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児童文庫ロワイヤル
385
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/06/04(水) 07:44:18 ID:???0
コポコポコポコポ。
ぬるめのお湯を注ぐと、4人分の湯呑みから茶葉の香りが匂い立つ。
エリンはお盆を持つと、それをテーブルの上に置いた。
「ありがとう。」
反応を示したのは陽人1人だ。カツエはポトフをがっきながら鋭い目を向けるだけだった。そして、凛は、泣いていた。
『広瀬崇』
その名前が呼ばれた時が、戦いに水が入ったタイミングだった。放送が始まって直ぐにその趣旨が当の放送によって伝えられ、自然と全員がそれに耳を傾けることになる。エリンたち3人は元より、カツエも自分の家族の名前が呼ばれていないかは当然気になる。そうして無事に『た』で名前が呼ばれなかったことで安堵し、小清水凛の名前が呼ばれてもわずかに身じろぎするだけだった陽人を締め直し、さてこれからどうコイツらを片付けるかと思っていた時だ。
「広瀬、崇……?」
膝から崩れ落ちる人間など、空手をやっていてもそうそう見ることはない。その貴重な実例をカツエは目にした。
その名前が呼ばれた瞬間、凛の体から全ての力が抜けたように見えた。横のエリンがとっさに支えていなければ、打撲は免れなかっただろう、ストンという落ち方。
カツエが何もしなくても、少女たちは無力化された。エリンは凛を見捨てて動けるようなたまでないことは短い間にわかった。その凛は明らかに顔面蒼白、1人では動けもしないだろう。そして陽人は自分が首に手をかけている。負ける要素など、ない。
それでもカツエは、放送が終わるまで、自分の腕に陽人が手をかけるまで動けなかった。
「……殺し合いなんてやる気はないよ、みんな。あんたもそうじゃないか。」
「ア……チっ!」
違う、そう言い捨てようとして、しかし、言葉に詰まった。殺し合いに乗っている。そう口にするには、あまりにも、あまりにもこの場の空気は死んでいたのだから。
(……いや、待てよ、そもそも、そもそも最初は同盟相手探そうとも考えてたんだ。ならコイツらって使えるんじゃねえか? たぶんクッソお人好しだもん。)
「俺は和泉陽人、あんたは?」
「……殺し合えば何でも願いが叶うんだろ? 信用できるか。」
「あんなくそみたいな放送の方が信用できねーよ。だろ?」
「……そうか、竹井カツエだ。」
それにもう1つ、カツエが方針を改める理由があった。
放送していた死野マギワは、カツエの参加していた絶体絶命ゲームの進行役である。ゆえに、彼女はその放送を真実だと受け取った。たとえ織田信長が呼ばれようが明智光秀が呼ばれようが、あの放送内容自体が何かのヒントも兼ねたのだと受け取った。残念ながらメモを取ることはできなかったので全部は憶えきれないが、それでも人数は把握した。
だが陽人たちはマギワもツノウサギも知る様子を見せなかった。だから真に受けない、信じない、値千金の死亡者情報を。信じることなどできない、あんな非現実的な内容を。
(家族の名前とか呼ばれればともかく、そうじゃないなら信じないもんなのか。てことは、コイツらが殺しに行く可能性は低い……?)
そして信じないからこそ安心できる。カツエは十中八九、追加ルールによるキル数レースは真実だと考えていた。あんなルールが追加されれば、集団で動くことなどできない。人数が集まれば集まるほど、殺し合いに乗るメリットが増える。だが、あの放送を信じないのであれば、その意味は大きく変わる。カツエだけが3人殺せるポイントをキープしているに等しい。
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