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【場】『 星見スカイモール ―展望楼塔― 』
232
:
夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』
:2017/06/20(火) 21:30:05
まだ朝方の早い時間帯。
人気のない展望台に一人佇み、眼下に広がる町を見下ろす。
星見町――私が生まれ、育った町。
(私は、ずっとここにいた)
(それなのに、私はこの町を見たことがなかった)
(――『知ってる』のに『知らない』町……)
私には、生まれつき視力がなかった。
だから、『光』を知らなかった。
知識として知ってはいたけど、自分自身で『光』を感じたことは一度もなかった。
それでも別に構わないと思ってた。
自分には関係ないこと。
私には縁がないものだから、って。
でも、心の片隅には『光』に対する興味や憧れもあったような気がする。
ただ、それを叶えることは諦めてた。
私には手に入らないものだからと、自分を納得させていた部分もあったと思う。
だから、『彼』は私の中で眠ったまま、現れることがなかったのかもしれない。
私自身が『見ること』を諦めてしまっていたから。
でも――今は違う。
ほんの少し前、角膜移植によって私は視力を手に入れて、生まれて初めて『光』を実感した。
そこにあったのは『別世界』だった。
まるで不思議の国に迷い込んだアリスになったような気分。
病室の窓から外を眺め、私は『光』に惹き込まれた。
『光ある世界』がこんなにも凄いだなんて知らなかったから。
色んな感情が押し寄せてきて――気付いたら、私は小さい子供みたいに泣いてた。
同時に、強く心に思った。
私の目で――この目で世界の全部を見てみたい、って。
だからこそ、『彼』が現れたんだと思う。
『ドクター・ブラインド』――盲目で、視力を持たない『もう一人の私』。
それは、まるで少し前の私自身のようにも見えた。
私が『見たい』と強く願ったからこそ、彼は私の傍らに現れたんだと思う――。
『世界の全部を見る』こと。
それが私の、夢見ヶ崎明日美の夢。
まずは、この町の――星見町の全部を見てみたい。
「――よしっ」
展望台から見える町の全景をしっかりと両の目に焼き付け、決意を新たにする。
最初は、どこに行こうかな――。
そんなことを考えながら、その場から立ち去った。
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