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児童文庫ロワイヤル

384◆BrXLNuUpHQ:2025/06/04(水) 07:43:51 ID:???0

(弾切れ!?)
「ガッ!?」

 撃ち尽くしたことを理解するより先に、今度はカツエが反射で殴りつける。今度も腕を動かされるが、体に染み付いた武道の動きは、人間の反射をも超える。鳩尾こそ外したとはいえ正中線にガードも虚しく正拳突きが突き刺さり、陽人は肺の中の空気を出しながら吹き飛ばされた。

「はっ……なるほど、罠だったってわけね。」
「違っ! ぐっ……!」

 上体を起こしている所に横から蹴りを入れてうつ伏せにすると、カツエはその上に乗った。にわかに鼓動を早くした心臓を落ち着かせるように深呼吸して辺りを見渡す。すると中空に赤い光が見えた。よく見ればそれが監視カメラだと気づく。なるほどこれで気づかれたかと、他にも何かないか探すと、車の脇に立ち竦む2人の少女と目が合った。

(……なんだこいつら。)

 少女たちが動かないように、カツエも硬直した。この銃弾が飛んでくるがもしれないところに突っ立っている2人は何なのか。殺し合いの場だどいうのに手ぶらである。ではカツエのように腕に自身があるのかというと、とてもそうには見えない。片方は中学校の制服だろうか、天然なのかパーマなのか、とにかくウェーブした髪が特徴的な少女だ。もう片方は、緑の髪に緑の瞳、さらに民族衣装らしきものに身を包んだ奇抜な格好の少女である。2人とカツエは見つめ合っていた。

「……お前ら動くな、コイツ殺されたくなかったら武器捨てろ。」
「は、はい……」

 弾の切れた拳銃を陽人に向け、弾が無いのだからこれでは脅しにならないかと2人に向け、いや2人に向けても脅しにならないのは同じだと思ったが、とりあえず格好として向ける。すると2人は、慌ててポケットなりから拳銃を地面におっかなびっくり置いた。
 すると拍子抜けするのはカツエである。まさかこんな、ド三流のチンピラムーブを自分がすることになるとも、それで相手が従うとも思っていなかった。コイツらは弾切れだと気づいてないのか?その可能性に気づいてカツエは薄く笑う。どうやら頭の弱いいい子ちゃんなのだろう。ならカモだ。

「あ、あの、こんなことやめませんか。」
「うるせえ! 早くその銃、こっちに滑らせろ。」
「そんな……」
「早くしろぉ! 撃つぞゴラァ!」
「凛さん、それは……」
「だ、大丈夫……もう撃てないから……」
「チっ!」

 いやバレている。ならなんなのだコイツらは。さっき銃を出したときそのまま撃っていれば良かったではないか。カツエから見れば不合理な行動に困惑が深まる。目的がわからない。殺し合いを前提としたその頭では。
 カツエは銃を捨てると、陽人にバックチョークをかける。もういい、まずはコイツを殺ってから、次はお前らだ。そう考えると、首輪が邪魔でうまく締められずまごついているところに曲が流れ出す。

『──強くなれる理由を知った。』
「なにっ?」

 陽人の首輪だけではない、カツエ自身の首輪からも、横に停まっている車のカーラジオからも、美術館の館内放送からも、エリンたちからの首輪からもだ。

「お前ら動くな!」
「ち、違うよ、私たちじゃないよ!」
「……ミッションか?」
「みっしょん?」

 混乱する3人と、1人ダメージに顔を歪めながらも冷静に何が怒るかを察する陽人。気色ばむカツエを無視するように、第一回放送が始まった。


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