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【イベントB】欲望渦巻く魔都・異能都市【その9】

358アーリル/アイリス:2019/03/04(月) 22:43:46 ID:ORmT3UkU0
>>357
アーリルは何も語らなかった。いや、語れなかった。
彼女は、少し前の自分と同じだったんだ。
弱い自分。自分も兄の蘇生を望んだ。守ってくれる人がいて欲しい。
では、何がきっかけだったか。それはアイリスの視線から語られる記憶。

「…私だって同じです、リンネさん。
 私も、兄s…姉様を求めました。守って欲しかったんです。一人は…寂しかった…。」

アーリルの場合は、自分の所為で、兄を殺した。自分が生きる為、兄が死んだ。
だから、アイリスに対する負い目は相応に重かった。

『約束…か。リンネ、一人は寂しい、といった感覚は捨ててはいけないよ。
 もっと周りに頼ったら良いんだよ。一人で出来ることなんて、たかが知れてるのだから。
 僕なんて、周りにたくさん頼ってきたよ。それこそ、迷惑なくらいにね。』

考えてみなよ。この都市の住人なんて厄介事なんて大歓迎な人ばかりさ、なんて笑みを浮かべた。
アイリスはリンネことを心配していた。何処かの悪いやつに攫われていないか。何処かの組織に捕まっていないのか。
体が生き返ること無く、土の中に入っていないか。はたまた殺人鬼に狙われていないか。好事家に売られていないか等など。
それはもう、本当に心配した。
この都市には可笑しな性質を持つ者が多く、戦う力を持たないリンネには抵抗出来ないのは明白だった。

『ただ、この子の容態が急に悪化してね。その前に伝えることが出来たら良かったんだけど…。
 とにかく、改めてただいま、でいいかな、リンネ。それから、君も。』

ぎゅっとアイリスの腰に腕を回し、強く抱きつくアーリルの頭を撫でて。
花の髪飾りを見て、自身が残してしまった“痼り”を嫌でも意識してしまった。
本来なら、自身が感じるものでは無い、痼り。自分の行動には、胸を張れると思っていたのに。

『(蘇生を予測していながらも残される側の気持ちを考えていなかった、か。つくづく馬鹿だね、僕は。)』

ただ、アーリルが蘇生に走るのは想像していた。が、これほど早いとは思ってもいなかった。

「……姉様、お会いしとう、ございました…リルは大変嬉しく、思います。
 また城に来て下さい。今はルゥ…私の妹もいるのです。是非お会いになって下さい。」

『とはいってもね、僕たちはやりたい様にした。それが結果的に良い結果につながった。
 それだけだよ、リンネ。君が元気で本当に、良かったよ。』

アーリルの涙は止まらない。留まることを知らない涙は、溢れ続ける。
アーリルにとって、アイリスは自身の為に命をくれた人。そして優しく包んでくれた人。
アーリルはリンネに対して、僅かな嫌悪感を持っていた。俯いてばっかりの子。だけど姉様になっちゃった人を慕う人。今は嫌悪感は無い。
前を向き始めたのだから!そんな子は『応援』しなくっちゃ!

『ところで、今の日付はいつかな?』


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