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艦これSS投げ捨て場

1名無しの提督さん:2018/07/02(月) 22:55:26 ID:uRJhJ3e.
文芸部スレがシナリオ型禁止だそうなので。

特に規制なしで。進行はsageで。

2名無しの提督さん:2018/07/03(火) 00:29:57 ID:pzWxO8xQ
【異能持ちの鎮守府】第0話

とある鎮守府。今ここでは、本日着任し、あるいは転属してきた艦娘があいさつをしていた。

提督「さて、あとは…君かな?自己紹介を頼むよ?」

??「あ…えっと、私、は・・・」

〜〜〜〜〜〜

大和「提督。お疲れ様です」

提督「ああ…いや、疲れてはいないが…。面倒なことになるな、とね。」

大和「大本営からの勅令、ですか?」

提督「ああ。今回は調査だよ。内容は…『そちらへ転属させた艦について調査せよ』だそうだ。」

提督は先程の少女を思い出す。黒髪に黒い瞳の、小柄な少女。見た目から判断すると、駆逐艦だろうか?
だが、先ほどの少女は「名前は思い出せない。自分には記憶がない。」と話していた。
艦娘とは、多かれ少なかれ嘗ての艦船であったころの記憶は持っているし、それは建造艦・ドロップ艦問わずだ。
また、人間が訓練や試験等を経て艦娘になった場合は当然人の記憶を持っている。
つまり、全く記憶の無い艦娘、というのは通常あり得ない。
そしてもう一つ。他所ではなく、わざわざ此処に転属されたということは…

提督「なんらかの『異能』持ち、ということだ。当然それも『不明』だと。たまに上層部と言えど文句をつけたくなるな」

そう。この鎮守府は通常のそれとは異なり『異能力』が発現した艦娘を「調査」の名目で隔離・保護・研究するという任務を帯びている。
そしてその異能を用いて大本営から様々な任務を支持されている。

提督「どちらにせよ、だ。暫くはあの娘を中心に動くことになる。…本当に、ただの面倒事で済めばいいのだがな…」

続く

3名無しの提督さん:2018/07/09(月) 13:38:38 ID:.3Q7PH/I
【異能持ちの鎮守府】第1話「あなたの名前は」

着任翌日、私は鎮守府内を歩いていた。別段目的もないけれど、自分の名前や異能など記憶が何をきっかけに思い出すか。何もしないよりは何かをした方がいいだろう。
誰かが居れば、話してみるのもいいかもしれない。もしかしたら、自分の姉妹艦かもしれないのだ。

??「まあ、そう都合よくはならないだろうけれど。…と、ちょうどいい所に。」

廊下の向こうからこちらに向けて歩いてくる人たちを見つけた。
どんな話をすれば良いかは判らないけれど、まずは行動をするべきだろう。
そう考え、近づいてきた艦娘たちに話しかけてみた。

吹雪「あ!司令官さんが仰っていた新入りさんですか?おお…これは、なかなか…」

睦月「吹雪ちゃん…いつもの危ない目になってるよ…」

陽炎「まあ吹雪の言いたいことは分かるわ。「うちの妹達の方が可愛い!!」でしょ?」

吹雪「違うよ、もう!」

白露「まあまあ…。えっと、貴女が噂の新人さんね?私が白露!この鎮守府で一番頼れる存在よ!」

睦月「睦月です。よろしくなのですよ」

陽炎「陽炎よ。1週間で沈まなかったら覚えてあげるから、がんばりなさいよ」

吹雪「吹雪です!よく誤解されちゃうんだけど、ノーマルな吹雪です!それでね、昨日大和さんから…」

白露「今度着任した子のうち、一人だけ記憶が無くて名前のわからない子がいるっていうから、私達で一時的な名前を考えてみたの!」

・・・。確かに名前不明じゃあ呼びづらいだろうし、気持ちもわかるけど…。
多分ちゃんと名前があるはずなのに、渾名で呼ばれるのは…いや、折角の行為だし、みんな誠実そうだし、聞いてみるだけなら…

吹雪「黒髪だし、吹雪型っぽく粉雪ちゃんなんてどうかな!?」

睦月「三日月ちゃんみたいな綺麗な黒髪だから半月ちゃんはどう?」

白露「強そうな感じがするからゲリラ豪雨ちゃん!」

陽炎「仮の名前だし、クロとかでいいでしょ」

・・・前言は撤回。多分この人達はノリだけで生きているタイプだ。というか後ろ二つ適当なんてものじゃない。なんだそれ自分で呼ばれたらどう思うんだ。
取り敢えず当面は自分で考えるか、代案をお願いしよう。

4名無しの提督さん:2018/07/09(月) 21:27:04 ID:.3Q7PH/I
【異能持ちの鎮守府】第2話「あなたの異能は」

名前に関しては一旦置いておいて。私は気になっていることを聞いてみた。
もちろん言葉の意味は分かるし、昨日ともに着任した子達がそんな話をしていたが。

吹雪「私達の異能?もちろんあるよ?そもそもここの鎮守府の所属艦娘はほぼみんな持ってるからね。」

睦月「睦月はねー、他の人の好感度操作の『仲睦つ月』と『魔王の片鱗』の二つだよ〜」

白露「私は『一番槍』♪戦闘開始時に真っ先に攻撃できるって力だよ!」

陽炎「私は『揺らめく陽炎』。敵艦の命中率を下げて味方が回避しやすくなるのよ」

吹雪「で、私のは『起「夕立が「『主人公特権』っぽい!」って言ってたよ」白露ちゃん割り込まないでよ!?」

ふぅん…いろんな効果の異能があるんだ…。名前は自分で決めたんだろうか?だとしたら正直痛いし恥ずかしい。
「あなたのは?」と聞かれたけれど、名前と同様覚えていない。確かにそれっぽい何かがある、というのは感覚で解るのだけれど…
どういう名前かも、どんな力かも覚えていない。できれば、あまり痛い名前でなければいいなと思った。

〜〜〜
異能解説
『起死回生』吹雪の異能。危機的状況にあって選んだ選択肢、取った行動が逆転の一手になる可能性が生じる異能。生還率が0ではなくなる。
『仲睦つ月』睦月の異能1。他人から睦月、あるいは第三者への好感度を操る異能。上昇下降自由自在。
『魔王の片鱗』睦月の異能2。魔王としての力を扱う能力強化系統。
『一番槍』白露のいっちばーん!な異能。通常海域では戦闘時に誰よりも先に攻撃可能。できればダメージも一番になって欲しい。
『揺らめく陽炎』陽炎の異能。対象の周囲を歪めて正確な射撃を妨害し、体感では8割程外れるようになる。当たるときは当たるので慢心はダメ。

5名無しの提督さん:2018/07/11(水) 02:32:23 ID:cJz.m9So
【異能持ちの鎮守府】第3話「出撃時の心得」

会話の合間に陽炎から話しかけられた。私や、同期着任の子達の初出撃があるそうだ。
そういえば先程、初出撃に生還しないと覚えてやらない、みたいなことを言っていなかっただろうか?
案外素直じゃないのだろうか…?

陽炎「誰がよ!?そうじゃなくて。あんた、ここの鎮守府の事理解している?よその鎮守府と同じと思ってると、沈むわよ?」

睦月「えっとね?本来通常海域やイベント海域って大破状態で進撃しない限り沈まないんだけど…」

白露「あと無傷からの一発轟沈もあるから、一番大事なのは回避だからね!」

吹雪「遠征でも敵艦隊に襲われて沈みかねないからね…。まあ、言えることは…『無事に帰ってきてね!』ってことだね」

・・・なんだか不安になってくるなあ。アイテム屋さんで応急修理要員さん買っておこうかな…
一緒に出撃する人が頼りになる人だといいんだけど…みんなは何か知ってるだろうか?

吹雪「確か…新人さん12人を4人ずつに分けて、それぞれに2人ずつ誰かが随伴、って聞いたよ?」

白露「うちの夕立も「出撃するっぽ〜い!」って騒いでたから…同じ班だったらよろしくね!」

せまる初出撃。できれ無事に帰れますように…。

6名無しの提督さん:2018/07/21(土) 23:44:46 ID:3OKcDrD.
【異能持ちの鎮守府】第4話「初出撃」

初出撃の時を迎えた。同期着任の子3人と軽巡五十鈴さん、駆逐艦響さんがついてくれるそうだ。
同期の子達もここの話を聞いたのか、不安がる子もいた。一撃轟沈があり得るというのは正直怖い。
それと、ここの提督に対する不安もあるのだろう。

〜〜〜〜〜〜
数時間前

提督「君たち新人艦にも今日から出撃隊や遠征隊に入ってもらう。先日言った通り、我々の戦場は俗にいう『大破ストッパー』なるものはない。」

提督「そして君たちは練度も高くはない。故に新人諸君。今日の出撃、君達は戦果を挙げる必要は無い。生きて帰ってくることだけに集中してほしい。」

大和「各艦隊に高練度の先輩たちがいますので戦闘は彼女たちに任せて、皆さんは戦場を見て、戦い方・生き残り方を学んでくださいね?」

〜〜〜〜〜〜

さて、いざ戦場へ出てみたはいいのだけど…今回私達が任されたのは油田地帯の防衛。
ここに空母を主力とした敵艦隊が迫っているそうだ。ここが落ちると各地の鎮守府への燃料配布に滞りが出るらしい。
初戦は大した被害もなく迫りくる敵艦隊を返り討ちにした。主に先輩二人が。通信によると別艦隊もおおむね似たような状況のようだ。
このままいけば防衛は成功だろうか…

五十鈴「ちょっと貴女!ぼーっとしてない!間もなく敵艦隊第三陣、来るわよ!警戒態勢!」

響「・・・不味いね。こちらに迫っているのは敵艦隊本隊なようだ。敵旗艦は空母棲姫、護衛にフラグシップ戦艦。厳しい戦いになるよ」

五十鈴「ふぅん…。友軍遊撃部隊に援軍要請を入れるべきかしら。私やあんたは大丈夫だろうけど、新米艦たちを守りながら、は骨が折れるわね…。いざとなったら…」

響「まあ、やるさ。帰る為にもね」

新人駆逐「み、見えました!敵艦隊です!」

五十鈴「!!艦隊輪形陣!空母の攻撃をやり過ごすわよ!!」

私たちの初陣は山場を迎えようとしていた…

7名無しの提督さん:2018/07/24(火) 01:00:38 ID:kNUIJ6sg
【異能持ちの鎮守府】第5話「轟沈」

敵空母の猛攻をしのぎ切った時、同期で着任した子二人の姿が見えなくなっていた。
敵も五十鈴さんが一人沈めていたが、数の上では四人対五人と不利だ。しかもこちらは軽巡一人と駆逐三人、向こうは空母一人に戦艦三人、重巡一人。
さらにこちらのうち二人は練度1で実戦経験もない。このままでは全滅は避けられない…

五十鈴「仕方ないわね。響!あんたは空母と重巡を抑えといて!戦艦三隻は五十鈴が倒す!」

駆逐艦「そんなの、無理だって…!」

五十鈴「ちょうどいいわ新人たち。私達に芽生えた戦闘系の異能はね!こういう時に使うために有るのよ…!異能『五十鈴哀歌』!!」

響「まあ、私の力は戦闘向きではないんだけどね。まあ、やろうか。」

〜〜〜〜〜〜

五十鈴「ごめん遅れた!状況は!?」

駆逐「あ、あの…」

「私達は無事、ですが…私達をかばって…」

響「…すまない。私は、ここまでの…ようだ…」

五十鈴「響…!…そう、残念ね。あんたとはここまで、か…また、後で会いましょうね」

響「ああ。向こうで…先に、待ってるよ…」がくっ…

五十鈴「…ええ、待ってなさい。手向けに、仇は討ってあげるから!」

〜〜〜
異能解説
『五十鈴哀歌』五十鈴の異能。能力強化系。一時的に、全鎮守府で今まで改修餌にされた五十鈴全ての能力を自らに加算する能力。上限値は特にない模様。

8名無しの提督さん:2018/07/29(日) 20:51:47 ID:Q/2toooY
【異能持ちの鎮守府】第6話「帰還」

五十鈴「―――報告は以上です。」

提督「ああ。本当にご苦労だったね。水雷戦隊で敵空母艦隊を押し返すとは恐れ入ったよ。」

提督「君たちも、よく無事で帰ってきたね。うちの鎮守府はその仕様上どうしても初出撃の艦は生存率が良くなくてね…」

確かに、私達は無事に帰ってこれた。でも、先日共に着任した子(名前もまだ覚えていない)や響さんを犠牲にしてまで、自分が生き残ってよかったのだろうか?
特に響さんは、一人で重巡や空母にも後れを取ることなく戦っていた。自分たちを庇わなければ、きっと沈むこともなかっただろう。

提督「今回の大規模防衛戦で生き残った新人は君達二人を含めて六人だ。うち二人は艤装解体の上で除隊願いを出したが…もしよければ、間宮食堂にてもう二人と食事会でもどうかな?」

駆逐「…あ、あの…!」

提督「ああ、そうだ。響についてだが、共に帰還できなかったのは残念だったが、気に病まないで欲しい。」

そんなのは無理だ。だって私達のせいで、彼女は、もう…

提督「自分を犠牲にしてでも助けた君たちがそんなに落ち込んでいては、響も声をかけにくそうじゃないか?」

・・・はい?

響「やあ、ひさしぶりだね。はらしょー。」

・・・はい?

9名無しの提督さん:2018/07/31(火) 18:17:50 ID:72AcN3fs
リアルな女知らないで一生過ごすおまいらマジでかわいそうだな。
ワイはこれ↓で未経験卒業。本物はやっぱり違うぞ。
ur0.pw/HPjU

10名無しの提督さん:2018/08/09(木) 00:46:57 ID:A/0OkImc
【異能持ちの鎮守府】第7話「再会」

響「おや、どうしたんだい?みんなのアイドルからマイペース、不思議系、シリアスまでどんな役柄も似合う司令官の愛玩生物響だよ」

提督「うん。とりあえずその紹介はやめようか?誤解を招くからね?」

響「そうかい?まあ司令官との仲なら、爛れた関係、とでも言っておこうか」

駆逐「そんなことより…別人、じゃないの…?だって、響は、私達をかばって、目の前で…」

響「ああ、たしかに私は沈んだよ。そして山風はここがどういうところか、忘れたのかい?」

ああ、私達と組んだこの緑髪の娘、山風って言うんだっけ。こないだ聞いたのに忘れてた。
それとここがどんなところかって言うと…

響「まあ特に親しい間柄でもなければ、何でもない時に異能の詳細を話したりしないけどね。まあせっかくだし、改めて言っておこうか」

この後彼女は自分の異能について、私と山風ちゃんに説明してくれた。でも、二人とも半分も聞いていなかっただろう。だって、彼女が生きていた。それだけで救われた思いがするのだから。

〜〜〜
異能解説
『不死鳥』響の異能1。自身が轟沈した際に鎮守府にて新しい響として生まれ変わる能力。自動発動する。
『いつでも響く』響の異能2。新しく生まれた響に自身の練度、経験、記憶、装備その他すべてを引き継ぐ能力。

11名無しの提督さん:2018/08/18(土) 22:40:07 ID:MXsKlEp2
【異能持ちの鎮守府】第8話「一時の打ち上げ会」

初出撃を終えた夜、私は鎮守府内の食事処にいた。提督の言っていた打ち上げ会、というわけだ。
ここには私の他に、ともに出撃した山風ちゃん(同期配属だけどこう呼んでしまう。なぜ?)と、今日は別行動だった2人がいた。

朝霜「よし!じゃあ乾杯…の前に、改めて自己紹介しとこうか。もしかしたらお前、あたいを忘れてるかもしれねーし。な?というわけで夕雲型の朝霜だ。よろしくな!」

浜風「浜風です。改めてよろしくお願いいたします。」

山風「…よろしく」

こうして、食事会が始まった。私と山風ちゃんは敵艦隊との激しい戦闘や響さんの話をした。
朝霜さんは潜水艦隊との戦闘の様子を得意げに話してくれた。なんでも潜水艦を実際に蹴散らしたらしい。私達は何もできなかったことを考えると、とてもすごいと思う。
浜風さんは後方支援として補給隊として動いていたらしい。そこにも敵空母から放たれた艦載機が飛んできて大変だったらしい。
そのあとは、ここの鎮守府でしか話題にならない私達だけが持つ不可思議な力、すなわち異能の話となった。

朝霜「しっかしよ、この力やべえな。正直前の鎮守府じゃあ厄介者扱いされたけど、ここで生きるには必要だな。」

浜風「そうですね。私の隊も秋月さんの対空射撃に加えて嵐の異能が無ければ、敵艦載機群を撃退できなかったと思います。」

山風「うん…あたしたちも、五十鈴さんの異能が無かったら、生きていなかったと思う…」

朝霜「なあ、あたいら今度から一緒に訓練しねえか?今回は無事だったけどよ、次も生き残れるとは限らねえし?強くなるに越したことはねえからよ」

浜風「そうですね。ぜひお願いします」

山風「あなたも、良い…?」

もちろん私にも異論はない。

浜風「では、互いの異能も紹介しましょうか。戦闘能力も異能も磨くために、深く知るのは良いことですし、自分では気づかないこともあるかもしれませんからね。」

〜〜〜
異能解説
『常時奢らず慢心をせず』浜風の異能。先制雷撃と戦闘時以外での被弾によるダメージを減少させる。常時発動型。
『放っておいて』山風の異能。発動後しばらくは攻撃対象にならなくなる。発動中は自身も攻撃できなくなる。
『艦隊のエース』朝霜の異能。使用中自身の与えるダメージが50%増加する。自身の攻撃時に敵艦を撃破した時は味方全体の与えるダメージが1体毎に20%増加する。

12名無しの提督さん:2018/09/02(日) 11:20:05 ID:0zCCZ1EA
【異能持ちの鎮守府】EX1話「青葉の新人取材・朝霜」

青葉「というわけで、青葉です!」

朝霜「どういうわけなんだっての…まあいいけどさ。あたいに何か用?」

青葉「いえいえただの興味本位に基づく取材ですよ!まずはこの鎮守府に配属されて初出撃、いかがでしたか?」

朝霜「いきなりかよ!いやまあ、いいけど…」

朝霜「初出撃を終えて、か…。なんか前いた鎮守府とは何もかもが違うからなあ。正直どうもこうもねえわ。慣れるまではなんも言えねえ」

青葉「ふむふむ。青葉調べでは今回は対潜戦が多かったと聞いていますが?」

朝霜「ああー。まああたいも少しは貢献できたさ。ただ一緒に出撃した海防艦の先輩が潜水艦の接近に気づいてくれたからな。おかげで迎え撃てたんだ。そういう意味じゃ、今のあたいは足手まといでしかねえな…」

青葉「なるほどなるほど…あれ?異能は発揮しなかったんです?ああ、『艦隊のエース』ではなく、もう一方の方ですよ?」

朝霜「!?」

青葉「おや?誰にも…提出書類にも記載していないのに、って顔ですね?」

朝霜「ああ…姉貴達だって知らねえのに…」

青葉「ふふー。青葉の眼と鼻と耳と異能はごまかせませんよ!青葉の異能は「相手と目を合わせることで相手の隠し事を暴く」ものですから!」

朝霜(すげえうさんくせえ…)

朝霜「あ、だったら頼まれてくんねえ?ちょいと知りたいことがあってさ(ひそひそ…)」

青葉「ああ、そのことでしたら既に調べ中ですよ。なんたって…ああ、いえ何でもないですが。」

青葉「それはそうと朝霜さん。朝霜さんのナイショの異能、すっぱ抜いていいですか?」

朝霜「いいわけねえだろ!?片隅でもダメだかんな!あ!あそこに同じ新人の奴いるぞ!あっち行ってこい!」

青葉「浜風ちゃんですか…仕方ないですね、いじってきますか」

朝霜「この人、最低じゃねえ?」

13名無しの提督さん:2018/09/19(水) 22:53:35 ID:Ur8rYreU
【異能持ちの鎮守府】第9話「対潜戦闘準備」

朝霜「よぉよぉ!今日はあたいと出撃だってな!よろしく頼むぜぇ?」

朝、提督に渡された任務の指示書には対潜装備を整えて出撃せよ、とあった。
私の記憶は相変わらずだが、艦種に関しては多分駆逐艦なんだろうと判断されていた。
やや体は大きいけれど秋月型も大きいし、何より試しに14cm砲などを持ってみたところ妖精さんには無言で首を横に振られたのだ。

浜風「今日は同じ隊ですね、よろしくお願いします。それにしても、私達は四人一組での編成が主になるのでしょうか?」

山風「別に…いいけど…。で…その人は、誰?」

山風ちゃんが指さす浜風ちゃんの後ろには赤毛の子がついてきていた。

浜風「ええ、先に着任していた姉妹艦です。では自己紹介を」

嵐「よ、陽炎型駆逐艦の嵐だ。今日は浜風姉共々よろしくな!」

嵐ちゃん、というらしい。颯爽としているというか、なんだかカッコいいなぁ。同性にモテるタイプな気がする。
浜風ちゃんが言うには、なんと先制対潜攻撃も得意なんだそうだ。

嵐「おお、龍田さんお疲れッス!今日はよろしくお願いします!」

龍田「今日の同行はあなた達ね〜?よろしく〜♪」

ところで〜、と龍田さんはしばらく私達を眺めていた。山風ちゃんは龍田さんと目を合わせようともせず、私の後ろに収まっている。
そして龍田さんは笑顔のままで

龍田「あらぁ〜、着任したての子が四人も〜。あの提督さんには困ったものね〜?戦術のド素人さんにはあっついお灸が必要かしら〜?腕一本は授業料としてもらえるかしら〜??」

山風「ええー…」

「って、素人?」

龍田「あらぁ〜?知らなかったの〜?うちの提督さんはね〜?もともと軍の施設で異能の研究をしていてね〜、うちの鎮守府が開設された際に異能の研究・解析のために提督に抜擢されたのよ〜」

龍田「だからうちの提督さん、提督養成学校でちょっと学んで配属されたから、戦術は素人なの〜」



…知りたくなかった新事実だ!

14名無しの提督さん:2018/09/28(金) 01:07:18 ID:xrmUKEDw
【異能持ちの鎮守府】第10話「装備研究」

龍田「うふふ〜。ねえ提督〜?なにか、私に謝ることが無いかしら〜?」

提督「待って龍田!いや、龍田さん!刺さってるから!既にもう刺してるから!!ほら血!血が出てるよ!?」

龍田「男の人が小さなことで泣いてちゃダメよ〜?言い訳も無用よ〜?」

提督「ヒィィ!!??」

〜〜〜

嵐「あっちゃ〜。司令、大丈夫かな…龍田さんメッチャ怒ってたぞ…」

浜風「そうですね…。嵐ちょっといいですか?この後予定が無ければ、装備品のチェックに付き合ってもらえませんか?」

嵐「俺がかい?まあいいけどさ。じゃあ明石さん所に行こうか。山風達も来るだろ?」

〜〜〜

明石「いらっしゃい!明石の酒保へようこそ!」

嵐「やあ、駆逐艦用装備見せてもらいに来たぜ!」

山風「ふーん…こんなお店、あったんだね…」

浜風「この爆雷投射機、なかなかですね…」

嵐「浜姉。こっちのソナーも今日みたいな対潜任務にはいいぜ。セットだとなお良しだよ。」

山風「…高いね。」

嵐「まあ、それでも質の良い装備も大事だぜ。特に戦闘用の異能でないなら生き残るカギは練度と装備!」

朝霜「そりゃあそうだけどよ…もうちっと安ければなあ」

山風(今度提督に買ってもらおう…)

嵐「お、夕張さんじゃんか!あの人装備に詳しいから、いろいろ聞いておくといいぜ。お〜い!」

朝霜「ホントは長い話は苦手なんだけどな。ま、付き合ってやんよ」

15名無しの提督さん:2018/10/02(火) 17:44:20 ID:Se94wNS.
【異能持ちの鎮守府】第11話「装備談議」

夕張「―――と、こんなところかな。ここに並んでる商品、見た目は同じものでも若干の性能差があるから、買う時は気を付けてね?」

明石「入荷時に不良品や粗悪品には気を付けてるんだけど、そこまではね〜。ばりちゃんの力が私にもあればなーって思うよ」

山風「…?装備品に関わること…?」

明石「そうそう!確か『手にした装備品のことなら産地から製造者・性能・値段・前の装備者までわかる』だっけ?」

夕張「なにそれ!?そんな超能力あったら私が欲しいわ!」

山風「…別にいいよ…どうでも」

浜風「しかし…なぜ装備を我々が自腹を切って購入したり強化するのでしょうか?本来提督の仕事では?」

嵐「ああ…いや、うちの提督って、あれじゃん?」

夕張「資材管理とかも一部を私達に権限移譲してるからねー。ひょっとしたら提督任せだと、ここそのものがなくなってたりするのかも?」

…どうしたことだろうか。着任してから数日、提督への信頼が築かれないどころか、失望の域に達しているかもしれない。
艦隊の指揮は素人同然、とか資材管理もできない、とか研究以外できない、とか…艦娘が反乱とかしないんだろうか?

明石「まあまあ。で、何か買ってくれる?装備品以外にもスナックとか雑誌とかもあるよ?」

山風「…じゃあ、お菓子。海風と江風の分も。」

浜風「さすがに初任給前では購入はできないのでカタログをいただけますか?」

嵐「俺は主砲の予備でも買っておこうかなあ。今の大分ガタが来てるし。下取りはいくらぐらい?」

「私は…うーん…」

明石「あ、そういえば新入りちゃんちょっと身体計測させてくれる?艤装点検や制服の予備の入荷にデータ欲しいから」

「そうですね…今は比較的サイズの近い秋月型の制服借りてる状態ですしね」

明石「うんうん。じゃあ、こっち来てね〜」

浜風「では、今日は解散しましょうか」

山風「じゃあね…」

〜〜〜
異能解説
『備品審美眼』夕張の異能。触れた装備品のスペックを正確に読み取る能力。故障箇所なども把握できる。明石の説明は盛大に盛ったもの。
『肉断砕骨』龍田の異能。戦闘で受けたダメージを1.5倍にして返す。潜水艦には更に倍化する(3倍になる)。
『明石のメンテ』明石の異能。装備の故障や艤装修理が可能。時折魔改造するのは愛嬌。
『巻き起こせ嵐!』嵐の異能。命名は舞風。嵐の感情が怒りの方向に傾くと周囲の海上に嵐を呼ぶ。…らしいが起きないこともあり、偶然との見方もある。

16名無しの提督さん:2018/10/14(日) 00:02:31 ID:P3waV86M
【異能持ちの鎮守府】第12話「憩いの私室」

島風「おっそい!あなた帰ってくるのおっそい!」

寮の自室に入るとルームメイトが怒っていた。それはもう、たいした怒りっぷりだった。そもそもそんなに遅くはないのだが…まあ、この子は仕方ない。スピード狂だし。
この子とは、わりと仲の良い方、だとは思う。同期配属の山風ちゃんに続いて浜風ちゃん、朝霜ちゃん(本人には「呼び捨てでいいかんな」と言われたが)と同じくらいには仲がいいと思う。
入寮初日に演習を持ちかけられたのには驚かされた。しかも異能ありで。こちらは自分の名前しか覚えていない有様だったのに、だ。そんな中での、この子の異能は…

島風「ねえあなた!今度は私と出撃しよう!二人で、私の異能で無双しちゃおう!」

いや、さすがにあなたの異能の中では私も戦闘なんかできないけど…まあ、この子がすべて倒してくれるなら、お供に出てもいいかなあ。

島風「連装砲ちゃんもそう言ってるもん!」

そんなわけはないだろうがそんなわけはないだろうが…

島風「じゃあ約束ね!明日行こう!」

…お店閉まる前に、明石さんのところ行っておこう。一応ダメコン安い方を買っておくんだ。

〜〜〜〜〜〜

加賀「…提督?報告書の途中でしたか?」

提督「ああ、あの新人君についての報告だよ。『未だに名前や異能は不明。ただし異能に関して――――』と。まあ、あくまで様子を観察したうえでの推察だがね」

17名無しの提督さん:2018/10/28(日) 18:42:20 ID:kl36A/lc
【異能持ちの鎮守府】第13話「天津風の推察」

「疲れました…」

疲労困憊の私を出迎えてくれたのは、腰よりも長く伸びる綺麗な銀の髪と他の子と異なる趣の黒い服を着た少女だった。

天津風「島風のお相手お疲れさま。貴女も大変ね?厄介なのに気に入られちゃうなんて、ね?」

皮肉な言葉で隠しつつこちらを労る彼女は、元島風の遊び相手なのだとか。

天津風「別に『島風の相棒は私だったのに!』なんてつもりは無いからね?もちろん嫌いじゃないけど、島風の相手していると自由な時間が無くなっちゃうんだから。…ちゃんと補給しときなさいよ?」

そういって彼女は手にしたスポーツドリンクを寄越してきた。ありがたく頂戴する。

天津風「それ飲んだら、ちょっと話いいかしら?」

〜〜〜〜〜〜

天津風「早速本題に入っていいかしら?貴女の異能についてなんだけど」

…正直返答に困る。私の記憶は未だに戻らず、異能も何一つ覚えていない。

天津風「貴女と島風の演習を見たの。そのうえでの推察よ。貴女の異能…他人の異能に干渉する、或いは自身への影響を抑える。といった類のものじゃないかしら?記憶がないんだし、答えなくていいわ。ただ聞いて。」

天津風「島風の異能は周囲に影響を及ぼす類のもの。発動中は範囲内に居れば為す術はないモノよ。確かに貴女は島風に完敗していた。でも、島風の動きに反応はできていた。それはつまり、貴女の異能が島風のそれに影響を与えた、もしくは貴女の身を島風の力から保護した」

天津風「少なくともあの時の演習を見ていた私は、そう結論したわ。あの人がどう判断したかは知らないけど、おそらくはそう変わらないと思っていいわ」

〜〜〜〜〜〜
異能解説
『島風ノ世界』島風の異能。自身の周囲の知覚神経を島風と同等のレベルに引き上げる異能。時間の流れや周囲の動き等が島風が感じるのと同じようになる。ただし、肉体の動きには影響を及ぼさないため島風の高速攻撃が見えるだけで対応は困難なのは変わらない。

18名無しの提督さん:2018/11/13(火) 23:24:15 ID:n69Th0LU
【異能持ちの鎮守府】第14話「雪風」

天津風「それでね?貴女の異能が、そういった類のものであると仮定したうえでお願いがあるの。私の姉妹艦で雪風ってのがいるんだけど…」

天津風「貴女、前の鎮守府とかで雪風と会ったことある?うちの雪風って、ちょっと特殊なんだけど」

それに関しては、もちろん覚えていない。少なくともここに配属される直前は海軍本部にて保護されていたが、その間には「雪風」との面識はない。

天津風「ええ。ちょっと人間関係をこじらせているというか、異能の関係で周囲に人を寄せ付けない性格だから。だから、異能の影響を抑えることができる、かもしれない貴女に雪風と組んで欲しいのよ。まあ駆逐2人だし、小隊扱いになるでしょうけど」

天津風「もちろん今貴女が同じ新人組で編成されているのは知っているけれど、将来的にはそれぞれ別部隊になるでしょうから、その時に備えて検討して頂戴」

〜〜〜〜〜〜

天津風「入るわよ雪風」

天津風さんに連れられて、その雪風さんの部屋にやってきた。一人部屋なのか…。
そして部屋の中には暗い顔が不似合いな小さな子が鎮座していた。

雪風「…なんですか。雪風は誰とも組みませんよ。誰も沈めたくないし、何か言われるのは御免です。命が惜しければ近づかないでください」

暗い!そして不穏!?え!?初対面で憎しみの籠った視線を向けられているのだけれど!?この子と組むの!?

天津風「この前配属された新人の子よ。名前は…そういえばわからないんだっけ。じゃあ駆逐艦だし「くちかぜ」でいいわ」

断じてよくない!なんか前にもこんな流れで名前つけられそうになったような!?

天津風「この子は異能軽減系統のチカラと思われる節があるの。貴女の異能でも沈まないかもしれないわよ?」

…改めて考えると、根拠は全くない。

雪風「…前もそんな触れ込みの子と組まされて、あっという間に沈んだじゃないですか。全く信用できません」

前もあったの!?ダメじゃない!?

天津風「あの子は『練度に大きな差があったため』って提督が推察したじゃない!今回の子は島風に対しても反応だけはできてたんだから、練度に関係なく軽減できそうじゃない!」

根拠は全くのカンでしかなかった!!確か天津風さんって陽炎型だっけ?この姉妹、まともなのは浜風ちゃんしかいないの!?

天津風「そんなに心配ならこの子の力を演習で確認しましょう!」

…このまま演習させられる流れ?なんだか最近流されてばかりな気がする。…船だけに。

19名無しの提督さん:2018/11/20(火) 22:53:48 ID:XqIYnUOQ
【異能持ちの鎮守府】EX2話「月明かりの鎮守府」

三日月「あ、司令官お疲れ様です!」

提督「やあ三日月。月見かい?」

三日月「はい。ここから見える景色は鎮守府内でも格別で、私も気に入っているんですよ」

三日月「先日やってきた方たちとお月見会などをして親睦を深めたい、と思っているんですが…」

提督「ああ、それについては構わないよ。…三日月。最近の調子はどうだい?」

三日月「…はい。ようやく慣れてきました。三日月の異能力…解明してくださったお礼、どうしたらいいでしょう?」

提督「………」

提督「気にしないでくれて構わないよ。異能の解析は僕の仕事だからね。特にここに送られてくる子は、誰もが異能に振り回されたり、異常行動と見做されて元の生活を送れなくなった者ばかりだ。せめてここでは、思うままに過ごして欲しい」

三日月「…あの。かつて私がいた鎮守府は、どうなったのでしょうか…?」

提督「…今は順調だそうだ。こう言ってはなんだが、君がもたらしてしまった被害や戦力も持ち直したらしい」

三日月「………」

提督「事故に関しては、君が気に病むことではないよ。それと異能の解析も済んで制御も出来るようになった今、君が望むなら元の鎮守府に復帰してもかまわないよ。あちらの提督さんも、大本営から説明されれば、理解もしてくれるだろう」

三日月「…いえ。やはり三日月は、もう向こうに帰ることはできません。例え今の司令官・かつての司令官や、私が沈めてしまったみんな…。だれもが許してくれても、三日月自身が自分を許せません。ですから、今後もここで、異能に悩んで流されてきた方たちの力になれれば、と思います」

提督「…。もし気が変わったらいつでも言ってくれ。それまでは、今後とも宜しく頼むよ」

三日月「は、はいっ!」

提督(…半年前、とある鎮守府で起こった事故。駆逐艦が、戦艦2名、重巡1名を誤って撃沈させてしまった事件。真相は異能がかかわっていた。『月明かりをあびた時間に比例して、自身の戦闘能力を強化する』。異能としてはよくある自身の強化系。だがその倍率が上限が無かった。一時は不正改造の疑いで提督が更迭されかかる事態となった…)

提督(結果的に鎮守府は一時閉鎖され、三日月はうちで預かることになった。検査の結果異能力者と判明し、解析に一月。精神的に立ち直るのには三カ月要した。もともと責任感の強い子だったようだからかな)

提督「帰らない場合、次の出撃は来週を予定している。それまでに《蓄えて》おくように」

三日月「はい、お任せください!」

提督(…あの子の解析も、結果がすぐに出ればいいんだがね…。未だに予測の域を出ず、と…)

〜〜〜〜〜〜
異能解説
『月は見ている地上の月を』三日月の異能。前回使用してから浴びた月明かりの時間に比例して自身の能力を上限なく強化する異能。

20名無しの提督さん:2018/11/24(土) 11:03:51 ID:iC5ajhO2
【異能持ちの鎮守府】第15話「逃走封じ」

おかしい…。天津風さんとの演習、彼女が本気で戦っている様には見えない。雪風さんに異能を見せるとか何とかと言っていたけれど、今のところ彼女が使っている形跡はない。
ならばこのまま時間経過まで粘って離脱するか、夜戦で勝負をつけさせてもらおう。
そして今日はもう寝るんだ。

天津風「…頃合いかしらね?ねえ、気づいてないかしら?私天津風の異能、もう使っているわよ」

………!その言葉に周囲をよく見ると、私の背後には音もなく風が吹き荒び、波も荒れて後方への回避や逃亡はできそうもなかった。

天津風「私の異能は風よ。貴女に教養はあるかしら?『天つ風 雲の通い路 ふきとぢよ』ってね。歌の通りよ?もう貴女の退路は閉ざされてしまったわ」

天津風(さて、貴女の能力が私の見立て通りなら、私の能力を弱めて脱出も可能なはず…さあ、見せて頂戴?)

……仕方ない。こうなったら天津風さんに突撃を仕掛けよう。引けないならば、押すしかない。行くよ、天津風さん!

〜〜〜〜〜〜

天津風「なんで貴女異能使わないのよ!?」

大破して制服もボロボロに、顔を煤だらけにした天津風さんが喚いていた。
異能に関してはしょうがないじゃないか。だいたいどうやって使うんだろうか、これ?
提督にも言ったが、自分の中に何かがあるのは分かるが、どんな能力なのか、何もわかっていないのに。

雪風「…結局わからなかったじゃないですか」

天津風「ちょ、待って雪風!」

…休ませてもらおうか。

〜〜〜〜〜〜
異能解説
『天つ風』天津風の異能。風を操り、航路を封じる能力。潜水艦には無効。その場から逃がさないことで夜戦移行を遅らせることもできる。
『沈むべきは雪風に非ず』雪風の異能。自身が致命傷を負った際、その傷を周囲の誰かに転移させて自身の轟沈を防ぐ能力。完全自動発動且つ対象の指定不可。

21名無しの提督さん:2018/12/02(日) 22:10:09 ID:hm5qkGpU
【異能持ちの鎮守府】第16話「偵察任務出発」

「偵察任務、ですか…?」

ある日提督に呼び出された私は新たな任務を与えられた。

提督「ウチの鎮守府に与えられる任務の一つに『特定の海域調査』があるんだよ。深海棲艦の出現頻度や周辺の島の具合とかの調査だな。俗にいう『イベント海域として使えるか』を調べるのが主な任務だよ」

提督「調査隊には話を付けているから、早速頼むよ。ああ、それと調査といえど深海棲艦に遭遇することはあるから装備はちゃんと持っていくように。調査隊は基本的に戦闘向きでない子が多いから気を付けてほしい」

「はあ…」

〜〜〜〜〜〜

「というわけで…よろしくお願いします」

秋津洲「よろしくかも!」

秋雲「よろしくねー」

卯月「新入りぴょん!」

望月「おー、よろしくー」

名取「よ、よろしくね」

どうやら偵察隊はこのメンバーらしい。軽巡1、駆逐4、水母1か…。というか、軽巡や陽炎型駆逐艦は強い方ではないのだろうか?戦闘向きじゃないの?

名取「では、出発いたしますね?今日の調査海域は南方海域です。気を付けていきましょう…」

秋雲「ソロモン海付近かー。もし鬼とか出たら卯月ちゃん頑張ってね」

卯月「まず遭遇しないことを祈るぴょん…」

望月「ほんと頼むよ…?あたしはまだ沈んでられないんだからさー」

みんな練度も高そうだし…「戦闘向きでない」、のは異能の事かな?航行中に聞いてみよう。自分の能力へのヒントがどこにあるかはわからないんだから。

22名無しの提督さん:2018/12/08(土) 19:17:37 ID:kWjIJBmA
【異能持ちの鎮守府】第17話「偵察任務休憩中」

さっそく聞いてみる。

秋雲「ん?異能が何か?まあ…仲間内だし言ってもいっかぁ。秋雲さんのはアレだよ。マツタケが美味しくなる能力?」

卯月「うーちゃんは桜を咲かせて花見をする能力ぴょん!(嘘だけど)」

望月「…じゃあ、あたしのは「いつでも眠れる」能力で(だったらいいのにな)」

秋津洲(誰一人本当の事言ってないかも…)

名取(別に隠すものでもないような…)

「…三人とも嘘ですよね?」

秋雲「あ、わかっちゃう?」

卯月「なかなかやるぴょん」

望月「めんどくせ…」

秋津洲「新入りちゃん鋭いかも?」

この反応はあれか?私は馬鹿にされているのだろうか?

名取「え、えっとですね?皆さんそういったからかうつもりは、ないですよ?…たぶん」

名取「たぶん、個人情報だから、言いたくないのかな、って…」

秋津洲「わかるかも〜」

名取「あ、でも…確かあなたは自分のことを何も覚えていないって…そのこともあって聞きたい、の…?」

「え、あ、まあ…?」

名取「なら、参考になるかはわからないけど…えっと、私は「ナトリウムを生成する能力だぴょん!」違いますからね!?」

…大丈夫なのだろうか?

23名無しの提督さん:2018/12/16(日) 01:49:21 ID:lLtp3wJ.
【異能持ちの鎮守府】第18話「偵察任務の合間・遭遇!南方の艦隊」

名取「こほん…。えっとですね?私の異能は、認識操作で…」ぽーん!

「…?何の音です?」

秋津洲「通信かも…。はい、こちら偵察部隊かも…、―――!?別働艦隊から入電かも!敵艦隊と遭遇、被害甚大!救援要請かも!」

卯月「偵察隊にまで助けを…?もしかしなくても大ピンチってヤツぴょん!?」

望月「ええー?ったく、めんどくせーけど、ほっとけないよなぁ…」

秋雲「どれどれ…ってマジで!?ちょっ…急ぐよみんな!」

「え、ちょっと!?あの、名取さん?秋雲ちゃんはなんで急に?」

名取「これは…!救援要請をした部隊に、秋雲ちゃんの姉妹艦がいるみたい…!」

卯月「…そりゃあほっとけないっぴょん!」

望月「しゃあない。頑張りますかねぇ」

秋津洲「みんな…頑張るかも!」

「え?」

秋津洲「ああ、私戦闘は苦手かもだから。」

「えええー…」

秋雲「頼むよ皆…生きていて!」

〜〜〜〜〜〜
異能解説
『名称無し』名取の異能。本人が恥ずかしがって名前を付けていないが、認識操作能力。かけた相手に自分を認識させない、別の艦種、人物と誤認させることが可能。偵察時には深海棲艦のふりをすることもある。

24名無しの提督さん:2019/02/07(木) 20:37:34 ID:OaNLuKlk
【異能持ちの鎮守府】第19話「戦闘海域脱出」

舞風「ホントありがとね〜?頼りになる妹が居て嬉しいなあ…っイタタ…」

野分「舞風…大丈夫です。かならず生きて帰りますよ」

秋津洲「まあ、後は秋津洲たちに任せて、安心していいかも〜!」

私達は救援要請を出していた部隊と無事に合流を果たせた。
この部隊は旗艦が戦艦比叡さん、随伴艦が足柄さんに夕立ちゃんと春雨ちゃん。そしてここで大破していた舞風ちゃん、護衛中だった野分ちゃんの6人のようだ。
他の4人は避難中の2人が巻き添えにならないように陽動していて、今は各自散開して撤退中らしい。私達も早く撤退しなければ…

舞風「大丈夫…?また敵に襲われるのは嫌だよ…」

秋雲「この辺厄介なの多いからねえ」

卯月「さすがのうーちゃんもアレの相手は御免被るぴょん」

前方に、深海棲艦が航行中だった。確か、資料にあった…。

秋津洲「あ、戦艦レ級と空母ヲ級かも。しかも赤いのと青い目の」

というか。こちらを見てないか?戦闘は避けられないのでは―――!?

卯月「ちょっと静かにしてほしいぴょん。音でバレることは無いと思うけど、危険は避けたいぴょん…」

秋津洲「新人ちゃん新人ちゃん。一応今卯月ちゃんの能力でごまかしてるんだけど、あんまり騒ぐとバレちゃうから気を付けてほしいかも!」

秋雲「もしバレたら秋雲さんが足止めするから、その間に逃げようねー」

望月「バレないのが一番だけどなー」

名取「頑張りましょうね…」

「……(バレませんように…)」

〜〜〜〜〜〜
「ぽいーーーー!!」

秋雲「あ、あれ夕立じゃない?」

「…追われてますね」

卯月「なんかやたらごっついのに追われてるぴょん」

名取「南方棲戦姫ですね、あれ…。後ろのは…」

舞風「戦艦棲姫じゃない?」

野分「とても駆逐艦1人が敵う相手ではありませんね」

「…」

卯月「秋雲!すぐに囮を出すぴょん!」

秋雲「了解!!」

〜〜〜〜〜〜
正直、今日も生きた心地はしなかった。本当によく無事に帰ってこれたと思う。この鎮守府に来てから危険な任務しかしていない気が…

25名無しの提督さん:2019/03/10(日) 00:49:51 ID:ROVa9byw
【異能持ちの鎮守府】第20話「帰還報告」

名取「報告は、以上になります…。では、私達は、これで…」

提督「ああ、ご苦労だったな。それとありがとう。出撃艦隊を救援してくれたことは僥倖だったよ。君たちが居なければ、全滅もあり得た」

卯月「ぷっぷくぷー!それならうーちゃん達に休暇を寄越すぴょん!」

望月「いいねえ。どーんと頼むよ?」

秋雲「ついでにボーナスも欲しいねえ?」

大和「どうなさいます、提督?」

提督「…。まあ、いいか。向こう岸の町に出て好きに過ごすといい。常識の範囲内でなら経費扱いにしてやろう」

卯月「マジでぴょん!?やったぁ!司令官今日は一段と素敵ぴょん!」

〜〜〜〜〜〜
大和「よろしかったのですか、提督?」

提督「まあ問題はないな。それよりも、だ。川内と青葉に、あの子を追跡調査をするように伝えてくれ。平時に発揮されるタイプかもしれないからね」

大和「かしこまりました。提督はこの後はどうなさるんですか?」

提督「うん。提出された報告書が、とてもこのまま大本営に送れるものではないからね。清書しなければ…神通あたりにやってもらうかなあ。自分で行う研究や実験の報告書をまとめるのは楽しみすらあるんだがねえ。」

〜〜〜〜〜〜
卯月「ぷっぷくぷ〜!まさか許可が下りるとは思わなかったぴょん!」

望月「しかも遊行費まで出してくれるなんてねえ。これなら任務も歓迎だよねえ」

「いいのかなあ…」

秋雲「いいんだって。ナナちゃんももちろん来るでしょう?」

「…ナナちゃん?」

秋雲「うん。名無しちゃんだから、ナナちゃん」

…思い出せないだけで、名前が無いわけじゃないんだけど…

26名無しの提督さん:2019/03/18(月) 00:54:23 ID:fmViyPsY
【異能持ちの鎮守府】EX3話「特Ⅲ型」

暁「司令官を尊敬しているか、ですって?」

ここ最近私の中での提督への信頼度が急降下しているので、鎮守府内を歩き回って出会った人たちに聞いてみることにしたのだった。
この姉妹なら、少なくとも悪いことは言わないだろう。この雷ちゃんは提督びいきらしいし。

暁「そうね…正直苦手だわ。暁の事を子ども扱いどころか実験動物扱いだし!」

響「私は嫌いじゃないけどね。まあ、もっと私を見てほしいとは思うけどね。せっかく珍しい能力者なんだし。なんなら危険な実験で命を落としても甦れるからね」

雷「私は…うん。私も正直好きじゃないなぁ。暁に同じ理由で」

電「電も、あの司令官さんはちょっと…」

…あれ?なんか予想外な答えが。そういえば以前龍田さんも「提督はもともと軍人ではない」って言ってたなあ。

暁「艦隊指揮の腕?無いわね」

響「誰をどういう基準で選出して出撃させてるかは疑問だね。異能の相性?とも考えてたんだけど…」

雷「多分出撃も司令官にとっては異能の実験舞台なんじゃないか、って思う時はあるわね」

電「正直軍学校で勉強中の将来の司令官さん候補の方たちの方がマシじゃないかと…」

ふんふん…人格面としても上官としても大体の評価は厳しい、と。

雷「まあ、私達に居場所を与えてくれたっていう点だけは評価するけどね」

暁「単に研究目的かもしれないけどね」

電「でも泥水を啜って生きながらえてた頃に戻りたいとは思わないのです」

…ん?なんだか不穏なワードが聞こえたような?

27名無しの提督さん:2019/03/19(火) 23:07:17 ID:pcHHkInw
【異能持ちの鎮守府】第21話「偵察部隊の休日」

卯月「休日ゲットぴょん!というわけで町に遊びに来ました!ぷっぷくぷ〜!」

望月「ナナちゃんのおかげかね〜。君来てから司令官機嫌いいんだぜ〜?(まあ、新しい研究対象、ってだけかもだけど)」

秋雲「お、その構図いいねえ!ナナちゃんもっと裾めくって!チラリズムってやつだよ!」

…私は何故ここにいるんだろうか?というか、偵察部隊、というか…

夕立「ぽーい!」

春雨「いいんでしょうか、ここにいて…?輸送任務は…」

舞風「ナナちゃんこないだはありがとね〜!舞風が今生きてるのもナナちゃんのおかげだよ〜!今日は一緒に踊っちゃう?踊ろうよ!」

野分「舞風…そもそも彼女は「ナナちゃん」が本名ではありませんよ」

舞風「そうなの!?だって秋雲ちゃんがそう呼んでたから」

…先日の任務で合流したみんながいた。

卯月「ちなみに名取さんや秋津洲ちゃんは普通に任務だぴょん!今日はうーちゃん達駆逐艦祭りぴょん!」

夕立「素敵な休日にしましょう♪」

望月「折角のオフだし、どこかの公園でのんびりしようぜー」

舞風「踊れるところがいい!」

野分「静かなところがいいかな」

…流れは分かった。私に休息はないんだ。

28名無しの提督さん:2019/03/21(木) 01:56:35 ID:GuZPvQjg
【異能持ちの鎮守府】第22話「のわっちの解説」

野分「皆さんの異能、ですか…?」

自分の本名や異能について知るきっかけになれば、と一番誠実そうな子に聞いてみた。

野分「本来はあまり吹聴するべきものではありませんが。まあ先日のお礼の意味を兼ねて、いいでしょう」

野分「まず私の異能ですが、『荒天』。聞いて字の如く天候操作の類です」

野分「舞風は『風に舞う乙女』風を纏って回避可能な攻撃をすべて回避します。ただし効果が切れると回避が全く効かなくなる副作用があります。先日は効果を失ったところを被弾してしまったのです」

野分「秋雲は先日ご覧になった通り絵に描いたものを具現化する異能です。細かく書き込むほど、また精密な絵ほど本物に近い出来になります」

野分「姉妹以外は正確なものではありませんが夕立さんは『ナイトメア・オブ・ソロモン』火力が強化されます。夜戦時はさらに効果が高くなるそうです」

野分「春雨さんについてはすいませんが私もあまり知りません。又聞きになりますが、自己強化と味方回復と聞いています。味方の回復は珍しいそうですよ」

野分「卯月さんの『嘘つきうーちゃんと壊れた現実』は周囲の認識を阻害する系統で、なかでも非常に強い部類だと司令が言っていましたよ」

野分「望月さんは珍しい複数持ちで『完全ニート宣言』は自身に都合の良いルールを強制する、『無欠の月』は耐久が万全の時に全ての能力が強化される自己強化系だそうですよ」

なるほど。つまり先日南方海域で敵に囲まれたときは卯月ちゃん秋雲ちゃんに名取さんの能力をそれぞれ組み合わせて退避に成功した、と…。
やっぱり自分の能力は早めに分かったほうが、生存率が良くなりそうだ。

29名無しの提督さん:2019/03/24(日) 23:16:03 ID:02CzGIyg
【異能持ちの鎮守府】第23話「提案」

天津風「ねえ、ちょっといいかしら?」

提督「ここに来るのは珍しいじゃないか。どうした?正直悩みに応えるのは難しいぞ」

天津風「相変わらずね、貴方は。編成の事で要望があるのだけれど。具体的には、あの子。ナナさんと同じ隊にして。彼女の異能を知りたいの」

提督「異能…というと雪風絡みか?」

天津風「ええ。あの子の能力は『他人の異能を受けない・軽減する』系統だと思っているの。それなら…」

提督「…俺もその辺と推測していた。そして初出撃から様々な能力者と組ませて試してみたんだがな。どうも思ったほどの観測結果が得られていないんだ。前提が誤っていたのかもしれないな」

天津風「!…じゃあ」

提督「まあ、君の要望は聞き入れよう。存分に試してみてくれ」

天津風「ええ、ありがとう…。ところで先日は名取さん達偵察艦隊で仕事させたのよね?秋雲から聞いたのだけど。もし仮説が正しかったら、擬態に失敗してあの子が、或いは艦隊全滅の危険もあったんじゃない?卯月や望月の異能は貴重なものなんじゃないの?」

提督「…使い捨てにするつもりはない。一部の鎮守府・提督はともかく俺は君達を使い捨ての駒だと思ったことはない」

天津風「…駒でなく貴重な異能力者のサンプルだと思っている、と思っている顔ね」

提督「異能軽減能力ではない、と感じていたのでね。故に偵察隊に入れた。(念のため全員に応急修理要員を仕込んでいたが)軽減系でなければ艦隊に悪影響もないからね」

天津風(…じゃあ島風との演習はどう説明つけるのかしら…?まあこれからいろいろ試してみましょう)

提督(いろいろ試すって顔だな…こいつ、俺と似てるところあるよな。俺も研究時はこんな顔しているのかもな)

30名無しの提督さん:2019/03/28(木) 18:59:24 ID:.qUpqcro
【異能持ちの鎮守府】第24話「邂逅!海外艦」

提督「―――というわけで。今日から当鎮守府に合流することになった艦娘だ」

タシュケント「ソビエト所属だったタシュケントだよ、深海棲艦と戦う同志諸君これからよろしくね!」

アークロイヤル「英国所属の空母、アークロイヤルだ。この艦隊にビスマルクはいるのか?」

大和「ようこそ当鎮守府へ。さっそくですがビスマルクさんはいませんよ。そもそも海外出身の方で異能力者という報告はあまりないんですよ」

そういえばこの鎮守府に配属されてから海外艦と空母の人たちをほとんど見かけないな、とは思っていた。そういえば、ここは異能者ばかり集められた隔離施設でもあるんだっけ…
うちで空母や海外艦というと…

卯月「空母なら鳳翔さんと祥鳳さん、瑞鳳さんに大鳳さんの4人。海外艦はアイオワとゴトランドだけぴょん。正規空母かつ海外艦なんてロイぴょんも激レアぴょん!」

「心読まないでくれる?」

卯月「ナナちゃん冷たいぴょん。ぷー」

水無月「ごめんねなっぴー。うちのうーちゃんが迷惑かけてない?」

「…誰でしたっけ?」

水無月「ええ!?ちょ、うーちゃん水無月のことなっぴーに教えてないの!?ひどいようーちゃん…」

「あ、水無月っていうのはわかりました。卯月ちゃんと多分姉妹なんだろうな、ともわかりました。多分名前から察するに睦月ちゃんの妹で六番目なんだろうとわかりますけど」

水無月「あ、ありがとう。…やっぱこういう時水無月って名前は便利だね。わかりやすい」

卯月「ナナちゃんも早く名前思い出せるといいぴょんね」

提督「そうそう。ここでは大事なことだが、異能についてタシュケントは日本語訳すると『共産成果』。タシュケントが深海棲艦に与えたダメージを敵全体に、自身の被ダメージを味方全体に分散共有する能力だそうだ」

卯月「微妙というか、味方被害が無駄に増える能力ぴょん?」

提督「アークロイヤルは『執拗なる追跡者』発動中は攻撃が必中するというものらしい。ぜひ舞風の異能と競わせてみたいところだ」

水無月「発動中の絶対回避と発動中の必中か…どっちが勝つかな?」

提督「それと。各艦は英語及びロシア語を学んでおくように」

卯月「そういえば、しれいかん語学さっぱりだったぴょんね」

「…あの人って何が出来るの?」

水無月「異能研究以外はなんも」

「…無能?」

卯月「それ以上は…言わぬが花ぴょん…事実だからこそ」

31名無しの提督さん:2019/04/05(金) 21:46:39 ID:v/g.nU66
【異能持ちの鎮守府】第25話「新たな任務」

提督「…とりあえず報告してもらおうか?」

卯月「うーちゃん達で作戦行動中に敵補給艦の群れを見つけたぴょん」

秋雲「ろ号任務がはかどるわーっつって突撃したんだよね」

望月「ノーマルなワ級って攻撃してこないじゃん?ぼろ儲けだーって思ったのよ」

秋津洲「突如出現した未確認タイプの深海棲艦にボコボコにされたかも…」

名取「あの敵艦を『補給棲姫』と仮名を付けて報告です…」

提督「ふぅん…」

〜〜〜〜〜〜

提督「―――というわけだ。新型補給艦を沈めてきてくれ」

「…このメンバーが、ですか?」

執務室に呼び出されたのは私の他には…

長門「討伐任務か…胸が熱いな!」

鳳翔「頑張りましょうね、皆さん」

響「はらしょー」

タシュケント「よろしくね同志諸君!」

天津風「ふふ…よろしくね、ナナさん?」

…駆逐艦が多いんですけど…え?敵艦を沈めに行くんじゃないの?
天津風ちゃんは前に絡まれてからちょっと苦手気味なんだけどなぁ…
そしてタシュケントさんってこないだ配属されたばかりでは?

提督「何やら言いたげな顔だが、相応に考えての編成だぞ」

〜〜〜〜〜〜

鳳翔「それでは艦隊旗艦を務めさせていただきます。皆さん、気を引き締めてまいりましょう」

タシュケント「えっと、同志よろしくね。ヴェールヌイからみんなのことは少しだけ聞いてきたのだけど…」

響「まあ、君は今回が初出撃だし、轟沈しない様にだけ気を付けてくれるといいよ。ナナも危険を感じたら長門さんを盾にするといいよ」

「提督も言ってたけれど…戦艦を盾にする、って…どうなの?」

響「長門さんの能力があれば大丈夫だろうさ。自己強化系は頼りになるよ」

鳳翔「そうですね。念のため確認しておきましょうか」

鳳翔「長門さんの異能は『護国の勇者』守るべき対象が居る時に能力が強化されます。提督がいざという時の盾にしろ、と仰った理由ですね」

鳳翔「タシュケントさんは先日紹介されたように「敵や味方へのダメージの共有」。使い方や状況次第で有利にも不利にもなる能力ですね」

鳳翔「響さんは「自身が轟沈した際に復活する」能力。全自動ダメコンですね」

響「だから、いざという時は私も盾にしていいよ」

鳳翔「そういった事態にはならないようにしたいですね。天津風さんは「その場での戦闘の継続」。敵艦隊を逃がさない能力ですね」

天津風「だから確実に討伐しなければいけない今回みたいな任務には必要とされるのよ」

鳳翔「私は『熟達者の技巧』。艦載機の熟練度が上がりやすい。艦載機が撃墜されにくい。戦闘機装備時に制空権を失わない、などがあります」

響「どんなに敵艦載機が多くても制空拮抗に抑えてくれるんだよ。空母の少ないうちの鎮守府には助かるね。すぱしーば」

鳳翔「ナナさんに関しては未だに詳細不明ということです。もし作戦中に判明したことがあればすぐに共有してくださいね?」

「本当にご迷惑をおかけしてすいません」

早く判明しないだろうか…

32名無しの提督さん:2019/04/17(水) 21:44:35 ID:noD7hG3Y
【異能持ちの鎮守府】第26話「嘘じゃないぴょん!」

鳳翔「―――報告は以上です」

卯月「…」

提督「一週間該当ポイント及び周辺を捜索したが成果は上がらず、新型深海姫の姿は確認できず、か…」

卯月「…」

提督「まあ、こういうことだってあるだろう。新型を見てみたかったのはあるが、居ないものは仕方ないな」

卯月「…」

提督「『補給棲姫討伐艦隊』は一時解散、各自存分に休息をとってくれ」

卯月「…嘘じゃないぴょん」

ナナ「卯月ちゃん?」

卯月「うーちゃん嘘ついてないぴょん!確かに居たんだぴょん!」ダッ!

鳳翔「提督…」

提督「…別に卯月が嘘をついた、とは思っていないさ。或いは卯月や秋雲の異能が生みだした架空の存在、とも考慮したが今回はそれもないだろう。あの子たちも能力の制御はできているからね」

鳳翔「私もそう思います。ナナさん、卯月さんを追いましょうか」

ナナ「それは構いませんが…どこに行ったのでしょう?」

鳳翔「心当たりはいくつかあります」

〜〜〜〜〜〜

ナナ「ここは…鎮守府の裏山、ですか?」

鳳翔「ええ。私達の鎮守府は旧海軍の施設跡地に建設されています。当時の遺構はいくつかありますが、この裏山には高射砲の残骸があるんです」

鳳翔「卯月さんは落ち込んだ時などにここを訪れていますから、おそらく今回もここに居ると思いますよ」

ナナ「こんなところが…と、卯月ちゃん居ました!…他にも誰かいますね…」

鳳翔「あれは…弥生さんですね」

ナナ「…卯月ちゃんのお姉さん、ですよね?」

鳳翔(これは、先を越されちゃいましたかね…)

33名無しの提督さん:2019/04/27(土) 01:20:47 ID:UjgAa3Rw
【異能持ちの鎮守府】第27話「弥生」

卯月「話聞いてくれてありがとうぴょん」

弥生「卯月…ちゃんと司令官に…」

卯月「ぴょん…」

弥生「……鳳翔さんと…誰?」

卯月「ぶぇ?」

ナナ「え!この距離でバレた!?」

鳳翔「やはり弥生さんの能力相手では隠れても無駄ですね」

卯月「あー…」

ナナ「えっと、立ち聞きするつもりではなかったんだけど…」

鳳翔「私達は卯月さんが落ち込んでいるんじゃないか、と思って探していただけですよ」

弥生「そうですか…」

卯月「…うーちゃん別に大丈夫だぴょん!」

鳳翔「そうみたいですね。では『3人』で戻りましょうか」

弥生「…」

卯月「…」

ナナ「へ?」

弥生「…卯月。卯月はもう、大丈夫だよ…。気にかけてくれる友達も出来たなら…」

卯月「…うん。それでもうーちゃん…」

弥生「大丈夫。もう、弥生が居なくても…現実に生きて、未来を歩ける…」

卯月「………」

ナナ「え?あの、ちょっと?何を言って…」

弥生「…弥生は、行けないから。みんなでは、帰れないから…」

ナナ「どういう…」

弥生「…卯月。あまり友達を、困らせたら…ダメだよ…?」スーッ

ナナ「あ…!?」

卯月「…えっとね、ナナぴょん。弥生はね…うーちゃんの姉の弥生は、もう、居ないんだ…」

34名無しの提督さん:2019/04/28(日) 20:30:03 ID:NMpvGTgk
【異能持ちの鎮守府】第28話「卯月」

ナナ「居ない…?」

卯月「うーちゃんの姉の弥生は、もう何年も前に、轟沈しちゃったんだ。今ここにいた弥生は、うーちゃんの…」

鳳翔「卯月さんの能力の産物、ですね」

卯月「ぴょん…。あの弥生は、生前の弥生の、幻ぴょん…」

ナナ(作り出した幻が自律して喋って行動する異能…よく知らなくてもすごい物じゃないかな)

卯月「そもそもうーちゃん、もともと異能力者でも何でもなかったぴょん」

卯月「自分の異能についても思い出せないナナちゃんに、指標の一つのつもりで言わせてもらうと、ナナちゃん自分が異能、というか何かある、ってのは自覚してるんだよね?」

ナナ「い、一応はね…?」

卯月「うーちゃん元々は普通の艦娘で、異能持ちは弥生だったぴょん。だから弥生がここに配属されて、うーちゃんは別の鎮守府に配属されたぴょん。で、うーちゃんがある遠征に出てた時に…」

鳳翔「ここの鎮守府の一員として活動していた弥生さんと再会したのでしたね」

卯月「ぴょん。で、まあいろいろあってうーちゃんの目の前で弥生が轟沈してしまって、うーちゃん気がついたら異能が芽生えたぴょん」

ナナ(肝心なところ飛ばした?)

卯月「まあ、異能の目覚めとかは人それぞれ、ということぴょん。仲間の轟沈がキーってことは無いと思うけど、ナナちゃんも頑張るぴょん。うーちゃんも応援するっぴょん」

35名無しの提督さん:2019/05/02(木) 01:40:33 ID:5ni3N/32
【異能持ちの鎮守府】第28話「サポート側」

「ちょっと手伝って欲しいクマ〜」

と頼まれたので工廠まで荷物運びを手伝っていた。燃料、弾薬、鉄鋼、ボーキサイト、開発資材…これらが私達の装備する艤装などになると思うと粗末にはできない。
「うーちゃん、重い物運びは苦手だぴょん」というのでちょっと多めに持ってあげたのだが…まあ、サボらなかっただけマシなのかな?

龍驤「おー、お疲れさんアンドご苦労さんやね〜」

と迎えてくれたのは工廠で働いているお姉さんだ。この間瑞鳳さんの艦載機に関する相談も受けていたけど、そうとう詳しいみたいだった。すごいスタッフさんっているものだなあ。

卯月「龍驤さんは元軽空母の艦娘ぴょん」

ナナ「ええ!?妙に艦載機に詳しいマニアックなスタッフさんだと!」

龍驤「君なぁ…。まあ、駆逐艦な子とじゃあ関わり合いになることもそうそうないし、しゃあないのかな〜」

ナナ「でも、空母ならすごい戦力じゃないんですか?ここ空母少ないって聞きましたけど」

龍驤「ああ〜。まあ、ウチだって戦えるなら力になっとるんやけどねえ。如何せん生まれ持った異能が戦闘向きじゃなかったからなー」

卯月「龍驤さんの異能は戦闘にはこれっぽっちも役に立たない能力だぴょん。正直磯風の作った有害物質のほうがまだ戦闘の役に立つぴょん」

龍驤「そこまで言われると泣きそうになるわ。まあ事実やけどな!ただまあ裏方でも役に立てれば、と思うてな」

ナナ「どんな能力なんですか…というか、裏方で働けるものなんですか?」

龍驤「そりゃそうやん。でないと異能があるからとこんなトコ連れてこられて挙句に沈んでまう子であふれるやん?異能力者であっても戦闘向きでない子は裏方としてサポートする側になれんねんで。勧められなかった?」

ナナ「そういえば提督も言ってたような…?」

提督「まあ、龍驤の異能なら、通常の鎮守府でもエラー扱いされることも無いから、本人希望があれば元の艦隊に帰属可能と報告あげたんだけどね」

卯月「うわ!急に出てこないで欲しいぴょん!」

あ、卯月ちゃん提督と和解というか仲直りしたんだ…

龍驤「おっすー、なんか用?」

提督「いや確認のためと特殊な開発にね。ああナナ君。今聞いた通り戦闘に出るのが嫌だったら裏方として働く道も此処にはあるから、希望するなら書類申請出してくれよ?本当は申し訳なくも思ってるんだよ、君の異能をいつまでも解析できない事には」

ナナ「あ、いえ…。他にもそのようなケースあるんですか?」

卯月「そこそこあるぴょん。ね〜菊ぴょ〜ん」

菊月「…今すぐ帰れ」

提督「よお、菊月。一仕事頼んでいいかい?」

菊月「ああ、任せてもらおうか。で、何を?」

提督「ああ、この主砲と弾、それとバルジを―――」

龍驤「キミ、ナナちゃんって言ったっけ?この後暇やったら昼飯一緒にどうや?卯月も一緒でええよ」

〜〜〜〜〜〜
異能解説
『品質目利き』龍驤の異能。資源資材の品質の良し悪しを理解する。戦闘には無関係。

36名無しの提督さん:2019/05/02(木) 03:21:58 ID:5ni3N/32
キャラ解説

ナナ(仮名):駆逐艦?
異能;『??』詳細不詳
好きな相手:特になし
苦手な相手:卯月、天津風、提督
大本営から直接鎮守府に送られた謎多き艦娘。本人にも記憶の欠如があり、本名・異能・過去のすべてが不明。
関東某県の海岸に打ち上げられていたところを通報され、保護された。


卯月:睦月型駆逐艦4番艦
異能:『嘘つきうーちゃんと壊れた現実』嘘を信じ込ませる能力。世界や周囲を対象にした場合は周り全員、個人に対象を絞ると相手が幻覚に陥る。
好きな相手:弥生
苦手な相手:三日月、朝潮、親潮、鳳翔
一般鎮守府からの転属組。かつて在籍していた弥生とは実の姉妹。他の睦月型とは艦娘となってからの義姉妹。
あまり本心を語らず偽ることが多い。生まれながらの異能者ではなく、姉の弥生を目前で喪ったことで異能が開花した。
姉の犠牲のもとで生まれた異能故に生存の為以外では積極的には使いたがらない。


響:暁型(特Ⅲ型)駆逐艦2番艦
異能:『不死鳥』轟沈した際に生まれ変わる異能。自動且つ何度でも発動するため死ななくなる、または死ねなくなる
『いつでも響く』生まれ変わった際に自身の練度や装備・記憶などを引き継ぐ能力。
好きな相手:姉妹艦、提督
苦手な相手:特になし
かつて孤児院に在籍していた折異能力者と判明。大本営によりスカウトされ、同じ境遇の3人と共に鎮守府へ配属される。
鎮守府では数少ない提督に好意的に接するタイプで自身の危険は厭わない。雪風からは複雑な感情を持たれている。

37名無しの提督さん:2019/05/03(金) 22:41:39 ID:cE3xoumQ
キャラ解説

提督:第3特任鎮守府責任者
好きなこと:異能研究、論文執筆
苦手なこと:人付き合い
鎮守府を預かる提督。元々は研究者であり、不具合等が多発したことにより海軍上層部から招集され特例として鎮守府に提督として着任した。
軍人ではなく、提督としての教育も受けていないため艦隊運営の能力はとても低く、艦名すら把握しきってはいない。
鎮守府勤務、ひいては艦娘との生活を「研究のための対象が十分に補充される、都合のいい環境」と捉えている節もあり、極限られた変わり者の艦娘から慕われていることを除けば艦娘からの信頼はない。

島風:島風型駆逐艦1番艦
異能:『島風ノ世界』島風に見えている何もかもが遅い退屈した世界を周囲の者と共有する能力。ただし巻き込まれた人物には思考速度のみが島風並みになるだけで肉体はついてこないため、結局他人と同じ世界にいることはできない。
好きな人物:ナナ、天津風
苦手な人物:遅さ・退屈さを覚える相手
遅すぎる世界に退屈し、未知なる刺激を求めて駆け抜ける疾風。興味を持った者には飽きるまで付きまとう。
今現在は演習中、自身の能力展開中に攻撃を仕掛ける島風に反応(島風の方に顔を向けた程度だが)したナナに興味を持っている。

天津風:陽炎型9番艦
異能:『天つ風』風を扱う他、他人の引き口を塞ぎ逃走を許さない能力。
好きな相手:姉妹艦、特に雪風
苦手な相手:島風
鎮守府における数少ない提督に好意的な艦娘。かつて他所の鎮守府に所属していたが、異能が暴走して自身が艦隊から落伍し深海棲艦に囲まれた際にこの鎮守府の警備隊に救われ、その後転属してきた。
転属後は姉妹艦を大切に思っているが、特に雪風を気にかけている。自らの異能により他人とのかかわりを拒絶する雪風を心配しているが、雪風からは拒絶されている。
それでも雪風の異能への対処法を考え奮闘している。

雪風:陽炎型駆逐艦8番艦
異能:『沈むべきは雪風に非ず』自身が負った致命傷を周囲の誰かに移して大破・轟沈を防ぐ能力。敵艦や友軍など対象は自身で決めることはできない。
好きな相手:自分に近寄ってこない相手
苦手な相手:自分に近づく命知らず
他鎮守府からの移籍組。かつて所属していた鎮守府にて勝手に発動する異能により僚艦を多数喪い、提督も不正行為を疑われたことで居場所を失い、大本営経由で転属された。
嘗ての鎮守府には「除籍処分」として扱われ、戻ることはできない。
近くに誰かが居ると「何らかの事故などで負った傷を移してしまう」と危惧しており、他人と距離を置き誰も近寄らせないようにしている。
転属後も異能により何人も轟沈させており、明るい性格を失っている。

38名無しの提督さん:2019/05/07(火) 01:36:47 ID:n7PGDgKg
【異能持ちの鎮守府】第30話「無能力者」

龍驤「なんでも注文してなー」

卯月「間宮さーん、うーちゃんパフェが食べたいぴょん!龍驤さんにはカレー鮪漬け丼改二で」

龍驤「誰が食うか!間宮さんも笑顔で受けるなや!」

ナナ「えっと…私は、お蕎麦がいいかなーって…」

龍驤「そんなんでええの?遠慮しなくてもええよ?」

ナナ「一応午後から演習があるので、あまりお腹に入れたくないんですよ」

龍驤「そっかぁ。じゃあサンドイッチとか頼んで演習後に食べればいいやん。間宮さんよろしくね」

――――――

ナナ「ちょっと伺いたいんですけど…ここって異能を持たない人っているんですか?」

龍驤「ん?異能無し?いや一人しかおらんけどどうしたん?うちみたいな戦闘向けじゃない艦娘でも、ただ鎮守府で働いてる人でも能力者がほとんどやからね」

卯月「例えば毎朝敷地内を掃除してくれる清掃員のおじいちゃんはごみの分別に便利な『ごみの種類を識別する』異能持ちで、工廠で下働きしてるお兄さんは砲弾に触れることで『砲弾を好きな色にする』異能もちぴょん!」

龍驤「ピンクに染まった弾薬が綾波とか潮が「カワイイ」と買ってってくれるんよ」

ナナ「必要性とか需要とか意義が分かりませんけどね」

龍驤「まあ、そんなこんなで働いてる一般職員ですら何かしらの能力持ちな中で、最前線で戦う艦娘なのに何ら異能力を持っていない唯一無二の存在が一人いてなー」

卯月「でもなんでそんなこと聞くぴょん?」

龍驤「話の腰折れるから、横やり入れんといてもらえる?」

ナナ「自分の能力が思い出せない中で、実は根底が間違えで、異能力が無かったら、何でここにいるんだろうって思えてきて…」

卯月「別に能力持ちでなくても、ここにいればいいと思うけど」

龍驤「なあ、うちあまり無視されると泣くで?ええの?」

卯月「ていうか、異能が本当にあるか知りたいならいい人紹介するぴょん。同じ駆逐艦の若葉が異能感知能力だから、見て貰えれば一発だぴょん!」

ナナ「そうなんですか?提督もそんな人が居るならいちいち人を死地に追い込んだりしないで初めから見てくれればいいのに…」

卯月「まあ遠征で日本全国回る忙しい身分だから仕方ないぴょん。確かもうじき帰還だってこないだ秘書担当の大和が言ってたぴょん!」

龍驤「…ぐすぐす」

ナナ「あ、すいません龍驤さん」

龍驤「間宮さん!うちに焼酎持ってきて!強いので!」

卯月「グレたぴょん…」

39名無しの提督さん:2019/05/09(木) 22:43:40 ID:.trg8HsI
【異能持ちの鎮守府】第31話「若葉」

利根「提督よ!艦隊帰投したぞ!」

提督「ああお疲れさん。どうだったかな?」

筑摩「横須賀指揮下の鎮守府で一人、呉で一人発見しています。どちらも元人間タイプの艦娘ですね」

提督「ご苦労ご苦労。じゃあ大淀君本部に連絡を入れて、うちへの転属を進めておいてくれ」

大淀「了解しました。実際の移籍がどうなるかは」

提督「最終的には移籍は避けられないだろう?多くの軍人は上の命には逆らわないし、民間出身の提督も最終的には不具合は望まないものだろうからね」

大淀「まあそうでしょうね」

提督「それにしても…元人ではない天然タイプの能力者にもお目にかかりたいものだよ。なんといっても希少価値だ」

大淀「その辺は分かりかねますが」

提督「ともかく遠征隊はご苦労だったね。各自存分に休養を取るように。それと若葉、疲れているだろうが頼みたい事案が一件あるんだ」

若葉「いいだろう。若葉なら大丈夫だ。相手は?」

〜〜〜〜〜〜

ナナ「それで、ここに異能持ちでない方、というのは…?」

龍驤「利根型重巡の妹の方がそうやね」

卯月「実の姉妹でお姉さんが能力者で妹は一般人…だからこそうーちゃん他人事には思えなくって複雑っぴょん」

ナナ「確かに卯月ちゃんの話に似てる…」

龍驤「まあ、うちは元人間の艦娘しかいないから、少ない話でもないんだけどね」

卯月「ちょっと電話してみるっぴょん!……あ、もしもし若葉?あ、もう鎮守府にいる?今うーちゃん、龍驤さんと若葉の知らないナナぴょんと食事してるぴょん!紹介してほしかったら…え?話が早いっぴょん…じゃあ間宮にくるといいっぴょん」

龍驤「こっち来るの?」

卯月「来るそうっぴょん。以心伝心というか、都合がいいというか」

龍驤「ていうか。司令室で報告したのだったら、ナナ君に会って調べてくるように言われたとかやないの?」

卯月「…。そういうことも、まあ、あるぴょんね…」

40名無しの提督さん:2019/06/29(土) 00:33:53 ID:kjS/i3PA
【異能持ちの鎮守府】EX4話『天津風の一日-序章-』

天津風「〜♪」

陽炎「ずいぶんご機嫌ね?」

天津風「あら陽炎。ふふ、今日はあたしが秘書艦を務める番なのよ」

そう。今日はあたしが秘書艦を務める番だ。ただ今日というよりは暫くだ。
あたし達の鎮守府は秘書艦を務めたい、という艦娘が少ない。これはあたしにとっては都合がいい。
本来多くの鎮守府では、いわゆる提督ラブ勢という者がいる。もちろんここにも居るのだが…
ここにいる艦娘は、あたしも含めて元々は別の鎮守府に居た者たちが転属してきたケースがほとんどだ。そしてその多くはかつての提督に好意を持っているため今の上官に経緯や好意を向けるものは多くない。
つまりはあたしのライバルとなるべき艦娘はわずかだ。不安材料があるとすれば…

三日月「あ、おはようございます!」

天津風「三日月さんお疲れ様。あの人は?」

三日月「まだお休み中ですね。こちら引継ぎの資料です、どうぞ」

天津風「ありがとう。じゃあゆっくり休養を取るといいわ」

三日月「ありがとうございます。それではおやすみなさいです」てくてく…

…ああは言っていたが、多分休む前に軽めの戦闘訓練をするのだろう。休んでからすればいいのに、根っからの生真面目さんだと思う。
思えば彼女との付き合いは、ここに転属された日からだ。
彼女は以前の鎮守府で異能の暴走事故で周囲に多大な被害を与えて異動となった。あの頃の憔悴した姿は痛々しかった。一方であたしは、不知火曰く「はしゃいで」いるように見られていたらしい。確かに命の恩人のもとへ異動ということでいつもと違ったかもしれないが…

天津風「失礼します。…まだ眠っているわね。それでは朝の食事の用意から始めましょうか」

こうしてあたしの秘書艦としての一日は始まる。

41名無しの提督さん:2019/07/05(金) 22:42:56 ID:sVxeZ722
【異能持ちの鎮守府】EX4-2話「天津風の一日-朝の章-」

朝食準備は提督の眠っている間に終わった。他の天津風がどうかは知らないが、この私は料理の腕はそこそこある方だと思っている。手際も悪くはない。では早速提督を…

天津風「起こす必要は無いわね。いつも研究で疲れているのだから、眠れる時にはしっかり睡眠をとってもらいたいわ。…まあ、寝てる間に体が冷えて風邪ひいたりしないように添い寝でも」ごそごそ

初風「…なにしてんの、あんた…」

天津風「ひゃあああ!?」

初風「うるさいわよ」

天津風「な、な、な、な、なんでここに!?」

初風「提督に書類の提出とその他諸々よ。いけないの?」

天津風「いけないに決まってるでしょう!?なんで今なのよ!」

初風「もうとっくに日も昇ってるのよ?なんで提督まだ寝てんのよ。あんたも秘書艦なんだから起こしなさいよ」

天津風「え!?ああ、もちろん今から起こすところよ!?」

初風「…提督の布団に潜り込んで、首に腕を絡ませて、煙突からハート型の煙吐き出して、頬に口づけしようとしてる状態からどうやって起こすのかしらね?」

天津風「いつから見てたのよ!?」

初風「あんたが布団めくって潜るところからよ。全く気付かないのに驚いたわ。私が敵艦だったらあんた今頃提督と一緒にあの世行よ?」

天津風「…」

初風「…なに「提督と二人っきりで天国デート!?」とかいう顔してんのよ…」

天津風「…!し、してないって!」

提督「むぅぅん…ん、この声は、天津風か?」

天津風「にゃあああああ!?」

結局朝はドタバタで始まってしまった。とりあえず初風を追い出して朝食をとった後、今日の予定確認を行った。
初風のやつは出撃組に入れてあげよう。決して嫌がらせではない。そう、あくまで姉に手柄を立ててほしい妹心だ。
というわけで初風は今日は単身敵泊地偵察任務で。沈んだら艤装のひとかけらぐらい拾ってあげるわ。

42名無しの提督さん:2019/07/28(日) 19:14:14 ID:HHSJXnhA
【異能持ちの鎮守府】EX4-3話「天津風の一日-午前の章-」

天津風「さあ、午前の活動開始ね。あなた、最初は何からやるの?演習、出撃、遠征いろいろあるけど」

提督「つい昨日転属してきた多摩にかんする実験でもしようかな。前に在籍していた多摩みたいな異能は、正直役に立つかは疑問だったからね」

天津風「手に持った魚のオスメスが分かる、だったかしら。戦闘時に役立つものではないわね」

提督「そのくせ無駄に戦闘狂だったからな」

天津風「最後は命令違反で敵艦隊に単身突撃したんだっけ?」

提督「最期の言葉は『勝ったら高級寿司奢れにゃ!』だったなあ。今頃深海化して寿司でも食ってるんじゃないか?」

天津風「とにかく、午前中は実験ね?(そういうと思ってたから準備は整えてあるわ。出来る女は伊達じゃないわ)」

谷風「最初に実験ってえのが普通の鎮守府には考えられないよね」

天津風「…アンタなんで執務室に入ってきてんのかしら?」

谷風「いやね、磯風のヤツが装備開発中に施設吹っ飛ばしちまってさ。ちょいと手伝って欲しいんだよ」

提督「そりゃ大変だ。天津風、実験は俺が進めておくから君は人手集めて後片付けをしておいてくれ」

天津風「あ、あなたが言うなら…」

天津風(くっ、どうして狙ったかのようにあたしの邪魔を…せっかく今日は一日中一緒に居られると思ったのに…!)

谷風「あんがとよ、さっすがだねえ。じゃ、谷風さんはお出かけしてくるから後は頼んだよ天ちゃん!」

天津風「…は?」

谷風「これから浦と浜と遊びに行くんだよ。だから天ちゃん!谷風さんが居なくとも事故現場の原状回復頼んだよ!」

天津風「…アンタも手伝いなさい…!」

谷風「いや、谷風さん達今日有給だから、ね?前から約束してたし、破るのは良くねえよねえ?じゃあ!って扉が開かねえ!?なんで!?」

提督「ここで暴れるなよ?」

天津風「『天つ風』雲の通い路吹き閉じよ、ってね…」

谷風「い、嫌だなあ。別に夜戦しようってんじゃないんだよ?」

天津風「別に夜戦移行阻止だけがあたしの異能じゃないのよ?『逃げようとする対象を逃がさない』のがあたしの能力なんだから…」

谷風「た、助けて!?浦風!浜風!」

天津風「ニガサナイワ…!」

谷風「待って天さん!顔怖い!深海艦みたいな顔になってる!」

天津風「浦風も浜風も絶対に逃がさないんだから!全員でやるのよ!!」

あたしの一日、少しだって無駄な時間はないのに…!!


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