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【小説】よしけんが死んでいました。
11
:
課長
:2009/06/19(金) 07:23:44
「ええーっと…何階だ?」
課長がエレベーターの前で露天風呂の階を確認する。どうやら最上階より一つ下らしい。
上へ向いた矢印のマークのボタンを押す。が、押したか押してないかのタイミングでエレベーターが突然開く。
「おっとぉ。」
中には一人の女性のベルガールと、20歳前後のまだあどけなさの残る少女がいた。
「あっ。申し訳ございません。すぐ降りますので…。」ベルガールが先に口を開く。
「ん、あいよー。そんなに気を遣わないでいいよー。」と課長は自分のできる限りの愛想笑いを二人に向けた。
そして、その少女の顔へ瞬間的に興味を注いだ。
ベルガールと少女はエレベーターを降り、部屋へと向かう。そのすれ違いざま、何かを暗示するようにベルガールと課長は一瞬目を合わせた。
しかし二人の後姿をもう一度目で追う事もなくエレベーターへ乗り込む。そしてドアを閉める。
上へと動き始めたエレベーターの中で課長がぼそっと独り言を言う。
「さてはて…。一体何人になるんだかねぇ…。」
仁は課長と話した部屋にまだいた。課長が出て行っておよそ5分は一人で何か考えていた。
すると、ホテル従業員用の小型通信機が音を鳴らし始める。それを取り出し応答する。
「何だい…?」
「あ、支配人。ご指示通り氷室様も9階の部屋へお通しいたしましたが…。よろしいんですよね?」
「うん。問題ないよ。」
「あ、はい。そのご報告だけですので…。では、失礼いたします。」
「はい。ありがとう。」
無線を切って、「今日はこれで全員、か。」と小さくつぶやく。
少しの間を空けて、また通信機を手に取る。そして今度は自分から発信をする。
「…ああ、大倉くん?明日か明後日、課長が松島へ出かけたいと言ってる。あの人の事だから、きっと実行すると思うんだ。そのとき、数人警護を回せるかな…?」
「ああ、課長ですか〜。相変わらず困った人ですね〜。」と大倉は笑いながら続けて「大丈夫ですよ。出迎えさえこなせば人は余るほどだと思いますんで。」と答える。
「そうか。じゃあ、また具体的に時間がわかったら連絡するよ。お願いします。」
「あいあいさ〜。」
大倉が無線を切るのを確認して、自分も無線を切り通信機をしまう。
「どちらが先に化けの皮をはがれるのやら…。」
よしけんはまだまだ部屋で眠りからさめる様子はなかった。
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