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仮面ライダーオーズバトルロワイアル Part4

332交わした約束と残した思いと目覚めた心(前編) ◆z9JH9su20Q:2016/08/21(日) 18:07:48 ID:UHAKG6eE0

「それより今は、あんたの力を貸して――仮面ライダークウガ」
 故にさやかは、ユウスケに助力を乞うた。
「悔しいけど、あたしだけじゃまだアポロガイストには敵わない」
 立ち上がり、再び武器を構えた赤い怪人と向き合いながら、エターナルは微かに声を震わせる。
 先程の短い攻防で痛感した。いくら同じ祈りを理由に彼の力を継いだからって、自分はまだまだ亡き師匠に追いつけていない。
 しかし絶望する気も、意地を張る気もさやかにはない。そんな必要はないのだと、克己と過ごした時間の中で学んでいたから。

「克己との約束を果たすには……あんたの力が必要なんだ」
 あの悪を、克己の仇を一人で倒せる力が――ないわけではないのに、使い熟せない自分のことは確かに悔しい。
 それでも祈りを忘れることなく。さやかは素直に、出会ったばかりの同志に共闘を申し込めた。

「……わかった。大道さんには悪いけど、俺も今は一人じゃあいつを倒せそうない……」
 そんな新たなエターナルの言葉を受けて、クウガも落としていた視線を眼前の敵手に向け、少女の隣に並び立つ。
「だから、君の力を貸してくれ……仮面ライダーエターナル」
「オーケー、望むところっ!」
 弾むような声で頷き、エターナルはクウガに背中を預けて得物を構える。

「……ちぃ、小癪な仮面ライダーどもめ」
 その様を見て、忌々しそうにアポロガイストは舌打ちした。
「二人がかりとはいえ、弱体化したクウガに中身が小娘となったエターナル……貴様ら程度、このハイパーアポロガイストの敵ではないのだ!」
「……やっぱりやってみせなきゃわかんないみたいだね、あんたみたいなバカには」
 構えを解かぬまま、エターナルは最早怒りですら無い闘志を胸に、アポロガイストの言葉を否定する。
「それにあんたの敵は、二人だけじゃない――!」
「ふん……今更アンク達が、何の力になると言うつもりだ!?」
 少女の啖呵をアポロガイストが嘲笑い、それにさやかは笑い返す。
「だからわかってないって言ってんのよ、あんたには!」
 今――ここにさやかを立たせているのは、さやか一人の力ではない。
 さやかに勇気をくれるのは、ユウスケやアンク、ネウロ達だけではない。
 こんな自分を認めてくれた、忘れ得ぬ仲間達が今も、この胸にいるのだから。

「何をわけのわからぬことを……まぁ良い。せいぜい現実を知って絶望するまで、滑稽な夢でも見ているのだな!」

 さやかの言葉の意味は、悪の大幹部に届くことなく。しかし届かせる必要もなく。ただ今は、この力でわからせてやれば良いと彼の形見(エターナルエッジ)を強くその手に握り込む。

 次の瞬間。赤い翼を広げ、迎え撃つ悪の大幹部と――地を蹴った二人の仮面ライダーの間の距離が消失し、雌雄を決するべき最後の戦いの火蓋が、ここに切って落とされた。








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「……ふむ。まずいな」

 そうして始まった激突を目にして呟いたのは、傷ついた身体を引き摺って戦場に向かおうとしていた魔人、脳噛ネウロだった。

「笑えるほど遅いとは思っていたが、本当にここまで遅いとはな……」

 魔人の手の中には、残された魔力の全てを費やし召喚(ローディング)を始めた絶対無敵の切札が、その片鱗を顕現させようとしていた。

 魔帝7ツ兵器(どうぐ)が一、“二次元の刃(イビルメタル)”。ネウロの手持ちの武器の中でも最強であると同時、グリードと化し、通常の手段では息の根を止めることのできないアポロガイストを唯一倒し得るジョーカー。
 その強大過ぎる力故に、召喚には莫大な魔力と多くの時を必要とする。そもそも瀕死に近い今のネウロが使用できるかも怪しい代物ではあったが……意外にも、発動自体に課されたコストは低かった。
 攻撃できる範囲と捕捉数が劣るためなのか、他の魔帝7ツ道具と比べれば、Xとの戦いで使用したそれらの半分程度のメダル消費しかなかったのだ。


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