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【個】『アポロン・クリニックセンター』

1『星見町案内板』:2016/01/24(日) 23:47:23
『城址学区』の北部に位置する『総合病院』。
近年、大規模な『増築工事』が行われた結果、
『八階建』の『クリニックセンター』へと変貌を遂げた。

クリーム色の外壁が特徴の『新病棟』は清潔感が漂い、
カラフルなインテリアは患者達を勇気付ける『明るさ』を演出する。
治療に取り組む医師達の真摯な態度、朗らかな看護師達の笑顔、
『最先端』の医療、福祉、心配りで貴方を癒す場所。

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                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
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                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
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★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
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『入院』、『治療』のシステムについては>>3へ。

205斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/11/30(月) 00:29:05
押し付けがましい清潔感漂うシーツにも慣れた
車椅子も今やドリフトマスターだ、天井のシミはもはやオトモダチ。

しかし…慣れない事が有るとすれば

目覚めて病室の風景を見てしまえば
思い起こされるのは目を逸らしている事だという事だ。

木枯らしと共に、否応なくそれは自分に叩きつけられている。

現実は童話ではない、『めでたしめでたし』で話が終わりにはならない
その先を考え、ふと自分を見つめだすと…どうしようもなく目を閉じている自分がいるのだ。

――窓の外を見やれば、木々は既に紅葉を終えているようにも見える

片や妹さんを無事に救い、自分の過去にケリをつけて万々歳。
片や今も両親は起きず…それどころか何も進展していない、自分。

 (何が違うのだろう?彼も同じ人間の筈なのだが いや、違う人間だとしても。)

これで自分が『化け物』だというならまだ納得は出来た 100%違う生き物であって欲しかった
しかし99%が違う人間だとしても、1%の共通点があると……。

 (なんとも…『みじめ』だ 考えないようにはしていたし、彼にも決して言えやしないだろうが。)

かの後輩は言った『おめでとうと言いたい』と。
自分もその筈だ、それが普通の感性という物の筈だ。であれば自分は彼とその妹に『おめでとう』を言える筈だ。

 「…………。」

何故こんな気持ちと考えばかり浮かぶのだ?
やはり自分という生き物は、人間ではないのではなかろうか?

そう、解りやすい敵が自分にはいない、『クラスメイト40名』『世間の悪意』或いは…『自分』
殴ってしまえばそれで終わりという話でもない、両親は戻ってこない。だからなんだとやってしまえば犯罪者だ。

しかししなければ、彼らはこれからも『人並の人生』とやらを歩んでいくのだろう。
我慢できるかと言えば…否だ。だが、合法的に裁く方法がない。

 (自分は殺せない、40人を裁く法など存在しない、世間の悪意等に勝利する方法は無い。)

嫌でも想像する、この先も自分はこうして…関係のない人間の関わりで…暴力を振るって、憂さを晴らすしかないのだろうか?
ずっと死んだように生きていくしかないのだろうか?

 「……人間失格か。」

自分の悲劇を誇る様に掲げて自分を慰める他ない。
こんな生き方をしたくはない、しかしそれを捨てれば自分を構成する物は無くなる。
紛れもない自分自身の過去だからだ。

 (『生きる事』とは…いったいなんなのだ?過去を切り捨てる事か?未来に希望を持つ事か?)

同じ境遇だから、助けた そうすれば、自分にも もしかしたら…家族が救えたかもしれない。
実際は更に惨めになるだけだった ……意味も無く。

 「協調を知らず、感謝も出来ず、己の不幸のみが唯一と憚らない…成程。」

 「――『人間失格』だ。」

病室で寝転び、一人呟く。
何も考えたくない、己はただ一本の葦でいい。

206小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2020/11/30(月) 00:56:53
>>205

病室の扉が開き、『黒い女』が入ってきた。
喪服を着た姿。
音もなく、緩やかにベッドに近付いてくる。

  「……お加減はいかがですか?」

枕元に立ち、静かに声を掛ける。
メールの内容を見て、病院を訪れた。
そして、ここに来た。

207斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/12/01(火) 01:16:17
>>206

――これは、多分、幻聴辺りだろう、僕がメールを受け取ったのは8月で
忘れっぱなしにしてもはや12月だ、恥と言うものを知っていればこそ 合わせる顔という物が無い。

 (――結局、僕もまた『無関心な加害者』なのだ。 だから、自分を嫌いになる。)

しかしせっかく聞こえだした幻聴だ
他に見まいに来る事も無いし、このまま無視するのも忍びない。

 「ここに縛り付けられている人間が『生きている』とは思えませんね。」
 「肉体的に、ではなく 精神の面で。」

そうとも、例えそれが夏ごろに一度聞いただけの声だとしても
彼は兎も角、僕が今日まで覚えておけるわけもない、だからこれは幻聴だ。

 「つまり、それくらい酷いと言う事です 『小石川』さん。」

顔を向けないまま寝転んで応える
祖母もいないしこれくらいはいいだろう。あまり考えたくない……。

208小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2020/12/01(火) 20:34:48
>>207

     コトッ……

備え付けのキャビネットの上に、
小さなバスケットが置かれた。
吸水スポンジに切花を挿したアレンジメント。
暖色の色合いを湛えた花々が、白い部屋に佇む。

  「――……すぐに帰ります」

  「ただ……一つだけお伝えしたい事が……」

ベッドに横たわる少年を見つめて、目を伏せる。
何があったのかは分からない。
ただ、大きな事が起こったのだろうと感じた。
身体的な怪我だけでなく、心の中にも傷を負っている。
彼の様子や言葉から、そのように察せられた。

  「『時を繰り返す能力』――」

過去の出来事を思い出しながら、口を開く。
誰にも知られる事のない謎めいた世界。
この世に存在しない街。

  「その力は『魂』を繋ぎ止めるために使われていました」

『あの街』は、
『時を繰り返すスタンド』によって維持されていた。
その力が消えた今、あの街は何処にも存在しない。
完全に、世界から消えてしまった。

  「……『時を戻す能力』もあるのかもしれません」

  「この世界の何処かに……」

  「それが……『治す』事に繋がれば……」

治せるスタンドを見つけたら連絡する。
以前、そう言葉を交し合った。
その約束は果たせていない。

  「それを……お話したかったのです……」

これは身勝手な自己満足なのかもしれない。
ただ、それでも伝えたかった。
ほんの僅かでも、彼の苦しみを和らげる助けになればと――。

209斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/12/01(火) 21:30:15
>>208

視界の端にそれが移った時、最初は幻聴に続いて幻覚かと考えたが
いくらなんでも流石におかしい事には気づけた

 (……物音と話声、『花』?)

それが幸運か不幸かは解らないが、解る事実が一つだけある。

 「――小石川さん!? その節は失礼を…いや。」

これは夢の中では無く、現実だと言う事だ

 「まって、でも、なんで? 病院側が入院中の患者の病室を話すわけがないし……」

210小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2020/12/01(火) 21:52:29
>>209

口元に穏やかな微笑を浮かべ、少年を見る。
そして、静かに首を振った。
湖畔で出会った時と同じ黒い帽子は、顔の左側に傾いている。

  「どうか、お気になさらないで下さい……」

  「……突然の訪問になってしまった事をお詫びします」

           スッ

両手で帽子のツバに触れ、角度を真っ直ぐに直す。
本来あるべき『左目』と『左耳』がない。
それから、おもむろにスカートを持ち上げる。
脚には『ナイフ』が突き刺さっていた。
根元まで深々と刺さっているにも関わらず、
傷も出血も見当たらない。

  「ご無沙汰しております……」

          ズシュッ

  「――斑鳩さん」

       フッ

『ナイフ』を引き抜き、『解除』する。
同時に『目』と『耳』の再生が進んでいく。
まもなく、それらは元通りの形を取り戻した。

211斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/12/01(火) 22:53:37
>>210

 「…………いえ、その。見苦しい所を見せて。」

ベッドから体を起こす
今はこれ以上の身だしなみの整え方がないのだ…もっとも、病院服では特に変わりはないだろうが

 「お花、ありがとうございます、ガウラかな…クレマチスかも。」

目の前の女性は、何処か距離を取らなくてはらないと考えていた

悲劇の香りがする相手の胸に手を入れてまさぐるなんてぞっとしない話だ
どんな古傷に触れたものか解った物ではない、それが膿んでいれば猶更。

 「でも、その…今の話を言う為だけに此処にき…てくれたんですか?」
 「――『ソレ』を使ってまで。何故です?」

しかし、そういう女性が『スタンド』を使ってまでここに来る
という事には純粋に驚いている。 絶対にされないだろうと思ったから。

212小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2020/12/01(火) 23:45:21
>>211

  「ガーベラです。
   お気に召して頂ければいいのですが……」

  「それは……」

自分にも、はっきりした理由は分からない。
ただ、自分の中に、
否定しがたい気持ちがあった事は確かだった。
誰かが傷付けば、その人間を愛する者も傷付く。
この少年が苦しんでいる時、
彼を愛する人も同じように苦しんでいる。
そう考えた時には、既に行動を起こしていた。

  「――『そうしたかったから』です」

ベッドにいる少年に、無意識に『彼』の姿を重ねていた。
この少年が傷付く事で悲しむ人間が、きっと大勢いる。
それは彼の家族や友人や恋人かもしれない。
もし『斑鳩翔』という少年が救われたなら、
彼を愛する人達の心も救われる。
そう思いたかった。

  「何かをしたかったからです」

  「斑鳩さんのために……」

目の前の少年が『彼』だとしたら。
『彼』が傷付いた時、私も苦しんでいる。
その思いが、ここに私を運んだのかもしれない。

213斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/12/02(水) 00:48:44
>>212

 (――なんだそれ、理由になってない。)

いや、この人の中では理由になっているんだ、たぶん けれど僕にはわからない。
……そんな事をされる理由が思いつかない。

 「僕は、そんなに助けが必要に見えるわけない。」

 「助けがいるなんて言っていませんよ、言う筈がない。貴女とは一回話したきりなんだ、会ったのも。」

 (助けが必要そうな人間に助けて貰って……嫌だ 『気持ちが悪い』。)

うまく言葉が出てこない、一番近い心持が『きもちわるい』という言葉だった
きっと私が詩人か読書家ならもうすこし上手い表現が出てくる筈なのだ。

 (それとも昔の僕は、そんなに見境が無かったのか?この人まで自分の運命に巻き込もうと?)

ただ、自分は助けられる覚えも無ければ、そんな善意を無条件で信じられる程
太陽にむかってまっすぐには生きていないのに。彼女を助けた覚えもない。

 「僕は…僕は、貴方に助けて貰える程、立派な事をした覚えがありません。」
 「誰にでもするわけじゃないでしょう、そんな事を……」

 ――誰にでも。 『誰に?』

 「――――僕を『誰』と重ねているんです?」

214小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2020/12/02(水) 22:47:36
>>213

  「これは私の『身勝手』です……」

  「……どうか、お許し下さい」

         スッ

姿勢を正して頭を下げ、おもむろに『右手』を上げた。
薬指には『指輪』が嵌っている。
『左手の指輪』と同じデザインの簡素な銀の指輪。

  「ただ……私が今日ここに来たのは、
   『彼』のためではありません」

この世に『彼』はいない。
だけど、『斑鳩翔』という少年は存在する。
そして、自分も。
『あの街』で手にしたのは『生きる目標』だった。
それまでも『生きる理由』はあった。
今では、より強くなっている。
生きているからこそ、この世界に目を向け、
自分に出来る事をしたい。

        フッ

  「――『あなたのため』です」

右手に『ナイフ』が現れた。
刃先を自身の指に触れさせ、軽く撫でる。
その動きに従い、細く赤い糸のように『血』が滲んだ。

  「……『能力が変わる事がある』と聞きました」

  「私は『治す』事は出来ませんでしたが……」

  「『そういう形』に変化する力が……
   あるのかもしれません」

幻の街で得た『第二の刃』。
他者に対して『不殺』である同時に、本体に『自傷』を赦す。
『スーサイド・ライフ』には不可能な事だった。
『今ならば、それが出来ても問題はない』。
音仙と名乗る彼女には、そう告げられた。

215斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/12/03(木) 02:59:24
>>214 (度重なるレス遅れ申し訳ございません)

 「……自分の馬鹿さ加減には、ほとほと呆れます。」
 「どうして貴女みたいな人に、こんな事をさせているのか。」

人が頭を下げる姿を見るのは嫌だ
嫌な事を思い出させるから、冷静にならざるをえない。

 「ちっぽけなプライドで、憐れまれたと思い込んで、それで血液が逆流して。」
 「嫌になる。」

達成できないなら、こんな物は何の必要もない
所詮『力』などは、どれだけ頑張っても『必要悪』以上の評価を得ない。

 「情報には感謝します、貴女にも感謝したい。」
 「でも、何も出来ない自分をまだ割り切れそうにないんです、大人になれないんですよ。」

――もう12月になってしまった。19にもなってしまう。
なのに、未だ両親の為に何も出来ていない自分を見ると焦ったのだ
仮にも、同年代の彼が…それを達成しているのを見たせいで。

 「……すいません、帰ってください」
 「貴女がどれだけ与えてくれても、僕が返せそうなものはありませんから。」

心の何処かで出来ないと決めつけて、他人がいざ出来たとなれば
それが受け入れられずに逆恨みのように呪詛を吐き出せもしない。

 「ガーベラ、有難う御座いました。」

 僕らは自分が嫌いだ。

216小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2020/12/04(金) 13:30:47
>>215

        ソッ……

何も言わず、ベッドから離れる。
自分がいる事が彼を悩ませるのなら、ここにいてはいけない。
今、彼のために何か出来る事があるとしたら、
それは立ち去る事だけ。

  「……お大事に」

                パタン

『体』だけでなく『心』も。
思った言葉を口に出す事はしなかった。
静かに扉を閉め、病院を後にする――。


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