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児童文庫ロワイヤル

411◆BrXLNuUpHQ:2025/08/31(日) 08:56:17 ID:???0

「あ、おい!」
「江戸川、借りるぜ。」

 スケボーを使われたこともそうだがあまりに平然とした態度に驚きを隠せない。「さっきの放送を無視してるのか?」と漏れ出た呟きに、相原が意外そうな声を上げた。

「信じたのか? あれを。」
「全部じゃない……よ。」

 ギリギリで取り繕うと、なんとか小学生らしい演技で問う。「でもあの人たちは、殺し合えって言ってるよ? みんな信じるんじゃないかな?」と。
 それを聞いた相原は、顎に手を当てて何秒か考えた後言った、「信じる部分あったか」とやや不思議そうな顔で。

「俺たちはあのツノウサギだかをぶっ飛ばそうとしてる、殺し合いなんてする気がないって言ってる。なのに放送は信じます、とはならないだろ。」
「でもわざわざ嘘を言うかな。」
「言うな。本当のことを話す意味が無い。」

 断言するような言い方の相原に更にコナンは問う。それはなぜ放送を信じようと思えないかというより、信じないと判断した理由が知りたかったからだ。

「本当のことを言わなかったら、誰も殺し合わなくなっちゃうんじゃないかな。だって最後の一人になったら助かるってことも嘘だって思っちゃうよ。」
「助ける気があるとは思えないな。そもそも最初から嘘だろ、突然誘拐して殺し合えなんて言うやつが約束を守るはずない。最後は皆殺しだ。それに嘘がバレる心配も無い。」
「そうかな、たとえば、誰が死んじゃったかを正確に言えば信じる人もいるんじゃない?」
「詐欺師が何言っても、詐欺ってない詐欺師ってだけだな。首輪に毒が入ってること以外、真実はわからない。」

 それに、と相原は続ける。

「あの放送でわざわざ着けた首輪を外すような事を言ってた。なんでそんなことをするのか、そんなことをしないといけないのか。それってつまり、首輪を外した奴らがいるからそいつらを妨害したいからじゃないか。」
「それは。」

 楽観的だ、が、当のコナンもその可能性は頭の隅にはあった。
 将来的な首輪解除への牽制ではなく、既に首輪解除を成し遂げた者への嫌がらせ。あるかないかで言えば、ありえる。しかもこの場合、別に嘘をつくわけでもない。単に動機を非開示のまま新しいルールを追加しただけだ。殺し合いの促進では無く、破綻を防ぐために。

「俺の仲間の名前も何人か呼ばれたが、あいつらはタフだ、殺されるより首輪を外してる方があいつららしい。」
「……僕の友達の名前も呼ばれたよ。きっと相原さんの仲間みたいには……」
「死体を見るまでは疑ってるぐらいでいい。俺もあいつらが全員死んでないとは思ってない。でもそれは、クソッタレな殺し合いを押し付けてくる奴の話とは関係無い。」

 トントンと首輪を指でつつきながら相原は続ける。

「この首輪に本当に毒が入ってるかも怪しい。確かめようとしたら死ぬからな。俺らなら全員の首輪に毒なんて入れないで、何人かはもっと安上がりなやり方をする。」

 おいおいと言いたくなるコナンをよそに、飄々とした態度で相原は言い終えた。
 相原にあるのは、あるいは安永などこの放送を聞いた相原の仲間にあるのは、首輪を着けて殺し合わせる側の視点である。
 さすがに人を殺せるようなアイテムはそうそう作らないが、激痛の1つや2つ与えるものやリンチの心得もある。その観点から見れば、全員の首輪に仕掛けをする必要を感じない。大半のものをハリボテにして、残ったものに手間と予算をかけてえげつないものに仕上げる。そしてそれを見せてみれば、楽でスマートな脅しになる。ようはリアリティを感じさせればいいわけであって、こけおどしでも見せしめを派手にしたほうが効くという考えだ。


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