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日 本

826NAME:2015/08/29(土) 20:14:37
──ベネチアは?

 まず技術革新に対応できなかった。アルセナーレといって今もイタリア海軍が使っている造船所を造り、そこで早く安く大量に軍艦を造る画期的な技術を開発した。だが、レパントの海戦で連合軍に参加し、それまで無敵だったオスマントルコに勝った頃には、ポルトガル、北欧、オランダなどで新しい帆船の技術が開発されていた。この風上にさかのぼれる帆船は、大型になるから造船費用も高くなる。これに対してベネチア議会は造船費用をそれほど増やさなかった。結果、船の数が減って弱体化していく。

 最先端技術を持てない国は弱い。最近、日本の技術関係者がショックを受けたのはロボットのコンテストだ。1次審査の際は東京大学の助教クラスが開発したロボットが断トツだった。翌年、2次審査になったときには、そのチームは米グーグルに買収されていた。日本は6チームが残っていたが、いずれもビリから並んでしまった。ちなみに1位は韓国だった。技術でトップでないと、結局国力を弱めることにならないか。

 ──同時に地政学的な問題もあったようですね。

 確かに、変貌する地政学的な問題があった。ポルトガル王室の肝いりで、喜望峰を回る航路をバスコ・ダ・ガマが開拓する。ベネチアの船でアジアに行くには途中で陸路を行く必要があった。新しい帆船ならいきなりアフリカ大陸を回り、東アジアのコショウや絹の買い付けができる。その発着地点はポルトガルのリスボンやスペインのカディスやパロスになり、ベネチアは従来の地図の中央ではなく、端っこに位置するのと同様になる。新興のポルトガル、スペインが発展しベネチアは凋落していく。

 戦後日本の発展要因には、ソ連や中国に対する最前線という地政学的な位置が大いに関係した。米国を筆頭とする資本主義国の出先の位置として格好だったのだ。しかし、今や世界の主要地間をノンストップで行き来できるようになり、日本の中ソ近接は有利な地位ではなくなった。日本は、かつて中継地として繁栄し今やアラスカの寒村に戻ったアンカレッジのようになる可能性がある。米中、米ロの関係いかんで、日本の位置が世界的に見て大事かどうかはわからなくなってくる。




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