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UnHoly Grail War―電脳世界大戦―Part2

172 ◆yy7mpGr1KA:2024/04/24(水) 12:29:37 ID:bFgInopw0

「オレの投影が劣悪なのを除いてもどうやら理念的に先がありそうだ」
「それは……何でしょう、サリチル酸からアスピリンを合成するような?」
「例えが健全だがまあそうだ。アヘンからモルヒネ、そしてヘロインを合成するようにより上等というか悪質というか、改悪のアテがあるんだろう。オレのアンプルに近そうだ」

アーチャーも手段を択ばないタチだ。魔術髄液に近しいアンプルによるドーピングもやる彼は多少なりクスリにも通ずる。投影できたのもそれがあってだろう。

「そうなっても手を出したいものではないがね。それこそオレのアンプルでいい。まあ敵さんが仮にNPCを財布にしたくてクスリを流しているなら、オレの粗悪極まりない投影品を安く流せれば邪魔できるが」
「アーチャー」

ミヤコの声に怒気が混じる。
戯言であるのは承知だが、万に一つもそんな方針を取ろうとは思わない。

「みなまで言うな。もし乗り気な返事をしていたらその瞬間にお前を物言わぬ骸にしたろうよ、白兎」

試すようなことを言って悪かった、と軽く頭を下げてアーチャーは新たな話題を切り出す。

「さて、クスリについての犯人捜しは無為ではないが無駄ではある。オレたちでは答えの出るものではないし、何より答えを知ってるものがいる。そいつに聞いた方が早い」
「連れてきた少女ですか?売人はともかく、大元に辿りつけるとは思えませんが」
「ああ、あの娘から知れることはたかが知れているだろう。クスリの分析もオレの解析以上の成果は出まい。それより、だ」

アーチャーの手に再び魔力が奔る。
今度投影したのは彼の愛用する中華刀の一振りだった。

「オレの魔術属性、つまり専門分野は『剣』だ。そのことは話したか?」
「ええ、予選中に聞いていますよ」

それに最初に踏み込んだのが剣の丘なのだから、得手とする分野は想像がつく。

「剣であるならば解析すれば大概のことは分かる。見たことないものであっても、異なる文明からもたらされたものでもな」

理解の及ばない神代の兵器などもあるが、それでも刀剣の理解においてエミヤ[オルタ]は随一の英霊、その一角といえよう。
そんな彼故に知ることができたものがあった。
本来ならば異なる枝葉の英霊を知る手段は皆無なのだが、ここに例外が存在する。
手にした剣から創造の理念を、基本となる骨子を、構成された材質を、製作に及ぶ技術を、成長に至る経験を、蓄積された年月を知ることができる異端の魔術使いが。

「予選の時点でこの冬木全域に『剣』を張り巡らせている者がいた。だから念話を徹底させていたんだがその必要は無くなった。何せオレたちと轡を並べる黒のセイバーだったのだからな」

壁に手を触れ、語り掛けるアーチャー。
そこにもいるのだ、とミヤコに教えるように。かつ、セイバーにも伝わるように。

「聞こえているだろう、痣城双也?何やら手傷を負っているようだがクスリを処方してやろうか?お代はクスリの黒幕の情報と、両面宿儺・黒い烏攻略への助力でどうだ?」


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