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DQBR一時投下スレ
1
:
ただ一匹の名無しだ
:2012/05/01(火) 18:33:27 ID:???0
規制にあって代理投下を依頼したい場合や
問題ありそうな作品を試験的に投下する場所です。
前スレ
投下用SS一時置き場
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/30317/1147272106/
496
:
開幕1/4
◆2UPLrrGWK6
:2015/11/01(日) 17:44:17 ID:/qeU8mJw0
ひとつ、燭台に火が灯る。
揺らめく火には暖かさを感じるのが常というもの。
しかしその火は……これから始まるたくさんの"死"
それを予感させる、はじまりの火種。
ひとつ、またひとつ、燭台に火が灯る。
徐々に薄闇の中、照らしだされるのは、邪気に満ちた魔城。
そして、そこには。
「悲しいなぁ……」
暗闇に、絡みつくような、じっとりとした声が響き渡る。
"彼"はそれに軽い不快感を感じながら、自らの頭を振って、覚醒した。
すると、そこには彼の他に、数多くの人々が倒れ伏している。
老若男女に飽きたらず中には魔物と思しき影すら確認できた。
「……!?」
バンダナを巻いた青年が、辺りの景色に驚きの声を上げる。
リボンで銀髪を束ねた青年が、玉座に座った何者かを指さした。
姫君らしき少女は怯えた声を上げ、でっぷりとした体型の男性が前に進み出て大声を上げている。
だが、素性を知るであろう彼らをまるで意に介した様子が無い。
その玉座に足を組み座り続けていた"不気味な道化"は、徐ろに立ち上がる。
そして、深々と頭を垂れたのだ。
「ごきげんよう、皆さま方……本日は、この私めの催しに参加していただき、誠に感謝しています」
わざとらしいほど恭しげに、その道化師は前口上を述べる。
ようやく全ての者達が自分の置かれている状況を理解したのか、口々に皆が声を上げた。
何のことだ、ふざけるな。
ここは一体どこなのか。
そんな喧騒が押し寄せ、今にも誰かが食ってかかりそうなその瞬間。
「!?」
497
:
開幕2/4
◆2UPLrrGWK6
:2015/11/01(日) 17:45:30 ID:/qeU8mJw0
ある一つの音が、静寂を生み出した。
それは何かが弾ける音、びしゃびしゃと液体が溢れる音。
商人風の身なりをした男、であったのであろうか。
今となっては確かめるのも憚れる。
もはやその人間の首から上は消失し、血を垂れ流す単なる肉塊と成り果てた後だったのだから。
少し遅れ、その静けさを蹂躙するように、どよめきと悲鳴が起こる。
目の前で起きた惨劇を理解し始めたのだ。
「皆様、ご静聴くださいませ」
その騒ぎも、もう一つの爆発音に静まり返った。
今度は老人であろうか、同じく首をごろりと転げ、細い肉体を遅れて横たえた。
老人の屍に、首を刈り取った謎に、そして道化師の言葉に皆一様に押し黙る。
「ただいまお見せいたしましたのは最初の演目……軽い、手品にございます」
血の匂いが皆の顔を曇らせているのとは対照的に、軽い笑みを浮かべていた。
続けて、ややおどけるように皆に問いかける。
「不思議なものです。彼の顔は一体、どこに消え仰せたのでございましょう?……種をこっそりと、お教えしましょうか」
クスクスといたずらっぽく笑う道化師。
この場に集められたほとんどに、今まで以上に更なる巨大な畏怖が渦巻いた。
「身体のどこかに、気づかぬうちに何かの戒めがされてはいませんか?例えばそう……首、の辺りなぞにご注目くだされば」
498
:
開幕3/4
◆2UPLrrGWK6
:2015/11/01(日) 17:46:44 ID:/qeU8mJw0
誰ともなく、驚きの声が上がっていた。
ある者は自らの首に手をやり、またある者は互いの首元を指差して。
首などが無い異形の者も、自分の身体につけられた何かしらの"枷"に驚きを隠せなかった。
「種明かしでございます……これはあなた方の善良な意志を封じ、狂気へと駆り立てるための舞台装置の一つ」
玉座に再び腰を下ろし、道化師は手にした杖をくるくると弄ぶ。
その姿は、本当にこの状況を、ただただ楽しんでいるだけかのようだった。
一同、皆が固唾を飲む。
混乱している者もいた。
予感をしていた者もまた、いた。
道化師はそんな彼らの顔を見回し、再び満足そうに笑う。
「続いての演目は、あなた方の協力が必要なものでして。何、簡単なことですよ」
そこには恨みも、殺意も感じられない。
むしろにこやかに、愛想良く振舞っているようにすら感じられた。
道化師の存在意義の一つである、観客の心を惹きつけ離さない─
その役割を、ただ演じ続けているかのように。
「あなた方にはこれより、殺し合いをして頂きます」
*****
どこからともなく現れた、漆黒の怪鳥に睨みつけられる。
体中に隈を刻んだ、4足の巨体が腕を組み見下ろす。
その魔物らは道化師と意志を同じくしているのか、彼の指示通り集められた者たちを誘導していた。
腕のたつ者も居ただろうが、ここには同じく力なき者も居た。
そのためか、あれ以上に道化師に逆らい、彼ら魔物へと反発したものは居なかった。
目の前には広がる、蒼色の光。
話には聞いたことがある、"旅の扉"と呼ばれる神秘の門だ。
これから自分たちは、こことは違う地にて殺戮ショーを演じることになるらしい。
そこに足を踏み入れる前に……堪忍袋の緒が切れた。
「馬鹿げている……」
ぽつり、と初めて"彼"は呟いた。
499
:
開幕4/5
◆2UPLrrGWK6
:2015/11/01(日) 17:48:56 ID:/qeU8mJw0
「馬鹿げている、こんな、こんなことが許されていいはずが無い!」
周りの人々が驚くほどに、大きな声を上げて道化師に食って掛かる。
巨体の魔物に鳥の魔物。
確かに恐ろしいことに変わりがない。
しかし義憤が彼を動かした。
「私の鍛えたこの手は、貴様のような外道を倒す為にあるのだ!覚悟しろ!」
素手で構わない、自分の最も得意とする武装である。
固めた正拳を古い、道化師の鼻っ柱をへし折るべく疾走した。
(不気味な術を使うとは言え、あの痩せた男に遅れなど取らぬ!なにせ……)
確固たる自信が、渾身の一撃をまっすぐ放つ足がかりとなった。
修行、修行、ひたすら修行。
その積み重ねが彼に……悪魔の宿った鎧の化身である魔物を倒すまでの腕を持たせた。
そんな努力の結晶が、この場で通じぬわけがない。
ない、はずであった。
「悲しいなぁ」
拳は届くことは無い。
声を上げることもできない。
「あと少しで私に触れるところまで近づけたのに」
彼の首もまた、消失させられた。
道化師の指の所作一つで、首輪が弾け飛んだのだ。
「何もできずにお別れとは……悲しいなぁ」
為す術もなく、倒れ伏した武闘家の死体。
その脇を通り過ぎる。
「皆様に一つ、謝ることがございます。今お別れした、彼……そして」
老人、そして商人風の男。
彼らの脇もまた通り過ぎた。
「先ほどお別れした、お二方……」
そして振り返り、一瞬哀悼するような表情を浮かべ……手を振るう。
すると、ずぶりと沼のように屍を闇が飲み込んだ。
500
:
開幕5/5
◆2UPLrrGWK6
:2015/11/01(日) 17:52:11 ID:/qeU8mJw0
「誤ってこの場に相応しくない方々に、招待状を送ってしまったのです。それが彼ら……」
告げたのは、過ち。
まるで糸を紡ぐときに重ねる順番を間違えるかのように。
街で出会った人間の、名を忘れてしまったかのように。
命を、些末な扱いで扱い、挙句に消し去ったのだ。
「彼らのような名も無き者たちと肩を並べさせてしまい……深くお詫び致します」
恭しく頭を下げつつも、笑みを浮かべたその道化師。
無慈悲で冷たく、そして傲慢。
不気味な存在感を放っていた。
「旅の扉をくぐった先で……貴様らは最初に、これと同じ袋を手にすることになるだろう」
惨劇には目もくれず、淡々と告げるのは漆黒の怪鳥。
爪の先にぶら下げられていたのは、旅慣れた者ならば見慣れた『ふくろ』だった。
「貴様らの命を繋ぐ、道具や武器を詰めている。せいぜい活用することだ」
「その他に、殺し合いに置ける決め事も確認できる書物も入っている」
腕を組んでいた、巨体の魔物が続けて告げる。
彼もまた、参加者たちを一瞥して笑みを浮かべた。
「面倒に思いみすみす死ぬような、つまらぬ事は避けたほうが良い。吾輩を退屈させてくれるなよ」
二人の間を縫うように、進み出た道化師は最後に深々とお辞儀をした。
これから起きるであろう惨劇に、胸を躍らせているのは確実に見て取れる。
そんな表情であった。
「それでは皆様、しばしのお別れ。どうかまた、お会いいたしましょう」
道化師の笑みが大きく歪んだと思った瞬間、一同は蒼い光に飲み込まれる。
彼らは、これより誘われるのだ。
血に染まった舞台へと。
【DragonQuestBattleRoyaleIII 開幕】
【おーあなた友達の商人@DQ3 死亡】
【ラダトーム城の光あれ老人@DQ1 死亡】
【絶望の町の素手でデビルアーマー倒せる男@DQ6 死亡】
【残り77名+α】
501
:
開幕5/5 修正
◆2UPLrrGWK6
:2015/11/01(日) 17:56:36 ID:/qeU8mJw0
告げたのは、過ち。
まるで糸を紡ぐときに重ねる順番を間違えるかのように。
街で出会った人間の、名を忘れてしまったかのように。
命を、些末な扱いで扱い、挙句に消し去ったのだ。
↓下記が正しい文章です、訂正致します。
告げたのは、過ち。
まるで糸を紡ぐときに重ねる順番を間違えるかのように。
街で出会った人間の、名を呼び間違えてしまったかのように。
そんな小さな間違いとやらで命を些末に扱い、挙句に消し去ったのだ。
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