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なつやすみ

1_:2002/05/31(金) 09:25

嵐映画記念 短編小説
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2_:2002/05/31(金) 09:26

1. 母さんムカツク

やっぱシティーボーイがクールでしょ!
都会のネズミと田舎のネズミ、もう母さんが言ってた話なんてとっくに忘れたけど
カッコイイのは絶対都会のネズミ、これだけは何があっても譲れない。絶対の絶対
都会のネズミ、都会最高ビル大好き!人の波なんてねぇ、スイスイ泳げちゃうもん!
正直欲しいモンがパッと手に入らない所なんてニンゲンの住む所じゃないね!
田舎モンなんて道端で草とか食ってりゃいいじゃん!俺はピザ食うし!

「えぇーやだよ俺絶対やだ!」
「駄目よ翔さん、もう申し込んじゃったんだから」
「やだってマジ俺この夏は湘南でサーファーになるって決めてンだから!」
「・・・とにかく翔さん、もう申し込みも支払いも終わってるんだから1ヶ月しっかり
楽しんでらっしゃい。暑い夏を涼しい所でお友達と過ごすなんて素敵じゃない?」
「やーだっつーの!」
「・・翔さん。」
.

3_:2002/05/31(金) 09:28

もうちょっとで夏になる梅雨明けから暫く経った某日、俺は買ってもらったばっかの
輸入物のベッドの上でピタリと動きを止めた。目の前では眼の座った母さんがじっと
こっちを睨み付けてる・・・ハッキリ言って超おっかない、足がちょっと震えるのが
分かった。でも男だしバレたらヤじゃん?だからちょっと足を組み直してそれを
隠した。母さんもそれが分かったのかしんないけどフムッて変な溜め息(?)ついて
「翔さん、お約束」
て腕組みして呟いた。ほんとドスがきいてて恐いったらないっつーの!でも俺ほら
優しいじゃん?だからもう何百回言わされたか分かんないそのお約束をブスッと
した顔で言ってやったよ、だってほら俺オトナだから?
「駄々こねすぎたらお役所で名前を“ざぐら゙い゙じょ゙ゔ”に変える・・」
「・・・どうするの?」
「行くよー・・」
ねぇオトナの姉ちゃん教えてよ!(オヤジは帰れ!)ほんとお役所行ったら名前
とか変えられんの?俺騙されたりしてない?もーまだ俺4年生だからほんとそこん
とこ詳しく分かんないんだって!一応うちの父さん国に仕える仕事してるけど
(でも総理大臣じゃないと思う)いつも忙しくてそれにホラ、聞けないでしょ
そんな事!知ってて当然なんだから、多分。
「じゃ、夏休み、しっかり楽しんでらっしゃい」
そう言って母さんはドアをパタンと閉めた。ここクーラー無くて暑いんだから
開けてけよーコラー。俺は今まで読んでたガンガン(今俺のクラスで流行ってんの、
ジャンプなんてもう古いよ!)の厚い雑誌をベッドの下から取り出すとまた元の
ページを探して目を落とした。この微妙なマニアっぽさがたまんないんだって。
.

4_:2002/05/31(金) 09:29

それにしても明日は終業式だ、終わると待ちに待った夏休みだ。
そんな事を考えながら短パンとグーグーガンモのTシャツでゴロゴロしてたら
下から母さんが電話よって呼ぶ声がした。暑いし丁度いいやって俺はそのまま
漫画を持って部屋を飛び出した。

『もしもぉ〜し!しょうくぅ〜ん?』
電話の相手は同じクラスの松潤だった。俺コイツの喋り方鼻についててヤだから
うげって顔でつい電話出ちまったよ。したら母さんが横でオヤツの用意しながら
また睨んでたから俺はそのまま子機持ったままリビングの外に出た。モワッと
した湿気でかなり暑いけど電話を盗聴されるよりマシだよな。プラリバシーって
やつだよ。(俺ジオス行ってるから英語も出来る)
「何だよ松潤、電話して来んなっつっただろバカ!」
『ごめぇん〜』
こいつの甘ったれた喋り方って誰か注意しねーの?まるでオンナみたいじゃん。
「で用件は何だよ、もうすぐオヤツの時間なんだからさっさとしろよ」
『オヤツ?ボクも行っていい?』
「ダメ、絶対死んでもダメ、来るな。」
『なぁんでぇ〜しょうくんいじわるしてるとおばさんに言いつけるからねぇ!』
松潤の声が泣き声に変わった。コイツは子分の内の一人なんだけどホント弱くて
鬱陶しいからちょっとヤなんだよな。俺のグループん中でもカメって呼ばれてる。
そう言えば松本潤って名前だって何となくオンナみたいじゃん。
「あら、潤ちゃん来てもらえばいいじゃない」
リビングのドアが開いてその向こうで母さんが立ってる。盗み聞きだ!
.

5_:2002/05/31(金) 09:29

「いや違うよ、そうじゃなくて・・」
言い終える前に母さんは俺から電話を取り上げて機嫌良く松潤なんかと話してる。
電話の内容は多分松潤が今からここへ来る約束を取り付けてるみたいな感じだった。
「ちょっと母さん、ダメだって!」
母さんの白いエプロンを掴んで引っ張ったけど母さんはそのまんま。何で!
「・・そう、じゃあおばさん玄関の鍵開けたままにしておくわね、門開けれる?」
「ちょっと母さーん!」
もう!俺の背があと10センチ・・・20センチ高かったら母さんから電話取り上げて
やるのに。俺は母さんの周りをピョンピョン跳ねながら電話を奪い返そうと必死
だった。母さんはお気に入りの松潤と楽しそうにまだ喋ってる。見かけに騙されん
なよ、あいつオンナみたいな顔して結構ズル賢いんだから!
「じゃ、楽しみにしてるわね、潤ちゃん。」
そう言って母さんは電話を切ってそのままリビングに戻って行った。
これだからオトナってやつは!盗聴した上に人の電話まで切っちゃうなんて
常識ってやつが無いんだよ常識ってやつが!

リビングの前の廊下で俺はグーグーガンモの顔でブシッと鼻をかんでやった。
.

6_:2002/05/31(金) 09:31

2. 松潤ムカツク

「しょうくぅ〜ん!」
リビングで怒って昼のワイドショー見てたら玄関から松潤の抜けた声が聞こえた。
母さんが玄関に行く前にダダダダダッて凄い音が聞こえてドアの向こうからピンク色
のオーバーオールを着た松潤が飛び込んで来た。コイツバッカじゃないの?こんな
ピンクとか着て恥ずかしくないの?そう思ったけどグーグーガンモがピンク色だった
から俺は背中を丸くしてそれを隠した。
「しょうくん、しょうくんやったね!」
松潤はほんと頭の中で考えた事すぐ言っちゃうから聞いてて分かんない事を口にする
事がよくある。ぐりんぐりんのオンナみたいな目をキラキラさせてこっち向いてるけど
何言いたいのか全然分かんない。何がやったね、なのよ。
「あのさ、ワッケ分かんない」
ぷいっとテレビの方に向いてやった。コイツ来たらオヤツ減るからヤなんだよ、もう。
「あのねしょうくん、夏休みの子供合宿にボクも申し込んだんだ、一緒だよ!」
「え゙ぇっ?」
「しょうくん、4年生の夏休みをしょうくんと過ごせるなんてボク嬉しい!ねぇしょう
くん何持ってくの?ボクはプレステでしょ、ゲームボーイでしょ、ポケベルでしょ、
あと漫画とオカシと・・・」
「お前なんか一緒に行くかよ!絶対ヤだもん俺!」
もーすっごいムカツイてたら大声で叫んだ。だってただでさえ田舎で合宿なんてヤな
のに何で同じクラスのコイツと行かなきゃならねーの?田舎行くなんて恥ずかしいから
どうやってクラスの奴に誤魔化そうか考えてたのにコイツとなんか行ったらすぐ喋っ
ちゃうじゃんか!それに夏休み中こんなうるさいのと一緒にいたら頭おかしくなるよ!
.

7_:2002/05/31(金) 09:31

「・・・しょうくん・・」
気付いたら目の前では松潤がでっかい目に涙いっぱいためてこっち見てた。やばい。
母さんすぐそこにいるのに・・・
「潤ちゃんはいオヤツ、今日はケーキよ、はいどうぞ。」
テーブルの上にケーキを置いた母さんは笑ってたし松潤もそれで泣き止んだみたい
だけど俺は心臓を掴まれたみたいに縮こまってた。だって母さん・・・

「翔ちゃん、後でお話がありますからね」

絶対、絶ッ対怒ってた。これも全部松潤が悪いんだ、松潤が人ん家来るから、変な
合宿に参加するって言うから、全部全部松潤が悪いんだ。俺が悪いんじゃないもん。
.


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