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なつやすみ

1_:2002/05/31(金) 09:25

嵐映画記念 短編小説
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8_:2002/05/31(金) 09:31

「しょうくん、おパンツ多めに持ってく?」
恥ずかしそうに松潤が言ってたけど俺はしかめっ面で無視してやった。どうせ後で
たっぷり絞られるんだ、もうやぶれかぶれってヤツだって。
「ボク最近オネショの回数減ったんだよ」
って松潤が嬉しそうに耳元で言ってたけど俺はそれも何とか無視してやった。それが
何だよって凄いクールな表情だったと思う。アーノルドシュワルネガーみたいな感じ?
あ、ロボコップでもいいや。
「・・前までは週に7回だったけど最近6回になった!」
それってほとんど毎日じゃねーかって突っ込みたかったんだけどさ、俺その辺の
軽い男じゃないからグッと堪えた。それより俺はその後の説教ってやつがホント
恐かった。あぁいやだ。

イチゴケーキを食べながら俺はズズッと鼻をすすって、ピーコのファッション
チェックに夢中になった。
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9_:2002/05/31(金) 09:32

3. 乗り物ムカツク

終業式が終わって通知票を貰ったらすぐに俺は家に帰った。
だって学校になんかいたら夏休み何すんのとかすぐ聞かれて困るじゃん!昨日
松潤にはしつこく口止めしといたしあいつが帰ってからも潤ちゃんと仲良く
しなさいって死ぬほど絞られたから(潤ちゃんだって!ウゲェー!)子供合宿
の事については諦めた。だけどこの夏俺はサーファーになるってもう皆に言っ
ちゃってたからほんと必死で家まで走って帰った。子供合宿なんてそんなガキ
しか行かないじゃん、だからもう家までダッシュで帰った。モノサシ机の中に
忘れたけど気に入ってる水色のクールコンパス忘れなかったから多分大丈夫。
「翔さん、用意始めなさいよ」
「はーい」
家に帰って漫画読んでたら、幼稚園へ妹の舞を迎えに行って帰ってきた母さんが
声をかけた。何か母さんって舞が生まれてからちょっと俺に冷たい気がする。
だって舞は母さんがずっと欲しかった女の子だしリボンとかつけれるじゃん、
でも俺はそんなの無理だから母さん多分冷めちゃってんだよ。いわゆる倦怠期。
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10_:2002/05/31(金) 09:32

「しょうちゃ、すてられるの?」
棒のついたペロペロ飴を舐めながら舞が鞄に物を詰め始めた俺に言った。それ
を聞いた母さんはウフフと笑ってそのままエプロンをつけてキッチンに消えて
行った。否定しろよなバカ!
「しょうちゃ、はやくかえってきてね」
口の周りをベタベタにした舞はそう言ってニヘッと笑った。舞は笑うと俺に
ソックリなんだ。将来絶対美人になるぞ。
「翔さん、明日の朝のお弁当はハンバーグがいい?オムライスがいい?」
キッチンから母さんが声をかけた。そう、明日からウッザイ合宿なんだよな。
朝の6時に駅集合なんて早過ぎるよ。考えるだけでウンザリした。だって
コンビニもゲーセンも無い所に行かなきゃならないんだから。都会人の俺
に取ってそれは地獄だよ、ホント。田舎なんてなくなっちゃえばいいのに。
「ハンバーグとエビフライ!」
キッチンに向かってそう叫ぶと母さんのはいはいと言う声が聞こえた。
返事は一回っていつも自分が言ってんじゃん!
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11_:2002/05/31(金) 09:33

――朝、パグみたいな顔で俺は集合場所に立っていた。
だって早いんだもん、ここまで母さんは車で送って来てくれたけど俺を
降ろすとここ駐車禁止だからってそのまま帰っちゃうんだもんな。いくら
舞の幼稚園があるからって冷た過ぎるんじゃないの?つーか眠過ぎて目が
ヤバい位開かないんだけど。それだってのにコイツは・・・。
「しょ〜うくぅぅんっ!」
もう嫌だ帰りたい、このまま電車乗ってコイツとど田舎行くのヤダ。
「しょうくん、見て見てこれオニューのバッグ!えろめすって言うんだ!
ママがこの前テストで100点取ったからって買ってくれたの!」
「あれ、松本君元気いいですね、はいじゃあ点呼取ったし電車乗りますよー。」
「はぁ〜い!」
こんなのと一緒に3週間も過ごせないよ、ヤダよ。超ウゼーよ。そんな俺の願いも
虚しく、そのまま俺達各小学校から集まったツイテナイ奴の団体は電車の扉をくぐ
って、ど田舎へのスタートを切った。
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12_:2002/05/31(金) 09:33

その電車は結構都会的で良かったんだけど、小さい駅で乗り換えたそのちっこい
電車がもうサイアクでほんと俺は吐きそうになった。しかもそれが長いっつーの!
もう2時間は乗ったんじゃないって所でまた乗り換え、次は走るとボロンボロン
って音出すバスで3時間、もう俺は死にそうだった。松潤なんてもう6回か7回は
途中で吐いてて引率の先生を困らせてた。俺は何とか堪えて吐かなかったけどそれ
でもサイアク、あともう1回これと同じ事をするのかと思うとほんと正直泣きそう
になった。母さんが鞄にスミント入れてくれてなかったら俺もヤバかったかもしれ
ない。そんな感じで始まったこの子供合宿はほんと俺にヤな思いしかさせないと
思った。バスから降りると辺りはいつの間にか昼を過ぎてて、そのバス停の前で
弁当を食べる事になったんだけどほんと殆ど食べれずにその弁当の時間は終わった。

東京よりうるさいセミの鳴き声と信じられないほどの量の緑に囲まれた俺は
フゥッと母さんみたいな溜め息をついた。
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13_:2002/05/31(金) 09:33

4. 田舎ムカツク

「はい、こちらは櫻井君がお世話になる大野さんご一家です」

順番に一人づつこの夏世話になる家に案内されるんだけど、俺が連れてかれた家
ってホントサイアクだった。何つーの?屋根がワラなの!最初豚小屋かと思った
もん。で、その豚小屋から出て来たのが、汚れた白いランニングシャツを着た
(もう汚くて茶色になってたけどね)ハゲたオッサンなの。腹が出ててほんと
最初ホームレスかと思った、マジ汚くて関わりたく無いタイプ!
「こんにちは、東京から来ました櫻井です。3週間よろしくお願いします。」
でもホラ、俺っていわゆる坊ちゃんだからきちんと挨拶(パターン4)したの。
だって真横に先生いたし、それにそのオヤジ真っ赤に日焼けしてて何されるか
分かんないと思ったし。最近何かとブッソウでしょ?だから。
「いやぁ、ほんとウチみたいな汚い家にこんな綺麗なぼっちゃん、本当申し訳
無いです。」
目の前のその黒いハゲはそう言って引率の先生に頭を下げた。一生懸命標準語
喋ってるんだけどハッキリ言って訛ってるのバレバレって感じで、それがまた
カッコ悪くて俺は心の中でウゲッて顔をしかめた。これだから田舎者は。ほんと
さっきからそればっか。田舎ってやっぱサイアク。
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14_:2002/05/31(金) 09:34

引率の先生が次の生徒を案内するために帰ってしまうと俺は何だか不安になった。
マジ?マジで俺、ここで3週間もいなきゃならないの?サイアク!持って来た
ブランド物のバッグ(母さんが貸してくれたやつ、ポチって名前だって)を
ぎゅっと握り締めた。ほんと生きて帰れるの?ワラで出来た社会の資料集で
見るような屋根を見上げたままそう思った。こんなボロい家、地震が来たら
一発だよ。
「・・まぁまぁ、か〜わいい子やねぇ!」
そのまま外で立ってるとタオルみたいの(それ手ぬぐいって言うんだって)
を頭に巻いたおばさんが奥から走り出てきた。何この人?オンナなのに真っ黒に
日焼けしてて変なの、着てる服もダサいし。香水もつけてないみたい。
「アンタ、この子が今年の東京からの子か?」
「そうじゃ、ほんま利口な顔しとるのぉ、慶応やと。」
「まるでオナゴみたいな可愛い子や、僕名前は?」
カチンと来た。誰がアナゴだよ!人間に向かって何言ってんだよ!ほんと
ムカムカしてたからそのまま帰ってやろうと回れ右したらそこには女の子が
立ってた。かわいい。すごい好み!
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15_:2002/05/31(金) 09:34

「・・・ただいま。」
俺がそのままそこに突っ立ってたらその子はそう言うと恥ずかしそうに中に入って
しまった。あ、そっちは豚小屋だよ・・ついそう声を掛けそうになってそれを喉の中
に押し込める。そうだよな、こんなカワイイ子が住んでんだから豚小屋な訳ないよ
な、立派な人間小屋だよ!ただちょっと豚小屋に似てるだけ。
「こらさと・・」
テレビでやってた映画でちょっとだけ見たやくざの映画に出てるやくざみたいな
喋り方で目の前の黒ハゲはその子に向かって言った。するとおばさんがそいつに
何かボソボソって耳打ちした。何だよ、誰かの目の前で内緒話はマナーがなって
ないって習わなかったのかよ。あ、田舎者だししょーがないか。
「さと、二宮さん家行ってこれ渡して来てちょうだい」
そのまま奥に入ったおばさんがその子に(さと!かわいい名前!)何か頼んでる
みたいだった。どんな声なのかな?東京にもメッタにあんなかわいい子いない。
着てるものはダサいけど白くてぷよぷよでクリクリの目で・・・。
「櫻井君、名前は」
「櫻井翔です、飛翔の翔の字です。」
ダメ、この子マジでメチャクチャカワイイ。本気かも。
だから将来のお義父さんにとくべつ丁寧に挨拶した。黒ハゲはまた感心してた。

案内された部屋の中は狭いし汚かったけど、あの子と同じ部屋だと分かって俺は
心の中でゴールを決めた翼君の気分だった。
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16_:2002/05/31(金) 09:34

5. 二宮ムカツク

「ねぇしょうくん、家の人どうだった?ボクほんとサイアクなの!」
荷物を置いて集合場所に行くとすぐ松潤が泣きながら抱き着いてきた。松潤は
人より大分色が白いから周りがみんな黒いこんな所にいると余計に目立つ。
近くで見てもオンナにしか見えない。ちょっと周りに人がいたし恥ずかしかった。
「ねぇ聞いてよボクん家ねぇ、おばさんチョーデブなの!だからうわーデブだって
言ったらそこん家の子に殴られたぁ!うわー!」
そう言い終えるとすぐに松潤はわんわんと木造の校舎が見える運動場で本格的に
泣き始めた。つーかそれって殴られて当たり前じゃん、そういう事は思ってても
言ったらマズイ事くらい分かんないのコイツ?
「そいつ二宮って言うんだけどもーホントムカツク!」
・・・ん?二宮?頭の中でさとちゃんの事を思い浮かべる。おつかい頼まれてたよな。
ぼやっと炎天下の下そのまま立っていると運動場の隅にさとちゃんが歩いている
のが見える。何かスケッチブックみたいなものを持って白いTシャツに黄色い
短パン・・ほんとかわいい!もうたまんないよな〜。
「ちょっとしょうくん聞いてる?ヒドいと思わない?びぇー!」
「あー分かったよ泣くのやめろよお前!ウルセー!」
「しょうくんちっとも分かってなーいー!うわー!」
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17_:2002/05/31(金) 09:35

「おい、泣き虫やい!」

そのまま松潤をテキトーになだめてるといやにムカツク声が聞こえる。
そっちを振り向くと松潤に負けないくらい肌が白いヤツがこっちに棒を向けている。
何か色は白いけど野生児みたい・・・。ボーッとそっち見てたらそいつ、こっちに
向かって棒を振り下ろしてきた。
「うわぁ」
地面にカッと音を立ててその棒がぶち当たる。あぶねー!無意識に突き飛ばした
松潤は歯を地面にぶつけてしまったらしくまだギャーギャー泣き叫んでる。
「しょうくん、ボクがでっぱになったらどうしてくれんのさ〜!」
「お前モトから出っ歯だろ!」
そっちに気を取られていると第2発目が振り下ろされるのが分かったから急いで
それをよけた。この野蛮人何すんだよバカ!また土の地面がカッと音を立てる。
「しょうくんソイツだよ二宮、ボクをぶったやつ!」
後ろで松潤がそう叫ぶのを聞いて俺はナットクする。なるほど、こいつなまいきな
顔してる、絶対俺のクラスにいたらチョーシの乗り過ぎて苛められるタイプだぜ。
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18_:2002/05/31(金) 09:35

「お前、人の母ちゃんの事デブって何じゃ!あやまれ!」

周りには先生はいなかったしクールじゃない他のヤツなんかがスケダチする訳ない、
俺はそいつと見詰め合ったまま(オエ!)しばらくそのままでいた。ハッキシ言って
俺ケンカした事無いし(ケンカは話し合いが出来ない野蛮人がする事だった母さん
言ってた)どうやったらそいつの事泣かせられんのか分かんなかったから漫画で
見たカメハメハのポーズを取った。
「お前、どけ!俺はそっちのアホに用があるんじゃ!」
そいつの上の歯に銀歯が見えた。コイツ、かなりの狂犬だぜ。
「・・・お前、カメハメハでこっぱみじんになりたいか。」
「なにィ?」
どうやら相手はかの有名なカメハメハを知らないらしい。人生の半分以上ソンしてる。
これだから田舎者は。俺はネは優しいからそいつに説明してやった。
「カメハメハっていう技はな・・こうガーンと来てドーンなンだよ・・分かったか。」
実演付き、とくべつに一回だけ『か・め・は・め・は』のポーズをそいつに見せて
やる。そいつは棒を持ったままそれをじっと見ていた。ふ、ビビッたか。
.

19_:2002/05/31(金) 09:36

「何かよう分からんけど覚えとけ!」
後ろに先生が来るとその二宮はそう言って校庭のすみにあるヒマワリ畑に消えて行った。
そのまま俺達はつぶれかけの校舎の中に案内されて、そのまま解散した。帰り松潤が
いっしょに来てとうるさかったけど俺はさとちゃんに会いたかったからすぐに帰った。
でも家にはさとちゃんはいなくて、仕方が無いから松潤の家、つまり二宮の家をおば
さんに教えてもらってたずねる事にした。他校から来ているヤツはマジメそうなヤツ
ばっかだったしそれだったらまだうるさい松潤の方がマシだった思ったから。ぜったい
寂しかったからとかじゃないね!

その二宮の家にさとちゃんが遊びに来てたのを見た俺は、さっきのカメハメハを自分
めがけてうちたくてしかたなくなった。(出ないけど)
.

20島流し:島流し
島流し

21島流し:島流し
島流し

22島流し:島流し
島流し

23島流し:島流し
島流し

24島流し:島流し
島流し

25島流し:島流し
島流し

26_:2002/06/03(月) 22:59
>>20 訂正

6. 黒豚ムカツク

ごめんくださいって丁寧に挨拶したのに、そのボロっちいさとちゃんチックな家には
ガキしかいなくて(ガキってさとちゃんの事じゃないよ)俺はなんだかガッカリした。
ちゃんと挨拶してソンしたじゃねーか。
「あ、お前・・」
目の前の豚小・・部屋には二宮とさとちゃんがいて、足元には体中にラクガキされた
松潤が転がっていた。(ちょっと面白かった)
二宮の手にマジックがあるのを見て、俺は
「松潤に何すんだよ!」
って言ってやった。フダンこんなの言わないんだけど、ちょっとさとちゃんにオトコ
らしいトコ見せとこっかと思って・・・。オトコごころってやつだって。キッて二宮を
かっこよく睨んでるとさとちゃんがそれ見てるのが分かった。あー見てる!さとちゃん
こっち見てる!俺は羽根が生えて天国に飛んでっちゃいそうになった。だってさと
ちゃんがうるうるした目でこっち見てるんだもん!きっとカッコイイって思ってるんだ!
でも俺はそれに気付かないふりして松潤のそばにしゃがんで
「大丈夫か松潤?ケガはないか?」
ってかっこよく、んー多分トランクスみたいな感じで言ってやった。俺の髪はちょっと
茶色がかった黒でトランクスみたいな銀色じゃないけど、さとちゃんはきっと俺のこと
カッコイーなんて思ってるはず!チョー照れる!
.

27_:2002/06/03(月) 23:01
「こいつええかっこしぃやから俺きらいじゃ!」
二宮のキンキン声がチョー耳にささって痛い。もー何コイツ?さとちゃんに俺の
かっこいいトコ見せてんだからジャマすんなよ!そう思って怒鳴ってやろうとしたら
奥からカバがダンスしてるみたいな足音が聞こえてきた。
「カズ〜!カズ〜!」
って声も聞こえる。何だって思ってたら二宮が
「あ!母ちゃん!」
って叫んで汚い板で出来た廊下をドタドタ走ってった。ヤッパあれだよな、田舎者って
廊下は走っちゃいけないとか多分習わないんだよな、だって学校だっていまどき木造
だったしあんなの火事とか地震とかどうするつもりなの?ほんと田舎ってヤダ。
.

28_:2002/06/03(月) 23:01

て言うかひとつ気付いた事があるんだ。田舎の家って多分超つくりが似てると思う。
ワラの屋根でしょ、それで木で出来た台風の時使うみたいなドアがあって、その奥が
すぐ家の中なの、つまり多分俺が思うにそれが玄関ってヤツ。で、玄関入ったら何か
靴脱がなくてよくてそこに台所があるの、よく分かんないけどジャグチとかナベとか
あるから多分台所だと思う。で、その台所のすぐ横には広いタタミの部屋があって
そんでその真ん中にはながーい棒みたいのが垂れ下がっててその先に傘の取っ手
みたいのが付いてて、んでそれにナベがかけられてあるの。その下には砂があって
(でも多分砂場の砂とはちょっと違うみたい)木のワクがあって、俺ん家にある
暖炉とはちょっと違うけど火がついてるの見たから多分暖炉?ナベがあるけどまあ
いいや、そんな感じ。変わってるね。で、その奥にフスマがあって廊下があって
部屋が何個かあってって感じ。天井がスッゲー高い、ほんと体育館みたい。
田舎の人は体育館に住んでんの。不思議発見!
.

29_:2002/06/03(月) 23:02

「アッラァ、あんた今年の東京から来た子か?」
「ひぇ」
気付いたら目の前にスッゲーコロコロに太ったおばさんがいた。マジ凄い!黒くて
太い黒豚だってこれ!何か変なホオカムリ(?)みたいのしてて手にはカマ持ってて
殺されるかと思ってつい悲鳴をあげちゃったっつーの!マジハンパ無い!
「ブフハハ!上品な子やねぇ、カズの友達か?」
ブタが喋った!くれないの豚だ!
「違う!」
二宮何か口とんがらせて否定してる。何だよそこまで言うかよ親の前で。さとちゃん
の方ちょっと見たけど手を後ろで組んでもじもじしてる。かわいい!
.

30_:2002/06/03(月) 23:03

「カズ、あんたお客さんに悪い事したらいかんで?悪戯してたら木霊山に捨てに
行くからな」
「ンなのせぇへんわ!だって俺コイツきょうみ無いもん!」
何か二宮スゲービビッてんの、ウケル!肝試しとかそういうので絶対逃げてスタート
地点に帰って来るタイプだバーカ!
「コイツさとん家に居候しとるんじゃ!なーさと!」
いきなりさとちゃんに話題ふったから俺ビビッちゃったよもー!何かホッペ赤く
なっちゃった、だってビックリしてるさとちゃん可愛いんだもん!東京に連れて
帰りたいよ。行き付けの駄菓子屋につれてってあげて好きなだけオカシ買って
あげたいっつーの!俺コヅカイ月2000円も貰ってる高給取りだし。
「そっかぁ、さとン家におるんかぁ」
黒豚が真ん丸い顔でニコニコしながらそう言ったから俺も優等生らしく(だってほら、
都会代表だし)
「はい、大野さん家にお邪魔してる櫻井翔と申します」
って挨拶してやった。(パターン2)そしたらその黒豚何てったと思う?ほんと
恩をあだで返された。オーマイゴッド!
.

31_:2002/06/03(月) 23:03

「じゃ今晩の夕飯さととウチ食いに来な、カズとも仲良くしてやってな」

その黒豚俺の頭なでながらそう言ったの、ひどい!今晩は黒ハゲの家でお食事の
予定だったのに!二宮いたら絶対さとちゃん盗られるじゃん!でもやっぱほら、
上流階級のしつけ?そういうのがもう身についてるって言うの?だから俺は
もうスッゲースマイルで
「喜んで、楽しみにしてます。」
なんて言っちゃったんだよね・・・。あーもーヤダ。で、自己嫌悪に陥ってるって
言うのにさぁ、その黒豚足元の松潤に気付いて
「あら、アンタも見ん顔やね、アンタも晩おいで」
とかって言ってんの!そしたらさとちゃんもニコニコしててさぁ!何なの?
さとちゃんってさぁ、こんなピンクのTシャツとか着てるオトコとか好みなの?
だったら俺チョーショック!もう俺はそん時何も言えなかったね。あんまり
アッタマ来てたからさぁ、帰りの道さとちゃん置いて一人で帰っちゃったよ。

さとちゃんの豚小屋が見えるころ、俺はやっと二宮の名前がカズって事に気付い
たんだよね。フン変な名前って思いっきり笑い飛ばしてやった。
.

32_:2002/06/05(水) 11:52

7. 相葉ムカツク

急いでさとちゃん家まで走って帰ったら家には誰もいなかった。
勝手に入るのも失礼かなーって思ったから戸口の所でごめんください櫻井です
って言ったんだけど反応無し。合鍵とかまだ貰ってなかったからさ、ほんと
焦った。で戸口の前で仕方ないからさとちゃん帰って来るの座って待ってた。
すんッげー暑かったんだけど(避暑地よって母さんウソついた!)なるべく
日陰に入って待った。だって二宮ン家まで戻るの死んでも嫌だったし黒豚は
カマ持ってたから。ほんとここ来てからこっちさとちゃん以外田舎のいいトコ
見付けらんないよ。

さとちゃん・・・カワイイなぁ。大野さとって(漢字かな?ひらがなかな?カタ
カナでもカワイイな)かなりイケテル名前じゃない?俺、自分の名前もヒーロー
みたいで好きだけど(よくカッコイイって言われるし)さとちゃんの名前も
負けずにカワイイ、大好き。あーもーセミうるせー。
.

33_:2002/06/05(水) 11:52

「・・・あの。」
パッと顔あげたら目の前にさとちゃんが立ってた。かなり近いどうしよう!
立ち上がったらさとちゃんの顔が目の前に来てスッゲードキドキしちゃった。
マツゲ長くて口ちっちゃくてカワイイなぁ・・・。コグマみたいな顔してる。
ぎゅって抱き締めたいよ、ほんと。
「中、入らないの?」
あーもー声もカワイイ!すごいキレイな声だよなー。歌とかうまそうな声。
一緒にカラオケ行きたいなぁ・・ううん、絶対連れてってあげよう、こんな
変な所から連れ出してやるんだ!
「あ、合鍵持ってなかったからさとちゃん待ってた。」
おっしゃー!初めてさとちゃんって名前呼んじゃった!さとちゃんのほっぺが
ちょっとだけピンクになるのが分かった。さとちゃん色白いからそういうの
すごくよく分かる。
「うち、カギないのに・・。」
さとちゃんはそう言って木のドアを開けて中に入って行った。そう言えば
このドア、鍵穴無い・・。は・・恥ずかしいっつーの。俺はさとちゃんに負けない
くらいホッペが赤くなるのが分かった。俺も色白い方だからバレてるんだろう
なぁなんて考えてたらもうどっかに思いっきり走って逃げたくなったよ。
「さとちゃん待ってよ!」
でも相手はさとちゃんだし大丈夫!だって将来の俺のお嫁さんになる人だし
こんな事恥ずかしいなんて言ってらんないって。ヘッ!
.

34_:2002/06/05(水) 11:53

さとちゃんの後を追っかけて部屋に入るとさとちゃんは地面に座って(こんな
キッタナイとこ座ったらおしり汚れるよさとちゃん)何かしてた。俺は横に
座って
「何してんの?」
ってもうジェントリマンみたいなやさし〜い声で聞いたんだよね、そしたら
さとちゃんもうとろけちゃいそうなカワイイ声で
「絵・・描いてる。」
・・だって!!カワイイ!カワイイ!もうヤバイくらいカワイイ!もううつむいた
まんまだったんだけどもう惚れ直した!ヤバ過ぎだってさとちゃん!
「絵描くの好きなの?うまいね。」
正直さとちゃんの描いてる人間(妖怪?)の絵はちょっと恐かったんだけど
やっぱジョーシキだから一応褒めたらさとちゃん
「・・ありがと。」
って言ってにこって笑ったの!あ・・・もうダメ、救急車呼んでって感じ!
まだそん時は午後の4時くらいで夕飯もまだだしテレビも電波そんな来てない
からチャンネル少ないからピーコ見れないしで退屈な時間だったんだけど、
そんな事言ってらんなくなったね。この汚い部屋の中にさとちゃんの2人きりで
一生過ごせますかって言われたら絶対イエスボタン押しまくっちゃうって!ヤバ!
こんなカワイイ子世界中探したってどこにもいないよ!あーもースカートとか
はけばもっとカワイイのにー。もーセミうるせー。
.

35_:2002/06/05(水) 11:53

「・・でさ、サトちゃん・・」
「さとちゃーん!見て見てぇー!」
せっかくさ、これから会話を広げてもっと仲良くなろうって思った時にフスマの
向こうからすっごい足音。だ誰かいたのこの家?ってビックリしたんだけど
そう言やカギかかってなかったって事思い出してそれが客だって分かった。
ほら俺この前の算数のテストでも一人だけ90点台だったしその辺はね。
「さとちゃーん!見て!見てコレ!」
足音がフスマの前で止まってすぐにバターンッてすごい音がしてフスマが
こっちに倒れてきた。フスマってこう使うの?家フスマ無いからよく分かん
ないんだけど普通横に開けるんじゃないの?
「・・・あ、あいばちゃん。」
それなのにさとちゃん、全然ビックリしないでフスマ蹴倒したヤツの方に
歩いてっちゃったの!何で!さとちゃんこんな野人に近付いたら危ないよ!
噛まれちゃうよ!
.

36_:2002/06/05(水) 11:54

「さとちゃん見てよこれぇ!」
そう言うとその野人、着てたダルダルのキッタナイTシャツの首のトコロを
頭の上に引っかけて
「じゃみら。」
って言った。じゃ、ジャミラ?世間はもうタイムレンジャーの時代なのに?
ウルトラマンなんてダッサイ馬鹿しか見ないよこの時代遅れ!こいつ未だに
マリオワンとかやってんじゃないの?クリボーとかにぶつかって死んでる
タイプだよ絶対!カッコワル!
「・・フフッ」
さ、さとちゃん笑ってる!今のもしかして面白かったの?ウソ!この目が
アズキみたいにちっちゃいヤツの寒いギャグが面白かったの?いやきっと
さとちゃん優しいから笑ってやってんだよな!こんなの絶対面白くないし!
もーセミ、ミンミンミンミンうるっさい!
.

37_:2002/06/05(水) 11:54

「あれ、このチビだれ?」
ジャミラの格好のまんまでそいつがいきなりこっち指差して言ってきた。
人を指差しちゃいけませんってコイツ全然習わなかったの?しかも初対面の
人のチビ?そりゃお前よりかは背はまだちっちゃいけど小さい時伸びるヤツ
って大きくなったら全然伸びないって母さん言ってたし。バカじゃんコイツ?
「さとちゃん、この人誰?」
もうかっなりキてたけど笑顔でさとちゃんに聞いたら(オトコはちょっと
した事でカッカしちゃいけないでしょ、やっぱ)さとちゃんふにゃあって
眉毛下げて(カワイイ!)
「相葉雅紀」
ってわざわざ俺のために紹介してくれたの!そしたらその相葉ってやつ、
さとちゃんに
「新しい家来?」
って言いやがったの!バッカ!バッカ!バッカじゃん?こいつ!家来な
訳ないじゃん!ハズバンドってやつだよ!あんまりムカついたからちょっと
ギッて睨んでやったの、俺。(カッコイー)そしたらさとちゃん

「知らない」
ってニコッて笑った。・・・知らない?え?ウソ?ジョークだよね?

セミが耳が痛いくらいミンミン鳴いてる中、俺は相葉の顔に思いっきり
キッツイにぎりっぺをくらわしてやりたくて仕方無かった。
.

38ななし姉さん:2002/06/29(土) 01:03
あのー、職人さま続きはまだでしょうか?
さとちゃんの本当の素性を早く知りたいです。

39ななし姉さん:2002/07/02(火) 03:51
さとちゃんお持ち帰りしたいです。あ、ジャミラでも可です。

40ななし姉さん:2002/07/30(火) 07:51
続きが禿散らかす程楽しみです。

41_:2002/07/30(火) 10:59

8. 手ぬぐいババァムカツク

「なぁ、おまえへびとトカゲどっちがすきなん?」
「ハァ?」
せっかく俺がさとちゃんとコミミケーションしようと頑張ってんのにさぁ、
この相葉ってやつマジうるさいの。さっきからもーどーでもいいような事をさぁ、
次々質問してくんの。コイツ絶対授業中とか手あげまくってあてられたら
忘れましたとか言ってる馬鹿だぜ多分!しかもウルサイから席替えの時とか
絶対先生の目の前の席にされんの!バーカ!
「おれは‥多分へびかな。おまえへびとな、トカゲ仲間なんしっとったか?
あいつら敵ちゃうんやって。先生言うとった。」
「は、何言ってんの?」
こいつマジ何言ってんのか分かんない!ほんと頭ヤバいんじゃないの?俺もう
ついつい宍戸錠みたいな顔になっててあわててかっこいいモードに直した。
だってほら、真横にさとちゃんいるし幻滅されたら仏滅だし!
「おまえ、あほか。」
「ハァァァァァァッッ!?」
マジビビった!頭ん中もうお祭りさわぎだっつーの!このアズキ何言ってんの?
もしかして今この住所が目黒の俺に向かって馬鹿とか言わなかった?もうマジ
切れた!‥って思って俺はそいつの胸ぐらつかんで『ろくでなしブルース』の
タイソンの顔してやった。俺なめてっと火い見るぜ?今チャッカマン持ってない
けど花火用のやつがカバンの中入ってんだよオラァ!!

「さとちゃん、このチビおかしなった、どうしよう。」
目の前の相葉の顔すっげーあわててんの!目ちっちゃ過ぎて目が点になってたか
どーかは分かんなかったけど多分点になってたと思う。ていうかチビって言うな
さっきから!アズキ!
「さとちゃん、怖がらせてゴメン。でもこれは男同士のケンカだから。危ないから
下がってて。」
.

42_:2002/07/30(火) 11:00

決まった決まった決まったーッ!
俺のスーパーウィンクがさとちゃんのブルブルハートに命中!俺はもう“ケツに
火がついてた”から(この大人の言葉はこの前ドラマで見た)いったん相葉を
放してやってそれから『らんま1/2』の乱馬のポーズ取ってヒュオオオって
言ってやった。そしたらそいつ何っつったと思う?
「さとちゃん、アイスないー?」
アイスだよアイス!俺がかまえ取ってやってんのにアイスよこせとかさとちゃんに
言ってんの!バッカ、あ、バッカじゃないの?なのにさーさとちゃんってばもう
死ぬほどやさしいからーとろけるチーズみたいな笑顔で
「ない」
とか答えてやってんのー。あーもうその笑顔がまたかわいくて、口の中にかわいい
八重歯があるのが見えてさーもうプリプリの唇とかぷにぷにのほっぺとか‥あぁ、
マジほんとこんなとこ引き払ってさっさと東京につれて帰ってあげたいよ。そしたら
もうこんな体育館でずっと暮らさなくてもいいようにしてあげる。きっと婚約指輪
は給料3びゃくおくまんねん分の大費用ですっげーダイヤのやつ買ってあげて
結婚式は宇宙ステーションで空中結婚!ビルゲイツとかクリントンとか呼んだり。
あと志村ケンとみやすのんき。
.

43_:2002/07/30(火) 11:02

俺がそうやって未来の結婚式の事とか色々考えてたらまたドタタタタとか凄い
足音が聞こえてきて、フスマが無い部屋の入り口から今度はさっきの銀歯が
飛び込んできた。二宮だ、って気付く前にそいつが叫んだ。

「おい都会モン!今日の晩めしお前絶対ウチ来んなよ!」
「は?」
何言ってんのこの白ナメクジは?誰に向かって命令してんだよ!慶応幼稚舎
4年3組出席番号12番1班“幻の絶対的班長”桜井翔に言ってるわけ?
こいつ絶対俺のクラスいたらいじめてやる。牛乳の栓入れるビニール袋
来ても絶対こいつにだけはまわしてやんないし机も死んでもくっつけて
やらないっつーの。俺にさからったらどうなるか体で教えてやるよ!
俺は無意識で“無敵のポーズ”を取った。もう何が起こっても俺の
知ったこっちゃないぜ。チラリとさとちゃんを見ると不安そうにマユゲを
下げてこっちを見守っている。大丈夫さとちゃん、絶対に正義は勝つから。

「かかって来いよ、ひねってやらぁ。」
俺はギッと哀れな二宮と相葉を見て言ってやった。言ってやったのに。

「みんなオヤツやで〜今日は氷やからはよ出てきな〜!」
ってさっきの“手ぬぐい”頭に巻いた黒いおばさんの声が聞こえると
わーってすごい勢いで全員外に走って逃げていった。

だんとつ一番で走って行ったさとちゃんの背中があっという間に小さくなるのを
眺めながら、俺はピーコの真似して「この子達ダメ、全然田舎くさいわ。」
ってひにく言ってやった。(さとちゃん以外)
.

44ななし姉さん:2002/07/31(水) 01:35
職人様フッカーツですね。とてもうれしいです。
ところどころに出てくる時代をにおわすアイテムが笑えます。
さっき、「みやすのんき」がどうしても思い出せなくて、健作の旅に
出てしまいました。

45_:2002/07/31(水) 09:21

9.オヤツムカツク

「はよおいで、ほれ」
って言って手ぬぐいババァに渡されたのはカキ氷だった。何か“こうりん”とか言ってた
からど田舎特有のすんげーオヤツなのかと思ってたのにゲンメツ!マックのプチプチ
シェイクのがだいぶおいしいっつーの!しかもシロップみぞれしか無いっつーんだもん
ダサいのにも程があるぜ!やっぱ俺がおすすめしたいのはハワイアンシロップとストロ
ベリーシロップとパイナップルシロップの3色がけ!ガリガリ氷に3色きれいにかけて
それでハワイアンにあきたらパイナップル、パイナップルにあきたらストロベリーとか
そうやって食べるのね、やっぱシティーボーイはこうじゃないと!
「やっぱ氷はうまいなぁ!あ、あいばのがミツ多いおばちゃん!」
「そんな事ないがな」
「あーる!あるあるある!もっと俺のにもかけて!かけてぇ言いよるやんかー!」
あぁこの二宮ってやつ、ほんっと普段からいいモノ食ってないんだなって分かった。
だってカキ氷でこんなキャンキャンほえやがって俺が星いってつ(星ひゅうまの父親で
スッゲーキビシイのよ、友達の兄ちゃんの漫画読ましてもらった)だったらまぁこの
バカにあの鉄みたいので出来たスーツ着させてるね!ま、出されたものは黙って食う
けど(シツケがすっごいから)こんな氷削ってシロップかけただけのオヤツなんて
びんぼうの食べ物だよなー。俺は洋物じゃない汚いスプーンで真っ白の氷の山を
ひとすくいして仕方なく口に入れてやった。失礼だからね。

46_:2002/07/31(水) 09:21

「・・・あっ」
つい声をあげてしまった。一生の不覚。何かすっげーハンパなく氷がフワフワしてて
あまぁくて、すごい、めちゃくちゃうまかった。カギ無しの玄関の前に生えてるすげー
高くてでかい木の下で食べてたんだけど、外なのにすごい頭がサーッて涼しくなって
だからビックリして声が出ちゃった。
「うまいか?東京では氷とかあんまり食べんのやろ?」
「いえ、海に行った時とか花火大会とかの時に食べます。」
「花火大会なぁ、この辺そういうのなかなか無いんやわ、ほら山ン中やろ?やから
ほら、さととかカズとかマサキとか、でっかい花火いっぺん見せてあげたいんや。」
さとちゃん、花火見た事無いんだ・・・。
「えぇんやおばちゃん、こんなやつに俺らのひみつ教えてやらんでええ!こんなやつ
どーせバカにしてくるだけやもん!」
「なっ!」
って俺がムカッてバカ二宮にらんでやった時、手ぬぐいババァが俺らの間に入ってきた。
何か腕とかすっげー太くて、黒いからレスラーみたいだった。かわいいさとちゃんの
母親だとは思えない。あ、さとちゃんカキ氷おかわりしてる。カワイイ。
「ほれ2人とも、おばちゃんのうまい氷もう一杯食べな、ほらカズ、あんたさっき
から喋ってばっかで全然減っとらんでないの。」
「俺はていねいに食っとるの!」
「はいはい、ほらショウもな、氷が溶けるで。」
「・・・・。」

47_:2002/07/31(水) 09:22

そう言って手ぬぐいババァは訳わかんない首切り台みたいな機械の取っ手をグルグル
回し始めた。真ん中には四角いおっきな氷がある。その下にさっき俺が出したガラスの
器があってはらはら粉みたいな雪が降ってる。手ぬぐいババァはフウフウいいながら
ずっと手動かしててガラスの上にはどんどん雪が積もっていった。でっかい山が出来ると
その上に古臭い字で“ミゾレ”って書かれてるビンに入ったシロップを他のやつより
たっぷりかけてさっきのカキ氷は出来上がった。

――こうやって作ってたんだ。
だからあんなにフワフワしてて舌の上でとろけるようにおいしかったんだ。見た目は
すっごいダサいけど、お祭りとかで買う機械のブルーハワイのカキ氷よりずっと
おいしかった。こんなおいしいの、産まれて初めてだった。
「ありがとうございます。」
受け取るときに教えられた通りにアイサツしたら、手ぬぐいババァはウハッて笑って
「何やえらいかしこまった子やねぇ、おばちゃん何か恥ずかしいわ!」
って俺の頭をポンポンって撫でた。フン!俺の頭に触るだなんてシツレイなやつ!

48_:2002/07/31(水) 09:22

「おばちゃんおかわりー!!ふじ山みたいにして!5おく万メートル!!」
「あいばー!お前ここさとん家なんやからエンリョせぇ!」
「何それ。あーおばちゃんそのでっかい氷ちょっとだけなめてええ?」
「いかんよマサキ、皆で食べる氷やからな。」
「はしっこだけでも?」
「あいばーお前なめたら最強軍隊かいぎにかけるぞ!」
「えー」

俺は黙ってカキ氷持ってさとちゃんの隣に座った。
さとちゃん、すごいおいしそうにニコニコ笑いながらカキ氷食べてて、だからこんな
貧乏な食べ物でもスッゲー、たぶん一番おいしく感じた。セミが耳が痛いほど上の方で
ミンミン鳴いてて、でもさっきほどムカつかなかった。

だけどやっぱカッコ悪いから、我慢してわざとちょっとだけカキ氷残してやった。

49短レス:2002/07/31(水) 09:37
>>38 なるべく更新頻度をあげるようにがんがります。
>>39 両方まとめてどうぞ、食い物ですぐ釣れます。
>>40 禿散らかさせてしまって申し訳ありません。
>>44 みやすのんき検索(笑

50ななし姉さん:2002/07/31(水) 19:19
職人様ありがとうございます。
お待ちしてました〜。
カキ氷、なつやすみらしくていいですね。

51ななし姉さん:2002/08/01(木) 01:21
シティボーイ気取りの翔君が目に浮かぶようです。
氷のおいしさに感動するところがまだまだ素直で可愛いですね。

52ななし姉さん:2002/08/04(日) 03:34
禿散らかして待った甲斐がありました!(w
職人様有難うございます〜〜
かき氷を食べる4人の姿が目に浮かぶようです!

53ななし姉さん:2002/08/14(水) 23:07
職人様!ヒソーリとお待ちしてました!
あまり無理をなさらないようにといいつつ
また、期待しております!

54_:2002/12/14(土) 01:34
暫く放置してしまい申し訳ありません。
あともうちょっとしたら続きを貼りに来ます。

55ななし姉さん:2002/12/22(日) 00:58
職人様、お待ちいたしております(ぺこり

56ななし姉さん:2003/08/20(水) 01:56
もう更新はないのでしょうか・・・
続きが読みたくてウズウズしてます。

57ななし姉さん:2004/09/23(木) 02:16
ウズウズ


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