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【場】『自由の場』 その1

1『自由の場』:2016/01/18(月) 01:47:01
特定の舞台を用意していない場スレです。
他のスレが埋まっている時など用。
町にありえそうな場所なら、どこでもお好きにどうぞ。

270斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2017/09/14(木) 22:24:05
「――わかるよ。」

長い呼吸を一回、目を擦る

 「『辛抱』がさ、大事なんだ」

    「昨日お爺ちゃんがピカピカの釣竿持ってたのもお古の奴プレゼントしてくれたのも」

 「結果としてお爺ちゃんがお祖母ちゃんにボコボコにされてたのもすげーよくわかる」

        「わかるわ」

喧騒から離れた砂浜に一人、首に赤いマフラーを巻いた少年が椅子に座り
少し古びた釣竿を支えながら、欠伸を嚙み殺しつつのんびりと生温い潮風を堪能している
傍に置かれた青いクーラーボックスのコントラストが白い砂浜に映えるようだ

「……もう9月って感じするんだけどな。」

271夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2017/09/14(木) 23:09:02
>>270

「ほうほう、それは一大事ですな」

カラフルなネイルアートの付け爪とサングラスが目立つ少女が隣に座った。
待ち合わせしていた友達に「待った?」と声をかける時のような気軽さで。
間違いがあるとすれば、少年の友達でも知り合いでもないということ。

「だよねぇ。もう九月なんだよねぇ」

「夏も終わりかぁ。私は今年の夏は病院で終わったなぁ……」

「――あ、それ引いてるんじゃない?」

言葉の世途中で不意に釣竿を指差す。
もしかしたらかかってるかもしれない。

かかってないかもしれない。

272斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2017/09/15(金) 00:00:24
>>271

>「ほうほう、それは一大事ですな」

「でしょ――まあ、お爺ちゃん頑丈な上に自業自得だからそれは置いといて。」

苦笑しながら
少女の方をちらとも見ず会話に応答する
顔は未だに寝ぼけまなこのようだが……

>「だよねぇ。もう九月なんだよねぇ」

>「夏も終わりかぁ。私は今年の夏は病院で終わったなぁ……」


「ああ、『俺』は如何でもいいんだけど、僕もさぁ……」

そこまで言って首裏を右手で掻き
数えるために自分の眼前で、右手の指を一本ずつ折り曲げていく

 「ズッコケ4人組相手に『装甲車』と『スプレー缶』と組んで喧嘩したり」

  「公園の中で病院の拘束服付けたDVに泣いてる少女抱えながら逃げ回ったり」

 「いや貴重な出会いなんだけどさ、文句も言えないんだけど、あえて言うならこう……もう少し」

  「可愛い女の子と今しかできない、甘い!酸っぱい!甘い!酸っぱい!って感じの」

「イベント欲しかったなあ……6月くらいに。」

(――あれ?今僕誰と話して……まあいいのか? これも『重力』かな。)

其処まで言うと項垂れた感じで釣竿の方から目を背け、少女の方を見……ようとして

>「――あ、それ引いてるんじゃない?」


「おっ、引いてるぅー?マジでか!有難う!」
   「やったぜお婆ちゃん、今日は焼き魚だ!」

顔を喜びに綻ばせ満面の笑みを浮かべながら釣竿を握りだす
――そしてその腕に、いや全身に『大量の半透明の鎖』が巻き付きだす

(……『ロスト・アイデンティティ』! 僕の精密さを強化する!)

少年は全身に鎖が巻き付くを関せず、そのまま竿のリールを巻きながら感触を確かめている


 「ん、んん――? ……この感覚 あっ」

……少ししてその顔が苦笑いに変わった
失敗したことを誤魔化す笑みに


「根がかりしたぁ……まあいいかな、たった今1人釣れたみたいだし。」

――「失敗失敗」そんな軽い感覚で少女の方に握手をするために右手を差し出す
ショートカットの黒髪が揺れる、少しバツの悪そうな笑顔で。

「僕、斑鳩 『斑鳩 翔』空は飛べないけどね、君、名前は……爪、奇麗だね?君がやったの?」

273夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2017/09/15(金) 00:55:56
>>272

「なにソレ、すっごいキョーミあるぅ」

興味津々といった眼差しで相槌を打つ。
サングラスの奥にある黒目がちの大きな瞳。
それが好奇心の光でキラキラと輝いた。

「私はぁ……ちょっと前に海水浴しに、ここ来たなぁ……。
 それで、たまたま近くにいた男の子と一緒にビーチバレーやってた」

「あとは……ビルの地下にある『トーギジョー』で血まみれになりながら殴り合ってた。
 で、手がボキボキ折れた」

「あのアレ――『ポッキー』みたいに。
 チョー痛かったなー。もう治ったけど」

その最中、『鎖』の発現が視界に入り、しばし押し黙る。
『鎖』の正体には大方の見当がついた。
興味深げに、それを見つめる。

「私は夢見ヶ崎明日美。
 夢見ヶ崎でも明日美でも、名前の最初と最後をくっつけてユメミでもいいよ」

「あ――」

「『なあ、ボブ。俺、船乗りになりたいけど泳げないんだ。
 気にすんなよ、ジョージ!俺だってパイロットになりたいけど空飛べないぜ!』」

「――っていうジョークがあるんだって」

躊躇することなく差し出された手を握った。

「へっへっへっ、まーね。色んな色があってキレーでしょ。
 私、好きなんだ」

「『イカルガ君』……なんか言いづらいな。
 『ショー君』も、いい感じじゃない。
 カッコイイよ――その『アクセサリー』」

おそらくは、その言葉が『鎖』を指していることに気付くのではないだろうか。

274斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2017/09/15(金) 01:37:14
>>273

「病院とか何でいたの?とか聞きたい事、僕も有るけど……」

「ワァオ、同い年くらいなのに2/1殺伐してる青春だぁ……
 ポッキーとか想像したくないなあ すっごい痛そう。」

  「でもビーチバレーか、『何でも有り』なら負ける気しないな僕
   ……まあ勝負よりは君とビーチバレーした男の子の方が羨ましいけど。」

苦笑いしながら左手をまるで自分が痛めたかのように降りつつも
右手1つで器用に新しい釣り針と餌を釣竿に付けていく
『手慣れた職人のような手つき』で。

「ん、よろしくね ――ゆめみ?夢を見る……かな。 じゃあ『夢見ちゃん』で。」

(事実飛べないからなあ…カッコよく落ちるは出来るけど。)

張りなおした釣竿を改めて構え、投擲する

 ヒュッ……ポシャン

遠くの波間に赤い浮きがぷかぷかとゴムのアヒルの如く浮かんだ
潮風にマフラーが僅かに揺れる


「笑顔は会話の潤滑油だよねー、この名前も気に入ってるんだ、ジョークにも使えるし
 両親から貰ったからね……ショウでもショーでも好きに呼んでくれていいよ。」 ニッ

(……見えてるか 態々『人気のない場所』を選んだけど)
  (スタンド使いの『重力』……ますます強くなっている気がする 素晴らしいな)
 (この子との出会い、僕と僕のスタンドにどんな影響を与えるんだろう。)


「……そっか、この『アクセサリー』かっこいいって言ってくれた人は
 夢美ちゃんが初めてだな。」

 「――他の人は『蜘蛛』だの『蛸』だの言うんだぜ?」

……そう言うと肩をすくめながら顔を綻ばせる まるで長年の親友に会ったような笑顔で。

  「――別に驚かせるつもりは無かったし、謝っておくよ ごめんね。
  僕も気に入ってるんだけどね、『ロスト・アイデンティティ』それが僕の『アクセサリー』の名前
  君の『アクセサリー』も……その爪と同じ様に、きっと奇麗なんだろうな。」

275夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2017/09/15(金) 02:23:00
>>274

「――タコ?クモ?」

よく分からない、といった表情をする。
『鎖』のヴィジョンから、どうしてそんな感想が出てくるんだろう。

気になる。知りたい。見たい。

心の中で好奇心が強くなっていくのを感じた。

「ショー君ってさ、器用なんだね。
 ――っていっても、釣りのこと分かんないんだけど……。
 釣竿を見たのも釣りしてる人を見たのも、これが初めてだから」

「でも、さすがに魚くらいは見たことあるよー。
 『ちょっと前に』初めて見た。
 キラキラしてて、思ってたよりキレーだったなぁ」

今度の言葉はジョークじゃない。
あくまでも本気の発言だ。
生まれつき視力がなかった自分には、見えるものは何もなかった。
目が見えるようになったのは、ごく最近のこと。
だからこそ、目に映るあらゆるものに好奇心をくすぐられ、興味をそそられる。
ただし、今のようにサングラスで強い光を遮断していなければほとんど見えなくなるのだが、
そんなのは些細な問題だ。

「で、なんだっけ?
 あー、『アクセサリー』ね……。
 その器用さも、それのゴリヤクってやつ?」

「私も持ってるよ。ちょーイケてる『私だけのアクセサリー』」

「見せてもいいんだけど……。
 その『タコ』とか『クモ』って言われた理由を教えてくれたら見せちゃおっかな」

276斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2017/09/16(土) 00:37:36
>>275

「君って大分ガッツ、あるよねぇ 好奇心も旺盛みたいだし。」

そこまでを笑顔で言うと少年は深呼吸をする
これから喋るのに必要な事のように。

「君に会えた時、とても嬉しかったんだ、きっと『スタンド使い』だと思ったから、同時に疑問もあった
 ――夢美ちゃんをさ、最初に見た時サングラスだけ付けてるのに、帽子を被ってない、って思った
 『弱視』か、『盲目』なのか……でも今は見えるなら『おめでとう』って言うべきかな。」

「僕には当たり前のように見えてきた世界だけど……そうだよな、奇麗だよな『色』って。」

(――最初から無い物に不自由は感じない、けど こういう人が傍にいると気付かされるな
 僕達が当たり前のように持っているの は『奇跡』の産物だって事 ……だから僕も失いたくないんだ)

――息ができる、5年間『スタンド』を身に着けるまで彼が息を出来なかったように
少女に少し共感したのかもしれない、してないのかもしれない。

「ん?ん―……そんなに見たい? なーんて、僕から見たいって言ったようなものだものなぁー」

……そう言うと鎖の一欠片を親指にのせてコイントスのように空に跳ね飛ばす
見つめるならそれは上空で消えるだろう

瞬間、クーラーボックスの開閉音と同時に
斑鳩の左手に『アイスキャンデー』が2本握られている。

「はい、今どうやったんでしょーか!
 ……紫がブドウ、白がリンゴ味だよ 食べる?」 ――ニッ



意地の悪そうな笑顔と同時に答えが少女が答えを言うか言うまいかの内に告げられる
――鎖の巻き付いていない両腕から、『影のような腕』が現れると同時に。

「正解はぁー……デレデレデレデレ デデン!『腕が4本ある』!でしたぁー!どっじゃぁぁ〜ん!」

影の腕が敬礼するかのように挨拶する

「『鎧』にすれば僕の器用さを上げ、『鎖』を生み出し、解除すれば
 その部分に『影』が出来る、腕4本 脚4本 頭2つ
 ……そういう(ご利益)『スタンド』なんだ。『胴体』は解除されないんだけどね。」

そこまで喋ると少年はふと空を見上げる ……少女からは太陽の逆光で顔の表情が見えない

「――もちろん、ただ話したんじゃない 君に会えて嬉しいっていうのは
 君が僕の求める『スタンド使い』だったらいいなあ……って話なんだ。」

――遠くに浮かぶ釣竿の浮きが波間に揺れている。

277夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2017/09/16(土) 01:55:27
>>276

「くっくっくっくっ――」

言い当てられた内容を聞いて含み笑いを漏らす。

「気付いてしまったか……。
 私の正体に気付かなければ平和に暮らせたものを……。
 そのカンの鋭さが……命とりだぁーッ!!」

ババッと勢いよく立ち上がり、唐突に襲い掛かる――フリをする。
そして再び座り直し、しばし海を眺め、やがて静かに口を開く。

「『アリス』ってあるじゃない。『不思議の国のアリス』。
 一人の好奇心旺盛な女の子が、ある日ヘンテコな世界に迷い込んで――
 色々と珍しいものを見たり色んな変わった人に出会ったりして冒険するってヤツ」

「私もおんなじ。
 私は生まれてから、こことは違う真っ暗な世界にいたけど、
 ある日突然この眩しい世界に迷い込んできた。
 それからは色んなものを見て、色んな人に出会って、この世界を冒険してる」

「だから、私は『アリス』――『光の国のアリス』」

そう言って、邪気のない表情で笑う。
曇りのない明るい笑顔だった。

「――?」

飛ばされた『鎖』の破片を目で追い、その消失を見届けた。

「???」

続いて行われた動作を見て、不思議そうに首を傾げる。
目の奥でチカチカと灯る光が、その強さを増す。

「な――」

「な、なんだってぇぇぇ――ッ!?」

「一ヶ月前に匿名で寄せられた未確認情報……。
 この星見町の海に『腕が四本ある生物』が存在するという噂は本当だったッ!
 その詳しい生態を解解き明かすべく、我々科学調査班は危険を省みずに更なる接近を試みた!」

「――ふぅぅぅ〜ん。ほぉぉぉ〜う。へぇぇぇ〜え……」

グイグイと至近距離まで近付き、『影の腕』をしげしげと眺める。
他のことは目に入っていないといった雰囲気がある。
しばらく観察して満足したのか、また少し離れた。

「『求めるスタンド使い』、ねえ……」

「ついでにそれも教えてよ。言うだけならタダだし」

「それとも、代わりの情報も出さないで私ばっかり聞いてちゃダメかな。
 世の中ギブ!アンド!テイク!でしょ。 
 それが『シホンシュギ』ってヤツ?なんだし?たぶん」

適当なことを混ぜた台詞を言いながら、釣竿の浮きを見つめる。

278夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2017/09/16(土) 06:22:51
>>277

「くれるの?くれるんなら私はなんでももらうよ。
 ケガとビョーキ以外なら。
 あっ、それ『なんでも』じゃないか。
 ほぼ『なんでも』ね」

「ふぅん……。じゃ、ブドウにしよ。リンゴは今朝『ジョナゴールド』食べたから」

「あ――ちょっとしたことなんだけど、袋から出して中身だけ渡してくれる?」

紫のアイスを選んだ。
そして、遠慮なく貰う。
貰ったら、当然の帰結としてそれを味わう。

279斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2017/09/16(土) 22:19:39
>>277
>>278

  「……きゃー、おそわれるー って言うのもなんだけど
   僕が『ジャバウォック』で『トランプ兵』みたいに飛びかかってきたら
   どうするつもりだったんだい『光の国のアリス』ちゃん!
   その素敵な笑顔が『ヴォーパルの剣』だったり?」

襲い掛かってくるフリに怖がるフリで返す
ケラケラと笑う表情は面白くて仕方がないと言うかのようだ

    「そんなに近づくと危ないですよー夢美ちゃん
     『ロスト・アイデンティティ』は独自に考えて動くんだからね
      ……ほら君のほっぺた摘まもうとしてる。」

 影の頭部が少女の方を見て、左腕からずれるように現れた影がほっぺたを人差し指で
 そっとつつこうとする

 「ま、それも冗談、この『影』の手が君の『光』を奪う事なんてないしね
  ――どうぞお嬢さん!『グレープ味のフラミンゴ』ですよ。」

袋から出して、と言う声に包んでいたビニールの端を影の手先が摘まんで振り回す
……当然反動で紫のアイスキャンデーが切れた包装から零れ落ちる
その瞬間を影の頭部が見つめながら持ち手の部分だけを摘まんで少女に差し出した。


「言うだけタダだからね――『心を治せるスタンド』もしくは『時を巻き戻すスタンド』
 可能性はあると思うんだ、それこそこの『スタンド』って言うのは
 まるで『アリス』に挿入されている詩や童謡のように奇妙だから。」

そう言う少年の顔は微笑んでいたとしても瞳だけは笑っていないように見える
透明な氷の欠片が黒い瞳に入っているようだ。

 「ま、シホンシュギ?が好きなら……そうだな
  もっと君の事が知りたいな、それか見つけたら教えてくれるとか、もしくは……」

2本の右腕がクーラーボックスの蓋を開ける
……中には大量の氷と多種多様なドリンク、そしてアイスキャンデーが入っている

  「クーラーボックスの容量減らしにご協力クダサーイ、お祖母ちゃん僕に魚釣るんじゃなくて
   砂浜で遊んでくるために中にぎゅうぎゅうに氷とドリンク+アイス詰め込んでんだよね。」

280夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2017/09/17(日) 00:14:54
>>279

「いや、『剣』はないな。さすがにね――」

「――『爪』ならあるけど。ホラ」

色鮮やかなネイルアートの施された指先を軽く突き出す。
同時に、そこから剥離するように、もう一本の腕が姿を現した。
その指先には、『医療用メス』を思わせる形状の鋭利な爪が備わっている。

               『 L(エル) 』

            『 I(アイ) 』

         『 G(ジー) 』
  
      『 H(エイチ) 』
  
   『 T(ティー) 』

不意に、男の声とも女の声ともつかない無機質で機械的な『声』が聞こえる。
まるで傷の付いたレコードが同じ部分をリピートし続けているような声だ。
その声は、少女の背後から発せられたものだった。
いつの間にか、少女の傍らに人型のヴィジョンを持つスタンドが佇んでいた。
その両目は開くことなく、固く閉ざされている。

   『 L 』

「これが――」

   『 I 』

「私の『アクセサリー』――」

   『 G 』

「――『ドクター・ブラインド』」

   『 H 』

「イケてるでしょ?」

   『 T 』

そして、突き出していた手を伸ばして、差し出されたアイスキャンデーを受け取った。
それを舐めながら少し考える。
何のために、そのスタンドを探しているのだろうか――と。

「……知らないなぁ。私が持ってる力とも違うし。
 ま、もし『冒険』の途中で見つけたら教えてあげてもいいよ」

その一瞬、少年の心に巣食う何かを垣間見たような気がした。
もちろん詳しいことは知らない。
ただ、彼の心に何かがあることは理解できた。
濃い暗闇にも似た何か。
それは、かつて私がいた『闇の世界』にも似ているのかもしれない。

「ふっふっ――じゃ、教えてあげるよ」

少年の言葉を受けて彼に向き直り、悪戯っぽくニヤリと不適に笑う。

「『果汁64%』。内訳は『巨峰』が『40%』、『ピオーネ』が『24%』」

「――合ってるよね?」

わざわざ中身だけ受け取ったのは、包装に書いてある表示を見ないためだ。
絶対とは言えないが、おそらく正解だろう。
もし間違いがあったとしても、わずかな誤差だ。

「さて――どうして分かったんだろーねえ?」

281斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2017/09/17(日) 02:23:44
>>280

 「――へえ『人型』って多いんだなあ
  人間の精神から生まれたのだから、事実そうなるのが近いんだろうけど。」

(掠れたような人の声……か 喋れるスタンド?)

「中々にイカした…と言うより『君らしさ』が出てるアクセサリーかな。
 僕の主観だけど、素敵だと思う その『勇気』とか 
 ……そして今気づいたけど『アクセサリー』褒めたり褒められたりって結構照れるな!」

影の腕が少女の『アクセサリー』に対して挨拶に手を振る
腕を振る速さが多少早めなのは――照れ隠しも混じっているのだろう
そして少年は知らないという声に少しだけ目をつむる。

   「――そっか、残念 と考えるよりは
    教えてくれる方に感謝しようかな 有難うね。」

少し経てば何事もなかったかのように再びの感謝と笑顔をみせる『斑鳩翔』はそういう人格だ
ただ悲しんだりを別の場所に斬り捨てているというよりは
他人との協調の為に『感謝』したり『笑顔』を見せる。

そしてそれ自体を本人は気づかない
故に少女が言ったことに対して素直にアイスの包装を見て驚愕する

「包装……合ってる、舐めただけで解る……ウソォ スタンドも月まで吹っ飛ぶ衝撃的ッ
 (僕のスタンドが吹っ飛ぶと僕まで月に行くけど。)
 今度は僕が考える番かぁー ヒントはもう出てるし推理できる のかな?」

影の手足が思考の癖なのか少年のジョークか、『考える人』のポーズで固まる
笑顔には少しの滑稽さと問題を解く事への楽しさが滲み出ていた。

「んん――僕の2つの脳みそが唸るぜ、学校の期末テスト赤点『ギリギリ』だけど」
 
自分の手でこめかみを叩きながら思考に入る――そのせいで沖で赤い浮きが沈んでるのに気が付いてない。

 「――眼が見えなくなった人は、代わりに視力を補うために別の『感覚』を強化する事が有る
  そして夢では『匂い』や『味』を夢として見るという記録もある
  舐めただけで成分まで解る、『味覚の感覚の発達』は流石に人間離れしているし……
  『五感の超感覚』かな? ……違うかな?だったら『サングラス』必要ないか
  多くても『4つ』くらいだと見た! どう?」

――ニッ!

282夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2017/09/17(日) 07:46:05
>>281

「ふぅん……私は他のスタンドってあんまり見たことないんだけど、
 私が『トーギジョー』で対戦したのも人型だったし、そうなのかもね」

「ありがと」

誉められたことに対して、短く感謝の言葉を述べる。

「それと、これは喋ってるっていうより、独り言を言ってるっていうか……。
 ずっと同じ単語を繰り返してるだけで、他のこと言わないんだ。
 一つの曲の一ヶ所をリピートしてるような感じ。
 私もよく分かんないだけど、こういうものだと思ってるから。
 しいて言うなら、私だから……かな……」

少年の表情を察して説明を付け加えた。
『ドクター・ブラインド』からは自我のようなものは感じられない。
本体である少女の『光』に対する強い憧れが、
『光』を意味する言葉を発し続けさせているのだろう。

「――『85点』……かな。その答えは……。
 かなりイイ線いってて、100点まで後もうチョイってトコ。
                  パーフェクト
 ほとんど正解なんだけど、『百点満点』じゃないね」

「『超感覚』って部分は正解だよ。
                     ブースト
 今さっき、私は自分の『味覚』を『鋭敏化』」した。
 だから、『甘味』と『酸味』のバランスから、成分がよく分かったの」

「『正解』は――」

ゆったりとした動作で、『ドクター・ブラインド』が少年に近付いて行く。
そして、鋭い爪を備えた指先を、そっと少年の腕に伸ばした。

「ちょっとチクッとするけど、別に攻撃するわけじゃないからね。
 実際に体験した方が分かりやすいと思うから」

拒否されなければ、爪で軽く撫でるようにして、見えないくらいに薄い『切り傷』を付ける。

                         ソ レ
「ところでさ――かかってるんじゃない?『釣竿』」

浮きが沈んでいるのを見て、少年に注意を促す。
そして、釣竿を握ったなら、すぐに気付くだろう。
自らの『触覚』が『超人的』なものになっていることに。

竿に掛かっている力から、その力の『方向』や『強さ』を鮮明に感じ取れるのは勿論、
普通の感覚ではまず気付かないような、
波の振動がもたらす『微細な変化』までも正確に読み取ることができる。
さらには、糸の先に繋がっているであろう獲物の『大きさ』や『重さ』、
あるいは『種類』までも、頭の中に思い描くことが可能だ。

「『超感覚の移植』――それが『ドクター・ブラインド』の能力だよ」

(ホントは、これも『満点』じゃないんだけどね……)

正確に言えば、『ドクター・ブラインド』の能力は『五感の移植』だ。
『ドクター・ブラインド』は、『超人的四感』と『存在しない視覚』を持つ。
それらを他者に移植することが、『ドクター・ブラインド』の能力。
それを話さなかったのは、『存在しない視覚』の移植が『切り札』だからだ。
だから、少年の答えの中の『四つ』という部分は訂正しなかった。

夢見ヶ崎明日美は、生まれつき全盲だった。
そして、この世界は見えない人間が生きていくためには作られていない。
危険を回避して生きるためには、人一倍の用心と最大限の慎重さを必要とした。
それがなくては命に関わる。

だからこそ、見えなかった頃の明日美は、今よりも内向的で警戒的な性格だった。
現在の性格は、これまでの『見えない人生』の中で満たされなかった好奇心が爆発した結果だ。
しかし、体に染み付いた『過去の自分』は、表に出ることはなくなっても、
依然として心の奥に残り続けている。

「私の『超触覚』とショー君の『器用さ』。
 その二つをミックスすれば、クーラーボックスの容量いっぱいになるまで釣れると思うよ」

「あぁ、この中ギッシリ詰まってるんだったよね。
 じゃ、少しはスペース空けとかなきゃ」

そう言いながら、野生の豹のように俊敏な動きで、素早く氷を掻き分ける。
もちろん、自分ではなく『ドクター・ブラインド』の両手を使っている。
そして、手頃なドリンクを手に取って飲み始める。

283斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2017/09/17(日) 18:09:53
>>282

誰にでも、見せたくない物は有る
自分がそこに踏み入ったのかもしれないと言う考えが頭をよぎる
何から感じたのかは解らないが、あるいは影の頭部がそう考えたのか

「LIGHT『光』か、僕のが『鎖と影』だったように
 この子は君を確かに表している ――別に恥ずかしい事じゃあない
 むしろ素直な良い子じゃないか、君の『アクセサリー』」

  (――他の人が『スタンド』を見せたがらないのを解った気がするな
   見れば、何となくどういう人間か想像できてしまうからか
   心を見られて良い気がする人間って言うのはあまりいないだろうし。)

全身に巻き付く鎖、解除して現れる影
斑鳩に取っては求める『奇跡』の為の『チケット』だが
同時に少年自身の『精神性』を表しているという事実が有る

  「僕のアクセサリー何て全然自己主張しない上に、蛸やら蜘蛛やらと間違われるんだもんなぁ
   な、『ロスト・アイデンティティ』。」

 そう言いながら少年は影の頭を軽い調子ではたく ――にこやかに笑いつつ

 アイデンティティの喪失――まさしく『名前通り』なのだ。
 スタンドを手に入れるまでの5年間 自身の存在理由を社会から奪われ 
 取り戻すために息の出来ない日々を送り続けた『彼ら』の『悩み』の発露
『器用にする鎧』『影の五体』『縛る鎖』それが現実からの逃避から生まれた
『三つの人格』それぞれの『能力』彼は理不尽に対して歪まなかったのではなく
 正しく人の為に歪みから剥離した人格なのだ。 

 つとめて明るく、笑顔で振舞い続ける為の。

「うーん、赤点回避って所だけど満点じゃあないのか
 ま、予習復習無しでやった割には良い点数かな。」

『ドクター・ブラインド』に抵抗せずに切り傷を付けられる
ほんの少しの痛みだが医者の注射を思い出して少しだけ口角がひきつった

   「えーっと、これが君の能力って事か えっ あっほんとだ! 
    やった、フィーッシュ……!?」

釣竿を握った瞬間、即座に混乱と理解が押し寄せる
自身の感覚に驚愕すると同時に理解できたことによる歓喜で笑みが零れる。

「何だろうこの『感覚』……これが君の『能力』なのか
 糸の先が解る、得物の大きさ、動き 全部解るぞ……凄い。」

4本の腕が釣竿を掴み正確な捌きで糸を巻き取っていく
……そして細い糸の先にいる獲物は数分とかからずに空中に引きずり出された
魚と水の飛沫が同時に二人に飛翔し、それを影の腕が捉える

 「――釣れたッ!僕達二人なら、君の言う通りこの砂浜の魚が逃げ出すのも時間の問題だね
  『魚』に対しては無敵のコンビ!って所かな。 ……ってあれ?何かこの魚おおき」

――眼が再び見開かれる、糸の先にいた『獲物』のせいで。

「……クロダイだぁーッ!?鯛が釣れたってウソォ!『砂浜』で釣れるのかコレ!?」
落ち着くためにクーラーボックスから氷をかき分けてドリンクをあさりだした。

284夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2017/09/17(日) 22:54:26
>>283

「私も別に恥ずかしいとは思ってないけど。
 耳元でブツブツ言われてると、ちょっとうるさいけどね。
 もう慣れたよ」

少年の考えを知ってか知らずか、事も無げに応じた。
その言葉通り、特に気にした様子はないらしい。

「イェス!そーいうこと。
              ブースト
 さっきので『触覚』を『鋭敏化』してるから、全身がセンサーみたいに超ビンカンになってるワケ。
 あ、『音』が弱くなってきた。そろそろ終わりかなぁ」

そう言いつつ、こちらは『音』で魚の様子を捕捉していた。
『ドクター・ブラインド』の『超聴覚』を使えば、音の方向や大きさ、種類も聞き分けることができる。

「うわ、デカッ!!こりゃ大物だねぇ。水も滴るっていうけど、今日は濡れたくないなぁ……。
 海水浴に来たわけでもないし」

引き上げられた獲物の大きさに、思わず声を上げた。
同時に、『ドクター・ブラインド』を高速で自分の前に立たせ、水滴を浴びるのを防ぐ。
その直後に、少年が放った驚愕の声を耳にして、小首を傾げる。

「……サカナなんだから海にいるのがフツーなんじゃないの?
 確かにおっきいけどさ。
 そのサカナに足でも生えてたんならビックリだけど」

少女にとっては、さして驚くようなことではないらしく、不思議そうに返した。
魚に関する知識がないということだけは確かなようだ。
かつて目が見えていなかったせいで、やや一般的な認識とズレているせいもあるかもしれない。

「あ、ちょっと――」

少年の行動を見て声を発したが、間に合わなかった。
超人的になった触覚は、皮膚に伝わる刺激を非常に鋭敏に感じ取ることができる。
それは『温度感覚』も同じことだ。
氷に触れたら、その冷たさも通常の何倍も強く感じることになるだろう。

「――『解除』っと。やっぱりフツーに釣るのが一番かもね。
 この辺の魚がゼツメツしちゃっても困るしぃ」

アハハ、と苦笑いしつつ、少年に与えた能力を解除した。

「気長にやろうよ。私、ここで見てるから。
 クーラーボックスの中身減らしながら。ね」

今度はクスリと笑い、クーラーボックスに手を突っ込む。

「とりあえず――はい、コレ」

手を引き抜くと、そこから一本のドリンクを引っ張り出し、少年に差し出した。
その後は近くの適当な場所に座って、時折横槍を入れながら、釣りの様子を眺め続ける。

(――砂浜に出かけたアリスは、そこで変わった男の子に出会いました。
    その子は『不思議な鎖』と『影の腕』を持っていました。
    『見たことのないもの』を見られて、アリスはとても嬉しく思いました。
    そして、『まだ見たことのない沢山のもの』を、もっともっと見てみたいと思いました――)

285斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2017/09/18(月) 22:02:20
>>284

   「いやさ、流石に砂浜にこんなでかい鯛がいるとは思わな かっ 」

――顔が急速に青くなる
まさか彼自身釣れるとも思っていなかったのが針にかかった事
そのせいですっぽりと頭から『ドクター・ブラインド』が抜け落ちたのだ。

      「た たた ――冷たぁぁぁぃぃぃいいい!
       『超感覚』を『頭』じゃなく『冷たさ』で理解出来たぁ!」

ひっくり帰りそうになるのを『ロスト・アイデンティティ』が影の両腕で支え
ブリッジの体制と化す 見えない人からすれば空中で浮いてるように見えるのだろうが
スタンド使いから見ればまるで『蜘蛛』のようだ。

  「おおお……次から気を付けます 僕『セイウチ』じゃないしね」

   「ホント、ゆっくりやるのが良いんだろうな『回り道』だろーと
    今の僕の『最短の道』なんだしな、『辛抱』が大事さ。」

右手をさすりながら能力を解除されたことを確認する
ドリンクを差し出されたことに対して笑顔で答える
腕時計の影以外の皮膚が多少赤くなっていた

「ん、サンキュ夢美ちゃん。
 もう少しだけ付き合ってもらおうかな……ズルはよくないからな!」

もう能力は解除されているので怯える必要は無いのだが
恐る恐る受け取って冷たくならないのを感じると中身を飲んで一息を付く
左手首のミサンガが三重に絡まり、陽光を受けて煌めいた



 (――彼女が『光の国のアリス』なら『僕達』は何だろうね?
  『奇妙な国の……』)

――砂浜の波打ち際、釣りをする2人に未だに陽光は降り注いでいる
 時折の飛沫が小さな虹を作り出していた。

                           to be continued・・・?


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