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児童文庫ロワイヤル
383
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/06/04(水) 07:42:49 ID:???0
「この匂いなんだ……飯でも食ってんのか?」
陽人たちがいるその美術館の駐車場で、毒づく1人の少女。
名前は竹井カツエ。彼女のその手は、右手はテーピングで固められ、左手は拳銃が握られている。小学生には似つかわしくないその姿は、眼光の鋭さもあって、胡乱な雰囲気を感じさせるには充分であった。
空寺ケンとの戦闘から時間にすれば、数時間というほどは経っていなかった。互いに空手の実力者、男女の性差も小学生同士ではむしろ女子に有利に働く。銃ではなくあえて己が信を置くステゴロを選んだ2人の戦いは、ルール無用のバーリ・トゥードと化し、最後はハンターの乱入によって決着となった。
あれからしばらく。その間カツエは手傷の手当てに当たっていた。組手もやるのだ、その辺りの知識は運動しない子供よりはある。彼女はひとまず動けるようになると、街をさまよい、見つけたドラッグストアを漁って必要な物を手に入れた。熱を持った傷をアイシングし、ガチガチにテーピングで固める。彼女にできる限りのことをすると、最後に痛み止めをがぶ飲みした。
それが効いてきたのか、しばらくすると小走りできるぐらいには痛みが引いてきた。傷を痛めないように念入りにストレッチすると、適当に食べ物を口にしようとした時、ふと防災バッグを見つけたのでそれに詰め込む。苛立たしげにグミを口に放り込んで、とにかくもう少し安全な場所に移動しようと、カツエは足早に、しかし痛みからゆっくりと歩き出した。このドラッグストアは外から中が丸見えすぎる。店としてはそれで良いのだろうが、安心して腰を落ち着ける場所には程遠い。
(なんなんだこの平たいビル、まあなんでもいい、中の奴をぶっ殺して……)
そうして街を歩いている時に見つけたのが、凛たちがいる美術館だった。霧の中から突然現れた、開けた空間の奥にある建物。場違いに思えるほど手入れがされた庭園には、謎のオブジェも点在している。カツエは遠巻きにそれを見ると、侵入できる場所を探して駐車場へと行き着いた。1つだけ換気扇が回っている小部屋(といっても他と比べてだが)があり、そこからは美味そうな匂いが流れてくる。そう言えばここに来てからろくに何も食べてない、そんなことが頭をよぎった時だ、後ろからかすかに足音が聞こえたのは。
「しいっ!」
「うわっ!」
ズガン!と銃弾が停車してある自動車を撃ち抜く。カツエが躊躇無く発砲した弾丸は、元々狙いなどつけていないのでどこかに飛んでいき、その隙に尻餅をついた少年、陽人は素早く車の影に転がり込んだ。
「待て! 殺す気はない!」
「るっせえ!」
振り向きざまに撃って当たるなどカツエ本人も思っていない。拳銃を連射しながらダッシュすると、陽人を蹴り殺そうと距離を詰める。見敵必殺、人を見たら見つけ次第殺す、頭にあるのはそれだけだ。
車の周りをカーブするタイミングで更に撃ち、すぐさま突っ込む。陽人は同じタイミングでカツエから対角線になる位置に駆け込んだ。発砲するが、素人の腕ではわずか数メートルの距離でも当たらない。舌打ちをして追いかけるが、再び角を回ったときには陽人の姿は無かった。どこに行った?その疑問は直ぐに解決した。視界の上方から何かが飛んでくる。とっさにバックステップをすれば、ボンネットから屋根を足場に飛び込んできた陽人が、目の前にいた。
「ヤバ──」「死ねえ!」
叫んだのは同時、動いたのも同時。
カツエが引鉄を引いた瞬間、陽人は反射的に腕を上げる。その腕がカツエの手をずらし、そして銃口からは弾が発射され、ない。
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