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侑「告白ドッキリをしてみよう!」

1 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/18(金) 20:03:46 ID:kJYt3KBo
――侑の部屋

侑「どんな反応するかな?」

侑「考えただけでもときめいちゃうよ!」

侑「とりあえず、笑って許してくれそうな歩夢とせつ菜ちゃんと〜」

侑「あとはかすみちゃん辺りかな」

侑「電話で……んー、電話はやめておこう」

侑「声でバレるかもだし、LINEで、っと」スッ

侑「……」スッスッ

侑「よし、まずは歩夢から!」ポチ

侑:歩夢〜

侑:今何してるの?

歩夢:漫画読んでるよ

侑「お、もう返事来た。さて、始めますか」スッスッ

2 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/18(金) 20:07:18 ID:kJYt3KBo
侑:なんて漫画?

歩夢:秘密〜

侑:えーなにそれ

歩夢:言っても絶対わからないもん

侑:わかるかもよ?名前だけでも教えてよ

歩夢:「やがて君になる」って漫画

侑:聞いたことないや

歩夢:ほらね?

侑「む……」スッスッ

侑:どんな漫画なの?面白い?

歩夢:面白いよ。恋愛漫画ね

侑:恋愛漫画かー

3 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/18(金) 20:10:23 ID:kJYt3KBo
侑:私はあまり読んだことないんだよね

歩夢:侑ちゃんはバトル漫画とか好きだもんね

侑:そうそう

侑:あ、それ読み終わったら貸してよ

歩夢:え!

侑「?」スッスッ

侑:え?

歩夢:いや、意外だなって……

侑:私だってたまには恋愛漫画も読みたくなるの!

歩夢:ふふ、そっか

侑:うん!

歩夢:じゃあ、読み終わったら貸すね♪

4 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/18(金) 20:13:06 ID:kJYt3KBo
侑:ありがとー

侑:スタンプ

歩夢:スタンプ

侑「楽しみだな〜」

侑「……あ、そろそろ本題に入らないと。すっかり忘れてた」スッスッ

侑:ねーねー

歩夢:うん?

侑「なんて切り出そうかな〜」

侑「ストレートに好きって言うか、少しずつ仄めかすか……」

侑「う〜〜ん……」ピコン♪

歩夢:侑ちゃん?

歩夢:どうしたの?何か悩み事?

5 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/18(金) 20:15:54 ID:kJYt3KBo
侑「すぐに好きって言うと速攻で終わりそうでつまらないから……」スッスッ

侑:えっとね

歩夢:うん

侑:歩夢ってさ、好きな人いる?

歩夢:好きな人……?

侑:そそ、好きな人

歩夢:えっと……

侑:?

歩夢:そんなこと聞くなんて珍しいね

侑:まあね。私も年頃の女の子だし、気になるんだよ

歩夢:そっか

侑:で、好きな人は?

6 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/18(金) 20:19:49 ID:kJYt3KBo
歩夢:そういえばもう宿題終わらせた?

侑「あれ?」スッスッ

侑:終わらせたよ

歩夢:音楽科に転科してから真面目になったね

侑:まあね〜

歩夢:これからも頑張ってね、応援してるよ!

歩夢:スタンプ

侑:ほどほどに頑張るよ

歩夢:また明日ね、おやすみ

侑:今昼だけどもう寝るの?

歩夢:お昼寝だよ。私の日課なんだ

侑:初めて聞いたな〜

7 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/18(金) 20:22:16 ID:kJYt3KBo
歩夢:えっと、最近始めたの。お昼寝は気持ちいいよ

侑:たしかに

歩夢:おやすみ、侑ちゃん

侑:逃がさないよ。露骨に話変えたよね

歩夢:?

侑:「?」じゃなくてさ

歩夢:あ、ダメだ。睡魔が襲ってきた

侑:歩夢

歩夢:おやすみ

侑:歩夢

侑:あーゆーむー

侑「……」

8 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/18(金) 20:23:30 ID:kJYt3KBo
侑:スタンプ

侑:スタンプ

侑:スタンプ

侑:スタンプ

侑:スタンプ

侑:スタンプ

侑:スタンプ

侑:スタンプ

侑:スタンプ

侑:スタンプ

侑:スタンプ

侑:スタンプ

侑:スタンプ

侑:スタンプ

歩夢:やめて!!

9 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/18(金) 20:26:24 ID:kJYt3KBo
侑:おはよう

歩夢:……

侑:歩夢?

歩夢:察してよ

侑:なにを?

歩夢:侑ちゃん鈍感だもんね

侑:もしかしてバカにしてる?

歩夢:バカになんてしてないよ

侑:それで、好きな人は?

歩夢:言いたくない

侑:えーどうして?

歩夢:これ以上は怒るよ?

10 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/18(金) 21:08:26 ID:kJYt3KBo
侑「怒るって……」

侑「歩夢を怒らせたらやばいな……」スッスッ

侑:ごめん

歩夢:ううん、いいよ

歩夢:私の好きな人なんて知ってもしかたないでしょ?

歩夢:だからこの話は終わりね

侑「あ、無理矢理話を終わらせようとしてる」

歩夢:私、漫画の続き読むからまたあとでね

歩夢:スタンプ

侑「ここから話を繋げるには……うーん……」

侑「……」スッスッ

侑「……よし、これなら!」ポチ

11 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/18(金) 21:13:06 ID:kJYt3KBo
侑:歩夢の好きな人を聞き出そうとしてごめんね

歩夢:もういいって

侑:私ね、どうしても歩夢の好きな人が知りたかったの

歩夢:理由を聞いてもいい?

侑「ふふ、食いついたね♪」スッスッ

侑:だって私、歩夢のことが好きだから

歩夢:え

歩夢:え、ええ、

歩夢:なにいってるの

侑:好きだよ、歩夢

歩夢:スタンプ(顔面に膝蹴り)

侑「えっ!?」

12 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/18(金) 21:19:08 ID:kJYt3KBo
歩夢:ごめん、間違えた

侑「びっくりした……」ホッ

侑:大丈夫だよ

侑:スタンプ(顔面に膝蹴り)

歩夢:今の話本当なの?

侑「スルー……」スッスッ

侑:うん

歩夢:友達として好きってことだよね?

侑:ううん。友達としてじゃなくて、恋愛的に、1人の女の子として歩夢が好きなんだ

侑「どんな反応するかな〜♪」ルンルン

歩夢:そっち行っていい?

侑「へ?」

13 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/18(金) 21:25:13 ID:kJYt3KBo
侑「え、ちょ、こっち来るってなんで?」

侑「普通に話したら絶対声とかしぐさでバレちゃうよね。歩夢ってそういうとこ、無駄に鋭いしさ」

侑「外出してることにしよう」スッスッ

侑:ごめん。今出かけてるから家にいないよ

歩夢:そうなんだ、電話は?

侑:それもちょっと

歩夢:そっか……

侑:ごめんね〜

歩夢:お出かけ中からしかたないよ

侑:それで、告白の件なんだけど

歩夢:……帰ってきたら教えてね。そのとき話すから

侑「むむ」スッスッ

14 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/18(金) 21:29:18 ID:kJYt3KBo
侑:今すぐ教えてよ

歩夢:え

侑:ダメ?

歩夢:ダメっていうか、そういうのはちゃんと面と向かって話した方がいいかなって

歩夢:私も侑ちゃんに気持ちを伝えたいし

侑:私は今すぐ知りたいんだけどな〜

歩夢:そんなこと言われても困るよ……

侑「これ以上はLINEで聞き出すのは無理そうだね」

侑「しょうがないから歩夢は後回しかな」スッスッ

侑:わかったよ、帰ってきたらまた連絡するね

歩夢:うん。お出かけ楽しんできてね

侑:スタンプ

15 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/18(金) 21:33:41 ID:kJYt3KBo
侑「歩夢は最後に……そうだ、テレビでよく見るアレをやってみようかな?」

侑「歩夢を呼び出して、ドアを開けた瞬間――」ホワンホワン

侑『ドッキリ大成功!!』

歩夢『え?え?ドッキリ?』

侑『さっきのは告白ドッキリでした〜!!』

歩夢『なーんだ!もう、びっくりしたよ〜!!』

侑『その顔が見たかったんだー♪』

歩夢『侑ちゃんってば〜♪』ツンツン

侑『えへへ、ごめんね?』

歩夢『侑ちゃんだから許す♡』

侑『わーい』

侑「――みたいな。んふふ、楽しみ〜♪」

16 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/18(金) 21:36:13 ID:kJYt3KBo
侑「よし、次はせつ菜ちゃんで!」スッスッ

侑「せつ菜ちゃんはどんな反応するかな〜。送信っ」ポチ

侑:せつ菜ちゃん、今暇?少し話さない?

せつ菜:暇です!お話しましょう!!

侑「よしよし」スッスッ

侑:ありがと〜

侑:スタンプ

せつ菜:スタンプ

せつ菜:スタンプ

せつ菜:スタンプ

せつ菜:スタンプ

せつ菜:スタンプ

侑「本当に暇なんだね」

17 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/18(金) 21:39:53 ID:kJYt3KBo
侑:何してたの?

せつ菜:勉強してました!!

侑:勉強?

せつ菜:はい!!

侑:せつ菜ちゃんは偉いね〜〜

せつ菜:いえいえ!そんなことないです!!

侑「さすがだな〜。私もあとで予習しようかな」

侑:というか、暇って言ってたけどさ

侑:勉強してて忙しいんじゃないの?迷惑だった?

せつ菜:休憩してたところだったので大丈夫です!!

侑:ならちょうどいいタイミングだったね

せつ菜:はい!!!

18 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/18(金) 21:42:29 ID:kJYt3KBo
せつ菜:侑さんは何してたんですか!?

侑:何してたと思う?

せつ菜:勉強!!!

侑:ハズレー

せつ菜:ゲーム!!!

せつ菜:漫画!!!

せつ菜:アニメ視聴!!!

侑:違うよ〜

せつ菜:わかりました!!ピアノを弾いてた!!!

せつ菜:それか作詞か作曲!!!

侑:今のところ正解ナシ!

せつ菜:むむむ!!難しいですね……!!!

19 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/18(金) 21:46:15 ID:kJYt3KBo
侑「ふふ。必死に考えてて、ちょっとかわいいかも」

せつ菜:正解を教えてください!!!

侑:う〜ん、そうだね

侑:正解は「せつ菜ちゃんのことを考えてた」でした♪

せつ菜:私のことですか!!!

せつ菜:とても嬉しいです!!!!

侑:せつ菜ちゃんに伝えたいことがあるんだけど、聞いてくれる?

せつ菜:はい!!!何でも言ってください!!!!

侑「〜♪」スッスッ

侑:私ね、せつ菜ちゃんのことが好きなんだ

せつ菜:私も好きですよ!!!!

侑「あー、これ勘違いしてるパターンかな?」

20 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/18(金) 21:50:41 ID:kJYt3KBo
侑:せつ菜ちゃんの好きって友達として?

せつ菜:もちろんです!!!!

侑:えっと、私は違うんだよね

せつ菜:ど、どういうことですか!!!!

侑:私、せつ菜ちゃんが好き

侑:友達としてじゃなくて、1人の女の子として好きなの

侑「歩夢と被ったけど別にいいか。告白のセリフなんてそう簡単に思いつくわけないし」

せつ菜:え

せつ菜:本当なんですか?

せつ菜:私のことが好きって

せつ菜:その、1人の女の子として

侑「んん?さっきまでの勢いはどうしたんだろう」

21 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 07:04:57 ID:mbMps5jg
侑:本当だよ〜

せつ菜:いつからですか?

侑:いつから?

せつ菜:いつから私のことを好きって思うようになったのかな、と

せつ菜:気になってしまいまして

侑「なかなか難しい質問だね。いつからにしようかな?」

侑「ん〜〜」

侑「ここは無難に初ライブのときにしよっと」スッスッ

侑:実は初めてライブを見たときからなんだ

侑:あのライブを見てから私の世界が大きく変わった

侑:せつ菜ちゃんを好きになったのも、そのときからだと思う。一目惚れだったの

せつ菜:そうなんですね

22 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 07:09:00 ID:mbMps5jg
せつ菜:教えてくれてありがとうございます。侑さんの気持ちが知れて嬉しかったです

侑:返事、聞いてもいい?

せつ菜:少し時間をくれませんか

侑:え?

せつ菜:明日、学校で返事をします。考える時間が欲しいんです

侑「今聞きたいんだけど……」スッスッ

侑:今じゃダメなの?

せつ菜:侑さんが勇気を出して告白してくれたのに、適当に返事なんてできません

せつ菜:失礼します。絶対に明日返事しますから。

侑:せつ菜ちゃん?

侑:おーい

侑「……既読がつかなくなった」

23 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 07:14:16 ID:mbMps5jg
侑「んー、歩夢といいせつ菜ちゃんといい難しく考えすぎなんだよ」

侑「サクッと断ってくれたらいいのに。そしたら「ドッキリでしたー!」って言えるのにな〜」

侑「かすみちゃんに連絡しよ」スッスッ

侑:かすかす〜

かすみ:かすかすじゃなくてかすみんです〜!

かすみ:スタンプ

侑:はーい、かすみん♪

かすみ:わかってくれたならいいですよ♡

かすみ:スタンプ

侑:スタンプ

かすみ:あ、侑先輩。これかわいく撮れてませんか?

かすみ:さっき撮ったんですけど、写真送りますね〜♡

24 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 07:17:35 ID:mbMps5jg
かすみ:薄着で上目遣いの写真

侑「お、かわいいなぁ。さすがかすみちゃんだ」

侑:かわいいね

かすみ:えへへ、本当ですか♡

侑:うんうん

かすみ:侑先輩に褒めてもらえて嬉しいです〜♡♡

侑:他にはないの?

かすみ:ありますよ〜。ちょっと待っててくださいね♡

侑:わーい

かすみ:私服で笑顔の写真

かすみ:下着姿でブラをずらそうとしてる写真

侑「え?」

25 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 07:21:22 ID:mbMps5jg
かすみ:自信作です♡

侑:1枚目はともかく、2枚目はちょっと

かすみ:かわいくなかったですか……?

侑:かわいいけど露出多すぎない?

侑:下着姿だし、もう少しで見えちゃいそうじゃん

かすみ:ちゃんと気をつけて写真撮ってるから大丈夫ですよぉ♡

侑:でもさー

かすみ:それに、こんな写真は侑先輩にしか送りませんから♡

侑:なんで私にだけ?

かすみ:侑先輩は本当に鈍感ですね〜♡

侑:鈍感??

侑「歩夢にも鈍感って言われたような……」

26 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 07:26:40 ID:mbMps5jg
かすみ:侑先輩の写真も送ってくれませんか?

かすみ:そろそろ侑先輩分が足りなくなってきちゃって〜♡

侑:その侑先輩分ってのはよくわからないけど、少し待っててね

かすみ:わ〜〜い♡♡

侑「自撮りなんて滅多にしないんだよね。かすみちゃんみたいに撮れるかな?」スッ

侑「ん〜」カシャ

侑「うーん、あまり綺麗に撮れなかったな」スッスッ

侑「まあいいか」ポチ

侑:撮ったよ

侑:パジャマ姿の写真(ちょっとぼやけてる)

かすみ:ぼやけてるし、まだパジャマ姿じゃないですか〜!!

侑:今日休みだからさ。あと自撮りって難しいね

27 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 07:30:31 ID:mbMps5jg
かすみ:自撮りはコツがいるんですよ♡

かすみ:今度教えてあげますね♡

侑:ありがと、楽しみにしてるね

かすみ:スタンプ

かすみ:というか、今日は髪結んでないんですね

侑:休みでずっと家にいるときはいつもこうだよ

かすみ:なるほど〜〜

かすみ:ストレートの侑先輩もかわいくて素敵です♡♡

かすみ:かすみん、キュン死しちゃうかも〜〜♡♡

侑:キュン死?

かすみ:キュンキュンしすぎて死んじゃうことですよ〜♡

侑:ふーん

侑「かすみちゃんってたまに変なこと言うよね」

28 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 07:33:38 ID:mbMps5jg
かすみ:侑先輩好き好き♡♡

侑「お」スッスッ

侑:私も好きだよ

かすみ:嬉しいです♡

侑:いや、本当に好きなんだけど

かすみ:かすみんもですよ♡

侑:友達としてって意味じゃなくてさ

侑:1人の女の子としてかすみちゃんが好きなんだよね

かすみ:えっ

かすみ:冗談ですよね?

かすみ:エイプリルフールはとっくに過ぎてますよ?

侑:こんなときに嘘なんてつかないよ

侑「ま、ドッキリなんだけど♪」クスッ

29 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 07:36:11 ID:mbMps5jg
かすみ:本気なんですか

侑:うん

かすみ:電話かけますね

侑「え、電話?」

侑「なんでいきなり……」〜♪〜♪

侑「うわ、本当にかけてきた」ピッ

侑「もしもし?」

かすみ『……』

侑「かすみちゃん?」

かすみ『……ですか』

侑「ん?」

かすみ『本当に、わたしのことが好きなんですか』

30 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 07:39:01 ID:mbMps5jg
侑「あー、うん、好きだよ?」

かすみ『……』

侑「あれ?聞こえてる?」

かすみ『……』

侑「おーい、かすみちゃーん?」

かすみ『……っ。ぐす……』

侑「え?な、泣いてるの?」

かすみ『ひっく、ぅ、嬉しくて……』

侑「嬉しい……?」

かすみ『両想いになれたんだと思ったら、嬉しくて……』

かすみ『涙が止まらなくなっちゃってぇ……ぐすん……』

侑「えっ」

31 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 07:43:31 ID:mbMps5jg
かすみ『――ごめんなさい、取り乱しちゃって……』

侑「もう大丈夫?」

かすみ『はい……』

侑「よかったぁ。急に泣き出すからびっくりしたよ」

かすみ『だ、だって嬉しかったから……』

侑「あはは」

かすみ『もぉ、笑わないでくださいよ〜』

侑「ごめんごめん。あ、泣いてるから聞けなかったんだけどさ、両想いって?」

かすみ『そのままの意味ですけど』

侑「え?」

かすみ『だからぁ、かすみんも侑先輩のことが好きなんです。愛してます♡』

侑「愛し、えっ?」

32 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 07:46:50 ID:mbMps5jg
かすみ『侑先輩?』

侑「あ、いや、ライク?」

かすみ『ラブですよぉ。何言ってるんですか〜♡』

侑「あははは」

かすみ『うふふ♡』

侑(どうしよう)

侑(かすみちゃんが私のこと好きだなんて知らなかった。恋愛的な意味で)

侑(今までそんなに素振り見せてこなかったのに)

侑(どうしよう、どうしよう)

かすみ『これでかすみん達は恋人ですね♡』

侑「え?恋人??」

かすみ『だってそうでしょう?両想いなんですから♡』

33 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 07:50:02 ID:mbMps5jg
侑「あー、両想い、ね。うん」

かすみ『ということはもう恋人ですよね?』

侑「恋人、恋人。うーん、えっと」

かすみ『侑先輩?』

侑「うん。えっとね?」

かすみ『?』

侑「もし、さっきの告白はドッキリって言ったら」

かすみ『は?』

侑「ひぇ」

かすみ『あの、ドッキリとは?』

侑「いや、いや。その、もしも、もしもだよ」

侑「もしも、ドッキリだったら、かすみちゃんはえっと、どんな反応するかなーって」

34 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 07:54:19 ID:mbMps5jg
かすみ『なぁ〜んだ、びっくりさせないでくださいよ〜♡』

かすみ『さっきの告白は嘘かと思っちゃいました♡』

侑「あはははは」

かすみ『そうですね、もし嘘の告白をしてかすみんを騙そうとしたら……』

かすみ『……』

侑「……?」

かすみ『……かすみん、悲しくて泣いちゃうかも♡』

侑「ふ、ふーん」

かすみ『もしかして、本当は嘘の告白を』

侑「違うよ」

かすみ『ですよね〜♡』

かすみ『侑先輩がそんな嘘つくわけないですよね♡♡』

侑「あははははは」

35 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 08:41:42 ID:mbMps5jg
かすみ『かすみん、侑先輩とデートしたいな〜♡』

侑「で、デート」

かすみ『はい♡』

かすみ『アパレルショップでお揃いの洋服やアクセサリーを買ったり♡』

かすみ『帰りに食事にも行きたいですね〜♡』

かすみ『スイーツを食べさせ合いするんです♡♡』

侑(もうデートプランを考え始めてる……)

かすみ『侑先輩はどこに行きたいですか?』

侑「私は……別に……」

かすみ『別に?』

侑「えっと、その、かすみちゃんとならどこでも……」

かすみ『〜〜♡♡』

かすみ『んもう、侑先輩好き好き♡♡』

侑(素直に喜べないよぉ……)

36 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 08:46:54 ID:mbMps5jg
かすみ『本当は今すぐデートに行きたいですけどぉ〜♡』

かすみ『準備や移動時間を考えると夕方過ぎになりそうなので、明日デートしましょうね♡』

侑「明日は18時まで同好会の練習が」

かすみ『侑先輩は彼女との初デートよりも練習を取るんですか』

侑「明日のデート楽しみだな〜〜!!」

かすみ『かすみんもです♡』

侑(急に声が低くなるのやめてよ、怖いよ)

侑(かすみちゃんがあんな声出せることに驚きなんだけど)

侑(……電話、切ってもいいかな?)

侑「かすみちゃん、そろそろ……」

かすみ『もうですか?もっとお話したいです〜♡』

侑(これ以上電話を続けたら私の精神が持たない……)

37 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 08:51:02 ID:mbMps5jg
侑「ごめんね。このあと宿題しないとなんだー。まだ全然手をつけてなくてさ」

かすみ『そうでしたか、それならしかたないですね。宿題頑張ってくださいね♡』

侑「うん、ありがとう。じゃあまた」

かすみ『あ、待ってください』

侑「な、なに?」

かすみ『好きって言ってくれませんか?』

侑「え、えっと……」

かすみ『ダメ、ですかぁ……?』

侑「……」

侑「……好き、だよ。かすみちゃん」

かすみ『えへへ、ありがとうございます♡ではまた明日♡』ブチ

侑「……」ツーツー

38 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 08:55:17 ID:mbMps5jg
侑「……」ピッ

侑「……はぁ〜〜」ゴロン

侑「どうしよう、告白ドッキリのつもりだったのに気づいたらかすみちゃんと恋人になってしまった……」

侑「今ドッキリって言ったらどうなるのかな……?」

侑「……」

侑「……寝よう。寝て全てを忘れよう」

侑「これは悪い夢なんだ」

侑「目が覚めたらきっと全部元通り」

侑「怖いからスマホの電源切っとこ」スッスッ

侑「これでよし、っと」

侑「ふぅ〜、はぁ〜。どうしよう……」

侑「おやすみなさい……」モゾ

39 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 08:59:14 ID:mbMps5jg
「――ちゃん」ユサユサ

侑「んぅ……」

「――ちゃん起きて」ユサユサ

侑「ん〜……」

「――侑ちゃん起きて。もう夕方だよ」ユサユサ

侑「……ん?」パチ

歩夢「おはよう、侑ちゃん」ニコ

侑「ふわぁ……。もう夕方ぁ?結構寝ちゃってたな……」グシグシ

歩夢「どのくらい寝てたの?」

侑「んーと……」ピタ

侑「……え、歩夢?」チラ

歩夢「そうだよ?」ニコ

40 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 09:03:29 ID:mbMps5jg
侑「歩夢……。どうやって入ってきたの?」

歩夢「玄関からだけど」

侑「そうじゃなくて……」

歩夢「うん?」

侑「鍵、掛かってたよね?」

歩夢「うん、掛かってたよ?」

侑「……鍵掛かってるのにどうしてここにいるの?お母さんはまだ帰ってきてないはずだよ」

歩夢「何かあったときのために、おばさんから合鍵を預かってるんだけど……え、聞いてない?」

侑「……初めて聞いた。なんだ、そうだったんだ」

侑「朝起きたら歩夢がいるもんだからびっくりしたよ〜」

歩夢「ごめんね?」

侑「ううん、気にしないで」

41 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 09:08:30 ID:mbMps5jg
侑「それで……」チラ

歩夢「帰ってきたら連絡するって言ってたのに、いつまで待っても連絡ないから来ちゃった♪」

歩夢「こっちから電話しても繋がらないし、もしかして何かあったのかと思って……」

侑「あー、そうなんだ」

侑(寝る前に電源切ったんだっけ。でも、それだけでわざわざ訪ねてくるなんて歩夢も心配性だな〜)

侑(ま、それが歩夢のかわいいとこなんだけどさ♪)

侑「……ふあ」

歩夢「まだ眠い?」ボフ

侑「ちょっとね〜」グシ

歩夢「それなら返事は明日の方がいいかな?」

侑「返事?」

歩夢「ほら、私に告白してくれたじゃない。その返事♪」

42 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 09:12:05 ID:mbMps5jg
侑「あー」

侑(歩夢にもドッキリ仕掛けたんだったね)

侑(ふふ、ようやくドッキリできると思ったら目が冴えてきたよ!)

侑「聞かせて聞かせて!」

歩夢「大丈夫?」

侑「うんうん♪」

歩夢「そっか。じゃあ、言うね?」

侑(早く「ドッキリ大成功!」って言いたい!)ワクワク

歩夢「……」スッ

歩夢「……ねぇ、覚えてる?幼稚園の頃に約束したよね」

侑「約束?」

侑(いきなり何を言い出すんだろう?)

43 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 09:16:32 ID:mbMps5jg
歩夢「大人になったら私と結婚してくれるって」

侑「へ?」

歩夢「覚えてない?」

侑「そんなこと言ったっけ?」

歩夢「侑ちゃんから言ってくれたんだよ?忘れたの?」プクー

侑(あ、その顔かわいい……じゃなくてっ)

侑「えっと、ごめん?」

歩夢「むぅ。私はずっと覚えてたのにな〜」

侑「あはは。忘れたのは悪いと思ってるけど、今回の告白の件とは何も関係ないでしょ?」

歩夢「関係大アリだよ。付き合うってことは、最終的には結婚するってことだもん♪」

侑「付き合う?」

歩夢「うん。私も侑ちゃんが好きだから♡」ニコ

44 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 09:56:49 ID:mbMps5jg
侑「えっと……?」

歩夢「もう、相変わらず鈍感なんだから。私もね、ずっと前から侑ちゃんのことが好きだったの♡」

歩夢「さっき告白されたときは本当に嬉しかったな〜♡」

侑「え?え?」

侑「あ、歩夢、私のこと好きなの?」

歩夢「大好き♡」ニコッ

侑「友達として?」

歩夢「どうしてそうなるの?」

侑「あ、いや、えっと……」

侑(嘘でしょ。歩夢までそんな、私のこと……)

侑(おかしいよ、なんで2人とも私が好きなの??)

侑(そんな素振り全然見せてこなかったじゃん……!!)

45 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 10:01:21 ID:mbMps5jg
歩夢「……侑ちゃん、何か様子が変だよ?」

侑「へ、変、かなぁ?はは、あはは」

歩夢「汗もかいてるみたいだし……」スッ

侑「ね、ねぇ、歩夢?」

歩夢「なぁに?」

侑「本当に好きなの……?」

歩夢「もちろん。……ずっと好きだったよ。侑ちゃんと初めて会ったあの日から」

侑「ふ、ふーん。そっかぁ」

侑「び、びっくりだなぁ。歩夢ったらそんな素振り、ちっとも見せないんだもん」

歩夢「そんなことないよ。これでも結構アプローチした方だと思うよ?侑ちゃんは全然気づいてくれなかったけど」ジトー

侑「あはは、あはははは」

歩夢「〜♡」ムギュ

侑(いつもより距離が近いよぉ……)

46 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 10:05:50 ID:mbMps5jg
歩夢「侑ちゃんの匂いがする♡」ギュー

侑「寝てるときに汗かいちゃったかも……」

歩夢「いい匂いだよ♡」ギュー

侑「そ、そっか」

歩夢「うん♡」ギュー

侑(歩夢も私と同じようにドッキリ仕掛けてる……とかじゃないよね?)

侑(それだったら凄く安心なんだけど……)

侑(……聞いてみるか)

侑「歩夢、私のこと好きって言うのはさ、実はドッキリなんじゃない?」

歩夢「ドッキリ?」チラ

侑「そう。私に好きって言って、どんな反応をするか試してる、みたいな?」

侑「そ、それなら早く言ってよね?怒らないからさ!」

歩夢「……」

47 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 10:10:44 ID:mbMps5jg
歩夢「侑ちゃんは信じてくれないの?」

歩夢「私はこんなにも侑ちゃんが好きなのに……」ズイッ

侑「な、なに、歩夢、そんな顔近づけ――」チュッ

侑(え……?い、いま……キス……)

歩夢「……ぷは。これで、信じてくれる?」スッ

侑「あゆ、む……」

侑「……疑ったりして、ごめん」

歩夢「ううん。ドッキリって言われたときはちょっとムッとしちゃったけど……」

歩夢「おかげで侑ちゃんとキスできたからいいよ♡」ニコッ

侑「……」

侑(こんな……)

侑(こんな状況で……「ドッキリでしたー」なんて言えるわけないじゃん……)

48 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 10:13:39 ID:mbMps5jg
歩夢「侑ちゃんっ♡」ムギュ

侑「……!」ビク

歩夢「私、ファーストキスだったよ。侑ちゃんは?」

侑「……私も初めて」

歩夢「よかったぁ〜♡」ギュー

侑「……」

歩夢「むー。何か全然嬉しくなさそう」プクー

侑「そ、そんなことないよ」

歩夢「本当に?」ジトー

侑「……」フイ

歩夢「侑ちゃん?」ピコン♪

歩夢「……ん、LINEだ」ゴソ

49 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 10:18:56 ID:mbMps5jg
歩夢「ちょっと確認するね?」スッ

侑「う、うん」

侑(誰か知らないけど助かった……)ホッ

侑(はぁ、本当にどうすればいいんだろ……)

侑(ただ普通にドッキリを仕掛けるつもりが、まさかこんな事態になるなんて……)

侑(2人が私を好きだって知ってたらこんなドッキリ、絶対やらなかったのに……)

侑(このまま付き合うっていう手もあるけど……)

侑(そもそも2人に恋愛感情なんてないし、二股とか最低だもんね。私だったらそんな人と付き合いたくない)

侑(土下座して全部正直に話したら許してくれないかな?)

侑「……」チラ

歩夢「……」スッスッ

侑(歩夢、凄い真剣にスマホ見てるな。誰からだろう?)

50 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 10:22:18 ID:mbMps5jg
侑(気になる……)ジー

歩夢「……なぁに?」スッ

侑「あ、いや、誰かなーって」

歩夢「んー、友達」

侑「友達?」

歩夢「私、そろそろ帰るね」スクッ

侑「え?もう帰るの?」スッ

歩夢「うん」ガチャ

侑「あ、歩夢?」

歩夢「ねぇ、侑ちゃん」

侑「……?」

歩夢「……なんでもない。また明日ね」バタン

侑「歩夢……?」ポカン

51 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 15:04:07 ID:mbMps5jg
侑「行っちゃった……」

侑「どうしたのかな?LINE来てから様子が……」

侑「あ、私もLINE確認しよっと」カチッ

侑「んー」スッスッ

侑「お、かすみちゃんからだ」

かすみ:侑先輩、宿題の進行具合どうですか?

かすみ:あれ?侑先輩?

かすみ:お〜い

かすみ:返事してくれないとかすみん悲しいですよ〜

かすみ:侑先輩〜

かすみ:かわいい彼女のかすみんですよ〜

かすみ:かまってください〜〜

かすみ:宿題でスマホ見る余裕もないんですか?

52 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 15:06:33 ID:mbMps5jg
かすみ:不在着信

かすみ:不在着信

かすみ:不在着信

かすみ:不在着信

かすみ:侑先輩〜〜電話出てください〜〜

かすみ:不在着信

かすみ:不在着信

かすみ:不在着信

かすみ:もしかして電源切ってます?

かすみ:不在着信

かすみ:不在着信

かすみ:宿題終わったら連絡ください。待ってます。

53 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 15:10:06 ID:mbMps5jg
侑「10回近く電話かけてきてる……」

侑「かすみちゃんってこんなに積極的だっけ?」

侑「恋人になったから、とか?」

侑「……返信しないと」スッスッ

侑:かすみちゃんごめん、今まで寝てた

侑:電話とか全然気づかなかったよ〜

侑:宿題はバッチリ終わったよ!

侑:スタンプ

侑「これでよし!」

侑「んーっ」ノビー

侑「あっ、今日は自分で夕飯作らないとだ」スクッ

侑「お米研いでこよーっと」スタスタ

54 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 15:13:50 ID:mbMps5jg
――リビング

侑「ふぅ、洗い物おしまいっ」フキフキ

侑「返事来たかな?」スッ

侑:スタンプ 未読

侑「まだ既読になってないなぁ。いつもだったらすぐに返事来るのに」

侑「かすみちゃんも忙しいんだよね。たぶん」ガチャ

侑「?」チラ

侑母「ただいま〜」

侑「お母さんおかえり。夕飯温める?」

侑母「ええ、おねがい」ストン

侑「はーい」ピッピッ

侑(そうだ、お母さんに合鍵の件言っとかないと)スッ

55 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 15:19:12 ID:mbMps5jg
侑「ねぇねぇ、お母さん」

侑母「ん?」

侑「合鍵のことさー、私にも教えてよね。今日びっくりしたんだから!」

侑母「何の話?」

侑「歩夢に合鍵渡してるんでしょ?」

侑母「はぁ?なんで歩夢ちゃんに渡すのよ?」

侑「え?」

侑母「いくら幼馴染みだからって合鍵渡さないわよ」

侑「おかしいな、歩夢は確かにお母さんから預かったって言ってたのに……」

侑母「夢でも見てたんじゃないの?」

侑「寝起きだったけど、夢ってわけじゃ……」

侑母「はいはい。夢の内容を話す暇があるならさっさとお風呂入ってきなさい。どうせまだなんでしょう」

侑「わ、わかったよ〜」

56 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 15:23:49 ID:mbMps5jg
――侑の部屋

侑「ふぃ〜」ゴロン

侑「寝るまでもう少し時間あるし、暇になっちゃった」モゾモゾ

侑「……」モゾ

侑「……歩夢、合鍵のこと嘘ついてたのかな?」

侑「いやでも、歩夢が嘘をつく理由なんて……」

侑「そもそも私の家の合鍵を持ち出して何になるの?」

侑「う〜ん、全然わからないや」

侑「まあ、明日それとなく聞いてみればいいか」スッ

侑「ん?お風呂入ってる間にLINE来てたんだ」スッスッ

かすみ:侑先輩〜♡暇なのでかまってください〜♡

侑「5分前かぁ。ちょうどいいタイミングだね♪」スッスッ

57 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 15:27:12 ID:mbMps5jg
侑:私も暇なんだー

侑:もう少しで寝るかもしれないけど、それでもいい?

かすみ:わーい♡

かすみ:侑先輩何してたんですかぁ?

侑:お風呂入ってたよ。かすみちゃんは?

かすみ:かすみんもさっきお風呂入ってました♡

かすみ:その前までは友達と電話してたんです♡

侑:へー

かすみ:むむ、なんだか興味なさそうですね?

侑:そんなことないよ

かすみ:本当ですか〜?

侑:ほんとほんと

58 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 15:43:26 ID:mbMps5jg
侑:逆に誰と電話してたの?とか聞かれると困らない?

侑:そういうのって言いづらいだろうし

かすみ:そうですかね?かすみんは別に聞かれたら答えますよ〜

侑:じゃあ聞いていい?

かすみ:歩夢先輩です♡

侑「えっ」

侑「あ、歩夢?どうして……」

侑「いや、友達なんだし、電話くらいするよね?」

侑「余計なこと言ってないといいけど……」

侑「……私に告白された、とか」

侑「……」スッスッ

侑:歩夢と?

59 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 15:51:32 ID:mbMps5jg
かすみ:はい♡

かすみ:話が弾んじゃって、何時間も電話しちゃったんですよ〜♡

かすみ:あんなに長時間電話したのは久しぶりでした♡

侑:そうなんだ。歩夢とはよく電話するの?

かすみ:たまーにですかね。1ヶ月に1回とか

侑:それだけしか電話しないんだ?

かすみ:そうですね〜。大体はLINEで済みますし♡

侑:たしかにね

かすみ:侑先輩はどのくらいの頻度で電話してるんですか?

侑:歩夢とだよね?ほぼ毎日電話してるよ

かすみ:え

かすみ:毎日ですか

60 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 15:56:01 ID:mbMps5jg
侑:今日は電話してないかも

かすみ:でもほぼ毎日電話してるんですよね?

侑:そんな長時間は話さないけどね

かすみ:隣に住んでるなら会って話せばいいのに

侑:部屋に行ったりベランダ出ないといけないからね

侑:電話だとすぐ話せるしさ

かすみ:む〜〜

侑:かすみちゃん?

かすみ:ずるいです!かすみんも侑先輩と毎日電話したいです〜〜!!

侑:今でも結構電話してる方じゃない?

かすみ:1週間に1回程度じゃないですか〜〜

かすみ:歩夢先輩だけずるいですよぅ〜〜

61 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 15:59:07 ID:mbMps5jg
侑:ずるいだなんてそんな

かすみ:スタンプ

侑:スタンプ

かすみ:これからはかすみんとも毎日電話してくれますよね?

侑:え?

かすみ:かすみんと侑先輩は恋人♡なんですから♡♡

かすみ:幼馴染みの歩夢先輩はよくて、恋人♡のかすみんはダメ、なんてこと……

かすみ:ないですよね??

侑「うぐ……」スッスッ

侑:長時間は電話できないからね

かすみ:わかってますよぉ〜♡

かすみ:1時間くらいにしときます♡♡

62 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 16:02:33 ID:mbMps5jg
侑:1時間でも長いって!

かすみ:え〜〜

かすみ:これでも十分妥協した方だと思いますけど♡

侑「これで妥協って……」スッスッ

侑:いつもそんなに電話してるの?

かすみ:そういうわけじゃないですけどぉ〜

かすみ:好きな人とはずっと電話していたいじゃないですか〜♡

侑:そういうものなの?

かすみ:はい♡

かすみ:侑先輩となら24時間ずっと電話できますよ♡♡

侑「本気で言ってるのかな?」スッスッ

侑:それは凄いね〜

かすみ:えへへ♡

63 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 16:05:30 ID:mbMps5jg
かすみ:あ、そういえば〜♡

侑:うん?

かすみ:明日のデート楽しみですね♡

侑:デート?

かすみ:放課後にデートする約束したじゃないですか〜♡

かすみ:忘れたんですか?

かすみ:スタンプ

侑「約束っていうか無理矢理だよね。あのときのかすみちゃん怖かったなぁ」

侑「あれが本性だったり?あはは、まさかね〜」スッスッ

侑:もちろん覚えてるよ

かすみ:よかったです〜♡

かすみ:忘れてたらどうしようかと思いました♡♡

64 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 16:08:36 ID:mbMps5jg
侑:あはは

かすみ:デートが楽しみでかすみん、今日眠れないかも〜♡♡

侑:ちゃんと寝ないとダメだよ?

かすみ:は〜い♡

侑「明日本当にデートするのかな?」

侑「……適当に理由つけて同好会休むしかないかぁ」ピコン♪

侑「んー、歩夢からだ」スッ

歩夢:侑ちゃん、明日デート行かない?

侑「えっ?」

侑「……」ゴシゴシ

歩夢:侑ちゃん、明日デート行かない?

侑「嘘でしょ……」

65 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 17:07:36 ID:mbMps5jg
侑「あ、歩夢からもデートのお誘いが来るなんて……」

侑「なんて返事をすれば……」スッスッ

侑:デート?

歩夢:うん。せっかく侑ちゃんと恋人になれたんだし♡

歩夢:初デートしたいなーって♡

侑:そうなんだ

歩夢:なんか反応薄くない?

歩夢:もしかして明日用事あるの?

侑「どうしよう、本当のことなんて言えるわけないし」

侑「それっぽく誤魔化してみよう」スッスッ

侑:実は明日、どうしても外せない用事があって〜

侑:だから歩夢とはデートできないかも

66 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 17:10:24 ID:mbMps5jg
歩夢:そうなの?

侑:ごめんね

歩夢:外せない用事って何?

侑「……」スッスッ

侑:大切な用事なの。ごめんね

歩夢:その用事の内容を聞いてるんだけど??

侑:歩夢怒ってる?

歩夢:怒ってないよ

歩夢:スタンプ(顔面に膝蹴り)

歩夢:スタンプ(顔面に膝蹴り)

歩夢:スタンプ(顔面に膝蹴り)

侑「絶対怒ってるじゃん……」

67 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 17:13:09 ID:mbMps5jg
侑「理由を話さずに済む方法は……」

侑「……私も同じスタンプ送ってみるか」スッスッ

侑:歩夢、そんな怒らないでよ〜

侑:スタンプ(顔面に膝蹴り)

歩夢:は??

侑:ごめんなさい

歩夢:私のことバカにしてるよね?

侑:してないです

歩夢:私は侑ちゃんに用事の内容を聞いてるの

歩夢:ふざけてる場合じゃないでしょ

侑:ごめんなさい

歩夢:謝罪が聞きたいわけじゃないんだけど

68 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 17:16:05 ID:mbMps5jg
歩夢:その外せない用事の内容は?

侑:それはその

歩夢:それは?

侑:ちょっと話せないと言いますか

歩夢:はぁ??

侑:落ち着いて

歩夢:落ち着いてるよ

歩夢:私との初デートよりも大事な用事なの?

侑:えっと、なんと言えばいいのか

歩夢:はっきり言いなよ

歩夢:歩夢とつまらないデートなんかするよりも、もっと大切な用事があるって。言いなよ、ほら

歩夢:スタンプ(顔面に膝蹴り)

69 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 17:19:17 ID:mbMps5jg
侑「怖い、怖いよ、歩夢キレすぎだよ……」

侑「なんでこんなにキレてるの……?」

歩夢:どうしたの?言いなって

歩夢:私とデートしたくないんでしょ?

侑:私は別に歩夢とデートしたくないってわけじゃ

歩夢:私よりも別の用事の方が大切なんだよね?

侑:えっと、明後日はダメなの?

歩夢:ダメ

侑:明後日なら行けると思う

歩夢:私は明日の話をしてるんだよ?

歩夢:すり替えようとしないでよ

侑「どうしよう、どうしよう」

70 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 17:23:35 ID:mbMps5jg
歩夢:このままだと埒が明かないね

歩夢:今からそっち行くよ。LINEだと面倒になってきた

侑「へっ」

歩夢:すぐ支度するから

侑「やばいやばい、歩夢が来ちゃう」スッスッ

侑:待って

歩夢:なに?

侑「凄い怒ってるみたいだし、もし、かすみちゃんとデートするから歩夢とは行けないって知られたら……」

侑「な、何かないの?この状況を打開する方法は……」

歩夢:上着羽織った。家出るね

侑:明日デートしよう!!

侑「……私の負けだよ。もうこれしか方法が思いつかなかった」

71 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 17:26:06 ID:mbMps5jg
歩夢:え?いいの?

侑:うんうん

歩夢:大切な用事があるんでしょ?

侑:よくよく考えたら歩夢の方が大事だしさー

侑:不安にさせてごめんね

歩夢:ううん、いいの。侑ちゃんが私を選んでくれたから♡

歩夢:侑ちゃん大好き♡♡

歩夢:スタンプ

侑:スタンプ

歩夢:明日楽しみだな〜。どこ行く?

侑:歩夢とならどこでも

歩夢:そっかぁ♡

72 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/19(土) 17:29:36 ID:mbMps5jg
歩夢:どこに行こうかな〜♡

侑「……」スッスッ

侑:それは明日考えない?もうそろそろ寝ないと

歩夢:あー、そうだね。明日学校だもんね

侑:うん。おやすみ〜

歩夢:おやすみなさい、侑ちゃん♡

歩夢:大好き♡♡

侑「……」ボフッ

侑「どうしよう、本当にどうしよう」

侑「かすみちゃんとデートの約束をしたのに、歩夢とも約束してしまった」

侑「だってしょうがないじゃん。あの状況で断れないよ」

侑「どうしよう……」

73 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 08:00:28 ID:OfNSQPUM
侑「はぁ……」ピコン♪

侑「……今度は誰?また歩夢?」スッ

かすみ:侑先輩、浮気をする人ってどう思いますか?

侑「!?」ガバッ

侑「な、な、え、う、浮気って?」

侑「まさかバレ……いや、そんなわけ」

侑「そもそもこれって浮気なの?」

侑「……」

侑「既読つけちゃったし、返信しないと……」スッスッ

侑:いきなりどうしたの?

かすみ:ん〜、特に理由はないですよ?

かすみ:侑先輩はどう思うのかな〜って

74 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 08:03:42 ID:OfNSQPUM
侑:浮気をするのはよくないと思うよ。うん。

かすみ:ですよね〜

かすみ:浮気なんて最低ですよね。同じ日にデートの約束を取りつける人って本当に最低ですよね♡

侑「」

侑「これって、ま、まさか」

侑「いや、でも」

侑「偶然、これは偶然なんだ」スッスッ

侑:そんな人がいるの?

かすみ:いるみたいですよ〜♡

かすみ:かすみんの身近にもいるかもしれませんね♡

侑:あははは

かすみ:スタンプ(顔面に膝蹴り)

侑「ひっ」

75 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 08:07:00 ID:OfNSQPUM
侑「あ、歩夢が使ってたスタンプと同じやつだ」

侑「偶然、だよね?これって人気だし、無料で配布されてるやつだし」

侑「2人が繋がってるわけ……」ピコン♪

かすみ:侑先輩♡

かすみ:かすみんは侑先輩だけを愛していますから♡

かすみ:そのことを忘れないでくださいね?

かすみ:おやすみなさい♡

かすみ:スタンプ

侑「……」スッスッ

侑:おやすみ

侑「……」スッ

侑「……寝よう」

76 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 08:11:09 ID:OfNSQPUM
――翌朝・侑の部屋

侑「……んん」モゾモゾ

侑「ふわぁ〜……」ノビー

侑「んむ……」グシグシ

侑「……」ボケー

侑「……」スッ

せつ菜:朝、生徒会室に来てください。待ってます。

侑「生徒会……?」スッスッ

侑「……あ、そうか。せつ菜ちゃんにも……」

侑「……」

侑「……」スッスッ

侑:わかった

77 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 08:14:06 ID:OfNSQPUM
侑「……」スタスタ

侑「……」ガラッ

侑「……」スッ

侑「……ふぅ〜。風が気持ちいいな……」

侑「はぁ……」

侑「昨日に戻れるなら戻りたい……」ガララッ

侑「……」チラ

歩夢「おはよう」ニコ

侑「……おはよ」

歩夢「今日もいい天気になりそうだね〜」

侑「うん……」

歩夢「昨日も遅くまで起きてたでしょ。まだ眠そうだよ?」

78 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 08:17:01 ID:OfNSQPUM
侑「なかなか寝付けなくてさ。ふあ……」

歩夢「ふふ、大きなあくび♪」クスッ

侑「もー、笑わないでよ」

歩夢「ごめんごめん。じゃあ、下で待ってるね?」スッ

侑「先に行ってていいよ?」

歩夢「待ってるよ。一緒に行きたいし」

侑「そっか、ありがとう」

歩夢「ううん♪」

侑「ねぇ、歩夢」

歩夢「なぁに?」

侑「……なんでもない。すぐ着替えてくるから!」

歩夢「うん、わかった♪」ニコッ

79 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 08:20:38 ID:OfNSQPUM
――待ち合わせ場所

歩夢「侑ちゃーん」フリフリ

侑「歩夢、待たせてごめ――」

かすみ「侑先輩〜♡」ヒョコッ

侑「――ん!?」

侑(な、なんでかすみちゃんがここに!?)

侑(歩夢の後ろに隠れてて気づかなかった……)

かすみ「えいっ♡」ギュッ

侑「うひゃ」ビクッ

侑(う、腕を絡ませてきた……。やばい、歩夢に見られ――)チラ

歩夢「うひゃ、だって。かわいい〜」ニコニコ

侑(あ、あれ?なんともない?)

80 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 08:24:41 ID:OfNSQPUM
かすみ「侑先輩、おはようございます♡」ニコッ

侑「お、おはよう」

かすみ「かすみんの顔に何かついてます?」ギュー

侑「いや、どうしてここにいるのかなって」

かすみ「むっ。かすみんがいたらいけませんか?」プクー

侑「そういうわけじゃ……」

歩夢「かすみちゃんも今日から一緒に学校行きたいんだって」

侑「えっ。かすみちゃんの家ってここから遠いよね?」

かすみ「侑先輩と一緒に学校行きたいので、これくらいへっちゃらですよ♡」ムギュ

侑「そ、そっか」

侑(かすみちゃんくっつきすぎだよぉ……)

歩夢「……」ニコニコ

81 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 08:29:39 ID:OfNSQPUM
歩夢「かすみちゃん、侑ちゃんと一緒にいるときはいつもそんな風に猫なで声で話してるの?」ニコニコ

侑「猫なで声?」

かすみ「あ、歩夢先輩?何を言ってるんですかぁ?」

かすみ「かすみんはいつもこうですよ〜?えへっ♡」

歩夢「ふーん。まあ、そういうことにしとこうか」

侑「猫なで声って?」

歩夢「えっとね〜」

かすみ「早く学校行きましょう?遅刻しちゃいますよっ」グイグイ

侑「わわっ」

歩夢「じゃあ私も♪」ムギュ

侑「歩夢!?」

侑(歩夢まで腕を……。何この状況……)

82 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 08:34:28 ID:OfNSQPUM
かすみ「それで、しず子が〜」ギュー

歩夢「へ〜」ギュー

侑「……」スタスタ

侑(みんなに見られて恥ずかしい……)

侑(というか、2人とも力強すぎない?全然振りほどけないんだけで……)

侑(気分はさながら犯行現場を取り押さえられた犯人だよ……)

侑(それにしても……)チラ

歩夢「でね〜」

かすみ「あはは」

侑(なんで歩夢は何も言ってこないの?いつもの歩夢ならかすみちゃんが腕を絡めてきた時点で怒ってるのに……)

侑(ま、まさか2人は知ってるの?)

侑(2人同時に付き合ってるって……。いや、私にその気は全然ないんだけどさ〜……)

83 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 08:38:33 ID:OfNSQPUM
侑(付き合う気がないなんて言ったらどうなるかな?)

侑(実はドッキリでした〜!2人とは付き合えない!って)

侑(大変なことになるだろうな〜。あはは)

侑(あはは、あはははっ)

侑(……笑えないよ。どうしよう)

歩夢「デートどこに行こうかな〜」

侑「……!」ビクッ

かすみ「えー?歩夢先輩、恋人いるんですかー?」

歩夢「うん、そうなの。楽しみ〜」

かすみ「実はかすみんもー、恋人ができてー」

かすみ「今日初デートする予定なんですよー」

侑(やばいやばいやばい)ダラダラ

84 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 09:05:22 ID:OfNSQPUM
歩夢「へ〜、そうだったんだ。奇遇だね?」

かすみ「そうですねー」

侑(逃げたいけど両腕をガッチリ固められて逃げられない)

侑(変な挙動を見せたら怪しまれるからしないけど……)

かすみ「歩夢先輩の恋人ってどんな人なんですか?」

侑「ちょ」

かすみ「侑先輩?どうかしました?」ニコッ

侑「い、いや、なんでも?」

かすみ「……」ニコニコ

歩夢「えっと、私の恋人はね?」

歩夢「優しくてかっこよくて、とっても頼りになる人だよ。あと最近ピアノも始めてね〜」

かすみ「へー、なるほどなるほどー」

85 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 09:10:01 ID:OfNSQPUM
かすみ「かすみんの恋人も似たような感じですよー。同じようにピアノの始めたらしくてー」

かすみ「その人のピアノを聴くの、とっても大好きなんです!」

侑(ちょっと嬉しいな……)テレ

歩夢「そっかぁ」

歩夢「ここまで恋人が似てるなんてね。もしかして同じ人だったりするのかな?」

侑「……」ピクッ

かすみ「まさかぁ。同じ恋人ってことは浮気じゃないですか」

かすみ「かすみんの恋人はそんなことしませんっ。ね、侑先輩?」ギュー

侑「はは、ははは。そうだね」

歩夢「そうだよね。ね、侑ちゃん?」ギュー

侑「あはははは」

侑(これ絶対バレてるやつじゃん)

86 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 09:14:05 ID:OfNSQPUM
かすみ「もし、歩夢先輩の恋人に浮気されたらどうしますか?」

侑「……」

歩夢「変なこと言わないでよ。昨日付き合い始めたばかりだよ?浮気なんてするわけないじゃん」ギュッ

侑「あ、歩夢、痛いよ」

歩夢「え?ごめんね、ちょっと強すぎたかな?」ギュー

侑(痛い)

かすみ「ですよねー。同じ日に恋人作るわけないですもんねー」ギュゥ

侑(痛い痛い)

歩夢「そんな最低な人いる?」ギュー

かすみ「世の中は広いですから。いるかもしれませんよ」ギュー

歩夢「そうかなぁ。怖いね、侑ちゃん」ムギュ

侑(もうやめてよ、汗と震えが止まらないよ)

87 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 09:49:34 ID:OfNSQPUM
かすみ「もしも、もしもですよ。歩夢先輩が付き合ってる恋人に浮気をされたらどうします?」

歩夢「その話まだ引っ張るの?」

侑「そ、そうだよ。そんな話したって楽しくないじゃん。もっと楽しい話しようよ」

かすみ「はぁ?」

侑「えっ」

かすみ「こ、こほんっ。なんでもないです〜♡」

歩夢「どうしたの?化けの皮剥がれちゃった?」

かすみ「化けの皮なんて言わないでくださいよ〜♡」

かすみ「かすみんはぁ、そんな皮持ってないです〜♡」

歩夢「あはは。被ってるのは猫かな?」

かすみ「もぉ、歩夢先輩ってば〜♡」

侑「……」ポカン

88 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 09:53:43 ID:OfNSQPUM
かすみ「歩夢先輩、さっきの話の続きですけど〜」

侑(かすみちゃんがわからなくなってきた……)

歩夢「浮気をされたらだっけ?」

かすみ「はい♪」

歩夢「うーん、そうだなぁ」

歩夢「浮気をされるのはやっぱり嫌だよ。悲しいもん」

歩夢「私の魅力が足りないからかな、とか考えちゃうかも」

かすみ「そんな、歩夢先輩は魅力的でとってもかわいいですよ〜!」

歩夢「ありがとう。自分が世界で一番かわいいと思ってるかすみちゃん。お世辞でも嬉しいよ」

かすみ「歩夢先輩、一言多いって言われません?」

歩夢「言われたことないな〜」

かすみ「うふふ。みんな気を使ってるんですね〜」

89 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 09:56:56 ID:OfNSQPUM
歩夢「んんっ。侑ちゃんはどう?」ギュッ

侑「へっ」

歩夢「恋人に浮気をされたら、侑ちゃんならどうする?」

侑「そ、そんな話私に振られても」

かすみ「かすみんも気になります〜。教えてください〜♡」ギュー

侑「う、浮気をされるのは嫌だよ。悲しいもん」

かすみ「その台詞、さっきも聞いたような〜?」

歩夢「自分の言葉で言おうよ」

侑「ご、ごめん。や、やっぱりさ、浮気をするのはよくないと思うよ。うんうん」

かすみ「なるほど〜〜♡」

歩夢「で、どうするの?」

侑「え?」

90 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 10:01:08 ID:OfNSQPUM
侑「だから、浮気をするのはよくないと……」

歩夢「うんうん。浮気をされたら侑ちゃんはどうする?」

侑「え……?」

歩夢「浮気をするのはよくない、って言うのは侑ちゃんの感想でしょ?」

歩夢「浮気をされたら、侑ちゃんならどう行動するの?」

侑「あ、ああ。叱るかな?ダメだぞー、って」

歩夢「それだけ?」

侑「あとは……もうしないように約束する、とか?」

かすみ「ふむふむ」

歩夢「なるほどね。教えてくれてありがとう」ニコッ

侑「う、ううん?このくらいなら別に?」

歩夢「……」ニコニコ

91 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 10:05:50 ID:OfNSQPUM
歩夢「かすみちゃんならどうする?」

かすみ「かすみんですか?かすみんはですね〜」

歩夢「うんうん」

かすみ「侑先輩とほぼ同じですよ。まずは叱ります」

かすみ「そして、どうして浮気したのか理由を聞いて、もう二度と浮気しないように約束させます」

かすみ「それでも反省しないようなら……」

かすみ「……」チラッ

侑「へぁ」

かすみ「うふふ♡」ニコッ

侑「ど、どうしてこっちを見たの?」

かすみ「……♡」ニコニコ

侑(これが無言の圧力……)

92 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 10:09:57 ID:OfNSQPUM
かすみ「次は歩夢先輩の番ですね♪」

歩夢「え〜、私?私は別にどうもしないよ〜」

かすみ「本当ですかぁ?結構怒りそうに見えますよ?」

歩夢「かすみちゃん、私をなんだと思ってるの?」

かすみ「えへへ、ごめんなさ〜い」

歩夢「まったく……」ハァ

歩夢「でも、そうだね。私だったら――」

歩夢「――殺すかな」

侑・かすみ「えっ?」

歩夢「殺すよ。私を裏切る人なんていらないもん」

歩夢「謝っても絶対許さない。私という恋人がいるのに浮気をするのが悪いんだよ」

歩夢「殺されたってしかたないよね?」

93 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 10:14:08 ID:OfNSQPUM
侑「あ、あゆ、歩夢……?」カタカタ

かすみ「あ、歩夢先輩……あの……」

歩夢「……なーんちゃって」

かすみ「へっ?」

歩夢「冗談だよ。私がそんなことするわけないじゃない」

歩夢「2人をちょっと驚かせようとしただけ♡」

かすみ「も、も〜!びっくりしたじゃないですかぁ〜!!」

かすみ「歩夢先輩、冗談きついですよぉ〜!!」

歩夢「ごめんごめん♪」クスッ

侑「……」

侑(歩夢のあの顔は本気だった、ような……)

侑(どうしよう、私今日死んじゃうのかな……?)

94 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 10:17:42 ID:OfNSQPUM
――虹ヶ咲学園

侑(ふ〜。ようやく自由になれた)

侑(人が増えてきたからさすがに離してくれたね)

かすみ「今日って朝練ないですよね?」

歩夢「ないよ。あったらバスだもん。ね?」

侑「ん、そうだね」

かすみ「なるほど〜」

歩夢「まだ時間あるし、部室に顔出す?」

かすみ「ですね〜。みんないると思いますし」

歩夢「侑ちゃんもそれでいい?」

侑「あー、私は用事があるんだった」

かすみ「用事ですか?」

95 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 10:21:40 ID:OfNSQPUM
侑「ちょっと生徒会の方にね」

歩夢「生徒会ってことは、せつ菜ちゃん?」

侑「うん。話があるって呼び出されてるんだ」

かすみ「こんな朝から呼び出しですかぁ?何か怪しい匂いがしますよ〜?」

侑「あはは、何言ってるの。そんなわけないじゃん」

かすみ「ですよね〜。言ってみただけです♡」

歩夢「ふふ、かすみちゃんってば」ツンツン

かすみ「えへへ〜」

侑「じゃあ行ってくるね。時間があれば部室の方にも寄るからさ」

かすみ「は〜い♡」

歩夢「またあとでね、侑ちゃん」フリフリ

侑「また〜」フリフリ

96 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 10:26:27 ID:OfNSQPUM
――生徒会室前

侑(ドッキリ、これはドッキリ)

侑(せつ菜ちゃんに限って私に恋愛感情はないだろうけど、これ以上恋人が増えるのは本当にまずい)

侑(このままだと私が殺されてしまう)

侑(入室してすぐに「ドッキリでしたー!」って叫ぶ)

侑(これならせつ菜ちゃんが何か言う前に先手を取れる)

侑「すー、はぁー……」

侑「……よしっ」グッ

侑「……」コンコン

『どうぞ』

侑(入室してすぐ、入室してすぐ)ガチャ

侑「ドッキリ――」

菜々「――侑さんっ!!!!!」

侑「!?」キーン

97 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 10:30:34 ID:OfNSQPUM
菜々「侑さん!!!待ってましたよ!!!!」

侑「ちょ、うるさい、うるさいって」

菜々「え!!?なんですか!!!?」

侑「うるさいってば!!」

菜々「何言ってるのか全然聞こえません!!!!!」

侑「声のトーン落としてよ!!うるさいっ!!!」

菜々「……ああ、これは失礼しました。少し声を張りすぎてしまったみたいですね」

侑「少し?」

菜々「なにか?」

侑「いや、別に。今日は菜々ちゃんなのに大声だったね」

菜々「おっと、そうでした」スチャ

せつ菜「――ふぅ」シュル

98 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 10:35:23 ID:OfNSQPUM
侑「あ、もう大声出さないでね。これ以上叫ぶと生徒会にクレーム入れるからね」

せつ菜「そんな大声出していましたか?」

侑「あはは、自覚なしって凄いなぁ」

せつ菜「よくわかりませんが気をつけますね」

侑「よろしくね。この距離だと鼓膜破けちゃうから」

せつ菜「ふふ。ご冗談を」

侑「あはは」

侑(ドッキリって言おうとしたら、せつ菜ちゃんの声でかき消されてしまった)

侑(朝からよくあんな大声出せるよね〜)

侑(タイミングを完全に逃しちゃったよ……)ハァ

せつ菜「侑さん、とりあえず座ってください」スッ

侑「はーい」ボフッ

99 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 10:42:48 ID:OfNSQPUM
せつ菜「呼び出したのは昨日の件です」ボフ

侑「んん?」

せつ菜「侑さん?」

侑「えっと、なんで隣に座ってるのかな?」

せつ菜「いけませんか?」

侑「そ、そういうわけじゃないけどさ」

侑(少しせつ菜ちゃんの様子がおかしいような?)

侑(いつもなら隣じゃなくて正面に座るのに)

せつ菜「話を戻しますね。侑さんが昨日告白してくれたあと、自分の部屋でよく考えました」

せつ菜「考えて考えて、たくさん考えて。そして、辿り着いた答えは――」

侑「実はその告白なんだけど――」

せつ菜「――私も侑さんと同じ気持ちでした」

侑「――」ピタッ

100 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/20(日) 10:49:55 ID:OfNSQPUM
侑「お、同じ気持ち、って言うのは」

せつ菜「私にとって侑さんはとても大切な人です」

せつ菜「スクールアイドルを諦めた私に、侑さんは手を差し伸べてくれた」

せつ菜「侑さんがいなければ……私は今こうしてスクールアイドルをやっていなかったでしょう」

せつ菜「本当に侑さんには感謝しています」ニコ

侑「う、ううん。私もせつ菜ちゃんの歌とか踊り、大好きだもん。辞めちゃうとかもったいなかったしね」

せつ菜「ふふ、ありがとうございます」

せつ菜「私の侑さんに対する気持ちは、尊敬や、友人として好きなんだと思っていました」

せつ菜「恋愛感情なんて、そんなものあるはずないと」

侑「うんうん、そうだよね?」

せつ菜「ですが、今回の件で気づいてしまったんです」

侑(あ、あれ?何か嫌な予感がするんだけど)


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