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ダンゲロスSSC3 雑談スレ

97狭岐橋 憂・エピローグ:2017/12/10(日) 19:30:16
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「うーん、美味しくない、かな?」

やせ細った腕に、私は感想をつぶやく。
反対側の腕には点滴がつながっている。
どうやらここは病院らしい。
健康には気を使っていたのであまり馴染みが無い。
あの世界では医者をやっていたけれど、こんな現代的な設備なんて無かったもの。
そういえば、病院食というのは美味しいのかしら?
味が薄いという話もあるけれど、それは塩分を控えるべき病人に対してだけだという話もある。
この身体の場合、何も食べていないだけの単純な衰弱だろうから、おそらく普通の食事が出てくるはず。
残念ながら、その前に退院となる可能性の方が大きいのだけれども。

「ん……」

体を起こして眼鏡を掛け、鏡を見る。
鏡の中の憂ちゃんは辛そうな顔をしていた。
心配しないで、と私は彼女に笑い掛ける。

そこに、突然の来訪者が現れた。
知っている顔だった。
と言っても私の方ではない。憂ちゃんの方。
そう、たしか……。

「夢、さん」

「久しぶりね、ユウちゃん」

違う私になってから最初に名前を呼ばれるときはいつも、なんだか騙しているような気分になって、何も言えなくなる。
私が答えに詰まっている間に、夢さんは話を続けてきた。

「ごめんなさい、あなたを巻き込んで」

「いえ……」

あいまいな返事でごまかした。
ただ、ちょっと夢さんの言い方には引っかかる部分がある。
『巻き込んで』と言うからには、彼女自身にもこの大会で何か目的があった?
その疑問は、すぐに晴れることになる。

「私の本当の名前は、ユメス」

「ユメ……ス?」

「そう、昔ゴメスと共に暮らしていたゴ人のメスのうちの一人。
 私は彼を貶めた国暗協がこの大会の裏に絡んでいることを突き止めた。
 そこで私は復讐のため、コミュニティの人脈を使ってVRカードを手に入れ、出場してくれる子を探していたの。
 国暗協が関わる以上、盤外戦は避けられない。あなたを現実の危機に巻き込むことになると知っていながら。
 それどころか私は、国暗協壊滅のために、あなたを報酬に『転校生』を呼ぶことまで考えていた」

彼女はそこで一息ついて、

「だから、私が今からやることをユウちゃんには気にしないでほしいの。これは、私の償いだから」

上着を脱ぎ始めた。

「支倉饗子は、私が引き取るわ」


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