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顔合わせ

93PON:2016/08/02(火) 23:59:10 ID:QNOKRAdo
『うわっ!』
『ご、ごめんなさ・・・あ、中川さん。ゴメンね、ケガはない?』
『いえ、大丈夫です』
『ゴメンね、菜穂ちゃん。ちょっとヒートアップしちゃった』
『あの、それより・・・』
『どしたの、菜穂ちゃん?』
『す・・・すみません、でした』
菜穂の後ろで、優子がうんうんと頷いている。
『特に、春佳センパイには色々と・・・ごめんなさい』
『あ、うん・・・もういいから、別に気にしないで?』
何とも気まずい空気が流れる。
『でも、大和君だって責任はあると思うよ?もっと、菜穂ちゃんのことを気にしてあげしなきゃ』
『気にして・・・ですか?僕は、ちゃんと・・・』
『佐伯さんの言っているのは、普通の意味だけじゃないってことだよね?』
『桐原さんの言う通り。やっぱり、年上の女性は解ってますね』
『その言い方、オバサン呼ばわりされてるみたいだからヤメて』
『クスッ・・・』
そんなやり取りに、雰囲気がフッと和らいだ。
『あれっ、佐伯先輩。手帳落としたみたいですよ?』
優子が、足元に落ちていた手帳を拾い上げる。開かれたページには、さっき即興で書いた漫画が書いてあった。
『なに、コレ?』
目を逆三角形にして、怒りの感情を露わにする二人の絵は、菜穂と優子を表しているのが一目瞭然だ。
『・・・私たちの後ろで、佐伯先輩はこんなのを描いてたんですか。大和も、これを見て皆と一緒に笑ってたんだ?』
ジトッ・・・とした目で、大和のことを冷たく見遣る。
『そ、そんなことしてないって!佐伯先輩だって、雰囲気を和ますためにやってくれたことだよ!』
大和の強い主張に怯んだのか、菜穂は感情を抑える。
『な、なにムキになってんの?それに、こういう絵の感じ、嫌いじゃないし・・・コレ、もらって良いですよね?』
『え?・・・うん、構わないよ』
手帳を返されると、麻衣はそのページを破り取って菜穂に渡した。
『ありがとう、ございます・・・さあ、行きましょ!』
照れ臭さを隠すように、大和を小突いてさっさと歩きだす。そんな菜穂の耳は真っ赤になっていて、どうやら麻衣の絵のタッチがとても気に入ったようであった。
それを見た麻衣たちは、目配せをしつつ笑いを堪えていた。


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