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(´・ω・`)は偽りの亡霊を捕まえるようです <解決編>

1 ◆wPvTfIHSQ6:2018/10/30(火) 21:14:46 ID:MoF6Jpjw0
▼前スレ
(´・ω・`)は偽りの亡霊を捕まえるようです
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1534955891/904

▼まとめのイケメンブーン芸神
ttp://boonsoldier.web.fc2.com/ituwariIV.htm

▼シリーズ過去作
(´・ω・`)は偽りの香りを見抜くようです+α
ttp://boonsoldier.web.fc2.com/ituwari.htm
(´・ω・`)は偽りの根城を突き止めるようです+α
ttp://boonsoldier.web.fc2.com/ituwariII.htm
(´・ω・`)は偽りの絆をつなぐようです
ttp://boonsoldier.web.fc2.com/ituwariIII.htm


あと九幕、十幕、終幕で完結です
ハードディスクが壊れさえしなければ

こっから解決ラッシュが始まるから未読は開いちゃダメゼッタイ

2名無しさん:2018/10/30(火) 21:53:05 ID:jFekY0go0
解決編楽しみにしてる!

3名無しさん:2018/10/30(火) 23:08:44 ID:MZI8jXQU0
待ってましたあ!!

4名無しさん:2018/11/04(日) 19:52:03 ID:FVVx1sHw0
そろそろかな

5名無しさん:2018/11/04(日) 22:25:35 ID:DYgfPzW.0
今日か明日には投下するわ
スレがageられてたら投下だと思ってくれ

6名無しさん:2018/11/04(日) 23:15:43 ID:VoEOeVOc0
高まるわぁ

7名無しさん:2018/11/05(月) 12:21:10 ID:MjbWosto0
たのしみ

8名無しさん:2018/11/05(月) 17:19:15 ID:oddAe11U0
最高楽しみ

9名無しさん:2018/11/05(月) 20:59:11 ID:h25gk5nA0
 
 
 
 ┏━─
    五月七日  午前十一時五七分  アルプス山脈  コテージ
                                         ─━┛
 
 
 
(´・ω・`) 「ん…」
 
 想定していた通り、コテージはかび臭く、自然の跡が多く見られた。
 イナリちゃんを呼んでいたら、多少調子が狂っていただろう。
 
 鑑識を呼んだものの、ろくに調べられそうなところもなかった。
 兄者と話をしながら、浮かんだ場所を一応、調べてみるだけだ。
 何かの染みやら跡は多く見られたが、情報という情報は炙り出せない。
 
 
( ´_ゝ`) 「どうぞ」
 
(´・ω・`) 「ヤ…メールだ」
 
 メールが届いたのはいいのだ、けど。
 添付ファイルが大きく、受信に時間がかかっているようだ。
 
.

10名無しさん:2018/11/05(月) 21:00:08 ID:h25gk5nA0
 
 
 
 ひとまず添付ファイルの受信をキャンセルし、
 文面だけをチェックすることにした。
 案の定、送り主はワカッテマスだ。
 
 第一から第四までを担当した全員が集合し、
 持ち寄った情報を共有したうえで、事件を頭から検討していた。
 
 僕も同席したかったところだが、致し方あるまい。
 メールには、検討の結果と今後の方針、参考資料が添付されていた。
 
 
(´・ω・`) 「……」
 
 基本的にショボーン班は、各捜査官の能力を尊重している。
 よそは知らないが、うちの場合、僕が不在なら、その場にいる各々に判断を委ねている。
 
 まあ、いちいち判断を下すのも面倒なだけだけど。
 縛るに縛れない濃い面々が多い班なんだから、仕方ない。
 
.

11名無しさん:2018/11/05(月) 21:01:09 ID:h25gk5nA0
 
 
 
 ざっと流し読みしたところ、みんなは貞子を引き取った第三者を追うらしい。
 着眼点は面白い。
 
 真っ先に脳裏に浮かんだのは、イナリちゃんの顔だ。
 確か、アルプス側から病院に干渉してくれているはずだ。
 引き渡し、それもグレーの可能性もある、という情報があるだけで、大きく変わる。
 
(´・ω・`) 「戻るか」
 
( ´_ゝ`) 「ん」
 
 
 コテージで検討したのは、具体的な位置関係だ。
 どこにコタツがあって、誰がどういった具合に寝ていたのか。
 
 舞台は夜、皆が寝静まったあと。
 貞子の位置次第で、貞子が起きることで起きうる人、を検討していた。
 
 兄者の記憶が曖昧だったのは多少気がかりだが、
 当時貞子の近くで寝ていた、すなわち騒いでなかったのは小森と擬古。
 このふたりは隣だったり近くで寝ていたため、可能性は高かろう、という話だ。
 
.

12名無しさん:2018/11/05(月) 21:01:56 ID:h25gk5nA0
 
 
 
 奇しくも、本件の一番目、二番目に殺されたふたりだ。
 報告メールを追う限り、だから一番目二番目に選ばれたわけではなさそうだが。
 
 ならふたりが怪しいか、となるとそうでもないのだ。
 別の部屋だったならともかく、全員がこの大部屋に寝ていた。
 
 ひとつわかったのは、もしクックルかミセリがつられて起きていた場合、
 もう片方は目覚めたりしていたんじゃないか、という程度。
 あまり強くはない根拠だが、リスクを考えるとひとまずは除外してもいいかもしれない。
 
 
(´・ω・`) 「うおッ……寒いな」
 
( ´_ゝ`) 「風よけとしては便利なもんスね、小屋って」
 
 残る四人のうち、擬古、小森、デミタス、兄者。
 十年も前の話である点や、証拠が薄すぎる点から、これ以上の検討は難しかった。
 
 それ以上に気になった点があった。
 あった、というより、気がついた、というべきか。
 
 十年前、誰かが貞子を落としたならば、
 それは当人らで示し合わせた会合によるものだったのか、
 偶発的にふたりが現場に赴き、なにかがきっかけで発展したものだったのか。
 
 そして、落としたら落としたで、その後犯人は、何を思って元の場所に戻ったのか。
 犯人は、朝になって、どうするつもりだったのだろうか。
 
.

13名無しさん:2018/11/05(月) 21:02:34 ID:h25gk5nA0
 
 
 
 保険を打つはずなのである。
 夜中に一度リビングを立っている以上、
 誰かにその動向を知られるだけで、瞬く間に犯人になってしまうのだ。
 
 たとえば、トイレに行った、ということにしたとして。
 わかりやすいアリバイのようなものを用意しておくのだ。
 小便をズボンに引っかけてしまった、とか。
 犯罪を犯す人間は、そういった小手先を好んで使う傾向がある。
 
 
 無策で戻った、ということは、あるいは最初から隠すつもりがなかったこともあり得る。
 しかし、だったらどうして、本件は事故として処理されているのか。
 
 今更、本件が事故だったと捉えるのは無理がある。
 最悪事故だったら事故だったで、それなりな根拠というものが必要だ。
 
 こういうのは、詰まったら一度は原点に立ち返るのだ。
 犯人は、一切特別なアクションは起こしていない。
 アリバイを残し得る何か、だ。
 トイレに行く、なにか事故を装う、など。
 
.

14名無しさん:2018/11/05(月) 21:03:12 ID:h25gk5nA0
 
 
 
 何もなかったのだから、結果事故として処理された、と言ってもいい。
 もし突き落としたのであれば、何かしらアクションがあってよかったはずなのだ。
 
 実は転落ではなく、別の方法で貞子に危害を加えてから落としたパターン。
 実はもともとは転落以外の事故で、
 貞子を死んだと勘違いした犯人が事故に見せかけ落としたパターン。
 
 それらは、当時の捜査によって否定されている。
 貞子は確かに、健康体の状態から突き落とされたと見ていいのだ。
 
 
 順序としては、三段階に分けられる。
 まず、貞子と犯人が野外に出る。
 貞子が散歩に行ったときに気づいて、一緒に散歩に出たか。
 その逆もあり得るし、最初からふたりで約束していた説もある。
 
 貞子と犯人の間で、大切な話があったか。
 となると、兄者が言っていた、小森との恋仲説が挙げられる。
 兄者自身ほとんど干渉しない性格だったこともあり、根拠はほとんどないとは言え。
 
 
( ´-ω-)
  っ ・’
 
 二段階目に、突き落とした。
 それは行為そのものは事故だったかもしれないし、
 確固たる殺意のうえで貞子が突き落とされたのかもしれない。
 
.

15名無しさん:2018/11/05(月) 21:03:35 ID:h25gk5nA0
 
 
 
( ´・ω・)y-~~
 
 貞子が犯人を殺そうとして、揉みあっている最中に貞子が落ちた可能性もある。
 なにも根拠が得られない以上、あらゆるケースが想定される。
 とにかく、貞子は落ちたんだ。
 
 
 三段階目、犯人は何食わぬ顔で戻った。
 重要なのは、起きた根拠を用意していなかったこと。
 
 なんでもいい。
 コテージ内の別の場所に痕跡を残してアリバイもどきを用意するでもいい。
 
 注目すべきはここにあるのだが、十年前の初動捜査でどこまで調べられたかが気になる。
 当時に戻って、僕やぎょろ目らで当たれば、違った見解が見えたかもしれない。
 後の祭りとはよく言ったものだ。
 
 
(メ._⊿,) 「ん……」
 
(´・ω・`) 「三月殿」
 
.

16名無しさん:2018/11/05(月) 21:04:41 ID:h25gk5nA0
 
 
 
 歩きながら吸っていた煙草は、結構な勢いで燃えた。
 湿気の強いなか、程々に濃い煙が堪能できた。
 
 そこらを散策していた三月殿は、車のところまで戻ってきていた。
 ちょうど落ち合ったといったところだ。
 
(メ._⊿,) 「……」
 
(メ._⊿,) 「……どうだ」
 
(´・ω・`) 「気がかりなのは、犯人の、その後のアクションです」
 
(メ._⊿,) 「……」
 
 いま組み立てた検討を、三月殿に話す。
 煙草の二本目も、やはり火の付きはよろしくなかった。
 
(メ._⊿,) 「……」
 
(メ._⊿,) 「そこのデカブツは……木偶の坊だったッてとこかい……」
 
 鑑識が畏縮する。
 やめてやれ、十年も前の現場に証拠なんて期待するでない。
 
.

17名無しさん:2018/11/05(月) 21:05:10 ID:h25gk5nA0
 
 
 
(´・ω・`) 「三月殿なら、どう見ます」
 
(メ._⊿,) 「簡単だ……」
 
(メ._⊿,) 「十年前の有無山に……犯人なんていなかった」
 
(メ._⊿,) 「付き添いを名乗り出るのもいなかった以上……」
 
(メ._⊿,) 「気ままに散策した先が……三途の川だったんだろうよ……」
 
 ごもっともな意見だ。
 しかし、こちらには部下たちが導き出した一つの仮説がある。
 十年前、ここには犯人がいたはずなんだ。
 
 
(メ._⊿,) 「俺みたいに……ふらふらッと散策してな……」
 
(´・ω・`) 「そういや三月殿、なにをされていたので?」
 
(メ._⊿,) 「俺か……? そうだな……」
 
(メ._⊿,) 「……昔……鶴を捕らえたかの罠を……探していたさ……」
 
.

18名無しさん:2018/11/05(月) 21:06:51 ID:h25gk5nA0
 
 
   ,_
イ(゚、ナリ从
 
 三月殿が、気取りながら目の前の車に目をやった。
 するとイナリちゃんが露骨に不機嫌そうな顔を浮かべて、彼を睨んでいた。
 
(メ._⊿,) 「……」
 
(´・ω・`) 「あらら」
 
(メ._⊿,) 「……」
 
 
(メ._⊿,) 「……考え事は……当てもなく歩きながらするのが一番捗る……」
 
(メ._⊿,) 「十年前……やっこさんは何を考えていたのかを……考えていたさ」
 
(´・ω・`) 「やっこさんッてのは」
 
 
(メ._⊿,) 「犯人だよ……」
 
 言いながら、三月殿は吸い寄せられるようにイナリちゃんの後ろに座った。
 兄者に目配せすると、頷いてもう一台の後部座席に座った。
 
 僕もはやく座りたいが、車内で紫煙を浮かべるとどうなることかわからない。
 半分も吸えていないそれをその場に落とし、車の扉を開けた。
 
.

19名無しさん:2018/11/05(月) 21:07:48 ID:h25gk5nA0
 
 
 
(´・ω・`) 「うーー、寒いな」
 
(メ._⊿,) 「……」
 
(´・ω・`) 「して三月殿」
 
(´・ω・`) 「犯人が何を考えていたのか……ですか」
 
 三月殿はふざけているように見えて、筋金入りの刑事だ。
 目の上のたんこぶがほとんどいなくなったことで、自由人になっているだけである。
 そういった意味でも、彼は常にイナリちゃんがマークしていなければならない。
 
 
(メ._⊿,) 「……ショボが言ったことだ」
 
(メ._⊿,) 「オンナ一人突き落として……常人なら何食わぬ顔してらんねえぜ……」
 
(´・ω・`) 「……」
 
 ある程度推理を進めると、やはりそこに落ち着くのか。
 意外だったのは、三月殿も、本件には犯人がいた、
 という前提で検討を進めていてくれたことだ。
 
.

20名無しさん:2018/11/05(月) 21:08:11 ID:h25gk5nA0
 
 
 
(メ._⊿,) 「俺は……今まで何人も牢獄にぶち込んでやってきたがな……」
 
(メ._⊿,) 「どんな見て呉れのごついアンちゃんでも……」
 
(メ._⊿,) 「保険なしにヤマぶち当てる男ァ……そうそういなかったもんだ」
 
(´・ω・`) 「と、言いますと」
 
 
(メ._⊿,) 「知らんぷり決め込んで……眠るタマの持ち主ァそうおらんだろう」
 
(メ._⊿,) 「いたとして……十年後の復讐劇で……心が割れるもんだ」
 
(´・ω・`) 「心が……」
 
 
(´・ω・`) 「!」
 
 ひとつ、閃いた。              、 、
 そうだ、そもそも復讐劇は基本的に、予告のもと行われた。
 これがもし、当時だんまりを決め込んだ犯人を炙り出すための手段だったなら。
 
.

21名無しさん:2018/11/05(月) 21:09:07 ID:h25gk5nA0
 
 
 
 その視点に立って振り返ってみると、だ。
 一人目の擬古は、わからなくはない。
 それどころか、まさか命の恩人とも呼べる自分を殺すことはない、と思うはずだ。
 
 次は、ヒッキー小森。
 フッサール擬古の死によって、勘付けたかどうかはまだ怪しい。
 しかしポイントは、彼に限り完全名指しの犯行だったことだ。
 
 指名された時点で、まずは自分を疑うものだ。
 続けて、擬古の死を知ったとするなら、十年前の因縁を思い出してもいい。
 三月殿の言葉を信じるなら、
 一笑に付した小森がその業を背負っていたとは思えない。
 
 クックル三階堂の場合。
 彼は、亡霊の呼び出しに応じた。
 そして、警察を自ら出し抜いてでも、亡霊との接触を試みた。
 
 それは懺悔のためだった。
 そう考えると、あり得る話である。
 
 その場合引っかかるのは、兄者の証言だ。
 ミセリは、クックルにもたれかかるように寝ていたらしい。
 他より優先度は落ちると言えど、根拠としては薄い。
 
.

22名無しさん:2018/11/05(月) 21:09:50 ID:h25gk5nA0
 
 
 
 ならば、ミセリは。
 彼女も、クックルと同様のアクションを見せている。
 この僕を出し抜いて、亡霊に自ら会いに行っている。
 
 これが、ある種の懺悔のもと駆り立てられた動きだったならば。
 クックルと違い、ミセリには決死の覚悟があっての密会だったはずなのだ。
 
 
(´・ω・`) 「……」
 
(´・ω・`) 「炙り出す……か」
 
 考えもしなかった発想だ。
 それが正しいかはわからない。
 
 ただ、僕もぎょろ目も、ワカッテマスも思いつかなかった。
 言っちゃあ悪いが、三月殿が発想力に富んでいるわけではない。
 おそらくは、長年培われた経験より導き出されたひとつの仮説なのだろう。
 
 
イ(゚、ナリ从 「何を、ですか?」
 
(´・ω・`) 「……」
 
(´・ω・`) 「僕は、十年前のこの山に、人殺しがいた前提で捜査している」
 
.

23名無しさん:2018/11/05(月) 21:10:15 ID:h25gk5nA0
 
 
 
イ(゚、ナリ从 「…!」
 
 反応からして、イナリちゃんは手ごたえが感じられていないのだろう。
 ショボーン班の精鋭が絞り出した仮説を、掻い摘んで説明する。
 
 イナリちゃんは、一匹狼だ。
 僕や三月殿を除き、基本的には職場に仲間という存在がいない。
 
 だから、班行動でひとつの道を選び、それを信じるという感覚がない。
 新鮮な面持ちで頷き、ゆっくり目を閉じた。
 
イ(゚、ナリ从 「……」
 
イ(‐、ナリ从 「……十年前は、事故ではなく、事件、だった」
 
                       、 、
(´・ω・`) 「ポイントは、十年前これは事故と処理された点だ」
 
(´・ω・`) 「ファイルにもあった通り、不審な点がほとんどなかったんだ」
 
.

24名無しさん:2018/11/05(月) 21:10:48 ID:h25gk5nA0
 
 
 
(´・ω・`) 「犯人がいる前提で言い換えると、こうなる」
 
(´・ω・`) 「ひとつ。 犯人は夜、貞子を崖下に突き落とした」
 
(´・ω・`) 「ふたつ。 貞子と一緒に外出していたのを察されると、疑いがかかる」
 
(´・ω・`) 「みっつ。 しかし、犯人はそれに予防線を張らなかった」
 
 
イ(゚、ナリ从 「……」
 
 十年前から昇ってきて、我々の目前に深くかかった上昇霧。
 それが少しずつ、晴れていく心地がしている。
 
(´・ω・`) 「整合性をとるなら、犯人が彼女を突き落としたのは、本意ではなかったんだろう」
 
(´・ω・`) 「予防線を張らなかったのは、それが突発的なものだったからだ」
 
(´・ω・`) 「混乱して、あるいはヤケクソになって、」
 
(´・ω・`) 「見られてたら、バレてたら仕方ない……ッて思った」
 
(´・ω・`) 「そういうことになるんだと、思う」
 
.

25名無しさん:2018/11/05(月) 21:11:17 ID:h25gk5nA0
 
 
 
イ(゚、ナリ从 「しかし、幸か不幸か、真夜中の外出は気づかれなかった」
 
(´・ω・`) 「そこで、三月殿のアイディアだ」
 
(´・ω・`) 「……そもそも、どうして十年後の今」
 
(´・ω・`) 「亡霊は、予告、という形式をとったのか」
 
(メ._⊿,) 「……」
 
 イナリちゃんも、頷く。
 細い綱渡りのロジックを、踏み損なわないようじっくり噛みしめている。
 
 
(´・ω・`) 「当時は、偶然にも、ばれずに済んだ」
 
(´・ω・`) 「しかし、たった一人だけ、全てを知る人がいる」
 
イ(゚、ナリ从 「亡霊……にして、十年前の被害者」
 
イ(゚、ナリ从 「山村貞子ですね」
 
.

26名無しさん:2018/11/05(月) 21:12:18 ID:h25gk5nA0
 
 
 
(´・ω・`) 「そう、……」
 
(´・ω・`) 「あれ?」
 
(メ._⊿,) 「……あ」
 
 霧が晴れてきたはずの山間に、雨が降ってきた。
 一つひとつ整理していくと、ひとつ壁が立ちはだかった。
 
(´・ω・`) 「三月殿、ちょっとおかしくないですか」
 
(´・ω・`) 「だとすると、ですよ」
 
                  、 、 、 、 、 、、 、 、 、 、、 、、 、 、
(´・ω・`) 「貞子自身も、誰が犯人なのかわかっていなかった」
 
(´・ω・`) 「そうなりませんか?」
 
(メ._⊿,) 「……」
 
 
 これは、三月殿なりのヒントなのか。
 それとも、単なるおちゃめなのか。
 
.

27名無しさん:2018/11/05(月) 21:12:42 ID:h25gk5nA0
 
 
 
 三月殿の性格を考えると、十中八九おちゃめだ。
 三月殿はそこまで、先見の明に長けた刑事ではない。
 
 しかし。
 
(メ._⊿,) 「……」
 
(メ._⊿,) 「!」
 
 困ったような顔をしていたかと思いきや、
 唐突にそれを払拭し、もとの威厳のある面持ちに戻った。
 
(メ._⊿,) 「話を……もう一度まとめよう」
 
(メ._⊿,) 「確かに……貞子が犯人を知らないのは……おかしい」
 
(メ._⊿,) 「となると前提は……みっつだ」
 
 
(メ._⊿,) 「十年前の事故に……立役者がいた」
 
(メ._⊿,) 「そいつは保険をかけず……命運を賽の目に委ねた」
 
(メ._⊿,) 「十年後……亡霊の手により予告殺人が決行された」
 
.

28名無しさん:2018/11/05(月) 21:15:50 ID:h25gk5nA0
 
 
 
(メ._⊿,) 「どこかに……」
 
(メ._⊿,) 「偽りが……混じっているんだ」
 
(´・ω・`) 「ッ」
 
 偽り。
 
 
(メ._⊿,) 「ショボが言うんだ……」
 
(メ._⊿,) 「十年前に犯人がいた説は……無根拠に認めるとしよう」
 
 確かに、確固たる証拠はない。
 いくつもの状況証拠に推理を加えて出来上がった、成り損ないの化合物。
 
 もしそいつが、矛盾を内包した 「あり得ない」 ものだったなら。
 それはその時はその時だ。
 
(メ._⊿,) 「偽りがなかったのであれば……」
 
(メ._⊿,) 「十年前に犯人はいなかった……残酷な運命のエピローグに過ぎない」
 
(´・ω・`) 「いいや」
 
.

29名無しさん:2018/11/05(月) 21:15:59 ID:mtW.QSwo0
来たな支援

30名無しさん:2018/11/05(月) 21:16:44 ID:h25gk5nA0
 
 
 
 要は、その、三つの前提。
 それらから、偽りを見抜けばいいだけなんだろう?
 
(´・ω・`) 「要素に分けましょう」
 
 犯人がいた、というのは確定させたうえでの仮設。
 犯人がいなければ、亡霊の復讐劇に予告という手段をとる必要がないんだ。
 
 また、状況を考えると、犯人がわからないというのも不自然な話である。
 現場が崖でなく、別所で意識を失ったところを突き落とされたとして。
 そうなると今度は、貞子自身が 「自分は殺された」 と感じることがなくなる。
 
 よくも十年前、見捨てやがって。
 そんな逆恨みに近い感情でサークルを皆殺しにするというのであれば、
 むしろ秘密裏にひっそりと殺すほうが自然と言える。
 
 
(´・ω・`) 「犯人は確かに、十年前、いた」
 
(´・ω・`) 「ここはロジックの出発点ですから、偽りにはならない」
 
(メ._⊿,) 「フン……」
 
(´・ω・`) 「また、連続殺人は、確かに予告がされている」
 
(´・ω・`) 「一部例外こそありますが、言葉のあやッてやつです」
 
イ(゚、ナリ从 「……と、なると?」
 
.

31名無しさん:2018/11/05(月) 21:17:04 ID:h25gk5nA0
 
 
 
(´・ω・`) 「犯人は、予防線を張らなかった」
 
(´・ω・`) 「偽りがあるとするなら、ここしかありません」
 
(´・ω・`) 「犯人は確かに、十年前、予防線を張っていたんです」
 
 
イ(゚、ナリ从 「予防線、とは言いますが」
 
イ(゚、ナリ从 「具体的に、どんなものをイメージされてるんですか」
 
(´・ω・`) 「パッと思いついたのなら、小便をズボンに引っかけたりさ」
 
イ(゚、ナリ从 「…?」
 
 ちょっと汚い例えだが、ほんとうに最初に浮かんだのだから仕方ない。
 要は 「自分が起きていたのは、貞子を突き落としていたからではないのだ」 。
 そんな小話をでっち上げられそうな何かであれば、なんでもいい。
 
 
(´・ω・`) 「他なら、寒かったから毛布を探していた、とか」
 
(´・ω・`) 「蛇口から滴る水の音が気になった、でもいい」
 
(´・ω・`) 「それで台所の蛇口に指紋でもつけていれば、小話にはなるんだ」
 
.

32名無しさん:2018/11/05(月) 21:19:37 ID:h25gk5nA0
 
 
 
イ(゚、ナリ从 「要は、苦し紛れ、その場しのぎの、悪あがき」
 
(´・ω・`) 「そうだ」
 
(´・ω・`) 「でも、人を殺して、かつ隠したいと思った犯人は、」
 
(´・ω・`) 「そういった心理に陥ることが多い。 わかるだろう?」
 
 イナリちゃんは、犯罪心理というものを重んじる。
 僕の言っていることに反論はなかった。
 
 
イ(゚、ナリ从 「しかし、十年前のここには、その痕跡がなかった」
 
(´・ω・`) 「そう出ている」
 
イ(゚、ナリ从 「……ただ」
 
イ(゚、ナリ从 「それはあくまで、夜中に起きていたのが指摘された場合です」
 
 
イ(゚、ナリ从 「指摘されないことで、そもそも起きたのがばれていなかった」
 
イ(゚、ナリ从 「犯人はそれがわかって幸運に思い、その小話を出さなかった線は」
 
.

33名無しさん:2018/11/05(月) 21:20:00 ID:h25gk5nA0
 
 
                     、 、
(´・ω・`) 「当時、取調はあくまで個別に行われた」
 
(´・ω・`) 「誰がどんな証言をしているか、わからないんだ」
 
 
(´・ω・`) 「そして、当然ながら夜中起きていたかどうかは、聞かれる」
 
(´・ω・`) 「そんな状況になった時、犯人だったら、用意していた小話をする必要があるんだ」
 
 話がややこしくならないうちに、可能性の薄い芽は摘む。
 一旦咳払いを挟んだ。
 
 
(´・ω・`) 「自分は確かに、一度起きた」
 
(´・ω・`) 「その時貞子はいなかったと思うが、単にトイレだと思った」
 
(´・ω・`) 「もう一度寝ようと思ったが、台所の蛇口の音が気になって、一旦寝床を立った」
 
(´・ω・`) 「指紋も残っていると思うし、調べてみてほしい」
 
 
(´・ω・`) 「   ッてな具合にね」
 
(´・ω・`) 「そして、他の誰かがその人の不在を証言していた場合、」
 
(´・ω・`) 「整合性が取れていることで、信憑性が認められ、アリバイの成立となる」
 
.

34名無しさん:2018/11/05(月) 21:21:10 ID:h25gk5nA0
 
 
 
(´・ω・`) 「逆に、そもそも誰も不在を指摘されていなかったとしてだね」
 
(´・ω・`) 「それはそれで問題はない」
 
(´・ω・`) 「警官からすれば、一度起きていたなんて証言は、リスキーだ」
 
(´・ω・`) 「他に根拠がなければ、その人を疑うことはないだろう」
 
イ(゚、ナリ从 「……」
 
 
(メ._⊿,) 「そんな小話はなかった……」
 
(メ._⊿,) 「確かなんだな……?」
 
イ(゚、ナリ从 「お待ちください」
 
 イナリちゃんが、当時のファイルを繰る
 細かい文字を、山道で揺れる車内で辿っている。
 
イ(゚、ナリ从 「……」
 
イ(゚、ナリ从 「ないですね」
 
.

35名無しさん:2018/11/05(月) 21:22:09 ID:h25gk5nA0
 
 
 
(´・ω・`) 「でも、確かに十年前」
 
(´・ω・`) 「どこかに、予防線が張られていた」
 
(メ._⊿,) 「どうやって調べる……」
 
(メ._⊿,) 「鑑識は通じなかったんだろう……」
 
(´・ω・`) 「……」
 
 結果として、現場を訪れた収穫はあった。
 予防線がなかった、ということを得られたのだ。
 
 しかし、その成果そのものが次の謎になっている。
 ここまでのロジックに、何か誤りや、思い過ごしがあったとでも言うのか。
 少なくとも僕の脳は、ここまでの轍が正しいものだと認めている。
 
 
(´・ω・`) 「どこかに……」
 
(´・ω・`) 「あるはずなんだ……偽りのアリバイ、予防線が……」
 
.

36名無しさん:2018/11/05(月) 21:22:30 ID:h25gk5nA0
 
 
 
イ(゚、ナリ从 「……」
 
 助手席のイナリちゃんが、腕を組んだ。
 頭脳は、文句なしに僕より優れている。
 
 ワカッテマスの頭脳が欲しい、と思う局面は多い。
 多くの事件、多くの推理のうえで、僕以上の明晰な頭脳が欲しくなるのだ。
 その点、ワカッテマスは僕より数段若く、
 僕以上の頭脳を持っているから、この上ない信頼を寄せることとなる。
 
 イナリちゃんは、そんなワカッテマスに匹敵するのだ。
 僕が、意見を促す視線を投げかけると、渋々口を開いた。
 
 
イ(゚、ナリ从 「……そうですね」
 
イ(゚、ナリ从 「自明の理として成り立っている、何かの証言」
 
イ(゚、ナリ从 「それが実は予防線そのものだった……ということではないでしょうか」
 
(´・ω・`) 「既に成り立っている証言が……?」
 
.

37名無しさん:2018/11/05(月) 21:22:54 ID:h25gk5nA0
 
 
 
イ(゚、ナリ从 「警部の考えでは、その予防線は、取調で浮かんだ証言に縛られている」
 
イ(゚、ナリ从 「一方で、取調にてそんな小話は出ていなかった」
 
 
イ(゚、ナリ从 「取調の、外」
 
イ(゚、ナリ从 「違う場所で、もっと手前で小話が繰り広げられた説は、どうでしょう」
 
(´・ω・`) 「簡単に言ってくれるけどね」
 
(´・ω・`) 「ほとんどの証言は、取調でとられてるんだ」
 
(´・ω・`) 「取調の手前で颯爽と語られる小話ッて、なんだ?」
 
 
 
 電流が走った。
 
イ(゚、ナリ从 「目撃証言ですよ」
 
 
.

38名無しさん:2018/11/05(月) 21:23:43 ID:h25gk5nA0
 
 
 
(´・ω・`) 「     ッ 」
 
イ(゚、ナリ从 「……」
 
 
   ,_
イ(゚、ナリ从 「!」
 
 イナリちゃんも気づいたようだった。
 
 
(;´・ω・`) 「待て!」
 
(;´・ω・`) 「既に語られてるじゃねえか!」
 
 
 苦し紛れ、その場しのぎの、悪あがき。
 とってつけたような言い訳。
 
 それっぽい小話。
 予防線。
 
 
(;´・ω・`) 「兄者が崖下を見たキッカケ!」
 
 
.

39名無しさん:2018/11/05(月) 21:24:06 ID:h25gk5nA0
 
 
 
  >
  >( ´_ゝ`) 「俺は、早起きしたんだ」
  >
  >( ´_ゝ`) 「朝一の紅葉が見たくて、な」
  >
  >
  >( ´_ゝ`) 「で、つい癖で、写真を撮ろうと思った」
  >
  >( ´_ゝ`) 「ただ、相棒の一眼レフを落とした話はしたよな」
  >
  >(´・ω・`) 「してたね」
  >
  >( ´_ゝ`) 「で、ふと崖の下を見たんだよ」
  >
  >( ´_ゝ`) 「……それがキッカケさ」
  >
  >
  >( ´_ゝ`) 「ここにカメラを落としたんだよなァ、とか思って見たわけじゃない」
  >
  >( ´_ゝ`) 「そういや、カメラ、崖の下に落としたなァ……程度の、軽いノリさ」
  >
 
 
.

40名無しさん:2018/11/05(月) 21:24:27 ID:h25gk5nA0
 
 
   ,_
イ(゚、ナリ从 「……」
 
(;´・ω・`) 「考えてみれば、変な話なんだよ!」
 
(;´・ω・`) 「キッカケもなしに、崖下を見る偶然!」
 
 
 手の汗腺が急激に活性化してきた。
 今にも崩れそうな桟橋の向こうに、金の鉱脈が広がっていた。
 
 それは金によく似せられたメッキかもしれない。
 単なる泥の塊に過ぎないかもしれない。
 ただ、今すぐにでも検討したい、確かめたい、という気持ちに駆られた。
 
 
 いま、兄者を乗せる車は、フロントガラスの向こうを走っている。
 先導という形で、霧の渦巻く山道を下っている。
 
(メ._⊿,) 「……」
 
イ(゚、ナリ从 「……兄者、ですか?」
 
.

41名無しさん:2018/11/05(月) 21:24:58 ID:h25gk5nA0
 
 
 
 ロジックを全て肯定するなら、そうなる。
 そして実際、肯定しようとしている自分もいる。
 
(;´・ω・`) 「……」
 
(;´・ω・`) 「一本、いいかな」
 
イ(゚、ナリ从 「……どうぞ」
 
( ;´-ω-)
  っ ‘・
 
 一般的に、警ら中の喫煙は禁止されている。
 しかし、わざわざこんな山道でそれを咎めてくる人はいないだろう。
 イナリ先生のお許しも出たのだ、多めに見てくれ。
 
 
( ´・ω・)y-~~
 
 イナリちゃんが、少し顔を顰めて隣の警官に目配せする。
 眼光を突きたてられた彼は、黙って窓を少し開けた。
 
(´・ω・`) 「すまんね」
 
イ(゚、ナリ从 「……構いませんが」
 
.

42名無しさん:2018/11/05(月) 21:25:18 ID:h25gk5nA0
 
 
 
(メ._⊿,) 「例の……デカブツか」
 
(メ._⊿,) 「あり得る……のか?」
 
(´・ω・`) 「……」
 
 あり得る。
 ここまでのロジック、
 詰まるところ僕に欠陥がなければ、あり得る。
 
 しかし、見落としを洗い出すことができない。
 三月殿、イナリちゃんがしてくれたように、
 見落としをサルベージしてくれる第三者がいなければ、断言できないのだ。
 
(´・ω・`) 「……」
 
 答えあぐねるたびに、思考に自信が持てなくなるたびにフィルターをくわえる。
 次々霧散する紫煙が、窓のわずかな隙間を縫ってアルプス山脈に逃げ込んでいく。
 
イ(゚、ナリ从 「あり得るかどうかは、さて置いて」
 
イ(゚、ナリ从 「警部」
 
.

43名無しさん:2018/11/05(月) 21:25:39 ID:h25gk5nA0
 
 
 
(´・ω・`) 「ん。」
 
イ(゚、ナリ从 「一旦署まで戻りますが」
 
イ(゚、ナリ从 「それからは、どう動きましょうか」
 
(´・ω・`) 「そうだな」
 
 頭を使うたびに忘れるけど、オンタイムで進んでいる捜査の真っ最中だ。
 三月親子、もといアルプス県警はいま、僕の指示に従う立場にある。
 
 所轄署を動かすのとでは訳が違う。
 一切の無駄を許さない、効果的な一手を放つ必要がある。
 
 いま、ぎょろ目たちは何をしていたっけか。
 植物状態になった貞子を、アルプス神経病院から引き取った第三者の特定だ。
 仲介人となっているのがフッサール擬古で、彼の勤め先が舞台となっている。
 
(´・ω・`) 「イナリちゃんは、どうよ」
 
(´・ω・`) 「思うところは、ある?」
 
.

44名無しさん:2018/11/05(月) 21:26:25 ID:h25gk5nA0
 
 
 
イ(゚、ナリ从 「気になるのは、このファイルの信憑性」
 
イ(゚、ナリ从 「あくまで事件ではなく、事故です」
 
イ(゚、ナリ从 「担当の怠慢で、なにか漏れがないかを調べる必要はあります」
 
(´・ω・`) 「どう調べるのさ」
 
イ(゚、ナリ从 「いくらでも手立てはあります」
 
 イナリちゃんのことだから、当時の新聞くらいはまず全て調べ上げるだろう。
 あくまで事故だ、大々的に報道はされていないとは思う。
 ただ、小見出しに載るくらいは予想されるとも思う。
 
(´・ω・`) 「なるほど」
 
(メ._⊿,) 「……」
 
イ(゚、ナリ从 「それか、何かあるなら、並行しますが」
 
 並行ときたか。
 きっと、移動中も膝の上に新聞なんかを広げて、読み漁るのだろう。
 それか、デスクを二、三個使って、あらゆるメディアを同時に調べたり。
 
.

45名無しさん:2018/11/05(月) 21:27:04 ID:h25gk5nA0
 
 
 
(´・ω・`) 「いま、こっちの部下は、ある人を追っている」
 
(´・ω・`) 「十年前の植物人間、貞子を引き取った、第三者を」
 
イ(゚、ナリ从 「第三者ですか」
 
 宗教関係者、とは言ったが、なんだっていい。
 実際、駆け込み寺だったりすることもあり得るんだ。
 
(´・ω・`) 「ロジックとしてはこうだ」
 
(´・ω・`) 「その貞子だけどね、シングルマザーに育てられたんだ」
 
(´・ω・`) 「病院に払う維持費……経済的に厳しいだろう」
 
(´・ω・`) 「そのお母さんは心労で倒れたわけだが、ここで問題が起こる」
 
イ(゚、ナリ从 「なるほど」
 
 頭がいい人と話すと、こういった場面で助かる。
 込み入ったロジックを、一から十まで話す必要がないんだ。
 
(´・ω・`) 「寺か、養子を欲する老夫婦か」
 
(´・ω・`) 「なんにせよ、そんな第三者」
 
.

46名無しさん:2018/11/05(月) 21:27:34 ID:h25gk5nA0
 
 
 
イ(゚、ナリ从 「しかし、第三者というのは」
 
(´・ω・`) 「フッサール擬古はご存じ、第一の被害者だけどね」
 
(´・ω・`) 「彼の勤める整骨院は地元に根差した店で、」
 
(´・ω・`) 「年寄りの常連がすげえ多いんだってよ」
 
 実際、そこがどんな店かは見ていない。
 ペニーに丸投げしてしまった節はあるにせよ、
 彼女はその可能性というものを拾ってきた。
 
イ(゚、ナリ从 「ふむ」
 
(´・ω・`) 「彼がご老人から可愛がられるッて証言は、とってある」
 
(´・ω・`) 「実際、状況を考えるなら、一番しっくりくるルートでもある」
 
イ(゚、ナリ从 「それだけだと弱い気はしますがね」
 
 部下の努力を、簡単に一蹴してくれるなあ。
 実のところ弱い拠り所だから仕方ないところではある。
 
.

47名無しさん:2018/11/05(月) 21:28:00 ID:h25gk5nA0
 
 
 
(´・ω・`) 「僕は、兄者とデミタスを連れて、ヴィップに戻る」
 
 煙草がうまい。
 脳が冴え渡っている証拠だ。
 
(´・ω・`) 「……逃げ場のない状況」
 
(´・ω・`) 「かつ、僕の暴走を止めてくれる部下の前で、兄者を取り調べる」
 
イ(゚、ナリ从 「……ふむ」
 
 
(´・ω・`) 「そこで」
 
(´・ω・`) 「おふたりには、いまヴィップの手が回せない、手薄なところを張ってほしい」
 
(メ._⊿,) 「……」
 
(´・ω・`) 「具体的には、そうだな」
 
 もう一度、メールを開く。
 電波が安定したら、添付されている資料にも目を通そう。
 
 目下わかっていない情報は、結構あった。
 たとえば、オオカミ鉄道の車両に残された、指紋。
 現状判明している分の指紋は、合致しなかったようだ。
 
.

48名無しさん:2018/11/05(月) 21:28:34 ID:h25gk5nA0
 
 
 
 地下鉄殺人からの脱出手段。
 監視カメラや取調結果から、関係者を割り出すことはできなかった。
 ここもポイントとなるだろう。
 
 根本的なところとして、どうやって亡霊はクックルと接触できたか。
 亡霊はクックルがライブに駆り立てられることを知ったか。
 メールによると追加して、擬古もライブのことを知っていた可能性があった。
 
 ここらもはっきりさせておきたいところだ。
 三月親子が干渉できる範囲となると、どうだろうか。
 
 
(´・ω・`) 「アルプス神経病院」
 
イ(゚、ナリ从 「え」
 
 キーは、そこだ。
 
 ひとつ、アルプス県警から事件の干渉は大々的には行えない。
 あくまでアルプス内、それもデスクの上で完結しそうな範囲内が望ましい。
 
 また、僕の部下は、フッサール擬古という仲介人から貞子を追っている。
 逆に、ヴィップから病院へは一切干渉できていない現状だ。
 
.

49名無しさん:2018/11/05(月) 21:29:09 ID:h25gk5nA0
 
 
 
(´・ω・`) 「といっても、先方は曖昧にしか対応できないだろう」
 
(´・ω・`) 「だったら、内部事情に詳しい、一般市民だ」
 
イ(゚、ナリ从 「片っ端から聞き込みに走れ、と」
 
(´・ω・`) 「平和なアルプスさんなら、朝飯前だろう?」
 
 ちょっと冗談めかして言ったつもりだったが、イナリちゃんは口を少し曲げた。
 
 
イ(゚、ナリ从 「……」
 
(´・ω・`) 「何も、聞き込みに限らなくていい」
 
(´・ω・`) 「最低限、病院から重体患者が移動された痕跡さえ見つかればいい」
 
 あとは、日付や状況次第で、それが貞子の痕跡だとわかるだろう。
 容疑者が行方知れずなのが、亡霊を追い詰める上で一番のネックだ。
 
 その他は、あくまで亡霊が散らかした部屋に残る謎で、
 それら残骸から亡霊の居所を暴くことは難しい。
 
.

50名無しさん:2018/11/05(月) 21:29:39 ID:h25gk5nA0
 
 
 
(メ._⊿,) 「……」
 
(´・ω・`) 「いかがですかな」
 
 もっと手っ取り早い方法があるだろう、という反論は想定済みだ。
 実際、それに対する反証の術はない。
 
 ただ、亡霊よろしく地に足がついていない、不安定な情勢だ。
 証拠が限られ、確定できる情報が少ないなか、
 一番、特定することで恩恵が大きいのは貞子のその後だ。
 
 だったら、一つひとつ潰していくのが効率的だと僕は判断する。
 連続予告殺人事件の指揮官たる僕の判断だ。
 
 
(メ._⊿,) 「……鶴の恩返しと言ってな」
      '_
(´・ω・`) 、
 
 
(メ._⊿,) 「昔……何気なしに助けた鶴が……恩返しにくるわけだ……が」
 
(メ._⊿,) 「当の男は……そもそも他意あって助けたつもりではなかった……」
 
.


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