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【場】『 湖畔 ―自然公園― 』

1『星見町案内板』:2016/01/25(月) 00:04:30
『星見駅』からバスで一時間、『H湖』の周囲に広がるレジャーゾーン。
海浜公園やサイクリングロード、ゴルフ場からバーベキューまで様々。
豊富な湿地帯や森林区域など、人の手の届かぬ自然を満喫出来る。

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                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
───────┘└─────┐            .: : : :.》.: :.:   ││
                      └───┐◇      .《.      ││
                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
                                └────┐││┌──┘
                                          └┘└┘
★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
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391夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2018/02/06(火) 19:48:11

湖の畔に立つ大きな樹の根元に、誰かが座り込んでいる。
ブラウスとジャンパースカートの『アリス風ファッション』に身を包んだ少女だ。
頭に巻いたリボン代わりのスカーフと、カラフルなネイル、ブルーのサングラスがパンキッシュな雰囲気を漂わせる。

「数日前から、この近辺で目撃されたらしい未知の生物――『星見UMA』。
 その姿は目撃者によって様々であり、突然変異とも宇宙から来た生命体とも言われている」

「それを探し始めて、既に一週間……。
 また今日も収穫なしか……」
 
「くそ!!諦めないぞ!!
 見つけるまで粘ってやる!!!」

持参した双眼鏡を構えて、公園内の隅々にまで視線を走らせる。
何か変わったものはないだろうか。
内心、それを期待しているのだ。
今は、とにかく手がかりが欲しい。
それが謎に包まれた『星見UMA』発見への第一歩だ。

実際は単なるガセネタなのだが、本人は当然それを知る由もない。

392七海 フランチェスカ『アクトレス』:2018/02/11(日) 02:24:55
>>391

湖畔公園が特別好きだってこともないのだが、
ヒマな日に散歩に来るならここは都合がいい。

         ザッ
              ザッ

「?」

「お〜〜〜い・・・」

何してるのかな、と聞こうとしたけど、
そんなの必要ないくらいその少女は雄弁だった。

だから余計に興味がわいた。

         「にゃは」

「『待ちぼうけ』の歌って聴いたことある?
 まあ、ここに切り株はないわけだけど……
 止まってていい方向になるとは思えないよね。
 『探す』なら『脚』! ってのはもう終わった後〜?」

雪国のような服装の、金髪の女はそう捲し立てた。
猫のような顔は笑み一色で、寒さに僅かに朱が差していた。

「まだなら一緒にどう? アタシもUMAに興味あるよ」

             「キミと遊ぶのにもね。にゃは」

393夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2018/02/11(日) 19:39:44
>>392

「おっ」

「おっ、おっ?」

「――見つけた!!」

双眼鏡を構えたまま立ち上がり、声が聞こえた方向へ歩き出す。
進行方向には、たった今この場に現れた金髪の女の姿がある。
そのまま歩みを止めずに、前進を続けていく。

「長年に渡る調査の結果、ついに我々は謎に包まれた『星見UMA』と遭遇を果たしました!!
 ふむふむ、腕が二本で足が二本、頭があって胴体があって、まるでニンゲンみたいな……。
  
        ――ん?」

ぴたりと動きを止めると、ゆっくりと双眼鏡を下ろし、肉眼で相手の姿を確認する。
そして先程までとは一転して沈黙し、双眼鏡から手を離す。
紐で首からぶら下がっている双眼鏡が、胸元で音もなく揺れている。

「――って、おい!それ、人間じゃん!
 つまり、巷で噂の『UMA』の正体は、実は人間だった……!?
 いや、そんな夢のない話じゃ視聴者は納得させられないぞ!!」

今の気持ちを一通り喋ると、この謎の女に改めて向き直る。
謎の生物ではないが、謎の人物ではある。
心の奥にある好奇心がツンツン刺激されるのを感じる。

「そうだ!捜査の基本は脚にある!まだ私が駆け出しのデカだった頃、先輩刑事に教わった!!
 えーと、それでなんだっけ?ちょっと待って、のど渇いた」

肩に掛けている小さな鞄から小型のペットボトルを取り出してキャップを開ける。
中身はホットのレモンティーだ。
温かい液体が喉を通り、冷えた身体と渇いた身体を潤す。

「くっはー、ゴゾーロップに染み渡るぜ。
 で――今、ちょっと疲れたから休憩してたの!
 この一週間、ここら辺を歩き回ってるんだから」

「ところで誰だっけ?どっかで会ったことがあるような、ないような……。
 いや、やっぱりない?」

394七海 フランチェスカ『アクトレス』:2018/02/12(月) 00:43:28
>>393

「…………ウケる!」

女は破顔した。

          ニィ

「デジャヴってやつじゃあないかな?
 それとも、前世からの縁があるのかも。
 きっとキミは魔法の国のお姫様だったんだ。
 アタシはしがない吟遊詩人。身分違いの恋に苦しむ!」

            「キャー」

大袈裟な身振りで、羊のような手袋で顔を隠す。
すぐに手を下すと、ふざけた笑みを浮かべていた。

言葉にはからかうような響きがあったが、
どこまでが真剣で、どこまでが冗談なのか。

初対面ではあった。
だが、特に遠慮する気はなかった。

「あっそうだそうだ!アタシが『星見UMA』で〜
 人間の姿に擬態してるってのはどう?
 前に会った時は、ネコかイヌだったかな……」

両手を顔の横で、爪を構えるようなポーズ。
動物の真似なのだろう。手袋でよく分からないが。

            「なんちゃってね!」

「キミと会うのは初めてだよォ。多分だけどね。
 未知との遭遇って意味では、お互いUMAだよね〜」

そう言うと、木の下まで足を進めて、木肌に背を預けた。

395夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2018/02/12(月) 13:43:04
>>394

「ほうほう――」

「そうか!私は『ジュリエット』だったのか!
 ん?『ジュリエッタ』だっけ?いや、やっぱり『ジュリエット』?
 違うね!私は『アリス』だ!!」

「なるほど!ヘンシンするから見る人によって姿が変わる!
 道理で、あなたによく似た『猫』を見たことがあるわけだ!
 よし、謎は解けた!!ここで一旦CM入ります!」

矢継ぎ早に喋り続け、ようやく言葉を止める。
ノリのいい相手だと、こっちのお喋りにもハリが出る。
ついでに、私が年を取った後のお肌にもハリが出ると更に良し。

「あなたが『UMA』なら私も『UMA』。
 そう!実は私も『UMA』だった!
 何を隠そう、前に会った時は『白ウサギ』だったのだよ!」

さっき見せられたのと同じように、動物か何かのポーズを取る。
両手の爪には、色とりどりのネイルアートが施された長い付け爪が目立つ。
見た感じは、あまりウサギの爪らしくはない。

「はぁ――」

やがて、小さくため息をついて再び木の根元に座り込み、幹にもたれる。
青いレンズ越しの視線は、穏やかな湖面に向けられた。
水上をぷかぷかと漂う一本の小枝を、静かに見つめる。

「本当はいないのかなぁ、『星見UMA』」

「探しても、それっぽいの見当たらないし」

「ガセネタ掴まされちゃったかな」

今までの勢いとは打って変わって、ぽつりぽつりと呟くように語る。
その口調には、どこかセンチメンタルな響きがあった。
視線の先で、湖に舞い降りた一羽の小鳥が、小枝に止まる。

「でもさ、もしまだ私の見たことのない変わったものが近くにいるんだったら、すごく見たいって思うんだよね」

「だって、私は『アリス』だから」

396七海 フランチェスカ『アクトレス』:2018/02/12(月) 16:06:15
>>395

「んん〜、そういうことかもね〜」

笑顔だが、淡白な調子だった。

「ね、ね、手、寒くない?
 アタシは超寒いんだけど」

「冬ってフンイキは好きなんだけど、
 この寒さはいつになっても慣れないよね」

それから、彩られた爪に視線を走らせ、
座り込んだそれを追うように、自分もしゃがんだ。

「だからUMAも冬眠してるんじゃない?
 にゃは。チュパカブラとか、ネッシーとか、
 UMAってさァ、『変温動物』感半端ないじゃん」

それから白い息を吐いて、なんとなく小鳥を見た。

「それに、UMAである事がアイデンティティだろうし〜」

         「人前に出てくる事ってないのかもネ」

  クス

悪戯な笑みを浮かべて、
それから夢見ヶ崎に向き直る。

「でも、UMAは『不思議の国』のオバケとは違う。
 ネ。『未確認生物』だから。モンスターじゃないでしょ?
 今も毎年1万くらい、新しい生き物が見つかってるんだし」

「星見UMAってあだ名だったやつも、いつか見つかるカモね。
 それを見つけるのは〜、目の前のキミだ! ……なんちゃってね!」

なんちゃって。ともう一度付け加えたが、その声色に茶化す風はあまりなかった。
冗談の色は有ったので、まるきり真剣に『新発見』にこだわってもいないのだろうけど。

397夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2018/02/12(月) 20:13:59
>>396

「寒くないわけがない!でも私は手袋をしない!なぜなら爪が隠れるから!
 それが私にとっては寒さよりも重要!だから、私は寒さを我慢する代わりにポリシーを選ぶ!」

「でも風邪は引きたくないから、寒さ対策はしてるけど。
 ホラ、コレ。ポケットにカイロ入れてるから、時々手を入れておけばあったまれる」

そう言いながら、両方のポケットからカイロを取り出して見せる。
すぐにそれをポケットに戻し、同時に両手をポケットに突っ込んだ。
やはり寒かったらしい。

「わかるわかる。私も冬が似合う女って、よく言われるし。頭の中で」

小鳥は、ごく普通の姿をしていた。
変わった色をしているとか、変わった形をしているということはない。
よくある光景だ。

「そっかそっか、そうカモ。あ、あれってカモ?
 なわけねーか」

調子を取り戻した様子で、うんうんと頷きながら、小鳥を指差して適当なことを言う。
その時、木の上で小さな音がしたのが聞こえたかもしれない。
何か小さな動物が枝を揺らしたような音。

398七海 フランチェスカ『アクトレス』:2018/02/12(月) 22:57:58
>>397

「う〜ん、確かに凝ってるネイルだもんね。
 冬だからって隠すのはもったいないかァ、
 毛皮が無くて寒がる権利があるのが人間だもの」

       「にゃは」

              ガサ
                   ガサ

「どれどれ、アタシ鳥博士だから。
 あれは……『サンダーバード』の雛!
 北米のUMAで〜、雷を起こすんだって」

「って、UMAの話はもういいや。
 スズメも過大評価されちゃ困っちゃうよね〜」

           「いやオジロだったかな」

腕を伸ばし、カメラのよう手窓を除き込む。
品評もどこ吹く風、小鳥は小枝の上を歩く。

「鳥は良いよねェ、羽毛あるし。
 それに、空も飛べちゃうでしょ?
 アタシも羽毛布団着て出かけた〜い」

     ズギュン

「ムダな毛が全部羽毛になったらいいのにね〜」

            「冬限定!」

背中から浮き上がるように、『天使』の像が発現する。
それ――『アクトレス』はそのまま木の上へと視線と、腕を伸ばす。

399夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2018/02/13(火) 00:27:41
>>398

    コツッ

「――あたっ」

不意に、頭上から何かが落下し、軽い音を立てて頭に当たった。
地面に落ちたのは、何の変哲もない松ぼっくりだった。
何の気なしにそれに視線を向け、手を伸ばして拾い上げる。
ゆえに、『アクトレス』の発現には気付かなかった。
『天使』の像が、木上に腕を伸ばす。

    ガサリ

枝の揺れる音と共に、何かが飛んだ。
哺乳類だ。
毛むくじゃらの小さな生き物。
接近する『アクトレス』の腕から逃れて、少し離れた地面に着地する。
『アクトレス』が見えていたわけではなく、たまたまジャンプするタイミングが合っていたということらしい。

    キョロ キョロ

それは一言で言えば小型の『猿』だった。
世界で二番目に小さい猿である『ピグミーマーモセット』だ。
最近ではペットとして飼育もされている。
とはいえ、あまり一般的ではないし、自然公園で見かける生き物でもないだろう。
『UMA』ではないが、UMAと誤認された可能性はあるかもしれない。

「――へえ……」

顔を上げると、ようやく『アクトレス』に気付き、そちらを見る。
サングラスの奥の瞳が、好奇心の光できらりと輝く。
初めて目にするスタンド――これは、ある意味UMAと同じくらい珍しいものではなかろうか?

「……ジャングルの奥地に潜入した我々は……危険と隣り合わせの冒険の末に……
 人類史上初めて……幻の『星見UMA』と対面を果たすことに成功しました……!!」

続いてピグミーマーモセットに視線を移し、相手を刺激しないように小声で感想を述べる。
だったら最初から喋らなければいいんじゃないかという考えは念頭になかった。
地面に降りたピグミーマーモセットは、その場から動かず、フランの方に注意を向けている。

400七海 フランチェスカ『アクトレス』:2018/02/13(火) 01:32:29
>>399

「この……『小さいサル』!
 図鑑かテレビで見たような気がする。
 なるほどね、これが『星見UMA』の正体」

囁くような声で笑っていた。

逃げ出したペットか、
捨てられてしまったのか。

「んん〜、見てみてこの顔。
 この爪で引っ掻かれれば、
 われわれの喉笛は紙切れ同然!」

「あわや放送事故! 我々に明日はあるのか!?」

そしてこの場で真に『未確認』なのは誰なのか。

             ガサ  ガサ

少しずつ動く『ピグミーマーモセット』を視線で追う。

「なんちゃってね〜」

「この手のお話のオチはやっぱり、鉄板ってことで〜
 『逃げられてしまったがこれからも追跡を続けます』?」

      「それとも今回で最終回にしちゃう〜?」

――『アクトレス』はフランの背後に立っている。
その白磁は『彫像』や『マネキン』にも似ていて、
この止まらない女の様子とは離れたものだった。

401夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2018/02/13(火) 17:14:12
>>400

「こういうのって何て言うんだっけ?えーと、あれだあれ。
 そうそう――『天使』ってやつ。
 今、あなたの後ろに立っているのを見た、私の感想」

『天使のような彫像』と気まぐれな猫のような雰囲気の女。
一見するとメージが近いようには思えない。
スタンドというのは精神の才能だと、自分は聞いている。
彼女からこれが出てきたということに興味を引かれる。
彼女とスタンドの繋がりはどこにあるのだろうかと思えるから。

「それと、これ何だっけなぁ?サル?
 あぁ、それそれ。サルってこんな見た目してるんだった」

納得したように、ポンと手を叩く。
これまで目の見えない生活を送ってきた身。
見たものの名前と外見が頭の中で一致しにくいということが、未だによくある。

「へっへっへ、こりゃあツイてるな。
 こいつの毛皮は、いい値で売れるんだぜ。
 今夜は久しぶりに上等の酒にありつけそうだ」

密猟者か何かになりきって、冗談交じりに低い声を作りながら、自身の背後にスタンドを発現させる。
『医療従事者』のような雰囲気を持つ盲目の人型スタンド――『ドクター・ブラインド』。
本体との外見上の共通点は、あまり見られない。
共通している部分と言えば、爪くらいだ。
しかし、装飾用である本体の爪とは違い、スタンドの爪はメスのような形状であり、『実用向き』だ。

『 L 』 『 I 』 『 G 』 『 H 』 『 T 』

……何か喋っている。
だが、その口調は機械的で、言葉を発しているからといって独自の自我があるわけではない。
しいていうなら、本体自身の心の代弁なのだろう。

「ふっふー、せっかく珍しい動物と出会えたんだし、ここでお別れするのは惜しいなぁ。
 それに、飼われてたのがいきなり自然で生きていけるとも思えないし」

毛皮に埋もれていて見えにくかったが、小猿は首輪をしているようだ。
フランの考え通りだということだろう。
そして、明日美は自分の手の中にある松ぼっくりを、『ドクター・ブラインド』に渡した。

「ニンゲンの都合で連れて来られたんなら、最後までニンゲンが責任もつってことで。
 とりあえず保護しよっかなぁって私は思ってる」

「注意を引くから、その間にカクホしてもらえないかなぁ。
 私が捕まえたいのはヤマヤマなんだけど、私のは爪が『コレ』だし。
 うっかりして傷つけちゃうかもしれないから」

402七海 フランチェスカ『アクトレス』:2018/02/13(火) 18:33:43
>>401

           アクトレス
「わぁお! キミも天使様が見えるんだね〜。
 そういう人がそこそこいるってことは知ってる」

「でも、このサルよりは珍しくないでしょ!」

             ヒュン

「確かにサルって感じの野性味はない。
 けど、一番近い動物はな〜〜〜にって、
 街頭アンケートしたらきっと『サル』だよォ」

『アクトレス』に明確な『顔立ち』は無いが、
その視線は『ドクター・ブラインド』を一瞥し、
すぐにピグミーマーモセットの方へと向いた。

天使は語らない――――フランチェスカとは『対照』だ。

     キキッ

冗談に反応でもしたのか、野性的なカンなのか。
小さく鳴いた小さすぎる猿を、相貌が捉えている。

「そだね〜、やれやれ! 結局一番恐ろしいのは、
 UMAなんかじゃなくて人間のエゴなのだ! ってね」

       「にゃは」

「そういうオチはイマドキ陳腐だけど、
 エゴは悪い事ばかりじゃないからね〜
 保護しちゃおう。アタシはそれが良いと思うんだ」

                  パチッ

ウィンクを飛ばし、スタンドをしゃがみ込ませた。
草や土を動かし、勘づかれるようなことが無いように。静かに。

403夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2018/02/13(火) 21:41:08
>>402

「よし、それじゃ――」

そう言いかけて、ふと湖の方を見やる。
相変わらず、水面には小枝が浮かんでいて、その上に小鳥もとまり続けている。
何も変化はない。

(?今、なんか『音』がしたような……?ま、いっか)

「――じゃ、マンジョウイッチってことで」

松ぼっくりを持たせた『ドクター・ブラインド』を移動させる。
移動先は、ピグミーマーモセットの後方。
そこからピグミーちゃんの足元に向かって、恋人にフェザータッチするみたいに優しい手つきで、松ぼっくりを軽く転がす。

                コロロロロ……

          「 ? 」

結論から言うと、ピグミーマーモセットは、それに興味を持ったらしい。
小さく首を傾けて、一瞬そちらに注意を向けた。
必然的に、松ぼっくり以外のものに対する注意は削がれることになるだろう。
その間に、向こうの『天使』がアクションを起こしてくれたらいいなという考えだ。
もちろん、任せきりにするつもりはなく、もし逃げられそうになった場合は『ドクター・ブラインド』も突っ込む気でいるが。

404七海 フランチェスカ『アクトレス』:2018/02/13(火) 23:15:07
>>403

             ス

『ピグミーマーモセット』・・・体重は成体で『100g』。

      『トン』

『アクトレス』の指先が、繊細にその背に触れる。
能力は重量の減少。その結果は――『浮遊』。
1秒間に『1000g』を奪い去る天使の指先は、
問答無用で、逃げる隙もなくその身を空へ誘う。

「小さくてすばしっこいとさ〜、力加減が難しーよね。
 だからこうする。『天使様』の能力……」

           「詳しくは企業秘密だけど、ネ」

浮き上がったその身体であれば、
逃げようと走り回るそれよりも、
ずっと簡単に手の平で覆える。

『アクトレス』から受け取ったりとか、
そういううかつな真似はしない。離さない。

軽量化は――――あくまで一旦だが、解除しておく。

「このコ、どうする〜?
 網とかカゴとかあればいいけど、
 キミが持ってる『ハコ』って水筒くらい」

浮ついた笑みを浮かべて、
不安げに身じろぎする子猿を見た。

「それじゃ、家に帰るまでに紅茶味になっちゃうよね」

                     「にゃは」

405夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2018/02/14(水) 15:03:47
>>404

「ほうほう――」

眼前で行われる『天使』の技を興味深そうに観察する。
浮かばせる能力――そう考えれば『天使』というのも納得できる。
いつかは、その全貌も見てみたい。

「お見事!さすがはアスミくんだ。ん?アスミって誰だよ!
 そう、それが私の名前だ!覚えておいてくれたまえ」

捕まったピグミーマーモセットは、最初の内はもがいていた。
しかし、単純な方法では抜け出せそうにないと分かると、動きを止めて大人しくなった。
ひょっとすると、隙を窺うつもりなのかもしれない。

「――お?」

地面に手を伸ばし、小さな小猿よりももっと小さな首輪を拾い上げる。
ピグミーマーモセットが暴れた時に外れて落ちたらしい。
裏側を見ると、電話番号が書いてあった。

「ふっふっふっ、『小猿の紅茶煮ハニーマスタードソース・シャンピニオン添え』。
 よし、今夜のメニューはこれで決まりだ」

アクトレスに捕まったピグミーマーモセットを見て、あまり笑えない冗談を飛ばす。
言葉が分かるはずはないが、不穏な気配を悟ったのか、小猿は身を竦ませて震えている。
ちょっと脅かしすぎたみたい。
『ジチョー』しよう。
ところで、『ジチョー』ってなんだっけ?

「とりあえず、この中に入れとこう。
 あと、首輪の裏に電話番号が書いてあったから、ちょっと掛けてみる。
 あとは頼んだ!」

そう言って肩に掛けていた鞄を外し、口を開けて『アクトレス』の足元に置いた。
自分はスマホで電話を掛け始める。
そして、通話はすぐに繋がった。

「あ、もしもし???」

406七海 フランチェスカ『アクトレス』:2018/02/14(水) 19:39:54
>>405

「アタシはフランだよ〜。
 フランダースの犬のフラン。
 フランスパンのフランでもいいけど」

               ボフッ

天使の手がカバンの中に小猿を運ぶ。
隙を見ているのかもしれないが――
本体の手ですぐにチャックを閉めてしまう。

とはいえ、密封するのもどうかと思うし、
スタンドの手はカバンの中に入れたまま。

「にゃは、それじゃお願いしようかな〜
 捨てたんならこっちのものだし、
 涙ながらに生き別れってことなら、
 感動の再会を演出出来ちゃうかもね」

      グイ

「サルくんはもうちょっと大人しくしてて。
 動けば動くほどおいしそうに見えちゃうからさ・・・」

               ニヤ

しっかり捕まえて――――逃がさない。

電話にも耳を傾ける。
べつに、ある程度『どうなってもいい』けど、
いい方向に変わるならそれが一番良いことだ。

      プルルルルル
 
             『―――――もしもし?』

(※通話先の設定など決まってるようでしたら、
   そちらのロールもお任せしたいと思っています)

407<削除>:<削除>
<削除>

408夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2018/02/14(水) 20:29:48
>>406

「ふむふむ、覚えたぞ。
 フラミンゴのフランでもいい?って、それだと『フラン』にならないじゃん!
 フランケンシュタインのフラン。よし、これなら『フラン』になるぞ!
 よろしく、フランちゃん!」

通話が繋がるまでの間に、相変わらずの冗談を口走る。
視界の端でピグミーマーモセットの確保を確認し、話し始めた。

「あのー、公園で『サル』拾ったんですけどー。お宅の?」

    ピッ

スピーカーのスイッチを入れる。
これで会話の内容はフランにも聞こえることになる。

『――えっ!!それってピンクの首輪付けてるピグミーマーモセットですか!?』

声は若い女だった。
どうやら飼い主のようだ。

「ピグ……?まぁ、たぶん。じゃなきゃ電話掛けられないでしょ」

『あああああ!!今どこですか?自然公園?すぐ行きます!!!』

そこで電話は切れた。
あの様子だと、捨てられたわけではないらしい。

    ピッ

通話終了ボタンを押して、フランに向き直る。

「……ってことで、すぐ来るんだってさ、フランちゃん。
 チッ、これで今夜も、いつもの安酒をチビチビやることになっちまったぜー」

ふざけた感じの口調だった。
でも、顔は笑っていて、どこか嬉しそうだった。

409七海 フランチェスカ『アクトレス』:2018/02/15(木) 00:24:46
>>408

「――べつにフランさんでも、
 フラン様でも、フランでも、
 呼び方は何でもいいけどね〜」

「これにて『一件落着』! かな?
 お礼をたんまり貰えるかも!
 今夜はそれでパーティナイト!
 にゃは、それってまさに『皮算用』だし……
 『笑顔が報酬』なんてセリフも悪くないよね」

嬉し気なのは同じだった。
あるいは楽し気か、どちらでもいい。

明るさに違いがあっても、共有できるのは同じだ。

             クル

「そろそろ行こうと思ってたけど、
 すぐ来るなら待っておくのが人情ってやつだね」

             「どんなヒトが来るかな」

    「いない人のうわさ話なんて悪趣味か!」

その場でくるりとターンして、
待ち人に想像を巡らせる。

答え合わせがされるまでは――――ここにいよう。
この時間は楽しいものだし、もう少しは止まっていてもいい。

410夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2018/02/15(木) 17:49:17
>>409

「ウワサ話ってのは人がいないところでするもんだぜ!」

「だから、問題ナシ!」

       ――数分後――

「――おおおおおおおお!!!」

彼方から、一人の若い女がやって来た。
物凄い勢いで、こっちに向かって走ってくる。
特徴を一言で言うと、『ピンク』だった。
頭の先からつま先まで全身が『ピンク』という乙女チックを突き詰めたようなファッション。
まじりっけなし『ピンク率100%』のいでたちは、ある意味『UMA的』だった。

「『キウイ』ちゃぁぁぁぁぁん!!!」

         モゾ

その声に反応して、ピグミーマーモセットが鞄の隙間から這い出てきた。
怯えているという感じではなかった。
そのままトコトコとピンクの女に近寄っていき、肩に飛び乗った。

「はッ!あなた達が『キウイちゃん』を見つけてくれた人達ねッ!
 突然いなくなっちゃって、ずっと探してたの!
 どうもありがとうありがとうありがとう!」

ピンク女は片手にケージを下げていた。
ピグミーマーモセットの『キウイ』は、自分からその中へ入っていく。
これで事件は解決だろう。

「はッ!お礼をしなくてはッ!そうだッ!
 これを差し上げるわッ!」

ピンク女は、目にも留まらぬ速さでチケットを二枚差出し、手渡してきた。
最近話題になっている高級スイーツショップのケーキバイキング無料招待券だ。
パーティーナイトとまではいかなくとも、ティーパーティーはできるかもしれない。

「んじゃ、遠慮なく。さて、帰るかぁ。
 ん?そういえば、私なにしにここに来てたんだっけ?
 食材の調達ゲホゲホいや何でもないなんでもない」

「――フランちゃんさぁ、今度これ一緒に行かない?
 店の商品全部食べつくそうぜ!」

帰りながら、チケットを見せつつフランに声を掛ける。
ついでに、今まで出しっぱなしだった『ドクター・ブラインド』を解除する。
その時、何か忘れているような気がしたが、そのまま忘れた。

     ――ある日の自然公園で起こった、特に大きくもない些細な小事件は、こうして終幕を迎える……。

411夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2018/02/17(土) 16:41:46
>>410

                ゴポッ

三人が立ち去ってから少しして、湖の表面が俄かに波打った。
小枝が揺れ、その上で羽を休めていたオジロが、慌てたように空へ飛び立つ。
やがて、何か大きな影のようなものが、水面近くまで浮かび上がってくる。

      ザ バ ァ ッ

そして――水を掻き分けるようにして、水中から何かが現れた。
それが生物なのか、それとも単なる漂着物なのか。
確かなことは、その正体は誰にも分からないということだけだ。

ある日の静かな湖畔で起きた、ささやかな小事件。
その最後を、この言葉で締めくくろう。

『今回は逃げられてしまったが、我々は今後も追跡を続行する』――と!!!


          『 星見UMAを探そう 』 → 完


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