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【場】『 私立清月学園 ―城址学区― 』

1『星見町案内板』:2016/01/24(日) 23:57:56
『H城』の周囲に広がる『城址公園』の敷地を共有する『学び舎』の群れ。
『小中高大一貫』の『清月学園』には4000人を超える生徒が所属し、
『城郭』と共に青春を過ごす彼らにとって、『城址公園』は広大な『校庭』の一つ。

『出世城』とも名高い『H城』は『H湖』と共に『町』の象徴である。

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                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
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        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
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             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
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                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
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★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
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413今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2018/12/19(水) 23:51:25

         ビュ   オオオっ

「寒〜〜〜〜っ」
「いや〜寒いですね! もう12月だもんなあ」

            『モウ少シ、厚着スベキデス』
            『帽子ナド 被ッテミテハ?』

「いや〜、だって1月とか2月はもっと寒いでしょ?」
「今本気で防寒すると、後がなくなるといいますか」

偶然一人で、通学路を歩いている。
これは帰り道で、空は少し暗いくらいの時間。

傍には先生が出てるから、もしかしたら目立っちゃうかも。
あんまり見える人っていないし、見えてない方が変な子だと思われそうだ。

変じゃないし、フツーなんだけど。

414小石川文子『スーサイド・ライフ』:2018/12/23(日) 16:38:24
>>413

   コツ 
        コツ 
             コツ

近くの脇道から靴の音が聞こえ、まもなく喪服を着た人影が姿を現した。
喪服の上から藤色のコートを羽織っている。
黒い帽子の下で、視線が少女とスタンドに向けられた。

  「こんにちは……」

  「また……お会いしましたね」

       スッ――

その顔に穏やかな微笑を浮かべて挨拶し、丁寧に頭を下げる。
そして少女の隣に立ち、共に歩き始めた。
向かう方向は同じらしい。

  「――今お帰りですか?」

冬の風は冷たく、暖かさが恋しくなる季節だ。
だけど、この凛とした空気を吸うと、心が引き締まるような思いを感じる。
だから自分は、どちらかというと冬が好きな方だった。

415今泉『コール・イット・ラヴ』:2018/12/23(日) 21:48:43
>>414

「あっ、どうもどうも。お久しぶり」
「ってほどではないか」

               『コンニチハ、小石川サン』

「こんにちは小石川さん。お元気ですか?」

            ニコニコ

思いがけない知り合いに会って、ちょっと驚く。
道が一緒なのかな? 意外とご近所だったりして。

「ええ、学校から出たところでして」

家まではまだけっこう、時間がある。

「いや〜、お話する相手が出来て良かったです!」
「今日ばかりは、一人で歩く羽目になると思ってたから」


               『先生モ イマスヨ 今泉サン』

「先生は特別枠ですよ!」
「テレビで言うと私と先生はMCと言いますか」
「今日のゲストが小石川さんって感じで」

それにしても今日は寒い。
寒さって、みんな同じように感じるのかな。
だったらそれは、フツーに良いことだと思う。

「小石川さんも、どこかにお出かけだったんです?」

416小石川文子『スーサイド・ライフ』:2018/12/23(日) 22:48:33
>>415

「私も、今泉さん達とお話ができて嬉しいです」

「今は何となく寂しい気分だったもので……」

歩調を合わせて歩いていく。
自分も、ちょうど誰かと話をしたい気分だった。

「ゲスト――ですか……」

「よろしくお願いしますね」

そう言って、緩やかに口元を綻ばせる。

「私は……この辺りを少し歩いていたんです」
 
「散歩をするのが好きなので……」

二人の間を静々と微風が流れる。
その風に乗って、仄かなラベンダーの香りが辺りに漂う。

「自然公園の方へ行くことも多いです」
 
「森林浴――のようなものでしょうか……」

自然公園の木々の中を散歩することは多い。
心が乱れている時は、自然の中で過ごすと気持ちを落ち着けることができる。

417今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2018/12/23(日) 23:13:02
>>416

「私の場合、先生と二人分ですからね!」
「寂しいなんてのとは無縁にさせますよ」

         『ソノ通リデス』
         『ワタシハ “ココロ”ヲ 癒ス能力デハ ナイデスガ』
         『話セル トイウ事ガ ソノ代ワリニ ナリマスノデ』

「そんな大げさな事でも無いとは思いますが」
「えーと、よろしくお願いしますっ」

なんか重めな事を言い出す先生と、小石川さんと並んで歩く。

「散歩ですか〜、いいですね」
「森林浴もいいですね」
「森林浴、すごく小石川さんって感じ」

ラベンダー?だっけ、このにおい。
小石川さんって『花』のイメージがある。

「私、遊びに行くのってストリートの方が多くって」
「自然公園ってあんまり詳しくないんですよね」
「ピクニックとか、友達と行ったりはフツーにしますけど」

        『タマニハ 草花ニ 囲マレルノモ イイモノデスヨ』

「ですよね!」

「そこでなんですけど」
「小石川さんおすすめのスポットとかあります?」

418小石川文子『スーサイド・ライフ』:2018/12/24(月) 00:06:29
>>417

心を癒す能力ではない。
その言葉を聞いて、無意識に『コール・イット・ラヴ』へ視線を向ける。
見抜かれているような気がしたからかもしれない。

  「……今泉さんの先生は、いつも傍にいてくれるんですね」

  「素敵なことだと思います」

自分には、その人がいなくなってしまったから。
だけど、今は隣に知人の少女がいる。
彼女の存在が、心を過ぎる寂しさを少し薄れさせてくれていた。

  「そうですね……」

自分が好きな場所は、いくつかあった。
どこがいいだろう。
少し考えてから、言葉を続ける。

  「――自然公園の奥に、広い花畑があるんです」

  「夏は向日葵……秋はコスモスが見頃になります」

  「今の季節なら、もうすぐスイセンが咲き始める頃でしょうか……」

  「白い花が一面に咲いていて……とても綺麗な景色が見られますよ」

最初に思い浮かんだのは、その場所だった。
自分も、近い内に訪れるつもりでいた。

  「今泉さんは、どんな場所へ行かれるんですか?」

時には街の方に足を向けることもある。
けれど、それほど詳しいというわけではなく、あまり知っている方とは言えない。

419今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2018/12/24(月) 00:52:42
>>418

「そうですかね?」

       『先生ハ ソウイウモノデスカラ』
       『役目ヲ 果タスノガ ヨロコビ デス』

「まあ、素敵に越した事はないですね!」
「ありがとうございます」

先生はフツーのスタンドとは多分、違う。
それは私がフツーじゃ無いってコト……じゃない。

きっと。

・・・きっと。

「お花畑ですか!」
「いいですね〜。そういうところでピクニックしたいな」
「ロマンチックすぎますかね?」

       『芸術的デ イイト思イマスヨ』
       
「芸術はあんまり分からないですけど」
「それこそ、ステキな感じになりそうですよねっ」

お花に詳しいとかじゃない。
けど、お花畑ってフツーにイイ感じだと思う。
なんで?っていうのは、私には分からないんだけど。

「私ですか? そーですね、色々行きますけど」
「小石川さんが好きそうなところだと〜〜〜」

「う〜ん」

「表通りの『うさぎカフェ』……は、
 お洋服が毛だらけになっちゃいそうだし」

「そうですねえ、小石川さん『スイーツ』とか好きですか?」

420小石川文子『スーサイド・ライフ』:2018/12/24(月) 01:40:33
>>419

これまで、それほど多くのスタンドを見てきた経験はない。
ただ、彼女と並んで歩く『コール・イット・ラヴ』は珍しいと感じる。
少なくとも、自分のスタンドとは違っている。
もっとも、『コール・イット・ラヴ』程ではなくとも、
『スーサイド・ライフ』も似た種類が多いタイプではないかもしれない。
いずれにしても、その両方が精神の形であることは共通しているのだろう。

『補修』と『自傷』――ある意味では対照的とも呼べる能力。
それを持つ二人が並んで歩いているというのは、少し不思議な感覚を覚える。
もしかすると、これが『スタンド使いを結ぶ縁』というものなのかもしれない。

  「ええ、私も喫茶店で時々いただくことがあります……」

  「多いのは……甘さを抑えたシフォンケーキなどでしょうか……」

  「ハーブティーと合わせると、とても美味しいですよ」

自分の行動範囲は、そう広いものではない。
その中に、そういった品を扱う喫茶店がある。
静かな雰囲気が気に入って、今まで何度か足を運んだことがあった。

  「私の好みを気にして下さって、ありがとうございます……」

  「今泉さんのご自由に話していただいて大丈夫ですよ」

  「――私は、それで十分に楽しいですから……」

あまり悩ませてしまうのは申し訳ないと思う。
『コール・イット・ラヴ』の言葉通り、話しているだけでも心は癒されるのだから。

421今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2018/12/24(月) 02:21:20
>>420

「小石川さんって何かとオシャレですよね〜」
「ラベンダーとか」「ハーブティーとか」

           『ステキナ ゴ趣味 デスヨネ』
           『先生トシテ 興味深イ デス』

「生徒としても興味深いです!」

それがイヤミにならないんだもんなあ。
オトナの女性、ってこういう感じなのかな。

「ん。えー、そうですか?」
「私の好み100%だと、逆にちょっと話し辛いっていうか」
「遠慮とかじゃなくって、フツーに」

遠慮なのかもしれないけど。
自分としては、そういうつもりってわけではない。

「でもそうですね、好きに話すなら〜っ」
「『パンケーキ』が美味しい喫茶店があるんですよ」
「あっ、これも表通りです」

「フツーのパンケーキって、割と派手っていうか」
「アイスとフルーツとクリームと、って」「賑やかじゃないですか」

頭の中に先週食べたパンケーキが浮かんでくる。
あれも、美味しかったんだと思う。

「そこのはもっとシンプル!」
「バターと蜂蜜とアイスクリームだけでして」

               『ミントモ ノッテマシタヨ』

「そうでしたっけ? あは、よく覚えてますね」
「ともかく、それをカフェオレと一緒に食べてる時は……」

               ニコ

「あっ美味しいもの食べてるな〜!って気持ちになりますねえ」

422小石川文子『スーサイド・ライフ』:2018/12/24(月) 03:08:36
>>421

時折頷きながら、少女の話に耳を傾ける。
あまり自分が知らない話というのは、やはり新鮮に感じられる。
そこが、彼女と自分の違いの一つなのだろう。

  「パンケーキも美味しいですね……」

  「家で焼くこともありますが……お店のようにはできませんね」

  「初めて作った時は、少し焦がしてしまいましたから……」

過去の失敗を思い出しながら、静かに微笑する。
あれは、自分が結婚する前のことだった。
思い返すと、あの頃が遠い昔のような気がする。
まるで何十年も経っているような錯覚さえ覚えるが、
実際はそんなに長い時間は経過していない。
少なくとも自分の記憶は、昨日の事のように鮮烈に残っているのだから。

  「私も……お店でシフォンケーキとハーブティーをいただいている時は、
   それと同じような気持ちを感じます」

  「美味しいものを食べて、幸せを分けてもらっているような……」

  「――今泉さんと似ていますね」

          クスッ

これまでと比べ、やや明るく笑う。
好みだけではなく、部分で自分と彼女が違うことは何となく察せられる。
それは当たり前のことで、何の不思議もない。
けれど、何もかもが違うとも言い切れない。
こうして話してみると、少なからず共通する部分も見つかるのだと、改めて思う。

423今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2018/12/24(月) 23:21:11
>>422

「へぇ〜自分で作れるんですか!」
「ホットケーキなら作った事ありますけど」
「パンケーキはやった事ないなあ」

「……でも、なんだか意外ですね」
「小石川さんも、料理焦がしたりするんだ」「って」

          『誰デモ 失敗ハ アルモノデス』
          『驚クノハ 失礼 デスヨ』

「それはそうなんですけども」
「なんでも出来ちゃうイメージなので」

            アハハ

小石川さんってほんと、ソツがないイメージ。
だからそういうフツーな話もあるのは当たり前でも意外なんだ。

「あは、そうですねっ」

「美味しい物を食べた時の気持ちが、『幸せ』だって」

          『……』

「それって、とってもフツーで、素敵なコトだと思います!」

食べ物は美味しい。
美味しい物を食べたら、しあわせ。

その『フツー』は私にも、小石川さんにも同じことで。
それは私にとって、すごく素晴らしくってステキなフツーだ。 

「っと、そろそろ家ですね。小石川さん、お話楽しかったです!」

424小石川文子『スーサイド・ライフ』:2018/12/25(火) 00:12:01
>>423

「散歩の途中で知らない道に入って、迷ってしまったこともありましたから……」

「しっかりしないといけませんね」

     クス

「今泉さんの言われた通り、美味しいものを食べると幸せになれます」

「そんな時は、自分が感じた幸せを、今度は誰かに分けてあげたいと――
 私は、そう思うんです……」

「私と言葉を交わしたことで少しでも今泉さんが楽しかったと思って下さったなら、
 私も嬉しく思います」

そうして幸せを繋げていくことができたとしたら、それは素敵なことだと感じる。
大げさなことでなくてもいい。
日常の中にある、ほんの少しの些細なことの積み重ねを、
これからも続けていきたいと思う。

「こちらこそ、楽しい時間を過ごすことができました」

        スッ……

少女とスタンドに向き直り、丁寧に頭を下げる。

「またいつか、お話できることを楽しみにしています」

「今泉さん、『先生』――それでは……」

           コツ……
                コツ……
                     コツ……

別れの挨拶を告げて、前に向かって歩き始める。
少女のスタンド『コール・イット・ラヴ』は、心を癒す能力ではない。
けれど、自分は彼女に少しだけ心を癒したもらえたような――
何となく、そんな気がしていた。

425今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2018/12/25(火) 22:55:14
>>424

「それもフツーに意外なエピソード〜っ」

小石川さんってもしかして、結構お茶目なヒトなのかも。
そんな事を考えたりする。フツーに口には出さないけど。

「ほんとにとっても楽しかった、ですよ」
「小石川さんみたいなお姉さんって知り合いにも少ないし」
「お話してくれることも新鮮ですし!」

「はい、またお会いしましょーっ」

             『小石川サン、サヨウナラ』
             『オカラダニハ オキヲツケテ』

先生は頭を下げる。
私は手を振る。

     スタ

            スタ

こうして、私はフツーに楽しい一日を終える事が出来たのだった。


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