したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【他】『PLイベント総合スレッド』

65夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2017/07/13(木) 16:50:52

「うわぁ――」

眼前に広がる祭りの光景に目を見張り、感嘆の声を漏らす。
祭りには来たことがなかった――わけではないが、目が見えるようになってからは初めてだ。
耳でしか感じられなかったものを、こうして『視覚』で感じてみると、また違った感動がある。

「あッ!!」

        「おおッ?」

                「へぇ〜〜〜ッ」

人波の中を歩きながら、キョロキョロと周囲を見回し、何かある度に声を上げる。
なにせ、自分にとっては初めて見るものばかりだ。
次から次へと湧いてくる興味と好奇心は尽きることがない。

ピタリ

やがて、その足が祭りの中心で止まる。
目の前には、大きな『笹』が設置されていた。
そして、そこに吊るされた沢山の『短冊』が目に留まる。

それが七夕の習慣だってことくらいは、もちろん知ってる。
ただ、目が見えなかった自分は、短冊を書いたことはなかった。
文字は読めなかったし、もちろん書くこともできなかったから。

「えっと――みを……に……しめますように……」

近くにあった短冊を一つ読んでみる。
しかし、書かれた内容を知ることは難しかった。
平仮名とカタカナは読めるが、まだまだ『漢字』は苦手だ。

ス……  スス……

『まだみたことのない いろんなものを たくさんみられますように』

ぎこちない手つきで、たどたどしく願い事を綴った。
小学校低学年の子供が書いたものと比べても、それほど差はない。
ともかく、願いが叶うことを期待しつつ、短冊を吊るす。

「よし、いい感じ――んッ?」

祭りの奥に見えたものに興味を引かれ、再び歩き始める。
そして、夜の雑踏の中に消えていった。
闇を照らす光――夜空に浮かぶ星と月に見守られながら。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板