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(´・ω・`)は偽りの亡霊を捕まえるようです <解決編>

1 ◆wPvTfIHSQ6:2018/10/30(火) 21:14:46 ID:MoF6Jpjw0
▼前スレ
(´・ω・`)は偽りの亡霊を捕まえるようです
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1534955891/904

▼まとめのイケメンブーン芸神
ttp://boonsoldier.web.fc2.com/ituwariIV.htm

▼シリーズ過去作
(´・ω・`)は偽りの香りを見抜くようです+α
ttp://boonsoldier.web.fc2.com/ituwari.htm
(´・ω・`)は偽りの根城を突き止めるようです+α
ttp://boonsoldier.web.fc2.com/ituwariII.htm
(´・ω・`)は偽りの絆をつなぐようです
ttp://boonsoldier.web.fc2.com/ituwariIII.htm


あと九幕、十幕、終幕で完結です
ハードディスクが壊れさえしなければ

こっから解決ラッシュが始まるから未読は開いちゃダメゼッタイ

409名無しさん:2018/11/19(月) 00:21:22 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
( ´_ゝ`) 「現に、貞子も、治る見込みがあるんだろ?」
 
( ´_ゝ`) 「じゃあ……結果論で言えば、だ」
 
( ´_ゝ`) 「………」
 
( :::_ゝ::) 「………」
 
 兄者が、黙った。
 が、みなまで言う必要はない。
 
 十年前の、兄者の行動ひとつで。
 フッサール擬古、クックル三階堂、芹澤ミセリは死ぬことなく。
 山村貞子は目を覚まして。
 ヒッキー小森、あらため小森マサオは出所して。
 
 現実とは真逆の未来が訪れていて、
 また楽しかったあの頃のように、酒を酌み交わすことができていたのに。
 そんな、後悔だ。
 
 
( ´・ω・)y-~~
 
( ´・ω・) 「小森は来週、最終判決が下される」
 
( ´_ゝ`) 「…!」
 
.

410名無しさん:2018/11/19(月) 00:22:54 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
 想像以上に長引いた裁判だった。
 世間からの注目もたいへんなもので、
 非常にデリケートな案件だった、と言える。
 
 被告人、小森マサオは、何一つ抵抗していなかった。
 検察が語る内容を受け止め、罪を認めていた。
 しかし、安易に判決を下させない、世間の目が邪魔だったわけだ。
 
( ´・ω・) 「面会……するチャンスは、あと僅かだろうな」
 
( ´_ゝ`) 「……」
 
 僕は、証言台には、立たなかった。
 というより、アルプス県警の上層部が、拒んできた。
 
 小森マサオについて証言するということは、
 十年前の、有無山転落事件にも言及する、ということだ。
 言ってしまえば、先方にも負い目がある事件である。
 三月イナリ警部が、出廷する運びとなったらしい。
 
 
( ´_ゝ`) 「……そうか」
 
( ´‐ω‐)y-~~
 
.

411名無しさん:2018/11/19(月) 00:23:25 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
 煙草を吸いきって、携帯灰皿にねじ込んだ。
 兄者が見てきたので、黙って灰皿を貸した。
 
(´・ω・`) 「さて」
 
(´・ω・`) 「行くぞ」
 
( ´_ゝ`) 「ん」
 
 示し合わせて、重い腰を上げ、立ち上がる。
 ウン、と伸びをすると、腰がめりめりと音を立てた。
 
 
(´・ω・`) 「貞子は、鷺宮という老夫婦が引き取っている」
 
(´・ω・`) 「今朝も確認を取ったが、様態はすこぶる良好らしい」
 
(´・ω・`) 「可愛い寝息を立てているッてよ」
 
.

412名無しさん:2018/11/19(月) 00:23:49 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
 今日、僕は。
 兄者に、小森マサオの裁判の日程を伝えるために来た。
 
 そのことを電話口で伝えると、兄者の提案で、
 ミセリの墓参りに同行させてもらうことになった。
 
 そしてこれから、山村貞子の見舞いに行く。
 鷺宮家は、もとは医療に携わっていた老夫婦で、
 その分野は、脳神経外科だったと聞く。
 
 腕は優秀で、知識も堪能だった。
 人柄もよく、病院はもちろん、近所からの評判もよかったのだが、
 如何せん子宝に恵まれないことが日々の重い悩みだったらしい。
 
 
( ´_ゝ`) 「可愛い寝息、ねえ」
 
 フッサール擬古と出会い、彼の人を気に入った。
 そこで、貞子の話を聞いて、うちが看ようか、と提案してもらえたそうだ。
 
.

413名無しさん:2018/11/19(月) 00:24:09 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
 先方からは、電話でも軽く話を伺った。
 声色や言動から、なるほど確かに、人柄のいい、信頼できる人物だと思った。
 
 貞子がいつか目覚めた時、この上ない絶望に襲われるだろう。
 何年も眠り続けていた事実。
 たった一人の親が、その間に旅立っていた事実。
 決して、受け止められるものではないはずだ。
 
 鷺宮夫婦は、そんな彼女をこの上なく不憫に思ったらしい。
 また、歳も、当時は五十ほどか。
 貞子の年齢を聞いて、娘のように感じられたわけだ。
 
 
(´・ω・`) 「まだ、約束の時間には早いな」
 
(´・ω・`) 「どうだい。 朝飯、食うか?」
 
( ´_ゝ`) 「………そうだな」
 
( ´_ゝ`) 「そういや、昨日の昼から、なんも食ってねえや」
 
 鷺宮夫婦は、貞子を看続けたこの七年間で、
 彼女に対し、娘に近しい愛情を持っている。
 
 いつか目覚めた時、貞子の身に起こったことを話し、
 そのうえで、親心をもって彼女に接したい、と思っているそうだ。
 
.

414名無しさん:2018/11/19(月) 00:25:07 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
(´・ω・`) 「これで、先方から食事を出されたら、気まずいな」
 
( ´_ゝ`) 「いや、図々しいな」
 
 軽く笑う。
 僕が歩くと、兄者もついてきた。
 
 雨上がりの朝だ。
 蒸し暑さも感じない。
 トレンチコートの裾をなびかせ、石畳を踏みしめていく。
 
 
( ´_ゝ`) 「おっと。 いけねえ」
 
 兄者は、踵を返して、供えていた食べ物を手に取った。
 包みを見るに、どれも生ものだろう。
 合掌して、一言なにかを言っていたが、声はこちらまでは届かなかった。
 
( ´_ゝ`) 「あの飴はどうすんだい」
 
(´・ω・`) 「ああ。 置いてくよ」
 
( ´_ゝ`) 「大丈夫かなあ」
 
.

415名無しさん:2018/11/19(月) 00:25:40 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
 飴の入ったちいさな包みなんて、カラスでも食わないだろう。
 ミセリの墓参りにきた次の誰かが、食っちまえばいい。
 
 あなたを信じて待つ。
 そんなメッセージを、ふたつ、残して行こう。
 
 
(´・ω・`) 「はてさて」
 
(´・ω・`) 「どうなることかなァ」
 
( ´_ゝ`) 「飴が、かい?」
 
(´・ω・`) 「貞子ちゃんだよ」
 
 
( ´・ω・) 「………近いうちに、目覚めるかなァ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.

416名無しさん:2018/11/19(月) 00:26:06 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.

417名無しさん:2018/11/19(月) 00:27:01 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
 
 
                                   |`ヽ       /|
                                   |.  \    /. i
                                   |   ヽ /   ノ
                                  !     `ー‐- '、
                                  |           .、
                                 l            !
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                                l  :::::::::::::::゙ 、     _| n
    イツワリ警部の事件簿   File.4      `,_::::::::::::::::::::`ヽ, ノ,´αm
                              く  l  lへ、:::::::::::::::`'ー、r ||\
       終幕   「 成仏 」                 '  '、-_l  ヽ、::::::::::::::::::`>;;::;;:|
                                ` ..‐,,..、 丶、  冫:::::::::::/>;;;;;;;;\
                             ,'  /´      ::ヽ.:.:.:::::::::::::::丶_;;::;;::|
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                            | l   ..,,_ .::::::::ノ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:::::::::::::::l ヽ」
                            ¦ !   ,;:::: ̄'' 7ー-、_....;.;.;.;、:::://::|
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                            /  ,,;;::::::::::::::://        l:::::::l
 
                   →ttps://www.youtube.com/watch?v=nz6TD2i-9ko
 
.

418名無しさん:2018/11/19(月) 00:28:53 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
 ┏━─
    盛岡デミタス  フリーター
                    ─━┛
 
 
 
(´^_ゝ^`) 「うわあ……懐かしいな」
 
(´^_ゝ^`) 「何年振りなんだろう……」
 
 
(´・_ゝ・`) 「相変わらず、ユメもキボーもありゃしない日々ですよ」
 
(´・_ゝ・`) 「ただ……」
 
(´・_ゝ・`) 「生きてたら、出会うことッてあるんだなァ、って」
 
(´・_ゝ・`) 「因縁ッてやつに」
 
 
(´・_ゝ・`) 「サークルもそうですし、あの刑事さんもですし」
 
(´・_ゝ・`) 「あなたとも、これで二回目じゃないですか」
 
(´・_ゝ・`) 「これって、リッパな因縁ですよ、因縁。」
 
 
(´^_ゝ^`) 「………頑張って、面白い小説、書いてくださいね。」
 
.

419名無しさん:2018/11/19(月) 00:32:08 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
 ┏━─
    鈴木ダイオード  ヴィップ県警捜査一課刑事
                              ─━┛
 
 
 
/ ゚、。 / 「あ……どうも。」
 
/ ゚、。 / 「えっと……ああ、何年前でしたっけ」
 
/ ゚、。 / 「連続誘拐殺人事件……でしたっけ。 前に会ったの」
 
 
/ ゚、。 / 「今回も、連続予告殺人事件ですよね」
 
/ ゚、。 / 「縁があるんですかねーー。 連続ナンタラ殺人事件に」
 
 
/ ゚、。 / 「あの人、ことごとく厄介な事件を担当してる、ッて思うじゃないですか」
 
/ ゚、。 / 「実際は、上から、面倒事をことごとく回されてるだけなんですよ」
 
/ ゚、。 / 「知ってました?」
 
 
/ ゚、。 / 「警部に対するささやかな嫌がらせなのか」
 
/ ゚、。 / 「それとも、あれですかね」
 
/ `、、 / 「あの警部にしか、解決できなさそうだから……なのか」
 
.

420名無しさん:2018/11/19(月) 00:32:41 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
 ┏━─
    東風ミルナ  ヴィップ県警捜査一課警部補
                             ─━┛
 
 
 
( ;>д゚) 「ぶえっくし!」
 
( ゚д゚) 「!」
 
 
( ゚д゚) 「来てたんですね」
 
( ゚д゚) 「………そうです、風邪です」
 
( ゚д゚) 「情けないことに、川を泳いだだけでこの有様です」
 
 
( ゚д゚) 「あの人は、普段はあんなンですが、能力は、ご存じの通りですから」
 
( ゚д゚) 「自分にできるのは、あの人が安心して博打を打てるような……」
 
( ゚д゚) 「そんな後ろ盾として、現場を走りまわるくらいです」
 
 
( ゚д゚) 「……博打を打たせた時のあの人は、強いですよ」
 
( ゚д゚) 「あの人が名を馳せた、あの事件でもそうなんですが、」
 
( ;>д゚) 「………べぇっくし!!」
 
.

421名無しさん:2018/11/19(月) 00:34:38 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
 ┏━─
    大神フォックス  オオカミ鉄道総裁
                             ─━┛
 
 
 
爪;'ー`) 「お待たせしました! ええ、失礼…」
 
爪;'ー`) 「……」
 
 
爪'ー`) 「え?」
 
爪'ー`) 「え、ああ……お久しぶりですね………ッて」
 
 
爪'ー`) 「え、どうしておたくが?」
 
爪'ー`) 「これってアレでしょ、事件のインタビュー的な……」
 
爪;'ー`) 「いやいやいやいや!」
 
爪;'ー`) 「今回ばかりはさすがに無関係だからね!?」
 
 
爪'ー`) 「え。 なに。 ついで?」
       、 、 、
爪;'ー`) 「ついでで来ないでいただきたい!」
 
爪;'ー`) 「あなたと会うだけで胃薬がいるんですよ! わかりますか!?」
 
.

422名無しさん:2018/11/19(月) 00:35:08 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
 ┏━─
    ペニサス伊藤  ヴィップ県警捜査一課刑事
                                 ─━┛
 
 
 
('、`*川 「最近ねーースマホ新しくしたんだーー」
 
('、`*川 「捜査してる時、だいぶ地図アプリ使うんだけどさ」
 
('、`*川 「やっぱ、新しくていいスマホだったら、より正確でね」
 
 
('、`*川 「スマホ新調したついでに、整理したんだ」
 
('、`*川 「電話帳」
 
('、`*川 「昔から、いろんな事件で、いろんな人の連絡先聞いてるんだけどさ」
 
('、`*川 「ほんと、いろんな人がいて、優しい人が多いんだ」
 
 
('、`*川 「それで、ムカシ捜査で行った喫茶店にさ、オフで行ったんだ」
 
('ワ`*川 「そしたら、そのおばちゃん、私のこと覚えてて!」
 
 
('、`*川 「何年経っても、案外色褪せないもんなんだね、人のつながりッて」
 
('、`*川 「あんたもだよ。 またそのうち、会おうね」
 
.

423名無しさん:2018/11/19(月) 00:35:52 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
 ┏━─
    三月ウサギ  アルプス県警捜査一課警部
                                  ─━┛
 
 
 
(メ._⊿,) 「如何にも……我の名は三月ウサギ……」
 
(メ._⊿,) 「……真実の求道者」
 
 
(メ._⊿,) 「……イナリが警部になった頃から……」
 
(メ._⊿,) 「この口上は……禁止された……」
 
(メ._⊿,) 「イナリが警部になってから……向かい風が多い……」
 
 
(メ._⊿,) 「俺は……引退した身よ……」
 
(メ._⊿,) 「捜査一課の権限は……イナリが握っている……課長以上にな……」
 
(メ._⊿,) 「だが……今の警察機関を変えるには……」
 
(メ._⊿,) 「イナリの力が必要だ……三人いても足りないほどによ……」
 
 
(メ._⊿,) 「俺としては……」
 
(メ._⊿,) 「……はやく身を固めて……孫を見せてもらいたいものだがな……」
 
(メ._⊿,) 「こう見えて……子供をあやすのは得意だぞ……」
 
.

424名無しさん:2018/11/19(月) 00:36:47 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
 ┏━─
    流石兄者  ウェブライター
                    ─━┛
 
 
 
( ´_ゝ`) 「ん……ああ、あんたか」
 
( ´_ゝ`) 「見ての通り、留置所での面会さ」
 
( ´_ゝ`) 「刑事さんに言われてな。 やっと、ついたんだ」
 
( ´_ゝ`) 「奴に会う、決心………ッてやつ」
 
 
( ´_ゝ`) 「ここに来るまで、ずっと」
 
( ´_ゝ`) 「どんな話をしようか、ずっと考えてたんだが……」
 
( ´_ゝ`) 「………会ったら、今年のアニメの話で、盛り上がっちまった」
 
( ´_ゝ`) 「ああ、面会時間いっぱいに、な」
 
 
( ´_ゝ`) 「いろいろあったとは言え、やっぱり俺は」
 
( ´_ゝ`) 「奴のことは、嫌いになれそうにねえわ」
 
( ´_ゝ`) 「亡霊にでもなって、俺の枕元に出てきてくれねえかな」
 
( ´_ゝ`) 「そうすりゃ、毎日が楽しいのに」
 
.

425名無しさん:2018/11/19(月) 00:37:37 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
 ┏━─
    若手ワカッテマス  ヴィップ県警捜査一課刑事
                                   ─━┛
 
 
 
( <●><●>) 「お待たせしました」
 
( <●><●>) 「来ると思って、先にコーヒー、淹れておきましたよ」
 
( <●><●>) 「もう四度目ですからね、これでも」
 
 
( <●><●>) 「あんな上司に引っ張りまわされる日々ですが」
 
( <●><●>) 「なんだかんだ、うまくやっていけているとは思いますね」
 
 
( <●><●>) 「ヴィップの滝公園での、兄者との対決ですよ」
 
( <●><●>) 「あそこで、あの人が私を呼んだ、ということ」
 
( <●><●>) 「……私とあの人で、呼吸が合っていなければ、成し得なかったことです」
 
( <●><●>) 「証拠が何一つ残ってなかった、事件だったのですから」
 
 
( <●><●>) 「次会う時は、どんな事件なんでしょうかね」
 
( <●><●>) 「私としては、もう二度と会いたくないですが」
 
( <●><●>) 「冗談ですよ」
 
.

426名無しさん:2018/11/19(月) 00:38:57 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.

427名無しさん:2018/11/19(月) 00:39:21 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 

 
 
 かつての喧騒はどこへやら、
 全国を震撼させた連続予告殺人事件は、七十五日を待たずに過去となった。
 
 この国では、毎日新しい事件が舞い込んでくる。
 アイドルの結婚や政治家のスキャンダルと、話題には事欠かない日々である。
 
 
.

428名無しさん:2018/11/19(月) 00:40:48 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
(´・ω・`) 「お見合いィ!?」
   ,_
イ(‐、ナリ从 「……」
 
(´・ω・`) 「あの? イナリちゃんが? お見合い?」
 
(´;ω;`) 「事件だwww大事件だwww捜査一課出陣だァwww」
   ,_
イ(゚、ナリ从 「言うんじゃなかった!」
 
(´;ω;`) 「ぶッひゃwwwひゃひゃひゃwww」
 
 イナリちゃんは、飲み干したジョッキを叩きつけた。
 ちょっと気遣ってバーに誘ったわけだが、
 意外にも、彼女はビールが大好きだったようだ。
 
   ,_
イ(゚、ナリ从 「警部だって、独身あんでしょ!」
 
(´;ω;`) 「ちょっとwww酔いすぎじゃないんですかwwイナリさァんww」
 
(´;ω;`) 「舌がまわってないですよwww」
 
.

429名無しさん:2018/11/19(月) 00:41:22 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
 頼んだ生ハムとオリーブは、すぐになくなった。
 イナリちゃんがビールを呷るごとに食べ尽くすのだ。
 
(´・ω・`) 「あ、このチーズの盛り合わせで」
   ,_
イ(゚、ナリ从 「警部こそ独身でしょ!」
 
(´・ω・`) 「一応一度は結婚したもんねー」
 
 
イ(゚、ナリ从 「バツついてんじゃないですか!」
 
イ(゚、ナリ从 「上層部でも話題になってますよ!」
 
(´・ω・`) 「え、なんの話題?」
 
 さすがに、イナリちゃんに空けたジョッキの数で負けたくはない。
 遅ればせながらも、四杯目を続けて頼んだ。
 
 
イ(゚、ナリ从 「あの男には、しっかりと生活を支えてくれる妻が必要だって!」
 
(´;ω;`) 「独身でもやってけてますゥwww」
 
.

430名無しさん:2018/11/19(月) 00:42:44 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
イ(゚、ナリ从 「最近、酒浸りだそうじゃないですか」
 
イ(゚、ナリ从 「知りませんよ。 痛風とか、そんなのになっても」
 
イ(゚、ナリ从 「父も、去年、痛風だったんですから」
 
(´;ω;`) 「三月殿wwwwまじでwww」
 
(´;ω;`) 「あいてッ!あいててててwwww」
 
 
 あの、亡霊に支配されていた事件が終わって、
 念願だった、懐かしい顔ぶれとの飲みを楽しむ日々を送っている。
 
 まず、事件解決を祝っての、ショボーン班での乾杯。
 続けて、オオカミ鉄道の総裁や、アスキーミュージアムの館長など。
 久しぶりに、酒のうまさに触れられて、心の底から楽しいと思える日々だ。
 
 
(´・ω・`) 「ちゃんと、独身のうちに、親孝行しとかなくちゃ!」
 
(´・ω・`) 「結婚するんでしょ!」
   ,_
イ(゚、ナリ从 「するのはお見合い!」
 
.

431名無しさん:2018/11/19(月) 00:43:43 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
 イナリちゃんがヴィップ県警にいた頃、一度だけ、誘ったことがあった。
 周囲から孤立することで、彼女から士気が感じられなかったのだ。
 
 その時の、彼女は、無口だった。
 飲むのも、ウーロン茶くらいなものだったが。
 
   ,_
イ(゚、ナリ从 「結婚なんて……私には……」
 
(´・ω・`) 「こォーーんなに可愛いのにィ!?」
   ,_
イ(゚、ナリ从 「人付き合いが苦手なの、知ってるくせに……」
 
 今となっては、口を開けば、言葉のすべてに感情の色が塗られている。
 どんな人間でも、心が開きさえすれば、個性的な彩りが感じられるものなのだ。
 
 
イ(゚、ナリ从 「……若手さん、いるじゃないですか」
 
イ(゚、ナリ从 「昔、一度、飲んだことがあるんですけど」
 
(´・ω・`) 「!!!」
 
.

432名無しさん:2018/11/19(月) 00:44:22 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
 服装も、当時は仕事中となんら変わらないスーツ姿だったのが、
 今日は、イナリちゃんが好きな淡い青色を基調にした、私服だ。
 化粧やコーディネートからして、なんだかんだ気合を入れてくれたのがわかる。
 
イ(゚、ナリ从 「あんな風な、静かな人だったら、落ち着きはするんですよね」
 
(´・ω・`) 「奴はだめだ!!!」
 
(´・ω・`) 「おとーさん許さないからね!!!」
   ,_
イ(゚、ナリ从 「顔が近い…!」
 
 
 流石兄者のような、社交的に見えて、自らの偽りに支配された男。
 小森マサオのような、内向的ながらにして、自らの偽りに支配された男。
 ふたりを筆頭に、ほとんどの人間は、
 事の大小こそさて置くものの、なにかを偽って、偽りに支配されて、生きている。
 
 しかし、というよりは、だからこそ。
 人は、酒を好む。
 
 なかなかどうして、人は酒を飲むことで、図らずも本性を現すので。
 疲れた時には、人と酒、ふたつの温もりに触れるのが一番なのだ。
 
.

433名無しさん:2018/11/19(月) 00:45:15 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
イ(゚、ナリ从 「……とにかく」
 
イ(゚、ナリ从 「お見合いは、断るつもりだから」
 
(´・ω・`) 「なあんで!?」
 
 人は生きていくうえで、必ずその身に、偽りを纏う。
 だからこそ、イツワリという言葉は、人が為すと書いて表されるのだ。
 
 
イ(゚、ナリ从 「私はいいんです!」
 
イ(゚、ナリ从 「なんだったら、いい人、紹介しますよ」
 
イ(゚、ナリ从 「アルプス県警の事務の人なんですが、三十二の、美人です」
 
 
イ(゚、ナリ从 「もちろん、警部のこともご存じですよ」
 
(´・ω・`) 「はん!」
 
 ただ、僕は。
 人が為すから偽り、だとは、思わない。
 
.

434名無しさん:2018/11/19(月) 00:46:03 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
(´・ω・`) 「僕はもう、ケッコンなんてうんざりだ!」
 
(´・ω・`) 「どーせ次結婚しても、一年で別れるんだよ!」
 
イ(゚、ナリ从 「最初の人は、何年で別れたんですか?」
 
(´・ω・`) 「覚えてないけど……三年もなかったと思うよ?」
 
 
イ(゚、ナリ从 「どうして、別れたんですか?」
 
(´・ω・`) 「愛想尽かされただけだい」
 
イ(゚、ナリ从 「やっぱり!」
 
(;´・ω・`) 「やっぱり!?」
 
 
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435名無しさん:2018/11/19(月) 00:46:26 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
 人の為に、だから偽り。
 僕は、そうであったほうがいいな、と思うのだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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436名無しさん:2018/11/19(月) 00:46:59 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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437名無しさん:2018/11/19(月) 00:47:37 ID:/HjgK2Zs0
 
 
 
 
 
                                   |`ヽ       /|
                                   |.  \    /. i
                                   |   ヽ /   ノ
                                  !     `ー‐- '、
                                  |           .、
                                 l            !
                               r---ゝ           !
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                                l  :::::::::::::::゙ 、     _| n
    イツワリ警部の事件簿   File.4      `,_::::::::::::::::::::`ヽ, ノ,´αm
                              く  l  lへ、:::::::::::::::`'ー、r ||\
    (´・ω・`)は偽りの亡霊を捕まえるようです  '  '、-_l  ヽ、::::::::::::::::::`>;;::;;:|
                                ` ..‐,,..、 丶、  冫:::::::::::/>;;;;;;;;\
                             ,'  /´      ::ヽ.:.:.:::::::::::::::丶_;;::;;::|
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                            | l   ..,,_ .::::::::ノ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:::::::::::::::l ヽ」
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438名無しさん:2018/11/19(月) 00:50:58 ID:/HjgK2Zs0
第九幕  >>9-143
第十幕  >>164-321
終幕    >>340-437

番外編書くかは未定 >>1のことだからどうせ書かない
五年ぶりのおつきあいありがとうござました
さすがに五年前と比べて読みやすくなったりはしてんじゃないかな、、、とは思ったり、、、

続編の構想とかもさっぱりだけど、ファイル5を書く時がきたらまたぜひおつきあいください
ありがとうございました!

439名無しさん:2018/11/19(月) 00:51:10 ID:Tz.09YKc0
面白かった


440名無しさん:2018/11/19(月) 00:56:01 ID:nHW259Tk0
乙!

441名無しさん:2018/11/19(月) 00:57:53 ID:mG5YH9K60
乙!
続編あったら、嬉しいな

442名無しさん:2018/11/19(月) 01:11:11 ID:.W6MvIbo0
本当に乙!
すっげえ楽しかった!
やっぱりあなたの作るミステリーは最高だな!

443名無しさん:2018/11/19(月) 01:13:18 ID:H/IU059.0
ずっと待ってた
二転三転する展開で、毎話終わる毎に犯人推理させられた(全然当たらん)
最後まで楽しかった、本当に乙

偽りシリーズ全体の伏線の回収が終わるまで待ち続けるぞ

444名無しさん:2018/11/19(月) 02:00:14 ID:K6NAAqUI0
乙!偽りさん、またやってくれよぉ

445名無しさん:2018/11/19(月) 03:23:35 ID:O563Y5bw0
イツワリ!おつかれ!ありがとう!!

446名無しさん:2018/11/19(月) 07:53:34 ID:3jMphh.Q0
最大級の乙をあなたに
素晴らしい作品をありがとうございました

447名無しさん:2018/11/19(月) 08:11:30 ID:/XpW4XQg0
素晴らしい作品をありがとう!
こうして、変わらずブーン系を読み続けることが出来るのも作者が頑張ってくれるお陰だ!

448名無しさん:2018/11/19(月) 15:36:12 ID:mjMsiQ/s0
乙!!!!
めちゃめちゃ面白かった
あんたはほんとにいいミステリーを書くなあ! 推理が楽しいよ
また騙してくれな!

449名無しさん:2018/11/19(月) 16:13:51 ID:hPAWSTFI0
乙!!!!
もう5年か。。。

450名無しさん:2018/11/19(月) 18:12:32 ID:vA5qN1eE0
乙!

451名無しさん:2018/11/19(月) 20:50:15 ID:mZNoHblw0

最後の最後で警部自身が偽るかね…

452名無しさん:2018/11/20(火) 12:32:45 ID:uQ1ixSvw0
乙!
久々のシリーズだったけど今回も楽しかった!
次回作に超期待して今から全裸待機しています!!

453名無しさん:2018/11/20(火) 19:10:55 ID:6edCrgDQ0
懐かしいシリーズ読めて本当によかった
今回もめちゃくちゃ面白かったよ、乙

454名無しさん:2018/11/25(日) 02:49:58 ID:ErIu/Vg.0
くっそ面白かった!!
さすがすぎるわ!!!
仕事でもプロの書き手さんなんかね…
とにかく乙、また次回あるなら楽しみにしてるぜ!!

455名無しさん:2018/11/25(日) 23:49:06 ID:PZf9Xqsw0

警部のタバコの銘柄が気になる
12ミリつーとラークかな?

456 ◆wPvTfIHSQ6:2018/11/26(月) 21:15:42 ID:bWJdiRS20
>>455
ご名答 >>1も吸ってる安い煙草だよ

457名無しさん:2018/11/26(月) 21:33:32 ID:4MPHWfEw0
乙!!!!!!!
あんたの創作物は軒並み好きだが、中でもやっぱこのシリーズは格別だわ
また次回も楽しみにしてるからな!!!!!!!絶対書いてくれよな!!!!!!
改めて乙!!!!!!!!!!

458名無しさん:2018/12/04(火) 13:06:14 ID:SIyk3e3I0
乙!!

やっぱ最高だよいっち!

いっちが書くしょぼんがいちばんしょぼんらしいと思う!
また作品待ってます��


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