[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
キュトス71姉妹2
397
:
言理の妖精語りて曰く、
:2016/10/24(月) 19:33:45
ラリスキャニアは、【マロゾロンド・ランド】のオーナー兼マスコットキャラクターである。
彼女は、自分の遊園地を作りたかった。
どうしても、どうしても、作りたかった。
日本での出稼ぎ時代、同僚から譲られたチケットで、千葉のネズミ王国を訪れて以来、それが彼女の夢であった。
10年の厳しい修行と勉学によって、彼女は、確かに自分の遊園地を作り上げることが出来た。
祖国に建てた彼女の遊園地には、何でもあった。
ジェットコースターも、観覧車も、大きな土産物店や素敵なカフェもあった。
アトラクションの量も、質も、他には負けていなかった。
だが、そこには、たった一つだけ、大切なものが無かった。
「オリジナリティ」である。
改造獣人による電撃金網パレード、魔法科高校の動く絵画「不死身のお兄様(ゴースト)」 国からの払い下げ術で作った海上施設「マロゾロンド・シー」 鍛え上げられた矮人症の雑技団が、ミニチュア模型世界で繰り広げるスモールワールド・ショー…………。
ラリスキャニアの遊園地におけるアトラクションやイベントは、みな、どこかで見たようなものばかりだったのだ。
自らマスコットキャラクターとなり、遊園地を盛り上げたは良いものの、ラリスキャニアは、己の限界を感じていた。
その時、思い悩むラリスキャニアの耳に、室外からのどよめきが届いた。
驚きと戸惑い、喜び、そして恐怖。
それは、開園以来、彼女が一度も耳にしたことが無いような大きな歓声に思えた。
ラリスキャニアは、検分中だった新ランドマーク用の模型(部下が献上したライバル用ロボの模型・蛇足なことに足がある。要らないって言ってるのに)を放り出し、すぐさま園長室の外へ出た。
そこで彼女が目にしたものは、爆発だった。
爆発、爆発、爆発。
観覧車が、コーヒーカップが、スタッフのお姉さんのミニスカートが、本物よりスタイルが良いラリスキャニアきぐるみが、次々と爆発していた。
イベントスケジュールに全く記載が無い爆発が、彼女の遊園地で盛大に巻き起こっていたのだ。
長年の鍛練によって、即座に冷静さを取り戻したラリスキャニアは、客を避難させながら、爆発の原因を調べた。
彼女自身の入念なチェックによって、完璧に安全が保証されたはずの遊園地に、なぜこんなトラブルが発生してしまったのか?
原因を究明しても、彼女の遊園地が築き上げた評判と客は戻ってこないだろう。
しかし、ラリスキャニアは、どうしても、爆発の原因を追及せずにはいられなかった。
原因の究明には、長い時間がかかった。
だが、様々なコネやツテ、そしてラリスキャニアが身に付けていた多様な技能により、ついに爆発の謎は解かれたのだ。
ラリスキャニアの遊園地を襲った謎の爆発。
その原因は、ネジだった。
どんな違法な製法をしたのかは、不明だし興味もあまり無いが、彼女の国の工場が作ったネジが、爆発の原因だった。
そして、そのネジの欠陥には、とてつもなく酷い背景があった。
収賄である。
ラリスキャニアの祖国が、収賄大国であることは、周知の事実だった。
だが、それがついに行き着くところまでいってしまったのだ。
誰もが誰もに賄賂を贈り、互いに互いの手抜きを見逃す。
それがついに、あらゆる機械や製品の品質を、最悪にまで悪化させていたのだ。
その現れが、ネジであり、あの爆発だったのだ。
真実を知ったラリスキャニアは、踏み潰した。
遊園地事故の被害を、軽微に抑えたことを讃え、国から贈られた勲章を。
それが、祖国の新たな革命の始まりであることを、彼女とその勲章だけが、知っていたのだった。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板