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（ ＾ω＾）文戟のブーンのようです［2ページ目］
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≪とりあえずこれだけ分かっていれば万事OKなQ&A≫
Q.ここってどんなスレ？
A.お題に沿った作品を指定期間内に投下
投票と批評、感想を経て切磋琢磨するスレ
Q.投票って？
A.1位、2位とピックアップを選ぶ
1位→2pt 2位→1pt で集計され、合計数が多い生徒が優勝
Q.参加したい！
A.投票は誰でもウェルカム
生徒になりたいなら>>4にいないAAとトリップを名前欄に書いて入学を宣言してレッツ投下
Q.投票って絶対しないとダメ？
A.一応は任意
しかし作品を投下した生徒は投票をしないと獲得ptが、-1になるので注意
Q.お題はどう決まるの？
A.前回優勝が決める。
その日のうちに優勝が宣言しなかった場合、2位→3位とお題と期間決めの権利が譲渡されていく
Q.使いたいAAが既に使われてる
A.後述の「文戟」を参照
詳しいルールは>>2-9を参照してください！
また雰囲気を知りたい方は
前スレ
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1531744456/
へGO！！
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種は芽を出す。
時に、コンクリートを割り、マンホールを抜けて。逆境に咲く花に、人は希望を見る。
────なんだこれ。
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('A`)のヘソは名産地のようです
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痛みがないのが、逆に不気味だ。
('A`)「んん」
ただ、仰向けでいるのは苦しくて、ごろりと横を向く。腹がとにかく、いっぱいだから。
腹といっても、胃の中身じゃない。
ヘソがだ。
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皺一つなく伸びきったヘソが、異様なほど寛容にスイカを咥えこんでいる。
なみなみと注がれた水がコップのふちに踏みとどまるように、収まりきらずにはみ出しているのは、スイカのヘソ。
その大きさに、食べ頃を迎えていることを知る。
('A`)「おちりいたい」
馬鹿だろ。他人事のように思う。
友達が「こう」なっていたとして、真面目なツラで話されようが、まあ信じないような与太話。見せられたって、笑ってしまうかもしれない。
ヘソに、何食わぬ顔でスイカが埋まっている情景。考えてもみてほしい、無理だろうけど。
心配とかなにもかも一周回って、もはや笑えてくるから。
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(´・_ゝ・｀)「支援するよ」
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スマートフォンの通知。メールでも電話でもない、カレンダーからの報せ。タップすれば、今日の日付の下に、印が押してある。
こんなバカ見せるような友達も、フォロワーもいないけど。
一度、医者に行くべきか迷って、やめた。外の目が痛いのは想像に難くない。救急車を呼ぶのも、スイカのためじゃ気がひけた。
手術やなんやら大事にするのも、正直怖い。メスを知らない体を、貫いていたかった。童貞極まれり。こんな体じゃ、風俗にも行けやしない。行ったこと、ないけど。
といっても、一人で茶化すだけ茶化して、軽く見ていたわけでもない。
原因不明ならまだしも、心当たりがあった分、いくらか落ち着いていた。
初夏に食ったスイカだ。
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深夜のつまみ食いに開いた冷蔵庫の二段目に鎮座していた、ラップがけのスイカ。
部屋から出たのに気取られてしまう前に、素早く口に放り込んで、ごくりとやる直前。
喉に引っかかったあれは、間違いなく種だった。
でもね。普通そこで芽生えないでしょ。頑張りすぎでしょ。
見下すも、もはや宿主よりも堂々としてないか。それってどうよ。
('A`)っ
丸々とした実を撫でる。つるりとしていた。昔はあんなにちっさかったのにな、お前。
手のひらに収まりそうな頃を思い出して、少し、懐かしい。
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風呂にも入らなきゃ、着替えもしない。へそにいるスイカに気づいたのは、直径５センチほどになってからのことだった。
それも、腹を掻いたときに。だって、痛くなかったんだもの。痒くはあったけど。
掘り起こせるものなら、と尽くせる手は尽くしたつもりだ。それでも今この大きさにまですくすくと育っているのは、諦めたせいじゃない。
('A`) ﾎｼﾞﾎｼﾞ
('A`) ｷｭﾋﾟｰﾝ
('A`)『中身くりぬいたら、皮崩して取り出せんじゃん？』
スイカと格闘すること数日、学習した俺はめっぽう冴えていた。機が、実が、熟すのを待てばいい。
ほくそ笑んだあの日、寝がえりをうてずに妙に尻を痛めることまでは想定していなかったものの、作戦は順調そのものだった。
決行日。
スイカは長き夏を超え、大きく膨らんだ。
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階段の電球すら取り変えられない、体。
腹を支えながら、暗い階段を確かめるように降りる。上り下りでスイカが揺れることすら、少し辛い。
ひっそりと盗み取った三徳包丁は、なんとなく洗ってみた。万が一でも、ヘソ切ったらイヤだし。
慣れずにいつのまにか切った親指の付け根も、洗ったからノーカンだ、ノーカン。包丁なんて、中学以来握ってねぇもん。
片手にナイフ、片手にスプーン。付け焼き刃のテーブルマナーは、この大物に通用するだろうか。
スイカの先で、カーペットを覆う新聞紙。慎重なのは、草食系だからか。関係ないか。
茶化してみても、手先が妙に緊張するのは、真面目な良い子の証かね。
記事の中、農家のジイさんが畑をバックに笑っている。
そっちがどんな特ダネだろうが、こちとら、腹でスイカ育てさせてもらってますけどね。
見下ろして、はみ出した身に刃を当てる。
ぐっ、と押し込んだ力で、実が中で回転するかと思いきや、どうやら杞憂に過ぎなかったらしく。その手応えは強い。
:('A`#):
慣れないながら、ノコギリのように何度か撫でてみても、少し色が落ちるだけ。
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（；＾ω＾）｢うげぇ……支援……｣
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从; ﾟ��从 「なんだよこの臨場感……お腹モゾモゾするぜ」
从 ﾟ∀从 「だが支援」
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ああでもない、こうでもないを繰り返すうちに、恐る恐るは何処へやら。
鉛筆を削るように、血の滲んだ親指で思い切り、押し込んでいた。
しばしあり。
ブツン と、手応え。
('A`；)「うおっ！？」
硬い殻のその下は、過ぎるほどやわく。
ありあまる勢いのまま、包丁は肉を削いだ。
がしゅり。
一瞬でツライチになった胴の先、削げ落ちたスイカのヘソが、重く床を打って、わなないた。
遅れて、冷や汗。
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('A`；)「切れ、てはないか」
腹をたくし上げて、しげしげと下腹部を覗きこむ。傷はなく、濡れた感触もない。治りかけの汗疹がじくじくと、冷や汗に感化されている。冷や汗と、伝う果汁に。
水源はつついただけで溢れそうなほど、贅沢なみずみずしさ。照り返る断面は、目を刺すように赤い。どう見たって、うまそうな。
('A`)「すっげぇ……」
さくり。
そっと突き刺したスプーンは、泥に食わせたように沈み込む。
手首を返してくり抜いた赤い球は、じゅわじゅわと贅沢に輝いて見えた。
艶めいた果肉の前に、ちっぽけな警戒心など、あまりにも些細だ。
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突き抜けたのは、甘み。
('A`)「うまっ」
果物って、こんなにうまいの？最近食べてなかったからか？
ジューシー、の言葉がどうして生まれたのか、今なら分かる。口の中がうまい汁に満たされちゃ、ジューシーって言いたくなるから。違いなかった。今の俺がそうだ。
舌ですり潰した実は、少しの繊維を残して、喉にさらりと流れ込む。とにかく、汁だく。果汁で、うがいができそうに。
そのままごきゅっ、と飲み下せば、甘い息が鼻から抜けた。
('A`)「ぷはっ」
美味い。甘美味い。素材の味がちゃんとする、って感じ。伝う蜜に、おっとっと、なんて言ってみちゃったりして。
寝っ転がって、ヘソにスプーンを突き入れては、口に含む。しゃくしゃく、こっくり、夏だなあ、とか。
スプーンの鉄臭さこそあれど、究極の地産地消は、まことに味わい深いものだった。
('A`)「やべ、種飲んだ」
笑いがこみ上げる、美味さ。また食べられるなら、一粒飲んでおくのも悪くないかもしれない。冗談交じりにそう思った。自家栽培、つって。
赤い地層は、ヘソ深くまで続いている。果ての見えない幸福感。円を描くようにスプーンを往復させるのは、全く苦ではなかった。
その先の白い層がのぞいて、少し残念に思うくらいには。
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（lii＾ω＾）｢食うのか……｣
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('A`)「ん、しょっぱい」
少し硬い薄味が、口に心地よい。甘さに少しだれた舌にぴったりだ。いつの間にか、手首が切り口に触れるほどには食べ進んでいたらしい。今更驚くも、サクサクとした歯ざわりを求めて、掬う手は止まりそうもなかった、が。
ふと、底が抜けた。甘い蜜が、掘った穴の向こう、新聞紙を濡らすのが見える。
('A`)「あり、終わりか」
スイカひと玉は、予想に反してなかなか軽くイケてしまうものらしい。少し、拍子抜けする。
少し名残惜しく思いながら、穴のそばの赤い果肉を剥がした。うん、美味い。
ついさっきまでは、とても底なんて見えないくらい残っていたはずなのに。
途端にもったいなく感じて、少しずつ削るように、スプーンで削り。
ふと。
('A`)「…………あれ」
緑の皮は？
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食べてはいない。そこまでバカ舌なわけはない。
切り落としたスイカのへそが、床からじっと見上げている。あれは確かに青いのに、どうして。半分だけ緑色なんて───あり得たとして、俺はそれを食べた？
('A`)「いや、ウマすぎんだろ」
また、一口。変わらず美味い。皮は、品種の問題か。そう思えば、表皮のないスイカがあったって。
背中が果汁に濡れているのを、そばのティッシュで拭う。腰に手を回して、穴の向こう側から拭けば、ヘソの向こうで色づくのが見えた。
見えた。
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(;´・_ゝ・｀)「なんつうもんを……」
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ヘソの底が、なかった。
ないことなど、あり得ない。
なら、俺の腹は、どこに行った。
('A`；)「………？」
全身の強張った毛穴に、頭が追いつかない。
ヘソは殻に拡張されていて、その中身を、食べた。確かに。
そしてそれは、スイカの果肉だった。だった、はずで。だって、それは、赤い、柔らかく濡れた─────。
('A`；)「────ん、な」
まさかだろ。
虚勢は、穴に消える。
スプーンが、床に跳ねた。はっとして、取り上げた指の付け根に、蜜よりずっと、深い赤が乾いている。まさか。
確かめずにいたほうが、きっといい。そう知っていた。
( A ；)「────」
唾液でふやかした傷口が、腹の穴と同じ甘さであることは。
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必死で握った思考のブレーキが、熱く熱を持って弾け飛ぶ。砂糖汁をすすった脳味噌はよく回った。
点と点を結んで、線と線を繋いで。
出来上がった形は、きっと球体状だった。
( A ；)「ひ」
迫り上がる甘酸っぱさに体を折ると、脇腹がめき、と軋む。
この味は、どこから来た。腹はとっくに。
恐怖で回った目では、確認することも出来ない。
数分前に飲み込んだ種の感触が、ノドに蘇る。そんなわけは。いやだ。うろの腹が恐怖に引き攣った。
幻痛に体を丸めては、いけなかったのに。
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果実が折れた。そんな音だった。
弾けた黒い種が、迫る新聞の上、笑顔の背後に散らばっている。
【了】
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