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SSスレ(萌え)8

150パトラッシュ(旧41です):2013/04/21(日) 21:16:27 ID:t.N5V0vk0

困惑したような視線を交わす小磯と重光に、吉田は新たな厄介ごとが起こったのを察した。やがて外交官としては吉田の後輩に当たる重光は、言いにくそうに言葉を探した。
「吉田さん、私もその意見に賛成なのだが、簡単にいかない事情が出てきたのです。実は汪兆銘だけでなく蒋介石までもが、来日してもかまわないと言ってきまして」
「それはまた……確かに蒋訪日が実現すれば、今後の中国情勢は日本の意向が大きく反映できてしまう。あっさり断るには惜しい話です。いきなり切り札を出してくるとは、国民政府も相当追い詰められていますね」
「撫子様が日本の味方をして三峡を塞ぐほどの力を示したため、新たな中国の竜を目指す蒋介石にすれば立場がありませんから。しかもベルリンからの情報によれば、ムッソリーニがヒトラーに泣きついてイタリアが正式参加できるよう外交工作しているとのことで、三国同盟絡みもあって断るのは難しい。どう線引きしても、不満が残るのは確実ですよ」
「なるほど、シチリアの竜を抱えるイタリアとしては、ここは何としても他国に先駆けて誼を結びたいところでしょう。というか、ドイツがフランスに続きイタリア参加も容認するのは、自国の影響下にある国が竜と友好関係を結べればとの思惑があるようです。そうなれば、自分たちにも竜州への道が開かれるのではと期待して」
「吉田さん、それはつまり……?」
「英米独仏も、また中国やその他の国々も、最も恐れているのは撫子様以外の地球にやってきた竜すべてが日本に味方する事態です。そうなればどの国も日本に膝を屈せざるを得なくなるし、今後も日本が竜州を独占する形で開発を進めればあらゆる利権から締め出される。しかし、満州と違って竜州への道は最初から日本が独占している。各国としては何とか竜に接触し、自分たちの味方となるか少なくとも中立を保つよう説得できないか、また竜州開拓に自国も参加するために撫子様以外の竜を使えないかと考えている。戦時中にもかかわらず最高首脳が訪日する理由は、まさにそれなのです」

 総理執務室は、痛いほどの沈黙に包まれた。存在それ自体が強大な兵器である竜は、これまでの軍事バランスを完全に崩したのみならず、広大な未開拓のフロンティアである竜州の存在は各国の領土占領欲を強烈に刺激した。もし欧州大戦が始まっていなかったら、全世界が日本に向けて戦争を仕掛けてくる事態もあり得たのだ。
(そうなっても撫子様や「歌妃」アニスの力で日本が勝つだろうが、数千万単位の死者が出ていたかもしれない。いくら戦争でも、そんな事態は避けたいしな)


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