニl .` ( ./ _  . )
   .ヽ__,,.. .''" z,_,..-‐‐、/ /   ,}       ,..-'.|`ヽ... ヽ. ヾノ´/... /
      /_,..-'''"     .ヽ./   ./ヽー‐,z,..-‐ァ_,..-'l, '´.> ヽ__.ノ... /...
     ./_,..-'''"フ ̄ヽ  ノ__,..'.ヽー'''~´   ./_,..-'./ /    ヽ   /
    /   /ー--''´ ̄´       ヽ.___ .l_,..'´ }´l'         `ヾ/
   /   /             /、     l ヽ..... |ノヽ
 ./  ,r´‐‐‐‐ァ          /  `ー- .___l、  `.<   ヽ
.〈  ヽ lヽヽ、/           /         ~"'‐ . ~"'''‐‐ァ
...|ヽヽ`、 ヽ/ヽ          /     、       `゙'' ./ ヽ
 ーヽ'`ー'´ ̄            /      ヽ     _,..-'     ヽ

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一方、サマナーとしての戦いは大分安全度が増した。
鍛練として異界を歩き回ったり、DDS-netに登録して依頼を受けて
悪魔を討伐していたが、そこにウカノミタマという戦力が加わったことで
戦いが安定するようになった。

史門はどうも口下手で、悪魔を仲魔にするのは正直苦手だった。
精々が物々交換程度だ。

その点、ウカノミタマはそのコミカルな言動で場を和ませ、悪魔交渉が
潤滑に行われるようサポートしてくれた。

それだけではなく、戦闘においてもウカノミタマは優秀だった。
決して前に出せるような悪魔ではないが、後方に置いておけば支援魔法、
前衛が傷つけば回復魔法、魔力が尽きても自己回復できる、
などと非の打ちどころがない悪魔だった。

分かりやすい弱点といえば、狙いをつけられるとガキの一撃でも
致命傷になりうることだろうか。
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759 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:33:45 ID:9VK52rQk0

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             `ヽ____~"'''‐-..
          _,..-'''"    `ヽ ̄l´`ヽ `ヽ、
      _,..-'''" /        \.\  \  \
         ̄ ̄/  ,、         .\ \  \ .\  ,'l
          /  .l/ |    ,ィ      .\ ヽ___.lヽ  .ヽ'..|
       /,イ __...人  ./`|       .`、   `、   .|
      .l/ ./    `、 /  |   l     `、   l   ノ、
         /      .ヽ'  .|  .人l     `、  . |    .\
       ./ __        .| ../  |      l   .|      ,>
      / '  ̄`ヽ      | ./ ....| .∧   .|  /       .|        疲れた……
       /           |/    |/~ヽ、   | ./        |
       l                  j´-`、 .|/         .|
      l              __ ,、 ー- ノヽ.|ヽ, .     .|
      `ヽ、     ____ /  `ヽー‐'´   /-、     .|
        .|`ヽ、        /~"'''‐..`ヽ、_    .|    lヽ|
  ___  |/l/l/ヽ       |    `丶、  ̄`ヽ、l   .ノ
  ヽ     ̄ ̄ ̄~.|      .|      /  /ヽ,_ヽ__/
   `、        |      .|       /_,..-'''"‐‐、   ヽ
    `、      /.|     .|  ./ /       \  \
      `、    /...|     ./  .//           .\  \
      `、   l .|    /  ./              \   \
       >、 .|/    /  ./                   \   \


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家に帰り、風呂に入って砂やら泥を落とす。
最近はいつもこんな調子だった。
学校に行き、異界を歩く。学校がない日も異界を歩く。

こうした地道な活動が、人的被害を少しでも減らせているのなら。
それが史門にとっての一つの生き甲斐となりつつあった。
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760 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:34:04 ID:9VK52rQk0

        __,.斗-ミ二、γ: ー<////////7ァ、
     rァ'7////// .:´: :ム: :f: 、: : ヽーミ///////〉
      V//////.: :/: : : : : :ヽ: : : :\:\ ////
       ∨//, .: : 〃: : ; : :i : :ヽ: : : : : : ヽ:.ヽ'//
      ∨/.: : /.: : 〃: : : : : : ヽ:ヽ: : : : ヽミレ: `:. 、
         /.: : :': : : : : i: : : : : : : :!: :ヽ: : :、: :.マヽ: : :丶
        .:/.: : : . . .:i:.i|:i: : : : :ハ_|:_i_:.!o。i: : : :.\_、: :、:\
    _ノ'.: :イ: : i.: : +ハ+!:l: : : :イ_レ!:ノレ|: : ト:._\<._\: : :.ヽ
    /イ:/.: i: :|: : :ト,斗ミ、:.:{:! ィfテミ|: : ハ: : マ、 ̄、 ヽ: : : :.
      /.: iイノイ:、: ー《てj1 ヾヽ 辷ソメ:'イ: ト、: :.、//∧  '.: : : '.
     ,': : :/´゙/,!:i: ヽ:ゝ`”゜ 、   " /イ: l: :|∧: : :ゝ/∧ ‘: : : :'.
  r 、: : : ' //ノィ:イ:.:ト"" マ フ  . 1レi:!: :!//>ァ´ /∧ }: : : :.'.         はぁーい、お邪魔しまーす☆
    、\' く/////|:..:|:i/i> _  イ | |:c: V///////  !:/: : : i
   i:..:ヽ r- 、 ̄>|:゚:.!ム __ノ|    ヽ. }: : : } 〜ー '   レ: : : : }
   |: :くヽ` r Υ゚ ; : :{ ヽ._ '   ノ   ,: : : :;ー ミ      /.: : : : :|
   |: ,くヽ)ノ ヽ {: :ト:ゝ   `  ' ̄ ノイ: :ノ   ゚i   /.: : : : : ;゜
   |: ト、ソー、  } ヽ:ヽ:\_ ,    `ー=' ゜  /   !  /.: : : : : :.′
   l: : \__ , イ ,.ゝ′ ̄      ,。   ヽ,′  ! /.: : : : : :/
   ヽ: : ;′ "/,:゜____ ___ _ヽ,、∠ ィ=-、__ {    ,: : : : : : : :./
     У  ,:゚'´ /ー―=`く.斗<  \__}  /: : : : : : : /
    /   { _,/      ヽ}{     -=ニj=-}  ′>: ゜:/
    ,′   K゙ ( ,:、     ハ   -=!  ; ′´  ̄
    !    } ヘ        ノ  丶.    ノ ィ{ {
   '    ノ,′ `r-… "i --- ミ≧≦く=j ‘.
    ヽ  /   Ⅴ  ´ !   -=彡'´∨〔ー ‘,
     ` ′     |/   ;         ∧ ゙ヽ  }
           |     ,′,     〃 '.  ヽ !

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引き戸が急に開け放たれ、風が入ってくる。
叔父さんかと思い、振り返ると、そこにはバスタオルを体に巻いただけの
ウカノミタマがそこにいた。無論、その下は全裸であろう。

一瞬、状況が理解できず、史門は固まった。
それから体の熱という熱が上昇し、飛び上がりそうになる。

「なななっ、なんで入ってきてるんだよっ!」

「はて、なぜと申されましても。私、ただお背中を流しに参っただけでありますれば」

「いいよ、出てってってば!」
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761 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:34:33 ID:9VK52rQk0

                    /レィ   .トト、
                  /  /    ! 、\
                 /   /    {   ', ',
                   メ/    {      }  i
               メ i  _ .}-― 、 ノ  ム i
                _メ {/   `   <  ./ メ}
               ィレ         \/  メ .ィ
            __.彡′  /           , メ,/ レィ
            ア     {          V  V´ /
          < __ イ /jハ-  } _ハ     ∨ } /
                |  ィfミヽ /!/` }ハ     | ,  レ
                  ,  | ヒj ∨ ィf=ミ、|   }  i/  /
             -=彡 {::::.: ,    Vッイ  /\{  /             まあまあ、そう言わず。
               / 从       .:.:::∠.イ |し彡'
                 }\` -   イ|  .!                 一緒に入りましょう?
             {   |  ≧≦   { ,  .|
              乂ト、 .{,. -- '    乂  .!                 ほら、浴槽の大きさもジャスト・ラァブサイズですし。
               , -n/      ./イ  /
              / ' ノ           }/ Y       ___  __
           .ィi´  r ' {    i   } ,   }    > ´       <
          r' .リ!  i   ,    /   ノ {  //{/             `ヽ
          { { i!  ! /   /   ,   / /                      ',
           ,; } .i!  y   ./   / .ィ/                      i!
           リ :{ゝi .′  /   / //         ィ=-  ー-ミ    ト{
           ,;   .ハ    /     //               /   ヽト、{
         ,;   i ヽ.. ノ   ./ / {                 ′
         ,;  :  ,      ′.,ー}              /
         }!   i!      {  { ノ              /
         ;,    }        ,,ィィ′  ィィ レィ
         ,; ,;  ,      {   \         レレ/

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とりあえず、背中を流されてはこちらの理性が持ちそうにないため、
混浴だけで勘弁してもらった。

しかし、日頃ウカノミタマを見ていて、美人だなとは思っていたが、
こうまじまじと正面から見ていると、まさしく天女のごとき美貌だった。
白魚のような四肢、大きな目に整った顔立ち、形がよく大きな乳房。

「そんなに見つめられると、さしもの私も照れますねえ。
もしや、女性の裸をご覧になるのは初めてで?」

無論である。

「まあ、そういうことならこの無粋なタオルを取ることもやぶさかでは
ないのですが、私、節度を弁えている良妻狐です故?
そういうことはきちんとした関係を持ってからにしようと思う次第ですとも」
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762 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:34:43 ID:9VK52rQk0


        |ニニニニニ爻      爻爻ノニニニ/   /Λ |.
        |ニニニニニ爻      ノ>‐=ミニィ(     // .爻
  |ニ=‐- ..,,_Lニニニニ爻    >''´      ̄ ̄ \__,少  爻
  |ニニニニニニニニニ/ 爻>''´      //     / \   爻
  |ニニニニニ/ニ=‐''´ /       _//¦  /i   ', 爻
ー ∨ニニ/ニ⌒'┬= /    /   / /'トl   / .|   ゚,.爻
.:..:..∨/ニニニニニニl /  /  /| / ! |    /__   乂ニ\
.: .: .: \ニニニニニニニ/ ィ //   ィL__j / ||i   /7⌒  |i\ニニ〉
 ̄¨¨ア \ニニニニニ/ |// ィ! |⌒ぅ=ァ jノ ! /Λ/;   |i二\/
. /  /\ニニニ/  ノ 八|       ノィiL__ イ ||iニニ「
´   /  ノ⌒ア ___彡   |\ (      ノ^7 | 八|iニノ
  /  /  /⌒.i |    |    ヽ .,__,, 八 lΛ-!厂
.   //  /.:. .:. .:.i |    |\      ィ'゚   ↓ ∨
   /. . {八.{. :>==圦.     |   `ト _ <:::|¦  八ⅱ
イ /.:. .: .: .:/     \  |  | |::::::]I==||/  |i
.:|/ .:..:..:./           }  人   乂ァ'´  |人    |i _
. : . . /          ___,ノ彡へ\         )イ  |i  ̄ ニ- _
>''´        . . .      ) )         | |i ̄      ̄ ニ- _
  ____    _彡 : : : : : . ⌒¨´         \ |i _  --      ̄ ニ- _
 ̄      ̄ ‐-=ニ[ : : : : .         ‐-      ̄¨''  _--           ̄ ニ- _
              ̄ ‐-=ニ[          `        寸_____
                         ‘''            丶   ',---
______ ,,..    -‐=宀冖冖宀=‐-       `'く       ',   ;-二-
/: /: /: /: /: /: /: : .       ̄ ニ- _⊂ _)       ; __-二-     ___
: /: /: /: /: /: /: /: /: /: :            ̄ ニ-_)     ___ノ二-------
/: /: /: /: /: /: /: /: /: /: /: /: :          ̄ ニ- _-二---二-------
: /: /: /: /: /: /: /: /: /: /: /: /: /: /: :          ̄ ニ- _---------

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ウカノミタマはいたく自分を気に入っているようだが、何が彼女をそこまで
させるのだろうか。史門は疑問をまっすぐぶつけてみた。

「最初に申し上げた通り、祠で一目見えた時から、貴方様の魂の美しさに
心惹かれてお家まで駆けつけたのです。神というのは律儀なものでして、
願いには答える、恩には恩を、罰当たりには罰を、という存在なのですよ。
どうぞご自分の行いを誇りくださいませ、ご主人様。貴方様の行いは
伊邪那岐大神に御覧じられても恥じないものでございます」

自分の行動が正しいかどうか。
そんなものは神様くらいにしか分からない、と喜留夫は言っていた。
神様がそう言うのなら、少しは安心していいのかもしれない。
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763 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:34:55 ID:9VK52rQk0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         └──────┘

                           ┌───┐
                           │::::::::::::::::│
                           │::::::::::::::::│
                           └───┘

                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘

                               ┌┐
                               └┘

                                   □

                               ・

764 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:35:38 ID:9VK52rQk0

    /:.:.:.:.:/  /:.:.:.:.:.:.:,ィ:.:.:.:./ /:.;ィ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ハ ヽ:.:.:、:\
    ':.:.:.:.:.:.:/ ./:.:.:.:.:.:.: /斗-≠=ム< !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ハ  }:.:.ハ ` ヽ
   ':.:.:.:.:.:.:./ /:.:.:.:.:.:.:.:.:./  l∠-- 、、 ` !:.:.:.:.:.:.:.:.:ハ:.:.| .}:.:.:ハ
 /イ:.:.:.:.:../ /:.:.:.:.:.:.:.:.:./ /     ヾ   l:.:.:./l∠. l:ハ/:.:.:.:.ハ
  i:.:.::.:.:.:.l ム:.:.:.:.:.:ハ:.:l. {  0    l  l:/ ,-、 `、1:.ヽ:.:.:.:.:.:',
  .l:.:.:.:.:./r、 ヽ:.:.:/ V !      /     /  ヾ. ,':.:.:.ヽ:.:.:.:.:.i
  l:.:.:.:.:ノ ,ヒ ヽ V       ―-- '       ,'0  l ,':.:.:,ヘ:i:.:ハ:.:.l
 .l:.:.:.:〈 ( `(      _   ```       !   ,',':.:.:/:.:.:l/ ヽ:|       今日の仕事は討伐だ。
 l∧:.:.:.ヽ、`ー  ,, - '' ¨: : |             〉` '.ハ:.∧:.:/
   ∨_:. -`ー '': : : : : : : : :l            ```! V |/          ガルム、いける?
  , ィ´: : : : : :_.. -‐ ''' ¨ ̄l        , -、      .ノ
. f: : :_ ィ: : : :l         ./          ̄     /
. l/  l: : : :l        i          ,  '
 !    l: : : l         l    、...__..、-
 ゝ   ';.:.:.:',      l      /  `ー―――‐‐―ァ
ノ, --‐二:.:.:__ヽ     l       /           /





                         ∧
                    ト 、  //^iV
                    }^i_‘,//__:」 .V
                 r::::::::Z_,, __---、}
               r ァ¨¨::::::弋Uリ }:/ ‘,
               {::::::::::::::__::::`¨´::::\  }  ト 、
                    \,ィ7´-ト、}:::::::::::::__> i!  }  \       マカセテオケ、サマナー。
                 (___}>''::::::::::::::::> {   i
                 「\::::::::::::::::::::::{  {__ノ     }      カイリキランシン、イキケンコウダ。
                }/  }:::::::::::::::::::::}   V     ,
             r.f^Y^く   }/∨::::::∧!  .}     /
             ∧:r 、:::::'´}     V:::/     }__  /
              ` <::::::{_/人   V/}/   !
                ̄辷}”“f―‐彡八   }.、
                        /\/   `く:::::::\
                    {:::::::i       {::::::::::)
                   `ー'       ー‐''

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仕事の依頼はネット経由であるため、依頼人と顔を突き合わすこともない。
死体を写真に収めて送信すれば、指定された口座に金が振り込まれる。
依頼人も、まさか依頼を受けた相手が小学生のサマナーだとは思いもしまい。

今回の依頼は、政府からだった。
夜闇に紛れて近隣住民を喰らう悪魔がいるらしく、それらの処理をしてほしいそうだ。
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765 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:35:58 ID:9VK52rQk0

                /|
              ./ /!          ,. ‐ァ
           ., '  /  |       ./ /´|
           /   ,'  .ト、    r/  /  |
      r─- 、 rト、 | _,. -──-< /   /
      |:::::\Σ ,.>'´        `'< ア─ァ
      ヽ;::::::::`ア    /          ヽ;::::/
       '、:::/  /  ./ /__ /        ∨
       r‐‐´:7  ,'   |/ ´|/|  /| ハ__/ l |
      |::::::::/ | l  ./ r==、|/ .|/ |/`ノ  ':、
     /.〉/ /  |  /| "     , ==t/  ノ、>           では、参りましょうか、ご主人様?
   /  /: ̄/  // |    _    "/'| イ:::::\
    | .;':::::::/_,,.イ |  |ト,、 l  `ソ  / ト、\:::、_}、
    | レ'"/´ ././|  |/| \    _,.イ|  | ノ ̄:∧ \
    '、  /|   |/ .八 ヽL,rト`て´ァL_/ ,ハ\/ ',  }
     \|ヽ    ,. -‐\__,>(o/ ∠ イ  ̄`ヽ、 .|  /<´ ̄ ̄`' 、
          /  l      ´          \/ヽ,  `ヽ    ヽ,
      _r-/  /‐-、 / ___      T、   ./|:::::::|7ヽ  }       ',
     「、/\_,.rヘ、:::::::Y´:::::::::::::::`>- 、 / ヽ/./:::::/  ∧/      }
   /\\::∨、 ヽ ̄>''"´ ̄ ̄ ̄ヽ_/ r '" /:::/  ./::::}、     /

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いつものように天真爛漫な笑みを浮かべるウカノミタマと、
小さな体に闘争心を漲らせるガルムを連れ、夜の九時に家を出る。

叔父夫婦には申し訳ないが、ウカノミタマの暗示で少々眠ってもらった。

今日は月すら出ておらず、空は墨をぶちまけたかのような黒に染まっていた。
装備を確認し、指定された悪魔が目撃された場所へと移動する。
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766 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:36:21 ID:9VK52rQk0

                     ______
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      /// ̄\////// \/「二`=='イ///\\/∧
     .///////∧ ///////\}:::::::::::::::レ'////\\∧
     レ//////// /////////////}///////////\ V}
     i/( )//// //////○///ヽ/_//__//////////V/       チッ、バレたか!
     ト、./////}///o////V三三三レ'//( )//////
       〉  ̄ ////ハ////O///////////o//r‐;////
      }` ̄//////ノ//////r‐ 、////__//0//:////
     /////////_////////レ三三三//////////
      レ///// / }//////////////L ∧/////〈
    ///////   ∧/////r‐、///__/// i//////i
    ///////   /::::V////L三三三],'〈   }/////リ
   .レ/////   ∧:::::::\/////////∧/   i/////{
   .,'/////   ///\:::::::::>二二二]::: ∧   |/////|
  /////∧ //////>-//-≡/ ̄/ ∧. }/////;
 .〈//////∧;/////////二二二  ̄////\',/////i
  \//////\//////[ l 三三三 l ]/////\/// ',
    .V////// \.//////////////////////\/∧
     \///////\//[ l三三三三l ]/////////\ }
      ',//////r二二二二ヽ.////////////////\
       .∧////     O   V三三三 ]//////////\
      }/ \/       r――- 、//////////////////\
       レ///   ( )/ r ⌒ 、  丶.////////////////// \
      |/ 〈      / Yヽ   {ヽ  〉/////////////////// `ヽ
      |// \____ハ ヽ',   } } ノ///////////////////}    \
     ∧/////// \ヽ__} ー' ー{////∧//////////////∧ r=='
     ////////////`ー'///////////:::::\///////////// } |
【幽鬼ヴェータラ Lv57】

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悪魔は人間に化けていた。
黒いロングコートに帽子を目深く被っていたが、エネミーソナーだけは
ごまかせない。

デビルアナライズを見て、史門は臓腑を冷水に浸したような感覚に襲われた。
相手とのレベルの差はおよそ三十五。二倍以上はある。

勝てるか? いや、無理だろう。けれど、ここで自分が逃げれば、
この悪魔は後々人を喰らう。誰かが、自分のように大切な者を失う
悲しみを背負うこととなる。それだけは、看過できなかった。
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767 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:37:00 ID:9VK52rQk0

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           /:::::::::::/  /::::,---、 ヽ,  ハ',:::::',
         //::::::::/ヽ--_'>'":::::::::::::::ヽ, `'ー-、.i::::::',
           /::::::::::´¨:::::::::::::y::::::::::::::::::/:::::>-、.i::::::::',
        ,.=':::::::::::::::::::::/::/Z::::::::::::://::::::::::::i:::::::::::::iヘ,
            i:://::::::::::::/ニ、|::::/〃 //',::::/i::::::::::::::i          …………。
          〃 i::::::::::::,' .i.  9ヾ   -t''9´i/ヽ:::::;;;::::::i
           ノ:::::::i.=ハ ヽ--- '    ヽ-- '_/ ア/ヾi,
           /:::::i:\__',     , 、   ', __>、__
            ̄7/',:::ヘヽ   , -- 、 ヽ    7: : 7
            , --ヘi---> .      .ノ   .-': : :-.、
          `' <,      ヘ>- イ_,/     ヘ: : :ヘ
             \     ::|   .|        ',: : :.',-'" ̄ ̄ 7___
               \  /-'y-'".i         ヘ: : :ヘ    _  ヘ
                -) /-、    ',         ヘ: : :ヘ /: : :ヽ、 .\
             ,.イ,ノ./       ヘ       , --': -、: : : : : :ノ    >、_
               7   /        ヘ    , イ: : :/: : : : ----':、__
            i   /             ',   /: : : : ≠: ',: : : : : : : : :7--、ヘ





        }   |//////////////∧    |////// Y/
        ∧__ノ////////////////`ー-'/////i //
     ___i///////////////二二二ヽ///´ i//// V/
    ////∧//r―ュ//i ̄ ̄i /_   〉l― Y´//////
   .//∧ Vi  |__ii}//|____レ二二二レ';  |/// ̄/
   ////∧ V/////////////////////  ̄/// ̄/
 ._//////∧ V/////r≦≧ュ.//////////// \/{
./////////∧ V´ ̄´      ̄ ̄ >--=//// ∧         ガキが一丁前に銃なんざ構えやがって……
.//////////∧ \ r―― 、      〈 (・ノ 〉 ///// 〉
////\////// \ \     ヽ ___  ///////Y          今日はてめえを晩飯にしてやらあ!
/////∧/////// \_≧ュ.__   __ノ_ r≦ / 〉
//////∧////////////////// Y_____///∧
//////\/////////二二]////////__////////\
/ ////// \////// /`ー――‐一'7 ////__ /////\
/.//////////\///\ヽ _____/ /////\\/////\
////////////// \/// ̄////////L_///////.\\/////\
/////////////////\////////////r≦////////\\/////
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/////////////////////////∧/////////////////// ー―
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////////////////l   i         i   i////////////////

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ヴェータラが飛びかかってくる。
後ろに飛び退いてそれを躱し、ガルムとウカノミタマに指示を出す。
「ガルムは距離をとりつつ炎で攻撃! ウカノミタマは支援!」

「委細承知!」

ウカノミタマの札が舞い、体が羽のように軽くなるのを感じる。
更に、ヴェータラの動きが先程よりだいぶ鈍らされていた。

「くそ、体が、重い……」

ウカノミタマの呪詛によるものだ。
そこを畳みかけるようにして、ガルムの炎の吐息がヴェータラを覆う。
屍鬼、幽鬼の類は総じて炎と払魔の攻撃に弱い。喜留夫に習ったことだ。
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768 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:37:16 ID:9VK52rQk0

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             .r≦////////// \
           ////////////////// \
            }/////////////////////ハ
             レ////////二ニ=‐---///// \
         /////r≦ }  //r oヽ \///// 〉
         V/r≦/> /  レ__ `ー‐´ l\// ∧
         / ////_/}   }  ≧ュ.__ }  V/´  ̄ ̄ >
         /  // v/  /  /==‐<   }二/\   /
      ∧  // /l   r―'-┬┬‐r ,-v7 ハ   <
          V/ / { V  ̄ V´ Vー レ、/} / \   \ 
        /r‐{  ヽ \/ ̄ハ__l/  ; /l∧ \   /
          |    \ \ ̄ 二二 /リ/ l∧   ヽ/
         _____     ヽ 二二二 />/ /ハ ',
       //― / }      }____   /  レ l }  i   r―― 、
       ヽ> / イ     i___ >  / /} }  }  / /⌒ヽ ヽ
          \\ .r≦ ______/ / } }  }  ヽ \ \}
               >´\__/______ / `ヽ }  } // ̄
           /::::::::::: \   .r≦:::::::::}  / \ \/
      r― 〈::::::::::::::::::::::: \::::::::::::::::// /::: : l}\ \
     /二二 \:::::::::::::::::::::::::\:: /:: / /::::::::: l  l\ \
    /  ヽ //ヽ:::::::::::::::::::::::::::\ ./ /::::::::::: l} l}: : ヽ  \
  /    /:::::O::::∧:::::::::::::::::::::::::::::::〈 〈:::::::::r≦  l ̄ ̄/   >、
 /  .r≦\:::::::::::::∧::::::::::::::::::r==、::l  l ̄  /  /  /   /  \
./ /     V∧::::::::::::∧ :::::::::::: l_ノ::::l  ll\ /  /  /   /  / \

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炎でコートが焼き払われ、本来の姿が街灯の下に晒される。
そこには包帯まみれの灰色の肌をした幽鬼がいた。

効いてはいる。史門はそう確信し、銃弾をヴェータラの脛に撃ち込む。
更に動きが鈍り、ヴェータラは地に膝を突いた。
修験僧が清め、払魔の呪文を刻んだ銃弾だ。
弾丸としての威力は低くとも、悪魔への効果は絶大だった。

史門は自分に落ち着くよう言い聞かせ、ひたすら遅延戦闘を繰り返した。
ウカノミタマがヴェータラを弱体化させ、自分が足止めし、ガルムが少しずつ
ダメージを蓄積させていく。誰か一人でも欠ければ、一瞬のうちに食い殺される。
一瞬一瞬の動作が、生死を分ける。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

769 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:37:52 ID:9VK52rQk0

            :,:           :(::)
            /⌒''⌒) :,,゜      '         ,,,,,,,
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     ,!,,,、(     /::τ             ノ:::::::::::::::::)          。  !::::::::::`! 、
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そうした戦闘が何十分、何時間続いただろうか。
命のやり取りというのは時間の感覚を麻痺させる。

ヴェータラの体がぐらつき、地に伏した。

死んだふりかもしれない。史門はエネミーソナーを確認する。
息はまだあるようだった。

「げほっ……ここまでか……メシア教め……」

「メシア教?」

恐る恐る近づき、悪魔の言葉に耳を傾ける。
なぜここでメシア教の名前が出るのか。

「お前、メシア教の人間じゃねえのか……頼む、助けてくれ……
俺たちは捕まえられて、実験台にされて……逃げ出してきたはいいものの、
一人じゃ獲物を狩れない奴らが大勢いる……そいつらを、俺が守らねえと……
頼む……見逃してくれ……」
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770 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:38:32 ID:9VK52rQk0

      ,イ , イ     , イ ,イ         ヽ、     }  ヽ、
     ,イ ∧   , イ , イ ,、      ,、    ,  ̄ ゙̄ヽ    ヽ
    .,イ   / ゙ニニ - '"   / !     ,' .',   !',      ゙,ヽ、 ゙,
   /   ,' ,イ        / !     ,'  ',   ! ',   ,   !  ヾ
   /   !'        ,イ  !    /   ', ., t- ',   !    !
  ./           ,イ    !   , /     ,イ !  ',  !   !
 イ ,,        / / 、   .! /,'/     /, ', !、 ', , - 、  !        ……それで、人を食うんだろ?
 ,イ i!   /    / /ー,->、/ / /  ゙ーイ!・i .', ! ゙,  〉イヽ i  !
   i!   ,' i   ,' /イ.    !・!/!     i ゙"   i! / 、/ /、 !        「食って何が悪い……そうしなきゃ生きられねえんだ。
   ,'   ,イ ,!  ./!' !     ゙ .!          " ,' イ ,イ、ヽ!ヽ
   .,' ./,' ,イ.! ,',.   ゙      ,      ゙ ー '''  i, イ  ヽ、 ヽ 、      なら、そうするしかねえじゃねえか」
  /イ /イ  i .,' ゙、    ー‐ ''".    i}        ! ./ ヽ、  ヽ、  > 、
  ,イ,,,!   ゙ヽ、 ー ',                 , イ ,    ゙ヽ、  ゙ヽ、    ゙',
 "       /゙ ー-'、        ,ー---_-,    , イ  ./      ヾ,ヽ、 ゙'、   !
          ,'     ゙ヽ、    "  ̄ ̄  , イ /  /         ゙ヽ,ヽ '、  !
        ,'       ヾ> 、  _ イ./ /    /           ヾ、',  !
        i        i ヽ、     i ./   "             〉' ゙ゞヽ
        i        ,!  ヽ、   , -! !  ,              ,イー, i

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何も言い返せなかった。
飢え死にか、人を喰らうか。
自分がこの悪魔の立場であったなら、後者を選んだだろう。
自分だって死にたくはない。この悪魔だって同じはずだ。

「史門様」

ウカノミタマが肩に手を置いてくる。

「誰かが生きるというのは、誰かが代わりに死ぬということでございます。
誰かが生きるために誰かを喰らう。誰かを殺す。それが命の本質です。
命というものは、等しく悪なのです」

ウカノミタマが切なげに言う。
命を育む神が口にした言葉に、史門の引き金にかけた指を止めた。

「止めはしません。ただ、どうかお忘れなきよう」
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771 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:39:08 ID:9VK52rQk0

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: : ヽ.:ヽ{ ' ヽ |.:.:.:/ __{_ /イ::::::::::::::::::::/.:.:.:.:./::::/./:::::::::::::::::::::ハ.:.:.:.:/\.:.:|_      お前がやったことは、お前にとって生きるために
: : : : ̄≧ー┴≠:': : /::::::::::::::::::::::::::/.:.:.:/:::::::/イ:::::::::::::::::::::::ム∧.:./: : :ヽ;|: :
|: : : : : : : : : : : : : : : イ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/.:./;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ : : ∨: : : : : : : :      必要だったってことはよく分かった。
| : : : : : : : : : : : : : : : |       j/                }: : : : : : : : : : /:
ヽ: : : : : : : : : : : : : : /            >          /: : : : : : : : /: : :       ……でも、見逃すことはできない。
: : \: : : : : : : : : : :,小、                      /: /: : : : : : /: : : : :
  : : ヽ: : : : : : : : / : : : \       ,ィ=――ァ   ., イ: : /: : : : : /: : : : : :
  : : :  : : : : : :/ : : : : : : :>.、   ´ ̄ ̄´,  < : : : : / : : : /: : : : : : :
   : :   : : : {: : : : : : : : : : : : ≧ 、  , ィ: : : : : : ヽ: :/: : :/: : : : : : : :





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      ,-/´`,>- ¨ ̄ ̄ニニミ 、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ、
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   ,イ:/:/    ! ___ ヽ、      } ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
   .ハ:.l,イ   ノ/:.:.:.:.:.`ー ミ..ー--- イ   ';.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
   !::ヘl ヘ...ィ彡':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ̄ ̄ ̄`ヽ、.i`ヽ、____:.:>
   l:.:.:ヽ、, '´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾ、ヽ、:.:.:.:ヽ、
   l:.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.ト、:.:.:.:.:.ヽ、:.:.:.:.:.:ヽ.`>、:.:.:.:ハ:.; -、:.:ヽ、:.:.:.ゝ         ここで死んでもらう。
   .!:.:.:.:.:.:.:lヽ:.:l ヽ:.:.:.:.:.:ヽ`ー- z'ゝ-、 ヽ、:Y/ヽl:.:.:| `ヾ、
   .l:.:.:.:.:.:.:.! ,ゝト 、ヽ:.:.ヘー-`, /0   !  `l イ /:.:.:',             お前の命、俺がもらう。
   l:.∧:.:.:.l l   0`ヾ 、ヘ`=イ     ノ   ノ-'/:.:.:ト-`-
   レ′ヾ:.ヽヽ、  ノ  ``  ー-- '     ,-彡、ト:ヽ
     __..>i`  ̄  ,           ノ'' / l  `
     ヽ.  ハ    く_       ヽー--'´,ィ !  ム
     / \  ゝ、   、__ __  ヽー- ' ! l ,イ ヽ
     i   `、イ l `丶、  ‐  , ィハ   l/ヽ \ ハ
     l   l  ', .l: : ,、: ヽ`ー ' / : : \ ノ    \\\
     ヽ  l  V_:ノ `ーヽ  _j - z - '         \\\
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それでも、史門の答えは変わらなかった。
復讐を遂げられなかったあの時とは違う。

あの時、自分は恐れたのだ。誰かの幸せを奪うことを。
だが、今はそれすらも飲み込んでみせる。

それで、悲しみが少しでも減るのなら。

史門は祈るようにして、頭に向けて引き金を引いた。
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772 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:39:21 ID:9VK52rQk0

                     }v、
          i 、         iレi `ヽ   . --,
          .i| ヽ.      | .{  ∨´: : : : :|
        N|   ', _    | V レ'ィv: : : : |
        } j   ',: : : >-|  ∨  メ: : : ハ
         }ハ   乂. ´ ̄|  ∨  メ :_:_:_:',___
        メ ヘ  /    j    Vメ^ ` マ: : : : : : : : :/ヽ
         く .ハ'       ̄ `ヽ ヽ  ノ∨: : : : : : /: : }
       ..イ: : /      ヾ 、   ',  ',   ノ', : : : : :/ー‐'
      /: : : :.′   i   .ハ \ i ',.  V,  }: : : :./ .、
     {: : : : : :i  __ /,   / 斗 i-ヽ} 、  ∨ 从.イ 、  \
     .ヽイー |   / |`ヽ./  |/.ィf=ァ!  .ハ{/    ヽ  \
      ./  ハ  |ィf=ミ/、   イJん/  / |     ∧   ヽ         ご主人様……
     /  / ∧ ハヾ vサ   弋ソ  イ   乂     ∧    ',
     ,   ,   ハ {  ヘ  '     /ィ>-、   `ヽ     ',     '
     i   {  ./ _,ィ 1 >-r-´、イィ/   i    }- <. i    }
     {   ∨ .ィ´} }/ノ/ /ノ| /ヽ/__  |ヽ.  ト、!    ヽ!    ,
     ゝト、. ∨ィVノ_/  てレレイ=ミ、二ミ 、}/  }    .}   /
       }/__> ´ . ////'|/∧///\ニニ\ /   ./  ∧
       / "´  . ´ V////|//∧///=ミ /    ∠_ イ  '
     /{    . ´  , --∨//j//////{: : :`ヾ            ',
    /{ マ.、 / ,.イ.イ>.}/////////イ: : :/           i
    {: :、 ヾz{///: : ////////: : : /            !
    八: :\ ///: : : /:乂///イ:/: : : :〉                 ,
    /> :.y'/ /: : : : : :',: : : : : :/: : : : : :i           .ィ /|/
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         /      .ヽ'  .|  .人l     `、  . |    .\
       ./ __        .| ../  |      l   .|      ,>        大丈夫だよ、おたまさん。
      / '  ̄`ヽ      | ./ ....| .∧   .|  /       .|
       /           |/    |/~ヽ、   | ./        |         俺は平気さ。
       l                  j´-`、 .|/         .|
      l              __ ,、 ー- ノヽ.|ヽ, .     .|
      `ヽ、     ____ /  `ヽー‐'´   /-、     .|
        .|`ヽ、        /~"'''‐..`ヽ、_    .|    lヽ|
  ___  |/l/l/ヽ       |    `丶、  ̄`ヽ、l   .ノ
  ヽ     ̄ ̄ ̄~.|      .|      /  /ヽ,_ヽ__/
   `、        |      .|       /_,..-'''"‐‐、   ヽ
    `、      /.|     .|  ./ /       \  \
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773 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:42:09 ID:9VK52rQk0

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           ノ:::::::i.=ハ ヽ--- '    ヽ-- '_/ ア/ヾi,
           /:::::i:\__',     , 、   ', __>、__
            ̄7/',:::ヘヽ   , -- 、 ヽ    7: : 7
            , --ヘi---> .      .ノ   .-': : :-.、
          `' <,      ヘ>- イ_,/     ヘ: : :ヘ
             \     ::|   .|        ',: : :.',-'" ̄ ̄ 7___
               \  /-'y-'".i         ヘ: : :ヘ    _  ヘ
                -) /-、    ',         ヘ: : :ヘ /: : :ヽ、 .\
             ,.イ,ノ./       ヘ       , --': -、: : : : : :ノ    >、_
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            i   /             ',   /: : : : ≠: ',: : : : : : : : :7--、ヘ

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守るための戦いですらも、血が流れる。
誰かの生活を失わないために、誰かの生活を奪う。
奪われないために、奪う。

それが罪だというのなら、この身に背負ってみせる。
既に、兄貴分の死を背負っているのだ。少しくらい荷物が増えた程度で、
へこたれてなるものか。

「……俺は戦うよ、喜留夫さん。誰かが奪わなくていいように、俺が奪う。
背負ってみせるさ。あんたがくれたこの力に誓って」

そう、史門は静かに誓った。
夜の空には月が出ていた。その言葉を聞き届けるかのように、佇んでいた。
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774 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:42:23 ID:9VK52rQk0

                   }   }   V             /  / /
            rf:====|   |   ∨           /      /
           .{:i{:i:i:i:i:i:ii:iトミミト、}    ∨=-.._,..-- 、_/     /  ,___
            ∨,:i:i:i:i:i:i:ゝ   }     マ ̄ ヾー<:i/    / .イ_ム:i:i:i:i:i:ミ
                ∨,:i:-=     }> ´ ̄ ̄ `   ー '- 、   /´  /:i:i:i:i:/:i:}
              ∨,:i:_>   /              \ /   ⌒ノ:/:i:i:|
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         {: : : : : : :.人:i:i:i:/  /      ,:|      ハ        ∨メ:i:i:i:i:i:{<
       .У: : : : : : : : /  /   _ / |     / }     i  ∨:i:i:i:i:i:i:|: : : .<
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      〈: : : : : : :./: : :∠_ ィ vff .沁ミx  /!/´._ =ミ、    !    V:iイ: : : \: : :}
        \: : :/: : : : : : / 八 ヘ vソ  }/  ィv リ ゞハ.  ト  |\{: : : : : : :.ハ: /
       / Y: : : : : : :/ィ   \ \       ゞ''  ./ .\{: :\{: : : : \: : /
       /   人: : : :/⌒ j/{  从「        -=彡イ ! \: : : : : : : : :ハ:ノ
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    /    .ハ/       > -‐\  ヽ.> -- (\.、__|   |_    ー=彡  \  ヽ
   .'    八 ∨  r==ミ./     \ ∧=/  \ヽィ}   , `ヽ    \   \ \
  / r 、 ./ ./ヘ ∨「{ マニ.′       }ハ }/ 弋 ー -`- \ /         / ヽ   ヽ
 ./ .ゝ \/r-ヘ V ∨ニ{    y   / } /==彡≧=- '''''  \     }    /   ',
   / /「/_ノーy  ` <\  / 、_/ /   rfニ''-―      \   !  /     ',     ',
.′   /./_ゝ 二二   \ ,     ̄     ` ̄ ̄ ゝ、     Yニニニ=- _   }    }
{  {  {    `ゝ __ ィ/        .:         `ー   i__---</   }
{  |  |      _', _/_「≧x     ノ  _ -=ニi__}_ i    |ハ_  >
     ',   ,,.ィニニニi マニニニニニミx  .′ィニニニニ=---=.、/.|    ノ∧、: :\   /    /
 ',  ',  V./ニニニニニ} _}__ `'<ニヽ{/ニ> ''´ ___7/|  /ニニ}/}: : :ノ  /    /
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  ./ニニニニニニニ|ニニ/: : : : : , : : マ==-人 ノ-- ==≦. イ.〉ニ{ニニ{: : : : {: : : : :∨
  {ニニニニニニニニ!ニニ{: : : : ::/: : : /寸/ニニニ\ニニニニニ/ニニ|ニニ!: : : :.{: : : : : :}
                                                       〜また次回〜

775名無し-Red-市民-2:2018/08/04(土) 00:50:51 ID:SUKO/P3.0
乙でした。
主役のキル夫より、王道な主役してるw

776名無し-Red-市民-2:2018/08/04(土) 00:54:35 ID:SFlzKIWA0
乙です。
小学生でもなければこの攻勢から童貞を護ることは出来まい……
中学生になったら?そりゃあ、まぁ、うん、そうね……

777名無し-Red-市民-2:2018/08/04(土) 01:52:16 ID:iLOaG5W60
おつおつ

778名無し-Red-市民-2:2018/08/04(土) 10:17:17 ID:pJ9S9N9c0

ウカノミタマがいたとはいえよく勝った
しかし交渉下手かぁw

779 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/05(日) 21:20:00 ID:mKRHQHEw0
どうしよ。十五話くらいで終わるつもりだったんだけど、十五話行っちゃったね。

あと頭の中のアイデアが十話分くらいストックがある。

予定と違って多分三十話目くらいまで行きそうなんだけど、みんな付き合ってくれるかい?

780名無し-Red-市民-2:2018/08/05(日) 21:29:37 ID:pdWuVn260
もちろんさあ

781名無し-Red-市民-2:2018/08/05(日) 22:20:24 ID:5Xo8AEn.0
もっと続けてもいいのよ

782名無し-Red-市民-2:2018/08/05(日) 23:04:48 ID:ee.gxxKw0
いいですとも!

783名無し-Red-市民-2:2018/08/15(水) 15:59:14 ID:3AVN.xeU0
ズットツキアウヨー( ´-ω-)つ①①①①

784 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/19(日) 17:33:20 ID:KxrOaFRc0
ハロー、書き上がったよ。

翌日の午後九時から投下しようと思う。十日間だらだら書き溜めてたせいか100KB越えだ。

785名無し-Red-市民-2:2018/08/19(日) 23:31:52 ID:gL4m5NfI0
わーお!?

786名無し-Red-市民-2:2018/08/20(月) 20:03:48 ID:Z0.2H/Y20
楽しみすぎて火照っちまったから全裸待機

787 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:12:14 ID:/D3vOM520

    /||ミ
   / ::::||
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 |:::::::::::::::||  、 - ‐‐ -,
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 |:::::::::::::::|゙i : : : :○ ○゙i         ハロー。
 |:::::::::::::::|}: : : : : : : _ _ _l
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 |::::::::::::::(_____ノ´||
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 \:::::::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
   \ ::::||
    \||

788 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:22:03 ID:/D3vOM520

        、 - ‐‐ -,
       ,´: : : : : : : : :
      ゙i : : : :○ ○゙i
       }: : : : : : : _ _ _|        最近喜留夫が強くなってきたね。時に>>1は、チートするなら命くらいは
       |: : : :-=´_ _,´
      y' : : : : :_: : : : :i         代償として然るべきって考え方なんだけど、どうかな?
     / : : : : : : :┌─┐
     i : : : 丶: :ヽ{ .茶 }ヽ        あまりに理不尽な強さを手に入れるようであれば、喜留夫には地獄を見てもらおう。
     r : : : : :ヽ、__)一(_丿
     ヽ、___ : : : :ヽ : :ヽ         それはそうと、初めてこうか。
     と_ : : : : : : ノ : :ノ
       ̄ ̄ ̄  ̄

789 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:24:26 ID:/D3vOM520

┌──────────────────────┐
│                                │
│    第十六話『たとえ全てが敵になろうとも』     .│
│                                │
└──────────────────────┘

790 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:25:02 ID:/D3vOM520

: : : : : : : : : : : : : : : : : : :-‐― .< : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 丶
: : : : : : : : : : : >:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:..:.:.:.\ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
: : : : : : : : : :/.:.:.:.:.:.:>__:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : '
: : : : : : : : : :}:_:.:.:.:.:i{f   .ハ.:.:.:.:ィ==ミ:.:.:ハ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :}
: : : : : : : : : :}゙ メ i:.八_ _乂.:/ {{  j{:.:.:.' : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,
: : : : : : : : : j! {.:.从    7/ i|ゞ=イ }:.:.:{ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /       おお、ようやく我が合体を利用する気になったのだな。
: : : : : : : : :八j.:.::{ r   ((` "   ノ.:.:.′: : : : : : : : : : : : : : : :> ´
`  ー-=ァ:.:.:.:.:.:.ハ  ーぇ===vハ 7.:./ . : : : : : : _   -‐  ´
.    /ハ:.:.:.:.:.{ヘ   ゞー-- イ .'/.:fー‐  "
       从:.:.八∧   `  ̄´ ,:゙.::::|
   ,. : ´:抃::{.   \     .イハi从
.  /. : : : ハ八    >-=≦.ノ_
/ ̄: : : : : ::} }\      ハ: :\
: : : : : : : : : / . |   `ー-ミ .}  \: :\
: : : : : : : : : } | o .才⌒ヾオアメ }: : : \
: : : : : : : : :∧ ゝ< \:i:i:i:i:i:ハ {\: : : :.\


╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
久々に業魔殿を訪れ、ヴィクトルに会うと狂喜された。

「まあな」

「……おや、本気か? いや、それならそれでよいのだが。
さあ、素材を出せ」


地下に案内され、悪魔合体のための機械の前に立つ。

COMPを操作し、メイヴと同じ十年来の仲魔であるファフニールを召喚した。
地下空間に地鳴りが起こるが、建物自体はびくともしない。
流石はヴィクトルの工房といったところか。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

791名無し-Red-市民-2:2018/08/20(月) 21:25:40 ID:rXD5DUP60
お、お手柔らかに…

792 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:30:51 ID:/D3vOM520
思うに、この世に都合の良いものなんて何一つないんだよ。

ズルしてラクして世界最強ってのが流行ってるが、実際にやろうとすれば多大な努力と犠牲を払わねばならない。

何だって等価交換なんだ。命くらい払ってもらわないと、特別な力なんぞやれないね。

793 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:33:42 ID:/D3vOM520


            f≪_       _.厶斗==ミfp  ̄ハ_
   _ . . .-‐:=:=:}ー--===≦三___斗<二二ニニ   { : : : ̄ :_:二ニ≡
 ̄. : : : : : : ::厶_ __         __乂f====彡ニ二三三三三三
__: : : : : : : : : : : ̄三三二二三 ̄ : : : : : : : :-===≡ニ三三
三二ニ==-‐ : : : : : : : : : : :______________三三二ニ==-
三三二二ニニ====--‐―    マ.:.:.:.:.:.ィ"    Y.:.:.:.f⌒v:| ̄
         /.:.:.i i.:.:.:i{     :}i:.:.:.: i{       }i.:.:.::}fハ }:! 
           イ.:i. ∧从 八     八f.:.:八     八.:.:.:'リ ィ.:!           さあ、合体を始めよう!
.         乂ハ.:.:.i.{.:.:{ .ゞ=< ハ.:.:.:ハ =彡!i.:.:..:}/.:.::|
         )) }.: 从.:ハ        j|.:.从    从.:.:.{ハ八           新たな悪魔の誕生だ!
          八.:.:.:.:从     .∧:乂    イ.:.:..:..{∧{
         / :}/ハハ  fr.     ゛   .ィ 7j从!.:.リ :\ー .
    _>. :´ : : : : 乂∧  ゞVrー_‐‐fVア  /八((: : : \ `: : .
ニ二三/ : : : : : {   ∧  ヽ ̄_ ̄__,   .イ(  ∨ : : : .\: : `ー-
三二_イニ=- : : : : ハ.   \        /    .′: : : : :.\: : : :
二ニ/=-_ : : : : : :.∧    `ヽ    . "    ./ : : : : : : ∨: : :

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
ファフニールが巨大なカプセルへと入っていく。
もう一体の悪魔、邪鬼ラクシャーサが入ったカプセルと、
ファフニールのカプセルが鳴動し、その体が分解されていく。

そして中央のカプセルに、新たな悪魔の体が構成されていった。
緑色の閃光と共に、雷鳴が轟く。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

794 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:34:30 ID:/D3vOM520

                                 /  ̄|
                                   //   |
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     ∧              ,イ           |   / /  \{ ̄ - _
     | | :.           / |   | ̄\ __ \ \'__  |         ― 、
     | | ∧    ,   ∧  _/ |--__、-':./r=-、\ /\_j_   O      |
     | | ∧_  ィ、 __|-- ¨,イ // _,.ノ:.:.:.-/ /' ̄ ̄\  | i! |        /\}
    {⌒\/!  {/ >´{ ̄\/  /:.:.:.:.:.:.:/ /  _    ` 、_|、___/,'  ∧
     \ l 」-// , /-==イ   {:.:.、___:.:| ̄| / \       \:::::::::::{ |   ∧\
      ∨ {/ / ,.イ}[二二_ノ  ∧:.:.\:.:.:.|  /--、  \     /`¨ヽ:::| |    {\ \
       ー|∨  {斗rイ ̄\__/}:.:ヽ:.:.} ̄∨,イ:.:.:.:.:.}/ |    /  /-::|_|_    \`¨ ̄
         ∨\__/::| l|::---/:::/}/:::/`:::/:.:.:.:.:/|_/--- ´ \/:_:.:\ | |\   ∨、 ∧
          `¨ T:::::|/:/ |/ |:/ |/::/:.:.人{:.:.:.:.:/::::::::Tー----- ´:.\:.:.:.、:ヽj  ト.   ∨ /  :.
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                  { ー'   O \j\__/¨ 7-r:.r- r-'´    乂:,.. -―‐\ ∨\\/// |
               \ \/ ̄ \:\:.\{:.:.|: |:.:.:|_       ∧___}∨| ̄ \ ´   ;
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             / l!;====||!_//::::\:.:}_|/\:.:/\::}:///{:::∧ Y:.:.l_:.:.:.:.:.:|// |   /  /
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            /  /    /:.:.:.:| ̄}    /  | |:::::::::::::/   \__{:.{:.{:.:.r':.:.:/:::!/// } /: : |
         /  /  r Y:.:.:.:.: 乂_」_  ∧}'  | |_,..r=={o       乂_ト、{_,イ:.:.:|//|//: : :.:|
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:、     /: :} {   //:.:.,::':.:.:.:.:.:.:.:.-|- '|    ,| |:.:.:.、_:.:.:`¨´ ':..  ∧||////////j:___/
 \   ': : :./  |__/イ:.:.:.:.:.,:.:.:´:.:.:.:.: |--|、  / /:.:.:.:.:.:.:.:\:. ∨ 、  Ⅵ/////|//{   |
   \ l: : __{  /__!:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|--|、\,/ /:.:.:.:.:.、:.:.:.:.:.:.,:.:.∨ :.  \////|//|   |
    \: {  \_|:.:.:.:.:{:.:.:._,.....----|  | \{ /---‐ ´∨:.:r、:,:.:.:∨ ',  `T¨T¨´l|   |

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
現れたのは、予定されていた悪魔とは違う姿をしていた。
ファフニールを思わせる機械の装甲に覆われた巨躯は、人とも悪魔とも
つかない姿だった。

「お、ヴィクトル。これは?」

「ふふ、この前の合体事故から得たデータを使った新技術だ。
長い年月により霊格に刻み付けられた記憶を紐づけし……」

「馬鹿にも分かるように言ってくれ」

「ファフニールの人格と力を八割ほど残した悪魔を作成した。
いわば純粋な強化、霊格の格上げ、人為的な変異だ」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

795 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:34:54 ID:/D3vOM520


                      ト
                      | ヽ
                      |  :.
                      |  :.
                  |、      ,:.|  ∧         ,.イ
         \:..、    {:.:.:.、   /:.:|  ':i∧        ,' |
          \:.\_ ∧:.:.:.\ ̄`Y'  |:i:i:| ∧    /  |
           、ト、:.:../  \_>、{  |:i:i:| /:.:.:.、  |   |
     ト      | \'   /   _,.-\ |:i:i:|_,.--、}!  |   |
     { \-== 、|   \   /  〈.  \__|ヽ  `Y^l  |
.      ∨∧--、:.:.、  / ̄ ̄\   \ ∨| |.   }--r '
      -=∨∧:.:.:.:.:./ ̄`ヽ     、    ∨ | |∨_ノ:.:./
   、____∨ ` T {    }、     \   ∨ | ト、}:.:.:.:/
     \:.:.:、\_,.--r、__ノ \ {:::、   、___ノ } |\/_         __
     _\:.:.:.:.:.:.:._| |  ,.- 、(rソ:、     / 〈、   |        / ∧  //       ……我は龍神ヴリトラ。
   ,......::.:.:.:. ̄ ̄:.:.:.:| `¨´/ヽ ` ̄ `¨ 、__/_  〉} / ̄ヽ     / /  Y´ ̄
   {/ ̄ ̄ ̄>、_,/|   /|:::::∧  r 、 「¨:::::::::::}/| //////|      '      ! ___        この力、汝がために振るおう。
__,〈  \     /// ≧='/j\::::::. | :::::::::::::::::::: |::|'|/////イ、   /      /
    |l    \  {--イ|/// |:::::>::Ⅵ:::\::::::::::::乂////:.:.:.:.://\/     ,             我が主、加賀喜留夫よ。
    |       〉 |/:.:.:. ∨//|\ ::::::::::::::::: `¨¨¨´|////:.:.:.:.://///∧   /
    |     / /∧:.:.:.:.:∨/|//\:::::::::::::::::::::::::::////:.:.:.:.:./////// 〉 ,:'
   /从 ̄_,/\∧:.:.:.:.:∨|////\:::::::::::::::::::////:.:.:.:.:.////////|
  ,':\:.\\|  \',:.:.:.:. Ⅵ///// `77777////:.:.:.:.:./////////{       _
  ∧:.:.:\:.\|_    ',:.:.:.:.:.∨、/////////////:.:.:.:.:.//>  ̄ _}_乂____/  \
\_\:.:.:\:.| \__〉,:.:.:.:.:ヽ \_////////:.:.:/´  _/ \/{: : : : :|
   }: :\:.:.:.:|       \:.:.:.:}   \_,..ィ≦{:./|_,.ィ⌒Y    }\ー: : :\
   / : : : \/  | ̄\   \:|______//__/   /i:i:i:ij\   |  {: : : : : :\
 /: : : : : : :\ !i:i:i:i:i|\_/    |___|/⌒}  /i:i:i:i:/   \/  /|: : _: : : \__
イ: : : : : : : : : : :∨マi:i:iム    ̄ ̄ |     \o| /i:i:i:i/    ∧ / |: : : : :`ヽ: : : : :
【龍神ヴリトラ Lv57】

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
ヴリトラが渇いた金属音を鳴らしながら、喜留夫に傅く。
雄々しい竜の戦士は、まっすぐに喜留夫を見つめていた。

「ああ、これからもよろしくな」

かなり大きな手を握る。
背の丈は二メートルくらいだろうか。これくらいなら事務所にも入れられる。
食器を増やさねばならないな、と喜留夫は考えた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

796 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:35:18 ID:/D3vOM520
〜TIPS〜
                   ∧
                   | :.
                   |_{
          ,.. --- ――| r-|、
       ∧ `7       | ,i:i:} ヽ ∧
       { !__/_      |〈:i/ r}_} ;
       乂_ ) ●   {__/●乂__ノ
       <_{   ,.-、  、__,. r、 |    /〉
    〈 \  /|/::|/:::::::\{:::::::::}/::}/  / '/
    \ 〉'{:.イ|:::::乂_____ノ|,.- ' ⌒ヽ
     / ⌒ヽ\:.:.ヽ:::::::::::::::::/:.:/{      }
      {   ___} \}二二二{/ 、____ノ
     /__/{: : : :}|  | |   |{Y} | |  }: : : |、_\
    <| ̄|: : : ノ:、 マム  j   ,'/ _/|: : : | ̄|>

【名前】
ヴリトラ
【種族】
龍神
【レベル】
57
【属性】
Light-Chaos
【相性】
電撃反射 破魔・呪殺無効
【能力】
力-A 魔-C 体-A 速-A 運-E
【スキル】
地獄の業火 ショックウェーブ 空間殺法 アイアンクロウ チャージ 雄叫び デスカウンター
【備考】
喜留夫の仲魔。
喜留夫にファフニールが打診する形で悪魔合体を行ったところ生まれた悪魔。
ファフニールの鋼鉄の体を受け継いだ竜人の姿をしており、身の丈は二メートルはくだらない。
ヨシツネにも劣らない高速戦闘と大火力の魔法攻撃を得意とする。
ヨシツネと共に前衛を担当する。

797 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:35:38 ID:/D3vOM520

         ///////////>.:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
.        ///////////.イ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
..    /////////////.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.>=ミ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:
   //////////////.:.:.:.:.r=ミ{.:.:.:{{えrォリハ:.:.fハ:.:.:.:.:.:.:.:.
  .イ//////////////.:.:.:..:.{{: : :从:.:.ゝ--イ 八.:{ri{.:.:.:.:.:.:.:.:
 ///////////////.′:.:.:.:从ー〈 乂:乂    }:ハ/.:.:.:.:.:.:.:.:       で、対価だが。
.////////////////i..:.:.:.:.:.:..∧  ヾソ       从!.:.:.:.:.:.:.:.:.:
乂//////////////,|.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ r r== ー ヽ 从.:.:.:.:.:.:.:.:.:       「おい、料金は取らないのが業魔殿の合体だろうが」
  ` ー‐ --------ノi:.:.:.:.:.:.:.fくハ   ̄ ´   イ  }ハ.:.:.:.:.:.:.
            从∧(乂  .∧     イ  /.i:{乂ハ:.       まあな。材料を提供してもらっている以上、私への報酬は
                   ィ//,ゝ _.ィ"> ´/.i: イニニ`ヽ:
                /,//// ノ<f⌒ヾ./イ ./ニニニニ-\      実験そのものだ。つまり、お前には実験に参加してもらう。
               /.//// }ニニ〉rく  .:/ニニニ=-<ニ
           ,   ´./////  ノニ_イ   .::/ニニニニニニニ.`ヽ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
その後、喜留夫は拘束されて怪しげなカプセルに入れられていた。

「待て! 待ちやがれ! これ明らかに人体実験だろうが!
俺はデビルマンになる気はねえぞ!」

「落ち着け。私がしたいのは合体だけではない。これは特定の基点間の
瞬間移動、転送の実験だ。原理は……まあ、説明しても分かるまい。
とにかく、これからお前を東京にある私の予備の工房に転送する。
いいな?」

「いいわけあるか!」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

798 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:35:50 ID:/D3vOM520

                        ____
                  /      \
                      /           \
               / (●) (●)  u \       やめろー! ジョッカー!
                | (トェェェェェェェェイ)    |
                    \ \ェェェェェ/    /       ぶっとばすぞォー!?
                  ≧=‐- -‐==≦久
                   V´-──=ニニニ三}
               >i⌒ヽ─=7⌒ヽニニハ
                /,'∧  マニニ=〉   }=ニニ\
                /'´/,' 乂__}ニニ弋_ノ=-‐くヾ\ヽ、


╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
カプセルが震えだす。
周りに雷光が走り、喜留夫の体を光が包んだ。

こんな、こんな変てこな死に方をしてたまるものか。
何とか脱出しようとするが、ぐるぐる巻きのロープは外れない。

「畜生ーーー!! 末代まで呪ってやるーーーー!」

喜留夫は叫びながら、光の粉へと化した。
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799 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:36:04 ID:/D3vOM520

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    \   ./                \   /
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800 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:36:15 ID:/D3vOM520

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                             │ :: │
                             └─┘

                               ┌┐
                               └┘

                                   □

                               ・

801 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:36:29 ID:/D3vOM520

                      {ll}rf(⌒}lk
        ____         {l} ヾl) ,ノシ′
      /u     \        .lj   lj´
     /     u  \      O   O
   / U (@)|l|l|(@)   \
   |    ───── u |
   \ u            /
    /            ヽ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
喜留夫は狼狽し、とりあえず仲魔たちを全員召喚した。
三人集まれば文殊の知恵ともいうではないか。
とにかく、こういう時は相談だ。

召喚された仲魔たちも怪訝そうな目で町を眺めた後で、顔を突き合わせた。

「三津井市って電柱に書かれているわね」

「うむ、この町並みには見覚えがある」

「ねえねえ、悪魔の気配がするよ」

「あれだ、ゴーストタウンってやつ?」

「あっち側に大勢の人の気配、あと至る所に悪魔の巣があるね。
というか、ここ異界と人間界の壁が壊れてるよ。魔界との壁に大穴が
空いて、悪魔が入り放題になってるって感じ」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

802 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:38:37 ID:/D3vOM520

       ____
     /     \
   /         \
  /  u.  (ー) (ー)\      とりあえず、人のいるところに向かうか。
  |    (トェェェェェェェェイ) |
  \   \ェェェェェ/ /
  /           |

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
パイモンの案内の下、人の気配がある場所を目指すことになった。

しかし、この場所はなんなのだろうか。
三津井市であることは確かなようだが、それにしてはおかしい。
どこもかしこも廃墟同然だ。窓ガラスは割れ、建物にはひびが入り、
あちらこちらに焼け跡がある。

それに人がほとんどいない。通行人など皆無だ。

「別次元の三津井市、もしくは平行世界の三津井市かも?」

「どういうことだ、そりゃ」

パイモンが空気をかき回すかのように指をくるくると回す。

「今過去視で調べたけど、どうも昔大きな爆弾が落ちたみたい。核ってやつ?
僕らの歴史では日本に核が落ちたのは別の場所で、もっと昔でしょ?
でもこの大惨事は最近起こったみたい。三年前くらいかな。
だから、僕らの世界の三津井市ではありえないことなんだ。
分かりやすく言うと、核が落っこちてきた歴史に吹っ飛ばされてきたってこと。
もしかしたら、核の影響で魔界と人間界の壁に大穴が開いたのかもね。
大勢の悪魔がこぞって人間を襲ってる光景も見えたよ」

「なるほど、分からん」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

803 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:39:57 ID:/D3vOM520

                         _                _
      ト                イ _/\ii}__             /  \--、
      | 、               /l|´_     \l}            ∨   ∧ \
      | \     r―--{ ̄l| |_  ̄ ̄\_>         |\_ ∨   ∧  |
      |-、 ∧    ,.'-  ̄ 7:.| |:.:.イ__ ___|{    _   __}/ |   ∨  __}  |
      {:i:i:i:、 |  / ,.---{  ̄_乂―== }  | ̄ | Y: : : : `´: :/  ∨   ∨ {i:i\ {
      乂:i:ノ |≦_/ __  _/\:.:.:.:ー:.:ァ\l   |  |: : : : : }: : \  \  ∨、i:i:i:} 、
        Ⅵ/  ,ィオ ,....、_〉 \ ̄ ´     }_|: : : : ,:': :/::/` ー-、   {∨∧ \
     ー=ニ乂__,.ィ-:::、 |:::::::::;:::、  \__,.---、_ノ、: : :_,..ノー '{__{     \/////   \
         \乂::::::}/:::::イ:::/\__/|___|_/ ¨       `ヽ、__/: : }_////\   \
            |_|}/¨´::::\::///|:.:|///|:.:.:.:.|: : |           {/: :/_ノ: :〉 ̄ \\   \
         | ̄| | 、\ ̄ ̄///l|:.:|///|:.:.:.:.|: : |            {/¨、:__:,: {、 \  \\   \
         |  | |==、:.∨/////l!:.:!//}:.:.イ-== 、            `ー=_ノ \ \  \\   ∧
         |  | |rミ \\///∧:./ 、/____/-イ:ム ___            \ \ ∨ ∨  }
        _|  | |/  /\\///∧/:i:i:i:\_」: :|:.|/\ ////∧            \ \}  |  /
          / |  |/_ ,\ {\__//\ ̄/===/   \∨//〉             ∨ | /イ
       {i:i:|_r: _つ: : } / ,\_,イ____/\\__,\   \/\              : /イ
        乂:i:iY: ノ:Y^})/ノ:i:i:/ | ∨//|   { ∨: : : :\__\  \              /イ
         \`7777/\:i:i:イ  | ∨/l!  ∨: : : : : : ://\¨\  \
            / / / /--- ´   |  |--|  /|: : : : : : / ̄ \ \ \_\_
         / / / /       乂,.|--、イ  |: : : : : / / /  、 〉--、 ̄   \

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話をしているうちに、悪魔の群れが喜留夫達の前に躍り出た。
話し声を聞きつけたか、匂いを嗅ぎつけたか。

「肉! 肉がきたぞ!」

邪鬼ウェンディゴの群れだった。数は十六といったところか。
白い巨体にぎらついた赤黒い目という威圧的な風貌だったが、
今の喜留夫達の敵ではない。

「セラフ、ヨシツネ、ヴリトラは前に出て押さえつけろ!
後は俺と一緒に後方で援護! パイモンは支援しつつ後ろを警戒しろ!
囲まれるようならセラフを回す!」

セラフとヴリトラが空に舞い上がり、ウェンディゴの群れへと突貫する。
漆黒の翼が薙ぎ払い、銀色の爪が粉砕する。

恐怖で動きを止めたところにヨシツネが突っ込み、魔力の足場を利用した
高速移動をしながら一体、また一体と首を刎ねていく。

散り散りに逃げようとするところに銃撃をお見舞いし、足の腱を撃ち抜く。
倒れ伏したウェンディゴに、メイヴの電撃が落ち、蒸発させた。

次々と倒されていくウェンディゴを尻目に、群れのリーダーらしき
一際体格の大きいウェンディゴが喜留夫に建物の陰から飛びかかってきた。

指示出しをしている者に狙いを定めてきたようだ。

「いい度胸してんじゃねえかオラァ!」

振り下ろされた鉤爪を避け、地面にぶつかったところに頭にサッカーボールキックを見舞う。
さらに腕を掴み、鳩尾に膝蹴りを入れ、右手で短刀を抜き二度、三度と振りかぶり、
乱暴に突き刺し、抉る。
よろめいた隙に顔面にしこたま拳を叩き込み、倒れ伏したウェンディゴを踏みつけ、
銃を突きつけて引き金を引いた。破裂音と共に血飛沫が地面に広がる。

「うわあ、えっぐい」

「戦い方がチンピラそのものよね、相変わらず」

「うっせえ」

小言交じりに殲滅を終え、喜留夫達は探索を再開した。
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804 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:41:13 ID:/D3vOM520

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人の気配があるという場所に辿り着くと、そこには地下鉄にも似た
鉄とコンクリートの入り口があった。

「僕たち引っ込んでよっか。僕らが出てると、喜留夫も悪魔に間違えられちゃう」

「余計なお世話だ」

しかし、パイモンの言うことももっともだ。
これだけ飢えた悪魔が闊歩する世界だ、悪魔への恐怖や敵意も並々ならぬ
ものだろう。

ここは悪魔たちをCOMPに帰還させておくのが得策と見た。
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805 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:41:30 ID:/D3vOM520

    /::://:::! /-=、 ,// u / _,,.-ゝ. 「ヽ l    ! , l
   /::_;イ-‐=レ'==ミ"   '∠-==ヽl=ヽlヽ  レ'レV
 /::::::::..、   o   ,≡:::::::〈、  o   ,  :|│ リ '
 ::::::::::::::::: ` ー--‐ '´三 :::::::::ヽ`::ー-‐:'.´   |│ l
 :::::::::::::::    ニニ  ::::::::::::::ヽ::::::::: U  |│ !       だっ、誰だっ!
 :::::::::::::::U  ̄ ̄   U::::::::::::::::ヽ::: u   |│ .l
 ::::::::::::::::   U    r‐:::::::::::::::::::::ヽ.    Lノ  |

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入り口の中には見張り番がいたらしく、怯えた声が聞こえてきた。
見れば、のぞき穴が扉に空いており、そこから銃口が覗いている。

喜留夫は両手を上げ、降伏のポーズをした。

「あー、俺は加賀喜留夫。悪魔が化けた人間じゃねえよ。
エネミーソナーあるか? それで判別できるはずだ」

「どれどれ」

見張り番はやけに素直な反応を返してきた。
こんな見張り番でいいのか、と喜留夫は心配になる。

「……確かに人間だな。しかもその武器……デビルバスターか。
制服を着てないところから見てフリーのデビルバスターだな。よし、入れ」
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806 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:41:46 ID:/D3vOM520

      /.:.:.:.::::::::::::::::::::::::.:::.:.:.\
     /,.:::::.:.:::∧::ト:::::::::::::::::::::.:.ヽ
     ´ /.:..:;イ::/: l::!ハ:∧:::::::::::::::::|
      /::イく`く   ,斗匕xヘ:::::::::::::|
.       ´/|==`ei i!===e==:::|:rx::::::|
.       |`ーァ':::: `ー ' u:|:|n|:::::l       ふう、ひやひやさせんなよな、ったく……。
       !/.::::__, u   .:::::|:|り::::::l
       └'に二..つ .::::,.:イ: :::::::::::l
         ',  ━  .:::/.:/::::::::::::::::l
.        ∧  .:::/ .:/:::::::::/\:::l
.         /.:.::ヽ.:ィ゙_,, ィ/:::::::// >l
.      イ.:.::::xf='´  /::::// /::`
      /.::://| _,.=7:// /::::::::
【人間 伊藤開司 Lv10】

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「俺はここの見張り番を任されてる、A中隊の伊藤開司だ。
どうせあんたも、他のシェルターで何か厄介事起こして追い出された口だろ?
ま、面倒事はここでは起こさないでくれよ」

伊藤開司と名乗った男は勝手に納得しつつ、喜留夫を門の中へ通した。

中にはエレベーターがあった。
ちょうど上ってきたエレベーターから人が出てきた。
見ればアサルトライフルや手榴弾などで武装している。
無線機も装備していた。ちょっとした兵隊だ。

「おう、開司。交代の時間だぞ」

「ああ、頼む。俺は新顔にシェルターの案内をしてくるぜ」

「新顔……ああ、そこの人相が悪い奴か。他のシェルターから追い出されたか?
まあ、どこも食い扶持に困っているからな……ようこそ、第五シェルターへ。
こんな時代だ、助け合っていこう」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

807 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:42:06 ID:/D3vOM520

                         ┌──────┐
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                                   □

                               ・

808 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:42:36 ID:/D3vOM520


    /  / /\/ /\\\
    |///| /\l| |l/  \|\
        |=== |  ==== ||⌒|
        |ゝ ゚// ゝ ゚ ノ  ||.6|
        | // u   ̄/  || |           ふう、疲れたぜ。
         ( __っ   / u  ||_ノ\
        |―――――   ||   |\
       /ヽ  二     /|  /ヽ \
   /|二二 / ヽ       /  | /  |二二二\
 /  |    /  ヽ    /    | /   |
    |  ./   ||ヽ /      |/|  |
    | /   ||  \       || |   |
      / / ||   \__/ ||/\  |
     //               \|

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
エレベーターの降りる時間は長かった。
時間つぶしがてら、喜留夫は開司から情報を引き出すことにした。

「なあ、過去の資料を見れる資料室とかないか?」

「あるだろうけど、そこそこの権限がねえと行けねえよ。
つか、何が知りたいんだ?」

「歴史、かな」

そこで開司は呆れた顔をして、喜留夫を肘で小突いた。

「馬鹿だな、歴史もクソもあるかよ。何年か前にトールマンとかいう野郎が
核をぶち落として、日本はこの有様だ。町中廃墟、悪魔まで溢れかえって、
今じゃ世界中がこんな感じだ。生き残った俺らはしがないシェルター暮らしって
わけよ。以上、終わり」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

809 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:46:04 ID:/D3vOM520

..      ____
     /     \
.  . /  (●)  (●)
  /  (トェェェェェェェェイ)\      SFだ……。
  |    \ェェェェェ/  |
.  \           /
.   ノ          \
 /´             ヽ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
エレベーターが到着し、扉が開け放たれる。
無菌室らしき部屋に通され、防護服姿の何者かに軽く身体検査をされた後で、
ようやく居住区へと通される。

居住区は、青と白の二色だけの広大な地下空間になっていた。
四角い豆腐のような家が立ち並び、奥には他に比べ大きな建物があった。

「ここが居住区だ。奥の建物は第五シェルターのデビルバスター統括所だ。
あそこに詰所やら何やらもある。右に行けば商業区、左に行けば工業区だ。
まずは統括所に行くことだな。あそこは役所も兼ねてて、戸籍登録やら
何やらができる。家の手配や食事の配給も受けられるようになるはずだ」

「はずだ、ってなんだよ」

「審査がある。昔はなかったんだが、最近では仕方なくな」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

810 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:46:44 ID:/D3vOM520

             -―-
          /      \
         / (●) (●)
       |    トェェェェェイ   |
       \    ∩ノつ   /
     .  /   γ ノ  \
       { ヽ_/  }   _  }
        ヽ__/、 ̄  /
        ヽ       ̄ 「
          |   |   |
          |   |   |
        (__ハ__)

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
統括所に向かい、白い作業服姿の男を二人引きつれた役人らしい
ダークスーツの男の審査を受けた。

「あなたは相当な実力の持ち主のようですが、もしや元テンプルナイトですか?」

「ん、まあ、そんなところだ」

テンプルナイトという聞き慣れない単語が出てきたが、とりあえずそういうことに
しておいた。

「メシア教本部での快適な暮らしを捨て去ってでもこの第五シェルターへ
来てくれたこと、感謝いたします。よければ正式にここのデビルバスターに
なりませんか?」

「いや、遠慮しておく。組織に所属するような柄じゃなくってよ、それで抜けてきたんだ。
でも、ここが悪魔に襲われるようなことがあれば、俺も戦う。
今はそれで勘弁してくれねえか」

滅相もありません、とスーツの男が頭を下げる。
どうやら、この世界では喜留夫程度の力でも、実力者として扱われるようだ。
いや、元の世界でもそこそこはやれる方だったが、葛葉雷堂やウルフウッド、
閻魔哀に比べれば猟犬と狼程の差があった。

先程の開司という男も、街の入り口を守るという重要な役の割には弱かった。
人間が力をつけることができないような状況が作られているのかもしれない。
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811 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:47:10 ID:/D3vOM520

    //: : : /: : : :/,: : : : : : : : ,: : : /: : : : : : : : : : ::``ー-,‐
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  l| |: |: :{ |/冫==|: : /___|/-/ノ≠ニ弌: :`: : : :|_: : : : l`ーヽ
    ヽ{| ||: : |{ 仁ヽ|: /  ̄`__..-=≠ヽ.  |: : : : : / |: : : /
     `ヽ\ ',└┴lヾ    ´_{‐-'::::} ミ |: : : :ノ } l: : /
        `、|  /       ̄`¨ ̄ /: :/ /:/
         `、ヽ.         /-‐'´∠´: : /
          ヽ `_          ノ / /レ
           \ `二‐ 、    , '   '/ノ}
            \    _ -    ィ戈 彳
   ___ -‐== ̄r≧≦二_-─=彡冖 : : ト、
  / :/: : : : : : : : : : |: : : : : : :| | ̄∧: : : : : : :l: : ヽ
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【人間 枢木朱雀 Lv24】
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市民IDの登録と当分の住居の手配を済ませてもらい、統括所を出ようとすると、
一人の男に出くわした。

細身の青年だったが、武装は立派なもので、剣と大口径拳銃を腰から下げていた。

「……新入隊員かい?」

「いや、ただの客さ。あんたは?」

「僕は枢木朱雀。A中隊の隊長を務めている。
見たところ、君も戦う力はあるようだが、デビルバスターではないのかい?」

「フリーなんだ。組織に属せるほど律儀な性格じゃなくてな。
雇われの方が気楽でいい」

「そうか。属する場所は違えど、悪魔を討ち人々を守るという使命は同じだ。
共に頑張ろう」

どうにも堅苦しい青年で、喜留夫は好きになれなかった。
軽く手を振り、統括所を後にする。

まずは用意してもらった寝床へ赴くとしよう。
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812 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:47:57 ID:/D3vOM520

       ____
     /     \
   /         \
  /     (ー) (ー)\     ……静かだ。
  |    (トェェェェェェェェイ) |
  \   \ェェェェェ/ /
  /           |

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手配された住居は、他と同じ四角いキューブ型の家だった。
内装も白一色と殺風景で、設備もトイレに台所と風呂、間取りは居間と寝室のみだった。

何もないフローリングの床に尻をつけ、無意識にCOMPを起動しようとして、やめた。

生体マグネタイトを感知する警報機の類があってもおかしくない。
大体のCOMPには生体マグネタイトを感知するセンサーが搭載されているのだが、
そのセンサー部分に似た部品のある警報機のようなものが、天井の火災報知器の
横に設置されていた。

メイヴやパイモンたちの声が聞けないのは、想像以上に寂しかった。
自分の生活がどれほど仲魔たちによって彩られていたかを痛感させられる。
彼らと過ごす時間は、既に喜留夫にとって人生の一部に他ならなかった。

仲魔のいない自分など、そこらの野良犬と大差はない。
飢えて彷徨い、野垂れ死ぬだけだ。

あまり長居はしたくないな、と物思いに耽りながら、喜留夫は堅いベッドの上に
体を横たえた。
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813 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:48:14 ID:/D3vOM520

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         └──────┘

                           ┌───┐
                           │::::::::::::::::│
                           │::::::::::::::::│
                           └───┘

                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘

                               ┌┐
                               └┘

                                   □

                               ・

814 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:48:34 ID:/D3vOM520

         ____
       /     \
.    /       \       「なんだよ、大災害前の金じゃないか。マッカないのかい?」
.  / /) ノ '  ヽ、 \
  | / .イ '(ー) (ー) u.|     マッカ……確か昨日の悪魔が幾らか落としていたな。
.   /,'才.ミ)トェェェェェェェイ)/
.   | ≧シ'ヽェェェェェ/ \     
 /\ ヽ          ヽ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
シェルターでの生活は難航した。
まず第一に、食い扶持がない。流石にどの世界でも働かざるもの食うべからず
の摂理は同じであるようで、生活には魔界の貨幣、通称マッカが必要だった。

配給の食事は一日一食、味気ないゼリーやらミキサー食やらが配給所で配られていた。
つまり飢えはしないが腹は満たされない。

十分な食事や生活雑貨を手に入れたければ、商業区で統括所お抱えの
店や個人経営の店で買い揃えねばならなかった。
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815 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:48:50 ID:/D3vOM520

       ‐、――-、,,.. -――‐;:‐
       >           ̄<
     -=ニ                 `ゝ
     ∠´   ,.ィ  ハ          `、
     /   / | ./ ヽ  ト、       |
     lイ /''-ニ|/、 r‐\lニ\! __   |       そうか……家族も友達も全員悪魔にやられたか。
       'l.イ| ==。、i '"==。== l. l"l|   |
         |l| `ー'/  u ー‐''" | |"l|  |      ま、俺でよければある程度の力は貸すぜ。
         l || U/       lj  |.|ソl   |
        ! `|/_,. - ヽ v'    l!-'′   |      金は貸せねえがな。俺が借りたいぐらいだ。
        ,l  ヽ ヽニニニ二)  /|   |\. |
    _,,.. ‐'''"~/lヽ  ≡  /  |   |  |~"''
    | |  / |  \  / u レ!  |   |
     | | /   レw、  l´      |  l    |


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伊藤開司とはちょっとした知り合いになり、物々交換だったり情報交換
だったりをするようになった。

喜留夫は自分の家族や友達が悪魔に殺された次第を話すと、
伊藤開司は黙って話を聞いた後で、肩を叩いてきた。

一人でも信用できる人間がいるというのは大きい。
伊藤開司は自堕落な一面があるものの、裏表はなかった。
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816 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:49:14 ID:/D3vOM520

          /. : : /. /. :`ァ一:r一!:{: : : : : : ヽ
         / . : : :/: : :/. : : :/. : : : }: : ト、\: : : : : }
          { /. : !: : /. : : :/. / . :/./. :}: : トl: : : : : l、
         〉: l: : :l:ト、ト、 : : l L: イ:/7イハ: l: : : i : : トl、
        ーイ: {: : :トl ,>ミ、: :トl ノィ=ァくヽ」: !: : : }: : :}
         {: :ト、 : V {㍉ハ!  ´{rfk」} }/}: : :ハ : /           気にしないでくれ、これもデビルバスターとしての務めだ。
          ヽトlゝ、ト、少' }  ″`¨¨¨´ ノ-イ /:ノ
            ノハ   '、        /.イ: {
              '、  ,_       / }: :l: L、
                 \  ‐`      ∠.ノ:斗 イ
               rfハ、_ . -‐r 二 rk¬ ´ l
               ト} } lーrー┤i rfYト!   /
               k| | } |  | |、__」 レ ァ  {、
               }イ !イ、l  | |\h f'´  / ` ー-  、_
    , -‐─一 、、ー‐‐ ´ } }.」 7゙¨¨} }  l l   /
   { /ノヘ、   V     ノ |  {   { {  | |

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枢木朱雀も何かと自分を気にかけてくれた。
弾薬などの物資を分けてくれたり、危険な悪魔の出没地域を教えてくれたり
した。

「君のような力のある人間が人々のために戦ってくれている。
それだけで、君を助けるには十分な理由だ」

自分より一回り若いくせに、殊勝な面もあるものだと喜留夫は感心した。
三週間も経つ頃には、軽い雑談を交わすくらいの仲にはなった。
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817 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:49:53 ID:/D3vOM520

         ____
        /     \
       /         \
     /     (●) (●)\         これくれ。
      |    (トェェェェェェェェイ) |
      \   \ェェェェェ/ /          「1000マッカね」
     /       __|___
    |   l..   /lディスエイクl         ぶちのめされてえか。
    ヽ  丶-.,/  |__      _|
    /`ー、_ノ / ̄ ̄ ̄ ̄/         払っても250マッカが精々だ。

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最初に手に入れたマッカが底を突いたので、許可を貰ってシェルターから出て、
周囲を探索し金目の物を探し回った。

無論、人を襲う話の通じない悪魔は殲滅した。
話しの通じる相手には交渉を試み、金品を分けたり分けてもらったり、
情報を交換したりした。

遭遇して情報交換した悪魔が喜留夫にこう告げた。

「悪魔使いのあんたに良いこと教えといてやるよ。
シェルターにも特色がある。トウキョウのシェルターの奴らは生き残るためには
手段を選ばないって奴も多くてな、悪魔使いもちょこちょこいる。
だが、ここのシェルターはダメだ。悪魔への恨みが強くて、悪魔使いへの
迫害も激しいんだ。あんた、第五シェルターで暮らしてるんだってな?
あそこも同じだ。悪魔使いだってバレた途端、目の色変えて殺しに来るぞ」

「なんでそんなに悪魔への敵意が強いんだ?」

「ここいら一帯は魔王モロクの縄張りなんだ。
そいつが三つのシェルターの人間を食い散らかしてな、
生き残りからは相当恨まれてるらしい。
トウキョウとかと比べて、ここいらの人間は弱っちいからな。
他の地区のシェルターより被害が大きいみたいなんだよ」
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818 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:50:21 ID:/D3vOM520

!   |l | |,.>',ニ_ヽム'~l!'´|i!| !/,/ // /,ハl  /  |    ノ  | ''
|   ハ ヽ/ | Vrォゝl!ヽi| 'l!|/‐/-/ 、//! , / !  | / /   |/
|   | |!∨ ハ ゞしjイ! ヾリ!//'_/_//, \/ /!/ / !/ / /   l
|    ハ| { lヘゝ二ノ      〃,. ‐/メノ\ , ,イ/ / /     !
|   / ハ ゝニ、、           ヽ弋テノj|ノイ / ' / / /    !
| |  ! / . ヘ `冖''             ー   レ'  / / / /    l       悪魔と人間……ね。
| |  ! /  ハ      _          イ/  / / / //    |
-人 |! γフ\    `      // /  /|/ / /     |       私からすれば、そう違いはないのだけれど。
  \ノヽ!ヽ 「ヽ!\       __ イ! /    .イ / /  ,イ|     |
  ノ L___ `ーj V ノ ̄ノ、j ̄!._ ノ レ'   / | ノ´| / |     |
  V´ 〆 , イ / `ーγ" / , '  ,. イ|γ´  _|   |       |

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メイヴが呟き、それに皆が頷く。喜留夫も同意見だった

「人間にも悪魔にも、心がある。悲しみもすれば怒りもする。
優しい奴もいれば残酷な奴もいる。人間と同じだ。なのに、どうしてこうも
壁ができちまうんだろうな」

「力の差、じゃないかしら。私たち悪魔は、人間に対して絶対的な力があるでしょう?
結局人間も、人間だけの力では悪魔に対抗できないから、悪魔の力を借りる
デビルサマナーという概念が生まれたわけだし。
他の悪魔に害意があろうとなかろうと、一部の悪魔が暴虐の限りを尽くすことで、
悪魔全体が憎まれる。ごく自然な流れだわ」

一部の行為によって全体が憎悪の対象となる。
これもまた、人間社会でも見られる現象だと喜留夫は思った。、

悪いことをして、割を食うのはいつだって本人ではなく周囲の者たちだ。
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819 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:50:52 ID:/D3vOM520

        /.::.::.::.::.::7,斗‐.::ァ .:7.:://{::{::.::.::.::「:.「::.::.:ト、: :.:.}:.:.:i i::. ヽ:.ヽ:}
        {.::.::.::.::.:/ {::/.::.:/ .::/.:/{lァ≠㍉::.::.{::.l: ::.:::!: : :!::l:. :.} :}::}.: ::.ト、j、___ノ
        l::.::.::.,::/ l::.!::./ .:./.〃′,rff㍉ヽ、ト、}、::.::|: .::.}::} ,イ.::,:イ: :. :.V¨¨¨´
        {::.::.//  {::l::.!: ./V   {{ィfトイV㍉、, }::.::}::.://厶}ノ.::}::.::}::.「´
       メァイ/    Vヘト、{    、__゙f竺シ_,  '_ノ_:./.:厶广/.::.::/.::/.::/
      /{ {/.:{ __   ヽ. ヽ.      ̄ ̄`   ノイL} ゙V.::.::.イ::.//
.    /   Vハ/  }  / \ ヽ            マf」 /.:/{::V´
.  _/     ,イ弋/、 {   } }     _      V7〉'  ヽ}、           君はあの時の……
´ /      弋. く ヽ. \!   { {、  /ーー`、_、_ / ,/
 {          ヽ ヽ. 丶、 ヽ. \{     l:::/ .イ/   ___            頼む! 手を貸してくれ!
        ト、 __ _ヽ ヽ.  丶、 ヽ. \   }/ /゙{ {⌒`´      `ヽ
        | }_} }ム ヽ. ヽ   丶、ヽ \´/   | |         i  ト、
        └; 〈 レ′ 〉 〉    >ー }    」 |        ,′ } ト、
        /,イ_ \ //   /  { /   //        /    | | }、
       _ィ/    //   /     i/   //            ヽヽ
  _        / ヘ ー くイノ     / //                  \
/ _`丶、     { {    〈´      ///           , -‐‐、     ,
/ `丶、丶    vハ      }     / /  , -‐───‐‐- /`ヽ ヽ _/ /
l      ヽ ヽ  ノ }    {    { ヘ  / /´ ̄ ̄ ̄ ̄`7く    ` ー‐ ´

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仲魔たちをCOMPに帰還させ、シェルターへの帰路に着く。

シェルターの入り口が見えてくるあたりで、喜留夫は騒動に気が付いた。
銃声と悲鳴、獣の雄叫び。聞き覚えのある死の音は、十年前の惨劇を彷彿とさせた。

走ってゲートまで向かうと、ゲートの前で隊列を組んだデビルバスターたちが
迫りくる魑魅魍魎に向かって一斉射撃を行っていた。

枢木朱雀が手を振ってくる。

「一体何があったんだ!」

叫ぶと、一部の悪魔たちが喜留夫の方を振り返る。
一体一体は力も知恵もない幽鬼邪鬼ばかりだったが、数は百以上はくだらなかった。

「隊員が後をつけられていたようなんだ! 他シェルターから応援がくるまで
持ちこたえる! 加勢してくれ!」

無論だ。喜留夫は懐から手榴弾を取り出し、ピンを抜いて悪魔の群れへと投げ込んだ。
手榴弾が炸裂し、爆音とともに群れに穴が開き、肉片が飛び散った。

「来い、雑魚共! 相手してやらあ!」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

820 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:51:14 ID:/D3vOM520

  iヽ
  i)::ヽ
  i)::ヽ
   r⌒ヽ、    / ̄ ̄ ̄ ̄\
   \  \ /         \
    ヽ   /   ( ● )三( ●)ヽ
     ヽ |   (トェェェェェェェェェェェイ)
      ヽ,\   \ェェェェェェ/ /
        )           ,-'
       /          i、 \
      ヽ   ⌒ヽ   / ヽ  ヽ
      /      ) ノ   \_ノ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
自分の腰ほどの背丈の幽鬼ガキを蹴り飛ばし、飛びかかってくる幽鬼ヤカーに
刃を合わせる形で突き刺し、そのまま放り投げる。

銃を片手で構え、狙いもつけずに出鱈目に引き金を引く。
それでも当たるほど、悪魔の数は多かった。
地面を埋め尽くさん限りの悪魔たちは、薙ぎ倒される仲間たちを尻目に
喜留夫へと突進してきた。

流石に捌き切れず、腕や足に噛り付かれる。
痛みに呻きながら、銃を突き付けて至近距離で発砲する。

「喜留夫っ!」

隊列の中にいつか見た顔があった。伊藤開司だ。
アサルトライフルをこちらに向け、固まっている。狙いをつけあぐねているようだ。

「俺のことは気にすんな!」

叫び、足に噛みつこうとしてきたガキの頭蓋を踏み砕いた。
嫌な感触が足元から伝わってくる。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

821 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:54:39 ID:/D3vOM520

                 /::::       
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        /::::::             .:::::/ ヽ:::::::.   :::::::::::::/   ..:::::/´ /::::   .::::...        :::::::.、
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:::         ..:::/   ,..::'::::,..: {     | /   |-〈イ    ,:::.    ::...、 }///∧|               \::::::..       .:::ヽ
         ..::::,.:'   /:::::   |     !'r、 _/__〉    、::. ト、  ::...(Y´Yム} l--、                 \:::.        ::ヽ
       ..:::::::/    |:::    イ     !'/ ̄!_,-、|      _} |    ヽ-'- / ∨∧                   \:::...      ::::
       ..:::::::/    |:::.    :|!     |' ,イ T: : : :}     ,ィ7,.-ハ    |  {、 ∨∧                ヽ::.      ::::
      ..::::::::/      {:::...   |:    ∧ | |:/:,: : :.ヽ、__/イ/::l::::}!_  {:::--ム  ∨∧                 、::.
     ...::::::/        ,::::.  '    ::∧ ∧:{: : : : : Y_/>- ´   \: : : :}\∧,.イ}                    }:::.
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「くそ、一人じゃここいらが限界か!」

デビルバスターたちの隊列も崩されつつある。
悲鳴が聞こえる。目の前で人が死のうとしている。

最早隠している場合ではない。人命が目の前で失われようとしているのだ。
デビルサマナーであることが露見しようと、そちらの事実の方が喜留夫には
重かった。

COMPを抜き、撃鉄を下ろす。
展開されたキーボードを素早く叩き、セラフとヴリトラを召喚した。

「やれっ、ヴリトラ! セラフ!」

喜留夫は自分とデビルバスター部隊の方へ魔反鏡と呼ばれる魔具を投げつけ、
叩き割った。散った欠片が宙に浮くと同時に結界の要石となり、
魔力を弾く盾となるのだ。

ヴリトラとセラフが小さな太陽のような炎を生み出し、空中から地面へと叩き付けた。
周囲が龍神と天使の炎に包まれ、魑魅魍魎が灰燼と化していく。
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822 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:55:05 ID:/D3vOM520

           _、─-v-─;z_
          >:::::`::::::::::::::::: :::::\
        /:::::::::..  .:::::::.. ..::::::::::ヽ
      イ:::::::::::::::::::::::;、::::::::::::::::::::::l
.       l::::::::::::::;:イ::/v:ヘ::lヽ、:::::::::|
.        |:::::::/|/ニ|/ュ ┌リ_ニヘl::::::::|
       j::r=i|==。=,, _=。==|r=、:|            あ、悪魔使い……
       |::|ヒ'|| ` ー":|.|:`ー ' ||J:|::|
.      |:::ヾ;l| u  r:|」:、 u :|レ'::::|
.     ノ::::::::::\ (二ニニ二) ,イ:::::::::::ヽ、
   _,∠:-‐ァi:::::::!\ == ./ |:::::::ハ''ー-ゝ、._
-‐'''": : : : :/,/|::::::| ::::\_/  |::::::ハ ヽ: : : : : :``'''‐
: : : : : : : :/,/,/|::::::|  :::::    ,|:::j¨二二二¨l: : : : : : :
: : : ; -:、ム--‐ヘ|:N\.____/j;ル| |:::::::::::::::| |:_;、_: : : :
: /.rh \: : : : : :|},',',',',',',',',',',{|: :| |:::::::::::::::| | +++`l: :
´、-t( )ァ-; > : : : |} ',',',',',',',',',',{l: :| とニ二二, ゙̄ヽ、! :
:\`゙lし´/: : : : : |},',',',',',',',',',', {| :|‘r──- .、`  \
: : :.`:‐:'´: : : : : : :.|} ',',',',',',',',',',',{|:.L.`⊂二¨_丶    ヽ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「大丈夫、喜留夫!?」

セラフが喜留夫の近くに着地し、手を握ってきた。
自分の体を見下ろす。あちこちが齧られ、服が破れ、肉が見えていた。
確かに、凄まじく痛い。

「ああ、大丈夫だ。それより……」

喜留夫は周囲を見回した。
あたりには、焼き尽くされ灰となった悪魔たちと、喜留夫達に銃を向ける
デビルバスターたちの姿があった。
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823 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:56:05 ID:/D3vOM520

: : : : : : : : i: : : : : :¦: : : : : i: : |: : : : : :,小: : : : : i: : : : : : : : : |:
: : : : : : : : |: : : : : :|: : : : : }: : }: : : : :/: ト: ヽ、: : |: : : : : : : : : ト、
: : : : : : : : |: : : : : :|: : : : ,' : /| : : : /: : |:iヽ: :ヽ !: : : : : : : :i:|
トi: :i: : : : : |ヽ : : : : | : : : /: :/ !: : :/l: : :从: :\: :\ : : : : : |:|
l |:|: : : :| l: : : : :| : : /|: 厶斗: /^1 :,イ: : ヽ : \: :`ー=≠≠ミ、
l |:|: : : :| |: : : :/!: :/`}/ _|:/_|:/|: : /:`: : :`:ーァ‐:rく: :「`
l |:|: : : : :}斗: : 厶孑=≠fi勹r1¬ル' ,: : /: : : : : : :/ : / }: :}
N: :|: : : : :/^7: :イ{ ,{{ ::::: }}` ̄}}  / /: :/: : : : : : ,:': : / /: /
7: :!: : : / /: / ゝく `¨¨´ _ノ′,/ /: :/ : : : : /|: : / //      ……残念だ。
i: : j: : :/ // ` ̄ ̄ ̄ 三三彡' /. :/. : : :/  j/ /´
|: / : / /´                /./. : ィ1}r┐/
|イ: :/                /ィ : : / ////iノ′
//                   厶ィ   ///辷}
´                  /  /// /
                   /  /// /

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「ただいまの時刻を持って、A級市民、加賀喜留夫の住民権を剥奪する。
第五シェルター悪魔対策法第十三条二項により、これより排除に当たる」

枢木朱雀の冷ややかな声が、静寂に包まれた戦場に響き渡る。

「待て! 隠してて悪かった! でも俺は……」

「そうだよ、喜留夫はみんなを守ろうとしたんだよ! それなのに、
なんで傷つけようとするの!?」

庇うようにして前に出たのは、セラフだった。
続いてヴリトラも喜留夫の前に立った。

「我も同意見だな。人の子よ、我がサマナーは貴様らのために剣を取った。
その事実を無視して引き金を引くほど、愚かではあるまい」

「黙れ、悪魔め! 何万という命を奪っておいて、偉そうな口を効くんじゃない!」

周囲のデビルバスターの憎悪が爆発したような罵声が沸き上がる。

「俺は母を殺されたんだ! 悪魔ってだけで同罪だ!」

「悪魔使いめ! 悪魔の手先になり下がったお前に、人間の気持ちが分かるもんか!」

伊藤開司も同じように、目に涙を溜めながら銃口をこちらに向けていた。
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824 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:56:24 ID:/D3vOM520

     /_______〃―――, ‐、                  ノし/
    ./    r ――― /,    . ∧ i_________     }  て__ ,        \ ,,_人、ノヽ
   /      .| / / / ./ {      i , 《             i j  _ノ  √ ̄            )ヽ    (
   |     | / / / /  ゝ    ∨ l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ¨ (⌒ヾ            - <       >
__r ―――――‐ 、{   `ー――` '                                  )     て
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∧ ヽ      j  r-z        _                     |  / ,  /^⌒`Y´^\
________ゝ_ゝ _ ,ィ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄|ー ‐| |-、                \__ノし// 、
::::::::::::i:::::ハ.ー―l<〈___r =r ―――r―――‐ァ,イ_            .__)   (_ ',
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::::::::::::l::::::∧二/ゝ二二, - ー 、-、_ 二二二二二二二ソ ̄              /⌒|「⌒\
::::::::::∧::::::∧. ̄ ̄ / ー 、-、ヽ| |  /::::::r'  ヽソ     _
::::::::::::∧:::::::::ヽ /.    ー-ヽ〉≦三三三〈二二〉三三≧=ノl〉_                 {
ー ≦二二二二二ヽ___r ー―――――――、, イ _ノ _/ !ハ           \    |l|w/L ,r_/
´________| r===|________i_{ ̄ ̄ ̄/ |r'i             \\{w└ ¨ ´ /
=====}   .|二二二二|   ___r ――― 、>――― 、〃二ヽ           \´     彡x
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二二二二二二二|〇⊂ニニニ⊃|__|____{ー―――‐〈 l´ ̄__,、          /      }|
 ̄ ̄ ̄ヽ ̄ > ー ―― ― -- 、 ̄| |二r 、〃ヽ`ヽ, - 、__.∨≦二二r'リ}      /´ヾ,  r、r‐|^`
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「撃て!」

枢木朱雀が号令を下す。
それと同時に、デビルバスターたちが一斉に喜留夫に向かって発砲した。

「やめて、やめてよっ!」

セラフが手から炎の渦を呼び出し、飛んでくる弾丸を焼き払う。
それでも突き抜けてくる弾丸を、ヴリトラが爪を振るって弾き落とした。

やがて、銃撃が無意味だと悟ったのか、デビルバスターたちは引き金から
手を放した。

「……今すぐその召喚機を手放せ」

「断る」
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825 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:56:48 ID:/D3vOM520

    / //   /      / / /  //     \  \__ __彡'/
  、__」_ノ´    /   /_/ / /  /  {      、ヽ.   ヽ.一'′
    i'´   、_/_/__ //」{_/  /  /_/  ハ 、     い、\_ _jハ
    {   i { `7¬ァイ_/ゝ 二二彡'7.イ   ヽ\   i i `丁丁!
   ゝ/乂_/__/⌒v´ /     /{≧{     ト、 、_ ! !   i  } }
  、_く/_/ー个 _} ヘ  {    i /r=≠ミヘ    } ゙ァ一} }  ! ! ,′
   { `7 /i   { \ \ヽ   トl    r爿ト、 .ノ イ/ //   /' 〃
   >‐{/¬…‐ヘ. ____ ヽト、! i{  し'^ 〉、/_」i二ィ7 / /
   }_,r─………‐- _ `ヽ、`  `ー‐ ´/´≧十ノ 〃 {/ /
   /  、__   _rュ_    ヽ   }            {_// 八{'´           繰り返す。その召喚機を手放せ。
.  /   \_ー' Qー─ァ' /  /           ', ⌒´  `
 /         〕//'⌒´ /  /              _ 〉                このシェルターの人間全員を敵に回してでも、
          ///    /  ,ヘ     _____ _∠_
.         {7/   /  /  \  ´ ──ァ'´`ヽ. 〕                悪魔の側に付く気か?
        ´   厂  /`ヽ、 \    /  //
       \   {  〔_   〉、 厂`ー ´  /∠..  -‐………‐ 、        さあ、早く!
     \ \  \_  〕 /_/ \   _//             ',
       ヽ  ヽ  } ∧ {_」    V´_/              }
          ヽ  \」_{ \ \   { ん'7二 ー=ニ二      ,」
          `ー'´    ヽ ヽ L __/             / |





        ____
      /     \
     /         \
   /    (●) (●) \      嫌だね。たとえお前らが、何百何千の人間が俺に銃を向けたとしても、
   |   (トェェェェェェェェイ)  |
    \  \ェェェェェ/ /      俺はデビルサマナーだ。
.    ノ    / )ヽ   く
   (  \ /__ノi ) , )        俺がCOMPを手放す時は、この心臓が止まる時だ。
.   \  ゙ / ヽ ヽ/ /
     \_/    \_ノ

826 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:57:01 ID:/D3vOM520

             ___
            /     \
            /(● )  (● )\       三週間とはいえ世話になった。
           /  (トェェェェェェェェイ) \
         |    \ェェェェェ/    |      じゃあな。
.          \               /
     と⌒ヽ  `>        〈´
      ヽ  V´          ヽ
        ヽ   /              、

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
喜留夫はセラフとヴリトラを連れて背を向け、廃墟街へと歩き出した。
その背中を撃つ者は、誰もいなかった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

827 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:57:15 ID:/D3vOM520

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                             └─┘

                               ┌┐
                               └┘

                                   □

                               ・

828 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:57:32 ID:/D3vOM520

                      . . : '''""´ ̄ ̄ ~"'' : 、
                   . . : : : : : : __ : : : : : : : : : \_
.                /: : : : : : /\  ̄\: : : \: :. :./:ヘi:i)、__
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        /:i:/: : : : /: : : : : : : : : : : : : : \  \: : : \: : \:i:i:\
       /:i:i:i/: : :.|.:/: : : : : : : \: : : \: : : \  \: ⌒\: : \:i:i:\
       `¨⌒ア: : : :.|: : : : : : : : : : :..\: : : \/:.\⌒\: : : :. :.|:`、 ̄
       //: : : :..:|: : |: : |:\:. :. :. :.| \ / - 、 : : : : : : : : :ト |: 丶
      /:i:i:|:. :. :. :..|: : |: : :   \: : :.| ィ(   ノ|:. :. :. \: : :|: :|: : :`、
     /⌒\|:. :. :. :..|: : : :ー――-\ |     ̄  .|: : : : |: : \|: : : : : :`、          かっこつけて出てきたまではよかったんだけどね!
           |: /.:. :...|: : |:. :.|(   )         @|/|: : 八: : : : :.Λ|\ `、
           |/ .| : :|\|\ト、           |: |: / : : : : : :/:ハ  \:、_
          |   | : :|: : : : : :Λ @   - '’   /ハ:|/ : : : :/ :/|Λ|"´ ̄/
.            | : :|: : : : : : : ≧- . . _   イ___ノ| : : :| :/|:/: |    //
.         __|/レ: : :|: |: : Λ| \(ニニ〕_,斗>  |: : /|/ :|′:|    ⌒>
          ⌒/ |: : : |: |: / \  「二二二>厂|: /: : : : :/   、 <´"''   、
          <   |Λ: |/|/  ┌ <ニニニニ<|:..:.|/ : : : イ  \_\⌒`  / 丶
          / >  |: 厂   ノ ノ   `¨´   /|: : : .{:. :/  ト-\     /  |
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           「^  \イ⌒ヽ| ///////Λ : : |: : : |__ /   ̄         Λ|
         __ノ_,.     \/ ///////// |~^'ヽ: : : : :K               \
            }         /ニ\////////|_: : :\_/: :\--、    ___         \
          /      /ニニ//>、////////{__: : : : }: : |--、 /:i:i:i:i:i\      \
        /        /{ニニニ{//ニニニニニニニニ{: : : 二=- r-- /i:i:/⌒^           \


╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
その後、喜留夫は当てもなく廃墟街を歩いていた。
周りには召喚した仲魔たちがいる。

寝床はともかく、食糧と水がどうにもなりそうになかった。

「異界化の影響で放射能が生体マグネタイトで相殺されてるから、
野生動物の一つでもいれば獲って食べれるけれど、そんなのが生き残れる
状況でもないもんねー」

能天気の化身のようなパイモンの冷静な分析を聞いていると頭が痛くなる。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

829 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:58:15 ID:/D3vOM520

         ____
        /ノ   ヽ、_\
      /( ○)}liil{(○)\
     /u (トェェェェェェェェイ)  \
     |   ヽ!!il|!|!l|!!ii|i/. u |
     \u  ヽェェェェェ/   /
     /            ヽ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
仕方なく、喜留夫はパイモンに頼んで別のシェルターの所在を探らせることにした。
こんな状況で十年も放置された街に、食糧や水が残されているとは思えない。
しばらく歩くと、第五シェルターの入り口と似通った建造物が見えてきた。

仲魔たちを帰還させ、武器をしまって近づくと、おもむろに銃口が覗き穴から出てきて
喜留夫の足元に発砲してきた。

「それ以上近づくな! 悪魔使い!」

攻撃的な声が覗き穴から聞こえてくる。
どうやら、シェルター間での情報共有が成されているようだ。

「待て! 待ってくれ! 二万マッカでどうだ! 食糧と水を分けてくれ!」

「むっ……」

喜留夫は咄嗟に、賄賂を袖の下に通すことを思いついた。
幸い、これまで悪魔退治に励んできたおかげで、マッカはそこそこ貯まっていた。

後生大事に持っておいたところで、このままでは野垂れ死にだ。
それくらいなら、命を繋ぐために使った方がいい。

「……少し待て」

覗き穴の向こうの男はそう言うと、その場から立ち去ってしまったようだった。
扉越しから伝わってきていた気配が消えてしまった。

駄目か、とうなだれながらも、僅かばかりの期待を籠めて、小一時間ほど待って
みると、扉が開け放たれてダンボールが置かれた。

「三万でやろう」

「二万だ。あと、中身を検めてからな」

「それはできない相談だ。疑うなら交渉は破談だな」

「わかったよ、ほら、持ってけ、二万だ」

マッカの詰められた袋を男に投げ渡し、ダンボールを引き寄せる。軽かった。

「おい! スカスカじゃねえか!」
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830 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:58:51 ID:/D3vOM520

 、   _, .} ,メ    l   ',::   ヽ::::.   ',:  ヽ
   ̄,´/F>`ミi_ i  i    ';::   ' ;:   ';::  ',
  ,⌒Yiー<⌒ハL  i     '::;    ',、   ';::  }
  ,イ冖!/てヾVYjヽ_, l、 ,  ',斗七  '.,ヽ 人,,リ
 从r'弋心ノ',イj从i   l....ヽ/ '; :::\  l ::/イ
.<  ゝ._`フノノハ、 .i  l::::''ゞ从_i⊥、;\j .i
  弋 _、.>√勿/ヽi. ハ   V{ィrャミ <  丶_
  )) /´  `.i`...'.,::、 '、 ハ  `.辻,ィ'}      ̄|         どの世界でもこういうのは変わらないわね。
    l    :::   ::',::\ iヽ   |下乙     /
    l    ::     ;;; ::ヽ| ゞ         /
    ,'  ..::    ,:'::, :::|           (
    ,'   ::    .::  ::: ::|`(  Y ヽ、     /
   ,'  .::  .:: .::..  ::: :| ,ゝ‐イ .ノゝ___,,ノ
  ,'  .:::  ..::: .:::  ::: :::!" `丶、s ̄`)
  ,' .:::/  ::: .::    :: ::/   l  .l ヽ ̄)
 ,' ::; '  .:: :::    ノ,/ ヽ、 ヽ / /、ゝ
.  / ..::: :::   // `丶、`  '彡,廴`;;;;;
  ..,,,_::,,__.:,,,,::://‐-、__   `丶 .ヽ /∧/|
 Y        ̄ -  ,,,, ` ‐ - 、 .Y..∧/|
               `ヽ     ヽ|∧//|

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流石の喜留夫も我慢ならず、強硬策に出ることにした。
メイヴを召喚し、男に差し向ける。

「な、なんだ! やめろ!」

怯える男に対し、メイヴはにこりと微笑みかけた。
途端、男の表情が蕩け、なんともだらしのないものとなる。

精神に干渉する魔法だ。

「食糧と水、分けてくださる? できる限り多く用意して。
あと、あるなら携帯トイレなどもあるといいかしら」

男はやけに元気よく頷き、シェルターの中へと潜っていった。

数分後、男はダンボールを二箱持ってきた。
中身を検めると、缶詰などの保存食と水のペットボトル、携帯トイレ、簡易シャワー、
毛布などが入っていた。

「上出来だ、メイヴ」

「ま、男を骨抜きにするのに私ほど適した悪魔はいないわよ。
あなたの前でやるのは、気分はあまりよくないけどね?」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

831 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 21:59:28 ID:/D3vOM520

                   . -―…:::::…‐- .
                 /:i:_:ニ=--=ニ:i:i:i:i:i:i:i:i\       />
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        ,rf、     /厶′.:-┤  '^⌒\ Vi:i:i:i:i:i:i:i::,   l____|
     rv   V{  V {/{∨l  /ィ/}/ト、}l:i:i:i:i:i:i:i:i:|   ┌‐┐
      ヽ, / }   |  ヘ x=ミx/ x==ミイ i|:i:i:i:i:i:i:i:i:|     ̄             もーえろーもーえろよー炎よもーえーろー!
      X  \ヘ|l\ { fハ   f/ハ 》 i|:i:i:i:i:i:i:i:i:{   <\
      i| i|\il Ⅵ{ トミ, vリ ,   Vソ |: i|:i:i:i:i:i:i:i:i:i丶   \ >           「あまり強くしすぎないようにな」
      i| i|  il\}ハl\\  r:::…ァ /| ∧:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:\
      i| i|  il {:i:i:i:i:i:i:ヘ  ≧=- xく 厶′Vi:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:\______
     _i| i|  il Ⅵ:i:i:>i^\ト{`'く⌒7゚/ /ヘ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i}
      f⌒\_ il_」/:i:i:i:i:i:i:i:i:Y{^「[r、 ̄_`ヾヘ,、:i:`⌒>ヘ:i:i:i:i:i:i、::::i:i:i:i:i:i:i:/
     \ ⊂⌒\:i:i:i:i:i:i:i:/⌒¨^¨^⌒´::::`丶:::`⌒^´::八:::i:i:i:i\:::i:i:i:i:i/
          --‐ヘ\:i:i:i/:::::i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ヘ:i:i:\::::::::∧::::\:::i:i:i:i\/
              \}ノi::::::i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iⅥ::::!:::::/ ::i::::i:i:i:\:::i:i:i:〉
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              、_八::ノ⌒L_:::i:i:i:i__:i:i:i::i:i辷_::_彡′}::/
              `⌒^¨¨^⌒ーく,_,__>:x厂

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
その日の夜、喜留夫は屋根が一部残っている廃墟を見つけ、そこで
夜を明かすことにした。

床も吹き飛び土が露出していたため、そこで焚火をすることにした。
気温もあまり高くはない。暖を取らねばとてもではないがやってられなかった。

セラフが自前の火炎魔法で炎を熾し、缶詰を温めてくれた。
自分の力がこういった力で役立つことが嬉しかったらしく、セラフは
とても上機嫌だった。お礼と共に頭を撫で、ありがたく缶詰を頂いた。

街の灯りが消えたことによって、夜の空には都会に似つかわしくない星が
輝いていた。藍色のカーテンに散りばめられた灯りのようでもある。
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832 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 22:02:42 ID:/D3vOM520

                ))
    ))   _, - ― - 、 ((_r≦ヽ,r==ユ
―ュ((r ≦       ── {f以}〉)     {
、<込y="         二 ̄ `ベ((_) 、    ∧
ト}乙ー'=         ト、     ヽ丶   リ
|=ニ彡           ヽ    } |    ハ
|      ハ ヾ  、 ヘ :、 ヘ   / ハ.  ,′i
| il| l| | l i l| i l| |li ヽハ|  / j  /  ハ
l  l| l| | | l ))i l i| |li   l } / ハ {     }
l丶l| ! | |, =彳|! l| リ  ノリ,, ハ / ト ヽ  ,'ヘ
ト、ヾ,__fヾ__! ! lx幺斗匕 / /  i! } ヾ /! }           なんだか、疲れてしまったわね。
lコ /メーこミ、,ヾ 才{r f弐リ / /  / /  //  (
l ∨l_fi,く(ン、リ7 ^ゝ` -イ / /   { /  / ′  、          悪魔使い悪魔使いって罵られて、
! ∨`>一'_'ノ        } /r―tュ、 ' |     i
ト、 l「く{ ̄´ ′     / j    / l  !ヽ   ハ          追い出されて……人間にあんな目で見られたの、
|| ' } j{L_   ``   ィ /   ハ   j  l  、 ′ヽ
||  { ,' ̄==≧^ヽ<{  リ  `ト、i  {  r 、 j l   、        正直初めてよ。
||  l_j_  、-K   }  |  {   \ `ー―'′ }'  i i |
∧.入`Y代  \ (  l  |    ≧      /   l| l ハ
l/ヘ レ' K入___{⌒T´|  iハ   l′ )___  ノ  ハ ヽ 丶
ト、人_  l //==ノし!  lユ_j  i!\ ̄ l  i  i }  l
||   /  |//》=={ γ|  | l_   ノ   \ i!  !  l ノ  /
||       | トー"|  ハ  ∨ `ゝ´_  _ノ ! / ' /  l l
F∨ヘ  il   ./   ハ  ∨  τ ̄l   |    、   ji|
| l  ヘ、 l|  j    ム入 ∨ }   !   l  / ' / l l|
| 八  入|ト、/   ィ'   才 ∨J   i   l| !  l/  l l!

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
皆が帰還した後で、メイヴがしなだれかかってくる。
ふわりと髪が頬を撫で、甘い香りが漂ってきた。

残った床に敷いた毛布の上で、寄り添う。
喜留夫は胸の内に暖かいものが広がるのを感じた。
たとえ食事が味気なくとも、その日の宿が廃墟でも、何人から罵られても、
この温もりさえあれば、喜留夫はそれでいいと思った。

「それでも、俺はデビルサマナーだ。
万人に拒まれても、俺はこの生き方を変えるつもりはない」

「人間より、私たちを選ぶのね」

「そうだ。そうすると決めた。そうやって生きていくと、決めたんだ」
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833 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 22:03:20 ID:/D3vOM520

          ,ィ''´_二----`' - 、__
      /, イ_, _, - '´     ```'‐、_
     /7'´// ,   / i|   |     `ヽ、
    // ./7/ / / / l     `、   ,__rfミヽ
    {i'.l // /../ / ./.i |      ゝ、 ト{ ,r‐i 、
     Vr-i ./ / イノ/ ll l  i i  i i  < f 、ニノ_
     {薔!i′/ //i'li il  //  / .i    \\彡ン
      __ーi Ⅳ / ノc!l、 l/ /∥ / /      i .l i
    i'     i'.i' 汐 / イ.ノ ノ /     / /i ! !
    }    ゝ`ー- ナイノ./ .ノ / / i'  l l ! l
     'i、       /イ -彡イ /イ l  l  l l ヽ
    i ′    _,,イ'´_ ィ/  /イ i l  .l  i l l、
   r、!     { i // /イ/l  l l  l  !l ヽヽ 、_
   `i i`ー- 、_ ヾ {./  ィ   l l   l l  l  ヾi  \\ヽ、
     ! 'i i'´ l:::::ノlヽ ヽ< |    ll   l  !  ゝ、  \   \
    | i>_.、_  / i、`i |l    ll   l,     ゝ、__ \   \
    l -'´__r_'f´i i-} l !l    l   lii    、 、 `-i、`-、
     i  ___ノ,.!にニイ lヽ   l    illi    ヽ, i   i ヽ \

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メイヴが首に腕を回し、唇を寄せてきた。
抱き寄せ、唇を重ねる。

「今は何もかも忘れたいの」

そう言って、メイヴは喜留夫に体重を預けてきた。
そのまま、毛布の上にメイヴを抱きかかえたまま倒れ込む。

するとメイヴは起き上がり、服を脱ぎ始めた。
ドレスがはらりと落ち、白い肢体が露わになる。

「私が上でいいの?」

メイヴがおずおずと聞いてくる。
喜留夫は頷いた。この堅い床の上で喜留夫がメイヴに圧し掛かるのは酷だ。
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834 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 22:03:34 ID:/D3vOM520

//    !     ! i '. i   i!  i!i! ハ  i i i   '.  '.i iハ. i '.
/ i     l    i! l l| il :i l|  :l|;i i i | |l| i i   il !|l ハ
l l|     |  i i! l l|i li | l|  l|i|i| |i| |l| l |  li i|||
l |   i | }} ! |!i | i ||  | i| l|:i l|l|l| |l| |l| | |  l| l| ||
l |    | |ノ|l!i | l |:!  | | |:!l l|l|l| |l| |l| | |i|  l| lリ|
l |  ィl |l| l |:l | l |:l   l| | l| :l|l|l| |l| |l| | |i|  l| l{ 爪
l |r' イll :リ||  l|il | l | l   l| | l| :l|l|l| |l| |l| | |i|  l|八|ヘ
l || { l| 小.   li | l | l   l| | l| :l|l|l| |l| |l| | |i|  八 ハ ヾヽ
l小廴j:!/ { ハー- 、 ! !:| l   l| | l| :l|l|i士Tリ!‐!-| |i リ  /! ':ハ
 !|>l |-――ァ } |l|!  | | l| iリl|:| !l:/ |iリ! |i l/  / !  } i!
.イ /l |   ´ ̄`ヽ | | i リ | l|:/ j|」」/ j/|l l /  / 小. リi l|
|V ノ7ーz--.、 !  il| | ;/i/! / ̄ l|」竓弐! i/  / / i }/ j リ
. V∨:{/´く  ヽ}  j/ l '/j/ j/ィf笊芯刋 jl/ ハ/ / 爪 .//:i
 ∨ i:ト、{ 匂 } リ . 〉 j/     ヾ辷少′  从イ .イ{ /.:'/ |
  从 | ゝー'イ-‐一 7            :′ イ}八{// i {
`7 抓<ーャ     ノ        /////  ハ :' 〃 .イ.小.| 乂
、;   i| ヽ‐ ´ー-、/     ,           ハ / :′'/{  ト、
、!   lト--  .,_  {     `       ij  /// /{// { i|ヘハ ヽ
'.{   リ '.  _} } `    , -‐ 、     u   イ ' { /.// 八リハ. i
∥ 7、 i (r‐'′    ■□■□   イ_.厶-‐-:i ミ  ヽ. ヘ!
∥ { > .       i: ■□■□ ア´      !:!_ _`ヽハ  !、
爪 |  } > .   (.:)■□■:-、 ` ー ''´ア {:{   ̄ `Y{ハ
|!| iリー1 (_)  >一<__) /  }■□r''´  乂_ー-ミ― .、}
. } l |  八 |  {.ノ⌒)  ( ) /  /´ }■` ーマ´ `>、.ハ_  }
. | l.| :′.ヽj__Y  (   ノ :{Y   {  ム:'´}■□■と.__Ⅵ ¨Y
. ! !| {    ) !   ー‐´.:八!   :i  {  :'□■□■□ヽj′/
.ノ i| 八 `'Y  八    .ノ  ':  {  l  { .■□■□■□''{

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
メイヴは喜留夫のパンツのチャックを下ろし、硬くなった男根を露出させると、
おもむろに舐め始めた。

最初はそっと舌を全体に走らせるようにして、次第に咥えるようになった。
柔らかい舌と唇の感触と口内の体温に包まれ、喜留夫は自分の内の
獣のような欲望が昂るのを感じた。

メイヴが口を放す。
今度は喜留夫に跨り、亀頭を膣の入り口へと擦り合わせてきた。
ゆっくりと慣らすようにして、少しずつ侵入させていく。

「んっ……ふうっ……」

メイヴの腹の中に全体が納まると、メイヴは手を地面に着き、上下に動き始めた。
粘質な水音と、肉に肉が打ち付けられる淫猥な音が部屋に響く。
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835 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 22:03:46 ID:/D3vOM520

.      /    \  ヽ  }: ! ∨   ヽ
..   ./   {ヽ  }  ノ :ノレ  ∨
   ,:<ハ : i {{: : ヽ{レ゛/: /
  /ニニi シ゛////イ  /   ハ.   ハ
  ニニニ \ __     :j /  / ハ |  ハ
  ニニニニニ `: :)  _:{: /ィi〔   : ハ.:|   ハ
  ニニニノ人 :uヽ> ゛  ̄ ̄ `ヽ  ハj   ハ
  ニニニニニ./         \ハ  〈: ハ
  ニニニニ> ´            `'<  ヽ
  ニニ.> ´       ._          ヽハ:ハ
  > ´   J  ,z≦}  `ヽ           ∨}::ハ
        イニニ!               } { } }ノ }
     _,.ィニニニニ!               ,: ∨イ
  ,.:≦ニニニニニニ\           / / ノ ノ
 ニニニ`ヽニ.ハニニ∧.      ..-=≦ -=≦〔、                           i
 ニニニニニ\ ヘニニ∧                 \           i             .|
 ニニニニニニ',ニニニ∧..{               \           |           |
 ニニニニニニ ',ニニニ∧.',                   `'' <..___ 从  j!        |
 ニニニニニニニ}ニニニニ ',                __/ニアニア__ `<ア-、_       !
 ニニニニニニ≧ 、ニニニニヘ              ノニ/ニ/ニ/イニア   \ゝ_ヽ_
 ニニニニニニニニ\ニニニニヽ             {ニニニニニムーァ    ヽ ゝ く   i
 ',ニニニニニニニニニヽニニニニ\          ノニニニニニ r ´     .',   `ヽ .!
 ハニニニニニニニニニ ',ニニニニ≧=- "´  ../ニニニニニ/         .i      ',|
  ’ニニニニニニニニニ.',ニニ>≦..,,_,..ィ≦ニニニニ>''"´             }       ',
    ヽニニニニニニニニ.><ニニニニニニニニニ./             .!
     \ニニニニニニニニニニニニニニニニニ/                    }
      `''<ニニニニニニニニニニニニニニ/      J          /      ハ
        }.> 、ニニニニニニニニニニニ/           i        /      /
      > ´     \ニニニニニニニニ> ´               |     /     i   ′ i
    /          `''<ニニニニ> ´                  | __..ィ        | ./  .|
   /       ,. z≦ニニニ≧:. 、         __,,.. -==t:'' : } |:|≧=ー-- |´    .|
  /       /ニニニニニニニニ≧=z-= ニ二 __ ニニニニ|: : :.| |:|ニニニ≧=,.z≦二二
        /ニニニニニニニニニニニニニニニニ≧、 ニニ}: : : し !ニニ><ニニニニニ

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「はぁっ……喜留夫……あ、ああっ」

やがてメイヴも熱が入ってきたのか、上下ではなく、まるで男性の抽送のように
腰を振りだした。恥骨と恥骨が合わさり、男根が奥で擦れる。
メイヴの膣内は平坦なものではなく、ざらつきにも似た突起がちらほらあった。
それで亀頭を擦り上げられる度、腰が浮かぶような感覚に襲われた。

メイヴの膣肉が収縮し、絞り上げてくる。
喜留夫は辛抱貯まらず、尻を掴むと下から腰を打ち付けた。

「あっ、あっ、ん、やっ」

メイヴの息が荒くなってきた。
首に腕を回し、しがみついてくる。
絶頂が近いと、メイヴはこうして抱き着いてくる癖があった。

数秒とせずに、喜留夫は射精した。
ほとんど暴発に近いものだった。

「んっ……」

メイヴの体がぶちまけられた精液に反応し、痙攣する。
白い肌には玉のような汗が浮かび上がっていた。

何度か震えると、ぐったりとメイヴは脱力した。
しばらくそのまま、喜留夫はメイヴを抱きすくめた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

836 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 22:04:10 ID:/D3vOM520

                                ,. '´                      ,. < /
                           ,. ´                   ,. <    /
                  _,. -―--, '´                    ,. <      /
          _, -‐‐--‐ ''´ _,.. ''´                 , <         /
      ,. -‐ ''´   . i     /´/                 /\、       /
      {       リ  //′                 ノ  ヽヽ.    /
     ゝ、._   _.. --‐ァ' /     /´            /     i     /
         ̄    { /       '    ,            /       ,. イ
            ,. ´    ,.../     ′        /       /
      _   r ´  _ ,.< /  _      _     /         /
    {´   `ヽ. i  f---、ヽ / 〃ー、ヾ|  f‐‐‐.ヽ   / 、.     /
      ',`ー、  ヽ.',  |    ! レ  ii   } !  |   ! |   !   `   /
     {、._j   `!  ト、...ノ/   八..__ノ ,'  ,'ゝ- ' |   ',    /
     ヘ    ∧ /   |  /     /   {     i.   iヾ、 ノ
      \    ムi    |  !     i   }.    |   i _ノ
          `¨¨´ ','、    !   ヽ    !   iハ    |   !´
              ー`‐--r‐ . ト、...__|    ! `ー‐''´| ,..、,'
                    |  i /    i,⌒. !      {i  !
                ー'′    |  i'       ゙ー'
                          ` ´

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その後、二人で毛布にくるまり、手を繋ぎながら横になった。

喜留夫は今、幸せだった。
どれだけ絶望的な状況に置かれても、メイヴさえ失わなければ、
この心は決して折れることはないだろう。

「ねえ、喜留夫」

「なんだ?」

「たとえ全ての人があなたを嫌ったとしても、あなたは私のヒーローよ」

それでいい。喜留夫はそう思った。
全ての人のために戦うなどまっぴらごめんだ。
自分は誰か一人のためだけに戦えることができれば、それでいい。

億を守り万人に認められる英雄ではなく、
たった一人のためだけの存在でありたい。

自分が他の全ての人間に劣っていたとしても、これだけは決して負けない。

奪うことのできないもの。愚かで浅はかで切ない人間の本性の中に生まれた、
かけがえのないもの。それが今、自分の胸の内にある。
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837 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 22:04:45 ID:/D3vOM520

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                                   □

                               ・

838 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 22:04:57 ID:/D3vOM520

   |  {    |     ハ   '  乂込りイ、`ヽ
   |   '  |  ミ、 i   |ハ ゞ=彡ノ/z i
   |   ヽ .!   ハ:}|i: ! {  '  i  ゞ=ソ i:!
.i   |   ハ:{.  r=彡|{|ノi  |. | ヽ  八
:|   ! >ー从_}{ i ! |.川 i{ `ヽ |   !  ハ 、  ゙
   |{ / ーヽメ 八ハ!{ !ノj_z_j   |  .'{  ヽ
ハ  人ハr=ミ ハ ハ   ノ从 7Zマ.く_ ' | {八          喜留夫、起きて!
  / }込八irくイ_ノ ノ    i.i゙;;;}j ' ハk , ! i  ヽ
 { :{ゞ=ミ_ノ/    ,  ゞー" / ノ/  |i ゝ
.八 ∧   '' j:i ''     ノ   "″,イ./{  八 `ー
.  ヽ∧   八{_ノ、_       ./rーミ八   `ー -
   \ヽ.      ̄ ´  イハ  }vー 、`ー -
 `ヽ  \>     . ィ´,⌒´     ノ `ヽ
ハ  \  ヽハ≧=彡} `ヽ      `ヽ ハ
  丶.  \   }、 { /           ノ   }
   \   ヽ ノ iト、∨           \  '

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
メイヴに揺り起こされ、目を開ける。
枕元に置いてあったCOMPが起動し、展開していた。
画面には憎きヴィクトルの顔が映っている。

「おぉーのぉーれぇー」

画面に鉄拳を叩き込むのはなんとか堪え、ヴィクトルの顔を見る。

「すまないな、実験は失敗だ。どうも別次元の三津井市に迷い込んだ
ようだな。既にお前を呼び戻す準備は整っている。指定するポイントまで
移動してくれれば、こっちの世界線に帰ってこられるぞ」

ヴィクトルが持ってきたのは朗報だった。飛び起き、ガッツポーズをとる。

帰れる。あの街へ、あの家へ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

839 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 22:05:20 ID:/D3vOM520

       ___
     /      \
    /(● ) (● ) \      ……それ、夜でいいか?
  / (トェェェェェェェェイ)   \
  |  l^l^lnェェェェ/     |    「なぜだ?」
  \ヽ   L        /
     ゝ  ノ             やり残したことがあってな。
   /   /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
堅い床で寝たからか、体のあちこちが軋む。
それでも、贅沢は言っていられない。

装備を確認し、メイヴを連れて廃墟を出る。

「復讐にでも行くの?」

「いんや。ここらへんでシェルターを襲ってる魔王モロクってやつがいるだろ。
そいつを倒しに行く」

「本気? あなたにあんなことをした奴らのために、血を流すっていうの?」

「俺はデビルサマナーだ。人を守らにゃならん」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

840 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 22:05:48 ID:/D3vOM520

     ____
   /     \
  /         \
/     (●) (●)\     人に褒められる必要はねえんだ。
|    (トェェェェェェェェイ) |
.〉     ∩ノ ⊃  /      俺が戦うことで誰かが助かる。それでいいじゃねえか。
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
自分だって人間だ。
罵られれば傷つく。褒められれば調子に乗る。優しくされれば簡単に騙される。
シェルターのデビルバスター部隊の自分を見る目は今でも忘れていない。

けれど、人間であると同時にデビルサマナーなのだ。

力を持つ者には様々なものが生じる。
責任、代償、義務。
自分はそのどれからも逃げるつもりはなかった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

841 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 22:06:23 ID:/D3vOM520

       ____
      /      \
     /         \
   /  (ー) (ー) /^ヽ
  |  (トェェェェェェ( /   〉|
  \  \ェェェェェ 〈 / ⌒^ヽ
―――――――― \ _ _ _ )

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「あんたもつくづく損な男だよな、旦那」

ヨシツネが呆れた顔で呟く。

自分はそれでいいと思っている。
万人に認められる英雄ではなく、自分はただのデビルサマナーでいい。

それが、加賀喜留夫が選んだ生き方だった。
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842 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/20(月) 22:09:05 ID:/D3vOM520

                 ∧             _ __,ィ
                |∧         「¨|_,イ-'|  |:.:/__
                | ∧     ,..:'| |/ { !  ':.:.、:.:.:.:.>
                {-、 '-、   /  | |' |/ /、:.:.:.\∧
              \| r-、,:'    | |__ノ-∧:.:.:、://',、   / ̄¨7/〉
                ∨{:::」 ,ィオ | |-- ∧:.}:.:.:.| /   :.:、 {\/{ /
                `乂_/_|_/{|_,」_| ̄}リ:.|从:! ! /|\∨__| |  ∨
                   ∨{ ∨|__」 ̄`ヽ、 ¨∨_∧ \  \-、 \
                   `Ⅳ         ∨}::::∨  \ ∧   \ ̄ \/∧
                   _/|        ノ/、:::/     ∨∧  | | ∧ ∨ \
                  _/ィ{/、  , -―-イ {:|=|::!      ∨∧ // =∧ |/  |∧ イ
                 / |/:./\\/  __」=ノ::|__   }=={// ∨、∧l|-、  ! / |
                   ∨ ,!`¨/ |l|\_/: l: : :|、::_二∨\  ∨',{l!\_,∨\l!::: ! | / /}
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                    \__///    /´/ ̄ ̄|l |イ∨∧--- '{_/!__|-、l |、 \、
                   ∨|     //      |_」:::/∨∧_,イl|//|: : : : :.|、__∨、\/|
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              /_/  / ̄ 〉 / //  / /      Tー'-:.{: :{: ム / /: /
                 { | l |_/ィ / ̄/ |¨   /| /∧      ∨ |//////|/: :/
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      _,      // / //  //: : /  、: :\__l/: : : :j 、  ∧   / / // /
     \ \ // / /: /  //:,: :/ ___{: : :、: : :{: : :`ヽ ー '  ∧∧ l/  '
       \// / /:{: : l__//:/:,.'  \ \:、: : :,   ̄ ̄`ヽ  { /{/ ∧ /
      _// / /: : : : : : :__,イ     _\ 〉 ´     ___,∧ l//イ∨/
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           |_,l∨/ l! ∨ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ     {∧/       |!
           ∨ ̄ \/  _____/|      / |! ____/|
        r--、r-\   |_/: :|: : : :|: :∨    ∨_/: /: : : : :ヽ: ヽ
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     /   {: : : : : : : : : : : : : :': : : : : : : : :.      `  、: : : : : : : :/
      /,. -―‐乂_: : : : : : : : : : : : : : : : : : ノ        ` ¨¨¨¨ ´
                                              〜また次回〜

843名無し-Red-市民-2:2018/08/20(月) 23:05:45 ID:J/ZULENQ0
乙でした

844名無し-Red-市民-2:2018/08/20(月) 23:13:27 ID:lSVvUOcY0

ヴリトラカッコヨス

845名無し-Red-市民-2:2018/08/21(火) 00:03:34 ID:keBRT.LE0
乙でしたっ

846名無し-Red-市民-2:2018/08/21(火) 00:05:04 ID:keBRT.LE0
しかし、先行きが本当に暗い世界線だなぁ。無事戻れると良いんだけど…

847名無し-Red-市民-2:2018/08/21(火) 08:49:02 ID:APWqNzZI0
おつおつ

848名無し-Red-市民-2:2018/08/21(火) 09:02:20 ID:TgO7rqQw0


849名無し-Red-市民-2:2018/08/21(火) 14:27:49 ID:YdvhCBQU0
おっつ
しかし、意外と>>1は平等主義者だな
恩恵にしろ苦難にしろそこに等価の反作用があるほど
公平に世の中できてないと個人的には思うわ

850 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/21(火) 18:37:10 ID:wy9lNvvc0
ないの!? エロの感想はないの!? >>1が血反吐吐いて書いたエロシーンだよ!?

851名無し-Red-市民-2:2018/08/21(火) 20:06:39 ID:APWqNzZI0
>>831
セラフにえろえろ言わせすぎやろ……こんなん通報モノですよ!

852 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/21(火) 20:55:21 ID:wy9lNvvc0
>>851
観点が不浄すぎィ!?

853 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/22(水) 08:04:55 ID:IW9goHJc0
仕事前に一言。

完結後にメインヒロインのAAが急激に増えたりするとさ……悔しいよね。なんか追加で書きたくなっちゃう。

でも蛇足になりそうで怖い今日この頃。仕事行ってきます。

あ、>>1のエロシーンで抜いた人は遠慮なく申し出てね! 励みになるから!

854 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/24(金) 23:07:44 ID:vjtPg9JM0
前作を見ていた人たちにお知らせだ。

メインヒロインのAAが増えたから悔しくて衝動的にエピローグを書いたんだが、どうしようか?

蛇足だと言うのであれば、封印しよう。見たい人がいれば、どうしようか、グループチャットができるソフトかなんかで内々に投下しようと思う。

どうだろうか?

855名無し-Red-市民-2:2018/08/25(土) 22:15:09 ID:atu3cCcs0
どこでも教えてくんろ。見たい見に行くかならずだヒャホーイ
その日まで( ´-ω-)つ①①①①

856 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/25(土) 22:46:19 ID:2hCW0k5Q0
じゃあディスコードにしようか。

ttps://discord.gg/4MH7Khまでカモーン

857名無し-Red-市民-2:2018/08/27(月) 01:02:27 ID:kbkmo5C20
ディスコードとかいうのはやってないからなぁ

858名無し-Red-市民-2:2018/08/27(月) 18:36:12 ID:3XPsXlzk0
わからぬながらもディスコードなるものの画面に到着したが
丸太の上で寝てるキャラをずっと見続けています
それからどうすればいいんや・・・
夜、ここらの時間帯からそろそろ回線重くなるのでまたねー

859 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/27(月) 19:39:55 ID:2qZEDJEw0
なんか賛成派の意見が多いみたいだし、普通に投下しよっか。

前作のスレの方に投下しとくから見てね。

860名無し-Red-市民-2:2018/08/27(月) 20:03:20 ID:hsF7nYn20
やったぜ

861 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/28(火) 20:42:46 ID:oLAz215.0
前作スレに投下し終わったよー。

862名無し-Red-市民-2:2018/08/28(火) 20:49:15 ID:ji6dAV7U0
おつおつ

863名無し-Red-市民-2:2018/08/30(木) 23:02:55 ID:uR1rkw0M0
この平行世界に飛んだキル夫はもしかして善きサマリア人なのですか?

キル夫=アッシリアの血を引くユダヤ教徒
シェルターの住民=ユダ王国の生き残り
悪魔召喚プログラム=2ディナリ

864 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/02(日) 20:04:13 ID:uK2Nh5ZY0
ハロー、生存報告だよ。

続きを書いたらちょっと短くなっちゃったんでね、二本立てにしようと思ってる。

というわけで、第十七話『ダーティーワーカー』、第十八話『スクールライフ・サバイバル!』執筆中だ。

こうご期待だね。

865名無し-Red-市民-2:2018/09/02(日) 22:20:45 ID:PI5cKX5M0
スクールライフとはまた似合わない言葉がw
期待

866 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/03(月) 19:28:00 ID:avvmlxmc0
ハロー。書き終わったけど、ゲリラ投下するかい?

それともちゃんと予告してからやろうか?

867名無し-Red-市民-2:2018/09/03(月) 20:09:48 ID:t17Yt4OU0
雇われ投下?

868 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/03(月) 20:14:42 ID:avvmlxmc0
>>867
そう、>>1はゴーストライター……ってわけでもないよ。

で、どうする?

869名無し-Red-市民-2:2018/09/03(月) 20:18:28 ID:t17Yt4OU0
ワイは即座に見たいけど周知したほうがゴーストライターさんも賑やかで嬉しいやろ

870 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/03(月) 20:23:05 ID:avvmlxmc0
ゴーストライターじゃないって言ってるダルルォ!?

まあ、そういうことなら、明日の午後九時からにしようか。

待っててエブリワン。

871名無し-Red-市民-2:2018/09/03(月) 20:26:39 ID:t17Yt4OU0
把握

872名無し-Red-市民-2:2018/09/03(月) 20:56:52 ID:FiF2CCFw0
楽しみ

873名無し-Red-市民-2:2018/09/04(火) 21:09:38 ID:FCC9OttQ0
時間だけど台風やばいとこ住みかな

874 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:11:22 ID:re/fJhZk0
すまない、ちょっと色々あったんだ。

今から開始するが、まだいるかな?

875 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:14:20 ID:re/fJhZk0

┌─────────────────┐
│                         .│
│   第十七話『ダーティーワーカー』    │
│                         .│
└─────────────────┘

876 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:14:42 ID:re/fJhZk0

  iv'ヘ                                   __
  | ;`;|                                  /:/\
  | ;'l:|           i'`'i             、         ┌个┐| | .:_|___.
  !:`l'|  ζ\     |;`;|             ∥         | .:|...:|/:/...:.:|..: : : : : :.:`L..r─Lム、
-、_|_.;l:|   \';、\  :|':i;;|     .  i'1   ||/>       | └┴┬i::::|==========|: :Lム、ロ.::|
ー|_}:;|    \';、.\|;';;;|   ./〉 |;|_r//  /      |[]..::[]. 〈〈::::|::::::[]::::.:.:[]..r、]: :: . : . : .::|
-|_|`|_r:‐:‐:‐:‐\';、\;| r‐//┐_|:|::::::::;⊥、r/.:   ,、   |. : : : :.: :\:|:::::::::::::::::::::/. : : . ┌::、    /〉:
ー|_};|::::::::::: : :: : {二l\;i`!、::://:::::::::::::::::::r| .::| /.::::  _ .||_ | : : : : : :、 〉〉/〉::::::;;:::〈 : : : -┘:::L、r‐//┐ ,、:
-|_| ̄/\:::::::/`|_{┬| |;、\::::::::i'|::::::r┴冂、 .:::://\| ::::ト、__ : : :||_'//、п∥::.:l| : : ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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~三三三三:.三」L三三三」L三三〉〉┬┴┤ .:|_;!:..|:::..|::::.|\.::::》: :::L;:.::r| .L/∟ロ⊥》> ̄]匚 ̄ ̄]「 ̄ ̄]「 ̄「 ̄ ̄]「 ̄
 L l「 ̄ ̄ ̄|「      ̄ ̄|「 ̄ ̄|r'.:|  .:|ー:|_ .|::::.l\|_;;||;;:|L:<)┴‐'''"~::::::::::::::::::}「 ̄ ̄|「 ̄ ̄ ̄|「 ̄ ̄l[ ̄|「 ̄ ̄l[ ̄
 ]_」L:___」L____」|__ |》〉 ~゛`┴::-'⊥::.∟ロ⊥!:::::::::::::::::::::::::::::::::::>''「 ̄ ̄|[ ̄ ̄ ̄____」L:._:.」「 」L:._:.」「 ̄
   ]「 ̄ ̄]:[ ̄ ̄ ̄]匚」[ ̄][く《:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/7_」L_:.」L___|「 ̄ ̄ ̄|「 ̄ ̄ ̄ ̄|「 ̄ ̄
     ̄|「    ||  ̄ ̄|「 ̄TニT ,,                   》> ̄]匚 ̄ ̄]「 ̄ ̄,,
  __,」L__」|____」L 三三三`    ,.        `      }「 ̄ ̄|「 ̄ ̄ ̄|「 ̄ `    ,.
.    _||     |L    ̄l|「 L l「 ̄            .        `|ト、 _」L____」L:._
                 ]_」L:_
                   ]「


╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
魔王モロクが出現するとされるあたりまで来るが、そこはもぬけの殻だった。
それどころか、悪魔の一体もいなかった。
昼間の日差しが崩れたコンクリートを照らし、ほんのりと暖かささえ漂わせていた。

「パイモン、過去視でどこ行ったか見れないか?」

「だめだよー、僕の過去視は大地震とか大火事とか、そういう大きな出来事しか
見れないんだよ。あ、でも普通に気配は辿れるよ。ちょっと待ってね」

パイモンが意識を集中させるように地面に手を翳す。

「うーん……第五シェルターの方に大勢の悪魔が向かったみたい。
魔王モロクっぽいなんかメラメラ燃えてる気配もあるね」

「まずいじゃねえか」
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877 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:19:38 ID:re/fJhZk0


                   _
                 , . : : : : : : : :>‐…‐-
                 ,. -く: : : : /: /\: : : : : : : : : :\
               /: : : ニ=‐-: : : : : : : :\: : : : : : : : : :\_/:i:i:i:}
           /: : : /: : : : : : ⌒`、\゙\: : : : <i:i:i:i:i[i;〕:i:‐<_
         /: : : : / : : |: : : : : : : : `、 \ \: : : \i:i小:i:i:)、:i:i:i:i:i:丶、
       _/:i/ : : : /: : : :|: : : : : : : : : :`、 \ \: : : : : |:i:i:(: :\¨⌒\(
      ⌒\/ : : : /: : : : : : : : : :\: : : : `、   \ \: : 八:i:i:\: :.\           ……もしかして助けに行くの?
           /: : : : : : : :..|: Λ : : : : :|\.: .:/、  \ \: : \i:i:i\ : :\
.         /: : : : : : : : : |/丶 : : : : :| _Χ、斗 、    \ \: : : : : : : : :. :.\_       「あったりめえだろ」
.   ___ /: :/: : : : : :芥うぅミ\: : vィ灯Jハ^\{\l\(\⌒ : : : : \"⌒ ̄
   \   //: |: : : : : Λ:| 乂ツ  \: \ゝツ   |\: : : : : : : : :\: : : :.\_         なんでさ! あんな仕打ち受けたんだよ!?
    \/ |: :|: /Λ/: :Λ     ,::. `⌒     从: : : : : : : : : : : :\⌒ ̄   /
      \ |/:|/: : : :.∨ Λ    _,.  .,   ,:i|: : : : : : : : :|/"'<⌒\ / /(
   _ノ⌒ | |: : : : : : : : : :゙:..、 V   ^) / |Λ : : :..|\|: : : :..`、  //
  ⌒\      |: : : : : : |\: : : 〕iト .,  イ _,、rニニ}Λ : |: : : : : : : :.} /
   /       |: : Λ: : |\ ト、/   {ニ=ニ二\ ̄ ̄ 〈: | ̄ ̄´"''</
            |: /  〈: |  )|   ∨ニニ二二二\   〈|
            |/    〈|  ∨/   ̄´"''<ニ<

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パイモンが珍しく怒りを露わにした。
声を荒げ、握り拳を作っている。

「そうはいってもな、あいつらは戦えなくて、俺はデビルサマナーだ。
サマナーである以上、守る戦いをせにゃならん。
俺みたいな思いをする奴は、俺だけでいい。
そのために、俺はいる。俺が銃を握る理由なんざ、二束三文の銭と
目の前の困ってる奴らだけで十分なのさ」

「私は、喜留夫についてくよ。たとえどんなに喜留夫のこと嫌ってても、
あの人たちが酷い目に遭っていい理由にはならないよ」

セラフは喜留夫に賛同してくれた。
メイヴはやれやれと言いたげに首を振っている。

「ま、いいんじゃねえか? 旦那らしくてよ」

ヨシツネが柄を撫でる。ヴリトラは何も言わずに、第五シェルターの方へと
歩き出していた。反対派はパイモンだけになった。

「いいか、パイモン。俺は加賀喜留夫であると同時にデビルサマナーなんだ。
別に人間だから助けるってわけじゃねえ。人間であろうと悪魔であろうと、
助けたい奴は助ける。それが俺のやり方なんだ」

「あーもー分かったよ! ついてくよ!」

パイモンがむくれ面になる。結局、喜留夫達一行は第五シェルターに
向かうこととなった。
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878 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:19:56 ID:re/fJhZk0

                  ` <ニ≧: . _  \ `ヽ  \ \  廴Vト、         /  / / , ' / /´  /  /
  . -‐  ¨  ̄  ̄ ¨  ‐-` ヾニニニ≧: . _ー'    >:ミヽ ヾ}| \         /  /, //<ー≠二≧:<. _
´                   \ニニニニ>-<ニニニヾVハ、  ヽ       l //<彡ニニニニニ`ヾニニ> . ̄ `ヽ
_                    ヾミ二ニニニニニニニ三ニ\ー '       レ /ニ>-ミニニ/`ヾニ\ニニニ> 、 \
    ̄ ` <                      Уニニニ//´  `ヾニヽ       /ニニ{    }ニ/     _   ∨ニニニ∧. _\
        ` <      ____   _ヾ<ニ/ヾ弋   ノニニヘ   ,:仁ニニニ弋.   ノニ廴,x<ニニ≧: .Vニニニニ∧>'  ヽ
           ` <    ` ̄><三二ニ≧:∠.、_ ゞ二ニ彡'⌒ヾ:〉  / ´ ̄` <ニニ彡ミニニ三二ニニニニVニニニニ∧
              ` -‐_'' ¨-‐== >、ニニニニニニ(⌒}ニ廴          ⌒>ニ廴 ノニ∠_  ` <ニ}二ニニニ}
                 . <             `¨¨´ ̄ /-―<ニ彡ニミヽ       /ニ>‐ミ二/´  `ヾ    `}二ニニニ}
           . <                   ノ   . -‐'式   `}ヨ         {ニ{  _丿ニ辷ニ>.、\    }ニニニニ}
        . <                     > ´ . :≦ニ>xニ≧≦{'   _   ヾ辷二ニ三ニ7、ニニ\ .\ }ニニニニ人
   , : '   . - - - -  .        > ´ . <ニニ/ j´ニニニニヽ./:i:i:i:i:i:i:ヽ /ニニニ≧x.V  \ニニヽ. `}ニニニ/ ∧\
  /   >‐  ¨  ̄ ¨  --  > ´  ∠ ≠ ¨ ´ /ニニニニ∠ニ{:i:i:i:i:iヽ:i:i:ト、ニニ≧ミ\ \  ` ¨ヾ辷}ニニ/    ∧ `
∠二> ´                 /        / /,`}ニ∠>:/;辷ー彡ヘ:i:i:i:i:ヽミx ヽ ヽ ヽ ∨    /ニニ/廴     ヽ
                      /   >‐ '¨ ´ // ヾニ三ニイ厶彡:/:ノり:i:i:}:i:i:i∧ \\\\ \   /ニニ人   `ヽ.     \

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第五シェルターに着くと、案の定入り口が破られていた。

中に入るとエレベーターが踏まれた缶のように潰れていた。
これでは使い物にならないだろう。非常階段が視界に入るが、
それでは遅すぎる。

「セラフ!」

セラフが漆黒の翼を広げ、壊れたエレベーターを外へと吹き飛ばした。
ぽっかりと空いた穴へと迷いなく飛び込む。
セラフが翼を広げたまま喜留夫の胴に抱き着き、抱える形で一緒に落下した。

強い風圧を受け、衣服をばたばたとなびかせながら、落ちていく。

地下の町が見えたところで、セラフが翼をはためかせ、落下を止めた。
ふわりと体が浮き、衝撃なく地面へと着地する。

街は火の海だった。

降り立った先は居住区だったが、至る所に火が放たれ、焼けるはずのない
コンクリートの家が軒並み焼かれていた。魔力の炎だ。

「どこに行きゃいい、旦那!?」

「避難するとしたら統括所だろう、そっちに行くぞ!」
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879 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:20:11 ID:re/fJhZk0

                 . ":.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : :ヽ:.:.:.: . . __
                    /:.: /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : :⌒ヽ:.:.:.:.⌒、
                   ′ : :'⌒:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ヽ:. `ヽ
                 //:.: / : :/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : :、:. ヽ:. l:.:. 仆
                  /:.:.:.:.:.//:. ′/:. /:.:.:.:./:ノ:.: l : :}:. } 、..} ヽ
          ー=彡: //.../.../.../// /.-=彡イ/ヽ、:.:/: /:. | l:.: |
            ' / ′:.:′.{: /..l l...l : :/ i/../__ j」V:.:/:.:.:.| | : |
              { l |.l i...i...|-V-十i|:.:.:| フノ ,、≦ミ V:.:. : :| |.i i}
            l八.l |: |: i/ うミt、 \j  イ{イz7 〉i}:. ノ:.:.i/ | |         加賀喜留夫……!?
                乂l.i.人_」斗''゛      ` ¨¨´ノイ_ ノ}l人}
               从`ト`    |        /  ノリ
                    ヽ∧    `    u.  /r=彡、
                       、    ,―-、     イl:|:.:|ミト、
                      \   ̄   / i|从人
                       r== >、    イ,r<>r= ミ
                   l `ヽ \`Y´ /<f´r ´ ̄l
                    |`lil l ヽ>< :′| li     l
                     | il l:.:∧乂 /:. : | lil     l
                      | il l:.:.:∧x/:.:.:.:.:| li     l 、
                     ,,.. イi il l:.:.:.:.:.v:.:.:. : :|ミト、  r 、  >.
              …''"¨>l l  \ il l==o===| l>`弋ン≦三{il`>
                <´  i| |    {}:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : :{}// ´ 〈〉 ミx

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思った通り、デビルバスター統括所の前では、バリケートを積み、
その前で銃列を敷いているデビルバスターたちの姿があった。
あたりには悪魔が群れを成し、統括所へとにじり寄っていた。
餌に群がるイナゴの群れを彷彿させる壮絶な光景だった。

「おう、昨日ぶりだな!」

挨拶代わりに手近な悪魔を撃ち、指揮を執っている枢木朱雀に呼びかける。

「何しに戻ってきた!」

「見りゃわかんだろ、助太刀だ!」

枢木朱雀を始め、その場のデビルバスター全員が困惑した表情を見せた。

「僕たちは、お前を……撃ったんだぞ? 分かっているのか?」

「分かっているさ。その上で助けに来たんだ」

「……一体何者だ? 何が目的なんだ」
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880 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:24:07 ID:re/fJhZk0

      ____
     /       \
   / (● )  (● )、
 /   (トェェェェェェェェイ).`ー 、
 |     \ェェェェェ /  y气    |        ただの雇われサマナーだ! 覚えとけ!
 \         /   /\`ヽ, - + -
 /    ̄ ̄ ̄ ̄´    入  ヽイ   |
 |   _____/  \
 \            ヽ \
   \            ヽ \
    \               j(ミノ

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「セラフ、ヴリトラ、ヨシツネ、メイヴ! 手あたり次第そこら辺の悪魔をぶっ飛ばせ!
俺ら以外の悪魔と人間に当たんなけりゃそれでいい! 派手にぶちかませ!
パイモンは支援!」

ヴリトラ、ヨシツネ、セラフを伴い、群れの中に突貫する。

「くっそ、短刀じゃやりづれえ!」

短刀を握りしめたまま、手近な悪魔を蹴り飛ばし、踏み倒して撃つ。

喜留夫が手こずっている間に、ヴリトラとヨシツネが跳び回って魑魅魍魎を
八つ裂きにしていき、セラフが翼と炎で薙ぎ払っていった。
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881 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:24:22 ID:re/fJhZk0


                 _ -‐=ニミ、
               ///´ ̄ 、   ヾ
                 ///   _ .:\       ___
             {/∧  ´ `:::::\    -=ニ=─-ミ 、
             ___V/∧  ⌒ヽ::::::; </> ´    ヾ}
          ´   ::::〉//}  , -=、///::::`ー=  __
         /.  ィノ:::////  _ ////:::::::ヽ  `::...`ゝ⌒ ⌒ヽ
      _/ 〈    `:::::i//イ  ´   j//イ::::.. ..:'   :::::::: `::..  ハ
   _/   :::::......:::::::|//ム ⌒ ////j:::::::.....  ..:::j:::   ノ::: l::::}
  ィ´/   :.、__.:`ヾ、::::f///ム  /////:::_::メ::.....::::;イ::....:::/:::  /::/
 { :' ::..  :::::::><ニ|///メ≦////≦{ >=─'´-ミ<::::  /::/
  :. :: ` ー=イ  L/:::::レ'´   `ヾ/ 〈:::マ{:.  ::::::: ::::ヽヽ::  '::::i
  :.  ヽ::::}  く        ..:::::イi  ヽ::`::::  ::   ::::}/ . ::|
  〉   V    {ム廴__ィ  / / }   寸::    ..::∥  ヽ:::.、
  '  ノ   \  f /´_マノ  . Y_ノ     }    ...::::;イ{_ イ、  i:::::l
 |       ヽ レ ___ -‐' -=     ハ ‐-イ:::ヽ   ノ 丿:::j
 l |  ィ⌒ヽ_ノ  ヽ _ -=        {:::::`マメ〉:::::}  ー ー ´
 乂ゝ 〉                   ヽ:::. :::::/{:::;イ
     `                     〈ミ、__イノィメ
                        {ヽ__ノ1
                         {ミ`ー=彡'
                             〈≧=-=ィ}
                           ト-=彡' j
                         廴__メ

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群れを蹴散らしていると、奥の方から一体の悪魔が躍り出た。
炎を纏い、雄牛の角を頭から生やした魔王、モロクだ。
雄々しい黄土色の肉体からは炎が噴き出している。

「セラフ、前に出ろ! ヴリトラとヨシツネは周囲の掃討!
俺とメイヴとパイモンでセラフを援護する!」
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882 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:24:47 ID:re/fJhZk0

                           ` <    >         l  |
                               ` <   `ヽ、     l   :|
                 ヽx              ` <   \     !   :|                   ,、
                      \丶               }    ',   ;    :!               / ヽ
                      \ `ヽ、              ̄`ヽ {   〈    :|               /   〉
                      \_ヾー――――_-≠ }廴_∨  || _             /   /
                 _,. -≠´  _、 --<  ̄      / ,. - 、_ゞ-≦二¨ヾ≧,x        /   ,ノ     __
               _,.≧     /´  \    \  /ヽ/ .∠-‐≠´> /: :`ヽ \/,ヽ    /  /_     /     ̄ > . _
              -<   _,`-‐=、_  ヽ._   У  ,、 {≦彡ィ: :_: /:/_ ; : : :〉 ,辷/,廴   / /´ __ `ヽ. ノ _    _ .. -
                 _〕  冫  ヽV,‐-  ≧ __<      /ィ´:从A/>x:`:ー》///≧ァ} /   ヽ   〈   ` ¨´
               _≦-r┬=≠  _ .:.:}〔.:.-‐_ .. .. _¨¨ ̄ ̄メニヽ_ X|{:) ´rミvリア/////  / /      ∨ ∧
          }r==、 ≦_ ´ _乂z ´ ̄   , .「f´::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::.:.::≧:`レ'とノ‐从 ト'、_ー'/;イ/////l /  {      }  }
       (ゝ、 ` ー- r /´ ヽ._ ,_'.:.::l{.:.:.:.::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:::.`ヽ.彡'/ゝ辷´ィ 厶-ァ///,レ  ∧     /  /
        ヽX       K_     /`´.::j|:::::::..:.:.:. :.:.:.:::::::::::.:.:.:.:.:.::::.:.:.:\´'/,ィl7/V>彳///,}_, ィ ヘ ヽ __/ ,、ヽ
         λーミ、 _  `ヾ> , '::.:.:.::::;ノ,'::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::::::::::.:.:.:.::::::.:.:.:.:.ヽ'彡ヌ/////////,}    ヽ __ / V∧
           《      ̄`ー-:/、:.:.:.:.:/, {.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::.:.:.::::.:.:::.:.:.:.',,≠〉ー///////ト-‐≠ ´  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ¨
            ヾx       ,'ヽ〉.:.:.:l' j! }.:.:::.:::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:::.:.:.:.:.:.:.:::}./X辷/////りミ_ ,x- 、 ヾー-======---―
         _〉廴      {.:.:.:.:.:.:.;リ´{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..::.:.:.:.:.__;」>ト _彡/////ト、_{ /     V }      ∨∧
    ,ィ≠'¨´ ̄  ̄`ヾー- _{_.:.:.::.:.:|l 、 {::.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..:.::´:: ̄´} ////////,} _{{_`ヽ、  }:廴      ∨ }
    ″               `Τヾx.:.} ′`ゞ.:::::::::::::::::::::.:.:.:::::::::::::::::::::..:.:.:.:::::::} ´////////,}´ v',ヽ ヽ/ _ ̄ ヽ   V }
                  .;Ⅷ_;ゞ-    ミ::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.::::::::::::::::::::=≠)::::;'/>ヘ///////}   ト、`ー‐ 彡'\ V ∧    V:}
        __,. .-‐==≠´Ⅶ三,j l、r:ヘV:::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.::::::::::::..:.:.::::::/ハィ/〉〉/////,ト、 _ ノ丿`) く   Ⅵ  ∧ .   Ⅶ
    ==≠ ¨  ̄ ̄         :.Χぅ.:{{:!ⅳ;ヘヾ::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:::ト、::_.;. .-≠=x_-シ///////`ー┐ ヾノ  /ー 、  い . ∧   }:|
                   .:⌒ゝ.:ヽ冫V:::ヽV:::::.:.:.:::::.:.:::::::::::`::ー:ミ:メ、ノ〉/≧≠<ヽ ´   } ,'  /   . \ \  ∧   }|
                         :.`.:x小.V::::辷┐::.:.: : : :.::::.:.:.:.:. イ  ノ/ヽー.、_ ),ヘ   { ,′ ,:'       ヽ ヽ ∧  }:!
                     .:ノ 彡` ヽ廴::ヘ.V::.:.: :.:. _,> ´   {{ o ` ー'' ̄ ソ     ∨ ,イ         \ ∨.∧ l|
                     /〉,》    `ヾv'ノ、ヽ. ̄ .:.:.:.:    /ノ              /

883 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:24:58 ID:re/fJhZk0

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翼を広げ、セラフが飛び立つ。モロク目がけて飛翔し、そのままがっしりと
掴みあった。少女と異形が組み合う姿は異質であったが、力は拮抗していた。

セラフの翼がしなり、モロクの脇腹を貫こうと迫るが、蹴りで弾かれる。

「セラフ、全力でぶっ放せ! 俺らが隙を作る!」

パイモンが氷結魔法で地面ごとモロクの脚を凍結させて捕らえ、
そこにメイヴの電撃が落ちる。おまけとばかりに、喜留夫も閃光手榴弾を
投げつけた。

爆音とともに目を焼く光が辺り一帯に満ちる。

「死んでよっ!」

呻くモロクに、一旦距離を取ったセラフが宙に舞い、両手の間に
巨大な光弾を生成していた。ばちばちと火花を散らし、大きくなっていく。
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884 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:25:20 ID:re/fJhZk0

≫: .                   {∧}/////| \ヾトⅥx'7 》                                   \ヽ ヾllヘ
ヾ三三≫: .          ト.∨//////|∧//〉}}ノ/∨ミ廴_                                        ヾx ∨ハ
、_}三三三三≫: .         Ⅵ }//////l/////´X// `ヾ、 }                                    \、}l:l:|、
三/´  \三三三三≫: .   ト/7//////}///////〉、   》l〉                                      ヾY:|{
Ⅵト 、  ∨三三三三三\ミヾ>/////}/////// }}  ///〉                                       Ⅵ{_
、Ⅵ     ∨二ニ二三三三\ミ/////////////{ ノ};l / ル'                                         ヾlヘ
、`}ト 、    トゝ、  `ヾ三三三\////〈//////ノ Ⅳ ノj´  o                                         Ⅵ、\
 `ト 、    `ヽ. > . ∨:三三三ヾ///∨////  }| {「                                             Vl ヾl
_ l{、         廴   ヽ∨三三三ハ∨/V//,'   ヘヽ}}、                     /`}                       l{ l}
  ̄l{二=-. :≦三三≧:∨三廴.ゞミヾv>‐く    `}X              , ´ }   , '   ,'                         XVl}
  ̄,》、:≦三三三三三r‐ァ}三k二≧ミ{i:r==ミ}     _巛_           _     /   l , '   /                         /∧〈
≦≠‐ヤ  ̄´    V /ニハ三kミ「:i:i:i:i彡ラ弌 ,x≦: : }ソ: :≧x    _rベヾ  /   レ′   /                         //  ll|
   /V _  -‐   /ニ/ 厶>x{i:i:i:i:i:i:i:i:iノ:i:i:>、: : : {l{ : : : : : ハ .<: : > .}》/   /    /                         //   l|
 _  -‐__ヽ__ ./レ´ ノ ./τ∨:i:i:i:i:く:i:i/:¨´≧ヽ}}: : : :< : :. :. :. :. : : :}メ> . /    /       r=ァキヘ               //   《
 /  ̄ _ _ _, ,ァ≠´-/  / X/〉(⌒{ : : : : }/ノl´ .: : :,:;:;:}.:.:.:.:.:.:.:. /ll: : : /:> . /      レ´  ヾ{、               //    ヾ
ノ> ´   _ /イ メ二ア //  /. レヾ:〉  Ⅶ_;ノイ: : l .: : :;:;:;:;' :.:.:.:.:.:.:/. :}{: :/ : : : : : > .    /       Vト、            //
´    ∠>_´_  ´ ィ彡 彡彳メ/      ,ノ´/⌒´ : : :l .: : ;:;:;:':.:.:..   / :ヾ{/: : : : : : : : : : : :> li        廴》           //
     ∠> ´   ̄´   -‐ ''"      ,// 「l` <: :_:_:l: : : ':.:.:.:.:.:.:.:./.:   :∧: : : : : : : : : : : : : : : : > .   Ⅵ        //
            ゚'  ,ィ≠テ>x __≠ ラ' ノイ       l: : : : : : : : /: : : : /: :ヽ.    : : : : : : : : : : : : : : : > .}ハ         //          /
          _// /≫≠ ̄_ -‐ ´  }}       '<: : : : : /: : : : /: : : : l}: .    : : : : : : : : : : : : : : ∨ハ       //          //
ヽ__ _ x≦=テニ三/   ∠ ≦三≧ー_彡'         `  :/: : : : /: : : : : :l}: : : : .    : : : : : : : : : : : :{ヾヘ> . //          //
二ニ≠ ̄  ̄ _ ノ      ///´ ̄   ̄               / ` : / : : : : : : l}: : : : : : : . . .     : : : : : : :\ヾx: : : >...      //
 _,. -‐ ''´ ̄       /〉爪                       /    / ` :<: : :lト、: : : : : : : : : : : : . .    : : : : : ヾlト、: : : : : : > .  //
 ̄              ///ll}}                 ,'    /   /  ` l} |: : : : : : : : : : : : : : : : : . .     : V》ヽ: : : : : : : : ://: .
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885 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:25:31 ID:re/fJhZk0

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
放たれたそれは、地面を抉り、大地を割った。
紫電を纏った光線が、辺りにいた悪魔諸共モロクを覆い尽くす。

光が消える頃には、ぼろぼろになったモロクと、塵となった悪魔たちの姿があった。

よろよろと地面に着地したセラフへと走り寄り、抱きかかえる。
息が荒く、肩で息をしている。あれだけの大技だ、消耗も激しいのだろう。

頭領を失った悪魔の群れは、早々に背中を向け、散り散りになっていった。
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886 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:25:55 ID:re/fJhZk0

            l、      , -‐─ー-、 、
            ヽ`ーー---´───-- \ヽ
          ,..:.':.:.、:.:.:.:.:.:.:.:.:./ ̄:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ)
        ///ヽ`ー-‐´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.):.:.ニ=-、
        {! /:.:./:.:.了 ̄/ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.\
     ___ノ:.,..':.:  .:./.:/:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\ヽ
     ``ー-/:.:./:. /.: ./.:./ :./.:.:.:./ .:.:.:. :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽヽ
       //:.:./:.: ./.:. ,':.:./ .:/:./:./ :.:.:.:.:. :./.:.:. :. :.:.:.:.:.:.:.:.ヽ`
      ´ /:.:./:.:.:./:.:.:.:.|:/i:.:/:/:./:.: .:.:. :./:. .:.:./ :.:.:. :.:.:.:.:.:.:i:.|
       l:.:/}:.∠_/厶|/|:.|:.,':.:.:.:.:.‐=ニ二ノl.:.i:.:.:. :./:.:.:.:.|l:|
       |/ |.:.|l:.l 才テf-≧l:.|:..!.:.:.:///}:.:.ノ|:.:.{:.:.:./:. |.:.:.i リ
       ` ヽ|l|:.|ゝト-イ`ミヽヽ:l:.:(==ノ≦≠l:.|:.',:.(:.:.:.i.:.:{
          ノノ| ` ̄¬´ `ヽゝィf戈テ于ミ|ノ|::..:.ヽ:.|:i:.ヽ_      ……悪いが、君にかける言葉はない。
         ´ `l      ,'   -K二‐ } 》/ ノ〉:.//ヽ--´
           ノ.!     /       ̄ー=ー'/.-‐'           謝るも媚びるも、デビルバスターの誇りに反する。
          ´ri\    }         ノr'´:/
           }ヽ ヽ  t ̄`ヽ    , ':./ヽ:(              このまま黙って出て行ってくれないか。
           / ヽヽ \  ̄`  , イ:ノ)イ   `
         /: : : : ヽヽ、`‐ ' ´ r‐´イ、
  , - ‐= ' ´: : : : : : : : ヽ//==//¨ : : : \
 ̄: : : : : : : : : : : : 〈〉 : : : //: : : : //〈〉: : : : : : `: : 、
: : : : : : : : : : : : : フ)}{(ト : //: : : : // 卅`: : : : : : : : : : `: ヽ、_
: : : : : : : : : : : : : ヽΨ/:〈〈: : : : :〈〈: :爻 : : : : : : : : : : : : : : : : >、
: : : : : : : : : : : : : : 劜: : :| |: : : : : | |: : : : : : : : : : : : : : : : : : :/: :l

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「かまやしねえよ、それより逃げた悪魔の追撃を頼む。
俺も仲魔もちと限界気味でな、先に上がらせてもらうぜ」

喜留夫はそう言い、枢木朱雀の肩を叩いた。

「じゃあな、若いの。元気でな」

そうして、喜留夫達は第五シェルターを、この世界を去った。

この世界の行く末がどうなるかは分からない。
破滅か、再生か。

だが、それを決めるのは、よそ者の自分ではないことは確かだ。
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887 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:26:06 ID:re/fJhZk0

              ,ィ                   /uiu、
          / |       ____     |   |
            | |    /      \   ヽ /
            | |  /( ●)  (●) \.  | |
            ヽ.| /  (トェェェェェェェェイ) \ | |      その後、一行は復讐としてホテル業魔殿のビュッフェを荒らしにいったそうな。
          |.|_|.   \ェェェェェ/    |⌒)
            〈_ィ.\           / /
              \             /
               i             /
               |           i

                                〜続きます〜

888 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:26:33 ID:re/fJhZk0
誰か!誰かいないのかい!?孤独死しちまうぜ>>1は!

889 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:28:07 ID:re/fJhZk0

┌─────────────────────┐
│                              ..│
│   第十八話『スクールライフ・サバイバル』    .│
│                              ..│
└─────────────────────┘

890 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:28:20 ID:re/fJhZk0

              _ , - - ― ´  ̄  ` - 、_
       _ _ γて_,、//       ― 、―yミXヽ_=r= 、
      //| Kr-、|ヾ、           >ロ><ァトミヽ
       / Xヾ彡 //     |    ヽ ヾ|\テソノヘヽ`、
       | | |ト`´ノ/  |..|   .|   |  |  ゛ て‐<ゝ` |
       | | |`、/ | / | |  .ハ|  ヾ  |   ヽ |ヽ ||(`  |
        | | /ヘ/ | /  .| |  | |ヽ  `、_._|_  | li `、\|| |
       / | .ハ .| |  |大-.| | .|、  .|ハ | |  | | |  || |
      ,/ ///  || | ノレハ,、|、\\ハi_, =-、 | | .| |  | |      は?
     / / /イ  | | .| Kr/マア冫 ` `´イ::..::ハ | | |  | .|
    / // / | | | ヘ Y`.ヾ斗ソ     弋;;ソ / .| .|  ヽ .|
  / / / /  | | |  ヾ|ト, ゛´゜       ノイ |  |   | .|
 / / //イ .| | |  ヽ) >    _ _ U ノ彡/  /    `、ヽ
../  / /  |  | | | |  |ノ i |>、   ` ´  /イ / ./ /     `、\
/  / イ  / |  | | | |l  y | | r-ノ> - <  |/ / /        ヾ`
|  |  |l ..  || |  | | /| .| | \>_)(⌒)(\ノ/ / /`、,_ /`´ |_ ヾ \
|  |  || |  |ヾ   X .| .| |_ , )、ソ (  ) ( / /テアノ ̄r/./ ヽノ   `、

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「私が、学校に?」

「そうだ。お前は明日からJKだ」

何を言っているか分からなかった。
説明としてはこうだ。
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891 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:28:38 ID:re/fJhZk0

                ______
                 ´         >- .
             /          /⌒Y⌒ミヽ
          /             /二二二ニニ∧
            /            んんんんんんミ∧
          ′     '  |_/-∧-{- |、   込ハ
            i  ',   ',  i 厶イ==ミヽi  /  / i
            |   ',   '.  i |-くヒ.:ヅ ` ∨ /i/ /i
            |   '.    \从 u    厶芹/ / リ
           ,′   i\   \'.      ∨ / /
         /      |  i\  '. \ - 、  イ イ /
       /     _リ__/`ヽ\ './/   / { i/
.       /     /  {\\: :\介ー 〔   | \
     /     ∧  | i \\:_i\{  i  i\ }\
.    /     { }   | |   ∨\ }\!___. --く__〉___
    /  /  / i i  | |   ∨/ / /  }fニニニ <:::::::::::::\
  /  /  / ∧|  ! !   __ノ   / と二二 \:::::::::::}
./   /  / / ∧{  | |  `ー―<_`丶  ヽ  `ヽ \::::::|
    /  / / / / !   ! !  / ___彡' /    }     Ⅵ::: !
.   /     / / ∧  } i/ {  `ー‐<_     |     }i/ハ
  /         / }   / |  、__彡イ      |  / リ //:}
/           /!  { {  |     } 〉    /リ /  ///:::リ
        /    /| | i / !    ノ'   /  //  //厶イ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
依頼人の名前はセシリア・オルコット。
純フランス人の彼女は、先月日本に来日し、三津井市のとある高校に
入学したらしいのだが、どうも最近ポルターガイスト現象などに
悩まされているらしい。

ついこの間など悪魔に襲われたそうなのだ。
そこで、二十四時間護衛につける、学校にも一緒に行ける少女のデビルサマナー
を探していたそうなのだが、そんなものはそうそういない。

そこで、メイヴに白羽の矢が立った。
実際、メイヴの外見年齢は十代後半程度だ。余裕で高校生で通る。
メイヴには高校に潜入し、セシリアの身を護ると同時に、怪奇現象の
原因を探ってもらうことにした、そうだ。
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892 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:28:56 ID:re/fJhZk0

        r-、  ., 七'´ ̄ `` ミ=__,,/^ヘ
       /ツキ/´        ((⌒(刻> ヽ
      |  Σン三ノ         -フノヽ  |l
      |  /ーっ     |  |     -"ヘ  入
     /|   l   | | || |  | | ||  |    | ヽ
     / | |  | |  |  | r> |  | ||  ||  |  ノ | `、
    / | || | |  |=、ソノ| | ソー十斗ノ / /  ヘ
   /  i ||  | | ン<楼ミヽハノi =ニニ=,ノ /  | ヽ ヽ      私に人間の女子高生を演じろ、と……
   |    |  ヾ>、<トソノ   弋ツノ/ /      |  |
   |    ノ  ヽ ((ヘ ::::::  .   ゚゛゚ |i /      |  |      まあ、やってみるわよ。上手くできるか分からないけど。
   |   /   | ノ ト   rっ   /ik   |    | i |
   ヽ  // -、ノ_>´ ̄i_- -- ´`しへソ   l|   |  |
    | | |  | ヽi  `) / ´= `ン <_/ | \  |  /
   / i li / | ゛´<=>彡ニ`ヽ_ ⌒_ノil  ヽ \ l /
   / il l >´   ´`) l <‐ー  ヽ r- ´   \ li ハ
  / il y  /   /`  ´´`ヽ   ヽ    )  ヘ  \

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「転入の手続きだとか、戸籍の偽装とかは依頼人側で済ませてくれた。
良家の令嬢らしくてな、権力も相応にあるらしい。
とにかく、任せたぜ」

喜留夫がにかっと笑う。

しょうがない、ここは一肌脱いで、いや、着てやるとしよう。
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893 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:29:09 ID:re/fJhZk0

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                               ・

894 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:29:22 ID:re/fJhZk0

┏─────┓  . . ..::::::::::|  ||  ./
│≡≡≡≡≡│  . . ...:::::::|  ||/     ||
┗─────┛    . . . .:::|  ||       ||  |  .
    (◎)         . ..:::|  ||/     ||  .! :   :
    ヽ|ノ          . .::|  ||       ||   | :   :
__(__)_________|  ||       ||  | :   :
                \|  ||    / ||  ,i :    :
 ̄|| ̄ ̄|| ̄ ̄|| ̄ ̄|| ̄ ̄||.  \. // ,|i〕  | :    :
==||====||=〔 ̄ ̄ ̄〕||====||    \.    ||  ,| ::   ::
\||__\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\,||.      \  ||  i ::   :::
  \  ||\______\        \,||  | :::   .:::
 ̄||.   ||\||   :=:   || ̄        \ | :::   ::::
 ̄||:   ||  || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| \         ノ .::::   :::::
  ||      ||          ||..  \         ゙^ヽ,  .:::::::
           〔 ̄ ̄ ̄〕.    \         `〜、
 ̄ ̄\    \ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\.. \
     \.    ||\______\ . \
 ̄ ̄ ̄||~     ||\||   :=:   || ̄.   \
 ̄ ̄ ̄||    ||  || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||        \
      ||.       ||          ||

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転入初日、校内は大騒ぎだった。
フランス人美女の次は、アイルランド人美女だというのだから、校内も
湧くというものだ。
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895 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:29:36 ID:re/fJhZk0

                     __
             r‐Ym}) ,.ィ ´     ≧ァ、,.=(、-
                 `ゞ綺)/       <fY晶tッj
              イゝ´《          | r外 オツ,- 、
            ヾ、! {{/ソ i  i i   i  | ハ|l, i ', ヾ=- 、
                  从 | T j  ! l i  i i 从┼l-i!|l. 人  )
                 ,..゙〃 ヽハ. | | | ,. -‐」⊥、! i l } 入 ヽ' ソ
                 /i|ハ  |,;ィ笊ゞト/|/ん心i}  !  i  仆 {!小、
                 〈  ヾ ヾN;{秘}'  弋ッツ!レト!  乂  乂   ト、 ヽ       変じゃない、わよね?
         (´   〉、 i  }ハ、 ζ  ,  `¨´ /   !  ヘ  ! i!ヾ、_ノ
         `ー=彡ィ ゙ ! ゙〈 { ヽ   _ , .u イー- .,__  i! .从  人
                 / /...}  ,,..> __ イ     /  ',  《   个ヽ、
.             彳<三三三三{ \.   !ヽ  /≧、 ヽヽ、〉  从、 \
.           ,イ ( ;. ` > 、三三,  ヽ.    ', {三ニi!    ハ  《  \  )
.          ))`ヽ i.゙/=ー-、三ニハ. .ハ-、 ハ ヽニ/::!  ,ソ 勹  〉   ∨
          ノ 斤 ! i/:::::::::::::',ヽ三∧! }     }/ニ/::::! _,. -- 、/  /
       rく      /:::::::::::::::::',:::::`:<三≧ ', !/ニ二 _    {.  丿
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       /  /:::::::::::;;::::::;;ィ:::{::::::::::::::::::::::ヽヽ;;::::::::::::}ノイ/ノ   ` ー- ⌒
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       ヽ ',   ',.    ヽ    ',   \__/:.:∨__,,.イ⌒´
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             ',:.:.:.:.:.:.:. : : : : : :.       \:.:.:.: : : : : :',

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まあ、そのアイルランド人美女は、人間ではないのだが。
学校指定のセーラー服にセーター、プリーツスカートに黒いストッキングという
装いで、メイヴは廊下で待機していた。
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896 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:29:54 ID:re/fJhZk0

                  ,.. <   ̄ ̄ ¨>ミソ>.,__
                ,."          {{ヲイ下》У  .}
            ,.,._/r=           ーケミ辷ソノ  .i     _人_
         r= /ィえフ,イ                ̄て¨   :|!     .Y
         | {./イ八ノ   ,      i        )  .:|ハ
         | 升ソツ    i        |        ',    :|八
_人_        ィ" f!.        |  |     | |  i    ハ .   |  \
. Y      / リ ,'.|  l      |  |   i  .| | .._|.ィ i    iff  |   .ヽ
.       / // .,'k|  |    :|  |_ | . |..,斗<_, _|    ! .从   .ト、\
      {.:{/  .i  ! :| i __j_,ノ゚| : | .:j ,ィ7だ示抃  ,' / ∧  ∧ ヽ ヽ       _人_
.       |/   | :|  ! !  てr上.从.八 .ソ { ! t{i}j i从 / { ." ∧  ∧ ヽハ.        Y
      У  :| :|  ! !  イ{彡示Y}!     ゞz,,ン,' ./  ,'  i  ヽ  ∧ ハ .}              メイヴ・フェズレフと申しますの。
       /     :| :| . 从从抃! 下ツ/      ¨xx{    ,'  |    ヽ .\ リ
.      /    八| :| /   乂八ー弍″   '     / イ  {  ハ    \ .>              みなさん、仲良くしてくださいね?
   .イ    {  ヽУ/  入  ヘ xx }   ー '  .,イ   |  :!   :i   ,   ハ
   { i i   |     / ./   } ヽ>:...... __ _ / | i:...:|  :|:.  八   ト、.  i
   | | !  !i   . / ./  .ノ    Y⌒Y⌒Y⌒v^Ⅵ | 八  ヽ    \ ! .ヽ :!
.   ', .',   .ハ ./ :/  イ     ノ  {廴 ィ ソ .{rt八  ヽ  \   乂  }.ノ
   ヽハ    .У  { ,イ    ノ ノ  廴// {__r-v ⌒}iト、    ヽ     )  八
   イ川   (    {!   /     ノ/>> X<<} い     }  Y  ノ
 / /.小ヽ  .ヽ  八  /     rtソ {_,イ     .>} ソハ     ノ   i く
/   .乂  }  人   {    ,rt=イ }廴ノ⌒Y⌒Y⌒廴_ノ         ノ

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「フェズレフさん、入っていいですよ」

名前を呼ばれ、教室に入る。
姿を現した途端、生徒たちの視線が集中し、おお、と感嘆の声が上がった。

古ノルド語で名前を黒板に書き、慌てて消して、カタカナでメイヴ・フェズレフと
書いた。これが今回の自分に与えられた偽名だ。

両手を組んで一礼すると、拍手が沸き起こった。
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897 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:30:10 ID:re/fJhZk0

                          -‐…‐-
                        ´        ` 、
                       /   厶 -===- 、  \
                    / /  /::::::::::::::::::::::::::::::\  \  (⌒)
                      / /  /::_;: -‐===‐- ::_:::ハ ヽ ヽ    °
                  / /  /ヘ/,ハ⌒⌒⌒7ヽ斗 ^}  }i
                    / ′  { i 〕トミ、   折ミ/\′/ハ  、丶.
                 ′ {    Y´r心 \{{/ r心`'y′   }  {\ \
                      ,  八  、∧弋ソ   ` 弋ソ / /   j 八  ヽ \       か、かわいい……!
                ,′  ∧ ヽ ∨/  ′_   // イ  ∧  ∧     ',
                    ,   //∧  V 》  「   }  《 ノ/   / ∧  ∧   }ハ      最初に見たドレス姿も良かったけど、
               /  ////∧ ∨ト ゝ  '′.ィ∨ /// ∧  ∧    }
                 /  /γ'⌒Yヘ 〈 三≧=≦三| イ_/// /    ヘ  }/7     制服姿も……いい……!
               ′   ,{:::/^∧ ( \ヘ_/只k'´リ 人}‐-、 _     ‘, ヽ{_
             /     {j:::| | と⌒   r‐ミ、{ヾv// }'⌒'y‐く^ヽ      レう)
               / /   く::メ、 ハ__}⌒7⌒{ /´)_/ く /}ir'⌒ヽ Y }   ',   "
              /      }  人_}V´ ̄レ/く ス≧=く 〈八  ,、_r┴{
              /      /:〉'⌒ヽV 厂 ̄}′/ /ー-ミ}_/ー厂}  ト /    ',
.           /   ..:::´    レ 、  / 仁二{{  /    呂 } ̄¨7 〈//     ‘,
        /_,. イ   :{    |  V / /    У ...:::´    /ヾミ==彡、//     丶
      〈 V /    :    ∨ ィ{/ /   /}....::::::'    ∧     /  V /     \
      人 \ /     / / 「:r‐'    ´ / :::::'    ∧ }       〉//>     \
      ヽ \ \    ,   ヽ/ ´       /   ::'    / 八、       /    {\   丶
      . :介x   \  ′  /\      /   ′    〈   > 、__/     ∧ 丶.    ー┐
     / ,r┴-=ミ、  〉 l// r'   ヽ ィ´  ,  ィ´   ‘,         l\    ∧   ` T   /7
   (( r{ マニ=- -r ′l///〉、   /}_厶斗ァ7/,     〉    :.    l  \  ∧    i}   勹
    、_)){ヘ. \{  |  |∨/ ミ=ニニ7/_][__][ ニ=- イ∧    }ハ    l   ヽ } }\ /  /}

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それからというもの、メイヴは生徒たちに囲まれっぱなしだった。

セシリアの友達、という設定で転入してきたので、セシリアとは仲がいい体を
装っておいた。

これから二十四時間、家と学校で護衛に着くのだ。
良好な関係を築いておいて損はないだろう。
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898 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:30:53 ID:re/fJhZk0

                          ,.、 - ‐ - 、,
                 __ /        `'ヽ
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            ,..:'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ`'...、      l
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.       ,::: 从:::::::i::::::::::i:::::::::::::::::::::::i:::::::::i:::::::::::::从:::i:::::l
     l::::ハ::::::::::i::::::::::i:::::::::::::::::::::从::::::i::::::::::::::/ l::ハ: l
.       l::l V:::::从::::::::i:::::::::::::::::::/i:::::::/::::::::::::/ . l/ l/
      .V'´.l.\l, V::::::从::::::::::::://::::://:::::::/ ` 、
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そしてそれを、面白くなさそうに見ている女子生徒が一人、いた。
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899 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:31:05 ID:re/fJhZk0

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900 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:31:22 ID:re/fJhZk0

              , ′          /    / //////////////// \ヽ
            /         |     |   //>-―――――- ミ///∧
.          /        l     |  /'´ 、_人___ノヘ._{    \//ハ :
.           /         .l     |/_二ニ´-:/―く/   | ∧__人_ヽ/| |
        /           l      l/   // . イ|`  |.|     ( V| |
        /          l      l   /__//_、 |ハ   ||   / } ヽl | |
         /  {         l       l// )ハ`ヽ | ',  |   77ヽ  V|
.       /   :、         l    -‐く しイ    |  ∨ /! /     j |
      /      ヽ      lヽ    l  弋Jソ       /,∠=ミj/| ./  .: |      まあ、メイヴさんは加賀さんとそんな密な関係に!?
.     /      /\      :、\   l  ::::::::::..     ´ ん ハ} l/   / :!
    /       / //\     ヽ ヽ l   ::::::::::::..    ヒソ人イ //   |      「男と女の関係ではあるわね」
.   /       / // /'^\       ト.l             ::::::::: //./ / .イ |
   /       / 〃 /::::::::::::ヽ      l ヽ   ,........_   ' :::: //イ    /||
  /      /  / _/::::::::::::::::::::.、    l |   丶/^ヽンr‐、 イ/    /  | |
       .-‐:::¨´/::`丶、:::::::::::∧     l:、|     /  /⌒}.} /    /  /l/
    /::::::::::::::::::/::::::::::::::::::丶、:::∧    V|\. / / _..'⌒ヾ|     ,′ /
   ,:::::::::::::::::::::::/ :::::::::::::::::::::::::::\∧    〈\ / ´ ¨´  __..ヘjl   |/
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  l::::::::::::::/´:::::::::::::::`丶、::::::::::::::::::: ∧   Vハ\       ヽノ|   |
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授業が終わり、放課後になったので真っ直ぐセシリアの家へと帰った。

セシリアの家はかなり立派な屋敷だった。
高級住宅街の中央に位置する、かなり大きめの西洋風建築がセシリアの
屋敷だった。

「依頼を遂行していただいている間は、ここをお使いください」

メイヴにも個室が与えられた。
そこそこの広さに、ウッドテイストのコーディネイトの部屋だった。
元は子供部屋だったものを急遽改装したそうなのだ。

「ありがとう、私はここで待機していればいいかしら?」

「いいえ? 折角一緒なんですもの、同じ食卓で食事を囲んで、
夜は色々な話をしましょう? 私、女王メイヴのロマンス、聞いてみたいですわ!」

「あまり面白い話でもないと思うけど……」

それから、メイヴは喜留夫との関係について話した。
別段、隠すことでもなければ恥じることでもない。

「悪魔と人間のロマンス……! なんてファンタスティックなのかしら!」
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901 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:32:16 ID:re/fJhZk0

          ′         i      /:::::::::::::::::::::::::::\\
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        /         |    '/一、,二ニハニ;一-ヽ.ハ  .
               ii      |   /- ―――‐- j/     `ヽ i
       i    ハ     | ,  ,,x=ミ、:、    |、/ /i |
        .  i      .     V 〃んハ ヽ\//j/\ : |
        八      ヽ    | ヘ V:::ソ     jイ,x=ミイ. / |      ちなみに、浮気の心配とかはなさらないの?
         |   \.    \ |    `¨        ヒソハ|. /  ,:
         レ    , \      丶  ::::::::::::       `¨/ j/  /リ      悪魔には美女が多いんでしょう?
       ′  /  /\     \         ′:,: /  / /
       /   /    / \     ヽ    r.:::)  イノ/  / ′      
.      /        / ̄\\    i     /ノ /   /
     /       /       \\  リ≧z‐ ´ | /   |
   ,     /\         \:  i}\ ハ|  |, i i   |
  /   -‐ ´    丶、      {  {   \i|  |/l l   |
,  /   /        \     人 |\  \ |/| | 八





   {   i   ′     {f^   :  !    !  i  i :!.i | i i:  i! !
   {  i :|   :|    _j  乂__  :! :    :!  ! :|: !:| ! !:| i| i
.  八  :!|  :!   {f  i  |:⌒ヾi :l   i  l斗‐==≡ニ二  ̄
   ハ !|  :!   {{   :! :|  }} :|i   :!  :l  l !:|/イ从}/Ni{ i
.    } :| :!   :!   乂  ! :| .≠イ  !:  | :! 从 -‐笊才え≦_,
   , } :| :!   :!  {{ :i  :| .イfr「⌒ー=ミル:从ハ! イハ ィイfr:.:.:.:.と{ 7/,
  /,.:} :|八:  |   :八乂_刈ル,.ノ rfゥ^}  }ハ/ ) }/ ^弋v辷才斗 {/         簡単なことよ。
イ ィ  } :|ハ ヽ:!     :\乂_人}气ぇソ__ノ 「       ´ ̄    乂
 ノ  , . !{ } リ ! ⌒ヾ ∧ :} 乂r-<⌒Y            f´/ /        私以外の女じゃ満足できないようにしてあげるだけよ。
.   / , i /イ: , /i  :i   八____廴_彡^   :           八{  {
  / /: i  // :i  从ハ八(___  -‐=ミ    ` ゙        }乂:{         「な、なんて女らしいの……!」
. / //i | : //  | //:ハ∧ :ト、 ̄   (イ__) 、__,,.. ィ       从ハ
 ′ ′:| //.   : /   } ∧ :\         ̄      .ィ"/ ハ {
     八 ′  :|:/    :} : ∧( ≫            イ 乂 ノ 八
:{  i{  ハ:   /     } i ハ}ノ  ⌒ヽf⌒77r-く⌒V「{ {{ (( {

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メイヴはセシリアに恋愛について色々と根掘り葉掘り聞かれた。
それに一つずつ丁寧に答えられたのは、ひとえに女王メイヴとしての記憶が
あったからこそだろう。女王メイヴは恋多き女として神話に語られる。

「では、何か一緒に遊べるものを探してきますわ! チェスはどう?
トランプもありましたわね、何か好きなゲームは?」

「ポーカーとブラックジャックくらいならできるわよ」

「ではそれで!」

まるで子守りだ。
だが、それはそれで楽なので良しとしよう。

メイヴはそれからの一日をセシリアの相手をすることに費やした。
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902 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:32:42 ID:re/fJhZk0

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903 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:32:55 ID:re/fJhZk0

                   ..-‐  ¨ ≧ァオ¨_ミ:x.__
             ,ィニjァ='ィ     ⌒´辷彡ス `Y
           r:ヘ.Yツ / /   i l i ヽ  ` ヾ) i |
           トi ,ィ/ ′ i l l l | | l .ハ  ((  | !
                | jヘトN i  | | ィ7从┼l‐-i!  }` !リ
                レ′ l  Vアフ彡ィ/ j」⊥j、! イ  ハ、
           /   八 くヾrjYtリ  ´ヒ:z:ノ;7 /   Y ヽi              参ったわね……
             /   /  ヽ卜辷r" :   u. { ! ハ    ト-ミ: ____
           √ァ’ /   トミ Ⅵ(   cっ   人ヾ {  , マ≧ レ==ミ`ヽ
          /〃 /イ ャ‐ミxヾ:`へ、_ ..√てハ>"{  ヽノノ     ヽ\
       人{/ /  }   }rリ)  r' `’ ) _/   `ヽУく       )/
  .-一=彡 ハ /r‐ "  ,ィ Yヽ辷彡= _厂Y `う     レ/ \   ー=彡
ィ´   ̄   /ヾく  |  =彡  リ_ / > < 1| {:_  /イ\  丶
 /   /  /\-ィ    「ぇ≧z\_/ィミУ { 〃´  /ヽ   \
/    〃   ′  Y      | " ヾ ̄  ̄ /_  }.:′   /   }     ヽ
    .ィ   i {   Lk、   !         ¨_ノ /=ミ    〉/⌒ヾ    ハ
 / {     ヾ:、  r'¨ ` rァヘ:、   ヽ  しぅ〃 : ヾ ∧     }l   /
く  八     ヽ/   /ソi } ` :.、  }  ソイ}    }  i   〃 /
 ハ   ヽ   r='=<r彡八V_ ==≧<ア/ ¨{/    ト、  v/イ 八

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次の日の朝、セシリアと共に登校し、ロッカーを開けると、
ラブレターが十通ほど落ちてきた。

男から好意を向けられるのに慣れていないわけではない。
メイヴは自分の美貌を自覚していた。
なにせ時の権力者を何人も篭絡し、骨抜きにした女の神格を宿しているのだ。

内容はどれもこれも同じようなものだった。
一目惚れ、というやつだ。メイヴの内面については誰一人触れていない。

確かに、容姿は重要だ。
だが、それだけだ。いくら容姿が良くても、腑抜けでは美男子とは呼べない。
性根が腐っていては美女とは呼べない。ただの下衆だ。

それに、容姿など今の時代は幾らでも変えられる。
化粧や整形を駆使すれば、金はかかるがどうとでもなる。

悪魔ともなれば、幻術やら何やらで変え放題だ。
容姿を褒められた程度で、メイヴの心は少しも揺らがなかった。

喜留夫のほっとする顔が目に浮かぶ。
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904 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:36:01 ID:re/fJhZk0

          /:::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::/::::::::/:::/:::::::::::::::::::::::::/::::\
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.         /::::::::::::::::::::://:::,'./イ .{{     }} ./::::::イ〃"゙ミ、.V:l::|:::::::|ヽ :::::ハ
        /::::::::::::::::イ ̄ヽ、/    弋___ノ //   {{    }} V::::V:::l.  ヽ :::l
.       /:::::::::::::::::| / ヽ リ   |l ||l l|ll彡/     弋___彡 .|:::::∧:l    N
      /::::::::イ::::::人 ノ⊂    || ||l ||l              |∨ .リ
.     /:::/ |:::::::::::::ヽ ‐-        / ̄  =‐-ニ __)    l
    //   |,イ三=--ゞ=、         / //////////    .l
        /三三三l|::::| ヽ      / ̄ ≧ミ、  /     人
.       /三三三ニ|V:|   >、   /       Y i    <  __
.       ,'三三三三| V.    ヽ/       l |___/ >イ |l
.      ,'三三三三l|____   /_______|─<    .||
__/三ヾイ三三三三三三/____ / : : : : : : : : :-‐ ゚  ̄ ||
三三三ヽ三三三三Y⌒Y//ニニニニニニミx : : : : : : :     ||

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ラブレターをとりあえず鞄にしまい、上履きに履き替えようとした、その時だった。
上履きの中に画鋲が入っていたのだ。

大方嫉妬によるものだろう。人間とは複雑すぎて、一週まわって分かりやすい。

呆れていると、「ちょっと待って!」と横から男子生徒に上履きをひったくられた。

「画鋲入ってんじゃねえか! ったく、ひでえ真似する奴もいるもんだなあ。
あんた、転校してきた……えっと、フェズレフでいいのか」

「メイヴ、で構わないわよ」

「メイヴ、気をつけろよ。あ、この画鋲捨てとくから! じゃあな!」
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905 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:36:12 ID:re/fJhZk0

         r─┬vイ彡'´     ̄`  ̄ ≧、_イ ミi
         |{ 人/            レイ彡Yユ ヾフ
       , ィイ >              ト、- フ /ノ  ハ
     /  ) レ       i  / ハ    ト≦ニ''` i   ハ
     i  廴/  /  i   il  / .ハ   i   )ノ  il  / ヘ
    /  / イ /i   il  il  il  i ハ  il  i   / ./   ∧
    i  ./ /i i i .il.  il   il  il  il/ V il  il .:/ ./    ハ
    l  / イ il il il.  il  il  il  il  .V il  il .イ イ i   i i
    |  i .|ィ il ilハ   il  il  il  il_ _i il ソ i  .i il  .il |
    |  | ハ .il il  -ナ ハ il ハil ノ _.l 升 il  l  .l /   . il |
    |  レ人 .il ilr─v彡ミV.i ハ/  ゞ7行≦、./|  .|    il .|
    |  i i  il iト- 、ニヾ Y     Y:::....::タ.イ il  .|    il .ヘ
    |    ヽ  { rK炉y } ノ     ゞ=ij / 人 .|    i  iム
    |  ハ  ハ ゞッミ≧/イ 、        / /il il .|  i      ',
   人    i  \ ゝテ' ´         イ イ .il il .|  il   ハ ヽ
  /    /     ハ    ー -   ,_| | .il il ト ゝ il  イ i   )
  {   / / イ   ./  >、       | イ/イ 人升フ⌒ヽ ,'  | 、 _',
  /  ./ /  il   /  人   > _ ィ }// il  Ⅶ  /  il     ハ
. /  ./ /  イi   イ /   ̄||  | ̄ゝイ  /  r=-''ハ   人 | 、 _ ヽ
'´ / ノ / ilイ  /   { ̄_.ノ  ./   /  イ   |   il .     \
   / / / il /      ̄\ i  /   ハ  ( ⌒ヽ フ入 i  |  ヽ _ _ヽ
. /  / / ./ /         )|  {   { }  |   |-─Y  . ヽ _ _   \

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「彼は?」

「ああ、彼、武藤カズキ君っていうんですよ。
とっても優しくていい人なの!」

「あら、あなた、彼が好きなの?」

「へっ!? ど、どうかしら……」

「いいことを教えてあげる。男に好きになってほしいなら、女も本気で惚れるべきよ。
想いが強ければ強いほど、返ってくるものも変わってくるわ」

「だから、好きだなんて一言も言ってないですってば!」

顔を真っ赤にするセシリアをからかいつつ、教室に向かった。
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906 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:37:09 ID:re/fJhZk0

 、   _, .} ,メ    l   ',::   ヽ::::.   ',:  ヽ
   ̄,´/F>`ミi_ i  i    ';::   ' ;:   ';::  ',
  ,⌒Yiー<⌒ハL  i     '::;    ',、   ';::  }
  ,イ冖!/てヾVYjヽ_, l、 ,  ',斗七  '.,ヽ 人,,リ
 从r'弋心ノ',イj从i   l....ヽ/ '; :::\  l ::/イ
.<  ゝ._`フノノハ、 .i  l::::''ゞ从_i⊥、;\j .i
  弋 _、.>√勿/ヽi. ハ   V{ィrャミ <  丶_
  )) /´  `.i`...'.,::、 '、 ハ  `.辻,ィ'}      ̄|        数学? まあ、パズルみたいなものと思えば。
    l    :::   ::',::\ iヽ   |下乙     /
    l    ::     ;;; ::ヽ| ゞ         /
    ,'  ..::    ,:'::, :::|           (
    ,'   ::    .::  ::: ::|`(  Y ヽ、     /
   ,'  .::  .:: .::..  ::: :| ,ゝ‐イ .ノゝ___,,ノ
  ,'  .:::  ..::: .:::  ::: :::!" `丶、s ̄`)
  ,' .:::/  ::: .::    :: ::/   l  .l ヽ ̄)
 ,' ::; '  .:: :::    ノ,/ ヽ、 ヽ / /、ゝ
.  / ..::: :::   // `丶、`  '彡,廴`;;;;;
  ..,,,_::,,__.:,,,,::://‐-、__   `丶 .ヽ /∧/|
 Y        ̄ -  ,,,, ` ‐ - 、 .Y..∧/|
               `ヽ     ヽ|∧//|

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授業自体はそう難しいものでもなかった。
六時間の授業や小テストやらをそつなくこなし、放課後になったので、
昨日のようにまっすぐ帰ろうとしたところで、一つ思いついた。

「ねえ、セシリア。あなた、いつも真っ直ぐ帰ってるの?」

「ええ、そうですけれど。門限が少し早いもので」

「駄目よ、そんなんじゃ。いい? 女っていうのは自由が服を着て歩いているような
生き物なの。縛られてる女なんて生きてるなんて言えないわ。
スマホ貸しなさい、私がご両親に連絡を入れてあげる」

セシリアのポケットからスマートフォンをすり取り、わたわたするセシリアを尻目に
電話をかける。出たのは母親だった。

「ええ、護衛のメイヴです。お嬢様が遊びに出かけたいというのですが、
いかがでしょうか? ええ、もちろん私も護衛につきますわ。
お嬢様もお年頃です。街で息抜きくらい覚えさせなければ、そのうち変に
爆発してしまいますよ?」

母親は少し逡巡した後で、承諾した。

「ね、言ってみるものでしょう?」

「むう……」

こうして、メイヴとセシリアは町に繰り出すことになった。
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907 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:37:26 ID:re/fJhZk0

                          -‐…‐-
                        ´        ` 、
                       /   厶 -===- 、  \
                    / /  /::::::::::::::::::::::::::::::\  \  (⌒)
                      / /  /::_;: -‐===‐- ::_:::ハ ヽ ヽ    °
                  / /  /ヘ/,ハ⌒⌒⌒7ヽ斗 ^}  }i
                    / ′  { i 〕トミ、   折ミ/\′/ハ  、丶.
                 ′ {    Y´r心 \{{/ r心`'y′   }  {\ \
                      ,  八  、∧弋ソ   ` 弋ソ / /   j 八  ヽ \
                ,′  ∧ ヽ ∨/  ′_   // イ  ∧  ∧     ',
                    ,   //∧  V 》  「   }  《 ノ/   / ∧  ∧   }ハ        あっ! あのぬいぐるみかわいいですわ!
               /  ////∧ ∨ト ゝ  '′.ィ∨ /// ∧  ∧    }
                 /  /γ'⌒Yヘ 〈 三≧=≦三| イ_/// /    ヘ  }/7       台ごと買収すればよろしくて!?
               ′   ,{:::/^∧ ( \ヘ_/只k'´リ 人}‐-、 _     ‘, ヽ{_
             /     {j:::| | と⌒   r‐ミ、{ヾv// }'⌒'y‐く^ヽ      レう)      「こらこらこら待ちなさい」
               / /   く::メ、 ハ__}⌒7⌒{ /´)_/ く /}ir'⌒ヽ Y }   ',   "
              /      }  人_}V´ ̄レ/く ス≧=く 〈八  ,、_r┴{
              /      /:〉'⌒ヽV 厂 ̄}′/ /ー-ミ}_/ー厂}  ト /    ',
.           /   ..:::´    レ 、  / 仁二{{  /    呂 } ̄¨7 〈//     ‘,
        /_,. イ   :{    |  V / /    У ...:::´    /ヾミ==彡、//     丶
      〈 V /    :    ∨ ィ{/ /   /}....::::::'    ∧     /  V /     \
      人 \ /     / / 「:r‐'    ´ / :::::'    ∧ }       〉//>     \
      ヽ \ \    ,   ヽ/ ´       /   ::'    / 八、       /    {\   丶
      . :介x   \  ′  /\      /   ′    〈   > 、__/     ∧ 丶.    ー┐
     / ,r┴-=ミ、  〉 l// r'   ヽ ィ´  ,  ィ´   ‘,         l\    ∧   ` T   /7
   (( r{ マニ=- -r ′l///〉、   /}_厶斗ァ7/,     〉    :.    l  \  ∧    i}   勹
    、_)){ヘ. \{  |  |∨/ ミ=ニニ7/_][__][ ニ=- イ∧    }ハ    l   ヽ } }\ /  /}

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最初は大通りにあるゲームセンターに行ってみた。
セシリアはアーケードゲームよりもクレーンゲームに夢中になった。

お菓子の塔を突き崩したり、ぬいぐるみを取ったりした後で、
ジャックフロストがでかでかとペイントされたプリクラで写真を撮った。

戦果はお菓子が小袋一つ分、流行りのアニメのキャラクターのぬいぐるみが
二つ、それとプリクラの写真だ。初めてのゲームセンターにしては上出来だろう。
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908 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:38:43 ID:re/fJhZk0

   |  {    |     ハ   '  乂込りイ、`ヽ
   |   '  |  ミ、 i   |ハ ゞ=彡ノ/z i
   |   ヽ .!   ハ:}|i: ! {  '  i  ゞ=ソ i:!
.i   |   ハ:{.  r=彡|{|ノi  |. | ヽ  八
:|   ! >ー从_}{ i ! |.川 i{ `ヽ |   !  ハ 、  ゙
   |{ / ーヽメ 八ハ!{ !ノj_z_j   |  .'{  ヽ
ハ  人ハr=ミ ハ ハ   ノ从 7Zマく_, ' | {八       《ttps://www.youtube.com/watch?v=aCxOn3Pfljg》
  / }込八irくイ_ノ ノ     i.i゙;;;}j ハk   ! i  ヽ
 { :{ゞ=ミ_ノ/    ,  ゞ彡<././ .|i ゝ
.八 ∧    j:i     ノ    'イ./{  八 `ー
.  ヽ∧   八{_ノ , -.、    /rーミ八   `ー -
   \ヽ.      ゝ:::ノ   .イハ  }vー 、`ー -
 `ヽ  \>     /⌒´      ノ `ヽ
ハ  \  ヽハ≧=彡} `ヽ      `ヽ ハ
  丶.  \   }、 { /           ノ   }
   \   ヽ ノ iト、∨           \  '





         /   ム:::´:::::::::::::::::::::::::::\    \
.      /    /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ     \
     /    /::::::::::::; ィ< 二 不 二 ぇミ       \
         /::::::::/ ノ      _ -― - ハ
          |::::/ノ^, -    圷 ト \ 抃 |
    |    |:/r'^l/!        | V z≧ミぇ八 ノ    \
    |  ヽ  |ノ/ト |\     { ネん心 ヾ_ r〈  /    \      わあ……メイヴさん、歌、得意なんですの?
    |   \∨l l | Vz≠ミ> 、> 乂 ソ ,√ハ ∨イ  |
    |    \圦lィ/ん心      /l/l/l/l |  }V   |          「歌と踊りは一通り、ね」
    |      N _}! 乂 ソ   ヽ     __,ィ ,' ハ  l
      ヽ    ハ/ ) /l/l/l/l   _  〃¨/   |  , \
    八  \ 〈〈 < ー 一ァ  r     | {{ ノ   / ∧ _ >:::
.   /  \  \\ ` < {  乂    ノ f'    / ム:´::::::::::::::
  /     \   \ヽ    ̄`ヽ     /     / /::::::::::::::::::::::::

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次はカラオケボックスに入った。

日本の曲がほとんど分からないというセシリアのために、
一緒に歌うということを提案した。

一応、メイヴも喜留夫と一緒にカラオケに入ったことは何度かあった。
ここは自分がリードするべきだと思った。

結局、延長を繰り返し、三時間ほど歌い続けていた。
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909 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:39:12 ID:re/fJhZk0

         />='ー≠=\    丶    ヽ   \
.        /::::::::::::::::::::::::::::::\    :           ヽ
       /::::>'´ ̄ 「 ̄Y⌒:ヘ    i    :      ',
       /:/、_人_.斗个 T^「⌒ハ    |    l       |
.       レ'ノ   :i   :iー/‐i八-- ヽ  |    |       |
       j∧  : |  /j/ iリ  ヽ\l /   /     /   .|
       |l i f^ l八 / /.ィヘうた卞、 ∨i   /     /    |
       |i  ヽyぅ、    弋::r少  /  /     /i     |
       |l : ' 圦r'j     `    /  ./     / .l     |        はー、楽しかった……
       l!八. 丶 ソ     ::::::: / //   イ  l    |
         \ く          // /  / l   i    |
           |>丶 、  フ  .///    /  l   |l   }
           }    \     ((_/   / ^ト、 l   |i   八
            /  i   \  .ィフ′/_..孑==ヘ_j   l:    ',
        /  /,'    ′ / / _.斗'≠┬i` ̄ ヽ    .
       /{ //   /  // /   / }::l    ハ     ヘ
     /  ∨/   /  (´ /   /  ..l::l    l:|      '.
    (   ヽ \ >i    ∨    /     l::l    l:l| '.   :. ヽ
     >─‐、/}:::八:... ヽ \ .ヽ/     l::l    l:l|   ',  '   \
    (  (> L≦j.  \:.  丶 `<     l::l    l:lリ    .   ヽ  \
      ヽ// /   __..>ー‐─‐'  ヽ   .l:l    l:/    ヽ    ヽ  丶
     /   ./     f: : :.( ̄ ̄´  ∧   \ l:l     {:...    丶       \
   r'  丶 '      乂ミ: :`ー‐z   ヽ   l:l    八::......     \    \ \
    {     i ヽ     _>─‐'     l    ヾ \〈  ヽ::.......    \    丶 \
    |     :.l: . .    ( (       :l    l:l   i::... \::.......     \   \  \
..   l  ヽ : . ヽ: . . .   \丶____     }    l:l   l::....   丶:........     \    丶  \
   八  \:j  \: . : . : . : >─'   ノl    l:l   ∨:......   \::.........    \        \

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
帰る頃にはすっかり日が暮れていた。

茨を模した門扉を抜け、屋敷に戻ると、母親や使用人が心配そうに
待っていたが、セシリアの幸せそうな顔を見て、「しょうがないわね」と言いたげに
肩をすくめた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

910 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:39:27 ID:re/fJhZk0

        <  r=-、  > ' ´            / /  rァ/ }v'´`i > ゝ
        >イ{r-j}ソ                     トv´ ゝイ.人K i
        廴Y/ ┘      /              ヒ=-ゞ イノ小 |
        ノiヾイ'´        /            i i   ≧三≦ .| ハ
    、 _/ィ //        i              il .il   i  升 ハ .ヘ
      ̄  ノ i .i           il     i.      i  il .il   il  |.i  ii  .ヘ
      / /       i    i  i   il       ハ .il .il   il   Ⅶ   ハ
     /            il i__ ハ.  il     .升 iⅦ   i   i.lハ  ノ ハ
      i     i    ナTl   il    il    -ハナilー -.i  il   ト ソ   i   i        ごめんなさい、って言うのも何十回目かしら。
      |       il    il il     il i  il i  /  il .il ilハ/ .イl   il     il {ハ
     人.     il    il ilゥ≦ミ=、 il il il / 行芯及ァイ//  小、 i  .il   ヽ
     ハ.    il     il ノ/<t 」ノ ゝハi .il ハ   {辷t jrリ./イ  / il  il.   il ( ミ;,、
       V>‐  il  i  il人ゞ- 、 _ハノ ハ' ´   弋z_ソ.//  / .il  il  / ハ  ヽ
       } i ハ .il  ハ ト≧_>イ           イ.  /  il  il ./    i   ヽ
      ノ  .|/ Ⅶハ i i i ノ人(    _       -=彡イ   il   // i  人   ',
     , '´ /   /  ヾハ 人 (  `ヽ           /.< ̄ ̄ ̄ ̄ヽ_il / il    ノ
   /   /        }人≧、    ー =-    イ} })    /  (  .il   (
  /ハ   /         il  ゞ >        イ∧_∧ /    /    ∧  il    ヽ
  iハ ゞ. i        ≧}人 K  /> ─ ´i   || | | .| i    .i    / ゝ i ヾ _ ヽ\
   i   .|        彡イ人ゞ  / /∧∨/ /  / / ハ     //  /ソ   \      ヽ

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それから一週間が過ぎた。
セシリアの周りで起きるポルターガイスト現象も落ち着き、
これは任務完了か、と思っていた頃だった。

放課後、メイヴは何十回目かになる告白を受けていた。
もちろん、お断りだ。青二才に興味はないというのもあるが、
喜留夫を悲しませるようなことはしたくないというのが本心だった。
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911名無し-Red-市民-2:2018/09/04(火) 22:41:34 ID:/wAUnNow0
学校でセラフかシモンかと思ったらメイヴだったかー

912 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:42:09 ID:re/fJhZk0

         , -‐- 、
          /      .ヽ,
            ,.....-‐ー'―-..、
       ,..:':´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:iヽ:.:.`:..、
.       /:./:.:/:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.ハ
      /,.'/:/:.:./:.:./:.:.:./:.:.:i:.:.:.:.ヽヽ:.:.:.i
    /、/:.i:.:てi: /:: :メ:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.ハ:.:.ハ
     .i: ル 心i/  /:`ヽi:.:.:.:.:.:.i:.:.i:.:.:ハ
..     レリ ヒリ  乍テx/:,イ:.:.:.:.i:./:.:.:.ハ
        i ,    弋リ   /: i:.:.:i/:.:.:.:.:.:.ヽ
          ヽ 、 _    /ノi:/' i. \:.:.:.ハ           あら、フェズレフさんにオルコットさん。
         ヽ _ ,. ィ ./    i   ``ヽ _
             i   ヽ/     , '      / }         今帰り?
            ヽ,イ     /     /  人
              |     ./       /  /  ヽ
            f ヽ__,/ ̄`ヽ、,_./  /     L,_
               | |  |     ,. 〈_,/   /  i,
.              | .i  ii   .i               \
             八 .i  ii      ̄ヽ          \
               \ヽ  ヽ      \            ヽ
                 八ヽ   \      `ヽ‐         i
               |ト`ヽ  ヽ  ニニニ \         }
                    |  i! }  _ノ.i!         ` ー‐i  /
                〉.i!/ f i!            i  /
                 /≡!  .| ≡          レ'
                i'   |   |            |
                 |  | 〉 |                 i
                    !  .|   .|              i
                   /  .|  .|              .|
              i  .|  .|  |            |

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体育館裏での告白を撃沈させた後、待っていたセシリアと一緒に帰ろうとすると、
同じクラスの女子生徒に声をかけられた。

確か、西園寺世界とかいう名前だったか。珍しい名前だったので憶えていた。

「じゃあさ、帰るついでにさ……死んでってよ」

言うが早いか、西園寺世界は殺気を放った。
セシリアが息を呑み、尻餅を突く。

「あら、生霊ってやつかしら?」
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913 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:42:23 ID:re/fJhZk0

     _,..、..、.,_
   /~      \
  /      _,..、-ーゝー-、、.,
 /     _/:::::::::::::::;;〉、::::::::::`ヽ、
 j   ,/彡-ー''^~フ^ハ:::ヾ''ヽ::::::::::ヽ
   ,,/~::::::::::::::::/::::::/:::::l::::::ヽ::::::`ヽ、::ヽ
 /:::::;;;;/`:::::::::':::::::::::::::::':::::::::`:::::::::::`ヽ:i
/:::::;;/;"´::::::,、::::::::::|::::::::::::::::::,、:::,、:::::::::::::::ヽ:i
レ''",/::::::::::/::::::/::::|i:::::::::::::::::ハ:::::i`、::::ト::::::ト:ヽ
 ,/::::::;'i::::|::::;;/l:::/|:::!:::::::!:::ノ i::::| `、::|ヽ:::|::::i
 i:::::/i::::::;l:::;へ,!;| !::i:::::::!;/ u,|:::i  ヽi_,|::::ト;::ト,
 !:::ノ/:::/ |ノ   {!、, \;:::::i  / |;ルー''リ/!:;i リ 〉      なんで……なんでよ! なんであんたたちばっかり!
 !::j ヾ:|_/リ`、   ゙ヽ, ゙;リvイ'~___,/ リ_,,.ノ;:|
 レ   リ,`、 u`''''''"~    `゙ ̄  u ,/:::::::| |:|      なんであなたたちばっかり好かれるの! 人気なの!
   /;/!::i` 、,  __,,,...--ーー^ヽ, /::::::::;:;| i:j
   i:; i:/|:::/|`゙ー-}____..ニニニソ~:::::::::::::i!::!! リ      私とあなたたちの何が違うってのよ!
   リ リ リ !:::::::;/,ヽレ~ヽ,`゙iヽ、::::::::::ノ|ノリ
        `゙;/:|_ノ メ-  ト、_|::::/ヾく          ちょっと見た目がいいからってちやほやちやほや……
        ,/ }::|ゝ、_ノ`ト--' ,|::く  `ヽ,
       ,/ |::`丁 ̄ ̄丁´::::::|`゙丶、..,_`メ、      どうせ媚びまくってヤリまくってんでしょ!
     /!_,,,..イ:::::::|::::::::::::::::|::::::::::|    ~゙゙´
    "ー'~  /:::::::|::::::::::::::::::ヽ;::::::|            その腹掻っ捌いてあげるわ!
         /`tーイ-t-t--t-t-イ´ト
【悪霊 カゲワズライ Lv35】
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現れた西園寺世界は、本人ではなかった。
生霊。生きた人間の強い怨念によって現れ出でるとされる、魂の現身。

メイヴは恨み言を並べる生霊に、手を翳した。

「馬鹿ね、この世は等価交換、都合のいいことなんてないのよ。
愛されたかったら誰かに愛されるよう努力なさい。誰かを愛しなさい。
優しくされたかったら優しくしなさい、守られたかったら守りなさい。
それもできず、あれしてほしいこれしてほしいっていうのはただの子供の駄々よ。
あなたは女ですらない、ただのガキよ!」

電撃を放ち、生霊を蒸発させる。

「これでもう大丈夫でしょう。さ、帰りましょうか」

セシリアを助け起こし、メイヴは微笑んだ。
恨みの具現化を消滅させられたのだ、本体にも相応のショックがあったはずだ。
これに懲りて、以降は大人しくしているだろう。
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914 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:44:16 ID:re/fJhZk0

      ′      ///////////////// ∧  \
   /         /////////////////// ∧    、
    ′       ////> ''´、 ̄ ̄ 二ニ==ミハ     ヽ
  /   |    / ィ_,、_,八 { ` ̄´ ヽ \  ヽマ    :.
  /   |   /_ノ!  _|__ ヾ:、  -‐==}―- !、  /
  l    l   |  ィ'" !ヽ   \   | j  ハ, ||.ヽ/
  |    :.  ..イ{: |ヽ |  \   |イ /  ', | j V
  |    V |! |  \-‐ `:|  /j‐j/-  }ハ/} /
  |    :.  | |ヽ|x==ミ   j/  z==ミ:、/イ/
  | :.    ヽ | 〃                 `7ー /   /
 ハ \     / 、、、、        {     ``/ /     ∧
/  、  \   \            /_. イ     /
   :\  `   ._\_   r   ̄   |.i´/ j    /
  /  \     \ ̄l`i  丶. __ ノ  |.レ′/    /
. /     \    ヽ| ト 、   ¨´  .ィ´ヾ∨     /
/        j/\     l |     ‐-   j、 /     ∧
        /   i\   |` ー-v-‐ ´  V   /  :、
        /   /  ,ゝ、 ∨/二マ     /  xく     ヽ
       /  _/xく  /\ }ィ个xヽ   〈 /   ヽ、    \
  -‐ァ7 ̄:::::::::::::ン   〉ノノ∧ハ \ノ\     \ー--

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その後、メイヴは転校という名目で学校を後にした。

「困ったことがあったら、またいつでも依頼しなさい。
加賀探偵事務所は、いつでも受け付けるわ」

別れ際、セシリアと握手を交わしながら、そう言った。

「ええ、もちろんですわ。それよりも……」

「それより?」

「また、遊んでくれますか?」

メイヴは優しく微笑み、頷いた。

「友達だもの、当たり前じゃない」

こうして、メイヴの短い学園生活は幕を閉じた。
だが、学生としての何もかもを捨てたわけではない。
女の友情というのは、結構堅いものなのだ。
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915 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/04(火) 22:44:31 ID:re/fJhZk0

                       _  -‐ ミ
                  > ´        `ヽ
               ,, ,"' , _ -ァ `ヽ      丶
                   〃'  '/////////,ヘ      ∨
                  '/  /////>-''-'-くハ     V
 .              / '  l/ア´  リ      マ      V
             //!  ,i"   ノ'  , rj =ト、マ l   l 丶
               // j  l ,{r{¬V l /ノ ァ=ェミ、'   ;  ト` ー    _
           / ' l!   l {!゙ ィヘ`ヾl'´  Lりノ`   ハ  丶    ̄` ¬  ̄ミ 、
              '/   ! V{ l ( Vり       / ,イ /l    ヽ         `丶ヽ
            {'   ;   ゞ、'ヽ    ′     /'7 / !     \           ) }
               7  /、ー =ァ7  ー ´ ((/ ,イ  ;        ` <       ( (__
                /  / !   l'/ >   _ / 〉, '  _j斗=ミ   、    ` 二二 ニ _    ̄` <
               '  /  j!   / /  ハ  //⌒ゝ'      ヘ  \` ー  ´ ̄        > 、   `  、
            /  /  7  イ   >ノ 〈 / (   (       ハ ヽ \                 \      ヽ
          , " ' /  ア / > ´ア'、_ィ/{乂 `丶、       ハ  ヽ. 、` 、                 ヽ 、  ∨
        ア  / / ,/ィ _ ノ- ‐ '"  ̄   / `ヽ \    ` ヘ _  \`   <           ヽ丶  i
      ア   /_> ィ´ _ア ´         /     \ ヽ       `i   \ >  ` く             ∧ ゛  !
      / >  ,ィ´   ' / /         i      , ヽ  V    '⌒ヽ  \  `ヽ \         }  リ
     く   ゝ、   i l  =-=       |      ノ >'イ' ) ,  ´ ̄ ハ       \ \   /`ー=-'  /
    l  丶、 `ヽ 八 ヘ            ',   _> ´ _ <          Y      ヽ   丶、\/{       /
     l   7' \   ヽ ヘ ヽ _ -=-≦ _ X´  _ < /'  ヽ  /    ヽ \   丶、  \ ヽV __ _ノ
    ,'   ,'    )_ ィ, 〉  `ii´     「⌒゙ く⌒   7    V         丶  \    ヽ  ハ ,} ヾ
  r<   /  ,/´    j   jl       |__  ヽ、  ,′   ; ,ヽ      `\   ヽ     〈 ,l リ  \
 | `<   〈_ _ . ィ′  j{        __ `ヾ lハ l     / }            丶 ∧   Vヾ / ゞ、 〉
 |    ヽ  X´ ≧=- 、 'ニ匚-]ニ|   `<ニノl jニ!   / ;   、        丶、!     ! "、  >'
  >=- /   乂_  ,リ 7,     L __,l^ l_」_ノ ∧    7   ! i 、         、 ' リ \ー"
  {  ー=く      >―'  ' '       , __)ヾノ'     ヘ/ /     l l ヽ          ヽ ゞ、 〉
  >=-,ノ      〈 ヾ´  //       /__ ノ´ l       ヽ'      /リ   丶       ィ= ヽ ア
  ( ∠ノ)     ヽ_`ニフ'      (´      ',         \  / /l    \   ,/:::::ヾ:::::ノイ
   ̄ ̄´        //                 ',          \  ′      \〃:ヾ:::::ノ⌒ j
                                                            〜また次回〜

916名無し-Red-市民-2:2018/09/04(火) 22:46:01 ID:w6cJseXw0
台風で忙しくて遅れたわ…乙

917名無し-Red-市民-2:2018/09/04(火) 22:47:12 ID:/wAUnNow0

個人の生霊でレベル35ってすげぇなw

918名無し-Red-市民-2:2018/09/05(水) 05:55:39 ID:qEc8hLhs0
ペルソナのミヤスドコロがレベル66
もっとも源氏物語の六条御息所以外の悪霊と融合している可能性も

919名無し-Red-市民-2:2018/09/05(水) 13:44:17 ID:5dNpnARY0
乙でした!
帰ったらJKコスプレックスですね(違

920名無し-Red-市民-2:2018/09/05(水) 19:22:43 ID:.4B3UHQk0
おつおつ
フェ、フェイント

921 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/10(月) 09:43:15 ID:hgtP4Jds0
ハロー。今日は休みな>>1だ。

よく「レベル高すぎィ!」という声が見受けられるが、実際喜留夫はサマナーの中ではかなりの上位サマナーだ。

一応、喜留夫のレベルは「>>1が実際にデビルサマナーソウルハッカーズをプレイした時のクリアレベル」なんだ。

以前フィネガンと同等って表したように、喜留夫を明確な言語で表すとするならファントム幹部レベルの強さはあるってことだね。

もう一度歴代登場人物と例えると、

フィネガン=喜留夫(経験や技術の差でフィネガンより微妙に弱い、というより隙が多い)<<シド・デイビス

<<ナオミ<<<<ライドウ、ゲイリン、キョウジ、ハッカーズ終盤主人公、ナナシやフリンってイメージだ。

922 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/10(月) 10:17:39 ID:hgtP4Jds0
あ、人修羅は論外ね。アバチュ人修羅なんか出そうものなら強さ議論なんか崩壊するからね。

ついでにレベルの高さと強さを箇条書きにしていくと、

1=一般人 10=駆け出しサマナー 20=中堅orガイア教戦闘員 30=実力者 40=かなりのベテランor一般的なメシアサマナー 

50=ファントム幹部or上位のメシアサマナー 60=ここから超人の領域。ヤベーイ!ツェーイ! 

70=葛葉四天王レベル。これに同レベルの仲魔が加わるから実際の強さは数字以上。スゲーイ!モノスゲーイ!

80=一作品のラスボス級。この世に一人いるかどうか 90=人間では基本いない。かなり高位の大天使や魔王がこれくらい。

150=金髪のあのお方とかハゲてる四文字のあのお方とか

923 ◆x0SRSoJXe.:2018/09/10(月) 10:32:11 ID:hgtP4Jds0
だいたいこんな感じだね。

喜留夫も閣下のデコピンで吹き飛ぶくらいだと覚えておいてくれればいい。なんせあれ万能属性だからね。

それじゃ、第十九話の執筆に戻るよ。シーユー!

924 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:22:42 ID:esyZ6Yv60

        、 - ‐‐ -,
       ,´: : : : : : : : :
      ゙i : : : :○ ○゙i
       }: : : : : : : _ _ _|
       |: : : :-=´_ _,´       ハロー。
      y' : : : : :_: : : : :i
     / : : : : : : :┌─┐       一か月ぶりだね、チミたち。
     i : : : 丶: :ヽ{ .茶 }ヽ
     r : : : : :ヽ、__)一(_丿
     ヽ、___ : : : :ヽ : :ヽ
     と_ : : : : : : ノ : :ノ
       ̄ ̄ ̄  ̄

925 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:24:04 ID:esyZ6Yv60

                  . . .-─‐-. ミ
                     |: : : : : : : : : : `: ..
                     |: : : : : : : : : : : : /
                    }Ο : : : ◯: : : :,′
                   : : : : : : : : : : : :i        たった今十九話と二十話が書き終わったんでね、
                      { -===- 、: : :. :.|
                    〉: : : : : : : : : :ノ        一刻も早く投下せねばと思い、まかり越した次第だ。
                  i: :`ニニニ´: : : : ‘,
                 __/ : : : : : : : : : : : : i       みんな寝てるだろうけど、よければ後で見てって欲しい。
      ___        /.: : : : : : : : : : :‘,.:.三|
     / :::: ヽ: : : :‐--∧_: : : : : : : : : : :./:|: : : |       それじゃ、投下スタートだ。
     .′ :::::::‘: : : : : : }/∧ア´二二ヽ:/ | : : ‘,
.    ‘::::::::::::::ノ: : : : : :ハ \{/: : : :/⌒゙ヽ : : :‘
.       ゝ-=彡-──<¨¨゚‘; .: : :./:::::::::::::::} : :. :.|
                 \: :′:::::::::::/______」
                     弋:::::: /
                       `¨´

926 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:24:38 ID:esyZ6Yv60

┌────────────────────┐
│                            ....│
│   第十九話「メシアサマナー喜留夫?」     │
│                            ....│
└────────────────────┘

927 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:24:53 ID:esyZ6Yv60

        _, -―-、
      ,.ィ/////////ヽ-、
       !'////////////∧
.       l////l//∧'/////∧
.       リ//!'-V! ーV-!////l!
       l/,l ―   ― !'/ヾl!        な? 頼む、この通りや。
         ヾ!      リ,.イ!
       /.ト、 ヽフ ,. ' lニ\       「そうは言われてもなあ……いくらあんたの頼みでも……」
      //__ヽ`  ./、‐=ニ二\
    /ニニ/ ! / ∠ニニニニニ\
    /ニニ二二ヽ/ニニニニニニニ\
.  /ニニニニニニニニニ二二二二二}
.  lニニニニニニニニ二二二二二二l
.   }ニニ二二二二二二二二二二二l
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「頼む! 一日でええんや! メシアサマナーとして活動してくれ!」

ウルフウッドが頭を下げてくる。

どうも、最近の仕事ぶりをメシア教上層部に目をつけられたらしく、
勧誘に来たとのことだった。特にセラフ鎮圧が高く評価されているとのことだ。

「こう言っちゃ悪いが、ワイは交渉に来たんとちゃう。
ほぼ脅迫や。一日だけでも属してくれりゃ、あとはワイがナシつけたる。どや?」

ウルフウッドも最大限妥協してもらえるよう上層部と交渉してくれたらしい。
一日でいいので、メシアサマナーとして活動し、その上で今後属するかどうかを
決めてほしい、ということに最終的に収まったそうなのだ。
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928 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:25:10 ID:esyZ6Yv60

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「ただ、活動中はメシアサマナーの肩書通り、天使のみを仲魔として
使役してもらう。つまり、おまえや」

セラフが視線に気づき、首を傾げた。

つまりはこうだ。
一日、メシア教のサマナーとして活動してもらう。
その間、使役できるのはセラフ一体のみ。
任務の報酬は後日振り込まれるとのことだった。

「断ったら後が怖いしな、受けるよ」

「よう言った! それでこそ男や!」
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929 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:25:30 ID:esyZ6Yv60

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        j'/ /{_j//   ィ芹圷刈 八::::::::::::::::::::::::|
.         i|k犲苅     ビン 1   ;::::::::::::::::::::::::|
.         || l { ヒン        |/  i::::::::::::::::::::::::|         なんだかよく分からないけど、がんばるね!
.         ;^l人}  ′       厶 |::::::::::::::::::::::{
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           `、 个: .    ,.  _」′/|i::::::::::::::::::::::::::|
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            /:} ,.厶イ⌒V   ;′ ; /⌒\::::';::::::::::.,
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こうして、喜留夫とセラフの忙しい一日が始まった。
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930 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:25:40 ID:esyZ6Yv60

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                                   □

                               ・

931 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:26:01 ID:esyZ6Yv60

            __,, -‐===‐- 、
        _,, -≦三三三三三三三≧-、
      ∠三三三三三三三三三三三三、
      /三/           ̄二三三三=ヽ
     /三:7 ,, ____ __ ,,       |三三三三i}
    {:三::"´ ̄        ̄`ー- ,, |三三三三=}
    仁/ /  //      i    i三三三三三}
.    }/ {i --≠A ,_   ハ_===‐--{三三三三三
    /   | N/∨ ヘ  ./ !/--\   }三三三三7
    {i l i|斗=テ示\/  z=テ示心, !三三三三!        喜留夫と二人っきりなんて、なんだか新鮮。
    l八 i|ゝヤら少      ら三少 } i三三三三{
    i三} 八            / 7三三三三        「そうか? ま、確かにいつも他に誰かいるもんな」
   ∠E// .:i\   ー- -‐ァ   ,幺イ i三三三三{
 ∠三:{  i .:.:i N> `ー-‐'   イi  ∧仁三三三7
∠三キゝ,ム;斗=≠二≧´ ≦三7 /三三三三三}
三三ヲ /|/三||   <XX]三:/ /`ー=三三三三/
三/ /  |=三《   <XX>  / / ,, -=二二三/
// ∧ /三三    ></  / /∠三三三} 7
. i /:.:.∨=7 二 ゝ士圭lェ / /三三三三//
三7  /三仁三三ー- - / /二三三二/
/  /三7三三三三三/ /二三三二=i
 フ /ー/三三三三 / /三|三三三三}
イ /  }三三三三/  .{:三ii!三三三三》
,ノ/ ∠三三三./ /l. }三il|三三三三》
,/ ,仁三三三{  <  {  i三ili|三三三三i|

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メシア教支部に、自分を生み出した者たちを見てみたいというセラフと一緒に赴くと、
手厚い歓迎が待っていた。

白い服に青い十字を描いた制服のメシア教徒たちに出迎えられ、
軽いボディチェックを受けた後に支部の中に入っていくと、
応接室に案内され、支部長を名乗るビジネスマン然とした男と対談することになった。

「どうです、ここの支部は。活気があるでしょう。
我らメシア教は様々な形で神の愛を広めています。
協会を建立し、迷える人々を導き、時には孤児院を運営して恵まれない
子供たちを助けています。今回は、あなたにその活動に助けになって
いただきたいと思ってお呼びした次第です」

神の愛、か。
申し訳ないが、喜留夫はそんなものを感じたこともなければ信じたこともなかった。
神はいるかもしれない。だが、救う神などどこにもいはしない。

と、さすがに教徒の前で口にするわけにもいかず、喜留夫はへらへらと笑った。
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932 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:27:12 ID:esyZ6Yv60

..      ____
     /     \
.  . /  (●)  (●)
  /  (トェェェェェェェェイ)\      で、今回の俺らの仕事はなんなんだ?
  |    \ェェェェェ/  |
.  \           /      
.   ノ          \
 /´             ヽ


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「はい、異界化した県道のトンネルに向かっていただき、そこの主を
討ちとっていただきたいのです。既に三人のメシアサマナーが犠牲になっています」

「ウルフウッドや雷堂はどうしたんだよ」

「別の任務に就いています」

喜留夫は世間話もそこそこに、トンネルの形状や巣食っている悪魔について
聞き出した。
トンネルは幽鬼邪鬼で溢れかえり、その主は魔王バロールだというのだ。

使える仲魔なセラフのみとなると少々厳しいが、セラフ単体でも魔王と同等の
力がある。無理、とまではいかないだろう。

「分かった、行ってくる。ただ、無理だと判断したら撤退するが、いいか」

「構いません」

やけに淡々とした応対だな、と喜留夫は思いつつ、そのトンネルへと向かった。
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933 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:27:28 ID:esyZ6Yv60

          /::::::::::::/ ̄     `丶、:::ヽ:::::::::::::ヽ_
.          /:::::/:: /            ヽ::::\:::::::::ュ 、ヽヽ
         /::::://    _  -―-  _     \:ヽ::::::.|    }
.      ┌,へj:::::イ    イ  ./     / 7, ヽ 、  ヽ::::::.|  |
      j /´〉:/  , イ | | _,.ム,     7ュ、'_|  } \  ! .|    |
        /  / (::イ´| 」イ / |i    / |/ 「ヽ ハ    `| .|   |
     /  Y:. i/  ,イ´| ハ.| !i  /≠-_ 」 / `ト、 .| 八.   |
     |  卜:::li ./ | x≦ミ八/  ."¨, ≧ミ、 | ヽ} |::: i  .,'
     |  |:::li   |〃 だヽ         |:::::::ヽ ヾ ./ .|:::::::i  ',        あれ、静かだね?
     |  |:::|   《  b ゚::::}      P ゚ 。} 〃/  |:::/   ',
     |  |:::|!  从  ゝ:ン   i    ゝ=ン .//  }/:{     .Y
     |    八  |、             ,イ'   ,イ::: ハ    }
     |    /.:「\ .! ヽ     '⊃    イ|   i::::::| `   イ
.      |   }::::ヽ:::ヽゝ  |!>  、 __  <  ノ .!   ,'::::: |  /::::|
      .|   }::::::::::::::|  |{      ヽ==     |  /::::::::| /:::::::: |
      ,へ ..ノ::::::::::::::::|  .八            | ,イ:::::::::::',::::::::::::::ハ
     .i:::::::::,'::::::::::::::::,  /:::::ヽ           | |.|ヽ::::::::::',:::::::::/:::
      i::::::/:::::::::::::::/ /:::::::ィ::::\       イ .|.|::::\:::::::',::::/::::::
     ヽ/:::::::::::::::/ /''7  {::::::::::≧x---x≦::::l |.|::::::::::\:::V:::::::::

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メシア教が用意した車に揺られること二十分、着いたトンネルは異界特有の
異様な雰囲気は感じられなかった。パイモンがいないので、確かめようがないが。

セラフに用心するよう呼びかけ、トンネルに侵入する。
電気が通ってないのか灯りがついていないのは気になった。
これも異界化の影響だろうか。
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934 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:27:49 ID:esyZ6Yv60

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           < ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄: : : : : ヽ|ハ
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       リヽ::|.:.:.:.:.:.:.:〈.......           リ.:/ /.:/ リ
           リ、.:.:.:.:.:.:.:.`.:./          __,ノ: /
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              |/////////: : : : : : : :> : :´/: : : : >
【超人 言峰綺礼 Lv65】





                              ,、イ
                   ,イ       /i:i:i}
                      ム''´ア-‐ /i:i:i/ー…・・…-ミ
                 /ム'/ /i:i:i/           \
                / ム'-‐/i:i:i/  -‐……- 、      \
                 /  ム' /i:i:i∠,.。s≦⌒     \     ‘,
                 )  ム'ィi:i:,.。s≦⌒            \
              / /i:i:i/ \_              ヽ   }
                 / /i:i:i∠  -======ミ          }  ,
             }/i:ィ炒乂=-{       ∨            /
            〈i:/ヽ _} / ∧_ -======ミ       / /        来たか、加賀喜留夫。
               〉「!,.。s_〈,.。s≦::::::::::::::::::::::`ヽ    /'´
.            〈 ̄ ̄ ̄/ 〉{    ∨ ::::::::::::::::::::::::::|-_              破壊の天使を従えたる異端の男よ。
              ∧_ ∠_,.ィ .∧.   ∨::::::::::::::::::::::::::|ニニ-_
          / ,.。s≦⌒フ∧.   ∨/} :::::::::{\!ニニニ-_           このウリエル、此度はそなたの命を頂きに
         / /     /|  \ / /:::::::::::ヽ 〉ニニニニ-_
        / ∠ _  ,ィ { 乂   〈_ /::::::::::::::::::}イ ニニニニニニ-_        はせ参じた。覚悟してもらおうか。
       ヽ¨¨´ {l二二二乂 { `ヽ _|  `¨¨¨¨¨¨´} -=ニニニニニニ-_
        \   |    |  \  〈_乂_,.。s≦ _ -=ニニニニニニニニ-_
          \ {l二二二`ヽ二二 /ニ 〔__  /ニニニニニニニニニニニニニ-_
           }  ̄   |ヽ_〉   /ニニニ} /ニニニニニニニニニニニニニニニニ-_
             〈_,.。s≦ _ -=ニニニニ_ -=ニニニニニニニニニニニニニニニニニ}¨⌒
         __ -=ニニニニニ_ -=ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ/
.              ̄`ヽ_-ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ=-
            _ -=ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ=-
.          _ -=ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ=-
【大天使ウリエル Lv74】
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灯りが一斉に点灯する。
トンネルの奥にいたのは、魔王ではなく大天使だった。
紅蓮の鎧を身に纏い、勇ましくマントを翻すその姿は見る者を圧倒した。

「くそ、罠か……」

やはりメシア教もガイア教もろくなことをしない。
舌打ちをしつつ、COMPを起動するが、召喚プログラムが起動しなかった。
見れば、スロットに知らないUSBメモリが刺さっている。

あの時のボディチェックでやられたのか。
あらかじめセラフを召喚しておいたのは不幸中の幸いだった。
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935 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:28:23 ID:esyZ6Yv60

                                     ト、ハ            ,、イ ,ィ
                                 '/{i:∨             ∥i:}./i:}
                                 '/i:i:Ⅷ   }v. /..  ∥//i:/
                                   '/i:i:Ⅷ  .∥∨.   ∥ /i:/
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          >ミ                    ,.。s:::::::::::::::::ヽ>\}i:i:i:i:i:i:i:i/_ノ,、<      }  _,.|      \ィ〔
 ̄ ヽ≠ミ.  >'´/  ∨        rニニニニニニニニニニニニニニ_{  ヽi:i:i:,㌣イ 〉      .乂 /::::|       \
   /  /:::::::::::::::/   ,イヽ        }    ___    { |lニニ\{「! Y_,。r=======ミ 〈  寸 ::::|            ヽ /
  -=≦ニニニニニr,、二ニγ^r,、 ___>'´  ̄{  {=-_ `ヽ,' !`¨¨   ̄ ̄ ̄ア ,ィ }    {. ∧   寸::ゝ、        ∨ /
  |  {l::::::::::::::::{   {   {:::l{ {l  〈s。,_   > \=-/ハ{  .:     /__{ f'´¨¨ \.∧.  /   h,、       ∨ /
  }  Ⅵ:::::::::::::{  Ⅵ 乂:{       `¨´{    \}   ヽ/        >'´ ̄ ̄ ̄Y´∧./  /   h、       ∨
_∧  /---- ハ   Ⅵノ `¨´  ̄ \ ,.。s乂      {i\    __ ,.。s <__ ,、<ニ{.   /  /  /   h、
   `´   \ ∧  /            `¨¨¨¨´ ハ: Y´:      /、: : \ l{ニニニニニ'  /  /  /     h、
         \乂,イ                      / ∧‘,       /  \{lニl}s。,_ニニ人../  /  /       h、
                                   / ∧ハ:     / 、   /  ⌒≧ イ:; ∥ ∥ ∥       ∥h、
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「ここで遭ったが運の尽きよ。このウリエル、容赦はせん」

ウリエルが光の槍と円盾を構え、突進してくる。
その速度はスポーツカーすら遅く思えるほどのものだった。
すかさずセラフが翼で喜留夫を覆い、防御する。

けたたましい金属音がトンネル内に鳴り響き、二体の天使は激突した。
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936 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:28:45 ID:esyZ6Yv60

       ____
     /     \
   /         \
  /   (●) (●)  \       俺の相手は……こっちか。
  |   (トェェェェェェェェイ)   |
  \  \ェェェェェ/   /
  |          |
  ||        / |
  ||       ./ ||
  (_|   r  /  (_)=|三三ラ
    ヽ  |/
     >__ノ;:::......





             >──、        r‐、_
             └──‐'   r──、| \ |        .ヘ ヘ
              .く ̄ ̄\   /  / |/ . ヽ!         ヘ ヘ                 _,-‐'`ー'`ヽ∧‐> 、
                 ̄二二_/  r─、. >、          .ヘ ヘ              ∠:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::. : :\
            ∠´___/| く_.. >、         ヘ ヘ          < :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.: :<
                    ∠二_      ̄ヽ.、         ヘ ヘ         .∠:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\: ヽ、
                    `}  /´フ_/.. >、        ヘ ヘ       .∠:.:.:イ.:/:.:l:.:.:.:.:l.:.:l:.:l:.:l.:.:.: |.        ./ /
                         | ,/     .\ >、        ヘ ヘ         !ィ |l/l/、|∨:./,斗/l/|;、/.      / /
      _      .r─、      }/        \ >、       .ヘ ヘ        弋ュヾ  ィヒュ  ソ:.:ミ.    / /
       .f´ ̄\/ _/ r‐ 、             \ >、      ヘ ヘ       ハ   |      /≧==- 、/ /
         >    <´ / _{                \ >、      ヘ ヘ    ..イ三..、丶_   /∧ニニニ/ /           …………。
      <´   /\ └'´ /.. 、                 \ >、     .ヘ ヘ イニニニニニニ\    //::ニ::/ /:二:ヽ
        .`ー' /   く ` < > 、              \ >、    ヘ ヘニニニニ二二二` v-‐''´:二:/ /ニニニニニヽ, < >
          /  { ̄ヽ \    ` <> 、.              \.>、  / ヘ ヘニニニニニニ二二|ニニ二/ /ニニニ二:, < >
         . ̄ ̄    \ \     ` < > 、          .\>、i::ニ::ヘ ヘニニニニ二二二二/ /ニニニ, < >  ハ
                \_{            ` <> 、.       \>、:二:ヘ ヘニニニニニニニニ/ /  , < >ニニニニニニi
                              ` < > 、  /:二:\>、二ヘ ヘ./ >::ニ::/ /, < >ニニニニ二二二i
                       \、              ` <> 、:二:、\>、_|ヲ<. \/ /< >::ニ::ヾニニニニニ二二/            ′
                         ゞ、_从_            ノ ` <> 、=:|つ/ ヽ~ヽ.L <′>ニニニニニニ∨ニニニニニ二i             /
                        ア,:=''" ̄ ̄ ̄     ../, ^ヽ:二:/'/`ヽ|/  `.|.~|′>ーー==--廴_=:イニニニニニ二リ       _从_,. ィ     ’
                  ___て::/              /ニニニニニ二,'>-'   ` .|.├――――――――――――――     .."=、て /
                      ̄) {            /ニニニニニ二二,'斥孑  ..ム |.├――――――――――――――          .} ≪    .
                   -=''''^ヽ'、             ヽニニニニ二二二i__ゝ.. ,. ノx- '|._|ニニニニニニニニニニニニニニニ二二〈            ン  {_ _
                      /⌒`''=一       . ̄`ヽ:二:>-‐'‐-==ノ      ヽニニニニニニニニニニニニニニニニニノ      ._  = '" .: . :(       ̄
                                      ̄                                     ̄ ̄ ¨ ̄    ̄  \


╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
男はどこからか取り出した六本の剣を、拳に挟む形で構えた。
見たこともない剣だった。長さも中途半端だ。刀身も細く、
西洋剣の特徴である頑強さを捨てているようにも思えた。

間合いは五メートルはある。この距離で既に剣を構えているということは、
銃は持っていない。喜留夫はそう踏んで、拳銃を両手でしっかりと構え、
十五発きっかり相手の胴体に向けて撃ち込んだ。

発射された銃弾は、確かに男の胴体を捉えていた。
だが、その銃弾が男の体を貫くことはなかった。
男は構えた剣を爪のようにして振り回し、その尽くを弾いたのだ。
いつか葛葉雷堂に負けた苦い記憶が蘇る。

だが、効果はないわけではなかった。
読み通り、男の剣はほとんどが折れ、砕けていた。
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937 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:29:34 ID:esyZ6Yv60

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              ii!          !   |  |  |  | |  |     | | | |
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            li!           ili|!     .|   | \ .~| |_ `└-、
            l|i!             l|li!      `|   |  \|   ̄! i、,_| 〈~|
           i|!l           li!|i         |   |      | | ,,,__〉 !‐二 〉
                                \  |      | / |__,.ヘ〈 く/
                                    \|      .|/    | |
                                              |/

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再装填しようと腰のポーチに手を伸ばした、その瞬間だった。

男は剣を投げ捨てると、消えた。
消えた、という表現は正確ではないかもしれない。
瞬きの間に、喜留夫の眼前へと移動してきたのだ。
瞬間移動かと見間違うほどの素早さだった。

次の瞬間には、男の拳が喜留夫の腹に捻じ込まれていた。
衝撃が腹を突き抜ける。骨が砕け、内臓が破裂する音が頭蓋の中で反響する。
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938 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:29:51 ID:esyZ6Yv60

        /  /  /ニ/      /ニニニニニニ/
       /  /  /ニ/  __ /ニニニニニニ=-
.       / /'\/ニ/   \_ヽニニ=ト、二=-
      { /7  |_/     /ニニニニ= '/, /
      〈 7..  |   ト、  /二二}\ニニ'/,
.      / ハ7   |   '/,ニ二二ニ人 \ '/,
     〈_/ '     |  /'/,ニニニニ,ィ| \ \/,   ,イ
.    / /{.    | /   '/, x== !ii|===ヽ  \/i/    \_
   {/  {'´  ̄,′{ニニニ= '/,  |i:i|  _ノ   ノi:/      -_
 ニニ=- _ |.   /  ̄`ヽ==〈 '/\|i:i|   \  〈i:i:/         =- _
 ニニニニニニ=- _/ ̄ ̄`ヽ-=≦i:i:i〕iト   \ノハ        }ニ=- _
 ニニニニニニニニニ=-∠フ { l | {\i:i:i:i:i:〕iトs。,__}        -ニ=- _
 ニニニニニニニニニニニニ/ヽ从ヘ \\戈㌻i:i:i:i:i:i:i:ヽ       /ニニニ=- _             「喜留夫っ!」
 二ニニ==-‐‐-=ニ∠ _} ヽ\\ ∠フ \i:i:>'´   /{_/=,ィニニニ(⌒
 ニニニニニニニニニニニ∠フ====ミ ̄\ \   /ニ〉〉 }\‐-‐/ {ニニニ=-             よそ見をする余裕があるとはな!
 ニニニニニニニニィ升 //  /,.。s≦ヽニニニァニニイ |  \ィ  |ニ==-/
 ニニニニニィ升ニニ/ /  /二/   _\ {.{  // =-  ̄ヽ ∨ニニ{              このウリエル、それを見逃すほど甘くはないぞ!
 ニニニ-==ニニニ=-{ ,'  7ニニ/   //⌒ ̄ヽ//    _} ∨=ノ
 -=ニニニニニニニ=人,'   'ニニ!   /=7 ァ-‐‐‐/   ,、<i:i:i:i〕iト `'<      _
 ニニニニニニニ=-ニニ廴  ,{ニト、{   {ニ{ \  ,ヽ ̄ ̄ ヽi:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:〕iト `'< /   ヽ
 ニニニニニ=_- ´ニニニ〈 ̄ ̄| ハ  ∨ハ  `/  〕iト __ \i:i:i:i:i:i:i:i:/  ̄`ヽ   /  \
 ニニニ_ - 三ニニニニ ∧__乂∧__∨〉_,′ ,'i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:, '  /  ̄ 〜、、    \
 =_- 三ニニニニニニニ=_≧s。,__,.。s≦ニニ{   {i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:/  ,ィ         丶、.  \
 三三三三三ニニニ={ { 乂  ァ==彳ニ=ハ.  マi:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i7  /               丶   \
 三三三三三二ニ∧.ヘ〈 ∨ \  ニニ=∧  マi:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:,′,': .                丶、  \
 三三三三三ニニニ=∧ ヘ:}_ ∨∧ヽ \/ ハ_,ィi:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:| |: : : . .               `'< ヽ
  寸三ニニニニニニニニ=≧s。,ヽ\`∧    ,.。s≦.,_`'<i:i:i:i:i| |: : : : . . .                `'<
 =- 寸ニニニ=-\ニニ|  ∧ \}  },.。s≦ ‘,    >,、   乂ゝ、、: : : : : . . .                  `'
 ニニ- 寸ニニニ=-\ =|   `T'''レ'  ∧   ‘,     |   >,、   〜、、: : : : : . .
 ニニニ=-寸ニニニニ=-∧    乂_,ノ  ∧   .i!    |     }       ``〜、、: : : . .
 ニニニニ=- 寸ニニニニ=- ヽト、     〉   ∧  ,i、   }       ヽ/         ``〜、、: : .
 ニニニニニ==-ヽニニニニニ/ {i:i\ / 〉.   ∧ /,.、\ ハ      `¨¨¨¨¨¨¨´ ̄ ̄ ̄⌒`` 〜 、、
 -=ニニニニニ==-\⌒)/ ∧i:i:i》  ィ》   〈.〈}//i:i:i\\,〉
  -=二ニニニニニ=-\   ゝ==彳∧ .γ //i:i:|i:i:i:i:ヽ.}‐ミ
    -=ニニニニニニニ=-ヽ,   寸:.:.:.:∧ { 〈〈i:i:i:i|i:i:i:i:/∧ }

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
意識が飛びかける。視界が揺らぎ、安定しない。

視界の端で、セラフとウリエルが打ち合っていた。
セラフの双翼がウリエルを左右から挟み込むように攻撃するが、
その全てを盾で受け流されていた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

939 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:30:06 ID:esyZ6Yv60

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                        V∧            /   ∧       l   |   _ .. -‐ '' ¨_.. -‐ ¨. <    > ´
                        V.∧          /     ∧.      |. ┴ ¨   .> ¨   . <    > ´
                        V ∧        〈      〉  , <       > ´   . <    > ´
                          ∨ ヘ           ヽ    ./  _ヽ     イ    r ´   > /
                       V. ヽ          `ヽ  `´ ̄_  ⊂「´  }    リ ,. -ァ´ /
                       V.  \           〉  /    ヽ `!   ノ-‐=≠ (/ .∠ --――_-__,.. _
___                      ヽ   > 、 「 > {  {_,. _-‐..} ,} ´ ,_ィ..⌒>、 ヽ-‐ ''> .  ̄         ̄ ̄
  `¨  -- ̄ _ ¨  --   __      \    ゝ.5   ≫ `¨ー-‐ '"ノ彡 {‐ ''フ  ノ <>. _   > .―_-  .. _
            ¨   ‐-  _     ̄ ̄ ̄ `ヾミー 、 r‐≧ー- 、- 、.. _ ヽ≦ } 冫ミ≡彡'`ヽ¨r≠⌒ <  \   ̄ ¨ ―=
                      ̄  ¨¨  --  ニ 二 ¨_¨´ <ーヽヘ¨フ/ラ', 、辷= '’,、 ヘー_- _` <\
                                       ,..-:‐:-. . _`¨メ山≦rミ===≠⌒ヾ' ‘,  ̄`¨` .`ヾ>
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                               厶-―‐ ア:i:_:ノ`/T┬‐x}ィ:/7:ァ、:i:i/,∠.__
                                       ノソりrrェ ,イ' }:i弋廴    `⌒ヽ
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「くっ……あっ……」

セラフが倒れ伏す。
翼が力なく地面に落ち、四肢を投げ出していた。
服もぼろぼろになり、赤い血が足を伝って地面へと落ちている。

名前を呼びかけようとするが、言葉が出ず、代わりに喀血した。
内臓がやられているようだ。

このままじゃ死ぬ。自分も、セラフも。

起き上がろうとすると、男に首を掴まれ、そのまま持ち上げられた。
凄まじい力で首を絞められ、視界が明滅する。

「させない……」

セラフの声が聞こえた気がした。

「私は、生きるんだ……その人と一緒に! 生きてって言ってもらえたから!」
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940 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:30:22 ID:esyZ6Yv60

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.             \ \/\..    '/,、      / ,イ     _
             /   \    '/,、  __ '´7〃  ,、<i:/           ヤ
   〈 ヽ.         \    ,イ´刀__ '/ \    / `ヽi:i:i:i/
.   \ \         \,イ二フイ \ 〉   \ _  ハ/                 }
      \ \           {     刀У     /      } ̄_ニ=-
       \ \/\   / ̄} ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄>  ̄ ̄ < ⌒          ㍑
          /.   ヽ/  _ノ γ ⌒ヽ    /        _ヽ            瓦
         \     /  _/  /}     ハ/}/  / ,、-‐…-,、 }           彑
.           \ 〈,ィ爪/  _{/≧s。,__ {/{./ /     \¨,,.._____     /               ぬっ……おおおおおおっ!
   抓       .,ィ /  ./ /i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:} 〈 /        / / __`ヽ
    ム      { 弋 / /i:i:i:i:i:i:i:i:i:/i:i:i:i} ./ニ{.      /. /  /  ̄ ̄ ̄   ―――  _
    心、     人  | /i:i:i:i:i:i:i:i:/i:i:i:i:i:i:} {ニニ\.    |  { /\:::...                -=ニ _
.       >。,  ....ゝ-| 'i:i:i:i:i:i:i:/i:i:i:i:i:i:i:i:i}人ニニニヽ,__ _|  { {_ \::::::...                       -=ニ _
        「≧ェ。,_ /i:i:i:i:i:/i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i}   >ア´    ヽ、‘, 乂 ̄:::::::.....                         -=ニ _
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今x.     , 'i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i}/         x令
. 尖ト 〔  / i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i}          〕 ≪
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セラフの周囲の空気が揺らめく。
いや、あれは陽炎だ。

やがてそれは光の珠となり、喜留夫目がけて飛んできた。
男が閃光に怯み、手を放す。

咳き込みながら足元を見ると、短刀に炎がまとわりつき、太刀の形を成していた。

噂に聞いたことがある。かつて葛葉のサマナーが用いたという、
悪魔の力を武器に宿して行使する特殊な術があると。

これがそうなのか分からない。だが、やるしかない。
炎の剣と化した短刀を拾い上げる。
不思議と熱気は感じず、仄かな暖かさだけがじんわりと体に広がった。

血反吐を垂れ流しながら、炎の剣を男に向け、そのまま地面へと叩き付けた。
これは直接斬りつけるものではない。なぜかそう感じたのだ。

地面に打ちつけられた神の炎は魔法陣のような形になって広がると、
轟音と共に巨大な火柱と化した。

喜留夫を中心に、その炎は全てを飲み込んでいった。
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941 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:32:33 ID:esyZ6Yv60

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                         `、. . . . . . . . . . \j'/ /{_j//   ィ芹圷刈 八::::::::::::::::::::::::|       ' . . .     ……帰ろっか。
                            `、. . . . . . . . . . .i|k犲苅     ビン 1   ;::::::::::::::::::::::::|      }. . .
          _______            `⌒\ . . . . || l { ヒン        |/  i::::::::::::::::::::::::|      }. . .
  _ . .-‐= . . . . . . . . . . . . . . . . . =‐- ミ         `、. . . . ;^l人}  ′       厶 |::::::::::::::::::::::{     , . . .
――――-  ., . . . . . . . . . . . . . . . . . . . `丶、     `、. . { 、 八   ー '′     | ;  |::::::::::::::::::::::::::.,    ′. .
            `丶、. . . . . . . . . . . . . . . . .{{         }. . . :`、 个: .    ,.  _」′/|i::::::::::::::::::::::::::|    /. . . .
                `丶、. . . . . . . . . . . . {{  . -‐==}i. . . : :}V/ ; `¨fiチz ̄::::::}   八::::::、:::::::::::::::|  /. . ./:
                    `  ―- ミ. . . . .V. . ,xァ=___\. . : :}};′ ;   r{{)=-‐  7 / \_、:\::::::::::::| /. . ./:.:.:
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                          〉. . : : '        }/::::; }  { じ }}   ,.|  {::::;::::::::::::ト、 :::::::::::′. .{::::.′
                __       |. . : :{         /::::/ 仄 人 人 彡1:.  |;/:::::::::::::|:i`、::::::::::::, . .{ {
              /. . . . . . ` ―. .―┘ . : {      /::::/  ′≧=-‐≦::::::::}i:  |i:::::::::::::::|:i:i:i`、 :::::::′.、::
        _,. . .-‐≠. . . . ‐ ミ . . . . . . . . . 丶. : 、     ;:::::; i|:::::::::::::::::::::::::::::从  |!::::::::::::::|:i:i:i:i:i`、::::::::,. .`:.、
 _ . .-‐. . . . . . . /. . . . . . . . . . . ). . . .-‐ァ━┐ . \-ミ   {:::{ ∧|::::::::::::::::::::::::::::::{::::\l:::::::::::::::|:i:i:i:i:i:i:i:\::{. . . .\

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気が付いた時には、セラフの腕の中にいた。
翼をはためかせ、街のはるか上空で喜留夫を抱きかかえていた。

「あいつらは?」

「死んではないみたい。私たちが吹っ飛ばした後、ウリエルが抱えて
飛び去ってったから」

「そうか……」

「帰ろ、喜留夫? 私、お腹減っちゃった」

「ああ、ウルフウッドに詫び請求して、それで良い肉でも買おう」

小さな天使は微笑む。
たとえ全ての者に否定されたとしても、その笑顔は霞むことはないだろう。
消えぬ炎のような強さが、その笑顔にはあった。
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942 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:32:46 ID:esyZ6Yv60

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        ,rf、     /厶′.:-┤  '^⌒\ Vi:i:i:i:i:i:i:i::,   l____|
     rv   V{  V {/{∨l  /ィ/}/ト、}l:i:i:i:i:i:i:i:i:|   ┌‐┐
      ヽ, / }   |  ヘ x=ミx/ x==ミイ i|:i:i:i:i:i:i:i:i:|     ̄
      X  \ヘ|l\ { fハ   f/ハ 》 i|:i:i:i:i:i:i:i:i:{   <\
      i| i|\il Ⅵ{ トミ, vリ ,   Vソ |: i|:i:i:i:i:i:i:i:i:i丶   \ >
      i| i|  il\}ハl\\  r:::…ァ /| ∧:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:\
      i| i|  il {:i:i:i:i:i:i:ヘ  ≧=- xく 厶′Vi:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:\______
     _i| i|  il Ⅵ:i:i:>i^\ト{`'く⌒7゚/ /ヘ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i}
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                |i::::::::∠::i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i|i::::i:i:i:i:i:i∧::i:i:i:i/⌒¨´
              、_八::ノ⌒L_:::i:i:i:i__:i:i:i::i:i辷_::_彡′}::/
              `⌒^¨¨^⌒ーく,_,__>:x厂
                                         〜続きます〜

943 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:33:42 ID:esyZ6Yv60

        ___
      /     \
     /        \
   /   (●)  (●)  \
   |     〜〜〜〜(   |
   \      i_i_i      /
    /     ||      ヽ
    (  ヽγ⌒)       | モグモグ
    \__/

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
みんなで昼食を食べながら、テレビの画面をぼんやりと眺める。

「先日、日本に入国したと思われる本名不明の指名手配犯、通称アダムは、
依然として行方不明です。身体的特徴としては、逆立てた金髪に、
左目の泣き黒子、赤いロングコートの二十代の男性とのことです」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

944 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:34:01 ID:esyZ6Yv60

                  ,.  ////  ___
                   ///. /  ´ ̄  /___
                 /|. /. /  / //   / ̄ /__
           /|.. /. |/     |    /  ___   /_
             / |/  |     |   /  / ==´ ̄        ̄>
         |. /        _.   /         / _∠_
          ||.|   |ヾ\/ヾ`\     /  二=─  ̄    /
           | |    |川ヽ.\´\ ヘ´´゙≧         _∠_
       __ |   w´`´ | |  ヽ ヘ  ≧     二=─     /
      //ヾヽ /.      | |   ヘ...|  彡  ><      _/
       | |  `/       |../二 ̄`.|..|   彡 /. ヽ ∨  ̄ /
      ヾゝ /_     |/彳ィ7.ヾ|/   彡/ /`ヾ} }  _フ
        く ̄イヾ   .,ィ ´ ̄じシ-、/ヽ'´ミ´.rシ} .ノ/  /         あ、そこのケチャップ取ってくれる?
            .r 弋ノ⌒ヽ、 _ ノ  ’      ι /   ,イ
        ( _ /            {  τ‐´   /
         |、             |  ∨   /
         ヽ`丶`            /    ∨ ,ィ┴─、  _
          ヽ `───一'   ./  ,ィ´ ̄: :, イ´ ̄ ̄::::::
           ヽ    ̄       /_ ノ ::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::
            ヘ   /´ ̄ ̄ :::::::::::::::::: /:::::::::::::::::::::::::::::::
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            / ィ ´ヽ ::|:::::::::::::::::::::::::ノ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
      _,r-‐´ ̄ :::: ヘ、_ノ ::| ::::::::::::::: /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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       \ ベ´ヽ::::::::::,´ヽ :::| / ::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::





          ____
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     /     (●) (●)\  モグモグ
     |              | ))
     \    )〜〜〜〜 /               ほらよ。
    /           ヽ
   / ア ̄~〉==ニ⊃        ヽ              「ありがと」
  // `‐‐r´           マ  ヽ
 /   /           マ   ヽ
 |___/    _ _ _       l    }
  | , - rイ〕:.:: .: .:.:.r久=、- 、} r=、ァ/
 ̄ ̄〈 く:.:.:....:tァ:.:.::.:..c:.:ヘ _フ し Y  ̄ ̄ ̄
     >- 二二二二二 -く._.ノ

945 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:34:16 ID:esyZ6Yv60

                __
            ,  <      ≧ミ
       /≧=/ _  、 \  \ _ rャ=┐\
        {ニУ /   ヽ  rャ≦Ⅵ}ニニニ}\ ヽ
        7  ./     `、 .マニニニ/}「ニく   \∧
        /  /! r 7i`ヽ! i .\ /ニ{∨ニ ヽ  \!
      ,  / .| |/_ i  i  !  | |ニ | .∨ニニ〉  ∧
       i ./| .| |f:}\、}  }  } |三!   ̄     ∧        ねえ、サラダよそってー。
       |/ .!.r ∨ !j  j   ,′       | |ヽ ∧
        V.ハ       ,′ /     /、   | | ∨ i
         | ∧っ   /  /    /i /  Vi  .} }  .Ⅵ
         | /| ヘ __/  /|   / .}/'´ _にv ∧ !‐- 、}
         i′! /  / ./} ,  /    /   }/ i/ /
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                  ト、  i V  /./ イ /  ___
                  ト、} \} ゛ /  / ̄ ̄ /
                 i ヘ             ̄_ ニ-‐ __
             从      ,ィ 、         ̄ /
               ヾ   /|ヽ /厶}_i‐‐ヘz_      ≦‐,
              ,‐-、i |゛゙゙'′¨ | |   i}<       ,イ=、
               /ハ/|_}_   ,- } i― 、 | ヽz     / /
                 i | i' ヾi `,    レ'__  ! 刈    ./              はいよ。
                 ヾ ノ-,ィf仞-、/ '⌒ミ、/i__ .リ    /
              {   }'   、   人/⌒ヽ‐‐ V               「ありがとー」
              ` ‐-' ヽ     ̄       厂i }
                   ',  ‐ ― -- '      ハア′
                   ',          __≦刈    _
                 ',_ -‐ ―――===彡'、  イ      ̄\
               /|    f_j        /
               } r‐、     r‐、   //
               ヽ弋ノ_   弋ノ_ 少∧
                〉 f_j _ イ / 〈 l:.:.i
             _/   }/ Y ヽ }  ∧ マ:i
              / ┴―、/   弋丿 i   } マ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「アダムには懸賞金六百億ドルがかけられており、南米での地下資源採掘所
爆破事件などの首謀者とされています。この事件での被害者は死傷者、
行方不明者合わせて五百人を超えるとされています。
このことから、アダムを通常の指名手配の枠に納めることについて
疑問視する声も上がっており……」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

946 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:34:29 ID:esyZ6Yv60

       ___
      /     \
    /         \
   /   ( ●)  (●)\      ……つーかよ。
   i    (トェェェェェェェェイ) i
   ヽ、   \ェェェェェ//
     /     ┌─┐
     i   丶 ヽ{ .茶 }ヽ
     r     ヽ、__)一(_丿
     ヽ、___   ヽ ヽ
     と_____ノ_ノ





         ____
        /ノ   ヽ、_\
      /( ○)}liil{(○)\
     /u (トェェェェェェェェイ)  \      なんでそんなやべーやつがここにいんのぉ!?
     |   ヽ!!il|!|!l|!!ii|i/. u |
     \u  ヽェェェェェ/   /
     /            ヽ

947 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:34:46 ID:esyZ6Yv60

             ト'/li l li!ヾi l l li / / / // _/`-、_____,-、
            l l' l li li! li ヾ、 ll l ,l /__,,,,,、__,-';;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;
            ll, l. l ll_,-'~~`-、ヽ l l/:::::::::ヾ___,-'´`ー<';;;;;;;;;;;
            ヽヾ l.l :::::::::::::::::。____f :::::::::::::::::::::l-=== ヾ;;;;;;;;;;
            、ヽ、,l、::::::::::::::::l~~~~l, ::::::::::::::::_/::::::ミ三L;;;;;;;;
             `=≡ゝ______,-'::::::::::::ゝ-ェェ-'',--ー''ー、__コ;;;;;;
               l_,::_ェェェ、_:::::::::;/~~-_-l___;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l゜`-
         ./~'-、_   `/  ,''r-,ヽ-、l'.  l。ヽ'ト、~~`ニ-、;;;;ll-ニ
        ,l ,.   ~`フ 」_l `' l‘_y!~~l、:::::::`ー< !------ヾjj;;;;;
        / ~ゞ'`ーt~'ヽ,~~l:::::`'~丿: `   :::::::::`':::::::::ミ  ノ`-、_
     ,-、_l___ l ,-l(ゝ ,ノ .ノ::::::「          ∪:::::ミ ,rュァ> ,j      …………。
   ____l;;;;;;;`、_~~/ミ~l~`''> _,,j_____ヽ`'          , _ーミl-'~/
   ヾ;;;;;`ー、_;;;;`l'/_/ /-'    `-、_ ,        l (二/ /      バレた?
    l;;;;;;;;;;;;;;;~ソll';;;;ゝ__l        `「       _ノl  ll リ/
    l;;;;;;t---、j;lll;;;;;;_/l         ト     /:/  .ll l
    l));;;t---,j'';ll;;;(('l l_        /    /.ー------`====
    }-l;;;;~`{~;;;;;;ll'--'  ヽ__   __,,-{_______/;;;;;;;;;;;;;_,,--i;;;__,,-!--
    l->;;;;;;_ソ;;;;;;;ll_    l ̄`==------'------''~   l~
   /=__;;◎--__,jフ=、 /`          ゙゙゙゙~゙゙゙(;;)  lヽ
  /;;;;;;ヽ_`--'~_, i~  ヾ=ヽ        ''      ~  l
_/ ヾ_ '゜」o`i /  t)     l            ゙゙,,,,,    l    ;;;
.「ヾ,0ノ~j--、o)--ソ~   /ヽ`-----、        --(;;)' l ;;_________
【魔人アダム Lv99】





              _ , - - ― ´  ̄  ` - 、_
       _ _ γて_,、//       ― 、―yミXヽ_=r= 、
      //| Kr-、|ヾ、           >ロ><ァトミヽ
       / Xヾ彡 //     |    ヽ ヾ|\テソノヘヽ`、
       | | |ト`´ノ/  |..|   .|   |  |  ゛ て‐<ゝ` |
       | | |`、/ | / | |  .ハ|  ヾ  |   ヽ |ヽ ||(`  |
        | | /ヘ/ | /  .| |  | |ヽ  `、_._|_  | li `、\|| |
       / | .ハ .| |  |大-.| | .|、  .|ハ | |  | | |  || |
      ,/ ///  || | ノレハ,、|、\\ハi_, =-、 | | .| |  | |         いや、バレないっていうのは無理があるでしょ。
     / / /イ  | | .| Kr/マア冫 ` `´イ::..::ハ | | |  | .|
    / // / | | | ヘ Y`.ヾ斗ソ     弋;;ソ / .| .|  ヽ .|
  / / / /  | | |  ヾ|ト, ゛´゜       ノイ |  |   | .|
 / / //イ .| | |  ヽ) >    _ _ U ノ彡/  /    `、ヽ
../  / /  |  | | | |  |ノ i |>、   ` ´  /イ / ./ /     `、\
/  / イ  / |  | | | |l  y | | r-ノ> - <  |/ / /        ヾ`
|  |  |l ..  || |  | | /| .| | \>_)(⌒)(\ノ/ / /`、,_ /`´ |_ ヾ \
|  |  || |  |ヾ   X .| .| |_ , )、ソ (  ) ( / /テアノ ̄r/./ ヽノ   `、

948名無し-Red-市民-2:2018/10/10(水) 00:36:32 ID:Ds1dBx8c0
魔人っておいおい…

949 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:37:27 ID:esyZ6Yv60
┌───────────────┐
│                     ...│
│   第二十話『信念の行く先』    │
│                     ...│
└───────────────┘

950 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:37:40 ID:esyZ6Yv60

  ノノ   ,' / /:/ :/:/|   . : : :.ヽl、
. Y´ . l | !/ /:厶イへ!l|: : /: : : : : .、一
 | . :.:j:.: :ト、l イー=ニニ}リ//.:.:l :l :「 ̄
 | l: :{`ヽ|    `''rー┴' /. : ノ:ノ:ノ
 | l: リ       l|l|   / 〈 ´´
) Ⅵ:{                 丶         おい、さっさと追い出そうぜ。
ー 、ヽ            _ ノ
: : ヽ             (           こいつ、メシア教どころか、政府とガイア教からもお尋ね者にされてんだろ?
: : : : .          r―‐一'
ー‐――┐       ̄ ̄)            水爆抱え込んでるようなもんだぜ。
:.:.:.:.:.:.:.:.//、         |
: : .:.:.:.://   ,ー-   ..ノ
: :.:.:.:.//   /.:  ̄.:フ
:.:.:.:.//   /.:.:.:.:/
: : //   /.:.:./
.:.:.{ {  L〃\
:.:.:.ヽヽ   `ヽ \

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「そうは言ってもよお……」

渋るヨシツネに、デビルアナライズを起動したCOMPの画面を見せる。
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951 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:38:08 ID:esyZ6Yv60

                 f、  /i/}   ,イ
                  ト、  i V  /./ イ /  ___
                  ト、} \} ゛ /  / ̄ ̄ /
                 i ヘ             ̄_ ニ-‐ __
             从      ,ィ 、         ̄ /
               ヾ   /|ヽ /厶}_i‐‐ヘz_      ≦‐,
              ,‐-、i |゛゙゙'′¨ | |   i}<       ,イ=、
               /ハ/|_}_   ,- } i― 、 | ヽz     / /
                 i | i' ヾi `,    レ'__  ! 刈    ./
                 ヾ ノ-,ィf仞-、/ '⌒ミ、/i__ .リ    /
              {   }'   、   人/⌒ヽ‐‐ V
              ` ‐-' ヽ     ̄       厂i }
                   ',  ‐ ― -- '      ハア′
                   ',          __≦刈    _
                 ',_ -‐ ―――===彡'、  イ      ̄\
               /|    f_j        /
               } r‐、     r‐、   //
               ヽ弋ノ_   弋ノ_ 少∧
                〉 f_j _ イ / 〈 l:.:.i
             _/   }/ Y ヽ }  ∧ マ:i
              / ┴―、/   弋丿 i   } マ

【名前】
アダム
【種族】
魔人
【レベル】
99
【属性】
Neutral-Neutral
【相性】
破魔・呪殺・バッドステータス無効
【能力】
力-A 魔-A 体-A 速-A 運-E
【スキル】
メギドラオン 地母の晩餐 至高の魔弾 ゼロス・ビート 食いしばり 貫通
【備考】
魔人アダム。本体。

952 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:38:24 ID:esyZ6Yv60

            _ ,
         ∧/ ハ/l_   l
      l ┌>     ィ┐
      l _」> ハl/l /l/ Zl_ _
   l _ -‐  _kハl゙"",""V _  l.jl...l..T‐、
    -   _ ‐ ^t.ィ/=l /'_ ̄l|.ノ...l...|  l        消しとばされりゅうううううう!
  〈  _ イ、_≦::::l ニイ::::::/-‐l..lイヘ./ /
  ヽ、 ノ:::::::::::::::::::::lー ‐|::/ ハ l..l/.ノ /
    \:::::::::::::::::::::ヽ /:/ /  l..l../
      ヽ::::::::::::::::::::::/ /  , /
      l k:::::::::::::::::/ /  /
      l  k:::::::::::::/ /  j  l
     l   , k-、::ノ /_-‐_ 〉  |
     |  //ノー-..-:.:.:.:.:._l
       // /::ニニlI::I!ニニl
       ///::::l l   l|    l
       /ミ/l::::::l l    l|    l





       ____
     /     \
   /         \      全員でかかったところで勝ち目ねーぞこれ。
  /. u   (ー)ili(ー)\
  |    (トェェェェェェェェイ) |
  \   \ェェェェェ/ /

953 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:38:50 ID:esyZ6Yv60

           V',ヽ ',   ,{   { {     ^~^ヽレ フ>ァァ/ハ .}ヘ//ィ
          ヽ V', ヽ',ヽ ,{   V:,              ⌒7} } ヽヽ/
          \ヽ ',  } ト{ ィニニvト.、_   ,          ,'} ! ∧ ',
           ヽ f⌒V{     ヽ ̄~^ ^´  }、      ,' '/,〃∧ }
               Vr,ハ }} U ,z===ミ、    /  ̄~^'ミs。 //'/ア  レ
             { 「(ハ},、 ,  -- 、    /  __   `ヾ!j/,/
  , --  ..,,_      ヽ ヽレr'=〃      ,  ,   ⌒^ヾ:,  ,イ/
  }: :\: : : : : :≧s。., 八_jU’ {      }==ミ/  ̄ ヽ./r/         いや、そんなことしないから……
 ,: : : : `:<: : : : : : : : : :丿}   ゝ __   ノ  {l      }/ノ
 !: : : : : : : :.`: <: : : : :/ }          /ヽ    ノア           キミタチ僕のことなんか勘違いしてない?
 !: : : : : : : : : : : : `:.<{ 八     、__  ´   ` ー '/レ
  ):.、: : : : : : : : : : : : : :`: .、ヽ    `'<_~^ ーァ    /              「お前自分のことなんだと思ってんだよ!」
_ノ: : \: : : : : : : : : : : : : : : : `:. .、  ヽ __ ̄    ,.ィ
: : : : : : :.、: : : : : : : : : : : : : : : : : :`ヽ、     /: :.\               強いて言うなら、愛と平和を追いかける狩人……?
―――‐=:ミ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : `: :.、 /ノ: : : : : :ヽ,_
: : : : : : : : : : : :`:.<: : : : : : : : : : : : : : : : : :`:<,_: : : : : : : : `: :.、          「つーか何でうちで飯食ってるんだよ!」
: : : : : : : : : : : : : : : :`: :.、: : : : : : : : : : : : : : : : : : ):': <,_: : : : : :`: .、
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ: : : : : : : : : : : : : :,: :-<: : : : : :: :~^ ー: : : :\


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そう、この喜留夫達の目の前でへらへらと笑いながら食事を口に運ぶ
この男こそ、そこら中の組織から追われている悪魔、魔人アダムなのだ。

魔人というのは人間の要素と悪魔の要素を併せ持つ特殊な悪魔であり、
基本的に人が魔に触れることで変質したもの、もしくは二種の親を持つ半人半魔
として生まれたものが魔人に分類される。

雑種強勢というのもあってか、これらの種はとにかく強大で厄介であるとされる。

その中でも、恐らく最大級の厄ネタが、この魔人アダムだ。
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954 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:39:27 ID:esyZ6Yv60

  ii!i      .|i     / \ //  ヽヾ  // \\-ニニニ|i/ .|i    //\\
  i!i! 〃   ii!ヾ   //   Y./    \/// ̄ ̄ ̄ ̄  i!  .|i   .//  / /
  i!i! ,',' .〃 .i!  ヾ //    `        |i   メ       i!  i  _\ヾ./
   〃 〃  i!   \                 |i  / ∧.     i! |i/ |i!i
 ヽ_/|    i!             i!   i! 〃〃-  ∧     .|   //
ニニヾ. て|i  i!               i!/ヽi! //ニヽ ヽ ∧    |i___i!i!    〃ヾ
 ○ヾ  i!ヾYi!            i!/ヽ/  i! /〃  ヾヽ  ∧   i!   `'守>'ニニ
 コ  |i  .i! ヾ ___     ∧i!   .|iヽ/|iヾ。  | i .i! |∧  .i! i!´ニニニニニニ
  i ̄ i!  i!  |i    __   ゞ    ー  ヾ ヽヾ ノノ /./ ・ヽ i! .i|ニニニニニニ
 ´~ニニヾi.. .|i    |i_`ヽ     ``  ` ゝ _  ,   ∧i! ー―iニiニニニ
/i     .|iー |i    |iー          -  ≧=- ''     i!  __ ヾヽ,'ニニ`
|i ー ` `ヽ i!     |i   u     , ゝ-彡人      U  ,_‐‘ ,_‐,._にニ三
,`'守|i   x ≦i!.   .|i      r   ノ.  / /`ヽ     /    i! |iニi!ニi!ニ
   i コ ヽ   i!   .|i___  ー   / /    \.  /., ‐:、  i! 《ニi!ニニi!ニ
`ヽ∠ゞ ̄ヽヽ  i!   i!    ^    て..イ t     〃  .弋_丿/|i kニi!ニニニニ
  〉ニiニニニ〉  .i!  i! //|i      ∨    /    /./.,‐ 、` ヽニ`ヽニニ
 うニニiニ≦´__i  i!/  .i!       ヽ  ./     〃 弋_ ハー――|i
三ニニiニニ/ ̄〃ヾ  i     U      V      /     /      ヾ_
ー-ニニニ/   |i  i!ヾ i           /.,‐ 、  /         _   i!ヽ
     ヽ   ヾ  i! ヾ         〃 .弋_丿/        _ ヾ i__/
             i!   U     //    / /,‐ 、       ,‐、 |i
        \     ≧=――、_,' ̄ /     /\弋丿      弋丿 ヾ_ニニ

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「ちょっとちょっと待ったー! 通報しないで! SNSにも載せないで!
いやさ、君たちのところに、僕と似た身の上の悪魔が身を寄せてるって聞いてさ、
僕もちょーっと匿って貰えないかなーって思ったんだよ!」

アダムが指差した先には、セラフがいた。

「私?」

「そうそう。僕もさ、メシア教の実験で生まれたんだ。僕の魂は正真正銘、
聖書のアダムだけど、体はメシア教が用意したんだよ」

「ていうことはなにか、南米の地下資源採掘所ってのは」

すると、アダムは途端に表情を曇らせた。

「メシア教の研究施設。僕の力が暴走して引き起こしたんだ。
……大勢の人が死んだ」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

955 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:39:47 ID:esyZ6Yv60

  |:\    l|  | \`>、__                      /|    |_」_
  {:.:.: \__/|  {   \__> 、                 |       /: : \}
___\:.:.:.:/ !|   ',   _    `¨ ヽ、             !    /: : : : /
_:.:.:.:.:.:.:.:.:〈  |    ¨7ヽ ̄`ヽ  r-- <  > 、         |    /: : : :, '
:.:.`ヽ、:.:.:.:.:、 乂  __/ /|    |  |    `ヽ、  ` 、    |_ ̄\l : : :/
:.:.:.:.:.:.:.:.:>、\`¨ ー=-'   /  {    _  \   \,..-、'::::|   \:/
-:.:.:.:.:.: ̄ ̄ ̄|   { ̄ ̄ ´  \__/::\   ヽ   ヽ ∧:|    /
__,...:.:.:.:.:.:.:.;    |______ \、:::::::::::\   \   ∨ |!   /
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./        /::::\ |\::(rソ::|   \  | /\__/
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./\       /:::::::/::{:::Y´ ` ー '__   \}'          おかしな話だ。お前ほどの悪魔が、人の死を憂うのか?
\´ ̄ ̄|////`>--<|:::::::::::\|:::::|  r-、 |--- >  /
  \///|//==ミ/////∧::::::::::::::\:|  /::::::∨:::::::}、_」- ´           「おかしくなんかないさ。人が死ぬのは、いつだってごめんだよ」
  ////l!/{:.:.:.:.:.:\///l∧ ::::::::::::::: | {---:::::、::::/ \
  ////////> 、:.:.:\///\__:::∨::::、::::::::::::¨ヽ} /
、//////////// \:.:.:\///|/////≧=-\___,ノ / \
:.:.:\/////////// \:.:.:\/|////////////{:.:.:.:|/   \
:./:.:.:/`ヽ、///////// \:.:.:\////// ////∧:.:.:{、       \
\:./:.:.::/:.:\ ̄\ ̄ ̄\/ ̄ ̄∨////////∧:.:| \      \
:.:/:.`:.ー-:.:..ノ   /  ̄ ̄ /    |:.\////////!:.|// \     \

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「とにかく、追い出そうにも俺らにはその力もねえしなあ……
しゃあねえ、しばらくあんたの逃避行に協力してやるよ。
その代わり、時期を見て出ていくこと。あと、迷惑はかけるなよ」

「ホント!?」

「ああ」

そう言うと、アダムは目を輝かせながら立ち上がった。
手にはいつの間に平らげたのか、空になった皿がある。

「じゃ、皿洗っとくよ!」

「国際指名手配犯が我が家で皿洗ってる……」
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956 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:40:03 ID:esyZ6Yv60

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         └──────┘

                           ┌───┐
                           │::::::::::::::::│
                           │::::::::::::::::│
                           └───┘

                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘

                               ┌┐
                               └┘

                                   □

                               ・

957 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:40:16 ID:esyZ6Yv60

     ____
   /     \
  /         \
/     (●) (●)\     さて、とは言っても俺らも稼がにゃならん。
|    (トェェェェェェェェイ) |
.〉     ∩ノ ⊃  /      で、異界に来たわけだが……なんでついてきてるの?
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /





            /! //!///`ゝ
            // / / / / ///ゝ
           // / / / / ///ゝ
            // / / // /彡彡彡ゝ
           r┬-i‐-i-┬┬ 彡彡/
           l `ヽ|  | i ノ 彡彡/       じっとしてるのも性に合わないしさ!
           | ●     ● |彡彡
            l⊃ 、_,、_, ⊂⊃6l彡        手伝うよ!
         /⌒ヽ ゝ  ゝ. )   j/⌒i
       \ / `!、`─--r‐'''"/  /        「お、おう……」
         ヽ: :: ::ヽ --‐┴'ヘ、__/
          ヽ::| ̄ ̄ ̄|: : : 彡'

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いつものように悪魔討伐の依頼を受け、異界化したビルにやってきた。
なぜかついてきたアダムはなぜかやる気のようで、意気揚々と銃に弾を込めていた。

「なんで銃なんか使ってんだ?」

「銃じゃないとだめだからだよ」

「いや、普通にふっ飛ばせばいいじゃねえか」

「それじゃだめなんだって」

「訳分からねえ」

一階のエントランスに入ると、悪魔たちが死体を貪っていた。
舌打ちをし、メイヴとパイモン、ヨシツネを召喚しようとCOMPを操作する。
操作が完了する前に後ろから腹の底に響くような発砲音が鳴り響き、
夢中で人を喰らっていた悪魔たちを霧散させた。

振り返ると、後ろには大口径の拳銃を両手で構えたアダムがいた。

目には涙が浮かんでいる。
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958 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:41:24 ID:esyZ6Yv60

       ,、トyヘ}ヽヘ
     _キ`   ヽ ヾ1ヘ
.     ゝヽ  \ xヘ   メヘ
.     ≧  ヽ 从|`゛"7ノメ.、
     〉 \≦yrッ v‐y ‐.{ノ
      Z   r ミ ゙ー '  〉‐'|         ……行こう。生存者を探さないと。
.       ヾ ゝ        /
.   _    \j ヽ ´ ̄`/
.  /  \ヘ_|/ ̄ ̄ ̄`ー─┐
./      \ ヾ     O  O .ト、
.         ヽ `Yヽ、_ O  O | ` ┐
          |  ヽ | ` ー─、_j    |ヽ____
        ノ    | O    O`ヽ亅     |
       /     |        ∧    \

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魔人アダムはとにかく不可解な悪魔だった。
自身の凄まじい力は一切振るわず、拳銃一つで湧き出る悪魔を一掃していった。
生存者を見つければ心底ほっとしたような表情で駆け寄り、保護していった。

「異界の主はこの階の会議室にいるねー」

パイモンが異界の主の位置を探り当て、そこへ向かう。
ヨシツネに生存者の捜索を任せ、見つけ次第外へと誘導してもらっていた。
ほとんど人間と姿形の変わらないヨシツネなら、生存者にも警戒はされないだろう。

メイヴとパイモン、ヴリトラとセラフにアダムを連れ、ビルを探索していく。
会議室へ辿り着き、扉を蹴破ると、中には人間と悪魔が複数いた。

「チッ、どこかの差し金か……」

誰かが吐き捨てるように言いながら、一斉に銃をこちらに向ける。

「セラフ、ヴリトラ、防御! 残りは後ろから魔法をかませ!」

そう指示し、自身も銃を構える。狙いはつけない。これだけいれば誰かしらに
当たるだろう。

その時、発砲音と共に天井の照明が割れた。一気に部屋が暗闇に包まれ、
突然の出来事に敵味方を含めた全員が混乱した。

更に発砲音が続き、敵の悲鳴や呻き声が上がる。
懐から懐中電灯を取り出し、スイッチを入れると、目の前には見事に急所を外して
撃たれた男たちが転がっていた。

アダムがやったのだろう。
恐らく、照明を討つ前に敵全員の姿勢や位置を瞬時に記憶し、
暗闇の中で急所を外して撃ち抜いたのだ。にわかには信じがたかったが。
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959 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:41:44 ID:esyZ6Yv60

            /! //!///`ゝ
            // / / / / ///ゝ
           // / / / / ///ゝ
            // / / // /彡彡彡ゝ
           r┬-i‐-i-┬彡彡彡/
           l ノ |  | i`ヽ彡彡/
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            l⊃ 、_,、_, ⊂⊃6l彡
         /⌒ヽ ゝ  ゝ._)   j/⌒i
       \ / `!、`─--r‐'''"/  /
         ヽ: :: ::ヽ --┴‐'ヘ、__/
          ヽ::| ̄ ̄ ̄|: : : 彡'

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「あーっ! 待って待って! 殺さないで!」

とどめを刺そうと拳銃と懐中電灯を一緒に構えながら男たちににじり寄っていくと、
アダムに制止された。

「ここは警察に引き渡そう! ね、そうしよう!」

「な、なんだよ。警察に引き渡したところで、こいつらの罪は裁けない。
適当な罪で刑務所には入るだろうが、それだけだ。
どこの組織のサマナーかは知らんが、生かしておいたらまた同じことを
するかもしれねえんだぞ。俺はそれを許すわけにはいかねえ」

「それでも! 殺して全部のチャンスを奪うよりはマシだ!」

「チャンス? こいつらが改心して殺しから手を引くチャンスがあると?
あのな、そんなのは万に一つもねえよ。自分の益のために命を踏みつぶす
人間が、今更引き返せるもんかよ」

「……確かに君の言う通りだ。でもね、俺は理屈抜きで、人が死ぬのは嫌なんだよ」

なぜかアダムは、喜留夫の目の前で土下座をした。

「お、おい」

「頼む! 彼らを見逃してやってくれ! この通りだ!」
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960 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:41:56 ID:esyZ6Yv60

           V',ヽ ',   ,{   { {     ^~^ヽレ フ>ァァ/ハ .}ヘ//ィ
          ヽ V', ヽ',ヽ ,{   V:,              ⌒7} } ヽヽ/
          \ヽ ',  } ト{ ィニニvト.、_   ,          ,'} ! ∧ ',
           ヽ f⌒V{     ヽ ̄~^ ^´  }、      ,' '/,〃∧ }
               Vr,ハ }} U ,z===ミ、    /  ̄~^'ミs。 //'/ア  レ
             { 「(ハ},、 ,  -- 、    /  __   `ヾ!j/,/
  , --  ..,,_      ヽ ヽレr'=〃      ,  ,   ⌒^ヾ:,  ,イ/
  }: :\: : : : : :≧s。., 八_jU’ {      }==ミ/  ̄ ヽ./r/
 ,: : : : `:<: : : : : : : : : :丿}   ゝ __   ノ  {l      }/ノ           ……ありがとう。
 !: : : : : : : :.`: <: : : : :/ }          /ヽ    ノア
 !: : : : : : : : : : : : `:.<{ 八     、__  ´   ` ー '/レ             「なんでお前が礼を言うんだよ」
  ):.、: : : : : : : : : : : : : :`: .、ヽ    `'<_~^ ーァ    /
_ノ: : \: : : : : : : : : : : : : : : : `:. .、  ヽ __ ̄    ,.ィ                だから言ったろ? 理屈じゃないんだって。
: : : : : : :.、: : : : : : : : : : : : : : : : : :`ヽ、     /: :.\
―――‐=:ミ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : `: :.、 /ノ: : : : : :ヽ,_
: : : : : : : : : : : :`:.<: : : : : : : : : : : : : : : : : :`:<,_: : : : : : : : `: :.、
: : : : : : : : : : : : : : : :`: :.、: : : : : : : : : : : : : : : : : : ):': <,_: : : : : :`: .、
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ: : : : : : : : : : : : : :,: :-<: : : : : :: :~^ ー: : : :\

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結局、ビルを異界化したサマナーたちは警察に引き渡すこととなった。

どうやらサマナーたちはファントムの下っ端だったようだ。
ファントムソサエティのサマナーたちは理由は不明だが、こうして
ちょくちょく人為的な異界化を起こしては無差別殺人を行う。

そう話すと、アダムは悲しげに俯くだけだった。
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961 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:42:10 ID:esyZ6Yv60

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                 ,  ⌒ 、/⌒ 、`  、
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              (/     /  /!   l    、 、 \` 、(
.          //    /  ,' !   l  l  、 \ \ ヾ)
        /イ /    / // l |  |ヽ l、   、 \ \≦)ノl
       lヽ// /    / //__,!   l l -ヽ| ヽ  、 . \ ヾ' \ー‐,__
      ヾ/イ//l    /,/l/  l|∨ l||,, ヽ| ヽ  、   \〈\― <
    ヾ  /   |  /, ,ィ笊示 ∨ !l/ ィ 示`ヽ∨  ヽ  l|  ヽ ノ   >
.    ヾノ、/ ,   ! /∧  ヒリ  ヽ|  ヒリ ヽ|  |ヽ |   ヽ    >
   ヾ / イ    |/l/l|∧     、      / l  | ヽ|  ヾ ∨  >
   ヾ  /イ  ∧  | |∧          / ´!   l ! lヽ lヽ|\∨ <
    /‐‐―ノ /l∧ | l.  、   ー―    イ/ノ.l  /l/l/ lヽ!    __   ヽ
.   /_  //l, ┐,∧ !ヾ  >   _  r≦ ノノ、! / r、/    /   `ヽ}
.   ヽノ ―― 、 /、ヾ|     {≧zzzzzr ィ〈< |/  )   斗≦=―- .l
  , ' /    \ `ー,      ノ三三≧ >'´l l= 、  > '  _        ヽ
  l, ', ≦≧z ./〉-,‐,―――   '       | | ヾ,,,(, ‐,≦_ `  、____ l
 ,r≦三三三//  / /                 | |イ / / /三三三≧、\>   ヽ
/三三三三 //  / /            / ,/ / / /三三三三三 、  、  > 、
三三三三ニ{ {  { .{            /  / / / / 三三三三三 ノ 、  、    、
、三三三三ヽヽ  ヽヽ       ,  ''   { .{ { .{ 三三三三 イ   、  、    、
   ̄| ̄ ̄ ̄|\\ ヽヽ  _  ≦ .     ヽヽ ヽヽ三三 イ |    、  、   、
    |      |   ̄ ̄ ̄         `  ― ヽ_>‐ヽ_ノ|    |    、  、   、

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事務所に戻り、アダムが席を外している間にパイモンがこう言った。

「彼が本当にアダムならさ、人間全員が家族ってことになるんじゃないかな」

「わけわかんねえ、どういうことだよ」

「アダムは人間の始祖なんだよ。つまり、今いる人類は全員彼の子孫ってことに
ならない? 誰だって進んで家族を殺すなんてことはしたくないだろうし、
家族を殺されるのを黙って見過ごすわけにもいかないでしょ」

「じゃあ、なにか。あいつは常に家族を殺されたり、家族に殺されそうになったり
してるってことか」

「そういうことになるね」

星に溢れる家族たちが、こぞって自分に銃を向ける。
喜留夫はその恐怖や悲しみが想像できなかった。普通に生きていれば
有り得ない境遇だからだ。

やがてアダムが戻ってきたが、そんな運命を感じさせることもせず、
飄々と笑って「ご飯まだ?」とのたまう始末であった。
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962 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:42:21 ID:esyZ6Yv60

           て               ,、               _
      ラ   (            ト、,/ ヘ             ,r'´:::::::ヽ
       ブ   (          ∧}\    `Wヽ       {::::::::::::::::::}   _
     ア      |     }ヽ|   }      ∨y      |::::::::::::::::::|. ,r'´:::::::ヽ
    ン    ..|    |∨             }      |::::::::::::::::: レ:::::::::::::::::i!
    ド     (.    |`                   /_     |::::::::::::::::/::::::::::::::::::: i!
 ピ         .∠   |   w|ヽlw、  ヘ ,、w.メ   /     i!::::::::::::/::::::::::::::::::::::::}
  |       <.   キ  i\\   `´゙/´ .//} /_      |::::::::::/::::::::::::::::::::::::/
 ス          l´    ∨ |_ヘヘ     /∠ } //     }::::/::::::::::::::::::::::::/
 !      そ      ∨ |  ̄≧.川≦ ̄. } /      y:::::::::::::::::::::::::/
.ィ'!ヽ  /`Y´.       ヘ v─(  )´`(  )─v| /       /::::::::::::::::::::::/
.   )/.           r `| ´+────i` .|´ヽ   ./::::::::::::::::::::::/|
               ヘ |  | ̄ ̄ ̄ ̄|  .| /  /::::::::::::::::::::::/ ::::|. ,..‐-、
                 ` |  |/゙‐-‐ヽ/   |テ_/::::::::::::::::::::::/::::::::: Ⅹ‐ 、:::ヽ
                 ゝ |_ =  ̄ ̄/ ̄イ ::::::::::,イ´ ̄::ヽ::::/ ̄:::ヽヽ::}
                 _>´ ̄      ● /  {´::::;;ノ::::::::::::::::::::}´::::::::::::::::::} }´:::ヽ
                 ヽ ●            | / ̄´::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::/ヽヽ::::}
          ____}         ●_| r:| |::::::::::::::::::::::_x::/:::::::::::::::/:::::::::::} }ノ
.      ィ<´/ ̄/  /  }   _ =  ̄ ̄∨::| |::::::::::::::::イ:::::(::::::::::::/::ヾ:::::::::/
.    /  /  / ●/  ( ●/        ヘヽヽ─´:::::::::::::::::ゝ-‐/::::::::::::::://

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アダムとの共同生活は一週間に及んだ。
依頼を受け、仕事に赴くと、アダムは必ずついてきた。
常に喜留夫のことを守り、敵の人間を守り、目につく全ての人間を手あたり次第
守っていた。

彼は人殺しをしない。いや、できないのだ。
手を汚したくないから、目覚めが悪くなるから、そんな生半可な理由ではない。
彼の目に映る全ての人間が家族だからだ。

想像を絶する苦しみを抱えているであろうアダムを、次第に仲魔たちも
気遣うようになり、一週間後には完全に打ち解けていた。
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963 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:42:33 ID:esyZ6Yv60

                  _、-ヘヽ
                   ,ィ':::::::/`ヽ、
                  /,'::::::::,'/=`ヽi-
                      /,ィゝ'////////////,ヽ
                  /,'///////////////,'ヽ
                   '//////////////////// ヽ
                    /,'///////////////////////
                〈////////////////////////〈、
                    \'////////////////////////、
                〉/////////////////////// i
                }'//////////////////,'ト、///ヘ
                 i'////////////////,/  V//∧
                 |///////////////ィ′   V//,∧
                 |///////////////,l     .!////ヘ
                 |///////////////,f、    ∨,'//∧
                   冫////////////////、,    ト、///∧                      ,
                    ,iヾ/////////////////,`ヽ  V////∧                   ,ィ',  \
                    -','¨゙////////////////////  i'//////i/\              /ヾ ヽ   \
                    `ヽ'////////////////////    i/////∧  '^i 、              メ丶  ヽ ヽ  /i
                i'///////////////////      i/////∧   /ィ^ 、          /i ヽ 丶  .ヽ//
                //////////////////,〈      V////∧ / /  /マ、      , '  i  丶丶//
                l'//////////////////,丶     ゝ====ィ' / /   丿 ,\ _,ィ ', ',    , //
                     i'///////////lヽ'//////∧.    ,f、/丿riヽ\_,ィ' /  `i | ', ',  .i//
               〈'/////////,iヽi ヽ'//////ヘ   〈 , !__ヽi |/==─‐- 、__| |_', ',//
                  `ヽ|////// |     V//////,ゝ、  ヽ=ィ,' i    \-----`ヽ..,,//
                     |'//////,i    ヽ'//////,i、 r‐i   ヽ 丶、  ,ィ' ̄ ̄ ̄| | ̄ ̄ \
                  V//////!      ヽ//////〉ト、ヽ   ヽ、リ/ ', ',     | |      \
                       V/////l         \///// 、弋ゝ、__,ィ',从  ', ',   ,ィ'ヘiィ'二二二二ト、
                        V////,'〉        丶/////丶` 、/丶   .', '//\\     / / \
                    {'////∧           ヽ/////,ヽ' 丶  \  //   \\ / /  /ト、
                    ト/////l         ヽ'/////,丶   \. //      \\/ //  \
                         ∨////ヽ         ,ヽ'//////,.、 //           \ィ'_/   /i
                        V////∧       fィ、丶 '、'/////,〉/                 \\ //
                     丶/////,!       /   、 、 V////,ト、               \`i/
                          ∨////ト、  /      ヽ ヽ〉、'///,.ヘ
                       ∨////,l ,ィ'ヽ  \    // ヽ'///,丶
                             V////li   ヽ  ヽ://    \///
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
そして、その日々は突如として終わりを告げることになる。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

964 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:42:45 ID:esyZ6Yv60

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 ̄ ̄厂 ̄ ̄厂|三三| ̄/ ̄ ̄ ̄/ ̄ ̄/三三/ ̄ ̄ ̄\三三\  _..::ノ   .::::/.::/   /:::::::.:.:.:.:.:...........
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╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
ある日、ウルフウッドから呼び出しのメールを受け、指定された駐車場まで
行ってみると、人避けの結界の中にパニッシャーを構えたウルフウッドと
大天使ミカエルが待ち受けていた。

視線は喜留夫の後ろに立つアダムに向けられている。

「魔人アダムやな。悪いが死んでもらうで」

「……物騒だね、そんな得物構えてさ。久しぶり、ミカエル。
相変わらずいかつい鎧だね」
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965 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:43:18 ID:esyZ6Yv60


    /        |             `ヽ\             / /
   /         | ________∨ ヽ        /  /
 ∠ ニ= ─────x|/  ヽ  \  `ヽ -|  |     /  ./
 ._______/__     __ Y  \  ∧  ̄` ヽ、__/ ,ヘ /
  ::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ     |:::| ト  /\}i. ∧ \___    / _/
  ::::::ヽ_::::::::::::::::::::: ノ     .|:::|.丿∨   |!.  〉ヽゞミ、 \ Y´
  ::::::::::::\¨^7´ ̄ゝ. ____!イ::::::/|   .||ヽ /! rx  .ヽ=\!
  ::::::::::::: く ∧:::::::::ノ::::::::\/:::::/. |   j.| ∨ー、\>′         ……最初の人の子よ。
  ::::::::::::/´ ̄ ̄ヾ、:::::::::::::::::::::/  | /. !  ∨く\\
  ::::: / ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ ̄ ̄ ̄'\ ./  /   .〉:::}. \ヽ         貴様は我らが主の意思に背いている。
 ...../  /  ̄ ̄ ̄ `ヽ     /   ./   ./:::// ̄|\、
    ./           \ ./   /    /_./´Y  ト . \       楽園を追われようと、その信仰まで
     {      ./ ̄ ̄` \   /\  /   j i、 /  > \
    l      く.         \ .イ  `´|__// |>''´: : : :\\    奪われたわけではあるまい。
    |       \        \  〃イ..__/ .!: : : : : : : : : \
   ___      \        \/   /   |: : : : : : : : : : :    創造主への恩を忘れたわけではあるまい。
       )       .\         ヽ.   /   .リ: : : : : : : : : : :
    ̄ ̄            .\      ∧  イ   /ヘ、: : : : : : : : :
      \       /   ̄ ̄ ̄  / .   /   `ー -、: : : :
          .\     /          ./     /          \: :
         \   /         /´     /          \
             l\./          {     /
           ∨ 、         丶 .___/ヽ
           ∨ 丶 .__     ,ヘ、 }





       ,、トyヘ}ヽヘ
     _キ`   ヽ ヾ1ヘ
.     ゝヽ  \ xヘ   メヘ
.     ≧  ヽ 从|`゛"7ノメ.、        確かに、神は人を作った。
     〉 \≦yrッ v‐y ‐.{ノ
      Z   r ミ ゙ー '  〉‐'|         けど、愛さなかった。
.       ヾ ゝ        /
.   _    \j ヽ ´ ̄`/          それはこの世界を見れば分かることだ。
.  /  \ヘ_|/ ̄ ̄ ̄`ー─┐
./      \ ヾ     O  O .ト、     俺が善悪の実を食べた時から、彼は人を祝福することをやめた。
.         ヽ `Yヽ、_ O  O | ` ┐
          |  ヽ | ` ー─、_j    |ヽ____
        ノ    | O    O`ヽ亅     |
       /     |        ∧    \

966 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:46:00 ID:esyZ6Yv60

   i, 'i     ` -、ヽ,  ./._, -一''''~              /  .}                 _、,,,//
    ``       ~`'' /-'~                    ,' ,' ノ               /  /'ヾ
      l           ,、,-, ----ーーー-------、、,   { .l! i'               /  , ′ }
    /lヽ,      ==ニ,、, ーーーー----ー _,, -'   l  l! l!           /  /  ノ ,-、.
    l   l! `、         `'ー-----,-,--ー'~      l  l ノ             /  ./  '"  / /.l
    l  |!   l               //            ゝlソ         _.: ´ _, -' , :′   / ././
    }  l!  }               ,,,//             l}         ../_, -'  _/'゙     / ././
    |   l|  ! `ヽ、         >, l ~=,-                      (__,,. -‐''´       {/.ノ
    .リ   l!  .l `ヽ ヽ,      〃  l!    i                             /'゙
   {   |!  .l `'''-、,,,,,)      /    l!   i,
   l  ._,,l,,, -'一''"´  ̄ `"'' ー -、,_  |!     i
 _ - ‐ ~                  `ヽ,     l!                      _
"                   _, ---  .}     l                     (  ` ヽ、
                  _,, -''''~        ノ    l                     ヽ  \ `-、
        ._ , -一'''~            / l!    l                    \ `、. \
     _, -'~             _, -,'~   .l!    l                       `、 `、  `、
  /                 -'   i,     |i   !l    _,,、、、r-‐           `、  i!   l
./               /       l     `、   .l , -'~ , -  }              'i  l|  }
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            /           .'、.   ` 、   .ゝ、 ./              / / l.   '、 !}ソ
            /                `、     '、   .l/              / 〃 l.    `i{
         ./      l~i`、         /\    ヽ  }            { {{ .!     ノ
      ,/         .l l l        ./ / \   ` ソ            l  l! l
    ./          l ,l! .l        ./ /   ,/`'ー'~            ';. |! l
   ./           l ,|! .l        { /  /                      ', !シ

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アダムが前に出る。

「君たちは手を出すな。これは俺の戦いだ」

彼は拳銃を構えると、左の肩甲骨あたりが輝きを放ち、白い巨大な翼が出現した。
純白の羽根が舞い散る様は、宗教画を彷彿させた。

ウルフウッドがパニッシャーを構え、発砲する。
削岩機のような轟音を響かせ、無数の銃弾をアダムへと叩き込むが、
その尽くを鋭くとがった形に変化した白い翼が高速で叩き落していた。
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967 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:46:14 ID:esyZ6Yv60

              ―=三///;;;;;;;;/:::/  /  三=―
            /-=≡三:://;;;;;;;;/::/  /   =―
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..      .//       ', -::‐:: ̄.......-'.., / ̄          _
         ,ィ       ヾ-:::T::::::::::::/::::, ゚。_。_   -   ̄   | ',
    / ///      /::::::::::i:::::::::::::ヾ-:::::/〃,'             |  i                 _ ―
   ./〃.  /  _。_/iヽ/ ヽ`ヽヽ: :::::::/〃 ,-:::::: ̄―::::::i                   ―
    / -  ̄/〃/:::/  ^ ̄_ ヽi| } ―/// /:::::_::::- ̄ ̄     |  i            ̄  ̄ ヽ ヾ
  ̄   __////:::/   -ヽニ_,. /:::::///./ ̄  _   ―  ̄',                      |  i}
   ,――:::::: /〃∠\ , ._`ヽ//:::::/〃./―            , i                 / /
    ̄ `―//∠//\\- __ -::::/',::::ヽヾ ヽ      _    ―                    / /
   _  -∠//////ゝ.:::::i::::::::: :/:::::::,::::::ヽヾヽ ―                          / /
―     ∠/////////:::::i::::― -:::::::/ ̄ `ー'                                / /
.  _  /////////// ̄ニニニヽヽ:,'                                / /
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 |i  ////////// /:::::::/  /  ヾ)      _,..-                     /./
 |i  ヽ///////.// /:::::::/  /   /  , 'ヽ/ヽ/ /―-                     /./
 i!   ヽ///./././  `/:/'. ./   /゚'*。//////////ミ、ー                /./
      ヽ///./  / /.  /   /////ヽ/r i///i///ミ、               /./
        \/  / /.  /   ///////i!ヾ.'弋ッi///ヽ ヽ                 /./
      ///    ̄  ./   ////////i! ', _ ' i/i/ヾ.                /.//,
.     .///./      /   /////////i|  ',  `/                /.///
  .///././      /   ///////// '/ ` ̄             /.///′
. ///////_   _/   /////////  ゚。              /.////
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//.//-=≡三 ./;;i;;;;;i;;;;;;;;;i///////, -   ̄            ././///,
/// ―=三 /;;;;;;i三二ニ=― ̄´                    /./////,
/―==ニ三/;;;;;;;三ニ=― `〃.                  //////
 。゜。゜/. /;;;;`ヽ `ヽ/  // /    *'”//i______.//////
。゜。 /_/;;;/   / ./././∧>''´.////////////////////≧x。
 / //;;;;;;;/ /./ ./ / //////////////////././////////////゚'*。
゚/..//;;;/ / / / / /////////////////////////////////////ヽ
. ///   /  .// //////////////////////////////////////.//.ヽ
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  / /三二―///////////./   .///////         ̄ ̄ヽ//////////.\
../  ./ ̄三二ニ=一///////   .///////             ヽ/////././././.\
   三二ニ=-////////   .//////./                ヽ///////////.ヽ
   /   /////////./   .///////                   ゚'*///////////.ヽ

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ミカエルが右腕の大砲を撃ちながらアダムに接近し、剣を叩き付けた。
アダムが砲撃を翼で防ぎ、ミカエルの剣を受け止める。

「抑えとけ、ミカエル!」

ウルフウッドがパニッシャーを反転させ、ロケット弾を発射する。
花火のような音を鳴らしながらロケット弾は飛んでいき、アダムの
翼に着弾すると、炸裂して炎を撒き散らした。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

968 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:46:29 ID:esyZ6Yv60

                          __     /i  ////    _,,..-‐''  /   ヽ    /
                      _,,..-‐'', -'"      ./ |i/,' /´ /i,'ト、>''´ ー、   /    / , -'"
                  _,..、-''", -'"      iヽ/       '´T丁/ -'"   ]/ /[乂/  /
               , -'" , -'"        , -'"i            ∠/   r[    ⊃/
            , -'"  /       , -ー  iヽi           /,′   i L  / '´     i
         , -'"  , -'"-'        i    _ヽ           ん`ゞ.  .| [少'      _,ィ
       , -'"   ./ii!!/       _//ヽ, i'i^_` /  川川i l| li} ,'\  ヽ/   _,..、-''"
    , -'", -'"i /i!i/        /  /    v i ,{ i l   lル' |l | /\ i. |i込、>''´
  / /, -, - /i!i!i!/        ./ /       i iヽi i`ゞi iィ弋ヅフん。ハ |i /  \ `゙''ー、
, ′  `/ /i!i!i!,-'         i i        / i//.i  i    i/。′ i/ i i    ーミ、 ∧
     /i!i!i!i!i!i!i          i i       込`'守_込 ,. 、 /, -'"   少/     i  ヽ
     ii!i!i!i!i!-'"            》       ヽ i Q`ゞi _ .〃/   / /      \  i
  癶/⌒             / 丶_.      .∧∧Q Qi ̄    >´  /       ヾ /
  { ,′               ∧,-_  i      ⌒ヽ_Q|i  >''´ /         _
∧∨                    ヽ \  _,,..-‐'' ヽッ\ー   /     _,,..-‐'' ∨` 、ヽ
, -'"                     「 i_,...'"    _,,..-ヽ  `゙''少'´ i/ / ,'      Q∨ ∧∨
                      , -'"     , -'"  /`゙''、 ◯|i   ヾ/i Q      i i .i
                 _,,..-‐''     , -'"i     `゙'' 、 i ヾ'、 ヽ  ヽ/         i ! ',
         _   , -'"       , -'" `゙ i    _/i!i!i!, -` 0彡    .i! i      Q.i 。 。
      ,..、-''"           , -'"__i⌒''´ ,ィ   ,.'ii!!i!!i!!i!込0 0i!, /ヽ i!  ', Q     i  i i
   _,,.-''       _,,.._,,..-‐'' /⌒ヽ、   /   .|圦\ii!!i!i, 'ヽ/ / ヾ ゚         /_ /》 》
, -'"     _,,..-‐''    /  /     ー     _i ] i!i!i!ヽ i.\′,′,ヽ  ヾ_    i◎%/ /i!
     /        / , ′            ム∧ゝ〃´ y/Q\ \//  ム  ◎)   ` 人ラブ
  , -'"      iー―  (             , -' i_} `,' ヽQ/ /    ヾ  i =-'  イ ママ
, -'"        {      ̄ ̄[/[         ]」 i ̄ ̄i √Q \\    メ    ィ行'㍉i ] ]
           .⌒ヽ__,,.. .__   /    ,-'⌒ヽ  「 し |i>、  Q≧、_ _,,..-‐''`\王王ゞ='|i》 { /
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ニニニ∨∧                」――― ′。。/  l⊃ヽ \∨     ∧。 。「ヽ[: :][i
ニニニ∨∧               ∨__/\/   ゝ 旡\》   i     。 。i! ニニ|
ニニニニ.∨∧               i [    「     ィ\  \[       ∧。_..i! [: :]|

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炎と煙に包まれたアダムとミカエルを、喜留夫は固唾を飲んで見守っていた。
この決闘に加勢することは、誰にもできない。

手を出すな、と言われた時、彼の目はこう言っていた。
「お前の答えが殺しなら」と。

炎と煙が吹き飛び、ミカエルが翼に貫かれ、そのまま振り回されてから
投げ飛ばされるのが見えた。

そこに腕を巨大な白い砲の形に変化させたアダムが狙いをつけ、
紫電を纏った光線を放った。

地面に倒れ伏したミカエルへと着弾したそれは、凄まじい爆発を起こし
熱風を辺りに巻き起こした。吹き飛ばされそうになり、たまらず地面にしがみつく
ようにして手をつく。
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969 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:46:49 ID:esyZ6Yv60

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     , '   .〉  /  /  `
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       ` ー ´   / ヽ   /ヽ
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      /  ,ハ  //.//    ,ィ
      ,'! / / ∧/ 'レ / ,.ィv// _,,.
     i lV/ / .l,' / /'" //./´,./
      l l.〈 l ト ! ,' / / / /V:::'::7 _
    lVi ';::i l !  ; // / ソ::::::::/:"/´
    l:::lヽ ';:!l  l i /ハ / /::::::::/:::::::イ
 ¨、 ̄ヽ:i 冫ハヽivl //l 〉/:::::/::/::::::::/ィ
  /¨´/:l// `^゙^''"'' j./''"´ソ::/::::::::::/:/
  ,レ/l/V/<、     /  _ /_:::::::::::/
  / リ i ハ 代h、  _,.ィzァヲ /´ }::::/           // \
 ヽ、   └i´ ¨ ト!‐ i´ ゙ーY/ ,ノ/            / /   丶、
   \r‐- iー'ノ  ヽ... ノ  i:/  __         / /,' ゙丶、  ./       …………。
 \   l ヽ、', 、`...__ ,,..、 /.i二¨/ i    _    // / ゙丶、  >'
 、 ヽ l /\ハ r、`ー ' /   \ l /  ヽ // /     `>
   ̄¨ ┴、::::::::`ヽ,.--/:ヽ、  /`>-‐,、 .///  /      /
 __,,.. -┴‐ァ、_,.i::::::::::::::::::\  └ ' ノィ//   /         /
   / __,,. イ  /:::丶::::::::::::::ヽー一 "//   /  __     ./
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       /:::::li. l:::::::::;;_:::::::::::\/ ./    .{. i. { i:::::;リ }./
      ,':::::::l.i {:::::::::/:/丶、/'⌒/     八 ヽヽ.¨_,.ノ/
        ;::::::::Lliヽ::::::i:ソ、_  )' r;V        丶`ニ ¨ィ
      iー--ヾ、 `ー┴─.'!(()/            ,. '"ヽi
.      i  ノ ノ`¨二´i /,)/        , イ ヽ   i
     l ¨´ / __   /ヽ/ ∧     , '、   i l   l
  丶、 `ー- /::::::`Y__¨´//) ヽ ..,,.ィ"`ヽ V  l ./   .l
    `丁 ̄i::::::::::::/:::::} ^'/ \rヲ:::::ヽ ';:::', iト、 i'   _.」

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ウルフウッドがミカエルを攻撃していて隙ができたアダムへと
パニッシャーの集中砲火を叩き込むが、腕の変形を解いたアダムは
すぐさま走り出し、それを避けながら拳銃をウルフウッドに向けて撃った。

出鱈目に撃ったようにしか見えなかったが、結果がそうではないと告げていた。

彼は走りながら、正確無比にウルフウッドの人差し指を撃ち抜いていたのだ。
トリガーを引く指がなくなり、パニッシャーの射撃が止まる。

ウルフウッドが舌打ちしながら左手で拳銃を抜くが、もう遅い。

アダムはウルフウッドに向かって走ると、パニッシャーを蹴り倒し、
眉間に銃を突きつけた。

決着だ。
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970 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:47:04 ID:esyZ6Yv60

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         |゚  i i ̄l.   、   /| ./|  //
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         |。...i i_|ヽ、ヽミ. | |ヽww/シ川´彡  /
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.         | || i.. |.|..|´ミl∧゙ ー '.|   ゙ ー ' ∧ヽ
       |├─‐┘|.二|´ミl´ミl´ミl    / ∧. }
       `ヾ 〒.へ|.三|.≡|.≡|.≡|-‐ /   ノ /´ヽ、_    ,_
      ,、 , -‐!∧ヽ.r|三O三三三Oミ|./ | /..イ.  |   ` ̄/ ヽ、
.   / ∀     \|ミ三三三三三三}二´彳.   |.. |     /    .λ
  入    ヘ      \O三三三三O| ● |   /  | /.    ト、●. / ヘ
/  ヘ ●/      ヽ三三O三 ミ|    | /.  |/      ヽ /  ヽ
|ヾ..  ヽ´     _ _ゝ三三三 く  ●k´ __  / ̄      ヾ
| \        ∧ ●| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/-‐´-‐´ ●/ r´ ̄          |
.|   \ \ツ   |  |       |.       /ζ         -‐==〉

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だが、彼は撃たなかった。
拳銃を上げ、代わりに左手の銃をひったくった。

「……なんでや。とどめをささんかい!」

「断る。命の火が一つでも消えたら、きっと彼女も悲しむ」

そう言って、アダムはウルフウッドに背を向けた。

「……長生きできひんで、そないな生き方しとると」

「そうでもないさ。俺は死神とワルツを踊るのが得意なんでね」
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971 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:47:17 ID:esyZ6Yv60

                 f、  /i/}   ,イ
                  ト、  i V  /./ イ /  ___
                  ト、} \} ゛ /  / ̄ ̄ /
                 i ヘ             ̄_ ニ-‐ __
             从      ,ィ 、         ̄ /
               ヾ   /|ヽ /厶}_i‐‐ヘz_      ≦‐,
              ,‐-、i |゛゙゙'′¨ | |   i}<       ,イ=、
               /ハ/|_}_   ,- } i― 、 | ヽz     / /
                 i | i' ヾi `,    レ'__  ! 刈    ./
                 ヾ ノ-,ィf仞-、/ '⌒ミ、/i__ .リ    /        これ以上は君たちにも迷惑をかけてしまいそうだし、
              {   }'   、   人/⌒ヽ‐‐ V
              ` ‐-' ヽ     ̄       厂i }         また別の場所に向かうことにするよ。
                   ',  ‐ ― -- '      ハア′
                   ',          __≦刈    _
                 ',_ -‐ ―――===彡'、  イ      ̄\
               /|    f_j        /
               } r‐、     r‐、   //
               ヽ弋ノ_   弋ノ_ 少∧
                〉 f_j _ イ / 〈 l:.:.i
             _/   }/ Y ヽ }  ∧ マ:i
              / ┴―、/   弋丿 i   } マ

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その後、アダムは喜留夫達に別れを告げた。
この赤いコートの優しい死神は、その命が続く限り、生き方も変えないのだろう。

「またいつでも来い。飯くらいなら作ってやる」

「ありがとう。君のボロネーゼ、またご馳走してくれ」

アダムを見送った後で、喜留夫は一つの懐疑心が自分の中に
芽生えているのに気づいた。

メシア教は何をする気なのだ?

セラフやアダムといった、まるで神のごときものたちを生み出して、
一体何を企んでいるのか。

調べてみる必要がある。
もしもそれが自分や仲魔、史門たちに害を成すようであれば、
妨害してやらねばなるまい。

たとえそれが、メシア教という巨大な組織を敵に回すことになったとしても。
敵の大きさで出方を変えられるほど、喜留夫は器用な男ではなかった。
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972 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/10(水) 00:47:29 ID:esyZ6Yv60

  ii!i      .|i     / \ //  ヽヾ  // \\-ニニニ|i/ .|i    //\\
  i!i! 〃   ii!ヾ   //   Y./    \/// ̄ ̄ ̄ ̄  i!  .|i   .//  / /
  i!i! ,',' .〃 .i!  ヾ //    `        |i   メ       i!  i  _\ヾ./
   〃 〃  i!   \                 |i  / ∧.     i! |i/ |i!i
 ヽ_/|    i!             i!   i! 〃〃-  ∧     .|   //
ニニヾ. て|i  i!               i!/ヽi! //ニヽ ヽ ∧    |i___i!i!    〃ヾ
 ○ヾ  i!ヾYi!            i!/ヽ/  i! /〃  ヾヽ  ∧   i!   `'守>'ニニ
 コ  |i  .i! ヾ ___     ∧i!   .|iヽ/|iヾ。  | i .i! |∧  .i! i!´ニニニニニニ
  i ̄ i!  i!  |i    __   ゞ    ー  ヾ ヽヾ ノノ /./ ・ヽ i! .i|ニニニニニニ
 ´~ニニヾi.. .|i    |i_`ヽ     ``  ` ゝ _  ,   ∧i! ー―iニiニニニ
/i     .|iー |i    |iー          -  ≧=- ''     i!  __ ヾヽ,'ニニ`
|i ー ` `ヽ i!     |i   u     , ゝ-彡人      U  ,_‐‘ ,_‐,._にニ三
,`'守|i   x ≦i!.   .|i      r   ノ.  / /`ヽ     /    i! |iニi!ニi!ニ
   i コ ヽ   i!   .|i___  ー   / /    \.  /., ‐:、  i! 《ニi!ニニi!ニ
`ヽ∠ゞ ̄ヽヽ  i!   i!    ^    て..イ t     〃  .弋_丿/|i kニi!ニニニニ
  〉ニiニニニ〉  .i!  i! //|i      ∨    /    /./.,‐ 、` ヽニ`ヽニニ
 うニニiニ≦´__i  i!/  .i!       ヽ  ./     〃 弋_ ハー――|i
三ニニiニニ/ ̄〃ヾ  i     U      V      /     /      ヾ_
ー-ニニニ/   |i  i!ヾ i           /.,‐ 、  /         _   i!ヽ
     ヽ   ヾ  i! ヾ         〃 .弋_丿/        _ ヾ i__/
             i!   U     //    / /,‐ 、       ,‐、 |i
        \     ≧=――、_,' ̄ /     /\弋丿      弋丿 ヾ_ニニ
                                                 〜また次回〜

973名無し-Red-市民-2:2018/10/10(水) 02:09:10 ID:MlgOhP8U0

出て来る名前がビッグネーム揃いでどんどん不穏になっていく

974名無し-Red-市民-2:2018/10/10(水) 10:34:53 ID:eSa58Q4U0
おつおつ
メシア教ガチでメイヴのおっぱい吸ってた奴を消しに来てるやんけ!

975名無し-Red-市民-2:2018/10/10(水) 19:35:50 ID:xygqZ4Tg0

ヴァッシュが懐かしくて検索したらトライガンのアニメは1998年
ワグナス!! 「ちょっと昔」って、いつ?

976名無し-Red-市民-2:2018/10/10(水) 20:27:54 ID:1JuZ7fE.0
おつー

977名無し-Red-市民-2:2018/10/12(金) 09:54:17 ID:k0jGGF3I0
乙でした。
メシア教はどこの世界でもホント、碌でもない事しかしない…

978 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/16(火) 22:46:33 ID:zGS2QmqE0
ハロー。書き終わったんでゲリラ投下だ。

リアルタイムで見れた君はラッキーボーイ。後で見た君は是非感想を書いて行ってね。

979 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/16(火) 22:47:06 ID:zGS2QmqE0

┌──────────────────┐
│                           .│
│   第二十一話『奪われし者の慟哭』    .│
│                           .│
└──────────────────┘

980 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/16(火) 22:47:17 ID:zGS2QmqE0

゙'-,;;;;;~゙''''ー、,      `'∴;;,..-'''"                i-V;;;;;;;;;|,      l;;;;;;|  /゙Y'";;;;;;
  \;;;;;;;;;;;;;;;\      `゛          i--.... ..、     ゙l、;;;;;;;;;;; !      l;;;;;.! ./ ;;;;;;;;;;;;;;;;:
: t 、\;;;;;;;;リi,;;; ! .ト、        _..-''゙ ゙゙̄'''-、L;;;;;;;;;;`''-..、   `''、;;;;;;ヽ,     l;;;;;;;.l/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
 .ヽ\.ヽ;;;;;;゙V;;;} ,!.l       ./ ;;;;;;;;;.,..-‐'''''''''''ー 、;;;;;;;;;;;;;`'x  .v、`ぃ;;;;ヽ,    . l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;n.
  .ヽ;;゙'' l'、;;;;;;;;.l /;;;.!     ./;;;;;;; /  ,..-‐''ッ  ,,、`'./ ;;;;;;;;;;ヽ, ゙'.l' li.;;;;;;;\,,   .ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.l,
!、  .ヽ;;;;;゙!コ;;;,iジ;;;;│     ,!;;;;;;/_,  .!  ー゛  .lヽ l;;;;;;;;;;;;;;;;.!  l;;";;;;;;;;;;;;;\   ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;"
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;;;;.l   l;;;;;;;;;;;;...-、、;;;; l    .|;;;;;;;;;;'!゙;./  . |ハ、,_.x、   .|;;;;;;;;;;;;;;;;│  .!;;;;;__;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`'-、,,`''-_;;;;;;;
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;;;;;; !  .!;;;;;,./ '´ `''i;;;}    .!;;;;;;;;.!  /;ヾヘ;i、;;; l  ./ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!  !;;;; l !;;;;`'''√''''ー、、;;;;;;;;;;;;;~″
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想像してみろ。
お前の大切なものを奪った者たちが、お前の人生の全てを踏み躙った人間が、
のうのうと社会に出て、地位を得て、家庭を築くその様を。
お前の幸せを奪った者どもが、幸せになる様を。

天罰を与える神などこの世にはいない。
奴らはこれから幸せな人生を送り、安寧の内に終わりを迎えるだろう。

その者たちが血を繋いでいき、お前の血が途絶える。
おかしいと思わないか? そんなことは許されないと思わないか?

ならば我が手を取れ。

今度はお前が奪う番だ。
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981 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/16(火) 22:47:32 ID:zGS2QmqE0

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982 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/16(火) 22:47:45 ID:zGS2QmqE0


    /: : /:: : : / : : :.!:: : : : !: : !: : : ヽ:: : : : : ',
   /: : /: : : 斗--、 :|: : : : :|: : | ,ィT: ',: : :ヽ : !
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   |: : |: : : : /!/ ⌒ヽ| :/ |:./⌒ヽV: |.: : : | V
  < : _: : : / 〈   ○ |/  .レ ○ } |:./ヽ: : |
  <:: |. 小{   _,,.. -    、-.,_  レ{: :.|ヽ:|        頼む! 助けてくれ!
   厶ヘ ハ         、     {ハ/ V
      \_! u      '     !
        ヽ   マ¨`ー―ァ  /
      ___,r| \ ` ー‐ ´ /
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  /::::::/::::::|  \   ´ ∧>、
/:::::::::::/::::::::|    \  /  !\::`ー- 、

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今回の依頼人は随分と若かった。
伊藤誠。年齢は19歳。市内の靴の工場で働く作業員だそうだ。
来週には妊娠させた女性との結婚が控えているらしい。

「命を狙われてるんなら警察に行ってくれよ。それとも何か、
警察の世話になるのはまずいのか?」

事務所に駆け込んできた伊藤誠を冷たくあしらおうとした喜留夫であったが、
彼が説明してきた状況を聞いて、考えを変えた。
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983 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/16(火) 22:47:57 ID:zGS2QmqE0

                   ..-‐  ¨ ≧ァオ¨_ミ:x.__
             ,ィニjァ='ィ     ⌒´辷彡ス `Y
           r:ヘ.Yツ / /   i l i ヽ  ` ヾ) i |
           トi ,ィ/ ′ i l l l | | l .ハ  ((  | !
                | jヘトN i  | | ィ7从┼l‐-i!  }` !リ
                レ′ l  Vアフ彡ィ/ j」⊥j、! イ  ハ、             聞いてて気分が悪くなってきたわ。
           /   八 くヾrjYtリ  ´ヒ:z:ノ;7 /   Y ヽi
             /   /  ヽ卜辷r" :  "" { ! ハ    ト-ミ: ____        ここで消し炭にしていい?
           √ァ’ /   トミ Ⅵ(  ‐.‐  人ヾ {  , マ≧ レ==ミ`ヽ
          /〃 /イ ャ‐ミxヾ:`へ、_ ..√てハ>"{  ヽノノ     ヽ\    「まあ待て」
       人{/ /  }   }rリ)  r' `’ ) _/   `ヽУく       )/
  .-一=彡 ハ /r‐ "  ,ィ Yヽ辷彡= _厂Y `う     レ/ \   ー=彡
ィ´   ̄   /ヾく  |  =彡  リ_ / > < 1| {:_  /イ\  丶
 /   /  /\-ィ    「ぇ≧z\_/ィミУ { 〃´  /ヽ   \
/    〃   ′  Y      | " ヾ ̄  ̄ /_  }.:′   /   }     ヽ
    .ィ   i {   Lk、   !         ¨_ノ /=ミ    〉/⌒ヾ    ハ
 / {     ヾ:、  r'¨ ` rァヘ:、   ヽ  しぅ〃 : ヾ ∧     }l   /
く  八     ヽ/   /ソi } ` :.、  }  ソイ}    }  i   〃 /
 ハ   ヽ   r='=<r彡八V_ ==≧<ア/ ¨{/    ト、  v/イ 八

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最近、この男の知り合いで不審死が相次いでいるのだという。
それがどうも高校生の頃つるんでいた連中らしく、その中でも
とある事件に関わった者だけが死んでいるらしいのだ。

その事件というのが、強姦である。

高校生時代、いじめていた女子高生にパシリ、暴力、犯罪の強要、
その他諸々の一通りのいじめを行い、飽きが来たので性的暴力に及び
それを録画したところ、いじめられていた女子高生が自殺してしまったと
いうものだ。

結局高校側はいじめを認めず、事件はなあなあにされて幕を閉じたらしい。

その時の実行犯が、伊藤誠達だというのだ。

彼らはその後普通に社会に出たり、大学に通っていたのだが、
突如として相次いで死んでいき、一人だけ一命をとりとめた者が、
化け物がいじめられていた女子高生の名を呟きながら襲ってきた、と
言っていたようだ。
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984 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/16(火) 22:48:18 ID:zGS2QmqE0

       ____
     /     \
   /         \
  /     (ー) (ー)\
  |    (トェェェェェェェェイ) |
  \    \ェェェェェ//

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恐らく、そのいじめられていた女子高生の近縁の者の仕業だろう。
復讐だ。

「ちくしょう、なんだってんだよなあ。あいつが勝手に死んだのに、
誰かが俺のせいにして、化け物を仕向けてきてるなんてよ」

伊藤誠がそう口にした時、自分の中で何かが切れる音がした。
気が付いた時には伊藤誠の襟首を掴んでいた。

「勝手に死んだ? 寝惚けたこと言うんじゃねえ。
死にたい奴なんていうのはな、この世のどこにもいやしねえ。
自殺する奴ってのは、死ぬしかなかったんだよ。生きられなくて、どうしようもなくて、
死ぬしかなかった人間なんだ。死にたくて死んだ奴なんているもんか。
誰だって死にたくなんかねえ。お前らが、死ぬしか選択肢がなくなるまで
追い詰めたんだ。生きるって選択肢を、未来を奪ったんだ」
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985 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/16(火) 22:48:29 ID:zGS2QmqE0

       ____
     /      \
   /         \
  /        (●) \     ……まあいい。
  |       (トェェェェェェェェ
  \      \ェェェェ ,      どうせその化け物を倒して死体を上げてこいってんだろ。二百万で受けよう。
  /           <





         ,. -‐           `ヽ、 ___
         //´              f^jr= K.
      / /  ,              __,{くリニリ_ノ
.      / / , イ             {{"  レ'T,ハ
     / / / /  i i l ヽ.         ' j i  l }
      ' ,' , ,' / |i l i l l ヽ. i    i   //l l  l l
    l i il ! l  l , l ,.斗l‐l‐‐l、 i l l  l //l l l  lリ
    | l斗l-ト、メ. li l、l_l__l__Ni l l l  j// l l l  リ        ちょっと、まさか受ける気?
    | i l l⊥ムヽlヽト ィ弋ッツフl l l j/,ィヽ. l l l  |
     乂Nメ'::::;; ::} ヽ  ` ̄´ l/!〃 rチ}l l l  |         「考えがある。まあ任せとけ。」
       ヾr‐ '´,        /'  _,.イ lV !  !
        '、           , ヘl__ll__//l lハ
          \  ^^       / __V//,i| l 小.
          |iヽ、  _,.  ' _,rく| ∨/Nハ lハ
          |l ! l`Tl | >v'てノ { ! / ∧| ト┼l--ヽ.
          |小l _,レ l斗} 八_ jイてlハ/| l  い   \
         _,斗j 「 l l//_{ / L_l/´l l  ヽ.ヽ
        /   i j ,ム斗r{ V{_〉〉/ト{ , 'い   ヽ \
          {  .//'Zて`ソ小r┘_// l/  ヽヽ
      r‐トr‐/ん'て } i { ┤l7/{__ノヽ、_  ヽ\ /

986 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/16(火) 22:48:44 ID:zGS2QmqE0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                         └──────┘


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                             ┌─┐
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                             └─┘


                               ┌┐
                               └┘


                                   □

                               ・

987 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/16(火) 22:49:02 ID:zGS2QmqE0

         r─┬vイ彡'´     ̄`  ̄ ≧、_イ ミi
         |{ 人/            レイ彡Yユ ヾフ
       , ィイ >              ト、- フ /ノ  ハ
     /  ) レ       i  / ハ    ト≦ニ''` i   ハ
     i  廴/  /  i   il  / .ハ   i   )ノ  il  / ヘ
    /  / イ /i   il  il  il  i ハ  il  i   / ./   ∧
    i  ./ /i i i .il.  il   il  il  il/ V il  il .:/ ./    ハ
    l  / イ il il il.  il  il  il  il  .V il  il .イ イ i   i i
    |  i .|ィ il ilハ   il  il  il  il_ _i il ソ i  .i il  .il |
    |  | ハ .il il  -ナ ハ il ハil ノ _.l 升 il  l  .l /   . il |
    |  レ人 .il ilr─v彡ミV.i ハ/  ゞ7行≦、./|  .|    il .|           私は嫌よ。あんなクズのために命を張って戦うなんて。
    |  i i  il iト- 、ニヾ Y     Y:::....::タ.イ il  .|    il .ヘ
    |    ヽ  { rK炉y } ノ     ゞ=ij / 人 .|    i  iム
    |  ハ  ハ ゞッミ≧/イ 、        / /il il .|  i      ',
   人    i  \ ゝテ' ´         イ イ .il il .|  il   ハ ヽ
  /    /     ハ    ー -   ,_| | .il il ト ゝ il  イ i   )
  {   / / イ   ./  >、       | イ/イ 人升フ⌒ヽ ,'  | 、 _',
  /  ./ /  il   /  人   > _ ィ }// il  Ⅶ  /  il     ハ
. /  ./ /  イi   イ /   ̄||  | ̄ゝイ  /  r=-''ハ   人 | 、 _ ヽ
'´ / ノ / ilイ  /   { ̄_.ノ  ./   /  イ   |   il .     \
   / / / il /      ̄\ i  /   ハ  ( ⌒ヽ フ入 i  |  ヽ _ _ヽ
. /  / / ./ /         )|  {   { }  |   |-─Y  . ヽ _ _   \

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「僕もやだ」

「俺もごめんだね」

「我も反対だな」

「私、あの人嫌い」

伊藤誠が帰った後、談話室の隣で控えてきた仲魔たちが一斉に出てきて、
今回の依頼の受託に猛反対してきた。

「なに、俺だってまともにやる気はないさ。
被害者の子の親あたりに簀巻きにして突き出してやるよ。
報酬だけは頂いていくがね」

「あら、あくどい」

「生き物には権利ってもんがある。ひどいことをされりゃ怒る権利がある。
でもな、そういう権利を自分から放棄した奴もいる。
何をされても文句を言えないような奴もいる。ああいうのだ」
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988 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/16(火) 22:49:20 ID:zGS2QmqE0

     /: : /:: : : / : : :.!:: : : : !: : !: : : ヽ:: : : : : ',
   /: : /: : : 斗--、 :|: : : : :|: : | ,ィT: ',: : :ヽ : !
   |: : |: : : : : |: /  \: : /|:.ィ: :ヽ: : :.|.: : : ト、:|
   |: : |: : : : /!/ ⌒ヽ| :/ |:./⌒ヽV: |.: : : | V
  < : _: : : / 〈 {}   |/  .レ {}  } |:./ヽ: : |
  <:: |. 小{   _,,.. -    、-.,_  レ{: :.|ヽ:|
   厶ヘ ハ         、     {ハ/ V      おっ、護衛についてくれんのか?
      \_!        '     !
        ヽ    'ー―--   /          「ああ、あんたの周りを張ってりゃ、その化け物も出てくんだろ」
      ___,r| \       /
    /:/::::| \  ヽ  _  ィ´
  /::::::/::::::|  \   ´ ∧>、
/:::::::::::/::::::::|    \  /  !\::`ー- 、

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早速、伊藤誠に渡された住所に向かう。
築五十年はくだらない、古くて小さなアパートだった。

インターホンを押すと、若くて可愛らしい顔をした女性が出てきた。
同い年の婚約者だろう。

中に迎え入れられ、伊藤誠と対談する。

「とりあえず、その高校まで一緒に行ってくれないか?」

「なんでだよ」

「化け物を誘い出すためだ。あんたには傷一つさせやしない」

「まじかよ……まあ、指示には従うって言ったしなあ……
しゃあねえ、報酬分の働きはしてくれよ?」

その金にしても、婚約者の親から借りた金だというのだからしょうもないものだが。
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989 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/16(火) 22:49:35 ID:zGS2QmqE0

.  ,′.:::::::;;;;!'    i  i l!| ハ_       i__    i  ゚.  ‘,:::;;;;;;;;;;;;; |
  i! .:::::::;;;;;,′  /!i ルィ´! ゚.`       、 l i``ヽ. ! i i  ゚:::;;;;;;;;;;;;;;┃
 ┃::::::;;;;;;;! ,' ,  i jィ´!,'ハ .! ヽ.、     ヾト.、   `ト、! l  .!:;;;;;;;;;;;;;;┃
 ┃:::::;;;;;;;l i ! ,l' !i .!{ ゚. !  ヾ.、     ! ヾ、  l! iヽi i |:;;;;;;;;;;;;;;┃
 ┃:::::;;;;;;;! ! レ i !l l !-‐マ、   ヾ、  -‐l―ヾ、  i! ! lト、l ,!:;;;;;;;;;;;;;┃
 ┃:::::;;;;;;;! ! | ! l!彡==ミ、   ヽ\  ,テ==ミ、ハ! リ ,゙゚/|:;;;;;;;;;;;;;┃       喜留夫。
 ┃::::;;;;;;;;l l i ゙、 !,ィ/ ,イ⌒ヽ     ` `ヽ! f⌒ヽ. ヾ:、! , ,' .|:;;;;;;;;;;;;;┃
 ┃:::;;;;;;;;ハ ! ! 〈;;{  {_:::o。::l!         l!::o:::::゙, };;〉,'i ,l:;;;;;;;;;;;;;|       「なんだ?」
 ┃:::;;;;;;;;::゚. 、ヾ ミト` マ:::::゚::c            r'::::゚::c' イ'〃,' /j:;;;;;;;;;;;;;八
  | :::;;;;;;;;::;;;i. .、 ヾトヽ `ー″          `ー ″/イ'i/ 〃|:;;;;;;;;;;;;;;;;ム       なんか、もやもやする……
 ノ.:::;;;;;;;;::;;;;!ト. i、ヾ\         ,       イ,' 〃 {il!.!:;;;;;;;;;;;;;;;;;ム
イ.::::;;;;;;;;:::;;;;;!jム iヾ、\ミ .       _      .′リ {! lハ !;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ム
:::::::;;;;;;;::::;;;;/∧ヾト、ヽトヽ >. ..    . .イ   |l! l! 〃ヾ};;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ム
::::::;;;;;;;:::;;;;,':::;;;;ヾ|!ヾ. l!i`\  ゙> . エ . <´    |l! |! ll/;;;‘,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ム

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陽が沈んだばかりの夜、彼の出身校に向かう。
伊藤誠の周囲を自分と仲魔たちで固め、歩いていた。
車で向かったのでは迎撃の際に不意を突かれる可能性が高いからだ。

とは言っても、復讐の代行人である悪魔を倒す以上のことはする気はない。
名前や当時の連絡網などは聞き出してある。
事が済んだら、適当に縛り上げて親に突き出してやるつもりだった。
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990 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/16(火) 22:49:46 ID:zGS2QmqE0

      ∧ /// ィ、////////ヽ\ヽ | ///// 7辷、_j辷、  }` ー 、
      ///ー‐ ///\////_/ /{  ∨| ///// / {ト、辷、 ー辷、  |
     .///////。'///// ̄イ{'//八  l|///// /:::ノ |:::\ \¨ 辷、辷、
    //////。 '//////////|//〇ヽ l|//////::::\‘,*`¨¨¨¨¨ 7:::::
  _////_/////////{//{/∧__r―l| //////   _\) ガ  /ヽ:::
  {ー‐ ´/}/\//////,'//|:|///ハ///} /////:::.  | \* チ /∧ V/
  |/////'////ー‐ _, '../ {!|/,'//∧_ノ ////:::::::\| 川`¨¨  ////ゝ\
  }////'//////.//// |}/|///////// /  ト、 \|l| ガ  ///////
.  {///{'/////////  /´ |/////////{::::.. *:: ー}ll チ ./ / '/////
  Ⅵ/}////.//// ,   _,//////////| .::\}\   l!  ./ / '//////
   }/|/////// /  //////`¨¨¨¨/! | ̄ \ヾ  l!../ / '////////
   ∨ <///-_ノ' /{////////,>'´/八 :!: ::`:ー || |l/ l l l|////////
    ´ ̄}///////`ヽ//// ' _=== _V: : : :  |l_ |{ l l l{////////
     j/´///lllll}///}l|//  < |::. ̄ 、       Ⅶ!{ l l l|////////
     /// 〃//∨///|lレ'´//厂 ̄`::::.  \ ___j l| \  \//////
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   ///'/////人'´////厂>: :::::::::|\ lll}   ./\\\\     `
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   ル      ・ ∴.l|  ∨:/ヾl{ // { l`¨ヽ\\\\\\\\
     ロ       . < ::|\ jl|./  !  !∧  ト、\\\\\\\\
       ロ  ・       ヾ:| ´//ヽ |  |{ ヽ |  \\\\\\\\
         ロ。。     V///{  ∨//八  ヾ.   ヽ\\\\\\
【邪鬼??? Lv60】

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閑静な住宅街を歩いていると、前方から巨大な影が見えた。

あらかじめ拳銃に取り付けておいたフラッシュライトでそれを照らすと、
闇に溶け込むかのような漆黒の鎧を身に纏った巨漢がそこにいた。
刺々しい鎧は生物のように胎動しており、手には身の丈を超えるほど、
恐らく二メートルはくだらない大剣を持っていた。

「ひっ……本当に出やがった!」

「後ろに向かって走れ! こいつは俺らがなんとかする!」

COMPのデビルアナライズを起動するが、ライブラリにない悪魔だった。
レベルから見て高位の悪魔だが、対処できないほどではない。

ヴリトラとヨシツネを前衛に、自分とセラフを中央からの援護、
メイヴとパイモンを補助に回す態勢を取る。
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991 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/16(火) 22:49:57 ID:zGS2QmqE0

                          _...... --―:::;^;;、,,,,,,,,,,,,..,,,,、           !l
                     /;| __.,.イ::::: : : : : . .._...^~゙ ̄ ̄ ̄~`r‐-、       .|;;l,
     \   /l        l.;;;/::::;;/:::::::::::: ,.. ''"゛::::::: :   ::::::: ::::::~ヽ;~ヽ、、     !;;:|
       iヽ / .!       /::;;!:::;/:::::_/´ :::::::::: :: ::: :: :  :::::: :::::::::ヽ;;;;:;;`>、_  .ノ;;;:!
      J ゙゛ .!ノ/     /:::::;;lノ-‐"  ._,, -‐''''''''''''''〜 ..,,,_:::: ::::::::\;;:;;;!``ヽ,/;;;;::|
      _ノ    ,,ゝ    /,ー;;;;'ヽ~ ̄ ̄;;;;:;;:;:_,.. ;;;;-ー''''''''`'''ー-,,,_゙゙'''―->;l::;;;:;:/;;;;;::::}
      ゝ   .!_____ヽ;;二,/;;;:;;; -ー''''";;;;;_;;_;:__: :: :::: ::;:;;;;_,,`=-‐/;;;:;ゝ;;/;;;;;;:::::|
      "~'j  l". !'、;:;;;-=≡,,二三三ミ三三≡==="     --'"=- __l;;;:;:/;;;/;;;;;;:::::::lヽ
         `l/'!/  .l;;;\ヽ:;;;;:; ̄;;;:;:;''ー- .,,__'"'" ゙゙̄~`''''''''''""゛;; ;;;;:;;;;:;;(;;;;;;(;;;/;;;;;;;;;:::::::!;l      お…………おおおおお…………
        ,!     l;;;;;;ヽ,\.;;、;;:;:;;.、;:;;;;;;:;;;;:;:; ̄;;'''''―--- ,,,,,,,,__   ヽ;;;(ノ;;;;;;;;::::::::::!;;|
               ! 、;;;;;)/::::::l\ |;;:ヽ、:: /;;;;:;;;;:;ー、:;;;;;:;;;;:;:;:;:;;;;;:;;;;:`''ヽ,,,_.. . .. ..:: :::::::!/      あの男の……あの男の匂いがする……!
               ノ;;|\|;;;;;、:::::i'ヽ゛ヽノ::`v":: :::\ .i::\:::;:;:;;;;;;:;;;:,:;;;:;:;:;;;:;;;:`゙'''--─―-`ゝ
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すると、なぜか悪魔は前衛のヨシツネたちを無視して跳躍し、
喜留夫目がけて斬りかかってきた。

振り下ろされた鉄塊を横っ飛びで交わす。
地面が揺れ、抉られ、消し飛んだ。まともに受けていれば即死は免れない。

「おい! 話は通じるのか!」

「あああ…………お前も、お前も、お前も! 全員殺す! 皆殺す!
お前たちが娘を殺したように、私がお前たちを殺す!」

「娘……!?」

そこで、喜留夫の予想は想定していた中でも最悪のものに行きついた。
化生だ。恐らく父親が、強い怒りや恨みから悪魔に目をつけられ、
融合させられたものだ。それなら、ライブラリに登録されてないのも頷ける。
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992 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/16(火) 22:52:25 ID:zGS2QmqE0

                        ト       / ̄\
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ヴリトラとヨシツネが斬りかかるが、押し切れずに弾き返される。
怨念によって強化されているのか、レベル以上の強さを持っていた。

「セラフはそのまま待機! 攻撃が来たら受け止めろ! パイモンは補助、
メイヴは魔法で援護!」

銃を構えながら指示を出す。この距離でセラフが攻撃を仕掛けたら、
ヨシツネとヴリトラを巻き込んでしまう。ここは後衛の防御に回すのが正解だ。

引き金を引き、発砲する。
狙いは足の関節だ。装甲が集中している胸や頭に撃っても効果が薄いと踏んでの
射撃だった。だが、それすらも弾かれた。ただの弾丸ではない、呪術師が
払魔の呪文を刻んだ特別製の弾丸であるにもかかわらず、だ。
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993 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/16(火) 22:52:39 ID:zGS2QmqE0

                                                xィ≦ニニ>
                              ハ /| ./| 、             ≦ニニ>
                         ト、_l v ∨ ∨|ハ从从     <ニニニ>
                    ト、__,..:〉        / }ィ_<ニニニ>
                       ト、〉        Ⅳ     /イ   }>               ____
                      > _  -==ミ l|. ヽ      く  ./             /      ヽ
                   /⌒イ  ヽ    ___ト从ィ  .vト′.__  __       ./        l
                ,..-彡ミ`ヽ 、__>=   }从ヘ   ノ< .У____>.、  /        ,ィハ
                   ィ{ ' ._ヽ〉 ,ィヽミ‐ ィ , l /}ヽ〉 .トУx<二三三三二>>.、      〃//}
           ,..:≦二_人__,>〉, .//,/=彡イ,ィl  /ヽ />‐≠'´  ̄ `ヽ¨<二ニ.\>ミ、 /////       許せとは言わねえ。
        ≦二二>     /ハ{l/ィ弋tッメイ/ 从ノ.'-‐'´     ::::::::::::::::::∨ `ヽ二ニ\トz彡彡'′
    ≦二二>         ,ィT7 .7¨¨¨¨¨¨¨´................        ..:::::::::::::/    .∨////\           恨んでくれ……!
                   ./.l ;  ;   ハ/   .,             .イ、      ∨/////,\_
                .__ 〈 | ';..::';..:/冫___∠二ニ......_____,...:<////>、    ∨///////
            〃::::::::.ヽ`弋__Zミト‐'‐'〈///∧.{'/  〃}!.ヽ ∨///////////>x、._\'////;′
             /.:::::::::::::::::.\   /⌒ヽ\'//,У / / ヽ \'<'//////\//∧∨//////ノ
            ./.:::::::::::::::::::::::ハ_ /l / ,' l .Yィ≧,' .,.′//  .丶 >ミ>r=≠ミ≧zzz>'′
             :::::::::::::::::::::::::_:〉l 乂 .l.弋.}>'´././   く_....ィ / ̄
               >< ̄  .ハ  ><彡イ             .イ
                     >< .人./  ./     ,..    /ハ   .ヽ,  ><:::::::::>..、:::::::∧>
                   ∨ ハ._/         ./   ./.::::∧  ィハ<彡'⌒ \、::::::::..>、::/
                     ヽ.l彡l ヘー<__,∠......:<.∨.:::∧//< ̄ ̄   ._\::::::::::::::.\

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メイヴの電撃が命中し、パイモンの補助がかかり加速したヨシツネとヴリトラが
高速で斬撃を叩き込む。

次第に悪魔の動きが鈍り始めていた。
ダメージはあるようだ。だが、それを認識していないらしく、狂気じみた
唸り声を上げながら大剣を振り回し、ヨシツネを弾き飛ばした。

「ヴリトラ、一旦離れろ! セラフ、一発叩き込め!」
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994 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/16(火) 22:52:53 ID:zGS2QmqE0

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              V///K :l : : | ∧ハ : : : i:だ二Ⅵ、 l: V'/rヾ、 \/ ヽ    > ⌒ <
                    V//,l : l: ,ィ!:たニⅣ /´不:艾:トリ: :|'/,| },\/ /   / )          ごめんなさい……。
                    V/ハ: : l:ヽK艾ヌ`∨  ゙う_ソ ´l : |'/,| l/// / / /
                    V/ハ: : l:《.ヾぅ゜},  、     l: : |'/,| V/  レ / __
                 ト/∧: :ゞミ `¨´   , 、    ノ: : j//        `´ _ ノ
                   И//Ⅵ: : ヽ      `´  イr-- ′‐- 、     ハヽ
                 |////}:ヾ辷ー≧: :r - イ///:`:ーr x   ヽ   ./'}l >  __, <
                 |////|: : :ⅥV: : >ー巛‐''´l :/ :// ,ヽ-    ノ //ト、
                ,'////,l: : : :V:レチ   }l}  l: l|: :| /{ l、    ///{∧ミ  _  彡
                 //////|: : : : }八ヽ , r:王:ミ|: |l: :|'//∧辷  イ///{/∧

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
セラフの手に炎が宿る。燃え盛るそれを投げつけ、地面に着くと、
巨大な火柱となって悪魔を飲み込んだ。

「おお……おおおおおおお!!!!」

悪魔が叫ぶ。その声は獣の慟哭のようにも、子を奪われた親の嘆きにも聞こえた。

「すまん……俺たちには……こうすることしかできない……」

セラフの炎によってついに倒れた悪魔の死体を確認しようと、フラッシュライトを
当てる。

そこには、どこにでもいるような、普通の中年男性の死体があるだけだった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

995 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/16(火) 22:53:04 ID:zGS2QmqE0

                 /////    , .-: :‐:-: :-.<//∧     /     /
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                    V/ハ: : l:ヽK艾ヌ`∨  ゙う_ソ ´l : |'/,| l/// / / /
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セラフの手に炎が宿る。燃え盛るそれを投げつけ、地面に着くと、
巨大な火柱となって悪魔を飲み込んだ。

「おお……おおおおおおお!!!!」

悪魔が叫ぶ。その声は獣の慟哭のようにも、子を奪われた親の嘆きにも聞こえた。

「すまん……俺たちには……こうすることしかできない……」

セラフの炎によってついに倒れた悪魔の死体を確認しようと、フラッシュライトを
当てる。

そこには、どこにでもいるような、普通の中年男性の死体があるだけだった。
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996 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/16(火) 22:53:15 ID:zGS2QmqE0

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                                   □

                               ・

997 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/16(火) 22:53:30 ID:zGS2QmqE0

              _,,,..-.ー.─.-.-....、._
         二ヽ,,..::"::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`:..、
       /::::::::``:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
      /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\::::::::::::ヽ
      /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ:::::::::::ヾ:::::\:::::::::',
     /:::::::::::::::i:::::i!::::::::::::::::ヾ:::::,,∠,、_:::::\::::\:::::',
     i::::::::::::::::!:::::i i:::::::::l::::::::イ\\\:::::::::\:::\::',
     l:::::::i::::::::!::::i,,ゞ;::::::::i:::::::::l  >≧r、\::::::ヾ\_::>        『みなさん、お集まりいただいてありがとうございます!』
     l::::::i!:::i::::l;/i ._,,\::::!、::::::l   辻ヾ〉 \:::ヾ)::::>
     i:::::ハ::::|::::l:::i〈`(ヘ\! \:',   ゞ-′  ラ∨/"´
       l:::i l:::|::::lヾ、 弋i;) ヽ  \      ┌::ソノ
      ∨ l::::l::::l:::\ "           ヘ::::/
         \|\!\  ′          ∨
          ヾ ヾ 、    ー ´   ,   ゝ、
              `  、      , ′  /  \_
                  ` ー <  /´    /::::: ̄`ー-
                   _ノ´∧_∧    /::::::::::::::::::::::
              :::::´ ̄/ /〈::ヾ∧    /:::::::::::::::::::::
              :::::::/  / ノ::::〈 ヽ  /::::::::::::::::::::

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結婚式は洋式だった。
式に招かれた喜留夫たちは、似合わない正装を身に纏い、着席していた。
訂正すると、メイヴとセラフのドレスはとても似合っていた。

挨拶から始まり、新郎新婦の馴れ初めをイメージビデオにしたものを流す。
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998 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/16(火) 22:53:45 ID:zGS2QmqE0

i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i{i:i7⌒iV: : : : : : : : : : : : : : : :ミ*、
i:i:i:i:i:i:i:i:/^7i:Vi:i:iv: : : : : : : : : : : : : : : : : : :>x
i:i:i:i:i:/: : : }i{i:i}i:i:i:i}./: : : : : :  :": : : : : : : : : : : ㍉
i:i:/: : : :.../i:ivi:i:i/: : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : ヽ:
: : : : : : : /i:i:i}iV'′: : : : :./: : : : : : : : : : : : : : : : : : V
: : : : : : /i:i:i:ノ'′: : : : :/: : : : : :./: : : : : : : : : : : :::v
: : : : : /i:i/: : : : : : .: : : : : : :../: : : : : : :>: : : : : : : .}
: : : : /i:〃: : : : : :.〃: : : : : / . :::/: : :ィ: : : : : : : : /
 : : :{i/: イ: : : : //: : : : /㍉、/: : , ' }: : : : : : : ,: :
 :..:../〃:,′: : //: :トzzzx / ヽ.. '′ ,: : : : :.:..:./
:..:.:./ノV,′: :.//: : :{i´/iィ斧x.    v /: : : : :..:./: :,: :
: : : : ://: : : : /: : : :{i/f7しヘ/^vヽ ∨: : :. :.:.:./: :/}: :
: : : : :.:i: : :..:./.イ : : ` 乂.ツ′ }  /:イ: : : : .イ==ミ: :          喜留夫、言われた通りすり替えといたよ!
: : : : :..{: : :./: ノ: : : : {  ”''¬   イ i/: : :/:/  冫:
: : : : :..{: :./: /: : : :.:.N       /:.: ィf斧7ミ、./: :/
: : : : :..{ : { /: : : : :...{      /    /fツi/ .'′:./:
: : : : :..{ : v{: : : : : :..{ ,.ヘ       { ”ー /: :..::/: :
: : : : :..{..V xくx≦“イi:i:i:i:i:i:..、    .′.=彡: : :/: /:
: : : : :::{ ̄ /  / Vi:i:i:i:i:i:i冫      /:.イ: }: /: :
: : : : :..{\′ ∠: : {_.‘''ー=         .イ: : :}:/: ′: :
: : : : : : : : \ x< ト、   ___ ...   匕:...}:...:.:}/:}: : : :
: : : : : : : : : :..\__` ”  //{ /}...:.:.}: /: :..:}: : :
: : : : : : : : : : : : : : : : : 三“≧x.. .{,′v: :}: : : : :...}: : :

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スクリーンに映し出されたのは、イメージビデオなどではない。
喜留夫達が仕込んでおいた、伊藤誠たちによる女性への凌辱だった。

血と痣にまみれた裸の女性に、同じく裸の伊藤誠が下卑た笑いを浮かべながら
圧し掛かっている姿がありありと映し出されている。

裏ビデオとして東京の歌舞伎町で出回っていたビデオを見つけ出し、
イメージビデオとすり替えておいたのだ。
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999 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/16(火) 22:54:11 ID:zGS2QmqE0

         r─┬vイ彡'´     ̄`  ̄ ≧、_イ ミi
         |{ 人/            レイ彡Yユ ヾフ
       , ィイ >              ト、- フ /ノ  ハ
     /  ) レ       i  / ハ    ト≦ニ''` i   ハ
     i  廴/  /  i   il  / .ハ   i   )ノ  il  / ヘ
    /  / イ /i   il  il  il  i ハ  il  i   / ./   ∧
    i  ./ /i i i .il.  il   il  il  il/ V il  il .:/ ./    ハ
    l  / イ il il il.  il  il  il  il  .V il  il .イ イ i   i i
    |  i .|ィ il ilハ   il  il  il  il_ _i il ソ i  .i il  .il |
    |  | ハ .il il  -ナ ハ il ハil ノ _.l 升 il  l  .l /   . il |         自業自得、ね。
    |  レ人 .il ilr─v彡ミV.i ハ/  ゞ7行≦、./|  .|    il .|
    |  i i  il iト- 、ニヾ Y     Y:::....::タ.イ il  .|    il .ヘ
    |    ヽ  { rK炉y } ノ     ゞ=ij / 人 .|    i  iム
    |  ハ  ハ ゞッミ≧/イ 、        / /il il .|  i      ',
   人    i  \ ゝテ' ´         イ イ .il il .|  il   ハ ヽ
  /    /     ハ    ー -   ,_| | .il il ト ゝ il  イ i   )
  {   / / イ   ./  >、       | イ/イ 人升フ⌒ヽ ,'  | 、 _',
  /  ./ /  il   /  人   > _ ィ }// il  Ⅶ  /  il     ハ
. /  ./ /  イi   イ /   ̄||  | ̄ゝイ  /  r=-''ハ   人 | 、 _ ヽ
'´ / ノ / ilイ  /   { ̄_.ノ  ./   /  イ   |   il .     \
   / / / il /      ̄\ i  /   ハ  ( ⌒ヽ フ入 i  |  ヽ _ _ヽ
. /  / / ./ /         )|  {   { }  |   |-─Y  . ヽ _ _   \

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式場は大混乱に陥った。

恐らく、結婚の話も破綻になるだろう。この後ビデオを警察に届ければ、
伊藤誠も今までどおりの生活は送れまい。塀の中で臭い飯を食ってもらおう。

「誰もが誰かを傷つけながら生きている。誰も傷つけずに生きられる人間なんて
この世にはいやしねえ。けどな、あいつらはやりすぎたんだ。
大抵、そういう奴らは何の罰も受けずに幸せになる。
だからよ、こいつくらいは地獄に叩き落としといてやらねえとな」

これで少しは、あの父親も浮かばれるだろうか。
やりきれない思いを残したまま、喜留夫達は混沌とする式場を後にした。
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1000 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/16(火) 22:54:27 ID:zGS2QmqE0

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                                              〜また次回〜

1001名無し-Red-市民-2:2018/10/17(水) 08:11:52 ID:UXv/jsfs0
次も楽しみにしてます

1002名無し-Red-市民-2:2018/10/17(水) 14:16:06 ID:rDBRaxR20
乙でした。
まあ、そうなるな……

1003 ◆x0SRSoJXe.:2018/10/29(月) 18:53:56 ID:Nwij.ZAY0
ハロー。最近激動の日々を過ごしている>>1だ。まあ、大抵いつも激動だがね。

ゴブリンスレイヤーってアニメがやってるね。>>1、凌辱を裏で匂わすくらいはまだできるんだけど、

直接描写するのは苦手なのよね。女の子があまりにも不幸すぎる話じゃ絵とか関係なく抜けないのよね。コリコリ

チミたちはどう? 凌辱好き? とまあ、こんな感じで第二十二話執筆中だ。

久々に濡れ場でも書こうかね。メイヴ以外の。

1004名無し-Red-市民-2:2018/10/29(月) 19:09:47 ID:irliyNYw0
陵辱は苦手とかじゃなく無理
必要な描写ならまだ我慢できるけどれがストーリー上必要なことってほとんどないし

1005名無し-Red-市民-2:2018/10/30(火) 01:18:27 ID:eNtPB6Ck0
そもそも見てない…

1006 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/12(月) 01:06:54 ID:8wzbBaRA0
ハロー。書き上がったよ。というわけで今日の……そうだね、休日なので昼の二時から投下しよう。

あ、その次はぼちぼち最終回だ。よろしくね。

1007 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/12(月) 15:34:00 ID:8wzbBaRA0
ハロー。今起床した>>1だ。

ぼちぼち始めてくよ。誰かいるかい?

1008 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/12(月) 15:34:43 ID:8wzbBaRA0

┌─────────────────┐
│                         .│
│   第二十二話『それぞれの日常』   │
│                         .│
└─────────────────┘

1009 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/12(月) 15:34:54 ID:8wzbBaRA0


              ____
            /      \     ( カチャ カチャ カチャ … )
           /          \
         /    (●)  (●) \    /     }ー┐           r┐   \
         |    (トェェェェェェェイ)  |.    {     ノヽ / __  ヽ  /  |/    }
         \    \ェェェェェ/.,/.    \ ツ   /         、_/   O    /
     , -‐  ´   !           ! ` ー-、
    /  __   ∧       |    ∧
.    〃 ,. --ミヽ /∧         i   |/ハ
   ji/    ̄`//, ..__、〃    ,   ___!__j_______
.   {{      '/   // '‐-、  ′ | i´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `i
   レ, /        ,        ∨   | |                 |
   //7//―ァ/‐/7/ ̄{     iっ  | |   ┌―――┐    |
      /!   〃  //  (' //} i |   | |   |┌―― 、|    |
.      |     〃      ̄ jノイ   | |   |::l::i::::::::::::::|    |
.       |      、__ノ{__,.イ   ,  | |   |_j::l::::::::::::::|    |
     |        )     レ/____ー‐――┤:::::::::: |――┘
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄〔丁 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ::::::::::::| ̄ ̄ ̄ ̄
             ` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄{二二二二l____|二二}

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キーボードを叩きながらメイヴが淹れてくれた砂糖とミルク入りのコーヒーを啜る。

とはいえ、やっていることは犯罪行為なのだが。
難しいことではない。
この前のお礼とは名ばかりの文句を言いにメシア教に行ったついでに、
パイモンに幹部の自室のパソコンに顔も見えないハッカーから買った
クラッキングプログラムが入ったUSBメモリを突っ込ませたのだ。

メシアサマナーの名簿や民間施設に偽装した研究所や火器保管庫などの
情報を漁りながら、何か機密プロジェクトなどがないか探してみる。

「プロジェクト・ノア……?」

その中で、不思議な名前を見つけた。
ノア。聖書におけるノアの箱舟の、あのノアだろうか。

開こうとするが、「このファイルは管理者権限により最高機密にカテゴライズ
されています。許可のない職員及び幹部がアクセスしようとした場合、
ただちに現在地を周囲のメシア教支部に発信し、あなたの粛清指令が
出ることになるプログラムが封入されています。上記を踏まえたうえで
開封してください」

と出た。流石にここまで脅されて、そんなリスクを冒してまでファイルを開く気には
なれない。

自分にはメシア教を潰すだけの力はない。
できても、そのきな臭いプロジェクトの妨害くらいだ。

分かっているのは、機密プロジェクトが存在し、おそらく進行していること。
それはセラフやアダムの誕生にも関わっているだろう。

そして、それが自分たちの世界を脅かすものならば。
自分はそれを妨害せねばなるまい。
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1010 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/12(月) 15:35:04 ID:8wzbBaRA0

      / ̄ ̄ ̄\
    /       .\
   /  (○)  (○)  \
   |  \(トェェェェイ) /  |
   \_ |.ヽェェェ/ | _/
    /        |
   (_)| ・    ・ ||
   l⌒ヽΞ   Ξ/| |
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熱は段々と上がっていった。
布団の中で寝転がっていると、ヨシツネやパイモンが心配して見に来てくれた。
とはいっても何をしてくれるわけでもなく、「俺のアイスやるよ」
「僕のもあげるー」とアイスを二つ置いて行ったくらいだった。

ヴリトラは来てみたはいいものの、何をすればいいか分からない様子で
困った目をしていたので、気にしないでみんなと一緒にゲームでもしてろと
部屋から出した。
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1011 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/12(月) 15:35:24 ID:8wzbBaRA0

〜一方その頃〜

        _ノV^V                  _/ Vハ \
      {レ^Lハ  {      :| i      }Lく{」 }   }
      ∧_」タ〈.  |  |   :| l: ||| l {{广 ̄´   ,|
      i  |∧}     |_,  | l: ||| | 》 }     /」
      l  |  l、  !  ! {(」, | l: ||| || |i   / /}
      l  |  l))  |  lV/'{  | l: ||¦ || |i  ./ //|
      |  |  l{、 |  |《、 |  | |__」⊥⊥_LL..|i / ///|
      |  |  ト{\f〜こヾ|  | | ,斗汽メV  }}/ ///i|       は、はあ!? お粥!? キュケオーン!?
      |  |  l | {」〈T }〉}     {゚{::::} } 》 〃 ///l | |
      |  |  l | く\二ソ′ }  , ,`,冖^/イ/ ///l | | |        それくらいできるわよ! 女王舐めないでよ!
      | ⌒ヽ.l | 《 ̄´          u // ///l_l_| | |
      |    }|」_ |ヽ、  ー===ァ   // //〃  `ヾ  は
     は   ┬〃   |  ` .._ ` ̄i〔 _ イイ.// {{      }} ぁ
      ぁ    | {    }}√三≧==≦{斗{// _|ト、   〃 (
       ⌒ヽ≧=≦〈  \ } _    广7/〜' {{ 厂厂´    )
       {{   }} |  | `¨¨´くL{ \_ノ))//   V/  \   (
        `=彳  |  l      {     ///    〔    〉

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病気で寝込んだところに、自分の看病があれば少しは元気もつくだろう。
そう考えて、台所に立ったところで、メイヴは衝撃的な事実に気づいた。

台所に立つことなど初めてだった。女王メイヴとしての霊格の記憶にもなかった。
正真正銘、料理などしたことがなかったのだ。

とりあえず、米を多めの水で焚けばよいのだろうか。
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1012 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/12(月) 15:35:35 ID:8wzbBaRA0


:: : : :l:: : . |!    l    l |   l i      |  l |  l}
`丶、:!:: : .l|    l|   :l |!   l| l      |  |.| l|
| l: l:: : .l|    !l   i li  l| l     |  | ! ∥
」!  l: i:: . l:!   i |  ,: l!  l! l |   .i  |  | /  |!
   i:: i::_:_l廴丿l| -- l 、l_l! l l .  |. i |  /   .リ
i  l, ィl: : |:l   l !  l l| l li T ト、 .|  |.|. /!  /
  {」:: .i: l:l.  i l  l i ! ! l|| ! l .| ! .|.|/ |  / /
| |::.`ト、:l:|:i l l /イ工三厶./ // j |.|! |   /
| l:z: ',: ヽl l:!   ′, イ:::;::-::; iヽy イ | .|  |  ./
: ! 」_:」ソ:: /        l:::i::ー':j::ツ  / l |  | /.|
/ /彡':j/:: .         ̄ `` ¨  .イ | l  j / |       ……なんか違うわ。
! {:: ィ:´: :: : :. _            /l | /     j/  l|
 !:: :: : : . :: .          ハj |   l /   i       ただのふにゃふにゃの米じゃない……
./:: :: : : __ _ _        // /   l /'   /
l|:: :: :: : .` ー ´       イ { /    j/   /
li:: :: : : : ..         , ' - 、  / i' l   i
!l>-::、:: : .       ,<⌒`''‐"フ// l /     ヽ
 !:: ::/>::::.._.....::, /ノ    / ' /   l     |
l !:: :ト、/⌒:.x:'´/´ ̄   イ"   i|    li     l
ヽ |:: :: : . 「_}       |    li    lヽ     l
 i l:: : : : :i′ '       '\   i     i|   丶
、ヽ!:: . .  `゙}         `''‐-=、,,,,,,_! i
 ヽ|:: : .  }
   ';:. . . ノヽ

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結果、撃沈である。

この後、メイヴは自己嫌悪でリビングの隅で数時間いじけていたそうだ。
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1013 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/12(月) 15:35:46 ID:8wzbBaRA0

                           ___
                     , ::::::::´:::::::::::::::::::::: ̄ ̄:`ヽ
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               /:::/::::::::::::/    > ´,イ     ` ヽ 、 `   \
.              /:::/::::::::::::/  > ´   / ',    ヽ    \    \
             /::::ハ:::::::::::ム‐'´      /  .',     ヘ     \    ヽ
.            /:::/::::::::::::::ん /    / ′ __',_   ヘ    i  \  〈
.              /:::::'::::::::::::::::{: :/   ./{ //   '.,    ヘ_   |.   \ }
.             //::::::{:::::::::::::::::{: ′  /ィ7´  ―-、 \.\ ベヽ  |     ヽ\      喜留夫、お粥ー!
ト、_      _/:::/ :::::/::::::::::::::::::V   / _x=弌f=‐    `-ヽ ヘ ヽ !     i |:ヽ)
::::::::::: ̄ ̄::::::::::/:::::::/::::::::::::::::::::::',   / 《廴二:リ_      x==ミ、  ソ    | |:ノ       付け合わせは梅干しでいい?
ト、_:::::::::::::::::_/:::::::/::::::::::::::::::::::::人: :从 xxxx        斤 ツ 》:./    | !
::::::::::: ̄ ̄:::::::::::/::::__  ―ェ´--ゝj: :',             〉`¨"xxレ': :    ,イ ′        「天使かよ……」
:::::::::::::::::::::::::::::/,'"´::/: :./´:::::::::::::::::iヽ: ヽ    ,  ―-、      /: : : :  ./ | |
――、:::::::::::::::j|::::/: :_/ ::::::::::::::::::::::::|:::゙,: :ト.、   (    ソ    ./: : : : :/ //          大天使だけど?
: : : : :.:.\::::::::}/ //::::::::::::::::::::::::::::::::|::::|、: ', >、 ` -  ' _ イ´/: : , イ  〃
: : : : : : : : : ̄: :_./:::/::::::::::::::::::::::::::::::::::|::::|::}: :ト、 ./` -<´: : :./}/::::/ /´
::\: : : : :.__/::/::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::/:::::!::|: :| Y: : : : :.:./{: : : : : :/:::::::::!
:::::::/ ̄:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://:/::::::::::ノ: :.} !: : : :.:/ー!: : : : /:::::::::::|

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
一方その頃、無事にお粥を作り終えたセラフが喜留夫の部屋に来ていた。
答えは簡単である。喜留夫のスマートフォンを借りて作り方を調べたのだ。
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1014 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/12(月) 15:35:59 ID:8wzbBaRA0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                                   □

                               ・

1015 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/12(月) 15:36:18 ID:8wzbBaRA0

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          |::/ {:ト l:ハ  Y::::::/ヽ////////l:'//ヽ‐ /::::::::::,:'、 /:;
          V  l;' lハ ヽl::::/  ヽ////////イ/ノ/:::::::,:'‐ /'
               ヽ |:::ハ      ̄ ̄ ´  ,':::::,:'
                 l;/、 !  し      u ':::,:'                くっ……。
                  lハ      U    ,',:'   :
                  lハ':          '   ,:
                  ' '::ハ            ,:'
                   /し U     ,    ‐   ‐
                  ./  ':ヽ     /  _
                 ,,/   '; ヽ u.   /_jニ:辷 ,‐__┬'
            _,, s≦ /    ';  ヽ   ヽ- '―'―'―'‐-
    __..,, ィ┬ '"´     /     ';   \      ――‐
  /´   |  |        ./      ',     \

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
一か月。一か月である。
毎日のように、というより、毎日続く任務も、これで一か月目を過ぎた。

流石に体に限界が来ており、ふらつきながら装備の確認をしていたところ、
見かねたスカアハが休息をとるように言ってきた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

1016 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/12(月) 15:36:30 ID:8wzbBaRA0

                     /               ` 、
                     /     __               \
                   ,     _/:.:.>=-- =ミ            、
                   { /ヽ/.:{:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.\        \
                   У:.:.:./.:.:.!:.:.:.:.:.|:.:.:.、:.:.:.、:.:.:.:.\         ヽ
                        /.:.:.:.:/:.:.:.ハ:.:.:.:{\:.:\:.:.:\:.:.:.`:.<..
                    /:.:.i.:.:.:.;:.:/  ヽ:.:.:',ー-:.:.\:.:.:.:>=ー--`      、
                 /:.:':.:|:.:.:.i:..{_ノ  \{,.ィ=ミ、:.:.、:.:.:.:.:ミ:::.;,>、     }
                 /イ:{:.:!:.:.:.|ハ __    '' 迩沁ア }:..:.:.:.:.:ト.:.:.:.:.:.:\__ /
               /  |{ヾハ:.:.{:(-=' )=(     ノ  リ:.:.:.:.:ハ}:.:.:.:.:i:.:.:|!
                  ヾ ヽ:.!:.:.t-〈  `  ̄ ´  /:.:.:.:.:/_ノ:.:.:.:.:.:|.:.:.i!
                         }:.:.:!           ,:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.|
                       ,:.:.:ハ  へ     /.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:..:!
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「いいですか、宗介? 人間には相応のキャパシティというものがあります。
本来ならば一週間通しで働いただけでも人間は疲れ果てるというのに、
あなたはその四倍も、それも命を賭けた戦いを繰り広げているのです。
限界もくるというもの。少し休みなさい。師からのお達しです」

スカアハが心配そうに肩を抱き寄せ、頭を撫でてくる。
宗介、というのは自分の本名だ。雷堂の名前を襲名する前の、本来の名前だった。

スカアハの提案を受け入れ、支部に任務への不参加を伝え、
そのまま自室へと戻った。
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1017 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/12(月) 15:37:01 ID:8wzbBaRA0

              _   -――-   _
           '″         ゚' 、
.          '′   ___,/`〜=ミ      \
.       /     /ヘ/l.:.:.:.:.:.:..: \___    \
.     ′  ,.イ.:.:/W{|.:.:.:.:{.:.:.:.:.:.:.\\     \
.    │   ,/.:.:.:.√~ ',.:.:.::}ヾ.:.:.:.:.:.:.:.,:.:.:、     ヽ
.    │  /.:.:i{:.:|_彡'V.:.ハー、.:.:\.:.:,:.:.:、     ゚,      宗介……師はあなたが心配です……
.    八. 厶イl.:.:{. __` Ⅵ::| _ヽ:i.:.\、.:.::、   ,ノ
       \.〈「ト,::l弋ツ  Ν弋ツ刈ノ |〉{⌒ヽ/        こんなにも若いのに、学校にも行かせてもらえず、
       /:}| | 「l『 ̄_,』=f=『 ̄_,』| | } |i∧./
        /.:.:.} ; 圦         丿; ; 八.:‘,           疲労困憊になるまで戦い続けて……
.       /.:.:.八   \   ⌒  /   ,.仏.:ヾ‘,
      厶::/)イ.:\   `ぅ;=f ´  /|.:.:{乂.:.:‘:、
.    /_彡′ノ.:.:ム「`:.....__ノ圦_,.....彡圦.:.’, `⌒ヽ
.  /    /.:.:./V^::ー:::-t' {-‐:´:::::l{ハ.:.:.\   ‘:,、

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物心ついた時には、葛葉の里にいた。
孤児だったが、親が葛葉の分家の血を引く者とどこかで発覚したらしく、
七歳の時に葛葉の里に引き取られ、十五代目葛葉雷堂の下で修業を行っていた。

その一年後、十五代目葛葉雷堂はメシア教会への降伏を拒否した結果、
天使の手にかかり死去した。

その後は十九代目葛葉猊林に保護されたが、彼女も暗殺されてしまい、
メシア教会に確保された。

雷堂の名を継いだのは十二歳の時だ。
その時、十九代目葛葉猊林の仲魔だったスカアハが自分の師を請け負った。

それ以来、このマンションの一室で、毎月支給される給与で生活している。
剣術、格闘術、槍術、いずれもスカアハから教えられたものだった。

スカアハには感謝してもしきれない。
まだ子供だった自分を、立派に雷堂にしてくれたのだから。
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1018 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/12(月) 15:37:19 ID:8wzbBaRA0

             -―ド }::.::.::.::.:イ:.::.::.::.::.::/.::.::.:≧:、
            ,イ::.::.::.::.::.::,.:'":.::.::/.::.::./::.::.:l:.::.::.:ヽ:\
           /::.,ィ::.::.::.,::'".::.::.:/:.::.::.:/:.::.::.::l.::.::.::ヽ.::ト、:ヽ、
         /'"/::.::.:/:.::.::.:/:.::.::.::.:/:.::.::.::.,'::.::.::.::.::.:ヽ',  ̄
           7.::.::/.::.::.:/:.::.::.::./:/.::.::/ハ::.:ヽ:.::.::.::.::ヽ:!
           /::.::.::.::./:/:.:イ:.::.//::/.::./  ',:.::.:';:.::.::.::ヽヾ
          /.'::.::.::./::.::.::.:≧.、_' ;'::.::.::/ ,s≦_<l:ヾ: : :ハ
          / ハ::.::.,'::/:/ 、弋炒 /:'::.::/ 、弋戎 ノ j::.::ハ::}
           イ::.:从j    ̄  ,::/     ̄   ノ V !ヾ         こうして落ち着いて朝食をとるなど、
             ヽ !      '" l       { ノ ノ
              ヾj         ,      Y´           何か月ぶりだろうな……
                '、      ,_ , イ    メ ,'
                ヽ      ´     , イ             「コッペパンだけで足りますか? 何か作りますよ?」
                  `ト       , イ
                   |  ヽ _ イ  l                気持ちだけ貰っておく。ありがとう、スカアハ。
                   l.         '、
              , ィ-<_  /`ヽ    >‐ 、,、
       _,,:-―   ̄`゙ ト 、_二l   l ̄ ̄_,,. イ  ` ト、
     /             |  `ヽ、! ̄ ̄         > 、
    /              l ,ィ― 、 ヽ,              `ヽ
   /      l       , イ  ,ィ__、 ヽ                ハ
   :'       .l.      l  ̄ ̄ ̄ ヘ/             l    ハ
   l       |      ;  ヽ-=ニニヽ ヽ            |     l

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ちなみにここだけの話だが、十九代目葛葉猊林はエキゾチックな美女で、
密かに雷堂も子供ながらに憧れたものだった。
スカアハと並んだ姿は何とも言えない風格があったものだ。

朝食を取りながら、テレビを見る。テレビをつけることすら久々だった。
雷堂はお世辞にも広いとは言えない部屋で、スカアハと二人暮らしをしていた。

「宗介、どこか行きたいところはありませんか? 今なら一緒に行けますよ?」

スカアハが自分の隣の椅子に座りながら、囁いてきた。
小声なのは、任務を放り出して遊びに行くことへの背徳感からだろうか。
その割には少し楽しげでもあるが。

「遊園地……か」

テレビには今話題の遊園地が映し出されていた。
思えば、こういった娯楽も手を付けたためしがない。
いつかは行ってみたいが、今はただひたすら休んでいたかった。
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1019 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/12(月) 15:37:38 ID:8wzbBaRA0

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             \ : : 〉:.:i!:._i!-‐‐  ∨!:.:.:.:_!_  ヽ`:|:.:.:.:i}ヽ|: : : : :. /
              \i!:.:.:!ハ:|   ‐- .∨:.:.:.:| ,..zz_V:|:.:.:.|!:.:.:ヽ: : : /
                    |ハ:.:.!.i!、yz==x ヽ|:.イら゚v テゞ:.:.:/.:.:.:.:.:.ゝ,´
                /i!∧:.,.く乂゚v_j 、_{N `¨ ´ .ii:.:./!エ}、:.:.:.:.:.:.≧=-イ_        では、今日はもう寝るのかしら?
            、__ /:.:.〉:∧:.,!!    _ノ⌒乂_ _ .´|:/:.|:.:.:.:.:|≧=-―― ´
.          ≧s。:.:.:.>.イi!}ゝ`:. ー ´  ′     /:.:.:|:.:.:.:.:|                「ああ、そうする」
             ̄  ./:.:.:|!:.:.:|:.:ゝ    ー-  ´   .イ{:.:.:.|:.:.:.:.:.,
           /⌒ー==-:}:!:.:.!-/´≧s。_   </}:.:!:.:..i!.:.:.:.:.:.,                それじゃ、ご一緒しようかしら。
     /⌒> ´. : ::|     /:.:!:.:|/ /:i:/i:i:‐-┐Y¨二iト、:.:.:.ト、:.:.:.:.:.,
  _>´      丶. :!    ./:.:.:|:./ /|:i:i:i:i:i:i:ゝ !.//_ノ∧|:.:./、:.:.:.:.:.:.:.,
/     \ \ ∨i!   /:.:.:.:i/ |..|:i:i:i:i:i:ir‐‐‐‐‐┐:i:,i!:.:| ≧s。_:.,
 ‐- ..._     \.ヽ∨  ./:.:.:/|  |..ト:i:i:i:i:i:}|三三] !:i:i:}:.:.!       .〉.,
     ¨ー ..._   ー丶 /:.:./ ∧ !..∨-‐´ ̄ ̄ ̄´ヽ:iハ:.:i      /:.:.:.,
: : : : : :__,   ≧‐- ∨:.:/   ヽ|....>⌒>|   | ヽ  >}:.:.,    イ:.:.:.:.:.:.,
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スカアハが空になった食器を持って行ってくれた。
こうして日常生活においても悪魔召喚を行っているのは、スカアハきっての
希望だった。

師でもあり恩人でもあるスカアハの願いを無碍にするわけにもいかず、
雷堂はなんとか生体マグネタイトの消耗を抑えながら悪魔を召喚するという
不思議な技術を会得していた。その分、力も相応に落ち着くが。

そして、少し贅沢な悩みを雷堂は持っていた。

ベッドが一つしかないことである。
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1020 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/12(月) 15:37:54 ID:8wzbBaRA0

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:..:..:..:..:..:..:>'´  ///:.ゝ-\:.ヾ..:..:ハrヘ:{`-'. /ソ,       }´ ̄`! `  ̄ ´ /,/:..:/:..:..|:..:.ヾ、
-― ―<    //:..:..:..:..:..:..:..:..:\:.:..:.ハ  `ー ' ´     ノ   ゝ- - ― ' ´,:::/:..:..:..:.|:.:..:::.
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もちろん、この部屋や家具を調達してくれたメシア教も、雷堂一人で
寝床に着くことしか考えていなかったのだからしょうがない。

しかし、もう一つベッドを買うほどの給与の余裕もなければ、
買おうとすればスカアハが涙目で「師と一緒に寝るのはもう嫌、と?」と
訴えかけてくるゆえに、買えずにいた。

そう、自分はスカアハと一つのベッドの中で眠っているのである。
子供の頃はそう疑問にも思わなかったのだが、年を経るにつれ、
流石に色々と耐えきれなくなってきた。

ベッドに入ると、当たり前のようにスカアハが布団の中に滑り込んでくる。
腕を抱き寄せ、頬に手を当ててくる。豊満な乳房に腕が埋まり、雷堂は
軽く身悶えした。一応、これでも男なのだ。
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1021 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/12(月) 15:40:42 ID:8wzbBaRA0

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            .イ: : : :;----≦ト、 _  _  ≦./ニ          ……ふふ、宗介?
          / .;: : : :;   / /7 ヽ__  .≦ニニニ
.         ,   ; : : ,   / /ニ∧  | @ニニニニニ          師は、あなたが私を女として見るようになったことを、
.          |   .;: : ,   / /ニ / ̄ ̄≧ノニニニニ/
           !  ;: : ,.   / /!ニ./ : : : : : :/ニニニニ/:::          嬉しく思っているのですよ?
         i ;: :.,   / /7ニ j-  .__/ニニニニ/:::::
            V: :/  / /7 /   |  ,ニニニ /:::::j
            / /  / イ/.     |.  ,ニニ /:::::::i
            /:/  ∠ _ 〈¨7ー‐- 、 l  ∧ニ/::::::: ,
        /イ   />、7´  /   l/_  Y:::::::::::,'
.        /   〈、     /     | マ_」::::::::イ./
       /   <_\\.  /.      |  .,::::≦
.       l     i::7:⌒l/≦/ ̄ ̄7 __/::::::::7
       。    i: |::::::::|∨ニニニ/|/´:::::|::::::::/ ⌒
.        、  .八 l::::::::|:::∨./:::|::::::::::::::::|:::::/\_
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          ゝ   \|::::::|::::: : :|::::::::::::::/

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スカアハが艶めかしく腕を動かし、首筋をなぞってくる。

布団をめくり上げ、彼女はゆっくりと服を脱ぎ始めた。

体を重ねるのは初めてではない。
最初に彼女を抱いた時、誘ってきたのは彼女からだった。
いつものように一緒に寝ようとしたとき、雷堂はそれを拒否した。

その時は十五歳だっただろうか。
どれだけ世俗から離れているとはいえ、雷堂も一人の男としてスカアハを
意識し始めていた頃だった。

悲し気に俯くスカアハを慰めようとしたところ、なし崩し的にそういうことになって
しまったのだ。
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1022 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/12(月) 15:41:45 ID:8wzbBaRA0

                     <   ̄ ̄ ̄  >
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              {     /:.::|ミx'ヘ;.:.:.ヽ、:.:ヽ、:.:\:. }ヽ.,、     ヽ
            ヽ  ,.イ:.:.:レ   ト;.:.:ト、\}_\:.:ヽ:ト、:l. γ,    /
            \ j:.|:.:.:.:|, -―;ヽ:ハ` 'ン云x\:}レ、:}ヘ|. ト、/
             У:.j:.i:.ハ.   _ 、ヽ} , 辷リ_r┴'ニヽヘ |ー
               /イイ{ l:.:、トz=‐' ヽ,-{   ,,,,,, } ̄|ス_|ヽヘ
            ー '  ハjヘハ{ヾ'''''_ノ 、` ー‐くヽ:.:|ノ、ヽ{  j
                  /:.:.:.|:.:.:.iヽ __  r   フ r仆`´ `ン ,イ
               /:.:.:.:.:|:.:.:.l< ト `_ ´イ.|/:.ヘ    /:.:ヘ
               /:./:.:.:|:.:.:.|   |⌒i⌒i⌒/:.:.r┴-x、ム__:.ヘ
          /:.:/:.:.:.:.:.j:.:.:.l-‐‐、ヽ;.|;.;.:|;./:.:rx|;|;.;.i;.;.「〉.  ヽヘ
          /:.;イ:.:.:./ ̄,:.:.:.:j_,.Y/ ̄ ̄7:.:.:| ヽ!;.;.l;.;.|{`ーx .}:ヘ

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その後どうなったかは、言うまでもないだろう。
汗だくになり、一緒にシャワーを浴びてから、またベッドへと戻ってきた。

横になると、やはりスカアハは布団に入ってきた。

自分の師。自分の恩人。自分の大切な女性。
いつからか、スカアハは雷堂にとってかけがえのない存在となっていた。

「……スカアハ。俺は愛を知らない。愛されたこともなければ、これまで
誰かを愛したこともない。愛し方を知らないんだ。そんな男でもいいのか?」

「大丈夫ですよ、宗介。分からないのであれば、私が全部教えてあげます」

スカアハがくすりと笑い、そっと口づけしてきた。
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1023 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/12(月) 15:42:00 ID:8wzbBaRA0

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::::::::::/!..:..i / Y/../==¨ ̄下三ミメ}iii{_ > .\
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::∧ }!     <_ーミメ \   ,,ィ<_ノ    ヾ;、ー''  }》 ./..:..:..:..:./..:..\
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なお、この後疲労が一切取れず、もう一日休むことになったのも言うまでもない。
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1024 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/12(月) 15:46:27 ID:8wzbBaRA0


                              _,,....,,_
                       >''~::::: ∧:::::::::::::`丶、
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                   |::|:::::::|r忙ヽ \|乂ソ |\::::::|:::::\::
                   |::|:::::::| 乂ソ  , ////.|::::::\{⌒⌒`
                   |八:::::|::',///     u. |:::::|::::::::::::::::|
                   |  |ヽ!圦  ゝ フ   !:::: |:::/:::/:::
                    八 |:::|:::::>       イ|::::::|:/::/::::/
                       |:::|::|:\:::\:}   .|.!::::::!:::/:/
                       |:::|ゝ-─- ノ    !::::/::/⌒ヽ
                     八{   `ヽ /⌒' |イ::::{     ',
                        //         /:::::::::::}
                     >''"    /      {:::|!:::::ノ      }
                    ,'⌒⌒\  ,' _、+''"~⌒\:::|!::::,'      ,'
                {    Nヽ\/        /⌒〈
                  八   | |ヽ\         /:::::∨:〉     /
                     \ ', |/)\\     {:::::::::|!
                 / | Y {`  ‘,  '' "´ \:::::|    ,'
                 / | {      乂     /::: !    ,'
                  _/  ./  八   ``〜、/___/
               /  ̄   /  >。       ⌒`ヽ//|
              ト、/    /        >。         |`ヽ
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             ┌L__     ̄ |⌒\  /    |~"''〜、、  八____./|
             /: : : .:.) /\ |    ゙ー' {   \.  |     /  _、‐''   |⌒\
     _,,.. -‐ ''{: : : .:.//    ヽ.     ',   \/⌒_,,.. -‐  ̄ ̄  |:::`、::∨
    /     ト        !   \∧ 八 /⌒|           / ̄ ̄|::∨
    /    :::八 ‘,      !     ‘,___Y \ ``〜、、_   | ̄      |::::|
   /       ⌒‘,    ! /|         \          ノ        |::/
                                                     〜また次回〜

1025名無し-Red-市民-2:2018/11/12(月) 19:29:17 ID:QBFx4R..0
乙です
その年頃の男に美女あてがえば、そら猿になるのもちかたないね

1026名無し-Red-市民-2:2018/11/12(月) 20:43:47 ID:wmdBeIWY0

ちゃんと休ませろよ師匠w

1027名無し-Red-市民-2:2018/11/13(火) 18:06:41 ID:T3TNLU1w0
乙〜
しっかり休ませるための策じゃない?www

1028名無し-Red-市民-2:2018/11/13(火) 20:29:00 ID:08o16U9I0
乙でした。
ちかたないよね

1029名無し-Red-市民-2:2018/11/14(水) 00:34:07 ID:YV12CrTo0


1030 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 18:37:02 ID:TrvFXdfo0
ハロー。最終話が書き上がったから、今日の午後九時から投下しようと思う。

みんなともとうとうお別れだよジョニー。寂しいねシンディ。

1031名無し-Red-市民-2:2018/11/18(日) 20:57:49 ID:Dv6psAK60
どう終わるのか期待してるぜ

1032 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:01:00 ID:nLc6Qxh20

┌──────────────┐
│                   .....│
│   最終話『終わらない歌』  .....│
│                   .....│
└──────────────┘

1033 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:02:00 ID:nLc6Qxh20

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
十二月。突如としてそれは起こった。
メシア教による電波ジャックと、それによって発信された情報は、全ての人々を
混乱の渦に陥れた。

「これより、すべての人々の魂の選別を行う。良き魂は次の世界へ、
悪しき魂は悪魔の餌となるであろう。終末のラッパは既に鳴り響いた」

その放送の後に、全ての空が赤黒く染まった。
世界中で異界化が勃発し、悪魔たちが地上を覆い尽くそうとしていた。
それは、十年前の惨劇がメシア教によって引き起こされたことを、
如実に表していた。
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1034 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:02:15 ID:nLc6Qxh20

            ____
          / ::::::::::::::::\
        /  :::::::::::::::::::::::\
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       \  (トェェェェェェェェイ)::/
       /   ..:::::::::::::::::::::::::ヽ
.      / /|  ..::::::::::::::::::::::i::::::i
____/ /__| ..:::::::::::::::::::::/|::::::|
___,廴j__ヽ   r::::::::/ ハ::::,)     ‐┐  _
         ヽ  |/           ‐┴   ―┐  . . .
          >__ノ;:::......

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人々は逃げ惑った。サマナーですらも、無尽蔵の悪魔たちになす術もなく
逃げるだけだった。

ただ一人、メシア教の計画を以前から調べ上げ、敵対の準備を進めていた、
異端のサマナーとそれに与する者たちを除いては。
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1035 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:04:59 ID:nLc6Qxh20

        ( ⌒ヽ、
       (  )   ) 、                   |
       (:    ´  )                 ||
      (´⌒::::`    )                  |.|
     (    (                ;   人;_| |
     ´   ⌒    )           |.」.| .| 」| |人;;从;;;;:
    (´::       )  ..:)    ;   人;;从;;| .|-l .| .|. l⌒l‐┐
    (:::::::       ;;人;;;   人;;从;;;;:|_:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.|
(´⌒;:⌒`〜;;从;;人;;;⌒`;:(´⌒;:⌒`〜;;  .l |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|人;;从;;;;:(´⌒;:⌒`〜;;从;;人;;;⌒`;:(´⌒;:⌒`〜;;  .人;;从;;;;:
;`(´⌒;;:⌒∵⌒`);(´∴人;;ノ`;;`(´⌒;;:⌒ l | .|::::::::::::::::::::::::::::::::::: | ,,| ̄ ̄ ̄;`(´⌒;;:⌒∵⌒`);(´∴人;;ノ`;;`(´⌒;;:⌒ l |,,| ̄
F√i-ュ| ̄|明-ュ| ̄L―┐-ュFl-ィニニユ 「 ̄|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ニ´t|    /F√i-ュ| ̄|明-ュ| ̄L―┐-ュFl-ィニニユ 「 ̄|:ニ
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そこら中で火事が起こっている。
道路には人と車が溢れかえり、警察が何やらメガホンで指示を出しているが
誰も従おうともしない。我先にと町の外へと出ようとしている。

十年前の地獄が、喜留夫の目の前で巻き起こっていた。
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1036 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:05:13 ID:nLc6Qxh20

..      ____
     /     \
.  . /  (●)  (●)
  /  (トェェェェェェェェイ)\      よっしゃ、準備はいいな、おめえら。
  |    \ェェェェェ/  |
.  \           /
.   ノ          \
 /´             ヽ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
だが、喜留夫は極めて冷静だった。
拳銃と短刀を隠そうともせず、人の流れに逆らって歩いていく。
目的地はメシア教が保有しているという私立競技場だ。

事の詳細は、自分を迎えに来たメシアサマナーを締め上げて聞き出してきた。

どうも、これから神の降霊が始まるらしい。
そのためには大量の生体マグネタイトを必要とするため、
十年前もこうして悪魔を使って大虐殺を行い、空気中に散ったマグネタイトを回収して
神の降霊に当てていたそうだ。
神に従わない悪しき魂は生贄にされ、良き魂、つまり喜留夫も選ばれたらしいが、
神を肯定し従う者には千年王国を生きる権利が与えられる、とのことだった。

そうと決まれば、やることはただ一つである。
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1037 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:05:28 ID:nLc6Qxh20


   |  {    |     ハ   '  乂込りイ、`ヽ
   |   '  |  ミ、 i   |ハ ゞ=彡ノ/z i
   |   ヽ .!   ハ:}|i: ! {  '  i  ゞ=ソ i:!
.i   |   ハ:{.  r=彡|{|ノi  |. | ヽ  八
:|   ! >ー从_}{ i ! |.川 i{ `ヽ |   !  ハ 、  ゙
   |{ / ーヽメ 八ハ!{ !ノj_z_j   |  .'{  ヽ
ハ  人ハr=ミ ハ ハ   ノ从 7Zマ.く_ ' | {八           ええ、もちろんよ。
  / }込八irくイ_ノ ノ    i.i゙;;;}j ' ハk , ! i  ヽ
 { :{ゞ=ミ_ノ/    ,  ゞー" / ノ/  |i ゝ            いつの時代も、殴り込みというのは気持ちがいいわね。
.八 ∧   '' j:i ''     ノ   "″,イ./{  八 `ー
.  ヽ∧   八{_ノ、_       ./rーミ八   `ー -
   \ヽ.      ̄ ´  イハ  }vー 、`ー -
 `ヽ  \>     . ィ´,⌒´     ノ `ヽ
ハ  \  ヽハ≧=彡} `ヽ      `ヽ ハ
  丶.  \   }、 { /           ノ   }
   \   ヽ ノ iト、∨           \  '





                -,ヘ‐/:丶、
              /:/:/ : : : : \:.\ 、__
           /7 ア/: :/ : : : : : : : 丶:.\ |7           n .,7 /7
         _,〈 / }: : : ,: : : |: : : : : : : :ヽ: :',ヽ          | |,ル'/, フ
        <ア/}/: : : :{.: : :.|: : : :.l\: l: :',: :',.、ヽ      r 、|    /
          ./ : : /: : : : 从匕: : : :.匕⌒: : l : |: :Y       ヽヾ- ` {        こっちに来ようとしてる神様を追い返すとか、
        /: : : :|: : l: : {,ィ苳ミ \ | ィ苳ァリ : }: : :.         丶 ` ノ
        /:/ : l\∧: ゞVソ   、 り }: |:./ : }、:.       {ー─}         喜留夫も罰当たりだねー。
         {;' {<^¨^〜、`^ゝ、        ノ:./': : : } ',}        'ー─l
         | {く_   r'   7 ヽ ノ /: : : }^ソ- 、l      /- 、 |          ま、僕としては堕天使の面目躍如だけど。
         |   `ヽ<    >ー‐'7乂:.イ z‐ミ }     厶=ミ.、 }
         |     \    ミニニ〈: : :ノ    `ー、__/_  ゙v
           〉      ※。 ミ´ ̄〈: : )          /ニニニヽノ
            〈         ノ ゚`''*。(: : )※    /ニニ丶ニニ}

1038 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:05:43 ID:nLc6Qxh20

        /               /                    \  }
     / />             /                   \/
.     レ' /             |                    \}__
       / _/         /{   |   |                 __/
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    /   | / | │|| / |{ _jノ} | ト、∧  人{   \ l | |         N
.        | |  | | {i7二匚{ l| ヽ{ / }ト〔_{__}  \_| |  |  |  l│
.        | 人{八 l/(__・__V∧ ハ{ r―‐。―、 )//   |  |  |   {/
         ´  |  N   '二二 ∨  ヒニニ=--'/ ∨    \|  |   \__        めっちゃ逃げ出してー!
         {人|                   }   厂ヽ  ヽ__/
             |    (__  __            /| //⌒i |   〈           「それでも金玉ついてんのかオラァ!」
            !   /  )____ -┐       | // ⌒ ノ  /\
                /  /ーーーー一-|       イ/)ノ/リ /             いやだってよ、敵の規模考えろよ!
       ___  ∨  / ∨//////,|       〈__/   |
       /ー‐/ ̄   _/  }/⌒` ̄ /       / |  l| ∧{\            生きて帰れる保証どこにもねえだろお!?
.   r一'            }  「{    /       /  |ノ} 八 {
..  |  |           |ヽ { 廴___/{   _ イ_/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\           「真正面からやり合うわけじゃねえから安心しろって!」
   |  |           |   `ニニ| ̄ ̄ ̄ ̄ ___/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)
   |               |__>ー┬'∨{ ̄ ̄ ̄             /           できるかよォ!
   |               |___/|  ∨                  〈
  !           | \   |  ノ }    _ -―――――-〈_
.   l           ノ \\  j/ / ̄ ̄             \
   /       __/    「 _} / /   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
.  /          /   __| | //   /               \
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1039 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:05:55 ID:nLc6Qxh20

                 ト                        //
                |!.| ',   イ /ヽ.、 /        / /
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                l l|  i '   /Y Y-' !ニ≧   /  ./
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             ∨ .ハ∨ ヽヽヽ:::::::::::://   i/.,イ  ヽ< ゝ               我は我が主に付き従うのみ。
            八 //ヽ!  i__i ヽ:/ー' iili;  `Y `ー、__/ ヽ
              .//   !. ll  l     llll'   /、 ,      ヽ              神殺しの竜たる由縁、お見せしよう。
              7   ヘ ll  l   __ll'__ /:::::`ハ       ヽ     / l
               /     .〉TTー ''"´V::::/ `/  ` 、i    ハ  /   !
      r 、    __./    .ノ ! ト、 !   .! l  i      .l    l l Y l    l
       ∥ \r、/ ,'     .{  l l__ヽヽ.   ', ゝ、.! ___    i    ,l/l ゝ!   /
     人   /、 \     //´::ゝヽ! ̄!`i、__`ー/ l:::≧:::  ヘ__.r'"レ个 lヽ  /
        .Y l  .l !`l__/ .i::::/ /-l--l ∥ l´:::ヘ.  ヘ:::::::::i  |:::: l i  ! ! ! .∥
       l l  .l ! !::::::::::l  7 ./ .!l_i∥ .l/  ヘ   `ー ’   T\| .| |/ ∥
        .l !  l r_'三/ ´ //  .!_ !  .!   ヘ. _   ',   i_! | |.  ∥
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          .ll l! l  Vー、 r- 、′  l  l=/ーハ.     ヘ. __', <._< l l! .! ∥
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        l ∨' l T  l  i   l  l l     ヘ    i  |l   | Y  ∥

1040 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:06:14 ID:nLc6Qxh20

                 __,,. -‐…‐-  .,
.            . ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`丶、
.          /:::;: -‐…━‐- ミh;:::::::::::::::::::::\
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.         l:::}'′,/l    , _/_ \ 、 \}::::::::::::::::::::::::::′
       |:/ ,斗+ / /jノ __ ̄Ⅵl  }:::::::::::::::::::::::::|
        j'/ /{_j//   ィ芹圷刈 八::::::::::::::::::::::::|
.         i|k犲苅     ビン 1   ;::::::::::::::::::::::::|          ……行こう、喜留夫。
.         || l { ヒン        |/  i::::::::::::::::::::::::|
.         ;^l人}  ′       厶 |::::::::::::::::::::::{
.       { 、 八   ー '′     | ;  |::::::::::::::::::::::::::.,
           `、 个: .    ,.  _」′/|i::::::::::::::::::::::::::|
            }V/ ; `¨fiチz ̄::::::}   八::::::、:::::::::::::::|
            }};′ ;   r{{)=-‐  7 / \_、:\::::::::::::|
            /:} ,.厶イ⌒V   ;′ ; /⌒\::::';::::::::::.,
        /::::; }  { じ }}   ,.|  {::::;::::::::::::ト、 :::::::::::′
          /::::/ 仄 人 人 彡1:.  |;/:::::::::::::|:i`、::::::::::::,
.         /::::/  ′≧=-‐≦ ::::::}i:  |i:::::::::::::::|:i:i:i`、 :::::::′
       ;:::::; i|:::::::::::::::::::::::::::::从  |!::::::::::::::|:i:i:i:i:i`、::::::::,
       {:::{ ∧|::::::::::::::::::::::::::::::{::::\l:::::::::::::::|:i:i:i:i:i:i:i:\::{

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自分たちのできる範囲で、その計画を妨害する。
具体的に言えば、神の降霊場所を叩くだけ叩いて、さっさととんずらしようという
寸法だ。

なんとも情けない話だが、自分はヒーローではない。
そういうことをやるとすれば、それは史門のような人間だ。

では、行くとしよう。
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1041 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:06:36 ID:nLc6Qxh20

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         └──────┘


                           ┌───┐
                           │::::::::::::::::│
                           │::::::::::::::::│
                           └───┘


                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘


                               ┌┐
                               └┘


                                   □

                               ・

1042 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:06:46 ID:nLc6Qxh20

                ヽ
                 ヾ::、  ト、
           `ー==ニミ、 }::::ヽj::::}
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       ,.:":::::::::::::::::::::>::":ソ:::/ハ::::::::::>、
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    /:::::イ:::::::::::::/:://:::::〃::::::::,':/小::::::::::ヾハ
     }::/::::/:::::::::/::::イ::::/:::::/::::::::::://Vハ:i:::i::::ヽ:ハ
    Ⅵ /:::::::::/:‐-ノ::/、 :/::::::::≠- ‐‐ l:::l::::i:::}::ハ
.      八:: r7///{ゞ==彳:::::/ ゞ==彳 .川::::l!::!         ……来ると思っていた。
.       介// /   /::/!      从{::/リ
       川ト }   ″ :|      レ.イV
         }::ハ      `       /:::/
       ,.-=>、  , - ― 、  メイハ:{
      イ{=-  .ト \   ̄  ./,ノ= >、
 ___|::> _.     \__ /三彡 /|ト..._
イ三三三三≧、::::: ̄::`:::ー───==テリ:: ||:::::::::>.、
 ̄ ̄ ̄ ̄\:::::\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:/::::: |::::::::::::::i::::}
 ̄ ̄\イ:::: ∧::::::}}:::::::::::::::::::\::::::::::::: /::::::::从:::::::::::|::::|ヽ
 ̄ ̄\\::::::::}:::: }ト::、::::::::::::::::::\::::::/::::::::::/::::ヾ:::::/::/:/ヾ}、
:::/::::::::\\/::/ノ::::::\:::::::::::::::::::}/::::::::::: /::::::::::`ー=::::ヽ:/:::ト、
:::\:::::::::::://イ彡::::::::: ハ:::::::::::::::i!::::::::::/::::::::::::::\::::::\\::::i
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施設の入り口には、葛葉雷堂が立っていた。
背後にはスカアハとフェンリルが控えている。

「よお、クソッたれ小僧。神様だかなんだか知らねえが、お帰り願いに来てやったぞ。
人が気持ちよく昼寝してるときに滅茶苦茶やるもんじゃねえぞ」

「相変わらずだな、加賀喜留夫。
……もはや言葉はいるまい」

しゃらり、と葛葉雷堂が短刀を抜き、それに反応してスカアハとフェンリルが
前に出てきた。
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1043 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:07:03 ID:nLc6Qxh20

                     <   ̄ ̄ ̄  >
              /               \
             /     r‐< ̄ ̄>...       ヽ
            /     ,ィ:.|:.:.:.:.ヽ:.:.:.\:.:.:.>、     ヘ
               '     ./:./`ハ:.:.:.:.:.:\:.:.:.\:.:.:.:ヘ     \
              {     /:.::|ミx'ヘ;.:.:.ヽ、:.:ヽ、:.:\:. }ヽ.,、     ヽ
            ヽ  ,.イ:.:.:レ   ト;.:.:ト、\}_\:.:ヽ:ト、:l. γ,    /
            \ j:.|:.:.:.:|, -―;ヽ:ハ` 'ン云x\:}レ、:}ヘ|. ト、/       また斬られに来るとは、殊勝なことですね。
             У:.j:.i:.ハ.   _ 、ヽ} , 辷リ_r┴'ニヽヘ |ー
               /イイ{ l:.:、トz=‐' ヽ,-{   ,,,,,, } ̄|ス_|ヽヘ         今度は肩程度では済ましませんよ?
            ー '  ハjヘハ{ヾ'''''_ノ 、` ー‐くヽ:.:|ノ、ヽ{  j
                  /:.:.:.|:.:.:.iヽ __  r   フ r仆`´ `ン ,イ
               /:.:.:.:.:|:.:.:.l< ト `_ ´イ.|/:.ヘ    /:.:ヘ
               /:./:.:.:|:.:.:.|   |⌒i⌒i⌒/:.:.r┴-x、ム__:.ヘ
          /:.:/:.:.:.:.:.j:.:.:.l-‐‐、ヽ;.|;.;.:|;./:.:rx|;|;.;.i;.;.「〉.  ヽヘ
          /:.;イ:.:.:./ ̄,:.:.:.:j_,.Y/ ̄ ̄7:.:.:| ヽ!;.;.l;.;.|{`ーx .}:ヘ





                   ..-‐  ¨ ≧ァオ¨_ミ:x.__
             ,ィニjァ='ィ     ⌒´辷彡ス `Y
           r:ヘ.Yツ / /   i l i ヽ  ` ヾ) i |
           トi ,ィ/ ′ i l l l | | l .ハ  ((  | !
                | jヘトN i  | | ィ7从┼l‐-i!  }` !リ
                レ′ l  Vアフ彡ィ/ j」⊥j、! イ  ハ、
           /   八 くヾrjYtリ  ´ヒ:z:ノ;7 /   Y ヽi
             /   /  ヽ卜辷r" :  "" { ! ハ    ト-ミ: ____
           √ァ’ /   トミ Ⅵ(  ‐.‐  人ヾ {  , マ≧ レ==ミ`ヽ       冗談。そちらこそ黒こげにしてあげるわ。
          /〃 /イ ャ‐ミxヾ:`へ、_ ..√てハ>"{  ヽノノ     ヽ\
       人{/ /  }   }rリ)  r' `’ ) _/   `ヽУく       )/
  .-一=彡 ハ /r‐ "  ,ィ Yヽ辷彡= _厂Y `う     レ/ \   ー=彡
ィ´   ̄   /ヾく  |  =彡  リ_ / > < 1| {:_  /イ\  丶
 /   /  /\-ィ    「ぇ≧z\_/ィミУ { 〃´  /ヽ   \
/    〃   ′  Y      | " ヾ ̄  ̄ /_  }.:′   /   }     ヽ
    .ィ   i {   Lk、   !         ¨_ノ /=ミ    〉/⌒ヾ    ハ
 / {     ヾ:、  r'¨ ` rァヘ:、   ヽ  しぅ〃 : ヾ ∧     }l   /
く  八     ヽ/   /ソi } ` :.、  }  ソイ}    }  i   〃 /
 ハ   ヽ   r='=<r彡八V_ ==≧<ア/ ¨{/    ト、  v/イ 八

1044 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:07:20 ID:nLc6Qxh20

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    |/\     ∧\:.:./    マ、 _、::./ ,イ        / ̄|
    | / >__    | {、:、∨/ \ | | ∧__/ |-r、   /   / }
    lr' /   `ヽ { `TT¨ヽ}  ` ̄´ | /l!  |l \/、___/ /
    ,|_/  __  ∨ T:.7-= ' ,.  ̄〈__〉 / |_/\/\_/_/                            /l!   /|
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  / \  {:.:|:.|_/⌒!/::::\} 泛ォ  Ⅳ _/_/-'--r-、/__/ \\   ……来い。.            /  !/     |/   |
  {`ヽ /`¨|:.l:.:!: :,:.:./:,{:::::::::: | r、¨  / 「://// __/  | ̄∧ ` ̄                  /   |      |     |
  \/: : : : :〉/Y:.:.{:::::、::::::::::|/:::{/、 ∨r'_ ̄- '      ̄ ̄ ヽ                      /      l|      |     |
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:\ }`ヽ: : : : .:| r--Ⅵ、::::::::::` ー:: `¨::/:.:./\/ \           }      {⌒ヽ    ∧ /  l              /
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}:}::/::ヽ: イ /  \   「/ ̄_r=≦_/ {:.:/:/  __,. 、   ヽ_二_/⌒\: :ヽ: : : }: : : :/ |  /     /  ' / /
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'´     /     ,r=|:.|:.|ー---<\{::\ /: / }!  ` ー、: :|::::{ _、: /\      //   // / /
    /     {/Ⅵム\____〉-マムム':/  |      `∨:ム / \ \_,//   // / /
  /       / /: :ヽ:}、r===ミ、__,マムム   /^} 、       〉イ   / 〉__/.//   // / /
../       / /: : : : : ∨    〉{ r、}:.:.}:.:} /、/  ヽ.    /   ,イ_/ / ̄/   // / /
´     /'¨´: : : : : : : :〈___// 〉ノ-イ    \ }   {  //  l/  {__/ ̄´ィ´>´> ´
     / ,: : : : : : :/: : : :∨ |_/|  {: : : : :!     ∨    /-'{_/´ー '-'   ̄ ´ ̄ ´

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「ヴリトラはフェンリルを抑えろ! セラフは俺と一緒にサマナーを叩け!
残りはスカアハだ!」

「馬鹿の一つ覚えか……!」

やり方は一つ。以前と同じように、ファフニール改めヴリトラにはフェンリルを
相手してもらい、その間にスカアハを他の仲間で抑える。そして孤立したサマナーを、
喜留夫が叩くというものだ。

だが、圧倒的に違うことがあった。
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1045 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:07:36 ID:nLc6Qxh20

           とつ/:::::::/::/: : : : : \  |  | |        !   |
           ` <__|: :/: : : : : 、:|  | | ,.     」  |!
                   ` 7: : :> _-|、{:. Y:.}/:.| ,.:イ!___||
                 {: // /!:.|:.:.|/:.:.:.}/:.:/:|::::::::::|!_,..ィ
                   ∧ / ∨ l|:.:/^{:.:./:.:./:.:|  ̄¨{||イ/
                 | { |   |  |/__  ∨,:. ':.:/|   |L/ /
                 | 、__|  |  ヽ、l:':.:./:.|   | |_,.ィ
                   乂__/|__イ ̄ヽ  ̄7¨7Tl|   | |
                    |:.:.:{  |   /`T ̄>--ミ、_| |-_、
                     {:.-l乂_ノ rオ},.-、}/  r__/_` Y¨´|
                       |--|:.|、__/v、 |/|\/     `ヽ/`ヽ  ,
                       |_」lj:.{::乂__ノ'/ ∨{          }//} /|  ,.イ/}
                  ∨ |:.| 、  ∨_/:.:}/`\       / 〈/ | j/ /
                      } Ⅵ__r:.:_,. --|r、\ ∧    / |  /  / / ̄´|  {_  -    ̄/
                     ∨ `¨¨¨¨T   {:./:.:||' ,|_,.-' /  |   { .'   ,' /|      ,
 r---、                  \ ̄ ̄´\_\:.:>---- /  /   :/   / ,.ノ-―― /
. ∨ ∧                   /  ̄¨\ \}-(⌒ヽ、__ /  /  / / /    /
  ∨ ∧               _,.-┴―‐:´ | /`ー≧=-:.:/  /  / / /     /
.   ∨ ∧           /: : : :`: : : : : : : :/_/ ̄´/  /  / / / \  /
    ∨ ∧ _   _,...イ: 、_: : : : : : : _,: : |  | / /  /  / / /   \ ∨
.     ∨ ∧{//r-/: : : : : : :`: : :,. :´: : : : : : Y ! /  /  / / /       } }
     ∨  \∧ム: : : : : : : : : :{: : : : : : : 、 : /  /  / / /       //
        ∨ / ||  ̄ ̄\: : : : : : : : : : : /  /  / / /      //
       }/ /|{    _,.>――-- /  /  / / /    _// \
       | /  ム   |\_/ ̄`/  /  / / /    / /´ : \_\
       ∨    ヽ.  |  |l    /  /  / /   /   /  /: : l: : : : | \\

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「……遅い」

それは、ヴリトラが以前よりも強力になっていたことである。

ヴリトラは飛びかかってくるフェンリルを跳躍して躱すと、
そのまま垂直に落下して爪を突き立て、肉を抉った。

痛みと怒りから、フェンリルが咆哮し、ヴリトラに食らいつこうとするも、
その牙がヴリトラを補足することはなく、ヴリトラは顎の下に潜り込み、
強烈なアッパーカットを見舞った。

鮮血が辺りに飛び散り、巨獣の咆哮が轟く。

よろめくフェンリルの顎を掴むと、ヴリトラはその両手で無理やり口を開けさせ、
足と片手で固定した。空いた右手には小さな太陽のような火球がめらめらと
揺らめいている。

「終わりだ」

そう呟き、ヴリトラは火球をフェンリルの口の中に叩き込んだ後、フェンリルを解放
した途端に上空へと蹴り上げた。

凄まじい速度で上昇していく巨躯から、炎が噴き出し、そして爆発した。
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1046 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:07:54 ID:nLc6Qxh20

                             \、ト、
                          ヽ乂_ノ::}:::〉、__ノ{
                        __ ノ:::::::::::::::/::::::::⌒ヽ
                     ー‐ァチ:::::::::::::::::::::::::::::::::⌒≧x
                      /::/::::/::::::::::::::::::::::::::::く⌒
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                   _「_\ /:::::::/:::/::/:::::::::/::::|:::::::::::::l「`
                 ┌¬,’ '尓::/:::イ::/::::::/}八トヘ::::::::|
                ┌ _⌒    犲l  /:: イ 弋zソ :|:从ァ〟, _
              _ =ニ气      {ム. u.  |:  ` ̄ ,リ_ノ    / "'' ァ〟,       チイッ……!
              , 气ョ_㍉从_   /≧- _  i:.   メ /l         ノ   i
           , l| l  ,lx '′x个=ゥ'/    丁T ┬ ∠ノ /    // ≦、  |
        , l| l  , r'′ ,x仝く 〈 l   ,x<二>    丁T =≦仝=≦、⌒ l|
     , l| l  , r'′  ,x仝ェ__   从r≦──‐く           ̄ミ 、 \  ll
    /l  , r'′  ,xく    __  /  r' ̄「 ̄´              〕   ll
     |, '′  ,xく __    __≧rf   ノ/´{⌒}__                 〃
       ,xく( ___≧=干 ̄  从 /  / ̄  ]〕lト ,,           イ
      / x=干 ̄         {  \イ厂       「       〕lト--=====彡ll
        ||                \ 少'll      \\           ll
        ll                \ |l          冫 丶         ll
      从_         ○ ○__,八           〉li|            ll
          ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    人\          li|:           ll
                     /  \         ,/i|         ||

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「よし、ヴリトラはヨシツネたちに加勢しろ!」

これで二対六だ。数的有利がさらに広がり、さしもの雷堂の表情にも
焦りが見えた。

拳銃は弾かれる。ならば、接近戦しかあるまい。

短刀を抜き、葛葉雷堂に向けて斬りかかる。
首の頸動脈を狙った一撃は、腕を叩き伏せられて防がれた。

更に左の拳を打ち込むが、それも顔を逸らして避けられる。

お返しと言わんばかりの膝蹴りが腹にめり込み、喜留夫は思わず呻いた。

やはり、敵わないか。だが、以前とは違う。
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1047 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:08:09 ID:nLc6Qxh20

                 〈        (_ー' 廴_
                       ∨    _〉辷ニ,´
                     ∨  l´∠{ レ彡ヽ
                   ∨  ヾ- ヘ〉 ノ )
                      \    <ニイ
                     ト、 ヽ
             /ヽ      ∨/ヽ 〉
           / _   \     ∨//    ノ),、}L、
         /_ _)メ)   ヽ    ∨>、   (_7_フ/´
        /  Ⅵ`ヘゝ、  /     ∨//\  (oメゝ
            ヾ〉(oノ´ ,辷:-.、   ト///∧
        \     /  `ヽ\ }/V//∧
           `ヽ> ´      ∨:〉//{////廴 -‐ ¨´
                      У///{////{   /
                     く//////{'///八_ ///
                         \////V////////
                  ,.,:;:;:;:;.,.,     ト ヾ///〉///////
               ,.;:'''     ''';.,.   }l  〉///////////
             ,:;:' _,r‐- 、 '':;. //| //厶//´///_//
            .,:;'∠,-ァ ヘ  ヽ_:///}l/////x≦三三
             :;:; /.ィ ス \ ノニ≧/////> ´
            ':;:,.  レし'ー-ヘノ/////∠,--ァ=ァ- 、
              ':;:;.,..    ..,:;:'V>/フ彡//:/__∠_-≠≧
            ' ':':;:;:;:;:':' ' ////: /:/ l/f´,_-.、ヽ`メ=
                    《///: /: l: / ' r':o:::) '` _丿
                      ∨l: :,': /|l'   ヽミ≠   ̄´
                      У:/:/: ;l  ト、     ,
                   ,x≦: ノ:/: :,{   l `ヽ、   ′
              _,x<:-‐彡:_: イ/∧  l     、
        _,. .-≠‐ '' ¨  ̄´/,レ-ェ-.、ヽ ヽ       \
                      ノ`Yニニニヘ \  ー---ヤ
                 ノ  }ヽニニニ}  >- .。 -
            _      〈    /、ニニ,ニ辷ニ=ト-‐ '' ¨  ̄
        / \      ∧   {  ヽ,:仁二ニニ} 、_ _rァ
         ´     ヽ   //∧  ト、 /ヾニニニ/ ノ/ ーァrつ
               \////∧  }/\ ` ー-{ {_7〆〈
             、._  _ ` </∧ }///>- 、 ,廴_  `⌒
              /,ノ、_ 〉 )  V/∨> ´ _,r、_ ヾ///ヽ
          //イ ヾァ rつ  |'///  /〉_] ト′}////\
         {_/r,ニメ 〈    V,〈  (,フ(oく  ////////ヽ
             ヾニヘ_)    |//>, ,  `´ ///////////
                   ////////>///////////

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ダメージを受け、後ずさりする喜留夫に葛葉雷堂が追撃をしようとする。

その瞬間を見計らって、セラフが突貫した。

紅蓮の炎を纏った弾丸と化したセラフが葛葉雷堂に直撃し、
そのまま吹き飛ばす。

そう、以前とは違い、今回はセラフがいる。
瞬間火力で言えばこちらの方が上だ。
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1048 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:08:22 ID:nLc6Qxh20

: :  、: : :L:::ノ}!
: :!i  丶:'^ヽ: : :、)ヽ.
、:ノj、   丶ノ: : :く__ノ、
、: : 、}   丶: : : :<:≧、
: : : :、     丶: : : ノ:::::))
: : :r、ー)     丶: :ゝ=くリー‥、
,へ、: :{、_     丶: : ノ::::{´⌒)}ア ,ィ=、
::::::::ノ: : ゝ)、     丶:ノ::::::ゝ彡'{ノ/: : : :==、
::::::::`ノ: : : : : 、    丶. :、:::::ィ、:::/: レ'´: :r、ノj、
´ヽ::::::ノゝ'): : 、     、: :\jリ::レ'´≦⌒``ヽ
. .く:::/: :: : : : : :、     丶: : \::::ノ::レ)、::::ゝ=ノ:.
ゝ. .. ヽr⌒レ、: : : 、     丶: : :\)彡'、:::::::イー'/ /::}
ゝ__:::ノ:::::::::::::〉: : : :.、     丶: : : : : 、ノ)::::::::::∧ノ:::::|
  ゝ::::::ノ:::::,': : : ノ、:.、     {: : : : : :{レ::::::::::::::::火::ノ
    ヽ:::彡'、: : : 、 \:、     `ヽ: : : : ≧==彡': ノ
    ゝ::::::::ノ: :: : ゝ='く      |: : : : : : : : :==人
    ノ:::::::::{: : : : : : 、ノ: :.、     \: : : r='´::::テ
  _彡'::::ー=、: : :r、: : : : : }      \: :|:::::::f
  ミ、::::::::::::::::::ノ:::`)_: : : : :i!       、j::::r'リ
   ):::::::::::::::〈:::::::::::::::::): : : |、       \レ¨

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「セラフ、前のアレやるぞ!」

「うん!」

短刀を順手に持ち替え、振り上げる。
そこにセラフの炎が纏わりつき、炎の刃と成した。

「雷堂っ!」

スカアハが劣勢となった雷堂に向けて、手を翳す。
その先には、マグネタイトの槍と化した短刀を携えた葛葉雷堂がいた。
槍の穂先が竜巻を纏い、辺りに突風を巻き起こす。

この一撃で終わる。
誰もがそう直感した。
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1049 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:08:34 ID:nLc6Qxh20

          _                                  _.  _   _
         | | ロロ                              | | | | | |
         | |_   __ロロ   _       _     _      _    | | | | | |
         | __|   |   |.  _| |_  _| |_   _| |_   l二l | |   |_| |_| |_|
         | |       ̄| |  l_   _l   l_   _l  l_   _l   __| |     _   _  _
         |_|      | ̄ |.  </|_|   </|_|    </|_|    |__|   |_| |_| |_|
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                 `)、⌒`   ⌒        (;⌒`
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炎の刃を振り下ろす喜留夫に対し、葛葉雷堂が風の槍を投擲する。

両者がぶつかり合った時、閃光が迸り、爆発を引き起こした。
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1050 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:08:46 ID:nLc6Qxh20

            ,  '´ ,. 、
            '      ゙!
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    /_      ヽ    //イ  ゝ
   /ェ  ェr       l/ //  人「   ⌒i;               うぼぁ!
   /{ェ ェ/     /  / ィ´       !|
   i ヽェ/ ....::.      _,ノ‐-、、 厂了 ,!リ
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   `ー-r-、:::::               i/ イ//
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    `ヽ''´   \          // ┐
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                         ヾイ,斧雫:}  ヽ、
                           ハィトイ 、  ヽ
                         , ィ., イ `‐ 、__ ノヽ        ぐおおおおおっ!
                       j¬イ´  ,__  ノ    ';
     ,、                 `´   rイ, 、ヽイ、 ノ、  j
     !:: :ヽ、j:.ヽ  r、  _,  ,ィイ      ´  `-´ ̄ j ̄j
   ィ―ヽ: :.:: : ::ヽ !: :` '"´ :: :j          ,--ィ /
   ):: : : :: : :., : ':     .  イ    、    〈ツイ ̄ ´
   ヽ. :: ヽ..  ..: ヽノヽ -:: : :: { ,:、  }; ‐ 、/: :ノ
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1051 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:08:57 ID:nLc6Qxh20

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                  lハ':          '   ,:
                  ' '::ハ            ,:'
                   /し U     ,    ‐   ‐
                  ./  ':ヽ     /  _
                 ,,/   '; ヽ u.   /_jニ:辷 ,‐__┬'
            _,, s≦ /    ';  ヽ   ヽ- '―'―'―'‐-
    __..,, ィ┬ '"´     /     ';   \      ――‐
  /´   |  |        ./      ',     \

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喜留夫と雷堂はお互いに吹き飛ばされ、地面に這いつくばった。
静寂が辺りを包む。

四体の悪魔の猛攻を防ぎきれず、傷つき倒れたスカアハが涙ながらに
雷堂の名を叫んだ。

お互いに息はあった。だが、立ち上がったのは喜留夫ただ一人だった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

1052 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:09:08 ID:nLc6Qxh20

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:::::::::::::/..:..:.彡ヒ7 フ..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..\
::::::::::/!..:..i / Y/../==¨ ̄下三ミメ}iii{_ > .\
:::::::/:::|..:..| ヽ /イ      {i! γ=≠≦_..:..:..:..:.\
::::/::::::|7::j  ij     彡ィ 人 ( ・c)Ⅶ_.<..:..:..:..\
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: :::::::::;'..:.77      u       >,.ィ..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:.. \
::::::::::;'.. //        u     /.:..:..:..:..:_;..:ニ=≠ :..:. : :.. \
: : :::;',イ /  u    _     〃  ̄ ̄下ミ ,≧´..:..:._.-=ニ::癶
:: :::;'  ,'              ....::::: / /≧テメ≦≧x彡ニ ヲ::\
:::::从 ,'     ..:_ -―、   .:}   /:: / .爪 ( ・c) く ̄ ヾУ:..:..:. \
::∧ }!     <_ーミメ \   ,,ィ<_ノ    ヾ;、ー''  }》 ./..:..:..:..:./..:..\
:::::::} :||       ヽ .\\\   ̄       __ミ=="/..:..:..:..:..:;..'..:..:..:./ \
:::::::| :||       ヽ \ \\\       u 彡ハ /..:_..:..:..:..:,.:'..:..:..:..:/}::.:.::.
:::::::|:从        \ \ \У ノ   u    -=≦イ /..:..:.,ィ..:..:..:..:〃 リ..:..:.
:::: //.∧          ,ヽィ'         , .<イ .ィ..:..://..:..:../  ,'..:..:..
::://./ .ゝ            u    _,.<_ェ.イ/../ ,'..:../   /..:./
: |.| :|    > .      _ , .   <  /   -=彡″ /./.    /./

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「殺せ……」

「げほっ……嫌だね」

体中がずきずきと痛む。地面に打ち付けられたというのもあるが、
葛葉雷堂の槍が纏っていた竜巻に飲まれ、全身の皮膚がずたずたになっていた。

夥しい血を流しながら、葛葉雷堂の横を通り過ぎる。

「お前には未来がある。サマナーとしての未来が。よく考えるんだな、葛葉雷堂。
雌伏の内に果てるのか、自分の力で何かのために戦うのか」

メイヴのメディアラハンがようやく効いてきたのか、血が止まり、裂けた皮膚が
元に戻り始めた。これなら、まだ戦える。

本命はまだ残っている。そして、そこにはあの男がいる。

喜留夫たちは消耗しながらも、先へと進んでいった。
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1053 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:11:54 ID:nLc6Qxh20

    \ l/    ヾ   l,l!//l          〈゙///   !
     \   i   ! リl|l/!           ヾ=′   l
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             \               i ̄   ´       ,. ヽ       / ./  }
             , -,.∧         、-<_          /  '        / ./ ,. 'ヽ
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ニニ\    /:::::::::/::..        、   /ヽ        \.>ヽ   ゙/  _... ´  /  .'´ヽ./
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ニニニニニヽ:::::::::i::::::::::::   ,.. '"::::/         ;  ; .:. ;.  / //  ̄\ ./ .'   ;
二ニニニニニヽ::::/:::::::::::: /::::::::::::::/        _ ,  i .:::. i  ;  //     !  ,.'   /
ニニニニニニニヽヽ:::::::::/、:::::::::::::;:'ニヽ    「.! ヽ,.= "l ̄ ̄l.! //    ,'  ′ /
ニニニニニニニi >゙}ヽニニ\::::::/ニニニl    ,.-'  .}、ヽ.l l  l liヽ/     /   . '
ニニニニニ! ̄ ̄   ハ: \ニニ\{二ニニl  /    l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l‐-=.._/   '
二二二ニニl     l l:::. \二ニニニl、./    /.l       _ l--、 ,. '´
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二二ニニニニl     l .l:   ./二ニニニ/    .. - '",         ,.   }
二二ニニニニl   } ,!  ./ニニニニ,.'   ´    ´   _,.   _,.. ー、 ノ

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競技場のグラウンドには、ヴィクトルの業魔殿の合体施設にも似た
巨大な機械が中央に設けられていた。周りには町の風景を映し出すモニターもある。

それに寄り掛かりながら、煙草を吸っている黒スーツの男を見据える。

「よお、ウルフウッド。そこどいてくれねえか」

「……お前のとこにも、招待はきたはずやけどな」
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1054 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:13:39 ID:nLc6Qxh20

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              ,ヘ  /:: :: :: :: :: :: ::_} l )'/:: / `ヾミx、_:: /. イ:: :: :: :: :: :: /
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          _/   V´           Y |: /      ////,イ> ´/'イ:; '
      _.. ´     、         / !/      ` </|  / 〃   ....,:.:´, .
       >..         \         {  ′             !      ....:.:,,  ..
   ..</////`ヽ       \       i、             /     , ):.:.:ノ .
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/////////////////ヽ      \   へ-.、   , ´`ヽゝ     ,ふ´..
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「どないにして拒むんや。確かに方法は畜生そのものやが、できるもんはそうでも
あらへん。千年王国。誰も争わず、奪い合うこともない。エデンや。
そこに住まう者は誰もが幸せに暮らせる。それでええんとちゃうか?」

「ああ、そうかもな。確かにいい世界かもしれねえな。
でもよ、そこには俺の知る仲魔や友人はいない。そんな世界はなあ、
俺には何の意味もねえんだよ」

「……さよか」
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1055 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:14:23 ID:nLc6Qxh20

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   _.l!-Ⅵ_― ''''"" ̄ー ' !//ヽ l/   マ了,示ァl///=z、.__l'/  .!l///  //,.-z=
_.-ニ/        ̄""'''''''' ¬== ヽ ` 、 __゙ー‐'" !'//` 、 ̄l'! ̄ '.!// ヽ/'゙´
ニ/  _  _         ,..∠______i//__  |!- - !'/_,.  '   __         ミカエル。
´  /      ̄ "''''' i―‐/二二二二ニニニニl'/ニニニ‐ 、 _!'___ , '"ニニ
.,/            ̄ |ニニニニニニニニニニニニニニ二二二二二ニニニ
    _./丁 Ⅵ7T ''''' "´ l二二二二二ニニニニニニニニニニ/ ̄ ̄ヽニニニニ
  /   ー- _V/,!    .! .l二二二ニニニニニニニニニニニニ! i  ::::!ニニニニ
/       ( _.)   i l二二二ニニニニニニニニニニニニl  |  :::::!ニニニニ
    , ー- ..,, __ .ノ  ' 、 .!二二二ニニニニニニニニニニニl  l  ::::::!二二二
  /     .:     .{/,ヽ!二ニニニニニニニニニニニニニl   !   :::::::!ニニニ
 ´      ::.     V//lヽニニニニニニニニニニニ=‐"   l  ::::::::ヾニニニ
. '  ヽ      :.      lヾ'∧  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄        l  ::::::::::::: ̄ ̄
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      ヽ        l  l//∧





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  ::::::::::::\¨^7´ ̄ゝ. ____!イ::::::/|   .||ヽ /! rx  .ヽ=\!
  ::::::::::::: く ∧:::::::::ノ::::::::\/:::::/. |   j.| ∨ー、\>′               …………。
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    ./           \ ./   /    /_./´Y  ト . \
     {      ./ ̄ ̄` \   /\  /   j i、 /  > \
    l      く.         \ .イ  `´|__// |>''´: : : :\\
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1056 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:14:35 ID:nLc6Qxh20

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                 ‐- 、 }从:.:ハ_ }/ }/ /  `¨¨ 八{:.:.八:.::./:.:.:.:.:.:.:.:.八{
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「ほんじゃ、どっちが正しいか、証明しようやないか。
この機械は異界化の基点でもあってな、神の降霊もそうやが、やわになりゃ
異界化も止まる。どうしても止めたけりゃ、ワイをぶっ倒すこっちゃ」

そう言い放ち、ウルフウッドはパニッシャーを構えた。

「感傷やが、お前とはもう少しダチでありたかったで」
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1057 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:14:51 ID:nLc6Qxh20

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|l!1!|!l li   |    ヽ ー   、',. ‐―  !   . |l!1!|!l|!l!
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1058 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:15:11 ID:nLc6Qxh20

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1059 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:15:25 ID:nLc6Qxh20

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「セラフっ!」

セラフの炎の壁が展開され、パニッシャーの弾丸の嵐に備える。
だが、そこから飛び出てきたのは弾丸ではなく、純白の戦騎だった。

セラフが袈裟に斬られ、そのまま蹴り飛ばされる。
応戦しようとしたヨシツネとヴリトラも、単純に力で押し負けているらしく、
弾き飛ばされてしまった。

炎の壁が消え、パニッシャーの銃口が見える。

「危ないっ!」
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1060 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:18:19 ID:nLc6Qxh20

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       ゜     (/      ⌒・ .   ・、;::::::::::::;;.;`` ''
     ,,、..   //   ノ'          //'''`'`'` `       ..,,.. _,,,.、 ・         ,, ...:・..
  π /;::::::::(,.,.(;;;::::(   ,,.,  ・っ                    ;,;;( ):::::;.    c::── '`'''::::::::::;''
   ):::::::::::::::::::::::::::/  '''''`   `        '`                     ⌒ ` !.:::τ'' ``
 τ !::::::::::::::::::::::::::::)/,,,,, γ               :'`'``:!
   (::::::::::::::::::::::::::::冫 `'`'    、,:'::::::`:::,,,,        !:::::ノ         ・
 :::':'::::::::::::::::::::::::::::;(,,,,,,,、:::::::-ー''''`'`''''''''"

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
パイモンが自分を庇う形で飛び出してきたが、遅かった。
パニッシャーから発射された弾丸の雨はパイモンの下半身を吹き飛ばし、
その向こうにいた喜留夫の脇腹を撃ち抜いた。

決着は一瞬だった。

ヨシツネとヴリトラもミカエルに斬り伏せられ、倒れていた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

1061 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:18:46 ID:nLc6Qxh20

                   ,.ィ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`、       | |        |
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                 レ;:::::::!i:ト、_,ゞ、`y,ィヘ.、:::::::!      | |        |
                  vヘ:{:::::::::::::}={::::::::::::リィ}iリ.       | |        |
                  ;:::;ゞム::::::::::ノ i:ゞ:::::::イ,´        | |        |
                  '::;}ハ  ̄  !;  ̄,'、 `!         | |        |
                   /':;八_r,ィニー.ァ / | |.、      | |        i_________
                   ,..ィ/ ,. ':;ィrヘ  ̄ /   !: i、::`:゙ー-..,,__ | |:       /;!|                 |!
              ,.ィ:´:::/   .ハ ', `ー―',r  ノ  ヽ:::::::::::::::::::| i!     /  :!|                 |!
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         ,.ィ:´::::::::::::::::| ..ィ', ,.   !     ./,'::::::! '.::::::::::::::::{,.ィ=/       !|                 |!
         .{:|::::::::::::::::::::ノ/::::} {ー-.、  ,rー' ̄//::::::::ヽ {:::::::::::::::::|::| ||      !|                  |!
          !i:::::::::::::::::::::::::::ノ.,'   ヽ {   .,'(:::::::::::::::ヾ::::::::::::::::!::! !!       !|                  |!
         }!::::::::::::::::::::/  !    /   /  ヽ::::::::::::::::::::::::::::::|::| ||      !|                  |!
         リハ::::::::::::::::{   !   |   ,     >::::::::::::::::::::::::::|::レr|        !|                  |!
         ヽ:i!::::::::::::::::',   |   |  ./    /:::::::::::::::::::::::::::::!:::||.ト..     !|                  |!
          }:!::::::::::::::::::,.   i!.   ! /    /::::::::::::::::::::::::::::::ri:::|| !:       !|                  |!
         r':::i!::::::::::::::::::',   |  人/   ,.':::::::::::::::::::::::::::::::::!i ,::||,..!____,,,..!|_________|!
        /::::::!::::::::::::::::::::',  !- ´ ./  ,..イ:::::::::::::::::::::::::::::::::::i ! !:||  ____:||:::::::::::::::::::::::::::::!i
         /:::::::::!:::::::::::::::::::::'., '  ./  /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i!.i i::!i i'      /r':::::::::::::::::::::::::::::!}
       ./:::::::::::',:::::::::::::::::::::::ヽ. ∨ /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i | i:||        |.!:::>, ´.二ミ 、!|
      /::::::::::::::::,:::::::::::::::::::::::::ヾ,/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,! | !.!i        |.iレ' /.ィ:´::::::::::`ヽ '.,
       /:::::::::::::::::::,:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,.! ! ii.!ゝ        | ! ! {:::::::::::::::::::::::! .|
     ./::::::::::::::::::::;ヘ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;' | ! !.!|ヽ`::..、    i !:::., ,::::::::::::::::::,.' ,!
    /:::::::::::::::::::::/ ;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;' レ.ノ || ヽ、:::`::..、 | !::::.ヽ ゝ,;;;;;;;.ィ ,イ
   ./:::::::::::::::::::::/   ';::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/  i::::::::!i   ヽ.、:::..`::} ヽ:::::`ー-- =.イソ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
体が冷たくなっていく。
視界が明滅し、頭の中で鐘が鳴っている。
これまでか。そう思った時、誰かの体温を感じた。
メイヴが自分を庇うようにして覆いかぶさっていた。

「……退け」

「嫌よ」

「退けちうとるんがわからんのか!」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

1062 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:19:01 ID:nLc6Qxh20

                 |   ',          .//
            \ 、      .|    ',         ./ /
            \丶    ,|    ', ̄  </  /
            \ \ / l/| ̄ ¨ =- _ \ /
                  \//  |     __\∨
                |  _ L-=  ̄, -、ヽヽ,∨
                | /:::::/ ̄`>、ヒリ }::::〉 〉∨            撃つがいい、ウルフウッドよ。
                  / ゞ"_/ ̄ ̄`<ニニ彡≧\
              /∠ ̄ト、____/.|   ./////'>、         「…………」
       _        /´//\ト、 |    l/.|  /////////}
  _ -≦/       \///∧ l` /「`ヽ   ! l/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\    さあ、撃つのだ。
≦/////            \/ ∧∨ .|   ヽ,/ ./             \
\////     / ̄ ̄ ̄ ̄|/ ヾ、 .|  _∠ィ/                  ∧
//\/      /         |////`¨¨´ ///            >'" ̄ ̄ ̄ ̄
////\   /        | //////////          >'"





                ,.イ´_
               //////77‐-、
           _,..-=ヽ!'////////////>、
             ////////////////////ヽ
            /'//////////////////////∧
             ,'/////////////////////////,!
          ;//////////////////////////,!
           i/!////////////////////////!il
          l! l'////////////////// i///〃}!           ……あかんか、ミカエル。
              ゙ ∨////////////////.i !//,'′′
            ヽ'/////////////∧: l/!
             ∨///////////,' ゛'lリ
              }'////////// : /リ
              _,.!'"-――-"'、_ i /
            /          ` 、
          /__--―――--___丶
     _ -=ニ二二二二二二二二二二二ニニ=-_
  _ -=二二二二二二二二二二二二二二二二二二二=-_
‐二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニ=_
二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニ-_
二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニニヽ

1063 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:19:16 ID:nLc6Qxh20

 ー==ニ7/////////////////////////////`ヽ//ハ}/L..
     >//////////// |///////////////////////ハ
  -==ミ´/////////////ハ.|////////////////////////∧
    ///////////////,斗//!|!//////////ム、/////////
  /'///////////'|,//x≦=ミ、リ|/////////:´,へ\////////
//////////|/// ! / (・) ノノ|'//∧/// | { ゝヽ\//////
´/////////' |//、`|/ `ー=彡'  !///  V//,|人`ヽ }  V/////
〈////,ハ//ム. |/   ′       l//    Ⅵ/! ーヽ   ノ/////
. ∨//,| |///} ′     ∪  ノイ     八,|  r‐} ///////
  ∨/,| |///                        ,〈////////         ダチを殺したない思うのも……
.  ∨,!人/                      ヽノ ∨//////
   Ⅵ  `ヽ、丶    ..  ̄`_、       :     Ⅵト、///          ダチの女泣かしとうない思うのも……
    リ}  八  _  -‐   へ/  ハ       |     リハ V//
         :. \、rー ´ __ -‐'        l          〉´           あかんちうんか?
          、 ヽー ´               ノ       /
              \                     ′
                \           .. ´       /    /
                ヽ      ∠ へ      /     /
                 .     /    ヽ、  /       /
                 ー ´        /       /
                           /_         ′
                        入  `ヽ、   |
                      /  \   丶   |

1064 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:20:12 ID:nLc6Qxh20

                 \          .| | |          ./
                  ヾ、、       .! .! |        ./X
                   丶\     __! .| !_     ./..X
                    丶、\  ./ ! ! ! \  /../
                     丶\\  | .|  ! ::::V/,イ                   __
                       \./_ - .!  ト:::._::∨                 ,.。<:::::::::::::
                        |\  .\|/:::::::::>イ                 マ‐‐‐:::::::/
 ̄.\                    ,イヾ{\-..._|__::::/}/..ト、                \:.:.:.:.:.:.\
: : : : :.\              ァ===/ \`ー"ー.+=ーイ/..\===、              \:.:.:.:.:...
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::.::.::.::.::.::/:.:.:.:.:.\  ,.。<-  ̄ ィ====:..、ー、\、∧,/_==,二三ttx  ̄  = _     /  ................
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:ヾ、 ̄丶:.:.:.:.:∥/. ,.x<三三>" ̄  ,.zz===‐  |  ヾー=z、  ̄`ート、三三三>x .:::\!:!..:.:.:.:.::.::.::._x=
: : ヾ:::.:::丶:.:.∥:::::/二三/   ,.x≦三>" ,..:::イ,:k: : ::.. `丶三≧z、.|ヾ、 ̄X三三ニx:::::|::|:.:.:::.::.::/三三
: : : :ヾ、_::丶/::|::/三ニ三/    /二三/,..::イ:,>"./.ト.丶、:: : :..\三三! ヾ、...::\三二=、:}::!:.:.:::./三>=
:: : : : :ヾ:: ̄.|:::トL三三∥:.:.:.:.:∥.二三|イ:::::/  .ムLj_ .>ヤ:::::::::}三ニ!   \::::ヾ三三X{:::!::::∥レ"三三
|:.: :   ヾ.:/\! `<ニ{:::.:.:.:./三三三.!::/   /.,==、\∨ \::::!三zr=:: ̄\::|>イ::::|ノ\:|/三三三
i!: : :.   ヾ、:::::|:、   `ー=L三三ニX"  ,.。=X//.○ ::ヾ!.N=-。. >、三!::::::::::::::::::\_..z-==T!Y三三三

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「そうだ。神に従わぬ者はすべからく死ぬべきだ。
さあ、引き金を引くがよい。処刑人ニコラス、お前はそうあるべきだ」

しばらく沈黙が続いた後、ウルフウッドがパニッシャーを下ろし、
代わりに何かを打ち込むのが見えた。

「貴様、何を……」

すると、ミカエルの体が足元から霧散していった。

「どこまで行っても、お前は悪魔や。生体マグネタイトの供給を断たれりゃ、
そうして消える。天国の神様に言うておけ。お呼びとちゃいますってな。
誰かを泣かすような戦いは、これでしまいや」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

1065 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:20:47 ID:nLc6Qxh20

        ,.'/___
      _ .{i'"州州州州≧ ー 、
     ,:州州州州州州州州州州≧、
.    ,州州州州州州州州州州州州i≧、
.    .i州州州州州州州州州州州州州ili≧、
    ,州州州州州州州州州州州州州州州il
.   i州州州州州州州州州州州州州州州il!
   V州州州州州州州州州州'州i'州'州!i!l}
    l州州州州州/ヾi州州州リ,/レ' l/¬,┐リ.
.    州州州州州/ヽ V州州lil==il//l/,l.'ヽ __        ……どうしたもんかの。
    V州州州州、ヽゝ!州l l!!'   !|//ヾl.l i,' /
     V州州州州ヽ 〈 V l!       `´ ゙、!/ /        ここの施設はこいつが壊したことにするとして、
.     V州州州州! ー            , ' / .,イ
    ,-、彡州州州i! ヽ     ,.- 、  =/ ./==       町に散らばってる悪魔とメシアサマナーは……
   ,   ̄ ―-lリ._l!.   、   丶. 丶. i./  .{   !
. ,.‐-'__       ‐ .._ > .  ヽ  丶.   、 .}       ん? こいつらは……。
. !三三三三ニニ=- .._   `  _>_i      ;  ,'.!
/三三三三三三二二二ニ=‐- ._  ` ‐ 、  ゙   ,' !
二二二二二三三三三三二二二=- .._ \    /
二二二二二二二二二二二二二二二ニ=-ヽ_  {
二二二二二二二二二二二二二二二二二ニニヽ、

1066 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:20:59 ID:nLc6Qxh20

                     ,.'/_,.. '/.
                   , '      ~"'''‐- ._
             ヽz、_/           <´
               > _,. .-‐― 、       `ヽ
              /..,ィ'´  ヽ   ノ`ヽ      .ア
                /ノ.lノ, '⌒ヽ、二..ノ´ ̄     `ヾ、
              ,イ/.      _ヽ´ヽ、   _   <
                   {  ヽ.ヽlヽlイj`ヽ ヾz、lヽヽー―‐ァ              おたまさんは補助!
               ヽl、 泌、l  ヽ__ノ   lソノ    ,'....  /.><ヽヽ、
                _,.-‐'''"<        .<ヽ.    / . /ヽ//ヽ.ヽ.ヽ.|      ガルム、行くぞ!
            ,."  <´ ヽ⌒ヽ  ,   ヽ_ヽ  .人‐=zl lヽ、.   |
          /      >. `ー-<´、    ノヽ_ノ~T.Y⌒ヽl~ヽ   l
          ,',,     /   lヽr‐z ヽー、 '   ヽ.. l...|   }、/.}   /
           .)   /  `ヽ.ヽ  .⌒ヽ`、     .ヽ ヽl ./l>l...l  /_
         ,r‐、ソz.... /     .ヽヽ    ヽl      zヽ. ヽ〈/l/ /  l ヽ
  __,,..-―-`ー‐<三ノ_,..-'''"  ヾ}    ./ッ     _ ヽ ヽ/`ヽ.. |ーヽ.
   ̄.>.      ,.'''"  _,..-'''" |   /         /ヽ . l..r.',rァ..|..  .`ヽ
  <      ノ       ノ..../|  /    /   /`丶ニl .` ( ./ _  . )
   .ヽ__,,.. .''" z,_,..-‐‐、/ /   ,}       ,..-'.|`ヽ... ヽ. ヾノ´/... /
      /_,..-'''"     .ヽ./   ./ヽー‐,z,..-‐ァ_,..-'l, '´.> ヽ__.ノ... /...
     ./_,..-'''"フ ̄ヽ  ノ__,..'.ヽー'''~´   ./_,..-'./ /    ヽ   /
    /   /ー--''´ ̄´       ヽ.___ .l_,..'´ }´l'         `ヾ/
   /   /             /、     l ヽ..... |ノヽ
 ./  ,r´‐‐‐‐ァ          /  `ー- .___l、  `.<   ヽ
.〈  ヽ lヽヽ、/           /         ~"'‐ . ~"'''‐‐ァ
...|ヽヽ`、 ヽ/ヽ          /     、       `゙'' ./ ヽ
 ーヽ'`ー'´ ̄            /      ヽ     _,..-'     ヽ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
ウルフウッドがモニターを見やる。
そこには、見覚えのある顔が並んでいた。
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1067 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:24:05 ID:nLc6Qxh20

-: : : : : : : : : : \: : : |__,
: : : : : : : : : : : : :.} : : /
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: : : : : : : : : : : : :,ハ:.ト.:.:.\
.: :. :. :.|.:.:ハ.:.:i.:.イ( リ 7/;-`
:.彡i:/}:∧ノ/!,' ヾ ,,xヘ i≧、
ゞ´ハ{r'ヤ気ミヘ, ,r炒 ニニニ≧=-======- _                       これ以上学校に近づけさせるかっ!
ヽ`, ゞ `=´   ヽ  ;ニニニニニニニニニニニニ≧= = ==-_
`"::::..    __,´ /ニニニニニニニニニニニニ/ニニニニニニ≧                学校には桜がっ……!
\  > ( __ _ソ ,ィニニニニニニニニニニニニ<ニニニニニニニニニヘ
ニ∧    > --´ ゞ、ニニニニニニニニニニ=ニニニニニニニ/ニニミ=、_ _r'ZZ7
ニニニヽ`ー  ´ ,// `Y´ ̄ ̄ ̄ ̄´ Ⅵニニニニニ | /` Y :: :. ヽ////
ニ/"ヽニ\_ _  /ニ/  ノ             //丶ニレ   ::. : :. |''"´
/   丶ニニ`ニニ/  /           xf√レ (:::ヽ ヘ   i | _j,,ィ
       ̄`¨´   /        _ィ>''"´弋,, )_ノ//} __j-´"
             ∠___ -‐≦二マ_ _-=≦////>、__ノ
_____ -=≦二ニ////////////////////> ''"´
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                   _. ィ´
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     /:/   { : l::::::::::::::::/ヘ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧: ヽ::::ハ \
    ム ,/::::::::::ゝ、l::::::::::::::/、 :V:::::::l V }ヾ:::::::::::::::::::::::::ハ: :\l : : :\             なあにがメシア教だ! なあにが禁欲だぁ!
     /:::::::::::::::, -l:::::::::::{_:_\_:ヾ::::l : Vl : ヘ:::::::::::::::::::::::}: : : : : : : : : \
      i:::::::::::::::/, 、ヾlV:.:l/ i;i\ヾ:l-=.リ=-/、、::::::::::::::::::}: : : : : : : : : : : :\          ふざけんなよ! エロスはその程度のことには
.     i::::/ ,l::::{  ゝリ Vlヽ. i;i  ゝ、 /  イi / }::::/V:::::}\ : : : : : : : : : : : `ー-、
.      i:/   !:;::>、、 ヽ  リ ヽ-ー'     { =一/V/  V::l  `丶、 : : : : : : : : _.ィ´\      屈しねえんだよぉ!
        / : : :>-´`、     ,、     ゝ ノ/V   Ⅵ    \ : : : : : /: : : : : >、
      / : : / : :ヘ :ヘ\ ,/ヽ二ニニフ/ノ     リ      ヾ_,,:/ : : : : :/ヽ!
    ,/ : : :/: : : : :人 ヽ`丶、  _.ィ ´ゝ ゝ              \: : : ,、'    \
    / : : : :i ○: :/  ヘ : :ヽ、ゝフ   //0 /                  \{;;/     ヽ
   i : : : : : `¨¨\ : : : :ヘ 0 >レ  / /、 /                   {  λ   ヾ
    { : : : : : : : : : : ヽ : : : :ヽ/  !/ >' : : : >                  ヘ  { >  //
.   { : : : : : : : : : : : :\ : : :/`丶、  / : :/                    `゛ヽ-´¨´

1068 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:24:17 ID:nLc6Qxh20

               /′
           ___/::/-──-  .._
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      ∠/:::::::::::|:::::|::::::::|:::::::|   ',::::/::::::::く
.     /:::::::::::::::::|:::::ト.::::::|:::::::|   _∨:::::::ハ|
       ⌒丶::::::|::::|/_ \{\::| ,ィセッYV/                 これで借りを返せたことになるかは分からないが……
         >l/八 戈ラ=- ` {:.    }人_
.        ⌒八 {ハ      |:.  /:::く⌒                 まあ、やるだけやっておこうじゃないか。
         ⌒|ハ厂 丶    _´_  / \⌒
.             / ̄ ̄ \ ´ ー /ハ  \ _
.        / ̄ ̄ ̄\   「}厂 {  |   \ ̄ ニ=-  ._
.          /        \:|八__ノ\|:   ___>      \
.    ,. -─=ミ       \ 「 ̄\\/\ \   -─-   ,
    /       \\     /\廴 __」 |//∧   ̄\    ′
.    ′           \\_/   \l \|  /∧      ∨/  l
    |       -─==ニ ̄ ̄ ̄\   |__ .. -─‐ ',     ∨/ l
    |         -==ニ二 ̄ ̄/       ',     ∨/ ト
.   ,               /         ∧     ∨ |  `
    ′                       / ∧      ∨|     \
.    \_ _                      / ∧     } |         \
.      マニニ==──--==ニ___      __,//∧     } |         丶
       マニニニ==─     ∧  ̄ ̄ ∨//////∧   / :|           \
.         マニニ=─       / ∧     ∨//////∧ /  |<             } __
         \    /      / ∧     ∨///// /∨  |\` <_       ,/    __\
.           \ /        ,/ /\     ∨//////:|       \   `丶 _/  _ニフ\〉
              {            \__∨/////,|       \      ー ′

1069 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:24:28 ID:nLc6Qxh20

      /  ,ハ  //.//    ,ィ
      ,'! / / ∧/ 'レ / ,.ィv// _,,.
     i lV/ / .l,' / /'" //./´,./
      l l.〈 l ト ! ,' / / / /V:::'::7 _
    lVi ';::i l !  ; // / ソ::::::::/:"/´
    l:::lヽ ';:!l  l i /ハ / /::::::::/:::::::イ
 ¨、 ̄ヽ:i 冫ハヽivl //l 〉/:::::/::/::::::::/ィ
  /¨´/:l// `^゙^''"'' j./''"´ソ::/::::::::::/:/
  ,レ/l/V/<、     /  _ /_:::::::::::/
  / リ i ハ 代h、  _,.ィzァヲ /´ }::::/           // \
 ヽ、   └i´ ¨ ト!‐ i´ ゙ーY/ ,ノ/            / /   丶、
   \r‐- iー'ノ  ヽ... ノ  i:/  __         / /,' ゙丶、  ./            ハイ、そこまで!
 \   l ヽ、', 、`...__ ,,..、 /.i二¨/ i    _    // / ゙丶、  >'
 、 ヽ l /\ハ r、`ー ' /   \ l /  ヽ // /     `>              殺しはしないさ、一緒に唱えろ!
   ̄¨ ┴、::::::::`ヽ,.--/:ヽ、  /`>-‐,、 .///  /      /
 __,,.. -┴‐ァ、_,.i::::::::::::::::::\  └ ' ノィ//   /         /                ラヴアンドピースだ!
   / __,,. イ  /:::丶::::::::::::::ヽー一 "//   /  __     ./
 ¨"´ ̄   //i::::::::::::::`ヽ:::::::::::ハ /./   / ,.ィ",.-、.ヽ. /
       /:::::li. l:::::::::;;_:::::::::::\/ ./    .{. i. { i:::::;リ }./
      ,':::::::l.i {:::::::::/:/丶、/'⌒/     八 ヽヽ.¨_,.ノ/
        ;::::::::Lliヽ::::::i:ソ、_  )' r;V        丶`ニ ¨ィ
      iー--ヾ、 `ー┴─.'!(()/            ,. '"ヽi
.      i  ノ ノ`¨二´i /,)/        , イ ヽ   i
     l ¨´ / __   /ヽ/ ∧     , '、   i l   l
  丶、 `ー- /::::::`Y__¨´//) ヽ ..,,.ィ"`ヽ V  l ./   .l
    `丁 ̄i::::::::::::/:::::} ^'/ \rヲ:::::ヽ ';:::', iト、 i'   _.」

1070 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:24:42 ID:nLc6Qxh20

                  ,.、-:::丶,.:ヾ: :../:... _
              ,.'‐':'`':::::::::::\::!/: ̄::::丶
              ,/::::::,./::::::::::::::::i'::::::::::`:::::::::::ヾ:
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            /:::::::::::::::::::y::::.j://l::/:;i':::y:i:,::丶::::::::ト::::::、
           ,'/〆::::,':::::/'!:::/∥ .!.!:/!:::i'l:i';:iヽ:!i;:::l:::i:::l:!'
          ,''::::::::::':::::,l__l/__'_, !/ _!::l,_’;!__':i リ:|::|::|:|'
.        '.|ハ::l::::!::l:::!'//////l━l,ヾ!////リ`!:Νリ:j'
           |'::|:::i::|::l//////,!.:|. !//////,l .!':.!:iY:|'         さて、後片付けしよか。
.               γi|.!::l ̄ ̄ ̄.:::|  ̄ ̄ ̄ ' l!ソ.j!リ
              ','j' !:|     ':;L,  .;;'     i' //
.              ヽ ':!.       _ , ,》 ,.  .ノi;:;"
                  仆  ー ' ,二'," ̄   / |l;'
                    \           / |;:._
                   ';\,    /   才 .\.
                     | .丶--‐'’  x<    .〉._
                /',       x<       /ニ二ニ- _
                 /  i     /          /ニニニニニニヽ.
              /     |   /         /ニニニニ二二二\
            /       | /             /ニ二二二二二二二二\
             ∧       / |`ヽ           /ニニニ二二二二二二二二\
             / ',    /   |   ヽ        /ニニニニニニ二二二二二二二\
         /  ', /    l _.-ニ\    /ニニニニニニ二二二二二二二二丶

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「ありゃりゃ、そこら中のメシアサマナーと悪魔が、
ようわからん奴らにぶっ倒されちょるな。ま、ええわ。ここまでくりゃ好都合さかい」

そう言って、ウルフウッドはパニッシャーを機械へと向けた。

「じゃあな、喜留夫。ええ風が吹けば、また会うこともあうやろ」
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1071 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:25:00 ID:nLc6Qxh20

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                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         └──────┘


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                           │::::::::::::::::│
                           │::::::::::::::::│
                           └───┘


                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘


                               ┌┐
                               └┘


                                   □

                               ・

1072 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:25:16 ID:nLc6Qxh20

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こうして、十年前の再現は防がれた。
全世界の現地のサマナーや市民の抵抗に遭い、その戦力を大きく減らした
メシア教は、これからの活動を大きく制限されることだろう。

世界への傷跡は決して浅くはなかったが、それもいつか癒えることだろう。
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1073 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:25:43 ID:nLc6Qxh20

                          \丶、
                 _. -‐::::::: ̄:::\:::\ }ヽ
            --==ニ::-‐::::::::::::::::::::::::::::::_:::ヾ::::}
            ..:::´:::::::::::::::::::::::::::::_:::::::::´::::レ1::ノ――‐-
          /::::::::::::::::::::::_.:.-‐::::´:::::::::::::::::::::|´:::\::::\ー-ヽ
         /:::::::::::::::::::::::/:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::: ノ::::::::::;}\:::ヽ
         /:::/:::::::::::::/:.:.::::::::/:.:::::::::::::::::/:::::::::::〃::::ヽソ
          //:::/::::/:::ノ::::::/:::::::/:::::::/::/:::.:.:::://:ヽ::::::.
         //::::/:::::::::/::/::::/::/::::::/::::::/:.:.:.:.:/:/ヽ:::::;:::i::,
        /::::/::::::/:://:::::/:::::/:://__.ィ/..:..:..:/:/ハ::::';:::i::ト:::、
        l:::/:::::イ/::/ /:::::/::::/´/ャテミ lッ:/:,イ:/jソ l ;::i:::|リ `
        |∧::::::ヽ/ /:/::/:::::l:::/ 込ソ |::// レ{´  | リソ
     _. -┐ rハ:::::/:\!/:::イ::::/レ'      l〃   ヽ  l
     !   VL Vヽ::::::ヽヘl::/              _.ン/
     ヽゝ `7}   ';:::::i::ハ ヾ            ´_. /
     ヾ:、ヽ {、ヽ ___ハ/ソ }  \      '" 二 /
      _ ̄ \  /    \   丶       /l
   /   ヽ   }∧       丶.__ ` ーr---‐ } |
  /  /   ヾ-∧ ヽ          ̄ ̄ ̄「|// 〉
  /      /  \ \           l | /


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葛葉雷堂はあの後、メシア教を離れ、葛葉再興に奔走しているらしい。
自分の未来について、思うところがあったのだろう。

次会った時には、飯くらいは奢ってやろうと思う。
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1074 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:25:58 ID:nLc6Qxh20

  ////////////////\////////|i .\ //___ヽ|////////////////∧
 /'´ .|/////.//////./  \///////|i /X `< ̄ ̄`ヽ `、/.////////,、////∧
    |////////////    \/////.|i'./.'´|`  .i-ix、.| |//////////ヘ∨///∧
    |////|//////|,x―――‐.\///|i   ヽ、 |ヽ' |/ .|//ヽ/////ー'´ ∨////>
    |////|/从//.|  ,xー―x、. \/.|i    `ー`ー'´ .|/ ヽ////'´~`l  ////
    |////|/||、//|  ||   /|_l,ヽ  ..\|i、            ヽ/ 冫||/ .////|
    |/////`||///|  ||、  |:::::/    ``           .lヽ、 .〈 |ヽ《////|
    |//\/| `、/.|ヽ  `ー―'    .|              |  .` > .| `x////
    | /  `、///∨/>、       .、  _           |  .| ̄ヽ\   ̄
    //   `、///./ `、       `         ,z   |  .|   ``x_/ ,
   /     `、/、\ .`、            ,x '´     |  .|  ...| ̄ ̄  /./
          |/|ヽ//\`、      _,x '´         `、  ̄``|   / ./
          |//  ヽ///`ヽ、       _         |l / ̄``| /   |/
          |/   ヽ////`ヽ、             / |l ヽ、   |i/
               `、/∧//\           /   .|l  `ー/
                `./| .`ヽ//\        ./    //   /

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史門は最近大人びてきた。サマナーとしての実績も着々と身についてきている。
今後、何か大きなことをするとすれば、それは史門のような人間だ。

大いに期待させてもらうとしよう。
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1075 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:26:11 ID:nLc6Qxh20

                                       ,.、
                                  fヽ .!.| 「l
                                    i ゙. ! l ! l /〉
                                     l. ゙.l l,' .レ /
                                < 、.!  i :  ,'
                                 ヽ.     ;  !
                 _,......_              ヽ 、 ,.,.,-―‐-、
                  -‐_,,,;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、               .>"//////./{
                /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,             V////////∧
                 /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'             ∨///////∧
             ,'";;;;;'―――――‐ヽ、             .V///////∧
               ゙ / _ ---――――`777777ヽ_,.._     .∨//////∧
            _ -‐'"/////////////////////////////7-., ,._ V//////∧
        _ ‐//////////////////////////////////////////゙///////∧
      ;///////////////////////////////////////////////////////∧
     ,'.////////////////////////////////////////////////////////,l
     }//////////////////////////////////////,'-== ∠∠///////////}
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    l//////////////////////////////////////l
.   l//////////////////////////////////////l
   l'///////!//////////////////////////////!
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   l///////!.  ∨/////////////////////////,!
  ,l///////!   ∨////////////////////////i
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.  \'////////!'////////////////////////////,ヽ
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      ヽ//}////////////////////////////////,l
        V}/////////////////////////////////!
.        }/////////////////////////////////,!
        ヽ/////////////////////////////////l

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ウルフウッドは、イギリスのとある孤児院で目撃情報があったっきり行方知れずだった。
後は、イギリスのメシア教支部が壊滅したらしいが、何か関係があるのだろうか。

ともあれ、簡単に死ぬようなことはあるまい。
また夜酒を共にしたいものである。
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1076 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:26:25 ID:nLc6Qxh20

     カタ        ____
       カタ    /         \
  < ` ヽ 、    /  :::::::::       \
  /`ヽ、  ` ヽ、  (●)  (●)      \       さてっと。
/    `ヽ、/ i (トェェェェェェェイ)     |
`ヽ、    / i  i、 \ェェェェェ/     ./
ヽ  `ヽ/   i  i ヽ、 ̄ ̄ ̄      |
.l `ヽ、 i      i  i#`ヽ<⌒ヽ、/ .ノ.|
..l    .`i      i  i####>`ゞ_、_,,/ .|
 `ヽ、  i      i/ヽ//:::::::::`ヽ、  |

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
喜留夫も依然変わらない生活を送っている。
何度かメシア教からの刺客を退けたが、その程度だ。

何より、一応喜留夫はメシア教の最高戦力であるウルフウッドを倒したことに
なっているので、これ以上戦力を割いても無駄だと判断されたのかもしれない。

だが、名声が与えられることもなければ仕事が増えることもなかった。
それもそうだ。何も喜留夫は、これからメシア教の企みを潰しに行きますと
周りに宣言してから行ったわけではないのだから。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

1077 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:26:42 ID:nLc6Qxh20

               ____
    , ヘー‐- 、    /      \
  -‐ノ .ヘー‐-ィ  /         \        お仕事だぞ、おめえら。
 ''"//ヽー、  ノ / (●) (●)    \
  //^\  ヾ-、| (トェェェェェェェェイ)    |
,ノ   ヽ,_ ヽノヽ_\ \ェェェェェ/     /
/    <^_,.イ `r‐'゙ ::::ヽー‐-..、  ,..-‐|、
\___,/|  !  ::::::l、:.:.:.:.:.ヽ /:.:.:.:.| \

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
一つの大きな戦いが終わった。
けれど日々は終わらない。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

1078 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:26:53 ID:nLc6Qxh20

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
人と悪魔が織りなす、時に悲しく時に優しい、この日々は。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

1079 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:27:05 ID:nLc6Qxh20

.:::: //   .イ ィ   ,.イ /   /
:///  ..:.:.:: | (( __  /|f:   /j'ノ ノ i!  ,  /    ¦       !   i!
 (:::/.::::.:::::.::.::::j   ⌒V 人_ゞ〃:| rイ: ¦ /  ′  !  i!i!         |  ハ  〃
⌒:/ ::::::::::::::::/   r_ノノ |!   i! | | !  | .′/⌒ヽ¦!:|i!i! i/       | / ハ { {
:: /   :::::::::/ !::!    | |!   i!_ j ji:!  | !  !  ヾYi!:i! i!/      j,/ .′ ヾゝ
./:::: .:::.  ∧ ! |   | |!ノ⌒ィ'⌒ヾ|!‐ ,| !: !i!   ,j ! i!,//i.:! i! i! /! / /   /   i!
ーi .::::: /::./ | |¦   ¦ .'⌒Y jー:く⌒jハ|__i!_|,!  l7| j!/ ハ: i! j/ j/ /   /    ′
  ヽ_ /:::/ ::: | |:ハ ¦:|イ广f:.!/て癶'V^Yハ___ ヾ_ノ ノ_/__/¦| i! / / /    ′   ′
ヽ.    ̄L 从:!:| ヾ  从rー弋j心ノ :〉イj ハi!;i!`ーイi! /// `ヽ| |/ イ /   /    ′′
:::::V⌒ヽ  ヽ |  Y 八 弋__フ ノj:入从 ! i! i// j///i!¦| j ' / j!/   /    //
::      j   |:|  :トく  ゝ..._ ノ_ノ_ノ八   〃 /ィz=j!、!ノ// / /′ .′   //
 .::/   7  ゝi   .:| 弋- _..> √ 勿 ノ    '芹ぅ:.:::::癶X彡イ /   /    //
:::ノ  イ  厂|| 从   )ノ `ー ´ (⌒       弋ゝ=.:.fr:ー彡ィ/   ハ  //  .:/
.::: / ノ:/  || : |j          ,          `ー‐^´ /イ /   / /  //  ィ.::i!:.ノ
/  イ    / ! ! |ハ                       //  / / jィ´  ̄   ̄
  ::〃|   /,.¦! |从.         r‐                /// ./ / //   厂 7   /
 .:/ ¦  / |! | jへ      ` 一`            ///  ' :/ /j  / /   イi!
/   .ノ  '/  ハ ! !(___ノヽ                    // ′ ' /  _j  レ'′  /:.:.:!
   ′ / /  i! !|//__,ノ \          r  ┬イ/    j/  )...____..:.:.:.: !
 /i!  ′ !  i! !|/(:::._ノ⌒jヽ. _ ___ _j   ノ/    /__ /./     \..:.:.:
/:  i!  !  |  i! /! 「  | r'⌒)  厂`'Y    } /' .:.:.:.:.:. /'´  ./         \.:.
   i!  !  |   ヾ.' j  |  :| |  !   j   人___ノ'/ .:.:.::.: /_j  /./   (●) (●)  \
   i'.  ', i!  /ノ   |  :!ノ ノゝ_ノ / ,: ´ /.:.::.:.:.::.イ :. `|  !:.|   (トェェェェェェェェイ)   |
   i∧  ヾj!  .′  ノ  /___  ( ,イ/.:/.::: ト、/ .::!:.:.:./!: |:..\  \ェェェェェ/   /
   |  ヽ  \(   (  // √ ヽ /.:/.:.::.:.:.人. \:.:.| :./:.j  ト: .|          |
   i!   ヾ   ゝー⌒)/  /  / :/.:.::.:.::/.:./.ヽ. ヽ___ノ  厂:||        / |
    '.    \   /  ⌒) /  /.::.:.:.::/.:.::.//:.:.::.レ -- イ:/.:.:||       ./ ||
    ヾ     )/     y   / ...::.:./..:.:.:.://.:.:.:.:.::.:.:.::.:.:.::..:/:.:.:..(_|   r  /  (_)=|三三ラ
                                       ヽ  |/
                                        >__ノ;:::......
                                                           〜FIN〜

1080 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:29:53 ID:nLc6Qxh20

        、 - ‐‐ -,
       ,´: : : : : : : : :
      ゙i : : : :○ ○゙i
       }: : : : : : : _ _ _|       ぬわああああん疲れたもーん。
       |: : : :-=´_ _,´
      y' : : : : :_: : : : :i        終わった終わった、おわおわのおわだね。
     / : : : : : : :┌─┐
     i : : : 丶: :ヽ{ .茶 }ヽ       一年くらいだっけ? みんなここまで読んでくれてありがとね。
     r : : : : :ヽ、__)一(_丿
     ヽ、___ : : : :ヽ : :ヽ
     と_ : : : : : : ノ : :ノ
       ̄ ̄ ̄  ̄

1081 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:34:47 ID:nLc6Qxh20

       , -‐   ‐- 、
     /: : : : : : : : : : ::',
    , ': : : : : : : : : : : : : : :',
  /: : : : : : : : : : : : : : :○:',            今作は「命の価値」をテーマに描いたつもりだ。
  ヽ : : : : : : ○: : : : : : : : :',
 .  `ト : : : : : : : : : : : _,-‐'`iヽ _         色々>>1の思うところを作品に込めたので、少しでも感じてくれた人がいたなら嬉しい。
    i: 丶: : : : : :,-‐'´__,-‐'´: : : `ヽ
    | : : :ト: : : : `-‐´ : : : : : : 、: : : 丶      それじゃあね、シーユー。
    | : : :'、j`-‐ : : : : : : : : : : : \: : : ヽ
    丶,,:_:_:_: : : : : : : : : : : : : : : : | : : : i
          `ヽ: : : : : : : : : : : : `ー‐'
             ヽ: : : : : : : : : : : : : ヽ





                  . . .-─‐-. ミ
                     |: : : : : : : : : : `: ..
                     |: : : : : : : : : : : : /
                    }Ο : : : ◯: : : :,′
                   : : : : : : : : : : : :i
                      { -===- 、: : :. :.|        あ、一応次回作も少し考えていなくもないんだけど、どうする?
                    〉: : : : : : : : : :ノ
                  i: :`ニニニ´: : : : ‘,        チミたちもうお腹いっぱい?
                 __/ : : : : : : : : : : : : i
      ___        /.: : : : : : : : : : :‘,.:.三|
     / :::: ヽ: : : :‐--∧_: : : : : : : : : : :./:|: : : |
     .′ :::::::‘: : : : : : }/∧ア´二二ヽ:/ | : : ‘,
.    ‘::::::::::::::ノ: : : : : :ハ \{/: : : :/⌒゙ヽ : : :‘
.       ゝ-=彡-──<¨¨゚‘; .: : :./:::::::::::::::} : :. :.|
                 \: :′:::::::::::/______」
                     弋:::::: /
                       `¨´

1082名無し-Red-市民-2:2018/11/18(日) 21:49:02 ID:PPyFzIfI0
まだまだ食い足りませんね

1083 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:50:44 ID:nLc6Qxh20

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
遠い遠い未来の世界。
人類は環境汚染により生存圏を減らし、人口も減少の一途を辿っていた。
国家は力を失っていき、軍事力も企業に依存するようになっていった。
国家の軍事力の要であった人型戦術兵器、アーマードコアも、
それの発展形であるアーマードコア・ネクストを企業が開発したことにより、
それは決定的なものとなった。

最終的に国家の枠は失われ、その時最も世界で力を持っていた組織である
企業という概念が人々を統治し、管理し、保護するようになっていった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

1084 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:50:57 ID:nLc6Qxh20

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
経済市場を企業が独占し、その他の人々はコロニーに押し込められ、
日々の糧を得るためだけの労働に従事させられる。

そんな中、企業は経済戦争においてアーマードコア・ネクストと、
それに搭乗するリンクスという傭兵を起用していた。

これは、とあるリンクスの物語。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

1085 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 21:51:22 ID:nLc6Qxh20
                                  j}      /      f´   ,′
                               j}     /     /   ./_
                                  j}    / `ヽ   /     ./   ≧ー--、-、
                         jI斗ャ≦j}  .___/   /_/   ,.。<         \\
                       ,ト、/ヽ/ __   j} /-/  /      /   r‐、     ___  \\
                  ト{:V: i :}: :/_:_}__/-、!- /-'´{/{_/i{ ./  r '   ー‐<`ヽ、     \\
                 <:jI斗<:-:-:_'ノ/  }、  /  }!  }__/            `ー―‐、_ \!
                 _ -//ヽ  }、:_:_/ /--、/:} ´   〈   /  }_               \_ \
                  _ -  //__jI斗<>、!〈  /::/-/ {  / /  // ≧s、        ____ .\_ \
                 /, < >゚´___     i ヽ/゚゙´/ /  //`ヽ,//     \  ,. -'"´      `¨ー 、
           /<>゚´ ̄ ̄ ̄≧、/ >、_}_/ /  ,/ /、__/::{------ 、_./            ヽ ヽ、
         _ -´         。<___r<|! ,  i f   , ヽ V::::r--'<_ .,,.-'"          ,,.-'"`     ヽ、
  【やる夫は誰かのために戦うようです】.|! ,}, / /  /、_//_`ヽ     /        、__,,.-='、':'"        ヽ、
    _ -      。<> ゚ ´            |!.,}  / /__,/  }r ,}   .i へ___,    " ゙.゙、;;;;::',ノ           ヽ
_ -      。<>゚´        ,。s≦{  i|/ /ィ゚´ ̄、    /ヽ   ./ i ゙:;;;;;,:〉     `''''''"             ヽ
     。<>゚´           , < {/_,}  ' ´__ノ、>、  >-、 / } }ヽ../ . ゙ー-''"       ヽ               i
, 。<>゚´              /  /   /´_ ̄_{ { Y i´ __,/ ノ/ /./    i   人     ノ               l
>゚´             rzz}_/   {ヽ´---{ ヽ,ノ`- ´/,.。s<___/..,'     ' ,_,,ノ  `─-‐' ヽ               l
                 {il{  `ヽ  _/、_}_{≧s、{---/__,。<>゚´.i      `、  _y──‐ l               /
             ノ }  ,。z}t-{ノ{ー---、 i {--/ /----<_>、_.',       i_/  / _ '              /
               /  ヽ'゚    }ヽノ       ゚マ{-/ /< _     /.ヽ、       ̄ ̄               /
                /      /  〉         i_}_/-、f゚´  `ヽー/   . ヽ、_                     /
             {       }  /          ヽi       r≦二{rー--、/_.`¨i                     ヽ
            /     / /               /__>r‐< / i/ /                      ヽ
              /    / /                { /  { r'ヽ rー../                     ヽ
                                                             【開始日……未定】

1086名無し-Red-市民-2:2018/11/18(日) 21:54:03 ID:b7MA/DsM0
乙でした
それはそれとして体は戦いを求める

1087名無し-Red-市民-2:2018/11/18(日) 21:57:11 ID:8A6.UuIU0
完結乙
雰囲気が好きで楽しませてもらったわ

1088名無し-Red-市民-2:2018/11/18(日) 22:01:31 ID:IZH1Aqco0
おつでした

1089名無し-Red-市民-2:2018/11/18(日) 22:06:38 ID:PPyFzIfI0

次回作も楽しみに待ってます

1090 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 22:15:14 ID:nLc6Qxh20

            _ _ ___ __ _   __
            / :::::::::::::::::: :i,   .ヽ::::::\
           i:::::::::::::::::::::: i  / \  \
           i :::::::○::::○i/      ̄ ̄
           / :::::::::,,- -_ッi    i i i
          /::::::::::`ー‐'´ヽ   __i i i--i        こんな感じで、次回作はアーマードコアというロボットゲームを題材にした……
           /|::::|::::::::::::::::::|:::|   ̄ ̄ ̄|::::::::|
        /::::\ヽ :::::::::::::i:::|      ノ__ノ        エロゲだ。タイトルからお察しの通り、エロゲだ。
         /::::::::::::\\::/|:::|
    .   (_ _.) ̄i __.\\ |:::|    i i i            まあスレ建てといたから、そっちへGOだね。
      /::::::/| ̄|ヽ::::: し( メ    ノノノ
       /::::::/ノ_ _ノ >:::::)     \               ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/15257/1542546882/
    /:::/    /:::/        \__
   /:::::/       (_つ        /:::::::::/
   し'                  ノノ・ ./∴:・:
                   ~~~~~~~

1091名無し-Red-市民-2:2018/11/19(月) 01:12:18 ID:.vyGnyAk0
完結乙

1092名無し-Red-市民-2:2018/11/19(月) 19:41:01 ID:l7xkOY1M0
祝、完結!
お疲れ様でした。
ある意味、名もなきサマナーのままだったのかぁ。


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