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【ミ】『忘れじの瑕、コメットテイル』
117
:
『サヨナラ_エレジィ・タウン』
:2019/04/20(土) 08:06:28
>>115
(ヨロズ)
スタンドによるもの、と断定はできない。
金をかければこの状況を『演出』出来なくはないだろうし、
予想だにしない異常気象、というのはどこにでもあるものだ。
あるいは――――スタンドとは無関係な『不思議』も、あってもおかしくない。
「『紅鏡町』? え、あ、そっすね。成り行きに従うしかないすよね」
「あたし旅行ってあんまりいかないし、どんなところでも楽しみですぅ」
大丸は怪訝そうな顔で、二度に分けてうなずいた。
仲真についてはよくわかっていない様子で笑みを浮かべており・・・
「なっ」
「な……なんだ、これは……!?」
「何って霧だろ。別に普通じゃん」
「ふ、普通ではないだろう……!」
――――小角だけが、その『異様な光景』を見て、固まっている様子に見えた。
窓の外には、相も変わらず赤いフィルタを通した霧の風景と、田舎道が続いている。
なお、赤いのは『霧』や、雲間に見える『空』で、その内に根付くアスファルトや草木などは普通の色だ。
>全体
しばらくすると、霧のほうはほとんど薄まり始めていた。赤いのは――――『空』だけ。
俄かに『謎』の立ち込め始めた旅路だが、深刻視している者はごく少ない。
実際のところ――――特に、何か深刻な事態が起きている、というわけでもない。
が、『何かあるかもしれない』という考えは、『ミステリー』には重要だろう。
実際のところ――――何が、深刻な事態につながるのか、誰にも分らないのだから。
とはいえ、少なくとも今のところ、このバスは『娯楽』を大きく脱線することもない。
「…………」
「矢田さん、ちょっと」
「? はい?」
運転手が添乗員に声をかけて呼びつけ、何か小声で話している。
見えた限りの表情は、どちらも『疑問』が一番即しているだろう。
客席から運転席は見えづらい。二人して何かを見ているようにも見えた。
ブロロロロロロ ・ ・ ・
濃霧を警戒して徐行気味に走っていたバスが、霧が薄まるにつれて、速度を取り戻していく。
が、その走行にはどこか迷いが見えた。もちろん事故を起こすような蛇行運転というわけではないが、アクセルを踏み切れないような。
・ ・ ・ そして。
・ ・ ・行く先に、『赤い町』が見えてきた。
赤く塗りつぶされている、という風ではない。
赤色の建物がやけに多い。そういう町が見えてきたのだ。
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