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改憲問題スレ2

59。・゜*ヽ(´ー`)/。・゜*:2017/05/05(金) 11:13:11 ID:ER9phl1I
早稲田大学教授水島朝穂さんのブログから

お世辞にもうまい字とはいえなかった。村長室の壁にかかる2 本の掛け軸。1 本には憲法9 条の条文。もう1 本には、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」とある。これが憲法第99条である。
 1993年2 月、広島大学に勤務していた当時、ゼミ学生を連れ、初めて沖縄合宿を行った。そのとき訪問した沖縄県中部の読谷村、その旧村役場の村長室の風景である。村長だった山内徳信氏の直筆。その後、山内氏から聞き書きして、共著『沖縄読谷村の挑戦--米軍基地内に役場をつくった』(岩波ブックレット)を出した。「憲法99条は、憲法を守らない可能性がある者を縛るためにある。村長であるわたくしも…当然入る。これは自分への戒めでもあります」と山内氏。私が、「憲法村長擁護義務ですね」と応じて、二人で笑う箇所がある。中央政府や米軍を相手に、村民の利益を擁護して基地の返還を求めて果敢に交渉する村長も、同時に、村民に対しては「権力者」でもある。この緊張感を失わないこと。それを絶えず警告しているのが、99条である。
 この条文は、第10章「最高法規」に配置されている。それは、立憲主義の本質を顕現する条文といえるだろう。権力担当者に対して憲法尊重擁護義務をことさらに要求することで、憲法の最高法規性を確実なものにしようとしたわけだ。それは、まず、義務を課される相手方がきわめて具体的で、「名指しされている者」と「されていない者」との違いが明確だという点からもいえる。
 まず、象徴の地位にある天皇がトップにきている。「もしも」の事態を想定して「摂政」にまであらかじめ定めておくという周到さである。そして、国務大臣(内閣総理大臣も当然に含まれる)、国会議員、裁判官ときて、最後に、「その他の公務員」という形で、すべての公務員に高度の憲法的拘束を要求している。もっとシンプルに、「すべての公務員は、憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」という定め方をしなかったのはなぜか。
 思うに、憲法は、あえて天皇(摂政)と三権(立法、司法、行政)の担当者を名指しすることで、「憲法を守らない可能性がある者」(山内氏)を具体的に列挙し、警告を発したのである。1989年1 月9 日の「即位後朝見の儀」において現天皇は、「皆さんとともに日本国憲法を守り…」と述べた。「皆さん」とは一般国民のことではない。目の前に居並ぶ「三権の長」たちに向かって、99条の意味を再確認したともいえる。
 「その他の公務員」の範囲も広い。国や地方を問わず、また職階の高低、職種の違いにかかわらず、すべての公務員に、憲法尊重擁護義務が課せられている。
 では、義務の内容はどうか。「尊重」し、かつ「擁護」する義務となれば、「尊重義務」と「擁護義務」がそれぞれ別個に存在しうることになる。「尊重する」とは憲法を遵守することをいい、「擁護する」とは、憲法違反に抵抗し、憲法の実施を確保するために努力することを含むが、両者の間に根本的な違いはないとされている(宮澤俊義・芦部信喜補訂『全訂日本国憲法』日本評論社)。「尊び」「重んずる」義務というと倫理的色彩が濃厚だが、「擁護」義務というのは、憲法の側に立って、「かばいまもる」義務という積極的な響きがある。公務員は、いったん違憲行為が行われ、あるいは行われようとする場合には、憲法の側に立って、違憲行為の予防ないし阻止に尽力し、憲法の規範力を回復させるため積極的に努力する義務がある。「尊重擁護」とダブルにしたことは過小に評価すべきではないだろう。


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