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日 本
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かつての日本史にありえなかった大愚
第一次大戦後、世界の大国といえたのは英仏伊と米日の5カ国だけでした。日本は国際連盟の常任理事国となり世界の3大海軍国、5大陸軍国となったわけでしたが、それを支えてくれたのは強い信義の下にあった日英同盟でした。 ところが、驕(おご)れる日本に内面的な魔がさし始めてきます。一部の政治家・軍部や学者・マスコミなどが、反英親独の論戦を張り始め、一方で孫文中国がアメリカをたきつけ日英同盟反対のノロシを上げると、アジア進出が遅れたアメリカが渡りに船とこれに同じて、革命を経たソ連までもが排日・反日に転じていきます。自ら信義と理念を失った日本は坂道を転がり落ちるように、日英同盟破棄・国際連盟脱退、そして独伊と組んで第二次大戦への泥沼へと突っ込んでいってしまうのです。日英同盟さえ堅持していたら、英の仲介で、オランダからインドネシアの石油を買えたはずで、アメリカの対日石油禁輸が事実上の日米開戦のきっかけとなった結果とは違った展開をたどっていたでしょう。第二次大戦は回避された可能性が高かったと、多くの欧米史家が説いています。
停戦前までの外交史をひもといても、マナーが悪く同盟を破ることが多かったのが、ロシア、中国、ドイツなどで、信義の国が英米だったそうですから、日本は自ら最悪の選択を犯して自滅したのでした。百鬼夜行状況の一部エリート層と新聞のモラル失墜が大衆世論の追随・付和雷同を呼び込み、「かつての日本史にありえなかった大愚」に突進したのでした。
戦争で負け外交で勝つ
大戦後は帝国主義国の植民地支配を終焉(しゅうえん)させ、戦前の日本が有色人種国代表として唱え始めた人種差別撤廃もが、皮肉にも日本の敗戦を機に、民族自決・独立の動きにつながり世界史の大きな転換点となっていきます。世界史の分岐点で一挙に頭一つ抜き出た新興大国アメリカの台頭は、欧州列強の相対地位を押し下げるも、一方で共産主義圏のリーダーに躍り出たソ連との東西冷戦へと新たな展開を始めました。
そんな世界の趨勢(すうせい)にあって、敗戦後の日本の宰相・吉田茂は「戦争に負けて外交で勝った歴史もある(ナポレオン戦争敗北の仏がウィーン講和会議で、戦勝国の仲間割れにうまく切り込んだ外相タレーランの外交手腕で、大いに国威発揚した故事)」と喝破しました。その後、「軽武装・経済専念」という選択と集中の国策基本方針(俗に吉田ドクトリン)の妙を得て、サンフランシスコ講和条約で占領軍からの独立と西側陣営への参画を勝ちとり、戦後日本の安保と国際社会での位置付けを確定した吉田こそ、外交内政に大いなる成果をもたらした豪腕の国家リーダーだったのです。 このことは、20年前に冷戦が終わったとき、多くの米マスコミが「冷戦の真の勝者はアメリカでなく、日本だった」と繰り返したことや、欧州・アジアのメディアが「太平洋戦争開戦50周年の実質的勝者は日本で、アメリカではなかった」、さらには「Japan As No.1」といった、日本経済がピークを迎えたときに躍った活字を想起させてくれます。
人間力あふれるリーダーシップ
かくいう吉田ドクトリンとて、現在通用するものではなくなっており、今や全く違った国家的目標を必要としております。軍事大戦なき、21世紀型「グローバル経済戦争」時代の政治・外交哲学からすれば、「特に敏感な政治的判断力、あるいは鋭い外交的感受性が求められるゆえに、日本文化・文明の伝統精神の上に立ち、国家に対する誇りと使命感、本格的人間観に根ざした国益志向の日本の心」が必須条件で、そのパワーを生み出すには、合理主義・未来志向とそれを支える活力の三位一体が急務かと思います。
それを達成するには強力なリーダーが必要でしょう。よくいわれる「権力の垂直移動構造説」からすれば、平時で組織が成熟しているときには、現場を熟知している実務家(官僚)まで権力を下げた方が効率的でしょうが、逆に危急時で組織も疲弊している現下の日本では、権力をトップに上げて「大きな方向転換を伴う目標設定と決断ができる上に、世論指導力もある秀でた政治家」すなわち「人間力あるリーダーシップ」によるトップダウン政治が求められます。 今の安倍晋三首相が真にその資質を備えたリーダーであるのかどうかは、今少し経過をみる必要がありますが、少なくともこれまで及び腰外交を繰り返してきた歴代政権とは様子が違うようです。このまま強い信念を持ち続けてほしいものです。
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