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天気の子バトルロワイアル【2章】

1 ◆j7coLoRPl6:2021/02/19(金) 20:24:29 ID:6aNy1bjk0
―――僕に出来ることはまだあるかい―――

前スレ
天気の子バトルロワイアル
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/12648/1609599762/

2 ◆j7coLoRPl6:2021/02/19(金) 20:25:40 ID:6aNy1bjk0

>旧態依然 ナイトイェーガー
そういえばこの二人、ギリギリ面識はありませんでしたね。イェーガーズとナイトレイド、組織としては共に民(国)の為の組織なのでこういう状況では協力できるのが美味しいところですよね。
バレた後はまあ頑張れラバック。

>輝き
熱い!ひたすらに真っ向勝負が熱い!!
楽しい戦いから死に物狂いで己を確立しようとする猗窩座、己の最高の輝きを求めて戦い抜くヘルカイザー亮、いやこれほんとに1話目!?終盤戦じゃないの!?

>return:wolfwood
ウルフウッドの眼前で子供をダシにすればどうなる?知らんのか、戦争が始まる。
見知らぬ子どもであろうとよほどの悪党でない限り見捨てられないニコ兄はマジ兄貴ですね。

>善悪の彼岸
↑ではよほどの悪党じゃないと言いましたが、当然人によれば最悪の悪という人もいまして。
帆高くん、勝手にオババに私生活曝け出されてこんなガイキチに晒されるとか可哀そうすぎやしませんか?

>黒と黒
伏黒、天気の子を見ずして連れて来られてしまったか。果たして現代知識のない那佳の説明だけで状況を理解しきれるだろうか

>悪の華のリベンジ
意外にもほとんど候補に挙がってこなかった変身能力者。スタートが帆高の姿だけという縛られた状況下で真骨頂は発揮できるのだろうか

>ちょこ先輩、お許しください!
開幕で爆発しなくてよかった...いや、いつ爆発するかわからないから怖いなボルガ博士!本人が善人だからなおさら。

>出撃!求Q究明団!!
毎度のことながらなんで野球ゲームで超能力が出てくるんですか(小並感)
そしてタイトルの求Q究明団、何もできてねえ!

>穢れきった奇跡を背に/求め
瀬里さん、妹を救う為に殺し合いに乗ってしまったか...女医に言われた通り、もはや人殺しでしかなくなってしまった彼女が止まれる日は来るのだろうか。
そして炭治郎、相変わらず頭硬いな!瀬里はしくじったと思ってるけど炭治郎じゃなかったら普通に成功扱いだったと思う。

>ワンワンニャンニャン
可愛いマスコットの組み合わせで和む。とある作品ではマスコット同士で血みどろの人気取り争いを繰り広げてましたが、マスコット同士はかくありたいものですね。

>憎悪〜にくしみ〜
どうせみんないなくなる。人類を喰らいつくしそれ以外を同化、つまりサーチアンドデストロイと決めて行動するイドゥン。
一部、同化したらヤバそうなハジケリストがいますがそれを知らないイドゥンの運命や如何に。

>ハンターズ・プラン
過激ではあるが方針的には対主催である義光。ルールを把握しその裏側まで考慮できるまさにハンターに相応しいキレ者ですね。

>時空(とき)を超えた遭遇(であい)
英霊という英雄には挑みたい、ワールドヒーローズ参加者なら当然の願いですね。
しかし戦いの絵面だけ見るととんでもないことになりそう。

>雨の兎と御伽話(フェアリーテイル)
ドミネーターは参加者識別の際には非常に有用ですね。ただし肝心な時には文鎮になってしまうことを考えると頼りすぎは危険かも。
アイドル三人を抱える戦兎、果たしてこの確実に人を救えるという選択肢のあるロワで自意識過剰の正義の味方を遂行できるだろうか

3 ◆j7coLoRPl6:2021/02/19(金) 20:26:03 ID:6aNy1bjk0

>千の夜をこえて
こんな状況でも他者のことを想える一護はまごうことなきヒーローです。原作だと相手が悪すぎて中々活躍できませんでしたが、このロワにおいては(多分)そういうこともないので頑張れ一護。負けるな一護。

>ジャックジャンヌ
ぜぼっとノトコロ カエル やめろエリー。その方針は私に効く。いや止めないで...
エリーの状態から全てを察して、エリーを否定せずに心遣いまでしてくれるウォルター、あんたいい漢だよ

>いやぁ、映画って本当にいいもんですね
横浜駅、さらりとボーボボキャラみたいな生態系をしてるんじゃない。
村田さんの意図してないとはいえ主催みたいなムーブに笑う。森嶋帆高を巡る参加者達のドラマを眺める、じゃないよ。


>今にも堕ちてきそうな灰の空の下で
雑草、やっぱり強いよね。相手が悪すぎたせいでそう思えないだけで、大概の参加者相手なら確かな脅威になります。
麗佳さん、最期まで足掻いたその軌跡が花咲かせるといいねえ。

>デカァァァァイ 説明不要!!
タイトルの通り。説明は不要!

>黒い悪魔、現代製品に適応する
50年後の機械にも対応できるとは、これは首輪解析には頼れそうですね!
あのパスワードに誕生日入れてそうなオババ程度の技術力ならあっさりと完封してのけそう

>それは紛れもなく、一発ネタであった
タイトルの通りです、ええ。

>育成完了
訳がわからないよ/人◕◡◡◕人\

>飛び込んでく 嵐の中
気が付いたらなんかドンドン仮面ライダーが増えてってる(困惑)。
しかしそれでもカオスになる訳でなく、仮面ライダー同士の戦いが始まって、交渉の愛と戦闘のツッキー&康一くんと帆高も頼れる同行者を得られて前に勧めるようになってなにより。
果たして帆高は原作同様に鳥居をくぐれるのだろうか。

>日本を取り戻す
>日本国民ではない参加者は守らない ヘ、ヘイトスピーチ...偉大なる大韓民国民すら護らないとは所詮はチョッパリよ。

>二人の主人公
まさかの蘇生させられた直後からの参戦。果たしてルルーシュは目を覚ました時にルルーシュ・ランペルージとして活動することが出来るのだろうか。

4 ◆j7coLoRPl6:2021/02/19(金) 20:39:14 ID:6aNy1bjk0
以上で感想の投下を終了します

5 ◆j7coLoRPl6:2021/02/19(金) 22:37:40 ID:6aNy1bjk0
名簿を投下します

6 ◆j7coLoRPl6:2021/02/19(金) 22:38:02 ID:6aNy1bjk0
しとしと。しとしとと雨が降り続く。

曇天の空を見上げる中、ひらりと紙が舞い降りてきた。

これはなんだろうと不思議に思っていると

『ごきげんよう、皆の衆』

あの全ての元凶のクサレババアの声が鳴り響いた。





ごきげんよう、皆の衆。

お主らの中には『自分以外に知り合いが参加してないかな』と思っている参加者もいたことじゃろう。

すまんのう...本来ならば支給した端末で名簿を見れるようにしておいたのじゃが、どうもファイルのロックを外し忘れていたようじゃ。
ワシは機械が苦手でのう。解除に手間取っておったんじゃが、ようやく開けられたところじゃ。これでいつでも名簿を端末で見られるぞい。
ただ、ワシのように機械が苦手という者もおるじゃろう。
そんな者たちの為に、いま名簿となる紙を転送した。その紙を雨にかざせばあら不思議。
途端に名簿が浮かび上がってくるんじゃ。是非とも活用してくれい。

...確認したかのう。
ああ、それとルールに記載し忘れておったが、『森嶋帆高』。
お主はただでさえ不利な状況じゃ。当然、陽菜と出会えた折には相応の対価を支払わねばならんじゃろうて。
帆高、お主が鳥居を潜れた暁には願いを二つ叶えて進ぜよう。もちろん、陽菜との再会は願いの一つに含まれんからの。精々きばるんじゃぞ。

それでは皆の衆、6時間後の定期放送で会おうぞよ。



オババの指示した通り、配られた名簿に目を通す。そこには―――

7名簿発表 ◆j7coLoRPl6:2021/02/19(金) 22:38:59 ID:6aNy1bjk0

(括弧と作品名は実際には記載されていません)
【鬼滅の刃】
○鬼舞辻無惨○妓夫太郎〇堕姫(梅)〇狛治○猗窩座〇竈門炭治郎(人間)

【魔法少女まどか☆マギカシリーズ】
○時女静香の母○時女静香○暁美ほむら(眼鏡)○鹿目まどか〇まどか先輩

【アイドルマスターシャイニーカラーズ】
〇桑山千雪〇櫻木真乃〇大崎甜花〇大崎甘奈〇小宮果穂

【天気の子】
○森嶋帆高(映画版)○天野凪○須賀圭介○須賀夏美〇高井高司

【呪術廻戦】
○真人○虎杖悠仁○釘崎野薔薇○漏瑚

【うたわれるもの(偽りの仮面・二人の白皇)】
〇アトゥイ○オシュトル○ヤクトワルト〇ネコネ○マロロ

【彼岸島】
〇エロ金剛○山本勝次○宮本明〇ユカポンのファンの吸血鬼

【Fateシリーズ】
〇衛宮切嗣〇キャプテン・ネモ〇ギルガメッシュ

【ラブライブ!シリーズ】
〇上原歩夢〇近江彼方〇高海千歌

【忍者と極道】
〇多仲忍者〇輝村極道〇殺島飛露鬼

【シークレットゲームシリーズ】
〇陸島文香〇藤堂悠奈〇伊藤大祐

【鋼の錬金術師】
〇ロイ・マスタング〇エドワード・エルリック

【ひぐらしの鳴く頃に】
○古手梨花○北条沙都子

【血と灰の女王】
〇狩野京児〇芭藤哲也

【アカメが斬る!】
〇セリュー・ユビキタス〇ラバック

【TRIGUN MAXIMAM(トライガン・マキシマム)】
〇ミリオンズ・ナイブス〇ニコラス・D・ウルフウッド

【サタノファニ】
〇カチュア・ラストルグエヴァ〇堂島瀬里

【遊戯王デュエルモンスターズシリーズ】
〇海馬瀬人〇丸藤亮

8名簿発表 ◆j7coLoRPl6:2021/02/19(金) 22:39:21 ID:6aNy1bjk0

【ワンピース】
〇ビッグマム

【火ノ丸相撲】
〇刃皇 晃(ダワーニャウィン・ツェウェグニャム)

【関織子@若おかみは小学生(映画)】
〇関織子

【寄生獣】
〇後藤

【金田一少年の事件簿】
〇明智健吾

【うしおととら】
〇白面の者

【時間割男子】
〇花丸円

【フレッシュプリキュア!】
〇桃園ラブ

【ドラゴンボールZ】
〇ライフル銃の男

【仮面ライダー剣】
〇キング

【ボボボーボ・ボーボボ】
〇コンバット・ブルース

【Alice Re:Code】
〇タマモ

【コマンドー】
〇ジョン・メイトリックス

【のんのんびより】
〇一条蛍

【DEATH NOTE】
〇渋井丸拓男

【コードギアス 復活のルルーシュ】
〇C.C.

【真夏の夜の淫夢】
〇野獣先輩

【アンデッドアンラック】
〇ジーナ

【スクライド(漫画版)】
〇カズマ

【もんむすクエスト〜負ければ妖女に犯される〜】
○ルカ

【HELLSING】
〇アーカード

【身聖姫シルヴィアハート 〜家畜となった敗北ヒロイン〜】
〇御影寺凜音

【CRYSTAR -クライスタ-】
〇南羽新志

【戦慄怪奇ファイル コワすぎ!】
〇工藤仁

【相棒】
〇杉下右京

【逃げ上手の若君】
〇北条時行

【雫 オリジナル版】
〇月島瑠璃子

【めだかボックス】
〇球磨川禊

【ウルトラマンZ】
○カブラギ・シンヤ

【パラサイト 半地下の家族】
○キム・ギウ

【ケンガンアシュラ】
〇阿古谷清秋

【BLACK CAT】
〇デュラム=グラスター

【マジンガーZEROVS暗黒大将軍】
〇Dr.ヘル

9名簿発表 ◆j7coLoRPl6:2021/02/19(金) 22:41:24 ID:6aNy1bjk0
以上が名簿になります。実際には以下の通りになります
【鬼滅の刃】5/6
○鬼舞辻無惨○妓夫太郎●堕姫(梅)〇狛治○猗窩座〇竈門炭治郎(人間)
【魔法少女まどか☆マギカシリーズ】5
○時女静香の母○時女静香○暁美ほむら(眼鏡)○鹿目まどか〇まどか先輩
【アイドルマスターシャイニーカラーズ】5
〇桑山千雪〇櫻木真乃〇大崎甜花〇大崎甘奈〇小宮果穂
【天気の子】4/5
○森嶋帆高(映画版)○天野凪○須賀圭介○須賀夏美●高井高司
【うたわれるもの(偽りの仮面・二人の白皇)】4/5
〇アトゥイ○オシュトル○ヤクトワルト●ネコネ○マロロ
【呪術廻戦】4
○真人○虎杖悠仁○釘崎野薔薇○漏瑚
【彼岸島】2/4
●エロ金剛○山本勝次○宮本明●ユカポンのファンの吸血鬼
【Fateシリーズ】3
〇衛宮切嗣〇キャプテン・ネモ〇ギルガメッシュ
【ラブライブ!シリーズ】3
〇上原歩夢〇近江彼方〇高海千歌
【忍者と極道】3
〇多仲忍者〇輝村極道〇殺島飛露鬼
【シークレットゲームシリーズ】3
〇陸島文香〇藤堂悠奈〇伊藤大祐
【鋼の錬金術師】2
〇ロイ・マスタング〇エドワード・エルリック
【ひぐらしの鳴く頃に】2
○古手梨花○北条沙都子
【血と灰の女王】2
〇狩野京児〇芭藤哲也
【アカメが斬る!】2
〇セリュー・ユビキタス〇ラバック

10名簿発表 ◆j7coLoRPl6:2021/02/19(金) 22:41:46 ID:6aNy1bjk0
【TRIGUN MAXIMAM(トライガン・マキシマム)】2
〇ミリオンズ・ナイブス〇ニコラス・D・ウルフウッド
【サタノファニ】2
〇カチュア・ラストルグエヴァ〇堂島瀬里
【遊戯王デュエルモンスターズシリーズ】1/2
〇海馬瀬人●丸藤亮
【ワンピース】1
〇ビッグマム
【火ノ丸相撲】1
〇刃皇 晃(ダワーニャウィン・ツェウェグニャム)
【関織子@若おかみは小学生(映画)】1
〇関織子
【寄生獣】1
〇後藤
【金田一少年の事件簿】1
〇明智健吾
【うしおととら】1
〇白面の者
【時間割男子】1
〇花丸円
【フレッシュプリキュア!】1
〇桃園ラブ
【ドラゴンボールZ】
〇ライフル銃の男
【仮面ライダー剣】
●キング
【ボボボーボ・ボーボボ】1
〇コンバット・ブルース
【Alice Re:Code】1
〇タマモ
【コマンドー】1
〇ジョン・メイトリックス
【のんのんびより】1
〇一条蛍
【DEATH NOTE】
●渋井丸拓男
【コードギアス 復活のルルーシュ】1
〇C.C.
【真夏の夜の淫夢】1
〇野獣先輩
【アンデッドアンラック】1
〇ジーナ
【スクライド(漫画版)】1
〇カズマ
【もんむすクエスト〜負ければ妖女に犯される〜】1
○ルカ
【HELLSING】1
〇アーカード
【身聖姫シルヴィアハート 〜家畜となった敗北ヒロイン〜】1
〇御影寺凜音
【CRYSTAR -クライスタ-】
●南羽新志
【戦慄怪奇ファイル コワすぎ!】1
〇工藤仁
【相棒】1
〇杉下右京
【逃げ上手の若君】1
〇北条時行
【雫 オリジナル版】1
〇月島瑠璃子
【めだかボックス】1
〇球磨川禊
【ウルトラマンZ】1
○カブラギ・シンヤ
【パラサイト 半地下の家族】1
○キム・ギウ
【ケンガンアシュラ】1
〇阿古谷清秋
【BLACK CAT】1
〇デュラム=グラスター
【マジンガーZEROVS暗黒大将軍】1
〇Dr.ヘル
84/93

11名簿発表 ◆j7coLoRPl6:2021/02/19(金) 22:42:41 ID:6aNy1bjk0

採用作

01 プロローグ(仮)
03 されど神は人を笑う
08 恋を応援!若おかみ!
10 守られるべきは未来
18 鋼のこころ
19 シャッホロの狂い姫
20 雨中の長考
23 目指す未来は
24 It's raining cats and dogs.
25 ■■■ SKY,■■■ MAP
31 太陽に命届くまで
35 誰かのための勉強
41 浣腸
43 忍者とプリキュア
44 揺るぎなき信念
46 ワールドエンド・ボーイ・ミーツ・ガール
49 ちぎれゆくアルストロメリア
51 6でなしブルーちゅ
53 コマンドーびより
55 Unleashed Beast
57 ファイナル・ギアス

72 その運命に―――
76 一触即発のち惚気
84 紅茶
85 極道が如く
86 神の見えざる手
90 FILE-XX【100%の晴れ女捕獲作戦】
91 嘘も誤魔化しもきかないこの世界
94 山茶花の跡
99 電波の子

103 父
110 絶望の天使
116 「逃げないぜ」
133 兄貴と私
145 掃き溜めの兄弟

157 旧態依然 ナイトイェーガー
158 輝き
159 return:wolfwood
160 善悪の彼岸
165 穢れきった奇跡を背に/求め
174 災厄の種
175 魔法少女として
177 そして地獄がやってくる

12 ◆j7coLoRPl6:2021/02/19(金) 22:44:37 ID:6aNy1bjk0
以上で名簿発表を終了いたします。続いて予約ルールですが


予約ルール
このスレはリレー小説です。初心者も経験者も誰でも大歓迎!
予約期限は基本的に一週間です。それより伸びる場合はその都度に延長(+5日)申請をお願いします。
延長申請が無く期限を1日過ぎた場合、予約は破棄されますのでご注意ください。



特殊ルール
予約も投下もなく1か月が経過した場合、>>1が無理やり全参加者の時間を進めます。これを何回も進めるとこのロワを無理やり完結に持っていく形になると思います。
その結果、あまりにもアレな展開になって取り返しがつかなくなる可能性もあるので是非ご予約及び投下ください。

となります。
予約解禁は2/20日の0:00からです。よろしくお願いします

13 ◆j7coLoRPl6:2021/02/20(土) 00:01:56 ID:ilsa87lY0
暁美ほむらを予約します

14 ◆VNz2VDTKZc:2021/02/20(土) 00:06:36 ID:duF8AHeI0
ビッグマム カチュア 野獣先輩 海馬 シーツー 予約します

15 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/20(土) 00:13:53 ID:Z7EmOfUI0
花丸円、櫻木真乃、近江彼方、ニコラス・D・ウルフウッドを予約します。

16 ◆s5tC4j7VZY:2021/02/20(土) 00:16:52 ID:SzP3LZg20
全感想お疲れ様です。
そして、天気の子ロワ開幕おめでとうございます。
及ばずながら参加させてください。

刃皇晃(ダワーニャウィン・ツェウェグニャム)、関織子を予約します。

17 ◆j7coLoRPl6:2021/02/20(土) 00:42:29 ID:ilsa87lY0
予約ありがとうございます!投下します

18迷宮の入り口 ◆j7coLoRPl6:2021/02/20(土) 00:43:27 ID:ilsa87lY0
(鹿目さん...)

配られた名簿を見たほむらは身体を震わせた。
まどかが連れて来られている。このイカれた殺し合いに。


鹿目まどかという人物像はよく知っている。
彼女ならまず間違いなく帆高も参加者も全員を救おうとする。

...ああ、もしもなにも知らない時であれば賛同しただろう。

けれど、自分は知っている。
そんな願いは叶わないことを。

彼女が救おうと願う『帆高』自身が他者に害を為そうとしていることを。

「あの人(デュラム)が嘘をついている...?」

当然、その可能性もある。
けれど、嘘を吐いてなんになる?
森嶋帆高を探す為の人材を探すでもなく、殺す気であんなにバカスカ撃って。
そこまでした上で、あんな嘘を?
メリットがない。気の緩みから漏らしてしまったと考えた方が理屈が通る。

デュラムが嘘をついているか、帆高が本当に依頼をしたか。
どちらの方が可能性が高いかは言うまでもない。

ならどうする。それでもまどかの夢を護るか、それとも...

「...今さら、ですよね」

自分は既に仲間を殺している。魔女になった美樹さやかを。
そんな自分が、見も知らぬ少年の、それも己の手で愛しい者を消したような少年に同情するなどなんと可笑しな話だろう。

仲間を切り捨てられるのに、どこぞの誰かは切り捨てられないのか。
そんなことでまどかを護ることなんてできるものか。

「...伝えないと」

帆高の話が嘘でも真でも。
なんにせよ帆高を見つけ出さないことには始まらないのだ。

自分一人だけではデュラムを掻い潜り且つ帆高を探し出すのは厳しいものがある。
だから参加者間で帆高を見つける為に協力を持ちかける。
それだけでもタイムアップまでの時間はかなり稼げる。
そして最悪の場合は―――この手で

「わ...わたしが彼を...」

殺さなければならない。

少女は決意して進む。
それが仕組まれた罠であるとは知らずに。

「それにしてもまどか先輩って...なんだろうこれ。まどかの書き損じ?」



【D-2/1日目/深夜】

【暁美ほむら(眼鏡)@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:ダメージ(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜3
基本方針:まどかを守りたい。
0:ひとまずマスクの男(デュラム)の話を他の参加者に共有する。
1:まどかを護る。
2:マスクの男(デュラム)への依頼主は帆高...?
3:マスクの男(デュラム)には要警戒する。
4:まどか先輩って...なに?
※参戦時期はまどかと『騙される前の私を救ってほしい』と約束を交わす前。

19 ◆j7coLoRPl6:2021/02/20(土) 00:44:57 ID:ilsa87lY0
投下終了します

続いて、後藤、まどか先輩を予約します

20 ◆j7coLoRPl6:2021/02/20(土) 00:54:17 ID:ilsa87lY0
すみません、作中での時間表記を忘れてました

こんな感じです

【作中での時間表記】(0時スタート)
 深夜:00:00〜02:00
 黎明:02:00〜04:00
 早朝:04:00〜06:00
 朝 :06:00〜08:00
 午前:08:00〜10:00
 昼 :10:00〜12:00
 日中:12:00〜14:00
 午後:14:00〜16:00
 夕方:16:00〜18:00
 夜 :18:00〜20:00
 夜中:20:00〜22:00
 真夜中:22:00〜24:00

21 ◆j7coLoRPl6:2021/02/20(土) 23:32:04 ID:ilsa87lY0
すみません、>>18の現在地をA-7に修正します

22 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/20(土) 23:56:26 ID:Z7EmOfUI0
投下乙です!
まどかのことをよく知るほむらだからこそ、まどかが巻き込まれてしまったことは許せないでしょうし、またまどかを守るために覚悟を決めつつありますか! 
そんな彼女がまどか先輩と出会ったらどうなるのかも気になりますね。


そして自分も予約分の投下をします。

23どうして雨が降る? ◆k7RtnnRnf2:2021/02/20(土) 23:59:25 ID:Z7EmOfUI0

「それじゃあ、まずは雨が降る原理について勉強してみようか〜!」

 ざーざーと降り続ける雨に濡れたガラスを背に、近江彼方さんは笑顔を向けてくれた。
 わたしーー花丸円はテーブルを学習机の代わりにしながら、まるで授業を受けるようにきちんと姿勢を正す。
 隣には、櫻木真乃さんが見守ってくれるから、頑張らないと!

「彼方ちゃん達の周りにはね、水蒸気っていう小さな粒がいっぱいあるの! 今だって、円ちゃんや真乃ちゃんの周りには、この水蒸気がい〜っぱい浮いているからね!」
「小さな粒? えっ、でも……わたしの周りには見えませんけど?」
「目には見えない程、小さいんだよ! この水蒸気はね、温まったお水が蒸発してから高く浮かぶんだ!」
「じょ、ジョーハツ……?」

 彼方さんが丁寧に説明してくれるけど、まだよくわからない。

「蒸発はね、温まったお水が溶けることだよ!」

 だけど、そんなわたしを助けてくれるように、真乃さんがほんわかと教えてくれる。

「お水は冷蔵庫で冷やすと、氷になることは知っているよね?」
「はい! 氷でジュースを冷やすとおいしいですし、かき氷だって好きです!」
「そっか! 私も、ジュースやかき氷も好きだよ! でも、氷は温めるとお水に逆戻りしちゃうでしょ。そのお水をもっと温めると、溶けてなくなっちゃって……そこから水蒸気に変わるんだ!
 暖かいお風呂から、ポカポカと湯気が出てくるよね? あれも、水蒸気の一つなんだ!」
「そうなんですか! じゃあ、水蒸気ってわたし達の周りをいつでも飛んでいるんですね!」
「大正解! すごいよ、円ちゃん!」

 わたしの頭の中で、水蒸気のイメージがどんどん浮かび上がってきた!
 溶けてなくなったお水から、妖精さんみたいに可愛い水蒸気がたくさん現れて、お空に向かって飛んでいくの。
 すると……

24どうして雨が降る? ◆k7RtnnRnf2:2021/02/21(日) 00:00:37 ID:PwT/xLAM0
「あれ? さっき、彼方さんは水蒸気が高く浮かぶって教えてくれましたけど……それじゃあ、水蒸気ってお空にまで飛べるのですか!?」
「その通り〜! 円ちゃんは鋭いね〜! 暖かい空気に乗ってふわふわ浮かびながら、いっぱい集まった水蒸気が雲に変わるんだよ!」
「へぇ〜! ということは、水蒸気が集まってできた雲が白いから、あったかい湯気や寒い日の息も白いんですね!」
「ピンポンピンポーン! 円ちゃん、100点満点だよ〜!
 雲の中には集まったお水や氷の粒が、お日様の光に反射するから、彼方ちゃん達の目には白く見えるんだよ!」

 両腕で大きな丸を作りながら、彼方さんは満点の笑顔を見せてくれた。
 当然、隣にいる真乃さんも「円ちゃん、おめでとう!」って褒めてくれる。
 二人の優しい笑顔に、わたしも胸がポカポカと晴れていった。雲や雨についてちょっと詳しくなることができるなんて……
 いや〜! 本当に足が長いよ!


 ーーーー『足が長い』じゃなくて『鼻が高い』だよ!


 だけど、その途端にわたしの中でまた「?」が浮かび上がる。

「ん? でも、雨雲ってどんよりしていますよね? 晴れの天気の雲は白いのに、どうして今は黒いのですか?」
「いいところに気が付くね、円ちゃん! さて、それでは問題です……どうして雨雲は真っ黒なのでしょうか?」
「えぇっ!? 彼方さんのクイズですか!?」
「ヒントは、彼方ちゃん達をいつでも見守ってくれるお日様だよ〜! さあ、解けるかな?」

 うぅ……雲の色が違う理由って、何だろう?
 真乃さんは「頑張れ!」と応援してくれるけど、わたしは全然わからない!
 ヒカルくんなら、すぐに答えられそうだけど……答えが見つからなくて、今度はわたしの頭の中が暗くなっちゃう。

25どうして雨が降る? ◆k7RtnnRnf2:2021/02/21(日) 00:02:32 ID:PwT/xLAM0
「う、う〜ん……どんよりした雲と、お日様……? う〜ん……う〜ん……もしかして、お日様の光が届いていなかったから……でしょうか?」
「あったり〜! 円ちゃん、大大大正解〜! そう、雨雲の中には雨粒がたくさん入っている分だけ分厚いから、お日様の光が届かない所があるの! だから、彼方ちゃん達から見える雨雲は、とっても暗く見えちゃうの!」
「じゃあ、真上からだったら、白い雨雲も見られるのですね!」

 その瞬間、わたしのモヤモヤが真っ白に晴れていった。
 わたし達がいつも見上げている雲でも、知らない一面がある。でも、その知らないことの謎を解き明かせた時の喜びを、わたしは科目男子達から教わった。
 この喜びを終わらせないためにも、わたしは……わたし達は生きていたい。前にカンジくんが消えそうになったことがあったけど、わたしが気持ちを伝えたおかげで、また一緒に暮らせるようになった。
 だから、今は一つでも多くの知識を身に付ければ、みんなが助かるための方法をいつか見つけられるかもしれない。

「……なんや。こんな状況でみんなで仲良くお勉強かいな? ずいぶんとのんきな嬢ちゃん達やな」

 あれ?
 いきなり男の人の声が聞こえてくる。
 振り向くと、いつの間にか真っ黒いスーツとサングラスを身に付けた男の人が立っていた。背丈はとても高くて、ライオンのように鋭い目つきもあるせいで、迫力が凄い。
 ケイはもちろん、前に縁日で出会った屋台のおじさん以上に雰囲気が重く、わたしの身体が固まっちゃう。

「どなたですか?」

 震えているわたしを守るように、真乃さんは前に出た。
 後ろからは、わたしの両肩が彼方さんの手に優しく包まれていく。顔を上げると、彼方さんの顔は真剣になっていた。

「あー……すまんな。別に嬢ちゃん達を取って食おうなんて考えてはおらへん。単に話し声が聞こえたから、寄ってみただけや。でも、どうやらあの帆高って坊主もおらんみたいやな」

 男の人は、どこかそっけない態度だったけど、わたし達を殺しに来たわけじゃないみたい。
 わたしはホッとする。やっぱり、人は姿だけじゃないね……


 ーーーー『人は見かけによらない』だね! 外見からは想像できない意外な所があるってことだよ!

26どうして雨が降る? ◆k7RtnnRnf2:2021/02/21(日) 00:03:29 ID:PwT/xLAM0


 ◆


 現れた男の人はニコラス・D・ウルフウッドという名前で、外国人さんみたい!
 でも、日本語(しかも関西弁)が物凄くペラペラなんだけど……

「あぁ、ニホン? どこやねんそこは?」

 なんと、ウルフウッドさんは日本を知らないと言っている!
 てっきり、関西人なりのジョークかと思ったけど、ウルフウッドさんは嘘を言っているつもりはなさそう。

「どこって……ここが日本だと思いますよ?」

 だから、真乃さんはウルフウッドさんに伝えてくれる。
 でも、ウルフウッドさんは心の底から驚いたように、両目を大きく開いた。

「ホンマかいな!? こんな水だらけの街なんて、生まれて初めて見たわ〜!」
「えっと……ウルフウッドさんは乾燥した地域の人でしょうか?」
「何を言うとるんや? ノーマンズランドに大量の水で溢れた街があること自体、驚きやろ!?」
「の、ノーマンズ……ランド……?」

 ウルフウッドさんの口から出てきた言葉に、真乃さんは首を傾げてしまう。
 当然、わたしと彼方さんも首を傾げた。ウルフウッドさんとの話はまるで噛み合わないし、そもそも常識自体が違っていそうだった。
 まるで、わたしの脳内妄想世界みたいに、別の世界からやってきたような……

「ここは、お互いにじっくり話しましょうか」

 そんな中、こじれそうになる話をまとめるように、彼方さんが提案してくれる。

「彼方ちゃん達は今、大変な目に遭っていますよね? 彼方ちゃんだけじゃなく、彼方ちゃんや真乃ちゃんのお友達も。
 あと、あのおばあさんや彼方ちゃん達が見せられた映画のことも、物凄く気になりますし……時間をかけないと、わかりそうにありません」
「まぁ、そりゃそうやろうな……ワイだって、何でこないなことになったか、ようわからへん」
「だからこそ、今はみんなで話し合いましょう! 彼方ちゃん達が住む日本も、ウルフウッドさんの言っていたノーマンズランドのことだって、いっぱい教え合えばいいですし!」

 彼方さんは鮮やかなウインクを決めてくれた。
 なるほど! これはつまり、レキくんが得意とする社会の勉強だね!
 世界地図はとても大きいし、調べれば調べるほど国の名前だって覚えられる。だから、ウルフウッドさんのいたノーマンズランドって国のこともわかるかもしれない。

「……しゃーないな。子守はワイに似合わんけど、やっぱりこうなるみたいや……ま、よろしゅう頼むで、嬢ちゃん達」
「よろしくお願いします! ウルフウッドさん!」
「おう! ……って、そういや、円嬢ちゃんやったか? この、『まどか先輩』っちゅうのは……嬢ちゃんと関係あるんかいな?」
「はっ!?」

 ウルフウッドさんの疑問に、わたしの胸がドキンとする。
 そうだ。さっき、おばあさんから届けられた名簿の中には『まどか先輩』という不思議な名前もあった! 隣の『鹿目まどか』も気になったけど、それ以上に『まどか先輩』が余計に気になっちゃうよ!?
 でも、何のことなのかわたしにはさっぱりわからない……

「ぜ、全然知らないです!? 他人のソラマメ二でもなさそうですし……」
「嬢ちゃん、それを言うなら『他人の空似』や」

27どうして雨が降る? ◆k7RtnnRnf2:2021/02/21(日) 00:04:12 ID:PwT/xLAM0
【D-6 レストラン/1日目/深夜】


【花丸円@時間割男子】
[状態]:健康、不安(中)
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:誰も傷付けることのないよう、勉強をしたい
1:まずは真乃さんや彼方さん、そしてウルフウッドさんと一緒にいる。
2:『まどか先輩』って……?
※参戦時期は原作3巻以降です。

【櫻木真乃@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:プロデューサーさんの、そしてみんなの期待に応えられるアイドルでいたい
1:まずは円ちゃんや彼方さん、そしてウルフウッドさんと一緒にいる。
※W.I.N.G優勝、ファン感謝祭のMVP経験があります。

【近江彼方@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:円ちゃんの優しさを届けられるように頑張る
1:まずは円ちゃんや真乃ちゃん、そしてウルフウッドさんと一緒にいる。
※少なくとも、スクールアイドル同好会のメンバーが全員揃ってからの参戦時期です。

【ニコラス・D・ウルフウッド@TRIGUN MAXIMAM】
[状態]:健康(ロワ以前のケガ・後遺症は完治状態)、軽いイライラ
[装備]:
[道具]:支給品一式、不明支給品0〜3(銃火器と煙草はなし)
[思考]
基本思考:とりあえず黒幕っぽいババアをボコりにいく。
0:とりあえず今は嬢ちゃん達と話をする。
1:今は一応帆高を探していく方針で。ババアの敷いたルールは無視
2:自分からは極力揉め事は起こさない。ただし売られた喧嘩は買う。
3:とにかく銃が欲しい。できればタバコも
4:…そもそもワイは死んだんじゃなかったのか?
[備考]
※死亡後からの参戦です

28 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/21(日) 00:04:27 ID:PwT/xLAM0
以上で投下終了です。

29 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/21(日) 07:59:06 ID:PwT/xLAM0
狛治、大崎甘奈、多仲忍者、桃園ラブを予約します。

30 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/21(日) 08:08:42 ID:PwT/xLAM0
追加で大崎甜花を予約します。

31 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/21(日) 19:27:32 ID:PwT/xLAM0
予約分の投下を始めます。

32ふたつの雨 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/21(日) 19:28:32 ID:PwT/xLAM0
 名も知らぬ男が去ってから、狛治はあてもなく歩き続けていた。
 親父が自ら命を絶ってしまい、慶蔵に恩義を返すことができず、愛する恋雪さんを守ることができなかった。こんな世の中と、恋雪達を殺した連中に向けた復讐の為に拳を振るったが……その後には何も残されていない。
 あの老婆は帆高という少年を殺せと口にしたが、そんな気にもなれない。だから、男の誘いだって断った。


 ーーーーこんな、道理をこえたことも可能じゃ。どうしても願いを叶えたい者は是非とも参加してもらいたいのう


 老婆の言葉が脳裏に過る。
 先程、老婆によって首輪を爆発させられ、すぐさま命を取り戻した女の姿が目に飛び込んだ。道理をこえたことが可能なら、失った者達を取り戻すこともできるだろう。
 だが、再び罪人として生きる気にもなれない。それでは、何のために慶蔵が腕を振るったのかわからないし、恋雪だって悲しむに決まっている。
 何よりも、帆高自身の願いを奪うことに、どうしても抵抗があった。彼もまた、愛する者を守るため、世の中に戦いを挑んだ男なのだから。


 巨大な壁の向こう側で繰り広げられる帆高達の人生を見せつけられている間、この心はずっと疼いていた。
 奇妙な建物や服装、辺り一面を走る鉄の乗り物など、摩訶不思議で現実離れした文化だった。けれど、帆高の愛する陽菜という女が世の中から見捨てられ、都合のいい生贄にされてしまったことは理解できる。
 先の男のように、あの帆高を愚かと笑う人間は現れるだろう。だが、狛治は帆高を否定することができない。

(あいつは……帆高は、俺と同じだ。でも、俺とは違って……まだ愛する者を守ることができる)

 もしも、帆高と同じ状況になれば、狛治は何があろうとも愛する者を選ぶはずだ。
 大雨が降り続ける闇の中で、今も帆高はどこかで走っていると確信できる。全ては、愛する者を守るため……その為なら、どんな犠牲すらも構いはしない。
 恋雪が囚われてしまえば、狛治もわき目も振らずに駆けるだろう。そんな可能性すら潰されてしまったことが、悔しくて仕方がない。

「……ねえ、ちょっといい?」

 その時だった。
 不意に、誰かから声をかけられたのは。

33ふたつの雨 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/21(日) 19:32:23 ID:PwT/xLAM0

「甜花ちゃん……甘奈と、よく似た顔の女の子を見なかった? 甘奈の、双子のお姉ちゃんなの」

 振り向くと、長髪の少女が立っていた。
 雨の中で傘も差さないせいで、腰にまで届く茶色の髪や見慣れぬ奇妙な衣服も濡れてしまっている。
 だが、何よりも気がかりだったのは……目つきの暗さと両手に纏わりついた奇妙な色の液体だった。

「いいや、見ていない……女だって、お前が初めてだ」
「そっか……じゃあ、あの映画に出てきた帆高って人は?」
「そいつも知らない」
「そう……」

 互いに、淡々とした受け答えしかできない。
 恋雪と同い年に見える少女だが、それにしては暗い。容姿自体は整っていても、瞳の奥底にどす黒い暗闇が宿っているように見える。
 言葉では言い表せない程の虚無感を味わった狛治だからこそ、少女の心が荒んでいることを察してしまう。

「なら、いいよ。甘奈はもう行くからね」

 そして、少女は背を向けて去っていこうとする。
 先程の別れを焼き増ししたようだが、今度は違う。少女……甘奈の名前を知ったし、このまま放置することに違和感を抱いた。

「待て、甘奈……といったか?」

 だから、狛治は名前を口にすると、甘奈は足を止める。

「何? 甘奈は急いでいるんだけど」
「これを持っていけ」

 狛治は甘奈の足元に、大きな袋を放り投げた。
 変わった作りの袋と思うものの、甘奈にとって役立つ物があるかもしれない。中身を確かめてみたものの、狛治にとっては興味が惹かれなかった為、甘奈に譲ることにした。
 当然、甘奈は怪訝な表情を浮かべる。

「何のつもり?」
「俺には必要ない。お前が何を考えているのかは知らないが、役立つものがあるかもしれない……お前にも、守りたい人間がいるのだろう?」

 狛治は甘奈のことを何一つとして知らない。だけど、帆高が陽菜を想うように、実の姉を思いやっていることは確かだった。
 そんな彼女の邪魔などできる訳がない。だからといって、甘奈と同行する気もないし、何よりも彼女自身にそのつもりがなさそうだった。

34ふたつの雨 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/21(日) 19:34:36 ID:PwT/xLAM0

「……ありがとう」
「甜花、という女を見つけたら、お前のことを伝えておこう」
「いいよ、そんなことをしなくて」

 そうして、狛治の袋を抱えると、甘奈は去っていく。
 彼女の言葉が気になったものの、その背中はすぐに見えなくなった。急いでいるようだから、わざわざ呼び止めるのも野暮だろう。
 何よりも、甘奈が見えなくなってから少し経った途端に、狛治の視界が唐突に揺れてしまう。膝も崩れてしまい、水たまりの中に倒れていった。

(このまま、死ねば……全てが終わるのか……?)

 ここから起き上がる気力もない。
 元々、精神的疲労が溜まっている中で、冷たい雨に当たり続けていた。いかに強靭な肉体を誇る狛治であっても、ただの人間である以上は限界が訪れてしまう。
 むしろ、終わってしまった方が、救われるのではないかとすら思った。どうして、甘奈に袋を渡してしまったのだろう、と疑問に思ったが……気まぐれで誰かに施すのも、悪くないかもしれない。

(恋雪……さん……)

 守れなかった最愛の人の笑顔を思い浮かべた瞬間、狛治の意識は闇の中に沈んでいった。





「あ、あうう……人が、倒れてる!?」

 そんな男を見つけた少女が一人。
 大崎甘奈を探し求めて走り続けている中、倒れた男を見つけたのは大崎甜花だった。
 この殺し合いには甘奈だけでなく、同じアルストロメリアの桑山千雪も巻き込まれている。しかも、イルミネーションスターズの櫻木真乃や放課後クライマックスガールズの小宮果穂の名前も名簿に書かれていた。
 283プロのアイドルが5人も危険に陥っていることがショックで、一刻も早く探さないといけなかったけど……行き倒れになっている男の人を放置することもできない。
 けれど、甜花の力だけでは男の体を持ち上げられなかった。

35ふたつの雨 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/21(日) 19:37:25 ID:PwT/xLAM0

「ど、どうしよう……!?」
「すみませーん!? どうかしましたかー!?」

 困惑する甜花の助け舟となるように、大声が聞こえてくる。
 すると、一組の男女が甜花の元に駆けつけてきてくれた。

「ひ、ひいん! だ、誰……!?」
「あっ! 驚かせて、ごめんなさい! あたし、桃園ラブって言います! この人は、多仲忍者さんです!」
「多仲忍者っス。どうも……」

 甜花が驚愕する一方、現れた男女……桃園ラブと多仲忍者は頭を下げてくれる。
 どうやら、悪い人達ではなさそうで、甜花は胸を撫で下ろした。

「え、えっと……男の人が、倒れてるの! 甜花、だけじゃ……助けられそうになくて……」
「甜花、さん……スか? ここはオレに任せてください。オレ、体力には自信あるっスから」

 すると、忍者は倒れた男を軽々と持ち上げる。
 男の体格など意にも介さず、まるでバッグのように抱えていた。

「す、すごい……!」
「まずは、この人をどこかに休ませた方がいいっスね。道着が血まみれなのが気になるっスけど……」

 甜花が驚嘆する中で、忍者は怪訝な表情を浮かべている。
 忍者が言うように、男が身に纏う道着は大量の血で染まっていた。普通の武道家であれば、道着が血まみれになるのはありえない。

「……ここは、男同士としてオレに任せて貰えないっスか? 仮に悪人でも、二人には手を出させないっスから」
「わかりました……忍者さん、よろしくお願いします」
「う、うん……」

 忍者の提案に、ラブと甜花は頷く。
 そして、気を失った男を抱える忍者を先頭に、ラブと甜花はすぐ近くの建物で雨宿りをすることになった。
 甜花としては283プロのアイドルみんなが心配だけど、忍者とラブの二人に男を押し付けることも無責任だ。
 男の姿に警戒したけど、道着が血で濡れていることだって、何か理由があるはず。

(なーちゃん、千雪さん……それに櫻木さんに果穂ちゃんも、気を付けて! みんなが、こんなことで……傷付くなんて、甜花は絶対に嫌だから……!)

 ただ、283プロのみんなの無事を祈るしかできない。
 こんなことしかできない自分の無力さが嫌になるけど、嘆いてもどうにもならない。なーちゃんと帆高の居場所がわからない以上、せめて今は目の前にいる人達の支えになりたかった。

36ふたつの雨 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/21(日) 19:39:27 ID:PwT/xLAM0

【C-2/1日目/深夜】

【狛治@鬼滅の刃】

[状態]精神的疲労(大)、帆高に対して...?、気絶中
[装備]なし
[道具]なし
[行動方針]
基本方針:どうすればいいかわからない。
1:......
※参戦時期は道場を襲撃後から無惨と出会う前


【多仲忍者@忍者と極道】
[状態]:健康、狛治を抱えている。
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、プリストロベリーの鬼激レアフィギュア@忍者と極道、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:あのクソババアの思い通りにはさせない。
1:まずはラブちゃんや甜花さん、それに帆高を守り、そして二人を襲う奴らをブッ殺す。
2:男(狛治)が目覚めたら話をする。ラブちゃんや甜花さんを傷付けるなら容赦しない。
※少なくとも、愛多間七をプリオタにした後からの参戦です。


【桃園ラブ@フレッシュプリキュア!】
[状態]:健康
[装備]:リンクルン@フレッシュプリキュア
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:みんなを守れる方法を見つけたい。
1:まずは忍者さんや甜花さん、男の人(狛治)と話をする。
※最終回後からの参戦です。
※キュアブラック、キュアホワイトについて知っているかどうかは不明です。


【大崎甜花@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康、恐怖(大)
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:????????
1:今は男の人(狛治)を看病して、その後になーちゃん達を探したい。
2:帆高と陽菜の二人には……再会してほしいけど……
※少なくとも『W.I.N.G.』の優勝経験があります。

37ふたつの雨 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/21(日) 19:46:28 ID:PwT/xLAM0





(甜花ちゃん……千雪さん……!)

 すれ違い続けていることに気付かないまま、大崎甘奈は雨の中を走っていた。
 先程、どこからともなく降ってきた名簿には、甜花と甘奈だけでなく、千雪さんの名前も書かれていた。しかも、真乃や果穂の名前までも載っていて、283プロのアイドルが5人も参加させられていることになる。
 彼女達の名前を目にした瞬間、尚更あの森嶋帆高を殺さないといけなくなった。一秒でも惜しんでいたら、彼女達が殺されてしまうかもしれない。

(こんなに……90人近くもいるんだったら、その分だけ悪い人がいっぱい混ざっているかもしれないよ……!)

 名簿を配られていてから、甘奈の不安は徐々に膨らんでいた。
 これだけいたら、悪人が混ざっていてもおかしくない。名簿の中には『ライフル銃の男』や『ユカポンのファンの吸血鬼』みたいな怪しい名前も書かれていたことも、不安を煽ってしまう。
 『吸血鬼』はまだしも『ライフル銃の男』なんて、明らかに危険だった。誰のことかわからないけど、ライフル銃を持った男など信用できる訳がない。銃猟に関わっている人ならまだしも、犯罪者の可能性の方がずっと高かった。

(早く、森嶋帆高を見つけて、甘奈の手で殺さないと……甜花ちゃんや千雪さん達が殺されちゃう! そんなの……そんなの、甘奈は嫌だよ……!)

 みんなを助けるには、一刻も早く帆高を殺すしかなかった。
 もちろん、その途中で二人を狙う悪い人達も見逃すわけにはいかないけど、甘奈一人だけで全員を倒すことなどできない。だから、さっきの道着を纏った男の人だって、特に何もしてこなかったから見逃した。
 むしろ、逆にデイバッグをくれたことが怪しかったけど……便利な支給品は多いに越したことはない。

「甜花ちゃん、千雪さん……283プロのみんな……甘奈がすぐにみんなを助けてあげるから、待っていてね。あの森嶋帆高を殺すことができれば、みんなはすぐに助かるから……」

 まるで譫言のように、大切な人達の名前を呼びながら甘奈は走る。
 既に名前も知らぬ男を殺した以上、これから何人を殺そうとも変わらない。どんな願いでも叶えられるなら、甜花ちゃんや千雪さん達を助けた後、甘奈の代わりになるアイドルを見つけて貰えばいいだけ。
 ルールの裏に潜む罠に気付かないまま、ただみんなが輝ける未来だけを信じて。

38ふたつの雨 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/21(日) 19:48:00 ID:PwT/xLAM0


【C-3/1日目/深夜】

【大崎甘奈@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康、ずぶ濡れ
[装備]:金属バット、剣or刀系の武器(詳細不明)@?????
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品0〜4(狛治の分も含む)
[思考・状況]
基本方針:甜花ちゃん達を守るため、森嶋帆高を殺す。
1:もう、アルストロメリアではいられないや……
2:甜花ちゃん達のことも見つけないと……
3:甜花ちゃんや千雪さん達のためにも、早く森嶋帆高を殺そう……

39 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/21(日) 19:48:24 ID:PwT/xLAM0
以上で投下終了です。

40 ◆j7coLoRPl6:2021/02/21(日) 21:30:08 ID:jHcEQ1FM0
投下乙です!!

>どうして雨が降る?
こういうバトロワとはほぼ無縁なほのぼのとした話が書けるのはこのロワの特色のひとつだと思います。
『帆高』に無理に関わろうとしなければこういう余暇も生むことができますね。
雨のお勉強に雨を知らないお兄さんも加えて更にのほほんとした空間に。
ウルフウッドがより詳細に名簿を見たらとんでもなく胃が痛みそうだけど

>ふたつの雨
狛治、呆然自失状態なのがかえって幸運だった...いや、本来の彼の目的を考えると不運だったのか。
目を覚ました時、同じく極道に家族を殺され絶賛極道殺し中にある忍者との邂逅が果たしてどう影響するか
既に一人殺めているので戻れず、更に不安と殺意と覚悟を固める甘奈。
ほんとうにすれ違いの物語ですが、果たして彼女の行く末や如何に。

予約にライフル銃の男を追加します

41 ◆RTn9vPakQY:2021/02/22(月) 00:11:17 ID:KmUbNdkk0
皆様投下乙です。
輝村極道、明智健悟、衛宮切嗣で予約します

42 ◆j7coLoRPl6:2021/02/22(月) 20:32:00 ID:Z.qOwbIY0
投下します

43未知との遭遇 ◆j7coLoRPl6:2021/02/22(月) 20:33:06 ID:Z.qOwbIY0
後藤。
その生物はこれまでに戦闘や芸術など多様な経験を経て進化し成長し続けてきたパラサイトである。
パラサイトは基本的に感情の機微が薄い、極めて野生動物的存在だ。
しかし、パラサイトも根本的には生物であり当然ながら多少の感情は持ち合わせている。
命の危険に晒されれば死にたくないと足掻くし、あまりにも不快なことをされれば怒りもする。
そしてわからないことがあれば困惑もする。

「ちょっとストップストップ!そこの道行くお兄さん、今なら期間限定ユニットまどか先輩が無料で手に入るよ。さあ買いねえ買いねえ!!」

例えば、こんな奇天烈な存在に出会った時だ。

なんだこいつは。
足元でちょこまかと動き回る生物を見て後藤は困惑する。
見た目は一応人間に近い。しかし明らかに体積の無さそうな薄い身体、簡略化された手足、見ていても一切湧いてこない食欲。特徴的なダミ声。
これらの要素から人間と断じるのも憚られる奇妙な生物としか言いようがない。

「なんだ貴様は」
「ユーザー登録名、まどか先輩だよ」
「先輩?ならば後輩もいるのか?」
「そんなことまで聞いちゃって...このドスケベ」

困惑。
数多の人間を喰らい散らしてきた後藤も出会い頭に助平扱いされたのは初めてだった。

(まあいい...いま重要なのは森嶋帆高と出会ったかどうかだ)

このまどか先輩とやらの生態系は気になるが、優先すべきは森嶋帆高。
この生物の研究はその後でやればいい。

「森嶋帆高には出会ったか?」
「ノン!出会ったのはお兄さんが初めてだよ。マギレコ解説漫画のわたしが嘘を吐くなんてありえない」

それもそうだろうなと思う。
なんせこのエリアは中央部。
帆高がA-8より最短距離で進んだとしてもここに辿り着けるかはかなり際どい。

「まどか先輩。お前は奴をどうするつもりだ?」
「んー助けてあげたいのはヤマヤマなんですけどねェ、こちとらやらなきゃいけない仕事もたんまりあるからねえ。もしかしてお兄さんも狙っちゃう系?」
「そうだ」

44未知との遭遇 ◆j7coLoRPl6:2021/02/22(月) 20:34:00 ID:Z.qOwbIY0

どうやらまどか先輩も帆高を狙うようだ。
元より後藤は一人で帆高を探しきれるとは思っていない。
どこかで協力者は必要になるのはわかっていた。ただ、その最初の協力者候補がコレとは思いもよらなんだが。
いや、そもそもコレに人を殺すことなどできるかも怪しい。

「まどか先輩。お前に何ができるかを教えろ。それ次第で協力を考える」
「ほほうお手並み拝見という奴ですか...いいでしょう、それではまどか先輩の秘密を解説しちゃうよ!」

まどか先輩が腰の後ろに手を隠し、すぐに万歳の姿勢を取る。
するどどうだろう。いつの間にか巨大な蟹の手が装着されているではないか。
その早業に後藤は思わず「ほう」と感嘆の声を漏らす。

「まずはコレ!因果を断ち切るVサイン、まどキャンサー!こう見えても犬のフンをつまんだ後におにぎりを握れるくらい手先は器用。
必殺技はこのハサミの重さを活かし衝撃と斬撃が間断なく襲い来る高速回転技『ダブルまどカット』だよ。続きまして」

まどか先輩はキャンサーから普通の手に戻し、掌と膝を地面に着く。そしていつの間に着けられていたのか、そこそこ大きな砲門が背に乗っていた。

「円環無限軌道『まどキャノン』!!最大の火力を持つキャノン砲に加えてミサイル、レーダーを装備しているよ。まどキャノンはキャンサーよりも多くの相手を攻撃できる強力なわたしだよ。
長時間の行動では膝にも爆弾を抱えちゃうから気を付けよう!」
「そしてこれがさなちゃん直伝のお助けスキル!」

両の拳を握りしめ、中指を立てながら小さく屈伸をするまどか先輩。やがて彼女は両手を前に突き出し親指・人差し指・中指を立てながら甲を向けた。

「Hey Yo!!何してんだよそこの水属性 水辺に住みつくところを目撃 怒ってるぜ行政いつ納税?ショボい攻撃 モーションは滑稽 マギアもどうやらびんぼくせぇ
この盾は木製ぬけねぇよ到底 専守防衛カウンター強制 宇宙まで吹っ飛んでミス木星 お前の母ちゃん無償石――――ya!!」




ターン

45未知との遭遇 ◆j7coLoRPl6:2021/02/22(月) 20:36:21 ID:Z.qOwbIY0

まどか先輩のラップが終わるのと同時、銃声と共にまどか先輩が弾き飛ばされた。

―――襲撃か!

後藤はまどか先輩の吹き飛んだ方角と銃声の反響音を脳内で反芻する。
断片的な情報からおおまかに銃弾の射出場所を計算し割り出しているのだ。

「―――そこだな」

後藤の足がウサギを連想させる形に変形し硬質化していく。
変形が終わると足のバネの反動を利用し一気に駆け出した。

ピシュン ピシュンと特徴的な音が響く。
これが変幻自在のパラサイトの中でも、後藤にのみ許される高速移動方だ。

(森嶋帆高でないものを率先的に排除する者。それは非合理的な者か森嶋帆高本人だ)

この催しは帆高を捕らえるか殺すことを強制される殺し合いだ。
そんな中で帆高捜索の協力者を募るでもなく殺意のある襲撃を行う者など限られている。

(精々、工夫して楽しませてみせろ襲撃者)

例え帆高でなくても落胆などしない。
後藤は戦いを求め続ける戦闘マシーンなのだから。



「ウオッ、なんだあいつ。めちゃくちゃはええ」

まどか先輩を銃撃した狙撃手―――ライフル銃の男はスコープ越しに迫る後藤を見て思わず慄く。
陸島文香たちから離れ、新たな獲物を屋外から探していたところ、無防備に向かい合っている後藤とまどか先輩を発見。
あの簡略化された外見の奴が何かは気になったが、ここは先に男の方から殺しておこうと後藤を狙撃―――したはずだったが、気が付けば照準はまどか先輩へと向いており彼女を撃ってしまった。
雨で手を滑らしたかと思い、まあ次で仕留めればいいと思っていた矢先に後藤が高速で迫ってきたのだ。
この雨にも関わらず1km以上は空いていた距離がどんどん縮まっていくにつれ男の思考にも焦燥が生まれ始める。

(クソッタレ!とんだしくじりだぜ!ここにいるのはまずい!)

男は今まで多くの人間を射殺してきたが、ああも高速で動ける生物を撃ったことはない。
己の腕前では弾を無駄に消費してしまうことは悟っていた為、狙撃は早々に諦めることが出来た。

(ここは逃げるか?いやあの速さじゃ逃げられるかわからねえ。罠でも張って迎え撃つか...!?)

撤退か戦闘か。これが男の運命の岐路となる。

【C-5/1日目/深夜】

【後藤@寄生獣】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考、状況]
基本方針:森嶋帆高の殺害
0:襲撃者と戦う。
1:協力できる者がいれば協力しても良い。
2:まどか先輩は協力者として保留。死んでなければ、だが
※参戦時期は市庁舎での戦闘後。



【ライフル銃の男@ドラゴンボールZ】
[状態]:健康
[装備]:ライフル@ドラゴンボール
[道具]:基本支給品一式、発煙弾三発入り(残り二発)、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:森嶋帆高を殺して夢を叶える
0:迫る男(後藤)から逃げるか待ち伏せして戦うか...
1:せっかくだから殺せるだけ人は殺す
[補遺]
※参戦時期は魔人ブウと出会う前です

46未知との遭遇 ◆j7coLoRPl6:2021/02/22(月) 20:38:36 ID:Z.qOwbIY0


「いやー驚いたねえ」

むくり、と起き上がるまどか先輩。
彼女は頭を撃たれたにも関わらず死ななかった。
それもそのはず。彼女はもとより魔法少女という魂をソウルジェムに抜かれた身。ある意味人造人間のようなものだ。
無論、その真実を知らなければ己が死んだと認識した段階で高確率で死に至るのだが、魔法少女まどか☆マギカシリーズを網羅している世界の彼女が自覚していない筈がなく。

加えて、一発芸としてラップを披露している最中だったのも幸運だった。

先のラップはただのラップではなく、2019年4月9日に配信されたマギア☆レポート79話にてマギレポ世界の二葉さなが挑発スキルとして使用したものである。
つまりまどか先輩の挑発スキルが関与しライフル銃の男は無意識のうちに彼女を狙撃してしまったということだ。
もしも先に後藤が狙撃され、万が一にも死亡していればまどか先輩もビビリあがりバケツを頭に被って避難する他なかっただろう。

「あのお兄さんにわたしのキュートかつスタイリッシュな変死...変身アニメをお披露目できなかったのは残念だけど仕方ないよね」

いかにも怖そうなあの男が割と協力的だったのには驚いたが、こちらがボケ倒してもツッコミや合いの手が無かったことから、イマイチウマが合わなさそうだった。
まあ帆高をゴールさせないことに関しては同意を得たので分かれて行動しても問題ないだろう。

「わたしだって撃たれれば痛いんだよ...というわけでお疲れ様でーす」

言うが早いか、まどか先輩はすたこらさっさと逃げ出した。



【C-5/1日目/深夜】

【まどか先輩@マギア☆レポート】
[状態]:ダメージ(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜3
基本方針:とにかく生還する。
0:とりあえずはゲームに従い帆高くんを確保する方針を取るよ。
1:邪魔するならたとえ別世界のわたしでも...戦争じゃあ...
2:恐いからとりあえず離れとこ。

※参戦時期はマギアレコード本編の第2部が始まって以降です。

47 ◆j7coLoRPl6:2021/02/22(月) 20:39:55 ID:Z.qOwbIY0
投下終了です

48 ◆j7coLoRPl6:2021/02/22(月) 20:40:18 ID:Z.qOwbIY0
投下終了です

49 ◆j7coLoRPl6:2021/02/22(月) 22:38:35 ID:jhHss57Q0
須賀夏美、鬼舞辻無惨を予約します

50 ◆VNz2VDTKZc:2021/02/23(火) 20:43:26 ID:FyCnX.Gs0
投下します

51かつて神だった野獣へ( ◆VNz2VDTKZc:2021/02/23(火) 20:44:35 ID:FyCnX.Gs0
「堂島……瀬里? 死んだはずやろ……」

行為を終えて、公衆トイレから出て来たチュア・ラストルグエヴァの目に止まった一枚の紙きれ。
何かと思えばあの老婆の声が響き渡り、これが名簿だと理解する。だが、そこに記されている内容は到底信じがたいものだった。

堂島瀬里。
かつて囚人仲間達と逃がしたはずの堂島姉妹。
だが、脱獄後に味方と信じていた筈の父親に裏切られ、妹の真希を逃がしたものの自分達が殺めてきたその遺族達と刺し違える形で亡くなった。

父親に裏切られた。
それは同じく、父親に強姦されたカチュアからして思うことがないと言えば嘘になる。

「同姓同名……けど、わざわざワタシの近くに名前をおいとるもんなぁ……」
「これもうわかんねぇな」

その横で、うんこの擬人化である野獣先輩が同じく拾った名簿を見ていた。

エロ金剛を殺めた直後に出くわした彼女達は、カチュアが返り血と自分の血に濡れていたことから、一触即発の空気へ。
だが、話せばお互いが帆高を狙っている事が分かり、争うメリットがないと構えを解いてその直後に名簿が配られ今に至る。

「そっちは知り合いおったんか?」
「ないです」

(なんか、臭いわ。こいつ)

ヒタヒタ…

「ふぅん……」

名簿に目を通したところで、物理法則を無視したふざけたコートの男と緑髪の美少女が現れた。





「ルルーシュは……そうか、来ていなかったか」

C.C.は、胸を撫で下ろしていた。
共に連れて来られているかもしれないと考えていたルルーシュは殺し合いには居ない。
取り合えずはだが、当面は危険はないだろう。

「……早く、帰らないと」

だが、居ないなら居ないで気掛かりだ。
今のルルーシュに生活力は皆無で、借りた宿から勝手に外出して途方に暮れてでもしていれば大変だ。
仮に宿に籠っていても、食事を摂っているか分からないし、用だって一人で足せるかどうか。
一刻も早く殺し合いから抜け出し、傍に戻らなければならない。

「丸藤亮……確か、サイバー流の使い手……幼いながらも優秀なデュエリストだったが」

同行者たる海馬瀬人も名簿に一つ見知った名前を見つける。

海馬は以前、デュエリスト達のレベルの低下を嘆き、そのデュエリストを育成する機関、デュエルアカデミアの構想を練っていた。
その際、優秀な少年少女達はある程度ピックアップしていたのだが、この丸藤亮という少年は相当なレベルのデュエリストであると記憶していた。

「子供まで巻き込むとは、つくづく悪趣味な事だ」

正確にはここにいる丸藤亮は二十歳前後で、恐らく海馬よりも歳も上だ。
殺し合いに呼ばれた時間軸、もっと言えば丸藤亮のいる世界線(テレ東のアニメ遊戯王の続編がアニメ版GX)とこの海馬の世界線(原作漫画の続編)はまた別の物である。
だが、その事に気付く術を今は持ち合わせてはいなかった。



それから暫くして、二人は公衆便所の前でたむろっていたカチュアと野獣を見つけた。

52かつて神だった野獣へ( ◆VNz2VDTKZc:2021/02/23(火) 20:45:06 ID:FyCnX.Gs0


「ふぅん……女、貴様の身のこなし……なるほど俺が見てきた殺人鬼達によく似ている」
「い、いや……気のせいちゃうか?」
「女、お前のような殺人鬼は見飽きている」

以前、海馬は残酷な心を持つ者達を優秀な人材として、海馬コーポレーションに積極的に採用する等して迷走していた時期がある。
実際に何十人も殺してきた殺人鬼を遊戯達にけしかけたこともあった。

その頃に彼女のような存在を幾度となく見てきたことで、カチュアの正体、その中にいる殺人鬼の人格に薄々勘付けていた。

カチュアも言葉を濁すが、海馬がハッタリや引っ掛けではなく断固とした確信を持っている事を感じ取る。
出来れば余計な揉め事は避けたいところだが、下手にエロ金剛を殺した殺人者として糾弾してくるのも面倒だ。

ここでいっそ、口封じとして野獣含めた三人纏めて始末するというのも手だろうか?

「安心しろ。貴様の後ろめたい過去など、どうでもいい。ただ、参加者を殺めたのならその首輪を持っている筈だ。
 それをオレに寄越せ」

「首輪? ああ、鋭いな。あんた」

もっとも、海馬にとってはつい先ほど行われていたであろう殺戮劇に一切の関心がなかった。
欲しいのは、この戒めたる首輪の解析、その為のサンプルだ。

「……まあ、首輪なら確かにあるで。
 けど、渡すついでや……少し情報交換といかんか? お互い先立つモノは何でも欲しいもんやろ」

「海馬、私はその話に乗っても良いと思う。
 お互いここには身内も居ないようだ。先を焦る必要もないだろう?」

C.C.にとって、殺し合いにルルーシュが居ないのなら先を急ぐ必要はない。
もちろん、早急に帰還しルルーシュの元へ戻らねばならない事に変わりはないが、そこで後先考えないほどC.C.も馬鹿ではなかった。
海馬もモクバが居ればまだしも、現状ではな情報は得れるだけ欲しい。

更にカチュアからすれば幸いなのが、二人とも殺人者に対しそこまでの偏見もないことだ。
血の付いたカチュアを見ても、恐らくは襲われたのを返り討ちにしたかもしれないと冷静に分析できるくらいには場慣れはしていた。

「そうだよ(便乗)」

野獣は尊敬するMUR大先輩のように便乗した。

53かつて神だった野獣へ( ◆VNz2VDTKZc:2021/02/23(火) 20:47:10 ID:FyCnX.Gs0




「――――メデューサ症候群、か……剛三郎(ヤツ)が聞けば飛びつきそうな話だ」


カチュアの語るそれは殺人者の記憶を植え付け、人為的な殺人鬼を作り出すという恐るべき計画の一端であった。
その人為的な殺人鬼達を出来レースの裁判で罪に問わせ、刑務所に作為的に集められた囚人たちで更に殺し合いや、時として不都合な相手を抹殺する駒としても扱われる。
血の繋がりはないとはいえ、父である海馬剛三郎の軍事産業を忌み嫌い、後に会社を玩具産業、特にデュエルに関する事業展開に大幅に改革した海馬からすれば、これ以上なく不快な話であった。

当然ながら、カチュアは同情を引けるように、ついでに言えばエロ金剛が襲ってきたので正当防衛で殺めたことも含めて、多少なりともオーバーに語りこそしたがそこに嘘偽りはない。


「しかし、五菱など聞いたことがない」


海馬の会社ほどではないにしろ、それなりの規模の五菱日本重工という会社を知らないのは違和感を覚えた。
更に言えば、メデューサ症候群という社会問題にもなっている事柄を海馬が知らないことこそあり得ない。

「少なくとも、童実野町の住民たちの動向は全て海馬コーポレーションの監視下に置いてある。メデューサ症候群等と呼ばれる事件があれば、警察よりも真っ先に俺に報せが届くはずだ」

(それ、独裁者っていうんちゃうんか……?)

話を聞けば、童実野町とやらはデュエルのカードに必要なカードの束(デッキ)がなければ住民登録が出来ず、住民の位置情報まで把握しているらしい。
羽黒刑務所も真っ青の監視体制にカチュアは世も末だと呆れ果てた。
そもそも、お婆ちゃんとかお爺ちゃんは、そんなカードで遊べるんだろうか。

「ワタシだって、海馬コーポレーションなんて知らんわ。ムショに入ってから出来たにしても、あんたが言うほどの大企業なら知らん筈ないけどなあ」

同じく、カチュアもカードゲームなんて小学生で卒業しとけやと思いながらも、海馬曰く世界的に流行ってると熱弁するものを一切見聞きしないというのは在り得るのだろうかと疑問に感じる。
特に一つの街を丸々支配しているようなトンデモ会社なら、話くらいは聞くだろう。

「……お前達の日本はブリタニアに占領されてないのか」

「ブリタニアって、いつの話やねん。今はイギリスやろ」

「痛いですね…これは痛い(冷静)」

海馬も大概おかしかったが、C.C.の語る話が一番異様であった。
ブリタニアに支配され、エリア11という植民地化された世界、そのブリタニアが開発したKMF(ナイトメアフレーム)と呼ばれる人型兵器。
最終的にはブリタニアの皇帝が討たれ、日本は解放され平和が取り戻されたらしいが、最早話が飛躍し過ぎてお互いに知る知らないで済む話ではない。

野獣に至っては完全に精神異常者を見る目で見ていた。

「恐らくは並行世界だろう」

「は? 何言うとんねん」

「ありえん話ではない。世界は一つではなく、複数存在するという事だ。
 この目で冥界という異界の存在を確認したこともある。
 オレと貴様、そしてそこのお前は差異はあれど比較的良く似た歴史を辿った世界で、C.C.はまるっきり別の歴史を経た世界と考えれば辻褄は合う」

「んまぁそう…よく分かんなかったです…」

話が飛躍し過ぎて、理解の範疇を超えてはいたが、カチュアも物分かりが悪い方ではない。

エロ金剛も出会った直後、吸血鬼が日本を支配しただのと、世迷言をのたまっていた気がする。
これも本物の吸血鬼が実在する世界があったということなのかもしれない。

信じ難いがそういうこともあると受け入れることにした。

54かつて神だった野獣へ( ◆VNz2VDTKZc:2021/02/23(火) 20:47:41 ID:FyCnX.Gs0

「本題やけど、社長はこの首輪外せそうなんか」

「外せる」

「即答かいな!」

「だが、サンプルがいる。その金剛とかいう化け物の首輪を渡して貰おうか」

正直なところ、カチュア本人これを持っていても価値はあまりないと考えていた。
スマホや暗殺用の道具位なら使えるが、爆弾を仕込んだ首輪を解析するなんて芸当は殺人鬼の人格を以てしても不可能だ。
この海馬という男はカードゲームを楽しく遊びたいが為に、何やら凄く近未来的なソリッドビジョンだとか何やらを開発した上に元は軍事産業で、兵器や爆弾の類にも詳しいと来た。
殺し合いに対しても、カチュア達メデューサとは違って相当な反感を持っているのは間違いない。

(まっ渡してもええかな……)

少なくともカチュアよりは友好的に首輪の解析に役立てはするだろう。



「ハーッハハハママママ……おもしれぇ話してるじゃねえか、おれも混ぜてくれよ」



カチュアの手からエロ金剛の首輪が滑り落ちた。


「…………な、なんや……こい、つ……」


元は一般人ではあるが、それでも修羅場は潜り抜けてきた。
同じメデューサ症候群の殺人鬼達とは数え切れぬほどに戦い、カズナリといった強敵達を下し、ナイスアス水野智己率いる天童組との抗争にも勝利を収めた。
故に本来なら威圧され、恐怖を抱くなどそうはない。あったとしても冷静に戦況を見極めることは出来た。
薬もまだ効いている状況なら猶更だ。

「首輪を外すとか言ってたねぇ? どういうことだあい?」

だが、目の前のこれにはどうしようもない。
カチュアもそのベースとなった別人格アンドレイ・チカチーロも凄腕の殺人鬼ではある。
しかし、殺せる範囲はあくまで人でしかない。相応の装備、アドバンテージがあればエロ金剛程度の異形も殺せはするだろう。

だが目の前に現れたこの巨漢は、あの異形ですらもただの人だったと思わせるほどの巨体を誇っている。
一見肥え太り、ファンシーな服を着た醜い老婆だが、その背丈は数メートルはあり、公衆便所の屋根を遥かに凌駕する。
大きい体躯の男も少なからず見てきたが、もう比較対象にすらなりはしない。

「詳しく聞きたいねぇ!!」

裏拳での薙ぎ払いで、公衆便所が完全に崩壊した。
砲弾での撃ち込まれたかのような轟音が轟き、紙細工のようにコンクリートが灰色の破片へと還っていく。エロ金剛の死体もミンチになりながら宙を舞っていた。
怪力自慢も体躯自慢も腐る程見てきたが、その誰もがこれには敵わないと確信を持てる。

これはもう人ではない。

人の範疇を完全に逸脱しては、その殺人鬼の技量知識経験も全ては無意味だ。

元よりメデューサ達を作ったあの女医もこれは完全に想定外だろう。元の想定した性能からして完全に専門外なのだ。

(……あくまでメデューサ達は殺人鬼ってことや……無理や、殺せへんわ……強い弱いの話しちゃうねん。
 ほんまもんの化け物を殺すならヘラクレスとか、安倍晴明とかベースにするしかないわ。……こっちは人間専門やねん)

思考も滅茶苦茶になり、だが恐怖から逆に完全に狂えもしない。
ただ一つ分かるのは、殺『人』鬼ではビッグマムという化け物には絶対に勝てないということだ。

55かつて神だった野獣へ( ◆VNz2VDTKZc:2021/02/23(火) 20:48:14 ID:FyCnX.Gs0

(KMFさえあれば……だが)

C.C.の脳裏に過ぎるのは人の身に使うにはあまりにも過剰戦力たるKMFだった。
あれならば、ビッグマム程の巨漢でも同じ目線で対峙することは叶うだろう。
それでも並大抵の機体では数秒も持たない。パイロットもスザクやカレンほどの超人でなければ、真っ当な戦いにもならないと予感させる。


「出そうと思えば(王者の風格)」



ジョボッ、ジョボボボボボ……ジョボボボボボ! バチィッ! ミュリッ ギュィィッ……ポンッ! ブチィ……ブッチッパ! ……ピチョン……


宮本明や鬼ヶ原小夜子のように、野獣も恐怖のあまり下半身から汚物が飛び出していた。
余談だがこの二人は住む世界も違い面識こそないものの、ほぼ同時期に同調(チューニング)しシンクロ脱糞(しょうかん)していたこともある。




「ふぅん、ババア何の用だ」


「口の利き方を知らないねぇ。麦わらといい、最近は四皇の威厳ってやつも地に落ちちまったか」


(なんで、普通に口聞けんねんあいつ……)


カチュアの驚きもよそに海馬とビッグマムは平然と会話を続ける。


「お前、外せんのか。この首輪」

「くどい。このオレを永久に縛ることなど何者にも叶わぬわ!!」

「ハーッハハハママママ……それで首輪を外すのに、サンプルがいるってことかい?」

「貴様の首を差し出すというのなら手間が省けるがな」

「いいねぇ……なら、早速サンプルを持ってきてやろうじゃないか」

ビッグマムは口の端を釣り上げ、笑みを浮かべた。
彼女の目的もまた殺し合いからの早急な帰還だ。
まず第一に舐めた真似をしてくれた麦わらを殺さなければならないし、家族とずっと離れ離れというのも寂しくて仕方ない。この雨の中でお菓子もろくに食べられない。

だから、帆高を殺す。それが一番手っ取り早い、があの神子柴とかいうのが約束を守るとは限らない。
こればかりはビッグマムですら素直に認めざるを得ない。現状、この命は神子柴が握っているも同然だ。

実際に首輪を外そうと、ソルソルの能力をいくつか試したがその全てを弾かれた。

爆破で死ぬというのも嘘ではなく、ビッグマムも例外ではないのだろう。
可能であるならば首輪は外すべきだ。それも可能な限り早くに。

「おれはお前みたいなのを探してたんだよ。シーザーみたいなのとは違う、お前のそれはちゃんとした実力から来る確固たる自信だ」
「……何が言いたい」
「味方になってやるって、言ってんのさ。お前が首輪を外せるまで幾らでもサンプルを用意してやるよ」


「―――ッ!?」


一瞬だった。ビッグマムが腕を軽く伸ばし、本人にとっては軽く突いた程度のものだったのだろう。
だがそれが直撃したC.C.はいとも呆気なく、血を撒きながら吹き飛ばされていった。

「先ずは三つ……感謝しなよぉ」

首輪を外せると豪語する海馬以外をここで殺す気だ。その首輪をサンプルとして。
一同がそれに気づき、真っ先に構えたのはカチュアだった。

56かつて神だった野獣へ( ◆VNz2VDTKZc:2021/02/23(火) 20:48:40 ID:FyCnX.Gs0

(アカン、こらアカンわ……)

構えるのは良いが、今回ばかりはどうやっても勝ち筋が浮かばない。

どうする? 帆高を殺せば帰れる、殺し合う必要はないと説得してみるか? 否、そんなもの関係がない。
カチュアとて分かっている。これが非常に不透明なルールのゲームで、その主催に信憑性がないということくらいは。

ただ、カチュアはこの場の参加者全員を皆殺しに出来るほどの力はない。だから、やむを得ず帆高を殺そうとしただけだ。
それが現状、唯一の生還手段だから。

だがビッグマムには出来る。殺して首輪のサンプルを手に入れるなど容易い事、首輪の解析にあてが出来ればそれに舵を躊躇いなく切れる。
仮に海馬がダメでも、その時はルール通り帆高を殺せば良いだけだ。

(逃げる? すぐ追い付かれるわ。……戦って……カンチョ―くんでどないすんねん? アナル入るかあれ? ナイフの毒やて、斬る前に殺されるわ。あのC.C.(おんな)みたいに)



「フフフ……クククク……フフフフフフフ……ワッハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」


(……なに、わろとんねん)

カチュアの胸内に反し、海馬は馬鹿のように高笑いを上げる。

「ババア、貴様四皇とか抜かしていたな」

「ん? ああ……そうだね」

「皇(おう)とは本来ただ一人を指し示すもの……だが所詮、貴様は四皇止まりに過ぎん」

「どういう意味だぁい……?」

「真の皇とは唯一無二、絶対の孤高者に他ならない。断じて、貴様などではない!」

(あほぅ……煽んなや)

「ハーッハハハママママ……そりゃ何かい? ……海賊王になるのは、おれや赤髪やカイドウ……ましてや麦わらでもなく、お前だってのか?」

「知った事か。オレの前で王などと二度と戯言を口にするな。
 冥府の王を葬り去り、決闘王の称号を手にし、絶対者として君臨するのはこのオレただ一人!! 貴様にくれてやる命などこの場にはないわ!!!」

交渉決裂。
海馬もビッグマムも、互いに視線を交え睨み合う。

「仕方ない……他を探すとするよ。ここで四つサンプルを頂いてねえ!」

ビッグマムの威圧感が増す。

カチュアの全身から冷や汗が流れ、本能が警鐘を鳴らす。


「―――ライフ オア デッド?」


寿命か死か?

これが魂への言葉(ソウル・ボーカス)。
ソルソルの実の能力、ビッグマムに臆する者、恐れた者から命を奪い去る魂の強制搾取。

どちらも破滅しか待ち得ない最悪の選択肢を突き付ける。

「ふぅん、オレの答えなどたった一つ。
 オレの魂……オレのプライド―――この最強のしもべが応えてやるわ!!」

対して海馬は微塵の怯みも見せず、一枚のカードを天高く掲げる。

「―――青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)!!」

「なんだ……? なんて、珍しいドラゴン……」

蒼き眼の白銀のドラゴンがその神々しい姿を現す。
珍獣コレクターたるビッグマムの琴線に触れ、初めて見る美しさに見とれていた。

57かつて神だった野獣へ( ◆VNz2VDTKZc:2021/02/23(火) 20:49:29 ID:FyCnX.Gs0

「哀れな老害にレクイエムをくれてやれ!」

デュエルの世界において、最も高貴かつ優れた究極の生命体。
その高次元の存在が放つブレスは、ありとあらゆるものを破壊し尽くす滅びの一撃。

「滅びの―――バーストストリーム!!」

死の選択肢、それに突き返す海馬の答えそれは―――。

「粉砕! 玉砕!! 大喝采!!! アッハハハハハハハハハハハハハ!!!」

(三つ言ってるやん……)

ビッグマムの巨体のシルエットが光の中に消えていく。
海馬の高笑いは止むことを知らず、協奏曲のように奏でられ続けていく。

「デカい口の割にこんなもんかよ!!」

「なに―――」

ビッグマムの巨体に合わさる程の刀身を持つ大剣、ビッグマムが頭に見つけた帽子が変化したそれに滅びの光は一瞬にして薙ぎ払われた。
その中心からは、所々服が焼き焦げた以外は完全な五体満足のビッグマムが君臨している。

「バカな、ブルーアイズの攻撃が効かなかっただと……?」
「攻撃ってのはねぇ、こうやるんだよお!!」

ただ大ぶりに掴んだ剣を横薙ぎに振るう。その一連の単純な動作は単純であるがゆえに小細工もなく、ひたすら純粋に速く、何よりも強い。

「ぬうおおおおおおおおおおお!!!?」

ブルーアイズが主を庇い、バーストストリームで迎撃しながらも尚も勢いは止まらずその身を盾とする。
激しい衝撃が海馬にフィードバックし、切り裂かれたブルーアイズごと吹き飛ばされていく。

「嘘やろあいつ!? あの態度で瞬殺されおった!!」

もう、戦えるのはカチュアを於いて他には居ない。だが、どうやって戦えばいい?
カチュアの中にある殺人鬼の能力を総動員しても数秒持てば良い方かもしれない。
せめて、仲間のメデューサ達が……いやそれでも結果は死体がただ増えるだけだ。

「な、なあ……帆高殺そう思ってんのはワタシもやし……手組まへんか? こう見えて役立つで」

ダメ元で先ずは会話をして、時間を稼ぎながら戦略を練るしかない。

「俺もHDKはレイプする気だったしさ、大丈夫だって安心しろよ〜」

そこへ野獣も保身から便乗してくる。内心で舌打ちした。

58かつて神だった野獣へ( ◆VNz2VDTKZc:2021/02/23(火) 20:49:52 ID:FyCnX.Gs0

「おれがお前らと組んで、何のメリットがあるんだ?
 寿命は大好物なのさ、それを我慢する理由があるなら言ってみなぁ」

「……ないです」

「素直か!」

野獣とカチュアの手など必要ないほどに、この化け物は強すぎる。
交渉の余地などまるでない。一切のアドバンテージがカチュア達にはないのだから、ビッグマムからすれば聞く理由もない。

(しゃーないわ。一か八かカンチョ―くん使うしかあらへん。効くか分からへんけど……
 それでベンズナイフで斬って毒殺……やるしかない)

よく考えればカンチョ―くん三つ支給、一度で使い捨てというのはこれ以上ない外れ支給品に思えてきた。
こんな化け物がいるのなら、ミサイル位支給しても罰は当たらないだろ。そう、神子柴に抗議したくなる。

「……私が短くて十秒……長ければ一分稼いでやる」

覚悟を決めて、玉砕を承知で戦おうとしたカチュアの肩に手が置かれる。
振り返れば血だらけのC.C.が覚束ない足取りでカチュアの前に歩み出る。

「その間に、海馬を連れて何とかして逃げろ」
「あ、あんた……?」
「お前じゃ、時間稼ぎにもならない。わたしの方が多少は稼げるし、生き残れる可能性は高い……多分な」

先の攻撃は速すぎて見切れなかったが、それでもどう見ても即死するような一撃だったとカチュアは記憶している。
だが服を染める血こそ真っ赤だが、C.C.本人は平気な顔で歩いていた。

「お前、寿命が取れないね……? 思い出すよ……麦わらのとこのガイコツ、あのソウルキングを」

「そうとも、私は魔女……不死身だからな」

コードを受け継いだC.C.の体は、如何な外傷を負っても死ぬことはなく。永遠に歳を重ねることもない。
ルルーシュがCの世界で神を殺したことで、そのCの世界が不安定であることに加えて、殺し合いに呼ばれた時点で更に制限を受け、場合によっては死ぬことこそあれどその身には寿命という概念はもう存在しない。

「好物なのに悪かったな。寿命なんて、渡してやりたくともないのさ……お嬢さん?」

C.C.は自分の杖代わりにしていたショットガンを構える。

それはゲイリー・ルウィンドンという殺人鬼をベースにしたメデューサ、堂島瀬里が良く愛用していたものと同じタイプ。
伊達にC.C.も永くは生きていない。KMFの操作から始まり、喧嘩も強く、上手い訳ではないが銃もある程度は扱える。
流石にその瀬里には遥かに劣るだろうが、ずぶの素人よりは断然マシだ。

「その豆鉄砲でおれに挑む気かい? ハーッハハハママママ!! どれ、不死身の魔女様はどれだけ刻めば死ぬか試してみるか」

ビッグマムが嘲るように笑い、そして巨腕を振るう。

(懐に入れさえすれば……)

完全に舐められている。動きもビッグマムにしては非常に緩やかだ。
不死身の魔女に対し、どう傷が治るのか関心があるのだろう。じっくり嬲って遊びながら、どう傷が治るのか見るつもりだ。
ブルーアイズを一目見た時に興味深そうにしていたことから、珍種に強く惹かれるのでは考え、不死身だとバラしてみたが上手く思考を誘導できたようだ。

これなら、触れるだけならばC.C.でもやりようはある。

59かつて神だった野獣へ( ◆VNz2VDTKZc:2021/02/23(火) 20:51:03 ID:FyCnX.Gs0

「ッ……!」

ショットガンを後ろに向け、トリガーを引く。
滅茶苦茶な体勢で撃ったことで体が軋み、銃を持っていた右腕に激痛が走り使い物にならなくなる。
だが、どうせ不死の体だ。容赦なく使い捨てにしても未練はない。

「!?」

その銃の発砲による衝撃で僅かに加速したC.C.はビッグマムの攻撃圏を抜け、自身の射程範囲内へと肉薄した。
腹部が大きく切り裂かれているが、この程度の痛みは今に慣れた事だ。
まだ動く左腕で、C.C.はビッグマムへと触れた。

ショックイメージ。
C.C.が相手に触れることで、その対象に記憶やトラウマを呼び起こす特殊な力。

これは一か八かの賭けだ。
カチュアではビッグマムに時間を稼ぐことも出来ない。
だが、C.C.ならばこのショックイメージを見せ、その間はビッグマムであろうとも身動きは取れない。

その隙に逃げれば良い。
持ち前の不死性も薄らぎ、何処まで再生できるか分からなかったが、それでも生き延びる為にはこの手しかなかった。

(頼む―――効いて……)

「おれに、何しようとしたァ!!」

だが接触があまりにも短い。

「がっ……!」

ショックイメージを見せる前に薙ぎ払われた。
強い衝撃が全身を駆け巡り、近くの建物へと吹き飛ばされる。
全身が打ち付けられ、骨は大分やられている。窓ガラスに突っ込んだせいだろう。ガラス片も肉を突き破り、赤い染みを増やしていく。

「触ろうとしてきたね。……万一もあるし、こいつは迂闊に近づかない方が賢いやり方かもな……」

「ぐ、ふっ……!」

四皇というだけのことはある。支配者として、その強さは勿論のこと頭もキレるようだ。
格下のC.C.に対しても僅かな違和感から警戒を強め、慎重に対処しようとしている。
理性ある化け物とは、本当にどうしようもない。

(痛いな……まあ、慣れているが……カチュアと海馬、あと汚い男は逃げたか……)

外の様子が見えない。多少なりとも時間は稼げたし、あのまま逃げ切ってくれればいいが。

(流石に、もう以前のように不死ではないようだ……)

再生が非常に遅い。意識も朦朧としてきて、今までに感じた死とは訳が違うと感覚で分かる。
ようやくだ。長年望んだいた死が訪れるのだろう。
そうだ。元々、これを宿願に悠久の時を過ごし続けてきた。だから、もう未練など―――

「まだ、だ……」

「あ?」

「わたし、には……約束が残っている」

体が動いてくれた。僅かな治癒で少し動くくらいにまでは再生できたのだろう。
血を流しながら、立ち上がる。
もっとも、だから逃げれる訳でもない。だがC.C.にはただ諦めて死を迎えるという選択だけは取れなかった。

「約束したんだ……あいつと、だから……」

死にたかった筈なのに。
どうしようもなく望んだものが手の届くほど、目の前にあるのに。
それなのに、これ以上ないほどにまだ生きたい。明日が欲しい。あいつが、示してくれた未来が恋しい。

「……ここじゃ、死ねない」

「あーもう、面倒くせえ……!」

決して距離を縮めず、剣を振り上げる。その動作から、斬撃を飛ばしてくるのだろうと直感する。
間接でも触れてくるなら可能性はあったのだが、そこまで織り込み済みなのだろう。

「お前はもうここで死ぬんだよぉ!!」


―――必ず、お前が笑わせてくれるんだろう?


「……ルルーシュ」


「ババア!! 貴様の相手は百獣の王たるこのオレだ!!」



轟く怒声。
ビッグマムの剣は振り下ろされる直前で止まった。

60かつて神だった野獣へ( ◆VNz2VDTKZc:2021/02/23(火) 20:51:23 ID:FyCnX.Gs0

「ばか、逃げろ……!」

その声でC.C.は全てを察する。あの男が再び、この化け物の前に立とうとしている。

「社長、ほんまに大丈夫なんやろな!?」

「やべぇよ…やべぇよ…」

「ふぅん、あの女が時間を稼いだところで、ババアの足ならすぐに追いつかれるだろう。
 全員、腹を括れ」

海馬はそう強く言い放つと左腕に付けた黒と青の機械を展開する。

(……確かに、C.C.が何秒稼ごうがあの婆さんのデカさなら、すぐ追い付かれるってのは分かるで。
 せやけど、あの社長……何する気や)

カチュアと野獣は、ビッグマムの意識がC.C.に向いている間に彼女の言う通り逃げ出す算段だった。

しかし、首輪解析目当てで連れて行こうとする海馬に『一つ手がある。逃げるよりは確実だ』と言い放たれる。
普段ならば無視して逃げていたが、その自信溢れる態度にカチュアは押し切られ、再びビッグマムの前に立ってしまった。

「あーもうめちゃくちゃだよ。死ぬなら、勝手に死んでくれよな〜頼むよ〜」

(この汚物を逃げんように見張れ言うてたけど……なんのつもりや)

カチュアにナイフを突きつけられ、逃げる逃げられず喚く野獣にカチュアも訝しげな顔をする。

「ハーッハハハママママ!! この女を助けに来たのかい? 馬鹿だねえ、逃げれば運が良ければもう少し生きれたかもしれないのに」

「勘違いするな。そんな女など、どうでもいいわ!!」

所々痛む体に鞭を討ち、海馬はビッグマムの前へ再び対峙する。
今の海馬に雑音は一切入らない。全てのノイズが遮断され、眼前の景色すらも見えてこそいるが見据えてはいない。

ただ左腕の新型デュエルディスクを強く見つめる。

海馬が発明した次世代の新たなデュエルディスクではあるものの、ブルーアイズは単独で実体化し、殺し合いの最中では役に立つことは少ないと支給されたそれはディパックに収めたままだった。

「……奴を、葬り去るべきはこのオレ自身だった……」

あるのは、己が止めを刺せず消え去った過去の亡霊のビジョン。
この手で打倒し、捻じ伏せなければならない宿敵の幻影。

「貴様が、俺の往く冥府魔道に立ちはだかるというのなら―――この手でこじ開けてくれる!!」

ビッグマムは確かに強大な敵だ。だが、奴なら諦めたか?

61かつて神だった野獣へ( ◆VNz2VDTKZc:2021/02/23(火) 20:51:43 ID:FyCnX.Gs0


否―――奴は屈しなかった。如何な相手であろうとも。サレンダーだけはしていない。


三体のブルーアイズという究極の絶望を。

トゥーンという死の概念のない無敵の存在を。

無限の力を魅せる天空の神を。

常闇の死霊から宣告された絶対の死を。

万物を焼き払う太陽の不死鳥を。
 

奴はあの小さな体で幾度もの絶望を超えた。奴は窮地を巻き返した。
自らの可能性を信じ、次の未来(ドロー)に全てを託し奇跡を引き当てた。

どれほどのプレッシャー。恐怖、畏怖に苛まれた想像に難くない。
ならば、その男を葬り去るべき海馬瀬人がここで敗北することなど許されはしない。


「見せてやる……これが真のデュエリストの……可能性だァ!!」


叫びと共に手を伸ばす。奴へ届かせるように。
それはビッグマムなどでは断じてない。その障害の先に居るあの男の背へと辿り着くように。



「ドロォォオオオオオオオオ――――!!!」


地面に亀裂が走り、そこより瞬く光に海馬は手を伸ばす。
引き当てて見せろ。奴のように、幾度となく見せ付けられたあの絶望を打ち砕く運命の逆転劇(ドロー)を巻き起こせ。


「ファッ!?」

「……おっちゃん光ってるで!?」

「24歳、学生です(憤怒)」

野獣の身に異変が起こる。共鳴するように身体が輝きに包まれる。

62かつて神だった野獣へ( ◆VNz2VDTKZc:2021/02/23(火) 20:52:00 ID:FyCnX.Gs0


「アッ…ンアッンアッアアー ンアッアッアアアー ンアッアアアー……!!」


海馬が光の中から引き抜いたカードと同時に光の中の野獣から一体の竜が解き放たれる。

野獣先輩は元はホモビデオに出演しただけの汚い男だ。
だが、たったそれだけでも数多の人間がその虜となり、その正体を考察されるにつれ数え切れないほどの珍説が囁かれつつある。

そう。無数の意識が集いし時、そこに集合無意識が生まれたのだ。
例え荒唐無稽な虚言であろうと、人々がそれを信じその意識を束ねることで、虚構は現実となる。

女の子説、オバマ説、メタモン説、メタモンではない、ガッツ説、キリト説、りゅうちぇる説、鈴木福説、たまご説

スネーク説、愛子様説、コロナ説、グラードン説、ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン説、サイヤ人説

ウルヴァリン説、サンタクロース説、冬説、アカギ説、デデデ大王説、北条沙都子説。

数えだせばキリがない。
無数の可能性、無限の虚構。

同じことだ。
以前、藍神とのデュエルに於いて、海馬は戦いの儀でオシリスと同じく神殿の底に沈み、失われた神の一体オベリスクの巨神兵を残留思念から読み取り、新型デュエルディスクの機能パワービジョンで実体化させた。
海馬はその中の一つ、野獣先輩の中に眠る数ある新説のなかから、“それ”を新型デュエルディスクを通し実体化させたのだ。


「ンアアアアアアアアアアアァァァァ―――――!!!」


天空から轟く雷、暗雲の中から下界へと降誕せし真紅のドラゴン。
その巨体はビッグマムすら遥かに凌駕し、天空そのものを覆い尽くす。

自身に刻まれた決闘王の戦いの記憶から、海馬が読み取った一つの可能性。


(……遊戯)


野獣先輩オシリスの天空竜説。

王の忠実なる僕にして、三幻神の一柱。
天空に雷鳴轟く混沌の時、 連なる鎖の中に古の魔導書を束ね、その力無限の限りを誇らん。

戦いの儀にて失われし神のカードはこの場にて再び海馬の手に握られていた。

「こいつ、は……」

さしものビッグマムですらも、呆気に取られる。
彼女の中の戦いの経験から見ても、あれは別格の存在だと告げてくる。

(手数を増やしておくか)

「ママー!」「ママ―!」「ママー!!」

ホーミーズ。
ソルソルの能力により、命を与えられ擬人化した物体達。ビッグマムはそれらを周囲に呼び寄せる。
あのオシリスは別にしても、海馬本人はただの人間だ。最悪の場合、使役する本人さえ殺せれば問題はない。

「無駄だァ! オシリスの効果発動! 召雷弾!!」

オシリスの二つの口、その内の上部のものが開き雷が放たれる。

「ぎゃああああああ! ママァアアアア!!!」

無数に呼び寄せたホーミーズ達は一瞬にして消し飛び蒸発した。

63かつて神だった野獣へ( ◆VNz2VDTKZc:2021/02/23(火) 20:52:56 ID:FyCnX.Gs0

「……やってくれるじゃねえか……ガキィ!!」

数を揃えようが、あのドラゴンの前では低級生物は存在すら許されない。
ビッグマムはそれを理解し、忌々し気にオシリスを睨む。
ならば、やることは一つだ。簡単だ。
圧倒的な力によって、あの目障りなモンスターを薙ぎ払うのみ。

「搦め手はやめだ……くらえよ……エルバフの槍」

強く、剣を握り締める。

放つは巨人族に伝わりし必殺の槍。
かの巨人海賊団船長が二人、青鬼のドリーと赤鬼のブロギー曰く血に染まるヘビを除けば何事をも突き通すとまで豪語させた最強の遠当て技、覇国と同じ系列に当たる剣技。

「“威国”!!!」

本来の担い手、最強の巨人二人でなければ放てぬそれを、ビッグマムはただ一人でいとも容易く振るう。
威力こそ、前者に勝らぬとはいえその名の通り、その威力は例え一国をも優に飲み込まんとする程の破壊力を圧縮した強大な衝撃波。

「超電導波-サンダーフォース-!!」

オシリスの第二の口が開かれる。雷が集約され、それは神の咆哮と共に解き放たれる。

巨人族最強の槍と天空の竜が放つ、雷撃の咆哮が激突した。
大地を揺るがし、雷鳴轟く二者の衝突はまるで災害のように爆風を巻き起こし轟音を鳴り響かせる。

「こんな化け物がなんだ……四皇を舐めんじゃねえよ!!」

確かに、今相対するビッグマムが目にした種族とは格が違う。
だが、それがなんだというのだ。ビッグマムは四皇だ。偉大なる航路を支配し続けた皇に一人、いずれ海賊王となり全世界を制するのはこのビッグマムだ。
麦わらも、海軍も、黒ひげもカイドウも、この竜も、例えそれが何であろうと、その航路を邪魔立てするのであれば捻じ伏せまで。

「……化け物(モンスター)ではない」

海馬の左目に取り付けたVRスコープにカード情報が次々に更新されていく。


青眼の白龍
青眼の白龍
青眼の白龍
融合
エネミーコントローラー
死のデッキ破壊ウイルス
A-アサルト・コア
B-バスター・ドレイク
C-クラッシュ・ワイバーン
ユニオン格納庫
混沌帝龍 -終焉の使者-
次元融合
ラストバトル!
魔法除去細菌兵器
完全破壊-ジェノサイド・ウィルス-
最終突撃命令
闇道化師のサギー


これらは実体を持たない電子のカードであり、元からデュエルディスクに登録された情報でしかない。
故に実体化もせず、この戦いに役立つことはまず存在しない。
ただデュエルでのみ使用でき、しかもこの殺し合いにはそのデュエルに応じるものなどいるはずもなく、ただ情報として存在しているだけで価値は何もない。

「――――神だァ!!」

だがオシリスはその手札の数だけ、力を増すという効果を持つ。
海馬はデュエルディスクより電子のカードを引けるだけ引き抜き、それらを手札とすることでオシリスの攻撃力アップへと繋げた。
デュエルなら完全なイカサマだが、リアルファイトである以上知った事ではない。
40枚のカードデッキ、および支給された実物のブルーアイズと死者蘇生を含む42枚を手札としてオシリスの雷撃の力は更に増大する。

威国の衝撃波が殺され、その電磁砲がビッグマムへと直撃した。

「消え去れぇババア!!」

鉄の風船と称され、一切のケガも負わない程のその強靭な肉体であろうとも神の一撃をその身に受け、無事である筈はない。
雷撃に飲まれ、怨念の籠った叫びと共にビッグマムはその姿をこの場から消した。

64かつて神だった野獣へ( ◆VNz2VDTKZc:2021/02/23(火) 20:54:38 ID:FyCnX.Gs0




「……終わった、のか?」



C.C.はよろめきながら、立ち上がり海馬の元へと寄る。
海馬は意識を失い、雨の中倒れ伏していた。

ビッグマムを相手にあれだけ立ち回ったのだから無理はないだろう。だが、ここでずっと寝かせる訳にはいかない。
あの化け物があれで死んだとは、C.C.にはとても思えなかった。もし生きていればここに戻る筈、早急に退避しなければ。

「おっ、動くなよ動くなよ?」

そこへ、野獣が銃を突き付けてくる。

「なんの、つもりだ」
「首輪の解析なんて、そんなことしなくていいから(良心)。俺は願いを叶えて遠野と結ばれたいから、殺し合いの妨害されると邪魔なんだよなぁ」
「……やめておけ、人ならざる力で愛されても……虚しいだけだぞ?」

「それに、もうあんなビッグマム(ばけもの)と戦うなんてごめんだからさ。パパパッとHDK殺して、オワリッ! でいいんじゃない?」
「あの老婆の口約束を信じるのか」
「駄目なら駄目で、生還してから遠野を昏睡レイプすればいいでしょ」

「クズめ」
「とにかく、お前らの支給品は俺のモノでいいんだ上等だろ」

元々野獣はC.C.達を蹴落とすつもりだった。
というのも、願いを叶える権利は先着5人だ。なので、早い内にライバルを少しでも減らそうと考えるのは当然である。

ま、多少(の犠牲)はね?

「あ、お前さ、KTAさ、さっきHDK殺しに乗ってたよな? KIBはお前が殺せよ〜」

カチュアは帆高を殺す事に賛同側の人間だ。彼女も生還する為なら手段を選ばないタイプだと見てて分かった。
それならば、どちらかと言えば帆高殺害に反対側のこの二人より、自分に付くと野獣は確信する。

「悪いなおっちゃん。名簿見る前と後で事情変わってんねん」

「は……?」

しかし、その目論見も虚しく野獣の首からおびたたしい程の血が流れていた。

「おねえ……さ、ん……ダルルォ……?」

(オネエやったんかこいつ)

カチュアの手に握られたベンズナイフが赤く染まっており、全てを察したと同時に野獣は息絶えた。

「……お前」

「あんた同じヤリマンやろ? そのよしみや、組まへんか?」

「一緒にするな。
 ……良いのか? こっちは積極的に帆高を狙う気はないぞ。特別守るつもりもないが……」

「ええで。正直な、強制された殺し合いは慣れっこなんやけど、ルールが信憑性に欠けるんやわ。
 首輪が外せるのなら、ワタシはそっちに賭けてもええ」

野獣の誘いに乗って、二人を殺して支給品を強奪するという考えもあった。
とはいえ、薬が切れるのを何かの拍子で知られれば、野獣は真っ先に手の平を返すのが予想出来る。
味方にするには不安要素しかない。

そして、やはりネックなのは殺し合いのルールへの疑念だ。
果たして本当に帆高を殺して、生還できるのか? 
恨まれるのは慣れっこだが、よしんば帆高を殺して、だが生還できず残った帆高に好意的な参加者に狙われるでは溜まったものではない。

65かつて神だった野獣へ( ◆VNz2VDTKZc:2021/02/23(火) 20:55:14 ID:FyCnX.Gs0

「……ただ、これで貸し一つや。こっちの事情にちょっと付き合ってもらうで。
 堂島瀬里……こいつを探すのを手伝ってくれへんか?」

何より一番の理由は堂島瀬里の探索だった。
野獣にこの事を切り出せば、何を画策しだすか分かったものではない。
まだ野獣よりC.C.達の方が手は組める。

「もちろん、帆高を探しがてらでええわ。ワタシもそのつもりやし、ゴールされたらお互い困るしな。そんで帆高を見つけても今は殺すのは保留しとく。どうや?」

囚人仲間達と脱獄を手伝い、後押しした堂島姉妹。だが姉である瀬里は死んだ。
残された妹の堂島真希は一人彷徨い、カチュア達が敵対するカルト教団にドハマりし面倒な事にもなっている。
瀬里が生きているのなら、連れて帰った方が真希の説得にも使える。

『死んだよ。瀬里は』
『頼りにした父親に裏切られてな…』

(……)

『キミたちに…責任がないとは言わせないぞ』

(責任、か……殺人鬼が何考えとんねん)

もっともそれらは建前上の理由であり、本音は―――。

「わたしは構わない。
 海馬も……この手のプライドの高い坊やは、借りは意地でも返すだろうからな」

「短い付き合いなのに、よう知ってるやん。お似合いちゃうか?」

「縁起でもない。おぞましいことを言うな」

話を纏めた後、カチュアが海馬を背負い、その後ろをC.C.が傷だらけの体を引き摺るように歩く。

本当ならば野獣の死体から首輪を貰いたいところだったが、ビッグマムが戻ってくる可能性もある。
次に出くわせば、もう二人に対処法はない。
その焦りから支給品も取り損ねたまま、二人はこの場から離れた。

66かつて神だった野獣へ( ◆VNz2VDTKZc:2021/02/23(火) 20:57:36 ID:FyCnX.Gs0


【B-4/1日目/深夜】

【カチュア・ラストルグエヴァ@サタノファニ】
[状態]疲労(中)、出血(止血済み)、頭部にダメージ
[装備]ケープコート
[道具]基本支給品、エロ金剛の首輪、エロ金剛の支給品(ランダム支給品0〜2)、クロロのベンズナイフ@HUNTER×HUNTER、闇皇帝編のカンチョー君@ボボボーボ・ボーボボ、三世の尻を突き刺したカンチョー君@真説ボボボーボ・ボーボボ
[行動方針]
基本方針:森嶋帆高を殺す(今は保留、首輪解除出来るならそっちに乗ってもいい)。
0:C.C.と組んで瀬里を探す。瀬里と会ったら……
1:メデューサになる為の発火薬も欲しいが...
2:ビッグマムを警戒
※参戦時期は堂島姉妹を逃がした後、瀬里の死を知って以降です。
※メデューサの薬がいつまで続くかは他の書き手にお任せします。


【C.C.@コードギアス 復活のルルーシュ】
[状態]:ダメージ大(回復中)、心労(大)
[装備]:ショットガン@サタノファニ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:ゲームから脱出してルルーシュの元へ帰る
1:カチュアと組む。
2:ルルーシュを完全に復活させる
3:ビッグマムを警戒
※復活のルルーシュでカレン達と合流する以前からの参戦です。
※再生力は制限され、完全な不死ではありません。


【海馬瀬人(THE DARK SIDE OF DIMENSIONS)@遊戯王デュエルモンスターズシリーズ】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(中)、気絶、アテムに対する執着(異常)、目が血走っている
[装備]:青眼の白龍、遊戯の死者蘇生、新型デュエルディスク@遊戯王
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0
[思考・状況]
基本方針:アテムを倒す
0:……。
1:アテムと再戦する方法を探す。
2:主催と雨を降らせる神とやらも潰す。
3:一応、帆高は止める。
4:居れば天野陽菜の弟(凪)は保護しておく。
5:Cの世界か……。
※遊戯とのデュエルで死者蘇生を受け取った直後からの参戦です。
※Cの世界に関してある程度把握しました。


【新型デュエルディスク@遊戯王】
実物のカードがなくても、これを使う事でデータのカードでデュエル可能。
しかし、当たり前だがデュエルを受けてくれる相手が居ないので、あまり意味はない。
当然データのカードも、ソリッドビジョンでしかないのでリアルファイトでは無害。
意識を高めて低次元送りを無効化するだとか、カードゲームに一切必要のなさそうな機能も兼ね備えている。

67かつて神だった野獣へ( ◆VNz2VDTKZc:2021/02/23(火) 20:58:57 ID:FyCnX.Gs0



「あのヤリマン、頭に来ますよ!!(憤怒)」


野獣は生きていた。
カチュアに首を切られ、出血死したはずだがその傷が再生し彼女は一命を取り留めたのだ。

ただのホモビ男優にそんな力はない。だが、その中に眠る無限の可能性の中にあったのだ。

野獣先輩ウルヴァリン説。

ウルヴァリンは淫夢厨と呼ばれるゴミクズどもに汚され風評被害を負っていた被害者の一人だ。しかし、これが彼女の命を救った。
彼の持つヒーリングファクターは驚異的な再生力を誇る。流石に本家には劣るとはいえ、カチュアの付けた傷程度なら余裕で再生したのだ。
毒もそれによって打ち消したか、オシリス及び三幻神特有のガバガバ効果無効で何とかした。


「KTAのやつ、見とけよ見とけよ〜」


自分を一度殺し掛けたカチュアに強い恨みを持つ野獣は、彼女の悪評をあることないこと拡散することに決めた。
HDKに友好的な参加者に、カチュアが殺人鬼であることを強調して話せばあの女の居場所はなくなるという事だ。

当然、カチュアも言い訳位はするだろう。
しかし健全で純真な女子学生の野獣。それに比べ、相手は快楽殺人鬼カチュア。
どちらを信じるか、一目瞭然だろう。

「じゃけん、早く逃げましょうね〜」

とにかくビッグマムが戻ってきても面倒だ。野獣もその場を立ち去って行った。





【B-4/1日目/深夜】

【野獣先輩@真夏の夜の淫夢派生シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:S&W M36@真夏の夜の淫夢
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:遠野と結ばれる為に、HDKとHNが会うのを阻止する
1:HDKを探しに行きますよ〜イクイク
2:BGMMと再会する前に早急にHDKをヤって生還する。
3:KTAの悪評を流す。
[備考]
※(特に)ないです。
※新説シリーズからの引用にはある程度制限は掛かっています。

68かつて神だった野獣へ( ◆VNz2VDTKZc:2021/02/23(火) 20:59:41 ID:FyCnX.Gs0




「あの、ガキ……!」

ビッグマムは自身の体から流れる血を忌々しく眺め、行き場のない怒りを近くの建造物にぶつけていた。
怪我なんて負わされたのは、いつ以来だっただろうか。
この殺し合いに呼ばれてから、力が弱体化しプロメテウスも使えない事からある程度は制限されているのは分かっていた。
だが、いざこうも傷付けられると怒りが湧いてくる。

「殺してやるよ……あのガキ、海馬とか言ったか? それにあのウンコ野郎め……」
「ママ、下品だよ」
「うるせぇよ! ナポレオン!!」

海馬は勿論、ウンコ野郎こと野獣先輩に対しても苛立ちを抑えきれない。
あのウンコ野郎さえ居なければ、あの訳の分からないドラゴンを呼ばれることもなかったのだ。
一方的な蹂躙が気付けば、あのドラゴンに遥か遠くへと吹き飛ばされてしまった。

「……このケジメは必ずつけさせてやるよ。海馬にウンコ野郎!!」




【A-5/1日目/深夜】

【ビッグマム@ONE PIECE】
[状態]:ダメージ(中)、軽い空腹、怒り
[装備]:ナポレオン@ONE PIECE
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:さっさと帰ってお菓子を食べる。
1:帆高を殺して帰る。
2:海馬とウンコ野郎(野獣先輩)は次見付けたら殺す。
※参戦時期は少なくとも老婆になって以降です。
※ソルソルの実の天候を操る能力はプロメテウス以外は使用可能です。ただし、会場をとりまく雲に魂を与えることは出来ません。

69 ◆VNz2VDTKZc:2021/02/23(火) 21:00:19 ID:FyCnX.Gs0
投下終了です

70 ◆s5tC4j7VZY:2021/02/23(火) 22:48:47 ID:.354FYe.0
皆様、投下お疲れ様です!

迷宮の入り口
ああ…マロロ・デュラムの企み通りに疑心暗鬼になってますね…
ほむらの名簿のまどか先輩への言及に笑っちゃいました(笑)

どうして雨が降る?
あれ…これパロロワでしたっけ…?と思ってしまうためになる勉強!
20へぇです!!
ニコラスと合流できたから安心して勉強できますね!(違う)

ふたつの雨
正直、甘奈の行く末が参加者の中で今、一番気になります!!
そして、傷つける者には容赦しない忍者ですが、同行するラブがその時、プリキュアとしてどうするのか!
色々な意味でこちらも気になります!!

未知との遭遇
流石の後藤もまどか先輩には困惑(笑)
撃たれたときはまどかセンパーイと叫びました。
さぁ、このロワの実力者の一人である後藤を相手にライフル銃の男の命運は!!

かつて神だった野獣へ
「輝き」の濃厚なバトル描写もそうでしたが、
今回も勉強になります!!
四皇相手にマイロードを突き進む海馬かっこいいです!
「――――神だァ!!」
↑読んでいて痺れました!
あのビックマム相手に死者を出さずにいや、本当に痺れました(天丼)
海馬×C.C.…ルルーシュには悪いがイケるのでは!?
あ、忘れていましたがウンコ野郎(野獣先輩)パネェっす(笑)

私も投下します。

71大相撲だよ!若おかみ! ◆s5tC4j7VZY:2021/02/23(火) 22:50:28 ID:.354FYe.0
「え〜と、この端末?で名簿が見れるのね……」
放送が流れ、織子は端末を手に取るがーーーーー

「う〜ん。やっぱり駄目だわ。私、機械の操作は苦手なんだよね……」
幼稚園生でもスマホを持つこの時代。現代っ子には珍しく、織子は携帯電話やパソコンをろくに扱えない……
しかたがないので、もう一つの方法の紙を雨にかざす。
「わっ!?本当に名前が浮かんできたわ!」

紙に自分と同じ参加者の名前が浮かび、即席の名簿となった。

「どうやら、私の知り合いは一人もいないようね…」
名簿の名前に織子が知っている人物は一人も見当たらなかった。

「ううん。大丈夫!むしろ私の知り合いが巻き込まれていたら大変だったわ!」
織子は知り合いが巻き込まれていないことにホッとする。

「まずは、誰かに出会えないかしら……!?あれは」
視線の先に見えるのは、普通の大人よりも大きな体格の男性が歩いてきた。

「う〜む。とりあえず、雨宿りでもするかねぇ」
(端末を見たところ、どうやら私の妻や角界の関係者はいないようだ…それでいい。彼らとはこんな場所ではなく、土俵上でやるべきだからね……)
織子とは反対に端末で名簿を確認した刃皇は妻及び関取がいないことにホッとする。

「……」
(だが、今の角界に私を負かす力士はいるのか…?正直、今の大相撲の力士の皆は弱すぎる……このままでは愛する相撲が可哀想だから今場所を優勝をしたら次の9月場所で引退することを考えていたが……)

刃皇ほど大相撲を愛している横綱はいないだろう……今の日本の角界に失望を覚え始めている刃皇は引退をするか迷っていた……その最中のこの異常事態。刃皇は悩む。

(まずは、帆高少年と出会うことが優先かな……それと、一度荷物を確認するも込めて雨宿りでもしようかねぇ……)
刃皇は周囲に手ごろな休憩場所がないか歩きながら探すーーーーー

「ん?あの少女は?」
視線の先に見えるのは、着物姿の少女ーーーーー

「あの、私、関織子と言います。もし、よければ私と一緒に帆高さんをさがしませんか?」
自分と同じ考えの小学生だった。
「……外で立話もなんだ。そこの喫茶店で話を聞こうじゃないか」
2人は喫茶店に入店するーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡

72大相撲だよ!若おかみ! ◆s5tC4j7VZY:2021/02/23(火) 22:54:46 ID:.354FYe.0
喫茶店のテーブル席に見合うように座ると自己紹介も兼ねて会話を重ねた。

「それで、私は帆高さんと陽菜さんを出会わせてあげたいと思っています!よければ、刃皇さんも私と一緒に行動しませんか?」
関織子の切実な思い。しかし、刃皇の返事はーーーーー

「そうか。君も帆高少年の愛に想うところがあるのだね?だが安心しなさい。私が帆高少年の愛を確かめ、このバトルロワイアルを終わらせよう。君はここに隠れていなさい」
刃皇の答えは私(関織子)は、このバトルロワイアル中、隠れていることだったーーーーー

「そ…そうではなくて、私もいっしょーーー!?」
刃皇の予想外の提案に織子は慌てて拒否をするがーーーーー
織子の言葉を制止させる刃皇の手ーーーーー

「悪いが、君はこのバトルロワイアルでは無力な小学生だ」
それは、紛れもない事実。

「君も見ただろう?神子柴なる老婆に跳びかかった女性の首が飛び、死んだだけでなく蘇らせるという驚くべき所業に陽菜少女を贄として求める神の存在」
「……」

「それに、名簿を見ると、ライフル銃の男という如何にも危険そうな人物の名前に白面の者やユカポンのファンの吸血鬼など普通ではない名もいくつか記載されている。幸い、このバトルロワイアルは最後の一人になるまで殺し合うわけではない。つまり、君のような【無力】な子供は隠れていれば安全というわけだ」

刃皇の提案は有る意味間違ってはいない。
バトルロワイアルの一般的なルールは【最後の一人になるまで殺し合う】ことだ。
しかし、このバトルロワイアルは違う。
最悪、制限時間の二日間を生き残れば終わる。
普通なら、制限時間までに優勝者が決まらなければ残り全員の首輪が爆破されるバトルロワイアルが普通の中、無力な弱き者が生き残る可能性が高い温情溢れるバトルロワイアル。

つまり、関織子のような戦う力がない小学生女児は隠れているが最適ーーーーー

                    刃 皇 会 議

「可哀想だなぁ…帆高少年を救いたいと思う気持ちを押し殺させるなんて…」
「馬鹿野郎!明らかにただの小学生にこのバトルロワイアルは荷が重すぎる!庇いながらの戦うなんて無謀の極み」
「まぁ、自分から行動に移そうとする姿勢は評価したいね」
会議に参加している刃皇達は織子について話す。会議は踊るーーーーー

「では、関織子君には、隠れて過ごすを通告でよろしいか?」
「「「「「異議なし」」」」」

刃皇は織子との会話の中、脳内の刃皇会議で結論が導き出されていたーーーー


「……わかったかね?」
それは有無を言わせぬ空気。
「……横綱は、相撲と帆高君…どちらをより愛していますか?」
織子は生来、物怖じをしない性格。
「!?」
ピクッ!織子の質問に刃皇の顔つきがーーーーー

「なるほど、責めた質問をするねぇ……」
若おかみを見つめる横綱の空気が変わるーーーーー

「【愛】で私に取り組みを挑むというのかい?」

「……正直、私はまだ恋愛もしたことがありません。【愛】を知らない小学生かもしれません。でも、帆高さんと陽菜さんを出会わせたいという思いはこの会場にいる参加者の誰にも負けないと思っています」
織子は大横綱刃皇を真っ正面に見つめる。

「いいだろう。君の【愛】を見せてみろ」
それは、横綱からの挑戦状。

「わかりました……私の思いをみせます!」

東横綱     西若おかみ
刃皇   -  関織子

前代未聞、横綱と若おかみの取り組みが始まったーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡

73大相撲だよ!若おかみ! ◆s5tC4j7VZY:2021/02/23(火) 22:56:49 ID:.354FYe.0
織子は黒豆と牛乳をフードプロセッサーでピューレにする。
次に卵を取り出すと黄身と白身を分ける。
黄身をかき混ぜ、それを混ぜる。

(黄身に黒豆のピューレを……?)

混ぜたのをプリン型に入れる。
さらに、織子はカラメルソースを作る。

(なるほど、プリンを調理するつもりなのか……面白いが黒豆のピューレを入れたためにプリンの持つ見た目を殺してしまうぞーーーーー?)

刃皇は織子の調理手順を観察し、織子がプリンを調理していることに気づく。

(たとえ、イチゴやクリームをトッピングしても、黒豆のピューレに色付けされた無骨さは隠せない。……やはり、小学生か……)

織子のプリンの調理を見て、瞬時に刃皇はその欠点を見出す。
それと同時に失望を見せるーーーーー

(あかねさんの為に作った露天風呂プリン……)
織子が今、調理している露天風呂プリンはかつて、春の屋に泊まりにきたあかねによるケーキが食べたいというリクエストがきっかけだった。時間が時間の為に温泉街のケーキ屋は閉まっていたが、スナックフレンズのママの顔から着想したプリン。
それを食したあかねは母を亡くした悲しみを浄化させた。

(今度は、それで横綱さんに勝って帆高さんを手助けしたい)

露天風呂プリンに織子…若おかみの心が込められるーーーーー

(栗の甘露煮を周りに置いて、カラメルソースをかける…?)
(そうかッ!?栗の甘露煮が岩となりカラメルソースが温泉の湯と見立てるのかッ!?)

「できました!私の露天風呂プリン。食してください!!」

トンと刃皇の前に【露天風呂プリン】が置かれた。

「……いただこう」
刃皇はプリンを口に運ぶーーーーー

(ッ!?美味い!!)
露天風呂プリンの美味しさに顔を見張る刃皇。

「これも、どうぞ」
「これはッ!?」

刃皇に追加で出されたのは奶茶(ナイチャー)

「…君。どうして奶茶を?」
刃皇は出された奶茶を眺め、織子に尋ねる。

「えっと、横綱…刃皇さんはモンゴル出身と自己紹介で聞きました。露天風呂プリンはデザート…甘味です。だから、塩味がする奶茶が必要なんじゃないかと思ってだしました」

(たしかに、自己紹介で私はモンゴル出身だと話した。が、それで食事として奶茶をだすとはッ!!これが、若おかみとしてお客様を笑顔にするおもてなしというわけか!!)

刃皇は露天風呂プリンに奶茶を添えてだした織子の心を強く感じた!!

(そして、この【露天風呂プリン】は想像以上の美味さ…だが」

「では、次は私の番だね…」

そういうと刃皇はおもむろに立ち上がると、厨房に向かう。

そして、刃皇は厨房の塩をガッと握ると厨房に塩をまくーーーーー

塩には、ものを清める効果があると古来より信じられてきた。
力士が塩をまくのは土俵(戦う場所)を清めるという行為。
小学生女児との料理勝負とはいえ、力士にとって勝負は勝負。
刃皇は織子に敬意を表すために、調理場(戦う場所)を清めた。
全力で相手をするためにーーーーー

刃皇が取り出したのは鶏肉。
(鶏肉……やっぱりお相撲さんだから肉料理かしら?)
材料から織子は刃皇の料理を予想する。

(私の露天風呂プリンはデザート。だけど、肉料理にも負けない【心】を込めたわ!)
織子は自分の心を込めた料理に自信を持つ。

タンッ!包丁で鶏肉を適当な大きさの角に切ると、醤油、酒、ネギににんにくで下味をつける。

(え?鶏肉を均等に切らないの?火の通りが均等にならないんじゃ……)
火の通りを均等に通すために同じ大きさに材料を切るのは料理の基本。しかし、刃皇はその基本ではない調理を始める。

(…あんまり、料理はしないのかな?…でも、これならイケるわ!)
刃皇の調理する様子に織子は自身の勝利を確信する。……が。

「一生懸命、帆高君を手助けするために私を納得させようと頑張ったんだねぇ…」

「可哀想に…」

刃皇ーーーーー憐憫の相ーーーーー

ゾクッ!刃皇の変容に織子は戦慄するーーーーー

「関織子君」
「は、はい」

突然の呼び声に織子は若干気後れしながらも返事をする。

「聞かせてくれ。君はなんで若おかみをしているのかい?」

74大相撲だよ!若おかみ! ◆s5tC4j7VZY:2021/02/23(火) 22:58:28 ID:.354FYe.0
刃皇裁判ーーーーー開廷ーーーーー

「無駄な時間だ!さっさと決めちまえばいいだろ!」
「ここまでする価値がこの小学生にあるのかねぇ」

「静粛に!私たちが揉めてどうする。私はもっと彼女の事が知りたいんだ」

「義務教育を受けている年齢であるにもかかわらず、学校生活が終われば、旅館の若おかみとして働くという【児童労働】」
「料理を作る真剣な眼差しに気遣いはお客様をもてなそうとする若おかみとしての経験」
「殺し合いという場においても恐れず見知らぬ参加者に話しかけ、協力を申し出る物おじせぬ性格に君が帆高少年を陽菜少女に出会わせてあげたいという決めたことを一生懸命取り組む姿はいかに君が他者の笑顔のために険しい道を歩いてきたかがわかる」

「フン。苦労すれば偉いという訳でもあるまい!」
「まぁね」
「ただそこに苦労を厭わない若おかみへの情熱を感じるよねー」

「ただの小学生が帆高さんを陽菜さんに出会わせようとすることが悪いんですか!?」

刃皇たちの言葉を黙って聞いていた織子だが、感情を爆発させて答えるーーーーー

「横綱さんだって、相撲では強いのかもしれないけど、ライフル銃を持つ人やお婆さんに立ち向かった女性のような刃物を扱う人に相撲で勝てると思うのッ!?」
刃皇たちの言葉に反論する織子。

「…おい。それじゃあ、まるで俺が力士ではない奴には勝てねぇという意味か?」
「なめられたもんだねぇ…」
「やはり、若おかみとはいえ、小学生女児か…」

「なるほど、ここ(バトルロワイアル)では、私も君と同じ無力な大人といいたいわけか…」
「でも、もう君は気づいているんだろう?私は人を謳歌した上で神へとなろうとしている男だということを?」

「それに、小学生の君に必要なのは勉学とクラスメイトとの青春ではないかね?」
「!?でも、私が若おかみとしてやっていかないと、おばあちゃんが!「春の屋」が!」

織子が春の屋の若おかみとして旅館の仕事をしだしたのは、春の屋で出会った幽霊ウリ坊からの申し出もあるが、大女将である織子の祖母「関峰子」の後を継ぐ人がいないと、旅館「春の屋」がなくなってしまうからだ。

「「「「「馬鹿者!!」」」」」
「!?」

「君はわかっているではないか!自分が若おかみとして働く【愛】が!」
「ここで君が死んだり、帆高少年を守るために手を汚せば、君の祖母や旅館で働く人。そして、何より君がおもてなしするお客様はどうする!?」

裁判室が静寂に包まれる。

ペチン……

「でも、それじゃあ、私はどうすればいいの?帆高さんが陽菜さんと出会うのを隠れてただバトルロワイアルが終わるのを待ち続けていればいいの!?」
刃皇の頬を叩き、涙を流す若おかみ。

「……んな事…俺が知るかぁ!!」

刃皇張り上げる大声。

「単純に考えるなら!お前は隠れていればいいだけの話だ!!それでも、お前は帆高と陽菜を会わせたいんだろ!?だったら、お前は俺に勝てばいいだけの話だぁ!」
「!?」

「このバトルロワイアルでいつ死ぬかもしれない中、君は私に勝負を挑んできた。だったら隠れるも私に勝つよりも今、「喜び」を謳歌することだろう…!」

「前を見ろ!相手は全力士の頂点大横綱刃皇!」

「これが「幸せ」とせず何が「若おかみ」だ」

「さぁ、完成だ。私の横綱唐揚げ。食してもらおうか」

トン…被告席に座る織子に差し出された刃皇の料理。
織子は横綱唐揚げを実食するーーーーー

モグモグ……
「……」

「!?」
(こ、これは……美味しいわ!!とっても!!!)

外はカリッとサクサク、中は噛めば噛むほど鶏肉のジューシーな弾力に汁が織子の口内を包み込む。

恍惚のように顔をほころばせながら横綱唐揚げを口に運ぶ織子に刃皇は口元を微笑みながら話しかける。

「ふふふ…うちの部屋に唐揚げに拘る力士がいてね…彼が言うには唐揚げの奥義があるそうだ」
「お…奥義!?」

「それは…二度揚げ!!」
「二度揚げ!?」

「一度揚げた唐揚げも美味い。しかし、あえてもう一度揚げることで、サクッとした外にジューシーな中に力が加わり大関から横綱へと番付が上がる」

「君の露天風呂プリンは見事だった。しかし、【力】というパンチが私には足りなかった」

織子の【心】が込められた料理は刃皇を張った。しかし、刃皇の料理はそんな織子をいとも簡単に投げ飛ばす圧倒的な【力】
相撲は【心・技・体】が求められる競技。

箸を置くと織子は答えるーーーーー

「……私の負けです」

勝者ーーーーー刃皇ーーーーー
決まりて 横綱唐揚げ(寄り切り)

75大相撲だよ!若おかみ! ◆s5tC4j7VZY:2021/02/23(火) 23:02:58 ID:.354FYe.0
織子は俯いたまま……
(負けちゃった……やっぱり、私は無力な小学生だったのーーーーー?)

負けた以上、織子はこのバトルロワイアルにどうするべきか悩む中ーーーーー

「……正直、君をただの無力な小学生の女の子と侮っていた。でも、君もしっかりと【愛】を持つ強者だったんだね」
裁判長席を立つと刃皇は織子に近づき……手を差し出すーーーーー

「……え?」

「共に帆高少年を導こうではないか…若おかみ」
刃皇は取り組みから一人の強者と関織子を認めた。

判決ーーーーー情状酌量の余地有り
同行による保護観察処分で釈放

刃皇裁判ーーーーー閉廷ーーーーー

「はい!よろしくお願いします!刃皇さん」
織子は差し出された刃皇の手を握る。

余談になるが、刃皇には時折垣間見える暴力的な一面を持ち、「相撲をやっていなかったらどうなっていたかわからない」と評される。

まだ底見せぬ刃皇という大横綱を若おかみはこのまま取り組み続けることができるのか?
それは、相撲の神にもまだわからないーーーーー

【D-7/1日目/深夜】

【関織子@若おかみは小学生(映画)】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:帆高さんと陽菜さんを出会わせてあげたい
1:まずは、帆高さんと出会う。
2:刃皇さんと行動を共にして学ぶ。
[備考]
参戦時期は木瀬一家との出来事で両親の死を乗り越えた後、春、梅の香神社の神楽の日より前です。


【刃皇 晃(ダワーニャウィン・ツェウェグニャム)@火ノ丸相撲】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:帆高が愛を貫くならばそれを支え導く。
1:打倒主催者
2:若おかみを支え導く
※参戦時期は44回優勝時に引退宣言を行う前

76大相撲だよ!若おかみ! ◆s5tC4j7VZY:2021/02/23(火) 23:03:25 ID:.354FYe.0
投下終了します。

77 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/24(水) 18:06:09 ID:Fo08lntQ0
桑山千雪、ロイ・マスタング、大崎甘奈、後藤、ライフル銃の男を予約します。

78 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/24(水) 19:40:18 ID:Fo08lntQ0
そして皆さま投下乙です!

>未知との遭遇
まどか先輩はライフル銃で撃たれても、やっぱり魔法少女だから無事でいられますか!
あの後藤を前にしても煽り交じりの自己PRを欠かさないのは流石ですし、もしかしたら後藤ともいいコンビになれたかもしれませんね。
そしてライフル銃の男を見つけられたのも、やっぱり後藤ならではですね。

>かつて神だった野獣へ(
海馬社長はやっぱりカッコよすぎます……
ビッグマムを相手に一歩も退かないどころか、神のカードすらも使いこなして返り討ちにしちゃいますし。
そして野獣先輩まさかのオシリスの天空竜説が発動するとは……(感動)

>大相撲だよ!若おかみ!
力士と若おかみによるまさかの大相撲!?
圧倒的な体格や威圧感を放つ力士を前にしても、最後まで戦い抜いた若おかみですが……やっぱり、力士を倒すのは難しい。
でも、若おかみの強さは認められたので、やっぱり若おかみは凄いですね。

それでは自分も予約分の投下を始めます。

79 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/24(水) 19:43:54 ID:Fo08lntQ0

「軍人さん、ですか?」
「その通り。私、ロイ・マスタングはアメストリス国の国家錬金術師だ」
「国家、錬金術師?」

 ロイ・マスタングは行動を開始してから、すぐに民間人の女性を一人保護することができた。
 名前は桑山千雪と呼ぶらしく、その雰囲気からシン国の人間かと思われた。しかし、事情聴取をしていると、彼女はニホンという聞きなれない国で生まれた人間らしい。
 逆に、千雪はアメストリス国を知らないと言った。しかも、ヨーロッパまたはアメリカとやらの国について聞いてきたが、マスタングにとっては初耳だ。
 しかし、千雪が嘘を言っているようには見えない。軍人として生きてきた経験から、相手の素性について見抜く目は養われてきたからだ。

「……錬金術と言うと、マスタングさんは科学にも携わっているのでしょうか?」
「口で説明するよりも、実際に見せる方が早いな」

 故に、マスタングは少し遠くに離れた旗を目がけて、指を鳴らす。
 すると、軽い音と共に旗が燃え上がり、一瞬で焔に飲み込まれていった。当然、千雪は驚愕で目を見開く。

「どうかな? このように、錬金術を自由に用いることができるのが我々国家錬金術師だが……」
「まぁ、マスタングさんは手品もできるのですか!? 凄いです〜!」
「……て、手品……」

 千雪の反応に、マスタングは軽く落胆する。
 気の落ち込みに応えるように、焔も消えてしまう。雨宿りができる場所に立っているものの、元よりマスタングもそこまで強い焔を出していないことに加えて、生憎とこの天候だ。

「でも、ごめんなさい……やっぱり、マスタングさんの言う国家錬金術師が何なのか、私は存じ上げません。ニュースや新聞も、定期的にチェックしているのですが……」
「……どうやら、そのようだな。私も、君が言うニホンという国を聞いたことがない。それに、陽菜という少女みたいな人間がいたら、我々が知らない訳がないからな」

 先の物語では、陽菜という少女は雨を降らせる能力を発揮し続けていた。
 そのような少女が存在したら、アメストリス国が気付かない訳がない。また、帆高や陽菜が生きる街並みの文化だって、アメストリス国よりも遥かに先を進んでいるように見える。

「千雪、と言ったか? 恥ずかしながら……私は彼らの暮らしや文化について全く知らない。君が知っている限りで、私に少しずつ教えて頂けるとありがたいのだが……」
「もちろんです! こんな状況ですから、私達は助け合わないと!」

 千雪は優しく微笑む。
 こんな状況でなければ、実に素晴らしい笑顔だった。平時であれば間違いなく口説いていたし、後でリザ・ホークアイ中尉から嫌味を言われるだろう。

80 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/24(水) 19:45:11 ID:Fo08lntQ0

 ーーーーグガアアアアアアアアアァァァァァァッ!


 だが、そんな穏やかな思考は、どこからともなく聞こえてきた獣の叫びに遮られた。

「な、何です!? 今の声は……!?」
「静かに! どうやら、声の主はここからそう遠くない……こちらに向かうと危険だから、今は離れよう」

 動揺する千雪に、マスタングは冷静に言葉をかける。
 だが、態度とは裏腹に、大気を震わせる程の声量にマスタングも戦慄していた。その威圧感は、アメストリス国の脅威となったホムンクルス達にも匹敵する。
 そんな相手を前に、千雪を守りながら撃破できる保証はない。情報が足りなすぎる上に、今はこの大雨でマスタングにとって不利な状況だ。
 一応、予備の手袋やライターもデイバッグに用意されているものの、正面から戦うには危険すぎる。

「マスタングさん、傘をどうぞ!」
「すまないね、千雪」

 千雪から差し出された傘で、マスタングは自分の体を雨から守る。
 雨の中、可憐な女性と肩を並べながら走る場面は、さぞかしムードがあるだろう。こんな状況でなければ、素敵な時間になっただろうに。
 そんな邪な思考と同時に、中尉のジト目も脳裏に浮かび上がった。

(わかっているよ。彼女は、保護をするべき民間人であると……お説教は、彼女を家に送り届けた後にしてくれ)

 届かないことは分かっていても、最も信頼したパートナーに向けてロイ・マスタングは心の中で呟いた。





 最強のパラサイトである後藤は走っていた。
 たった今、まどか先輩を狙撃した襲撃者を探し求め、この手で屠るために。

81 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/24(水) 19:48:14 ID:Fo08lntQ0
 走りながらも、後藤は思考する。
 先程、参加者名簿とやらに目を通してみたものの、あの泉新一を初めとしたパラサイトを人物はこの殺し合いに関与していない。故に、後藤がパラサイトであると知った上で狙撃した訳ではなさそうだ。
 もしくは、圧倒的に不利な状況となった森嶋帆高本人が、主催者たる老婆からパラサイトの情報をあらかじめ受け取った可能性も否定できない。老婆は帆高の不利を補うと口にした以上、事前に情報戦で有利させることもありえる。
 しかし、帆高本人は直情的な性格で、とても合理的な思考ができる人間とは思えない。そんな人間が一度に大量の情報を集めた所で、宝の持ち腐れだ。

(襲撃者よ、お前が何者かは知らない……だが、お前が俺を楽しませることを期待しているぞ)

 思考を切り替えて、走ることに集中する。
 ただ、今の後藤は襲撃者に対する微かな期待を寄せていた。何故なら、この殺し合いにはパラサイトはもちろん、先のまどか先輩のように人間ではない参加者が多くいるはずだから。
 あのまどか先輩も、まるでパラサイトのように両手を自由自在に変形させていた。巨大な蟹の手はもちろん、大砲や爆弾も装備できている。恐らく、後藤のように盾も用意できるはずだ。
 そもそも、あの映画館で老婆に立ち向かった女も、常人ではありえないほどの戦闘力を発揮していた。つまり、この殺し合いでは後藤ですらも知らぬ生命体すらも、喰らうことができる。
 そのような生命体を喰らえば、パラサイトは更なる進化を果たせるかもしれない。そんな期待が、後藤の中で生まれようとしていた。

「むっ!?」

 ガチャン! と、淡い願いを裏切るような轟音が響く。
 気が付くと、直径数メートル程の広さを持つドーム状の檻が、後藤の周りを囲っていた。

「何だ、この檻は……? 襲撃者の罠か!?」

 閉じ込められながらも、後藤は檻を破壊しようと腕を振るう。
 しかし、殴打音がなるだけで、傷や凹みが生じない。パラサイトである後藤の力が通じない程、堅牢な檻だった。

82 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/24(水) 19:49:46 ID:Fo08lntQ0


 後藤を閉じ込めたのは『悪夢の鉄檻』と呼ぶカードから生まれた檻だ。
 グールズのリーダーであるマリクが操った人形が、アテムこと武藤遊技とのデュエルで使用したカードである。遊戯のあらゆる攻撃を3ターンも防ぎ、オシリスの天空竜を召喚する生け贄をそろえる為に、人形は悪夢の鉄檻を使った。
 同じように、後藤に狙われたライフル銃の男も、逃走の時間稼ぎとして悪夢の鉄檻を使ったのだ。


 もちろん、ライフル銃の男を発見できていない後藤に知る余地などない。ただ、自らを閉じ込める鉄檻を忌々しいと思いながらも、笑みを浮かべていた。

「この俺すらも閉じ込める程の牢獄を作るとは……どうやら、楽しませてくれるようだな!」

 ただ、後藤はこの檻を破壊しようと力を発揮した。
 パラサイトの力すらも通じない壁を作る参加者がいる以上、後藤も既に『最強』ではなくなっている。しかし、逆を言えばまだ後藤が『最強のパラサイト』として返り咲く可能性は充分に残されていた。

「グガアアアアアアアアアァァァァァァッ!」

 最強のパラサイトとして、後藤は悪夢の鉄檻を破壊しようと叫ぶ。
 見る者を怯えさせるであろうその姿は、まさに戦闘マシーンと呼ぶにふさわしかった。


 それから時間が経過した後。
 まるで煙のように、悪夢の鉄檻は消えてしまう。
 何の前触れもなく後藤は解放されたが、その表情に喜びは微塵もない。むしろ、己の力が通じなかったまま、唐突に鉄檻が消えたことで更にフラストレーションが溜まってしまった。
 しかも、これだけ時間が経過したにも関わらず、襲撃者からの追撃もない。恐らく、襲撃者は逃走の為に鉄檻を使ったのだろう。


 腹立たしいと思うものの、後藤はすぐに思考を切り替える。
 襲撃者を追いかけるのもいいが、わざわざたった一人に拘ることもない。あのまどか先輩についても気になるが、今から戻っても合流できるとは限らない。
 何にせよ、このまま一か所に留まることは非合理的だ。他の参加者を探し求めて、後藤は再び足を進めた。
 

【C-5/1日目/深夜】

【後藤@寄生獣】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考、状況]
基本方針:森嶋帆高の殺害
0:襲撃者を探すか? まどか先輩の元に戻るか? それとも……?
1:協力できる者がいれば協力しても良い。
2:まどか先輩は協力者として保留。死んでなければ、だが
※参戦時期は市庁舎での戦闘後。

83 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/24(水) 19:51:49 ID:Fo08lntQ0






「よしっ! あの化け物を閉じ込めることができたぜ!」

 一方、後藤を閉じ込めたライフル銃の男は、満足げな笑みを浮かべていた。
 驚異的な脚力と反射神経を誇る怪物に、まともに戦おうという選択肢はない。強力なバズーカも手元にない以上、ここは逃げるしかなかった。
 もちろん、ただの人間が怪物から逃げ切れるとは思えない。そこで、一か八かの賭けとして悪夢の鉄檻を使ってみたら、見事に閉じ込めることに成功した。
 よくわからないカードと思いきや、実際はホイポイカプセルのような便利な収納道具だ。しかも回数に制限はなく、何度でも相手を閉じ込められるらしい。
 流石に、一度発動させた後は再使用まで時間がかかり、また鉄檻だって3ターン経つと消えてしまうようだ。
 3ターンがどれだけの時間か不明だが、既に充分な距離を走ったので、再びあの化け物と遭遇する可能性は低い。

「このカードを上手く使いさえすりゃ、俺が優勝することも夢じゃねえぜ! 弱いクズだって殺せるしな! イェーイ!」

 だが、男はカードの制限を知った上で、己の勝利を確信していた。
 厄介な化け物を閉じ込める悪夢の鉄檻は、使い方を考えれば大きな切り札になる。化け物を達を閉じ込めて、上手く潰し合わせることも可能だ。
 その間に、戦う力を持たない奴を殺して、便利な支給品を奪えばいい。

「さて、その為にも……まずは獲物を見つけねぇとな!」
「ーーーーあなたが死んでよ」
「は?」

 だからこそ、男は気付かなかった。
 己の幸運に酔ったことで、迫り来る狩人の存在に。

 ドゴンッ!

「ぐぎゃっ!?」

 視界の外から迫る金属バットで殴られて、男は悲鳴と共に倒れてしまう。
 その衝撃で、悪夢の鉄檻のカードはもちろんライフル銃さえも落としてしまい、彼はただの男に成り下がった。

「いってえ……な、何しやがる!?」

 だが、男はそんなことなどお構いなしに振り向く。
 顔を上げると、雨に濡れた少女の姿が目に飛び込んできた。その手では金属バットを握りしめている為、これで殴られたことに男は気付く。
 だが、気付いた所でどうにもならない。男の叫びに対する答えは、少女が振るうバットの音だった。

84 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/24(水) 19:54:03 ID:Fo08lntQ0

「げえっ!?」

 少女が振るうバットをただ受けることしかできない。
 最初の一撃が頭部に命中したダメージによって、彼の動きは大きく阻害されていた。
 もしも、ここに彼を信用する人間が一人でもいたら、少女の凶行は止められたかもしれない。だが、他者を踏みつけにしようと企み、怪物も罠に嵌めたばかりの彼を救える人間など、どこにもいなかった。
 例え、世界の救世主と呼ばれる程の男がいても、彼を救うことはできないだろう。

「……何で、人を殺そうとするの?」

 唐突に、少女は問いかけてくる。

「あなた、言ったよね。優勝する為に、人を殺すって……そんなことをして、何になるの?」
「はぁ!? 何を、言って……」
「答えてよっ!」

 怒号と共に少女はバットを振り降ろした。
 男は悲鳴を発するが、少女の怒りは治まる気配を見せない。

「……ハッ。決まっているだろ! 俺が億万長者になるためなら、クズどもの命なんてどうなろうと知ったことか! てめえも、そうじゃねえのか!?」
「……ッ!」
「てめえも、自分の為に……殺し合いに乗ったんだろ!? 自分以外の、奴らなんて……どうでもいいと思っているんだろ!? てめえも、俺と同じだ……!」
「もう、いいよ」

 そして振るわれる金属バット。
 男はまたしても倒れながら、苛立ちと共に少女を睨みつける。だが、少女は既に金属バットを持っておらず、代わりに男が愛用していたライフル銃を構えていた。
 万が一の時を備えて、既に弾丸も装填していた状態だ。

「そ、それは……俺のライフル銃!? か、返しやがれッ!?」

 男の叫びは、銃声によって遮られてしまう。
 弾丸は男の体を容赦なく貫き、呆気なく命を奪った。この殺し合いに巻き込まれる前に、男が一方的に命を奪い続けた人間達のように。
 悪人は地獄に落ちる運命にある。命が蘇る奇跡が起きたとしても、極悪人の魂は地獄に取り残されたまま。
 故に、彼が救われることは永遠にない。彼を救おうとする人間だって、一人もいないのだから。


【ライフル銃の男@ドラゴンボールZ 死亡】

85見つけたい、だけど…… ◆k7RtnnRnf2:2021/02/24(水) 19:58:26 ID:Fo08lntQ0






 ライフル銃を発砲すると、男は即死した。
 これ以上、男の声を聞きたくなかったから、この手で殺してやった。
 何よりも、こんな男を野放しにしていたら、いつか283プロのみんなにも危害が及んでしまう。

 ーーてめえも、自分の為に……殺し合いに乗ったんだろ!? 自分以外の、奴らなんて……どうでもいいと思っているんだろ!? てめえも、俺と同じだ……!

 それでも、殺してしまった男の叫びが、大崎甘奈の脳裏に焼き付いていた。

「……ち、違うよ。甘奈は、甘奈は……甜花ちゃんや千雪さん達を……守りたい、だけなんだから……」

 否定するため、必死に言葉を紡ぐものの、男の言葉を拭うことができない。あんな男と違うと言いたかったけど、心の奥底では否定できなかった。
 自分以外の奴らなんてどうでもいい。そんなはずはない。
 でも、甜花ちゃんや千雪さん達の為に、殺し合いに乗って人を殺した。なら、あの男と同じ?
 違う。違うなら、どうして殺し合いが始まってすぐに瀕死の男の命を奪った?
 他の人なんてどうでもいい。どうでも良くなければ、男の命を二人も奪わないはずだ。

 ーー甜花、という女を見つけたら、お前のことを伝えておこう

 先程、甘奈にデイバッグを渡してくれた男の人の姿が、頭の中に浮かび上がった。
 もしかしたら、こうして甘奈が人を殺している間に、さっきの男の人が甜花ちゃんと出会っているかもしれない。そうなったら、甘奈が人殺しをしていることを知られる可能性がある。

 ーーこのカードを上手く使いさえすりゃ、俺が優勝することも夢じゃねえぜ! 弱いクズだって殺せるしな! イェーイ!

 あれから、あてもなく走っている最中に、人殺しを楽しんでいる男の叫びを聞いてしまう。
 その声により、甘奈の中で怒りと殺意がむくむくと湧き上がって、命を奪うことを決めた。相手がどんな武器を持っていようとも、知ったことではない。
 もう、甘奈は人を殺したのだから、今更怖くもなんともなかった。案の定、男は呆気なく死んでしまう。

「い、急がないと……早く、甘奈が行かないと……」

 ただ、甘奈が怖いことは二つだけ。
 一つ目は……こうしている間に、大切な甜花ちゃんや千雪さん達が殺されてしまうかもしれない可能性だ。
 そしてもう一つは……

「あ、甘奈……ちゃん……!?」

 甘奈の耳に、大切な人の声が響く。
 優しく、そして暖かいその声は決して聞き間違いなどではない。甘奈が姉のように慕い、そして何度も励ましてもらった彼女の声だ。
 その声に、一瞬だけ心臓が止まりそうになるも、甘奈は振り向く。すると、見つけてしまった。

「……ち、千雪……さん……!?」
「甘奈、ちゃん……!? 何を、しているの……?」

 大量の雨水と血で体が濡れてしまい、その手でライフル銃を持った大崎甘奈を……愕然とした表情で見つめている桑山千雪の姿を。

86見つけたい、だけど…… ◆k7RtnnRnf2:2021/02/24(水) 20:00:11 ID:Fo08lntQ0





 何もかもが、桑山千雪にとって不条理なことだらけだった。
 突如として殺し合いに巻き込まれてしまったことはもちろん、この街で出会ったロイ・マスタングと名乗る青年の話は荒唐無稽だ。国家錬金術師という職業もまるで聞いた覚えはないが、マスタングは手品のように焔を出している。彼曰く、これも錬金術の一種らしい。
 また、映画館で起きた女性と怪物の戦いも、まるでフィクションのようだった。しかし、突き刺さる風の冷たさが、今が現実の出来事であると証明している。
 何よりも、名簿に書かれていた名前が正しければ、現実逃避が許されなかった。

(甘奈ちゃん、それに甜花ちゃん……私達、アルストロメリアのみんなや、真乃ちゃんや果穂ちゃんが連れてこられているなんて……!)

 彼女達の名前を目にした瞬間、千雪の胸は大きく締め付けられた。
 生まれた時からずっと一緒にいた仲良し姉妹の大崎甘奈と大崎甜花のことは、千雪もよく知っている。同じユニットとして活動したことをきっかけに、一緒にお出かけするようになった。
 ある時は、甘奈と甜花の二人に雑貨のことを教えたこともあるし、アルストロメリアの3人でお買い物に出かけたこともある。その一つ一つの思い出がかけがえのない宝物で、まるで二人も妹ができたようだ。
 彼女達の姉のようにいられることが、千雪にとって大きな喜びでもあるし、時に重荷に感じることもある。でも、幸せでいられたことは確かだった。
 だからこそ、こんなことにみんなが巻き込まれてしまったことが許せない。櫻木真乃や小宮果穂の二人も、ユニットこそは違えど、共に競い合ったライバルであり深い絆で結ばれた仲間なのだから。
 千雪をアイドルにしてくれたプロデューサーさんや、他のアイドルがいないことに、胸を撫で下ろすものの……喜べるわけがない。

(私が、みんなを守らないと……)

 連れてこられたアイドル達の中で、千雪は一番の大人だ。
 甘奈ちゃんや甜花ちゃんの二人、それに真乃ちゃんはとても優しいけれど、こんな状況に耐えられるとは思えない。果穂ちゃんに至ってはまだ小学生で、義務教育を受けるべき少女だ。
 きっと、みんなどこかで震えているかもしれない。彼女達のためにも、私だけはしっかりしないといけない……そんな重荷が、千雪の背中に圧し掛かっていた。

(私は、プロデューサーさんみたいな立派な大人じゃない。でも、甘奈ちゃんや甜花ちゃん達、それに帆高くんには支えが必要だから……)

 283プロのプロデューサーは立派な大人で、多くのアイドル達から尊敬と信頼を集めていた。20人を超えるアイドル全員に対して真摯に向き合っていて、千雪だって何度も支えられている。
 だけど、千雪がプロデューサーのような大人として振る舞えるのかわからない。みんなのお姉さんとしてしっかりしたいと思っても、プロデューサーのような頼れる大人でいられる自信がない。
 隣にいてくれるマスタングも、頼れる大人としての雰囲気を醸し出している。軍人として、幾多の修羅場を乗り越えてきたはずだ。
 でも、千雪はどうか? 裁縫や雑貨作り、それに道案内が得意なアイドルでしかない桑山千雪が、この殺伐とした状況で何ができるのか?

(……余計なことは、考えないようにしないと。私が、みんなのお姉さんとして、みんなを守らないといけないから……)

 だが、そんな千雪の思考を吹き飛ばすように、銃声が鳴り響いた。
 あまりにも唐突で、そして無情な音に千雪の意識は覚醒し、足を止めてしまう。そして、すぐそばで佇んでいる少女の背中に、千雪は目を見開いた。
 何故なら、守らないといけない彼女が……大崎甘奈が、血と雨水で全身を濡らしていたからだ。

「あ、甘奈……ちゃん……!?」

 千雪は震えていた。
 雨の冷たさではなく、動揺と恐怖によって。
 甘奈ちゃんのすぐそばでは、血まみれとなった男の人が倒れている。目の前で立っている甘奈ちゃんの洋服は血に染まり、その手にはライフル銃が握られていた。

「……ち、千雪……さん……!?」

 そして、彼女は振り向いてくる。
 雨で髪が濡れているけど、見間違えるわけがない。正真正銘、大崎甘奈本人だ。
 だけど、いつもの彼女からはまるで想像できない程の酷い姿を、千雪は信じることができない。

「甘奈、ちゃん……!? 何を、しているの……?」

 隣に立つロイ・マスタングの存在も、頼れるお姉さんとしてみんなを守りたいという決意も、全てを忘れてしまったように……桑山千雪は大崎甘奈に疑問をぶつけるしかできなかった。

87見つけたい、だけど…… ◆k7RtnnRnf2:2021/02/24(水) 20:01:24 ID:Fo08lntQ0


【C-4/1日目/深夜】


【ロイ・マスタング@鋼の錬金術師(原作)】
[状態]:健康、傘を持っている
[装備]:予備の手袋&ライター@鋼の錬金術師
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:打倒主催
0:今は目の前の少女に対応する。
1:可能であれば帆高の保護。
2:協力者がいれば合流したい。
3:桑山千雪を保護する。

※参戦時期は本編終了後


【桑山千雪@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康、傘を持っている、動揺
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:できるだけ、誰も傷付かないことを目指す。
0:あ、甘奈……ちゃん……!?
1:森嶋帆高を探す。
2:甘奈ちゃんや甜花ちゃん、真乃ちゃんや果穂ちゃんを探して守りたい。


【大崎甘奈@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康、動揺、ずぶ濡れ
[装備]:金属バット、ライフル@ドラゴンボール、剣or刀系の武器(詳細不明)@?????
[道具]:基本支給品×3、発煙弾三発入り(残り二発)、悪夢の鉄檻@遊戯王、ランダム支給品1〜4(狛治の分も含む)
[思考・状況]
基本方針:甜花ちゃん達を守るため、森嶋帆高を殺す。
0:ち、千雪さん……!?
1:もう、アルストロメリアではいられないや……
2:甜花ちゃん達のことも見つけないと……
3:甜花ちゃんや千雪さん達のためにも、早く森嶋帆高を殺そう……


【悪夢の鉄檻@遊戯王】
プレイヤーを3ターン閉じ込める鉄檻を出現させる。
鉄檻に閉じ込められた相手は数分間脱出することができず、また外部からの攻撃を受けることもない。
ただし、一度発動させてから、再使用するまである程度の時間がかかる。

88 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/24(水) 20:01:43 ID:Fo08lntQ0
以上で投下終了です。

89 ◆j7coLoRPl6:2021/02/26(金) 18:24:22 ID:KS0E2uIY0
皆様投下乙です!

>かつて神だった野獣へ(
海馬節がキまりまくってて熱い!ビッグマム相手にも一切ひるまず己が王道を喘息前進する社長カッコイイ!
集団を見て上手くサポートするC.C.、支給品のせいかツッコミ役が板についてきてるカチュア、圧倒的な"暴"であるビッグマム
そしてフリーダムな素材から神となった野獣先輩。皆がしっかり魅力的に引き立っててアツゥイ!!
しかしビッグマム、神の一撃を受けてもピンピンしてるの恐いねぇ〜

>大相撲だよ!若おかみ!
完全に火ノ丸相撲回。刃皇裁判の高すぎる再現度は本当に笑う一方で熱くなれる。
横綱の存在感と圧力にも負けず女将として立ち向かう織子もイイ女将です。横綱が認める訳だ。
そして始まる料理対決...数あるロワでも初めて見た気がします。
両方とも食べてみたくなるくらい美味しそう。

>見つけたい、だけど……
名簿決まってからの初の脱落者、ライフル銃の男。
後藤さんを閉じ込めたまではいいがそこから先、普通に敗けちゃう辺りがこの男らしいというかなんというか。
そして今度は自らの意思で殺しに行った挙句、千雪に現場を見られてしまった甘奈...もう言い逃れできないねえ。
頼れる大人は大佐だけですが、この状況をどう収めるか。そして甘奈はどこまで堕ちてしまうのか...とても気になります

投下します

90世界に打ちのめされて負ける意味を知った ◆j7coLoRPl6:2021/02/26(金) 18:25:10 ID:KS0E2uIY0
「勘弁してほしいわよ、ほんと...」

あたしは雨に濡れるのにも構わず膝をかかえ蹲る。

配られた名簿には知った名前があった。このゲームの中心となる帆高くんとさっきまで共に行動していた高井刑事。
そして、陽菜の弟の凪くんとあたしの叔父の圭介―――圭ちゃん。

新たに齎された情報は、私を追い詰める為のものでしかなくて。
あの老婆の意地の悪さをとことん突き付けられたように思えた。

早く皆と合流しないととは思うけれど、それでもまだ足は動いてくれない。

高井刑事。先ほど身を挺して護ってくれた彼の末路が私の足を押しとどめる。

彼を喪ったことへの悲しみと喪失感。もちろんそれはある。
けれど、私の大部分を占めるのはもっと根本的なこと。

動けば死ぬぞ。逆らえば死ぬぞ。
このまま帆高くんに構わず隠れてやりすごした方が安全だ。
そう、身体が訴えかけてくる。

でも、いかなくちゃ。
恐いのは帆高くんも同じだ。
いや、むしろ彼は参加者全員の命を担い且つ狙われているようなもの。
恐怖は私の比じゃないはずだ。

そう思っても、弱い私はやはり震えて縮こまってしまう。
ああ、いつもならまっとうな常識人なんてゴメンだと軽薄に振舞えるのに、いざ異常事態に晒されるとこれか。
ダッサいなあ、本当に。

どうか、お願い。誰でもいい。圭ちゃんでも凪くんでも帆高くんでもいい。どうかこの震えを止めてください。どうか...

「こんなところに蹲っていると風邪を引きますよ」

そう願う私に応えるかのように、頭上から優しい声がかけられた。

91世界に打ちのめされて負ける意味を知った ◆j7coLoRPl6:2021/02/26(金) 18:26:07 ID:KS0E2uIY0







「落ち着きましたか?」
「...はい、ありがとうございます竈門さん」

竈門炭治郎と名乗った彼は私を傍の民家までエスコートし、身体を拭くためのタオルやら温かい白湯やらまで用意してくれた。
気品の滲み出る整った顔立ちや立ち振る舞い。こんなカッコイイ人に手を引いてもらえるなど滅多にない体験だ、と普段なら思っていただろう。
流石に今はそんな気分になれないけど。

「夏美さん。なにかあったのですか?」

そんな私を気遣い、竈門さんはそう尋ねてくれた。
ちなみに私は名乗るまでもなく、彼に名前を知られていた。改めて、あの『天気の子』という映画の影響は大きいと思い知らされた。

「ぅ、その...」
「こういう時は抱えていても仕方ありませんよ。吐露することで解決するかもしれません。今は私しかいませんから、どうぞご遠慮なく」

彼の微笑みと合わせて、スッと言葉が胸に入ってくる。
本当に良い人だなあと思えば、気が付けば先ほどの高井刑事とのことを彼に打ち明けていた。
ゲーム開始後、ほどなくして彼と出会ったこと、彼が身を挺して怪物から護ってくれたこと、彼を見捨てて逃げ延び無力さと罪悪感に打ちひしがれていたこと、顔見知りが連れて来られていたこと...

状況から自分の気持ちまでなにもかもを曝け出していた。竈門さんは何を言うでもなく静かに聞いてくれていた。

「よく話してくれましたね」

竈門さんが優しい声音で語り掛けてくる。

「夏美さん。警察は他者を護るのが仕事です。彼は警察としてあなたを護り、あなたは生き延びた。高井さんのことはあなたが気に病む必要はありませんよ」
「でも、私、あの人に護られてばっかで...!」
「けれどあなたがこうして生きているからこそ彼は職務を全うすることができた。違いますか?」
「っ...」
「あなたがすべきなのは己を卑下するのではなく、彼に感謝することですよ」

責めるでも慰めるでもなく、諭すような彼の言葉が気持ちよかった。欲しかった言葉を与えられた―――そんな感触だ。
先ほどまでは無力感で苛まれていた心が、高井刑事の凄さやカッコよさに塗りつぶされていくような感じになった。

「高井刑事...」

助けてくれてありがとう。
ぽつりと出た言葉は、ようやく流れてくれた涙と共に胸に落ち、心臓へと染みていく。
その温もりに心が徐々に軽くなっていく。

涙を拭う暇もなく、私はただ高井刑事への感謝の言葉を漏らすしかなかった。








92世界に打ちのめされて負ける意味を知った ◆j7coLoRPl6:2021/02/26(金) 18:27:54 ID:KS0E2uIY0

「本当によろしいのですか?」
「はい。こうしてる間にも帆高くんたちが危ない目にあってるかもだし」

存分に泣き終えた私は、竈門さんと大まかな情報交換を終えるとすぐにバイクに跨り出発の準備に取り掛かった。
吐き出したい気持ちは全部吐き出した。慰めも充分受けた。
正直、まだ辛いところはあるけど、いつまでもメソメソしてたら高井刑事に申し訳ない。
彼の正義の心は私が引き受けなくちゃ。

「ありがとうございました、竈門さん。どうかお気をつけて」
「夏美さんこそお気をつけて」

エンジンをかけてアクセルをかける。
送り出してくれる彼の微笑みに私の背中が押されるように勇気が湧いてくる。
ずっと、ずっと普遍的な社会人になるのは嫌だと思っていた。
でも、高井刑事や竈門さんを見ていると、そんな考えは幼稚だったと思い知らされる。
だって、あの人たちみたいな社会人になれたら嬉しいでしょ。
陽菜ちゃんや帆高くんは普段の私を美人で立派な人だと褒めてくれたけど、そんな彼らの背中を押して、守れる社会人なんて最高にかっこいいじゃない。


(帆高くん、陽菜ちゃん。待っててね、必ず私が助けるから)


身を撃つ雨も全然冷たく感じない。
進みだしたバイクに、もう迷いは無かった。





夏美の見送りを済ませると、ふぅ、と息を吐き改めて名簿を確認する。

(なぜ他の鬼殺隊の名が記載されていない?)

鬼殺隊の連中の名前など殆ど覚えていないが、少なくとも"柱"の連中や産屋敷の名前くらいは把握している。
この首輪を着けて私を確実に処刑する為なら、柱の存在は必須だ。
鬼殺隊といっても玉石混交、私とある程度でも斬り合えるのはせいぜい柱とその他数名程度であり、その柱とその他の間ですら力量の差は明確だからだ。
だが、載っているのは竈門炭治郎ただ一人。
奴は確かに今までの上弦の鬼の討伐の殆どに関わってきたが、一人ではさしたる脅威でもない。

(それに鬼の人選も妙だ)

死んだ筈の猗窩座・妓夫太郎・堕姫の三名が載せられているのは、あの老婆の奇妙な力で蘇生させたと考えれば筋は通る。
上弦の鬼は100年以上も君臨してきた。一度殺しただけでは物足りないと異常者どもが考えてもおかしくはない。

ならばなぜ、黒死牟の名前がない?

奴はその昔、鬼殺隊でありながら私の勧誘に乗り当時の産屋敷を殺した男だ。
恨みならば、比較的新参であり遊郭に潜伏してきたこともあり目立った活動をしてこなかった妓夫太郎達よりも深いだろうに。
過去の出来事故に黒死牟が裏切りの鬼狩り本人であるか確証が無いにせよ、『呼吸』の技を使う以上、元は鬼狩りであることには気づくはず。
鬼を輩出したというだけで育手を自害させるような異常者たちならば黒死牟を呼ばないとは考えにくい。

(神子柴は鬼狩りではないのか?)

あの老婆は鬼と鬼狩りのことをかいつまんで知るだけの第三者。
なるほどこれなら理屈は通る。
通るからこそ、あの老婆の異常性が際立つというものだが。

93世界に打ちのめされて負ける意味を知った ◆j7coLoRPl6:2021/02/26(金) 18:29:13 ID:KS0E2uIY0

(まあいい...どのみち奴を殺すのは変わりない)

無論、最優先するのは己の命だが、またこのような茶番劇に巻き込まれてはたまらない。
竈門炭治郎もだ。奴さえいなければ、禰豆子を取り込むのに失敗しても追跡される恐れはなくなる。

(それと森嶋帆高...奴の関係者に接触できたのは幸運だ)

名簿を見る限り、奴との関係者は四名。その内一人は脱落し、わずか三人となっていたところでの夏美との遭遇だ。
帆高との繋がりを得ることに関していえば、混乱している可能性が高い奴本人に会う以上に大きい。
夏美が帆高と出会えればすぐには脱出させようとせず、ギリギリまで粘るよう説得するはずだ。
懸念としては夏美の語った怪獣や鬼どもに彼女が食われることか。
だが、怪獣とは逆の方角に向かったようだし、鬼に関しても、あの女には偽名を名乗ったが、私の源氏名である『月彦』を伝えろと言い含めてある為、そうそう食われることはないだろう。
呪いも外れている為、どこまで信用できるかは怪しいものだが。

そう、呪い―――これが外されている以上、新たに鬼を作ったところでその者を管理できるかはわからない。
だから夏美も鬼にはせずに説得し慰める方向での懐柔で信頼をとる他無かった。

(鬼など増やしたくもないとは思っていたが...まったく、他者から選択肢を剥奪されるとはなんとも不愉快極まりない)

あの老婆への憎悪と嫌悪を再び内に秘めつつ、夏美の車が去ってからほどなくして、私も足を進めることにした。

全ては私が生き残るために―――私の願いはただそれだけだ。




【E-3/1日目/深夜】

【須賀夏美@天気の子】
[状態]:健康
[装備]:スーパーカブ110@天気の子
[道具]:基本支給品、衝撃貝@ONE PIECE、ランダム支給品0〜4
[思考・状況]
基本方針:帆高と陽菜ちゃんを助ける。
0:帆高・圭介・凪との合流。
1:竈門さんの知り合い(猗窩座、妓夫太郎、堕姫)を見つけられたら協力を仰ぐ。
2:ありがとう高井刑事、竈門さん。


[備考]
※陽菜の消失後からの参戦です。
※無惨の名前を竈門炭治郎と認識しています。



【鬼舞辻無惨@鬼滅の刃】
[状態]:健康、主催への不快感と激しい怒り
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]

基本方針:生き残り、神子柴含む鬼殺隊を殲滅する。
0:神子柴は何を考えている...?
1:ひとまず帆高を確保し少しでも時間を稼ぐ。
2:鬼狩りは見つけ次第殺す。
3:呪いが外れている為、鬼どもは充てにしない。従うならばそのまま使うが逆らうようなら始末する。
4:夏美の遭遇した怪獣には気を付ける。

※参戦時期は炭治郎と義勇に鬼殺隊は異常者だと言った後です。
※体内に打ち込まれた薬が消えているかどうかはお任せします。
※偽名として竈門炭治郎を名乗っています。

94 ◆j7coLoRPl6:2021/02/26(金) 18:30:45 ID:KS0E2uIY0
投下終了です

ルカ、虎杖、ドクターヘルを予約します

95名無しさん:2021/02/26(金) 22:43:04 ID:NRHIfSE60
投下乙です。
投下多くて感想書くのが間に合わないなんて思わなかったけど、海馬vsビッグマム戦はそれぞれのキャラの特徴抑えてたし、刃皇vs若おかみは出典外のシリーズネタを抑えてて原作の読み込みが感じられたし、夏美&炭治郎はしれっと汚い手を使っててああやりそうだなって思って面白かったです。
でも誕生日に娘を野獣先輩扱いされたTNNUはかわいそうだと思った(小並感)

96 ◆k7RtnnRnf2:2021/02/28(日) 11:49:12 ID:KKQAs.Z20
投下乙です。
トラウマを背負っていた夏美さんの心を上手く操り、しかも帆高の情報も手に入れた無惨は凄いですね。
炭治郎の名前も利用したことで、彼の今後が心配になりますね。夏美さんは炭治郎本人の顔を知りませんし。

エドワード・エルリック、殺島飛露鬼、小宮果穂、高海千歌を予約します。

97 ◆j7coLoRPl6:2021/03/02(火) 23:27:39 ID:LoBaWMCs0
>>41
予約期限の一週間が過ぎているので、水曜日中に延長申請が無ければ予約破棄となります。


投下します

98魔人見参!! ◆j7coLoRPl6:2021/03/02(火) 23:28:44 ID:LoBaWMCs0
(みんなは呼ばれてないな)

名簿を確認したルカはほっと胸を撫でおろす。

妻のアリスや魔王軍四天王はもちろん、今まで出会ってきた王や村人たち、モンスター娘たちも呼ばれていない。
知り合いがいないのは心細いとはいえ、彼女たちがこんな物騒な催しに巻き込まれていないのはもちろん安心する。
が、それ以上に懸念していたのは彼らによる精力の捕食。
一部例外を除けば、モンスター娘に捕食されても死ぬ訳ではない。大概、足腰が立たなくなるまで精気を搾り取られるだけだ。
ただ、こんな会場で脱力しきればどうなるかわかったものじゃない。
モンスター娘たちの主な食糧は精液であるが、別に普通の食事が出来ない訳でもない。
流石に彼女たちでもこんな異常事態で精の捕食に奔ることは無いと思いたいが...なんにせよ、この会場にいないのは喜ばしいことだろう。

向こうはどうだったのかな、と虎杖へと視線をやる。

「釘崎は大丈夫。あの婆さんの言いなりにはならない」

先ほどまでとはうって変わり、低い声音で返される。

「悠二...?」
「真人って奴には絶対に気を付けてくれ。たぶん、この会場の中でもかなり危ない奴だ」

その顔は、今までのどこか気の抜けたものではなく。
表には出ていないが、憎悪や怒りといった、それら負の感情に近いモノを醸し出していた。

「あいつは、絶対に俺が"祓う(ころす)"」

言った。いま、虎杖は確かに真人という参加者を殺す、と。
口では祓うと言っていたが、確かにルカには殺すと聞こえていたのだ。

「ルカ、俺は大丈夫だ」

ルカの考えを察したのか、虎杖はそう返した。名簿から目を離さず、ある一点だけを見つめて。

99魔人見参!! ◆j7coLoRPl6:2021/03/02(火) 23:31:17 ID:LoBaWMCs0

(...それは、どの"大丈夫"?)

冷静だからか、釘崎という人物に相当の信頼を置いているのか―――真人という参加者に対しての怒り恨みが揺らいでいないからか。
ルカも負の感情を糧に戦ってきた男を知っている。
ラザロ。かつて、父・マルケルスと共に魔王を討伐した勇者一行の一人。
彼はかつて仲間を殺された怒りから魔物たちを殺してまわっていた。
手段を択ばず、感情を抑えきれず友であるマルケルスを殺してしまっても止まることができないほどに。

彼だけではない。自分だってそうだ。リリィの過去を知った時、己の境遇と重ね合わせ、感情のままに剣を振るってしまった。
彼女を殺すことはなかったが、あの時の自分が暴走していなかったといえば噓になる。

ルカは虎杖のことを何も知らない。彼の問題は彼だけのものであり、自分が関わるべきではないのかもしれない。

「...あまり、溜め込んじゃだめだよ」

だから、一言だけそう挟んだ。愚痴でもなんでも、受け止めてくれる存在がいるとそれだけで気が楽になるから。

「ありがとな、ルカ」

そんなルカの意図を察したのか、虎杖はようやくルカへと視線を向け、名簿を見る前と同じようにはにかんだ。

「えっと、他に知ってる奴は...ぅえええええ!?」

名簿を最後まで確認した虎杖があからさまなオーバーリアクションで驚きを露わにする。

「信じられねえ...こんなことってあるのかよ!?」
「どうしたの?」
「Dr.ヘルが参加してる!」

Dr.ヘル?とルカの頭に疑問符が浮かぶ。

「悠二の知り合い?」
「知らないのかよルカ?あのマジンガーZのあしゅら男爵の生みの親、Dr.ヘルだぞ!」
「ま、まじんがー?あしゅら男爵?」

聞きなれない単語にルカはますます困惑を深める。
書籍は当然、魔物でも似たような名前すら思い浮かばない。
そもそも男爵という時点でモンスター娘ではないのだが。

「えっと、そのDr.ヘルっていうのはどんな人なの?」
「機械獣とかブロッケン伯爵とか操ってマジンガーZと戦う悪の天才科学者だ。ルカ、本当に知らないのか?」
「うん。マジンガーっていうのも聞いたことが無くて」
「あー...確かに少し前の作品だからなあ。ルカって俺よりも年下だし知らなくてもおかしくないかも」
「えっ、作品?悠二の敵とかじゃなくて?」
「えっ」

100魔人見参!! ◆j7coLoRPl6:2021/03/02(火) 23:31:42 ID:LoBaWMCs0

話がかみ合っていない。
虎杖の世界は呪霊こそ探せばいくらでも見つかるが、基本的に常人は超常現象や世界を狙う敵などとは無縁の世界。
対して、ルカはいまでこそ平和が訪れたものの、人と魔物、はたまた天使が争い、武器の需要も無くなってはいない世界。
二人はその認識の違いを把握していないが、とりあえずは虎杖が大まかにマジンガーZを説明する形で情報の擦り合わせが始まった。

「マジンガーZっていうのは、早い話がロボットモノなんだ。マジンガーに乗る主人公の兜甲児が、世界の平和を守るために悪の科学者Dr.ヘルの仕掛けてくる機械獣と戦うんだよ」
「兜甲児って人は勇者なのかい?」
「勇者?ん、まあ、勇者名乗ってる奴は続編で出てくるんだけど、甲児も平和の為に戦ってるなら勇者みたいなものか。で、このDr.ヘルって奴が中々に曲者でさ。あしゅら男爵を暗躍させたりスゲエ兵器作ったりして世界征服を目指すんだよ」
「...まあ、なんとなく話はわかってきたかな」

兜甲児を勇者としたとき、Dr.ヘルは例えるなら魔王。それもアリスとは違い、世界を支配するのに積極的だという。
ただ、それは作品内の話であり、現実の話ではない、と。

「もしかして実在の人物をモチーフにしていたとか?」
「ナイナイ!マジンガーなんていたら絶対に隠しきれねえって」
「そうなると、神子柴は作品のキャラを現実に呼び出したってことかな」
「あり得ない...とは言い切れねえ」

死んだ人間すら瞬く間に蘇生させるような老婆だ。
二次元のキャラを現実に連れてくることもできるのかもしれない。

「ただ、Dr.ヘルは悪役だけどそこまで戦える奴じゃなかったかな。機械を操るバードスの杖さえなければ簡単に倒せると思う」
「触手とかは出さないのかい」
「出さないと思う。結構ガリガリの爺さんだし、完全に頭で立ち回るタイプだ」
「じゃあ出会ったら力づくで抑え込めば」

ズ ン ッ

いいかな、と続く言葉は、なにかが傍に落下してきた轟音に唐突に遮られた。




「フハハハハハッ!こうも容易くサンプルに出会えるとはなッ!!」


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