[
板情報
|
R18ランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
Fate/clockwork atheism 針音仮想都市〈東京〉Part3
768
:
天体のメソッド
◆0pIloi6gg.
:2025/08/31(日) 21:25:29 ID:GKRVG56.0
その失意は凄まじいものだ。
完全な堕天を待たずして、既に天使は絶望の底。
とめどない自己嫌悪が少女の輝きを隠す暈になっている。
折れた手の痛みすら問題にならないほどの心の摩耗。
心はもうすり切れそうで、波打ち際の砂の城も同じだ。
今はギリギリのところで踏み止まっているだけに過ぎない。
「……あのね」
懺悔めいた悔恨を聞き届けたアンジェリカは、目の前の萎れた少女に――
「思い上がりすぎ。いい子通り越してちょっと痛いよ」
「あいたっ!?」
ぽか、と、軽いげんこつをお見舞いした。
咄嗟に左手で頭を押さえ、鏡越しに見てくる天梨にアンジェリカは嘆息する。
同時に確信した。この娘は巷で言われてるような悪女なんかじゃ断じてない。
むしろ逆だ。
輪堂天梨は、あまりにもいい子すぎる。
というか苦手なタイプでさえある。大衆の私刑に同意する気はないが、彼女が敵を作ってしまう理由も分かった気がした。
何ならアンジェリカ自身、さっきの告白を聞いている時には鼻につく女だなと苛立ちを覚えてしまったくらいだ。
「わたしはあんたのこと知らないから、知ったようなこと言うしかないけどさ」
アイドルとしてなら、彼女は確かに最強だろう。
自負が違う。自覚が違う。ジャンルに明るくないアンジェリカでさえこの短い時間でそう思わされた。
裏表なく、打算抜きに大衆の理想像を貫ける人間なんてそういない。
「世の中、そんなにあんた中心で回ってないよ」
要するにこの少女は、舞台の上と下の区別をつけられないのだ。
「っ、違……そういうつもりで言ったんじゃ」
「いいや、そういう風に聞こえた。少なくともわたしはね」
それがアイドルのあるべき姿だと言われたら返す言葉もないが、少なくともこんな非日常の中でまで貫くことじゃないだろう。
オンとオフの切り替えがないのは大半の人間に好印象を与えるだろうが、逆に鬱陶しさを見出す者もいるのは正直よくわかる。
というか、たぶんアンジェリカは後者側の人間だった。
この子と一緒にいると、どんどん自分を嫌いになっていきそうだから。
「あんたが天使であるとかないとか、はっきり言ってほとんどの人にはどうでもいいでしょ。
それを気にする奴なんておたくのヤバいサーヴァントと、あの無愛想なホムンクルスくらいじゃない?」
「……、でも」
「大体、その……マンテンちゃん? だっけ。
その子って、あんたがちょっと汚いところ見せただけで幻滅するような奴なの?
だったら付き合い考えなよ、そんな奴いてもいなくても変わんないから」
「そ――そんなことない!」
いきなり声を荒らげられてちょっとびっくりしたが、それだけ大切な友人でありライバルなのだろう。
きーんと残響の残る耳を指で穿りながら、アンジェリカは思った。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板