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【場】『自由の場』 その1

1『自由の場』:2016/01/18(月) 01:47:01
特定の舞台を用意していない場スレです。
他のスレが埋まっている時など用。
町にありえそうな場所なら、どこでもお好きにどうぞ。

286弓削 和華『アンタイトル・ワーズ』:2017/09/22(金) 22:11:07
平日、夕方。
そろそろ学生達も街に繰り出し始めてきた時間帯に、
溜息を吐きながらブランコに腰掛ける女性が一人。

「ふう……」

黒髪をまとめた、清潔感のある女性だ。
モノトーンのリクルートスーツは、今は夕日で僅かに赤みがかっている。
足元にカバンを置いた彼女の横顔は、途方に暮れているように見えた。

287弓削 和華『アンタイトル・ワーズ』:2017/09/22(金) 23:28:23
>>286
「どうしましょうかねぇ……」

口から漏れた呟きも、風によって儚くかき消されるくらいに弱々しい。
途方に暮れているように見える。-、という印象は単なる印象ではなく、
本当に途方に暮れている、というのが正解だった。何故ならば――

         「早く見つけないとですね」「仕事」

弓削和華、27歳、女性。
『前職』役員秘書。
つまり『現職』は自宅警備員的なアレなのだった!!

288夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2017/09/23(土) 00:55:26
>>287

「くふっ」

「い〜ち、に〜い、さ〜ん――」

「ふふふふふ」

「――にじゅは〜ち、にじゅきゅ〜う、さ〜んじゅぅぅぅ」

「くくくっ」

サングラスをかけた少女が、口元に笑みを浮かべながら歩いていきた。
頭にはリボンのようにスカーフを巻いている。
その手の中には、封筒と、数枚の紙切れが握られていた。
両手の指には、ネイルアートの付け爪が見える。

「――あぁッ!?私のユキチ様が!待って!!」

刹那――急な風で少女の手から飛ばされてしまった一万円札が宙を舞う。
その数三十枚。
少女はあたふたとうろたえながら追いかけている。
位置的には、ちょうど弓削の目の前だ。
見ようによっては、ちょっとした見世物状態かもしれない。

289弓削 和華『アンタイトル・ワーズ』:2017/09/23(土) 01:17:17
>>288
「……大丈夫ですか?」

立ち上がって拾いに行く。
無論、大丈夫でないことは(金額的に)分かりきっている。
これはまぁ……コミュニケーションのとっかかりみたいなものだ。

290夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2017/09/23(土) 01:35:34
>>289

「私が体を張って稼いだユキチがぁぁぁぁぁ〜!」

少女は紙幣の群れを追いかけて右往左往している。

  ――と……。

      ドシュンッ
            シュババババッ

突如、少女の傍らに人型スタンドが現れ、素早く正確な動きで紙幣をかき集めていく。
それにより、宙を漂っていたもののほとんどが、少女の手に回収された。
あとは、弓削の足元に落ちている数枚が加われば、それで全てだろう。

「あっ、いやいやそんなそんなどーもどーも」

「ありがとーございます」

少女はスタンドを引っ込ませ、ぺこりと頭を下げて弓削に近付いてくる。

291弓削 和華『アンタイトル・ワーズ』:2017/09/23(土) 01:45:14
>>290
   「  」

真顔である。
数枚の諭吉さんを手に取った態勢のまま、弓削は無表情で夢見ヶ崎をガン見していた。
というのも無理はないだろう、彼女は自分以外のスタンドを見るのが初めてなのだった。
というかこの先スタンドを人前で使うつもりもなかったし他人もそうだと
思っていたのでスタンド使いを目の当たりにするという事態がイレギュラーだった。
無論、スタンドをガン見していたことは夢見ヶ崎にも分かるだろう。

「……」「いえ、大事ないようでよかったです」

          「イッツマイプレジャー」

何事もなかったかのようによく分からん事を言いつつ万札を手渡すリクルートスーツ女。
なお、表情は終始真顔のままだった。

292夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2017/09/23(土) 02:12:44
>>291

「あー、落ち着いた」

そう言いつつ近くにあったベンチに腰掛ける。
自分としても、そうそう頻繁に日常でスタンドを使っているわけではなかった。
たとえば、自分が動くのがメンドくさいからスタンドでリモコンを取るなんてことはしていない。
だが、たぶん必要だと思った時は使っている。
数えてみて、一枚足りないなんてことになっても困るし。

「えっと……お姉さんの名前なんだっけ?」

知り合いだっただろうかという考えが不意に浮かんだが、
あまり自信がなかったため、とりあえず名前を尋ねてみた。
当然ながら全くの初対面なのだが。
そして、このリクルートスーツの女性が何を思っているかも知るよしもない。

「あとさ――今なんか見えてた?私以外に」

「それとも、私の後ろの方に『超珍しくて不思議なイキモノ』でもいたとか……」

やや声を落とし、念のために問いかける。
このスーツ姿の女性――弓削の考えは分からない。
ただ、水も漏らさぬほどに凝視されていたのは見えていた。
だから、一応は感付いてはいた。
だけど、もしかしたら私の後ろにビッグフットとかチュパカブラとかいたのかもしれないし……。

293夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2017/09/23(土) 02:20:28
>>292

諭吉さんは受け取って、ちゃんとお礼を言った。
そして、上記の行動へ。

294弓削 和華『アンタイトル・ワーズ』:2017/09/23(土) 02:22:47
>>292
「弓削和華と申します」

ベンチに座る夢見ヶ崎の前に立ち、誰何に対し明確な一言。
すっと伸ばされた背筋はいかにもキャリアウーマンらしい。

「初めまして、ですね」「すみません、少々視線が不躾だったようで」

      「少し――」

そこで、弓削は少し間を置いた。
おそらく、あそこまであからさまな視線を向けられれば向こうも感づく。
その上で『スタンド使い』であることを明かすべきか、
あるいはしらばっくれるべきか決めかねていたのだ。が……。

        「『奇妙なもの』が見えましたので」

そう言って、親指を立てて自らの背後を指差してみせる。
背後に『寄り添い立つもの』――スタンド、というわけだ。
結局、しらばっくれるメリットもないので正直に明かすことにしたらしい。

   「どうやらご同輩かなと」「奇遇です」

なお、常に真顔のままだ。表情筋が死んでるのだろうか?

295夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2017/09/23(土) 17:54:05
>>294

  ……?

  心なしか表情が薄いような……。

   いや――薄いんじゃあない!
   これは、表情が『全くない』ッ!
   まるで人の形に切り出された無機質な彫像のように……!

……などと思ったかどうかは定かではない。
ともかく――。

「あっ、知らない人だった。どーりで見覚えがないワケだ」

「――ゴメンなさい」

「夢見ヶ崎明日美っていいます」

名乗られたからには名乗り返そう。
なんといっても、挨拶はタイジンカンケイの基本っていうし。
もっとも、こちらの挨拶は、それほど整ったものではなかったが。

「ゴドーハイですか。ふむふむ」

弓削の背後に目をやり、納得したように二、三度うなずく。
そして、弓削の全身を正面から隈なく観察する。

「お姉さん、ビシッとしててカッコいいね。できる女って感じ」

「あ、名前聞いたんだし名前で呼んだ方がいいよね。
 カズハさんって呼んでもいい?」

「――あとさ、できたら座って欲しいな。見上げたまんま喋るのも疲れるし」

296弓削 和華『アンタイトル・ワーズ』:2017/09/23(土) 22:12:16
>>295
「ええ、どうぞ。よろしくお願いします、夢見ヶ崎さん」

                                  「では、失礼します」

着席を促されると、弓削はあっさりと夢見ヶ崎の隣に腰を下ろした。
スタンド使いの邂逅――当然ながら、話はそこに収束する、

     「しかし災難でしたね」

かと思いきや、微妙に話題が逸れた。
関係はしているので全く別の話題でもないのだが。

  「あれほどの大金、もし風で飛ばされてはいたらと思うと……」

 「ぞっとします」 「お給料、無事でよかったですね」

『身体を張って稼いだ諭吉』、ということでお給料と解釈したようだ。

297夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2017/09/23(土) 22:49:57
>>296

「ホントホント。どっか行っちゃう前に戻ってきて良かったぁ。
 慌てすぎて思わず『アレ』使っちゃったよー」

アレというのは、言わずもがなスタンドのことだ。
さっきのは、スタンド持ってて良かったと思った瞬間ベスト10くらいには入るね、きっと。

「えっと、あー、うん」

夢見ヶ崎の年齢は16歳。
一概には言えないが、この年頃で貰う給料としては多い金額だろう。
実際のところは、給料ではない。
この町の片隅で偶然見つけたスタンド使い同士が闘う闘技場。
そこで得た賞金だった。

「いやー、あれはハードな仕事だったなー」

「血は出るし腕の骨は折れたし――」

「それでしばらく入院したりして――」

「キツかったぁー」

その時のことを思い出しながら喋る。
全て事実ではあるが、口に出してみると変な冗談にしか聞こえないのがたまにキズだ。

298弓削 和華『アンタイトル・ワーズ』:2017/09/24(日) 00:11:43
>>297
「………………」

弓削も馬鹿ではない。
30万という大金を(見た感じ)子どもな目の前の少女が持っていることに違和感はあった。
ただ、何らかの事情でバイトで貯めたお金を引き下ろしたとか、実は幼く見えるだけ
というような可能性も考慮していたのだ、が……

          「そう言った『業種』があるんですか?」

ズイ、と身を乗り出して一言。
相変わらず真顔だが、今日一番の食いつきだ。
それより怪我に触れるべき部分なのだが。

   「『能力』を利用することが求められる『業界』が……」

無表情の中心にある瞳に浮かぶのは、好奇心。
自分の知らない未知なる世界へのパイプ役を少女に期待する感情。
そこに少女が負傷の危険をおかしたことへの心配などはない。
何故か? それは彼女が現在失職中でそれどころではないからである。

299夢見ヶ崎明日美『』ドクター・ブラインド:2017/09/24(日) 11:43:49
>>298

「――???」

「……へぇ……」

予想以上の食いつきの良さを目の当たりにして、最初は不思議そうな表情を浮かべた。
しかし、それは心に生じた強い好奇心によって、瞬く間に塗り潰されていく。
この終始真顔で無表情を貫いている女性が、
自分の話に強い反応を示したことに対する好奇心だ。
サングラスの奥に隠された黒目がちの大きな瞳が、小さな星のようにキラリと輝いた。
やがて、口元に悪戯っぽい笑みが現れる。

「うん――『ある』みたいだよ」

「大きな声じゃ言えないけどさ――」

そう言いながら、こちらからも顔を近付ける。
お互いが近寄っているために、かなりの至近距離になるだろう。
そして、耳打ちする時と同じように開いた片手を口元に添え、声を潜める。

「――『アリーナ』っていう場所なんだ」

「スタンド使いの選手が対戦する地下のトーギジョー」

          ファイトマネー
「そこで勝ったら『 賞金 』が貰えるってワケ」

そこまで言うと、いったん言葉を切る。
弓削が関心を持っているかどうかを見るためだ。
それを確認してから、改めて話を続ける。

「カズハさん――もしかしてキョーミある?」

「私は飛び入りで参加したんだけど、そこのカンケーシャと連絡先交換してるんだよね」

「だから――もし良かったら、向こうに話を伝えてもいいんだけど……」

自分と連絡先を交換した男は、こう言っていた。
正式な選手になることを考えるか、参戦希望のスタンド使いを紹介してくれ、と。
あの時は、まさか本当に誰かを紹介することになるなんて思ってなかったけど――
返事次第ではそうなる、か、も。

300弓削 和華『アンタイトル・ワーズ』:2017/09/24(日) 12:44:48
>>299
「いえ」

急転直下。
……というと少し語弊があるが、弓削は先程までの前のめり具合とは
想像もつかないほどあっさりと、勧誘に対して一歩引いた態度をとった。

    「実は私、現在失職中でして」

そんな弓削から放たれたのは、唐突なニート宣言だった。
リクルートスーツを着たままブランコでギコギコやっていたのもそういうことらしい。

「それで今日も就職活動中だったのですが、……なかなかちょっと、という次第でして」

少し声色が沈んだ。

「『スタンド使い』……それそのものが必要な資格になる『業界』について
 ご存知ならば、詳しく伺いたいと思ったまでで……『選手』は特に」
                    「争いごとはあまり得意ではないですし」

弓削はそう言うと目を伏せて、

         「私は、『誰かのために』働きたいと思っています」

「それが『モチベーション』なのです」
「私自身が目立つのでなく……」「それだけが願い」

           「ただ」

「もしも『マネージャー』といった職種があるのでしたら、
 そちらの方にはとても興味を惹かれるのですが……」
「……その前に、『観戦』してみたいですね。どのような職場なのか見ておきたいですし」

「『観戦』は、どうすればできるでしょうか?」

要するに、『選手としてはそんなにだけど、もしマネージャー職があるなら興味がある』……
そして『何にせよどんな仕事なのか理解するために色々見ておきたい』ということらしい。
そんなもんあるのか? あったとして新規採用あるのか? というところからして非常に微妙な感じだが……。

あと、闘技場そのものの営みには全く疑問を差し挟んでなかった。
やはりどこかズレているのかもしれない。

301夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2017/09/24(日) 22:28:32
>>300

「……一度しか言わないから、よく聞いてて」

その言葉は、低く重い響きを持って発せられた。
顔からは笑みが消え失せ、神妙な表情に変わっている。
『あなたの余命は残り三日です』と宣言する医者のように、ひどく深刻な顔色だ。

「まず――『ウサギ』を探すの。時計を持ったあわてんぼうの白ウサギをね」

                ラビットホール         ワンダーランド
「そのウサギを追いかけて『ウサギ穴』を通れば、『未知の世界』へ行けるはずだよ」

そこまで言うと、固い表情が少しずつ崩れ、唐突に含み笑いを始める。
最後には、声を出して無邪気に笑い出した。
見る人に悪印象を抱かせるような笑い方ではなく、明るく屈託のない笑いだ。

「ふっふふふ、ゴメン。ただのジョークだよ」

「それで、なんだっけ?ああ、さっきの話の続きね」

「募集してるかどうかは分かんないなぁ。
 代わりに大体の場所を教えるよ」

「そこに行ってみたら、なんか分かるかも」

「さっきのはジョーダンだけど、私の時も似たような感じだったしさ」

言葉通り、自分の知っている場所――
(ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1454252126/562参照)を伝える。

とはいえ――それで弓削に何か大きな変化が起こるとは考えていない。
あくまで『大体』なので、分かるかもしれないし分からないかもしれない。
そもそも、何か特殊なきっかけでもなければ入れるような場所でもないだろう。

それでも教えたのは、彼女が何か大きな苦労を抱えていることを察したのと――。
この弓削和華という一風変わった女性に対して、興味を抱いたためだ。

302弓削 和華『アンタイトル・ワーズ』:2017/09/24(日) 23:20:34
>>301
「フム」

夢見ヶ崎の『ジョーク』も、眉一つ動かさずまじめ腐った顔でメモを取る弓削。
雰囲気だけなら『仕事の出来る女』のようだが……、

       「……ジョーク」
                   ビィーッ

……今の今まで書いていた部分に『ジョーク』と書き加える姿はいっそ滑稽だ。
何気にメモを取る速度は速い……が、異常というほどではないのでこれは技術だろう。
……気を取り直してメモを取り直し。

「……ありがとうございました。お陰様で、とても助かりました」

メモを取り終えると、弓削はそう言って頭を下げる。
礼をするのにきっかり四拍使って頭を上げると、

「こちら、私の連絡先です。ここで知り合ったのもスタンド使いの『縁』。
 もし何かお困りのことがありましたら、お気軽にご相談下さい。
 スタンド使いとしては若輩者ではありますが、出来る限り力になります」

      「では」「失礼します」ペコォー

そう言って名刺を手渡し――名前と携帯電話、メールアドレスが
書かれていた――、そのまま、会釈をしてその場から去って行った。
相変わらず終始真顔だったが――その後ろ姿からは、どことなく満足げな雰囲気が窺えた。

303夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2017/09/25(月) 21:42:01
>>302

「……へぇ〜……」

自分の放ったジョークをそのままメモする弓削を、物珍しそうな好奇の視線で観察する。
『マジメ』だ。
あまりにも『マジメすぎる』。
もし、彼女が冗談のつもりでやっているんだとしたら、自分の言ったジョークより面白いだろう。
たぶん――いや、きっと本気なんだろうけど。

「――ふむふむ」

名刺を受け取り、ざっと目を通す。
こちらには渡す名刺がないのが惜しいところだ。
その代わりに、明るく笑いかける。

「こっちこそ、なんか変なモノとか変わったコトとかあったら教えてねー」

「ネンジュームキュー24時間ボシューチューだから」

「私もスタンド使い若葉マークだけどさ、けっこう役に立つと思うよー」

彼女を通じて、まだ見たことのない何かに出会えたら嬉しい。
未知の世界や未知の存在との遭遇は、自分にとって何よりの報酬だから。
もちろん、スタンド使いの縁で知り合った弓削に対する気遣いもあるが。

「そんじゃ、またね〜」

模範的なお辞儀ではないが、こちらも軽く頭を下げ、立ち去っていく弓削を見送る。
その心には、ささやかな満足感があった。
あの弓削という女性は、今まで自分が出会ったことのないタイプだったからだ。
未知の人間との出会い。
それも自分にとっては、大きな喜びの一つなのだから。


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