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【場】『自由の場』 その1

1『自由の場』:2016/01/18(月) 01:47:01
特定の舞台を用意していない場スレです。
他のスレが埋まっている時など用。
町にありえそうな場所なら、どこでもお好きにどうぞ。

196小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/11/19(土) 22:46:30

H湖の岬に位置する天文台。
その展示室に、黒い帽子と喪服に身を包んだ人影が、静かに足を踏み入れる。
夜空をイメージした薄暗い照明の下で、各所に配置された惑星のオブジェが、仄かな光を放っている。
今は『隕石』の展示をやっているようだ。
ガラスケースに視線を落とし、その中にある『隕石の欠片』を鑑賞する。

宝石のように美しい訳でもなく、貴重な資源になる訳でもない。
言ってみれば、『ただの石』だ。
それでも、宇宙から来たと言われれば、なんとなく不思議な魅力があるように感じられた。
それは物質的な価値ではなく、それを見た人間の心の中に、何かを生じさせる精神的な価値なのだろう。
そうした力が天文学を発達させ、ロケットを飛ばせ、人間を地球の外まで行かせたように思える。

  「――不思議ね」

物思いに耽りながら、小さく呟いた。

197雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/11/19(土) 23:41:36
>>196

「?」

「隕石……?」

あなたの隣で隕石の欠片に釘付けになっているものが一人。
サイズの大きな服を着ている。

「……不思議」

198小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/11/20(日) 00:04:30
>>197

いつから隣にいたのだろうか。
傍らに立つ少年に気付き、静かに顔を上げる。

  「こんにちは」

微笑と共に挨拶したのち、再びガラスケースに目を向ける。

  「そう――不思議……ですね……」

  「なんでもない石かもしれないけど――」

  「何か……不思議な魅力があるような気がします」

幸い、今は人も多くないので、ゆっくりと展示を鑑賞することができる。

199雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/11/20(日) 00:39:24
>>198

「あぁ、どうも。こんにちは」

礼をする。
それから顔を上げて。

「えぇ、不思議、です」

「この石があった場所になにがあるのか、とてもとても」

200小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/11/20(日) 21:00:16
>>199

  「そう……ね……」

何があるのか――その言葉を心の中で反芻する。
この欠片が、どこか遠い星の一部だとしたら、そこには何があるのだろうか。
それは砂や石しか見当たらない不毛の土地かもしれないし、
高温の気体に包まれた灼熱の世界かもしれない。
あるいは、そこには豊富な水がたたえられ、新鮮な空気と豊かな自然があるのかもしれない。
もし、そんな場所だとしたら、そこに住む生き物だっていないとは言い切れない。

  「もしかしたら――そこには、誰かがいるのかもしれませんね」

  「この欠片が、その誰かから届いたメッセージだとしたら、素敵なことだと思います」

  「あなたは何があると思いますか?」

201雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/11/20(日) 22:46:28
>>200

「この石のある場所……ですか」

むむむと悩んで顎に手を当てる。
ただし顔はにへらと笑っている。
それから少ししてくるんとその場で一回転。
指パッチンの要領で指を鳴らせばそこから花が現れる。

「綺麗な花畑、というのは素敵、でしょうか」

「……宇宙を旅する根性のある石ならもっと荒れた土地の生まれかもしれませんが」

「あ、花いります?」

202小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/11/20(日) 23:11:13
>>201

突如として現れた花を見て、目を丸くする。
やがて腕を伸ばし、その花を受け取った。
その後、手にした花を胸に挿した。

  「ありがとう」

  「あなたは……魔法使いなのかしら?」

  「もし、あなたが手品師でなければ、ね」

控えめながら、やや冗談めかした口調だった。
そして、くすりと笑う。
その顔に奥ゆかしい微笑が浮かぶ。

203雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/11/20(日) 23:24:00
>>202

胸に右手を当て、左手はスカートをつまむジェスチャーで礼。
もはやどちらか分からない。

「残念ですが、私は魔法使いでなく手品師。でなければ奇術師、ペテン師、もしくはそれら全てです」

ふふっと声を漏らすが顔は無表情。

「もしくは学生」

「ところでどうしてここに?」

204小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/11/20(日) 23:43:30
>>203

  「そのどれだったとしても――」

  「あなたが手品が上手なことだけは変わらないでしょうね」

胸にある花に手をやりながら、そう返した。

  「まだ来たことがなかったから、かしら」

  「この町のことをよく知りたいから」

  「だから、できるだけ色んな場所へ行きたいと思っているの」

言いながら、ほんの少し目を伏せる。
そして、再び少年に向き直った。

  「あなたは?」

205雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/11/21(月) 00:22:08
>>204

「おほめいただき、少々照れます」

「照れ照れ」

と言いつつ両手をほおに添える。
微妙な笑みを口に浮かべながら。

「この町を。それはそれは」

「いいですね。地元愛、いえ街への愛」

「……私、ですか?」

両手で顔を挟みながら小首をかしげる。

「強いてあげるなら、暇だったからですか」

「もしくは寂しかっただけです」

206小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/11/21(月) 00:54:12
>>205

  「私も時々そんなことがあるわ……」

ため息をつくように言葉が口から出る。
少年の言葉には、少なからず共感を覚えた。
思わず陰りが差す表情を隠すように、顔を伏せた。

  「――でも、今は違うわね」

まもなくして、顔を上げる。
その表情は先程と同じに戻っていた。

  「こうしてお話させてもらっているから」

ふと、先程の花に視線を向け、続いて隕石の欠片を見つめる。

  「なんだか……似ているような気がするわ」

誰ともなしに、ぽつりと呟く。

  「違う星同士と違う人間同士――」

  「そして、その間を繋ぐものがあって……」

  「ごめんなさい。変なことを言って」

207雑賀華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/11/21(月) 23:51:06
>>206

「そうですか。それは良きこと」

二三度頷き、花を見る。

「変なことなど」

「いえ、私の感覚が人と同じかはわかりませんが」

また指パッチンのような仕草。
今度は花は出ない。

「人と人をつなげるのなら私はいくらでも出しましょう」

「雑賀華。私の名にある花をいくらでも」

208小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/11/22(火) 00:20:02
>>207

両手を胸に当て、少年の言葉を噛み締める。
心の中に何か温かいものが生じるのを感じた。
物質的なものではなく、精神を満たしてくれる何か。
もしかすると、それは隕石の欠片を見た人が感じるものと、少しだけ似ていたかもしれない。

  「ありがとう――」

  「私は小石川文子」

  「もし、よかったら、少しご一緒しませんか?」

  「ご迷惑でなければ」

生憎こちらには渡す花はない。
その代わり、花が開くような微笑みを、彼に見せた。

209雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/11/22(火) 00:28:48
>>208

「いえ、私はお礼を言われることなんてしていません」

開いてた手を向ける。
そして、微笑みに少し赤くなりながら。

「……えぇ」

「もちろん……です」

「よろしくお願いしますね。えぇ、えぇ」

そういって彼もまた笑った。

210小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/11/22(火) 00:43:22
>>209

  「こちらこそ、どうぞよろしく」

そう言って、彼の傍らに立つ。
ふと先程の隕石の欠片が脳裏を掠める。
偶然地球にやって来た石と同じように、こうして偶然出会って同じ時間を共有している。
そのことを改めて意識した。

  「……不思議ね」

そんな台詞を思わず呟いていた――。


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