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アメリカ軍がファンタジー世界に召喚されますたNo.15

171外パラサイト:2017/01/23(月) 19:27:12 ID:lbvRe/9E0
「よっこいせっと」
書類との戦いに一区切りを付けたフラチナは年寄り臭い動きで机から離れると部屋の中央に置かれたテーブルに地図を広げ、ニポラを呼び寄せた。
「新しい任務があるんだけど」
「今度はスモウプみたいな事はないでしょうね?」
そう言い返されてフラチナは、“チーズと思って口に入れたら黄色いチョークだった”と言わんばかりの表情になった。
4日前、ニポラ率いる小隊はカレアント軍が侵攻したスモウプの街を爆撃した。
事前情報では街には敵軍しかいないはずだったが、実は味方の第108師団の一部が後衛として街に残っていただけでなく、情報の混乱からドシュダム隊に攻撃目標として指示されたのは味方の立て籠もっていた工場だった。
そして昨日、街を脱出した生き残りが私用で基地を出たニポラを襲い、あわやというところで駆けつけた55号と69号が初代プリティでキュアキュアな二人組のごとき大立ち回りを演じて暴徒と化した敗残兵の一団を撃退したのである。
「ホント二人が来なかったら埋められて殺されて犯されてましたよ」
「正直スマンカッタ」
頭を下げるフラチナ。
「まあいいです、済んだことですから」
負けが込んで来てからのシホールアンル軍は万事につけ余裕が無い。
朝出された命令と正反対の命令が夕方に下されるなんてことは当たり前。
司令部の理不尽な命令に理路整然と反対意見を述べた前線指揮官が抗命罪に問われて裁判抜きで処刑!なんてケースも少なくないことを知っているだけに、ニポラも中間管理職の重圧に身が細る思いをしている―実際顔は良いが顔色はあんまりよくない―飛行隊司令をそれ以上追求する気にはならなかった。
「それで任務というのは?」
ニポラが話題を変えたことで露骨にホッとした顔になるフラチナ。
「目標はミウリシジの鉄橋よ、ここを取られると北部戦線の側面に大穴が空いてしまうの」
両軍の配置が書き込まれた地図で見てみると、なるほど敵にとっては格好の侵入路である。
「攻撃目標の鉄橋ですがドシュダム用の小型爆弾で破壊できますかね?」
「まず無理ね、そこで今回は海軍の対艦用爆裂光弾を使うわ」
ニポラは露骨にイヤそうな顔をした。
ドシュダムはそれなりの出力を持つ魔道機関と小型軽量な機体の組み合わせによって比較的良好な運動性能と加速性能を持ち、アメリカ製の戦闘機と互格とまではいかないがある程度は戦える実力を有している。
が、所詮は間に合わせの簡易飛行挺であり、対艦爆裂光弾のような大型兵器を搭載して飛び上がった場合、妊娠した雌牛のように鈍重になってしまう。
「わかってるわ、本来ならケルフェラクかワイバーンがやる仕事だけどケルフェラクの123飛行隊もワイバーンの99空中騎士隊も連日の防空戦闘で大損害を出しているうえに新しい部隊を手配する余裕は無いのよ」
いかにも済まなさそうにフラチナが言う。
「やるしかないワケですか」
「そゆこと」
司令官はハアッと重い息をつくと自分に気合いを入れるかのようにパンと膝を叩いて立ち上がった。
「今度の作戦では私も飛ぶわよ!」
「でも司令は……」
「大丈夫、ケルフェラクに比べればドシュダムは乳母車みたいなものよ」
ちなみに戦後ドシュダムをテストした米軍パイロットは「サルでも飛ばせる」と証言している。
「書類仕事はもうウンザリ!大空が私を呼んでいる♪」
フラチナは両手を広げてクルリと一回転し、次の瞬間、盛大にコケた。


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